説明

選別方法および選別装置

【課題】 不規則に供給される対象物を、大きさ等に応じて効率的に選別可能な、選別装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明にかかる選別装置1は、ハンド部620上における対象物の通常画像を取得する画像取得手段と、対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工手段と、通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理手段と、収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理手段と、第一判定処理手段にて得られる対象物の第一画像情報と第二判定処理手段にて得られる対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較手段と、対象物に関する選別排出を行なう仕分搬送手段とを備え、第一画像情報および第二画像情報が、ハンド部620上における対象物の個数および大きさ等の少なくとも一つ以上の情報を含み、画像情報比較手段にて、ハンド部620上における対象物の個数および大きさ等の少なくとも一つの比較が行なわれることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不規則に供給される対象物の選別方法および選別装置に関するものである。具体的には、例えば、不規則に供給されるジャガイモ等を誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別可能な、選別方法および選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ジャガイモ等の農作物を生産する生産者あるいは生産組合等においては、農作物の収穫時期に、収穫、選別、出荷という作業を行っている。この中で「選別」作業については、大規模な生産者や生産組合では、種々の選別装置等を用いて選別作業を行うところもあるが、個々の小規模な生産者の大半(以下、「一般の生産者」という。)は、コスト等の観点から選別装置等を有していないため、通常は手作業での選別を行っている。
【0003】
一般の生産者は、収穫時期には収穫作業に長時間を要するため、手作業での選別および出荷については、夜遅くまで行っているのが実情である。また、手作業の選別を行うと、その生産者の個別能力等によって選別規格にばらつきが発生する場合もある。したがって、近年においては、一般の生産者における選別作業の効率化を実現可能な、選別装置の開発が望まれている。
【0004】
従来技術にかかる選別装置としては、種々の装置が知られており、これらの従来技術にかかる選別装置は、一般に、不規則に供給された農作物等を切り離しながら搬送する「切離搬送手段」、農作物等を安定した整列状態で搬送する「安定整列搬送手段」、および農作物等を所定要件に応じて仕分け搬送する「仕分搬送手段」等を用いて構成されている。
【0005】
そして、供給される農作物等を選別するための具体的な手段としては、「質量選別」や「画像選別」等が知られている。「質量選別」とは、選別される農作物等の質量を測定して、その質量に応じて農作物等を選別する方法であり、「画像選別」とは、搬送される農作物等の画像を取得して、その画像に基づいて農作物等の大きさ等を判断し、その大きさ等に応じて農作物等を選別する方法である。
【0006】
【特許文献1】特開2000−009446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術にかかる選別装置は、上述したように、「質量選別」や「画像選別」等によって農作物等の選別を行なっているが、これらには、次のような問題があった。
【0008】
例えば、従来技術にかかる「質量選別」を用いた選別装置は、その選別速度が遅く、選別精度が低いという問題があった。具体的には、選別速度については、通常1〜1.5個/秒であり、画像選別の3〜4.5個/秒に比べ、かなり遅いという問題があった。これは、計量機で質量を測るため、振動等が安定するまでの時間が必要であることに起因する。また、質量選別装置の計量器に、二個以上の対象物が搬送方向へ隣接して搬送された場合には、選別精度が悪くなり、二個以上の対象物が隣接することで同時に計量器に搬送された場合には、誤選別すると言う問題があった。
【0009】
また、従来技術にかかる「画像選別」を用いた選別装置としては、選別装置の搬送手段上方に対象物(農作物等)の撮影が可能なカメラが設けられ、このカメラによって得られた画像に基づいて対象物の大きさを判定し、その判定結果に基づいて対象物の選別処理を行う構成が知られている。
【0010】
このような構成においては、二個以上の対象物が隣接して搬送された場合、二個以上の対象物が一個の対象物として認識されたり、それぞれの対象物が誤った大きさとして認識されたりすることによって、誤選別が発生し、対象物の選別処理が適切に行われないという問題があった。また、二個以上の対象物が隣接した状態において、二個以上の対象物として正確に認識されても、隣接状態にあるため、排出時にぶつかる等し、誤選別が発生し、対象物の選別処理が適切に行われないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術にかかる問題を解決するためになされたものであって、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別可能な、選別方法および選別装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一態様にかかる選別方法は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象物を所定要件に応じて選別する選別方法であって、前記対象物の通常画像を取得する画像取得工程と、前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工工程と、前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理工程と、前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理工程と、前記第一判定処理工程にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理工程にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較工程と、前記画像情報比較工程の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出の可否を判断する選別排出可否工程とを備えたことを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、前記通常画像における第一画像情報と前記収縮画像における第二画像情報とを比較した後に、その結果に基づき前記対象物に関する選別排出の可否を判断するため、前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。より具体的には、前記通常画像から得られる前記第一画像情報においては、一つの前記対象物と判断される場合であっても、前記収縮画像から得られる前記第二画像情報においては、二つ以上の前記対象物と判断される場合がある。つまり、前記対象物が隣接している場合(あるいは接触等して重なっている場合)、前記通常画像のみからの情報では、誤判定(二つの対象物を一つとして判定する誤判定等)が起こりやすい。しかしながら、本発明によれば、前記通常画像と前記収縮画像との比較を行うことによって、前記対象物に関する個数等の誤判定を無くし、前記対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。これは、前記収縮画像を利用することによって、接触している対象物を強制的に切り離した状態で、前記第二画像情報を得ることが可能となるからである。
【0014】
また、本発明の第二態様にかかる選別方法は、第一態様の構成にて、前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、前記画像情報比較工程にて、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれるべく構成されている。
【0015】
このような構成によれば、前記通常画像と前記収縮画像とにおける、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較を行なった上で、前記選別排出可否工程が行われるため、前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。この際、それぞれのパラメータに優先順位を設け、段階的に各パラメータの比較を行ないながら、前記選別排出可否工程を行ってもよい。
【0016】
