説明

遺伝子ワクチンのための弱毒化vifDNA免疫化カセット

【課題】多成分遺伝子免疫原の一部としてvif(ビリオン感染性因子)補助遺伝子を含む、安全で有効な遺伝子抗HIVワクチンを設計する方法を提供する。
【解決手段】単離され、弱毒化された、非機能性vifタンパク質変異体であって、特定の配列:1の87−94位:Ile−Glu−Trp−Arg−Lys−Arg−Arg−Tyrおよび他の特定の配列:1の172−178位:Asp−Arg−Trp−Asn−Lys−Pro−Glnおよび図1のコンセンサス配列の37位にアミノ酸残基:GluまたはLysを含み、野生型Vif配列の75%が保存されており、天然の病原体を破壊することができるVif−特異性の体液性および/または細胞性の免疫応答性を誘導することができ、そして野生型Vifと比較してビリオン活性が存在しないか又は減じられている、単離され、弱毒化された、非機能性vifタンパク質変異体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病原性遺伝子のための遺伝子ワクチンとしての弱毒化、非機能性HIV vif免疫化カセットの製造および使用に関している。
【背景技術】
【0002】
ワクチン接種および免疫化とは一般的に、個体の免疫系に免疫応答を起こすことができ、病原体の攻撃に対しての防御に利用できるであろう非毒性作用剤の導入を意味している。免疫系は主として個体中に通常は存在しないタンパク質および他の大きな分子を同定することにより侵襲している”外来”組成物および作用剤を同定する。外来タンパク質とは、それに対して免疫応答が起こる標的を意味している。
【0003】
免疫系は外来であると同定された標的を除去するための多数の手段を提供できる。これらの手段には抗原認識および除去に関与する体液性および細胞性応答が含まれる。手短に言えば、体液性応答には、抗原へ特異的に結合する抗体を産生するB細胞が関係している。細胞性免疫応答には二つの武器がある。第一は、サイトカインを産生して免疫応答への別の免疫細胞の関与を惹起するヘルパーT細胞が関係している。第二は、抗原を認識でき、および抗原(抗原が結合されている細胞または粒子を含んで)を攻撃できる、細胞毒性Tリンパ球(CTL)としても知られているキラーT細胞が関係している。
【0004】
ワクチン接種はいくつかのヒト病原体に対して保護を与えることに非常に貢献してきた。ウイルス、細菌および感染性真核生物体のような感染性病原性作用因子に対して個体を免疫化するための安全で有効なワクチンの研究において、今までいくつかの戦略が用いられてきた。各々の戦略は、免疫応答を惹起できる、病原体に関連する標的タンパク質を個体に投与することにより、病原体感染に対して個体を保護する目的を達成することをめざしている。従って、個体が感染性病原体で攻撃された場合、個体の免疫系は該タンパク質を認識でき、感染に対する有効な防御を準備できる。病原性タンパク質を提供するいくつかのワクチン戦略が存在し、それには非感染性またはより低い感染性作用剤の一部として、または非顕在性タンパク質組成物としてタンパク質を提供することが含まれる。
【0005】
感染に対して免疫化するための一つの方法では死菌または不活性化ワクチンを使用して、個体の免疫系に病原性タンパク質を存在させる。そのようなワクチンにおいては、病原体は例えば、加熱または化学物質の様な手段を用いて殺されているかまたはさもなくば不活性化されている。個体内への殺されたまたは不活性化された病原体の投与は、非感染性型で個体の免疫系へ病原体を存在させ、それにより個体はそれに対する免疫応答を準備できる。殺されたまたは不活性化された病原体ワクチンは、病原体免疫原に対するTヘルパーおよび体液性免疫応答を直接的に発生させることにより保護を行う。病原体は殺されているか、さもなくば不活性化されているため、感染の恐れはほとんどない。
【0006】
病原体に対するワクチン接種の別の方法は、弱毒化ワクチンを提供することである。弱毒化ワクチンは本質的には弱められた感染性を示す、生きているワクチンである。弱毒化ワクチンはその子孫がもはや有害でなくなるまで許容宿主で病原体をいくつかの世代にわたって経過させることによりしばしば製造される。弱毒化ワクチンを用いると、限られた感染性を示す作用因子が病原体に対する免疫応答を惹起するのに用いられるであろう。あるレベルの感染性を維持することにより、弱毒化ワクチンは低レベルの感染を引き起こし、死菌または不活性化ワクチンよりも強い免疫応答を惹起することができる。例えば、ポリオウイルスおよび痘瘡ワクチンのような生きている弱毒化ワクチンは、宿主の非病原性的感染の間に保護的Tヘルパー、T細胞毒性および体液性免疫性を刺激する。
【0007】
病原体に対して免疫化する別の手段は組換えワクチンによるものである。組換えワクチンには二つの型がある:一つは生じる作用因子を無毒にするために特定の遺伝子が欠損されている病原体である。本質的には、この型の組換えワクチンは設計により弱毒化されており、活性で無毒な感染性作用因子の投与を必要とし、それは宿主中で確立されると免疫応答を惹起するために使用される抗原を産生するようになる。組換えワクチンの第二の型は、標的抗原をコードする遺伝子材料が挿入されている感染性非毒性ベクターを用いている。この型の組換えワクチンは同様に活性で無毒な感染性作用因子の投与を必要とし、それは宿主中で確立されると免疫応答を惹起するために使用される抗原を産生するようになる。そのようなワクチンは本質的に感染性で無毒な作用因子を用いて病原体抗原を提供し、それはその後、抗病原体免疫応答のための標的として働くことができる。例えば、ワクチン接種のための発現系としてのワクチン開発は、より広いT細胞免疫応答を持つ感染性ワクチン接種戦略の安全性および開発を理論的に単純化した。
【0008】
感染に対する免疫化の別の方法はサブユニットワクチンを使用する。サブユニットワクチンは一般的に病原体に由来する一つまたはそれ以上の単離されたタンパク質から成っている。これらのタンパク質は個体により免疫応答が準備されるであろう標的抗原として作用する。病原体により個体が感染された場合、個体免疫系が病原体を認識しおよびそれに対する防御を準備するように、サブユニットワクチンのために選択されたタンパク質は病原体により呈示される。サブユニットワクチンは全感染作用因子ではないので、感染性になることはできない。従って、それらは他の型のワクチンに付随する望ましくない有害な感染性の危険を持っていない。肝炎B表面抗原ワクチン(HBsAg)のような組換えサブユニットワクチンは単一の抗原に対してより特異的な保護的Tヘルパーおよび体液性免疫応答を刺激することが報告されている。しかしながら、多様な病原体に対する広範囲の保護を刺激するためのこの技術の使用は確認されなければならない。
【0009】
有効なワクチンの構築は、病原体の病理生物学および宿主免疫応答の特異性を含むいくつかの因子のため複雑化されている。最近、これらの相互作用における免疫成分を理解するための新規の道具が遺伝子免疫化またはDNAワクチン接種の形で利用可能になってきた。Tang,efal.Nature,1992,356,152;Fynan,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,11478;Ulmer,et al.,Science,1993,259,1745;およびWang,et al,Proc.Natl.AcadSci.USA,1993,90,4156。この方法の能力はHIV−1の構造的および酵素的遺伝子産物に対する広範囲な免疫応答を産生することにより示されており、HIV−1のための可能な予防的ワクチン開発のための方法が概説されている。この方法はgag/pol/revならびにenv/revをコードしている多遺伝子発現カセットおよび遺伝子およびアクセサリー遺伝子免疫原を利用している。研究は齧歯類および霊長類ではHIV−1構造およびエンベロープ遺伝子によりうまく免疫化できることを示している。Wang,etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,4156およびWang,etal.,DNA Cell Biol.,1993,12,799。種々の病原体に対するDNA免疫原を使用するために広範囲に応用できる病原性遺伝子からの免疫原発現カセット構築のための遺伝子的戦略が必要とされている。
【0010】
霊長類レンチウイルスゲノムは新規調節および補助タンパク質並びに構造的および酵素的機能を持つタンパク質をコードしている。調節遺伝子tatおよびrev、および補助遺伝子nef、vif、vpr、vpuおよびvpxはHIVおよびSIVを含む多くのレンチウイルスでよく保存されている。これらの遺伝子がよく保存されていることは、これらのタンパク質産物がインビボにおけるウイルス発病の中心的役割を果たしていることを暗示している。最初のインビトロ実験はtatおよびrevはウイルス複製に必須であるが、一方、補助遺伝子は必須ではないと考えられたことを示しているようである。Cullen,etal.,Cell,1989,58,423およびDesrosiers,AIDS Res.Human Retroviruses,1992,8,411。しかしながら、さらなる分析により補助遺伝子内の欠陥はインビトロ(Gabudza,et al.,J.Virol.,1992,66,6489およびGibbs,et al.,AIDSRes.Human Retroviruses,1994,10,343)およびインビボ(Aldrovandi,et al.,J.Virol,1996,70,1505)におけるウイルス複製の高度の障害または遅延を生じさせることを明らかにした。負の欠陥補助遺伝子がインビトロで報告されており、有効な宿主免疫応答の最終生成物であるようである。それ故、補助遺伝子は現在の所、ウイルス毒性の決定基であると考えられている。Trono,Cell,1995,82,189。それらは二三の”ホットスポット”を含んでおり、および”逸脱”ウイルス変異体の生成を導く突然変異に対する感受性が多分低いので、ウイルス生活環における重要性が強調されている。加えて、これらの遺伝子のタンパク質産物はインビボで免疫原性である。群として、それらは可能な抗ウイルス免疫標的の20パーセントである。Ameisen,etal.,Int.Conf:AIDS,1989,5,533およびLamharnedi−Cherradi,etal.,AIDS,1992,6,1249。それらの免疫原性および低い機能的変異原性を合わせると、補助遺伝子は将来の抗ウイルス免疫治療の設計における魅力的な要素である。しかしながら、ウイルス毒性決定基としての補助遺伝子タンパク質産物の役割のため、補助遺伝子免疫原の生成はウイルスワクチン設計に特異的免疫学的および病理学的複雑化を生じさせる。有力なアクセサリー遺伝子に基づいた遺伝子ワクチンは、ウイルス複製を促進させることなく天然のウイルス補助遺伝子産物に対する宿主免疫応答に受け入れ可能である必要がある。従って、主たるゴールは、多成分遺伝子免疫原の一部としてvif(ビリオン感染性因子)補助遺伝子を含む、安全で有効な遺伝子抗HIVワクチンを設計することである。
【0011】
