説明

遠隔監視システム

【課題】建物内の設備機器の異常に対処する作業者に対して発報情報を迅速に伝達することができる遠隔監視システムの提供。
【解決手段】小規模出動拠点5は、発報情報を受信した場合に、建物内の設備機器の異常を内部に報知する異常報知機器53を有し、大規模出動拠点4は、小規模出動拠点5の稼働状態を管理する小規模出動拠点管理手段442と、小規模出動拠点5へ発報情報を送信する送信手段と、当該設備機器の異常を内部に報知する異常報知機器43と、監視センタ3から発報情報を受信した後に小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合に、送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信し、小規模出動拠点5が稼働していないことを確認した場合に、小規模出動拠点5へ発報情報を送信せずに異常報知機器43によって当該設備機器の異常を内部に報知する発報情報対応手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に設置された設備機器の異常の有無を遠隔的に監視する監視センタを備えた遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、遠隔監視システムは、建物内に設置され、建物内の設備機器を監視する監視端末と、この監視端末に接続され、監視端末から建物内の設備機器の異常の有無を受信して遠隔的に監視する監視センタと、建物内の設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、建物内の設備機器の復旧作業を行う出動の拠点となる第1及び第2の出動拠点とを備えている。従って、監視センタが監視端末から発報情報を受信すると、これらの第1及び第2の出動拠点のうち、例えば異常が発生した設備機器を備えた建物に近い方、あるいは当該設備機器の異常に対処できる作業者が待機している方に、監視センタから直接あるいは他方から発報情報が伝達され、当該出動拠点の作業者が当該建物へ出動するようにしている。
【0003】
この種の従来技術の1つとして、建物に設置された設備機器を遠隔的に監視する監視センタと、この監視センタに接続され、建物の設備機器の保守や修理を行う出動拠点とを備え、監視センタは、建物内の設備機器の異常を知らせる発報情報を表示可能な表示操作装置を有し、出動拠点は、監視センタから受信した発報情報を表示可能な出動指示装置を有し、監視センタからの発報情報に対して受信確認情報を送信可能に構成し、処理装置は、監視センタからの発報情報に対する出動指示装置からの受信確認情報の受信がないとき、発報情報を監視センタの表示操作装置に転送して表示するようにした遠隔監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
具体的には、この従来技術の遠隔監視システムは、監視センタからの発報情報に対して出動拠点で受信確認情報の送信が行われなかった場合には、監視センタの表示操作装置へ発報情報を自動的に転送して表示するようにしているので、出動拠点に出動する作業者が不在で監視センタからの発報情報に対して出動拠点で受信確認の操作が行われなかったり、あるいは発報情報の配信後に通信回線や出動指示装置に障害が発生して受信確認情報を送信できなくなったりすると、監視センタの表示操作装置へ発報情報を自動的に転送して表示することになり、この監視センタでは24時間態勢で対応する作業者が待機して対処するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−111993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した特許文献1に開示された従来技術の遠隔監視システムは、出動拠点に出動する作業者が不在で監視センタからの発報情報に対して出動拠点で受信確認の操作が行われず、あるいは発報情報の配信後に通信回線や出動指示装置に障害が発生して受信確認情報を送信できない状態であるかどうかを判断するために、出動拠点の出動指示装置等が発報情報を受信してから一定の時間待機する必要がある。そのため、監視センタから出動拠点へ発報情報が送信されても監視センタの表示操作装置へ発報情報が転送して表示されるまでに時間がかかり、異常が発生した設備機器の点検又は修理等の復旧作業の対応が遅れることが懸念されている。特に、当該設備機器に生じた異常がエレベータにおける乗客の閉じ込め等のように緊急を要する場合には、当該設備機器の復旧作業を行う作業者に対して情報伝達を確実に行って対処する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情からなされたもので、その目的は、建物内の設備機器の異常に対処する作業者に対して発報情報を迅速に伝達することができる遠隔監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の遠隔監視システムは、建物内に設置され、前記建物内の設備機器を監視する監視端末と、この監視端末に接続され、前記監視端末から前記建物内の前記設備機器の異常の有無を受信して遠隔的に監視する監視センタと、前記建物内の前記設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、前記建物内の前記設備機器の復旧作業を行う出動の拠点となる第1及び第2の出動拠点とを備えた遠隔監視システムにおいて、前記第1の出動拠点は、前記発報情報を受信した場合に、前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する第1の異常報知機器を有し、前記第2の出動拠点は、前記第1の出動拠点が稼働しているかどうかを管理する出動拠点管理手段と、前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