さらに、本発明の第三態様にかかる選別方法は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象物を所定要件に応じて選別する選別方法であって、ハンド部上における前記対象物の通常画像を取得する画像取得工程と、前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工工程と、前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理工程と、前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理工程と、前記第一判定処理工程にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理工程にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較工程と、前記画像情報比較工程の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出の可否を判断する選別排出可否工程とを備え、前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、前記画像情報比較工程にて、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれることを特徴としている。
【0017】
このような構成によれば、前記通常画像における第一画像情報と前記収縮画像における第二画像情報とを比較した後に、その結果に基づき前記対象物に関する選別排出の可否を判断するため、前記ハンド部上における前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。より具体的には、前記通常画像から得られる前記第一画像情報においては、一つの前記対象物と判断される場合であっても、前記収縮画像から得られる前記第二画像情報においては、二つ以上の前記対象物と判断される場合がある。つまり、前記対象物が隣接している場合(あるいは接触等して重なっている場合)、前記通常画像のみからの情報では、誤判定(二つの対象物を一つとして判定する誤判定等)が起こりやすい。しかしながら、本発明によれば、前記通常画像と前記収縮画像との比較を行うことによって、前記対象物に関する個数等の誤判定を無くし、前記対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。これは、前記収縮画像を利用することによって、接触している対象物を強制的に切り離した状態で、前記第二画像情報を得ることが可能となるからである。
加えて、このような構成によれば、前記通常画像と前記収縮画像とにおける、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較を行なった上で、前記選別排出可否工程が行われるため、前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別することができる。この際、それぞれのパラメータに優先順位を設け、段階的に各パラメータの比較を行ないながら、前記選別排出可否工程を行ってもよい。
【0018】
また、本発明の第四態様にかかる選別装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、対象物を所定要件に応じて選別する選別装置であって、ハンド部上における前記対象物の通常画像を取得する画像取得手段と、前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工手段と、前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理手段と、前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理手段と、前記第一判定処理手段にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理手段にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較手段と、前記画像情報比較手段の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出を行なう仕分搬送手段とを備え、前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、前記画像情報比較手段にて、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、前記通常画像における第一画像情報と前記収縮画像における第二画像情報とを比較した後に、その結果に基づき前記対象物に関する選別排出の可否を判断するため、前記ハンド部上における前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。より具体的には、前記通常画像から得られる前記第一画像情報においては、一つの前記対象物と判断される場合であっても、前記収縮画像から得られる前記第二画像情報においては、二つ以上の前記対象物と判断される場合がある。つまり、前記対象物が隣接している場合(あるいは接触等して重なっている場合)、前記通常画像のみからの情報では、誤判定(二つの対象物を一つとして判定する誤判定等)が起こりやすい。しかしながら、本発明によれば、前記通常画像と前記収縮画像との比較を行うことによって、前記対象物に関する個数等の誤判定を無くし、前記対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。これは、前記収縮画像を利用することによって、接触している対象物を強制的に切り離した状態で、前記第二画像情報を得ることが可能となるからである。
加えて、このような構成によれば、前記通常画像と前記収縮画像とにおける、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較を行なった上で、前記仕分搬送手段が機能するため、前記対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。この際、それぞれのパラメータに優先順位を設け、段階的に各パラメータの比較を行ないながら、前記仕分搬送手段を駆動させてもよい。
【0020】
さらに、本発明の第五態様にかかる選別装置は、第四態様の構成にて、前記ハンド部が、前記対象物を保持可能な魚骨形状を有すべく構成されている。また、前記ハンド部は、青系統の色である構成が好ましい。
【0021】
従来技術においては、対象物の画像取得を行なう場合、面状のコンベア等にて搬送される対象物がカメラ等にて撮影されることなる。このような場合、コンベア搬送面と対象物(例えば、ジャガイモ等の農作物)との色差(カラーカメラの場合)や、濃淡差(白黒カメラの場合)を利用し、撮影された画像に基づく処理等を行って、対象物の大きさ等の判定等が行なわれる。しかしながら、農作物等が対象物である場合、対象物に付着した土等によってコンベア搬送面が汚れ、背景(コンベア搬送面)と対象物との違いがはっきりせず、誤判定が発生する確率が高まる。例えば、汚れ部分が対象物と一体となって画像取得され、実際の大きさよりも大きな対象物として撮影され、誤判定となる。
【0022】
これに対し、本発明の第五態様にかかる選別装置は、前記ハンド部が魚骨形状を有しているため、前記ハンド部上における前記対象物の通常画像を取得する際において、前記対象物の画像取得時におけるノイズ等を低減することができる。つまり、本発明によれば、前記対象物が面状のコンベア等ではなく、魚骨形状を有するハンド部にて搬送されているため、背景(魚骨形状のハンド部)と対象物とが明確な状態で画像取得され、誤判定が低減される。加えて、画像取得時の搬送手段が魚骨形状を有するハンド部であるため、汚れの付着部分が小さくなり、誤判定が低減される。また、このような構成によれば、対象物の画像取得後の画像処理にて、背景(魚骨形状のハンド部)の除去等を容易に行うことが可能となるため、ハンド部に付着した汚れ等の影響を完全に無くし、誤判定を低減させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に選別可能な、選別方法および選別装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1の概略斜視図を示したものである。また、図2は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1の概略側面図(一部断面図)を示したものである。さらに、図3は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する傾斜搬送手段10の概略側面図(一部断面図)を示したものである。また、図4は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段20の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段20の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。さらに、図5は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段30の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段30の概略側面図を示したものである。また、図6は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段60の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段60の概略側面図を示したものである。ここで、図1および図2等における矢印Xは、ジャガイモ(本発明の「対象物」に相当)の搬送方向(供給方向)を示している。
【0026】
