選択的入力信号拒否及び修正
【課題】実施形態は、タッチ及びプッシュ(又はピック)入力の組合せを含む複雑なユーザ入力を受け付けるユーザ入力デバイスに関する。
【解決手段】本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈するのを避けるために、このようなデバイスから受け取った入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号は修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって、或いはユーザインターフェースデバイスを含む又は取り付けられているコンピューティングデバイスによって実施することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実施、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実施することができる。
【解決手段】本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈するのを避けるために、このようなデバイスから受け取った入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号は修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって、或いはユーザインターフェースデバイスを含む又は取り付けられているコンピューティングデバイスによって実施することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実施、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実施することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ユーザ入力デバイスからの信号の処理に関し、更に具体的にはユーザ入力デバイスから受信された信号の特定のタイプを選択的に拒否することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、ボタン又はキー、マウス、トラックボール、ジョイスティック、タッチセンサパネル、タッチ画面、及び同様のものなど、入力デバイスの多くのタイプがコンピューティングシステムにおけるオペレーションを実行するのに利用可能である。特に、タッチパネルは、オペレーションの容易さ及び多機能性、並びに価格が低下しつつあることに起因して益々人気が高まっている。タッチ画面は、タッチ感知式表面を備えたクリアパネルを含むことができる。コンピュータ又は電子デバイスの別のタイプは、タッチパネルによって生成された信号を処理し、ユーザがタッチパネルにどのようにどこに触れているかを判断することができる。
【0003】
マルチタッチパネルは、複数のタッチ事象を同時にタッチパネルで感知できるようにする高性能なタイプのタッチパネルである。マルチタッチパネルは、これにより電子デバイスあらゆる所与の時間にタッチされているパネルの全エリアを検出できるようになるので、より複雑なユーザ対話が可能になる。従って、電子デバイスは、あらゆる所与の時間にパネル上に起こる全てのタッチの位置及び形状を示す「画像」を取得することができる。更に、マルチタッチパネル又はこれに接続されたデバイスは、1つ又はそれ以上のタッチ事象の動き(例えば、パネルの表面に沿って動いている1つ又はそれ以上の指)を経時的に追跡することができる。これは、更に複雑な「タッチジェスチャー」の追跡を可能にすることができる。
【0004】
種々のタイプのマルチタッチパネルを設計することができる。1つのタイプは、パネルをタッチしている指又は別のオブジェクトによって生じた静電容量の変化を感知することに基づくタッチ事象の感知を可能にする。このタイプの例示的なマルチタッチパネルは、2007年1月3日に出願された米国特許出願第11/649,998号、特許公開第20080158172号に記述されており、この内容は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第11/649,998号公報
【特許文献2】米国特許公開第20080158172号公報
【特許文献3】米国特許第6,323,846号公報
【特許文献4】米国特許公開第20080158145号公報
【特許文献5】米国特許公開第2008158185号公報
【特許文献6】米国特許第7,046,230号公報
【特許文献7】米国特許出願第10/643,256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチセンシング(シングル又はマルチタッチに関わらず)は確かに有利であり、特定の状況ではタッチセンシングによってより多くの情報を集めることができる。例えば、ユーザは、意図的でなく、或いは少なくともコンピュータ又はデバイスに動作を伝達することを意図せずに、パネルにタッチするか、或いはパネルに沿ってユーザの指を動かす場合がある。デバイスがユーザによる意図しない動作に応答した場合には、ユーザを混乱させ、或いはユーザから受け取ったコマンド又は他の伝達情報を誤解する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、タッチ及びプッシュ(又はピック)入力の組合せを含む複合ユーザ入力を受け付けるユーザ入力デバイスに関する。これらのデバイスは、多くの既存のユーザ入力デバイスよりも遙かに豊富なユーザ入力を提供する。しかしながら、これは、幾つかの意図しない結果をもたらすことがある。本発明のデバイスは、以前のデバイスによっては検出可能ではなかったユーザ動作を検出できるので、これらのデバイスはまた、ユーザによる機械インターフェース動作であることを意図しなかった幾つかのユーザ動作を検出することができる。
【0008】
従って、本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈するのを避けるために、このようなデバイスから受け取った入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号は修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって、或いはユーザインターフェースデバイスを含む又は取り付けられているコンピューティングデバイスによって実施することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実施、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1つの実施形態による、例示的なラップトップトラックパッドを示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による、例示的なコンピュータマウスを示す図である。
【図3A】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図3B】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図3C】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4A】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4B】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4C】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態による、例示的なスイッチ状態とクロックメモリ変数のグラフを示す図である。
【図6】本発明の1つの実施形態による、例示的な初期速度対修正速度のグラフを示す図である。
【図7】本発明の1つの実施形態を示す例示的なブロック図である。
【図8】本発明の1つの実施形態による、例示的なタッチパッド及びディスプレイを示す概略図である。
【図9】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す斜視図である。
【図10A】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10B】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10C】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10D】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図11】本発明の1つの実施形態による、コンピューティングデバイスに接続された例示的な入力デバイスを示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の1つの実施形態による、例示的な入力デバイスを示す側断面図である。
【図13】図12の例示的な入力デバイスを示す別の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の以下の説明では、実施形態の一部を形成し、本発明を実施できる特定の実施形態を例証として示す添付図面について説明する。他の実施形態を使用することもでき、また、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく構造的な変更を行い得る点を理解されたい。
【0011】
本発明は、一般に、タッチセンシング及び機械的ピックセンシングの組合せを特徴として備える表面を提供するデバイスに関する。タッチセンシングとは、表面に単にタッチする指又は別のオブジェクトのセンシングを意味し、機械的ピックセンシングとは、実際に物理的に表面を動かすか又は変形させるプッシュを記録する表面を意味する。タッチセンシングは、マルチ又はシングルタッチセンシングとすることができる。本発明の実施形態は、多くの場合意図しないユーザ入力から生じることが分かったパターンに当てはまる機械的及びタッチセンシングデータの特定の組合せを検出し、意図しない入力の影響を排除又は軽減するためにデータを修正することができる。
【0012】
本発明の実施形態は、ラップトップのトラックパッド及びコンピュータマウスの観点から本明細書で説明し例証することが多いが、本発明の実施形態はこれに制限されず、タッチセンシングと機械的ピックセンシングを組み合わせたあらゆる入力デバイスにも更に適用可能である点を理解されたい。更に、本明細書ではマルチタッチセンシングを行うデバイスに関連した実施形態を説明し例証することが多いが、特定の実施形態では、シングルタッチセンシングのみを行うデバイスを含むこともできる。
【0013】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による例示的なユーザ入力デバイスを示す。このデバイスは、上面101を含むことができる。上面は、マルチタッチ又はシングルタッチ対応の表面とすることができる。上面は、ヒンジ103を介してベース102に接続することができる。ヒンジ103は、上面101及びベース102の先端にあるように図1の実施例では示されているが、他の実施形態では、上面及びベースの中心により近付けてヒンジを配置し、「ロッカースイッチ」動作を提供できる枢動ポイントを作成することができる。ヒンジは、バネ付勢することができ、或いは、別のバネ又は類似のメカニズムを使用して、ベースから上面を弾性的に分離させることができる。
【0014】
上面は、下向き方向に男性的に移動可能とすることができる。スイッチ104は、ベース上に配置され、上面が押下されたときに起動することができる。スイッチは、マイクロスイッチ、或いは作動可能な他のデバイスとすることができる。ヒンジは、ユーザが圧力を加えて表面を下方にプッシュするのを止めた後に上面が当初の位置に確実に戻るようにすることができる。
【0015】
ユーザは、スイッチを起動するために必ずしも押下せずに単に表面にタッチすることにより、タッチ表面と対話することができる。ユーザは、例えば2つ又はそれ以上の指を使用して表面の異なる場所をタッチすることによってマルチタッチ信号を提供することができる。ユーザはまた、表面に沿って1つ又はそれ以上の指を動かすことによってジェスチャーを入力することができる。このタイプの入力は、タッチ入力と呼ばれる。加えて、ユーザは、表面を下方にプッシュしてマイクロスイッチを起動することができる。これは、ピックと呼ばれるユーザ入力の別のタイプとして使用することができる。更に、ユーザは、2つのタイプの入力を組み合わせることができる。例えば、ユーザが上面を下方にプッシュする場合、ユーザは、表面上、恐らくは表面上の特別なロケーションで指の特定の構成を配置しながら下方にプッシュすることができ、この特定の構成及びロケーションは、ユーザインターフェースにおける特定の意味を有することができる。ユーザはまた、上面を下方にプッシュしながらジェスチャーを加えることができ、これらのジェスチャーも同様に、ユーザインターフェース内で特定の意味を有することができる。この意味は、上面が下方にプッシュされていないときの同様のジェスチャーを行うことにより生じる意味と同じものであるか、又は異なるものとすることができる。
【0016】
デバイス100は、種々の他のデバイスのユーザインターフェースデバイスとして含めることができる。例えば、該デバイスは、ラップトップコンピュータ110のトラックパッドとして含めことができる。更に、デバイス100は、パーソナルコンピュータ又は同様のものに接続された独立型キーボード用のトラックパッド、独立型トラックパッド、玩具又は独立型ゲームコンソール用のトラックパッド、自動販売機用のトラックパッド、ATM機械、又は別のタイプの電子キオスクなど、他の電子デバイスに含めることができる。
【0017】
図2は、タッチ及びピックセンシングの組合せを含む別の例示的なデバイスを示す。デバイス200は、コンピュータマウス、独立型トラックパッド又は他の入力デバイス、或いは同様のものとすることができる。デバイス200は、マルチタッチ表面とすることができる上面201を含むことができる。ベース202は、1つ又はそれ以上のスプリング要素203を介して上面に取り付けることができる。ガイド(図示せず)を用いて、ベース上の所定位置に上面を保持することができる。スイッチ204は、ベース上に配置することができ、上面が下方にプッシュされたときに上面により押下される。デバイス200はまた、デバイスの動きを追跡する位置追跡モジュール205を含むことができる。位置追跡モジュール205は、例えばボール又はレーザー追跡システムを含む従来のものとすることができる。
【0018】
上述のトラックパッドと同様に、ユーザは、デバイスの表面に単にタッチすることによって(押下せずに)、又は表面を押下してスイッチ203を起動することによって、或いはこの両方によってデバイス200に取り付けられたデバイスにコマンド又は情報を伝えることができる。マルチタッチ入力を加える場合、ユーザは、上面の異なる部分を同時にタッチすることによってマルチタッチの組合せを作成し、及び/又は表面に沿って1つ又はそれ以上の指及び/又は他のオブジェクトを動かすことによってジェスチャーを作成することができる。
【0019】
マウスの実施形態は、コンピュータシステム210のような種々の既存のコンピュータシステムと共に、或いはコンピュータマウスを有用なユーザ入力デバイスと考えることができる他の何らかのアプリケーションにおいて使用することができる。
【0020】
入力デバイスの他のタイプは、上述のように同じ表面上でユーザがタッチ及びピック入力を提供できるようにすることによって、マルチタッチ及びピックタイプのインターフェースを組み合わせることができる。これらのデバイスの一部は、ピック入力におけるより多くの種類を可能にする1つよりも多いスイッチを備えることを特徴とする。
【0021】
デバイスの上記のタイプは、多くの既存のユーザ入力デバイスよりも豊富なユーザ入力を提供する。しかしながら、これは、幾つかの意図しない結果をもたらす可能性がある。本発明のデバイスは、以前のデバイスによっては検出可能ではなかったユーザ動作を検出できるので、これらのデバイスはまた、機械インターフェース動作であるとユーザによって意図されなかった特定のユーザ動作を検出することができる。例えば、ユーザは、タイプの間に従来のラップトップトラックパッド上にユーザの手掌を置いたままにすることが多く、これによりラップトップに対してどのようなコマンドも生じさせることはない。しかしながら、あるバージョンのトラックパッド100は、ユーザの手掌を載せた結果として押下され、ピックを登録する可能性がある。
【0022】
従って、本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈しないように、デバイス100及び200から受け取られた入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号を修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって(例えば、マウス200によって)、或いはユーザインターフェースデバイス(例えば、ラップトップ110又はコンピュータ210)を含むか又はこれに取り付けられているコンピューティングデバイスによって実行することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実行し、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実行することができる。これは、図7に関して以下で更に詳細に説明する。
【0023】
幾つかの実施形態では、特定のタイプのタッチ入力が存在している場合には、ピック入力は拒否される。ユーザが偶発的に上面をプッシュする場合があるので、この拒否を行うことができ、多くの場合、ユーザが上面をプッシュする方法により、ピックが意図的であるか否かを示すことができる。
【0024】
図3及び図4は、複数のタッチパネルとその上の可能なタッチ組合せとを示す。従って、これらの図は、タッチパネルの現在の状態を示している。タッチは、各図にはタッチされたエリアによって示される。本発明の実施形態は、特定のタッチパターンをこれらが通常引き起こされる方法によって認識するよう構成することができる。例えば、小さな円又は楕円は、指又は指先として認識され、より大きな楕円は親指として認識され、短径がある閾値(例えば11mm)を超える更に大きな楕円は、手掌として認識することができる。指又は手の他の部分の認識は、米国特許第6,323,846号に更に詳細に説明されており、当該特許は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。この主題はまた、2007年1月3に出願された「MULTI−TOUCH DISCRIMINATION(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国特許公開第20080158145号を有する米国特許出願第11/619,464号、及び2007年5月31に出願された「MULTI−TOUCH DISCRIMINATION(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国特許公開第2008158185号を有する米国特許出願第11/756,211号によって詳細によって詳細に説明されている。これら2つの特許出願は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0025】
図3A−Cを参照すると、図3Aのパネル300は、パネル上の3つの指先のタッチにより生じることができるパターンを示す。このようなタッチが感知されると同時にピックが感知される場合には、本発明の実施形態によりピックを認識する(すなわち拒否しない)ことが可能になる。このパターンは通常、ユーザが意図的にユーザの指で表面をプッシュしていることを示すので、ピックを許容することができる。ピックは、異なる数の指タッチが存在する、及び/又は指タッチが異なる様式で配置されている他の類似の状態で許容することができる。実施形態によっては、予め定められた数の指(例えば8つ)よりも多く現われた場合には、ピックを無視することができる。多数の指は、ユーザがトラックパッド上に手を載せていることを示す可能性がある。
【0026】
図3Bのパネル301のパターンは、パネルの下部分に現われている親指タッチ303の一部を示す。このタッチが現われている間に起こるピック事象は、これが通常は意図的なピックを示すので許容することができる。実際に、親指タッチ又はその一部として認識され且つパネルの端部近傍に現われる全てのタッチは、これらのタッチが許容されている間に発生するピック事象を引き起こすことができる。幾つかの実施形態では、パネルの端部近傍に現われる全ての指タッチ又はその一部は、親指として認識されるかどうかに関わらず、同時ピック事象を許容させるようにすることができる。
【0027】
図3Cのパネル302は、手掌のタッチとして識別することができる2つのパターン(304及び305)を示す。これらのパターンの1つ又は両方(或いはこれに類似したパターン)がこれらの位置又は類似の位置(すなわち、パネルの側部近傍及び側部に相対的に平行)に現われたときにピックが登録される場合、該ピックは拒否又は無視される。このピック拒否は、このパターンは、ユーザが単にトラックパッド上に手を載せており、ピックを起こす意志がないことを示す傾向があることに基づいている。ピックは、パターン304及び305の一部のみがパネルの側部に現われる場合、これらの部分がそのように認識される限り、同様に拒否することができる。
【0028】
