説明

遠隔医療支援システム

【課題】患者および医師は、一般端末および医療機関端末を介して、両者が対面している場合と同様に医師等による診断を受けることができるシステムを提供する。
【解決手段】遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末2と、遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末3と、一般使用者が使用する一般端末5とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システム1であって、医療機関端末2、医療支援施設端末3および前記一般端末5は、互いに接続可能な接続装置4と、医療機関端末2および医療支援施設端末3は、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、一般端末5は、医療機関端末2および医療支援施設端末3と通信することができる通信装置とを備えることを特徴とする遠隔医療支援システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末間で通信することができ、かつ医用画像を含む医療情報を、閲覧および送受信することができる遠隔医療支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療において、CT、MRI、PETおよび超音波などの画像診断は、疾患の診断および管理に必須のものになっている。従来、画像診断のための画像は、レントゲンフィルムが主流であったが、最近は、MRI、CT、PETおよび超音波などのデジタル画像が診断画像の主流となっている。また、現在では、一般X線撮影もデジタルデータとなっている。
【0003】
画像診断を行うためには、得られた画像を適切に保存し、管理することが不可欠である。現在、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの画像をすべてデジタル化して保存するためのシステムとして、各種画像ファイリングシステム(PACS:Picture Archiving and Communication
System)が普及している。このPACSは、世界各国において、種々のシステムが開発され、市販されている。
【0004】
一方、医用画像は、病院内で利用するだけでなく、遠隔医療への応用されている。遠隔医療は、医師と患者が距離を隔てたところで、インターネットなどの通信技術を用いて診断・診療を行なう医療である。
【0005】
遠隔医療支援システムを導入することにより、離島および僻地などであっても等しく診断・診療を受ける事ができ、診断・診療のために距離移動を行なう無駄をなくすことができる。また、医者が診察現場において診察・診断を行わなくても診療を行うことができるため、医師不足解消の方策としても期待されている。
【0006】
遠隔医療システムとして、いくつかの例が開示されている。たとえば、高いセキュリティー性を保持した遠隔医療支援システムが開示されている(特許文献1)。この遠隔医療支援システムは、インターネットとマッチングサーバーを用いて実現されるリアルタイムカンファレンス機能に基づいて、医療画像などの可視情報を患者と医療従事者との間又は医療従事者と医療従事者との間で共有できる特徴を備えている。
【0007】
また、複数の医療従事者間で医療関連電子情報の送受信および開示を行うシステムについて、いくつかの例が開示されている(特許文献2、3および4)。加えて、医療従事者、患者間で医療関連電子情報の送受信および開示を行うシステムについて開示されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-310768号公報
【特許文献2】特開2003-296460号
【特許文献3】特開2005-352969号公報
【特許文献4】特開2006-21031号公報
【特許文献5】特開2006-277559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムでは、診断の際にテレビ会議システムなどを利用することにより、映像と音声を共有し、リアルタイムカンファレンを行うことができた。また、従来の遠隔医療支援システムでは、専門家の間での医療情報の利用を目的としていた。しかし、患者などの一般の使用者は、遠隔医療支援システムを保有しておらず、遠隔医療システムによって診察等を受けることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、従来の隔医療支援システムのように医師などの専門家の間だけでなく、患者などの一般使用者とコミュニケーションをとることができる隔医療支援システムを提供する。
【0011】
すなわち、本発明は、遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末と、遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末と、一般使用者が使用する一般端末とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムであって、医療機関端末、医療支援施設端末および一般端末は、互いに接続可能な接続装置と、医療機関端末および医療支援施設端末は、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、一般端末は、医療機関端末および医療支援施設端末と通信することができる通信装置とを備えることを特徴とする遠隔医療支援システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー端末をさらに備え、医療機関端末および前記医療支援施設端末は、該サーバー端末を介して互いに医用画像を含む医療情報を送受信および開示できる開示装置を備えた、上記の遠隔医療支援システムを提供する。
