遺伝子発現プロファイルを用いる病気の同定、観測及び治療及び生物学的状態の同定
【課題】被験体から得たサンプルに基づいて、生物学的状態に関して被験体の状態を示す指数を提供する方法。
【解決手段】以下を含む遺伝子発現データの使用に関し、特に被験体の病気の同定、観測及び治療及び生物学的状態の同定方法:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、各々の構成要素は、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値であり;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程;及びプロファイル・データセットから得た値を、被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、生物学的状態の一価測定にプロファイル・データセット由来の遺伝地図を提供する指数関数に適用する工程。
【解決手段】以下を含む遺伝子発現データの使用に関し、特に被験体の病気の同定、観測及び治療及び生物学的状態の同定方法:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、各々の構成要素は、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値であり;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程;及びプロファイル・データセットから得た値を、被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、生物学的状態の一価測定にプロファイル・データセット由来の遺伝地図を提供する指数関数に適用する工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野及び背景技術
本発明は遺伝子発現データの使用に関し、特に被験体の病気の同定、観測及び治療及び生物学的状態の同定に関する。
【0002】
従来は特定のマーカーの存在または不存在を測定するために遺伝子発現データを利用し、いくつかの状況において、診断の正確さまたは検出感度の向上を達成するために、特定の病気マーカーの過剰発現スコアの累積した追加について説明している。特定の患者及び治療または栄養剤の投与量タイプに対する患者の応答状態についての情報は、医療施設産業の医療行為の効果の側面からだけでなく、改善された業績及び患者の利益に関しても臨床医学において今日重要な問題である。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
第1の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価する方法を提供する。本方法は以下を含む:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットであって、各々の構成要素は、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程。
【0004】
関連実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、生物学的状態に関して、被験体の状態を表す指数を提供する。この実施態様は以下を含む:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程;及びプロファイル・データセットから得た値を、被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るため、生物学的状態の一価測定にプロファイル・データセット由来の遺伝地図を提供する指数関数に適用する工程。さらに前述の関連実施態様において、プロファイル・データセットを得る際に、測定条件下において各構成成分の測定を達成し、全構成成分についての増幅の特異性及び効率が実質的に類似している。同様に、さらに実施態様はプロファイル・データセットを得る際に、代わりに、または追加で、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実施的に類似している、測定条件下でそのような各構成成分の測定を含む。
【0005】
指数を得る工程に関する実施態様において、1の実施態様は該指数にさらに、関連集団について測定した指数関数の基準値を与え、従って該指数は基準値に比較して解釈できる。任意で基準値の提供は指数関数の構築を含み、従って基準値はおおよそ1である。また、任意で関連集団は、年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0006】
他の実施態様において、全構成成分についての増幅、発現の効率の割合は約2%の範囲内であり、任意で約1%の範囲内である。
【0007】
他の関連実施態様において、測定条件は再生可能であり、従って各構成成分についての該測定はサンプルからの該測定の繰り返しの導出について変動係数を有し、約3%以下である。
【0008】
さらに他の実施態様において、パネルは少なくとも3つの構成成分を含み、状況に応じて構成成分は約500より少ない。
【0009】
他の実施態様において、評価される生物学的状態は被験体の局所組織に関し、サンプルは該局所組織とは異なる種類の組織または体液から得る。
【0010】
関連実施態様において、生物学的状態はここで表1〜12に同定した状態のいずれかであり、かかるケースにおいて対応する遺伝子発現パネルの構成成分に対応して測定を行う。各ケースのパネルは少なくとも2、及び状況に応じて少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10の対応する遺伝子発現パネルの構成成分を含む。