信する送信手段と、前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する第2の異常報知機器と、前記監視センタから前記発報情報を受信した後に前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合に、前記送信手段によって稼働中の前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信し、前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働していないことを確認した場合に、前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信せずに前記第2の異常報知機器によって前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する発報情報対応手段とを有することを特徴としている。
【0009】
このように構成した本発明は、建物内の設備機器に異常が発生すると、監視センタは監視端末から当該設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、発報情報を例えば第2の出動拠点へ送信する。第2の出動拠点が監視センタから発報情報を受信すると、第2の出動拠点の発報情報対応手段が、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働中であるかどうかを確認する。このとき、発報情報対応手段が、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によって稼働中の第1の出動拠点へ発報情報を送信する。そして、稼働中の第1の出動拠点が発報情報を受信し、第1の異常報知機器によって当該設備機器の異常を内部に報知することにより、第1の出動拠点で待機する出動可能な作業者が当該設備機器の異常を知ることができ、当該設備機器の復旧作業における実行性を高めることができる。
【0010】
一方、発報情報対応手段が、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働していないことを確認した場合には、第1の出動拠点へ発報情報を送信せずに第2の異常報知機器によって当該設備機器の異常を内部に報知することにより、第2の出動拠点で待機する作業者が当該設備機器の異常を把握して当該設備機器の復旧作業を早期に行うことができる。このように、出動可能な作業者が待機する第1の出動拠点が稼働中であるか否かに拘わらず、建物内の設備機器の異常に対処する作業者に対して発報情報を迅速に伝達することができる。
【0011】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記第1の出動拠点は前記第2の出動拠点から受信した情報を表示する情報表示手段を有し、前記第2の出動拠点は、異常が発生した前記建物内の前記設備機器に関する機器情報を提供する情報提供手段を有し、前記第2の出動拠点の前記発報情報対応手段は、前記監視センタから前記発報情報を受信した後に前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合に、前記送信手段によって稼働中の前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信すると共に、前記情報提供手段によって当該第1の出動拠点へ前記機器情報を送信することを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、第2の出動拠点の発報情報対応手段は、監視センタから発報情報を受信し、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によって稼働中の第1の出動拠点へ発報情報を送信すると共に、情報提供手段によって当該第1の出動拠点へ機器情報を送信することにより、第1の異常報知機器から当該設備機器の異常を知った第1の出動拠点の作業者が情報提供手段によって提供された当該設備機器の機器情報を参照して当該設備機器の復旧作業を行うことができるので、当該設備機器の異常に対して適切に対応することができる。
【0013】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記第1の出動拠点の前記情報表示手段は、前記第2の出動拠点に対して当該設備機器の復旧作業を行う作業者を登録する登録手段を有し、前記第2の出動拠点の前記発報情報対応手段は、前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合であっても、前記情報表示手段の前記登録手段によって前記作業者の登録が行われなかったことを確認した場合には、前記第2の異常報知機器によって前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知することを特徴としている。
【0014】
このように構成した本発明は、第2の出動拠点の発報情報対応手段は、監視センタから発報情報を受信し、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合であっても、仮に情報表示手段の登録手段によって作業者の登録が行われなかったことを確認した場合には、第2の異常報知機器によって建物内の設備機器の異常を内部に報知することにより、発報情報の伝達漏れを防ぐと共に、第1又は第2の出動拠点で待機する作業者が当該設備機器の異常に確実に対応することができる。
【0015】
また、本発明に係る遠隔監視システムは、前記発明において、前記第1の出動拠点は、前記第2の出動拠点よりも小規模に設定された複数の小規模出動拠点から成り、前記第2の出動拠点は、前記各小規模出動拠点よりも大規模に設定され、前記複数の小規模出動拠点を管轄する大規模出動拠点とから成ることを特徴としている。