vif遺伝子は一回スプライスされたrev依存性5kb転写体からの23kDa後期ウイルスタンパク質(vif)をコードしている。Arya,etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1986,83,2209;Garrett,etal.,J.Virol.,1991,65,1653;Schwartz,et al.,Virol.,1991,183,677;およびSodroski,et al.,Science,1986,231,1549。vifは単離されたHIV−1間で高度に保存されており、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV)、ビスナウイルス、HIV−2およびSIVのような他のレンチウイルスにも存在している。Myers,efal.,Human Retrovir.AIDS,1991およびShackett,etal.,Virol.,1994,204,860。インビボvif遺伝子変異の初期の分析は、ほとんどのvif配列は無傷の読み枠であり、無傷のvifの存在は疾病状態とは相関しないことを示した。Sova,etal.,J.Virol.,1995,69,2557およびWieland,et al.,Virol.,1994,203,43。しかしながら、HIV−1感染長期経過者からのvif、vpr、vpu、tatおよびrev遺伝子を含んでいる領域の配列分析はクローンの64%における不活性化突然変異の存在を明らかにした。Michael,etal.,J.Virol,1995,69,4228。HIV−1感染患者は組換えvifタンパク質を認識する抗体を持っていることが示されており(Kan,etal.,Science,1986,231,1553;Schwander,et al.,J.Med.Virol.,1992,36,142;およびWieland,et al.,AlDS Res.Human Retrovir.,1991,7,861)、該タンパク質が発現され、天然の感染の間に免疫原性であることを示唆している(Volsky,etal.,Curr.Topics Micro.Immunol.,1995,193,157)。
【0012】
トランスでウイルス複製を活性化するvifの能力のため、毒性ウイルス、細菌または寄生虫成分から誘導されたワクチンの製造に利用されている設計と類似の弱毒化遺伝子ワクチン設計が本発明で用いられた。HIV−1感染患者に由来するvif遺伝子中に潜在的に存在する配列変異および免疫原性が分析された。プロトタイプ遺伝子変異が選択され、体液性および細胞性免疫応答を誘導するクローンの能力が動物で研究された。選択されたvif遺伝子変異はまた、vif欠損HIV−1クローンで感染された細胞を利用するトランス相補性アッセイにより機能的に特徴付けられた。弱毒化、非機能性vifクローンは天然の病原体を破壊できる免疫応答を誘導することが示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,108,921号
【特許文献2】米国特許第5,593,972号
【特許文献3】米国特許第5,589,466号
【特許文献4】米国特許第4,945,050号
【特許文献5】米国特許第5,036,006号
【特許文献6】PCT出願番号WO90/11092
【特許文献7】PCT出願番号WO93/17706
【特許文献8】PCT出願番号WO93/23552
【特許文献9】PCT出願番号WO94/16737
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Tang,ef al.Nature,1992,356,152
【非特許文献2】Fynan,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,11478
【非特許文献3】Ulmer,et al.,Science,1993,259,1745
【非特許文献4】Wang,et al,Proc.Natl.Acad Sci.USA,1993,90,4156
【非特許文献5】Wang,et al.,DNA Cell Biol.,1993,12,799
【非特許文献6】Cullen,et al.,Cell,1989,58,423
【非特許文献7】Desrosiers,AIDS Res.Human Retroviruses,1992,8,411
【非特許文献8】Gabudza,et al.,J.Virol.,1992,66,6489
【非特許文献9】Gibbs,et al.,AIDS Res.Human Retroviruses,1994,10,343
【非特許文献10】Aldrovandi,et al.,J.Virol,1996,70,1505
【非特許文献11】Trono,Cell,1995,82,189
【非特許文献12】Ameisen,et al.,Int.Conf:AIDS,1989,5,533
【非特許文献13】Lamharnedi−Cherradi,etal.,AIDS,1992,6,1249
【非特許文献14】Arya,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1986,83,2209
【非特許文献15】Garrett,et al.,J.Virol.,1991,65,1653
【非特許文献16】Schwartz,et al.,Virol.,1991,183,677
【非特許文献17】Sodroski,et al.,Science,1986,231,1549
【非特許文献18】Myers,ef al.,Human Retrovir.AIDS,1991
【非特許文献19】Shackett,et al.,Virol.,1994,204,860
【非特許文献20】Sova,et al.,J.Virol.,1995,69,2557
【非特許文献21】Wieland,et al.,Virol.,1994,203,43
【非特許文献22】Michael,et al.,J.Virol,1995,69,4228
【非特許文献23】Kan,et al.,Science,1986,231,1553
【非特許文献24】Schwander,et al.,J.Med.Virol.,1992,36,142
【非特許文献25】Wieland,et al.,AlDS Res.Human Retrovir.,1991,7,861
【非特許文献26】Volsky,et al.,Curr.Topics Micro.Immunol.,1995,193,157
【非特許文献27】Dougherty,et al.,J.Virol.,62,2817
【非特許文献28】Fisher,et al.,Nature,1988,334,444
【非特許文献29】Meyerhans,et al.,Cell,1989,58,901
【非特許文献30】Pircher,et al.,Nature,1990,346,629
【非特許文献31】Reitz,et al.,Cell,1988,54,57
【非特許文献32】Wolfs,et al.,Virol.,1991,185,195
【非特許文献33】Wang,et al.,,AIDS,1995,9(Suppl A),S159
【非特許文献34】Goncalves,et al.,J.Virol.,1994,68,704
【非特許文献35】Lamhamedi−Cherradi,etal.,AIDS,1992,6,1249
【非特許文献36】Borman,et al.,J.Virol.,1995,69,2058
【非特許文献37】Sakai,et al.,J.Virol.,1993,67,1663
【非特許文献38】Von Schwedler,et al.,J.Virol.,1993,67,4945
【非特許文献39】Blanc,et al.,Virol.,1993,l93,186−192
【非特許文献40】Hevey,et al.,Virus Res.,1994,33,269
【非特許文献41】Velpandi,et al.,DNA Cell Biol.,1996,15,571
【非特許文献42】Nagashunmugam,et al.,DNA Cell Biol.,1996,15,353
【非特許文献43】Sambrook et al.,Molecular Cloning a Laboratory Manual,第二版,Cold Spring Harbor Press(1989)
【非特許文献44】Harlow,E.andD.Lane(1988)ANTIBODIES:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,ColdSpring Harbor,NY
【非特許文献45】Velpandi,et al.,J.Virol.Meth.,1990,29,291
【非特許文献46】Srinivasan,et al.,Gene,1987,52,71−82
【非特許文献47】Ratner,et al.,Nature,1985,313,277−284
【非特許文献48】Mahalingam,et al.,Virol.,1995,214,647
【非特許文献49】Chada,et al.,J.Virol.,1993,67,3409
【非特許文献50】Oberste,et al.,Virus Genes,1992,6,95
【非特許文献51】Myers,et al.,Human Retrovir.AIDS,1988
【非特許文献52】Guy,el al.,J.Virol.,1991,65,1325
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は精製され、弱毒化された非機能性vifタンパク質に関している。
本発明は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むvifタンパク質に関している。
【0016】
本発明は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる単離された核酸分子に関している。
本発明は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むvifタンパク質をコードしている核酸分子に関している。
【0017】
本発明は配列ID番号:27、配列ID番号:28、配列ID番号:29、配列ID番号:30、配列ID番号:31、配列ID番号:32、配列ID番号:33、配列ID番号:34、配列ID番号:35、配列ID番号:36、配列ID番号:37、配列ID番号:38、配列ID番号:39、配列ID番号:40、配列ID番号:41、配列ID番号:42、配列ID番号:43,配列ID番号:44、配列ID番号:45および配列ID番号:46から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むvifタンパク質をコードしている核酸分子に関している。
【0018】
本発明は医薬として受容可能な担体または希釈剤中に、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている核酸分子を含んでいる医薬組成物に関している。
本発明は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子を含む組換え発現ベクターに関している。
本発明は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている核酸分子を含んでいる組換え発現ベクターを含む宿主細胞に関している。
【0019】
本発明は弱毒化された非機能性vifタンパク質に方向付けられた精製抗体に関している。
本発明は哺乳類に弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む核酸分子を該哺乳類の細胞に投与することをから成る、ウイルスに対して哺乳類を免疫化する方法に関しており、ここで該核酸分子は該細胞中で発現される。
発明の詳細な説明
