説明

選択的アシッドポンプ阻害剤としてのベンゾイミダゾール誘導体

本発明は、式(I)
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、A及びEは、それぞれ本明細書中に記載された通りである)の化合物、又はその薬学的に許容しうる塩、又は薬学的に許容しうる塩、及び上記化合物を含有する組成物、並びにアシッドポンプアンタゴニスト活性により媒介される状態、例えば、限定されないが胃腸疾患、胃食道疾患、胃食道逆流性疾患(GERD)、咽喉頭逆流症、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、NSAID−誘導潰瘍、胃炎、ヘリコバクターピロリの感染、消化不良、機能性消化不良、ゾリンジャー−エリソン症候群、非びらん性胃食道逆流症(NERD)、内臓痛、癌、胸焼け、悪心、食道炎、えん下困難、過流涎、気道障害又はぜん息の処置のための、上記化合物を含む処置方法及び使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三環式化合物に関する。これらの化合物は、選択的アシッドポンプ阻害活性を有する。本発明はまた、アシッドポンプ調節活性;特にアシッドポンプ阻害活性により媒介される疾患状態の処置のための、上記誘導体を含む、医薬組成物、処置方法、及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトンポンプ阻害剤(PPI)が、酸に触媒される化学的転位を受けてそれによりそのシステイン残基に対する共有結合によりH+/K+−ATPaseを阻害することが可能となるプロドラッグであることは充分に確立されている(Sachs, G. et. al., Digestive Diseases and
Sciences, 1995, 40, 3S−23S;Sachs et. al., Annu Rev Pharmacol Toxicol, 1995, 35, 277−305.)。しかし、PPIと異なり、アシッドポンプアンタゴニストは、H+/K+−ATPaseの可逆的カリウム競合阻害を介して酸分泌を阻害する。SCH28080は、上記可逆的阻害剤の1つであり、広く研究されてきた。他のより新しい薬剤(レバプラザン(revaprazan)、ソラプラザン(soraprazan)、AZD−0865およびCS−526)は、ヒトにおけるそれらの有効性を確認する臨床試験に入った(Pope, A.;Parsons, M., Trends in Pharmacological Sciences, 1993,14, 323−5;Vakil, N., Alimentary Pharmacology and Therapeutics, 2004, 19, 1041−1049.)。一般に、アシッドポンプアンタゴニストは、種々の疾患(胃腸疾患、胃食道疾患、胃食道逆流性疾患(GERD)、咽喉頭逆流症(laryngopharyngeal reflux disease)、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)誘導潰瘍、胃炎、ヘリコバクターピロリの感染、消化不良、機能性消化不良、ゾリンジャー−エリソン症候群、非びらん性胃食道逆流症(non−erosive reflux disease)(NERD)、内臓痛、癌、胸焼け、悪心、食道炎、えん下困難、過流涎、気道障害又はぜん息を含むさまざまな疾患(本明細書以後では「APA疾患」と呼ぶ;Kiljander, Toni O, American Journal of Medicine, 2003, 115 (Suppl. 3A), 65S−71S;Ki−Baik Hahm et al., J. Clin. Biochem. Nutr., 2006, 38, (1), 1−8 .)の処置ために有用であることが見いだされる。
【0003】
WO04/87701は、アシッドポンプアンタゴニストとして、いくつかの化合物、例えば三環式ベンゾイミダゾール誘導体に言及する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた薬物候補でありかつ疾患を処置するためのPPIにより満たされていない要求に取り組む新しいアシッドポンプアンタゴニストを提供する必要性が存在する。特に、好ましい化合物は、他の受容体に対する親和性をほとんど示さずにアシッドポンプに強く結合するべきであり、そして胃における酸分泌の阻害剤として機能的活性を示すべきである。それらは胃腸管から充分に吸収され、代謝的に安定であり、かつ有利な薬物動態特性を有するべきである。それらは非毒性であるべきである。さらに、理想的な薬物候補は、安定で非吸湿性でかつ容易に製剤化される物理形態で存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明において、1位において置換アルキル基を有する新しいクラスの三環式化合物が、アシッドポンプ阻害活性および薬物候補として良好なバイオアベイラビリティを示し、それ故APA疾患のようなアシッドポンプ阻害活性に媒介される疾患状態の処置のために有用であることが今や見いだされている。
【0006】
本発明は、以下の式(I):
【化1】

[式中;
R1は、非置換であるか又はヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ−置換アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン−置換ヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基を示し;
R2は、水素原子又は非置換であるか若しくはヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基を示し;
R3及びR4は独立して、水素原子、又は非置換であるか若しくは重水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基及びC3−C7シクロアルキル基からなる群より独立して選択された1〜3個の置換基で置換されたC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル又はヘテロアリール基を示し;又はR3及びR4は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基、及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された4〜6員の複素環式基を形成し;
Aは、非置換であるか又はハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基又はヘテロアリール基を示し;
R5、R7及びR8は独立して、水素原子又はC1−C6アルキル基を示し;
R6は、C1−C6アルキル基を示し;そして
Eは、酸素原子又はNHを示す]
の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0007】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書に記載されるとおり)を、該化合物のための薬学的に許容しうる担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書に記載されるとおり)を含み、さらに他の薬理活性剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、ヒトを含む哺乳動物被験体におけるアシッドポンプ調節活性により媒介された状態の処置のための方法を提供し、該方法は、上記処置を必要とする哺乳動物に、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書中に記載されるとおり)を投与することを含む。
【0010】
アシッドポンプ調節活性により媒介される状態の例としては、限定されないが、APA疾患が挙げられる。
【0011】
さらに、本発明は、アシッドポンプ阻害活性により媒介された状態の処置のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書中に記載されるとおり)の使用を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、医薬における使用のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0013】
好ましくは、本発明はまた、APA疾患より選択された疾患の処置のための医薬の製造のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書中に記載されるとおり)の使用を提供する。
【0014】
本発明の化合物は、良好なアシッドポンプ阻害活性、低い毒性、良好な吸収、良好な分散、良好な溶解性、アシッドポンプ以外の低いタンパク質結合親和性、低い薬物−薬物相互作用及び良好な代謝安定性を示し得る。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の化合物において:
R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、並びに4〜7員複素環式基の置換基及びAの置換基がC1−C6アルキル基である場合、このC1−C6アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖基又は分枝鎖基であり得、そして例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、1−エチルプロピル及びヘキシルが挙げられる。これらのうち、C1−C2アルキルがより好ましく;メチルがより好ましい。
【0016】
R3及びR4がC3−C7シクロアルキル基である場合、これは、3〜7個の炭素原子を有するシクロアルキル基を示し、そして例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、C3−C5シクロアルキル基が好ましく;シクロプロピルがより好ましい。
【0017】
R1、R3及びR4の置換基がC1−C6アルコキシ基である場合、これは、上記C1−C6アルキル基で置換された酸素原子を示し、そして例としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが挙げられる。これらのうち、C1−C4アルコキシが好ましく;C1−C2アルコキシが好ましく;メトキシがより好ましい。
【0018】
R3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に4〜7員複素環式基を形成する場合、この4〜7員複素環式基は、上記窒素原子以外に炭素原子、窒素原子、硫黄原子及び酸素原子より選択された3〜6個の環原子を有する飽和複素環式基を示し、そして例としては、限定されないが、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘキサヒドロジアゼピニル、モルホリノ、チオモルホリノ及びホモモルホリノが挙げられる。これらのうち、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリノ及びホモモルホリノが好ましく;モルホリノがより好ましい。
【0019】
4〜7員複素環式基又はAの置換基がヒドロキシ−C1−C6アルキル基である場合、これは、ヒドロキシ基で置換された上記C1−C6アルキル基を示し、そして例としては、限定されないが、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル 3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、3−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、5−ヒドロキシペンチル及び6−ヒドロキシヘキシルが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシ−C1−C3アルキルが好ましく;ヒドロキシメチルがより好ましい。
【0020】
A、及びR1の置換基がアリール基である場合、これらはフェニルでも、ナフチルでもアントラセニルでもよい。これらのうち、フェニルが好ましい。
【0021】
R3、R4及びAの置換基がハロゲン原子である場合、それらはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり得る。これらのうち、フッ素原子及び塩素原子が好ましい。
【0022】
R1の置換基がヒドロキシ−置換アリール基である場合、このヒドロキシ−置換アリール基は、ヒドロキシ基で置換されたアリール基を示し、このアリール基は上述されている。例としては、限定されないが、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2,3−ジヒドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、3,5−ジヒドロキシフェニル、1−ヒドロキシナフチル、2−ヒドロキシナフチル、1−ヒドロキシアントラセニルが挙げられる。これらのうち、3−ヒドロキシフェニルが好ましい。
【0023】
A、R3、R4、又はR1の置換基がヘテロアリール基である場合、これは、N、O及びSより選択された少なくとも1個のヘテ原子を含有する5〜6員環を示し、例としては、限定されないが、2−チエニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、2−フリル、2−オキサゾリル、1−ピラゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピラジニル及び2−ピリミジニルが挙げられる。これらのうち、少なくとも1個の窒素原子を含有するヘテロアリール基が好ましく;2−チアゾリル、4−チアゾリル及び1−ピラゾリルが、R1の置換基にはより好ましく;2−ピリジル、3−ピリジル及び4−ピリジルは、Aについてより好ましい。
【0024】
R1の置換基がヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基である場合、このヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基は、ヒドロキシ基で置換されたC3−C7シクロアルキル基を示し、そしてこのC3−C7シクロアルキルは前述されている。ヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基の例としては、限定されないが、1−ヒドロキシシクロプロピル、2−ヒドロキシシクロプロピル、1−ヒドロキシシクロブチル、2−ヒドロキシシクロブチル、2,3−ジヒドロキシシクロブチル、2−ヒドロキシシクロペンチル、3−ヒドロキシシクロペンチル、1−ヒドロキシシクロヘキシル、2−ヒドロキシシクロヘキシル、3−ヒドロキシシクロヘキシル、4−ヒドロキシシクロヘキシル、2,4−ジヒドロキシシクロヘキシル、3,5−ジヒドロキシシクロヘキシル、1−ヒドロキシシクロヘプチル、2−ヒドロキシシクロヘプチル、3−ヒドロキシシクロヘプチル及び4−ヒドロキシシクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシ−置換C3−C5シクロアルキルが好ましく;1−ヒドロキシシクロプロピルがより好ましい。
【0025】
R1の置換基がヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基である場合、このヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基は、ヒドロキシ−C1−C6アルキルで置換されたC3−C7シクロアルキル基を示し、このヒドロキシ−C1−C6アルキル及びC3−C7シクロアルキルは前述されている。ヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基の例としては、限定されないが、1−ヒドロキシメチルシクロプロピル、1−(2−ヒドロキシエチル)−シクロプロピル、2−ヒドロキシメチルシクロプロピル、1−ヒドロキシメチルシクロブチル、2−ヒドロキシメチルシクロブチル、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロブチル、1−ヒドロキシメチルシクロペンチル、2−ヒドロキシメチルシクロペンチル、3−ヒドロキシメチルシクロペンチル、1−ヒドロキシメチルシクロヘキシル(hydroxmethylcyclohexyl)、2−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、3−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル、1−ヒドロキシメチルシクロヘプチル、2−ヒドロキシメチルシクロヘプチル、3−ヒドロキシメチルシクロヘプチル及び4−ヒドロキシメチルシクロヘプチルが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシ−C1−C3アルキル−置換C3−C5シクロアルキルが好ましく;1−ヒドロキシメチルシクロプロピル及び1−(2−ヒドロキシエチル)−シクロプロピルがより好ましい。
【0026】
R1の置換基がハロゲン−置換ヘテロアリール基である場合、このハロゲン−置換ヘテロアリール基は、ハロゲン原子で置換されたヘテロアリール基を示し、そしてこのハロゲン原子及びヘテロアリールは前述されている。ハロゲン−置換ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、4−フルオロ−2−チエニル、4−フルオロ−2−チアゾリル、2−フルオロ−4−チアゾリル、4−フルオロ−2−フリル、4−フルオロ−2−オキサゾリル、4−フルオロ−1−ピラゾリル、4−フルオロ−2−ピリジル、5−フルオロ−3−ピリジル、3−フルオロ−4−ピリジル、3,4−ジフルオロ−2−ピリジル、3,5−ジフルオロ−2−ピリジル、5−フルオロ−2−ピラジル、5−フルオロ−2−ピリミジニル、4−クロロ−2−チエニル、4−クロロ−2−チアゾリル、2−クロロ−4−チアゾリル、4−クロロ−2−フリル、4−クロロ−2−オキサゾリル、4−クロロ−1−ピラゾリル、4−クロロ−2−ピリジル、5−クロロ−3−ピリジル、3−クロロ−4−ピリジル、3,4−ジクロロ−2−ピリジル、3,5−ジクロロ−2−ピリジル、5−クロロ−2−ピラジル及び5−クロロ−2−ピリミジニルが挙げられる。これらのうち、3,5−ジフルオロ−2−ピリジルが好ましい。
【0027】
Aの置換基がC1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基である場合、このC1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基は、C1−C6アルコキシ基で置換されたC1−C6アルキル基を示し、そしてこのC1−C6アルコキシ及びC1−C6アルキルは、上述されている。C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基の例としては、限定されないが、メトキシメチル、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、6−メトキシヘキシル、1−エトキシメチル、2−エトキシエチル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチルが挙げられる。これらのうち、C1−C3アルコキシ−置換C1−C3アルキルが好ましく;メトキシメチルがより好ましい。
【0028】
4〜6員複素環式基の置換基がC1−C6アシル基である場合、これは、水素原子又は上記C1−C5アルキル基で置換されたカルボニル基を示し、そして例としては、限定されないが、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル及びヘキサノイルが挙げられる。これらのうち、C2−C6アシルが好ましく、アセチルがより好ましい。
【0029】
本明細書中で使用される場合、用語「処置すること」および「処置」は、そのような用語が適用される障害若しくは状態、又はそのような障害若しくは状態の1つ若しくはそれ以上の症状を逆転するか、緩和するか、その進行を抑制するか、または予防することを含む、治療的、姑息的、および予防的処置を指す。
【0030】
本発明の好ましいクラスの化合物は、式中:
(a) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ−置換アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン−置換ヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基である;
(b) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基である;
(c) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基で置換されたC1−C6アルキル基である;
(d) R1が、ヒドロキシ基、C1−C3アルコキシ基、イソオキサゾール基、チアゾリル基又はピラゾリル基で置換されたC2−C3アルキル基である;
(e) R1が、ヒドロキシ基、メトキシ基又はイソオキサゾール基で置換されたC2−C3アルキル基である;
(f) R2が、非置換であるか又はヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基である;
(g) R2がC1−C6アルキル基である;
(h) R2がC1−C3アルキル基である;
(i) R2がメチル基である;
(j) R3及びR4が独立して、水素原子、又は非置換であるか若しくは重水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基及びC3−C7シクロアルキル基からなる群より独立して選択された1〜3個の置換基で置換されたC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル又はヘテロアリール基である;
(k) R3及びR4は独立して、非置換であるか又はヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より選択された1つの置換基で置換されたC1−C6アルキル基、又は−CD3である;
(l) R3及びR4は独立して水素原子、非置換であるか若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C3アルキル基又は−CD3である;
(m) R3及びR4が独立して、水素原子、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基である;
(n) R3及びR4が独立して、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基である;
(o) R3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか又はヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基、及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換される4〜6員複素環式基を形成する;
(p) R3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基又はモルホリノ基を形成する;
(q) R3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基及びヒドロキシ−C1−C3アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、ピペラジニル基又はモルホリノ基を形成する;
(r) R3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共にモルホリノ基を形成する;
(s) Aが、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基である;
(t) Aが、非置換であるか又は水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基である;
(u) Aが、非置換であるか又は水素原子、フッ素原子、メチル基及びヒドロキシメチル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換されたアリール基である;
(v) Aが、非置換であるか又はハロゲン原子で置換されたアリール基である;
(w) Aが、非置換であるか又はフッ素原子で置換されたフェニル基である;
(x) R5が水素原子又はC1−C6アルキル基である;
(y) R5が水素原子又はメチル基である;
(z) R6がC1−C4アルキル基である;
(aa) R6がメチル基である
(bb) R7が水素原子又はC1−C6アルキル基である;
(cc) R7が水素原子又はメチル基である;
(dd) R8が水素原子又はC1−C6アルキル基である;
(ee) R8が水素原子又はメチル基である;
(ff) Eが酸素原子である、
式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書において記載されるとおり)である。
【0031】
これらのクラスの化合物のうち、(a)から(ff)の中でのあらゆる組み合わせも好ましい。
【0032】
本発明の好ましい化合物は、式中:
(A) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基及びヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がC1−C6アルキル基であり;R3及びR4が独立して、水素原子、又は非置換であるか若しくは重水素、ヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より独立して選択された1〜3個の置換基で置換されたC1−C6アルキルであり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された4〜6員複素環式基を形成し;Aが、非置換であるか又はハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基であり;R5、R7及びR8が独立して、水素原子又はC1−C6アルキル基であり;そしてR6がC1−C6アルキル基であり;そしてEが酸素原子である;
(B) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がC1−C6アルキル基であり;R3及びR4が独立して、水素原子、非置換であるか若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C3アルキル基又は−CD3であり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基又はモルホリノ基を形成し;Aが、非置換であるか又はハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基であり;R5、R7及びR8が独立して、水素原子又はC1−C6アルキル基であり;そしてR6がC1−C6アルキル基であり;そしてEが酸素原子である;
(C) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がC1−C6アルキル基であり;R3及びR4は独立して、水素原子、非置換であるか若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C3アルキル基又は−CD3であり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基又はモルホリノ基を形成し;Aが、非置換であるか又は水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基である;
(D) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がメチル基であり;R3及びR4が独立して、水素原子、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基であり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペラジニル基又はモルホリノ基を形成し;Aが、非置換であるか又は水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基である;
(E) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がメチル基であり;R3及びR4が独立して、水素原子、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基であり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、ヒドロキシ−C1−C3アルキル基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−CrC6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された、ピペラジニル又はモルホリノ基を形成し;Aが、非置換であるか又は水素原子、ハロゲン原子、C1−C6アルキル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基である;
(F) R1が、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基で置換されたC1−C6アルキル基であり;R2がC1−C6アルキル基であり;R3及びR4が独立して、水素原子、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基であり;又はR3及びR4が、それらが結合している窒素原子と共にモルホリノ基を形成し;Aが、非置換であるか又はハロゲン原子で置換されたアリール基であり;そしてEが酸素原子である、
式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩(それぞれ本明細書中に記載されるとおり)である。
【0033】
1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ又はそれ以上の立体異性体として存在し得る。
【0034】
1つより多くの種類の異性を示す化合物を含む式(I)の化合物の全ての立体異性体及び幾何異性体、並びにそれらの1つ又はそれ以上の混合物は、本発明の範囲内に含まれる。対イオンが光学活性である酸付加塩、例えば、D−乳酸塩若しくはL−リジン、又はラセミ化合物、DL−酒石酸塩若しくはDL−アルギニンも含まれる。
【0035】
本発明の一実施態様は、
(−)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
(−)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
8−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
8−(4−フルオロフェニル)−1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
N,N−ジ[2H3]メチル−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
8−(4−フルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[8,7−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
(8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[8,7−d]イミダゾール−5−イル)(モルホリノ)メタノン
からなる群より選択された化合物又はその薬学的に許容しうる塩を提供する。
【0036】
式(I)の化合物の薬学的に許容しうる塩には、その酸付加塩(二塩(disalts))が含まれる。
【0037】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、サイクラミン酸塩(cyclamate)、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩(naphthylate)、2−ナプシル酸塩(napsylate)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩及びキシノホ酸塩(xinofoate)が挙げられる。
【0038】
適切な塩の概説については、Stahl及びWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties、Selection、and Use」(Wiley−VCH、Weinheim、Germany、2002)を参照のこと。式(I)の化合物の薬学的に許容しうる塩は、必要に応じて、式(I)の化合物の溶液と所望の酸または塩基を合わせて混合することによって、容易に調製され得る。その塩を溶液から析出させて、濾過によって集めるか、溶媒の蒸発によって回収し得る。塩のイオン化度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで様々であり得る。
【0039】
本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩は、非溶媒和形態および溶媒和形態の両方を含む。本明細書では、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物及び1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる溶媒分子(例えばエタノール)を含む分子複合体を表すように使用される。溶媒が水である場合は、用語「水和物」が用いられる。
【0040】
本発明による薬学的に許容しうる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体置換され得る(例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSO)、水和物および溶媒和物が含まれる。
【0041】
クラスレート、薬物−ホスト包接錯体(上述の溶媒和物とは対照的に、薬物及びホストは化学量論量または非化学量論量で存在する)のような錯体は本発明の範囲内に含まれる。化学量論量でも非化学量論量でもよい2つ又はそれ以上の有機及び/又は無機の成分を含有する薬物の複合体も含まれる。生じた複合体は、イオン化していても、部分的にイオン化していても、非イオン化でもよい。このような複合体の概説については、HaleblianによるJ Pharm Sci、64 (8)、1269−1288 (August 1975)を参照のこと。
【0042】
式(I)の化合物は、1つ又はそれ以上の結晶形で存在し得る。これらの多形(それらの混合物を含む)も本発明の範囲内に含まれる。
【0043】
1つ又はそれ以上の不斉炭素原子を含有する式(I)の化合物は、2つ又はそれ以上の立体異性体として存在し得る。
【0044】
1つより多くの種類の異性を示す化合物を含む式(I)の化合物の全ての立体異性体、及びそれらの1つ又はそれ以上の混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0045】
本発明は、1つ又はそれ以上の原子が、同じ原子番号を有するが原子量又は質量数が通常自然に見いだされる原子量又は質量数と異なる原子で置き換えられた、全ての薬学的に許容しうる同位体標識された式(I)の化合物を含む。
【0046】
本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例としては、水素の同位体(例えば2H及び3H),炭素の同位体(例えば11C、13C及び14C)、塩素の同位体(例えば36Cl)、フッ素の同位体(例えば18F)、ヨウ素の同位体(例えば123I及び125I)、窒素の同位体(例えば13N及び15N)、酸素の同位体(例えば15O、17O及び18O)、リンの同位体(例えば32P)、及び硫黄の同位体(例えば35S)が挙げられる。
【0047】
式(I)の特定の同位体で標識した化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究において有用である。放射同位体のトリチウム(すなわち3H)及び炭素−14(すなわち14C)は、それらの組み込みの容易さ及び容易な検出手段を考慮してこの目的のために特に有用である。
【0048】
より重い同位体(例えば重水素、すなわち2H)での置換は、より高い代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期又は減少した投薬所要量から生じる特定の治療的有利性をもたらし得、そしてそれ故いくつかの状況では好ましいかもしれない。
【0049】
陽電子放出同位体(例えば11C、18F、15O及び13N)での置換は、基質受容体占有を調べるための陽電子放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)研究において有用であり得る。
【0050】
同位体で標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に公知の従来の技術、又は以前に使用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して添付の実施例及び製造において記載される方法と類似の方法により製造することができる。
【0051】
全ての式(I)の化合物は、以下に示される一般的方法において記載される手順により若しくは実施例の項及び製造の項に記載される具体的な方法により、又はそれらの慣用的な改変により製造することができる。本発明はまた、これらにおいて使用されるあらゆる新規な中間体に加えて、式(I)の化合物を製造するためのこれらの方法の任意の1つ又はそれ以上を包含する。
【0052】
一般的合成
本発明の化合物は、この種類の化合物の製造についてよく知られている種々の方法により、例えば以下の方法A及びBにおいて示されるように製造され得る。
【0053】
他に示されていなければ、以下の方法におけるR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、A及びEは、上で定義されたとおりである。以下の一般的合成における全ての出発物質は、市販されているか、又は当業者に公知の従来の方法、例えばWO 2004054984(その開示は参照により本明細書に加入される)により入手され得る。
【0054】
方法A
これは、Eが酸素原子である式(Ia)の化合物の製造を説明する。
【0055】
反応スキームA
【化2】

