適合熱転写材料及びその使用方法
【課題】画像外観及び耐久性に優れる熱転写紙及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む第1の熱転写材料と、オーバーレイ転写フィルムを含む第2の異なる熱転写材料とを含む熱転写材料キット。a)第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料から分離する段階、c)第2の熱転写材料及び画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法。また、キットを用いる代替的な方法も開示する。オーバーレイ転写フィルムを用いて転写した画像は、良好な画像外観及び耐久性を提供する。
【解決手段】印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む第1の熱転写材料と、オーバーレイ転写フィルムを含む第2の異なる熱転写材料とを含む熱転写材料キット。a)第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料から分離する段階、c)第2の熱転写材料及び画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法。また、キットを用いる代替的な方法も開示する。オーバーレイ転写フィルムを用いて転写した画像は、良好な画像外観及び耐久性を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像外観及び耐久性に優れる熱転写紙及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Tシャツ、トレーニングシャツなどのような衣服物品上に顧客選択のデザイン、メッセージ、イラストなど(以下、総称して「画像」と呼ぶ)を付加することに関連する重要な産業が成長している。これらの画像は、特定の最終用途に合わせて作られて剥離紙又は転写紙上に印刷された市販製品とすることができ、又は顧客が熱転写紙上に画像を生成することができる。画像は、熱及び圧力によって衣服物品に転写され、その後、剥離紙又は転写紙が取り除かれる。
【0003】
ワックス系のクレヨン、感熱式プリンタリボン、インクジェットプリンタ、レーザジェットプリンタ、及びインパクトリボン又はドットマトリックスプリンタによって作られた画像に対する受容性が向上した熱転写紙は、当業技術で公知である。一般的に、熱転写材料は、セルロースベースシート及びベースシート表面上の画像受容コーティングを含む。画像受容コーティングは、通常は、コーティングの転写性及び印刷性を向上させるために、1つ又はそれよりも多くのフィルム形成ポリマー結合剤、並びに他の添加剤を含有する。他の熱転写材料は、セルロースベースシート及び画像受容コーティングを含み、この画像受容コーティングは、溶融押出しにより又はフィルムをベースシートに積層することによって形成される。コーティング又はフィルムの表面は、その後、例えば、被覆されたベースシートをエンボス加工ロールに通すことによって粗面処理することができる。
【0004】
基体に対する画像担持積層体(コーティング)の転写性を全体的に向上させることに多くの努力が向けられてきた。例えば、米国特許第5,798,179号には、改良型冷間剥離可能熱転写材料が説明されており、これは、画像担持積層体の転写直後に(熱間剥離可能熱転写材料)、又はその後暫くして積層体が冷えた時に(冷間剥離可能熱転写材料)ベースシートの除去を可能にするものである。更に、転写した積層体の亀裂抵抗性及び耐洗浄性を向上させるために更に努力が向けられている。転写した積層体は、亀裂又は退色を起こすことなく複数の洗濯サイクル及び通常の「摩滅」に耐えることができるべきである。
【0005】
転写積層体及びそれを含む衣服物品の全体的な品質を向上させようとして、様々な技術が用いられてきた。例えば、衣服物品上の画像担持積層体の亀裂抵抗性及び耐洗浄性を向上させるために、熱転写材料のコーティングに可塑剤及びコーティング添加剤が添加されてきた。
また、フィルムを画像化した後であるが画像を基体に転写する工程の前に熱転写材料から剥離可能な転写フィルムを含む熱転写材料も開発されてきた。画像化された熱転写材料が画像を基体に転写するために画像側を下にして基体に対して置かれる時に起こる画像反転の問題を解決するために、フィルムが基体に付着する前に、画像化された剥離可能転写フィルムを除去することが試みられている。それはまた、それが剥離可能転写フィルムの画像化表面の背部に不透明層を配置させるために、画像を暗い基体に付加する方法に関する問題を解決することを試みるものである。剥離可能転写フィルムにより、画像側を上にして画像化フィルムを基体に対して置くことができる。永久的にフィルムを基体に固定するために用いる熱及び圧力の印加中に、画像化フィルムの上に保護シートを用いることができる。しかし、画像がフィルムの外側層上にあるために、インク又は他の媒体が転写後に露出しやすい。画像媒体が露出すると、洗浄性及び摩耗性に関する特性が不良になる可能性がある。これは、インクをフィルムに浸み込ませるインク受容層を用いることにより部分的に解決することができる。しかし、インクがフィルム内に浸み込むと、転写の明度が減少し、「チョーク状」や「洗い落ち」のように見えるか、又はあまり鮮明に見えなくなる場合がある。
従って、当業技術では、画像外観及び耐久性に優れる熱転写紙及び付加方法が依然として必要とされている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,798,179号
【特許文献2】米国特許出願第10/003,697号
【特許文献3】米国特許第5,501,902号
【特許文献4】米国特許第6,033,739号
【特許文献5】米国特許第5,342,739号
【特許文献6】米国特許出願第09/614,829号
【特許文献7】米国特許第6,200,668号
【特許文献8】米国特許第6,428,878号
【特許文献9】米国特許出願第10/750,387号
【発明の開示】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、a)第1のベース層及び印刷可能層を含む第1の熱転写材料の印刷可能層を画像化して、画像化印刷可能層を作成する段階、b)画像化印刷可能層を第1のベース層から分離する段階、c)第2のベース層及びオーバーレイ転写フィルムを含む第2の熱転写材料と画像化印刷可能層とを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化印刷可能層及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。転写する段階は、熱及び圧力を第2の熱転写材料に印加することによって実行することができる。熱及び圧力の印加は、例えば、手でアイロンを掛けることによるか、又は加熱プレスを用いることによって実行することができる。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、a)第1のベース層及び印刷可能層を含む第1の熱転写材料の印刷可能層を画像化して、画像化印刷可能層を作成する段階、b)第2のベース層及びオーバーレイ転写フィルムを含む第2の熱転写材料を画像化印刷可能層の上に重ねる段階、c)画像化印刷可能層を第1の熱転写材料に転写する段階、及びd)画像化印刷可能層及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。
本発明の更に別の実施形態によれば、a)画像化フィルムとオーバーレイ転写フィルムを含む熱転写材料とを基体に隣接して位置決めする段階、及びb)画像化フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む第1の熱転写材料と、オーバーレイ転写フィルムを含む第2の異なる熱転写材料とを含む熱転写材料キットが開示される。第1及び第2の熱転写材料は、使用者にそれらを区別させるためにラベル付けすることができる。キットは、同数の第1及び第2の熱転写材料を含むことができ、又は第1の熱転写材料を第2の熱転写材料よりも多く含むこともできる。キットは、更に、少なくとも1つの耐粘着性オーバーレイ材料を含むことができる。耐粘着性オーバーレイ材料は、シリコン被覆オーバーレイ材料とすることができる。オーバーレイ転写フィルムは、約65℃〜約180℃の範囲で溶融するポリマーを含むことができる。更に、オーバーレイ転写フィルムは、フィルム形成結合剤を含むことができる。更に、画像受容転写フィルムは、粉末熱可塑性ポリマーを含むことができる。
【0010】
1つの態様では、第1の熱転写材料は、更に、ベース層と、ベース層の上に重なり、かつ印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの下に重なる剥離層とを含むことができる。剥離層は、例えば、転写温度約177℃で本質的に粘着性がないポリマー、及び架橋ポリマーなどを含むことができる。望ましくは、剥離層は、アクリルポリマー及びポリ(ビニルアセテート)などから成る群から選択されたポリマーを含むことができる。
【0011】
望ましくは、剥離層及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、第1の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている。このような冷間剥離特性は、剥離層に有効量の剥離強化添加剤を用いることにより付与することができる。剥離強化添加剤は、例えば、脂肪酸の二価金属イオン塩、ポリエチレングリコール、シリコーン界面活性剤、及びその混合物などを含むことができる。より詳細には、剥離強化添加剤には、例えば、ステアリン酸カルシウム、分子量が約2,000〜約100,000のポリエチレングリコール、シロキサンポリエーテル界面活性剤、及びその混合物などを含むことができる。
別の態様では、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、更に、フィルム形成結合剤と粉末熱可塑性ポリマーとを含む印刷可能なインク適合層を含むことができる。フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融することが望ましい。
【0012】
更に別の態様では、第2の熱転写材料は、更に、ベース層と、ベース層の上に重なり、かつオーバーレイ転写フィルムの下に重なる剥離層とを含むことができる。剥離層は、例えば、転写温度約177℃で本質的に粘着性がないポリマー及び架橋ポリマーなどを含むことができる。望ましくは、剥離層は、アクリルポリマー及びポリ(ビニルアセテート)などから成る群から選択されたポリマーを含むことができる。
望ましくは、剥離層及びオーバーレイ転写フィルムは、第2の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている。このような冷間剥離特性は、第1の熱転写材料に対して上述したように、剥離層に有効量の剥離強化添加剤を用いることにより付与することができる。
【0013】
更に別の態様では、a)1枚の第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料の残りの部分から分離する段階、c)1枚の第2の熱転写材料及び画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法が開示される。
【0014】
別の態様では、a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に第2の熱転写材料の1つを重ねる段階、c)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料に転写する段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法が開示される。
本発明の他の特徴及び態様を以下でより詳細に説明する。
当業者に向けられた最良の態様を含む本発明の完全かつ実施可能な開示内容は、添付図面を参照する本明細書の残りでより詳細に示されている。
本明細書及び図面に参照符号を繰返して用いるが、これは、本発明の同じか又は類似の特徴又は要素を表すものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、1つ又はそれよりも多くの実施例が本明細書に挙げられている本発明の実施形態を以下で詳細に参照する。各実施例は、本発明を説明するために挙げたものであり、本発明を制限するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示されるか又は説明される特徴を別の実施形態と共に用いて更に別の実施形態を生成することができる。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物に含まれるこのような修正及び変形を含むものとする。
【0016】
定義
本明細書で用いる場合、「印刷可能」という用語は、例示的に、直接及びオフセットグラビア印刷プリンタ、シルクスクリーン印刷、タイプライタ、レーザプリンタ、ドットマトリックスプリンタ、及びインクジェットプリンタのようなあらゆる手段により材料上に画像を配置することを可能にすることを含むように意味する。更に、画像組成物は、印刷工程で一般的に用いられるインク又は他の組成物のいずれかとすることができる。
【0017】
「インクジェット印刷可能」という用語は、インクジェットプリンタにより、材料、例えば、紙上に画像を形成することができることを意味する。インクジェットプリンタでは、インクが小さなノズル(又は一連のノズル)を通して押し込まれて液滴を形成する。液滴は、電気的に荷電し、反対に荷電した紙の背部のプラテンに引き付けることができる。電気的に制御した偏向板により、液滴の軌道は、紙上の望ましい地点に当たるように制御することができる。用いられなかった液滴は、紙から偏向されてリザーバに入り再利用される。別の方法では、液滴は、プリントヘッドが紙を走査する時に、加熱により小さなインクリザーバからオンデマンドで排出されて気泡を形成する。
「分子量」という用語は、文脈から別の意味が明らかであるか又はこの用語がポリマーのことを意味しない限り、重量平均分子量を意味する。分子量の単位は、時に「ダルトン」と呼ばれる原子質量単位であるということが長い間理解され、かつ受け入れられてきた。その結果、現在の文献では単位が付与されることは稀である。従って、この慣習により本明細書では分子量に単位を表さない。
【0018】
本明細書で用いる場合、「セルロース不織ウェブ」という用語は、重量で少なくとも約50パーセントのセルロース繊維を含有するあらゆるウェブ又はシート状材料を意味する。セルロース繊維に加え、このウェブは、他の天然繊維、合成繊維、又はその混合物を含むことができる。セルロースの不織ウェブは、比較的短い繊維を空気堆積又は湿式堆積してウェブ又はシートを形成することにより調製することができる。従って、この用語には、製紙用完成紙料から調製された不織ウェブが含まれる。このような完成紙料は、セルロース繊維のみを含むことができ、又はセルロース繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維の混合物を含むことができる。また、完成紙料は、製紙技術で公知のように、充填剤、例えばクレイ及び二酸化チタン、界面活性剤、消泡剤などのような添加剤、及び他の材料を含むことができる。
【0019】
本明細書で用いられる時の「硬質アクリルポリマー」という用語は、一般的に、ガラス転移温度(Tg)が少なくとも約0℃のあらゆるアクリルポリマーを意味するものとする。例えば、Tgは、少なくとも約25℃とすることができる。別の例では、Tgは、約25℃〜約100℃の範囲とすることができる。硬質アクリルポリマーは、一般的に、アクリレート又はメタクリレートエステルの混合物又はその両方を付加重合することによって形成されたポリマーであることになる。これらのモノマーのエステル部分は、例えば、メチル、エチル、及びブチル基のようなC1−C6アルキル基とすることができる。メチルエステルは、一般的に「硬質」特性を付与し、他のエステルは、一般的に「軟質」特性を付与する。「硬質」及び「軟質」という用語は、それぞれ、室温の硬さ及び低温の可撓性を意味するために定性的に用いられる。軟質ラテックスポリマーのガラス転移温度は、一般的に約0℃未満である。これらのポリマーは、容易に流れすぎて、転写するのに熱及び圧力が用いられると布に結合する傾向がある。すなわち、ガラス転移温度は、ポリマーの硬さとかなり良好に相関する。
【0020】
本明細書で用いる場合、「冷間剥離特性」という用語は、画像が布又は別の熱転写紙のような基体に転写された状態で、熱転写材料が周囲温度まで冷却された後に裏当て又は担体シートを基体から容易にきれいに取り除くことができることを意味する。すなわち、冷却後には、裏当て又は担体シートは、除去に抵抗が伴うことなく、担体シート上に画像の一部分を残すことなく、転写画像コーティングを不完全にすることもなく、画像が転写された基体から剥離することができる。
【0021】
詳細な説明
本発明は、第1及び第2の適合した熱転写材料に関する。第1の熱転写材料には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが含まれる。第2の熱転写材料には、冷間剥離特性を有するオーバーレイ転写フィルムが含まれる。
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料
図1には、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10の部分断面が示されている。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10には、裏当て層外面14を有する裏当て層又はベース層11と、裏当て層の上に重なる剥離層12と、剥離層の上に重なり、転写フィルム外面16を有する印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13とが含まれる。転写される画像(図示せず)を印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム外面16に付加する。任意的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが時期尚早に層間剥離しないように剥離層と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムとの間の接着性を改善するためのタイコート層(図示せず)を更に含むことができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む熱転写材料の例は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、2001年10月31日にKronzerにより出願された米国特許出願第10/003,697号に開示されている。
【0022】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の裏当て層又はベース層は、可撓性があり、第1及び第2の表面を有する。裏当て層は、一般的に、フィルム又はセルロース不織ウェブであることになる。可撓性に加え、裏当て層は、それを製造するのに伴う取扱い、コーティング、シーチング、他の作業に対して及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを転写した後に除去するのに十分な強度を有するべきである。ベース層の坪量は、一般的に、約30〜約150g/m2で種々にすることができる。例示的に、裏当て層又はベース層は、熱転写紙を製造するのによく用いられるような紙とすることができる。一部の実施形態では、裏当て層は、例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている米国特許第5,798,179号に説明されているようなラテックス含浸紙であることになる。裏当て層は、当業者に公知の方法により容易に調製される。
【0023】
剥離層又はコーティングは、裏当て層の第1の表面の上に重なる。剥離コーティングは、剥離可能貼紙、マスキングテープなどを製造する技術分野で公知の様々な材料で製造することができる。例えば、シリコーンポリマーは、非常に有用であり公知である。更に、アクリル、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルのような多くの種類のラチス、並びにエチレンビニルアセテートコポリマー、アクリルコポリマー、塩化ビニルアクリル、ビニルアセテートアクリルなどのような多くのコポリマーラチスを用いることができる。いくつかの場合では、米国特許第5,798,179号に説明されているように、石鹸、洗剤、シリコーンなどのような剥離コーティングに剥離剤を加えることが役に立つであろう。このような剥離剤の量は、次に、望ましく剥離されるように調節することができる。
【0024】
必要に応じて、剥離コーティング層は、加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤、流動制御剤などのような他の添加剤を含むことができる。剥離コーティングの厚さは決定的に重要ではない。正常に機能させるためには、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムと剥離コーティングの間の結合は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを裏当てから除去するのに約0.01〜0.3ポンド/インチの力が必要であるようなものである。力が大きすぎる場合、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、除去された時に破れることもあり、延伸して変形することもある。小さすぎる場合、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、材料をシートに加工する時に又はプリンタ内で外れることがある。
【0025】
剥離コーティング層の層厚は、以下に限定されるものではないが、被覆される裏当て層、及びそれに一時的に結合される印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含むいくつかの因子に依存してかなり変動する。一般的に、剥離コーティング層の厚さは、約2ミル(52ミクロン)未満である。より望ましくは、剥離コーティング層の厚さは、約0.1ミル〜約1.0ミルである。より望ましくは、剥離コーティング層の厚さは、約0.2ミル〜約0.8ミルである。
また、剥離コーティング層の厚さは、坪量によって説明することができる。望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約45g/m2未満である。より望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約25g/m2〜約2g/m2である。より望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約15g/m2〜約4g/m2である。