【0011】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて被験体の炎症状態を示す指数を与える方法を提供し、以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1のプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、該パネルが表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2つの構成成分を含み;(その他の実施態様においては、表1のパネルの少なくとも3、4、5、6または10の構成成分をパネル中で用いる)ここで、第1のプロファイル・データセットを得る際に、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件かつ実質的に再現可能な両方の条件下において、該測定を各構成成分について行い;サンプルまたは被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、第1のプロファイル・データセットから得た値を、プロファイル・データセットの事例由来の遺伝地図を生物学的状態(1の実施態様において、これは炎症状態である)の一価測定に提供する指数関数に適用する工程。生物学的状態は適当な遺伝子発現パネルを用いて評価できる任意の状態であり、炎症遺伝子発現パネルを用いる炎症範囲の測定は1つの例である。
【0012】
さらに別の実施態様において、指数関数によるマッピングはさらに関連基準プロファイル・データセットの事例に基づき、値は同じ被験体または類似または異なる生物学的状態を有する被験体またはサンプル集団から得た対応する基準プロファイル・データセットから適用できる。さらに、指数関数は、構築体の発現が増加する事例において、構築基準値から通常上に逸れるように構築し、該増加は炎症の増加に関連し、構築体の発現が減少する事例において、該減少は炎症の増加に関連する。指数関数はあるいは、発現レベルが炎症範囲を用いて修正される範囲に通常は従って、パネル中の構築体の発現値の重さを測るために構築される。指数関数はもしくは、炎症生物学の臨床的見識を考慮に入れて、または実験的に得られたデータを考慮に入れて、または臨床及び人口統計データを用いたプロファイル・データセットに関連するデータベース中のプロファイル・データセットのコンピューター分析から得られる関係を考慮に入れて構築する。これに関して、このようなデータを評価し、炎症範囲の最適化した予測判断材料である構成成分発現値のモデルを確立する指数関数の構築は統計的手法を用いて達成できる。
【0013】
他の実施態様において、パネルは特定の炎症性疾患に関連する少なくとも1の構成成分を含む。上述の方法は、(i)指数関数によるマッピングが人口統計データ及び臨床データのうち少なくとも1の事例にも基づき、(ii)値が人口統計データ及び臨床データのうち少なくとも1つに関連する値のセットを適用することを含む第1のプロファイル・データセットから適用される、工程をさらに用いる。
【0014】
上述の方法の他の実施態様において、第1のプロファイル・データセットを得る工程の一部は第1の位置で行い、第1のプロファイル・データセットから得た値を適用する工程は第2の位置で行い、第1のプロファイル・データセットを得る工程の一部の実施に関連するデータはネットワーク上で第2の位置に連絡し、第2の位置において第1のプロファイル・データセットから得た値を適用する工程を可能にする。
【0015】
本方法の実施態様において、指数関数は期間の線形和であり、各期間はプロファイル・データセットの構成要素の寄与関数である。さらに、寄与関数は該構成要素またはその逆数のうちの1つの力の加重和であり、力は積分であり、寄与関数が該構成要素またはその逆数のうち1つの多項式となるようにする。任意で、多項式は線形多項式である。プロファイル・データセットはIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも3、4または全ての構成要素を含む。指数関数は1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例し、括弧で囲まれた構成成分は当該構成成分の指標を表す。
【0016】
さらに他の実施態様において、炎症に関連する情報について、被験体から得たサンプルに関して複合データを分析する方法を提供し、該方法は以下を含む:サンプルのための遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルに関する遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0017】
他の実施態様において、被験体の生物学的状態を観測する方法提供し、被験体から経時的に各一連のサンプルについて遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づき;及び各一連のサンプルについて遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために対応する遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0018】
他の実施態様において、(i)被験体に投与するための作用物質の効果的投与量及び(ii)被験体に対する作用物質投与スケジュールのうちの少なくとも1つを決定する方法を提供し、該方法は以下を含む:被験体からサンプルの遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルの遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程;遺伝子発現プロファイル炎症指数を効果的投与量及びスケジュールのうち少なくとも1を構築する指標として用いる工程。
【0019】
他の実施態様において、被験体の生物学的状態に関して治療を継続または変更するかの決定を導く方法を提供し、以下を含む:被験体からサンプルの遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルの遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0020】