図1および図2に示すように、本実施形態にかかる選別装置1は、傾斜搬送手段10、切離搬送手段20、安定整列搬送手段30、対象物判定手段40、仕分手段50、およびハンド搬送手段60等を用いて構成されている。ここで、仕分手段50およびハンド搬送手段60が、本発明の「仕分搬送手段」に相当する。また、本実施形態においては、選別装置1にて選別される「対象物」がジャガイモである場合について説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態にかかる選別装置1は、多数のジャガイモを収容可能な傾斜搬送手段10、傾斜搬送手段10から供給されるジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20、切離搬送手段20から供給されるジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30、安定整列搬送手段30から供給されるジャガイモを搬送させるハンド搬送手段60、ハンド搬送手段60上のジャガイモの大きさを判定する対象物判定手段40、および対象物判定手段40における判定処理結果に基づき、ハンド搬送手段60上のジャガイモの仕分処理を行う仕分手段50等を用いて構成されている。
【0028】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する傾斜搬送手段10は、図3に示すように構成されている。この図3に示すように、傾斜搬送手段10は、傾斜搬送筺体部100、この傾斜搬送筺体部100の上方位置に設けられた対象物投入部101、および傾斜搬送筺体部100内部に設けられた傾斜状コンベア110等を用いて構成されている。
【0029】
対象投入部101には、傾斜状コンベア110に連通したコンベア連通開口部102が設けられており、対象投入部101に投入されたジャガイモは、このコンベア連通開口部102を介して、傾斜状コンベア110に供給されることとなる。
【0030】
傾斜搬送筺体部100内部には、図3における右下方位置に下方回転ローラ部118が設けられ、左上方位置に上方回転ローラ部119が設けられている。本実施形態においては、これらの回転ローラ部118,119間に、単位ローラ部111を連結して構成された無端状の傾斜状コンベア110が配設されている。
【0031】
傾斜状コンベア110を構成する単位ローラ部111には、所定間隔を有して可動桟部112が回動自在に設けられている。可動桟部112は、短辺部112aと長辺部112bとを用いて構成されている。この可動桟部112は、周囲の部材との当接状態に応じて、単位ローラ部111を中心として回動自在となるように、単位ローラ部111に取り付けられている。
【0032】
また、傾斜搬送筺体部100内部における傾斜状コンベア110の下方位置には、第一桟支持部113および第二桟支持部114が設けられている。より具体的には、本実施形態にかかる傾斜状コンベア110は、図3において、反時計方向に回転駆動しており、この反時計方向に回転駆動している傾斜状コンベア110の上方移動する(図3における矢印X1方向に移動する)部分の下方位置に第一桟支持部113が設けられており、傾斜状コンベア110の下方移動する(図3における矢印X2方向に移動する)部分の下方位置に第二桟支持部114が設けられている。第一桟支持部113の下方位置には、可動桟部112の短辺部112aと当接する短辺当接部113aが設けられている。第二桟支持部114の下方位置には、可動桟部112の長辺部112bと当接する下部長辺当接部114aが設けられ、第二桟支持部114の上方位置には、可動桟部112の長辺部112bと当接する上部長辺当接部114bが設けられている。
【0033】
傾斜搬送手段10には、切離搬送手段20との連結部分に、連結搬送部115が設けられており、対象物投入部101に投入されたジャガイモは、コンベア連通開口部102を介して傾斜コンベア110に供給され、傾斜コンベア110にて搬送されたジャガイモは、この連結搬送部115を介して切離搬送手段20に供給される。
【0034】
傾斜状コンベア110を構成する単位ローラ部111に取り付けられた可動桟部112は、可動桟部112の短辺部112aと第一桟支持部113の短辺当接部113aとが当接することによって、傾斜状コンベア110に対して略垂直に起立した状態となる。可動桟部112の起立状態は、第一桟支持部113と可動桟部112の短辺部112aとの当接状態が継続する限り継続する。次いで、本実施形態においては、可動桟部112の長辺部112bと第二桟支持部114の上部長辺当接部114bとが当接することによって、可動桟部112が、傾斜状コンベア110に平伏した状態となる。可動桟部112の平伏状態は、第二桟支持部114と可動桟部112の長辺部112bとの当接状態が継続する限り継続する。第二桟支持部114と可動桟部112の長辺部112bとの当接状態は、第二桟支持部114の下部長辺当接部114aにて終了し、この後、可動桟部112は、その自重にて長辺部112bが垂下した状態となる。
【0035】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20は、図4に示すように構成されている。ここで、図4は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する切離搬送手段20の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段20の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段20の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。ここで、図4(b)における矢印Xはジャガイモの搬送方向を示している。
【0036】
この図4に示すように、本実施形態にかかる切離搬送手段20は、コンベア載置台200と、このコンベア載置台20上に設けられた複数の切離コンベア(第一切離コンベア201、第二切離コンベア202、第三切離コンベア203、第四切離コンベア204、第五切離コンベア205)等とを用いて構成されている。ここで使用される切離コンベア201,202,203,204,205は、例えば、特殊スポンジベルト(ジャージーベルト)を用いて構成されている。
【0037】
本実施形態にかかる切離搬送手段20は、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205を用いて構成されており、対向する切離コンベア(第一切離コンベア201と第二切離コンベア202、第二切離コンベアと第三切離コンベア203、第三切離コンベア203と第四切離コンベア204、第四切離コンベア204と第五切離コンベア205)が、異なる速度にて駆動すべく構成されている。
【0038】
また、本実施形態にかかる切離搬送手段20は、図4(a)および図4(c)に示すように、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されている。さらに、本実施形態にかかる切離搬送手段20を構成する切離コンベア201,202,203,204,205は、図4に示すように、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方の切離コンベアの駆動速度が、他方の切離コンベアの駆動速度よりも高速に設定されている。
【0039】
より具体的には、本実施形態にかかる切離搬送手段20を構成する第一切離コンベア201および第二切離コンベア202の傾斜角度θは、コンベア載置台200に対して同一の角度(例えば、50°)に設定されている。また、第三切離コンベア203の傾斜角度θは、第一切離コンベア201および第二切離コンベア202の傾斜角度θよりも小さな角度(例えば、40°)に設定されている(換言すれば、対象物の接触面が緩やかになる角度に設定されている)。さらに、第四切離コンベア204の傾斜角度θは、第三切離コンベア203の傾斜角度θよりも小さな角度(例えば、30°)に設定されており、第五切離コンベア205の傾斜角度θは、第四切離コンベア204と同一の角度(例えば、30°)に設定されている。すなわち、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の傾斜角度は、「θ>θ>θ」の関係を有するように設定されている。
【0040】
また、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の駆動速度は、より下流側に終点を有する切離コンベアの駆動速度の方がより高速となるように設定されている。つまり、本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205の駆動速度は、「第一切離コンベア201(例えば、18m/min)<第二切離コンベア202(例えば、21m/min)<第三切離コンベア203(例えば、24m/min)<第四切離コンベア204(例えば、31m/min)<第五切離コンベア205(例えば、35m/min)」の関係を有するように設定されている。
【0041】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30は、図5に示すように構成されている。ここで、図5は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成する安定整列搬送手段30の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段30の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段30の概略側面図を示したものである。
