遠隔駆動の回転ヘッド形デュアルステージアクチュエータ
【課題】圧電変換器(PZT)の駆動による回転運動をタングに伝えることができるデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置を提供する。
【解決手段】デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、遠隔配置形の圧電変換器と、少なくとも1つの駆動柱を備えている。この駆動柱は、前記圧電変換器を支持する非対称形増幅構造とスライダを支持するタングとをつないでいる。圧電変換器の動きが非対称形増幅構造によって増幅されるとともに、前記駆動柱によってタングとスライダとに回転運動が生じる。複数の駆動柱は、前記非対称形増幅構造の両側部と前記タングの両側部とをつなぐ。これにより、前記タングは、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに回転する。
【解決手段】デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、遠隔配置形の圧電変換器と、少なくとも1つの駆動柱を備えている。この駆動柱は、前記圧電変換器を支持する非対称形増幅構造とスライダを支持するタングとをつないでいる。圧電変換器の動きが非対称形増幅構造によって増幅されるとともに、前記駆動柱によってタングとスライダとに回転運動が生じる。複数の駆動柱は、前記非対称形増幅構造の両側部と前記タングの両側部とをつなぐ。これにより、前記タングは、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに回転する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デュアルステージ形マイクロアクチュエータ(Dual-stage microactuator)に係り、特に、遠隔配置形の圧電変換器(PZT)を有するマイクロアクチュエータと、PZTの動きを増大させてマイクロアクチュエータのヘッドのタングにディンプル回りの回転を生じさせる増幅構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置に使用されるデュアルステージ形マイクロアクチュエータは、データが記録されたディスク面上のトラック間で読取り/書込みヘッドを移動させるための2つの駆動域を備えている。ヘッドの先端すなわちスライダの微小な動きは、例えばジルコンチタン酸鉛などからなる圧電変換器(PZT)を有する機構によってなされるのが通例である。(例えば特許文献1,2参照)
PZTの動きがスライダの動きに変換され、ディスク面上のトラックを横切る方向の微小な動きに変換されるため、トラック間の距離をさらに狭めることおよびディスク面により多くのデータを記録することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−50140号公報
【特許文献2】特開2011−216160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらPZTの動きや、PZTの動きをスライダに伝えるための機構はマイクロアクチュエータに振動を発生させる原因ともなり、そのことはヘッドがトラック間を移動する動作の遅れを生じさせる。もしもヘッドがトラックを正しく読取ることができないとしたら、正しいトラックを読取ることができるまでディスクの記録面がさらに回転するまで待たなければならない。この待ち時間は、ハードディスク装置におけるデータの読取りおよび書込み速度を遅くする原因となり、ひいてはコンピュータ処理全体を遅らせることになる。また、前記振動と移動は、ヘッドから離れたPZTからマイクロアクチュエータのベース部分に伝わるため、ハードディスク装置の読取り/書込み速度をさらに遅らせることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、遠隔配置形の圧電変換器(PZT)と、PZTを支持する非対称形増幅構造とスライダを支持するタングとを接続する少なくとも1つの駆動柱とを有し、非対称形増幅構造を介して伝わるPZTの動きがこの非対称形増幅構造によって増幅されるとともに、少なくとも1つの駆動柱がタングとスライダとを回転させる。複数の駆動柱は、非対称形増幅構造の両側部とタングの両側部とを結合する。このことにより、このタングは、ロードビームのディンプルと接するタング中央部を中心に回転することができる。
【0006】
この発明の1つの実施形態に係るデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドと、前記左側のPZT取付パッドをタングの左部に固定する第1の駆動柱と、前記右側のPZT取付パッドをタングの右部に固定する第2の駆動柱と、前記非対称形増幅構造の中間部をタングの中間部に接続するタング枢支部とを有している。
【0007】
前記非対称形増幅構造は、前記PZTの駆動による回転運動をタングに伝えるものであってもよい。
前記非対称形増幅構造の回転運動は、タングをロードビームのディンプルと接するタング中央部回りに回転させてもよい。
【0008】
前記非対称形増幅構造は、このジンバル装置を横切る横方向(左右方向)に配置されていてもよい。
【0009】
前記第1の駆動柱が左側のPZT取付パッドとタングの左側の下縁とをつなぎ、かつ、前記第2の駆動柱が右側のPZT取付パッドとタングの右側の下縁とをつないでもよい。
【0010】
前記第1の駆動柱が左側のPZT取付パッドとタングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が右側のPZT取付パッドとタングの左右方向の右縁とをつなぐようにしてもよい。
【0011】
前記スライダとPZTは、それぞれタングと前記非対称形増幅構造に対して、ジンバル装置の同じ側に装着されていてもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態に係るデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドと、前記非対称形増幅構造の中間部をタングの中間部に接続するタング枢支部と、左側のPZT取付パッドをジンバル装置のベース部に接続する第1のPZT支持柱と、右側のPZT取付パッドをジンバル装置の前記ベース部に接続する第2のPZT支持柱と、ジンバル装置の前記ベース部の左側部と前記タングの左部とをつなぐ第1の安定支柱と、ジンバル装置の前記ベース部の右側部と前記タングの右部とをつなぐ第2の安定支柱とを備えている。
【0013】
さらに本発明の他の実施形態のデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッドと、前記上側のPZT取付パッドと前記下側のPZT取付パッドとの間に配置された中央支持部と、前記中央支持部の左部を前記タングの左部に接続する第1の駆動柱と、前記中央支持部の右部を前記タングの右部に接続する第2の駆動柱とを有し、前記下側のPZT取付パッドがこのジンバル装置のベース部をなしている。
【0014】
前記第1の駆動柱が前記中央支持部の左部と前記タングの左右方向の左縁に接続され、前記第2の駆動柱が前記中央支持部の右部と前記タングの左右方向の右縁に接続されてもよい。
【0015】
さらに本発明に係る他の観点については、後に述べる説明の一部から明らかにされるかあるいは本発明の実施形態により明らかとなる。また本発明の種々の特徴は、後述する詳細な記載や添付の特許請求の範囲に明白に指摘された要素やこれら要素の組合わせあるいは従属請求項などから明らかとなる。
【0016】
また、前述した記載や後述する記載が単なる一例であって、本発明を限定することを何ら意図していないことは言うまでもない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電変換器(PZT)の駆動によって生じる回転運動をタングとスライダに伝えることができるデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
この明細書の一部を構成している添付図面は、この発明の好適な実施形態を図示しているとともに、前述した概略的な記載および以下の好適な実施形態の詳細な記載と協働して、発明の本質を説明するために寄与する。
【図1】タングやPZT支持構造、駆動柱、タング枢支部を有する1つの実施形態に係るジンバル装置を上方から見た平面図。