【0056】
反応スキームAにおいて、R1、R2、R3、R4及びAはそれぞれ上で定義されたとおりであり;Halはハロゲン原子であり、好ましくは臭素原子であり;Lvは脱離基であり;R1aは、上で定義されたR1又はヒドロキシ基がヒドロキシ−保護基で保護されたR1であり;R2aは、上で定義されたR2又はヒドロキシ基がヒドロキシ−保護基で保護されたR2であり;R3aは、上で定義されたR3又はヒドロキシ基がヒドロキシ−保護基で保護されたR3であり;R4aは、上で定義されたR4又はヒドロキシ基がヒドロキシ−保護基で保護されたR4であり;Aaは、上で定義されたA又はヒドロキシ基がヒドロキシ−保護基で保護されたAであり、Protはヒドロキシ−保護基であり;そして同じことが本明細書以後でも適用される。
【0057】
用語「脱離基」は、本明細書で使用される場合、求核性基(例えばヒドロキシ基又はアミン)により置換され得る基を示し、そしてこのような脱離基の例としては、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、ハロゲノアルキルスルホニルオキシ基及びフェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。これらのうち、臭素原子、塩素原子、メチルスルホニルオキシ基、トリフルオロメチルスルホニルオキシ基及び4−メチルフェニルスルホニルオキシ基が好ましい。
【0058】
用語「ヒドロキシ−保護基」は、本明細書で使用される場合、種々の手段(例えば水素添加分解、加水分解、電気分解又は光分解)により切断されてヒドロキシ基を生じ得る保護基を示し、そしてこのようなヒドロキシ−保護基は、T. W. Greene et al.編、Protective Groups in Organic Synthesis (John Wiley & Sons、1999)に記載される。例えば、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルキルカルボニル、トリ−C1−C6アルキルシリル又はトリ−C1−C6アルキルアリールシリル基、及びC1−C6アルコキシ−C1−C6アルキル基。適切なヒドロキシ−保護基としては、アセチル及びtert−ブチルジメチルシリルが挙げられる。
【0059】
(工程A1)。
この工程において、化合物(IV)は、式(II)の化合物(これは市販されているか、又はWO 2004054984に記載される方法により製造され得る)のアミノ基の、酸無水物(III)とのアミド形成により製造される。
【0060】
反応は、通常及び好ましくは溶媒の存在下で行われる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては: ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;カルボン酸類、例えば酢酸;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられ;これらの溶媒のうち、酢酸が好ましい。
【0061】
反応は酸の存在下で行われ得る。同様に、使用される酸の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの酸もここでは等しく使用され得る。このような酸の例としては: 酸類、例えば塩酸、硫酸又は臭化水素酸;スルホン酸類、例えばメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸が挙げられる。これらのうち、硫酸が好ましい。
【0062】
この反応は、塩基の存在下で行っても、塩基無しで行ってもよい。同様に、使用される塩基の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの塩基もここでは等しく使用され得る。このような塩基の例としては: アミン類、例えばN−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン (DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン (DBU)が挙げられる。これらのうち、塩基がない場合の反応が好ましい。
【0063】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約5分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0064】
(工程A2)
この工程では、式(VI)の化合物は、式(IV)の化合物の、式(V)の化合物との求核置換により製造される。
【0065】
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、そして試薬を少なくともある程度溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質には特に制限はない。適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル;並びにスルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホランが挙げられる。これらの溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0066】
この反応は塩基の存在下で行われる。同様に、使用される塩基の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの塩基もここでは等しく使用され得る。このような塩基の例としては: アルカリ金属水素化物、例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム及び水素化カリウム;並びにアルカリ金属アミド類、例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド及びカリウムビス(トリメチルシリル)アミドが挙げられる。これらのうち、水素化ナトリウムが好ましい。
【0067】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約−20℃〜約80℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説された好ましい条件下でなされるならば、約30分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0068】
(工程A3)
この工程では、式(VII)の化合物は、式(Vl)の化合物の還元及び環化により製造される。
【0069】
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。 反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;カルボン酸類、例えば酢酸;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノール;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル;これらの溶媒のうち、酢酸が好ましい。
【0070】
この反応は還元剤の存在下で行われる。同様に、使用される還元剤の性質には特に制限はなく、そしてこの種類の反応において一般的に使用されるいずれの還元剤もここでは等しく使用され得る。このような還元剤の例としては: 金属(例えば亜鉛及び鉄)と酸類(例えば塩酸、酢酸及び酢酸−塩化アンモニウム複合体)との組み合わせ;水素供給源(例えば水素ガス及びギ酸アンモニウム)と触媒(例えばパラジウム−炭素、白金及びラネーニッケル)との組み合わせ;これらのうち、鉄と酢酸の組み合わせ又は水素ガスとパラジウム炭素の組み合わせが好ましい。
【0071】
反応は酸の存在下で行われ得る。同様に、使用される酸の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの酸もここでは等しく使用され得る。このような酸の例としては: 酸類、例えば塩酸、硫酸又は臭化水素酸;カルボン酸類、例えば酢酸;スルホン酸類、例えばメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸が挙げられる。これらのうち、酢酸が好ましい。
【0072】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし、一般的に、約0℃から約120℃の反応温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約30分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0073】
(工程A4)
この工程では、式(VIII)の化合物は、式(VII)の化合物のハロゲン原子の、金属シアン化物との置換(A4a)、続いて加水分解(A4b)により製造される。
【0074】
(A4a) ハロゲン原子の置換
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: 脂肪族炭化水素類、例えばハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジン−2−オン及びヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられ;これらの溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0075】
この反応は、金属シアン化物試薬の存在下で行われる。使用される金属シアン化物試薬の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの金属シアン化物試薬もここでは等しく使用され得る。このような金属シアン化物試薬の例としては: シアン化亜鉛(II)、シアン化銅(I)、シアン化カリウム及びシアン化ナトリウムが挙げられ;これらのうち、シアン化亜鉛(II)が好ましい。
【0076】
この反応は、パラジウム触媒の存在下又はパラジウム触媒無しで行われる。使用されるパラジウム触媒の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれのパラジウム触媒もここでは等しく使用され得る。このようなパラジウム触媒の例としては: パラジウム金属、塩化パラジウム、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム、塩化アリルパラジウム、二塩化[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、二塩化ビス(トリ−o−トリルホスフィン)パラジウム、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、又はこれらの反応溶液中にリガンドを加えることにより溶液中で生成する触媒が挙げられる。反応溶液中に加えられるリガンドは、リンリガンド、例えばトリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフトール、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリ−o−トリルホスフィン、2−ジフェニルホスフィノ−2’−メトキシ−1,1’−ビナフチル又は2,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルであり得る。これらのうち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
【0077】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約50℃〜約15O℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、とりわけ反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質によって大きく変化し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約30分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0078】
この反応では、反応を加速するためにマイクロ波を使用することができる。 封管においてマイクロ波を使用する場合、ある温度での反応は約50℃〜約180℃であり得、そして約5分〜約12時間の反応時間で通常充分である。
【0079】
(A4b) 加水分解
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール及びエチレングリコール;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホラン;水;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらの溶媒のうち、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン又はエチレングリコールが好ましい。
【0080】
この反応は塩基の存在下で行われ得る。同様に、使用される塩基の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの塩基もここでは等しく使用され得る。このような塩基の例としては: アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム;アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムが挙げられる。これらのうち、水酸化カリウム、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムが好ましい。
【0081】
反応は酸の存在下で行われ得る。同様に、使用される酸の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの酸もここでは等しく使用され得る。このような酸の例としては: カルボン酸類、例えば酢酸又はプロピオン酸;酸類、例えば塩酸、硫酸又は臭化水素酸が挙げられる。これらのうち、塩酸が好ましい。
【0082】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約150℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約60分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0083】
この反応では、反応を加速するためにマイクロ波を使用することができる。 封管においてマイクロ波を使用する場合、ある温度での反応は約50℃〜約18O℃であり得、そして約5分〜約12時間の反応時間で通常は充分である。
【0084】
(工程A5)
この工程において、化合物(X)は、式(VIII)の化合物の、式(IX)の化合物(これは市販されているか又はJ. Org. Chem.、5935 (1990)及びCanadian Journal of Chemistry、2028 (1993)に記載される)とのアミド化により製造される。
【0085】
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホラン;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0086】
この反応は塩基の存在下で行われる。同様に、使用される塩基の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの塩基もここでは等しく使用され得る。このような塩基の例としては: アミン類、例えばN−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、DBN、DABCO、及びDBUが挙げられる。これらのうち、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンが好ましい。
【0087】
この反応は縮合剤の存在下で行われる。同様に、使用される縮合剤の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの縮合剤もここでは等しく使用され得る。このような縮合剤の例としては: 2−ハロ−1 −低級アルキルピリジニウム塩、例えばヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム及び2−ブロモ−1−エチルピリジニウム テトラフルオロボレート(BEP);ジアリールホスホリルアジド類、例えばジフェニルホスホリルアジド (DPPA);クロロギ酸エステル類、例えばクロロギ酸エチル及びクロロギ酸イソブチル;ホスホロシアニデート類、例えばジエチルホスホロシアニデート(DEPC);イミダゾール誘導体、例えばN1N’− カルボニルジイミダゾール (CDI);カルボジイミド誘導体、例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩 (EDCI);イミニウム塩、例えば2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)及びテトラメチル フルオロホルムアミジニウム ヘキサフルオロホスフェート (TFFH);並びにホスホニウム塩、例えばベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート (BOP)及びブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート (PyBrop)が挙げられる。これらのうち、EDCI又はHBTUが好ましい。
【0088】
4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)のような試薬が、この工程のために使用され得る。これらのうち、HOBtが好ましい。
【0089】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約80℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約30分〜約48時間の期間で通常充分である。
【0090】
この反応の後、Prot1は以下のように脱保護され得る。
【0091】
(Protの脱保護)
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノール;カルボン酸類、例えば酢酸又はギ酸が挙げられ;これらの溶媒のうち、メタノールが好ましい。
【0092】
この反応は、水素ガス下でパラジウム触媒の存在下にて行われる。使用されるパラジウム触媒の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれのパラジウム触媒もここでは等しく使用され得る。このようなパラジウム触媒の例としては: パラジウム金属、パラジウム−炭素、水酸化パラジウムが含まれ、これらのうち、パラジウム−炭素又は水酸化パラジウムが好ましい。
【0093】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0094】
(工程A6)
この工程では、化合物(XII)は、式(X)の化合物とEshenmoser塩(ヨウ化N,N−ジメチルメチレンイミニウム)とのMannich反応(A6a)、続いて式(XI)の化合物とのカップリング反応(A6b)により製造される。式(XI)の化合物は、市販されているか、又はJ. Am. Chem. Soc、1994、116、5985−5986に記載される方法により製造され得る。
【0095】
(A6a) Mannich反応
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。 反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホランが挙げられる。これらの溶媒のうち、N,N−ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンが好ましい。
【0096】
この反応は塩基の存在下で行われる。同様に、使用される塩基の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの塩基もここでは等しく使用され得る。このような塩基の例としては: アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム;アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム;アルカリ金属炭酸水素塩、例えば炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウムが挙げられる。これらのうち、炭酸カリウムが好ましい。
【0097】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約−20℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0098】
(A6b)式(XI)の化合物とのカップリング反応
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては: 芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホラン;ケトン類、例えばアセトン及びジエチルケトンが挙げられる。これらの溶媒のうち、トルエンが好ましい。
【0099】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約150℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0100】
(工程A7)
この工程では、化合物(Ia)は、式(XII)の化合物の還元(A7a)、続いて環形成反応(A7b)により製造される。
【0101】
(A7a) 還元
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては: ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホラン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノール;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、メタノール又はテトラヒドロフランが好ましい。
【0102】
この反応は還元剤の存在下で行われる。同様に、使用される還元剤の性質には特に制限はなく、そしてこの種類の反応において一般的に使用されるいずれの還元剤もここでは等しく使用され得る。このような還元剤の例としては: 金属水素化ホウ素塩、例えば水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム;ヒドリド化合物、例えば水素化リチウムアルミニウム及び水素化ジイソブチルアルミニウム;並びにボラン試薬、例えばボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体(BMS)及び9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN)が挙げられる。これらのうち、水素化ホウ素ナトリウムが好ましい。
【0103】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約8O℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約8時間の期間で通常充分である。
【0104】
(A7b) 環形成反応
この反応は、溶媒の存在下でなされ得る。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては:脂肪族炭化水素類、例えばヘキサン、ヘプタン及び石油エーテル;ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリルが挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン又はトルエンが好ましい。
【0105】
この反応は縮合剤の存在下で行われる。同様に、使用される縮合剤の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの縮合剤もここでは等しく使用され得る。このような縮合剤の例としては: アゾジカルボン酸 ジ−低級アルキルエステル類、例えばアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)及びアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(DTAD);アゾジカルボキサミド類、例えばN,N,N’,N’−テトライソプロピルアゾジカルボキサミド (TIPA)、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(ADDP)及びN,N,N’,N’−テトラメチルアゾジカルボキサミド (TMAD);ホスホラン類、例えば(シアノメチレン)トリブチルホスホラン(CMBP)及び(シアノメチレン)トリメチルホスホラン(CMMP)が挙げられる。これらのうち、DIAD又はADDPが好ましい。
【0106】
ホスフィン試薬、例えばトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン及びトリブチルホスフィンをこの工程に使用し得る。これらのうち、トリフェニルホスフィン又はトリブチルホスフィンが好ましい。
【0107】
あるいは、無機酸類、例えばスルホン酸及びリン酸、並びに水を溶媒及び縮合試薬として使用し得る。これらのうち、リン酸水溶液が好ましい。
【0108】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約10O℃温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0109】
ヒドロキシ保護基の導入
R1、R2、R3、R4又はAがヒドロキシ基を有する場合、必要であれば、ヒドロキシ基を保護することにより反応が達成され得る。
【0110】
ヒドロキシ−保護基の導入は、ヒドロキシ基により影響を受ける反応の前の適切な工程で行われ得る。
【0111】
この反応は、T W. Greene et al.、Protective Groups in Organic Synthesis、15 369−453、(1999)(その開示は参照により本明細書に加入される)により詳細に記載される。以下は保護基 tert−ブチルジメチルシリルを含む典型的な反応を例示する。
【0112】
例えば、ヒドロキシ−保護基が「tert−ブチルジメチルシリル」である場合、この工程は、不活性溶媒中塩基の存在下での所望のヒドロキシ−保護基のハロゲン化物との反応により行われる。
【0113】
適切な溶媒の例としては: ハロゲン化炭化水素類、例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素及び1,2−ジクロロエタン;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0114】
上記反応において使用可能なヒドロキシ−保護基のハロゲン化物の例としては、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、tert−ブチルジメチルシリルクロリド、塩化アセチルが挙げられ、好ましい。
【0115】
塩基の例としては、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、並びに有機アミン類、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、イミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、DBN及びDBUが挙げられる。これらのうち、トリエチルアミン、イミダゾール、又はピリジンが好ましい。液体形態の有機アミンの使用の際には、それを大過剰で使用する場合、溶媒としても役立つ。
【0116】
保護反応は、広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を、約0℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0117】
脱保護工程
R1a、R2a、R3a、R4a又はAaが保護されたヒドロキシ基を有する場合、脱保護反応を後で行い、ヒドロキシ基を生じる。この反応は、T. W. Greene et al.、Protective Groups in Organic Synthesis、369−453、(1999)(その開示は参照により本明細書に加入される)により詳細に記載される。以下は保護基tert−ブチルジメチルシリルを含む典型的な反応を例示する。
【0118】
ヒドロキシル基の脱保護は、酸、例えば酢酸、フッ化水素、フッ化水素−ピリジン錯体、又はフッ化物イオン、例えばフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)を用いて行われる。
【0119】
脱保護反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては、限定されないが: アルコール、例えばメタノール、エタノール又はこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0120】
脱保護反応は、広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0121】
方法B
これは、EがNHである式(Ia)の化合物の製造を説明する。
【0122】
反応スキームB
【化3】