【0013】
また、本発明は、一般端末が、既存の端末を利用した端末である、上記の遠隔医療支援システムを提供する。
【0014】
また、本発明は、医療機関端末および医療支援施設端末が複数個の端末である、上記の遠隔医療支援システムを提供する。
【0015】
また、本発明は、医療機関端末、医療支援施設端末および/または一般端末が画像および音声の入力装置、並びに出力装置を備える端末である、上記の遠隔医療支援システムを提供する。
【0016】
さらに、本発明は、コンピュータを、遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末と、遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末と、一般使用者が使用する一般端末とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、コンピュータを、医療機関端末および医療支援施設端末を互いに接続可能に接続する接続装置と、医療機関端末および医療支援施設端末を、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、医療機関端末は、該医療機関端末を使用していることを前記医療支援施設端末に対して自動で通知する通知装置と、一般端末は、医療機関端末および医療支援施設端末と通信することができる通信装置として機能させるための遠隔医療支援プログラムを提供する。
【0017】
また、本発明は、コンピュータを、上記の遠隔医療支援システムとしてさらに機能させるための、遠隔医療支援プログラムを提供する。
【0018】
療支援システムおよび遠隔医療支援プログラムによれば、従来の遠隔医療支援システムのように専門家の間だけでなく、患者などの一般の使用者とコミュニケーションをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の遠隔医療支援システムの構成の一例を示す図。
【図2】本発明の遠隔医療支援システムにおいてサーバーを有する構成の一例を示す図。
【図3】本発明の遠隔医療支援システムにおいて複数の端末を有する構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して本発明を説明する。図1は、本発明による遠隔医療支援システムの構成を示す図である。
【0021】
本発明の遠隔医療支援システム1は、医療機関が使用する医療機関端末2と、遠隔医療支援を依頼される施設が使用する医療支援施設端末3と、一般使用者が使用する一般端末5とから構成される。
【0022】
医療機関端末2および医療支援施設端末3は、互いに接続することができる接続装置を有する。また、医療機関端末2および医療支援施設端末3は、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置を有する。
【0023】
また、一般端末5は、医療機関端末2および医療支援施設端末3の一方または両方と互いに接続することができる接続装置を有する。
【0024】
上記のような医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5としては、当該技術分野において通常使用される任意の端末を使用することができる。たとえば、インターネットに接続可能なコンピュータを各端末として使用することができる。これらの端末は、たとえばキーボードなどの入力装置、CPUなどの制御装置、モニタなどの表示装置、メモリなどの記憶装置、モデムなどの通信装置およびプリンタなどの印刷装置などを備えたコンピュータシステムであることができる。また、端末は、カメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカなどの出力装置をさらに備えることもできる。また、端末は、映像と音声を共有し、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うための任意の機能を有することができる。
【0025】
さらに、一般端末5は、既存の装置を利用した端末であることもできる。たとえば、一般端末5には、一般家庭において利用されるテレビ受像器およびコンピュータなどの既存の装置を利用することができる。一般端末5は、このような既存の装置を本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として使用可能にする端末であることができる。「遠隔医療支援システムの一般端末として使用可能にする」とは、別の用途のために使用されている既存の端末に対して、本発明の一般端末として使用することができるように、任意の装置を接続すること、任意のプログラムをインストールすること、および任意の機能を提供することをいう。たとえば、コンピュータの場合、コンピュータに本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として機能させるためのプログラムをインストールすることにより、コンピュータを本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として使用してもよい。また、USBメモリなどの記録メディアに本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として機能させるためのプログラムを記憶しておき、一般使用者が記録メディアを挿入することにより、コンピュータを一般端末として使用できるようにしてもよい。