【0042】
この図5に示すように、本実施形態にかかる安定整列搬送手段30は、第一上方回転ローラ部301、第二上方回転ローラ部302、これらの回転ローラ部301,302に無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303(チェーン部)、およびブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304(弾性押さえ手段)等を用いて構成されている。ここでは、毛丈の長いチャンネルブラシ304をブラシ支持チェーン部303(アタッチメントチェーン)にゴンドラ状(暖簾状)に取り付けて、安定整列搬送手段30が構成されている。
【0043】
また、本実施形態にかかる安定整列搬送手段30は、切離搬送手段20から供給されるジャガイモを受け取る無端状の搬送コンベア313を有し、この搬送コンベア313は、第一下方回転ローラ部311および第二下方回転ローラ部312に無端状に構成されている。さらに、本実施形態においては、ジャガイモを搬送する搬送コンベア313と、ジャガイモを上方から押さえるブラシ支持チェーン部303とが、略同様の速度にて駆動すべく構成されている。
【0044】
本実施形態においては、切離搬送手段20から供給されたジャガイモが搬送コンベア313にて搬送される。その際、ジャガイモに対しては、上方から安定整列搬送手段30(を構成するチャンネルブラシ304)による規制が働き、搬送されるジャガイモが転がったりすることがなく、その姿勢も安定することとなって、整列状態で適切に搬送処理が行われることとなる。
【0045】
本実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60は、図1等に示すように構成されている。より具体的には、本実施形態にかかるハンド搬送手段60は、無端状に構成されたハンド搬送ベルト601、このハンド搬送ベルト601に設けられた多数のハンド支持部610、およびこのハンド支持部610にて各々支持されているハンド部620等を用いて構成されている。
【0046】
本実施形態においては、安定整列搬送手段30を介して供給されたジャガイモが、ハンド搬送手段60にて搬送される。そして、このハンド搬送手段60にて、ジャガイモが、対象物判定手段40および仕分手段50に搬送されることとなる。
【0047】
ここで、図6は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置1を構成するハンド搬送手段60の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段60の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段60の概略側面図を示したものである。また、この図6には、仕分手段50を構成する仕分スイッチ部510も記載されている。
【0048】
図6に示すように、本実施形態にかかるハンド搬送手段60は、ハンド搬送ベルト601、ハンド支持部610、およびハンド部620等を用いて構成されている。ハンド支持部610には、ハンド部620とハンドロック部611とが設けられており、ハンド部620は、ジャガイモ等を載置して搬送可能なハンド本体部621と、ハンド支持部610にハンド部620を取り付けるハンド取付部622とを用いて構成されている。ハンドロック部611は、第一ヒンジ部611cを介してハンド支持部610に取り付けられており、ハンド部620を成すハンド取付部622は、第二ヒンジ部622cを介してハンド支持部610に取り付けられている。
【0049】
ジャガイモ等の搬送処理を行う場合には、図6(a)に示すように、ハンドロック部611を成す第一係合部611aと、ハンド取付部622を成す第二係合部622aとを係合状態として、ハンド本体部621を略水平状態に保持する。一方、ジャガイモ等の仕分処理を行う場合には、図6(b)に示すように、仕分スイッチ部510(を成すスイッチ側当接部511)によりハンドロック部611のハンド側当接部611bをたたいて、ハンドロック部611を成す第一係合部611aと、ハンド取付部622を成す第二係合部622aとの係合状態を解除する。このように、第一係合部611aと第二係合部622aとの係合状態を解除すれば、ハンド部620は自重および搬送中のジャガイモの重みによって、図6(b)に示すように傾くため、仕分スイッチ部510のタイミングに応じて、ジャガイモ等を適切に仕分処理することができる。
【0050】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する対象物判定手段40については、その詳細な構成は後述するが、本実施形態にて用いられる対象物判定手段40は、カメラによって得られたジャガイモ(対象物)の画像によって、その大きさを判定する機能を有すると共に、ジャガイモ(対象物)の隣接状態を判定する機能を有する。すなわち、本実施形態にかかる対象物判定手段40は、隣接状態に起因する誤判定を防止しつつ、ジャガイモの大きさを瞬時に判定し、その判定処理情報を仕分手段50(を構成する仕分スイッチ部510)に伝達すべく構成されている。
【0051】
本実施形態にかかる選別装置1を構成する仕分手段50は、図1および図6に示すように、三つの仕分スイッチ部510、これらの各スイッチ部510に対応して設けられた仕分傾斜部(第一仕分傾斜部501、第二仕分傾斜部501、第三仕分傾斜部503)等を用いて構成されている。
【0052】
上述したように、本実施形態にかかる仕分スイッチ部510には、対象物判定手段40にて得られた判定処理結果が電気的に伝達される。つまり、ハンド搬送手段60にて搬送されているジャガイモの大きさ等に関する判定処理情報が仕分スイッチ部510に伝達され、そのジャガイモが適切な箇所に搬送されてきたときに、三つのうちのいずれかの仕分スイッチ部510(を成すスイッチ側当接部511)がハンドロック部611(を成すハンド側当接部611b)をたたき、いずれかの仕分傾斜部(第一仕分傾斜部501、第二仕分傾斜部501、第三仕分傾斜部503)を経て、あらかじめ配置された仕分箱B1,B2,B3のいずれかに仕分けられることとなる。
【0053】
次に、本実施形態にかかる対象物判定手段40およびその周辺装置に基づき、本実施形態にかかる選別方法を具体的に説明する。
【0054】
ここで、図7は、本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する対象物判定手段40およびその周辺要素のシステム構成図を示したものである。また、図8は、本発明の第一実施形態にかかる選別方法に関するフローチャートを示したものである。さらに、図9は、本発明の第一実施形態にかかる選別方法を説明するために使用される、ハンド搬送手段の上面図の一例を示したものである。
【0055】
本実施形態にかかる選別装置1は、ジャガイモ等の対象物を所定要件に応じて選別する選別装置1であって、ハンド部620上における対象物の通常画像を取得するカメラ部41(本発明の「画像取得手段」に相当)と、この通常画像に基づき、対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、第一判定処理手段にて得られる対象物の第一画像情報と、第二判定処理手段にて得られる対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、画像情報比較手段の結果に基づき、対象物に関する選別排出を行なう仕分搬送手段(仕分手段50およびハンド搬送手段60)とを備え、第一画像情報および第二画像情報が、ハンド部620上における対象物の個数、対象物の大きさ、対象物の重心位置、および対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、画像情報比較手段にて、ハンド部620上における対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれるべく構成されている。
以下、選別制御盤401およびその周辺要素について、具体的に説明する。
【0056】
本実施形態にかかる選別装置1は、図7に示すように、タッチパネル411、プログラマブルコントローラ412、および画像処理ボード413等を用いて構成された選別制御盤401を有しており、各構成要素411,412,413は、集線装置(HUB)414を介して電気的に接続されている。ここで、タッチパネル411は、画像設定、排出設定、階級設定、情報表示等を可能なように構成されている。また、プログラマブルコントローラ412は、データ登録や排出制御を実施可能に構成されている。さらに、画像処理ボード413は、画像処理アルゴリズム判定、すなわち、本実施形態にかかる選別判定処理を実施可能に構成されている。
【0057】
この図7に示すように、本実施形態においては、プログラマブルコントローラ412からの電気的信号(画像取込指令信号)に基づいて、対象物判定手段40を構成するカメラ部41(CCD白黒カメラ)を駆動させて、3ハンド毎に画像の取り込み(画像取得)が行なわれる。カメラ部41にて取得された画像情報(画像信号)は、画像処理ボード413に送られる。
【0058】