作用物質に暴露された結果の被験体の生物学的状態の変化を予測する方法を提供し、以下を含む:作用物質投与がない被験体から第1のサンプルの第1の遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、第1の該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;作用物質投与の下、被験体から第2のサンプルの第2の遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、第2の該遺伝子発現プロファイルは同じ徴候欄に基づく;及び対応する第1の遺伝子発現プロファイル炎症指数及び第2の遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために第1及び第2の該遺伝子発現プロファイルを用いる工程。従って、作用物質は化合物であり、該化合物は治療用のものである。
【0021】
他の実施態様において、作用物質の性質を評価する方法を提供し、該性質は純度、効能、品質、有効性、または安全性の少なくとも1つであり、該方法は以下を含む:(i)サンプルまたは(ii)サンプルが得られる細胞集団、または(iii)サンプルが得られる被験体の作用物質への暴露を反映している第1の遺伝子発現プロファイルをサンプルから得る工程;遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程;及び遺伝子発現プロファイル炎症指数を該性質の決定に用いる工程。
【0022】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて被験体の生物学的状態を示す指数を与える方法を提供する。該実施態様の方法は以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1のプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、該パネルが表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2つの構成成分を含み;及びサンプルまたは被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、第1のプロファイル・データセットから得た値を、プロファイル・データセットの事例から得た遺伝地図を生物学的状態の一価測定に提供する指数関数に適用する工程。
【0023】
この方法の実施において、指数関数はパネルの基準プロファイル・データセットから得たデータも用いる。基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標である。さらに、第1のプロファイル・データセット及び基準データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。
【0024】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価するための方法を提供する。該実施態様において、該方法は以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数である。
【0025】
この実施態様において、基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、そして較正プロファイル・データセットは被験体の生物学的状態の指標を提供する。
【0026】
類似の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価する方法を提供し、この実施態様の当該方法は以下を含む:第1のサンプルまたはその一部を指標細胞の明確な集団に適用する工程;指標細胞から少なくとも1のRNAまたはタンパク質を含む第2のサンプルを得る工程;複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットを第2のサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、ここで基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、較正プロファイル・データセットは被験体の生物学的状態の指標を提供する。
【0027】
さらに、他の類似の実施態様は、作用物質により影響を受けた生物学的状態を評価する方法を提供する。この実施態様の方法は以下を含む:作用物質を投与した細胞の標的集団から、少なくとも1のRNAまたはタンパク質を含むサンプルを得る工程;複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、ここで基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、較正プロファイル・データセットは作用物質により影響を受けた生物学的状態の指標を提供する。
【0028】
これら最後の実施態様に基づく他の実施態様において、関連集団は健康な被験体の集団である。もしくは、さらに、関連集団は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0029】
もしくは、さらに、パネルは表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2の構成成分を含む(他の実施態様は少なくとも3、4、5、6、または10のこのような構成成分を用いる)。もしくは、さらに、第1のプロファイル・データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。また、もしくは、このような測定が全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる場合、任意で、較正プロファイル・データセットを生成する必要はなく、第1のデータセットを代わりに直接用いて作業してもよい。
【0030】
他の実施態様において、第1の作用物質による生物学的状態の効果を第2の作用物質による効果と比較して評価する方法を提供する。当該実施態様の方法は以下を含む:第1及び第2の作用物質をそれぞれ投与した細胞の第1及び第2の標的集団から、第1及び第2のサンプルをそれぞれ得る工程であって、RNA及びタンパク質の少なくとも1を各サンプルが有し;第1のサンプルから第1のプロファイル・データセット、及び第2のサンプルから第2のプロファイル・データセットを得る工程であって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である工程;及びパネルに対する第1の較正されたプロファイル・データセット及び第2の較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、ここで(i)第1の較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、及び(ii)第2の較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第2のプロファイル・データセットの対応する構成要素及び基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、較正されたプロファイル・データセットが第1の生物学的状態の作用物質による効果の指標を第2の作用物質による効果に関して与える。