【0026】
また、インターネットを介した通信などの双方向通信が可能な機能を有するテレビ受像器を利用することができる。この場合も、本発明の遠隔医療支援システムとして機能させるためのプログラムをテレビ受像器にインストールすることにより、本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として使用してもよい。また、USBメモリなどの記録メディアに本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として機能させるためのプログラムを記憶しておき、一般使用者が記録メディアを挿入することにより、テレビ受像器を一般端末として使用できるようにしてもよい。
【0027】
また、携帯電話などのモバイル端末を利用することもできる。この場合も、本発明の遠隔医療支援システムとして機能させるためのプログラムをインストールすることにより、本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として使用してもよい。
【0028】
本発明の遠隔医療支援システムに使用される一般端末は、上記の機能を有する端末自体だけでなく、既存の端末を一般端末として使用可能にするための上記のような装置およびプログラムも含まれる。したがって、本明細書において、一般端末には、上記のように既存の装置を本発明の遠隔医療支援システムの一般端末として機能させるためのプログラムを記憶したUSBメモリなどの記録メディアも含まれる。また、一般端末は、一体となった端末としてだけでなく、複数個に分けられていてもよい。たとえば、上記のような記録メディアと下記に説明するような通信装置とを別々に提供することもできる。
【0029】
本発明の遠隔医療支援システム1の医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5は、互いに接続することができる接続装置を有する。本明細書において、接続とは、各端末が、データを送受信することができる状態でつながれていることを意味する。医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5による接続は、当該技術分野において通常使用される任意の接続手段4を介して接続することができる。たとえば、接続手段4は、ISDN、衛星回線、PHS、ADSL、FTTH、LANなどの様々な通信インフラを使用した接続であることができる。各端末の接続装置は、複数の端末間を同時に接続可能な接続装置であることができる。
【0030】
また、一般端末5は、医療機関端末2および医療支援施設端末3の一方または両方と通信することができる通信装置を備える。本明細書において、通信とは、各端末の使用者が、他の端末の使用者と文字、映像および音声の少なくとも1つを介して通信することを意味する。通信装置は、各端末の間で文字、映像および音声の少なくとも1つを介して通信することができる任意の既存の通信装置を使用することができる。たとえば、各端末にカメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカおよびディスプレイなどの出力装置を備えることにより、それぞれの端末の操作者は、他の端末の操作者と通信することができる。また、一般端末5の通信装置は、既存の装置が備えている通信機能を利用することができる。たとえば、双方向通信が可能な機能を有するテレビ受像器を利用する場合、該テレビ受像器のディスプレイおよびスピーカを介して通信することができる。入力装置および出力装置として、USBカメラおよびマイクなどの汎用機器を既存の装置にを接続することにより、一般端末5を双方向で通信可能にすることができる。
【0031】
各端末は、複数の端末の間で同時に通信することができる通信装置を備えることができる。このような通信装置を備えていることにより、複数の端末の使用者が同時に通信することができる。また、2つの端末の使用者が通信しているときに、続いて別の端末の使用者とも通信することができる。
【0032】
本発明の遠隔医療支援システム1の医療機関端末2および医療支援施設端末3は、医用画像を含む医療情報を互いに閲覧および送受信することができる機能を有する。ここで、送受信とは、本明細書において、端末およびサーバーなどに保存されたデータを別の端末などに送信および受信することを意味し、別の端末で読み込むこと、コピーすること、保存すること、印刷することなどを含む。閲覧とは、本明細書において、端末およびサーバーなどに保存されたデータを別の端末で読み込んで、該端末のモニタなどで読み込んだデータを見ることができるが、該データをコピーすること、および保存することはできないことを意味する。本発明の遠隔医療支援システムにおいて、医療機関端末および医療支援施設端末は、各端末からデータを閲覧しかできないように設定しておくことにより、データを自由にコピーすることができず、高セキュリティーに保つことができる。
【0033】