図4Aのパネル400は、手掌パターン401及び親指パターン402の一部を示す。パネル400のパターンはまた、ユーザがトラックパッド上に手を載せていることを示すことができるので、同時に感知されたあらゆるピックを拒否するようにすることができる。パネル400のパターンは、パターン402が親指タッチとして認識されない場合でもピックを拒否するようにすることができる。一般に、手掌タッチ(パターン401など)、或いはパネルの上部分のいずれかの指タッチと併せて手掌タッチの一部が検出された場合、同時に検出されたピックは無視することができる。パネルの上部分は、例えばパネルの上部1/5として定められる(図4Aでは線403によって定められる)。パネル400の鏡像はまた、ピック拒否をもたらすことができる。
【0029】
図4Bのパネル404は、側部近傍の手掌タッチ405と併せて指タッチ406を示している。パターン404では、指タッチはパネルの上部分にはない。このパターンは、指タッチ406が意図的なプッシュを示すので、ピックの登録を許容する結果となることができる。ピックはまた、手掌タッチ405が部分的な手掌タッチである場合に許容することができる。パターン404を鏡像にしたパターンは、ピックを許容する結果とすることができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、手掌タッチ305などの手掌タッチが現われ、検出されたピックを無視するようにし、その後、マルチタッチ表面が下方にプッシュされている間に指406などの指が現われた場合、ピックは、連続して無視することができる。更に、パターン402のような指タッチが最初に現われ、検出されたピックが登録されるようにし、更にマルチタッチ表面が下方に押されている間に手掌タッチ401などの手掌タッチが現われた場合、ピックを連続して登録することができる。より広義には、幾つかの実施形態では、ピックを登録するか又は無視するかの判断を生じるパターン中にピックが起こり、更にピックが起こっている間に引き続きパターンが変化した場合には、その後のパターンが異なる判断を生じることになる場合でも、依然として最初の判断により制御することができる。
【0031】
幾つかの実施形態によって、ユーザは、1つ又はそれ以上の指をパネルに沿って動かすことによってタッチジェスチャーを入力することを可能にすることができる。幾つかの実施形態では、予め定められたマルチタッチジェスチャーが進行中であることが検出され、マルチタッチジェスチャーの進行中にピックが検出された場合、ピックを無視することができる。これは、ユーザがジェスチャーを実行しようとしている間にパネルを偶発的に押してしまう可能性がある理由から、実施することができる。
【0032】
他の実施形態では、ジェスチャー及びピックを同時に検出することが可能となり、場合によっては、このような事象において異なる動作を提供することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ユーザは、「オブジェクトをピックアップする」ためにピックを実施し、更にピックが実施されている(すなわち、パネルが下方にプッシュされている)間に、オブジェクトを動かすジェスチャーを実施することによって、デスクトップ周りでオブジェクトを動かすことを可能にすることができる。
【0033】
ジェスチャーを処理するときに、最低経路の概念を定義することができる。幾つかの実施形態では、最低経路は、単にパネル上で最も低いタッチとして選択することができる(すなわち、最低y座標を有する)。他の実施形態では、最低経路は、相対的に低く且つ相対的に固定であるタッチとして選択することができる。後者の実施形態の1つの実施例では、最低経路は、各タッチの高さ及び移動速度に基づいて選択することができる。所与の時間にパネル上に複数のタッチが存在する場合、以下のパラメータを各タッチに対して測定することができ、すなわち、タッチの高さy及びタッチが予め定められた時間期間の間移動した距離d。(予め定められた時間期間は、0.1秒などの比較的短い期間とすることができる。)最低経路は、(d+y)が最小であるタッチとすることができる。他の実施形態では、式(ad+by)を用いることができ、ここでa及びbは予め定められた定数である。最低経路は通常、親指であるが、別の指又はオブジェクトであってもよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、タッチ事象も同様に無視される場合がある。1つのこのような実施例は、図4Cのパネル407に示されている。このパネルによって示される実施形態では、親指レストゾーンが、パネル下線408の下側部分に定めることができる。親指レストゾーンは、例えば1cmの厚みとすることができる。最低経路(例えば最低経路409など)が親指レストゾーンに現われた場合、受け取られたあらゆるピックを登録することができるが、最低経路のタッチ入力は拒否又は無視することができる。これは、ユーザが指を載せる又はピックを実施するためだけにパネルにタッチしている場合があり、どのようなタッチ入力を実施する意志がないために発生する可能性がある。種々のレストゾーンにおけるタッチを無視することは、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号106842017800を有し本発明と同時出願の名称「SELECTIVE REJECTION OF TOUCH CONTACTS IN AN EDGE REGION OF A TOUCH SURFACE(タッチ表面の端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否)」の米国特許出願において更に詳細に説明されている。最低経路が移動し親指レストゾーンを離れた場合、そのタッチ入力を可能にすることができる。しかしながら、パネル上で検出された別の指タッチ(指タッチ410など)が存在し、その他の指タッチが、指タッチ410が現われた時間から最低経路409が親指レストゾーンを離れた時間までに予め定められた距離(例えば、1cm)よりも大きく移動した場合には、最低経路409は、移動した場所に関係なく恒久的に無視することができる(すなわち、ユーザが指を持ち上げるまで無視される)。これは、ユーザが指でジェスチャーを実施すること(すなわち、タッチ410)に集中し、意図的でなく親指(すなわち最低経路409)をレストゾーンから持ち上げることができる理由から実施することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、別の指がタッチする前の少なくとも予め定められた時間期間に最低経路が移動している場合、最低経路は、他の指のタッチの後に無視される。予め定められた時間は、例えば1/4秒とすることができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、現在検出されている1つより多い指タッチが存在するときに検出されたピックが存在する場合、最低経路は、現在のタッチから選択され、ピックが進行中である間(すなわちユーザがパネルを下にプッシュしている間)は無視される。これらの実施形態では、ピックが検出されたときに1つだけのタッチが検出されている場合には、このタッチは無視される点に留意されたい。
【0037】
最低経路が上記のシナリオの下で拒否された場合、メモリフラグは、最低経路を唯一の残りのタッチとしたまま完全に表面から持ち上げられるまで、又は全ての他のタッチが表面から持ち上がるまで、或いはピックが解放されて最低経路が親指経路として識別されなくなるまで、最低経路が拒否され続けるように設定することができる。
【0038】
経路又はタッチは、タッチパターンの外形品質を調べて、パターンが親指タッチから生じたものであるかどうかを判断することによって、親指経路として識別することができる。例えば、親指タッチは、通常の指タッチよりも大きくかつ楕円形にすることができる。上述のケースでは、最低経路が親指経路として識別され且つ唯一ではない場合、ピックが解放された後に継続して拒否されることになる。上述の最低経路動作は、上記の図4Cと共に説明された親指レストゾーン動作とは区別され、これに依存する必要はないものとすることができる。
【0039】
幾つかの状況では、ユーザがパネルを下方にプッシュした(すなわち、ピックを実行した)とき及びユーザがパネルをその当初の状態に戻すことができるときには、ユーザの指がパネルの表面を意図的でなくスライドする可能性がある点を理解されたい。これは、図2のマウス用のパネルなどの曲線パネルについて特に当てはまるが、図1に示されたものなどのフラットパネルに対しても起こる可能性がある。
【0040】
図5のグラフ500は、ピックの実行中の機械的スイッチのスイッチ状態を示す。スイッチ状態0は、上面がスイッチに対し下方にプッシュされていないことを示すことができる。スイッチ状態1は、上面が下方にプッシュされているか、或いはピックが実施されていることを示すことができる。時間501で、ユーザは上面を下方にプッシュし、状態を0から1に変化させる。ユーザは、ポイント502まで上面を下に押し続ける。ポイント502で、ユーザは上面を解放し、当初の位置に復帰させるか、或いは0に戻す。
【0041】
ユーザは、解放したときに上面から指を外す必要はない。ユーザは、単に表面から圧力を取り除き、指を表面にタッチさせたままにすることによって表面を解放することができる。ユーザは、所望のタッチ入力又はジェスチャーを実施又は引き続き実施するために、表面から指を取り除くことなく表面を解放したいと望む場合がある。しかしながら、上述のように、ユーザは、最初に押し下げたとき及び上面を解放したときに、マルチタッチパネルに沿って意図的でなく指を動かす可能性がある。これは、ユーザの指と表面との間の圧力の変化の結果として起こることができる。これは、ユーザが実施しようとするタッチ入力又はジェスチャーを妨げる可能性がある。更に、ユーザがタッチパネルの表面に沿って既に指を動かしている場合、タッチパネルのプッシュ又は解放動作は、移動速度の意図しない変化を生じることがある。従って、本発明の実施形態は、検出されたタッチ入力を修正することによってこの意図しない指の動きの影響を取り除くことを可能にする。
【0042】
この修正は、クリックメモリ変数、又はCMVと呼ばれる内部変数に基づいて実施することができる。図5のグラフ503は、ある時間期間にわたる幾つかの実施形態によるCMVの状態を示す。クリックメモリ変数は、1と0の間の値を有することができる。これは、スイッチ状態の変化が起こる度に1にリセットすることができる。このCMVは、ポイント501及び502において1に設定することができる。非ゼロ値になると、CMVは、0に達するまで経時的に指数関数的に減衰することができる。これは、例えば以下の計算を周期的に行うことによって達成することができる。
【0043】
〔式1〕
【0044】
種々の実施形態では、計算の係数(0.9)及び期間は変えることができる。電子計算に固有の丸めに起因して、式1は、スイッチ状態の新しい変化がCMVを1にリセットするまで、スイッチ状態の変化後のある時間に0までのCMV減衰を生じることになる。
【0045】
別々の幾何学的オブジェクトを形成する各タッチパターンは、タッチオブジェクトとみなすことができる。従って、例えばパネル300に関して、指タッチパターン306−308は、別々のタッチオブジェクトと考えることができる。パネル302の手掌タッチパターン304及び305はまた、別々のタッチオブジェクトと考えることができる。パネル上の各タッチオブジェクトの速度を計算することができる。幾つかの実施形態では、CMVの値が0以外であるときにのみこの速度計算を実施する必要がある。タッチオブジェクトの速度は、以下の式に従って変えることができる。
【0046】
〔式2〕
【0047】
ここで、VINは初期速度又は感知速度、VRは結果として生じる速度又は修正速度、Kは予め定められた定数である。適切な定数Kは実験によって選定することができる。
【0048】
式0の結果が図6に示されている。図6は、CMVの予め定められた値に対する初期速度に関係付けられる修正速度のグラフである。図から分かるように、修正速度は、一般に、K・CMVで定義される不感帯範囲601を除いて初期速度に比例する。従って、速度修正は、不感帯フィルタリングに類似している。不感帯は、種々のタッチオブジェクトの感知された初期速度が、ユーザによる意図しない上面のプッシュ又は解放の結果に完全に起因する可能性が高い速度範囲を表している。
【0049】
従って、本発明の実施形態は、より速いタッチオブジェクトの速度をCMVの値に基づいて減速できると同時に、より遅いタッチオブジェクトは中止することができる(すなわち、その速度を0に等しくすることができる)ことを提供する。
【0050】
図6のグラフは、一瞬間のみの速度の関係を示すことができる。時間が経つにつれて、CMVの値は変化し、図6の関係が変化することができる。更に具体的には、新しいパネルプッシュ又は解放事象がないとすると、CMVの値は減衰することができ、その結果、不感帯の減少を生じる可能性がある。従って、タッチオブジェクト速度の修正は、CMVの値が減少するにつれて、或いは最後のプッシュ又は解放事象から時間が経過するにつれて減少することになる。最終的には、CMVは0になることができ、このポイントで速度の修正が行われない。これは、上面の意図しないプッシュ又は解放のあらゆる影響も時間の経過につれて減少し、最終的には消失するという事実を反映することができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、式2は、各オブジェクトの速度の垂直及び水平(x及びy)成分に対して計算することができる。従って、VR,x及びVR,yは、VIN,x及びVIN,yそれぞれに基づいて計算することができる。幾つかの実施形態では、タッチオブジェクトの修正速度は、より高レベルのモジュールに送ることができる。代替的に、或いはこれに加えて、修正速度を用いて、後で種々のタッチオブジェクトの修正位置を求めることができ、これらの修正位置をより高レベルのモジュールに送ることができる。
【0052】
上記の速度修正は、フラットでない上面を備えた入力デバイスに対して特に有用であるので、図2の入力デバイス及び/又は類似のデバイスに対して実施することができる。しかしながら、ラップトップトラックパッドなどのフラットな上面を備えたデバイスに対しても同様に実施することも可能である。
【0053】
上述の種々の入力信号拒否及び修正方法は、相互に排他的でない場合には組み合わせることができる。従って、いずれのデバイスも、上述の方法の1つ又はそれ以上の組合せを特徴として備えることができる。
【0054】
図7は、本発明の実施形態のモジュラー表現を示すブロック図である。図7は、図1のラップトップ、図2のコンピュータ、その他のような種々の実施形態を表すことができる。ブロック700はユーザ入力デバイスを表す。これは、上述のタッチ(又はマルチタッチ)及び機械的ピック入力の組合せデバイスとすることができる。ユーザ入力デバイスは、図1のトラックパッド、図2のマウス、又はタッチセンシングと機械的ピックセンシングとを組み合わせる別のデバイスとすることができる。ブロック701は拒否及び修正モジュールである。このモジュールは、ユーザ入力デバイスからのユーザ入力データを受け入れ、上述のようにこれを修正し及び/又はデータの種々のセットを拒否し、更に修正されたデータをより高レベルのモジュール702−705に送ることができる。
【0055】
拒否及び修正モジュールは、特定用途向けハードウェアに実装することができる。或いは、プログラム可能プロセッサ上で実行されるソフトウェアとして実装することができる。後者の代替形態では、拒否及び修正モジュールは、プロセッサ、メモリ、及びプロセッサによって読み取られ実行されるメモリ内に記憶されたソフトウェアを含むことができる。拒否及び修正モジュールは、必ずしもユーザ入力デバイスに直接接続される必要はない。その代わりに、ブロック700と701間に1つ又はそれ以上の介在モジュールを存在させることができる。これらは、入力デバイスの入力データのデジタル化、正規化及び/又は圧縮のためのモジュール、他のタイプの入力データのエラー訂正を実行するモジュール、或いは、未加工の画素ベース入力タッチデータをタッチされていた特定の領域を定める別個のタッチオブジェクトに編成するセグメンテーションモジュールのような、他の観点から入力データを処理するモジュールを含むことができる。拒否は修正の一種と考えることができるので、拒否及び修正モジュールは、修正モジュールと呼ぶことができる。
【0056】
拒否及び修正モジュールによって作成された修正入力データは、より高レベルのモジュールによって使用することができる。例えば、より高レベルのモジュールは、入力データの更なる処理及び修正を実施することができる。或いは、より高レベルのモジュールは、ユーザ対話を行うために実際に入力データを使用することができる。従って、幾つかのより高レベルのモジュールは、ウェブブラウザ、電子メールクライアント、その他のようなアプリケーションとすることができる。より高レベルのモジュールはまた、プログラム可能プロセッサ上で実行されるソフトウェアとして、又は特定用途向けハードウェアとして実装することができる。ソフトウェアとして実装される場合、より高レベルのモジュールは、拒否及び修正モジュールと同じメモリ内に格納されるソフトウェア、或いは別々に記憶されるソフトウェアを含むことができる。更に、より高レベルのモジュールは、拒否及び修正モジュールと同じか又は異なるプロセッサにて実行することができる。上述のデバイスは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は別のタイプのデバイスであるかに関わらず、意図しないユーザ入力の防止にユーザを集中させる必要なく豊富なユーザ入力インターフェースを提供することによって、より良好でより直感的なユーザ対話を特徴として備えることができる。
【0057】
上述された幾つかの実施形態は、ほとんどが矩形パネルに関して説明されているが、これらの実施形態はまた、非矩形又は曲線状のパネルの関連においても使用することができる。曲線パネルを有する実施形態は、パネル上で感知されるタッチデータの「フラット」又は二次元表示を備えることを特徴とし、従って、図3及び4で説明されるパネルに関係付けることができる。
【0058】
本発明の実施形態に従って使用できる種々のユーザ入力デバイスは、図1及び2に関して上記で既に説明した。以下の本文及び図8−13は、ユーザ入力デバイスのこれらのタイプの幾つかの付加的な詳細説明を提供するものである。本発明は、以下で説明されるユーザ入力デバイスに限定されない。
【0059】
図8を参照し、タッチ感知式トラックパッド10を詳細に説明する。トラックパッドは、一般に、保護/化粧シールド12及び保護シールド12下に配置された複数の電極14を含む小さな(多くの場合は矩形の)エリアである。電極14は、回路基板、例えばプリント回路基板(PCB)上に配置することができる。説明を簡単にするために、電極14が見えるように保護シールド12の一部が除去されている。異なる電極14又はこれらの組合せは、異なるx、y位置を表すことができる。1つの構成では、指16(或いは、図示されていないがスタイラス)が電極グリッド14に近付くにつて、指は、指に近接する1つ又はそれ以上の電極との間に静電容量を形成することができ、或いは1つ又はそれ以上のこうした電極間の既存の静電容量を変化させることができる。回路基板/感知電極(図示せず)は、このような静電容量の変化を測定し、ディスプレイ画面22を有するホストデバイス20(例えば、コンピューティングデバイス)に送られる入力信号18を生成する。入力信号18は、ディスプレイ画面22上のカーソル24の動きを制御するのに使用される。図示のように、入力ポインタは、検出されたx、yの指の動きと同じx、y方向に動く。図9は、本発明の1つの実施形態による、入力デバイス30の簡略斜視図である。入力デバイス30は、一般に、ディスプレイ画面上で動作を(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して)実施するために、電子デバイス(図示せず)に情報又はデータを送信するよう構成されている。例えば、入力ポインタを動かす、選択を行う、命令を提供する、その他である。入力デバイスは、有線(例えば、ケーブル/コネクタ)又は無線接続(例えば、IR、Bluetooth、その他)を介して電子デバイスと対話することができる。
【0060】
入力デバイス30は、独立型ユニットとすることができ、或いは電子デバイスに統合することができる。独立型ユニットである場合、入力デバイスは通常、その固有の筐体を有する。電子デバイスに統合されている場合、入力デバイスは通常、電子デバイスの筐体を使用する。いずれの場合においても、入力デバイスは、例えば、ネジ、スナップ、固定器具、接着剤、及び同様のものを介して、筐体に構造的に結合することができる。場合によっては、入力デバイスは、例えばドッキングステーションを介して電子デバイスに着脱可能に結合することができる。入力デバイスが結合される電子デバイスは、何らかの消費者関連電子製品に対応することができる。例証として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ又はPDA、音楽プレーヤーなどのメディアプレーヤー、携帯電話などの通信デバイス、キーボードなどの別の入力デバイス、及び同様のもののようなコンピュータに対応することができる。
【0061】
図9に示されるように、入力デバイス30は、フレーム32(又は支持構造体)及びトラックパッド34を含む。フレーム32は、入力デバイスの構成要素を支持するための構造を提供する。また、ハウジングの形態のフレーム32は、入力デバイスの構成要素を囲むか又は収容することができる。トラックパッド34を含む構成要素は、入力デバイス30を動作させるための電子的、光学的及び/又は機械的構成要素に対応することができる。
【0062】