【0031】
当該実施態様において、第1及び第2のプロファイル・データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。さらに関連する実施態様において、第1の作用物質は第1の薬剤であり、第2の作用物質は第2の薬剤である。他の関連実施態様において、第1の作用物質は薬剤であり、第2の作用物質は複合混合物である。さらに他の関連実施態様において、第1の作用物質は薬剤であり、第2の作用物質は栄養補給剤である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本は発明の前述の特徴は、添付の図面に言及した以下の説明を参照して容易に理解されるだろう。
【図1A】単一の男性被験体の視神経炎の過程における8日間についての、Source炎症遺伝子パネルから得た24遺伝子(表1に示す)の分析結果を示す。
【図1B】本発明の実施態様に従った、図1Aのデータに関する炎症指数の使用を示す。
【図2】9つの異なる重要な臨床治療の標石において計算した同じ炎症指数のグラフ図である。
【図3】指数の特徴を有する1の提供者において800mgのイブプロフェンを1回投薬した治療の効果を示す。
【図4】5つの異なる条件に関してグラフで示した算出急性炎症指数を示す。
【図5】上気道感染(URI)の進行を観測したウイルス反応指数を示す。
【図6】遺伝子発現パネルを用いて2つの異なる集団を比較したものである(表1の遺伝子発現パネルの48遺伝子座に関する)。
【図7】遺伝子発現パネルを用いて2つの異なる集団を比較したものである(表1の遺伝子発現パネルの48遺伝子座に関する)。
【図8】長期にわたる研究から得た関節リウマチ集団と正常集団とを比較したものである。
【図9】2つの正常集団、1を縦断面、もう一方を横断面で比較したもの。
【図10】正常集団の様々な個体について遺伝子発現値について示す。
【図11】8ヶ月間にわたって毎月分析した、単一の被験体の4つの(表1の炎症遺伝子発現パネルの)遺伝子それぞれの発現レベルを示す。
【図12】4週間にわたって毎週分析した、明確に区別できる単一の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の各48遺伝子の発現レベルを示す。
【図13】6ヶ月にわたって毎月分析した、明確に区別できる単一の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の各48遺伝子の発現レベルを示す。
【図14】表1の炎症遺伝子発現パネルを用いて分析した、抗炎症ステロイドを投与した、単一のヒト被験体の炎症遺伝子発現についての、時間経過効果を示す。
【図15】図14と類似の方法において、プレドニゾンを1回投与したヒト被験体から得た全血サンプルによる、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)5つの遺伝子発現についての時間経過効果を示す。
【図16】TNF阻害化合物を投与した関節リウマチを患うヒト被験体の炎症遺伝子発現についての時間経過効果を示し、ここで該発現は正常(すなわち、未診断、健康)集団について(図6及び7との関連で)前もって決定した同起源遺伝子座平均との比較で示す。
【図17A】集団における炎症遺伝子発現の一貫性について示す。
【図17B】未診断集団から得た指数値の正常分布を示す。
【図17C】図17Bと同じ指数の使用し、正常集団の炎症中央値をゼロに設定し、正常及び疾病被験体の両方をその中央値と比較した標準偏差単位においてプロット。
【図18】図17Aと類似の方法でプロットした、図17Aと同じ7遺伝子座に関する遺伝子発現プロファイル、関節リウマチ患者の2つの異なる(応答物と非応答物)6つの被験体集団。
【図19】メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しない、関節リウマチを患う1の被験体の評価に関する炎症指数の使用を示す。
【図20】メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しない、関節リウマチを患う3の被験体の評価に関する炎症指数の使用を同様に示す。
【図21】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図22】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図23】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図24】炎症性腸疾患を患う1の被験体の評価に関する炎症指数の使用を示す。
【図25】その他の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と比較した、in vitroでイブプロフェンの治療をした全血の24遺伝子(表1の炎症遺伝子発現パネル)に関する遺伝子発現プロファイルを示す。
【図26】2つの競合抗炎症化合物の効果の客観的、量的、精密度及び再生可能性の比較を示す。
【図27】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。宿主生物系における種々の生物学的状態の区別を発展させた、24の遺伝子の新規な細菌性遺伝子発現パネルを用いる。
【図28】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。3つの異なった供給源:化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、バシルス・ズブチリス(B.subtilis)及び黄色ブドウ球菌(S.aureus)から得た単一の遺伝子座、IFNGからLTAの異なる発現を示す。