【図2】図1に示された本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置において圧電変換器(PZT)やスライダを示す底面図。
【図3A】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の上面側の斜視図。
【図3B】PZTとスライダとを備えた本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の底面側の斜視図。
【図4A】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のスライダとPZTの位置を示す側面図。
【図4B】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のタングと、このタングに接するロードビームのディンプル等を示す側面図。
【図5】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の層構造やPZTとスライダの位置およびロードビームとディンプルを示す分解斜視図。
【図6】本発明の1つの実施形態に係る2つのPZT支持パッドのオフセット配置によって得られる非対称形PZT支持構造の斜視図。
【図7】本発明の1つの実施形態に係るディンプル回りのタングの回転を示す底面図。
【図8】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のディンプル回りの移動量の大きさを歪みの程度に対応した濃淡で表わした図。
【図9】本発明の1つの実施形態に係るPZTによって駆動されたタングの移動量の大きさを歪みの程度に対応した濃淡で表わした図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るジンバル装置の駆動柱の位置の他の例を示す平面図。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係る縦配置形PZT構造とPZTを備えたジンバル装置を示す平面図。
【図12】図11に示された縦配置形PZT構造のPZTと駆動柱との移動を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に述べる実施形態は、当業者が実施する上で添付の図面によって十分に開示されている。この発明を実施する上での種々の構成の変形例は、本発明を逸脱しない範囲でなすことが可能である。よって以下に述べる詳細な説明は、発明の概念を限定するものではない。
【0020】
以下に、遠隔駆動回転ヘッド形のデュアルステージ形マイクロアクチュエータのサスペンション、特にヘッドジンバル装置(HGA)について説明する。1つの実施形態のHGAは、マイクロアクチュエータヘッドのスライダとタングに作用する歪力(stress)を軽減するためにスライダから離れた位置に設けられた1つの圧電変換器(PZT)を含んでいる。スライダとタングを遠隔配置形PZTと共に移動させるために、PZT取付構造がタングに結合されかつPZTの動きを増幅させるための増幅構造として機能する一対の駆動柱が設けられている。PZT取付構造は、PZTの動きを増幅させるために、非対称形となるように構成されている。
【0021】
PZT支持構造の位置および形状と前記駆動柱とは、近接するロードビームのディンプルと接するタング中央部を中心とするタングの回転を増幅させるための動きを作り出す。このため、タングとディンプルに生じる摩耗と脆弱が減少するとともに、マイクロアクチュエータのサスペンションにおける反力が最小化する。PZTの位置がタングとスライダから離れているため、タングの重さが小さくなり、かつ、スライダのエアベアリング面(ABS)の変形の可能性が防止され、より小さな力でタングの微小な動きを得ることが可能となる。このPZTはHGAのスライダと同じ側に配置されていてもよい。その場合、製造の容易化と、ハードディスク装置のディスク面に適合する薄いHGAを提供できる。さらに、前記駆動柱によってPZTの動きを増幅させるため、必要な動きを生じるためにPZTに要求される力を減少させ、よって、PZTに必要な電力を減らすとともに、PZTの強度と安定性を増加させる。
【0022】
[1.ジンバルヘッド装置の概略]
図1は、1つの実施形態に係るジンバル装置100を上から見た平面図である。このジンバル装置100は、スライダ104が取付けられたタング102を含んでいる。スライダ104は、図2と図3Bと図4Aに明示されているように、ジンバル装置100の下側に取付けられている。タング102から離れた位置に、PZT106が取付けられたPZT取付構造105が設けられている。スライダ104と同様に、前記PZTは、図2と図3Bと図4Aに明示されているように、ジンバル装置100の下側に位置している。この実施形態では、PZT取付構造105は、ジンバル装置100を横切るように左右方向(幅方向)に配置されている。PZT取付構造105は、中央支持部108を含んでいてもよい。中央支持部108は、第1のPZT取付パッド(first PZT mounting pad)110と第2のPZT取付パッド112とに結合されている。これらのパッドは、それぞれ中央支持部108に対して互いに逆方向に延びている。これらPZT取付パッドは、PZT106の両端においてPZT106に直接取付けられている。図1や図6に示されるように、PZT取付構造105は、PZT取付パッド110,112が中央支持部108に対し非対称形に延びるように設けられている。
【0023】
それぞれのPZT取付パッド110,112は、駆動柱を介してタングに接続されている。駆動柱は、PZTの動きを増幅させてタングの動きに伝達し、その結果、スライダを動かす。図1に示されるように、第1の駆動柱114と第2の駆動柱116がジンバル装置100の両側に配置され、それぞれのPZT第1取付パッド110,112をタング102に接続されている。前記駆動柱は、後に詳しく説明するように、PZT第1取付パッド110,112の動きを増幅してタング102に伝達する。ジンバル装置100には、PZT取付構造105の中央支持部108をタング102の前端中央縁に接続するタング枢支部118が設けられている。図1に示す外側リング120は、該装置に設けられたスライダ104の先端の読取り/書込み用の素子に接続される配線を含んでいる。
【0024】
図2は、図1に示されたジンバル装置100を底面側から見た図であり、ジンバル装置の下面を示している。スライダ104とPZT106とがジンバル装置の下面側に配置された状態を見ることができる。図3Aは、ジンバル装置の上面側を示す斜視図であり、図3Bは、ジンバル装置の下面側を示す斜視図である。図4Aは、ジンバル装置100の側面図を表わしており、スライダ104とPZT106のそれぞれの位置も示されている。図4Bに示す1つの実施形態では、ディンプル124を有するロードビーム122のすぐ下にジンバル装置100が配置されている。ディンプル124の先端はジンバル装置100に接する。
【0025】
PZT106がタング102とスライダ104から離れた位置にあるため、タングが支持する重量が軽減され、これにより、動作中のタングの振動が減少し、かつ、ディンプル124を介してロードビーム122に伝わる振動と移動も減少する。同様に、タング102から離れた位置にPZT106を有しているため、スライダ104に入力した衝撃が、脆いPZT106に直接伝わることを回避できる。一般にPZT106は、薄くて壊れやすいセラミック材料からなるが、本実施形態によればPZT106が構造的破損を生じる危険を減らすことができる。また、図4Aに示すようにPZT106がスライダ104から離れているため、PZT106とスライダ104を同じ側に配置することが可能となる。このためPZTとスライダとを重ねた場合と比較して、HGAを製造する際の複雑さを減らすことができ、かつ、より薄いHGAを得ることができる。HGAが薄くなれば、ハードディスク装置内の複数のディスク面間にHGAを配置することが容易となる。これに対し、タングの下にPZTとスライダとを重ねると、スライダがトラックから外れる原因となるねじり振動の問題が生じる。
【0026】