【0123】
(工程B1)
この工程では、化合物(XIV)は、式(XIII)の化合物(これは市販されているか、又はWO2004087701に記載される方法により製造れされ得る)の、式(V)の化合物との求核置換により製造される。この反応は、方法Aの工程A2において記載される条件と同じ条件下で行われ得る。
【0124】
(工程B2)
この工程では、化合物(XV)は、式(XIV)の化合物の還元により製造される。この反応は、方法Aの工程A3に記載される条件と同じ条件下で行われ得る。
【0125】
(工程B3)
この工程では、化合物(XVII)は、式(XV)の化合物の、式(XVI)の化合物とのイミン形成(B3a)、続いて臭化ビニルマグネシウムとの反応(B3b)により製造される。
(B3a) イミン形成
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。 適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びニトロベンゼン;アミド類、例えばホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド;ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド及びスルホラン;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、トルエンが好ましい。
【0126】
反応は酸の存在下で行われ得る。同様に、使用される酸の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの酸もここでは等しく使用され得る。このような酸の例としては: 酸類、例えば塩酸、硫酸又は臭化水素酸;スルホン酸類、例えばメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸;カルボン酸類、例えば酢酸. これらのうち、トルエンスルホン酸が好ましい。
【0127】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約5分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0128】
(B3b) 臭化ビニルマグネシウムとの反応
この反応は、溶媒の存在下でなされ得る。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては:脂肪族炭化水素類、例えばヘキサン、ヘプタン及び石油エーテル;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン及びトルエンが挙げられる;これらのうち、テトラヒドロフランが好ましい。
【0129】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約−78℃〜約100℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0130】
(工程B4)
この工程では、化合物(XVIII)は、式(XVII)の化合物の熱によるアミノ−Claisen転位(B4a)、続いて環化(B4b)により製造される。
(B4a) アミノ−Claisen転位
この反応は、通常かつ好ましくは溶媒の存在下でなされる。反応又は含まれる試薬に対して不利な影響を有さず、かつ試薬を少なくともある程度まで溶解させることができるならば、使用される溶媒の性質に関して特に制限はない。適切な溶媒の例としては: エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン及びジオキサン;芳香族炭化水素類、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち、トルエンが好ましい。
【0131】
反応は酸の存在下で行われ得る。同様に、使用される酸の性質には特に制限はなく、この種類の反応において一般的に使用されるいずれの酸もここでは等しく使用され得る。このような酸の例としては: 酸類、例えば塩酸、硫酸又は臭化水素酸;スルホン酸類、例えばメタンスルホン酸又はトルエンスルホン酸;ルイス酸類、例えば三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体又は塩化亜鉛が挙げられる。これらのうち、トルエンスルホン酸が好ましい。
【0132】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約150℃の温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約48時間の期間で通常充分である。
【0133】
(B4b) 環化
この反応は、通常かつ好ましくは、無機酸類、例えばスルホン酸及びリン酸、並びに水の存在下でなされる。両方が溶媒及び縮合剤として使用され得る。これらのうち、リン酸水溶液が好ましい。
【0134】
この反応は広範囲の温度で起こり得、厳密な反応温度は本発明に対して決定的ではない。好ましい反応温度は、溶媒の性質、及び出発物質のような要因に依存する。しかし一般的には、この反応を約0℃〜約100℃温度で行うことが都合がよい。反応に必要な時間もまた、多くの要因、特に反応温度並びに使用される出発物質及び溶媒の性質に依存して広く変動し得る。しかし、反応が上で概説した好ましい条件下で行われるならば、約10分〜約24時間の期間で通常充分である。
【0135】
(工程B5)
この工程では、式(Ib)の化合物は、ハロゲン原子を式(XVIII)の化合物内でカルボキシル基に変換すること、続いて式(IX)の化合物とのアミド化により製造される。この反応は、方法Aの工程A4及びA5に記載される条件と同じ条件下で行われ得る。
【0136】
個々の鏡像異性体の製造/単離は、従来の技術、例えば適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成又はラセミ化合物(又は塩若しくは誘導体のラセミ化合物)の、例えばキラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用する分割により製造され得る。
【0137】
あるいは、ラセミ化合物(又はラセミ前駆体)の光学分割の方法は、従来の手順、例えば優先晶出法又は式(I)の化合物の塩基性部分と適切な光学活性酸(例えば酒石酸)との間のジアステレオマー塩の分割から適切に選択され得る。
【0138】
式(I)の化合物、及び上述の製造方法における中間体は、従来の手順、例えば蒸留、再結晶又はクロマトグラフィー精製により単離及び精製することができる。
【0139】
医薬用途を意図された本発明の化合物は、結晶質または非晶質製品として投与し得る。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥のような方法によって、例えば固体プラグ、粉末、またはフィルムとして得ることができる。この目的のために、マイクロ波または高周波乾燥を使用してもよい。
【0140】
これらは、単独で、又は1つ若しくはそれ以上の本発明の他の化合物と組み合わせて、又は1つ若しくはそれ以上の他の薬物と組み合わせて(又はそれらの任意の組合せとして)投与され得る。一般にこれらは、1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体または賦形剤と共に医薬組成物または製剤として投与される。本明細書では、用語「担体」または「賦形剤」は、本発明の化合物以外の任意の成分を記載するために用いられる。担体または賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解性および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに投薬形態の性質などの要因に大いに依存する。
【0141】
本発明の化合物の送達に適した医薬組成物およびそれらの製造方法は、当業者には容易に明らかとなるであろう。そのような組成物およびそれらの製造方法は、例えば「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、19th Edition(Mack Publishing Company、1995)に見出すことができる。
【0142】
経口投与
本発明の化合物は経口投与され得る。経口投与は、化合物が胃腸管に入るような嚥下を含み得、又はそれによって化合物が口から直接血流に入る口腔投与または舌下投与が使用され得る。
【0143】
経口投与に適した製剤には、固体製剤、例えば錠剤、粒子、液体、または粉末を含有するカプセル剤、ロゼンジ(液体充填を含む)、咀嚼剤、マルチ粒子およびナノ粒子、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘膜付着性フィルムを含む)、オビュール剤(ovule)、スプレー、並びに液体製剤が含まれる。
【0144】
液体製剤には、例えば懸濁剤、液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。そのような製剤は、軟質または硬質カプセルの充填剤として用いることができ、典型的に、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油、並びに1つ又はそれ以上の乳化剤および/若しくは懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサシェから固体を再構成することによっても調製し得る。
【0145】
本発明の化合物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents11(6)、981−986、LiangおよびChen(2001)に記載のもののような、速溶性、速崩壊性投与形態でも使用し得る。
【0146】
錠剤投与形態については、用量に依存して、薬物は投薬形態の約1質量%から約80質量%、より典型的には投薬形態の約5質量%から約60質量%を構成し得る。薬物に加えて、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、投薬形態の約1質量%から約25質量%、好ましくは約5質量%から約20質量%を構成する。
【0147】
錠剤製剤に凝集性を付与するために、一般に結合剤が用いられる。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン、および第二リン酸カルシウム二水和物を含有し得る。
【0148】
錠剤はまた、場合によって例えばラウリル硫酸ナトリウム、およびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素、およびタルクなどの流動促進剤を含み得る。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の約0.2質量%から約5質量%を構成し得、流動促進剤は、錠剤の約0.2質量%から約1質量%を構成し得る。
【0149】
錠剤はまた一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の約0.25質量%から約10質量%、好ましくは約0.5質量%から約3質量%を構成する。
【0150】
他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、矯味矯臭剤、保存剤、および味マスキング(taste−masking)剤が含まれる。
【0151】
典型的な錠剤は、約80%までの薬物、約10質量%から約90質量%の結合剤、約0質量%から約85質量%の希釈剤、約2質量%から約10質量%の崩壊剤、および約0.25質量%から約10質量%の滑沢剤を含有する。
【0152】
錠剤ブレンドを直接またはローラーによって圧縮して、錠剤を形成し得る。あるいは、錠剤ブレンド、またはブレンドの一部を、錠剤化の前に湿式、乾式、若しくは溶融造粒、溶融凝固、又は押出し成形し得る。最終製剤は、1つまたはそれ以上の層を含み得、被覆されていても、被覆されていなくてもよく、カプセル化されていてもよい。
【0153】
錠剤の製剤化は「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、H.LiebermanおよびL.Lachman、Marcel Dekker、N.Y.、N.Y.、1980(ISBN 0−8247−6918−X)において考察されている。
【0154】
経口投与用の固体製剤は、即時放出および/または調節放出されるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0155】
本発明の目的に適した調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散体、ならびに浸透粒子および被覆粒子のような他の適切な放出技術の詳細は、Verma et al.、Pharmaceutical Technology On−line、25(2)、1−14(2001)に見出される。制御放出を達成するためのチューイングガムの使用は、WO00/35298号に記載される。
【0156】
非経口投与
本発明の化合物はまた、血流、筋肉、および内部器官に直接投与され得る。非経口投与に適した手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋内、および皮下が挙げられる。非経口投与に適した装置としては、針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器、および注入技法が挙げられる。
【0157】
非経口製剤は典型的に、塩、炭水化物、および緩衝剤(好ましくはpH約3から約9)などの賦形剤を含有し得る水溶液であるが、いくつかの適用では、滅菌非水性溶液として、または滅菌パイロジェンフリー水のような適切な媒体と共に用いる乾燥形態としてより適切に製剤化され得る。
【0158】
例えば凍結乾燥による、滅菌条件下での非経口製剤の製造は、当業者に周知の標準的な製薬技術を使用して容易に達成し得る。
【0159】
非経口液剤の製造に用いられる式(I)の化合物の溶解度は、溶解促進剤の組み込みのような、適切な製剤技術の使用によって増大し得る。
【0160】
非経口投与用の製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が含まれる。本発明の化合物は、活性化合物の調節放出を提供する埋め込みデポー剤として投与のために、固体、半固体、またはチキソトロピー液体として製剤化され得る。そのような製剤の例としては、薬物被覆ステント、およびPGLAミクロスフェアが挙げられる。
【0161】
局所投与
本発明の化合物はまた、皮膚または粘膜に、すなわち皮膚的または経皮的に局所投与し得る。このための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、散剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェハー、インプラント、スポンジ、ファイバー、包帯、およびミクロエマルションが挙げられる。リポソームも使用し得る。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透促進剤を組み込んでもよく、例えば、J Pharm Sci, 88(10), 955−958, FinninおよびMorgan(October 1999)を参照のこと。
【0162】
他の局所投与の手段としては、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノフォレシス、およびマイクロニードルまたは無針(例えばPowderjectTM、BiojectTMなど)注射による送達が含まれる。
【0163】
局所投与用の製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化され得る。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0164】
吸入/鼻腔内投与
本発明の化合物は、典型的には乾燥粉末吸入器から乾燥粉末の形態で(単独で、例えばラクトースとの乾燥ブレンドの混合物として、または例えばリン脂質(例えばホスファチジルコリン)と混合した混合成分粒子として)、又は加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ(好ましくは、微細ミストを生成するために電気流体力学を用いたアトマイザ)若しくはネブライザからエアロゾルスプレーとして、適切な噴射剤(例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)を用いて又は用いずに、鼻腔内または吸入によって投与することもできる。鼻腔内用途について、粉剤は、生体接着剤、例えばキトサン、またはシクロデキストリンを含み得る。
【0165】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ、またはネブライザは、活性剤を分散、可溶化、または延長放出するための、例えばエタノール、水性エタノール、または他の適切な代替薬剤、溶媒としての噴射剤、および任意の界面活性剤(例えばトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、またはオリゴ乳酸)を含む、本発明の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0166】
乾燥粉末または懸濁液製剤での使用の前に、薬物製品を吸入による送達に適した大きさ(典型的に5ミクロン未満)に微粉化する。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法によって達成し得る。
【0167】
吸入器または注入器で用いるためのカプセル(例えばゼラチンまたはHPMCから製造)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末基剤(例えばラクトースまたはデンプン)、および性能改質剤(例えばl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウム)の粉末混合物を含有するように製剤化し得る。ラクトースは無水であっても一水和物の形態でもよく、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
【0168】
微細ミストを生成するために電気流体力学を用いるアトマイザでの使用に適した溶液製剤は、1回の操作当たり約1μg〜約20mgの本発明の化合物を含有し得、操作体積は、約1μlから約100μlまで変動し得る。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含み得る。プロピレングリコールの代わりに使用し得る代替の溶媒としては、グリセロール、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0169】
適切な矯味矯臭剤(例えばメントールおよびレボメントール)、又は甘味剤(例えばサッカリンまたはサッカリンナトリウム)を、吸入/鼻腔内投与を意図された本発明の製剤に添加し得る。吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えばポリ(DL−乳酸−コグリコール酸)(PGLA)を使用して、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0170】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は、典型的に約1から約100μgの式(I)の化合物を含有する計量用量または「1吹き(puff)」を投与するように設定される。全日用量は、典型的に約50μgから約20mgの範囲であり、単回用量で、又はより通常では1日を通して分割用量として投与され得る。
【0171】
直腸/膣内投与
本発明の化合物は、例えば坐剤、膣坐薬、または浣腸の形態で、直腸または膣に投与され得る。カカオ脂は伝統的な坐剤基剤であるが、種々の代替物を適宜使用し得る。
【0172】
直腸/膣内投与用の製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化し得る。調節放出製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出、およびプログラム放出が含まれる。
【0173】
他の技術
本発明の化合物は、前述のいずれかの投与様式での使用のためにそれらの溶解度、溶解速度、味マスキング、バイオアベイラビリティ、および/または安定性を改善するために、可溶性高分子実体(例えばシクロデキストリンおよびその適切な誘導体、またはポリエチレングリコール含有ポリマー)と組み合わせてもよい。
【0174】
例えば薬物−シクロデキストリン複合体は、一般に大部分の投薬形態および投与経路に有用であることが見いだされている。包接錯体および非包接錯体の両方を使用し得る。薬物との直接的錯化の代わりに、シクロデキストリンを補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用し得る。これらの目的のためにもっとも一般的に使用されるのは、アルファ−、ベータ−、およびガンマ−シクロデキストリンであり、その例はWO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148に見出され得る。
【0175】
キット−オブ−パーツ(KIT−OF−PARTS)
例えば特定の疾患または状態を治療する目的のために、活性化合物の組合せを投与することは望ましくあり得るので、少なくともその1つが本発明による化合物を含有する2つ又はそれ以上の医薬組成物は、組成物の併用投与(coadministration)に適したキットの形態で都合よく組み合わせられ得ることは本発明の範囲内である。
【0176】
したがって、本発明のキットは、少なくともその1つが本発明による式(I)の化合物を含有する2つ又はそれ以上の個別の医薬組成物、および容器、分割ボトル、または分割ホイル小包のような前記組成物を個別に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用される、よく知られているブリスターパックである。
【0177】
本発明のキットは、異なる投薬形態、例えば経口および非経口投薬形態を投与するか、個別の組成物を異なる投与間隔で投与するか、または個別の組成物を互いに対して滴定するのに特に適している。コンプライアンスを助けるために、キットは典型的に投与指示書を含み、そしていわゆる記憶補助手段を備え得る。
【0178】
投薬量
ヒト患者への投与について、本発明の化合物の総日用量は、当然ながら投与様式によって、典型的に約0.05mgから約500mgの範囲、好ましくは約0.1mgから約400mgの範囲、より好ましくは約0.5mgから約300mgの範囲である。例えば、経口投与は、約1mgから約300mgの総日用量を必要とし得るが、静脈内投与は約0.5mgから約100mgしか必要としないかもしれない。この総日用量は、単回用量または分割用量で投与され得る。
【0179】
これらの用量は、体重約65kgから約70kgを有する平均的なヒト被験体に基づく。幼児および高齢者のようなその体重がこの範囲外である被験体の用量を、医師は容易に決定できるであろう。
【0180】
組み合わせ
上で考察したように、本発明の化合物はアシッドポンプ阻害活性を示す。本発明のアシッドポンプアンタゴニストは、特に胃食道逆流性疾患の処置において、別の薬理活性化合物と、又は2つ若しくはそれ以上の他の薬理活性化合物と有効に組み合わせられ得る。例えば、アシッドポンプアンタゴニスト、特に上で定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩は、以下より選択される1つ若しくはそれ以上の薬剤と組み合わせて、同時に、連続して、又は別々に投与され得る:
(i) ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、例えばラニチジン、ラフチジン、ニザチジン、シメチジン、ファモチジン及びロキサチジン;
(ii) プロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、テナトプラゾール、イラプラゾール及びランソプラゾール;
(iii) 経口制酸混合物、例えばMaalox(登録商標)、Aludrox(登録商標)及びGaviscon(登録商標);
(iv) 粘膜保護剤、例えばポラプレジンク(polaprezinc)、エカベトナトリウム、レバミピド、テプレノン、セトラキサート、スクラルフェート、クロロピリン−銅(chloropylline−copper)及びプラウノトール;
(v) 抗胃(anti−gastric)薬剤、例えば抗ガストリンワクチン、イトリグルミド(itriglumide)及びZ−360;
(vi) 5−HT3アンタゴニスト、例えばドラセトロン、パロノセトロン、アロセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、ミトラザピン(mitrazapine)、グラニセトロン、トロピセトロン、E−3620、オンダンセトロン及びインジセトロン;
(vii) 5−HT4アゴニスト、例えばテガセロド、モサプリド、シニタプリド及びオキシトリプタン(oxtriptane);
(viii) 緩下薬、例えばTrifyba(登録商標)、Fybogel(登録商標)、Konsyl(登録商標)、Isogel(登録商標)、Regulan(登録商標)、Celevac(登録商標)及びNormacol(登録商標);
(ix) GABABアゴニスト、例えばバクロフェン及びAZD−3355;
(x) GABABアンタゴニスト、例えばGAS−360及びSGS−742;
(xi) カルシウムチャネル遮断薬、例えばアラニジピン、ラシジピン、フェロジピン(falodipine)、アゼルニジピン、クリニジピン(clinidipine)、ロメリジン、ジルチアゼム、ガロパミル、エホニジピン、ニソルジピン、アムロジピン、レルカニジピン、ベバントロール、ニカルジピン、イスラジピン、ベニジピン、ベラパミル、ニトレンジピン、バルニジピン、プロパフェノン、マニジピン、ベプリジル、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン及びファスジル;
(xii) ドパミンアンタゴニスト、例えばメトクロプラミド、ドンペリドン及びレボスルピリド;
(xiii) タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2及びNK−1アンタゴニスト、例えばネパズタント(nepadutant)、サレズタント(saredutant)、タルネタント(talnetant)、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフチリジン(naphthridine)−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント(lanepitant)、ダピタント(dapitant)及び3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S);
(xiv) ヘリコバクターピロリ感染薬、例えばクラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、ロキタマイシン、フルリスロマイシン(flurithromycin)、テリスロマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、テモシリン、バカンピシリン、アスポキシシリン、スルタミシリン、ピペラシリン、レナンピシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール、クエン酸ビスマス及び次サリチル酸ビスマス;
(xv) 酸化窒素シンターゼ阻害剤、例えばGW−274150、チルアルギニン(tilarginine)、P54、グアニジノエチルジスルフィド及びニトロフルルビプロフェン;
(xvi) バニロイド受容体1アンタゴニスト、例えばAMG−517及びGW−705498;
(xvii) ムスカリン性受容体アンタゴニスト、例えばトロスピウム、ソリフェナシン、トルテロジン、チオトロピウム、シメトロピウム、オキシトロピウム、イプラトロピウム、チキジウム、ダリフェナシン及びイミダフェナシン;
(xviii) カルモジュリンアンタゴニスト、例えばスクアラミン及びDY−9760;
(xix) カリウムチャネルアゴニスト、例えばピナシジル、チリソロール、ニコランジル、NS−8及びレチガビン;
(xx) ベータ−1アゴニスト、例えばドブタミン、デノパミン、キサモテロール、デノパミン、ドカルパミン及びキサモテロール;
(xxi) ベータ−2アゴニスト、例えばサルブタモール;テルブタリン、アルフォルモテロール、メルアドリン、マブテロール、リトドリン、フェノテロール、クレンブテロール、フォルモテロール、プロカテロール、ツロブテロール、ピルブテロール、バンブテロール、ツロブテロール、ドペキサミン及びレボサルブタモール;
(xxii) ベータアゴニスト、例えばイソプロテレノール及びテルブタリン;
(xxiii) アルファ2アゴニスト、例えばクロニジン、メデトミジン、ロフェキシジン、モクソニジン、チザニジン、グアンファシン、グアナベンズ、タリペキソール及びデクスメデトミジン;
(xxiv) エンドセリンAアンタゴニスト、例えばボンセタン(bonsetan)、アトラセンタン、アンブリセンタン、クラゾセンタン、シタクスセンタン、ファンドセンタン(fandosentan)及びダルセンタン(darusentan);
(xxv) オピオイドμアゴニスト、例えばモルヒネ、フェンタニル及びロペラミド;
(xxvi) オピオイドμアンタゴニスト、例えばナロキソン、ブプレノルフィン及びアルビモパン;
(xxvii) モチリンアゴニスト、例えばエリスロマイシン、ミテムシナル、SLV−305及びアチルモチン(atilmotin);
(xxviii) グレリンアゴニスト、例えばカプロモレリン(capromorelin)及びTZP−101;
(xxix) AchE放出刺激剤、例えばZ−338及びKW−5092;
(xxx) CCK−Bアンタゴニスト、例えばイトリグルミド(itriglumide)、YF−476及びS−0509;
(xxxi) グルカゴンアンタゴニスト、例えばNN−2501及びA−770077;
(xxxii) ピペラシリン、レナンピシリン、テトラサイクリン、メトロニダゾール、クエン酸ビスマス及び次サリチル酸ビスマス;
(xxxiii) グルカゴン様ペプチド−1 (GLP−1)アンタゴニスト、例えばPNU−126814;
(xxxiv) 小コンダクタンスカルシウム−活性化カリウムチャネル3 (SK−3)アンタゴニスト、例えばアパミン、デクアリニウム、アトラクリウム、パンクロニウム及びツボクラリン、
(xxxv) mGluR5アンタゴニスト(anatagonists)、例えばADX−10059及びAFQ−056;
(xxxvi) 5−HT3アゴニスト、例えばプモセトラグ(pumosetrag)(DDP733);
(xxxvii) mGluR8アゴニスト、例えば(S)−3,4−DCPG及びmGluR8−A。
【0181】
生物学的活性を評価するための方法:
本発明の化合物のアシッドポンプ阻害活性及び他の生物学的活性を以下の手順により決定した。記号はそれらの通常の意味を有する: mL (ミリリットル)、μL (マイクロリットル)、Kg (キログラム)、g (グラム)、mg (ミリグラム)、μg (マイクログラム)、pmol (ピコモル)、mmol (ミリモル)、M (モル質量(m3/mol))、mM (ミリモル量)、μM (マイクロモル量)、quant.(定量的収率)、nm (ナノメートル)、min (分)、Cat# (カタログ番号)、mV (ミリボルト)、ms (ミリ秒)、i.p.(腹腔内)。
【0182】
新鮮なブタ胃からの胃小胞(gastric vesicles)の調製
ブタ胃H+/K+−ATPase阻害アッセイのためのブタ胃小胞を、新鮮なブタ胃の粘膜から、好適なポリテトラフルオロエチレン(Teflone(登録商標))ホモジナイザーを用いたホモジナイゼーションにより0.25Mショ糖中4℃にて調製した。粗ペレットを20,000gで30分間の遠心分離により取り出した。次いで上清を100,000gにて30分間遠心分離した。生じたペレットを0.25Mショ糖に再懸濁し、次いで密度勾配遠心分離に132,000gで90分間かけた。胃小胞を、7% FicollTM PM400(Amersham Biosciences)を含有する0.25Mショ糖層上の界面から集めた。この手順を寒冷室で行った。
【0183】
イオン漏出ブタ胃H+/K+−ATPase阻害
イオン漏出ブタ胃H+/K+−ATPase阻害を、Biochemical Pharmacology、1988、37、2231−2236に記載される改良法に従って測定した。
単離された小胞を凍結乾燥し、次いで使用するまでディープ・フリーザーで保存した。酵素アッセイのために、凍結乾燥した小胞を40mM Bis−tris(37℃でpH 6.4)を含有する3mM MgSO4を用いて再構成した。
5mM KCl、3mM Na2ATP、3mM MgSO4及び1.0μgの再構成した小胞を30分間37℃にて最終60μlの反応混合物(40mM Bis−tris、pH 6.4)中で試験化合物と共に又は試験化合物無しでインキュベートして酵素反応を行った。10% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を加えることにより酵素反応を停止させた。ATPから放出された無機ホスフェートを、15mM酢酸亜鉛水和物中の1部の35mM モリブデン酸アンモニウム四水和物及び4部の10%アスコルビン酸(pH 5.0)の混合物と共にインキュベートしてリンモリブデン酸塩(750nmに光学密度を有する)を生じることにより検出した。全ての実施例の化合物は、強力な阻害活性を示した。
【0184】
以下の実施例の化合物についての阻害活性のIC50値の結果を表1に示す。
【表1】