【図29】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。グラム陽性及びグラム陰性微生物を投与した全血における、炎症48A遺伝子座(図6との関連で上述に記載)の2時間後の反応を示す。
【図30】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。グラム陽性及びグラム陰性微生物を投与した全血における、炎症48B遺伝子座(図7との関連で上述に記載)の2時間後の反応を示す。
【図31】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図29に対応し、投与後6時間に観測を行う以外は類似する。
【図32】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図30に対応し、投与後6時間に観測を行う以外は類似する。
【図33】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。大腸菌及び生物を含まない大腸菌ろ過により誘発された遺伝子発現反応を比較する。
【図34】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図33に類似するが、比較反応は大腸菌ろ過のみから及びポリミキシンBを加えた大腸菌ろ過からの刺激に対するものである。
【図35】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。投与後2、6及び24時間の黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現反応を示す。
【図36】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図37】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図38】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図39】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図40】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図41】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
具体的な態様の詳細な説明
定義
以下の用語は文脈において特に示さない限り、以下の意味を有するものとする。
【0034】
“アルゴリズム”とは生物学的状態を説明するための法則のセットをいう。法則のセットはもっぱら代数学的に定義されるが、問題領域の知識、専門家の解釈またはその他の重要な指標を必要とする別のまたは複数の解決点も含んでもよい。
【0035】
“作用物質”はここに定義される“組成物”または“刺激”であり、または組成物及び刺激の組み合わせである。
【0036】
定量RT−PCR分析に関連する“増幅”は、その濃度の定量測定を与えるために追跡記録されるDNA複製数の関数である。ここで“増幅”は定量分析技術の感度及び特異性の程度をいう。従って、増幅は、増幅効率及び従って感度の程度及び全構成成分測定の再現性の程度が実質的に類似している条件下で評価される構成成分濃度の指標を提供する。
【0037】
“基準プロファイル・データセット”とは、数学的基準目的のため用いる所望の生物学的状態下で生物学的サンプル(またはサンプル集団)の評価を生じる遺伝子発現パネルの構成成分に関する値のセットである。所望の生物学的状態は例えば、作用物質に曝される前または未治療の疾病の存在下または疾病がない被験体(または被験体の集団)の状態である。もしくは、さらに、所望の生物学的状態は被験体または被験体の集団の健康である。もしくは、さらに、所望の生物学的状態は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1に基づいて選択される被験体集団に関する状態である。
【0038】
被験体の“生物学的状態”は、観察下にある適切な範囲の被験体の状態であり、そのような範囲は、健康、癌、外傷、老化、感染、組織再生、発育段階、身体活動、肥満を含む疾病、または心的状態のような状態の変化の観測され得る被験体の任意の側面を含み得る。当然のことながら、これに関連する状態は慢性または急性または単に一時的であってもよい。さらに、標的となる生物学的状態は、細胞の生体または集団を通じてはっきり表れ得、または特定の器官(皮膚、心臓、目または血液など)に限定され得るが、いずれの場合においても、該状態は影響を受けた細胞集団のサンプルにより直接または被験体のほかの場所から得たサンプルにより間接的に観測できる。“生物学的状態”の語は、“心理学的状態”を含む。
【0039】
被験体の“体液”は、血液、尿、髄液、リンパ液、粘膜分泌物、前立腺液、精液、血リンパ液、または当業者に公知のその他の被験体の体液を含む。
【0040】
“較正プロファイル・データセット”は、第1のプロファイル・データセットの構成要素とパネル中の所定の構成成分に関する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数である。
【0041】
“臨床的指標”は、細胞の集団または生物の生理学的条件を評価する際に、単独または他のデータと結合して用いられる任意の生理学的データである。この用語はプレ臨床的指標を含む。
【0042】
“組成物”は任意の物理的状態または物理的状態の組み合わせにおける、化学的化合物、栄養補助食品、医薬品、ホメオパシー製剤、アロパシー製剤、自然療法製剤、化合物の組み合わせ、毒素、食物、食物補助食品、ミネラル及び物質の複合混合物を含む。
【0043】
サンプルからプロファイル・データセットを“得る(derive)”ことは、(i)生物学的サンプル中の構成成分の直接測定により、または(ii)最初のサンプルに暴露された、または最初のサンプルから得たものに暴露された第2の生物学的サンプル中の構成成分の測定により、遺伝子発現パネルの構成成分に関する一連の値を決定することを含む。
【0044】