本実施形態において、カメラ部41では3ハンド進む毎に画像の取り込み処理が行われるが、画像に基づく選別判定処理は、一画面6ハンド毎に行われる。これは、例えば、左側エリアのハンド1(図9(a)参照)の左端からはみ出した対象物が存在した場合、この対象物は選別処理ができないこととなるためである。つまり、ハンド1の左端からはみ出した対象物は、ハンド1の位置にあるときは選別判定処理の対象とならず(すなわち、排出可否を判断する対象とならず)、右側エリアのハンド4の位置に到達した際に、選別判定処理の対象となる。
【0059】
また、本実施形態においては、ハンド検出センサ421を用いてハンド位置が検出され、かかるハンド位置に関する電気信号がプログラマブルコントローラ412に送られる。さらに、本実施形態においては、搬送位置検出センサ422を用いて、排出位置に関する電気信号がプログラマブルコントローラに送られる。そして、プログラマブルコントローラ412は、種々の情報に基づいて、排出幅制御信号等を排出ソレノイド(仕分スイッチ部510を構成する排出ソレノイド)に送り、これらの信号に基づいて排出ソレノイドが駆動して、ハンド部620上の対象物(ジャガイモ等)が適切に仕分搬送(選別)される。
【0060】
次に、図8のフローチャートを用いて、本発明の第一実施形態にかかる選別方法(選別処理)を説明する。なお、必要に応じて、他の図面も参照しつつ説明する。
【0061】
図8に示すように、本実施形態にかかる選別方法(選別処理)においては、まず、プログラマブルコントローラ412からの画像取込指令信号に基づき、カメラ部41を用いてハンド部620(上の対象物)の画像取得処理が行われる(ステップS801)。
【0062】
次いで、カメラ部41にて取得された画像信号(通常画像信号)は画像処理ボード413に送られ、通常画像信号としてのデータ登録が行われると共に、通常画像信号を用いた収縮画像の加工処理(収縮画像加工工程)が行なわれる(ステップS802)。
【0063】
次いで、選別制御盤401においては、取得された通常画像に関する画像判定処理(第一判定処理工程)(ステップS803)と、加工された収縮画像に関する画像判定処理(第二判定処理工程)(ステップS804)とが行なわれる。ここで、第一判定処理工程においては、通常画像に基づき、ハンド部620上の対象物の面積、重心、XY座標、対象物間の隣接距離等に関する演算処理が行われ、第二判定処理工程においては、収縮画像に基づき、ハンド部620上の対象物の面積、重心、XY座標、対象物間の隣接距離等に関する演算処理が行われる。
【0064】
次いで、ステップS803およびステップS804の後、判定処理領域(6ハンド(ハンド1〜ハンド6)(図9参照)内)に、ジャガイモ等の対象物が存在するか否かの判定処理が行われる(ステップS805)。ここで、対象物が存在する場合(S805にて「Yes」の場合)には、次にステップS806以降の処理が行われ、対象物が存在しない場合(S805にて「No」の場合)には、次にステップS812以降の処理が行われる。
【0065】
次いで、ステップS806においては、通常画像中に含まれている対象物の個数と、収縮画像中に含まれている対象物の個数とが異なる数であるか否かの比較判定処理(個数比較判定処理)(本発明の「画像情報比較工程」に含まれる)が行われる。ここで、対象物の個数が異なる場合(S806にて「Yes」の場合)には、次にステップS807以降の処理が行われ、対象物の個数が異ならない場合(S806にて「No」の場合)には、次にステップS809以降の処理が行われる。
【0066】
対象物の個数が異なる場合(S806にて「Yes」の場合)とは、通常画像では対象物が隣接接触している場合(例えば、複数の対象物がくっついて一つと判定された場合)であるため、ステップS807においては、切り離し可否の判定処理(切離可否判定処理)が行なわれる。具体的には、収縮画像中の対象物について、各対象物の隣接距離(エッジ間隔)が所定値(例えば、15ピクセル)よりも小さいか否か、および各対象物の重心位置距離(重心間隔)が所定値(例えば、40ピクセル)よりも小さいか否かが判定される。エッジ間隔が所定値よりも小さければ「エッジエラー」となり、重心間隔が所定値よりも小さければ「重心エラー」となって、これらのエラーの有無がデータ登録される。
【0067】
次いで、通常画像中の対象物一つに対して収縮画像中の対象物が複数存在して、切り離しが可能か否かが判定される(ステップS808)。切り離しが可能な場合(S808にて「Yes」の場合)には、次にステップS809以降の処理が行われ、切り離しが不可能な場合(S808にて「No」の場合)には、次にステップS810以降の処理が行われる。この際、上述した二つのエラーが発生している場合には、切り離しは不可能であると判定される。
【0068】
次いで、ステップS809においては、通常画像中におけるくっついた対象物について強制切離処理を行い、切り離した対象物に関する情報がデータ登録される。この際に登録されるデータとしては、例えば、収縮画像に関する第二画像情報等が用いられる。つまり、選別を行なう際のデータとして、通常画像に関する第一画像情報に加えて、収縮画像に関する第二画像情報が用いられることとなる。
【0069】
次いで、ステップS810においては、対象物がどのハンド部620に乗っているかの位置判定処理(対象物位置判定処理)が行われる。具体的には、各対象物が左側エリアの左端部からはみ出していないか否か、各対象物が右側エリアの右端部からはみ出していないか否か、および対象物がどのエリア(どのハンド部620)に乗っているかの位置判定処理が行われる。
【0070】
次いで、ステップS811においては、強制切離処理後の全ての対象物に対して、くっつき判定処理が行われる。具体的には、通常画像中の各対象物について、各対象物の隣接距離(エッジ間隔)が所定値(例えば、15ピクセル)よりも小さいか否か、および各対象物の重心位置距離(重心間隔)が所定値(例えば、40ピクセル)よりも小さいか否かが判定される。エッジ間隔が所定値よりも小さければ「エッジエラー」となり、重心間隔が所定値よりも小さければ「重心エラー」となって、これらのエラーの有無がデータ登録される。
【0071】
次いで、ステップS812においては、選別判定処理が可能な有効エリア内に対象物が存在するか否かの判定が行なわれる。つまり、エッジエラーや重心エラーが発生していない状態で、ハンド部620上に対象物が存在するか否か等の判定がなされる。有効エリア内に対象物が存在する場合(S812にて「Yes」の場合)には、次にステップS813以降の処理が行われる。また、有効エリア内に対象物が存在しない場合(S812にて「No」の場合)には、対象物に対する選別処理は行われず、ハンド部620上に対象物が存在しても、その対象物は、傾斜搬送手段10にリターンされ、選別処理が終了する。
【0072】
次いで、ステップS813においては、その対象物のサイズ判定と、対象物が存在するハンド部620の位置判定が行われる。サイズ判定については、その対象物の面積に基づいて、S,M,L,2L,3L,4L等のサイズに選別される。位置判定については、その対象物の重心位置に基づいて、対象物がどのハンド部620に乗っているかの判定が行なわれる。
【0073】
次いで、ステップS814においては、対象物が両隣のハンド部620にまたがっていないかどうかの判定処理が行われる。具体的には、例えば、対象物の面積の10%が左側のハンド部620にまたがっている場合には「左側ハンドまたぎ」、対象物の面積の10%は右側のハンド部620にまたがっている場合には「右側ハンドまたぎ」とし、このまたぎ状態に応じて、ハンド部620を傾斜させる際の「該当ハンド部」の選択処理が行われる。
【0074】
次いで、ステップS815においては、対象物のサイズ、ハンド位置(対象物の重心位置)、ハンドまたぎ状態等の情報に基づいて、対象物の選別排出の可否が判定され、適切な場所に適切なサイズの対象物を選別排出すべく、プログラマブルコントローラ412からの信号で排出ソレノイドを駆動させ、該当ハンド部の傾斜処理が行われる。なお、上述した「またぎ」が発生している場合、そのまたぎ状態に応じて、対象物の重心が位置するハンド部620の前後どちらかのハンド部620を余分に傾斜させて、適切な場所に適切なサイズの対象物を選別排出させる。対象物の選別排出が適切に行われた後、本実施形態にかかる選別処理が終了する。
【0075】
さて、図9は、本発明の第一実施形態にかかる選別方法を説明する、ハンド搬送手段(を構成するハンド部620)の上面図の一例を示したものである。この図9を用いて、本実施形態にかかる判定処理の一例を説明する。
【0076】
図9(a)は、本実施形態における判定処理を行う際の画像取り込みエリア(6ハンド分のエリア)を示したものである。この図9(a)においては、左側エリアのハンド1〜ハンド3に三つの対象物(ジャガイモ)が存在する状態を示している。
【0077】
図9(b)は、図9(a)の左側エリアの通常画像を取得した状態の第一例を示している。また、図9(c)は、図9(b)の通常画像を用いて加工された収縮画像を示している。
【0078】
この図9(b)においては、実際の対象物と同様に、取得した通常画像にて三つの対象物を認識している。当然のことながら、図9(c)に示した収縮画像においても三つの対象物を認識している。本実施形態においては、通常画像と収縮画像との各情報を比較検討して、例えば、強制切離処理等を行なうわけであるが、この第一例においては、強制切り離しを行なう必要はない。
【0079】