【0185】
イオンタイト(Ion−tight)ブタ胃H+/K+−ATPase阻害
イオンタイトブタ胃H+/K+−ATPase阻害を、Biochemical Pharmacology、1988、37、2231−2236に記載される改良法に従って測定した。
単離された小胞を使用するまでディープフリーザーで保存した。酵素アッセイのために、小胞を、3mM MgSO4含有5mM Tris(37℃でpH7.4)で希釈した。
150mM KCl、3mM Na2ATP、3mM MgSO4、15μM バリノマイシン及び3.0μgの小胞を30分間37℃にて最終60μlの反応混合物(5mM Tris、pH 7.4)中で試験化合物と共に又は試験化合物無しでインキュベートして酵素反応を行った。10% SDSを加えることにより酵素反応を停止した。ATPから放出された無機ホスフェートを、15mM 酢酸亜鉛水和物中1部の35mM モリブデン酸アンモニウム四水和物及び4部の10%アスコルビン酸(pH 5.0)の混合物と共にインキュベートしてリンモリブデン酸(750nmに光学密度を有する)を生じることにより検出した。
【0186】
イヌ腎臓Na+/K+−ATPase阻害
粉末状イヌ腎臓Na+/K+−ATPase(Sigma)を、3mM MgSO4含有40mM Tris(37℃でpH 7.4)を用いて再構成した。100mM NaCl、2mM KCl、3mM Na2ATP、3mM MgSO4及び12μgの酵素を30分間37℃で最終60μlの反応混合物(40mM Tris、pH 7.4)中で試験化合物と共に又は試験化合物無しでインキュベートして酵素反応を行った。10% SDSを加えることにより酵素反応を停止させた。ATPから放出された無機ホスフェートを、15mM酢酸亜鉛水和物中1部の35mM モリブデン酸アンモニウム四水和物及び4部の10%アスコルビン酸(pH 5.0)の混合物と共にインキュベートしてリンモリブデン酸塩(750nmに光学密度を有する)を生じることにより検出した。
【0187】
胃管腔灌流ラットにおける酸分泌の抑制
胃管腔灌流ラットにおける酸分泌を、Watanabeら[Watanabe K et al.、J. Physiol. (Paris) 2000;94: 111−116]に従って測定した。
雄性Sprague−Dawleyラット(8週齢、水には自由にアクセスさせながら実験前18時間は食物を与えない)をウレタン(1.4g/kg、i.p.)で麻酔し、そして気管切開した。中腹部切開(middle abdominal incision)後、デュアルポリエチレンカニューレを噴門洞に挿入し、そして胃を生理食塩水(37℃、pH 5.0)で1ml/分の速度で灌流した。潅水への酸産出を5分間隔で0.02 M NaOHを用いたpH 5.0までの滴定により決定した。基礎酸分泌を30分間測定した後、ペンタガストリン(16μg/kg/h)の連続静脈内灌流により酸分泌を刺激した。刺激した酸分泌がプラトー期に達した後、試験化合物を静脈内ボーラス注射又は十二指腸内投与により投与した。酸分泌を投与後モニタリングした。
活性を、投与後0時間から1.5若しくは3.5時間までの総酸分泌の抑制、又は投与後の最大抑制のいずれかにより評価した。
【0188】
ハイデンハイン嚢イヌにおける胃酸分泌の抑制
体重7−15kgでハイデンハイン嚢を有する雄性ビーグル犬[Heidenhain R: Arch Ges Physiol. 1879;19: 148−167]を使用した。これらの動物を実験前少なくとも3週間手術から回復させた。これらの動物を12時間の明暗リズムで個々に飼育した。これらに1日1回11:00 a.m.に標準的な餌及び水道水を自由に与え、そして水へは自由にアクセスさせながら実験前一晩中絶食させた。胃液サンプルを実験の間中、重力排水により15分ごとに集めた。胃液の酸性度をpH 7.0の終点までの滴定により測定した。酸分泌を、ヒスタミン(80μg/kg/h)の連続静脈内注入により刺激した。試験化合物の経口投与又は静脈内ボーラス投与を、ヒスタミン注入の開始90分後に行った。酸分泌を投与後モニタリングした。活性を対応するコントロール値と比較した最大抑制により評価した。
【0189】
ヒトドフェチリド結合
ヒトether a−go−go関連遺伝子(HERG)トランスフェクトHEK293S細胞を施設内で調製し、増殖させた。HERG産物を発現しているHEK−293細胞の細胞ペーストを、10倍体積の50mM Tris緩衝液(pH 7.5に調節)に25℃にて1mM MgCl2、10mM KClを含有する2M HClと共に懸濁し得る。Polytronホモジナイザー(最大出力で20秒)を使用して細胞をホモジナイズし、そして48,000gで20分間4℃にて遠心分離した。ペレットを同じやり方でもう1度再懸濁し、ホモジナイズし、そして遠心分離した。結果として得られた上清を廃棄し、そして最終ペレットを再懸濁(10倍体積の50mM Tris緩衝液)し、そして最大出力で20秒間ホモジナイズした。この膜ホモジネートをアリコートに分け、そして使用するまで−80℃で貯蔵した。アリコートを、Protein Assay Rapid Kit (wako)及びSpectra max plate reader(Wallac)を使用するタンパク質濃度決定のために使用した。全ての操作、ストック溶液及び装置を常に氷上に維持した。飽和アッセイのために、実験を総体積200μlで行った。36μlの[3H]−ドフェチリド、及び160μlの膜ホモジネート(1ウェルあたり20−30μgのタンパク質)を60分間室温でドフェチリドなしで、又は最終濃度(4μl)で10μMのドフェチリドの存在下にてインキュベートしてそれぞれ総結合又は非特異的結合について飽和を決定した。全てのインキュベーションを、Skatron細胞ハーベスタを使用するPEI浸漬ガラスファイバーろ紙での急速真空ろ過、続いて50mM Tris緩衝液(pH 7.4、25℃)を用いた2回の洗浄により停止させた。受容体結合放射能を、液体シンチレーション計数によりPackard LSカウンターを使用して定量した。
【0190】
競合アッセイのために、化合物を96ウェルポリプロピレンプレート中で片対数形式で4点希釈として希釈した。全ての希釈を最初にDMSO中で行い、次いで1mM MgCl2、10mM KClを含有する50mM Tris緩衝液(pH 7.4、25℃)中に最終DMSO濃度が1%に等しくなるように移した。化合物をアッセイプレート(4μl)で3つに分配した。総結合及び非特異的結合のウェルを、それぞれ賦形剤(vehicle)及び最終濃度で10μMのドフェチリドとして6ウェルに設定した。放射性リガンドを5.6×最終濃度で調製し、そしてこの溶液を各ウェル(36μl)に加えた。YSi ポリ−L−リジン SPAビーズ(50μl、1mg/ウェル)及び膜(110μl、20μg/ウェル)の添加によりアッセイを開始した。インキュベーションを室温で60分間続けた。プレートをさらに3時間室温にてビーズを安定させるためにインキュベートした。受容体結合放射能を、Wallac MicroBetaプレートカウンターにより計数することにより定量した。
【0191】
ヒト肝ミクロソーム(HLM)−2における半減期
試験化合物(1μM)を、100mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.4)中の1mM MgCl2、1mM NADP+、5mM イソクエン酸、1U/mL イソクエン酸デヒドロゲナーゼ及び0.8mg/mL HLMと共に37℃にて多数の384ウェルプレート上でインキュベートした。いくつかの時点において、プレートをインキュベータから外し、そして2インキュベーション量のアセトニトリルを用いて反応を終結させた。上清中の化合物濃度をLC/MS/MSシステムで測定した。固有クリアランス値を以下の式を使用して算出した:
【数1】