【0016】
このように構成した本発明は、大規模出動拠点の発報情報対応手段が、監視センタから発報情報を受信し、出動拠点管理手段によって複数の小規模出動拠点のうち、例えば異常が発生した設備機器に技術面等において対処可能な作業者が所属する小規模出動拠点が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によってこれらの稼働中の小規模出動拠点のうち、例えば当該設備機器が設置された建物から最も近い小規模出動拠点へ発報情報を送信することにより、当該設備機器の作業を行うのに適した作業者を最短で当該建物へ出動させることができるので、復旧作業を早期に開始することができる。一方、大規模出動拠点の発報情報対応手段が、監視センタから発報情報を受信し、出動拠点管理手段によって当該作業者が所属する小規模出動拠点が稼働していないことを確認した場合には、第2の異常報知機器によって小規模出動拠点よりも多くの作業者が待機する大規模出動拠点の作業者が当該設備機器の異常を知ることができるので、当該設備機器の復旧作業を行う作業者を容易に確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の遠隔監視システムは、建物内の設備機器の異常の有無を監視する監視センタと、建物内の設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、建物内の設備機器の復旧作業を行う出動の拠点となる第1及び第2の出動拠点とを備えている。そして、第2の出動拠点の発報情報対応手段が、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によって稼働中の第1の出動拠点へ発報情報を送信することにより、第1の異常報知機器によって当該設備機器の異常が第1の出動拠点の内部に報知されるので、稼働中の第1の出動拠点で待機する出動可能な作業者が当該設備機器の異常を知ることができ、当該設備機器の復旧作業における実行性を高めることができる。一方、第2の出動拠点の発報情報対応手段が、出動拠点管理手段によって第1の出動拠点が稼働していないことを確認した場合には、第2の異常報知機器によって当該設備機器の異常が第2の出動拠点の内部に報知されるので、第2の出動拠点で待機する作業者が当該設備機器の異常を把握して当該設備機器の復旧作業を早期に行うことができる。このように、出動可能な作業者が待機する第1の出動拠点が稼働中であるか否かに拘わらず、建物内の設備機器の異常に対処する作業者に対して発報情報を迅速に伝達することができ、従来よりも円滑な監視システムの運用を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る遠隔監視センタの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1に示す本実施形態の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る遠隔監視システムを実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明に係る遠隔監視システムの一実施形態は、図示しない複数の建物内にそれぞれ設置され、これらの建物内の設備機器をそれぞれ監視する監視端末11,12,・・・,1nを含む監視端末装置群1と、この監視端末装置群1の各監視端末11,12,・・・,1nに通信手段2を介して接続され、各監視端末11,12,・・・,1nから建物内の設備機器の異常の有無を受信して遠隔的に監視する監視センタ3と、建物内の設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、建物内の設備機器の復旧作業を行う出動の拠点となる第1及び第2の出動拠点とを備えている。
【0021】
本実施形態は、例えば第1の出動拠点は、第2の出動拠点よりも小規模に設定された複数の小規模出動拠点5から成り、第2の出動拠点は、各小規模出動拠点5よりも大規模に設定され、複数の小規模出動拠点5を管轄する大規模出動拠点4とから成っている。この大規模出動拠点4は通信手段6を介して監視センタ3に接続されている。
【0022】
監視センタ3は、通信手段2を接続し、監視端末装置群1の各端末装置11,12,・・・,1nと通信する端末通信装置31と、この端末通信装置31が監視端末11,12,・・・,1nから受信した発報情報を表示する表示操作装置32と、端末通信装置31等の各種装置を制御する制御部33と、通信手段6に接続され、大規模出動拠点4との通信を制御する配信装置34と、監視端末11,12,・・・,1nや大規模出動拠点4に関する情報を格納する記憶装置35とから構成されている。具体的には、記憶装置35は、監視端末装置群1の各監視端末11,12,・・・,1nを管理する監視端末管理手段351と、大規模出動拠点4の稼働状態を管理する大規模出動拠点管理手段352とを含んでいる。
【0023】
大規模出動拠点4は、通信手段6に接続され、監視センタ3との通信を制御する通信装置41と、小規模出動拠点5に関する情報を格納する記憶装置44と、小規模出動拠点5へ通信手段6を介して発報情報を送信する図示しない送信手段と、建物内の設備機器の異常を内部に報知する第2の異常報知機器、すなわち異常報知機器43と、異常が発生した建物内の設備機器に関する機器情報を提供する情報提供手段45とを有している。具体的には、記憶装置44は、監視端末装置群1の監視端末11,12,・・・,1nのうち管轄する装置を管理する監視端末管理手段441と、小規模出動拠点5が稼働しているかどうかを管理する出動拠点管理手段、すなわち小規模出動拠点5が稼働しているかどうかの情報を管理する小規模出動拠点管理手段442と、監視センタ3から受信した発報情報を管理する発報情報管理手段443とを含んでいる。なお、通信装置41は上述の送信手段を内部に含んでいる。