トラックパッド34は、取り付けられる電子デバイスに関連付けられた種々のアプリケーションを制御するための1つ又はそれ以上の制御機能を提供するよう構成された直感的インターフェースを提供する。例証として、タッチ起動制御機能を用いて、オブジェクトを移動させ、又はディスプレイ画面上で動作を実施し、或いは電子デバイスの動作に関連付けられた選択をする又はコマンドを出すことができる。タッチ起動制御機能を実装するために、トラックパッド34は、トラックパッド34の表面全体を(例えば、直線方向、半径方向、角度方向、その他)動く指(又はオブジェクト)から、トラックパッド34上の特定の位置を保持する指から、及び/又はトラックパッド34の特定の位置をタップする指による入力を受け取るよう構成することができる。理解されるように、タッチパッド34は、片手操作を容易にすることができ、すなわち、ユーザに1つ又はそれ以上の指で電子デバイスと対話させることができる。
【0063】
トラックパッド34は、広範囲にわたって変えることができる。例えば、タッチパッド34は、直交座標系に基づく従来のトラックパッドとすることができ、或いはトラックパッド34は、極座標系に基づくタッチパッドとすることができる。極座標に基づくタッチパッドの実施例は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、2002年7月1日に出願された名称「TOUCHPAD FOR HANDHELD DEVICE(ハンドヘルドデバイスのためのタッチパッド)」のZadesky他に付与された米国特許第7,046,230号で見出すことができる。
【0064】
トラックパッド34は、相対又は絶対モードで使用することができる。絶対モードでは、トラックパッド34は、タッチされている場所の絶対座標を記録する。例えば、直交座標系の場合はx、y、或いは極座標系の場合は(r、θ)である。相対モードでは、トラックパッド34は、変化の方向及び/又は距離を記録する。例えば、左/右、上/下、及び同様のものである。ほとんどの場合、トラックパッド34によって生成された信号は、指がトラックパッド34の表面全体を移動したときの指の方向と同じ方向にディスプレイ画面上の動きを向ける。
【0065】
トラックパッド34の形状は、広範囲にわたって変えることができる。例えば、トラックパッド34は、円形、楕円、方形、矩形、三角形、及び同様のものとすることができる。一般に、トラックパッド34の外周は、トラックパッド34の作業境界を定める。図示の実施形態では、トラックパッドは矩形である。矩形のトラックパッドは、ラップトップコンピュータでは一般的である。円形トラックパッドによって、ユーザは、連続して自由に指を旋回させることが可能になり、すなわち、中断することなく指を360度回転させることができる。更に、ユーザは、全ての側部から接線方向に指を回転させることができ、従って、より大きな範囲の指位置を与えることになる。これらの特徴の両方は、スクローリング機能を実施するときの助けとなり、円形トラックパッドをポータブルメディアプレーヤー(例えば、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPodメディアプレーヤー)で使用するのに有利となる。更に、トラックパッド34のサイズは、一般に、ユーザによる操作をし易くすることができるサイズ(例えば、指先のサイズ又はそれよりも大きい)に対応する。
【0066】
一般に堅固な平面のプラットフォームの形態を取るトラックパッド34は、トラックパッドの操作のための、指(又はオブジェクト)を受けるためのタッチ可能外側トラック表面36を含む。図9に示されていないが、タッチ可能外側トラック表面36の下には、その上の指の圧力及び/又は動きのようなことを感知するセンサ構成がある。センサ構成は通常、複数のセンサを含み、これらは、その上に指が載った、タップした、或いは通過したときに作動するよう構成されている。最も単純なケースでは、指がセンサの上に位置付けられる度に電子信号が生成される。所与の時間フレームにおける信号の数は、トラックパッド34上の指のロケーション、方向、速度、及び加速度を示すことができ、すなわち、信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしていることになる。ほとんどの場合、信号は、信号の数、組合せ、及び頻度をロケーション、方向、速度、及び加速度情報に変換する電子インターフェースによってモニターされる。次いで、この情報は、ディスプレイ画面上の所望の制御機能を実行するために電子デバイスが使用することができる。センサ構成は広範囲にわたって変えることができる。例証として、センサは、抵抗感知、表面弾性波感知、圧力感知(例えば、歪みゲージ)、赤外線感知、光感知、分散信号技術、音響パルス認識、静電容量感知、及び同様のものに基づくことができる。
【0067】
図示の実施形態では、トラックパッド34は静電容量感知に基づいている。一般的に知られるように、静電容量ベースのトラックパッドは、ユーザが指などの物体をトラックパッドの周りで動かしたときの静電容量の変化を検出するよう構成されている。多くの場合、静電容量トラックパッドは、保護シールド、1つ又はそれ以上の電極層、回路基板及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む関連の電子機器を含む。保護シールドは、電極を覆って配置され、該電極は、回路基板の上表面上に実装され、ASICは、回路基板の下表面上に実装される。保護シールドは、下層を保護し、指がスライドできるようにする表面を提供する役割を果たす。表面は、一般に、指が移動時に表面につかえないように滑らかである。保護シールドはまた、指と電極層の間の絶縁層を提供する。電極層は、複数の空間的に別個の電極を含む。どのような好適な数の電極を用いてもよい。ほとんどの場合、より解像度を高めるために電極の数を増やすことが望ましく、すなわち、加速度などの事柄に対してより多くの情報を使用することができる。
【0068】
静電容量感知は、静電容量の原理に従って作動する。理解されるように、2つの導電性部材が実際にタッチすることなく互いに近接するようになるときは必ず、これらの電界が相互作用して静電容量を形成する。上述の構成では、第1の導電性部材が電極の1つ又はそれ以上であり、第2の導電性部材が、例えばユーザの指である。従って、指がタッチパッドに近付いたときに、指と指に近接した電極との間で僅かな静電容量が形成される。電極の各々における静電容量は、回路基板の裏面に位置付けられたASICによって測定される。電極の各々における静電容量の変化を検出することによって、ASICは、指がタッチパッド全体にわたって移動したときの指のロケーション、方向、速度、及び加速度を求めることができる。またASICは、電子デバイスによって使用できる形式でこの情報を記録することができる。
【0069】
1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、信号の別のセット(追跡信号以外)を起動するようにフレーム32に対して移動可能である。例証として、堅固な平面プラットフォームの形態のトラックパッド34は、フレーム32に対して回転、枢動、スライド、並進、屈曲及び/又は同様のことを行うことができる。トラックパッド34は、フレーム32に結合することができ、及び/又はフレーム32によって移動可能に保持することができる。例証として、トラックパッド34は、ネジ、アクセル、ピンジョイント、スライダジョイント、ボールソケットジョイント、屈曲ジョイント、マグネット、クッション、及び/又は同様のものを介してフレーム32に結合することができる。トラックパッド34はまた、フレームのスペース内で浮動させることができる(例えば、ジンバル)。入力デバイス30は、枢動/並進ジョイント、枢動/屈曲ジョイント、枢動/ボールソケット形ジョイント、並進/屈曲ジョイント、及び同様のものなどのジョイントの組合せを付加的に含み、運動の範囲を広げる(例えば、自由度を向上させる)ことができる点に留意されたい。移動時には、タッチパッド34は、1つ又はそれ以上の信号を生成する回路を作動するよう構成される。回路は、一般に、スイッチ、センサ、エンコーダ、及び同様のものなどの1つ又はそれ以上の移動インジケータを含む。ジンバル付きトラックパッドの実施例は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、名称「MOVABLE TOUCH PAD WITH ADDED FUNCTIONALITY(機能が追加された可動タッチパッド)」の2003年8月18日に出願された米国特許出願連番第10/643,256号に見出すことができる。
【0070】
図示の実施形態では、トラックパッド34は、「ピッキング」動作を行う押下可能ボタンの形態を取る。すなわち、トラックパッド34全体の一部分が単一又は複数のボタンのように動作し、その結果、1つ又はそれ以上の付加的なボタン機能が、トラックパッド上のタップ又は別個のボタン/別個のゾーンの使用ではなく、トラックパッド34を押すことによって実現することができる。図10A及び10Bに示されるように、本発明の1つの実施形態によれば、指38、手掌、手、又は他のオブジェクトからの力がトラックパッド34に加えられたときに、トラックパッド34は、直立(又はニュートラル)位置(図10A)と押下(作動)位置(図10B)との間で動くことができる。力は、ボタン信号の偶発的な作動を可能にするほど小さくする必要はないが、過度の圧力を必要とすることによってユーザに不快を感じさせる程大きくすべきではない。トラックパッド34は通常、例えば屈曲ヒンジ、バネ部材、又はマグネットなどを介して、直立位置で付勢される。トラックパッド34は、トラックパッド34を押している物体によって付勢に打ち勝ったときに作動位置に移動する。図10Cに示されるように、トラックパッド34は、作動位置がニュートラル位置に対してわずかに傾斜するように一方端で枢動することができる。指(又は他の物体)がトラックパッド34から取り除かれたときには、付勢部材がニュートラル位置に向かってトラックパッド34を押し戻す。シム又は他の構造体(図示せず)は、トラックパッド34が戻るときにニュートラル位置を行き過ぎるのを防ぐことができる。例えば、フレーム32の一部は、トラックパッド34の一部の上を外側に延びて、トラックパッド34をニュートラル位置に止めておくようにすることができる。このようにして、トラック表面は、必要に応じてフレーム32と同一平面に維持することができる。例えば、ラップトップコンピュータ又はハンドヘルドメディアデバイスでは、トラックパッドをコンピュータ又はデバイスのハウジングと同一平面にすることが望ましいとすることができる。
【0071】
図10Aに示されるように、直立/ニュートラル位置では、ユーザの指などの物体がx、y平面においてタッチパッドの上表面上で移動したときに、トラックパッド34が追跡信号を生成する。図10Aは、直立状態としてニュートラル位置を示しているが、ニュートラル位置は、あらゆる方向で位置付けることができる。図10Bに示されるように、押下位置(z方向)では、トラックパッド34は1つ又はそれ以上のボタン信号を発生する。ボタン信号は、限定ではないが、電子デバイスを動作させることに関連付けられた選択の実施又はコマンドの送出を含む、種々の機能に使用することができる。例証として、音楽プレーヤーの場合、ボタン機能は、メニューを開くこと、曲を再生すること、曲を早送りすること、メニューの中を捜すこと、及び同様のことに関連付けることができる。ラップトップコンピュータの場合、ボタン機能は、メニューを開く、テキストを選択する、アイコンを選択する、及び同様のことに関連付けることができる。図10Dに示されるように、入力デバイス30は、追跡信号とボタン信号の両方を同時に提供するよう構成することができ、すなわち、トラック表面に沿って接線方向に(すなわち、x、y方向に)動かしながら同時にタッチパッド34をz方向に押下する。他の場合では、入力デバイス30は、タッチパッド34が押下されたときにボタン信号のみを提供し、タッチパッド34が直立にあるときにトラック信号を提供するよう構成することができる。
【0072】
詳細に説明すると、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上の移動インジケータを作動するよう構成され、これらは、トラックパッド34が作動位置に動いたときにボタン信号を生成することができる。移動インジケータは通常、フレーム32内に位置付けられ、トラックパッド34及び/又はフレーム32に結合することができる。移動インジケータは、スイッチ及びセンサのあらゆる組合せとすることができる。スイッチは、一般に、作動(オン)又は非作動(オフ)などのパルス又はバイナリデータを提供するよう構成されている。例証として、トラックパッド34の下面部分は、ユーザがトラックパッド34を押したときにスイッチに接触又は係合する(従って作動する)よう構成することができる。他方、センサは、一般に、連続した又はアナログデータを提供するよう構成されている。例証として、ユーザがトラックパッド34を押したときに、センサは、フレームに対してタッチパッド34の位置又は傾き量を測定するよう構成することができる。あらゆる好適な機械的、電気的及び/又は光学的スイッチ又はセンサを使用することもできる。例えば、タクトスイッチ、力感知抵抗器、圧力センサ、近接センサ、及び同様のものを使用することができる。
【0073】
図8−10に示されるトラックパッド10及び30は、幾つかの実施形態ではマルチタッチトラックパッドとすることができる。マルチタッチは、タッチ表面(画面、テーブル、壁部、その他)又はタッチパッド、並びに1つのタッチポイントのみを認識する標準的なタッチ画面(例えば、コンピュータタッチパッド、ATM)とは対照的に、複数の同時タッチポイントを認識するソフトウェアからなる。この作用は、限定ではないが、静電容量感知、抵抗感知、表面弾性波感知、熱、指圧力、高キャプチャレートカメラ、赤外光、光キャプチャ、同調電磁誘導、及びシャドーキャプチャを含む、多種多様な手段を介して達成される。マルチタッチ移動電話の実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPhoneである。マルチタッチメディアデバイスの実施例は、Apple社によって製造されたiPod Touchである。マルチタッチトラックパッドを有するラップトップコンピュータの実施例は、Apple社によって製造されたMacBook Air及びMacBook Proである。本明細書に記載される入力デバイスの全ては、幾つかの実施形態ではマルチタッチ技術を利用することができ、或いは、本明細書に記載される入力デバイスは、シングルタッチトラックパッドを利用してもよい。
【0074】
図11は、本発明の1つの実施形態によるコンピューティングシステム39の概略ブロック図である。コンピューティングシステムは、一般に、コンピューティングデバイス42に動作可能に接続された入力デバイス40を含む。例証として、入力デバイス40は、一般に、図9及び10に示された入力デバイス30に対応することができ、コンピューティングデバイス42は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、メディアプレーヤー、移動電話、スマートフォン、ビデオゲーム、又は同様のものに対応することができる。図示のように、入力デバイス40は、押下可能なトラックパッド44及び1つ又はそれ以上の移動インジケータ46を含む。トラックパッド44が押下されたときに、トラックパッド44は追跡信号を発生するように構成され、移動インジケータ46はボタン信号を生成するよう構成されている。トラックパッド44は広範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド44は、静電容量センサ48と、センサ48からの位置信号を収集して、該信号をコンピューティングデバイス42に供給するための制御システム50とを含む。制御システム50は、センサ48からの信号をモニターし、モニターされた信号のロケーション(直交又は角度)、方向、速度、及び加速度を計算し、更にこの情報をコンピューティングデバイス42のプロセッサに記録するよう構成されている特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。移動インジケータ46もまた、広範囲にわたって変えることができる。しかしながら、この実施形態では、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を発生するスイッチの形態を取る。スイッチ46は、機械、電気又は光スタイルスイッチに対応することができる。1つの特定の実施では、スイッチ46は、ボタン信号を発生するためにトラックパッド44によって押すことのできる突出アクチュエータ52を含む機械スタイルスイッチである。例証として、スイッチは、タクトスイッチ又は触覚ドームとすることができる。
【0075】
トラックパッド44及びスイッチ46の両方は、通信インターフェース54を介してコンピューティングデバイス42に動作可能に結合される。通信インターフェースは、入力デバイスと電子デバイスとの間の直接又は間接接続のための接続ポイントを提供する。通信インターフェース54は、有線(電線、ケーブル、コネクタ)又は無線(例えば、送信器/受信器)とすることができる。
【0076】
コンピューティングデバイス42は、一般に、コンピューティングデバイス42に関連付けられた命令を実行しオペレーションを実施するよう構成されたプロセッサ55(例えば、CPU又はマイクロプロセッサ)を含む。例えば、メモリから取り出された命令を使用して、プロセッサは、コンピューティングデバイス42の構成要素間の入力及び出力データの受け取り及び操作を制御することができる。ほとんどの場合、プロセッサ55は、オペレーティングシステム又は他のソフトウェアの制御下で命令を実行する。プロセッサ55は、シングルチッププロセッサとすることができ、或いは複数のコンポーネントを実装することができる。
【0077】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合された入力/出力(I/O)コントローラ56を含む。I/Oコントローラ56は、プロセッサ54と一体化することができ、或いは図示のように別個の構成要素とすることができる。I/Oコントローラ56は、一般に、コンピューティングデバイス42に結合できる1つ又はそれ以上のI/Oデバイス、例えば入力デバイス40との対話を制御するように構成されている。I/Oコントローラ56は、一般に、コンピューティングデバイス42と、コンピューティングデバイス42との通信を望むI/Oデバイスとの間でデータを交換することによって動作する。
【0078】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合されたディスプレイコントローラ58を含む。ディスプレイコントローラ58は、プロセッサ54と一体化することができ、或いは図示のように別個の構成要素とすることができる。ディスプレイコントローラ58は、ディスプレイ画面60上にテキスト及びグラフィクスを生成するためのディスプレイコマンドを処理するよう構成されている。例証として、ディスプレイ画面60は、モノクロディスプレイ、カラーグラフィクスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィクスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィクスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)(例えば、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、及び同様のもの)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、バックライト発光ダイオード(LED)LCDディスプレイ、又は同様のものとすることができる。
【0079】
1つの実施形態(図示せず)では、トラックパッド44は、タッチ感知式表面としてだけでなくディスプレイ画面としても機能するガラス表面を含むことができ、この場合、図11に示されるディスプレイ画面60は、トラックパッド44のガラス表面と一体化させることができる。これは、タッチ感知式ディスプレイを有するコンピューティングデバイス(例えば、メディアプレーヤー又は移動電話)において有用とすることができる。タッチ感知式ディスプレイを有するメディアプレーヤーの実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPod Touchである。タッチ感知式ディスプレイを有する移動電話の実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPhoneである。
【0080】
ほとんどの場合、オペレーティングシステムを備えたプロセッサ54は、コンピュータコードを実行して、データを作成及び使用するよう動作する。コンピュータコード及びデータは、プロセッサ54に動作可能に結合されたプログラム記憶エリア62内に常駐することができる。プログラム記憶エリア62は、一般に、コンピューティングデバイス42によって使用されるデータを保持する場所を提供する。例証として、プログラム記憶エリアは、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ及び/又は同様のものを含むことができる。コンピュータコード及びデータは、取り外し可能プログラム媒体上に常駐させることができ、必要なときにコンピューティングデバイスにロード又はインストールすることができる。1つの実施形態では、プログラム記憶エリア62は、入力デバイス40によって生成された追跡信号及びボタン信号がコンピューティングデバイス42によってどのように使用されるかを制御するための情報を記憶するよう構成されている。
【0081】