式中、k=−[ln(濃度) 対 時間(分−1)の勾配]
【0192】
hERGパッチクランプアッセイ
hERGチャネルを阻害する化合物の可能性を決定するための、急速に失活する遅延整流カリウム電流(IKr)のクローニングされたカウンターパート。
【0193】
hERGチャネルを安定に発現しているHEK293細胞を、周囲温度(26.5−28.5℃)において全細胞パッチクランプ電気生理学研究で使用した。HEK293細胞におけるこのチャネルの安定なトランスフェクションのための方法論は、他で見いだすことができる(Zhou et al 1998、Biophysical Journal、74、pp230−241 )。実験に使用した溶液は、以下の組成(mM)の標準細胞外溶液;NaCl、137;KCl、4;CaCl2、1.8;MgCl2、1;グルコース、10;HEPES、10;NaOH/HClを用いてpH 7.4±0.05;及び以下の組成(mM)の標準細胞内溶液;KCl、130;MgCl2、1 ;HEPES、10;EGTA 、5;MgATP、5;KOHを用いてpH 7.2±0.05であった。印加された電圧プロトコルは、hERGチャネルを活性化し、そしてチャネルの薬物ブロックの測定を可能にするように設計され、そしてこれは以下のとおりである。最初に膜電位を−8OmVから+3OmVの保持電位に1秒間進めた。この後、0.5mV/msの速度で下降電圧ランプを−8OmVの保持電位に戻し、そして再分極ランプの間に観測されたピーク外向き電流を測定した。このプロトコルを4秒ごとに(0.25Hz)繰り返し適用した。賦形剤(0.1%v/v DMSO)の存在下で安定なベースライン期間を確立した後、次いで4つの漸増濃度の試験化合物を、応答が定常状態に達するまで又は10分まで(どちらか最初に起こった方)連続して浴に加えた(bath−applied)。10マイクロモル/Lのドフェチリドを、内部ポジティブコントロールとして、及び最大遮断を規定するために、各実験の最後に使用した。
【0194】
ラットにおけるバイオアベイラビリティ
Sprague−Dawley系統の成体ラットを使用した。実験の1〜2日前に全てのラットを麻酔下で右頚静脈にカニューレ挿入して準備した。カニューレを首筋で外に出した。血液サンプル(0.2−0.3mL)を頚静脈から試験化合物の静脈内投与又は経口投与の24時間後まで間隔を開けて抜き取った。サンプルを分析まで凍結した。バイオアベイラビリティを、経口投与又は静脈内投与後の血漿濃度曲線(AUC)下の面積間の商を計算することにより評価した。
【0195】
イヌにおけるバイオアベイラビリティ
成体ビーグル犬を使用した。血液サンプル(0.2−0.5mL)を、試験化合物の静脈内投与又は経口投与の24時間後まで間隔を空けて橈側皮静脈から抜き取った。サンプルを分析まで凍結した。バイオアベイラビリティを、経口投与又は静脈内投与後の血漿濃度曲線(AUC)下の面積間の商を計算することにより評価した。
【0196】
血漿タンパク質結合
試験化合物(1μM)の血漿タンパク質結合を、96ウェルプレート型装置を使用する平衡透析の方法により測定した。Spectra−Por(登録商標)、再生セルロース膜(分子量カットオフ12,000−14,000、22mm×120mm)を終夜蒸留水に浸漬し、次いで20分間30%エタノール中に浸漬し、そして最後に15分間透析緩衝液(ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水、pH7.4)中に浸漬した。ヒト、Sprague−Dawleyラット、及びビーグル犬の凍結血漿を使用した。透析装置を組み立て、そして150μLの化合物強化(fortified)血漿を各ウェルの一方の側に加え、そして150μLの透析緩衝液を各ウェルの他方の側に加えた。37℃、150r.p.mで4時間のインキュベーションの後、血漿及び緩衝液のアリコートをサンプリングした。血漿及び緩衝液中の化合物を、分析用の内部標準化合物を含有する300μLのアセトニトリルで抽出した。化合物の濃度をLC/MS/MS分析により決定した。
【0197】
未結合の化合物の割合を以下の等式により算出した:
fu=1−{ ( [血漿]eq − [緩衝液]eq )/( [血漿]eq)}
式中、[血漿]eq及び[緩衝液]eqは、それぞれ血漿中及び緩衝液中の化合物の濃度である。
【実施例】
【0198】
以下の実施例は、さらなる説明の目的のみのために提供され、開示された発明への限定を意図しない。以下の実施例において他に示されなければ、一般的な実験条件は以下のとおりである: 全ての操作は室温または周囲温度、すなわち18−25℃の範囲で行った;溶媒のエバポレーションは減圧下で60℃までの浴温でロータリーエバポレーターを使用して行った;反応は薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタリングし、そして反応時間は説明の目的のみのために示す;示される融点(mp)は未補正である(多形は異なる融点を生じ得る);全ての単離された化合物の構造及び純度は、以下の技術の少なくとも1つにより確かめた: TLC (Merck シリカゲル 60 F254プレコートTLCプレート又はMerck NH2ゲル(アミンコートシリカゲル) F254sプレコートTLCプレート)、質量分析法、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外吸収スペクトル(IR)又は微量分析。収率は説明の目的のみのために示される。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Biotage KP−SIL (40−63μm)、Biotage KP−NH(アミンコートシリカゲル)(40−75μM)、Fuji Silysiaアミノゲル(30−50μm)又はWakoシリカゲル300HG (40−60μM)を使用して行った。マイクロ波反応は、Personal Chemistry EmrysTM Optimizer又はBiotage InitiatorTMを使用して行った。分取TLCはMerckシリカゲル60 F254プレコートTLCプレート(厚さ0.5又は1.0mm)を使用して行った。全ての質量データは、ZMDTM又はZQTM (Waters)及び質量分析計を使用した低分解能質量スペクトルデータ(ESI)で得られた。NMRデータは、270MHz(JEOL JNM−LA 270分光計)又は300MHz (JEOL JNM−LA300分光計)で、他に指示がなければ重水素化クロロホルム(99.8%)又はジメチルスルホキシド(99.9%)を溶媒として使用して、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)と比較して100万分の1(parts per million)(ppm)で測定した;使用される従来の略号は: s=シングレット、d=ダブレット、m=マルチプレット、dd=ダブルダブレット、sep=セプテット、br.s=ブロードシングレット、br.d=ブロードダブレットなどである。IRスペクトルはフーリエ変換赤外分光計(Shimazu FTIR−8300)により測定した。旋光度はP−1020デジタル旋光計(JASCO Corporation)を使用して測定した。
【0199】
実施例1
1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化4】