AIDS研究の一つの主要なゴールはHIV−1ウイルスに対するワクチンを開発することである。有効なワクチンは強い体液性応答に加えて、有効で広範囲のCTL応答を惹起しなければならない。このことはHIV−1ウイルスの遺伝子異質性のため面倒なことである。HIV−1逆転写酵素(RT)は間違いを起こしがちであり、および校正する能力が欠如しており、ゲノム当たり、サイクル当たりで10-4の突然変異率を示している。Dougherty,et al.,J.Virol.,62,2817。HIV−1ゲノム配列変異が、異なった個体から単離されたウイルス並びに異なった時間点で単一の個体から単離されたウイルスで観察されている。Fisher,etal.,Nature,1988,334,444およびMeyerhans,et al.,Cell,1989,58,901。多数の配列分析データに基づくと、中和抗体および/またはCTLエピトープを変化させることにより患者における逸脱変異体ウイルスを導く突然変異の主たる標的は構造遺伝子env、gagおよびpolであることは明らかである。Pircher,etal.,Nature,1990,346,629;Reitz,et al.,Cell,1988,54,57;およびWolfs,et al.,Virol.,1991,185,195。このことにもかかわらず、初期の実験はHIV−1の構造および酵素遺伝子は異なった動物モデルにおける核酸に基づいたワクチンとして成功裡に使用できることを示しており(Wang,etal.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,4156;およびWang,etal.,,AIDS,1995,9(Suppl A),S159)、DNAワクチンのための予防的並びに治療的研究が開始された。本発明は免疫原カセットとしてのvif(HIV−1補助遺伝子)の開発に関している。他のHIV−1遺伝子と併せて使用した場合、すべてのウイルス成分に対する広範囲な免疫応答が誘導され、生きている弱毒化ワクチンにより誘導される免疫応答の多くの様相を模倣している。
【0020】
本発明において、注射されたDNA濃度および追加免役された回数に直接的に相関して、マウスにおけるvif特異的体液性および細胞性免疫応答の誘導が観察されている。類似の結果がT細胞およびCTLアッセイで観察されており、vif遺伝子はインビボにおいて免疫原性であることを示している。vifは可溶性および膜結合形の両方で存在することが知られている。Goncalves,etal.,J.Virol.,1994,68,704。抗vif抗体およびvif特異的CTL応答がHIV−1陽性患者で示されているが、免疫系へのvifの提示に関与するエピトープは未だに決定されていない。Lamhamedi−Cherradi,etal.,AIDS,1992,6,1249。これらの研究ではどのようにしてvifが体液性免疫系に暴露されるようになるのかは不明瞭である。本発明のクローンにおいて観察された異なった免疫応答は、T−35、N−15およびpCVifでの突然変異は抗体/CTL応答の変化に関連するであろうことを示唆している。すべてのTまたはN誘導クローンに存在する点突然変異のいくつかは、これらの突然変異が観察された相補性および/または免疫応答の相違に関係することを示していることに注目するのは重要である。vifのさらなる突然変異分析は相補性に関連する領域の答えを解明することを助けている。vif活性の提案された部位にはウイルスDNA合成、gp120合成および輸送およびgagプロセッシングが含まれている。Borman,etal.,J.Virol.,1995,69,2058;Sakai,et al.,J.Virol.,1993,67,1663;およびVon Schwedler,etal.,J.Virol.,1993,67,4945。vif欠損HIV−1プロウイルスおよび野生型HIV−1vif発現細胞株のトランス相補性実験は、vifがウイルス複製/成熟の後期段階で作用していることおよびvifトランス相補性がHIV−1株を通して起こっていることを示している。Blanc,etal.,Virol.,1993,l93,186およびHevey,et al.,Virus Res.,1994,33,269。初期の実験は非伝播患者(NI)からの血清はエンベロープタンパク質および非複製ウイルスに対する高い抗体力価を含んでいるが、一方、伝播患者(TI)からの血清はエンベロープタンパク質および高度に複製しているウイルスに対して非常に低い抗体力価を含んでいることを示している。Velpandi,etal.,DNA Cell Biol.,1996,15,571。これらの結果は本発明で観察されたトランス相補性の結果と相関している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図2】vifクローンの発現 vif発現レベルを評価するために、各々の群からの5クローンに対してインビトロ転写/翻訳が実施された結果を示す。
【図3】50かまたは100μgのvif DNAが注射された4匹のマウスからの血清について、vifタンパク質への特異的反応性をELISA測定により示す。
【図4】vifDNA免疫化および自然のマウスからの脾臓細胞による特異的標的溶解を示す。
【図5】図5(A−D)は、CTLアッセイの結果を示している。vif特異的溶解を示す各々のDNA構築物を注射したマウスから脾臓細胞が得られた。クローンT−35、N−15およびpCVifは50:1のエフェクター:標的比で各々27、26および24%溶解を示した。25:1の比では3つすべてのクローンが20%溶解を示した。このことは、天然のHIV−1に対する細胞性免疫応答はvif発現ベクターによる遺伝子ワクチン接種により発生できることを示している。
【図6】図6は、異なったvif構築物の増殖指数に対するDNA注射濃度を示している。結果はMHCクラスII依存性Th(ヘルパー)細胞応答は用量依存性であることを示している。各々の構築物について、刺激指数は50μgのvifDNAを注射したマウスより100μgのvifDNAを注射したマウスの方がほとんど2倍高かった。3つの異なったvif構築物の比較もまた、各々の注射濃度で、クローンT−35はN−15またはpCVifよりも高い刺激指数を誘導することを示している。
【図7A】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図7B】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図7C】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図7D】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図7E】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図7F】弱毒化された非機能性vifタンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図8A】弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子のヌクレオチド配列を示す。
【図8B】弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子のヌクレオチド配列を示す。
【図8C】弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子のヌクレオチド配列を示す。
【図8D】弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子のヌクレオチド配列を示す。
【図8E】弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子のヌクレオチド配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる単離された核酸分子に関している。本明細書で使用される場合、用語”弱毒化された非機能性vifタンパク質”とは野生型vifと比較してビリオン感染機能がないかまたは弱められているvifタンパク質を示していることを意味している。本発明のいくつかの実施態様において、核酸分子は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしており、ここでヌクレオチド配列は欠失、付加、点突然変異、多置換またはより短いタンパク質にするための停止コドンの導入を含んでいる。本発明の好適な態様において、本発明の単離された核酸分子は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むvifタンパク質をコードしている。本発明の別の好適な態様において、単離された核酸分子はvifタンパク質をコードしており、配列ID番号:27、配列ID番号:28、配列ID番号:29、配列ID番号:30、配列ID番号:31、配列ID番号:32、配列ID番号:33、配列ID番号:34、配列ID番号:35、配列ID番号:36、配列ID番号:37、配列ID番号:38、配列ID番号:39、配列ID番号:40、配列ID番号:41、配列ID番号:42、配列ID番号:43,配列ID番号:44、配列ID番号:45および配列ID番号:46から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含んでいる。
【0023】
本発明の核酸分子は下記の実施例のようにヒト免疫不全ウイルスで感染された患者から得られるであろう。もしくは、本発明の核酸分子は野生型vifヌクレオチド配列を使用して調製されるであろう。vif発現プラスミドpCVifは、Nagashunmugam,etal.,DNA Cell Biol.,1996,15,353(本明細書において援用される)に記載されているような主鎖プラスミドpRc/CMV(Invitrogen,SanDiego,CA)内のサイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターの調節下にあるよく特徴付けられたHIV−1分子クローンからのvif遺伝子、pHXB2、を含んでいる。この核酸分子は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている追加の核酸分子を製造するために使用されるであろう。
【0024】
野生型核酸分子の特異的突然変異を設計するために多くの方法が使用でき、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている核酸分子が製造される。例えば、オリゴヌクレオチド仲介突然変異誘発は通常、その配列が既知であるDNAセグメント中の付加、欠失または置換に使用される。そのような方法は、例えば、Sambrooket al.,MolecularCloning a Laboratory Manual,第二版,Cold Spring Harbor Press(1989),ページ15.51から15.73(本明細書において援用される)から知ることができる。手短に言えば、オリゴヌクレオチド仲介突然変異誘発のためのプロトコールは以下の工程を含んでいる:1)バクテリオファージM13ベクター内への、cPVif発現プラスミドからのvifヌクレオチド配列のような適当なDNA断片のクローニング;2)組換えバクテリオファージM13からの一本鎖DNAの調製;3)突然変異誘発オリゴヌクレオチドの設計および合成;4)標的DNAへの突然変異誘発オリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーション:5)DNAポリメラーゼによるハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの伸張;6)感受性細菌のトランスフェクション;7)所望の突然変異を運んでいるバクテリオファージプラークのスクリーニング;8)突然変異した組換えバクテリオファージからの一本鎖DNAの調製;9)突然変異した組換えバクテリオファージM13DNAが所望の突然変異を運んでおり、他の突然変異を持っていないことを配列決定により確認;10)組換えバクテリオファージM13からの二本鎖複製可能形からの突然変異したDNA断片の回収;および11)突然変異した断片と所望の発現ベクター中の野生型DNAの対応するセグメントの置換。