構成成分のパネル中の“はっきり識別できる(distinct)RNAまたはタンパク質構成成分”は、RNAまたはタンパク質の遺伝子のはっきりと識別できる発現産物である。遺伝子の“発現”産物は、メッセンジャーRNAの翻訳から生じるRNAまたはタンパク質である遺伝子産物を含む。
【0045】
“遺伝子発現パネル”は実験的に実証された構成成分のセットであり、各構成成分は遺伝子のはっきり識別できる発現産物、RNAまたはタンパク質であり、当該セットの構成成分はそれらの指標が標的となる生物学的状態の指標を与えるように選択される。
【0046】
“遺伝子発現プロファイル”は、生物学的サンプル(またはサンプル集団)の評価から生じる遺伝子発現パネルの構成成分に関する一連の値である。
【0047】
“遺伝子発現プロファイル炎症指数”は遺伝子発現プロファイルの事例から炎症状態の一価測定にマッピングを提供する指数関数の値である。
【0048】
被験体の“健康”は被験体の知力、感情、身体、精神、アロパシー、自然(naturopathic)、及びホメオパシー状態を含む。
【0049】
“指数(index)”はより複雑な定量情報を単純化または開示または通知する際の補助のための算数または数学的に得た数値的発展である。疾病または集団指数は共通の生物学的状態を有する複数の被験体またはサンプルに対する明確なアルゴリズムの適用により決定できる。
【0050】
“炎症”は通常の医学用語の中でここで用い、急性または慢性;単純または化膿性;局所または散在性;細胞及び組織応答性、化学的、物理的または生物学的作用物質または作用物質の組み合わせのうちいくつかにより開始または維持されたのものである。
【0051】
“炎症状態”は炎症から生じる被験体の関連する生物学的状態を示すために用いられ、炎症度合いの特性を示す。
【0052】
遺伝子の共通のパネルに基づく“多数の”データセットは同じパネルに基づいた事例に関して描かれる統計的に重要な結論を可能にするために十分に大きい多数のデータセットである。
【0053】
組成物が投与される被験体の“基準”の状態は被験体がたまたま病気を患っている場合であっても、投与前の日の状態を意味する。
【0054】
遺伝子の“パネル”は少なくとも2つの構成成分を含む遺伝子のセットである。
【0055】
被験体から得た“サンプル”は、静脈穿刺、排出物、射精、マッサージ、生検、針、吸引、洗浄サンプル、剥離、外科的切開、または診療またはその他の当業者に公知の方法などの手段により、被験体から得た単一細胞または複数細胞または細胞断片または体液のアリコートを含む。
【0056】
“徴候(signature)プロファイル”は生物学的状態、作用物質または生理学的な作用機序を区別するために選択される遺伝子発現プロファイルの実験的に実証された小集団である。
【0057】
“徴候(signature)パネル”は遺伝子発現パネルの小集団であり、その構成成分は生物学的状態、作用物質または生理学的な作用機序を区別するために選択することを可能にするために選択される。
【0058】
“被験体”は、in vivo(生体内)、ex vivo(生体外)またはinvitroにおける観察下の細胞、組織または微生物、ヒトまたは非ヒトである。被験体から得たサンプルに基づいて被験体の生物学的状態を評価することに言及する場合、ヒトである被験体の状態を評価するためのヒト被験体から得た血液またはその他の組織サンプルを用いることを含み;しかし、例えば、治療効果またはサンプル上の作用物質の効果など評価するための被験体として血液サンプルそれ自身を用いることも含む。
【0059】
“刺激”とは以下を含む(i)被験体の観測される物理的相互作用、例えば、紫外線AまたはBまたは季節性情動障害のための光線治療、またはソラレンを用いる乾癬の治療または植え込み放射性種を用いるメラノーマ治療、その他の放射線曝露、及び(ii)被験体の任意の観測される身体、知的、感情、または精神活動または不活動。
【0060】
“治療”は、被験体の観測される生物学的状態を維持または変化させることを意図した生物学、化学、物理学、形而上学または前述の組み合わせの全ての診療行為を含む。
【0061】
本発明者により出願され、ここに引用するものとする2001年4月12日に公開されたPCT特許出願公開番号WO01/25473、タイトル“Systems and Methods for Characterizing a Biological Condition or Agent Using Calibrated Gene Expression Profiles(較正された遺伝子発現プロファイルを用いる生物学的状態または作用物質を特定するためのシステム及び方法)”は(i)生物学的状態(健康及び疾病に関するものを含む)及び(ii)生物学的状態への1以上の作用物質の影響(健康、毒性、治療処置及び薬物相互作用に関するものを含む)を評価するための遺伝子発現パネルの使用について開示する。
【0062】
特に、遺伝子発現パネルは以下に用いることができる:天然または合成組成物の治療効能の測定または個々にまたは組み合わせて、または標的とする生理学的状態の範囲の混合において策定される刺激の測定;毒性効果の予測及び個々のまたは集団における組成物または組成物の混合物の投薬効果の予測;相乗作用、追加的作用、マイナス作用、中性または毒性作用のいずれかを検出するための1回の治療において投与される2以上の異なる作用物質がどのように相互作用するかの決定;疾病状態を明らかにするために情報プロファイル・データセットに従い被験体を前もって選択するための新しい基準を提供することによるプレ臨床及び臨床試験の実施;及びフェーズ1または2試験を行う前のこれらの患者についての予備投薬試験の実施。これらの遺伝子発現パネルは生物学的状態を評価するために被験体から得たサンプルに関して用いることができる。
【0063】
遺伝子発現パネルはパネル中のRNAまたはタンパク質構成成分の定量測定が被験体の生物学的状態を指標を構成するように選択する。1の処理において、較正されたプロファイル・データセットを用いる。較正されたプロファイル・データセットの各構成要素は(i)遺伝子発現パネルのはっきり識別できる構成成分の指標及び(ii)基準量の関数である。
【0064】