【0026】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料には、剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが更に含まれる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、望ましくは熱及び圧力を印加した後に布に永久的に結合する剥離層の上に重なる接着剤層が含まれる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、任意的に、望ましくは転写工程の間に布に浸み込まずにその表面に留まる接着剤層の上に重なる別の流れ抵抗性(加熱時)層を含むことができる。更に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、任意的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の外側に別の画像受容コーティングを含むことができる。
【0027】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、基体に永久的に転写されることになる画像を印刷することができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像が、基体の表面から離れた方を向いて基体に転写することができるように、剥離層から剥離可能である。転写方法が独立フィルムを使用する方法、すなわち、裏当てに取り付けられている時に印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを印刷し、その後、転写される前に除去する方法である場合には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さを十分にして、印刷後に手で扱うことができ、延伸又は破ることなく裏当てから剥離することができるようにすべきである。しかし、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが厚すぎるか又は硬すぎる場合には、転写後に布に過剰な硬さが付与されることになる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さが約0.8〜約3ミルであればこれらの要件を満たすが、フィルムの厚さは、約1.2〜約2.5ミルであることが望ましい。有用とすることができる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの範囲は、転写方法が、第1の熱転写材料の表面に印刷し、その後、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをオーバーレイ転写材料に転写し、次に、組み合わせたフィルムを基体に転写する方法であれば、かなり広がることになる。この方法では、固定されていないフィルムを手で扱うことは必要でない。実際、この印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さは、約0.1ミル程の薄さにすることができると予想されている。
【0028】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像、染料、又は顔料が下に重なる層に浸み込むことを実質的に防ぐことが望ましい。布に転写されると、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、印刷された画像が布に浸み込むことを実質的に防ぐことが望ましい。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、転写後に、布上で非常に耐久性及び耐洗浄性がある画像担持表面になることが望ましい。更に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの組成物は、インクジェット、レーザジェット、熱転写、静電トナー転写、及び他を含む画像を印刷するための様々な印刷法に合わせて特注することができる。
【0029】
暗い色の布に装飾するためには、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、不透明化剤を更に含むことができる。暗い色の布を装飾するために熱転写材料の不透明化層を用いることは、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている。不透明化剤は、剥離可能かつ印刷可能な転写フィルムが比較的不透明になるように光をその界面で散乱させる粒子状材料である。望ましくは、不透明化剤は白色であり、粒径及び密度が光散乱に十分に適しているものである。このような不透明化剤は、グラフィックアートの技術者には公知であり、これには、酸化アルミニウム及び二酸化チタンのような金属又はポリスチレンのようなポリマーの粒子が含まれる。各場合において必要な不透明化剤の量は、望む不透明度、不透明化剤の効率、及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さによって決まることになる。例えば、1ミル厚のフィルム内にほぼ20パーセントのレベルの二酸化チタンがあれば、黒い布材料を装飾するのに適切な不透明性が生じる。二酸化チタンは、非常に効率的な不透明化剤であり、他の種類では、同じ結果を得るのに投入量を多くすることが一般的に必要である。
【0030】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、接着剤層が含まれる。接着剤層は、例えば、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている剥離可能な非架橋フィルム層とすることができる。接着剤層により、熱及び圧力が印加された後に布に永久的な結合がもたらされる。接着剤層は、溶融して、装飾する基体の表面に適合することができるあらゆる材料を含むことができる。多くの種類のポリマーフィルムにより、望ましい結合を得ることができる。例示的な材料には、ポリオレフィン、及びオレフィンと、ビニルアセテート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルエステル、スチレン、及びその他のような他のモノマーとのコポリマーが含まれる。フィルムを形成する他の種類の有用なポリマーには、ポリアミド、ポリエステル、及びポリウレタンが含まれる。また、接着剤層の溶融温度及び/又は軟化温度は、約205℃未満であることも望ましい。「溶融する」という用語及びその変形は、本明細書では定性的な意味でのみ用いられ、何ら特定の試験手順をいうものではない。本明細書で溶融温度又は範囲を参照する場合には、本明細書に説明する溶融転写工程の条件下でポリマーが溶融して流れ、実質的に滑らかなフィルムになる大体の温度又は範囲を示すことだけを意味する。そうする際に、このような材料は、画像が転写される布の繊維マトリックスに少なくとも部分的に流入することができる。十分に溶融して結合させるために、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムのメルトフローインデックスは、「ASTM」の「D1238−82」を用いて判断すると、望ましくは、約800未満である。より望ましくは、接着剤層のメルトフローインデックスは、約0.5〜約800、軟化温度は、約65℃〜約150℃である。より望ましくは、接着剤層のメルトフローインデックスは、約2〜約600、軟化温度は、約90℃〜約120℃である。接着剤層は、上述のように不透明化剤を含むことができる。
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、流れ抵抗層を含むことができる。流れ抵抗層は、熱で軟化する場合があるが、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが布に転写される時に、感知することができるほど布に流入しない。流れ抵抗層の厚さは、ほぼ0.4〜約2ミルであることが望ましい。
【0031】
一実施形態では、流れ抵抗層には、架橋ポリマーが含まれる。剥離可能な熱転写フィルムに架橋層を用いることは、2001年10月31に出願された米国特許出願第10/003,697号に詳細に説明されている。架橋ポリマーは、架橋可能ポリマーの結合剤及び架橋剤で形成することができる。架橋剤は、架橋可能ポリマーの結合剤と反応して三次元のポリマー構造を形成する。一般的に、反応して三次元のポリマー構造を形成するあらゆる対のポリマー結合剤及び架橋剤を用いることができるように考えられている。用いることができる架橋可能ポリマーの結合剤は、架橋して三次元のポリマー構造になることができるあらゆるものとすることができる。望ましい架橋結合剤には、反応性カルボキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を含む例示的な架橋結合剤には、アクリル、ポリウレタン、エチレンアクリル酸コポリマーなどが含まれる。他の望ましい架橋結合剤には、反応性ヒドロキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を有する結合剤を架橋するのに用いることができる架橋剤には、多官能性アジリジン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、オキサゾリン官能性ポリマーなどが含まれる。ヒドロキシル基を有する結合剤を架橋するのに用いることができる架橋剤には、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アミンエピクロルヒドリン、多官能性イソシアネートなどが含まれる。
【0032】
別の実施形態では、流れ抵抗層には、ポリマー及び粒子状材料を含むことができる。粒子状材料は、ポリマー及び粒子状材料が布に流入せずに布の表面上にフィルムを形成するように、転写温度でポリマーの粘性を上げる量で存在することが望ましい。粒子状材料は、重量で約20パーセント〜約70パーセントで流れ抵抗層に存在することが望ましい。粒子状物質には、例えば、セルロース粒子、シリカ粒子、クレイ粒子などを含むことができる。一実施形態では、シリカ粒子は、重量で約33パーセント〜約66パーセント、より望ましくは、重量で約40パーセント〜約60パーセント、更に望ましくは、重量で約45パーセント〜約55パーセントで流れ抵抗層に存在する。
流れ抵抗層には、界面活性剤、分散剤、及び粘性調整剤のような加工助剤を含めることができる。更に、流れ抵抗層は、上述の不透明化剤を含有することができる。流れ抵抗層が不透明化剤を含有する場合には、転写中に流れ抵抗層が布の表面に浸み込まないために、少量の不透明化剤しか必要とされないであろう。
【0033】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像受容コーティングを更に含むことができる。画像受容コーティングは、特定の印刷方法を用いて印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム上に画像を生成することになる場合に用いられることが多い。このような画像受容コーティングは、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをインクジェット印刷可能にするために、画像受容コーティングは、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、米国特許第5,798,179号、第5,501,902号、及び第6,033,739号に説明されているものに非常に類似するであろう。これらのコーティングには、熱可塑性粒子、結合剤、及びカチオン樹脂、並びにインク粘性調整剤が含まれ、これらは、布に転写するための従来のインクジェット印刷用途に有用である。このようなコーティングには、流れ抵抗層に関して上述したように、転写が行われた時に表面上に保持されることになるように架橋剤を加えることができる。他の画像化法に用いる場合には、要件が僅かに異なっている。静電印刷では、インク吸収性のための粉末ポリマー、カチオンポリマー、又はインク粘性調整剤が必要でないために、アクリル又はポリウレタン結合剤及び架橋剤で十分であろう。代替的に、架橋コーティングに滑剤及び帯電防止剤を加えて、プリンタにシートが確実に給紙されるようにすることができる。米国特許第5,342,739号に説明されているような感熱式印刷又はクレヨンマーク付けコーティングでは、これらのコーティングは、架橋剤を加えることにより改質することができる。
【0034】
フィルム形成結合剤に基づく層は、ロール、ブレード、「Meyer」ロッド、及びエアナイフコーティング手順のような公知のコーティング技術により所定の層上に形成することができる。次に、得られる熱転写材料は、例えば、蒸気加熱ドラム、圧搾空気、放射加熱、又はその何らかの組合せにより乾燥させることができる。溶融押出し層は、スクリューを通してスロットダイ内に溶融ポリマーを押出す押出塗工機で付加することができる。フィルムは、スロットダイを出て、重力により熱転写材料上に流れる。得られる被覆した材料は、ニップを通過して押出フィルムを冷却し、これを下に重なる層に結合させる。粘性の小さいポリマーでは、溶融ポリマーは、独立フィルムを形成しない場合がある。このような場合には、被覆される材料は、スロットダイに接触させるように誘導することができ、又はロールを用いて浴から溶融ポリマーを熱転写材料に転写させることができる。
【0035】
最後に、タイコート層は剥離層の上に重なり、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの下に重なり、これによって剥離層と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムとの間に位置することができる。一般的に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがフィルム形成結合剤で形成される場合には、タイコート層は必要ではない。しかし、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが溶融押出フィルムである場合には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層に良好に接着しないであろう。接着が不良であれば、結果的に印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが剥離層から時期尚早に層間剥離する場合がある。このような場合の層間剥離を防ぐために、タイコート層が望ましい。一般的に、タイコート層は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融するフィルム形成結合剤を含むことができる。更に、タイコート層は、粉末熱可塑性ポリマーを含むこともできる。
必要に応じて、上述のフィルム層は、いずれも加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤などのような他の材料を含むことができる。これら及び同様の材料を用いることは、当業者には公知である。
【0036】
オーバーレイ熱転写材料
図2には、オーバーレイ熱転写材料20の部分断面図が示されている。オーバーレイ熱転写材料20には、裏当て層外面24を有する裏当て層又はベース層21と、裏当て層の上に重なる剥離層22と、剥離層の上に重なり、オーバーレイ転写フィルム外面26を有するオーバーレイ転写フィルム23とが含まれる。任意的に、オーバーレイ熱転写材料20には、裏当て層21と剥離層22の間に共形層(図示せず)を更に含み、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10のオーバーレイ転写フィルム23と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13との間の接触を容易にすることができる。この種類の共形層を用いることは、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている2000年7月12日出願の米国特許出願第09/614,829号に説明されている。更に別の任意選択肢として、オーバーレイ熱転写材料20は、画像受容層(図示せず)を更に含むことができる。
【0037】
望ましくは、オーバーレイ熱転写材料は、冷間剥離特性を有する。冷間剥離特性を有する熱転写材料は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、例えば、米国特許第6,200,668号、米国特許第5,798,179号、及び第6,428,878号に開示されている。冷間剥離特性を有する他の熱転写材料は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、例えば、同時出願の米国特許出願第10/750,387号、速達番号EL955701798US、整理番号19608に開示されている。
【0038】
オーバーレイ熱転写材料の裏当て層又はベース層は、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の裏当て層に関して上述したようなものとすることができる。オーバーレイ熱転写材料の裏当て層は、可撓性があり、第1及び第2の表面を有する。可撓性のある裏当て層は、一般的に、フィルム又はセルロース不織ウェブであることになる。可撓性に加え、裏当て層は、それを製造するのに伴う取扱い、コーティング、シーチング、他の作業に対して及び転写後に除去するのに十分な強度を有するべきである。例示的に、裏当て層は、熱転写紙を製造するのによく用いられるような紙とすることができる。裏当て層は、当業者に公知の方法により容易に調製される。
【0039】
オーバーレイ転写材料の剥離層は、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の剥離層に関して上述したようなものとすることができる。オーバーレイ転写材料の剥離層は、裏当て層の第1の表面の上に重なる。剥離層の坪量は、一般的に、約2〜約30g/m2で種々とすることができる。一実施形態では、剥離層は、転写温度(例えば、177℃)で本質的に粘着性がない。本明細書で用いる場合、「転写温度で本質的に粘着性がない」という語句は、剥離層が、転写画像の品質に悪影響を及ぼす範囲では、上に重なる転写フィルムに粘着しないことを意味する。例示的に、剥離層には、硬質アクリルポリマー又はポリ(ビニルアセテート)を含むことができる。別の例として、剥離層には、Tgが少なくとも約25℃の熱可塑性ポリマーを含むことができる。別の例として、Tgは、約25℃〜約100℃の範囲とすることができる。適切なポリマーには、例えば、適切なガラス転移温度のポリアクリレート、スチレンブタジエンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、ニトリルゴム、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアセテート)、エチレンアクリレートコポリマーなどが含まれる。
【0040】
別の実施形態では、剥離層には、架橋ポリマーを含むことができる。架橋ポリマーは、架橋可能なポリマー結合剤及び架橋剤で形成することができる。架橋剤は、架橋可能なポリマー結合剤と反応して三次元ポリマー構造を形成する。一般的に、流れ抵抗層に対して上述したポリマー結合剤及び架橋剤のいずれの対も、オーバーレイ熱転写材料の剥離層に用いることができるように考えられている。
また、剥離層には、有効量の剥離強化添加剤を含むこともできる。例えば、剥離強化添加剤には、脂肪酸の二価の金属イオン塩、ポリエチレングリコール、ポリシロキサン界面活性剤、又はその混合物を含むことができる。より詳細には、剥離強化添加剤には、ステアリン酸カルシウム、分子量が約2,000〜約100,000のポリエチレングリコール、シロキサンポリマーポリエーテル、又はその混合物を含むことができる。
【0041】
上述のように、オーバーレイ転写フィルムは、剥離層の上に重ねられる。オーバーレイ転写フィルムの坪量は、一般的に、約2〜約70g/m2までで様々にすることができる。オーバーレイ転写フィルムは、約65℃〜約180℃の範囲で溶融する熱可塑性ポリマーを含むことが望ましい。オーバーレイ転写フィルムは、次にコーティングが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷表面に転写される時に、画像保護又はオーバーレイコーティングとして機能する。一実施形態では、オーバーレイ転写フィルムは、剥離層を覆ってフィルム形成結合剤のコーティングを付加することにより形成することができる。結合剤には、粉末熱可塑性ポリマーを含むことができ、この場合、オーバーレイ転写フィルムは、重量で約10パーセントよりも多いフィルム形成結合剤及び重量で約90パーセント未満の粉末熱可塑性ポリマーを含むことになる。一般的に、フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融することになる。例えば、フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約80℃〜約120℃の範囲で溶融することになる。更に、粉末熱可塑性ポリマーは、直径約2〜約50マイクロメートルの粒子から成ることができる。
【0042】
一般的に、本明細書に指定する判断基準を満たすあらゆるフィルム形成結合剤を用いることができる。実際問題として、水分散可能エチレンアクリル酸コポリマーは、特に有効なフィルム形成結合剤であることが見出されている。
同様に、粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書に示す判断基準を満たすあらゆる熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレンビニルアセテートコポリマー、又はポリオレフィンとすることができる。
【0043】
フィルム形成結合剤又は粉末熱可塑性ポリマーの溶融挙動に関して製造業者が公開したデータは、本明細書に説明した溶融要件に相関している。しかし、材料の性質によって真の融点又は軟化点が与えられる可能性があることに注意すべきである。例えば、主に線状ポリマー分子から成るこのようなポリオレフィン及びワックスのような材料は、融点未満では多少結晶質であるために、一般的に、比較的狭い温度範囲にわたって溶融する。融点は、製造業者によって与えられない場合には、示差走査熱量測定法のような公知の方法により容易に判断される。多くのポリマー、特にコポリマーは、ポリマー鎖が分枝しているか又は側鎖成分があるために非晶質である。これらの材料は、温度が上昇すると、更にゆっくりと軟化して流れ始める。例えば、「ASTM試験方法E−28」により判断したこのような材料の環球式軟化点は、本発明におけるその挙動を予想するのに有用であると考えられている。更に、説明した融点又は軟化点は、ポリマーの化学的性質よりも本発明における性能の優れた指標である。
【0044】
フィルム形成結合剤に基づく層は、ロール、ブレード、「Meyer」ロッド、及びエアナイフコーティング手順のような公知のコーティング技術により所定の層上に形成することができる。次に、得られる熱転写材料は、例えば、蒸気加熱ドラム、圧搾空気、放射加熱、又はその何らかの組合せにより乾燥させることができる。
代替的に、オーバーレイ転写フィルムは、溶融押出フィルムとすることができる。オーバーレイ転写フィルムを形成する溶融押出フィルムの基準は、一般的に、フィルム形成結合剤に対して上述したものと同じである。溶融押出オーバーレイ転写フィルムを構成するポリマーは、一般的に、約80℃〜約130℃の範囲で溶融することになる。このポリマーのメルトインデックスは、「ASTM試験方法D−1238−82」により判断すると、少なくとも約25g/10分である必要がある。ポリマーの化学的性質は重大でないことが公知である。これらの基準を満たす市販のポリマーの種類には、単に例示的に、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、メタクリル酸、ビニルアセテート、エチルアセテート、又はブチルアクリレートが含まれる。用いることができる他のポリマーには、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンが含まれる。望ましいか又は必要に応じて、ワックス、可塑剤、流動調整剤、酸化防止剤、帯電防止剤、粘着防止剤、剥離剤、及び他の添加剤を含めることができる。