図5は、ジンバル装置100を構成する複数の層構造とその周辺部品を表わした分解図を示している。1つの実施形態では、これらの層はステンレス鋼の層126と、電気絶縁層128と、回路層130と、カバープレート132とを含んでいる。半田等の接合部134は、スライダ104と回路層130の配線との電気的な接続をなしている。また図5は、ロードビーム122とディンプル124に対するジンバル装置100の位置関係を示している。線分Aで示されるように、ディンプル124は、タング102の上面と接するように位置している。図5に示すジンバル装置の分解図では、理解しやすいように上下関係が逆に表わされている。1つの実施形態では、スライダ104をタング102に取付けるために接着材136が設けられている。
【0027】
[2.PZT取付構造について]
図6は、PZT取付パッド110,112に作用する非対称形の力を示している。PZT取付構造105は、非対称形増幅構造として機能する。このPZT取付構造105は、PZTの動きを増幅して回転運動に変化し、この回転運動は駆動柱を介してタングに伝達される。それぞれの取付パッドは、第1の連結腕138と第2の連結腕140とによって中央支持部108に接続されている。これらの連結腕138,140は、中央支持部108から互いに反対方向に延びている。特に連結腕138,140は、中央支持部108に対してオフセット距離142を有して互いに反対方向に延びている。すなわち第1の連結腕138は、横配置形PZT106の長手方向(図1において左右方向)に沿う中心軸に対して中央支持部108の左下の側部から第1のPZT取付パッド110に向かって延出し、第2の連結腕140は、前記中心軸に対して中央支持部108の右上の側部から第2のPZT取付パッド112に向かって延出している。このオフセット距離142によって、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT取付構造105が得られており、PZT106がPZT取付パッド110,112に取付けられた状態において、PZTが横方向(左右方向)に動くことにより、図7に矢印144で示すような回転運動が生じる。
【0028】
前記回転運動144は、図7に矢印146で示されるように、駆動柱114,116を経て、タング102の回転運動へと伝わる。タング102が回転すると、矢印Aで示すタングの横方向の動きが得られる。この横方向の動きは、タング102とこのタング102に固定されているスライダ104の変位148を引き起こす。この変位は、スライダ104から延びる線分間の距離148で表される。この横方向の動きは、デュアルステージ形マイクロアクチュエータに必要な微小量であるから、高記録密度化されてトラック幅が大変狭くなっているディスク面のトラックをスライダ104が読取ることを可能にする。
【0029】
矢印144,146で示した回転方向と横方向に関する動きの方向は、固定されたものではない。PZT106は電圧によって駆動されるから、PZT106が延びるときに矢印144で示されるように一方向への回転を生じる。しかし電圧の印加が終わると、PZT106が縮むため、矢印144とは逆方向の回転を生じる。これにより、矢印146とは反対方向のタングの回転運動が生じ、かつ、この図に示された変位148とは反対側の矢印Bで示す方向へのタングの横方向の動きが生じる。マイクロアクチュエータが駆動される間は、スライダ104がディスク面上で所望の動きをなすために必要な電圧の印加と停止とが行なわれる。
【0030】
図8は、図7によって説明した回転運動を生じるジンバル装置100の各部を移動量と歪みの大きさに応じて互いに異なる濃さの濃淡で表わした図である。濃淡の明るい箇所は移動量が大きい部分を表わしている。これに対し濃淡の濃い箇所は移動が少ない部分であり、黒い領域は実質的に全く動かない部分を示している。図8に示されるように、明るい領域は、スライダ104と外側リング120とが配置されているジンバル装置100の主として上部に現われている。さらに、濃淡の明るい領域で表わされたジンバル装置100の支持構造150の動きが見られるが、そこはPZT支持構造とタング102とがジンバル装置のベース部152つまりロードビーム122に取付けられるフレキシャの根元部分である。この支持構造150はPZT106の動きがロードビーム122とマイクロアクチュエータの他の部分(図示せず)に伝わることを抑制する。
【0031】
[3.駆動柱について]
PZT106によって発生した回転運動がPZT106の中央であるX点が中心となることも重要である。駆動柱114,116によって伝達されるPZT106の動きがタング102とスライダ104の回転運動146を生じさせる。なお、図8において、タング102はスライダ104の後に隠れている。タング102の回転運動146は、タング102の中央部であるY点回りに生じる。その箇所は、図4Bに示されるように、タング102とロードビームのディンプル124とが接する位置に関連している。言い換えると、タング102は、ディンプル124を中心に回転する。このようにディンプル124を中心としてタング102が回転するため、タング102とディンプル124との間の動きによって生じる歪みと摩擦とが低減され、双方の部品の摩耗が減少し、かつ、摩擦によって温度が上昇することも回避される。しかもディンプルを中心とする回転は、ロードビーム122やサスペンション全体に伝わる反力を減らすことにもなる。
【0032】
図9は、PZT106によって駆動されるタング102の動きの程度を歪みの大きさとして表わした図である。図8と同様に、移動量が大きい部分ほど、濃淡が明るく表わされている。この図において、タング102の外側の端部154の動きは、濃淡の濃い部分と比較して十分大きい。図9は、駆動柱114,116によって増幅された動きを示している。タング102の動きは、PZT106自体の動きよりも大であり、支持構造150とベース部152を含むジンバル装置100の残りの部分の動きは、無視できる程度に小さい。
【0033】
駆動柱114,116によってPZTの動きを増幅できるということは、PZTがタングまたはスライダに直接あるいはそれらの近傍に取付けられているものと比較して、タング102の十分な動きを得るために必要なPZT106の動きが少なくてすむことも意味する。このためタング102を十分移動させるためにPZT106に印加する電圧を少なくすることができる。与える電圧を低くすることができるということは、ハードディスク装置を作動させるのに必要な電力を減らすことができるという長所につながるとともに、脆く壊れやすいPZT106が長期間にわたって大きく動いたり大きな電圧が印加され続くことが回避されるため、PZT106の長寿命化につながる。
【0034】
図9は、駆動柱114,116がタング102に対して前記実施形態(図1参照)とは異なる位置に接続された例を示している。図1では、駆動柱114,116がタング枢支部118の近傍のタング102の下端に接続されている。これに対し図9に示す実施形態では、駆動柱114,116がタング102の横方向(左右方向)の側部に接続されている。タング102に対する駆動柱114,116の接続位置が変わると、タング102の移動量が変化する。駆動柱がタングの下端の中央(そこにはタング枢支部が位置している)に近付くと、タングの移動量が大きくなる。同様に、駆動柱がタングの下端の中央からさらに離れと、タングの移動量は小さくなる。よって、駆動柱の位置については、所定の電圧がPZTに印加されたときのスライダの所望の移動量に応じて、適宜選択される。例えば、仕様に応じて微小な移動量が望まれる場合もあるし、低電圧でも大きな移動量が望まれる場合もある。
【0035】
[4.タング枢支部について]
タング枢支部118は、タング102の中央領域をつなぎかつタング102がディンプル124を中心にY点回りに回転することが促進されるように設計される。図9に示すタング枢支部118は、駆動柱114,116によって生じるディンプル回りの回転運動がより確実なものとなるようにタング102をつないでいる。タング枢支部118は、図9において濃淡の濃い部分で示されるように、実質的にほとんど動かない箇所である。このためタング102に与えられた動きは、タング枢支部118によって、ディンプル124とタング102とが接するタング中央のY点付近において、つなぎ止められている。
【0036】