【0025】
vifをコードしている核酸分子中の、所望の突然変異へ仕立てられる突然変異誘発オリゴヌクレオチドの設計および合成は例えば、Sambrooket al.,MolecularCloning a Laboratory Manual,第二版,Cold Spring Harbor Press(1989),ページ15.54から15.56(本明細書において援用される)に詳述されている。例えば、野生型vifヌクレオチド配列内で一つのヌクレオチドを置換、付加または欠失させるには、中央にまたは中央のすぐ3’側の二つのヌクレオチド位の一つに不適正を持つ約17−19ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが製造される。野生型vifヌクレオチド配列内で二つまたはそれ以上の連続したヌクレオチドを置換、付加または欠失させるには、25またはそれ以上のヌクレオチド長を持つオリゴヌクレオチドが製造される。これらのオリゴヌクレオチドは、付加されたまたは置換されたヌクレオチドを含んでいる中心ループ外領域の両側に約12から15の完全一致ヌクレオチドを含んでいるか、またはループ外である野生型DNAの一部を意味している。上記のような方法を用い、当業者は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードし、欠失、付加、置換または未熟な停止コドンを持っている核酸分子を製造できる。オリゴヌクレオチド仲介突然変異誘発法は当業者には広く知られている。
【0026】
もしくは、本発明の核酸分子は標準DNA方法論によるDNA合成機を用いて製造できる。当業者は、遺伝子コードは縮重されているので同一のタンパク質をコードしている多数のDNA配列が製造できることを容易に理解しているであろう。加えて、当業者はアミノ酸は保存的置換ができるように他のアミノ酸に置換できることを容易に理解しているであろう。従って、当業者は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の核酸分子を製造できる。
【0027】
弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている本発明の好適な核酸分子は表1のアミノ酸(a.a)およびヌクレオチド配列(n.t.)(特定の配列ID番号により示されている)を持っている。特別のアミノ酸配列は図1および図7A−7Fに示されている。特別のヌクレオチド配列は図8A−8Eに示されている。
【0028】
【表1】

【0029】
本発明はまた弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含むベクターまたは組換え発現ベクターにも関している。本明細書で使用される場合、”組換え発現ベクター”とは、適当な宿主に導入された場合、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているコード配列の発現を指示するのに必要な遺伝子要素を含んでいる。本発明のいくつかの態様において、ベクターまたは組換え発現ベクターは弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしており、ここでヌクレオチド配列は欠失、付加、点突然変異、多置換またはより短いタンパク質にするための停止コドンの導入を含んでいる。本発明の好適な態様において、本発明のベクターまたは組換え発現ベクターは、配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含むvifタンパク質をコードしている。本発明の別の好適な態様において、本発明のベクターまたは組換え発現ベクターは、配列ID番号:27、配列ID番号:28、配列ID番号:29、配列ID番号:30、配列ID番号:31、配列ID番号:32、配列ID番号:33、配列ID番号:34、配列ID番号:35、配列ID番号:36、配列ID番号:37、配列ID番号:38、配列ID番号:39、配列ID番号:40、配列ID番号:41、配列ID番号:42、配列ID番号:43,配列ID番号:44、配列ID番号:45および配列ID番号:46から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むvifタンパク質をコードしている核酸分子を含んでいる。
【0030】
当業者は標準技術および容易に入手可能な出発材料を用いて、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている核酸分子を単離でき、発現ベクター内へ挿入できる。コード配列は必要な調節配列へ作動可能なように連結される。発現ベクターはよく知られており容易に入手可能である。発現ベクターの例にはプラスミド、ファージ、ウイルスベクターおよび他の核酸分子または宿主細胞を形質転換し、コード配列の発現を容易にするために有用な媒介体を含んでいる核酸分子が含まれる。本発明の組換え発現ベクターは弱毒化された非機能性vifタンパク質を発現する宿主を形質転換するために有用である。
【0031】
本発明はまた弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含む組換え発現ベクターを含んでいる宿主細胞にも関している。本発明のいくつかの態様において、宿主細胞は弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているベクターまたは組換え発現ベクターを含んでおり、ここでヌクレオチド配列は欠失、付加、点突然変異、多置換またはより短いタンパク質にするための停止コドンの導入を含んでいる。本発明の好適な態様において、宿主細胞は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含んでいるvifタンパク質をコードしているベクターまたは組換え発現ベクターを含んでいる。本発明の別の好適な態様において、該宿主細胞は配列ID番号:27、配列ID番号:28、配列ID番号:29、配列ID番号:30、配列ID番号:31、配列ID番号:32、配列ID番号:33、配列ID番号:34、配列ID番号:35、配列ID番号:36、配列ID番号:37、配列ID番号:38、配列ID番号:39、配列ID番号:40、配列ID番号:41、配列ID番号:42、配列ID番号:43,配列ID番号:44、配列ID番号:45および配列ID番号:46から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むベクターを含んでいる。タンパク質生産のために既知の組換え発現系で使用する宿主細胞はよく知られており、容易に入手可能である。
【0032】
もっとも普通に使用される原核生物系は大腸菌であるが、枯草菌およびシュードモナスもまた有用である。原核生物系に適した調節配列はlacプロモーター、trpプロモーター、tacプロモーターのようなハイブリッドプロモーター、ラムダファージP1プロモーターを含む構成性および誘導可能プロモーターの両方が含まれる。一般に、異種タンパク質は融合または成熟タンパク質としてこれらの宿主中で産生されるであろう。所望の配列が成熟タンパク質として産生された場合、産生された配列にはメチオニンが前に付いているであろうが、それは取り除く必要はない。従って、本明細書で請求されるペプチドおよびタンパク質は細菌中で製造された場合、N−末端Metが先立っているであろう。さらに、タンパク質の分泌を生じさせる作動可能なシグナルペプチドがペプチドのコード配列に先立っている構築物が作製されるであろう。この様式で原核生物宿主において産生される場合、シグナル配列は分泌により除去される。原核生物宿主細胞には大腸菌のような細菌細胞およびS.セレビジエのような酵母細胞が含まれる。
【0033】
広範囲な真核生物宿主もまた、組換え異種タンパク質の生産に現在利用可能である。細菌におけるように、真核生物宿主は所望のタンパク質を産生する発現系で直接的に形質転換されるが、より普通にタンパク質の分泌を達成するためにシグナル配列が提供される。真核生物系は、より高等な生物体のタンパク質をコードしているゲノム配列中に見いだされるであろうイントロンを処理することができるという更なる利点を持っている。真核生物系はまた、例えば、グリコシル化、カルボキシ末端アミド化、ある種のアミノ酸残基の酸化または誘導体化、コンホメーション調節などを生じる種々のプロセッシング機構も提供する。通常使用される真核生物系には酵母、真菌細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞および高等植物の細胞が含まれるが、これらに制限されるわけではない。本発明の好適な態様において、S.フルギペルダのような昆虫細胞、非ヒト哺乳類組織培養細胞チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、およびヒーラー細胞のようなヒト組織培養細胞が宿主細胞として使用される。適したプロモーターは入手可能であり、それらは宿主型の各々ならびに終止配列およびエンハンサーと一致しておりおよび作動可能である、例えば、バキュウロウイルスポリへドロンプロモーター。前記のように、プロモーターは構成的でも誘導可能でもよい。例えば哺乳類系において、マウスメタロチオネインプロモーターは重金属イオンの添加により誘導できる。
【0034】
いくつかの態様において、例えば、当業者はよく知られた技術を用いて、よく知られた発現系で使用するため、市販品として入手可能な発現ベクター内へDNA分子を挿入することができる。例えば、市販品として入手可能なプラスミドpSE420(Invitrogen,SanDiego,CA)が大腸菌における弱毒化された非機能性vifタンパク質の生産に使用される。例えば、市販品として入手可能なプラスミドpYES2(Invitrogen,SanDiego,CA)は酵母のS.セレビジエ株においての生産に使用される。例えば、市販品として入手可能なMAXBACTM完全バキュウロウイルス発現系(Invitrogen,San Diego,CA)は昆虫細胞においての生産に使用される。例えば、市販品として入手可能なpcDNA IまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)はチャイニーズハムスター卵巣細胞のような哺乳類細胞においての生産に使用される。当業者はルーチン技術および容易に入手可能な出発材料を用い、弱毒化された非機能性vifタンパク質を生産するためにこれらの市販の発現ベクターおよび系またはその他を使用できる。例えば、Sambrooket al.,MolecularCloning a Laboratory Manual,第二版,Cold Spring Harbor Press(1989)(本明細書において援用される)を参照されたい。
【0035】