【0045】
溶融押出し層は、スクリューを通してスロットダイ内に溶融ポリマーを押出す押出塗工機で付加することができる。フィルムは、スロットダイを出て、重力により熱転写材料上に流れる。得られる被覆した材料は、ニップを通過して押出フィルムを冷却し、これを下に重なる層に結合させる。粘性の小さいポリマーでは、溶融ポリマーは、独立フィルムを形成しない場合がある。このような場合には、熱転写材料は、それをスロットダイに接触させるように誘導するか、又はロールを用いて浴から溶融ポリマーを熱転写材料に転写させることによって被覆することができる。
【0046】
インク適合層は、オーバーレイ熱転写材料に有用とすることができる。インク適合層は、画像がインクジェットプリンタにより印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料上に配置される場合、すなわち、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料がインクジェット印刷可能である場合に特に有用とすることができる。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷表面が、後にインク適合層の表面に合わせられる場合には、インク適合層は、転写画像を洗濯して乾燥した時の印刷画像の滲み及び画像の色泣き又は喪失を防止するか又は最小にするのを助けることができる。インク適合層は、対応する印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに結合可能なままである限り、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料上の画像受容コーティングに対して上述したようなものとすることができる。
【0047】
タイコート層は、剥離層の上に重なると共にオーバーレイ転写フィルムの下に重なり、それによって剥離層とオーバーレイ転写フィルムの間に位置することができる。タイコート層は、用いる場合には、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料のタイコート層に関して上述したようなものとすることができる。
オーバーレイ転写材料には、ベース層の上に重なると共に剥離層の下に重なり、これによってベース層と剥離層の間に位置する共形層を更に含むことができる。一般的に、共形層には、オーバーレイ転写フィルムに対して上述したような約65℃〜約180℃の範囲で溶融する押出し被覆したポリマーを含むことができる。例示的に、共形層は、エチレンビニルアセテートの押出しコーティングとすることができる。代替的に、共形層には、オーバーレイ転写フィルムに対して上述したようなフィルム形成結合剤及び/又は粉末熱可塑性ポリマーを含むことができる。共形層の坪量は、一般的に、約5〜約60g/m2までで変えることができる。
必要に応じて、上述のオーバーレイ熱転写材料のフィルム層は、いずれも加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤などのような他の材料を含むことができる。これら及び同様の材料を用いることは、当業者には公知である。
【0048】
適合熱転写紙を用いる方法
印刷画像を布又は他の基体材料に付加するいくつかの異なる方法に本発明の適合熱転写紙を用いることができることが予想される。図3a〜図3fを参照すると、図1の印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10及び図2のオーバーレイ熱転写材料20を用いて画像を基体に転写する方法の実施形態が示されている。図3aを参照すると、標準画像化装置(図示せず)を用いて、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10の外面16が画像化される。本発明に適合する画像化装置には、単なる例として、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、鉛筆、ペン、マーカ、クレヨンなどが含まれる。図3bを参照すると、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10を画像化した後に、画像化された剥離可能な熱転写材料は、それぞれの転写フィルム13及び23が相対するように、オーバーレイ熱転写材料20に隣接して配置される。2つの転写材料10及び20の片側又は両側の裏当て層外面14及び24に熱及び圧力を印加すると、それぞれの転写材料上の転写層13及び23が互いに融着又は溶融して融着積層体30を形成する。熱転写紙を「適合」させる融着積層体30を形成するのは、熱転写紙の機能である。熱及び圧力の印加は、当業者に公知の様々な方法で実行することができる。例えば、加熱プレス(図示せず)を用いて、層を互いに融着することができる。別の例として、標準手持ちアイロン(図示せず)を用いて2つの材料に熱及び圧力を印加することができる。熱及び圧力は、転写フィルム13及び23の間を良好に接着するのに有効な時間印加されることが望ましい。転写を行うのに用いられる温度は、望ましくは約120℃〜約200℃、より望ましくは約150℃〜約175℃である。
【0049】
図3cを参照すると、剥離可能かつ印刷可能な熱転写材料10の裏当て層11及び剥離層12を融着積層体30から共に剥離して中間転写材料を形成し、基体50に転写されることになる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13を露出させる。この時点で、画像は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13とオーバーレイ転写フィルム23の間に挟まれる。図3dを参照すると、中間転写材料40は、次に、転写フィルム13及び23が基体に向き、オーバーレイ裏当て層21が基体から離れる方を向いて基体50に接触するように配置される。望ましい基体には、例えば、綿100%Tシャツ材料のような布などが含まれる。図3eを参照すると、熱及び圧力は、次に、オーバーレイ裏当て層外面24、基体外面54、又はその両方に印加され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13を基体50に融着させる。上述のように、熱及び圧力の量、並びにその印加時間は、印加方法、基体の種類、及び望ましい転写の種類により決定される。望ましくは、転写を行うのに用いられる温度は、上に説明した通りである。図3fを参照すると、冷却後、オーバーレイ材料裏当て層21及び剥離層22は、共に基体50から除去され、基体に取り付けられた印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、画像、及びオーバーレイ転写フィルム23を残す。
【0050】
任意的に、必要に応じて印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の剥離可能転写フィルムの不要区域を除去することができる。例えば、文字を転写する場合には、文字「O」の中心は、除去又は「草抜き」することができるであろう。従って、転写されることになる剥離可能転写フィルムの正確な区域を制御することができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の下にある層を通って切断することなく不要部分の周りにスリットが入れられることが望ましい。次に、不要部分を印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙から剥離し、転写するために望ましい「草抜きされた」画像化区域を残す。転写後、基体上には、画像化区域の望ましい区域のみが存在する。オーバーレイ転写フィルムも、画像が転写されなかった基体の区域に転写されないことが望ましい。不要部分を印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムから除去すると、時に、裏当て層上に画像化フィルムのいくつかの非連結部分が残ることになることに注意すべきである。基体へ転写した後、これらの非連結部分の間隔及び方向は維持される。
【0051】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料の両方で、剥離層及び裏当てそれぞれを上に重なる転写可能フィルムから分離するために剥離力が必要である。望ましくは、紙の適合する組では、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当てを引き離すのには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の剥離層及び裏当てを引き離すよりも大きな力が必要であることが望ましい。上述のように、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをオーバーレイ熱転写材料に転写する工程で2つの熱転写材料が共に融着された後に、最初に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料のベース層及び剥離層を除去することが望ましい。これらの層を除去する剥離力がオーバーレイ熱転写材料の層を除去する剥離力に比べて大きすぎる場合には、代わりに、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当て層が不注意に除去されることがある。
【0052】
更に、オーバーレイ転写フィルムの一部分は、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの対応する部分がない基体の区域には転写されないことが望ましい。言い換えれば、オーバーレイ転写フィルムは、草抜き工程の間に、画像化された剥離可能転写フィルムが除去された区域には転写されないことが望ましい。オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの対応する部分のない基体の区域に転写されることを防ぐために、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当て層は、オーバーレイ転写フィルムからあまり容易に引き離されないことが望ましい。
【0053】
図4a〜図4eを参照すると、図1の印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10及び図2のオーバーレイ熱転写材料20を用いて画像を基体に転写する方法の別の実施形態が示されている。図4aを参照すると、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10は、上述のように、標準画像化装置(図示せず)を用いて転写フィルム外面16上で画像化される。図4bを参照すると、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13は、次に、裏当て層11及び剥離層12から剥離されるか又は他の方法で除去される。図4cを参照すると、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13は、画像化された転写フィルム外面16が基体から離れる方を向くように基体150に隣接して配置される。上述のようなオーバーレイ熱転写材料20は、次に、オーバーレイ転写フィルム23が画像化された剥離可能転写フィルム13を向くように配置される。図4dを参照すると、基体150、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、及びオーバーレイ熱転写紙20は、加熱されて押し付けられ、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に付着させ、オーバーレイ転写フィルム23を画像化された転写フィルム外面16に付着させる。図4eを参照すると、冷却後、オーバーレイ材料裏当て層21及び剥離層22は、基体150から共に除去され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、画像、及びオーバーレイ転写フィルム23が基体に取り付けられて残される。転写を行うのに用いられる温度は、上述のようなものであることが望ましい。
【0054】
一実施形態では、本明細書に説明したような熱転写材料又は紙の適合した組を設けて、印刷画像を布及び他の基体に転写することを可能にすることができると予想される。適合転写材料は、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料の両方の供給がキット内に存在することができるキットとして提供することができる。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及び/又はオーバーレイ熱転写材料には、使用者にそれらを区別させるために適切にラベル付けすることができる。キットには、同数のオーバーレイ熱転写材料及び印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料を含むことができる。代替的に、キットには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料をオーバーレイ熱転写材料よりも多く含むことができる。更に、キットは、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料だけでなく、用途によってはオーバーレイ熱転写材料を用いることの代替として有用な場合がある1つ又はそれよりも多くの耐粘着性オーバーレイ材料を含有することもできる。一例として、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から剥離され、次に、耐粘着性オーバーレイ材料を用いて基体に直接転写することができる。多くの非粘着オーバーレイ材料が当業者には公知である。例の1つとして、非粘着オーバーレイ材料は、表面上にシリコーンコーティングを有する紙とすることができる。
本発明は、以下の実施例を参照するとより良く理解することができる。しかし、このような実施例は、本発明の精神又は範囲のいずれをも決して制限するようには解釈されないものとする。これらの実施例では、全ての部は、特に断らない限り重量部である。
【実施例1】
【0055】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を調製した。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層の上に重なる接着剤層、接着剤層の上に重なる流れ抵抗不透明層、及び流れ抵抗不透明層の上に重なる画像適合層を含む。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、3.3部アクリルラテックス(「Rhoplex SP−100」としてペンシルベニア州フィラデルフィア所在の「Rohm & Haas」から入手可能)及び2.0部カオリンクレイ(「Ultrawhite 90」としてニュージャージー州イーゼリン所在の「Engelhard」から入手可能)の混合物を水性分散剤として紙に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。接着剤層は、坪量42.5g/m2で剥離層上に押出被覆したエチレンメタクリル酸コポリマー(「Nucrel 599LG」としてデラウェア州ウィルミントン所在の「DuPont」から入手可能)であった。流れ抵抗不透明層は、4.0部二酸化チタン(「RPD Vantage」として「DuPont」から入手可能)、10.9部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」としてオハイオ州シンシナチ所在の「Michelman Inc.」から入手可能)、0.2部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」としてミシガン州ミッドランド所在の「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び0.4部アジリジン架橋剤(「Xama 7」としてニュージャージー州バーミンガム所在の「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として接着剤層上に被覆し、坪量30g/m2まで乾燥させたものであった。画像適合層は、0.1部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、平均粒子径約8ミクロンまで超微粉砕した1.9部1,4シクロヘキサンジベンゾエート(「Benzoflex 352」としてイリノイ州ローズモント所在の「Velsicol Chemical Corporation」から入手可能)、2.4部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、4.9部粉末ポリアミド(「Orgasol 3510 EXD」としてペンシルベニア州フィラデルフィア所在の「Atofina Chemicals Inc.」から入手可能)、0.19部アジリジン架橋剤(「Xama 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)、0.02部非イオン性界面活性剤(「Tergitol 15−S−40」としてニュージャージー州マウントオリーブ所在の「BASF Corporation」から入手可能)、0.18部ポリエチレンオキシド(「Polyox N60」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、0.24部ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(「Glascol F207」としてニューヨーク州タリタウン所在の「Ciba Specialty Chemicals」から入手可能)、及び0.10部ヒドロキシプロピルセルロース(「Klucel G」としてデラウェア州ウィルミントン所在の「Hercules、Inc.」から入手可能)の混合物を流れ抵抗不透明層上に水性分散剤として被覆し、坪量19.5g/m2まで乾燥させたものであった。
【0056】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、坪量42.5g/m2で剥離層上に押出被覆されたエチレンメタクリル酸コポリマーであった。
【0057】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙は、標準970インクジェットプリンタで画像化された。安全ナイフを用いて、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムのいくつかの不要部分を除去した。詳細には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の下にある層を通して切断することなく、不要部分の周りにスリットを入れた。不要部分を印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙から剥離し、転写するのに望ましい「草抜き」画像化区域を残す。残りの画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、次に、2つの熱転写紙を互いに相対するそれぞれの転写フィルムと共に175℃で15秒間、圧力を7に設定した標準加熱プレス(ペンシルベニア州メーソンタウン所在の「Stahls’Hotronix」から入手可能な「Hotronix XSW型」)に入れることによりオーバーレイ熱転写紙に転写した。その後、サンプルは、剥離して分離され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む画像化部分をオーバーレイ熱転写紙に転写した。次に、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが付着したオーバーレイ熱転写紙を黒色の綿100%Tシャツ材料の上に下に向けて配置し、175℃で圧力設定を7にした加熱プレスで30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ熱転写層紙ベース層及び剥離層を布から剥離し、転写された画像及び転写層を布に付着させて残した。その結果、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムから転写された比較的肉厚の光沢のあるオーバーレイコーティングを有する画像化された布がもたらされた。光沢のあるオーバーレイコーティングは、剥離可能転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から草抜きされた背景区域でさえも明らかであった。
【実施例2】
【0058】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Chemical Co.」から入手可能)及び50部20,000分子量ポリエチレングリコール(「Carbowax 20M」として「Dow Chemical Company」から入手可能)の混合物を水性分散剤として剥離層に被覆して坪量6.8g/m2まで乾燥したものであった。
【0059】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から草抜きされた背景区域へのオーバーレイ転写フィルムの転写に対するオーバーレイ熱転写紙の感受性を試験するために、オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムと共に黒色の綿100%Tシャツ材料上に下向きに置かれ、175℃の加熱プレスで30秒間加熱された。冷却後、オーバーレイ熱転写紙は、布から剥離された。オーバーレイ転写フィルムは、布を被覆する比較的薄く光沢のあるオーバーレイとして布に転写された。しかし、薄くて光沢のあるオーバーレイコーティングは、布を水に数秒間浸漬後には容易に除去された。
【実施例3】
【0060】
オーバーレイ転写フィルムを坪量3.4g/m2で剥離層上に被覆したことを除き、実施例2のオーバーレイ熱転写紙を説明した通りに調製した。実施例2に説明した通りに転写工程が完了した後に、得られる布は、オーバーレイ熱転写紙から転写されたオーバーレイ転写フィルムの小斑点しか持たないものであった。小斑点は、材料を最初に洗濯する時に容易に除去された。
【実施例4】
【0061】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部粉末ポリエチレンワックス(「Micropowders MP 635 G」としてニューヨーク州タリタウン所在の「Micro Powders、Inc.」から入手可能)と、10部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)と、3部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と、2部ポリエチレンオキシド(「Polyox N 80」として「Dow Chemical Company」から入手可能)との混合物を水性分散剤として剥離層に被覆して乾燥したものであった。非イオン性界面活性剤は、粉末ポリエチレンワックスのための分散剤であり、ポリエチレングリコールは増粘剤である。オーバーレイ転写フィルムの坪量のみが4.1g/m2、8.3g/m2、及び12.4g/m2と異なる3つのバージョンのオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0062】