図10は、さらに他の実施形態に係るジンバル装置100を示しており、駆動柱114,116の位置が変更されている。この実施形態においては、駆動柱114,116に対して、PZT取付パッド110,112の動きがタング枢支部118を介して増幅されてタング102に伝達される。タング枢支部118は、タングの中間部とPZT支持構造の中央支持部108とをつないでいる。駆動柱114,116は、タング102とベース部152とをつなぐことにより、タング102のための安定支柱あるいは横方向のアンカー部として機能し、中央枢支部118の動きの結果としてY点回りの回転運動を促す。この実施形態では、左側のPZT取付パッド110と中央支持部108の左側部とをつなぐ一方の連結腕と、右側のPZT取付パッド112と中央支持部108の右側部とをつなぐ他方の連結腕とが、横配置形のPZT106の幅方向(図10において上下方向)にオフセット距離を有して互いに反対方向に延びている。このオフセット距離により、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT支持構造が保たれ、かつ、各PZT取付パッド110,112が第1のPZT支持柱156と第2のPZT支持柱158とによってベース部152に接続されている。PZT支持柱156,158は、増幅される動きに対してPZT取付パッドを支持している。
【0037】
[5.縦配置形のPZTについて]
図11はさらに他の実施形態に係るジンバル装置100を示している。このジンバル装置100は縦配置形(垂直配置形)のPZT106と、ジンバル装置を横切る長手方向に配置されたPZT支持構造とを備えている。この実施形態では、PZT取付パッド110,112は縦方向に配置され、PZT中央支持部108はジンバル装置100を横切る水平方向の棒のように配置されている。駆動柱114,116は中央支持部108を介して、PZT支持構造とタング102とをつないでいる。第1の駆動柱114は中央支持部108の左端160から延び、第2の駆動柱116は中央支持部108の右端162から延びている。そして第2のPZT取付パッド112がベース部152をなしている。この実施形態の場合、上側のPZT取付パッド110と中央支持部108の上部とをつなぐ一方の連結腕と、下側のPZT取付パッド112と中央支持部108の下部とをつなぐ他方の連結腕とが、縦配置形のPZT106の幅方向(図11において左右方向)にオフセット距離を有して互いに反対方向に延びている。このオフセット距離により、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT支持構造が得られている。
【0038】
図12に示されるように、縦方向配置形PZT106を有する図11の実施形態では、PZT106の回転運動を生じるのに有効である。そのPZT106は、駆動時に縦方向に長さが増加するため、支持されていないPZT取付パッド110のみを移動させることになり、そのことは矢印164で示すように中央支持部108に回転運動を生じさせる。中央支持部108が2点鎖線166で示すように回転し、この回転運動によって駆動柱114,116が矢印168,170で示す方向に動く。前記駆動柱は、タング102の横方向(左右方向)の縁に連結されていて、タング102とディンプル124との接触点であるY点を中心とするタング102の回転運動を生じさせる。タング102の回転運動は、タング102とスライダ104に矢印Bで示す横方向の動き172を生じさせる。
【符号の説明】
【0039】
100…ジンバル装置、102…タング、104…スライダ、105…PZT取付構造、106…圧電変換器(PZT)、108…中央支持部、110…第1のPZT取付パッド、112…第2のPZT取付パッド、114…第1の駆動柱、116…第2の駆動柱、118…タング枢支部、122…ロードビーム、124…ディンプル、152…ベース部、156…第1のPZT支持柱、158…第2のPZT支持柱。
【技術分野】
【0001】
この発明は、デュアルステージ形マイクロアクチュエータ(Dual-stage microactuator)に係り、特に、遠隔配置形の圧電変換器(PZT)を有するマイクロアクチュエータと、PZTの動きを増大させてマイクロアクチュエータのヘッドのタングにディンプル回りの回転を生じさせる増幅構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置に使用されるデュアルステージ形マイクロアクチュエータは、データが記録されたディスク面上のトラック間で読取り/書込みヘッドを移動させるための2つの駆動域を備えている。ヘッドの先端すなわちスライダの微小な動きは、例えばジルコンチタン酸鉛などからなる圧電変換器(PZT)を有する機構によってなされるのが通例である。(例えば特許文献1,2参照)
PZTの動きがスライダの動きに変換され、ディスク面上のトラックを横切る方向の微小な動きに変換されるため、トラック間の距離をさらに狭めることおよびディスク面により多くのデータを記録することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−50140号公報
【特許文献2】特開2011−216160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらPZTの動きや、PZTの動きをスライダに伝えるための機構はマイクロアクチュエータに振動を発生させる原因ともなり、そのことはヘッドがトラック間を移動する動作の遅れを生じさせる。もしもヘッドがトラックを正しく読取ることができないとしたら、正しいトラックを読取ることができるまでディスクの記録面がさらに回転するまで待たなければならない。この待ち時間は、ハードディスク装置におけるデータの読取りおよび書込み速度を遅くする原因となり、ひいてはコンピュータ処理全体を遅らせることになる。また、前記振動と移動は、ヘッドから離れたPZTからマイクロアクチュエータのベース部分に伝わるため、ハードディスク装置の読取り/書込み速度をさらに遅らせることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、遠隔配置形の圧電変換器(PZT)と、PZTを支持する非対称形増幅構造とスライダを支持するタングとを接続する少なくとも1つの駆動柱とを有し、非対称形増幅構造を介して伝わるPZTの動きがこの非対称形増幅構造によって増幅されるとともに、少なくとも1つの駆動柱がタングとスライダとを回転させる。複数の駆動柱は、非対称形増幅構造の両側部とタングの両側部とを結合する。このことにより、このタングは、ロードビームのディンプルと接するタング中央部を中心に回転することができる。
【0006】
この発明の1つの実施形態に係るデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドと、前記左側のPZT取付パッドをタングの左部に固定する第1の駆動柱と、前記右側のPZT取付パッドをタングの右部に固定する第2の駆動柱と、前記非対称形増幅構造の中間部をタングの中間部に接続するタング枢支部とを有している。
【0007】
前記非対称形増幅構造は、前記PZTの駆動による回転運動をタングに伝えるものであってもよい。
前記非対称形増幅構造の回転運動は、タングをロードビームのディンプルと接するタング中央部回りに回転させてもよい。
【0008】
前記非対称形増幅構造は、このジンバル装置を横切る横方向(左右方向)に配置されていてもよい。
【0009】
前記第1の駆動柱が左側のPZT取付パッドとタングの左側の下縁とをつなぎ、かつ、前記第2の駆動柱が右側のPZT取付パッドとタングの右側の下縁とをつないでもよい。
【0010】
前記第1の駆動柱が左側のPZT取付パッドとタングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が右側のPZT取付パッドとタングの左右方向の右縁とをつなぐようにしてもよい。
【0011】
前記スライダとPZTは、それぞれタングと前記非対称形増幅構造に対して、ジンバル装置の同じ側に装着されていてもよい。
【0012】
本発明の他の実施形態に係るデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドと、前記非対称形増幅構造の中間部をタングの中間部に接続するタング枢支部と、左側のPZT取付パッドをジンバル装置のベース部に接続する第1のPZT支持柱と、右側のPZT取付パッドをジンバル装置の前記ベース部に接続する第2のPZT支持柱と、ジンバル装置の前記ベース部の左側部と前記タングの左部とをつなぐ第1の安定支柱と、ジンバル装置の前記ベース部の右側部と前記タングの右部とをつなぐ第2の安定支柱とを備えている。
【0013】