当業者は他の市販品として入手可能な発現ベクターおよび系を使用してもよいし、よく知られた方法および容易に入手可能な出発材料を使用してベクターを製造してもよい。プロモーターおよびポリアデニル化シグナル、および好適にはエンハンサーのような必須の調節配列を含んでいる発現系は容易に入手可能であり、種々の宿主について本分野では知られている。例えば、Sambrooket al.,MolecularCloning a Laboratory Manual,第二版,Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい。
【0036】
遺伝子構築物の例では、構築物がトランスフェクトされる細胞株で機能的であるプロモーターへ作動可能に連結された弱毒化された非機能性vifタンパク質コード配列が含まれている。構成的プロモーターの例にはサイトメガロウイルスまたはSV40からのプロモーターが含まれる。誘導可能プロモーターの例にはマウス乳房白血病ウイルスまたはメタロチオネインプロモーターが含まれる。当業者は容易に入手可能な出発材料から、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているDNAによる細胞のトランスフェクションに有用な遺伝子構築物を容易に製造できる。そのような遺伝子構築物は弱毒化された非機能性vifタンパク質の製造に有用である。
【0037】
弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしている核酸分子は、組換えウイルス発現ベクターまたは他の適した送達手段のような種々の送達要素の一つを用いて、適合宿主細胞でのそれらの導入および発現に影響するように細胞内へ送達される。一般に、ウイルスベクターは組換えアデノウイルスおよび組換えワクシニアウイルスのようなDNAウイルス、または組換えレトロウイルスのようなRNAウイルスであろう。他の組換えベクターには細胞に感染でき、組換え遺伝子を発現できる組換え原核生物が含まれる。組換えベクターに加えて、リポソームでのカプセル化、トランスフェリン仲介トランスフェクションおよび他のレセプター仲介手段のような他の送達手段も企図される。本発明は、等価な機能で働くおよびこれに関して続いて本分野で知られるようになる、発現ベクターのそのような他の形および他の適した送達手段を含んでいるつもりである。
【0038】
本発明の好適な態様において、DNAはアデノウイルス法により適格性宿主細胞へ送達される。当業者はそのような手段により宿主細胞へDNAを送達するこの技術を容易に理解するであろう。本発明では好適にはアデノウイルスが含まれているが、本発明は等価な機能で働く任意のウイルスを含んでいるつもりである。
【0039】
本発明の別の好適な態様において、RNAはレトロウイルスの手段により適格性宿主細胞へ送達される。当業者はそのような手段により宿主細胞へRNAを送達するこの技術を容易に理解するであろう。RNAによりコードされているタンパク質を発現させるのに働く任意のレトロウイルスが本発明に含まれていることが意図されている。
【0040】
本発明の別の好適な態様において、核酸は葉酸レセプター法により送達される。宿主細胞へ送達されるべき核酸配列はポリリジンへ結合され、複合体は葉酸レセプター法により腫瘍細胞へ送達される。1992年4月28日に公開された米国特許第5,108,921号(本明細書において援用される)はそのような送達構成要素を記載している。
【0041】
本発明はまた精製され、弱毒化された非機能性vifタンパク質にも関している。本発明のvifタンパク質は野生型vifタンパク質と比較して弱毒化されおよ非機能的であるペプチドを生産するために欠失、付加、点突然変異、多置換または停止コドン導入を含んでいる。本発明の好適な態様において、本発明の弱毒化された非機能性vifタンパク質は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23のみから成る群より選択されるアミノ酸配列を含んでいる。本発明の別の好適な態様において、本発明の弱毒化された非機能性vifタンパク質は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含んでいる。本発明のvifタンパク質は前記のように、容易に入手可能な出発材料を使用したルーチン法により製造されるであろう。
【0042】
望ましい宿主に適した発現系構築の詳細は当業者には既知であり、前に説明されている。タンパク質の組換え生産のためには、それをコードしているDNAは適切に選択された発現ベクター内へ結合されており、適合宿主を形質転換するために使用され、続いて異種遺伝子の発現が起こる条件下で培養および維持する。そのようにして産生された本発明のタンパク質は、当業者に理解されおよび知られているように細胞を溶解することによりまたは培養培地から回収される。当業者は、よく知られた技術を使用して、そのような発現系を用いて生成された弱毒化された非機能性vifタンパク質を単離できる。弱毒化された非機能性vifタンパク質に特異的に結合する抗体を用いた天然の供給源から弱毒化された非機能性vifタンパク質を精製する方法は、組換えDNA方法論により生成された弱毒化された非機能性vifタンパク質の精製に等しく応用できるであろう。
【0043】
組換え技術によりこれらのタンパク質を製造することに加え、自動化アミノ酸合成機もまたvprタンパク質を製造するために使用されるであろう。もし本明細書のタンパク質が合成的に作製されるならば、遺伝子によりコードされていないアミノ酸による置換もまた行われることにさらに注目されたい。代替残基には、例えば、式H2N(CH2nCOOH(式中、nは2−6である)のωアミノ酸が含まれる。サルコシン(Sar)、t−ブチルアラニン(t−BuAla)、t−ブチルグリシン(t−BuGly)、N−メチルイソロイシン(N−MeIle)およびノルロイシン(Nlue)のような中性、非極性アミノ酸が存在している。例えば、フェニルグリシンはTrp、TyrまたはPheと置換できる、芳香族中性アミノ酸;シトルリン(Cit)およびメチオニンスルホキシド(MSO)は極性であるが中性であり、シクロヘキシルアラニン(Cha)は中性および非極性であり、システイン酸(Cya)は酸性であり、およびオルニチン(Orn)は塩基性である。もしこれらの一つまたはそれ以上がヒドロキシプロリン(Hyp)で置換されているならば、コンホメーション授与プロリン残基特性が得られるであろう。
【0044】
本発明に従った医薬組成物は弱毒化された非機能性vifタンパク質かまたはそれをコードしている本発明の核酸分子と組み合わされた医薬として受容可能な担体を含んでいる。本発明の好適な態様において、医薬組成物は配列ID番号:4、配列ID番号:5、配列ID番号:6、配列ID番号:7、配列ID番号:8、配列ID番号:9、配列ID番号:10、配列ID番号:11、配列ID番号:12、配列ID番号:13、配列ID番号:14、配列ID番号:15、配列ID番号:16、配列ID番号:17、配列ID番号:18、配列ID番号:19、配列ID番号:20,配列ID番号:21、配列ID番号:22および配列ID番号:23から成る群より選択されるアミノ酸配列を含んでいるvifタンパク質をコードしている組換え発現ベクターを含んでいる。
【0045】
本発明の別の好適な態様において、医薬組成物は配列ID番号:27、配列ID番号:28、配列ID番号:29、配列ID番号:30、配列ID番号:31、配列ID番号:32、配列ID番号:33、配列ID番号:34、配列ID番号:35、配列ID番号:36、配列ID番号:37、配列ID番号:38、配列ID番号:39、配列ID番号:40、配列ID番号:41、配列ID番号:42、配列ID番号:43,配列ID番号:44、配列ID番号:45および配列ID番号:46から成る群より選択されるヌクレオチド配列を含むvifタンパク質をコードしている核酸配列を含んでいる。医薬処方はよく知られており、本発明の化合物を含んでいる医薬組成物は当業者により日常的に処方されるであろう。適した医薬担体はRemington’s PharmaceuticalScience,A.Osol(この分野での標準参考本、本明細書において全文が援用される)に記載されている。
【0046】
本発明はまた、医薬として受容可能な担体および本発明の化合物を含む注射可能な医薬組成物にも関している。本発明の化合物は好適に滅菌され、滅菌医薬担体と混合される。いくつかの態様において、例えば、本発明の化合物は医薬として受容可能な賦形剤とともに溶液、懸濁液、乳剤または凍結乾燥粉末として処方できる。そのような賦形剤の例は水、塩溶液、リンガー液、デキストロース溶液および5%ヒト血清アルブミンである。リポソームおよび固定油のような非水賦形剤もまた使用されるであろう。賦形剤または凍結乾燥粉末はその等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば、緩衝液および保存剤)を維持する添加物を含んでいる。処方は通常使用される技術により滅菌される。
【0047】
注射可能な組成物は、例えば、滅菌水、電解質/デキストロース、野菜起源の脂肪油、脂肪エステル、またはプロピレングリコールおよびポリエチレングリコールのようなポリオールのような希釈剤中に本発明の化合物を含んでいる。注射可能物は無菌で発熱性物質なしでなければならない。
【0048】
局所投与のための処方には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、座薬、スプレー、液剤および散剤が含まれる。通常の医薬担体、水性、粉体または油性基剤、増粘剤などが必要であるかまたは望ましいであろう。経口投与のための組成物には散剤または顆粒剤、水性または非水媒質の懸濁剤または液剤、カプセル、サシェまたは錠剤が含まれる。増粘剤、芳香剤、希釈剤、乳化剤、分散剤または結合剤が望ましい。非経口、鞘内または脳室内投与のための組成物には、緩衝剤、希釈剤および他の適した添加物を含んでいるであろう無菌水性溶液が含まれる。
【0049】
本発明の医薬組成物は、活性成分が哺乳類体内の薬剤作用部位へ到達することを可能にする任意の手段により投与される。本発明の医薬組成物は局所または全身的処置が望ましいか、および処置されるべき領域に依存して多くの方法で投与される。投与は局所(眼、膣、直腸、鼻孔内、経皮を含む)、経口または非経口であろう。非経口投与には点滴静注、皮下、腹腔内または筋肉内注射、肺投与(例えば、吸入または吹送による)または鞘内または脳室内投与投与が含まれる。
【0050】
用量は特定の薬剤の薬力学的特性および投与様式および経路;受容者の年齢、健康状態および体重;徴候の性質および程度、同時に行っている処置、処置の頻度および望まれる結果の様な既知の因子に依存して変化する。治療組成物の処方およびその後の投与は当業者の範囲内であると思われる。
【0051】
本発明に従うと、本発明のvifタンパク質をコードしている核酸分子を含んでいる医薬組成物は個体内へ直接投与されるか、または生体外で個体の取り除かれた細胞へ送達され、それは投与後に再移植される。どちらの経路にせよ、遺伝子材料が個体の体内に存在する細胞内へ導入される。好適な投与経路には筋肉内、腹腔内、皮内および皮下注射が含まれる。もしくは、医薬組成物は個体から取り除かれた細胞内へ種々の手段により導入されるであろう。そのような手段には、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーションおよび微小弾丸衝撃法が含まれる。核酸分子が細胞により取り込まれた後、それらは個体内へ再移植される。
【0052】
本発明のこの態様に従った医薬組成物は約0.1から約1000マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、医薬組成物は約1から約500マイクログラムのDNAを含んでいる。いくつかの好適な態様において、医薬組成物は約25から約250マイクログラムのDNAを含んでいる。最も好適には、医薬組成物は約100マイクログラムのDNAを含んでいる。