この第一例においては、対象物の認識後、重心間隔G1とエッジ間隔S1とが所定値よりも小さいか否か等の判定処理がなされ、これらの値G1,S1が所定値よりも小さい場合には、「くっついている」と判定され、対象物はリターンされる。そして、これらの値G1,S1が所定値以上の場合には、ステップS812〜ステップS815を経て、適切なハンド部620を傾斜させることによって、適切な場所に適切なサイズの対象物が選別排出される。
【0080】
図9(d)は、図9(a)の左側エリアの通常画像を取得した状態の第二例を示している。また、図9(e)は、図9(d)の通常画像を用いて加工された収縮画像を示している。
【0081】
この図9(d)においては、実際の対象物と異なり、取得した通常画像にて二つの対象物を認識している。これに対し、図9(e)に示した収縮画像においては、三つの対象物を認識している。本実施形態においては、通常画像と収縮画像との各情報を比較検討して、例えば、強制切離処理等を行なうわけであるが、この第二例においては、強制切り離しを行なう必要がある。この強制切離処理等を経て得られた最終結果画像が、図9(f)である。
【0082】
この第二例においては、強制切離処理等の後、図9(f)に示した重心間隔G2とエッジ間隔S2とが所定値よりも小さいか否か等の判定処理がなされ、これらの値G2,S2が所定値よりも小さい場合には、「くっついている」と判定され、対象物はリターンされる。そして、これらの値G2,S2が所定値以上の場合には、ステップS812〜ステップS815を経て、適切なハンド部620を傾斜させることによって、適切な場所に適切なサイズの対象物が選別排出される。
【0083】
さて、本実施形態にかかる選別装置1は、以上のように構成されているため、装置全体の構成に基づき、次のように機能する。
【0084】
本実施形態にかかる選別装置1においては、まず、対象物となるジャガイモを傾斜搬送手段10の対象物投入部101に投入する。対象物投入部101に投入されたジャガイモは、コンベア連通開口部102を介して傾斜状コンベア110に乗り移る。傾斜状コンベア110が回転駆動すると、それに伴いジャガイモも搬送され、傾斜状コンベア110が上方移動する際には、可動桟部112が起立状態となるため、より多くのジャガイモが下方位置から上方位置に搬送されることとなる。上方位置まで搬送されたジャガイモは、連結搬送部115を介して、切離搬送手段20に供給されることとなる。ここで、可動桟部112は、下方移動する際には、平伏状態となるため、ジャガイモを切離搬送手段20に供給する際においても、このような構成によれば、ジャガイモの巻き込みや噛み込みを起こすことがない。
【0085】
このような構成によれば、平行移動と傾斜移動とを一つの傾斜状コンベア110にて行うため、ジャガイモの巻き込みや噛み込みを効果的に解消することができる。また、傾斜に差し掛かるときに、一定間隔に設けられた可動桟部112が起立した状態で傾斜を上る構成であるため、ジャガイモの量が多くなってもキズをつける可能性が低い。さらに、可動桟部112は、傾斜を上りきった後に平伏状態となる構成であるため、桟の高さ分のスペースが不要となり、ジャガイモの巻き込みや噛み込みの発生を防ぐことができる。
【0086】
次いで、切離搬送手段20に供給されたジャガイモは、対向する切離コンベア201,202,203,204,205の速度差および傾斜角度差に基づき、回転しながら重なりや偏りが解消される。つまり、本実施形態においては、ジャガイモにキズをつけることなく、個々のジャガイモの切り離し処理が迅速に行われることとなる。また、本実施形態においては、切離搬送手段20を構成する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されているため、切り離し処理と共に整列処理も行われることとなる。ここで、切離整列処理が行われたジャガイモは、次に、安定整列搬送手段30に供給されることとなる。
【0087】
本実施形態にかかる切離コンベア201,202,203,204,205は、特殊スポンジベルト(ジャージーベルト)を用いて構成されているため、効果的に衝撃を吸収し、ジャガイモを傷める可能性を低減することができる。また、ジャガイモに振動や衝撃を与えることなく、切離整列処理を行うことが可能であるため、ジャガイモに対して皮剥けやキズをつけることがなくなる。
【0088】
次いで、安定整列搬送手段30に供給されたジャガイモは、上方からチャンネルブラシ304による規制を受けながら、搬送コンベア313を経て、ハンド部620へ供給される。
【0089】
本実施形態においては、毛丈の長いチャンネルブラシ304(弾性押さえ手段)を暖簾状に設けているため、ジャガイモをチャンネルブラシ304で跳ね上げることがない。また、このような構成であれば、大小さまざまなジャガイモが連続で供給されてきても、確実に安定姿勢を保持することが可能である。さらに、このような構成であれば、チャンネルブラシ304の磨耗が殆どない。
【0090】
次いで、ハンド部620に供給されたジャガイモは、対象物判定手段40等にて、それぞれのジャガイモ(対象物)の大きさ等に関する判定処理が行われる。ここで得られた判定処理の結果は、仕分手段50(を構成する排出ソレノイド等)に電気的に伝達され、この判定処理情報に基づき、ジャガイモが適切に仕分搬送される。
【0091】
本実施形態にかかる選別装置1は、以上のように構成され機能するため、次のような効果を得ることができる。
【0092】
上述したように、本実施形態にかかる選別装置1は、ジャガイモ等の対象物を所定要件に応じて選別する選別装置1であって、ハンド部620上における対象物の通常画像を取得するカメラ部41(本発明の「画像取得手段」に相当)と、この通常画像に基づき、対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、第一判定処理手段にて得られる対象物の第一画像情報と、第二判定処理手段にて得られる対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較手段(後述する「画像処理ボード413等から構成される選別制御盤401」)と、画像情報比較手段の結果に基づき、対象物に関する選別排出を行なう仕分搬送手段(仕分手段50およびハンド搬送手段60)とを備え、第一画像情報および第二画像情報が、ハンド部620上における対象物の個数、対象物の大きさ、対象物の重心位置、および対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、画像情報比較手段にて、ハンド部620上における対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれるべく構成されている。
【0093】
このような構成によれば、通常画像における第一画像情報と収縮画像における第二画像情報とを比較した後に、その結果に基づき対象物に関する選別排出の可否を判断するため、ハンド部620上における対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。より具体的には、通常画像から得られる第一画像情報においては、一つの対象物と判断される場合であっても、収縮画像から得られる第二画像情報においては、二つ以上の前記対象物と判断される場合がある。つまり、対象物が隣接している場合(あるいは接触等して重なっている場合)、通常画像のみからの情報では、誤判定(二つの対象物を一つとして判定する誤判定等)が起こりやすい。しかしながら、本実施形態によれば、通常画像と収縮画像との比較を行うことによって、対象物に関する個数等の誤判定を無くし、対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。これは、収縮画像を利用することによって、接触している対象物を強制的に切り離した状態にすることが可能となるからである。
【0094】
加えて、このような構成によれば、通常画像と収縮画像とにおける、対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較を行なった上で、仕分搬送手段が機能するため、対象物の大きさあるいは個数等に関する誤判定を無くし、不規則に供給されるジャガイモ等の対象物を、誤選別なく、その大きさ等に応じて効率的に仕分搬送することができる。この際、それぞれのパラメータに優先順位を設け、段階的に各パラメータの比較を行ないながら、仕分搬送手段を駆動させてもよい。
【0095】
また、本実施形態においては、ハンド部620が、図6および図9等に示すように、対象物を保持可能な魚骨形状を有すべく構成されている。さらに、このハンド部620は、青系統の色である構成が好ましい。
【0096】
従来技術においては、対象物の画像取得を行なう場合、面状のコンベア等にて搬送される対象物がカメラ等にて撮影されることなる。このような場合、コンベア搬送面と対象物(例えば、ジャガイモ等の農作物)との色差(カラーカメラの場合)や、濃淡差(白黒カメラの場合)を利用し、撮影された画像に基づく処理等を行って、対象物の大きさ等の判定等が行なわれる。しかしながら、農作物等が対象物である場合、対象物に付着した土等によってコンベア搬送面が汚れ、背景(コンベア搬送面)と対象物との違いがはっきりせず、誤判定が発生する確率が高まる。例えば、汚れ部分が対象物と一体となって画像取得され、実際の大きさよりも大きな対象物として撮影され、誤判定となる。
【0097】