また、本明細書において、医用画像を含む医療情報とは、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの画像などの医用画像を含む。特に、各種画像ファイリングシステム(PACS:Picture Archiving and Communication
System)において保管、閲覧および管理することができる医用画像のデジタル情報を含む。これらの医用画像情報は、当業者に公知の種々のフォーマットの情報であることができる。たとえば、DICOM、JPEG、BMP、およびTIFFなどの各種形式のフォーマットの情報であることができるが、DICOM規格が好ましい。DICOM規格とは、Digital Imaging and Communication
in Medicineの略で、医用画像と通信の標準規格である。DICOM規格を介して連携を図ることにより一元管理することが可能できる。
【0034】
上記のような医療機関端末2および医療支援施設端末3による、医用画像を含む医療情報の閲覧および送受信は、医療機関端末2および医療支援施設端末3の間で直接データを閲覧および送受信してもよいが、サーバーを介して閲覧および送受信することもできる。たとえば、図2に示したように、本発明の遠隔医療支援システム1は、医療機関端末2、医療支援施設端末3、一般端末5およびサーバー6から構成することもできる。このようなシステムの場合、医用画像を含む医療情報は、サーバー6において一括して保存および管理することもできる。高セキュリティーに保つために、サーバー6へのアクセスを、特定の医療機関端末2および医療支援施設端末3に制限することもできる。また、サーバー6は、医療機関端末2および医療支援施設端末3のデータをバックアップする機能を有することもできる。
【0035】
本発明の遠隔医療支援システム1は、医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5のいずれかの端末を使用しているときに、使用していることを他の端末に自動で通知する通知装置を備えることもできる。通知装置は、たとえば患者などの一般使用者が一般端末5を使用したときに、一般端末5から医療機関端末2に対して通知するための任意の通知装置であることができる。たとえば、医療機関端末2に備えられたディスプレイなどに表示させることができる。また、通知装置は、たとえば医療機関端末2において医用画像を含む医療情報にアクセスした際に、医療機関端末2から医療支援施設端末3に対して通知するための任意の通知装置であることができる。たとえば、医療機関端末2に備えられたディスプレイなどに表示させることができる。また、救急信号のように、ランプによって通知する通知装置であってもよく、また音声によって通知する通知装置であってもよい。
【0036】
また、患者などの一般使用者が一般端末5を使用したときに、医療機関端末2または医療支援施設端末3が起動していない場合であっても、自動的にこれらの端末を起動させる機能を備えていてもよい。
【0037】
医療機関端末2において医用画像を含む医療情報にアクセスした際に、医療支援施設端末3が起動していない場合であっても、自動的に医療支援施設端末3を起動させる手段であってもよい。さらに、自動的に医療支援施設端末3を起動させると共に、医療機関端末2においてアクセスされた医用画像を含む医療情報を自動的に閲覧できるように表示する機能であってもよい。
【0038】
さらに、通知装置は、医療機関端末2および医療支援施設端末3に備えられた通知装置だけでなく、指定された別の端末へ通知する通知装置であってもよい。たとえば、一般端末5から医療機関端末2または医療支援施設端末3に通知されるだけでなく、医師が保有する携帯電話などにも同時に通知する装置であることができる。たとえば、図1〜3に示したように、一般端末5から医療機関端末2および医療支援施設端末3への通知は、それぞれの端末に接続可能な携帯電話に対して通知を行うことができるように設計することができる。好ましくは、一般端末5から各端末への通知は、所望の携帯電話に対して通知するなど、各端末使用者が望む通知形式を選択することができるように設計することができる。たとえば、携帯電話の通話機能やメール機能を利用して通知することができる。
【0039】
本発明の遠隔医療支援システムの通知装置は、自動で医療支援施設端末に通知することができるだけでなく、医療機関端末の操作者の意志に応じて、手動で通知することができる手段を有していてもよい。また、通知装置は、一般端末5から医療機関端末2および医療支援施設端末3に対して通知するだけでなく、医療機関端末2から医療支援施設端末3に対して通知する通知装置を有することもできる。また、逆に医療機関端末2および医療支援施設端末3から一般端末5に対して通知する通知装置を有することもできる。
【0040】
上記のような通知装置を有することにより、緊急に対応しなければならない診断の際に、患者は、一般端末5を使用して診断を依頼すると、医療機関の医師等が直ちにその依頼に対応することができる。
【0041】
本発明の遠隔医療支援システム1は、単一の医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5で構成されるシステムだけでなく、複数個の医療機関端末2、医療支援施設端末3および一般端末5で構成されるシステムであってもよい。たとえば、図3に示したように、複数個の医療機関端末2、複数個の医療支援施設端末3、一般端末5およびサーバー6から構成することもできる。このような構成の場合、一般端末5を患者が操作したときに、医療機関端末2および医療支援施設端末3のうちの1つまたは複数に対して、一般端末5を使用していることを通知する通知装置を有していてもよい。このような構成にすることにより、一般端末5を操作する患者は、複数の医療機関端末2のうちから、より迅速に対応できる医療機関端末2と接続することができる。また、複数の医療機関端末2のうちから適切な医療機関を結びつけることもできる。