【0200】
工程1 : N−[2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロフェニル]アセトアミド
2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロアニリン (33.0g、102mmol、WO 2004054984)及び無水酢酸(14.5mL、153mmol)の酢酸(90mL)溶液に、濃硫酸(2滴)を70℃で加えた。混合物を70℃で20分間撹拌した。室温まで冷却した後、水(800mL)を加え、そして形成した沈殿物をろ過により集め、そしてジイソプロピルエーテルで洗浄して表題化合物を褐色固体として得た(30.9g、83%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.69(d,J=2.0 Hz、1H),7.56 (br.s、1H),7.47−7.38(m,5H),7.34(d,J=2.0 Hz、1H),5.14(s,2H),2.16(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 365 (M+H)+
【0201】
工程2: N−[2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロフェニル]−N−(2−メトキシエチル)アセトアミド
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散、1.78g、44.5mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド (100mL)中懸濁液に、N−[2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロフェニル]アセトアミド (13.5g、37.1mmol、工程1)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を0℃で10分かけて滴下した。0℃で20分間撹拌した後、1−ブロモ−2−メトキシエタン(7.21g、51.9mmol)を加え、そして混合物を50℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を水上に注ぎ、そして水層を酢酸エチル/トルエン(3:1)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空で濃縮した。残留物をヘキサン/酢酸エチル(3:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を灰色固体として得た(12.1g、77%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.70(d,J=2.6 Hz、1H), 7.45−7.32(m,6H), 5.22−5.10(m,2H),4.23−4.13 (m,1H), 3.51−3.34(m,2H), 3.24−3.13(m,1H), 3.09(s,3H), 1.89(s,3H) ppm. (他の回転異性体のシグナルも観測された)
MS (ESI) m/z: 423 (M+H)+
【0202】
工程3: 7−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール
N−[2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロフェニル]−N−(2−メトキシエチル)アセトアミド (11.7g、27.7mmol、工程2)及び鉄粉(7.74g、139mmol)の酢酸(150mL)中混合物を、撹拌しながら5時間還流させた。室温まで冷却した後、この混合物をCeliteのパッドを通してろ過し、そしてろ液を真空で濃縮した。残留物を水上に注ぎ、そして水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル (2:1から1:1のグラジエント溶出)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を淡緑色固体として得た(9.74g、93%)。 1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.47−7.37(m,6H),6.89(d,J=1.3 Hz、1H), 5.14(s,2H), 4.39 (t、J=5.3 Hz,2H), 3.57 (t、J=5.3 Hz、2H),3.16(s,3H),2.57(s,3H) ppm。
【0203】
工程4: 7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル
7−(ベンジルオキシ)−5−ブロモ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール (1.00g、2.66mmol、工程3)、シアン化亜鉛(376mg、3.20mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (154mg、0.13mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)中混合物を9O℃で3時間、窒素ガス下にて撹拌した。室温まで冷却した後、混合物を飽和炭酸カリウム水溶液(100mL)上に注ぎ、そして水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物固体を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル(1 :2)で洗浄して表題化合物を白色固体として得た(648mg、76%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.67 (br.s、1H),7.45−7.38(m,5H),6.96 (br.s、1H),5.19(s,2H),4.45 (t、J =5.3 Hz、2H),3.60 (t、J=4.6 Hz、2H),3.19(s,3H), 2.61(s,3H) ppm。
MS (ESI) m/z: 322 (M+H)+
【0204】
工程5: 7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸
7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニトリル(549mg、1.71mmol、工程4)及び水酸化カリウム (85%、564mg、8.54mmol)のエチレングリコール(10mL)中溶液を135℃で5時間撹拌した。室温まで冷却した後、2mol/L 塩酸を、溶液のpHが約3になるまで加えた。形成した沈殿物をろ過により集めて表題化合物を灰色固体として得た(530mg、91%)。
1H NMR (DMSO−d6、270 MHz) δ: 7.77 (br.s、1H),7.56−7.49(m,2H), 7.47−7.33(m,4H), 5.30(s,2H), 4.47 (t、J=5.3 Hz、2H),3.60 (t、J=5.3 Hz、2H),3.17(s,3H),2.52(s,3H) ppm. (COOHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 341 (M+H)+、339 (M−H)-
【0205】
工程6: 7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル
7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸 (10.0g、29.4mmol、工程5)のメタノール中懸濁液に、塩化チオニル(8.57mL、118mmol)を室温で滴下し、そして混合物を撹拌しながら2時間還流させた。室温まで冷却した後、溶媒を真空でエバポレートした。残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液上に注ぎ、そして水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物をジイソプロピルエーテル(100mL)中に懸濁させ、そして沈殿物をろ過により集めて表題化合物を灰色固体として得た(9.22g、85%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 8.06(s,1H), 7.51(s,1H), 7.48−7.35(m,5H), 5.23(s,2H),4.45 (t、J=5.3 Hz,2H), 3.94(s,3H), 3.61 (t、J=5.3 Hz、2H), 3.17(s,3H), 2.60(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 355 (M+H)+
【0206】
工程7: 7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル
7−(ベンジルオキシ)−1 −(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル(9.21g、26.0mmol、工程6)及び10%パラジウムカーボン(500mg)のメタノール(150mL)中混合物を水素ガス(4atm)下で5時間撹拌した。生じた混合物をCeliteのパッドを通してろ過し、ろ液を真空で濃縮した。残留物をジイソプロピルエーテル(150mL)に懸濁させ、そして沈殿物をろ過により集めて表題化合物を灰色固体として得た(6.35g、92%). 1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 10.31 (br.s、1H),7.62(s,1H),7.24(s,1H),4.49 (t、J=4.6 Hz、2H),3.83 (s,3H),3.68 (t、J=5.3 Hz、2H),3.21(s,3H) ppm.MS (ESI) m/z: 266 (M+H)+、264 (M−H)-
【0207】
工程8: 6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル
表題化合物を、7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル(3.00g、工程7)から実施例5の工程3と同じやり方で白色固体として収率42%で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.72(s,1H),4.54 (t、J=5.3 Hz、2H), 4.24(s,2H), 3.88(s,3H), 3.76 (t、J =5.3 Hz、2H), 3.27(s,3H), 2.59(s,3H), 2.38(s,6H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 322 (M+H)+、320 (M−H)-
【0208】
工程9: 7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−6−(3−オキソ−3−フェニルプロピル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル
6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル(2.04g、6.35mmol、工程8)及び1−(1−フェニルビニル)ピロリジン(1.43g、8.25mmol、J. Am. Chem. Soc、1994、116、5985−5986.)のトルエン(80mL)中混合物を100℃で3時間撹拌した。室温まで冷却した後、溶媒を真空で除去した。残留物を、ジクロロメタン(dichoromethane)/メタノール (30:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を褐色非晶質物質として得た(2.08g、82%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 9.72(s,1H),8.03(d,J=7.2 Hz、2H),7.95(s,1H),7.59 (t、J=7.9 Hz、1H),7.46 (t、J=7.9 Hz、2H),4.61 (t、J=5.3 Hz、2H),3.92(s,3H),3.83−3.73(m,4H),3.41 (t、J=5.3 Hz、2H), 3.29(s,3H), 2.60(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 397 (M+H)+、395 (M−H)-
【0209】
工程10: 7−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル
7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−6−(3−オキソ−3−フェニルプロピル)−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル(2.08g、5.25mmol、工程9)のエタノール(50mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(298mg、7.87mmol)を室温で加えた。同じ温度で4時間撹拌した後、溶媒をエバポレートし、そして残留物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液上に注ぎ、そして水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を褐色非晶質物質(2.08g、99%)として得た。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 8.56 (br、1H),7.88 (br.s、1H),7.35−7.25(m,5H), 4.66 (dd、J=3.3及び11.2Hz、1H), 4.63−4.45(m,2H), 3.85(s,3H), 3.80−3.71(m,2H), 3.31(s,3H), 3.40−3.20(m,2H), 2.58(s,3H), 2.40−2.24(m,1H), 2.17−2.02(m,1H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 399(M+H)+、397(M−H)-
【0210】
工程11: 1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸メチル
7−ヒドロキシ−6−(3−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル(2.00g、5.01mmol、工程10)の85%リン酸(40mL)中懸濁液を80℃で20分間撹拌した。室温まで冷却した後、この混合物を氷−水(300mL)上に注ぎ、そして溶液を10N水酸化ナトリウム水溶液により中和した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/メタノール (酢酸エチルのみから20:1のグラジエント溶出)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を淡褐色固体として得た(1.47g、77%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.96(s,1H),7.46−7.35(m,5H),5.14 (dd、J=2.0 and 10.6 Hz、1H),4.50−4.39(m、2H), 3.90(s,3H), 3.65−3.58(m,2H), 3.39−3.31(m,2H),3.17(s,3H), 2.59(s,3H), 2.39−2.28(m,1H), 2.20−2.04(m,1H) ppm.
MS (ESI) m/z: 381 (M+H)+
【0211】
工程12: 1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸
1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸メチル(1.37g、3.61mmol、工程11)、2mol/L 水酸化ナトリウム水溶液(3.60mL、7.21mmol)、及びエタノール(20mL)の混合物を80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、2mol/L 塩酸(3.60mL、7.21mmol)を加え、そして形成した沈殿物をろ過により集めて表題化合物を白色固体として得た(1.28g、96%)。
1H NMR (DMSO−d6、300 MHz) δ: 12.52(s,1H), 7.69(s,1H), 7.52−7.32(m,5H), 5.24(d,J=8.8 Hz、1H), 4.45−4.38(m,2H), 3.62−3.55(m,2H), 3.26−3.18(m,2H), 3.13(s,3H), 2.34−2.22(m,1H),2.09−1.92(m,1H) ppm.
MS (ESI) m/z: 367 (M+H)+、365 (M−H)-
【0212】
工程13: 1−(2−メトキシエチル)−N,N.2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸(200mg、0.55mmol、工程12)、トリエチルアミン(0.30mL、2.18mmol)、及びO−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(228mg、0.60mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、ジメチルアミン塩酸塩(49mg、0.60mmol)を0℃で加えた。室温で12時間撹拌した後、この混合物を水上に注ぎ、そして水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール (20:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色非晶質物質として得た(215mg、定量的)。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.45−7.35(m,5H),7.14(s,1H),5.16 (dd、J=2.2 and 10.3 Hz、1H),4.52−4.35(m、2H), 3.69−3.58(m,2H), 3.18(s,3H),3.15(s,3H), 3.2−2.7(m,2H), 2.90(s,3H), 2.58(s,3H), 2.40−2.10(m ,2H) ppm.
MS (ESI) m/z: 394 (M+H)+
【0213】
実施例2
(+)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド及び
実施例3
(−)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
フラクション−1(68mg)及びフラクション−2(68mg)を、ラセミ1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (200mg、実施例1の工程13)からHPLCにより以下のように製造した。
単離条件
カラム: CHIRALPAK AD−H (20mm×250mm、DAICEL)
移動相: n−ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン(90/10/0.1)
流量: 20mL/分
(+)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(フラクション−1)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D25=+54.3°(c=0.31、メタノール)
保持時間: 33分
(−)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(フラクション−2)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D25=−59.1° (c=0.30、メタノール)
保持時間: 39分
【0214】
実施例4
N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化5】

