説明

適応可能な透過率を有するサングラス

本発明は、サングラスの改良に係る。特には、開示されるサングラスは、異なる光透過率特性の第1及び第2の非混和流体を組み入れる少なくとも1つのエレクトロウェッティング・レンズを有する。第1の流体は、第2の流体より優れた光トランスミッタである。各エレクトロウェッティング・レンズの第1の電極と第2の電極との間の電界の強度の変化は、第1の流体と第2の流体との間の境界の形状を、第2の流体がレンズの略全体的な内側面にわたって層を形成する第1の状態から、第2の流体がレンズの周縁領域に制限される第2の状態へと変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサングラスに対する改良に係る。
【背景技術】
【0002】
従来は、眼鏡着用者は、明るい日光のもとでは、眼鏡を同等の処方の着色眼鏡に取り替えること、又は、日常用の眼鏡の上にクリップ式の着色レンズを使用すること、又は、所謂光反応型の処方レンズを使用すること、又は、目の眩みを我慢すること、である手段のうちの1つを選択する必要がある。これらの解決策の殆どは多少不便であり、また、光反応型眼鏡でさえも、明るさから暗さへの周辺光状態における急激な変化は着用者がレンズが色を変えるのを待たなければならない間の遅れを有し得るため、不便であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例は、上述された従来の解決策に対する代替の解決策を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一面によれば、異なる光透過率特性の第1及び第2の非混和流体を組み入れる少なくとも1つのエレクトロウェッティング・レンズを有することによって特徴付けられたサングラスが与えられる。第1の流体は、第2の流体より優れた光トランスミッタである。エレクトロウェッティング・レンズの第1の電極と第2の電極との間の電界の強度における変化は、第1の流体と第2の流体との間の境界の形状が、第2の流体がレンズの内側面の光透過範囲の略全体にわたる層を形成し光透過率が最も低減された状態である第1の状態から、光透過率が最大限である第2の状態へと、変更するようにさせる。
【0005】
上述された通り構成されたサングラスは、電位差を変化させることによって与えられた2状態本質において従来のサングラスに対して有利性を有し、サングラスがユーザの意思で、且つ、周辺光又は他の状況に従う必要は無く、不透明に変更され得る便利な手法を与える。
【0006】
望ましくは、第1の状態においては、第2の流体は、レンズの周縁領域に収容される。
【0007】
第1及び第2の流体は、望ましくは、略同一の屈折率及び比重を有する。これが有利であるのは、2つのかかる流体の間の境界条件を変更することが光学レンズの強度を変化させないためである。
【0008】
望ましくは、レンズは、透明の後方壁及び透明の前方壁を有しそれらの間のキャビティを定義付け、第1及び第2の流体は該キャビティ内に収容される。
【0009】
第1の望ましい実施例において、レンズの第1及び第2の電極は、後方壁の内側面の領域に形成された後方電極、及び、前方壁の内側周縁の周囲に延びるリング型電極を有する。この第1の実施例は、電極間の電位差の漸進的変化は、第1及び第2の状態の間の漸進的変更を与えるよう境界の形状を漸進的に変更するよう配置される。
【0010】
第1の望ましい配置において、レンズの自然状態は、第1の状態(最小限の光透過率)であり、この第1の状態において、レンズの電極間に印加される電位差はない。
【0011】
第1の望ましい配置において、前方壁の内側領域は、望ましくは、疎水性であるか、又は疎水性層で被覆される一方、リング型電極、及び第1の状態においては、第1の流体は前方壁に最も近い流体であり、第2の流体は後方壁にもっとも近い境界を有する流体である。第1の望ましい配置では、第1の流体は望ましくは透明な油であり、第2の流体は、有色の導電性及び/又は極性流体、望ましくは有色の水である。
【0012】
第2の望ましい配置において、レンズの自然状態は、第2の状態(最大限の光透過率)であり、この状態において、レンズの電極間に印加される電位差はない。