さらに本発明の他の実施形態のデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置は、スライダが装着されるタングと、圧電変換器(PZT)が装着される非対称形増幅構造とを具備し、この非対称形増幅構造は、上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッドと、前記上側のPZT取付パッドと前記下側のPZT取付パッドとの間に配置された中央支持部と、前記中央支持部の左部を前記タングの左部に接続する第1の駆動柱と、前記中央支持部の右部を前記タングの右部に接続する第2の駆動柱とを有し、前記下側のPZT取付パッドがこのジンバル装置のベース部をなしている。
【0014】
前記第1の駆動柱が前記中央支持部の左部と前記タングの左右方向の左縁に接続され、前記第2の駆動柱が前記中央支持部の右部と前記タングの左右方向の右縁に接続されてもよい。
【0015】
さらに本発明に係る他の観点については、後に述べる説明の一部から明らかにされるかあるいは本発明の実施形態により明らかとなる。また本発明の種々の特徴は、後述する詳細な記載や添付の特許請求の範囲に明白に指摘された要素やこれら要素の組合わせあるいは従属請求項などから明らかとなる。
【0016】
また、前述した記載や後述する記載が単なる一例であって、本発明を限定することを何ら意図していないことは言うまでもない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧電変換器(PZT)の駆動によって生じる回転運動をタングとスライダに伝えることができるデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
この明細書の一部を構成している添付図面は、この発明の好適な実施形態を図示しているとともに、前述した概略的な記載および以下の好適な実施形態の詳細な記載と協働して、発明の本質を説明するために寄与する。
【図1】タングやPZT支持構造、駆動柱、タング枢支部を有する1つの実施形態に係るジンバル装置を上方から見た平面図。
【図2】図1に示された本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置において圧電変換器(PZT)やスライダを示す底面図。
【図3A】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の上面側の斜視図。
【図3B】PZTとスライダとを備えた本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の底面側の斜視図。
【図4A】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のスライダとPZTの位置を示す側面図。
【図4B】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のタングと、このタングに接するロードビームのディンプル等を示す側面図。
【図5】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置の層構造やPZTとスライダの位置およびロードビームとディンプルを示す分解斜視図。
【図6】本発明の1つの実施形態に係る2つのPZT支持パッドのオフセット配置によって得られる非対称形PZT支持構造の斜視図。
【図7】本発明の1つの実施形態に係るディンプル回りのタングの回転を示す底面図。
【図8】本発明の1つの実施形態に係るジンバル装置のディンプル回りの移動量の大きさを歪みの程度に対応した濃淡で表わした図。
【図9】本発明の1つの実施形態に係るPZTによって駆動されたタングの移動量の大きさを歪みの程度に対応した濃淡で表わした図。
【図10】本発明の他の実施形態に係るジンバル装置の駆動柱の位置の他の例を示す平面図。
【図11】本発明のさらに別の実施形態に係る縦配置形PZT構造とPZTを備えたジンバル装置を示す平面図。
【図12】図11に示された縦配置形PZT構造のPZTと駆動柱との移動を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に述べる実施形態は、当業者が実施する上で添付の図面によって十分に開示されている。この発明を実施する上での種々の構成の変形例は、本発明を逸脱しない範囲でなすことが可能である。よって以下に述べる詳細な説明は、発明の概念を限定するものではない。
【0020】
以下に、遠隔駆動回転ヘッド形のデュアルステージ形マイクロアクチュエータのサスペンション、特にヘッドジンバル装置(HGA)について説明する。1つの実施形態のHGAは、マイクロアクチュエータヘッドのスライダとタングに作用する歪力(stress)を軽減するためにスライダから離れた位置に設けられた1つの圧電変換器(PZT)を含んでいる。スライダとタングを遠隔配置形PZTと共に移動させるために、PZT取付構造がタングに結合されかつPZTの動きを増幅させるための増幅構造として機能する一対の駆動柱が設けられている。PZT取付構造は、PZTの動きを増幅させるために、非対称形となるように構成されている。
【0021】
PZT支持構造の位置および形状と前記駆動柱とは、近接するロードビームのディンプルと接するタング中央部を中心とするタングの回転を増幅させるための動きを作り出す。このため、タングとディンプルに生じる摩耗と脆弱が減少するとともに、マイクロアクチュエータのサスペンションにおける反力が最小化する。PZTの位置がタングとスライダから離れているため、タングの重さが小さくなり、かつ、スライダのエアベアリング面(ABS)の変形の可能性が防止され、より小さな力でタングの微小な動きを得ることが可能となる。このPZTはHGAのスライダと同じ側に配置されていてもよい。その場合、製造の容易化と、ハードディスク装置のディスク面に適合する薄いHGAを提供できる。さらに、前記駆動柱によってPZTの動きを増幅させるため、必要な動きを生じるためにPZTに要求される力を減少させ、よって、PZTに必要な電力を減らすとともに、PZTの強度と安定性を増加させる。
【0022】
[1.ジンバルヘッド装置の概略]
図1は、1つの実施形態に係るジンバル装置100を上から見た平面図である。このジンバル装置100は、スライダ104が取付けられたタング102を含んでいる。スライダ104は、図2と図3Bと図4Aに明示されているように、ジンバル装置100の下側に取付けられている。タング102から離れた位置に、PZT106が取付けられたPZT取付構造105が設けられている。スライダ104と同様に、前記PZTは、図2と図3Bと図4Aに明示されているように、ジンバル装置100の下側に位置している。この実施形態では、PZT取付構造105は、ジンバル装置100を横切るように左右方向(幅方向)に配置されている。PZT取付構造105は、中央支持部108を含んでいてもよい。中央支持部108は、第1のPZT取付パッド(first PZT mounting pad)110と第2のPZT取付パッド112とに結合されている。これらのパッドは、それぞれ中央支持部108に対して互いに逆方向に延びている。これらPZT取付パッドは、PZT106の両端においてPZT106に直接取付けられている。図1や図6に示されるように、PZT取付構造105は、PZT取付パッド110,112が中央支持部108に対し非対称形に延びるように設けられている。
【0023】
それぞれのPZT取付パッド110,112は、駆動柱を介してタングに接続されている。駆動柱は、PZTの動きを増幅させてタングの動きに伝達し、その結果、スライダを動かす。図1に示されるように、第1の駆動柱114と第2の駆動柱116がジンバル装置100の両側に配置され、それぞれのPZT第1取付パッド110,112をタング102に接続されている。前記駆動柱は、後に詳しく説明するように、PZT第1取付パッド110,112の動きを増幅してタング102に伝達する。ジンバル装置100には、PZT取付構造105の中央支持部108をタング102の前端中央縁に接続するタング枢支部118が設けられている。図1に示す外側リング120は、該装置に設けられたスライダ104の先端の読取り/書込み用の素子に接続される配線を含んでいる。
【0024】