再生可能な条件下(測定の再生可能性は20%以上、好ましくは5%以上、及びより好ましくは3%以上)で構成成分の定量測定を行った場合、有益で予測できない結果が達成されることがわかった。この記載及び請求項の目的において、測定の再生可能性は20%以上であり、かかる測定条件は“実質的に”再生可能である。特に、各時間毎の測定は特定のサンプルにおいて構成成分の発現レベルに対応して得られ、実質的に同じ測定は実質的に同じ発現レベルを生じるべきである。このように、遺伝子発現パネルにおける構成成分の発現レベルはサンプル毎に有意義に比較できる。たとえ特定の構成成分に関する発現レベル測定が不正確であっても(例えば、30%は低すぎる)、再生可能の基準は、この構成成分に関する全測定が、ゆがんでいる場合、それにも関わらず体系的にゆがめられ、従って構成成分の発現レベルの測定が大きな意味を持って比較できることを意味する。このような方法で、有用な情報が得られ、様々な環境下で構成成分の発現に関して比較できる。
【0065】
再生可能性の基準に加え、第2の基準も満たされることが望ましく、すなわち、構成成分の定量測定は、全構成成分の増幅効率が実質的に類似する(1〜2%内、通常1%以下)条件下で行われる。これらの基準両方が満たされた場合、1の構成成分の発現レベル測定が所定のサンプル中のその他の構成成分の発現レベルの測定とサンプル毎に有意義に比較できる。
【0066】
本実施態様は構成成分の定量測定から生じる指数またはアルゴリズムの使用に関し、及び任意でさらに、以下の専門分析またはコンピューター生命工学から得られるものに関する:(a)複合データセットの分析;(b)情報価値のない、またはサンプルまたは被験体間の遺伝子発現値における軽微な相違の影響を制御または標準化する;(c)複合データセットを複合データセットから得たその他の複合データセット、データベースまたは指数またはアルゴリズムと比較するためにその特徴を単純化する;(d)被験体の生物学的状態を観測する;(e)天然または合成組成物の治療効能の測定または個々にまたは組み合わせて、または標的とする生理学的状態の範囲の混合において策定される刺激の測定;(f)毒性効果の予測及び個々のまたは集団における組成物または組成物の混合物の投薬効果の予測;(g)相乗作用、追加的作用、マイナス作用、中性または毒性作用のいずれかを検出するための1回の治療において投与される2以上の異なる作用物質がどのように相互作用するかの決定;(h)疾病状態を明らかにするために情報プロファイル・データセットに従い被験体を前もって選択するための新しい基準を提供することによるプレ臨床及び臨床試験の実施;及びフェーズ1または2試験を行う前のこれらの患者についての予備投薬試験の実施。
【0067】
遺伝子発現プロファイル及び特定の状態または作用物質または両方を特定する指数の使用はフェーズ3臨床試験の費用を減少するために使用し、フェーズ3試験の領域を超えて使用することができる。承認薬の標識、固有の生理機能に関する特定患者のための薬物治療の分類における適当な薬物治療の選択;病状の予後または症状の開始に先行する感染の診断または決定、または治療薬の投与による副作用の診断;患者の健康管理;及び作用物質または作用物質の混合物の様々な分量の品質管理。
【0068】
被験体
ここに開示する方法は、当業者による過度な実験の必要なくヒト、哺乳類またはその他の生物の細胞に適用され得る。これは、全ての細胞がRNAを転写し、どのように全ての型の細胞からRNAを抽出するかは本技術分野では公知だからである。
【0069】
遺伝子発現パネルの構成成分の選択
遺伝子発現パネルの構成成分を選択するための一般的な方法はPCT出願公開番号WO01/25473に記載されている。広範囲の遺伝子発現パネルを設計及び実験的に実証し、各パネルは血液またはその他の組織のサンプルから得られる生物学的状態の定量測定を与える。各パネルに関し、実験によりパネルの構成成分を用いる遺伝子発現プロファイルが生物学的状態の情報となることを実証した。(生物学的状態の情報となる場所を示し、遺伝子発現プロファイルがとりわけ治療の効果を測定するため及び治療的介入のための標的を与えるために用いることができることを示した。)遺伝子発現パネルの例は各パネル構成成分の簡単な説明と共に、以下の通りここに付属の表中に与える:
表1.炎症遺伝子発現パネル
表2.糖尿病遺伝子発現パネル
表3.前立腺遺伝子発現パネル
表4.皮膚反応遺伝子発現パネル
表5.肝臓代謝及び疾病遺伝子発現パネル
表6.内皮遺伝子発現パネル
表7.細胞状態(Health)及びアポトーシス遺伝子発現パネル
表8.サイトカイン遺伝子発現パネル
表9.TNF/IL1阻害遺伝子発現パネル
表10.ケモカイン遺伝子発現パネル
表11.乳癌遺伝子発現パネル
表12.感染病遺伝子発現パネル
その他のパネルは、本発明で明確にされた原理に従い当業者であれば構築及び実験的に実証できる。
【0070】
分析設計
通常、サンプルはパネルを通して4通りにする。すなわち、サンプルをアリコート内に分割し、各アリコートについて遺伝子発現パネル中の各構成成分の濃度を測定する。900の構成成分分析の合計にわたり、各分析を4通りで行い、平均変動係数がわかった。各分析結果において、(標準偏差/平均)*100は2%より少なく、通常1%よりも少なかった。この数はいわゆる“併行変動性(intra−assay variability”の測定である。また、同じサンプル材料を用いて異なる時に分析を行った。72の分析により、24の構成要素からなるパネル中の構成成分の濃度測定を得て、該濃度測定は長期にわたって3つの異なる時に測定した。平均変動係数は5%より少なく、通常2%より少なかった。これをいわゆる“併行変動性(intra−assay variability”の測定とみなす。
【0071】
統計的に“外れ値”であるデータ点を同定及び消去するために4通りの試験結果を用いることは有用であった。このようなデータ点は例えば、全4つの値の平均より3%大きい割合で異なり、例えば、1%より大きい体系的ゆがみからは生じない。さらに、4つのセットの1以上のデータ点がこの手順により排除される場合、関連する構成成分の全てのデータを廃棄する。
【0072】
パネル中の構成成分の遺伝子発現の測定