表題化合物を、1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸 (200mg、0.55mmol、実施例1の工程12)及び2−(メチルアミノ)エタノール (45mg、0.60mmol)から、実施例1の工程13と同じやり方で白色固体として定量的収率で製造した。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.48−7.33(m,5H),7.14(s,1H),5.16(d,J=10.3 Hz、1H), 4.50−4.40(m,2H), 3.98−3.89(m,2H), 3.72−3.60(m,2H), 3.26−3.15(m,2H), 3.2−2.7(m,2H), 3.19(s,3H),2.96(s,3H),2.59(s,3H),2.35−1.80(m,2H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 424 (M+H)+
【0215】
実施例5
8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化6】

【0216】
工程1: 7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸 (520mg、1.53mmol、実施例1の工程5)、ジメチルアミン塩酸塩(374mg、4.58mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(498mg、2.60mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(413mg、3.06mmol)、及びトリエチルアミン(0.64mL、4.58mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中混合物を室温で1日間撹拌した。この混合物を水上に注ぎ、そして水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(10:1)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色固体として得た(524mg、93%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.46−7.33(m,6H),6.94 (br.s、1H),5.20(s,2H),4.44 (t、J=5.3 Hz、2H),3.61(t、J=5.3 Hz、2H),3.17(s,3H),3.09 (br.s、6H),2.59(s,3H) ppm。
MS (ESI) m/z: 368 (M+H)+
【0217】
工程2: 7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(483mg、1.31mmol、工程1)及び10% パラジウムカーボン(50mg)のエタノール(30mL)中混合物を水素ガス下で19時間撹拌した。生じた混合物をCeliteのパッドを通してろ過し、そしてろ液を真空で濃縮して表題化合物を白色固体として得た(347mg、95%)。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 9.57 (br.s、1H),7.14(d,J=1.5 Hz、1H),6.93(d,J=1.5 Hz、1H),4.43 (t、J=5.1 Hz、2H),3.64 (t、J=5.1 Hz、2H),3.20(s,3H),3.15 (br.s、3H),3.05 (br.s、3H),2.53(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 278 (M+H)+
【0218】
工程3: 6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(1.0g、3.6mmol、工程2)及び炭酸カリウム(748mg、5.4mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(36mL)中の撹拌溶液に0℃にてヨウ化N,N−ジメチルメチレンイミニウム(867mg、4.7mmol)を加えた。同じ温度で4時間撹拌した後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でクエンチし、そしてジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、酢酸エチル/メタノール (30:1)で溶出するNH−ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物(855mg、71%)を白色非晶質物質として得た。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 6.97(s,1H),4.51 (t、J=5.3 Hz、2H),3.65−3.82 (br.s、2H),3.75 (t、J=5.3 Hz、2H), 3.27(s,3H), 3.14(s,3H), 2.88(s,3H), 2.58(s,3H), 2.36(s,6H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 335 (M+H)+
【0219】
工程4: 6−[3−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(648mg、1.94mmol、工程3)及び1−[1−(4−フルオロフェニル)ビニル]ピロリジン(556mg、2.91mmol、WO9940091)から、実施例1の工程9と同じやり方で、褐色非晶質物質として86%の収率で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 9.38(s,1H),8.05 (dd、J=8.6、5.3 Hz、2H),7.10 (t、J=8.6 Hz、2H),7.06(s,1H),4.57 (t、J=5.3 Hz、2H),3.79 (t、J=5.3 Hz、2H),3.30(s,3H),3.18(s,3H),2.87(s,3H),2.58(s,3H) ppm. (2×CH2は観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 428 (M+H)+、426 (M−H)-
【0220】
工程5: 6−[3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、6−[3−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド (713mg、1.67mmol、工程4)から実施例1の工程10と同じやり方で褐色非晶質物質として87%の収率で製造した。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.26(m,2H),6.94 (t、J=8.8 Hz、2H), 6.94(s,1H), 4.55−4.42(m,3H), 3.72(br.s、2H), 3.31(s,3H), 3.10(s,3H), 2.79(s,3H), 2.51(s,3H) ppm. (2×CH2、及び2×OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 430 (M+H)+、428 (M−H)-
【0221】
工程6: 8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、6−[3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−7−ヒドロキシ−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(273mg、0.636mmol、工程5)から実施例1の工程11と同じやり方で白色固体として93%の収率で製造した。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.40 (dd、J=8.8、5.1 Hz、2H),7.14(s,1H),7.11 (t、J=8.8 Hz、2H),5.12 (dd、J=10.3、2.2 Hz、1H), 4.48−4.33(m,2H), 3.64−3.57(m,2H), 3.2−2.7(m,2H), 3.19(s,3H),3.15(s,3H),2.90(s、3H),2.57(s,3H),2.29−2.11(m,2H) ppm.
MS (ESI) m/z: 412 (M+H)+
【0222】
実施例6
(+)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド及び
実施例7
(−)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
フラクション−1(73mg)及びフラクション−2(73mg)を、ラセミ8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(183mg、実施例5の工程6)からHPLCにより以下のように製造した。
単離条件
カラム: CHIRALCEL OJ−H (20mm×250mm、DAICEL)
移動相: n−ヘキサン/2−プロパノール/ジエチルアミン (88/12/0.1)
流量: 18.9mL/分
(−)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(フラクション−1)
1H NMR: スペクトルデータは、ラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D24=−44.7° (c=0.31、メタノール)
保持時間: 11分
(+)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (フラクション−2)
1H NMR: スペクトルデータは、ラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D24=+44.0° (c=0.30、メタノール)
保持時間: 18分
【0223】
実施例8
8−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化7】

【0224】
工程1 : 4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモ−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール
N−[2−(ベンジルオキシ)−4−ブロモ−6−ニトロフェニル]アセトアミド (120g、329mmol、実施例1の工程1)及び鉄粉(55.1g、986mmol)の酢酸(500ml)中混合物を、撹拌しながら6時間還流させた。室温まで冷却した後、混合物をCeliteのパッドを通してろ過し、そしてろ液を真空で濃縮した。残留物を酢酸エチル(1.5 L)で希釈した。生じた沈殿物をCeliteのパッドを通してろ過し、そして酢酸エチル(500mL)で洗浄した。ろ液を真空で濃縮し、そして残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈した。ブライン(800mL)を有機混合物に加え、生じた白色沈殿物をろ過により集め、そして水(200mL)及びジエチルエーテル(200mL)で洗浄した。この白色固体をジクロロメタン/メタノール(10:1、1.0 L)に溶解し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして濃縮した。この固体をジエチルエーテル(300mL)を用いてトリチュレーションし、ろ過により集め、そして真空で乾燥して表題化合物を白色固体として得た(54.7g、53%)。
1H NMR (DMSO−d6、270 MHz) δ: 7.63−7.28(m,7H),5.38(s,2H),2.69(s,3H) ppm. (NHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 317 (M+H)+、315 (M−H)-
【0225】
工程2: 4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモ−2−メチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール
4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモ−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール(79.2g、250mmol、工程1)のN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)中懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、12.0g、300mmol)を0℃で加えた。室温で20分間撹拌した後、反応混合物を0℃に冷却した。この混合物に塩化4−メチルベンゼンスルホニル(47.6g、250mmol)を0℃で加え、そして反応混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を水でクエンチし、そして白色沈殿物をろ過により集めてジイソプロピルエーテルで洗浄し、そして真空で70℃にて7時間乾燥し、表題化合物を白色固体として得た(116g、98%)。
1H NMR (DMSOd6、270 MHz) δ: 7.98(d,J=8.1 Hz、2H),7.64(d,J=1.9 Hz、1H), 7.53−7.34(m,7H), 7.22(d、J=1.9 Hz、1H), 5.28(s,2H), 2.74(s,3H), 2.38(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 471 (M+H)+、469 (M−H)-
【0226】
工程3: 4−(ベンジルオキシ)−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド
4−(ベンジルオキシ)−6−ブロモ−2−メチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール(53.0g、112mmol、工程2)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(25.9g、22.4mmol)のジメチルアミンの2mol/L テトラヒドロフラン溶液(580mL)中の混合物を、65℃で一酸化炭素ガス(1atm)下にて32時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、そして酢酸エチルで希釈した。有機混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空で濃縮した。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル (1:2から1:3のグラジエント溶出)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色固体として得た(21.8g、42%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.80(d,J=8.1 Hz、2H), 7.70(s,1H), 7.45(d,J=8.1 Hz、2H), 7.40−7.22 (m,5H),6.86(s,1H),5.32(s,2H),3.11 (br.s、3H),2.89 (br.s、3H),2.81(s,3H),2.40(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 464 (M+H)+
【0227】
工程4: 4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド
4−(ベンジルオキシ)−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド(29.0g、62.6mmol、工程3)及び10% パラジウムカーボン(6.0g)のテトラヒドロフラン(200mL)中混合物を水素ガス(1atm)下にて室温で24時間撹拌した。さらに4.0gの10% パラジウムカーボンを加え、そしてこの混合物を水素ガス(1atm)下にて室温でさらに6時間撹拌した。生じた混合物をCeliteのパッドを通してろ過し、そしてろ液を真空で濃縮し、表題化合物を白色固体として得た(23.0g、98%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.82(d,J=8.1 Hz、2H),7.63(s,1H),7.31(d,J=8.1 Hz、2H),6.92(s,1H),3.14 (br.s、3H),3.01 (br.s、3H),2.79(s,3H),2.40(s,3H) ppm (−OHは観測されなかった)。
MS (ESI) m/z: 374 (M+H)+、372 (M−H)-
【0228】
工程5: 5−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド
4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド(1.00g、2.68mmol、工程4)のジクロロメタン(50mL)溶液に、ヨウ化N,N−ジメチルメチレンイミニウム(545mg、2.95mmol)を室温で加え、そしてこの混合物を4O℃で15時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により反応混合物をクエンチした。混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して表題化合物を黄色非晶質物質として得た(1.04g,90%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.78(d,J=8.6 Hz、2H),7.35(s,1H), 7.32−7.24(m,2H), 3.83−3.56 (br、2H), 3.17(s,3H), 2.87(s,3H), 2.77(s,3H), 2.40(s,3H), 2.36(s,6H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 431 (M+H)+、429 (M−H)-
【0229】
工程6: 5−[3−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド
表題化合物を、褐色固体として収率52%で5−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド(1.15g、工程5)及び1−[1−(4−フルオロフェニル)ビニル]ピロリジン(766mg、WO9940091)から、実施例1の工程9と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 8.02 (dd、J=8.8、5.1 Hz、2H),7.79(d,J=8.1 Hz、2H),7.44(s,1H),7.34−7 24(m,2H),7.08 (dd、J=8.8、8.8 Hz, 2H),3 18 (s、3H),2.87(s,3H),2.76(s,3H),2.39(s,3H) ppm (OH及び2×CH2は観測されなかった)
MS (ESI) m/z 524 (M+H)+、522 (M−H)-
【0230】
工程7: 5−[3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−
カルボキサミド
表題化合物を、褐色固体として収率64%で5−[3−(4−フルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド(300mg、工程6)から、実施例1の工程10と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ 7.82(d,J=86 Hz、2H),7.43(s,1H), 7.35−7.23(m,4H), 6.95 (dd、J=8.9、8.9 Hz、2H), 3.17(s,3H), 2.85(s,3H), 2.76(s,3H), 2.41(s,3H) ppm (CH、2×CH2、及び2×OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z 526 (M+H)+、524 (M−H)-
【0231】
工程8: 8−(4−フルオロフェニル)−N,N,2−トリメチル−3,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、褐色油状物として収率43%で、5−[3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−4−ヒドロキシ−N,N,2−トリメチル−1−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1H−ベンゾイミダゾール−6−カルボキサミド (192mg、工程7)から実施例1の工程11と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ 743 (dd、J=8.6、5.3 Hz、2H),7.40−7.19 (br、3H),3.14(s,3H),2.92−2.84 (br,3H),2.59(s,3H) ppm (CH、2×CH2、及びNHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z 354 (M+H)+、352 (M−H)-
【0232】
工程9: 1−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリルオキシ)プロピル)−8−(4−フルオロフェニル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
8−(4−フルオロフェニル)−N,N,2−トリメチル−3,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(52.0mg、0.147mmol、工程8)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.5ml)溶液に、水素化ナトリウム(7.1mg、0 18mmol)を0℃で加え、そして混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで(3−ブロモプロポキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(484mg、0.191mmol)をこの混合物に0℃で加えた。混合物を室温まで昇温させて4時間撹拌し、そして同じ温度で終夜放置した。飽和塩化アンモニウム水溶液により反応混合物をクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄した。これを硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル (1:1次いで1:4)で溶出する分取TLCにより精製して表題化合物を褐色油状物として得た(35.5mg,46%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ 7.41 (dd、J=8.6、5.3 Hz、2H),7.16−7.06(m,3H),5.11 (dd、J=10.2、2.3 Hz,1H),4.31 (t、J=7.3 Hz、2H),3.41 (t、J=5.3 Hz、2H),3.2−2.7(m,2H),3.15(s,3H),2.90(s,3H),2.57 (s,3H), 2.37−2.02(m,2H), 1.90 (tt、J=6.6、6.6 Hz、2H),0.88(s,9H),−0.01(s,6H) ppm
MS (ESI) m/z 526 (M+H)+
【0233】
工程10 8−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
1−(3−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロピル)−8−(4−フルオロフェニル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド(35mg、0 067mmol、工程9)のテトラヒドロフラン溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウムの1Mテトラヒドロフラン溶液(0.1mL)を加えた。混合物を室温で2.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液により反応混合物をクエンチした。混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール (20:1)で溶出する分取TLCにより精製した。得られた生成物をヘキサン中でトリチュレーションして表題化合物を淡黄色固体として得た(8.6mg、31%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.43 (dd、J=9.2、5.3 Hz、2H),7.16−7.06(m,3H),5.12 (dd、J=10.2、2.3 Hz、1H),4.35 (t、J=6.9 Hz、2H),3.46 (t、J=5.6 Hz、2H), 3.2−2.7(m,2H), 3.15(s,3H), 2.90(s,3H), 2.57(s,3H), 2.37−2.06(m,2H), 2.02−1.88(m,2H) ppm. (OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 412 (M+H)+
【0234】
実施例9
8−(4−フルオロフェニル)−1−(イソオキサゾール−3−イルメチル−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化8】