図12は、フレーム76に接続されたトラックパッド72を含む、全体が70で示された入力デバイスの1つの実施形態を示す。フレーム76は、独立型入力デバイス用のハウジングとすることができ、或いは、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドメディアデバイス、PDA、移動電話、スマートフォンなどのトラックパッド72を組み込む別のデバイス用のケースとすることができる。トラックパッド72は、指の動きを追跡するためのタッチ感知式外側トラック表面74を含む種々の層を含む。トラック表面74はまた、低摩擦化粧表面を提供することができる。1つの実施形態では、トラックパッド72は、静電容量感知に基づいており、従って、例えばPCBに実装することができる電極層80を含む。静電容量感知の場合、トラック表面74は誘電材料である。補強材84は電極層80の下に位置付けられる。補強材84は図12及び図13に示されているが、幾つかの実施形態では省略することができる。補強材84を用いて、電極層80の固有の可撓性を補償することができる。電極層80は、信号をセンサ82に送ることによって、トラック表面74に沿った指の動きに応答する。静電容量感知の場合、電極層80は、指の動きに基づく静電容量の変化を登録し、センサ82は静電容量センサである。このように、トラックパッド72は、タッチセンサ構成を組み込む。センサ82は、電極層80の下部に配置されて示されているが、他の実施形態では別の場所に位置付けることができる。図示の実施形態のように、センサ82がトラックパッド72の可動部分に位置付けられている場合、入力デバイスは、システムと共に移動可能な可撓性の電気接続部(図示せず)を組み込むことができる。
【0082】
移動インジケータ78は、トラックパッド72の下部に配置されている。移動インジケータ78は、広範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド72とフレーム76の間に通常は配置される機械的スイッチの形態を取る。他の実施形態では、移動インジケータ78は、センサ、例えば電気センサとすることができる。移動インジケータ78は、フレーム76又はトラックパッド72に取り付けることができる。図示の実施形態では、移動インジケータ78は、電極層80の下部側に取り付けられている。例証として、電極層80がPCB上に位置付けられている場合、移動インジケータ78は、PCBの下部に位置付けることができる。別の実施例では、移動インジケータ78は、タクトスイッチの形態を取ることができ、更に具体的には、SMTドームスイッチ(SMT用にパッケージされたドームスイッチ)とすることができる。
【0083】
トラックパッド72は、図12ではニュートラル位置に図示されており、ここでは移動センサ78はフレーム76に接触していない。ユーザがトラック表面74に下向きの圧力を加えると、トラックパッド72は下向きに移動し、移動センサ78がこの位置の変化を登録するようにさせる。図示の実施形態では、移動センサ78(タクトスイッチ)は、フレーム76、或いはこの場合はセットスクリュー88のいずれかに接触することになる。セットスクリュー88は、ニュートラル位置と作動位置との間の距離を変えるように手動調節することができる。1つの実施形態(図示せず)では、セットスクリュー88は、システムにおけるゆるみ又は事前の移動がないように、ニュートラル位置で移動センサ78に直接当接することができる。屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をフレーム76に接続する。屈曲ヒンジ86は、力が加えられたときに屈曲する弾性材料であるが、トラックパッド72をニュートラル位置に戻そうとする回復力を作用させる。1つの実施形態では、屈曲ヒンジ86は、薄いバネ鋼とすることができる。
【0084】
図13に示されるように、屈曲ヒンジ86は、ユーザがトラック表面74を下方に押したときに屈曲する。屈曲ヒンジ86は、図12に示される図示の実施形態では水平であるニュートラル位置にトラックパッド72を押し戻そうとする。このように、ユーザは、トラック表面74上のあらゆる場所を実質的に下方に押して、移動インジケータ78がこの押下を登録することを意味する「ピック」を引き起こすことができる。これは、別個のトラックゾーン及びピックゾーンを組み込む従来のトラックパッドとは対照的である。トラック表面74上のあらゆる場所をピックできることで、より直感的で快適なインターフェースをユーザに提供することになる。例えば、ユーザは、トラック表面74から指を取り除く必要なく、単一の指で追跡及びボタン信号を生成することができる。対照的に、別個のトラック及びピックゾーンを備えたトラックパッドを操作するユーザは、例えば、追跡用に右手と、ピッキング用に左手を、或いは、追跡用に人差し指とピッキング用に親指とを使用する可能性がある。
【0085】
フレーム76の拡張部分又は別個の部材とすることができるショルダー部90は、トラックパッド72の一部、例えば補強材84に接触することによってトラックパッド72がニュートラル位置を行き過ぎるのを阻止する。このように、トラック表面74は、フレーム76の上表面と実質的に同一平面に維持することができる。トラックパッド72とショルダー部90との間の接触を和らげるために、ショルダー部90と共に衝撃吸収材又はアップストップ(図示せず)を組み込むことができる。
【0086】
理解されるように、トラック表面74を押すことによって発生するピックは、画面上の項目の選択、ファイル又は文書を開く、命令の実行、プログラムの開始、メニューの閲覧、及び/又は同様のことを含むことができる。ボタン機能はまた、例えば、ズーム、スクロール、種々のメニューを開く、入力ポインタを定位置に戻す、エンター、削除、挿入、ページアップ/ダウン、及び同様のことなどのキーボードに関係した動作を行うといった、電子システムのナビゲートを容易にする機能を含むことができる。
【0087】
屈曲ヒンジ86は、実施可能な最小の垂直スペース内で可動トラックパッドを可能にする。屈曲ヒンジ86が薄く、一般にトラックパッド72の下部層に並行に位置付けられので、最小垂直スペースが達成され、その結果、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72の厚みをそれ程増大させることはない。従って、この構成は、超薄ラップトップコンピュータでの使用に適している。このような超薄ラップトップコンピュータ用途では、垂直スペースが極めて制限される。これまでのところ、電子部品のサイズは、どれ程小さな電気デバイスを作成できるかに関して限定される特徴であることが多かった。今日では、電子部品は益々小型化されており、これは、機械構成要素(例えば、可動トラックパッド)が重要なサイズ制限構成要素になる可能性があることを意味している。この理解によって、線形的作動(例えば、コイルバネ又は同様のものによって可動トラックパッドを支持すること)がアプリケーションによっては理想的なことではない理由を理解するのが容易になる。更に、バネを使用することは、製造プロセスに不必要な複雑さ(部品点数の増加、高コスト、故障率増大など)を加える可能性がある。バネの別の欠点は、実施形態によっては、バネが触覚スイッチの力分布を遮断又は損なう可能性がある点である。対照的に、屈曲部86は、トラック表面74全体に実質的に一定の感覚を提供し、ユーザに触覚スイッチ力分布のより忠実な表示を与えることができる。
【0088】
ここで図13を参照すると、本発明の1つの実施形態に従って、ユーザがトラックパッド72のトラック表面74を押したときに、トラックパッド72が下方向に枢動することにより、その下に配置されたスイッチ78が起動される。起動されると、スイッチ78は、入力デバイス70に接続された電子デバイスによって使用することができるボタン信号を生成する。屈曲部86は、トラックパッド72を実質的に1つの軸の周りだけで移動するよう拘束することができる。これは、例えば、背面側などのトラックパッド72の一方の側部上の軸に沿って配列された複数の屈曲部を使用することによって達成することができる。更に、トラックパッド72が剛直(例えば、必要な場合に補強材84を含めることによって)に作られている場合、均一化アーキテクチャが達成される。言い換えると、屈曲ヒンジ86は、ニュートラル位置に向けてトラックパッド72を押し戻そうとし、更に、実質的に1つだけの軸、すなわち、屈曲ヒンジ86がフレーム76に接続される軸の周りの移動を可能にする。
【0089】
本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明してきたが、種々の変更及び修正が当業者に明らかになるであろう点に留意されたい。このような変更及び修正は、添付の請求項によって定義される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 デバイス
101 マルチタッチトラックパッド
102 ベース
103 ヒンジ
104 スイッチ
110 ラップトップコンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ユーザ入力デバイスからの信号の処理に関し、更に具体的にはユーザ入力デバイスから受信された信号の特定のタイプを選択的に拒否することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、ボタン又はキー、マウス、トラックボール、ジョイスティック、タッチセンサパネル、タッチ画面、及び同様のものなど、入力デバイスの多くのタイプがコンピューティングシステムにおけるオペレーションを実行するのに利用可能である。特に、タッチパネルは、オペレーションの容易さ及び多機能性、並びに価格が低下しつつあることに起因して益々人気が高まっている。タッチ画面は、タッチ感知式表面を備えたクリアパネルを含むことができる。コンピュータ又は電子デバイスの別のタイプは、タッチパネルによって生成された信号を処理し、ユーザがタッチパネルにどのようにどこに触れているかを判断することができる。
【0003】
マルチタッチパネルは、複数のタッチ事象を同時にタッチパネルで感知できるようにする高性能なタイプのタッチパネルである。マルチタッチパネルは、これにより電子デバイスあらゆる所与の時間にタッチされているパネルの全エリアを検出できるようになるので、より複雑なユーザ対話が可能になる。従って、電子デバイスは、あらゆる所与の時間にパネル上に起こる全てのタッチの位置及び形状を示す「画像」を取得することができる。更に、マルチタッチパネル又はこれに接続されたデバイスは、1つ又はそれ以上のタッチ事象の動き(例えば、パネルの表面に沿って動いている1つ又はそれ以上の指)を経時的に追跡することができる。これは、更に複雑な「タッチジェスチャー」の追跡を可能にすることができる。
【0004】
種々のタイプのマルチタッチパネルを設計することができる。1つのタイプは、パネルをタッチしている指又は別のオブジェクトによって生じた静電容量の変化を感知することに基づくタッチ事象の感知を可能にする。このタイプの例示的なマルチタッチパネルは、2007年1月3日に出願された米国特許出願第11/649,998号、特許公開第20080158172号に記述されており、この内容は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第11/649,998号公報
【特許文献2】米国特許公開第20080158172号公報
【特許文献3】米国特許第6,323,846号公報
【特許文献4】米国特許公開第20080158145号公報
【特許文献5】米国特許公開第2008158185号公報
【特許文献6】米国特許第7,046,230号公報
【特許文献7】米国特許出願第10/643,256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチセンシング(シングル又はマルチタッチに関わらず)は確かに有利であり、特定の状況ではタッチセンシングによってより多くの情報を集めることができる。例えば、ユーザは、意図的でなく、或いは少なくともコンピュータ又はデバイスに動作を伝達することを意図せずに、パネルにタッチするか、或いはパネルに沿ってユーザの指を動かす場合がある。デバイスがユーザによる意図しない動作に応答した場合には、ユーザを混乱させ、或いはユーザから受け取ったコマンド又は他の伝達情報を誤解する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、タッチ及びプッシュ(又はピック)入力の組合せを含む複合ユーザ入力を受け付けるユーザ入力デバイスに関する。これらのデバイスは、多くの既存のユーザ入力デバイスよりも遙かに豊富なユーザ入力を提供する。しかしながら、これは、幾つかの意図しない結果をもたらすことがある。本発明のデバイスは、以前のデバイスによっては検出可能ではなかったユーザ動作を検出できるので、これらのデバイスはまた、ユーザによる機械インターフェース動作であることを意図しなかった幾つかのユーザ動作を検出することができる。
【0008】
従って、本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈するのを避けるために、このようなデバイスから受け取った入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号は修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって、或いはユーザインターフェースデバイスを含む又は取り付けられているコンピューティングデバイスによって実施することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実施、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1つの実施形態による、例示的なラップトップトラックパッドを示す図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による、例示的なコンピュータマウスを示す図である。
【図3A】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図3B】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図3C】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4A】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4B】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図4C】複数の例示的なタッチパネル及びその上で感知されるタッチの組合せを示す図である。
【図5】本発明の1つの実施形態による、例示的なスイッチ状態とクロックメモリ変数のグラフを示す図である。
【図6】本発明の1つの実施形態による、例示的な初期速度対修正速度のグラフを示す図である。
【図7】本発明の1つの実施形態を示す例示的なブロック図である。
【図8】本発明の1つの実施形態による、例示的なタッチパッド及びディスプレイを示す概略図である。
【図9】本発明の1つの実施形態による例示的な入力デバイスを示す斜視図である。
【図10A】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10B】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10C】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図10D】本発明の1つの実施形態による、ボタンタッチパッドを有する例示的な入力デバイスを示す概略側面図である。
【図11】本発明の1つの実施形態による、コンピューティングデバイスに接続された例示的な入力デバイスを示す概略ブロック図である。
【図12】本発明の1つの実施形態による、例示的な入力デバイスを示す側断面図である。
【図13】図12の例示的な入力デバイスを示す別の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい実施形態の以下の説明では、実施形態の一部を形成し、本発明を実施できる特定の実施形態を例証として示す添付図面について説明する。他の実施形態を使用することもでき、また、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく構造的な変更を行い得る点を理解されたい。
【0011】
本発明は、一般に、タッチセンシング及び機械的ピックセンシングの組合せを特徴として備える表面を提供するデバイスに関する。タッチセンシングとは、表面に単にタッチする指又は別のオブジェクトのセンシングを意味し、機械的ピックセンシングとは、実際に物理的に表面を動かすか又は変形させるプッシュを記録する表面を意味する。タッチセンシングは、マルチ又はシングルタッチセンシングとすることができる。本発明の実施形態は、多くの場合意図しないユーザ入力から生じることが分かったパターンに当てはまる機械的及びタッチセンシングデータの特定の組合せを検出し、意図しない入力の影響を排除又は軽減するためにデータを修正することができる。
【0012】
本発明の実施形態は、ラップトップのトラックパッド及びコンピュータマウスの観点から本明細書で説明し例証することが多いが、本発明の実施形態はこれに制限されず、タッチセンシングと機械的ピックセンシングを組み合わせたあらゆる入力デバイスにも更に適用可能である点を理解されたい。更に、本明細書ではマルチタッチセンシングを行うデバイスに関連した実施形態を説明し例証することが多いが、特定の実施形態では、シングルタッチセンシングのみを行うデバイスを含むこともできる。
【0013】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による例示的なユーザ入力デバイスを示す。このデバイスは、上面101を含むことができる。上面は、マルチタッチ又はシングルタッチ対応の表面とすることができる。上面は、ヒンジ103を介してベース102に接続することができる。ヒンジ103は、上面101及びベース102の先端にあるように図1の実施例では示されているが、他の実施形態では、上面及びベースの中心により近付けてヒンジを配置し、「ロッカースイッチ」動作を提供できる枢動ポイントを作成することができる。ヒンジは、バネ付勢することができ、或いは、別のバネ又は類似のメカニズムを使用して、ベースから上面を弾性的に分離させることができる。
【0014】
上面は、下向き方向に男性的に移動可能とすることができる。スイッチ104は、ベース上に配置され、上面が押下されたときに起動することができる。スイッチは、マイクロスイッチ、或いは作動可能な他のデバイスとすることができる。ヒンジは、ユーザが圧力を加えて表面を下方にプッシュするのを止めた後に上面が当初の位置に確実に戻るようにすることができる。
【0015】
ユーザは、スイッチを起動するために必ずしも押下せずに単に表面にタッチすることにより、タッチ表面と対話することができる。ユーザは、例えば2つ又はそれ以上の指を使用して表面の異なる場所をタッチすることによってマルチタッチ信号を提供することができる。ユーザはまた、表面に沿って1つ又はそれ以上の指を動かすことによってジェスチャーを入力することができる。このタイプの入力は、タッチ入力と呼ばれる。加えて、ユーザは、表面を下方にプッシュしてマイクロスイッチを起動することができる。これは、ピックと呼ばれるユーザ入力の別のタイプとして使用することができる。更に、ユーザは、2つのタイプの入力を組み合わせることができる。例えば、ユーザが上面を下方にプッシュする場合、ユーザは、表面上、恐らくは表面上の特別なロケーションで指の特定の構成を配置しながら下方にプッシュすることができ、この特定の構成及びロケーションは、ユーザインターフェースにおける特定の意味を有することができる。ユーザはまた、上面を下方にプッシュしながらジェスチャーを加えることができ、これらのジェスチャーも同様に、ユーザインターフェース内で特定の意味を有することができる。この意味は、上面が下方にプッシュされていないときの同様のジェスチャーを行うことにより生じる意味と同じものであるか、又は異なるものとすることができる。
【0016】
デバイス100は、種々の他のデバイスのユーザインターフェースデバイスとして含めることができる。例えば、該デバイスは、ラップトップコンピュータ110のトラックパッドとして含めことができる。更に、デバイス100は、パーソナルコンピュータ又は同様のものに接続された独立型キーボード用のトラックパッド、独立型トラックパッド、玩具又は独立型ゲームコンソール用のトラックパッド、自動販売機用のトラックパッド、ATM機械、又は別のタイプの電子キオスクなど、他の電子デバイスに含めることができる。
【0017】
図2は、タッチ及びピックセンシングの組合せを含む別の例示的なデバイスを示す。デバイス200は、コンピュータマウス、独立型トラックパッド又は他の入力デバイス、或いは同様のものとすることができる。デバイス200は、マルチタッチ表面とすることができる上面201を含むことができる。ベース202は、1つ又はそれ以上のスプリング要素203を介して上面に取り付けることができる。ガイド(図示せず)を用いて、ベース上の所定位置に上面を保持することができる。スイッチ204は、ベース上に配置することができ、上面が下方にプッシュされたときに上面により押下される。デバイス200はまた、デバイスの動きを追跡する位置追跡モジュール205を含むことができる。位置追跡モジュール205は、例えばボール又はレーザー追跡システムを含む従来のものとすることができる。
【0018】
上述のトラックパッドと同様に、ユーザは、デバイスの表面に単にタッチすることによって(押下せずに)、又は表面を押下してスイッチ203を起動することによって、或いはこの両方によってデバイス200に取り付けられたデバイスにコマンド又は情報を伝えることができる。マルチタッチ入力を加える場合、ユーザは、上面の異なる部分を同時にタッチすることによってマルチタッチの組合せを作成し、及び/又は表面に沿って1つ又はそれ以上の指及び/又は他のオブジェクトを動かすことによってジェスチャーを作成することができる。
【0019】