オーバーレイ熱転写紙の各バージョンのサンプルに対して、実施例2に説明した転写工程によって暗いTシャツ布のサンプルを調製した。4.1又は8.3g/m2オーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙のバージョンを用いる場合には、転写工程が完了した後に、得られる布には、オーバーレイ転写フィルムが全く存在しなかった。12.4オーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙のバージョンでは、得られる布には、微量のオーバーレイ転写フィルムしか転写されなかった。
【実施例5】
【0063】
上の実施例1に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に付加的に説明したように草抜きした。上の実施例2に説明したように、オーバーレイ転写フィルムの坪量が8.3g/m2であるオーバーレイ熱転写紙のサンプルをオーバーレイ熱転写材料として用いるために調製した。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明した転写工程によってオーバーレイ熱転写紙に転写し、その後、暗いTシャツ布に転写した。得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによりも被覆された良好に転写された画像を有していた。更に、草抜きされた背景区域では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写することは無かった。画像化された布を冷水洗濯サイクルで洗濯洗剤を用いて10回洗濯して乾燥しても、非常に良好な結果が得られた。
【実施例6】
【0064】
上の実施例1に説明したような印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を「Canon 700」カラーコピー機で画像化し、上の実施例1に説明するように草抜きした。オーバーレイ熱転写材料として用いるために上の実施例5に説明したようなオーバーレイ熱転写紙のサンプルを調製した。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によりオーバーレイ熱転写紙に転写し、その後、暗いTシャツ布に転写した。得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有していた。更に、草抜きされた背景区域では、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写することは無かった。画像化された布を冷水洗濯サイクルで洗濯洗剤を用いて10回洗濯して乾燥しても、非常に良好な結果が得られた。
【実施例7】
【0065】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を調製した。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層の上に重なる接着剤層、接着剤層の上に重なる流れ抵抗不透明層、及び流れ抵抗不透明層の上に重なる画像適合層を含む。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、3.3部アクリルラテックス及び2.0部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。接着剤層は、坪量28.4g/m2で剥離層上に押出被覆したエチレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンメタクリル酸コポリマーを覆って坪量14.2g/m2で共押出ししたエチレンアクリル酸コポリマー(「Primacor 5980−l」として「Dow Chemical Company」から入手可能)であった。流れ抵抗不透明層は、3.9部二酸化チタン、0.04部ポリアクリル酸分散剤(「Tamol 731」として「Rohm and Haas Company」から入手可能)、10.9部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、0.2部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び0.4部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として接着剤層上に被覆し、坪量30g/m2まで乾燥させたものであった。画像適合層は、0.3部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、平均粒径約8ミクロンまで超微粉砕した1.7部1,4シクロヘキサンジベンゾエート、3.1部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、4.4部粉末ポリアミド(「Orgasol 3510 EXD」として「Atofina Chemicals Inc.」から入手可能)、0.4部ポリアミンカチオンポリマー(「APC−M1」としてニュージャージー州カールスタット所在の「Advanced Polymers」から入手可能)、0.2部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)、及び0.2部ポリエチレンオキシド(「Polyox N80」として「Dow Chemical Company」から入手可能)の混合物を流れ抵抗不透明層上に水性分散剤として被覆し、坪量19.5g/m2まで乾燥させたものであった。
【0066】
ベース層、ベース層の上に重なる共形層、共形層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。共形層は、坪量35.0g/m2でベース層上に押出被覆されたエチレンビニルアセテート(「Elvax 3200」として「DuPont」から入手可能)であった。剥離層は、186部アクリルラテックス、0.2部シリコーングリコールコポリマー超湿潤剤(「Dow Q2−5211」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、3.7部シリコーン剥離剤(「Dow S−190」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、18.6部の分子量8,000のポリエチレングリコール(「Carbowax 8000」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び11.2部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として共形層上に被覆し、坪量8.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部粉末ポリエチレンワックス(「Micropowders MP 635 G」として「Micro Powders、Inc.」から入手可能)を3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したものと、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥したものであった。
【0067】
上述のような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程によって草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例1〜実施例6に用いたオーバーレイ熱転写紙を除去した力よりも小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、時折、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。転写が成功すると、得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。しかし、草抜き背景区域又は画像化区域の縁部では、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムが布にも転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
【実施例8】
【0068】
オーバーレイ転写フィルムが、100部粉末ポリエチレンワックス(3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したもの)と、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)と、2部シリコーン剥離剤との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥したものであることを除き、上の実施例7に説明したようにオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0069】
上の実施例7に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程に従って草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例7に用いたオーバーレイ熱転写紙を除去した力よりも小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、多くの場合に、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。しかし、実施例7の印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の他のサンプルを用いて、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化後に裏当て層から草抜きすることなく除去され、その後、暗いシャツ材料上に画像側を上に向けて置かれた。オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに向くように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に置かれ、その後、175℃で30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ裏当てを除去した。得られる布は、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。画像化区域の縁部では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
【実施例9】
【0070】
オーバーレイ転写フィルムが、100部粉末ポリエチレンワックス(3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したもの)と、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥させたものであることを除き、上の実施例7に説明したようにオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0071】
上の実施例7に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程に従って草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例7に用いたオーバーレイ紙を除去した力よりも僅かに小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、時に、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。しかし、実施例7の印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の他のサンプルを用いて、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化後に裏当て層から草抜きすることなく除去され、その後、暗いシャツ材料上に画像側を上に向けて置かれた。オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに向くように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に置かれ、その後、175℃で30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ裏当てを除去した。得られる布は、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。画像化区域の縁部では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明に様々な修正又は変形を行うことができることを当業者は認めるべきである。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物に該当するようなこのような修正及び変形を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明によって作られた印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の部分断面図である。
【図2】本発明によって作られたオーバーレイ熱転写材料の部分断面図である。
【図3a】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3b】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3c】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3d】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3e】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3f】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図4a】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4b】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4c】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4d】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4e】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10 印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料
12 剥離層
14 裏当て層外面
16 転写フィルム外面
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像外観及び耐久性に優れる熱転写紙及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Tシャツ、トレーニングシャツなどのような衣服物品上に顧客選択のデザイン、メッセージ、イラストなど(以下、総称して「画像」と呼ぶ)を付加することに関連する重要な産業が成長している。これらの画像は、特定の最終用途に合わせて作られて剥離紙又は転写紙上に印刷された市販製品とすることができ、又は顧客が熱転写紙上に画像を生成することができる。画像は、熱及び圧力によって衣服物品に転写され、その後、剥離紙又は転写紙が取り除かれる。
【0003】
ワックス系のクレヨン、感熱式プリンタリボン、インクジェットプリンタ、レーザジェットプリンタ、及びインパクトリボン又はドットマトリックスプリンタによって作られた画像に対する受容性が向上した熱転写紙は、当業技術で公知である。一般的に、熱転写材料は、セルロースベースシート及びベースシート表面上の画像受容コーティングを含む。画像受容コーティングは、通常は、コーティングの転写性及び印刷性を向上させるために、1つ又はそれよりも多くのフィルム形成ポリマー結合剤、並びに他の添加剤を含有する。他の熱転写材料は、セルロースベースシート及び画像受容コーティングを含み、この画像受容コーティングは、溶融押出しにより又はフィルムをベースシートに積層することによって形成される。コーティング又はフィルムの表面は、その後、例えば、被覆されたベースシートをエンボス加工ロールに通すことによって粗面処理することができる。
【0004】
基体に対する画像担持積層体(コーティング)の転写性を全体的に向上させることに多くの努力が向けられてきた。例えば、米国特許第5,798,179号には、改良型冷間剥離可能熱転写材料が説明されており、これは、画像担持積層体の転写直後に(熱間剥離可能熱転写材料)、又はその後暫くして積層体が冷えた時に(冷間剥離可能熱転写材料)ベースシートの除去を可能にするものである。更に、転写した積層体の亀裂抵抗性及び耐洗浄性を向上させるために更に努力が向けられている。転写した積層体は、亀裂又は退色を起こすことなく複数の洗濯サイクル及び通常の「摩滅」に耐えることができるべきである。
【0005】
転写積層体及びそれを含む衣服物品の全体的な品質を向上させようとして、様々な技術が用いられてきた。例えば、衣服物品上の画像担持積層体の亀裂抵抗性及び耐洗浄性を向上させるために、熱転写材料のコーティングに可塑剤及びコーティング添加剤が添加されてきた。
また、フィルムを画像化した後であるが画像を基体に転写する工程の前に熱転写材料から剥離可能な転写フィルムを含む熱転写材料も開発されてきた。画像化された熱転写材料が画像を基体に転写するために画像側を下にして基体に対して置かれる時に起こる画像反転の問題を解決するために、フィルムが基体に付着する前に、画像化された剥離可能転写フィルムを除去することが試みられている。それはまた、それが剥離可能転写フィルムの画像化表面の背部に不透明層を配置させるために、画像を暗い基体に付加する方法に関する問題を解決することを試みるものである。剥離可能転写フィルムにより、画像側を上にして画像化フィルムを基体に対して置くことができる。永久的にフィルムを基体に固定するために用いる熱及び圧力の印加中に、画像化フィルムの上に保護シートを用いることができる。しかし、画像がフィルムの外側層上にあるために、インク又は他の媒体が転写後に露出しやすい。画像媒体が露出すると、洗浄性及び摩耗性に関する特性が不良になる可能性がある。これは、インクをフィルムに浸み込ませるインク受容層を用いることにより部分的に解決することができる。しかし、インクがフィルム内に浸み込むと、転写の明度が減少し、「チョーク状」や「洗い落ち」のように見えるか、又はあまり鮮明に見えなくなる場合がある。
従って、当業技術では、画像外観及び耐久性に優れる熱転写紙及び付加方法が依然として必要とされている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,798,179号
【特許文献2】米国特許出願第10/003,697号
【特許文献3】米国特許第5,501,902号
【特許文献4】米国特許第6,033,739号
【特許文献5】米国特許第5,342,739号
【特許文献6】米国特許出願第09/614,829号
【特許文献7】米国特許第6,200,668号
【特許文献8】米国特許第6,428,878号
【特許文献9】米国特許出願第10/750,387号
【発明の開示】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、a)第1のベース層及び印刷可能層を含む第1の熱転写材料の印刷可能層を画像化して、画像化印刷可能層を作成する段階、b)画像化印刷可能層を第1のベース層から分離する段階、c)第2のベース層及びオーバーレイ転写フィルムを含む第2の熱転写材料と画像化印刷可能層とを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化印刷可能層及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。転写する段階は、熱及び圧力を第2の熱転写材料に印加することによって実行することができる。熱及び圧力の印加は、例えば、手でアイロンを掛けることによるか、又は加熱プレスを用いることによって実行することができる。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、a)第1のベース層及び印刷可能層を含む第1の熱転写材料の印刷可能層を画像化して、画像化印刷可能層を作成する段階、b)第2のベース層及びオーバーレイ転写フィルムを含む第2の熱転写材料を画像化印刷可能層の上に重ねる段階、c)画像化印刷可能層を第1の熱転写材料に転写する段階、及びd)画像化印刷可能層及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。
本発明の更に別の実施形態によれば、a)画像化フィルムとオーバーレイ転写フィルムを含む熱転写材料とを基体に隣接して位置決めする段階、及びb)画像化フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、画像を基体に付加する方法が開示される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む第1の熱転写材料と、オーバーレイ転写フィルムを含む第2の異なる熱転写材料とを含む熱転写材料キットが開示される。第1及び第2の熱転写材料は、使用者にそれらを区別させるためにラベル付けすることができる。キットは、同数の第1及び第2の熱転写材料を含むことができ、又は第1の熱転写材料を第2の熱転写材料よりも多く含むこともできる。キットは、更に、少なくとも1つの耐粘着性オーバーレイ材料を含むことができる。耐粘着性オーバーレイ材料は、シリコン被覆オーバーレイ材料とすることができる。オーバーレイ転写フィルムは、約65℃〜約180℃の範囲で溶融するポリマーを含むことができる。更に、オーバーレイ転写フィルムは、フィルム形成結合剤を含むことができる。更に、画像受容転写フィルムは、粉末熱可塑性ポリマーを含むことができる。
【0010】
1つの態様では、第1の熱転写材料は、更に、ベース層と、ベース層の上に重なり、かつ印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの下に重なる剥離層とを含むことができる。剥離層は、例えば、転写温度約177℃で本質的に粘着性がないポリマー、及び架橋ポリマーなどを含むことができる。望ましくは、剥離層は、アクリルポリマー及びポリ(ビニルアセテート)などから成る群から選択されたポリマーを含むことができる。
【0011】