図2は、図1に示されたジンバル装置100を底面側から見た図であり、ジンバル装置の下面を示している。スライダ104とPZT106とがジンバル装置の下面側に配置された状態を見ることができる。図3Aは、ジンバル装置の上面側を示す斜視図であり、図3Bは、ジンバル装置の下面側を示す斜視図である。図4Aは、ジンバル装置100の側面図を表わしており、スライダ104とPZT106のそれぞれの位置も示されている。図4Bに示す1つの実施形態では、ディンプル124を有するロードビーム122のすぐ下にジンバル装置100が配置されている。ディンプル124の先端はジンバル装置100に接する。
【0025】
PZT106がタング102とスライダ104から離れた位置にあるため、タングが支持する重量が軽減され、これにより、動作中のタングの振動が減少し、かつ、ディンプル124を介してロードビーム122に伝わる振動と移動も減少する。同様に、タング102から離れた位置にPZT106を有しているため、スライダ104に入力した衝撃が、脆いPZT106に直接伝わることを回避できる。一般にPZT106は、薄くて壊れやすいセラミック材料からなるが、本実施形態によればPZT106が構造的破損を生じる危険を減らすことができる。また、図4Aに示すようにPZT106がスライダ104から離れているため、PZT106とスライダ104を同じ側に配置することが可能となる。このためPZTとスライダとを重ねた場合と比較して、HGAを製造する際の複雑さを減らすことができ、かつ、より薄いHGAを得ることができる。HGAが薄くなれば、ハードディスク装置内の複数のディスク面間にHGAを配置することが容易となる。これに対し、タングの下にPZTとスライダとを重ねると、スライダがトラックから外れる原因となるねじり振動の問題が生じる。
【0026】
図5は、ジンバル装置100を構成する複数の層構造とその周辺部品を表わした分解図を示している。1つの実施形態では、これらの層はステンレス鋼の層126と、電気絶縁層128と、回路層130と、カバープレート132とを含んでいる。半田等の接合部134は、スライダ104と回路層130の配線との電気的な接続をなしている。また図5は、ロードビーム122とディンプル124に対するジンバル装置100の位置関係を示している。線分Aで示されるように、ディンプル124は、タング102の上面と接するように位置している。図5に示すジンバル装置の分解図では、理解しやすいように上下関係が逆に表わされている。1つの実施形態では、スライダ104をタング102に取付けるために接着材136が設けられている。
【0027】
[2.PZT取付構造について]
図6は、PZT取付パッド110,112に作用する非対称形の力を示している。PZT取付構造105は、非対称形増幅構造として機能する。このPZT取付構造105は、PZTの動きを増幅して回転運動に変化し、この回転運動は駆動柱を介してタングに伝達される。それぞれの取付パッドは、第1の連結腕138と第2の連結腕140とによって中央支持部108に接続されている。これらの連結腕138,140は、中央支持部108から互いに反対方向に延びている。特に連結腕138,140は、中央支持部108に対してオフセット距離142を有して互いに反対方向に延びている。すなわち第1の連結腕138は、横配置形PZT106の長手方向(図1において左右方向)に沿う中心軸に対して中央支持部108の左下の側部から第1のPZT取付パッド110に向かって延出し、第2の連結腕140は、前記中心軸に対して中央支持部108の右上の側部から第2のPZT取付パッド112に向かって延出している。このオフセット距離142によって、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT取付構造105が得られており、PZT106がPZT取付パッド110,112に取付けられた状態において、PZTが横方向(左右方向)に動くことにより、図7に矢印144で示すような回転運動が生じる。
【0028】
前記回転運動144は、図7に矢印146で示されるように、駆動柱114,116を経て、タング102の回転運動へと伝わる。タング102が回転すると、矢印Aで示すタングの横方向の動きが得られる。この横方向の動きは、タング102とこのタング102に固定されているスライダ104の変位148を引き起こす。この変位は、スライダ104から延びる線分間の距離148で表される。この横方向の動きは、デュアルステージ形マイクロアクチュエータに必要な微小量であるから、高記録密度化されてトラック幅が大変狭くなっているディスク面のトラックをスライダ104が読取ることを可能にする。
【0029】
矢印144,146で示した回転方向と横方向に関する動きの方向は、固定されたものではない。PZT106は電圧によって駆動されるから、PZT106が延びるときに矢印144で示されるように一方向への回転を生じる。しかし電圧の印加が終わると、PZT106が縮むため、矢印144とは逆方向の回転を生じる。これにより、矢印146とは反対方向のタングの回転運動が生じ、かつ、この図に示された変位148とは反対側の矢印Bで示す方向へのタングの横方向の動きが生じる。マイクロアクチュエータが駆動される間は、スライダ104がディスク面上で所望の動きをなすために必要な電圧の印加と停止とが行なわれる。
【0030】
図8は、図7によって説明した回転運動を生じるジンバル装置100の各部を移動量と歪みの大きさに応じて互いに異なる濃さの濃淡で表わした図である。濃淡の明るい箇所は移動量が大きい部分を表わしている。これに対し濃淡の濃い箇所は移動が少ない部分であり、黒い領域は実質的に全く動かない部分を示している。図8に示されるように、明るい領域は、スライダ104と外側リング120とが配置されているジンバル装置100の主として上部に現われている。さらに、濃淡の明るい領域で表わされたジンバル装置100の支持構造150の動きが見られるが、そこはPZT支持構造とタング102とがジンバル装置のベース部152つまりロードビーム122に取付けられるフレキシャの根元部分である。この支持構造150はPZT106の動きがロードビーム122とマイクロアクチュエータの他の部分(図示せず)に伝わることを抑制する。
【0031】
[3.駆動柱について]
PZT106によって発生した回転運動がPZT106の中央であるX点が中心となることも重要である。駆動柱114,116によって伝達されるPZT106の動きがタング102とスライダ104の回転運動146を生じさせる。なお、図8において、タング102はスライダ104の後に隠れている。タング102の回転運動146は、タング102の中央部であるY点回りに生じる。その箇所は、図4Bに示されるように、タング102とロードビームのディンプル124とが接する位置に関連している。言い換えると、タング102は、ディンプル124を中心に回転する。このようにディンプル124を中心としてタング102が回転するため、タング102とディンプル124との間の動きによって生じる歪みと摩擦とが低減され、双方の部品の摩耗が減少し、かつ、摩擦によって温度が上昇することも回避される。しかもディンプルを中心とする回転は、ロードビーム122やサスペンション全体に伝わる反力を減らすことにもなる。
【0032】
図9は、PZT106によって駆動されるタング102の動きの程度を歪みの大きさとして表わした図である。図8と同様に、移動量が大きい部分ほど、濃淡が明るく表わされている。この図において、タング102の外側の端部154の動きは、濃淡の濃い部分と比較して十分大きい。図9は、駆動柱114,116によって増幅された動きを示している。タング102の動きは、PZT106自体の動きよりも大であり、支持構造150とベース部152を含むジンバル装置100の残りの部分の動きは、無視できる程度に小さい。
【0033】
駆動柱114,116によってPZTの動きを増幅できるということは、PZTがタングまたはスライダに直接あるいはそれらの近傍に取付けられているものと比較して、タング102の十分な動きを得るために必要なPZT106の動きが少なくてすむことも意味する。このためタング102を十分移動させるためにPZT106に印加する電圧を少なくすることができる。与える電圧を低くすることができるということは、ハードディスク装置を作動させるのに必要な電力を減らすことができるという長所につながるとともに、脆く壊れやすいPZT106が長期間にわたって大きく動いたり大きな電圧が印加され続くことが回避されるため、PZT106の長寿命化につながる。
【0034】