これに対し、本実施形態にかかる選別装置1は、ハンド部620が魚骨形状を有しているため、ハンド部620上における対象物の通常画像を取得する際において(二値化を行う場合において)、対象物の画像取得時におけるノイズ等を低減することができる。つまり、本実施形態によれば、対象物が面状のコンベア等ではなく、魚骨形状を有するハンド部にて搬送されているため、背景(魚骨形状のハンド部)と対象物とが明確な状態で画像取得され(二値化が容易であり)、誤判定が低減される。加えて、画像取得時の搬送手段が魚骨形状を有するハンド部であるため、汚れの付着部分が小さくなり、誤判定が低減される。また、このような構成によれば、対象物の画像取得後の画像処理にて、背景(魚骨形状のハンド部)の除去等を容易に行うことが可能となるため、ハンド部に付着した汚れ等の影響を完全に無くし、誤判定を低減させることができる。
【0098】
さらに、本実施形態にかかるハンド部620は、青系統の色を有している。農作物には、青系統の色を有する物はないため、このような色を有するハンド部620であれば、画像取得の際に、農作物と背景(ハンド部620)とを明確化し、より効果的に誤判定および誤選別を防止することができる。
【0099】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、対象物(ジャガイモ)を切り離しながら搬送させる切離搬送手段20を備え、切離搬送手段20が、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205を用いて構成されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、異なる速度にて駆動すべく構成されている。
【0100】
このような構成によれば、切離搬送手段20に供給されたジャガイモは、対向する切離コンベア201,202,203,204,205の速度差によって、適切に切り離される。より具体的には、多数のジャガイモが切離搬送手段20に供給されても、対向する切離コンベア201,202,203,204,205に速度差が存在することによって、切離搬送手段20上にてジャガイモが回転しながら搬送されることとなり、ジャガイモの重なり等がなくなる。つまり、このような構成によれば、ジャガイモにキズをつけることなく、ジャガイモの切り離しを適切に行うことができる。したがって、切離搬送手段20を備えた選別装置1によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことができる。
【0101】
さらに、本実施形態にかかる選別装置1は、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されている。つまり、本実施形態にかかる選別装置1においては、切離搬送手段20を構成する対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、これらの切離コンベア201,202,203,204,205の速度が、進行方向下流側に設けられているもの程(終点が下流側に設けられているもの程)、段々と高速になるように構成されている。
【0102】
このような構成によれば、より高速な切離コンベア201,202,203,204,205の方に沿ってジャガイモが回転し、その高速な切離コンベア201,202,203,204,205が左右交互に(千鳥状に)配設されているため、ジャガイモが一方に偏ることはなく、一個一個切り離されながら適切に搬送される。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0103】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20とを備え、傾斜搬送手段10が、無端状に形成された傾斜状コンベア110と、傾斜状コンベア110に設けられた可動桟部112とを用いて構成されており、可動桟部112が、傾斜状コンベア110が上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動すべく構成されている。
【0104】
このような構成によれば、傾斜状コンベア110が上方移動する場合には、可動桟部112は自動的に起立状態となるため、多数のジャガイモをキズつけることなく上方位置に搬送することができる。また、傾斜状コンベア110が下方移動する場合には、可動桟部112は自動的に平伏状態となるため、ジャガイモの巻き込みや噛み込み等をなくし、ジャガイモをキズつけることなく傾斜搬送手段10から離間させることができる。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理および適切な切り離し処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0105】
さらに、本実施形態にかかる選別装置1は、傾斜状コンベア110が、複数の単位ローラ部111を連接して構成され、可動桟部112が、所定間隔を有して単位ローラ部111に回動自在に取り付けられ、傾斜状コンベア110の下方位置に桟支持部(第一桟支持部113、第二桟支持部114)が設けられており、桟支持部113,114に当接して可動桟部112が回動することによって、可動桟部112が、起立状態あるいは平伏状態となるべく構成されている。
【0106】
このような構成によれば、上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動する可動桟部112を有する傾斜搬送手段10を、比較的簡単な構成に基づき実現することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20と、ジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30とを備え、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303と、ブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304とを用いて構成されており、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動すべく構成されている。
【0108】
このような構成によれば、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303とチャンネルブラシ304とを用いて構成され、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、ジャガイモにキズをつけることなく、ジャガイモを安定した状態で整列搬送することが可能となる。より具体的には、この構成によれば、チャンネルブラシ304にてジャガイモを押さえると共に、チャンネルブラシ304は、ジャガイモの搬送速度と略同様の速度にて駆動すべく構成されているため、ジャガイモに対して余計な負荷がかからず、摩擦等の影響も最小限に抑えることができる。したがって、このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、下方位置から上方位置への適切な搬送処理、適切な切り離し処理、および安定した整列搬送処理を行い、その後、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0109】
さらに、本実施形態にかかる選別装置1は、対象物(ジャガイモ)を所定要件(例えば、、大きさ)に応じて選別すべく構成された選別装置1であって、集合状態にあるジャガイモを下方位置から上方位置に搬送させる傾斜搬送手段10と、ジャガイモを切り離しながら搬送させる切離搬送手段20と、ジャガイモを安定した整列状態で搬送させる安定整列搬送手段30と、ジャガイモの画像情報に基づき、ジャガイモ毎に所定要件(大きさ)に関する判定処理を行う対象物判定手段40と、対象物判定手段40における判定処理結果に基づき、ジャガイモを所定箇所に仕分け搬送する仕分搬送手段(仕分手段50およびハンド搬送手段60)とを備え、傾斜搬送手段10が、無端状に形成された傾斜状コンベアと110、傾斜状コンベア110に設けられた可動桟部112とを用いて構成されており、可動桟部112が、傾斜状コンベア110が上方移動する際には傾斜状コンベア110に略垂直に起立した状態で移動し、傾斜状コンベア110が下方移動する際には傾斜状コンベア110に平伏した状態で移動すべく構成されており、切離搬送手段20が、略平行に配設された複数の切離コンベア201,202,203,204,205を用いて構成され、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、始点および終点の少なくとも一方が異なる位置に設定されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205が、進行方向断面V字状に配設されると共に、進行方向に千鳥状に配設されており、対向する切離コンベア201,202,203,204,205のうち、より下流側に終点を有する一方のコンベアの駆動速度が、他方のコンベアの駆動速度よりも高速に設定されており、安定整列搬送手段30が、無端状に形成されたブラシ支持チェーン部303と、ブラシ支持チェーン部303に着脱自在に設けられたチャンネルブラシ304とを用いて構成されており、チャンネルブラシ304が、ジャガイモを押さえた状態でジャガイモと略同様の速度にて駆動していることを特徴としている。
【0110】
このような構成によれば、比較的簡単な構成に基づき、農作物等の対象物(ジャガイモ)にキズをつけることなく、その大きさ等に応じて効率的に選別処理を行うことが可能な、選別装置1を得ることができる。