望ましくは、剥離層及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、第1の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている。このような冷間剥離特性は、剥離層に有効量の剥離強化添加剤を用いることにより付与することができる。剥離強化添加剤は、例えば、脂肪酸の二価金属イオン塩、ポリエチレングリコール、シリコーン界面活性剤、及びその混合物などを含むことができる。より詳細には、剥離強化添加剤には、例えば、ステアリン酸カルシウム、分子量が約2,000〜約100,000のポリエチレングリコール、シロキサンポリエーテル界面活性剤、及びその混合物などを含むことができる。
別の態様では、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、更に、フィルム形成結合剤と粉末熱可塑性ポリマーとを含む印刷可能なインク適合層を含むことができる。フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融することが望ましい。
【0012】
更に別の態様では、第2の熱転写材料は、更に、ベース層と、ベース層の上に重なり、かつオーバーレイ転写フィルムの下に重なる剥離層とを含むことができる。剥離層は、例えば、転写温度約177℃で本質的に粘着性がないポリマー及び架橋ポリマーなどを含むことができる。望ましくは、剥離層は、アクリルポリマー及びポリ(ビニルアセテート)などから成る群から選択されたポリマーを含むことができる。
望ましくは、剥離層及びオーバーレイ転写フィルムは、第2の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている。このような冷間剥離特性は、第1の熱転写材料に対して上述したように、剥離層に有効量の剥離強化添加剤を用いることにより付与することができる。
【0013】
更に別の態様では、a)1枚の第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料の残りの部分から分離する段階、c)1枚の第2の熱転写材料及び画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法が開示される。
【0014】
別の態様では、a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階、b)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に第2の熱転写材料の1つを重ねる段階、c)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを第1の熱転写材料に転写する段階、及びd)画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階を含む、キットを使用する方法が開示される。
本発明の他の特徴及び態様を以下でより詳細に説明する。
当業者に向けられた最良の態様を含む本発明の完全かつ実施可能な開示内容は、添付図面を参照する本明細書の残りでより詳細に示されている。
本明細書及び図面に参照符号を繰返して用いるが、これは、本発明の同じか又は類似の特徴又は要素を表すものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
ここで、1つ又はそれよりも多くの実施例が本明細書に挙げられている本発明の実施形態を以下で詳細に参照する。各実施例は、本発明を説明するために挙げたものであり、本発明を制限するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示されるか又は説明される特徴を別の実施形態と共に用いて更に別の実施形態を生成することができる。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物に含まれるこのような修正及び変形を含むものとする。
【0016】
定義
本明細書で用いる場合、「印刷可能」という用語は、例示的に、直接及びオフセットグラビア印刷プリンタ、シルクスクリーン印刷、タイプライタ、レーザプリンタ、ドットマトリックスプリンタ、及びインクジェットプリンタのようなあらゆる手段により材料上に画像を配置することを可能にすることを含むように意味する。更に、画像組成物は、印刷工程で一般的に用いられるインク又は他の組成物のいずれかとすることができる。
【0017】
「インクジェット印刷可能」という用語は、インクジェットプリンタにより、材料、例えば、紙上に画像を形成することができることを意味する。インクジェットプリンタでは、インクが小さなノズル(又は一連のノズル)を通して押し込まれて液滴を形成する。液滴は、電気的に荷電し、反対に荷電した紙の背部のプラテンに引き付けることができる。電気的に制御した偏向板により、液滴の軌道は、紙上の望ましい地点に当たるように制御することができる。用いられなかった液滴は、紙から偏向されてリザーバに入り再利用される。別の方法では、液滴は、プリントヘッドが紙を走査する時に、加熱により小さなインクリザーバからオンデマンドで排出されて気泡を形成する。
「分子量」という用語は、文脈から別の意味が明らかであるか又はこの用語がポリマーのことを意味しない限り、重量平均分子量を意味する。分子量の単位は、時に「ダルトン」と呼ばれる原子質量単位であるということが長い間理解され、かつ受け入れられてきた。その結果、現在の文献では単位が付与されることは稀である。従って、この慣習により本明細書では分子量に単位を表さない。
【0018】
本明細書で用いる場合、「セルロース不織ウェブ」という用語は、重量で少なくとも約50パーセントのセルロース繊維を含有するあらゆるウェブ又はシート状材料を意味する。セルロース繊維に加え、このウェブは、他の天然繊維、合成繊維、又はその混合物を含むことができる。セルロースの不織ウェブは、比較的短い繊維を空気堆積又は湿式堆積してウェブ又はシートを形成することにより調製することができる。従って、この用語には、製紙用完成紙料から調製された不織ウェブが含まれる。このような完成紙料は、セルロース繊維のみを含むことができ、又はセルロース繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維の混合物を含むことができる。また、完成紙料は、製紙技術で公知のように、充填剤、例えばクレイ及び二酸化チタン、界面活性剤、消泡剤などのような添加剤、及び他の材料を含むことができる。
【0019】
本明細書で用いられる時の「硬質アクリルポリマー」という用語は、一般的に、ガラス転移温度(Tg)が少なくとも約0℃のあらゆるアクリルポリマーを意味するものとする。例えば、Tgは、少なくとも約25℃とすることができる。別の例では、Tgは、約25℃〜約100℃の範囲とすることができる。硬質アクリルポリマーは、一般的に、アクリレート又はメタクリレートエステルの混合物又はその両方を付加重合することによって形成されたポリマーであることになる。これらのモノマーのエステル部分は、例えば、メチル、エチル、及びブチル基のようなC1−C6アルキル基とすることができる。メチルエステルは、一般的に「硬質」特性を付与し、他のエステルは、一般的に「軟質」特性を付与する。「硬質」及び「軟質」という用語は、それぞれ、室温の硬さ及び低温の可撓性を意味するために定性的に用いられる。軟質ラテックスポリマーのガラス転移温度は、一般的に約0℃未満である。これらのポリマーは、容易に流れすぎて、転写するのに熱及び圧力が用いられると布に結合する傾向がある。すなわち、ガラス転移温度は、ポリマーの硬さとかなり良好に相関する。
【0020】
本明細書で用いる場合、「冷間剥離特性」という用語は、画像が布又は別の熱転写紙のような基体に転写された状態で、熱転写材料が周囲温度まで冷却された後に裏当て又は担体シートを基体から容易にきれいに取り除くことができることを意味する。すなわち、冷却後には、裏当て又は担体シートは、除去に抵抗が伴うことなく、担体シート上に画像の一部分を残すことなく、転写画像コーティングを不完全にすることもなく、画像が転写された基体から剥離することができる。
【0021】
詳細な説明
本発明は、第1及び第2の適合した熱転写材料に関する。第1の熱転写材料には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが含まれる。第2の熱転写材料には、冷間剥離特性を有するオーバーレイ転写フィルムが含まれる。
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料
図1には、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10の部分断面が示されている。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10には、裏当て層外面14を有する裏当て層又はベース層11と、裏当て層の上に重なる剥離層12と、剥離層の上に重なり、転写フィルム外面16を有する印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13とが含まれる。転写される画像(図示せず)を印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム外面16に付加する。任意的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが時期尚早に層間剥離しないように剥離層と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムとの間の接着性を改善するためのタイコート層(図示せず)を更に含むことができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む熱転写材料の例は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、2001年10月31日にKronzerにより出願された米国特許出願第10/003,697号に開示されている。
【0022】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の裏当て層又はベース層は、可撓性があり、第1及び第2の表面を有する。裏当て層は、一般的に、フィルム又はセルロース不織ウェブであることになる。可撓性に加え、裏当て層は、それを製造するのに伴う取扱い、コーティング、シーチング、他の作業に対して及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを転写した後に除去するのに十分な強度を有するべきである。ベース層の坪量は、一般的に、約30〜約150g/m2で種々にすることができる。例示的に、裏当て層又はベース層は、熱転写紙を製造するのによく用いられるような紙とすることができる。一部の実施形態では、裏当て層は、例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている米国特許第5,798,179号に説明されているようなラテックス含浸紙であることになる。裏当て層は、当業者に公知の方法により容易に調製される。
【0023】
剥離層又はコーティングは、裏当て層の第1の表面の上に重なる。剥離コーティングは、剥離可能貼紙、マスキングテープなどを製造する技術分野で公知の様々な材料で製造することができる。例えば、シリコーンポリマーは、非常に有用であり公知である。更に、アクリル、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルのような多くの種類のラチス、並びにエチレンビニルアセテートコポリマー、アクリルコポリマー、塩化ビニルアクリル、ビニルアセテートアクリルなどのような多くのコポリマーラチスを用いることができる。いくつかの場合では、米国特許第5,798,179号に説明されているように、石鹸、洗剤、シリコーンなどのような剥離コーティングに剥離剤を加えることが役に立つであろう。このような剥離剤の量は、次に、望ましく剥離されるように調節することができる。
【0024】
必要に応じて、剥離コーティング層は、加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤、流動制御剤などのような他の添加剤を含むことができる。剥離コーティングの厚さは決定的に重要ではない。正常に機能させるためには、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムと剥離コーティングの間の結合は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを裏当てから除去するのに約0.01〜0.3ポンド/インチの力が必要であるようなものである。力が大きすぎる場合、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、除去された時に破れることもあり、延伸して変形することもある。小さすぎる場合、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、材料をシートに加工する時に又はプリンタ内で外れることがある。
【0025】
剥離コーティング層の層厚は、以下に限定されるものではないが、被覆される裏当て層、及びそれに一時的に結合される印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含むいくつかの因子に依存してかなり変動する。一般的に、剥離コーティング層の厚さは、約2ミル(52ミクロン)未満である。より望ましくは、剥離コーティング層の厚さは、約0.1ミル〜約1.0ミルである。より望ましくは、剥離コーティング層の厚さは、約0.2ミル〜約0.8ミルである。
また、剥離コーティング層の厚さは、坪量によって説明することができる。望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約45g/m2未満である。より望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約25g/m2〜約2g/m2である。より望ましくは、剥離コーティング層の坪量は、約15g/m2〜約4g/m2である。
【0026】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料には、剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが更に含まれる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、望ましくは熱及び圧力を印加した後に布に永久的に結合する剥離層の上に重なる接着剤層が含まれる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、任意的に、望ましくは転写工程の間に布に浸み込まずにその表面に留まる接着剤層の上に重なる別の流れ抵抗性(加熱時)層を含むことができる。更に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、任意的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の外側に別の画像受容コーティングを含むことができる。
【0027】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、基体に永久的に転写されることになる画像を印刷することができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像が、基体の表面から離れた方を向いて基体に転写することができるように、剥離層から剥離可能である。転写方法が独立フィルムを使用する方法、すなわち、裏当てに取り付けられている時に印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを印刷し、その後、転写される前に除去する方法である場合には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さを十分にして、印刷後に手で扱うことができ、延伸又は破ることなく裏当てから剥離することができるようにすべきである。しかし、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが厚すぎるか又は硬すぎる場合には、転写後に布に過剰な硬さが付与されることになる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さが約0.8〜約3ミルであればこれらの要件を満たすが、フィルムの厚さは、約1.2〜約2.5ミルであることが望ましい。有用とすることができる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの範囲は、転写方法が、第1の熱転写材料の表面に印刷し、その後、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをオーバーレイ転写材料に転写し、次に、組み合わせたフィルムを基体に転写する方法であれば、かなり広がることになる。この方法では、固定されていないフィルムを手で扱うことは必要でない。実際、この印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さは、約0.1ミル程の薄さにすることができると予想されている。
【0028】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像、染料、又は顔料が下に重なる層に浸み込むことを実質的に防ぐことが望ましい。布に転写されると、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、印刷された画像が布に浸み込むことを実質的に防ぐことが望ましい。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、転写後に、布上で非常に耐久性及び耐洗浄性がある画像担持表面になることが望ましい。更に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの組成物は、インクジェット、レーザジェット、熱転写、静電トナー転写、及び他を含む画像を印刷するための様々な印刷法に合わせて特注することができる。
【0029】
暗い色の布に装飾するためには、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、不透明化剤を更に含むことができる。暗い色の布を装飾するために熱転写材料の不透明化層を用いることは、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている。不透明化剤は、剥離可能かつ印刷可能な転写フィルムが比較的不透明になるように光をその界面で散乱させる粒子状材料である。望ましくは、不透明化剤は白色であり、粒径及び密度が光散乱に十分に適しているものである。このような不透明化剤は、グラフィックアートの技術者には公知であり、これには、酸化アルミニウム及び二酸化チタンのような金属又はポリスチレンのようなポリマーの粒子が含まれる。各場合において必要な不透明化剤の量は、望む不透明度、不透明化剤の効率、及び印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの厚さによって決まることになる。例えば、1ミル厚のフィルム内にほぼ20パーセントのレベルの二酸化チタンがあれば、黒い布材料を装飾するのに適切な不透明性が生じる。二酸化チタンは、非常に効率的な不透明化剤であり、他の種類では、同じ結果を得るのに投入量を多くすることが一般的に必要である。
【0030】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、接着剤層が含まれる。接着剤層は、例えば、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている剥離可能な非架橋フィルム層とすることができる。接着剤層により、熱及び圧力が印加された後に布に永久的な結合がもたらされる。接着剤層は、溶融して、装飾する基体の表面に適合することができるあらゆる材料を含むことができる。多くの種類のポリマーフィルムにより、望ましい結合を得ることができる。例示的な材料には、ポリオレフィン、及びオレフィンと、ビニルアセテート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルエステル、スチレン、及びその他のような他のモノマーとのコポリマーが含まれる。フィルムを形成する他の種類の有用なポリマーには、ポリアミド、ポリエステル、及びポリウレタンが含まれる。また、接着剤層の溶融温度及び/又は軟化温度は、約205℃未満であることも望ましい。「溶融する」という用語及びその変形は、本明細書では定性的な意味でのみ用いられ、何ら特定の試験手順をいうものではない。本明細書で溶融温度又は範囲を参照する場合には、本明細書に説明する溶融転写工程の条件下でポリマーが溶融して流れ、実質的に滑らかなフィルムになる大体の温度又は範囲を示すことだけを意味する。そうする際に、このような材料は、画像が転写される布の繊維マトリックスに少なくとも部分的に流入することができる。十分に溶融して結合させるために、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムのメルトフローインデックスは、「ASTM」の「D1238−82」を用いて判断すると、望ましくは、約800未満である。より望ましくは、接着剤層のメルトフローインデックスは、約0.5〜約800、軟化温度は、約65℃〜約150℃である。より望ましくは、接着剤層のメルトフローインデックスは、約2〜約600、軟化温度は、約90℃〜約120℃である。接着剤層は、上述のように不透明化剤を含むことができる。
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、流れ抵抗層を含むことができる。流れ抵抗層は、熱で軟化する場合があるが、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが布に転写される時に、感知することができるほど布に流入しない。流れ抵抗層の厚さは、ほぼ0.4〜約2ミルであることが望ましい。
【0031】
一実施形態では、流れ抵抗層には、架橋ポリマーが含まれる。剥離可能な熱転写フィルムに架橋層を用いることは、2001年10月31に出願された米国特許出願第10/003,697号に詳細に説明されている。架橋ポリマーは、架橋可能ポリマーの結合剤及び架橋剤で形成することができる。架橋剤は、架橋可能ポリマーの結合剤と反応して三次元のポリマー構造を形成する。一般的に、反応して三次元のポリマー構造を形成するあらゆる対のポリマー結合剤及び架橋剤を用いることができるように考えられている。用いることができる架橋可能ポリマーの結合剤は、架橋して三次元のポリマー構造になることができるあらゆるものとすることができる。望ましい架橋結合剤には、反応性カルボキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を含む例示的な架橋結合剤には、アクリル、ポリウレタン、エチレンアクリル酸コポリマーなどが含まれる。他の望ましい架橋結合剤には、反応性ヒドロキシル基を含有するものが含まれる。カルボキシル基を有する結合剤を架橋するのに用いることができる架橋剤には、多官能性アジリジン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、オキサゾリン官能性ポリマーなどが含まれる。ヒドロキシル基を有する結合剤を架橋するのに用いることができる架橋剤には、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アミンエピクロルヒドリン、多官能性イソシアネートなどが含まれる。