【0053】
本発明のこの態様に従った医薬組成物は、使用されるべき投与様式に従って処方される。当業者は本発明のvifタンパク質をコードしている核酸分子を容易に処方できる。投与様式に筋肉内注射が選択された場合、等張処方が使用される。一般に、等張性のための添加物には塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトールおよびラクトースを含ませることができる。リン酸緩衝液のような等張溶液を使用してもよい。安定化剤にはゼラチンおよびアルブミンが含まれる。
【0054】
DNAに基づいた医薬品は新世代のワクチンとして発展している。DNA治療剤は典型的には、特定の病原体または望まれない細胞からの一つまたはそれ以上の遺伝子を含む一つまたはそれ以上のDNAワクチンを含んでいるプラスミドである。注射されると、DNAワクチンのコード配列が患者またはワクチン接種者でタンパク質産物として発現され、タンパク質産物に対する免疫応答が誘導される。本発明での使用に適用できるDNA送達のためのプロトコールの例はWeinerにより1997年1月14日に公開された米国特許第5,593,972号、Felgnerらにより1996年12月14日に公開された米国特許第5,589,466号、Sanfordらにより1990年7月31日に公開された米国特許第4,945,050号、Sanfordらにより1991年7月30日に公開された米国特許第5,036,006号、PCT出願番号WO90/11092、PCT出願番号WO93/17706、PCT出願番号WO93/23552およびPCT出願番号WO94/16737(これらは)各々本明細書において援用される)に記載されている。
【0055】
本発明の好適な態様において、弱毒化された非機能性vifタンパク質をコードしているヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子を含む医薬組成物が、vifタンパク質への体液性および/または細胞性免疫応答を誘導するために前記の方法により哺乳類へ投与される。本発明の別の態様において、本発明の医薬組成物は追加の化合物と同時投与できる。そのような追加の化合物には、例えば、異なったウイルスタンパク質または異なったウイルスタンパク質をコードしている異なった核酸分子が含まれる。異なったウイルスタンパク質には、例えば、gag、pol、env、vpr、vpuおよびtatなどが含まれる。そのような惹起免疫応答はHIVまたは関連する動物ウイルスに対して保護的である。
【0056】
本発明はまた弱毒化された非機能性vifタンパク質に向けられた抗体にも関している。本明細書で使用される場合、用語”抗体”とは完全で無傷な抗体およびそれらのFabおよびF(ab)2断片を意味している。完全で無傷な抗体にはマウスモノクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体のようなモノクローナル抗体が含まれる。いくつかの態様において、該抗体はvifまたは弱毒化された非機能性vifのエピトープへ特異的に結合する。エピトープに結合した抗体は、アフィニティークロマトグラフィーのようなよく知られた技術を用いる、天然の供給源または組換え発現系の両方からのタンパク質の単離および精製に有用である。そのような抗体は、試料中のそのようなタンパク質の存在の検出および細胞がそのタンパク質を発現しているかどうかの決定に有用である。
【0057】
vifタンパク質に結合する抗体を産生するハイブリドーマおよび抗体それ自身は、vifおよび弱毒化された非機能性vifおよびvifまたは弱毒化された非機能性vifを含むタンパク質複合体の単離および精製に有用である。加えて、抗体はvif活性の特異的阻害剤であろう。vifまたは弱毒化された非機能性vifに特異的に結合する抗体はよく知られた技術および容易に利用可能な出発材料を用いて、天然起源のタンパク質を精製するために使用される。そのような抗体はまた、組換えDNA方法論によりタンパク質を製造した場合に存在する材料からタンパク質を精製するためにも使用される。
【0058】
抗体の製造および完全で無傷な抗体、Fab断片およびF(ab)2断片のタンパク質構造、およびそのような分子をコードしている遺伝子配列の構成はよく知られており、例えば、Harlow,E.andD.Lane(1988)ANTIBODIES:ALaboratory Manual,ColdSpring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY(本明細書において援用される)に記載されている。手短に言えば、例えば、vifまたは弱毒化された非機能性vifまたはそれらの免疫原性断片をマウスに注射する。マウスの脾臓を取り除き、脾臓細胞を単離し、不死化マウス細胞と融合させる。ハイブリッド細胞(またはハイブリドーマ)を培養し、抗体を分泌する細胞を選択する。抗体を分析し、もしvifまたは弱毒化された非機能性vifに特異的に結合することが観察されたら、それらを産生するハイブリドーマを培養し、抗体の持続的供給を行う。
【0059】
本発明はさらに以下の実施例により例示されるが、それらはいかなる点でも制限的であることは意図されていない。本出願で引用されたすべての参考文献は全文が援用される。
【実施例】
【0060】
実施例1:患者 一人のHIV−1陽性伝播母親(T1)および一人のHIV−1陽性非伝播母親(N1)からのウイルスが本発明で使用された。患者の3番目の3半期の間に得られた末梢血リンパ球(PBL)はMotherInfant Cohort Study,Viral EpidemiologyBranch,NCI(Rockville,MD)により提供された。伝播状態を決定するため、患者およびその子についての追跡試験が実施された。
【0061】
実施例2:HIV−1単離 感染一次リンパ球は、PHA刺激正常供与者リンパ球と2週間一緒に培養された。ウイルス産生は1)細胞内HIV−1逆転写酵素(RT)のレベルを測定することにより(Velpandi,etal.,J.Virol.Meth.,1990,29,291;本明細書において援用される)および2)p24抗原キット(CoulterCorporation;使用説明書に従って使用された)を用いて培地内に放出されたHIV−1p24抗原量を測定することによりモニターした。
実施例3:DNA調製およびPCR増幅 高分子量(ゲノム)DNAは感染PBLから調製され、Velpandi,et al.,J.Virol.Meth.,1990,29,291(本明細書において援用される)に記載されているようなPCR技術により増幅された。手短に言えば、PCR混合物は5から10μgのゲノムDNA、50mM KCl、2.5mM MgCl2、10mMトリス/HCl(pH8.0)、800μM dNTPs、2.5単位Taqポリメラーゼ、20pmolオリゴヌクレオチドプライマーおよび二重脱イオン水(ddH2O)(最終容量を100μlとする)を含んでいる。反応温度およびサイクル時間は以下のようである:94℃−変性(1分)、55℃−アニーリング(1.5分)および72℃−伸張(2分)。サイクルは35回繰り返された。プライマー配列は以下のようである:Vif(+)5’−GAAAGCTTATGGAAAACAGATGGCAG−3’(5046−5065)(配列ID番号:2);およびVif(−)5’−GCAAAGCTTTCATTGTATGGCTC−3’(5609−5626)(配列ID番号:3)。クローニング目的のためプライマーはHindIII制限部位(ボールド体)が設けられた。
【0062】
実施例4:クローニングおよび配列決定 PCR増幅生成物はVelpandi,et al.,DNA Cell Biol.,1996,15,571(本明細書において援用される)に記載されているようにクローニングに使用された。vif遺伝子について陽性なプラスミドDNAは少量調製(Qiagen,CA)により精製され、挿入物の配列決定の準備として分光学的に定量された。配列決定反応はABT自動化シークエンサーおよびDyeDeoxy反応(Applied Biosystems,FosterCity,CA)を用いて実施された。
【0063】
実施例5:配列分析 配列アラインメントはペンシルバニア大学VAXシステムのMedicalSchool Computer Facilityを通して得たGenetics Computer Group Sequence Analysisソフトウェアーパッケージを用いて構築された。アミノ酸のホモロジー比較は配列アラインメントプログラムにより実施された。
【0064】
実施例6:vif欠損プロウイルスの構築 HIV−1プロウイルスDNA、pZr6がNagashunmugam,et al.,DNACell Biol.,1996,15,353(本明細書において援用される)に記載されているようなvif欠損突然変異体の構築に使用された。得られたプロウイルスクローン、p911は、3’読み枠に影響しないvif遺伝子中の80アミノ酸欠損を含んでいた。手短に言えば、HIV−1プロウイルスDNApZr6はSrinivasan,et al.,Gene,1987,52,71−82(本明細書において全文が援用される)に記載されているようにHIVZr6に感染した一次血液リンパ球から誘導された。p911を調製するためにpZr6内へ欠損が導入された。突然変異は上流pol遺伝子または下流vpr遺伝子を妨害しないように構築された。プラスミドpZr6はvif遺伝子のヌクレオチド位476および716に二つのNdeI部位を含んでいる。Srinivasan,etal.,Gene,1987,52,71−82。NdeI断片(477−716)がpZr6から欠損され、末端は再結合されてp911(vifタンパク質の中心領域に欠損した80アミノ酸を持つ読み枠内突然変異体)が構築された。
【0065】
実施例7:vif発現ベクターの構築 vif発現プラスミド、pCVifは、Nagashunmugarn,et al.,DNACell Biol.,1996,15,353(本明細書において援用される)に記載されているように、主鎖プラスミドpRc/CMV(Invitrogen,SanDiego,CA)内に、サイトメガロウイルス(CMV)即時早期プロモーターの制御下にある、よく特徴付けられたHIV−1分子クローン、pHXB2からのvif遺伝子を含んでいる。母親の試料からのvif遺伝子はInvitrogen発現ベクター、pCDNA3内へクローン化され、CMVプロモーターの制御下にある。vif読み枠は順プライマーT7、および逆プライマーSP6を使用する配列分析により確認された。手短に言えば、vif発現ベクター(pCVif)を構築するため、pHxB2からのEcoRI−EcoRI1.1kb断片(地図座標5,647−5,742;Ratner,et al.,Nature,1985,313,277−284、本明細書において全文が援用される)はサイトメガロウイルス即時早期プロモーターの制御下でInvitrogenから得られたプラスミドpCDNA3内へクローン化された。この断片はまたpolおよびvpr遺伝子の一部からの隣接配列も含んでいるが、Blancら(Virology,1993,193,186−192)により類似の構築物で示されたように、転写的に活性ではない。
【0066】
実施例8:vifのインビトロ翻訳 1μgのvif発現構築物に対するインビトロ転写および翻訳がT7RNAポリメラーゼを製造元(Promega,Madison,WI)の説明書に従って使用することにより実施された。5μlのインビトロ翻訳反応生成物を500μlのラジオイムノ沈殿アッセイ緩衝液と混合し、説明されているように(Mahalingam,etal.,Virol.,1995,214,647)ウサギ抗vif抗血清で免疫沈殿された。