【0013】
第2の望ましい配置において、疎水性絶縁体はリング型電極上に形成され、前方壁は望ましくは、疎水性又は疎水性層で被覆される。ここでは、第1の流体は、後方壁に最も近い流体である一方、第2の流体は、前方壁に最も近い境界を有する流体である。第2の望ましい実施例においては、第1の流体は望ましくは、水等の透明の極性及び/又は導電性流体である一方、第2の流体は有色のオイル等の有色の非導電性流体である。ここでは、レンズの光学経路透過部分内のオイル層の厚さは、電極間の電位差を変化させることによって継続的に変化させられ得る。
【0014】
明るさ又は暗さの所定の自然状態を有する適切なレンズ構造の選択によって、ユーザは、通常は明るい眼鏡を選択するか、通常は暗い眼鏡を選択するかを決定することができ、使用に対する予測される主な理由に従った適切な攻勢を選択することは、延長された電池寿命の可能性を与える。
【0015】
更なる望ましい実施例において、疎水性絶縁体は、後方壁の内側領域上、及び透明な後方電極上に形成され、第1の流体は、前方壁に最も近い境界を有する流体である一方、第2の流体は、後方壁に最も近い境界を有する流体である。ここでは、第1の流体は、水等の望ましくは透明の極性及び/又は導電性流体であり、第2の流体は有色のオイルである。
【0016】
望ましくは、前方壁の湾曲、後方壁の湾曲、及び、第1及び第2の流体の屈折率は、着用者の視野の欠損を修正するよう配置される。切替え可能なサングラスにおけるかかる修正型のレンズによって、目の障害を有するユーザは、サングラスとしても機能する1つの眼鏡のみを必要とすることができ、眼鏡を変える必要を避ける。
【0017】
手動及び/又は自動調整手段は、第1及び第2の電極の組の間に印加された電界を変更するよう与えられ得る。手動調整がユーザに対して完全な選択の自由を与える一方、自動モードは、周囲光レベル等の条件を事前に設定するよう、又は、事前にプログラムされた条件に従って変えるよう適合し得るサングラスをユーザが有することを可能にする。
【0018】
多くの配置においては任意ではあるが電極を透明にすることは、位置決めにおいて大きな自由を与え、光透過率の更なる限定なくレンズの光学経路内にそれらを位置付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の更なる理解に対して、及び、本発明の実施例がどのように実行に移され得るかを示すよう、一例として添付の図面が参照される。
【0020】
図1Aを参照すると、本発明に従って眼鏡の部分を形成するレンズの第1の実施例は、間にキャビティ140を定義付ける透明の後方壁110と透明の前方壁120、後方壁の内側面の領域に形成された後方電極160、前方壁120の内側周縁の周囲に延びるリング型電極150、及び、リング型電極150上に望ましくは前方壁120の内側領域を覆う疎水性絶縁体130を有する。
【0021】
キャビティ140は、第1及び第2の流体で充填され、メニスカス線Mは第1の流体と第2の流体との間の境界を示して図1中に図示される。ここでは、第2の流体は、後方壁110に最も近い流体である一方、第1の流体は前方壁120に最も近い境界を有する流体である。必須ではないが望ましくは、電極は透明の材料から形成され得る。
【0022】
流体は、全ての力に応答して形状を変更し、そのチャンバの輪郭へ流れる又は一致する傾向があり、また、気体、蒸気、液体、及び、流れることができる固体と液体の混合物を有する物質である。
【0023】
第1及び第2の流体は、非混和性であり、略同一の屈折率及び比重を有するが、異なる光透過率の特性を有する。
【0024】
第2の流体は有色の導電性電解質であり、第1の流体は透明のオイルである。ここでは、導電性電解質は、望ましくは水/アルコール混合であり、該混合に対して塩が添加され、第2の流体はオイルである。両流体は、望ましくは、約1.38の屈折率、及び0.85の比重を有する。この場合、アルコールは、オイルの濃度と合致するよう水の濃度を低減するよう使用される。しかしながら、オイルの濃度はまた、食塩水の濃度と合致するようCC14等を添加することによって上昇され得る。これより図1A及び図1Bの夫々を参照すると、上述された種類のレンズを組み入れたサングラスの作用の原理が説明される。