【0042】
一方、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像閲覧システムとして機能する。本発明の医用画像閲覧システムでは、医療機関端末および医療支援施設端末のそれぞれの間を、接続装置を介して接続することにより、医用画像を閲覧することができる。本発明の医用画像閲覧システムにより、たとえば医用画像の原画像を閲覧することができる。医用画像の原画像を閲覧するために、たとえば、本発明の遠隔医療支援システムは、Georgetown University Medical Centerにより開発され、米国KLTテレコム社により提供され、現在ViewSend社によって提供されている遠隔医療システム「ViewSend」などの技術を利用することができる。該技術を使用することにより、現在主流となっているJPEGデータへの画像を加工するWeb DICOMとは異なり、診療に耐え得るDICOM原画像を劣化させずに、原画像を高速に参照および閲覧することができる。
【0043】
また、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像を閲覧しながら、テレビ会議を行うことができるシステムとして提供することができる。たとえば、遠隔医療支援システムは、上記したように、カメラおよびマイクなどの入力装置、スピーカなどの出力装置をさらに備えることにより、各端末を使用する者の映像と音声を共有することができるようなシステムであることができる。その結果、各端末を使用する者の間で、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うことができる。たとえば、上記遠隔医療システム「ViewSend」の技術を使用すると共に、USBカメラおよびマイクなどの汎用機器を本発明の遠隔医療支援システムに備えることにより、テレビ会議が可能なシステムとして機能し、双方向で、DICOM原画像をはじめ、各種患者情報を見ながら診断や治療方法が検討できるようになる。
【0044】
また、本発明の遠隔医療支援システムは、医用画像だけでなく、一般のファイル情報も同時に閲覧することができるシステムとして提供することもできる。たとえば、上記のように、医用画像の原画像を閲覧することができるだけでなく、コンピュータにおいて使用される一般的な形式の種々のファイル情報も同時に閲覧することができる。上記ファイルは、一般的なコンピュータで読み込むことができる任意のファイル情報であることができる。
【0045】
上記のように、一般的形式のファイル情報を閲覧することができることにより、患者のデータ情報を共有することができると共に、遠隔地において病理診断や治療相談が可能になる。たとえば、カルテなどの患者情報や病気に関する情報を含むファイルを同時に閲覧することにより、より高い医療水準を確保することができる。
【0046】
以下、本発明の遠隔医療支援システムの使用方法の一例を説明する。
【0047】
医療機関は、各種レントゲン、CT、超音波および内視鏡などの医用画像を含む医療情報を医療機関端末2に読み込む。たとえばPACSにおいて保管、閲覧および管理されている医用画像のデジタル情報を医療機関端末2に読み込む。上記の医療機関としては、たとえば上記医用画像から読影を行った結果を利用して、種々の診断・治療を行う医師および医療機関などが想定される。
【0048】
医療機関端末2に医用画像を含む医療情報が読み込まれると、医療機関端末2と医療支援施設端末3は、各端末の接続装置を介して医療情報を共有することができる。
【0049】
一方、一般使用者は、一般端末5を介して、医療機関端末2と通信することができる。たとえば、患者が自宅のテレビ受像器を一般端末5として使用し、医療機関端末2を有する医師と通信することができる。本発明の遠隔医療支援システムは、複数の端末間で同時に通信することができるので、医療機関端末2を使用する医療機関は、得意分野ではない患者からの通信であった場合、該医療機関は、さらに別の医療機関端末を有する医療機関と通信することにより、患者は適切な医師と通信することができる。また、同時に複数の端末を介して複数の医療機関と通信することにより、複数の診断を行うこともできる。
【0050】
また、必要であれば、医療支援者の医療支援施設端末3と接続することにより、読影などの医療支援を受けることができる。
【0051】
患者などの一般端末5の使用者と医療機関端末2を使用する医師は、各端末のカメラおよびマイクなどの入力装置、並びにスピーカなどの出力装置を介して通信することができる。また、映像と音声を共有することにより、テレビ会議機能によるリアルタイムカンファレンを行うことができる。
【0052】
従って、本発明の遠隔医療支援システによれば、患者および医師は、一般端末5および医療機関端末2を介して、両者が対面している場合と同様に医師等による診断を受けることができる。必要であれば、医師は、患者と通信すると共に、さらに医療支援施設端末3を有する医療支援者と通信すること、および別の医療機関端末2を有する医療機関と通信することにより、より適切な診断を行うことができる。