図9は、駆動柱114,116がタング102に対して前記実施形態(図1参照)とは異なる位置に接続された例を示している。図1では、駆動柱114,116がタング枢支部118の近傍のタング102の下端に接続されている。これに対し図9に示す実施形態では、駆動柱114,116がタング102の横方向(左右方向)の側部に接続されている。タング102に対する駆動柱114,116の接続位置が変わると、タング102の移動量が変化する。駆動柱がタングの下端の中央(そこにはタング枢支部が位置している)に近付くと、タングの移動量が大きくなる。同様に、駆動柱がタングの下端の中央からさらに離れと、タングの移動量は小さくなる。よって、駆動柱の位置については、所定の電圧がPZTに印加されたときのスライダの所望の移動量に応じて、適宜選択される。例えば、仕様に応じて微小な移動量が望まれる場合もあるし、低電圧でも大きな移動量が望まれる場合もある。
【0035】
[4.タング枢支部について]
タング枢支部118は、タング102の中央領域をつなぎかつタング102がディンプル124を中心にY点回りに回転することが促進されるように設計される。図9に示すタング枢支部118は、駆動柱114,116によって生じるディンプル回りの回転運動がより確実なものとなるようにタング102をつないでいる。タング枢支部118は、図9において濃淡の濃い部分で示されるように、実質的にほとんど動かない箇所である。このためタング102に与えられた動きは、タング枢支部118によって、ディンプル124とタング102とが接するタング中央のY点付近において、つなぎ止められている。
【0036】
図10は、さらに他の実施形態に係るジンバル装置100を示しており、駆動柱114,116の位置が変更されている。この実施形態においては、駆動柱114,116に対して、PZT取付パッド110,112の動きがタング枢支部118を介して増幅されてタング102に伝達される。タング枢支部118は、タングの中間部とPZT支持構造の中央支持部108とをつないでいる。駆動柱114,116は、タング102とベース部152とをつなぐことにより、タング102のための安定支柱あるいは横方向のアンカー部として機能し、中央枢支部118の動きの結果としてY点回りの回転運動を促す。この実施形態では、左側のPZT取付パッド110と中央支持部108の左側部とをつなぐ一方の連結腕と、右側のPZT取付パッド112と中央支持部108の右側部とをつなぐ他方の連結腕とが、横配置形のPZT106の幅方向(図10において上下方向)にオフセット距離を有して互いに反対方向に延びている。このオフセット距離により、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT支持構造が保たれ、かつ、各PZT取付パッド110,112が第1のPZT支持柱156と第2のPZT支持柱158とによってベース部152に接続されている。PZT支持柱156,158は、増幅される動きに対してPZT取付パッドを支持している。
【0037】
[5.縦配置形のPZTについて]
図11はさらに他の実施形態に係るジンバル装置100を示している。このジンバル装置100は縦配置形(垂直配置形)のPZT106と、ジンバル装置を横切る長手方向に配置されたPZT支持構造とを備えている。この実施形態では、PZT取付パッド110,112は縦方向に配置され、PZT中央支持部108はジンバル装置100を横切る水平方向の棒のように配置されている。駆動柱114,116は中央支持部108を介して、PZT支持構造とタング102とをつないでいる。第1の駆動柱114は中央支持部108の左端160から延び、第2の駆動柱116は中央支持部108の右端162から延びている。そして第2のPZT取付パッド112がベース部152をなしている。この実施形態の場合、上側のPZT取付パッド110と中央支持部108の上部とをつなぐ一方の連結腕と、下側のPZT取付パッド112と中央支持部108の下部とをつなぐ他方の連結腕とが、縦配置形のPZT106の幅方向(図11において左右方向)にオフセット距離を有して互いに反対方向に延びている。このオフセット距離により、PZT106の長手方向に沿う中心軸に関して非対称形のPZT支持構造が得られている。
【0038】
図12に示されるように、縦方向配置形PZT106を有する図11の実施形態では、PZT106の回転運動を生じるのに有効である。そのPZT106は、駆動時に縦方向に長さが増加するため、支持されていないPZT取付パッド110のみを移動させることになり、そのことは矢印164で示すように中央支持部108に回転運動を生じさせる。中央支持部108が2点鎖線166で示すように回転し、この回転運動によって駆動柱114,116が矢印168,170で示す方向に動く。前記駆動柱は、タング102の横方向(左右方向)の縁に連結されていて、タング102とディンプル124との接触点であるY点を中心とするタング102の回転運動を生じさせる。タング102の回転運動は、タング102とスライダ104に矢印Bで示す横方向の動き172を生じさせる。
【符号の説明】
【0039】
100…ジンバル装置、102…タング、104…スライダ、105…PZT取付構造、106…圧電変換器(PZT)、108…中央支持部、110…第1のPZT取付パッド、112…第2のPZT取付パッド、114…第1の駆動柱、116…第2の駆動柱、118…タング枢支部、122…ロードビーム、124…ディンプル、152…ベース部、156…第1のPZT支持柱、158…第2のPZT支持柱。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドを有する非対称形増幅構造と、
前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左部とをつなぐ第1の駆動柱と、
前記右側のPZT取付パッドと前記タングの右部とをつなぐ第2の駆動柱と、
前記非対称形増幅構造の中間部と前記タングの中間部とをつなぐタング枢支部と、
を具備したことを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項2】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項3】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項2に記載のジンバル装置。
【請求項4】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る幅方向に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項5】
前記第1の駆動柱が前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左下縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記右側のPZT取付パッドと前記タングの右下縁とをつないだことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項6】
前記第1の駆動柱が前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記右側のPZT取付パッドと前記タングの左右方向の右縁とをつないだことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項7】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項8】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドを有する非対称形増幅構造と、
前記非対称形増幅構造の中間部と前記タングの中間部とをつなぐタング枢支部と、
前記左側のPZT取付パッドと該ジンバル装置のベース部とをつなぐ第1のPZT支持柱と、
前記右側のPZT取付パッドと該ジンバル装置の前記ベース部とをつなぐ第2のPZT支持柱と、
前記ベース部の左側と前記タングの左部とをつなぐ第1の安定支柱と、
前記ベース部の右側と前記タングの右部とをつなぐ第2の安定支柱と、
を具備したことを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項9】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項10】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項9に記載のジンバル装置。