【0025】
図1Aは、光透過率が制限された切替え可能なサングラスの第1の状態を図示する。詳細には、電極に電圧が印加されていない図1A中、シリコンオイルを有する第1の流体と、有色の導電性電解質を有する第2の流体は、メニスカスMによって定義付けられた自然境界を有する。該メニスカスは略周縁の面を形成し、その湾曲の半径は必然的に、第2の流体の体積及び流体の界面張力によって確定され、壁はキャビティを形成する。
【0026】
これより図1Bを参照すると、十分な電圧が2つの電極150と160との間に印加され、極性及び/又は導電性流体(有色の水によって形成された電解質)がリング型電極に向かって引きつけられ、後方壁の中央領域を空ける(即ち光路から避ける)ようにされる状況が図示される。2つの電極間の電界の適用、及び、第2の流体が導電性であるという事実によって、第2の流体がリング型電極150に向かって効果的に引きつけられ、メニスカス層M及び傾斜した前方壁120との間の効果的な接触角度を変える。図1B中、上昇する電位差を有して、メニスカス層Mの湾曲が第2の流体がレンズ100の端部の周囲の周縁領域に収容される状況が到達される。
【0027】
上述された説明において、第2の流体は、第1の流体と比較して低減された光透過率の特性を有することが念頭に置かれなければならない。従って、図1Aに図示された状況では、最小限の光透過率状態が図示されるが、図1B中は、レンズを介して最大限の光透過率状態が図示される。図1Aに図示された状態から図1Bの状態への変化は、漸進的なものであり、中間電位差は、光路を空ける中間レベル及び光透過率をもたらす。このようにして、2つの電極150と160との間の電位差の適用は、サングラスにおける使用に対して適切である漸進的に切替え可能なレンズを与える。
【0028】
第2の状態が電極間の電位差を上昇させることによって到達される状況が説明されるが、逆の状況も可能である。図1Cにおいて第1の流体は、後方壁110に最も近い流体であり、第2の流体は、前方壁120に対して最も近い境界を有する流体である。第1の流体は導電性電解質であり、第2の流体は有色のオイルである。ここでは、導電性電解質は、望ましくは水/アルコール混合であり、該混合に対して塩が添加され、第2の流体は有色のシリコンオイルである。両流体は、望ましくは約1.38の屈折率、及び0.85の比重を有する。この場合、流体の相対量は、与えられた有色のオイルの薄い層のみを有して異なる。ここでは、適用された電位差の適用を有さない初期接触角は、メニスカスMもまた図1Cに図示される通り前方壁の中心に接触するようにされる。この(自然)第2状態において、最大限の光透過率は、疎水性であるレンズの周縁領域に対して第2の流体を収容することによって確定され、リング型電極150はもまた疎水性的に被覆される。2つの電極150と160との間の電位差を上昇させることにより、第1の流体を形成する電解質をリング型電極150に対して引きつけ、第2の流体を周縁領域からレンズの中央領域に対して動かし、光透過率が光路に沿って制限される図1Aに図示された状態(第1の状態)に対して同様の効果を与える。
【0029】
これより図2を参照すると、キャビティ140を定義付ける透明な後方壁110及び透明な前方壁120、後方壁の中央領域の内側面上に形成された透明な後方電極160、後方電極にわたって形成され後方壁110にわたってその周縁まで延びる疎水性絶縁体130、及び、第1の流体に直接接触する単一電極であり得、望ましくは透明であるか又は視野外に置かれた電極150を有するレンズ100の他の実施例が図示される。透明な後方電極160は、単一の電極であり得るか、又は、個別に扱われ得る多種の電極から形成され得る。
【0030】
キャビティ140は、第1及び第2の流体で充填される。メニスカス線Mは、図2に図示され、第1の流体と第2の流体との間の境界線を示す。ここでは、第1の流体は、前方壁120に最も近い流体である一方、第2の流体は、後方壁110に最も近い境界線を有する流体である。
【0031】
第1及び第2の流体は、非混和性であり、略同一の屈折率及び比重を有するが、透過率特性は異なる。
【0032】