【0053】
一方、上記遠隔医療支援システムは、コンピュータを、遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末と、遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末と、一般使用者が使用する一般端末とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、コンピュータを、医療機関端末および医療支援施設端末を互いに接続する接続手段と、医療機関端末および医療支援施設端末を、互いに医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信手段と、一般端末は、医療機関端末および医療支援施設端末と通信することができる通信手段として機能させるための遠隔医療支援プログラムとして提供することができる。
【0054】
上記プログラムは任意の形態で提供することができる。たとえば、サーバーおよびハードディスクに記録された形態で提供することもできる。また、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として提供することもできる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・遠隔医療支援システム
2・・・医療機関端末
2a・・医療機関端末
2b・・医療機関端末
3・・・医療支援施設端末
3a・・医療支援施設端末
3b・・医療支援施設端末
4・・・接続装置
5・・・一般端末
6・・・サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末と、前記遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末と、一般使用者が使用する一般端末とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムであって、
前記医療機関端末、前記医療支援施設端末および前記一般端末は、互いに接続可能な接続装置と、
前記医療機関端末および前記医療支援施設端末は、互いに前記医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、
前記一般端末は、前記医療機関端末および前記医療支援施設端末と通信することができる通信装置と、
を備えることを特徴とする遠隔医療支援システム。
【請求項2】
前記医用画像を含む医療情報を保存することができるサーバー端末をさらに備え、
前記医療機関端末および前記医療支援施設端末は、該サーバー端末を介して互いに前記医用画像を含む医療情報を送受信および開示できる開示装置を備えた、
請求項1に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項3】
前記一般端末が、既存の装置を利用して、前記遠隔医療支援システムの前記一般端末として使用可能とした端末である、請求項1または2に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項4】
前記医療機関端末および前記医療支援施設端末が複数個の端末である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項5】
前記医療機関端末、前記医療支援施設端末および/または前記一般端末が文字、画像および音声の入力装置、並びに出力装置を備える端末である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遠隔医療支援システム。
【請求項6】
コンピュータを、
遠隔医療依頼者が使用する医療機関端末と、前記遠隔医療支援を依頼された施設が使用する医療支援施設端末と、一般使用者が使用する一般端末とから構成される、医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信する遠隔医療支援システムとして機能させるための遠隔医療支援プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記医療機関端末および前記医療支援施設端末を互いに接続可能に接続する接続装置と、
前記医療機関端末および前記医療支援施設端末を、互いに前記医用画像を含む医療情報を閲覧および送受信できる画像送受信装置と、
前記医療機関端末は、該医療機関端末を使用していることを前記医療支援施設端末に対して自動で通知する通知装置と、
前記一般端末は、前記医療機関端末および前記医療支援施設端末と通信することができる通信装置として機能させるための遠隔医療支援プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、請求項2〜5のいずれか1項に記載の遠隔医療支援システムとして機能させるための、請求項6に記載の遠隔医療支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−248627(P2011−248627A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121164(P2010−121164)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(510147396)ViewSend ICT株式会社 (4)
【Fターム(参考)】