【0024】
小規模出動拠点5は、通信手段6に接続され、大規模出動拠点4との通信を制御する通信装置51と、発報情報を受信した場合に、建物内の設備機器の異常を内部に報知する第1の異常報知機器、すなわち異常報知機器53とを有している。また、小規模出動拠点5は、大規模出動拠点4から受信した情報を表示する情報表示手段を有している。この情報表示手段は、例えば通信装置51に接続され、各種の情報を入力して大規模出動拠点4へ送信する事務用パソコン52から成っている。
【0025】
そして、大規模出動拠点4は、監視センタ3から発報情報を受信した後に記憶装置44の小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合に、送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信し、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働していないことを確認した場合に、小規模出動拠点5へ発報情報を送信せずに異常報知機器43によって建物内の設備機器の異常を内部に報知する図示しない発報情報対応手段を有している。
【0026】
さらに、本実施形態では、大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、監視センタ3から発報情報を受信した後に小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合に、上述したように送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信すると共に、情報提供手段45によって当該小規模出動拠点5へ機器情報を送信するようになっている。
【0027】
また、本実施形態では、小規模出動拠点52の事務用パソコン52は、例えば大規模出動拠点4の情報提供手段45に対して作業者の登録を行う図示しない登録手段を有し、大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、例えば事務用パソコン52の登録手段によって作業者の登録が行われたことを確認した場合に、発報情報の送信後に小規模出動拠点5から応答があった旨を専用表示装置42に表示し、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合であっても、事務用パソコン52の登録手段によって作業者の登録が行われなかったことを確認した場合には、異常報知機器43によって建物内の設備機器の異常を内部に報知するようになっている。
【0028】
次に、本実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
図2は図1に示す本実施形態の動作を説明する図である。
【0030】
本実施形態は、図2に示すように監視端末装置群1の監視端末11,12,・・・,1nのうち例えば監視端末11が監視する建物内の設備機器に異常が発生すると、監視端末11は、通信手段2を介して監視センタ3の端末通信装置31へ発報情報を送信する。そして、監視センタ3は監視端末11から発報情報を受信すると、監視センタ3の制御部33が記憶装置35の監視端末管理手段351によって異常の内容を特定する(S1)。さらに、監視センタの制御部33は、記憶装置35の監視端末管理手段351によって監視端末11,12,・・・,1nを管轄する大規模出動拠点4を特定する(S2)。
【0031】
次に、監視センタ3の制御部33は、大規模出動拠点管理手段352によって大規模出動拠点4の稼働状態を確認する(S3)。そして、監視センタ3の制御部33は、大規模出動拠点4が稼働中であることを確認すると、配信装置34によって発報情報を大規模出動拠点4へ送信し、発報情報が大規模出動拠点4へ送信されたかどうかを確認する(S4)。監視センタ3の制御部33は、発報情報が大規模出動拠点4へ送信されたことを確認すると、大規模出動拠点4が発報情報を受信して受付を実施し、監視センタ3の記憶装置35が、大規模出動拠点管理手段352に格納された情報を更新すると共に、大規模出動拠点4の記憶装置44が、受信した発報情報を発報情報管理手段443に記憶する(S5)。
【0032】
一方、手順S3において監視センタ3の制御部33は、大規模出動拠点4が稼働しておらず、あるいは手順S4において発報情報が大規模出動拠点4へ送信されていないことを確認すると、当該設備機器の異常の対応を大規模出動拠点4及び小規模出動拠点5で行わずに監視センタ3で実施し(S11)、本実施形態の動作を終了する。
【0033】
次に、手順S5において大規模出動拠点4が発報情報を受信して受付を実施すると、大規模出動拠点4は、記憶装置44の監視端末管理手段441によって実際に当該設備機器の異常の対応を行う小規模出動拠点5を特定する(S6)。例えば、大規模出動拠点4は、監視端末管理手段441によって小規模出動拠点5のうち異常が発生した設備機器に技術面等において対処可能な作業者が所属する小規模出動拠点5を選定して特定する。さらに、特定した小規模出動拠点5が大規模出動拠点4と異なる場所にある場合には、大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、記憶装置44の小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働しているかどうかを確認する(S7)。大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合には、通信装置41の送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信すると共に、情報提供手段45によって当該小規模出動拠点5へ異常が発生した設備機器の機器情報を送信する。そして、小規模出動拠点5が大規模出動拠点4から発報情報を受信すると、小規模出動拠点5の異常報知機器53が当該設備機器の異常を内部に報知すると共に、当該設備機器の機器情報を事務用パソコン52の画面に表示する(S8)。