【0067】
実施例9:細胞 American Type Culture Collection(ATCC)から得られた横紋筋肉腫(RD)細胞は、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン、1%ストレプトマイシンおよび1%L−グルタミンを補給したダルベッコ改良イーグル培地中、37℃、5%CO2雰囲気下にて単層で増殖させた。ATCCから得られたリンパ球様細胞株は10%ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/ml)、およびL−グルタミン(540μg/ml)を補給したRPMI1640培地中、37℃、5%CO2雰囲気下にて懸濁培養物として維持された。フィトヘマグルチニン刺激(10)μg/ml)PBLは10%T細胞増殖因子を含むRPMI1640培地中で維持された。
【0068】
実施例10:vif構築物によるマウスの免疫化 マウスでの免疫化実験のためには、3つの異なったvif構築物が使用された。選択されたvifクローンはT−35(伝播者から)、N−15(非伝播者から)およびpCVif(HIV−1SF-2のvif遺伝子)であった。pCDNA3ベクターDNAは陰性対照として使用された。DNA取り込みを促進させるため、DNA注射の48時間前、BALB/cマウスの大腿四頭筋に100μlの0.25%ブピバカインが注射された。4匹の各々に100μlの最終容量で、50または100μgの各々のvif発現プラスミドが注射された。動物は2週間間隔で3回追加免役した。
【0069】
実施例11:rvifタンパク質へのマウス血清のELISA結合 マウス血清に対するELISAはWang,et al.,AIDS,1995,9(SupplA),S159に説明されているように実施された。手短に言えば、ELISAプレートは結合アッセイのため、100ng/ウェルの濃度で組換えvif(rvif)タンパク質で被覆された。マウス血清はブロッキング緩衝液で希釈し(1:100および1:500)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に結合された抗マウスIgGでタグを付け、TMBlue基質で検出した。非特異的結合および出血前血清結合はDNA注射動物血清の特異的結合から差し引かれた。
【0070】
実施例12:ワクシニア発現vifを用いるCTLアッセイ DNA注射マウスは最初の免疫化の7週後に殺し、Wang,et al.,DNA Cell Biol.,1993,12,799に説明されているようなCTLおよびT細胞増殖アッセイのために脾臓を除去した。手短に言えば、vif発現ワクシニア(VV:gagNIH AIDS Reagent and ReferenceProgramにより親切にも提供された)で感染させたP815細胞が標的細胞として使用された。1x106/mlの標的細胞に10μCiのNa2CrO45lCr,534mCi/mg,Dupont Co.)を加え、その後室温で2時間インキュベートした。細胞を無血清培地で3回洗浄し、1x105細胞/mlの容量までRPMI1640/10% ウシ血清で希釈した。エフェクター脾臓細胞は1回洗浄し、再懸濁して1x107細胞/mlRPMI培地の濃度まで希釈した。この貯蔵細胞溶液から1:2の連続希釈液が作製された(5x106、2.5x106および1.25x106細胞/ml)。これらのエフェクター細胞溶液の100μlを96ウェルマイクロタイター平底プレート内へ加えた。各々のウェルに100μlの標的細胞溶液を加えた。生じるエフェクター−標的細胞比は100:1、50:1、25:1および12.5:1であった。自発的および最大クロム放出を決定するため、標的細胞は各々100μlの培地のみまたは1%トリトン−Xと混合された。エフェクターおよび標的細胞は5%CO2インキュベーター中、37℃で5時間インキュベートされた。各々のウェルから上清液100μlを採り、ガンマカウンターで放出された51Cr量が測定された。特異的CTL放出計算のための式は以下のようである:100x[(実験での放出−自発的放出)/最大放出−自発的放出]。注:最大放出は1%トリトンX−100中での標的細胞の溶解により決定された。
【0071】
実施例13:臨床HIV−1単離物を用いたCTLアッセイ マウスMHC−Iを発現しているヒーラーCD4+細胞をHIV−1臨床単離物で感染させ、CTLアッセイにおける標的細胞として使用した。CTLアッセイはChada,etal.,J.Virol.,1993,67,3409に説明されているように実施された。
【0072】
実施例14:T細胞増殖アッセイ アッセイは3重に実施された。脾臓細胞は前記のように単離され、RPMI1640に懸濁して3.3x10細胞/mlの濃度まで希釈した。150μlを96ウェルマイクロタイター平底プレートの各々のウェルにすぐに加えた。50μlのタンパク質またはペプチドを、10.0、1.0または0.1mg/mlの最終濃度になるように各々のウェルへ加えた。細胞は5%CO2インキュベーター中、37℃で3日間インキュベートされた。1μCiのトリチウム化チミジンを各々のウェルへ加え、細胞は同一条件下で一夜インキュベートした。細胞を自動細胞ハーベスター(Tomtec,Orange,CT)で採取し、取り込まれたトリチウム化チミジン量をベータカウンターで測定した。細胞が健康であることを確認するため、陽性対照試料中、5mg/mlのPHAを非特異的刺激剤として使用した。
【0073】
実施例15:vif欠損プロウイルスDNAと母親試料からのvif遺伝子のトランス相補性Boehringer Mannheim(Indianapolis,IN)からのリポフェクチンを用いて、RD細胞(1x106)を10μgのvif欠損プロウイルスクローン(p911)および10μgのpCVifまたは伝播または非伝播被験者からのvif発現プラスミドで共トランスフェクトした。共トランスフェクトされた細胞は8時間インキュベート後に洗浄し、DMEM培地に再懸濁した。培養上清液を72時間インキュベート後に集め、遠心分離して細胞破片を除去し、0.45μmフィルターを通過させ、p24生成をアッセイした(Coulter Corporation)。PBMC(1x107)を100ngのp24抗原と等しいウイルス量で感染させた。ウイルスが接種された細胞は37℃および5%CO2で4−6時間インキュベートし、PBSで3回洗浄して10mlの新鮮なRPMI1640に再懸濁した。培地中へのp24抗原放出量を測定することによりウイルス産生を定量するために、培養上清液の一部を3日毎に集めた。
【0074】
実施例16:患者から単離されたウイルスの特徴付け 本発明で取り扱われたHIV−1陽性伝播または非伝播母親はAIDSコホート研究から選択された。母親および非伝播母親は各々T1およびN1で示されている。被験者の臨床状態および単離されたウイルスの複製動力学は表2に示されている。インビトロ選択条件により修飾されていない野生型配列を得るために各々の被験者からの非培養リンパ球が使用された。PBMC共培養アッセイにおいて、T1ウイルス試料は正常供与者PBLで非常によく複製した;一方、N1ウイルス試料は一次リンパ球またはマクロファージの両方で複製しなかった。
【0075】
【表2】

【0076】
実施例17:インビボにおけるvif遺伝子の配列変異 これらの被験者のvif遺伝子の遺伝子変異性を調べるため、各々の被験者からの10のクローンが配列決定され、相同性の程度に従ってコンピューターで並べられた。続いてヌクレオチド配列はタンパク質配列に翻訳された。すべてのヌクレオチド配列変化がアミノ酸配列変化を生じるわけではないので、演繹されたアミノ酸配列が最終比較で使用された。これらの患者からのアミノ酸配列を並べたものが図1に示されている。呼称”T”および”N”を持つクローン番号は各々伝播および非伝播母親から単離された変異体を意味している。配列アラインメントは各々の被験者はそのウイルスプール内に独特および高度に保存された配列の組を持っていることを明らかにした。ヌクレオチド変化のほとんどは、一般的にタンパク質配列内の置換(重複または挿入に対して)を生じる点突然変異であった。3つのクローンが弱毒化タンパク質をコードしていた。クロ−ンT−42は未熟な停止コドンにより、3’末端に5アミノ酸欠損を持っていた。クローンN−13は2つの停止コドン(31および41位)を持ち、およびT−4は単一の停止コドン(77位)を持っていた;それらの各々は3つのヌクレオチドの組内に導入されており、読み枠は無傷なまま突然変異の3’に保っている。クローンの大多数(20の内17)は完全長配列をコードしているという事実は、これらの患者のウイルスプール内には欠損vif遺伝子はわずかしか存在しないことを示唆している。vif点突然変異のほとんどは3’領域というよりも遺伝子の5’位に存在していることは注目に値する。20、27、31、36、37、45、60、74、127、136、140および150位で著しい相違がクローン間で観察された。
【0077】
インビボにおけるvif遺伝子の性質および配列変異を決定するため、HIV−1陽性被験者からの非培養PBMC中に存在するvif配列をクローン化し、分析した。2人の被験者からの20の異なったvif配列(各々の被験者から10)の分析は、vifは特定の患者内では与えられた時間点で高度に保存されている(約90%)ことを明らかにした。Wielandらは(Virol.,1994,203,43)vif遺伝子の3’部分は高度に変異性であると報告しているけれども、本発明の結果は5’部分(aa20−85)がより変異的であり、および3’部分はよく保存されていることを示している。本明細書の結果を支持して、従来の突然変異誘発実験はvifのC末端(aa171から192)は膜とvifの安定な会合に必須であることが示されている。Goncalves,etal.,J.Virol.,1994,66,704。我々が分析した20の配列の中で、2つのクローンのみが未熟な停止コドンを持っていたことは、単離されたvif遺伝子の90%はインビボで無傷であることを示している。この結果ならびに以前に公表されたデータは完全なvif遺伝子がインビボでのウイルス複製に必須であることを示唆している。Gabudza,etal.,J.Virol.,1992,66,6489;およびSova,et al,J.Virol.,1995,69,2557。
【0078】
これらのクローンからの20の演繹されたvifタンパク質配列は全長(192aa)で75%の保存(25%変異)を示した。特に、HIV−1陽性血清により認識される(Wieland,etal.,AIDS Res.Human Retrovir.,1991,7,861)2つの抗原的ドメイン、aa87−94(IEWRKKRY)(配列ID番号:24)およびaa172−178(DRWNKPQ)(配列ID番号:25)は20すべてのクローンでよく保存されている。これら2つの領域のよく保存された性質は、これらのクローンにより示される交差抗原性特性に関係しているであろう。加えて、34/38レンチウイルスvifで保存されている配列、SLQYLA(144−149)(配列ID番号:26)(Oberste,etal.,Virus Genes,1992,6,95)もまた本発明で配列決定された20のvifクローンの各々で保存されている。従来の研究において、コンピューターアラインメント分析は、vifのアミノ酸21から30、103から115および142から150はHIV−1、HIV−2およびSIV間で高度に保存されていることが示されている。Myers,etal.,Human Retrovir.AIDS,1988。しかしながら、本発明で分析されたクローンは一般的にaa103−115およびaa142−150内は保存された配列であったが,aa21−30はそうではなかった。vifタンパク質は、Cys114が活性部位であり、およびHis48が活性に重要であると考えられているシステインプロテアーゼとして特徴付けられている。Guy,elal.,J.Virol.,1991,65,1325。本発明の配列において、Cys114ならびにCys133(vifにおける唯一の別のシスチン)およびHis48はよく保存されていた。