【0032】
別の実施形態では、流れ抵抗層には、ポリマー及び粒子状材料を含むことができる。粒子状材料は、ポリマー及び粒子状材料が布に流入せずに布の表面上にフィルムを形成するように、転写温度でポリマーの粘性を上げる量で存在することが望ましい。粒子状材料は、重量で約20パーセント〜約70パーセントで流れ抵抗層に存在することが望ましい。粒子状物質には、例えば、セルロース粒子、シリカ粒子、クレイ粒子などを含むことができる。一実施形態では、シリカ粒子は、重量で約33パーセント〜約66パーセント、より望ましくは、重量で約40パーセント〜約60パーセント、更に望ましくは、重量で約45パーセント〜約55パーセントで流れ抵抗層に存在する。
流れ抵抗層には、界面活性剤、分散剤、及び粘性調整剤のような加工助剤を含めることができる。更に、流れ抵抗層は、上述の不透明化剤を含有することができる。流れ抵抗層が不透明化剤を含有する場合には、転写中に流れ抵抗層が布の表面に浸み込まないために、少量の不透明化剤しか必要とされないであろう。
【0033】
上述のように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像受容コーティングを更に含むことができる。画像受容コーティングは、特定の印刷方法を用いて印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム上に画像を生成することになる場合に用いられることが多い。このような画像受容コーティングは、2001年10月31日出願の米国特許出願第10/003,697号に説明されている。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをインクジェット印刷可能にするために、画像受容コーティングは、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、米国特許第5,798,179号、第5,501,902号、及び第6,033,739号に説明されているものに非常に類似するであろう。これらのコーティングには、熱可塑性粒子、結合剤、及びカチオン樹脂、並びにインク粘性調整剤が含まれ、これらは、布に転写するための従来のインクジェット印刷用途に有用である。このようなコーティングには、流れ抵抗層に関して上述したように、転写が行われた時に表面上に保持されることになるように架橋剤を加えることができる。他の画像化法に用いる場合には、要件が僅かに異なっている。静電印刷では、インク吸収性のための粉末ポリマー、カチオンポリマー、又はインク粘性調整剤が必要でないために、アクリル又はポリウレタン結合剤及び架橋剤で十分であろう。代替的に、架橋コーティングに滑剤及び帯電防止剤を加えて、プリンタにシートが確実に給紙されるようにすることができる。米国特許第5,342,739号に説明されているような感熱式印刷又はクレヨンマーク付けコーティングでは、これらのコーティングは、架橋剤を加えることにより改質することができる。
【0034】
フィルム形成結合剤に基づく層は、ロール、ブレード、「Meyer」ロッド、及びエアナイフコーティング手順のような公知のコーティング技術により所定の層上に形成することができる。次に、得られる熱転写材料は、例えば、蒸気加熱ドラム、圧搾空気、放射加熱、又はその何らかの組合せにより乾燥させることができる。溶融押出し層は、スクリューを通してスロットダイ内に溶融ポリマーを押出す押出塗工機で付加することができる。フィルムは、スロットダイを出て、重力により熱転写材料上に流れる。得られる被覆した材料は、ニップを通過して押出フィルムを冷却し、これを下に重なる層に結合させる。粘性の小さいポリマーでは、溶融ポリマーは、独立フィルムを形成しない場合がある。このような場合には、被覆される材料は、スロットダイに接触させるように誘導することができ、又はロールを用いて浴から溶融ポリマーを熱転写材料に転写させることができる。
【0035】
最後に、タイコート層は剥離層の上に重なり、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの下に重なり、これによって剥離層と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムとの間に位置することができる。一般的に、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがフィルム形成結合剤で形成される場合には、タイコート層は必要ではない。しかし、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが溶融押出フィルムである場合には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層に良好に接着しないであろう。接着が不良であれば、結果的に印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが剥離層から時期尚早に層間剥離する場合がある。このような場合の層間剥離を防ぐために、タイコート層が望ましい。一般的に、タイコート層は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融するフィルム形成結合剤を含むことができる。更に、タイコート層は、粉末熱可塑性ポリマーを含むこともできる。
必要に応じて、上述のフィルム層は、いずれも加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤などのような他の材料を含むことができる。これら及び同様の材料を用いることは、当業者には公知である。
【0036】
オーバーレイ熱転写材料
図2には、オーバーレイ熱転写材料20の部分断面図が示されている。オーバーレイ熱転写材料20には、裏当て層外面24を有する裏当て層又はベース層21と、裏当て層の上に重なる剥離層22と、剥離層の上に重なり、オーバーレイ転写フィルム外面26を有するオーバーレイ転写フィルム23とが含まれる。任意的に、オーバーレイ熱転写材料20には、裏当て層21と剥離層22の間に共形層(図示せず)を更に含み、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10のオーバーレイ転写フィルム23と印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13との間の接触を容易にすることができる。この種類の共形層を用いることは、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている2000年7月12日出願の米国特許出願第09/614,829号に説明されている。更に別の任意選択肢として、オーバーレイ熱転写材料20は、画像受容層(図示せず)を更に含むことができる。
【0037】
望ましくは、オーバーレイ熱転写材料は、冷間剥離特性を有する。冷間剥離特性を有する熱転写材料は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、例えば、米国特許第6,200,668号、米国特許第5,798,179号、及び第6,428,878号に開示されている。冷間剥離特性を有する他の熱転写材料は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、例えば、同時出願の米国特許出願第10/750,387号、速達番号EL955701798US、整理番号19608に開示されている。
【0038】
オーバーレイ熱転写材料の裏当て層又はベース層は、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の裏当て層に関して上述したようなものとすることができる。オーバーレイ熱転写材料の裏当て層は、可撓性があり、第1及び第2の表面を有する。可撓性のある裏当て層は、一般的に、フィルム又はセルロース不織ウェブであることになる。可撓性に加え、裏当て層は、それを製造するのに伴う取扱い、コーティング、シーチング、他の作業に対して及び転写後に除去するのに十分な強度を有するべきである。例示的に、裏当て層は、熱転写紙を製造するのによく用いられるような紙とすることができる。裏当て層は、当業者に公知の方法により容易に調製される。
【0039】
オーバーレイ転写材料の剥離層は、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の剥離層に関して上述したようなものとすることができる。オーバーレイ転写材料の剥離層は、裏当て層の第1の表面の上に重なる。剥離層の坪量は、一般的に、約2〜約30g/m2で種々とすることができる。一実施形態では、剥離層は、転写温度(例えば、177℃)で本質的に粘着性がない。本明細書で用いる場合、「転写温度で本質的に粘着性がない」という語句は、剥離層が、転写画像の品質に悪影響を及ぼす範囲では、上に重なる転写フィルムに粘着しないことを意味する。例示的に、剥離層には、硬質アクリルポリマー又はポリ(ビニルアセテート)を含むことができる。別の例として、剥離層には、Tgが少なくとも約25℃の熱可塑性ポリマーを含むことができる。別の例として、Tgは、約25℃〜約100℃の範囲とすることができる。適切なポリマーには、例えば、適切なガラス転移温度のポリアクリレート、スチレンブタジエンコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、ニトリルゴム、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアセテート)、エチレンアクリレートコポリマーなどが含まれる。
【0040】
別の実施形態では、剥離層には、架橋ポリマーを含むことができる。架橋ポリマーは、架橋可能なポリマー結合剤及び架橋剤で形成することができる。架橋剤は、架橋可能なポリマー結合剤と反応して三次元ポリマー構造を形成する。一般的に、流れ抵抗層に対して上述したポリマー結合剤及び架橋剤のいずれの対も、オーバーレイ熱転写材料の剥離層に用いることができるように考えられている。
また、剥離層には、有効量の剥離強化添加剤を含むこともできる。例えば、剥離強化添加剤には、脂肪酸の二価の金属イオン塩、ポリエチレングリコール、ポリシロキサン界面活性剤、又はその混合物を含むことができる。より詳細には、剥離強化添加剤には、ステアリン酸カルシウム、分子量が約2,000〜約100,000のポリエチレングリコール、シロキサンポリマーポリエーテル、又はその混合物を含むことができる。
【0041】
上述のように、オーバーレイ転写フィルムは、剥離層の上に重ねられる。オーバーレイ転写フィルムの坪量は、一般的に、約2〜約70g/m2までで様々にすることができる。オーバーレイ転写フィルムは、約65℃〜約180℃の範囲で溶融する熱可塑性ポリマーを含むことが望ましい。オーバーレイ転写フィルムは、次にコーティングが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷表面に転写される時に、画像保護又はオーバーレイコーティングとして機能する。一実施形態では、オーバーレイ転写フィルムは、剥離層を覆ってフィルム形成結合剤のコーティングを付加することにより形成することができる。結合剤には、粉末熱可塑性ポリマーを含むことができ、この場合、オーバーレイ転写フィルムは、重量で約10パーセントよりも多いフィルム形成結合剤及び重量で約90パーセント未満の粉末熱可塑性ポリマーを含むことになる。一般的に、フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃〜約180℃の範囲で溶融することになる。例えば、フィルム形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約80℃〜約120℃の範囲で溶融することになる。更に、粉末熱可塑性ポリマーは、直径約2〜約50マイクロメートルの粒子から成ることができる。
【0042】
一般的に、本明細書に指定する判断基準を満たすあらゆるフィルム形成結合剤を用いることができる。実際問題として、水分散可能エチレンアクリル酸コポリマーは、特に有効なフィルム形成結合剤であることが見出されている。
同様に、粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書に示す判断基準を満たすあらゆる熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレンビニルアセテートコポリマー、又はポリオレフィンとすることができる。
【0043】
フィルム形成結合剤又は粉末熱可塑性ポリマーの溶融挙動に関して製造業者が公開したデータは、本明細書に説明した溶融要件に相関している。しかし、材料の性質によって真の融点又は軟化点が与えられる可能性があることに注意すべきである。例えば、主に線状ポリマー分子から成るこのようなポリオレフィン及びワックスのような材料は、融点未満では多少結晶質であるために、一般的に、比較的狭い温度範囲にわたって溶融する。融点は、製造業者によって与えられない場合には、示差走査熱量測定法のような公知の方法により容易に判断される。多くのポリマー、特にコポリマーは、ポリマー鎖が分枝しているか又は側鎖成分があるために非晶質である。これらの材料は、温度が上昇すると、更にゆっくりと軟化して流れ始める。例えば、「ASTM試験方法E−28」により判断したこのような材料の環球式軟化点は、本発明におけるその挙動を予想するのに有用であると考えられている。更に、説明した融点又は軟化点は、ポリマーの化学的性質よりも本発明における性能の優れた指標である。
【0044】
フィルム形成結合剤に基づく層は、ロール、ブレード、「Meyer」ロッド、及びエアナイフコーティング手順のような公知のコーティング技術により所定の層上に形成することができる。次に、得られる熱転写材料は、例えば、蒸気加熱ドラム、圧搾空気、放射加熱、又はその何らかの組合せにより乾燥させることができる。
代替的に、オーバーレイ転写フィルムは、溶融押出フィルムとすることができる。オーバーレイ転写フィルムを形成する溶融押出フィルムの基準は、一般的に、フィルム形成結合剤に対して上述したものと同じである。溶融押出オーバーレイ転写フィルムを構成するポリマーは、一般的に、約80℃〜約130℃の範囲で溶融することになる。このポリマーのメルトインデックスは、「ASTM試験方法D−1238−82」により判断すると、少なくとも約25g/10分である必要がある。ポリマーの化学的性質は重大でないことが公知である。これらの基準を満たす市販のポリマーの種類には、単に例示的に、エチレン及びアクリル酸のコポリマー、メタクリル酸、ビニルアセテート、エチルアセテート、又はブチルアクリレートが含まれる。用いることができる他のポリマーには、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンが含まれる。望ましいか又は必要に応じて、ワックス、可塑剤、流動調整剤、酸化防止剤、帯電防止剤、粘着防止剤、剥離剤、及び他の添加剤を含めることができる。
【0045】
溶融押出し層は、スクリューを通してスロットダイ内に溶融ポリマーを押出す押出塗工機で付加することができる。フィルムは、スロットダイを出て、重力により熱転写材料上に流れる。得られる被覆した材料は、ニップを通過して押出フィルムを冷却し、これを下に重なる層に結合させる。粘性の小さいポリマーでは、溶融ポリマーは、独立フィルムを形成しない場合がある。このような場合には、熱転写材料は、それをスロットダイに接触させるように誘導するか、又はロールを用いて浴から溶融ポリマーを熱転写材料に転写させることによって被覆することができる。
【0046】
インク適合層は、オーバーレイ熱転写材料に有用とすることができる。インク適合層は、画像がインクジェットプリンタにより印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料上に配置される場合、すなわち、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料がインクジェット印刷可能である場合に特に有用とすることができる。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷表面が、後にインク適合層の表面に合わせられる場合には、インク適合層は、転写画像を洗濯して乾燥した時の印刷画像の滲み及び画像の色泣き又は喪失を防止するか又は最小にするのを助けることができる。インク適合層は、対応する印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに結合可能なままである限り、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料上の画像受容コーティングに対して上述したようなものとすることができる。
【0047】
タイコート層は、剥離層の上に重なると共にオーバーレイ転写フィルムの下に重なり、それによって剥離層とオーバーレイ転写フィルムの間に位置することができる。タイコート層は、用いる場合には、実質的に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料のタイコート層に関して上述したようなものとすることができる。
オーバーレイ転写材料には、ベース層の上に重なると共に剥離層の下に重なり、これによってベース層と剥離層の間に位置する共形層を更に含むことができる。一般的に、共形層には、オーバーレイ転写フィルムに対して上述したような約65℃〜約180℃の範囲で溶融する押出し被覆したポリマーを含むことができる。例示的に、共形層は、エチレンビニルアセテートの押出しコーティングとすることができる。代替的に、共形層には、オーバーレイ転写フィルムに対して上述したようなフィルム形成結合剤及び/又は粉末熱可塑性ポリマーを含むことができる。共形層の坪量は、一般的に、約5〜約60g/m2までで変えることができる。
必要に応じて、上述のオーバーレイ熱転写材料のフィルム層は、いずれも加工助剤、剥離剤、顔料、艶消し剤、消泡剤などのような他の材料を含むことができる。これら及び同様の材料を用いることは、当業者には公知である。
【0048】
適合熱転写紙を用いる方法
印刷画像を布又は他の基体材料に付加するいくつかの異なる方法に本発明の適合熱転写紙を用いることができることが予想される。図3a〜図3fを参照すると、図1の印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10及び図2のオーバーレイ熱転写材料20を用いて画像を基体に転写する方法の実施形態が示されている。図3aを参照すると、標準画像化装置(図示せず)を用いて、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10の外面16が画像化される。本発明に適合する画像化装置には、単なる例として、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、鉛筆、ペン、マーカ、クレヨンなどが含まれる。図3bを参照すると、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10を画像化した後に、画像化された剥離可能な熱転写材料は、それぞれの転写フィルム13及び23が相対するように、オーバーレイ熱転写材料20に隣接して配置される。2つの転写材料10及び20の片側又は両側の裏当て層外面14及び24に熱及び圧力を印加すると、それぞれの転写材料上の転写層13及び23が互いに融着又は溶融して融着積層体30を形成する。熱転写紙を「適合」させる融着積層体30を形成するのは、熱転写紙の機能である。熱及び圧力の印加は、当業者に公知の様々な方法で実行することができる。例えば、加熱プレス(図示せず)を用いて、層を互いに融着することができる。別の例として、標準手持ちアイロン(図示せず)を用いて2つの材料に熱及び圧力を印加することができる。熱及び圧力は、転写フィルム13及び23の間を良好に接着するのに有効な時間印加されることが望ましい。転写を行うのに用いられる温度は、望ましくは約120℃〜約200℃、より望ましくは約150℃〜約175℃である。
【0049】
図3cを参照すると、剥離可能かつ印刷可能な熱転写材料10の裏当て層11及び剥離層12を融着積層体30から共に剥離して中間転写材料を形成し、基体50に転写されることになる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13を露出させる。この時点で、画像は、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13とオーバーレイ転写フィルム23の間に挟まれる。図3dを参照すると、中間転写材料40は、次に、転写フィルム13及び23が基体に向き、オーバーレイ裏当て層21が基体から離れる方を向いて基体50に接触するように配置される。望ましい基体には、例えば、綿100%Tシャツ材料のような布などが含まれる。図3eを参照すると、熱及び圧力は、次に、オーバーレイ裏当て層外面24、基体外面54、又はその両方に印加され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13を基体50に融着させる。上述のように、熱及び圧力の量、並びにその印加時間は、印加方法、基体の種類、及び望ましい転写の種類により決定される。望ましくは、転写を行うのに用いられる温度は、上に説明した通りである。図3fを参照すると、冷却後、オーバーレイ材料裏当て層21及び剥離層22は、共に基体50から除去され、基体に取り付けられた印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、画像、及びオーバーレイ転写フィルム23を残す。
【0050】
任意的に、必要に応じて印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の剥離可能転写フィルムの不要区域を除去することができる。例えば、文字を転写する場合には、文字「O」の中心は、除去又は「草抜き」することができるであろう。従って、転写されることになる剥離可能転写フィルムの正確な区域を制御することができる。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の下にある層を通って切断することなく不要部分の周りにスリットが入れられることが望ましい。次に、不要部分を印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙から剥離し、転写するために望ましい「草抜きされた」画像化区域を残す。転写後、基体上には、画像化区域の望ましい区域のみが存在する。オーバーレイ転写フィルムも、画像が転写されなかった基体の区域に転写されないことが望ましい。不要部分を印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムから除去すると、時に、裏当て層上に画像化フィルムのいくつかの非連結部分が残ることになることに注意すべきである。基体へ転写した後、これらの非連結部分の間隔及び方向は維持される。