【0034】
小規模出動拠点5において当該設備機器の異常が報知されると、小規模出動拠点5の作業者が当該設備機器の復旧作業を行う作業者の情報を事務用パソコン52に入力することにより、事務用パソコン52の登録手段が大規模出動拠点4の情報提供手段45に対して当該作業者の登録を実施し、大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、事務用パソコン52の登録手段によって当該作業者の登録が実施されたかどうかを確認する(S9)。そして、大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、当該作業者の登録が実施されたことを確認すると、小規模出動拠点5からの応答があった旨を専用表示装置42に表示して報知し(S10)、本実施形態の動作を終了する。
【0035】
一方、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、記憶装置44の小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働していないことを確認した場合には、小規模出動拠点5へ発報情報を送信せずに異常報知機器43によって当該設備機器の異常を内部に報知し、大規模出動拠点4の作業者が当該設備機器の異常の対応を実施する(S12)。そして、本実施形態の動作を終了する。
【0036】
また、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、記憶装置44の小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合であっても、手順S9において当該設備機器の復旧作業を行う作業者の登録が実施されていないことを確認した場合には、異常報知機器43によって当該設備機器の異常を内部に報知し、大規模出動拠点4の作業者が当該設備機器の異常の対応を実施する(S12)。そして、本実施形態の動作を終了する。
【0037】
このように構成した本実施形態によれば、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段が、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信することにより、手順S8において稼働中の小規模出動拠点5が発報情報を受信し、異常報知機器53によって当該設備機器の異常を内部に報知するので、小規模出動拠点5で待機する出動可能な作業者が当該設備機器の異常を知ることができ、当該設備機器の復旧作業における実行性を高めることができる。また、手順S10において大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、小規模出動拠点5からの応答があった旨を専用表示装置42に表示して報知するので、小規模出動拠点5の作業者が当該設備機器の復旧作業を行うことを即座に確認することができる。
【0038】
一方、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段が、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働していないことを確認した場合には、小規模出動拠点5へ発報情報を送信せずに異常報知機器43によって当該設備機器の異常を内部に報知することにより、手順S12において大規模出動拠点4で待機する作業者が当該設備機器の異常を把握して当該設備機器の復旧作業を早期に行うことができる。このように、出動可能な作業者が待機する小規模出動拠点5が稼働中であるか否かに拘わらず、建物内の設備機器の異常に対処する作業者に対して発報情報を迅速に伝達することができ、円滑な監視システムの運用を実現することができる。
【0039】
また、本実施形態は、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、監視センタ3から発報情報を受信し、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によって稼働中の小規模出動拠点5へ発報情報を送信すると共に、情報提供手段45によって当該小規模出動拠点5の事務用パソコン52へ機器情報を送信することにより、手順S8において異常報知機器53から当該設備機器の異常を知った小規模出動拠点5の作業者が事務用パソコン52に表示された当該設備機器の機器情報を参照して当該設備機器の復旧作業を行うことができるので、当該設備機器の異常に対して適切に対応することができる。これにより、復旧作業にかかる時間を削減することができ、作業効率を高めることができる。
【0040】
また、本実施形態は、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段は、監視センタ3から発報情報を受信し、小規模出動拠点管理手段442によって小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合であっても、手順S9において仮に事務用パソコン52の登録手段によって作業者の登録が行われなかったことを確認した場合には、異常報知機器43によって建物内の設備機器の異常を内部に報知することにより、発報情報の伝達漏れを防ぐと共に、大規模出動拠点4又は小規模出動拠点5で待機する作業者が当該設備機器の異常に確実に対応することができる。
【0041】