マウスの実施形態は、コンピュータシステム210のような種々の既存のコンピュータシステムと共に、或いはコンピュータマウスを有用なユーザ入力デバイスと考えることができる他の何らかのアプリケーションにおいて使用することができる。
【0020】
入力デバイスの他のタイプは、上述のように同じ表面上でユーザがタッチ及びピック入力を提供できるようにすることによって、マルチタッチ及びピックタイプのインターフェースを組み合わせることができる。これらのデバイスの一部は、ピック入力におけるより多くの種類を可能にする1つよりも多いスイッチを備えることを特徴とする。
【0021】
デバイスの上記のタイプは、多くの既存のユーザ入力デバイスよりも豊富なユーザ入力を提供する。しかしながら、これは、幾つかの意図しない結果をもたらす可能性がある。本発明のデバイスは、以前のデバイスによっては検出可能ではなかったユーザ動作を検出できるので、これらのデバイスはまた、機械インターフェース動作であるとユーザによって意図されなかった特定のユーザ動作を検出することができる。例えば、ユーザは、タイプの間に従来のラップトップトラックパッド上にユーザの手掌を置いたままにすることが多く、これによりラップトップに対してどのようなコマンドも生じさせることはない。しかしながら、あるバージョンのトラックパッド100は、ユーザの手掌を載せた結果として押下され、ピックを登録する可能性がある。
【0022】
従って、本発明の実施形態は、意図しないユーザ動作をコマンドとして解釈しないように、デバイス100及び200から受け取られた入力の選択的無視又は拒否を可能にする。更に、幾つかの入力信号を修正することができる。選択的拒否又は修正は、ユーザインターフェースデバイス自体によって(例えば、マウス200によって)、或いはユーザインターフェースデバイス(例えば、ラップトップ110又はコンピュータ210)を含むか又はこれに取り付けられているコンピューティングデバイスによって実行することができる。選択的拒否又は修正は、入力信号を処理し、必要な拒否及び修正を実行し、更に修正された入力信号をより高レベルのモジュールに送るモジュールによって実行することができる。これは、図7に関して以下で更に詳細に説明する。
【0023】
幾つかの実施形態では、特定のタイプのタッチ入力が存在している場合には、ピック入力は拒否される。ユーザが偶発的に上面をプッシュする場合があるので、この拒否を行うことができ、多くの場合、ユーザが上面をプッシュする方法により、ピックが意図的であるか否かを示すことができる。
【0024】
図3及び図4は、複数のタッチパネルとその上の可能なタッチ組合せとを示す。従って、これらの図は、タッチパネルの現在の状態を示している。タッチは、各図にはタッチされたエリアによって示される。本発明の実施形態は、特定のタッチパターンをこれらが通常引き起こされる方法によって認識するよう構成することができる。例えば、小さな円又は楕円は、指又は指先として認識され、より大きな楕円は親指として認識され、短径がある閾値(例えば11mm)を超える更に大きな楕円は、手掌として認識することができる。指又は手の他の部分の認識は、米国特許第6,323,846号に更に詳細に説明されており、当該特許は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。この主題はまた、2007年1月3に出願された「MULTI−TOUCH DISCRIMINATION(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国特許公開第20080158145号を有する米国特許出願第11/619,464号、及び2007年5月31に出願された「MULTI−TOUCH DISCRIMINATION(マルチタッチ入力区別)」という名称の米国特許公開第2008158185号を有する米国特許出願第11/756,211号によって詳細によって詳細に説明されている。これら2つの特許出願は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0025】
図3A−Cを参照すると、図3Aのパネル300は、パネル上の3つの指先のタッチにより生じることができるパターンを示す。このようなタッチが感知されると同時にピックが感知される場合には、本発明の実施形態によりピックを認識する(すなわち拒否しない)ことが可能になる。このパターンは通常、ユーザが意図的にユーザの指で表面をプッシュしていることを示すので、ピックを許容することができる。ピックは、異なる数の指タッチが存在する、及び/又は指タッチが異なる様式で配置されている他の類似の状態で許容することができる。実施形態によっては、予め定められた数の指(例えば8つ)よりも多く現われた場合には、ピックを無視することができる。多数の指は、ユーザがトラックパッド上に手を載せていることを示す可能性がある。
【0026】
図3Bのパネル301のパターンは、パネルの下部分に現われている親指タッチ303の一部を示す。このタッチが現われている間に起こるピック事象は、これが通常は意図的なピックを示すので許容することができる。実際に、親指タッチ又はその一部として認識され且つパネルの端部近傍に現われる全てのタッチは、これらのタッチが許容されている間に発生するピック事象を引き起こすことができる。幾つかの実施形態では、パネルの端部近傍に現われる全ての指タッチ又はその一部は、親指として認識されるかどうかに関わらず、同時ピック事象を許容させるようにすることができる。
【0027】
図3Cのパネル302は、手掌のタッチとして識別することができる2つのパターン(304及び305)を示す。これらのパターンの1つ又は両方(或いはこれに類似したパターン)がこれらの位置又は類似の位置(すなわち、パネルの側部近傍及び側部に相対的に平行)に現われたときにピックが登録される場合、該ピックは拒否又は無視される。このピック拒否は、このパターンは、ユーザが単にトラックパッド上に手を載せており、ピックを起こす意志がないことを示す傾向があることに基づいている。ピックは、パターン304及び305の一部のみがパネルの側部に現われる場合、これらの部分がそのように認識される限り、同様に拒否することができる。
【0028】
図4Aのパネル400は、手掌パターン401及び親指パターン402の一部を示す。パネル400のパターンはまた、ユーザがトラックパッド上に手を載せていることを示すことができるので、同時に感知されたあらゆるピックを拒否するようにすることができる。パネル400のパターンは、パターン402が親指タッチとして認識されない場合でもピックを拒否するようにすることができる。一般に、手掌タッチ(パターン401など)、或いはパネルの上部分のいずれかの指タッチと併せて手掌タッチの一部が検出された場合、同時に検出されたピックは無視することができる。パネルの上部分は、例えばパネルの上部1/5として定められる(図4Aでは線403によって定められる)。パネル400の鏡像はまた、ピック拒否をもたらすことができる。
【0029】
図4Bのパネル404は、側部近傍の手掌タッチ405と併せて指タッチ406を示している。パターン404では、指タッチはパネルの上部分にはない。このパターンは、指タッチ406が意図的なプッシュを示すので、ピックの登録を許容する結果となることができる。ピックはまた、手掌タッチ405が部分的な手掌タッチである場合に許容することができる。パターン404を鏡像にしたパターンは、ピックを許容する結果とすることができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、手掌タッチ305などの手掌タッチが現われ、検出されたピックを無視するようにし、その後、マルチタッチ表面が下方にプッシュされている間に指406などの指が現われた場合、ピックは、連続して無視することができる。更に、パターン402のような指タッチが最初に現われ、検出されたピックが登録されるようにし、更にマルチタッチ表面が下方に押されている間に手掌タッチ401などの手掌タッチが現われた場合、ピックを連続して登録することができる。より広義には、幾つかの実施形態では、ピックを登録するか又は無視するかの判断を生じるパターン中にピックが起こり、更にピックが起こっている間に引き続きパターンが変化した場合には、その後のパターンが異なる判断を生じることになる場合でも、依然として最初の判断により制御することができる。
【0031】
幾つかの実施形態によって、ユーザは、1つ又はそれ以上の指をパネルに沿って動かすことによってタッチジェスチャーを入力することを可能にすることができる。幾つかの実施形態では、予め定められたマルチタッチジェスチャーが進行中であることが検出され、マルチタッチジェスチャーの進行中にピックが検出された場合、ピックを無視することができる。これは、ユーザがジェスチャーを実行しようとしている間にパネルを偶発的に押してしまう可能性がある理由から、実施することができる。
【0032】
他の実施形態では、ジェスチャー及びピックを同時に検出することが可能となり、場合によっては、このような事象において異なる動作を提供することができる。例えば、幾つかの実施形態では、ユーザは、「オブジェクトをピックアップする」ためにピックを実施し、更にピックが実施されている(すなわち、パネルが下方にプッシュされている)間に、オブジェクトを動かすジェスチャーを実施することによって、デスクトップ周りでオブジェクトを動かすことを可能にすることができる。
【0033】
ジェスチャーを処理するときに、最低経路の概念を定義することができる。幾つかの実施形態では、最低経路は、単にパネル上で最も低いタッチとして選択することができる(すなわち、最低y座標を有する)。他の実施形態では、最低経路は、相対的に低く且つ相対的に固定であるタッチとして選択することができる。後者の実施形態の1つの実施例では、最低経路は、各タッチの高さ及び移動速度に基づいて選択することができる。所与の時間にパネル上に複数のタッチが存在する場合、以下のパラメータを各タッチに対して測定することができ、すなわち、タッチの高さy及びタッチが予め定められた時間期間の間移動した距離d。(予め定められた時間期間は、0.1秒などの比較的短い期間とすることができる。)最低経路は、(d+y)が最小であるタッチとすることができる。他の実施形態では、式(ad+by)を用いることができ、ここでa及びbは予め定められた定数である。最低経路は通常、親指であるが、別の指又はオブジェクトであってもよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、タッチ事象も同様に無視される場合がある。1つのこのような実施例は、図4Cのパネル407に示されている。このパネルによって示される実施形態では、親指レストゾーンが、パネル下線408の下側部分に定めることができる。親指レストゾーンは、例えば1cmの厚みとすることができる。最低経路(例えば最低経路409など)が親指レストゾーンに現われた場合、受け取られたあらゆるピックを登録することができるが、最低経路のタッチ入力は拒否又は無視することができる。これは、ユーザが指を載せる又はピックを実施するためだけにパネルにタッチしている場合があり、どのようなタッチ入力を実施する意志がないために発生する可能性がある。種々のレストゾーンにおけるタッチを無視することは、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、代理人整理番号106842017800を有し本発明と同時出願の名称「SELECTIVE REJECTION OF TOUCH CONTACTS IN AN EDGE REGION OF A TOUCH SURFACE(タッチ表面の端部領域におけるタッチ接触の選択的拒否)」の米国特許出願において更に詳細に説明されている。最低経路が移動し親指レストゾーンを離れた場合、そのタッチ入力を可能にすることができる。しかしながら、パネル上で検出された別の指タッチ(指タッチ410など)が存在し、その他の指タッチが、指タッチ410が現われた時間から最低経路409が親指レストゾーンを離れた時間までに予め定められた距離(例えば、1cm)よりも大きく移動した場合には、最低経路409は、移動した場所に関係なく恒久的に無視することができる(すなわち、ユーザが指を持ち上げるまで無視される)。これは、ユーザが指でジェスチャーを実施すること(すなわち、タッチ410)に集中し、意図的でなく親指(すなわち最低経路409)をレストゾーンから持ち上げることができる理由から実施することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、別の指がタッチする前の少なくとも予め定められた時間期間に最低経路が移動している場合、最低経路は、他の指のタッチの後に無視される。予め定められた時間は、例えば1/4秒とすることができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、現在検出されている1つより多い指タッチが存在するときに検出されたピックが存在する場合、最低経路は、現在のタッチから選択され、ピックが進行中である間(すなわちユーザがパネルを下にプッシュしている間)は無視される。これらの実施形態では、ピックが検出されたときに1つだけのタッチが検出されている場合には、このタッチは無視される点に留意されたい。
【0037】
最低経路が上記のシナリオの下で拒否された場合、メモリフラグは、最低経路を唯一の残りのタッチとしたまま完全に表面から持ち上げられるまで、又は全ての他のタッチが表面から持ち上がるまで、或いはピックが解放されて最低経路が親指経路として識別されなくなるまで、最低経路が拒否され続けるように設定することができる。
【0038】
経路又はタッチは、タッチパターンの外形品質を調べて、パターンが親指タッチから生じたものであるかどうかを判断することによって、親指経路として識別することができる。例えば、親指タッチは、通常の指タッチよりも大きくかつ楕円形にすることができる。上述のケースでは、最低経路が親指経路として識別され且つ唯一ではない場合、ピックが解放された後に継続して拒否されることになる。上述の最低経路動作は、上記の図4Cと共に説明された親指レストゾーン動作とは区別され、これに依存する必要はないものとすることができる。
【0039】
幾つかの状況では、ユーザがパネルを下方にプッシュした(すなわち、ピックを実行した)とき及びユーザがパネルをその当初の状態に戻すことができるときには、ユーザの指がパネルの表面を意図的でなくスライドする可能性がある点を理解されたい。これは、図2のマウス用のパネルなどの曲線パネルについて特に当てはまるが、図1に示されたものなどのフラットパネルに対しても起こる可能性がある。
【0040】
図5のグラフ500は、ピックの実行中の機械的スイッチのスイッチ状態を示す。スイッチ状態0は、上面がスイッチに対し下方にプッシュされていないことを示すことができる。スイッチ状態1は、上面が下方にプッシュされているか、或いはピックが実施されていることを示すことができる。時間501で、ユーザは上面を下方にプッシュし、状態を0から1に変化させる。ユーザは、ポイント502まで上面を下に押し続ける。ポイント502で、ユーザは上面を解放し、当初の位置に復帰させるか、或いは0に戻す。
【0041】
ユーザは、解放したときに上面から指を外す必要はない。ユーザは、単に表面から圧力を取り除き、指を表面にタッチさせたままにすることによって表面を解放することができる。ユーザは、所望のタッチ入力又はジェスチャーを実施又は引き続き実施するために、表面から指を取り除くことなく表面を解放したいと望む場合がある。しかしながら、上述のように、ユーザは、最初に押し下げたとき及び上面を解放したときに、マルチタッチパネルに沿って意図的でなく指を動かす可能性がある。これは、ユーザの指と表面との間の圧力の変化の結果として起こることができる。これは、ユーザが実施しようとするタッチ入力又はジェスチャーを妨げる可能性がある。更に、ユーザがタッチパネルの表面に沿って既に指を動かしている場合、タッチパネルのプッシュ又は解放動作は、移動速度の意図しない変化を生じることがある。従って、本発明の実施形態は、検出されたタッチ入力を修正することによってこの意図しない指の動きの影響を取り除くことを可能にする。
【0042】
この修正は、クリックメモリ変数、又はCMVと呼ばれる内部変数に基づいて実施することができる。図5のグラフ503は、ある時間期間にわたる幾つかの実施形態によるCMVの状態を示す。クリックメモリ変数は、1と0の間の値を有することができる。これは、スイッチ状態の変化が起こる度に1にリセットすることができる。このCMVは、ポイント501及び502において1に設定することができる。非ゼロ値になると、CMVは、0に達するまで経時的に指数関数的に減衰することができる。これは、例えば以下の計算を周期的に行うことによって達成することができる。
【0043】
〔式1〕
【0044】
種々の実施形態では、計算の係数(0.9)及び期間は変えることができる。電子計算に固有の丸めに起因して、式1は、スイッチ状態の新しい変化がCMVを1にリセットするまで、スイッチ状態の変化後のある時間に0までのCMV減衰を生じることになる。
【0045】
別々の幾何学的オブジェクトを形成する各タッチパターンは、タッチオブジェクトとみなすことができる。従って、例えばパネル300に関して、指タッチパターン306−308は、別々のタッチオブジェクトと考えることができる。パネル302の手掌タッチパターン304及び305はまた、別々のタッチオブジェクトと考えることができる。パネル上の各タッチオブジェクトの速度を計算することができる。幾つかの実施形態では、CMVの値が0以外であるときにのみこの速度計算を実施する必要がある。タッチオブジェクトの速度は、以下の式に従って変えることができる。
【0046】
〔式2〕
【0047】
ここで、VINは初期速度又は感知速度、VRは結果として生じる速度又は修正速度、Kは予め定められた定数である。適切な定数Kは実験によって選定することができる。
【0048】
式0の結果が図6に示されている。図6は、CMVの予め定められた値に対する初期速度に関係付けられる修正速度のグラフである。図から分かるように、修正速度は、一般に、K・CMVで定義される不感帯範囲601を除いて初期速度に比例する。従って、速度修正は、不感帯フィルタリングに類似している。不感帯は、種々のタッチオブジェクトの感知された初期速度が、ユーザによる意図しない上面のプッシュ又は解放の結果に完全に起因する可能性が高い速度範囲を表している。
【0049】
従って、本発明の実施形態は、より速いタッチオブジェクトの速度をCMVの値に基づいて減速できると同時に、より遅いタッチオブジェクトは中止することができる(すなわち、その速度を0に等しくすることができる)ことを提供する。
【0050】
図6のグラフは、一瞬間のみの速度の関係を示すことができる。時間が経つにつれて、CMVの値は変化し、図6の関係が変化することができる。更に具体的には、新しいパネルプッシュ又は解放事象がないとすると、CMVの値は減衰することができ、その結果、不感帯の減少を生じる可能性がある。従って、タッチオブジェクト速度の修正は、CMVの値が減少するにつれて、或いは最後のプッシュ又は解放事象から時間が経過するにつれて減少することになる。最終的には、CMVは0になることができ、このポイントで速度の修正が行われない。これは、上面の意図しないプッシュ又は解放のあらゆる影響も時間の経過につれて減少し、最終的には消失するという事実を反映することができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、式2は、各オブジェクトの速度の垂直及び水平(x及びy)成分に対して計算することができる。従って、VR,x及びVR,yは、VIN,x及びVIN,yそれぞれに基づいて計算することができる。幾つかの実施形態では、タッチオブジェクトの修正速度は、より高レベルのモジュールに送ることができる。代替的に、或いはこれに加えて、修正速度を用いて、後で種々のタッチオブジェクトの修正位置を求めることができ、これらの修正位置をより高レベルのモジュールに送ることができる。
【0052】
上記の速度修正は、フラットでない上面を備えた入力デバイスに対して特に有用であるので、図2の入力デバイス及び/又は類似のデバイスに対して実施することができる。しかしながら、ラップトップトラックパッドなどのフラットな上面を備えたデバイスに対しても同様に実施することも可能である。
【0053】
上述の種々の入力信号拒否及び修正方法は、相互に排他的でない場合には組み合わせることができる。従って、いずれのデバイスも、上述の方法の1つ又はそれ以上の組合せを特徴として備えることができる。
【0054】
図7は、本発明の実施形態のモジュラー表現を示すブロック図である。図7は、図1のラップトップ、図2のコンピュータ、その他のような種々の実施形態を表すことができる。ブロック700はユーザ入力デバイスを表す。これは、上述のタッチ(又はマルチタッチ)及び機械的ピック入力の組合せデバイスとすることができる。ユーザ入力デバイスは、図1のトラックパッド、図2のマウス、又はタッチセンシングと機械的ピックセンシングとを組み合わせる別のデバイスとすることができる。ブロック701は拒否及び修正モジュールである。このモジュールは、ユーザ入力デバイスからのユーザ入力データを受け入れ、上述のようにこれを修正し及び/又はデータの種々のセットを拒否し、更に修正されたデータをより高レベルのモジュール702−705に送ることができる。
【0055】
拒否及び修正モジュールは、特定用途向けハードウェアに実装することができる。或いは、プログラム可能プロセッサ上で実行されるソフトウェアとして実装することができる。後者の代替形態では、拒否及び修正モジュールは、プロセッサ、メモリ、及びプロセッサによって読み取られ実行されるメモリ内に記憶されたソフトウェアを含むことができる。拒否及び修正モジュールは、必ずしもユーザ入力デバイスに直接接続される必要はない。その代わりに、ブロック700と701間に1つ又はそれ以上の介在モジュールを存在させることができる。これらは、入力デバイスの入力データのデジタル化、正規化及び/又は圧縮のためのモジュール、他のタイプの入力データのエラー訂正を実行するモジュール、或いは、未加工の画素ベース入力タッチデータをタッチされていた特定の領域を定める別個のタッチオブジェクトに編成するセグメンテーションモジュールのような、他の観点から入力データを処理するモジュールを含むことができる。拒否は修正の一種と考えることができるので、拒否及び修正モジュールは、修正モジュールと呼ぶことができる。