【0051】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料の両方で、剥離層及び裏当てそれぞれを上に重なる転写可能フィルムから分離するために剥離力が必要である。望ましくは、紙の適合する組では、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当てを引き離すのには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の剥離層及び裏当てを引き離すよりも大きな力が必要であることが望ましい。上述のように、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムをオーバーレイ熱転写材料に転写する工程で2つの熱転写材料が共に融着された後に、最初に、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料のベース層及び剥離層を除去することが望ましい。これらの層を除去する剥離力がオーバーレイ熱転写材料の層を除去する剥離力に比べて大きすぎる場合には、代わりに、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当て層が不注意に除去されることがある。
【0052】
更に、オーバーレイ転写フィルムの一部分は、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの対応する部分がない基体の区域には転写されないことが望ましい。言い換えれば、オーバーレイ転写フィルムは、草抜き工程の間に、画像化された剥離可能転写フィルムが除去された区域には転写されないことが望ましい。オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの対応する部分のない基体の区域に転写されることを防ぐために、オーバーレイ熱転写材料の剥離層及び裏当て層は、オーバーレイ転写フィルムからあまり容易に引き離されないことが望ましい。
【0053】
図4a〜図4eを参照すると、図1の印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10及び図2のオーバーレイ熱転写材料20を用いて画像を基体に転写する方法の別の実施形態が示されている。図4aを参照すると、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料10は、上述のように、標準画像化装置(図示せず)を用いて転写フィルム外面16上で画像化される。図4bを参照すると、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13は、次に、裏当て層11及び剥離層12から剥離されるか又は他の方法で除去される。図4cを参照すると、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13は、画像化された転写フィルム外面16が基体から離れる方を向くように基体150に隣接して配置される。上述のようなオーバーレイ熱転写材料20は、次に、オーバーレイ転写フィルム23が画像化された剥離可能転写フィルム13を向くように配置される。図4dを参照すると、基体150、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、及びオーバーレイ熱転写紙20は、加熱されて押し付けられ、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に付着させ、オーバーレイ転写フィルム23を画像化された転写フィルム外面16に付着させる。図4eを参照すると、冷却後、オーバーレイ材料裏当て層21及び剥離層22は、基体150から共に除去され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム13、画像、及びオーバーレイ転写フィルム23が基体に取り付けられて残される。転写を行うのに用いられる温度は、上述のようなものであることが望ましい。
【0054】
一実施形態では、本明細書に説明したような熱転写材料又は紙の適合した組を設けて、印刷画像を布及び他の基体に転写することを可能にすることができると予想される。適合転写材料は、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料の両方の供給がキット内に存在することができるキットとして提供することができる。印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及び/又はオーバーレイ熱転写材料には、使用者にそれらを区別させるために適切にラベル付けすることができる。キットには、同数のオーバーレイ熱転写材料及び印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料を含むことができる。代替的に、キットには、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料をオーバーレイ熱転写材料よりも多く含むことができる。更に、キットは、印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料だけでなく、用途によってはオーバーレイ熱転写材料を用いることの代替として有用な場合がある1つ又はそれよりも多くの耐粘着性オーバーレイ材料を含有することもできる。一例として、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から剥離され、次に、耐粘着性オーバーレイ材料を用いて基体に直接転写することができる。多くの非粘着オーバーレイ材料が当業者には公知である。例の1つとして、非粘着オーバーレイ材料は、表面上にシリコーンコーティングを有する紙とすることができる。
本発明は、以下の実施例を参照するとより良く理解することができる。しかし、このような実施例は、本発明の精神又は範囲のいずれをも決して制限するようには解釈されないものとする。これらの実施例では、全ての部は、特に断らない限り重量部である。
【実施例1】
【0055】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を調製した。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層の上に重なる接着剤層、接着剤層の上に重なる流れ抵抗不透明層、及び流れ抵抗不透明層の上に重なる画像適合層を含む。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、3.3部アクリルラテックス(「Rhoplex SP−100」としてペンシルベニア州フィラデルフィア所在の「Rohm & Haas」から入手可能)及び2.0部カオリンクレイ(「Ultrawhite 90」としてニュージャージー州イーゼリン所在の「Engelhard」から入手可能)の混合物を水性分散剤として紙に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。接着剤層は、坪量42.5g/m2で剥離層上に押出被覆したエチレンメタクリル酸コポリマー(「Nucrel 599LG」としてデラウェア州ウィルミントン所在の「DuPont」から入手可能)であった。流れ抵抗不透明層は、4.0部二酸化チタン(「RPD Vantage」として「DuPont」から入手可能)、10.9部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」としてオハイオ州シンシナチ所在の「Michelman Inc.」から入手可能)、0.2部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」としてミシガン州ミッドランド所在の「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び0.4部アジリジン架橋剤(「Xama 7」としてニュージャージー州バーミンガム所在の「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として接着剤層上に被覆し、坪量30g/m2まで乾燥させたものであった。画像適合層は、0.1部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、平均粒子径約8ミクロンまで超微粉砕した1.9部1,4シクロヘキサンジベンゾエート(「Benzoflex 352」としてイリノイ州ローズモント所在の「Velsicol Chemical Corporation」から入手可能)、2.4部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、4.9部粉末ポリアミド(「Orgasol 3510 EXD」としてペンシルベニア州フィラデルフィア所在の「Atofina Chemicals Inc.」から入手可能)、0.19部アジリジン架橋剤(「Xama 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)、0.02部非イオン性界面活性剤(「Tergitol 15−S−40」としてニュージャージー州マウントオリーブ所在の「BASF Corporation」から入手可能)、0.18部ポリエチレンオキシド(「Polyox N60」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、0.24部ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(「Glascol F207」としてニューヨーク州タリタウン所在の「Ciba Specialty Chemicals」から入手可能)、及び0.10部ヒドロキシプロピルセルロース(「Klucel G」としてデラウェア州ウィルミントン所在の「Hercules、Inc.」から入手可能)の混合物を流れ抵抗不透明層上に水性分散剤として被覆し、坪量19.5g/m2まで乾燥させたものであった。
【0056】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、坪量42.5g/m2で剥離層上に押出被覆されたエチレンメタクリル酸コポリマーであった。
【0057】
印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙は、標準970インクジェットプリンタで画像化された。安全ナイフを用いて、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムのいくつかの不要部分を除去した。詳細には、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の下にある層を通して切断することなく、不要部分の周りにスリットを入れた。不要部分を印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙から剥離し、転写するのに望ましい「草抜き」画像化区域を残す。残りの画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、次に、2つの熱転写紙を互いに相対するそれぞれの転写フィルムと共に175℃で15秒間、圧力を7に設定した標準加熱プレス(ペンシルベニア州メーソンタウン所在の「Stahls’Hotronix」から入手可能な「Hotronix XSW型」)に入れることによりオーバーレイ熱転写紙に転写した。その後、サンプルは、剥離して分離され、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む画像化部分をオーバーレイ熱転写紙に転写した。次に、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが付着したオーバーレイ熱転写紙を黒色の綿100%Tシャツ材料の上に下に向けて配置し、175℃で圧力設定を7にした加熱プレスで30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ熱転写層紙ベース層及び剥離層を布から剥離し、転写された画像及び転写層を布に付着させて残した。その結果、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムから転写された比較的肉厚の光沢のあるオーバーレイコーティングを有する画像化された布がもたらされた。光沢のあるオーバーレイコーティングは、剥離可能転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から草抜きされた背景区域でさえも明らかであった。
【実施例2】
【0058】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Chemical Co.」から入手可能)及び50部20,000分子量ポリエチレングリコール(「Carbowax 20M」として「Dow Chemical Company」から入手可能)の混合物を水性分散剤として剥離層に被覆して坪量6.8g/m2まで乾燥したものであった。
【0059】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料から草抜きされた背景区域へのオーバーレイ転写フィルムの転写に対するオーバーレイ熱転写紙の感受性を試験するために、オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムと共に黒色の綿100%Tシャツ材料上に下向きに置かれ、175℃の加熱プレスで30秒間加熱された。冷却後、オーバーレイ熱転写紙は、布から剥離された。オーバーレイ転写フィルムは、布を被覆する比較的薄く光沢のあるオーバーレイとして布に転写された。しかし、薄くて光沢のあるオーバーレイコーティングは、布を水に数秒間浸漬後には容易に除去された。
【実施例3】
【0060】
オーバーレイ転写フィルムを坪量3.4g/m2で剥離層上に被覆したことを除き、実施例2のオーバーレイ熱転写紙を説明した通りに調製した。実施例2に説明した通りに転写工程が完了した後に、得られる布は、オーバーレイ熱転写紙から転写されたオーバーレイ転写フィルムの小斑点しか持たないものであった。小斑点は、材料を最初に洗濯する時に容易に除去された。
【実施例4】
【0061】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、4.4部アクリルラテックス及び2.6部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙上に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部粉末ポリエチレンワックス(「Micropowders MP 635 G」としてニューヨーク州タリタウン所在の「Micro Powders、Inc.」から入手可能)と、10部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)と、3部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と、2部ポリエチレンオキシド(「Polyox N 80」として「Dow Chemical Company」から入手可能)との混合物を水性分散剤として剥離層に被覆して乾燥したものであった。非イオン性界面活性剤は、粉末ポリエチレンワックスのための分散剤であり、ポリエチレングリコールは増粘剤である。オーバーレイ転写フィルムの坪量のみが4.1g/m2、8.3g/m2、及び12.4g/m2と異なる3つのバージョンのオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0062】
オーバーレイ熱転写紙の各バージョンのサンプルに対して、実施例2に説明した転写工程によって暗いTシャツ布のサンプルを調製した。4.1又は8.3g/m2オーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙のバージョンを用いる場合には、転写工程が完了した後に、得られる布には、オーバーレイ転写フィルムが全く存在しなかった。12.4オーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙のバージョンでは、得られる布には、微量のオーバーレイ転写フィルムしか転写されなかった。
【実施例5】
【0063】
上の実施例1に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に付加的に説明したように草抜きした。上の実施例2に説明したように、オーバーレイ転写フィルムの坪量が8.3g/m2であるオーバーレイ熱転写紙のサンプルをオーバーレイ熱転写材料として用いるために調製した。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明した転写工程によってオーバーレイ熱転写紙に転写し、その後、暗いTシャツ布に転写した。得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによりも被覆された良好に転写された画像を有していた。更に、草抜きされた背景区域では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写することは無かった。画像化された布を冷水洗濯サイクルで洗濯洗剤を用いて10回洗濯して乾燥しても、非常に良好な結果が得られた。
【実施例6】
【0064】
上の実施例1に説明したような印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を「Canon 700」カラーコピー機で画像化し、上の実施例1に説明するように草抜きした。オーバーレイ熱転写材料として用いるために上の実施例5に説明したようなオーバーレイ熱転写紙のサンプルを調製した。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によりオーバーレイ熱転写紙に転写し、その後、暗いTシャツ布に転写した。得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有していた。更に、草抜きされた背景区域では、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写することは無かった。画像化された布を冷水洗濯サイクルで洗濯洗剤を用いて10回洗濯して乾燥しても、非常に良好な結果が得られた。
【実施例7】
【0065】
ベース層、ベース層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なる印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを有する印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を調製した。印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、剥離層の上に重なる接着剤層、接着剤層の上に重なる流れ抵抗不透明層、及び流れ抵抗不透明層の上に重なる画像適合層を含む。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。剥離層は、3.3部アクリルラテックス及び2.0部カオリンクレイの混合物を水性分散剤として紙に被覆して坪量10.2g/m2まで乾燥したものであった。接着剤層は、坪量28.4g/m2で剥離層上に押出被覆したエチレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンメタクリル酸コポリマーを覆って坪量14.2g/m2で共押出ししたエチレンアクリル酸コポリマー(「Primacor 5980−l」として「Dow Chemical Company」から入手可能)であった。流れ抵抗不透明層は、3.9部二酸化チタン、0.04部ポリアクリル酸分散剤(「Tamol 731」として「Rohm and Haas Company」から入手可能)、10.9部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、0.2部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び0.4部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として接着剤層上に被覆し、坪量30g/m2まで乾燥させたものであった。画像適合層は、0.3部非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、平均粒径約8ミクロンまで超微粉砕した1.7部1,4シクロヘキサンジベンゾエート、3.1部エチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)、4.4部粉末ポリアミド(「Orgasol 3510 EXD」として「Atofina Chemicals Inc.」から入手可能)、0.4部ポリアミンカチオンポリマー(「APC−M1」としてニュージャージー州カールスタット所在の「Advanced Polymers」から入手可能)、0.2部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)、及び0.2部ポリエチレンオキシド(「Polyox N80」として「Dow Chemical Company」から入手可能)の混合物を流れ抵抗不透明層上に水性分散剤として被覆し、坪量19.5g/m2まで乾燥させたものであった。
【0066】
ベース層、ベース層の上に重なる共形層、共形層の上に重なる剥離層、及び剥離層の上に重なるオーバーレイ転写フィルムを有するオーバーレイ熱転写紙を調製した。ベース層は、坪量が86.3g/m2のセルロース繊維紙であった。共形層は、坪量35.0g/m2でベース層上に押出被覆されたエチレンビニルアセテート(「Elvax 3200」として「DuPont」から入手可能)であった。剥離層は、186部アクリルラテックス、0.2部シリコーングリコールコポリマー超湿潤剤(「Dow Q2−5211」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、3.7部シリコーン剥離剤(「Dow S−190」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、18.6部の分子量8,000のポリエチレングリコール(「Carbowax 8000」として「Dow Chemical Company」から入手可能)、及び11.2部アジリジン架橋剤(「XAMA 7」として「Sybron Chemicals、Inc.」から入手可能)の混合物を水性分散剤として共形層上に被覆し、坪量8.2g/m2まで乾燥したものであった。オーバーレイ転写フィルムは、100部粉末ポリエチレンワックス(「Micropowders MP 635 G」として「Micro Powders、Inc.」から入手可能)を3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したものと、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥したものであった。
【0067】
上述のような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程によって草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例1〜実施例6に用いたオーバーレイ熱転写紙を除去した力よりも小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、時折、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。転写が成功すると、得られる布は、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。しかし、草抜き背景区域又は画像化区域の縁部では、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムが布にも転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