【請求項11】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る幅方向に配置されたことを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項12】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項13】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッドと前記上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッド間に配置された中央支持部とを有する非対称形増幅構造と、
前記中央支持部の左部と前記タングの左部とをつなぐ第1の駆動柱と、
前記中央支持部の右部と前記タングの右部とをつなぐ第2の駆動柱と、
を具備し、
前記下側のPZT取付パッドが該ジンバル装置のベース部をなしていることを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項14】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項15】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項14に記載のジンバル装置。
【請求項16】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る長手方向に配置されたことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項17】
前記第1の駆動柱が前記中央支持部の左部と前記タングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記中央支持部の右部と前記タングの左右方向の右縁とをつないだことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項18】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項1】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドを有する非対称形増幅構造と、
前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左部とをつなぐ第1の駆動柱と、
前記右側のPZT取付パッドと前記タングの右部とをつなぐ第2の駆動柱と、
前記非対称形増幅構造の中間部と前記タングの中間部とをつなぐタング枢支部と、
を具備したことを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項2】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項3】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項2に記載のジンバル装置。
【請求項4】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る幅方向に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項5】
前記第1の駆動柱が前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左下縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記右側のPZT取付パッドと前記タングの右下縁とをつないだことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項6】
前記第1の駆動柱が前記左側のPZT取付パッドと前記タングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記右側のPZT取付パッドと前記タングの左右方向の右縁とをつないだことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項7】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項1に記載のジンバル装置。
【請求項8】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ左側のPZT取付パッドおよび右側のPZT取付パッドを有する非対称形増幅構造と、
前記非対称形増幅構造の中間部と前記タングの中間部とをつなぐタング枢支部と、
前記左側のPZT取付パッドと該ジンバル装置のベース部とをつなぐ第1のPZT支持柱と、
前記右側のPZT取付パッドと該ジンバル装置の前記ベース部とをつなぐ第2のPZT支持柱と、
前記ベース部の左側と前記タングの左部とをつなぐ第1の安定支柱と、
前記ベース部の右側と前記タングの右部とをつなぐ第2の安定支柱と、
を具備したことを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項9】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項10】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央部回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項9に記載のジンバル装置。
【請求項11】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る幅方向に配置されたことを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項12】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項8に記載のジンバル装置。
【請求項13】
デュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置であって、
スライダが装着されるタングと、
圧電変換器(PZT)が装着されかつ上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッドと前記上側のPZT取付パッドおよび下側のPZT取付パッド間に配置された中央支持部とを有する非対称形増幅構造と、
前記中央支持部の左部と前記タングの左部とをつなぐ第1の駆動柱と、
前記中央支持部の右部と前記タングの右部とをつなぐ第2の駆動柱と、
を具備し、
前記下側のPZT取付パッドが該ジンバル装置のベース部をなしていることを特徴とするデュアルステージ形マイクロアクチュエータのジンバル装置。
【請求項14】
前記非対称形増幅構造は、前記圧電変換器の駆動による回転運動を前記タングに伝えることを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項15】
前記非対称形増幅構造の回転運動は、ロードビームのディンプルと接するタングの中央回りに前記タングを回転させることを特徴とする請求項14に記載のジンバル装置。
【請求項16】
前記非対称形増幅構造が該ジンバル装置を横切る長手方向に配置されたことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項17】
前記第1の駆動柱が前記中央支持部の左部と前記タングの左右方向の左縁とをつなぎ、前記第2の駆動柱が前記中央支持部の右部と前記タングの左右方向の右縁とをつないだことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【請求項18】
前記スライダと前記圧電変換器とがそれぞれ該ジンバル装置の同じ側の面において前記タングと前記非対称形増幅構造とに装着されたことを特徴とする請求項13に記載のジンバル装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−4165(P2013−4165A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132363(P2012−132363)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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