第1の流体は導電性電解質であり、第2の流体は有色のオイルである。ここでは、導電性の電解質は、望ましくは、塩が添加された水/アルコールの混合であり、該混合に対して塩が添加され、第2の流体は有色のシリコンオイルである。両流体は、例えば、約1.38の屈折率及び0.85の比重を有し得る。これより図3及び図4を参照すると、図2中に図示されたレンズの実施例に従ったサングラスの作用の原理が示される。
【0033】
図3は、光透過率が制限される切替え可能なサングラスの第1の状態を示す。詳細には、図3中に見られ得る通り、電極に電圧は印加されておらず、後方の透明な電極160、透明な電極160上に形成された疎水性且つ電気的絶縁被覆130、有色のオイルの層O、及び、リング型電極150(図示せず)によって接触される食塩水電解質Wが図示される。ここでは、電極150と160との間に電位差がないため、オイルOは、疎水性絶縁体130にわたって均一な膜を形成する。
【0034】
図示された実線の矢印は、光透過率が、より低い光伝達率のオイルOの層を通過しなければならないため低減されるという事実を表す。これより図4を参照すると、電位差が2つの電極間に印加された状態が図示される。
【0035】
2つの電極間に電圧を印加することによって、電極150から跳ね返された電解質Wにおける自由電荷が電極160に引きつけられるため、エレクトロウェッティング効果は、電解質Wによる疎水性絶縁体操130の湿潤性を上昇させ、従って電解質Wが電極160に対して引きつけられるようにさせる。十分な電圧が印加される場合、電解質Wは、疎水性絶縁体130に接触させられ、オイルOは横に動かされ、図4中図示された状態を与えてオイルが光軸から離れて動かされる。電極150,160から電圧を除くことによって、切替え可能な光学素子1は、図3の配置に戻ることが可能となる。
【0036】
上述された通り、2つの電極の間に印加された電位差は、オイルの層を、透明な電極160によって覆われた範囲からレンズの周縁に向かって効果的に押しやるようにする。有利には、オイルが押された範囲は、レンズが取り付けられ得る眼鏡のフレーム範囲を有する。より低い光伝達率を有するオイルの層をフレームに向かって動かすことにより、レンズの中心範囲から被覆が取り除かれ、従って図4中に図示された実線及び非実線の矢印によって概略的に示される通りより多くの光が通過することができる。それ故に、この種類のレンズ配置は、オン状態とオフ状態との間で個々に切替え可能である。
【0037】
オイルが予測可能且つ再生可能なように光軸から離れて動くことを確実にするよう、複数の措置が使用され得、これらの措置は、上述された実施例と組み合され得る。例えば、レンズの内側面の湿潤性は、印加電圧に応答してオイルの動きの方向を制御するよう便利な技術を与える。
【0038】
後方電極160は、例えば、複数の個別に扱われ得る直線状区分に有利に分割され得る。個別に扱われ得る直線状区分に順次電圧を印加することによって、それらの区分の上方の疎水性絶縁体層130の湿潤性は順次上昇され得、従ってオイルの動きが始まる位置、及び絶縁体層130をわたるオイルの動作のその後の方向を制御する。かかる技術は、電圧が印加される直線状区分の下に上昇された湿潤性の一定の大きさの動く範囲を作ることができる。あるいは、個別に扱われ得る直線状区分は、連続して励起され得、電圧は、電圧が与えられた複数の直線状区分の下に上昇された湿潤性の拡大範囲を与えるよう保持される。多くの電極へのかかる分割は、例えば低い太陽を目から離しておくよう、該オプションが眼鏡の上方部分を暗くすることを可能とする一方、水平方向の経路における透過率が低減しない。この機能は、乗用車内の日よけ又は乗用車のフロントガラスの淡色の上方部分と比較され得る。
【0039】
他の電極の組合せは、オイルの動作を制御するよう使用され得る。例えば、複数の個別に扱われ得る同心環状電極は、該動作を最も内側の部分から始まって、夫々に順次電圧を印加することによってそれらの共通の中心から離れた動きを制御するよう使用され得る。他の例では、接触層の下方に1つの非導電性範囲を有する電極が使用され得る。この場合、オイルは、非導電性範囲の上方の領域に集まる傾向がある。
【0040】