【0111】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で必要に応じて種々の変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0112】
上記実施形態においては、収縮画像加工工程にて、通常画像から一つの収縮画像(加工画像)を形成し、この収縮画像を用いる場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。したがって、例えば、通常画像から複数の収縮画像(すなわち、収縮倍率の異なる収縮画像)を形成し、これらの一つ以上の収縮画像を用いるような構成としてもよい。また、複数の収縮画像を形成可能とし、その対象物に応じて、任意に収縮倍率を決定可能な構成としてもよい。
【0113】
上記実施形態においては、選別装置にて選別される対象物がジャガイモである場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、当然のことながら、ジャガイモ以外の農作物を対象物とすることも可能である。
【0114】
また、上記実施形態においては、対象物が農作物(ジャガイモ)である場合に適用可能な選別装置を示し、対象物に対応した構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。したがって、例えば、対象物を農作物以外のものとした場合には、その対象物に応じた構成を有する選別装置としてもよい。具体的には、その対象物に応じて、各構成要素の大きさ、構成要素の組み合わせ等を適宜変更した、選別装置としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる選別装置の概略斜視図を示したものである。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる選別装置の概略側面図を示したものである。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する傾斜搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する切離搬送手段の概略図を示したものであり、図4(a)は切離搬送手段の概略斜視図、図4(b)は切離搬送手段の概略上面図、図4(c)は図4(b)におけるA−A断面図,B−B断面図,C−C断面図を示したものである。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する安定整列搬送手段の概略図を示したものであり、図5(a)は安定整列搬送手段の概略斜視図、図5(b)は安定整列搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図6】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成するハンド搬送手段の概略側面図を示したものであり、図6(a)は搬送時におけるハンド搬送手段の概略側面図、図6(b)は仕分時におけるハンド搬送手段の概略側面図を示したものである。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる選別装置を構成する対象物判定手段およびその周辺要素のシステム構成図を示したものである。
【図8】本発明の第一実施形態にかかる選別方法に関するフローチャートを示したものである。
【図9】本発明の第一実施形態にかかる選別方法を説明するために使用される、ハンド搬送手段の上面図の一例を示したものである。
【符号の説明】
【0116】
1…選別装置
10…傾斜搬送手段
20…切離搬送手段
30…安定整列搬送手段
40…対象物判定手段
41…カメラ部(CCD白黒カメラ)
50…仕分手段
60…ハンド搬送手段
100…傾斜搬送筺体部
101…対象物投入部
102…コンベア連通開口部
110…傾斜状コンベア
111…単位ローラ部
112…可動桟部
112a…短辺部
112b…長辺部
113…第一桟支持部
113a…短辺当接部
114…第二桟支持部
114a…下部長辺当接部
114b…上部長辺当接部
115…連結搬送部
118…下方回転ローラ部
119…上方回転ローラ部
200…コンベア載置台
201…第一切離コンベア
202…第二切離コンベア
203…第三切離コンベア
204…第四切離コンベア
205…第五切離コンベア
301…第一上方回転ローラ部
302…第二上方回転ローラ部
303…ブラシ支持チェーン部(チェーン部)
304…チャンネルブラシ(弾性押さえ手段)
311…第一下方回転ローラ部
312…第二下方回転ローラ部
313…搬送コンベア
401…選別制御盤
411…タッチパネル
412…プログラマブルコントローラ
413…画像処理ボード
414…集線装置(HUB)
421…ハンド検出センサ
422…搬送位置検出センサ
501…第一仕分傾斜部
502…第二仕分傾斜部
503…第三仕分傾斜部
510…仕分スイッチ部(排出ソレノイドを用いて構成された仕分スイッチ部)
511…スイッチ側当接部
601…ハンド搬送ベルト
610…ハンド支持部
611…ハンドロック部
611a…第一係合部
611b…ハンド側当接部
611c…第一ヒンジ部
620…ハンド部
621…ハンド本体部
622…ハンド取付部
622a…第二係合部
622c…第二ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を所定要件に応じて選別する選別方法であって、
前記対象物の通常画像を取得する画像取得工程と、
前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工工程と、
前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理工程と、
前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理工程と、
前記第一判定処理工程にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理工程にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較工程と、
前記画像情報比較工程の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出の可否を判断する選別排出可否工程とを備えた
ことを特徴とする選別方法。
【請求項2】
前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、
前記画像情報比較工程にて、前記対象物の個数、大きさ、重心位置、および隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれる
請求項1に記載の選別方法。
【請求項3】
対象物を所定要件に応じて選別する選別方法であって、
ハンド部上における前記対象物の通常画像を取得する画像取得工程と、
前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工工程と、
前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理工程と、
前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理工程と、
前記第一判定処理工程にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理工程にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較工程と、
前記画像情報比較工程の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出の可否を判断する選別排出可否工程とを備え、
前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、
前記画像情報比較工程にて、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれる
ことを特徴とする選別方法。
【請求項4】
対象物を所定要件に応じて選別する選別装置であって、
ハンド部上における前記対象物の通常画像を取得する画像取得手段と、
前記通常画像に基づき、前記対象物の収縮画像を形成する収縮画像加工手段と、
前記通常画像に関する画像判定処理を行う第一判定処理手段と、
前記収縮画像に関する画像判定処理を行う第二判定処理手段と、
前記第一判定処理手段にて得られる前記対象物の第一画像情報と、前記第二判定処理手段にて得られる前記対象物の第二画像情報との比較を行なう画像情報比較手段と、
前記画像情報比較手段の結果に基づき、前記対象物に関する選別排出を行なう仕分搬送手段とを備え、
前記第一画像情報および前記第二画像情報が、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つ以上の情報を含み、
前記画像情報比較手段にて、前記ハンド部上における前記対象物の個数、前記対象物の大きさ、前記対象物の重心位置、および前記対象物間の隣接距離の少なくとも一つの比較が行なわれる
ことを特徴とする選別装置。
【請求項5】
前記ハンド部が、前記対象物を保持可能な魚骨形状を有している
請求項4に記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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