【0056】
拒否及び修正モジュールによって作成された修正入力データは、より高レベルのモジュールによって使用することができる。例えば、より高レベルのモジュールは、入力データの更なる処理及び修正を実施することができる。或いは、より高レベルのモジュールは、ユーザ対話を行うために実際に入力データを使用することができる。従って、幾つかのより高レベルのモジュールは、ウェブブラウザ、電子メールクライアント、その他のようなアプリケーションとすることができる。より高レベルのモジュールはまた、プログラム可能プロセッサ上で実行されるソフトウェアとして、又は特定用途向けハードウェアとして実装することができる。ソフトウェアとして実装される場合、より高レベルのモジュールは、拒否及び修正モジュールと同じメモリ内に格納されるソフトウェア、或いは別々に記憶されるソフトウェアを含むことができる。更に、より高レベルのモジュールは、拒否及び修正モジュールと同じか又は異なるプロセッサにて実行することができる。上述のデバイスは、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は別のタイプのデバイスであるかに関わらず、意図しないユーザ入力の防止にユーザを集中させる必要なく豊富なユーザ入力インターフェースを提供することによって、より良好でより直感的なユーザ対話を特徴として備えることができる。
【0057】
上述された幾つかの実施形態は、ほとんどが矩形パネルに関して説明されているが、これらの実施形態はまた、非矩形又は曲線状のパネルの関連においても使用することができる。曲線パネルを有する実施形態は、パネル上で感知されるタッチデータの「フラット」又は二次元表示を備えることを特徴とし、従って、図3及び4で説明されるパネルに関係付けることができる。
【0058】
本発明の実施形態に従って使用できる種々のユーザ入力デバイスは、図1及び2に関して上記で既に説明した。以下の本文及び図8−13は、ユーザ入力デバイスのこれらのタイプの幾つかの付加的な詳細説明を提供するものである。本発明は、以下で説明されるユーザ入力デバイスに限定されない。
【0059】
図8を参照し、タッチ感知式トラックパッド10を詳細に説明する。トラックパッドは、一般に、保護/化粧シールド12及び保護シールド12下に配置された複数の電極14を含む小さな(多くの場合は矩形の)エリアである。電極14は、回路基板、例えばプリント回路基板(PCB)上に配置することができる。説明を簡単にするために、電極14が見えるように保護シールド12の一部が除去されている。異なる電極14又はこれらの組合せは、異なるx、y位置を表すことができる。1つの構成では、指16(或いは、図示されていないがスタイラス)が電極グリッド14に近付くにつて、指は、指に近接する1つ又はそれ以上の電極との間に静電容量を形成することができ、或いは1つ又はそれ以上のこうした電極間の既存の静電容量を変化させることができる。回路基板/感知電極(図示せず)は、このような静電容量の変化を測定し、ディスプレイ画面22を有するホストデバイス20(例えば、コンピューティングデバイス)に送られる入力信号18を生成する。入力信号18は、ディスプレイ画面22上のカーソル24の動きを制御するのに使用される。図示のように、入力ポインタは、検出されたx、yの指の動きと同じx、y方向に動く。図9は、本発明の1つの実施形態による、入力デバイス30の簡略斜視図である。入力デバイス30は、一般に、ディスプレイ画面上で動作を(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して)実施するために、電子デバイス(図示せず)に情報又はデータを送信するよう構成されている。例えば、入力ポインタを動かす、選択を行う、命令を提供する、その他である。入力デバイスは、有線(例えば、ケーブル/コネクタ)又は無線接続(例えば、IR、Bluetooth、その他)を介して電子デバイスと対話することができる。
【0060】
入力デバイス30は、独立型ユニットとすることができ、或いは電子デバイスに統合することができる。独立型ユニットである場合、入力デバイスは通常、その固有の筐体を有する。電子デバイスに統合されている場合、入力デバイスは通常、電子デバイスの筐体を使用する。いずれの場合においても、入力デバイスは、例えば、ネジ、スナップ、固定器具、接着剤、及び同様のものを介して、筐体に構造的に結合することができる。場合によっては、入力デバイスは、例えばドッキングステーションを介して電子デバイスに着脱可能に結合することができる。入力デバイスが結合される電子デバイスは、何らかの消費者関連電子製品に対応することができる。例証として、電子デバイスは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ又はPDA、音楽プレーヤーなどのメディアプレーヤー、携帯電話などの通信デバイス、キーボードなどの別の入力デバイス、及び同様のもののようなコンピュータに対応することができる。
【0061】
図9に示されるように、入力デバイス30は、フレーム32(又は支持構造体)及びトラックパッド34を含む。フレーム32は、入力デバイスの構成要素を支持するための構造を提供する。また、ハウジングの形態のフレーム32は、入力デバイスの構成要素を囲むか又は収容することができる。トラックパッド34を含む構成要素は、入力デバイス30を動作させるための電子的、光学的及び/又は機械的構成要素に対応することができる。
【0062】
トラックパッド34は、取り付けられる電子デバイスに関連付けられた種々のアプリケーションを制御するための1つ又はそれ以上の制御機能を提供するよう構成された直感的インターフェースを提供する。例証として、タッチ起動制御機能を用いて、オブジェクトを移動させ、又はディスプレイ画面上で動作を実施し、或いは電子デバイスの動作に関連付けられた選択をする又はコマンドを出すことができる。タッチ起動制御機能を実装するために、トラックパッド34は、トラックパッド34の表面全体を(例えば、直線方向、半径方向、角度方向、その他)動く指(又はオブジェクト)から、トラックパッド34上の特定の位置を保持する指から、及び/又はトラックパッド34の特定の位置をタップする指による入力を受け取るよう構成することができる。理解されるように、タッチパッド34は、片手操作を容易にすることができ、すなわち、ユーザに1つ又はそれ以上の指で電子デバイスと対話させることができる。
【0063】
トラックパッド34は、広範囲にわたって変えることができる。例えば、タッチパッド34は、直交座標系に基づく従来のトラックパッドとすることができ、或いはトラックパッド34は、極座標系に基づくタッチパッドとすることができる。極座標に基づくタッチパッドの実施例は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、2002年7月1日に出願された名称「TOUCHPAD FOR HANDHELD DEVICE(ハンドヘルドデバイスのためのタッチパッド)」のZadesky他に付与された米国特許第7,046,230号で見出すことができる。
【0064】
トラックパッド34は、相対又は絶対モードで使用することができる。絶対モードでは、トラックパッド34は、タッチされている場所の絶対座標を記録する。例えば、直交座標系の場合はx、y、或いは極座標系の場合は(r、θ)である。相対モードでは、トラックパッド34は、変化の方向及び/又は距離を記録する。例えば、左/右、上/下、及び同様のものである。ほとんどの場合、トラックパッド34によって生成された信号は、指がトラックパッド34の表面全体を移動したときの指の方向と同じ方向にディスプレイ画面上の動きを向ける。
【0065】
トラックパッド34の形状は、広範囲にわたって変えることができる。例えば、トラックパッド34は、円形、楕円、方形、矩形、三角形、及び同様のものとすることができる。一般に、トラックパッド34の外周は、トラックパッド34の作業境界を定める。図示の実施形態では、トラックパッドは矩形である。矩形のトラックパッドは、ラップトップコンピュータでは一般的である。円形トラックパッドによって、ユーザは、連続して自由に指を旋回させることが可能になり、すなわち、中断することなく指を360度回転させることができる。更に、ユーザは、全ての側部から接線方向に指を回転させることができ、従って、より大きな範囲の指位置を与えることになる。これらの特徴の両方は、スクローリング機能を実施するときの助けとなり、円形トラックパッドをポータブルメディアプレーヤー(例えば、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPodメディアプレーヤー)で使用するのに有利となる。更に、トラックパッド34のサイズは、一般に、ユーザによる操作をし易くすることができるサイズ(例えば、指先のサイズ又はそれよりも大きい)に対応する。
【0066】
一般に堅固な平面のプラットフォームの形態を取るトラックパッド34は、トラックパッドの操作のための、指(又はオブジェクト)を受けるためのタッチ可能外側トラック表面36を含む。図9に示されていないが、タッチ可能外側トラック表面36の下には、その上の指の圧力及び/又は動きのようなことを感知するセンサ構成がある。センサ構成は通常、複数のセンサを含み、これらは、その上に指が載った、タップした、或いは通過したときに作動するよう構成されている。最も単純なケースでは、指がセンサの上に位置付けられる度に電子信号が生成される。所与の時間フレームにおける信号の数は、トラックパッド34上の指のロケーション、方向、速度、及び加速度を示すことができ、すなわち、信号が多い程、ユーザがより多く指を動かしていることになる。ほとんどの場合、信号は、信号の数、組合せ、及び頻度をロケーション、方向、速度、及び加速度情報に変換する電子インターフェースによってモニターされる。次いで、この情報は、ディスプレイ画面上の所望の制御機能を実行するために電子デバイスが使用することができる。センサ構成は広範囲にわたって変えることができる。例証として、センサは、抵抗感知、表面弾性波感知、圧力感知(例えば、歪みゲージ)、赤外線感知、光感知、分散信号技術、音響パルス認識、静電容量感知、及び同様のものに基づくことができる。
【0067】
図示の実施形態では、トラックパッド34は静電容量感知に基づいている。一般的に知られるように、静電容量ベースのトラックパッドは、ユーザが指などの物体をトラックパッドの周りで動かしたときの静電容量の変化を検出するよう構成されている。多くの場合、静電容量トラックパッドは、保護シールド、1つ又はそれ以上の電極層、回路基板及び特定用途向け集積回路(ASIC)を含む関連の電子機器を含む。保護シールドは、電極を覆って配置され、該電極は、回路基板の上表面上に実装され、ASICは、回路基板の下表面上に実装される。保護シールドは、下層を保護し、指がスライドできるようにする表面を提供する役割を果たす。表面は、一般に、指が移動時に表面につかえないように滑らかである。保護シールドはまた、指と電極層の間の絶縁層を提供する。電極層は、複数の空間的に別個の電極を含む。どのような好適な数の電極を用いてもよい。ほとんどの場合、より解像度を高めるために電極の数を増やすことが望ましく、すなわち、加速度などの事柄に対してより多くの情報を使用することができる。
【0068】
静電容量感知は、静電容量の原理に従って作動する。理解されるように、2つの導電性部材が実際にタッチすることなく互いに近接するようになるときは必ず、これらの電界が相互作用して静電容量を形成する。上述の構成では、第1の導電性部材が電極の1つ又はそれ以上であり、第2の導電性部材が、例えばユーザの指である。従って、指がタッチパッドに近付いたときに、指と指に近接した電極との間で僅かな静電容量が形成される。電極の各々における静電容量は、回路基板の裏面に位置付けられたASICによって測定される。電極の各々における静電容量の変化を検出することによって、ASICは、指がタッチパッド全体にわたって移動したときの指のロケーション、方向、速度、及び加速度を求めることができる。またASICは、電子デバイスによって使用できる形式でこの情報を記録することができる。
【0069】
1つの実施形態によれば、トラックパッド34は、信号の別のセット(追跡信号以外)を起動するようにフレーム32に対して移動可能である。例証として、堅固な平面プラットフォームの形態のトラックパッド34は、フレーム32に対して回転、枢動、スライド、並進、屈曲及び/又は同様のことを行うことができる。トラックパッド34は、フレーム32に結合することができ、及び/又はフレーム32によって移動可能に保持することができる。例証として、トラックパッド34は、ネジ、アクセル、ピンジョイント、スライダジョイント、ボールソケットジョイント、屈曲ジョイント、マグネット、クッション、及び/又は同様のものを介してフレーム32に結合することができる。トラックパッド34はまた、フレームのスペース内で浮動させることができる(例えば、ジンバル)。入力デバイス30は、枢動/並進ジョイント、枢動/屈曲ジョイント、枢動/ボールソケット形ジョイント、並進/屈曲ジョイント、及び同様のものなどのジョイントの組合せを付加的に含み、運動の範囲を広げる(例えば、自由度を向上させる)ことができる点に留意されたい。移動時には、タッチパッド34は、1つ又はそれ以上の信号を生成する回路を作動するよう構成される。回路は、一般に、スイッチ、センサ、エンコーダ、及び同様のものなどの1つ又はそれ以上の移動インジケータを含む。ジンバル付きトラックパッドの実施例は、全ての目的においてその全体が引用により本明細書に組み込まれる、名称「MOVABLE TOUCH PAD WITH ADDED FUNCTIONALITY(機能が追加された可動タッチパッド)」の2003年8月18日に出願された米国特許出願連番第10/643,256号に見出すことができる。
【0070】
図示の実施形態では、トラックパッド34は、「ピッキング」動作を行う押下可能ボタンの形態を取る。すなわち、トラックパッド34全体の一部分が単一又は複数のボタンのように動作し、その結果、1つ又はそれ以上の付加的なボタン機能が、トラックパッド上のタップ又は別個のボタン/別個のゾーンの使用ではなく、トラックパッド34を押すことによって実現することができる。図10A及び10Bに示されるように、本発明の1つの実施形態によれば、指38、手掌、手、又は他のオブジェクトからの力がトラックパッド34に加えられたときに、トラックパッド34は、直立(又はニュートラル)位置(図10A)と押下(作動)位置(図10B)との間で動くことができる。力は、ボタン信号の偶発的な作動を可能にするほど小さくする必要はないが、過度の圧力を必要とすることによってユーザに不快を感じさせる程大きくすべきではない。トラックパッド34は通常、例えば屈曲ヒンジ、バネ部材、又はマグネットなどを介して、直立位置で付勢される。トラックパッド34は、トラックパッド34を押している物体によって付勢に打ち勝ったときに作動位置に移動する。図10Cに示されるように、トラックパッド34は、作動位置がニュートラル位置に対してわずかに傾斜するように一方端で枢動することができる。指(又は他の物体)がトラックパッド34から取り除かれたときには、付勢部材がニュートラル位置に向かってトラックパッド34を押し戻す。シム又は他の構造体(図示せず)は、トラックパッド34が戻るときにニュートラル位置を行き過ぎるのを防ぐことができる。例えば、フレーム32の一部は、トラックパッド34の一部の上を外側に延びて、トラックパッド34をニュートラル位置に止めておくようにすることができる。このようにして、トラック表面は、必要に応じてフレーム32と同一平面に維持することができる。例えば、ラップトップコンピュータ又はハンドヘルドメディアデバイスでは、トラックパッドをコンピュータ又はデバイスのハウジングと同一平面にすることが望ましいとすることができる。
【0071】
図10Aに示されるように、直立/ニュートラル位置では、ユーザの指などの物体がx、y平面においてタッチパッドの上表面上で移動したときに、トラックパッド34が追跡信号を生成する。図10Aは、直立状態としてニュートラル位置を示しているが、ニュートラル位置は、あらゆる方向で位置付けることができる。図10Bに示されるように、押下位置(z方向)では、トラックパッド34は1つ又はそれ以上のボタン信号を発生する。ボタン信号は、限定ではないが、電子デバイスを動作させることに関連付けられた選択の実施又はコマンドの送出を含む、種々の機能に使用することができる。例証として、音楽プレーヤーの場合、ボタン機能は、メニューを開くこと、曲を再生すること、曲を早送りすること、メニューの中を捜すこと、及び同様のことに関連付けることができる。ラップトップコンピュータの場合、ボタン機能は、メニューを開く、テキストを選択する、アイコンを選択する、及び同様のことに関連付けることができる。図10Dに示されるように、入力デバイス30は、追跡信号とボタン信号の両方を同時に提供するよう構成することができ、すなわち、トラック表面に沿って接線方向に(すなわち、x、y方向に)動かしながら同時にタッチパッド34をz方向に押下する。他の場合では、入力デバイス30は、タッチパッド34が押下されたときにボタン信号のみを提供し、タッチパッド34が直立にあるときにトラック信号を提供するよう構成することができる。
【0072】
詳細に説明すると、トラックパッド34は、1つ又はそれ以上の移動インジケータを作動するよう構成され、これらは、トラックパッド34が作動位置に動いたときにボタン信号を生成することができる。移動インジケータは通常、フレーム32内に位置付けられ、トラックパッド34及び/又はフレーム32に結合することができる。移動インジケータは、スイッチ及びセンサのあらゆる組合せとすることができる。スイッチは、一般に、作動(オン)又は非作動(オフ)などのパルス又はバイナリデータを提供するよう構成されている。例証として、トラックパッド34の下面部分は、ユーザがトラックパッド34を押したときにスイッチに接触又は係合する(従って作動する)よう構成することができる。他方、センサは、一般に、連続した又はアナログデータを提供するよう構成されている。例証として、ユーザがトラックパッド34を押したときに、センサは、フレームに対してタッチパッド34の位置又は傾き量を測定するよう構成することができる。あらゆる好適な機械的、電気的及び/又は光学的スイッチ又はセンサを使用することもできる。例えば、タクトスイッチ、力感知抵抗器、圧力センサ、近接センサ、及び同様のものを使用することができる。
【0073】
図8−10に示されるトラックパッド10及び30は、幾つかの実施形態ではマルチタッチトラックパッドとすることができる。マルチタッチは、タッチ表面(画面、テーブル、壁部、その他)又はタッチパッド、並びに1つのタッチポイントのみを認識する標準的なタッチ画面(例えば、コンピュータタッチパッド、ATM)とは対照的に、複数の同時タッチポイントを認識するソフトウェアからなる。この作用は、限定ではないが、静電容量感知、抵抗感知、表面弾性波感知、熱、指圧力、高キャプチャレートカメラ、赤外光、光キャプチャ、同調電磁誘導、及びシャドーキャプチャを含む、多種多様な手段を介して達成される。マルチタッチ移動電話の実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPhoneである。マルチタッチメディアデバイスの実施例は、Apple社によって製造されたiPod Touchである。マルチタッチトラックパッドを有するラップトップコンピュータの実施例は、Apple社によって製造されたMacBook Air及びMacBook Proである。本明細書に記載される入力デバイスの全ては、幾つかの実施形態ではマルチタッチ技術を利用することができ、或いは、本明細書に記載される入力デバイスは、シングルタッチトラックパッドを利用してもよい。
【0074】
図11は、本発明の1つの実施形態によるコンピューティングシステム39の概略ブロック図である。コンピューティングシステムは、一般に、コンピューティングデバイス42に動作可能に接続された入力デバイス40を含む。例証として、入力デバイス40は、一般に、図9及び10に示された入力デバイス30に対応することができ、コンピューティングデバイス42は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、PDA、メディアプレーヤー、移動電話、スマートフォン、ビデオゲーム、又は同様のものに対応することができる。図示のように、入力デバイス40は、押下可能なトラックパッド44及び1つ又はそれ以上の移動インジケータ46を含む。トラックパッド44が押下されたときに、トラックパッド44は追跡信号を発生するように構成され、移動インジケータ46はボタン信号を生成するよう構成されている。トラックパッド44は広範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド44は、静電容量センサ48と、センサ48からの位置信号を収集して、該信号をコンピューティングデバイス42に供給するための制御システム50とを含む。制御システム50は、センサ48からの信号をモニターし、モニターされた信号のロケーション(直交又は角度)、方向、速度、及び加速度を計算し、更にこの情報をコンピューティングデバイス42のプロセッサに記録するよう構成されている特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。移動インジケータ46もまた、広範囲にわたって変えることができる。しかしながら、この実施形態では、移動インジケータ46は、トラックパッド44が押下されたときにボタン信号を発生するスイッチの形態を取る。スイッチ46は、機械、電気又は光スタイルスイッチに対応することができる。1つの特定の実施では、スイッチ46は、ボタン信号を発生するためにトラックパッド44によって押すことのできる突出アクチュエータ52を含む機械スタイルスイッチである。例証として、スイッチは、タクトスイッチ又は触覚ドームとすることができる。