異なる電極電圧を印加することによって接触層の湿潤性を制御する代替案として、接触層の固有の湿潤性は、例えば比較的より疎水性の低い部分を与えることによって、構成要素にわたって変化され得る。この場合、電極に印加された電圧に応答したオイルの動きは、比較的より疎水性の低い領域から始められる。
【0041】
流体チャンバの側壁は、疎水性又は親水性の材料で被覆され得、そのため側壁とオイル/水との間の界面張力における変化は、印加された電極電圧に応答してオイルが特定の方向に動くことを確実にする。
【0042】
流体チャンバの内側面の湿潤性を変化させる他の手段として、接触層の厚さ又は誘電特性は、構成要素にわたって所定のプロファイルを与えられ得、印加された電極電圧に応答して異なる範囲で異なる電界強度を与えるようにする。例えば、接触層のより薄い領域において、水及び電極は互いに対して比較的より近く、より高い電界を作る。オイルの動作は、この領域での上昇された湿潤性によってより高い電界において始められる。例えば、後方電極160に接触する第1の凹状面を有する疎水性絶縁体操130、及び、オイルと接触する第2の略平坦な面が使用され得る。この場合、絶縁体層130の最も薄い部分の上方のオイル層は、この範囲から進むオイルの動作を有して最初に動く。
【0043】
絶縁体層130の湿潤性を変化させる更なる技術は、絶縁体操130から延びる突起を与えることを有する。突起は、電圧が電極に印加されない際に、オイル層から突出し、水と直接接触するよう配置される。水に対する突起の面の可用性は、水に開始点を与え、電圧が電極に印加される際に該開始点からオイルをより容易に動かし得る。加えて、突起は、オイル層から突出する領域において疎水性被覆剤で被覆され得る。オイル層から突出する領域における水による突起の上昇された湿潤性は、突起の効果を高める傾向がある。
【0044】
上述されたレンズ配置の夫々において、オフ状態において水と接触する流体キャビティの内側面は、望ましくは疎水性である。このようにして、水はオイルの2つのボディの間で保持され、オイルのボディは構成要素の末端から離れて動くことから妨げられる。
【0045】
これより図5を参照すると、上述された種類のうちいずれかのレンズを組み入れるサングラス眼鏡200が図示される。眼鏡200は、レンズ100A、100B、フレーム210、アーム220、調整ノブ230、及びバッテリ筐体240を有する。ここでは、調整ノブ230及びバッテリ筐体240は、フレームのブリッジ部上の中心に取り付けられるよう図示される。
【0046】
筐体240内に有されるバッテリは、調整ノブ240を介してレンズ100A、100Bの夫々の電極150、160に接続される。ここでは、調整ノブ240は、望ましくは、レンズ100A、100Bの電極の組150と160との間に印加された電圧(即ち電位差)を調整するよう配置された可変抵抗器を制御する。
【0047】
図5中における構成においては、暗いリング250は、フレーム210に近接するレンズの周縁の周囲に見られ得る。この暗いリング250は、図3に関連して説明された状態におけるオイル層Oを示す。即ち図4は、最大限の光透過率が可能である状態におけるサングラスを図示する。この時点では、レンズ100A、100Bに対する電極150と160との間の電位差は、最大限であることが理解される。制御ノブ230は夫々の電極150と160との間の電位差を低減するよう調整されるため、オイル層は、図1A又は図3中に図示された均一の膜の状態に戻る。この時点では、レンズ100A、100Bの外側の周囲の暗いリングは消えており、その代わりにレンズ100A、100Bの中心範囲の光透過率が低減される。
【0048】
上述された説明においては有色のオイルが検討されている一方、かかる着色は、レンズの光透過率特性が変えられるよう存在する必要は無いことが理解される。実際には、オイル(又は実際には他の第2の流体)の着色は、適切に選択され得、眼鏡に「デザイナー」の感触を与えるよう提供され得る。実際には、眼鏡は、ファッションアイテムであるよう配置され得るため、第1及び第2の流体は異なる色であり、調整ノブ230の調整は、眼鏡が観察者に見えるように変わり、また、着用者によって示される視野の着色を変える。2つの着色によって与えられる効果のいかなる組合せも選択され得る。例えば、第1の流体は、緑色の淡色を有し得、第2の流体は赤色の淡色を有し得る。