また、本実施形態は、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段が、監視センタ3から発報情報を受信し、小規模出動拠点管理手段442によって複数の小規模出動拠点5のうち、手順S6において特定された小規模出動拠点5が稼働中であることを確認した場合には、送信手段によってこれらの稼働中の小規模出動拠点5のうち、例えば当該設備機器が設置された建物から最も近い小規模出動拠点5へ発報情報を送信することにより、当該設備機器の作業を行うのに適した作業者を最短で当該建物へ出動させることができるので、復旧作業を早期に開始することができる。一方、手順S7において大規模出動拠点4の発報情報対応手段が、監視センタ3から発報情報を受信し、小規模出動拠点管理手段442によって当該小規模出動拠点5が稼働していないことを確認した場合には、異常報知機器43によって小規模出動拠点5よりも多くの作業者が待機する大規模出動拠点4の作業者が当該設備機器の異常を知ることができるので、当該設備機器の復旧作業を行う作業者を容易に確保することができる。これにより、信頼性の高いサービスを実現することができる。
【符号の説明】
【0042】
3 監視センタ
31 端末通信装置
32 表示操作装置
33 制御部
34 配信装置
35 記憶装置
351 監視端末管理手段
352 大規模出動拠点管理手段
4 大規模出動拠点(第2の出動拠点)
41 通信装置
42 専用表示装置
43 異常報知機器(第2の異常報知機器)
44 記憶装置
441 監視端末管理手段
442 小規模出動拠点管理手段(出動拠点管理手段)
443 発報情報管理手段
45 情報提供手段
5 小規模出動拠点(第1の出動拠点)
51 通信装置
52 事務用パソコン(情報表示手段)
53 異常報知機器(第1の異常報知機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置され、前記建物内の設備機器を監視する監視端末と、この監視端末に接続され、前記監視端末から前記建物内の前記設備機器の異常の有無を受信して遠隔的に監視する監視センタと、前記建物内の前記設備機器の異常を知らせる発報情報を受信し、前記建物内の前記設備機器の復旧作業を行う出動の拠点となる第1及び第2の出動拠点とを備えた遠隔監視システムにおいて、
前記第1の出動拠点は、
前記発報情報を受信した場合に、前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する第1の異常報知機器を有し、
前記第2の出動拠点は、
前記第1の出動拠点が稼働しているかどうかを管理する出動拠点管理手段と、
前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信する送信手段と、
前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する第2の異常報知機器と、
前記監視センタから前記発報情報を受信した後に前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合に、前記送信手段によって稼働中の前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信し、前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働していないことを確認した場合に、前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信せずに前記第2の異常報知機器によって前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知する発報情報対応手段とを有することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記第1の出動拠点は前記第2の出動拠点から受信した情報を表示する情報表示手段を有し、
前記第2の出動拠点の前記発報情報対応手段は、
異常が発生した前記建物内の前記設備機器に関する機器情報を提供する情報提供手段を有し、前記監視センタから前記発報情報を受信した後に前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合に、前記送信手段によって稼働中の前記第1の出動拠点へ前記発報情報を送信すると共に、前記情報提供手段によって当該第1の出動拠点へ前記機器情報を送信することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記第1の出動拠点の前記情報表示手段は、前記第2の出動拠点に対して当該設備機器の復旧作業を行う作業者を登録する登録手段を有し、
前記第2の出動拠点の前記発報情報対応手段は、
前記出動拠点管理手段によって前記第1の出動拠点が稼働中であることを確認した場合であっても、前記情報表示手段の前記登録手段によって前記作業者の登録が行われなかったことを確認した場合には、前記第2の異常報知機器によって前記建物内の前記設備機器の異常を内部に報知することを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の遠隔監視システムにおいて、
前記第1の出動拠点は、前記第2の出動拠点よりも小規模に設定された複数の小規模出動拠点から成り、
前記第2の出動拠点は、前記各小規模出動拠点よりも大規模に設定され、前記複数の小規模出動拠点を管轄する大規模出動拠点とから成ることを特徴とする遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−221411(P2012−221411A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89271(P2011−89271)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】