【0075】
トラックパッド44及びスイッチ46の両方は、通信インターフェース54を介してコンピューティングデバイス42に動作可能に結合される。通信インターフェースは、入力デバイスと電子デバイスとの間の直接又は間接接続のための接続ポイントを提供する。通信インターフェース54は、有線(電線、ケーブル、コネクタ)又は無線(例えば、送信器/受信器)とすることができる。
【0076】
コンピューティングデバイス42は、一般に、コンピューティングデバイス42に関連付けられた命令を実行しオペレーションを実施するよう構成されたプロセッサ55(例えば、CPU又はマイクロプロセッサ)を含む。例えば、メモリから取り出された命令を使用して、プロセッサは、コンピューティングデバイス42の構成要素間の入力及び出力データの受け取り及び操作を制御することができる。ほとんどの場合、プロセッサ55は、オペレーティングシステム又は他のソフトウェアの制御下で命令を実行する。プロセッサ55は、シングルチッププロセッサとすることができ、或いは複数のコンポーネントを実装することができる。
【0077】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合された入力/出力(I/O)コントローラ56を含む。I/Oコントローラ56は、プロセッサ54と一体化することができ、或いは図示のように別個の構成要素とすることができる。I/Oコントローラ56は、一般に、コンピューティングデバイス42に結合できる1つ又はそれ以上のI/Oデバイス、例えば入力デバイス40との対話を制御するように構成されている。I/Oコントローラ56は、一般に、コンピューティングデバイス42と、コンピューティングデバイス42との通信を望むI/Oデバイスとの間でデータを交換することによって動作する。
【0078】
コンピューティングデバイス42はまた、プロセッサ54に動作可能に結合されたディスプレイコントローラ58を含む。ディスプレイコントローラ58は、プロセッサ54と一体化することができ、或いは図示のように別個の構成要素とすることができる。ディスプレイコントローラ58は、ディスプレイ画面60上にテキスト及びグラフィクスを生成するためのディスプレイコマンドを処理するよう構成されている。例証として、ディスプレイ画面60は、モノクロディスプレイ、カラーグラフィクスアダプタ(CGA)ディスプレイ、拡張グラフィクスアダプタ(EGA)ディスプレイ、可変グラフィクスアレイ(VGA)ディスプレイ、スーパーVGAディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)(例えば、アクティブマトリクス、パッシブマトリクス、及び同様のもの)、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイ、バックライト発光ダイオード(LED)LCDディスプレイ、又は同様のものとすることができる。
【0079】
1つの実施形態(図示せず)では、トラックパッド44は、タッチ感知式表面としてだけでなくディスプレイ画面としても機能するガラス表面を含むことができ、この場合、図11に示されるディスプレイ画面60は、トラックパッド44のガラス表面と一体化させることができる。これは、タッチ感知式ディスプレイを有するコンピューティングデバイス(例えば、メディアプレーヤー又は移動電話)において有用とすることができる。タッチ感知式ディスプレイを有するメディアプレーヤーの実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPod Touchである。タッチ感知式ディスプレイを有する移動電話の実施例は、カリフォルニア州クパティーノ所在のApple社によって製造されたiPhoneである。
【0080】
ほとんどの場合、オペレーティングシステムを備えたプロセッサ54は、コンピュータコードを実行して、データを作成及び使用するよう動作する。コンピュータコード及びデータは、プロセッサ54に動作可能に結合されたプログラム記憶エリア62内に常駐することができる。プログラム記憶エリア62は、一般に、コンピューティングデバイス42によって使用されるデータを保持する場所を提供する。例証として、プログラム記憶エリアは、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ及び/又は同様のものを含むことができる。コンピュータコード及びデータは、取り外し可能プログラム媒体上に常駐させることができ、必要なときにコンピューティングデバイスにロード又はインストールすることができる。1つの実施形態では、プログラム記憶エリア62は、入力デバイス40によって生成された追跡信号及びボタン信号がコンピューティングデバイス42によってどのように使用されるかを制御するための情報を記憶するよう構成されている。
【0081】
図12は、フレーム76に接続されたトラックパッド72を含む、全体が70で示された入力デバイスの1つの実施形態を示す。フレーム76は、独立型入力デバイス用のハウジングとすることができ、或いは、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ハンドヘルドメディアデバイス、PDA、移動電話、スマートフォンなどのトラックパッド72を組み込む別のデバイス用のケースとすることができる。トラックパッド72は、指の動きを追跡するためのタッチ感知式外側トラック表面74を含む種々の層を含む。トラック表面74はまた、低摩擦化粧表面を提供することができる。1つの実施形態では、トラックパッド72は、静電容量感知に基づいており、従って、例えばPCBに実装することができる電極層80を含む。静電容量感知の場合、トラック表面74は誘電材料である。補強材84は電極層80の下に位置付けられる。補強材84は図12及び図13に示されているが、幾つかの実施形態では省略することができる。補強材84を用いて、電極層80の固有の可撓性を補償することができる。電極層80は、信号をセンサ82に送ることによって、トラック表面74に沿った指の動きに応答する。静電容量感知の場合、電極層80は、指の動きに基づく静電容量の変化を登録し、センサ82は静電容量センサである。このように、トラックパッド72は、タッチセンサ構成を組み込む。センサ82は、電極層80の下部に配置されて示されているが、他の実施形態では別の場所に位置付けることができる。図示の実施形態のように、センサ82がトラックパッド72の可動部分に位置付けられている場合、入力デバイスは、システムと共に移動可能な可撓性の電気接続部(図示せず)を組み込むことができる。
【0082】
移動インジケータ78は、トラックパッド72の下部に配置されている。移動インジケータ78は、広範囲にわたって変えることができるが、この実施形態では、トラックパッド72とフレーム76の間に通常は配置される機械的スイッチの形態を取る。他の実施形態では、移動インジケータ78は、センサ、例えば電気センサとすることができる。移動インジケータ78は、フレーム76又はトラックパッド72に取り付けることができる。図示の実施形態では、移動インジケータ78は、電極層80の下部側に取り付けられている。例証として、電極層80がPCB上に位置付けられている場合、移動インジケータ78は、PCBの下部に位置付けることができる。別の実施例では、移動インジケータ78は、タクトスイッチの形態を取ることができ、更に具体的には、SMTドームスイッチ(SMT用にパッケージされたドームスイッチ)とすることができる。
【0083】
トラックパッド72は、図12ではニュートラル位置に図示されており、ここでは移動センサ78はフレーム76に接触していない。ユーザがトラック表面74に下向きの圧力を加えると、トラックパッド72は下向きに移動し、移動センサ78がこの位置の変化を登録するようにさせる。図示の実施形態では、移動センサ78(タクトスイッチ)は、フレーム76、或いはこの場合はセットスクリュー88のいずれかに接触することになる。セットスクリュー88は、ニュートラル位置と作動位置との間の距離を変えるように手動調節することができる。1つの実施形態(図示せず)では、セットスクリュー88は、システムにおけるゆるみ又は事前の移動がないように、ニュートラル位置で移動センサ78に直接当接することができる。屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72をフレーム76に接続する。屈曲ヒンジ86は、力が加えられたときに屈曲する弾性材料であるが、トラックパッド72をニュートラル位置に戻そうとする回復力を作用させる。1つの実施形態では、屈曲ヒンジ86は、薄いバネ鋼とすることができる。
【0084】
図13に示されるように、屈曲ヒンジ86は、ユーザがトラック表面74を下方に押したときに屈曲する。屈曲ヒンジ86は、図12に示される図示の実施形態では水平であるニュートラル位置にトラックパッド72を押し戻そうとする。このように、ユーザは、トラック表面74上のあらゆる場所を実質的に下方に押して、移動インジケータ78がこの押下を登録することを意味する「ピック」を引き起こすことができる。これは、別個のトラックゾーン及びピックゾーンを組み込む従来のトラックパッドとは対照的である。トラック表面74上のあらゆる場所をピックできることで、より直感的で快適なインターフェースをユーザに提供することになる。例えば、ユーザは、トラック表面74から指を取り除く必要なく、単一の指で追跡及びボタン信号を生成することができる。対照的に、別個のトラック及びピックゾーンを備えたトラックパッドを操作するユーザは、例えば、追跡用に右手と、ピッキング用に左手を、或いは、追跡用に人差し指とピッキング用に親指とを使用する可能性がある。
【0085】
フレーム76の拡張部分又は別個の部材とすることができるショルダー部90は、トラックパッド72の一部、例えば補強材84に接触することによってトラックパッド72がニュートラル位置を行き過ぎるのを阻止する。このように、トラック表面74は、フレーム76の上表面と実質的に同一平面に維持することができる。トラックパッド72とショルダー部90との間の接触を和らげるために、ショルダー部90と共に衝撃吸収材又はアップストップ(図示せず)を組み込むことができる。
【0086】
理解されるように、トラック表面74を押すことによって発生するピックは、画面上の項目の選択、ファイル又は文書を開く、命令の実行、プログラムの開始、メニューの閲覧、及び/又は同様のことを含むことができる。ボタン機能はまた、例えば、ズーム、スクロール、種々のメニューを開く、入力ポインタを定位置に戻す、エンター、削除、挿入、ページアップ/ダウン、及び同様のことなどのキーボードに関係した動作を行うといった、電子システムのナビゲートを容易にする機能を含むことができる。
【0087】
屈曲ヒンジ86は、実施可能な最小の垂直スペース内で可動トラックパッドを可能にする。屈曲ヒンジ86が薄く、一般にトラックパッド72の下部層に並行に位置付けられので、最小垂直スペースが達成され、その結果、屈曲ヒンジ86は、トラックパッド72の厚みをそれ程増大させることはない。従って、この構成は、超薄ラップトップコンピュータでの使用に適している。このような超薄ラップトップコンピュータ用途では、垂直スペースが極めて制限される。これまでのところ、電子部品のサイズは、どれ程小さな電気デバイスを作成できるかに関して限定される特徴であることが多かった。今日では、電子部品は益々小型化されており、これは、機械構成要素(例えば、可動トラックパッド)が重要なサイズ制限構成要素になる可能性があることを意味している。この理解によって、線形的作動(例えば、コイルバネ又は同様のものによって可動トラックパッドを支持すること)がアプリケーションによっては理想的なことではない理由を理解するのが容易になる。更に、バネを使用することは、製造プロセスに不必要な複雑さ(部品点数の増加、高コスト、故障率増大など)を加える可能性がある。バネの別の欠点は、実施形態によっては、バネが触覚スイッチの力分布を遮断又は損なう可能性がある点である。対照的に、屈曲部86は、トラック表面74全体に実質的に一定の感覚を提供し、ユーザに触覚スイッチ力分布のより忠実な表示を与えることができる。
【0088】
ここで図13を参照すると、本発明の1つの実施形態に従って、ユーザがトラックパッド72のトラック表面74を押したときに、トラックパッド72が下方向に枢動することにより、その下に配置されたスイッチ78が起動される。起動されると、スイッチ78は、入力デバイス70に接続された電子デバイスによって使用することができるボタン信号を生成する。屈曲部86は、トラックパッド72を実質的に1つの軸の周りだけで移動するよう拘束することができる。これは、例えば、背面側などのトラックパッド72の一方の側部上の軸に沿って配列された複数の屈曲部を使用することによって達成することができる。更に、トラックパッド72が剛直(例えば、必要な場合に補強材84を含めることによって)に作られている場合、均一化アーキテクチャが達成される。言い換えると、屈曲ヒンジ86は、ニュートラル位置に向けてトラックパッド72を押し戻そうとし、更に、実質的に1つだけの軸、すなわち、屈曲ヒンジ86がフレーム76に接続される軸の周りの移動を可能にする。
【0089】
本発明の実施形態を添付図面を参照しながら詳細に説明してきたが、種々の変更及び修正が当業者に明らかになるであろう点に留意されたい。このような変更及び修正は、添付の請求項によって定義される本発明の実施形態の範囲内に含まれるものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0090】
100 デバイス
101 マルチタッチトラックパッド
102 ベース
103 ヒンジ
104 スイッチ
110 ラップトップコンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたデバイス。
【請求項2】
前記修正モジュールに結合された1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールを更に備え、前記修正モジュールが、前記修正されたユーザデータを前記1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールに送るように更に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ユーザインターフェースデバイスがトラックパッドであり、前記タッチセンシングパネルが前記トラックパッドの上表面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスがラップトップコンピュータである、
ことを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ユーザインターフェースデバイスがマウスであり、前記タッチセンシングパネルが前記マウスの上表面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスがデスクトップコンピュータである、
ことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記タッチセンシングパネルがマルチタッチセンシングパネルである、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記修正モジュールは、ピック入力が複数の指タッチ入力と同時に入力され、他のタッチ入力が受け取られなかったときには、前記ピック入力の修正を行わないように構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が複数の指タッチ入力と同時に入力され且つ前記指タッチ入力の数が予め定められた数よりも大きいときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの端部の指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力の修正を行わないよう構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた1つ又はそれ以上の手掌タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられていない指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力の修正を行わないよう構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたときに、ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項15】
進行中のジェスチャーの一部であると前記修正モジュールによって認識されたタッチ入力が入力されている間に前記ピック入力が入力されたときには、前記修正モジュールは、ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項16】
前記修正モジュールは、前記マルチタッチパネルの下側部分に最初に位置付けられた後、前記下側部分から離れる第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が前記下側部分から離れていく間に移動する第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記第2指タッチ入力が予め定められた距離よりも長い距離を移動した場合に前記第1指タッチ入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であり、前記最低経路入力は、相対的に低く位置付けられ且つ固定であるとして複数の同時指タッチ入力から選択された指タッチ入力である、
ことを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記修正モジュールは、移動している第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が移動している間に検出された第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記第2指タッチ入力が現われたとき、前記第1指タッチ入力が少なくとも予め定められた時間期間に移動した後に前記第2指タッチ入力が現われた場合に、前記第1指タッチ入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であり、前記最低経路入力は、相対的に低く位置付けられ且つ固定であるとして複数の同時指タッチ入力から選択された指タッチ入力である、
ことを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記修正モジュールは、複数の指タッチ入力及びピック入力を示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記複数の指タッチ入力から最低経路入力を選択し、前記最低経路入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項21】
(i)前記ピック入力が進行中である、及び(ii)前記最低経路が唯一の検出されたタッチではない、ことの1つ又は両方が真である少なくともその間に、前記最低経路入力が拒否される、
ことを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記修正モジュールは、前記ピック入力がロックされていることを示す入力データを引き続き受け取り、前記修正モジュールは、前記最低経路が親指経路であるかどうかが判定され、親指経路であると判定された場合には前記最低経路を継続して拒否し、或いは親指経路でないと判定された場合には前記最低経路を許可するように構成される、
ことを特徴とする請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記修正モジュールは、1つ又はそれ以上の指タッチ入力を示す入力データを受け取り、前記指タッチ入力の少なくとも1つは、非ゼロ速度及びピック入力を有し、前記修正モジュールは、前記ピック入力の検出後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項24】
前記速度を修正することは、前記速度を低下させることを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記速度の修正量は、前記ピック入力の検出からの時間が経過するにつれて低減される、
ことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記修正モジュールは、少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、進行中のピック入力の中断とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記進行中のピック入力の中断後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項27】
タッチセンシングパネル上のタッチ事象と、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象とを検出できる組合せユーザインターフェースデバイスによって検出されたユーザインターフェース事象を処理する方法であって、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定する段階と、