【0049】
(視力の欠損の修正という点での)レンズの強度は、前方及び後方壁110、120の形状、及びそれらの中に制限された2つの流体の屈折率によって決定されることが理解される。伝達率を調整する際に変えられる焦点に関する問題を避けるよう、2つの流体は略同一の屈折率でなければならない。
【0050】
サングラスの手動調整がアジャスタを用いて説明される一方、自動操作が備えられ得ることも理解される。例えば、周囲照明条件に従って淡色を変化することが所望される場合、光依存性抵抗器等の光電子構成要素は、手動で可変の抵抗器の代わりに用いされ得る。追加的な制御構成要素は、サングラスのかかる自動制御を達成するよう備えられ得る。他の自動的な配置は、非周囲光依存性の特性を与えるよう備えられ得る。例えば、プログラム可能なパーティ・モード(party mode)は、サングラスに時間依存性の変化を与えるよう与えられ得る。
【0051】
当業者は、本発明に対する多くの他の変化形は範囲を逸脱せずに可能であることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】透過された光のレベルが着用者の選択に従って変化され得るサングラスにおける使用に対するレンズの第1の実施例を概略的に図示する。
【図1B】透過された光のレベルが着用者の選択に従って変化され得るサングラスにおける使用に対するレンズの第1の実施例を概略的に図示する。
【図1C】図1A及び図1Bのレンズと同様の実施例を図示する。しかしながら、この実施例においては、レンズによって有される第1及び第2の流体の相対量の組成及び位置付けが異なる。
【図2】透過された光のレベルが着用者の選択に従って変化され得るサングラスにおける使用に対するレンズの更なる実施例の構成を図示する概略図である。
【図3】図2のレンズに適用される「エレクトロウェッティング」の原理を図示する。
【図4】図2のレンズに適用される「エレクトロウェッティング」の原理を図示する。
【図5】図1又は図2のレンズが実現され得る眼鏡を図示する。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
サングラスであって、
異なる光透過率特性の第1及び第2の非混和流体を組み入れる少なくとも1つのエレクトロウェッティング・レンズを有することによって特徴付けられ、
前記第1の流体は、前記第2の流体より優れた光トランスミッタであり、
各エレクトロウェッティング・レンズの第1及び第2の電極間の電位差における変化は、前記第1及び第2の流体間の境界の形状が第1の状態から変更するようにさせ、前記第1の状態では、前記第2の流体は、前記レンズの内側面の光を透過する範囲の略全体にわたって層を形成し、前記光透過率は、前記光透過率が最大である第2の状態に対して最も低減された状態にある、
サングラス。
【請求項2】
前記第2の状態において、前記第2の流体は、前記レンズの周縁領域に収容される、
請求項1記載のサングラス。
【請求項3】
前記レンズは、透明の後方壁と透明の前方壁とを有し、それらの間のキャビティを定義付け、前記キャビティ内に前記第1及び第2の流体が収容される、
請求項1又は2記載のサングラス。
【請求項4】
前記レンズの前記第1及び第2の電極は、前記後方壁の前記内側面の領域において形成された後方電極と、前記前方壁の内側周縁の周囲に延びるリング型電極とを有する、
請求項3記載のサングラス。
【請求項5】
前記前面壁の内側領域は、疎水性であるか、又は、疎水性の層で被覆され、同時にリング型電極が疎水性的に絶縁される、
請求項4記載のサングラス。
【請求項6】
前記レンズの自然状態は、前記第1の状態であり、前記第1の状態において、前記レンズの電極間に電位差は印加されない、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項7】
前記第1の流体は、前記前方壁に最も近い流体である一方、前記第2の流体は前記後方壁に最も近い境界を有する流体である、
請求項6記載のサングラス。
【請求項8】
前記第1の流体は、透明の非導電性流体である一方、前記第2の流体は、有色の導電性及び/又は極性流体である、