【0079】
進化系統樹分析(データは示されていない)は20の患者クローン内に3つの主ファミリーを観察した。N由来クローンの90%がファミリーを形成し、およびT由来クローンの80%がファミリーを形成するが、一方、残りのクローンN−30、T−3およびT−38はよりたくさんの多様性を示し、別の群を形成する(データは示されていない)。距離比較が行われた場合、伝播クローン間の患者内変異は12%であったのに対し、非伝播クローン間は10%の変異であった。被験者の変異体クローンの類似性、および確立された実験室分子クローンHIVSF-2、HIVNL43およびHIVZr6もまた評価された。被験者単離物は、実験室維持ウイルス単離物よりもそれらの伝播状態群内の他のクローンとより高い程度の相同性を共有していた。それらの配列変異体に基づき、各々の患者から4つのクローンが予備的翻訳/免疫化実験に選択された(下記参照)。
【0080】
進化系統樹分析はまた、患者内変異にもかかわらず、伝播および非伝播被験者からのクローンは別々に群れをなしていることも示している。8構築物の(各々の被験者から4)インビトロ転写/翻訳は、未熟な停止コドンを持つN−13の場合を除いて、23KDaタンパク質の発現を生じた。このことはこれらのvif構築物中に存在する種々の突然変異は発現動力学およびタンパク質の安定性には影響しないことを示唆している。
【0081】
実施例18:vifクローンの発現 vif発現レベルを評価するために、各々の群からの5クローンに対してインビトロ転写/翻訳が実施された。結果は図2に示されている。インビトロ翻訳反応の生成物はvif抗血清で免疫沈降され、ゲル電気泳動にかけられた。pCVif(HIV−1株SF2からの完全長vif)およびp911(vif突然変異体)プロウイルスは各々陽性および陰性対照として使用された。pCVifおよび完全長vif発現プラスミドによるインビトロ翻訳は23KDaタンパク質を生成する;一方、クローンp911およびN−13は多分未熟な停止コドンの存在により、23kDaサイズのタンパク質生成物を生じない。各々の被験者群からの2つのクローンが、類似の血清学的特性に基づいて(データは示されていない)さらなる評価のため選択された。各々の群を代表するように選択された患者クローンはT−35(伝播)およびN−15(非伝播)であった。これらのクローンの各々はその特定の群に特徴的な突然変異を持っており、これらの群内の最も高いレベルの多様性を示す。クローンN−15内の突然変異は完全長遺伝子を通して分散しているが、一方、クローンT−35内の突然変異は遺伝子の5’末端に群をなしていることは注目に値する。
【0082】
実施例19:インビボでの体液性応答の誘導 特異的抗vif免疫応答はT−35、N−15およびpCVif発現プラスミドで免役したマウスから集められた血清では明らかであったが、pcDNA3ベクター単独で免疫されたマウスからの血清ではそうではなかった。免疫応答の誘導はDNA注射濃度ならびに追加免疫間の回数および時間間隔に相関していた。ELISAで測定した場合、50かまたは100μgのvif DNAが注射された4匹のマウスからの血清はvifタンパク質への特異的反応性を持っていた(図3)。体液性応答誘導は容量−および時間依存性であった。50μgのDNA注射は一回目の注射の15日後にELISAで検出可能な免疫応答を誘導した。この応答は続いての追加免疫後に増加し、2回の追加免疫45日後に最高レベルに到達した(パネルA)。100μgのDNA注射は、一回の注射わずか28日後に最高レベルに到達した(パネルB)。加えて、抗体応答はDNAの1回の追加免疫を行う3回の注射219日後でも上昇できる(データは示されていない)。抗体応答のレベルはvifクローン間で変化した。最も重要なことは、非伝播クローンN−15は伝播クローンT−38またはpCVifよりも高い血清学的応答を誘導する。このことは非伝播vifは、マウスのこの株において、伝播vifよりもより有効なB−Tヘルパー依存性応答を誘導できることを示唆している。
【0083】
実施例20:ワクシニア発現vifを用いるインビボでの、細胞性応答の誘導 vif構築物の一つで各々免役した4匹のマウスに1回目の注射15日後にさらなる追加免疫が与えられた。2匹のマウスがその後に殺され、その脾臓細胞は細胞毒性T細胞(CTL)アッセイに使用された。vif発現ワクシニアで感染させたp815細胞が標的細胞として使用された。vifDNA免疫化および自然のマウスからの脾臓細胞による非特異的溶解は、標的細胞として非vif発現ワクシニアで感染させたp815細胞を使用して測定された。特異的標的溶解は図4に示されている。特異的CTL活性のレベルはvif構築物間で変化した。クローンpCVifで免疫したマウスからの脾臓細胞は、100:1のエフェクター:標的比で45%の溶解を示した。クローンT−35およびN−15は同一の比で各々17および12%を示した。これらの結果は、vifDNA免疫化は特異的CTL応答を誘導していることを明らかに示している。vif遺伝子接種により誘導されたCTL活性レベルにおける種々の患者クローン間の相違は、ワクチン標的により発現されたCTLエピトープ内の突然変異またはハロタイプの免疫応答性の相違によるものであろう。
実施例21:臨床HIV−1単離物で感染させたヒト標的を用いるインビトロでの細胞性応答の評価ウイルス感染標的の溶解を誘導するvifクローンの能力を評価するため、CTLアッセイの標的として、CD4レセプターおよびマウスクラスIH−2Dd制限要素の両方を発現するHIV−1感染可能ヒーラーCD4/Dd細胞が使用された。これらの細胞は7日間、症候性AIDSの患者から誘導されたHIV−1単離物で感染させた。図5(A−D)はCTLアッセイの結果を示している。vif特異的溶解を示す各々のDNA構築物を注射したマウスから脾臓細胞が得られた。クローンT−35、N−15およびpCVifは50:1のエフェクター:標的比で各々27、26および24%溶解を示した。25:1の比では3つすべてのクローンが20%溶解を示した。このことは、天然のHIV−1に対する細胞性免疫応答はvif発現ベクターによる遺伝子ワクチン接種により発生できることを示している。
【0084】
実施例22:抗原特異的T細胞増殖の誘導 HIV−1 vifタンパク質に対する特異的T細胞増殖応答もまたDNA免疫動物で研究された。vif免疫マウスからのリンパ球はvifタンパク質に対して著しい増殖応答を示した。図6は異なったvif構築物の増殖指数に対するDNA注射濃度を示している。結果はMHCクラスII依存性Th(ヘルパー)細胞応答は用量依存性であることを示している。各々の構築物について、刺激指数は50μgのvifDNAを注射したマウスより100μgのvifDNAを注射したマウスの方がほとんど2倍高かった。3つの異なったvif構築物の比較もまた、各々の注射濃度で、クローンT−35はN−15またはpCVifよりも高い刺激指数を誘導することを示している。
【0085】
実施例23:vif発現プラスミドによるHIV−1vifプロウイルスのトランス相補性予期されるように、HIV−1(vif−)プロウイルスDNAおよびvif発現プラスミドによるRD細胞の過渡的トランスフェクションは、T−誘導、N−誘導または対照プラスミド間のウイルス産生の相違をよく調べられない(データは示されていない)。vif機能の相違は新しい感染のレベルで示されるであろう。しかしながら、レスキューウイルスが一次リンパ球を感染させるのに使用された場合、T−、N−誘導または対照プラスミド間に、ウイルス病因論に著しい相違が観察された(表3)。vif陰性プロウイルスクローン(p911)単独では無細胞ウイルスのように一次PBLに感染することができなかった。トランス相補性ウイルス(p911+pCVif)がPBLを感染させるのに使用された場合、感染力は野生型ウイルスの5分の1であった。対照的に、試験されたT−誘導クローンの各々は(vif−)突然変異を助けることができた(約100%陽性ウイルス対照)。しかしながら、N−誘導クローンのどれも無細胞ウイルスのようにPBLに効果的に感染できなかった。従って、N−15および類似のN−誘導クローンは機能性が欠如したまま、マウスにおいて抗HIV−1免疫応答を誘導できた。
【0086】
【表3】

【0087】
RD細胞は10μgのpZr6、vif突然変異体p911、p911および異なった患者試料からのvif発現プラスミドでトランスフェクトされた。ウイルスプールはトランスフェクション72時間後に集められた上清から調製された。100ngのp24抗原と等しい量のウイルスが10x106PBMCを感染させるのに使用された。感染はp24抗原産生によりモニターされた。
【0088】
実施例24:観察 N−誘導クローンは、vif欠損HIV−1プロウイルスをトランス相補するその能力が弱められた。分析された一つのクローン,N−15、もまた免疫学的に機能性であり、野生型HIV−1ウイルスに対する免疫応答を発生することができる。本発明のN−15のような非機能性であるがしかし免疫原性のクローンはHIV−1に対する遺伝子ワクチンの有効な成分であり得る。本発明において、vif単独でインビトロにおいて天然のHIV−1に対して有効な応答を発生できる。そのような免疫原は、天然のvif発現ウイルスに対する免疫応答を標的とする治療セッティングに有用であろう。逸脱変異体が生じることはありそうなことであるが、この選択のために欠損vifを発現しているウイルスはインビボで弱められた増殖動力学を示すであろう。同様の様式で、vifを含む予防的ワクチンは、ウイルス逸脱を制限するために、および感染の初期の間にウイルスセットポイントを下げることに寄与するように働くことができるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離され、弱毒化された、非機能性vifタンパク質変異体であって、配列ID番号:1の87−94位:Ile−Glu−Trp−Arg−Lys−Arg−Arg−Tyrおよび配列ID番号:1の172−178位:Asp−Arg−Trp−Asn−Lys−Pro−Glnおよび図1のコンセンサス配列の37位にアミノ酸残基:GluまたはLysを含み、野生型Vif配列の75%が保存されており、天然の病原体を破壊することができるVif−特異性の体液性および/または細胞性の免疫応答性を誘導することができ、そして野生型Vifと比較してビリオン活性が存在しないか又は減じられている、単離され、弱毒化された、非機能性vifタンパク質変異体。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−1290(P2010−1290A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159155(P2009−159155)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【分割の表示】特願2000−511515(P2000−511515)の分割
【原出願日】平成10年9月18日(1998.9.18)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】