前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除く段階と、
を含む方法。
【請求項28】
前記修正されたユーザデータを1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールに送る段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
複数の指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すと共に他のタッチ入力がないことを示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
予め定められた数よりも多い複数の指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記マルチタッチパネルの端部で指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた1つ又はそれ以上の手掌タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられていない指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項36】
複数の移動しているタッチ入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記複数の移動しているタッチ入力を進行中のタッチジェスチャーの一部として認識する段階と、
進行中のジェスチャーの一部として認識された前記タッチ入力が入力されている間に入力されているピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記マルチタッチパネルの下側部分に最初に位置付けられた後、前記下側部分から離れる第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が前記下側部分から離れていく間に移動する第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記第1指タッチ入力が前記下側部分から出る前に前記第2指タッチ入力が予め定められた距離よりも長い距離を移動したことを判定する段階と、
前記第1指タッチ入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であると判定する段階を更に含み、前記判定が、前記第1指タッチ入力の高さ及び移動に伝えられるようにし、前記第1指タッチ入力が、他の指タッチ入力に比べて相対的に固定であり且つ前記マルチタッチパネル上の低い位置にある、
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
移動している第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が移動している間に検出される第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記第1指タッチ入力が予め定められた時間期間に移動した後で前記第2指タッチ入力が現われたことを判定する段階と、
前記第1指タッチ入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であると判定する段階を更に含み、前記判定が、前記第1指タッチ入力の高さ及び移動に伝えられるようにし、前記第1指タッチ入力が、他の指タッチ入力に比べて相対的に固定であり且つ前記マルチタッチパネル上の低い位置にある、
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
複数の指タッチ入力を示す入力データを受け取る段階と、
前記複数の指タッチ入力の1つが最低経路入力であることを判定する段階と、
前記ピック入力が進行中である間に前記最低経路入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項42】
(i)前記ピック入力が進行中である、及び(ii)前記最低経路が唯一の検出されたタッチではない、ことの1つ又は両方が真である少なくともその間に、前記最低経路入力を継続的に拒否する段階を更に含む、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ピック入力がロックされていることを示す入力データを受け取る段階と、
前記最低経路が親指経路であるかどうかを判定する段階と、
親指経路であると判定された場合には前記最低経路を継続して拒否し、或いは親指経路でないと判定された場合には前記最低経路を許可する段階と、
を更に含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、ピック入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力の検出後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記速度を修正する段階が、前記速度を低下させる段階を含む、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記速度の修正量は、前記ピック入力の検出からの時間が経過するにつれて低減される、
請求項44に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、進行中のピック入力の中断とを示す入力データを受け取る段階と、
前記進行中のピック入力の中断後の非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項48】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたコンピュータ。
【請求項49】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたコンピュータマウス。
【請求項1】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたデバイス。
【請求項2】
前記修正モジュールに結合された1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールを更に備え、前記修正モジュールが、前記修正されたユーザデータを前記1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールに送るように更に構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ユーザインターフェースデバイスがトラックパッドであり、前記タッチセンシングパネルが前記トラックパッドの上表面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスがラップトップコンピュータである、
ことを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ユーザインターフェースデバイスがマウスであり、前記タッチセンシングパネルが前記マウスの上表面である、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デバイスがデスクトップコンピュータである、
ことを特徴とする請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記タッチセンシングパネルがマルチタッチセンシングパネルである、
ことを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記修正モジュールは、ピック入力が複数の指タッチ入力と同時に入力され、他のタッチ入力が受け取られなかったときには、前記ピック入力の修正を行わないように構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が複数の指タッチ入力と同時に入力され且つ前記指タッチ入力の数が予め定められた数よりも大きいときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの端部の指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力の修正を行わないよう構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた1つ又はそれ以上の手掌タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項12】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられていない指タッチ入力と同時に入力されたときに、前記ピック入力の修正を行わないよう構成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
前記修正モジュールは、前記ピック入力が前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたときに、ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項15】
進行中のジェスチャーの一部であると前記修正モジュールによって認識されたタッチ入力が入力されている間に前記ピック入力が入力されたときには、前記修正モジュールは、ピック入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項16】
前記修正モジュールは、前記マルチタッチパネルの下側部分に最初に位置付けられた後、前記下側部分から離れる第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が前記下側部分から離れていく間に移動する第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記第2指タッチ入力が予め定められた距離よりも長い距離を移動した場合に前記第1指タッチ入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であり、前記最低経路入力は、相対的に低く位置付けられ且つ固定であるとして複数の同時指タッチ入力から選択された指タッチ入力である、
ことを特徴とする請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記修正モジュールは、移動している第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が移動している間に検出された第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記第2指タッチ入力が現われたとき、前記第1指タッチ入力が少なくとも予め定められた時間期間に移動した後に前記第2指タッチ入力が現われた場合に、前記第1指タッチ入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であり、前記最低経路入力は、相対的に低く位置付けられ且つ固定であるとして複数の同時指タッチ入力から選択された指タッチ入力である、
ことを特徴とする請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記修正モジュールは、複数の指タッチ入力及びピック入力を示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記複数の指タッチ入力から最低経路入力を選択し、前記最低経路入力を拒否するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項21】
(i)前記ピック入力が進行中である、及び(ii)前記最低経路が唯一の検出されたタッチではない、ことの1つ又は両方が真である少なくともその間に、前記最低経路入力が拒否される、
ことを特徴とする請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記修正モジュールは、前記ピック入力がロックされていることを示す入力データを引き続き受け取り、前記修正モジュールは、前記最低経路が親指経路であるかどうかが判定され、親指経路であると判定された場合には前記最低経路を継続して拒否し、或いは親指経路でないと判定された場合には前記最低経路を許可するように構成される、
ことを特徴とする請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記修正モジュールは、1つ又はそれ以上の指タッチ入力を示す入力データを受け取り、前記指タッチ入力の少なくとも1つは、非ゼロ速度及びピック入力を有し、前記修正モジュールは、前記ピック入力の検出後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項24】
前記速度を修正することは、前記速度を低下させることを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
前記速度の修正量は、前記ピック入力の検出からの時間が経過するにつれて低減される、
ことを特徴とする請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記修正モジュールは、少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、進行中のピック入力の中断とを示す入力データを受け取り、前記修正モジュールは、前記進行中のピック入力の中断後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正するよう構成される、
ことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項27】
タッチセンシングパネル上のタッチ事象と、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象とを検出できる組合せユーザインターフェースデバイスによって検出されたユーザインターフェース事象を処理する方法であって、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定する段階と、
前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除く段階と、
を含む方法。
【請求項28】
前記修正されたユーザデータを1つ又はそれ以上のより高レベルのモジュールに送る段階を更に含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
複数の指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すと共に他のタッチ入力がないことを示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
予め定められた数よりも多い複数の指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記マルチタッチパネルの端部で指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた1つ又はそれ以上の手掌タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられていない指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力に修正を行わない段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記マルチタッチパネルの側部近くに位置付けられた手掌タッチ入力及び前記マルチタッチパネルの上部に位置付けられた指タッチ入力と同時に入力されたピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項36】
複数の移動しているタッチ入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記複数の移動しているタッチ入力を進行中のタッチジェスチャーの一部として認識する段階と、
進行中のジェスチャーの一部として認識された前記タッチ入力が入力されている間に入力されているピック入力を示すユーザ入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記マルチタッチパネルの下側部分に最初に位置付けられた後、前記下側部分から離れる第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が前記下側部分から離れていく間に移動する第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記第1指タッチ入力が前記下側部分から出る前に前記第2指タッチ入力が予め定められた距離よりも長い距離を移動したことを判定する段階と、
前記第1指タッチ入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であると判定する段階を更に含み、前記判定が、前記第1指タッチ入力の高さ及び移動に伝えられるようにし、前記第1指タッチ入力が、他の指タッチ入力に比べて相対的に固定であり且つ前記マルチタッチパネル上の低い位置にある、
ことを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
移動している第1指タッチ入力と、前記第1指タッチ入力が移動している間に検出される第2指タッチ入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記第1指タッチ入力が予め定められた時間期間に移動した後で前記第2指タッチ入力が現われたことを判定する段階と、
前記第1指タッチ入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記第1指タッチ入力が最低経路入力であると判定する段階を更に含み、前記判定が、前記第1指タッチ入力の高さ及び移動に伝えられるようにし、前記第1指タッチ入力が、他の指タッチ入力に比べて相対的に固定であり且つ前記マルチタッチパネル上の低い位置にある、
ことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
複数の指タッチ入力を示す入力データを受け取る段階と、
前記複数の指タッチ入力の1つが最低経路入力であることを判定する段階と、
前記ピック入力が進行中である間に前記最低経路入力を拒否する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項42】
(i)前記ピック入力が進行中である、及び(ii)前記最低経路が唯一の検出されたタッチではない、ことの1つ又は両方が真である少なくともその間に、前記最低経路入力を継続的に拒否する段階を更に含む、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記ピック入力がロックされていることを示す入力データを受け取る段階と、
前記最低経路が親指経路であるかどうかを判定する段階と、
親指経路であると判定された場合には前記最低経路を継続して拒否し、或いは親指経路でないと判定された場合には前記最低経路を許可する段階と、
を更に含む請求項42に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、ピック入力とを示す入力データを受け取る段階と、
前記ピック入力の検出後に非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記速度を修正する段階が、前記速度を低下させる段階を含む、
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記速度の修正量は、前記ピック入力の検出からの時間が経過するにつれて低減される、
請求項44に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つが非ゼロ速度を有する1つ又はそれ以上の指タッチ入力と、進行中のピック入力の中断とを示す入力データを受け取る段階と、
前記進行中のピック入力の中断後の非ゼロ時間期間に非ゼロ速度を有する全ての指タッチ入力の速度を修正する段階と、
を更に含む請求項28に記載の方法。
【請求項48】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたコンピュータ。
【請求項49】
その上のタッチ事象を感知するよう構成されたタッチセンシングパネルと、前記タッチセンシングパネルの物理的変形又は変位を含むピック事象を感知するよう構成された機械センサとを含むユーザインターフェースデバイスと、
前記ユーザインターフェースデバイスから感知されたタッチ及びピック事象を定義するユーザ入力データを受け取り、前記ユーザ入力データを調べて、意図しないユーザ入力が前記ユーザ入力データに影響を与えている可能性があるかどうかを判定し、前記ユーザ入力データを修正して前記意図しないユーザ入力の影響を取り除くようにする、よう構成された修正モジュールと、
を備えたコンピュータマウス。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−134895(P2010−134895A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84887(P2009−84887)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
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