請求項6又は7記載のサングラス。
【請求項9】
前記レンズの前記自然状態は、前記第2の状態であり、前記状態において、前記レンズの電極間に電位差は印加されない、
請求項1乃至5のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項10】
前記第1の流体は、前記後方壁に最も近い流体である一方、前記第2の流体は前記前方壁に最も近い境界を有する流体である、
請求項9記載のサングラス。
【請求項11】
前記第1の流体は、透明の極性及び/又は導電性流体である一方、前記第2の流体は、有色の非導電性流体である、
請求項10記載のサングラス。
【請求項12】
前記レンズの光学経路内の前記第2の流体の厚さは、電極間の前記電位差を変化することによって継続的に変化され得る、
請求項10又は11記載のサングラス。
【請求項13】
前記電極間の前記電位差の漸進的変化は、前記第1の状態と前記第2の状態との間の漸進的変更を与えるよう前記境界の前記形状を漸進的に変更するよう配置される、
請求項1乃至12のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項14】
疎水性絶縁体は、前記後方壁の内側領域上、及び、透明の後方電極上に形成される、
請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項15】
前記第1の流体は、前記第1の状態において前記前方壁に最も近い境界を有する流体である一方、前記第2の流体は、前記後方壁に最も近い境界を有する流体である、
請求項14記載のサングラス。
【請求項16】
前記第1の流体は、透明の極性及び/又は導電性流体である一方、前記第2の流体は、有色の非導電性流体である、
請求項15記載のサングラス。
【請求項17】
前記電極間の電位差の前記印加は、前記第2の流体が前記レンズの側方領域に向かって押されるようにする、
請求項16記載のサングラス。
【請求項18】
前記前方壁の湾曲と、前記後方壁の湾曲と、前記第1及び第2の流体の屈折率とは、着用者の視野の欠損を修正するよう配置される、
請求項1乃至17のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項19】
手動調整手段は、前記一組の第1及び第2の電極の間に印加された前記電位差を変更するよう与えられる、
請求項1乃至18のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項20】
自動調整手段は、前記第1及び第2の組の電極の間に印加された前記電位差を変更するよう与えられる、
請求項1乃至19のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項21】
前記第1及び第2の流体は、略同一の屈折率及び比重を有する、
請求項1乃至20のうちいずれか一項記載のサングラス。
【請求項22】
異なる光透過率特性の第1及び第2の非混和流体を組み入れるエレクトロウェッティング・レンズであって、
前記第1の流体は、前記第2の流体より優れた光トランスミッタであり、
各エレクトロウェッティング・レンズの第1と第2の電極間の前記電位差における変化は、前記第1と第2の流体間の境界の形状を第1の状態から変更するようにさせ、前記第1の状態において、前記第2の流体は、前記レンズの内側面の光を透過する範囲の略全体にわたって層を形成し、光透過率は、前記光透過率が最大である第2の状態に対して最も低減された状態にある、
エレクトロウェッティング・レンズ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−519015(P2007−519015A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518450(P2006−518450)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051078
【国際公開番号】WO2005/003843
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】