【実施例8】
【0068】
オーバーレイ転写フィルムが、100部粉末ポリエチレンワックス(3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したもの)と、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)と、2部シリコーン剥離剤との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥したものであることを除き、上の実施例7に説明したようにオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0069】
上の実施例7に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程に従って草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例7に用いたオーバーレイ熱転写紙を除去した力よりも小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、多くの場合に、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。しかし、実施例7の印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の他のサンプルを用いて、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化後に裏当て層から草抜きすることなく除去され、その後、暗いシャツ材料上に画像側を上に向けて置かれた。オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに向くように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に置かれ、その後、175℃で30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ裏当てを除去した。得られる布は、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。画像化区域の縁部では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
【実施例9】
【0070】
オーバーレイ転写フィルムが、100部粉末ポリエチレンワックス(3部の非イオン性界面活性剤(「Triton X 100」として「Dow Chemical Company」から入手可能)と共に30%固形物で水中に分散し、ミキサで混合してコロイドミルを用いて粉砕したもの)と、15部のエチレンアクリル酸コポリマー(「Michem Prime 4983」として「Michelman Inc.」から入手可能)との混合物を20%固形物水性分散剤として剥離層上に被覆して坪量約7.5g/m2まで乾燥させたものであることを除き、上の実施例7に説明したようにオーバーレイ熱転写紙を調製した。
【0071】
上の実施例7に説明したような印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙を画像化し、上の実施例1に説明したような工程に従って草抜きした。印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙上の草抜き画像は、上の実施例1に説明したような転写工程によって上述のオーバーレイ熱転写紙に転写し、次に、暗いTシャツ布に転写した。冷却後に、オーバーレイ熱転写紙のベース層及び剥離層を転写された画像から除去するのに、実施例7に用いたオーバーレイ紙を除去した力よりも僅かに小さい力しか必要ではなかった。容易に剥離されるために、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムがオーバーレイ熱転写紙に転写するのではなく、時に、オーバーレイ転写フィルムが、画像化された印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙に転写した。しかし、実施例7の印刷可能かつ剥離可能な熱転写紙の他のサンプルを用いて、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、画像化後に裏当て層から草抜きすることなく除去され、その後、暗いシャツ材料上に画像側を上に向けて置かれた。オーバーレイ熱転写紙は、オーバーレイ転写フィルムが印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムに向くように、印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に置かれ、その後、175℃で30秒間加熱した。冷却後、オーバーレイ裏当てを除去した。得られる布は、オーバーレイ紙のオーバーレイ転写フィルムによって被覆された良好に転写された画像を有した。画像化区域の縁部では、オーバーレイ熱転写紙のオーバーレイ転写フィルムが布に転写された。画像化された布は、冷水洗濯サイクルで洗濯用洗剤を用いて10回洗濯して乾燥させ、非常に良好な結果が得られた。
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明に様々な修正又は変形を行うことができることを当業者は認めるべきである。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物に該当するようなこのような修正及び変形を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明によって作られた印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料の部分断面図である。
【図2】本発明によって作られたオーバーレイ熱転写材料の部分断面図である。
【図3a】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3b】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3c】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3d】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3e】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図3f】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する方法を示す部分断面図である。
【図4a】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4b】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4c】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4d】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【図4e】本発明により印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料及びオーバーレイ熱転写材料を用いて画像を基体に転写する別の方法を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0073】
10 印刷可能かつ剥離可能な熱転写材料
12 剥離層
14 裏当て層外面
16 転写フィルム外面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を基体に形成する方法であって、
a)第1のベース層と印刷可能層とを含む第1の熱転写材料の該印刷可能層を画像化して、画像化された印刷可能層を作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能層を前記第1のベース層から分離する段階と、
c)第2のベース層とオーバーレイ転写フィルムとを含む第2の熱転写材料、及び前記画像化された印刷可能層を基体に隣接して位置決めする段階と、
d)前記画像化された印刷可能層及び前記オーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記転写する段階は、前記第2の熱転写材料に熱及び圧力を印加することによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像を基体に形成する方法であって、
a)第1のベース層と印刷可能層とを含む第1の熱転写材料の該印刷可能層を画像化して、画像化された印刷可能層を作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能層の上に第2のベース層とオーバーレイ転写フィルムとを含む第2の熱転写材料を重ねる段階と、
c)前記画像化された印刷可能層を前記第1の熱転写材料に転写する段階と、
d)前記画像化された印刷可能層及び前記オーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
画像を基体に形成する方法であって、
a)画像化されたフィルムとオーバーレイ転写フィルムを含む熱転写材料とを基体に隣接して位置決めする段階と、
b)前記画像化されたフィルム及び前記オーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記画像化されたフィルム及び前記熱転写材料は、前記位置決めする段階中は互いに取り付けられていないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項6】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む特定の第1の数の第1の熱転写材料と、
オーバーレイ転写フィルムを含む特定の第2の数の第2の熱転写材料と、
を含み、
前記第1の熱転写材料は、前記第2の熱転写材料とは異なる種類のものである、
ことを特徴とする熱転写材料キット。
【請求項7】
前記第1及び第2の熱転写材料は、使用者に該第1及び第2の熱転写材料を区別させるためにラベル付けされていることを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記特定の第1の数は、前記特定の第2の数に等しいことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項9】
前記特定の第1の数は、前記特定の第2の数よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項10】
少なくとも1つの耐粘着性オーバーレイ材料を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項11】
少なくとも1つのシリコン被覆オーバーレイ材料を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項12】
前記オーバーレイ転写フィルムは、約65℃から約180℃の範囲で溶融するポリマーを含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項13】
前記第1の熱転写材料は、
フィルム及びセルロース不織ウェブから成る群から選択された、第1及び第2の表面を有する可撓性ベース層と、
約177℃の転写温度で本質的に粘着性がないポリマーを含み、前記ベース層の前記第1の表面の上に重なった剥離層と、
を更に含み、
前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、前記剥離層の上に重なり、
更に、前記剥離層及び前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、前記第1の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項14】
前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、フィルム形成結合剤と粉末熱可塑性ポリマーとを含む印刷可能なインク適合層を更に含み、
前記フィルム形成結合剤及び前記粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃から約180℃の範囲で溶融する、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項15】
前記第2の熱転写材料は、
フィルム及びセルロース不織ウェブから成る群から選択された、第1及び第2の表面を有する可撓性ベース層と、
約177℃の転写温度で本質的に粘着性がないポリマーを含み、前記ベース層の前記第1の表面の上に重なった剥離層と、
を更に含み、
前記オーバーレイ転写フィルムは、前記剥離層の上に重なり、
更に、前記剥離層及び前記オーバーレイ転写フィルムは、前記第2の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項16】
更に、前記剥離層は、有効量の剥離強化添加剤を更に含むことを特徴とする請求項13又は請求項15に記載のキット。
【請求項17】
更に、前記オーバーレイ転写フィルムは、粉末熱可塑性ポリマー及びフィルム形成結合剤を含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項18】
前記第2の熱転写材料は、前記ベース層の上に重なり前記剥離層の下に重なる共形層を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のキット。
【請求項19】
請求項6に記載のキットを使用する方法であって、
a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを前記第1の熱転写材料の残りの部分から分離する段階と、
c)1つの第2の熱転写材料及び前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階と、
d)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項6に記載のキットを使用する方法であって、
a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に1つの第2の熱転写材料を重ねる段階と、
c)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを前記第1の熱転写材料に転写する段階と、
d)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
画像を基体に形成する方法であって、
a)第1のベース層と印刷可能層とを含む第1の熱転写材料の該印刷可能層を画像化して、画像化された印刷可能層を作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能層を前記第1のベース層から分離する段階と、
c)第2のベース層とオーバーレイ転写フィルムとを含む第2の熱転写材料、及び前記画像化された印刷可能層を基体に隣接して位置決めする段階と、
d)前記画像化された印刷可能層及び前記オーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記転写する段階は、前記第2の熱転写材料に熱及び圧力を印加することによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像を基体に形成する方法であって、
a)第1のベース層と印刷可能層とを含む第1の熱転写材料の該印刷可能層を画像化して、画像化された印刷可能層を作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能層の上に第2のベース層とオーバーレイ転写フィルムとを含む第2の熱転写材料を重ねる段階と、
c)前記画像化された印刷可能層を前記第1の熱転写材料に転写する段階と、
d)前記画像化された印刷可能層及び前記オーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
画像を基体に形成する方法であって、
a)画像化されたフィルムとオーバーレイ転写フィルムを含む熱転写材料とを基体に隣接して位置決めする段階と、
b)前記画像化されたフィルム及び前記オーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記画像化されたフィルム及び前記熱転写材料は、前記位置決めする段階中は互いに取り付けられていないことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項6】
印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを含む特定の第1の数の第1の熱転写材料と、
オーバーレイ転写フィルムを含む特定の第2の数の第2の熱転写材料と、
を含み、
前記第1の熱転写材料は、前記第2の熱転写材料とは異なる種類のものである、
ことを特徴とする熱転写材料キット。
【請求項7】
前記第1及び第2の熱転写材料は、使用者に該第1及び第2の熱転写材料を区別させるためにラベル付けされていることを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記特定の第1の数は、前記特定の第2の数に等しいことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項9】
前記特定の第1の数は、前記特定の第2の数よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項10】
少なくとも1つの耐粘着性オーバーレイ材料を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項11】
少なくとも1つのシリコン被覆オーバーレイ材料を更に含むことを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項12】
前記オーバーレイ転写フィルムは、約65℃から約180℃の範囲で溶融するポリマーを含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項13】
前記第1の熱転写材料は、
フィルム及びセルロース不織ウェブから成る群から選択された、第1及び第2の表面を有する可撓性ベース層と、
約177℃の転写温度で本質的に粘着性がないポリマーを含み、前記ベース層の前記第1の表面の上に重なった剥離層と、
を更に含み、
前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、前記剥離層の上に重なり、
更に、前記剥離層及び前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、前記第1の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項14】
前記印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムは、フィルム形成結合剤と粉末熱可塑性ポリマーとを含む印刷可能なインク適合層を更に含み、
前記フィルム形成結合剤及び前記粉末熱可塑性ポリマーの各々は、約65℃から約180℃の範囲で溶融する、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項15】
前記第2の熱転写材料は、
フィルム及びセルロース不織ウェブから成る群から選択された、第1及び第2の表面を有する可撓性ベース層と、
約177℃の転写温度で本質的に粘着性がないポリマーを含み、前記ベース層の前記第1の表面の上に重なった剥離層と、
を更に含み、
前記オーバーレイ転写フィルムは、前記剥離層の上に重なり、
更に、前記剥離層及び前記オーバーレイ転写フィルムは、前記第2の熱転写材料に冷間剥離特性を与えるようになっている、
ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項16】
更に、前記剥離層は、有効量の剥離強化添加剤を更に含むことを特徴とする請求項13又は請求項15に記載のキット。
【請求項17】
更に、前記オーバーレイ転写フィルムは、粉末熱可塑性ポリマー及びフィルム形成結合剤を含むことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項18】
前記第2の熱転写材料は、前記ベース層の上に重なり前記剥離層の下に重なる共形層を更に含むことを特徴とする請求項15に記載のキット。
【請求項19】
請求項6に記載のキットを使用する方法であって、
a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを前記第1の熱転写材料の残りの部分から分離する段階と、
c)1つの第2の熱転写材料及び前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを基体に隣接して位置決めする段階と、
d)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを前記基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項6に記載のキットを使用する方法であって、
a)1つの第1の熱転写材料の印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを画像化して、画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを作成する段階と、
b)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムの上に1つの第2の熱転写材料を重ねる段階と、
c)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルムを前記第1の熱転写材料に転写する段階と、
d)前記画像化された印刷可能かつ剥離可能な転写フィルム及びオーバーレイ転写フィルムを基体に転写する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図3e】
【図3f】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【公表番号】特表2007−517684(P2007−517684A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−547024(P2006−547024)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/039983
【国際公開番号】WO2005/065958
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/039983
【国際公開番号】WO2005/065958
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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