【0235】
工程1 : 3−(ブロモメチル)イソオキサゾール
イソオキサゾール−3−イルメタノール(100mg、1.01mmol、EP87953)のジクロロメタン(10mL)溶液に、三臭化リン(820mg、3.03mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により反応混合物をクエンチした。混合物をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)と共に真空で濃縮して表題化合物をN,N−ジメチルホルムアミド溶液として得た。
【0236】
工程2: 8−(4−フルオロフェニル)−1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
8−(4−フルオロフェニル)−N,N,2−トリメチル−3,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (50.0mg、0.141mmol、実施例8の工程8)のN,N−ジメチルホルムアミド(1.4mL)溶液に、水素化ナトリウム(6.7mg、0.17mmol)を0℃で加え、そして混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで3−(ブロモメチル)イソオキサゾールのN,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL、工程1)溶液をこの混合物に0℃で加えた。混合物を室温まで昇温させて4時間撹拌し、そして同じ温度で終夜放置した。飽和塩化アンモニウム水溶液により反応混合物をクエンチした。混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ヘキサン/酢酸エチル(1:1、2回)次いでジクロロメタン/メタノール(20:1、2回)で溶出する分取TLCにより精製して表題化合物を淡黄色固体として得た(23.5mg、38%)。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 8.31(d,J=1.5 Hz、2H),7.31 (dd、J=8.8、5.1 Hz、2H),7.17(s,1H),7.06 (dd、J=8.4、8.4 Hz、1H),6.03(d,J=1.5 Hz、1H),5.66(d,J=16.1 Hz、1H),5.57(d,J=16.1 Hz、1H),5.13 (dd、J=10.3、2.2 Hz、1H), 3.2−2.7(m,2H), 3.16(s,3H), 2.91(s,3H), 2.57(s,3H), 2.35−2.02(m,2H) ppm.
MS (ESI) m/z: 435 (M+H)+
【0237】
実施例10
N,N−ジ[2H3]メチル−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化9】

1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸 (200mg、0.55mmol、実施例1の工程12)、N,N−ジ[2H3]メチルアミン塩酸塩(96mg、1.09mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.18mmol)、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(157mg、0.82mmol)、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(125mg、0.82mmol)の1−メチル−2−ピロリジノン(3mL)中の混合物を室温で8時間撹拌した。次いで、混合物を水(30mL)に注ぎ、そして水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空で濃縮した。残留物を、ジクロロメタン/メタノール(20:1)で溶出するNH−ゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して表題化合物を白色非晶質物質として得た(175mg、80%)。1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.44−7.34(m,5H), 7.13(s,1H), 5.15 (dd、J=2.6及び10.6 Hz、1H), 4.50−4.35(m,2H), 3.68−3.56(m,2H), 3.2−2.7(m,2H), 3.18(s,3H),2.57(s,3H), 2.35−2.10(m,2H).
MS (ESI) m/z: 400 (M+H)+
【0238】
実施例11
8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
【化10】

【0239】
工程1: 7−(ベンジルオキシ)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、白色非晶質物質として収率99%で、7−(ベンジルオキシ)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(5.0Og、14.7mmol、実施例1の工程5)及び2−(メチルアミノ)エタノール(1.21g、16.2mmol)から、実施例1の工程13と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.43−7.39(m,6H),6.97 (bs、1H),5.20(s,2H),4.45 (t、J=5.1 Hz、2H), 3.98−3.81(m,2H),3.81−3.75(m,2H),3.61 (t、J=5.1 Hz、2H),3.18(s,3H),3.12(s,3H),2.60(s,3H) ppm.(OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 398 (M+H)+
【0240】
工程2: 7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、黄色油状物として定量的収率で、7−(ベンジルオキシ)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(1.15g、2.89mmol、工程1)から、実施例1の工程7と同じやり方で製造した。
1H NMR (DMSO−d6、270 MHz) δ: 7.50−6.99(m,1H), 6.81(s,1H), 4.61−4.31(m,2H), 4.04−3.37(m,6H),3.27(s,3H), 3.09(s,3H),2.58(s,3H) ppm. (2×OHは観測されなかった)MS (ESI) m/z: 308 (M+H)+
【0241】
工程3: 6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を無色油状物として収率45%で、7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(500mg,1.63mmol、工程2)から、実施例5の工程3と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 6.99(s,1H), 4.61−4.43(m,2H), 4.43−3.54(m,9H), 3.28(s,3H),2.94(s,2H),2.58(s,3H), 2.36(s,6H) ppm. (2×OHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 365 (M+H)+, 363 (M−H)-
【0242】
工程4: 1−[1−(2,4−ジフルオロフェニル)ビニル]ピロリジン
1−(2,4−ジフルオロフェニル)エタノン(10.0g、64.0mmol)及びピロリジン(32.1mL,384mmol)のヘキサン(150mL)溶液に、四塩化チタン(3.86mL、35.2mmol)を0℃で15分かけて滴下した。反応混合物を室温で24時間撹拌し、そしてろ過した。ろ液を真空でエバポレートして淡黄色油状物を得、これを減圧蒸留(0.3mmHg、90−120℃)して表題化合物を淡黄色油状物として得た(4.90g、36%)。
1H NMR (CDCl3、300 MHz) δ: 7.33−7.25(m,1H),6.91−6.76(m,2H), 3.81(s,1H), 3.68(s,1H), 3.11−2.98 (m,4H),1.92−1.78(m,4H) ppm.
【0243】
工程5: 6−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、白色固体として収率40%で6−[(ジメチルアミノ)メチル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド(1.16g、3.19mmol、工程3)及び1−[1−(2,4−ジフルオロフェニル)ビニル]ピロリジン(1.00g、4.78mmol、工程4)から実施例1の工程9と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 9.10 (br s、1H、OH),7.96 (q、J=8.1 Hz、1H),7.07(s,1H),7.02−6.74(m,2H),4.67−4.42(m,2H),4.03−3.80(m,8H),3.31(s,3H),2.92(s,3H),2.59(s,3H) ppm. (CH2及びOHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 476 (M+H)+、474 (M−H)-
【0244】
工程6: 6−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を白色固体として定量的収率で6−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−オキソプロピル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド (617mg、1.30mmol、工程5)から、実施例1の工程10と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 7.67−7.38(m,1H), 7.12(s,1H), 6.95−6.47(m,2H), 4.99−4.70(m,1H),4.70−4.29(m,2H),4.07−3.88(m,2H),4.07−2.80(m,8H),3.42(s,3H),2.92(s,3H), 2.57(s,3H) ppm. (3xOHは観測されなかった)
MS (ESI) m/z: 478 (M+H)+、476 (M−H)-
【0245】
工程7: 8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
表題化合物を、白色固体として収率64%で6−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル]−7−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボキサミド (640mg、0.21mmol、工程6)から、実施例1の工程11と同じやり方で製造した。
1H NMR (CDCl3、270 MHz) δ: 9.72(s,1H),8.03(d,J=7.2 Hz、2H), 7.95(s,1H), 7.59 (t、J=7.9Hz、1H), 7.46 (t、J=7.9 Hz、2H), 4.61 (t、J=5.3 Hz、2H), 3.92(s,3H), 3.83−3.73(m,4H), 3.41 (t、J=5.3 Hz、2H), 3.29(s,3H), 2.60(s,3H) ppm.
MS (ESI) m/z: 460 (M+H)+
【0246】
実施例12
(−)−8−(2,4−ジフルオロフェニル−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド及び
実施例13
(+)−8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
フラクション−1(158mg)及びフラクション−2(148mg)を、ラセミ8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (356mg、実施例11の工程7)から、キラルSFCにより以下のように製造した。
単離条件
装置: Berger MultiGram IITM (Mettler−Toledo)
カラム: DAICEL CHIRALPAK AD−H (20mm×250mm、DAICEL)
カラム温度: 35℃
流出圧: 100 bar
移動相: CO2/0.1% 2−プロパノール中のジエチルアミン(80/20)
流量: 40mL/分
(−)−8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1.6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (フラクション−1)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D21=−22.9° (c=0.21 、メタノール)
保持時間: 10分
(+)−8−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド (フラクション−2)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D21=+24.8° (c=0.23、メタノール)
保持時間: 12分
【0247】
以下の実施例14及び15は、1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボン酸 (実施例1の工程12)及び対応する様々なアミン類から、実施例1の工程13に記載される手順に従って製造した。
【表2】

【0248】
実施例16
(−)−5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール及び
実施例17
(+)−5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール
フラクション−1(86mg)及びフラクション−2(82mg)を、ラセミ5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール(230mg、実施例15)からHPLCにより以下のように調製した。
単離条件
カラム: CHIRALCEL OD−H (20mm×250mm、DAICEL)
移動相: n−ヘキサン/エタノール/ジエチルアミン (85/15/0.1)
流量: 20mL/分
(−)−5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール(フラクション−1)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D21=−23.5° (c=0.21、メタノール)
保持時間: 15.7分
(+)−5−(アゼチジン−1−イルカルボニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7.8−d]イミダゾール(フラクション−2)
1H NMR: スペクトルデータはラセミ化合物のスペクトルデータと同一であった
旋光度: [α]D21=+25.0° (c=0.20、メタノール)
保持時間: 21.7分
【0249】
本出願において引用される、発行された特許、特許出願、及び学術論文を含むがこれらに限定されない全ての刊行物は、それぞれそれらの全体が参照により本明細書に加入される。
【0250】
本発明は上記の開示された実施態様に関して記載されてきたが、当業者は、詳細にわたる特定の実験が本発明の一例に過ぎないということを容易に理解する。種々の改変が本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
R1は、非置換であるか又はヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、ヒドロキシ−置換C3−C7シクロアルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル−置換C3−C7シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ−置換アリール基、ヘテロアリール基及びハロゲン−置換ヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基を示し;
R2は、水素原子又は非置換であるか若しくはヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基を示し;
R3及びR4は独立して、水素原子、又は非置換であるか若しくは重水素、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基及びC3−C7シクロアルキル基からなる群より独立して選択された1〜3個の置換基で置換されたC1−C6アルキル、C3−C7シクロアルキル又はヘテロアリール基を示し;又はR3及びR4は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基、及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された4〜6員の複素環式基を形成し;
Aは、非置換であるか若しくはハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基又はヘテロアリール基を示し;
R5、R7及びR8は独立して、水素原子又はC1−C6アルキル基を示し;
R6は、C1−C6アルキル基を示し;そして
Eは、酸素原子又はNHを示す]
の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
式中、
R1は、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基及びヘテロアリール基からなる群より独立して選択された1〜2個の置換基で置換されたC1−C6アルキル基であり;
R2は、C1−C6アルキル基であり;
R3及びR4は独立して、水素原子又は非置換であるか若しくは重水素、ヒドロキシ基及びC1−C6アルコキシ基からなる群より独立して選択された1〜3個の置換基で置換されたC1−C6アルキルであり;又はR3及びR4は、それらが結合している窒素原子と共に、非置換であるか若しくはヒドロキシ基、オキソ基、C1−C6アルキル基、C1−C6アシル基及びヒドロキシ−C1−C6アルキル基からなる群より選択された1〜2個の置換基で置換された4〜6員の複素環式基を形成し;
Aは、非置換であるか又はハロゲン原子、C1−C6アルキル基、ヒドロキシ−C1−C6アルキル基、C1−C6アルコキシ−置換C1−C6アルキル基、−NR5SO2R6及び−CONR7R8からなる群より独立して選択された1〜5個の置換基で置換されたアリール基であり;
R5、R7及びR8は独立して水素原子又はC1−C6アルキル基であり;そして
R6は、C1−C6アルキル基であり;そして
Eは酸素原子である、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項3】
式中、R1は、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基又はヘテロアリール基で置換されたC1−C6アルキル基であり;
R2はC1−C6アルキル基であり;
R3及びR4は独立して、水素原子、メチル基、−CD3又は2−ヒドロキシエチル基であり;又はR3及びR4は、それらが結合している窒素原子と共に、モルホリノ基を形成し;
Aは、非置換であるか又は1つのハロゲン原子で置換されたアリール基であり;そして
Eは酸素原子である、
請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容しうる塩。
【請求項4】
(−)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
(−)−8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド
8−(4−フルオロフェニル)−1−(3−ヒドロキシプロピル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
8−(4−フルオロフェニル)−1−(イソオキサゾール−3−イルメチル)−N,N,2−トリメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
N,N−ジ[2H3]メチル−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−8−フェニル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[7,8−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
8−(4−フルオロフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−1−(2−メトキシエチル)−N,2−ジメチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[8,7−d]イミダゾール−5−カルボキサミド;
(8−(4−フルオロフェニル)−1−(2−メトキシエチル)−2−メチル−1,6,7,8−テトラヒドロクロメノ[8,7−d]イミダゾール−5−イル)(モルホリノ)メタノン;
より選択された、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩、及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
他の薬理活性剤をさらに含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
アシッドポンプ阻害活性により媒介される状態の治療を必要とするヒトを含む哺乳動物に、治療有効量の請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容しうる塩を投与することを含む、上記状態の治療方法。
【請求項8】
状態が、胃腸疾患、胃食道疾患、胃食道逆流性疾患(GERD)、咽喉頭逆流症、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、NSAID−誘導潰瘍、胃炎、ヘリコバクターピロリの感染、消化不良、機能性消化不良、ゾリンジャー−エリソン症候群、非びらん性胃食道逆流症(NERD)、内臓痛、癌、胸焼け、悪心、食道炎、えん下困難、過流涎、気道障害又はぜん息である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
アシッドポンプ阻害活性により媒介される治療用医薬の製造のための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容しうる塩の使用。
【請求項10】
状態が、胃腸疾患、胃食道疾患、胃食道逆流性疾患(GERD)、咽喉頭逆流症、消化性潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、NSAID−誘導潰瘍、胃炎、ヘリコバクターピロリ感染、消化不
良、機能性消化不良、ゾリンジャー−エリソン症候群、非びらん性胃食道逆流症(NERD)、内臓痛、癌、胸焼け、悪心、食道炎、えん下困難、過流涎、気道障害又はぜん息である、請求項9に記載の使用。

【公表番号】特表2010−504317(P2010−504317A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528807(P2009−528807)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002749
【国際公開番号】WO2008/035195
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(508065961)ラクオリア創薬株式会社 (12)
【Fターム(参考)】