サンプル中の特定RNAの量を測定するために、当業者に公知の方法を用い、遺伝子発現パネルの構成成分に関する転写RNAをサンプルから抽出し、量を測った。(詳細な手順は以下を参照。また、RNA分析手順に関してここに引用するPCT出願公開番号WO98/24935も参照。)簡単言えば、RNAは組織、体液または被験体の集団が成長できる培養基などのサンプルから抽出される。例えば、細胞を溶解し、RNAをDNAアーゼ反応を行う適当な溶液中に溶出させる。第1のストランド合成は逆転写酵素を用いて行うことができる。遺伝子増幅、より具体的に反応定量PCR分析はそれから行うことができ、目的のサイズの遺伝子を18S rRNAなどのマーカーに対して較正する(Hirayama et al.、Blood 92、1998:46−52)。サンプルは複数の複製物、例えば4つの複製として測定する。mRNAの関連計量は内部対照及び目的遺伝子間の閾値周期における違いにより測定する。本発明の実施態様において、定量PCRは増幅、伝達因子及びApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)に市販されているような機器を用いて行う。標的転写物の増幅の明確な効果を定めることにより、増幅した標的テンプレートからのシグナルが検出できる点(例えば、周期数)は測定サンプルにおける特定メッセージ転写物の量に直接関連する。同様に、蛍光、酵素活性、分毎の分解、吸収度等のその他の定量化できるシグナルは、標的テンプレートの公知の濃度と相関性がある場合(例えば、参照標準曲線)または制限された変動性を用いて標準化される場合、未知のサンプル中の標的テンプレートの数を測るために用いることができる。
【0073】
増幅方法に限定されないが、定量遺伝子発現技術は標的転写の増幅を利用できる。別のまたは標的転写の増幅との組み合わせにおいて、伝達シグナルの増幅も用いることができる。標的テンプレートの増幅は等温遺伝子増幅方法により達成でき、またはPCRなどの温度サイクリングによる遺伝子増幅により達成できる。
【0074】
増幅された標的または伝達因子と開始テンプレート濃度間で定義でき、かつ再生可能な相関関係を得ることは望ましい。かかる目的は、例えば一貫性のあるプライマー−テンプレート比及び実験的増幅効率の許容される狭いレベルに対する厳密な堅持(例えば、99.0〜100%の相対的効率、通常は99.8%〜100%の相対的効率)に注意を払うことで達成できることがわかった。例えば、単一の遺伝子発現プロファイルに関して遺伝子発現レベルを決定する際に、パネルの全構成成分を類似に保ち、プライマーテンプレート比(例えば、10倍の範囲内)及び増幅効率(例えば、1%以下)を限定された範囲に維持し、各構成成分についての正確及び精密な相対測定を可能にすることが必要である。本明細書の記載及び請求項の目的において、増幅効率を、約10%程度の違いである場合、“実質的に類似”とみなす。好ましくは、約2%以下、より好ましくは約1%以下の違いであるべきである。これらの制約は関連する生物学的状態に関して測定される濃度レベルの全体の範囲にわたって観測されるべきである。
【0075】
従って、実質的に再生可能で全構成成分の特異性及び増幅効率が実質的に類似する測定条件下で測定が達成される基準を満たすために種々の実施態様が必要であるが、それにもかかわらず、エラーを補うような方法で、これらの基準を直接満たさない分析結果を調整することにより、そのような測定条件を達成することは本発明の範囲内であり、従って、該基準は分析結果の適当な調整の後に満たされる。
【0076】
実際に、これらの条件が満たされることを確認するために試験を行う。例えば、多数のプライマー−プローブセットを一般に設計及び製造し、いずれのセットが最良の性能を有するかを実験的に測定する。プライマー−プローブ設計及び製造が公知のコンピューター技術を用いて向上できるとしても、及び一般的な方法であるにも関わらず、実験的検証が依然として有用である。さらに、実験的検証の間、選択したプライマー−プローブの組み合わせを以下の特徴の組と関連付ける:逆プライマーはコードDNAストランドに相補的であるべきである。1の実施態様において、プライマーはイントロン−エキソン結合に交わって位置すべきであり、近接エキソンに相補的な逆プライマーの3つの主要な末端の3塩基程度である。(3つ以上の塩基が相補的である場合、ゲノムDNAを競争的に増幅する傾向にある。)
本発明の実施態様において、プライマー・プローブは110塩基長より少ないcDNAを増幅すべきであり、関連するが生物学的に関連しない遺伝子座由来のゲノムDNAまたは転写因子またはcDNAを増幅すべきでない。
【0077】
選択したプライマー・プローブの適当な標的は第1のストランドcDNAであり、1の実施態様において以下のように調製される:
(a)作用物質により影響を受けた生物学的状態のex vivo評価のために全血の使用。
【0078】
ヒトの血液は静脈穿刺により得られ、基準用、未刺激及び刺激の少なくとも3つの時点に関する十分な量のサンプルに分離することにより分析用に調製する。一般的な刺激はリポ多糖(LPS)、フィトヘムアグルチニン(PHA)及び加熱処理ブドウ球菌(HKS)またはカラギーンを含み、個々に(一般的)または組み合わせて用いることができる。ヘパリン添加したアリコート、全血を未刺激で混合し、5% CO2の雰囲気下、30分間、37℃で放置する。様々な濃度で刺激を加え、混合し、37℃、30分間、軽く蓋をして放置する。追加の試験化合物をこの時点で加えてもよく、試験化合物の予想される薬物動態により種々の時間放置する。特定の時間において、細胞を遠心分離により回収し、種々の標準的な手段により血漿を除去し、RNAを抽出する。
【0079】
核酸、RNA及び/またはDNAは試験集団または指標となる細胞株の細胞、組織または体液から精製する。RNAは種々の標準的な手順(または、RNA Methodologies,A laboratory guide for isolation and characterization(RNA方法論、単離及び同定の研究所ガイド)、第2版、1998、Robert E.Farrell,Jr.,Ed.,Academic PressにおけるRNA Isolation Strategies(RNA単離方法)、pp.55−104)を用いて核酸混合物から選択的に得られ、この場合Ambion(RNAqueous(登録商標)、フェノール−フリーTotal RNA単離キット、カタログ#1912、バージョン9908;オースティン、テキサス州)のフィルターベースRNA単離システムを用いる。
【0080】
1の手順に従って、遺伝子発現プロファイル測定の全血分析は以下のように行った:ヒトの全血をナトリウムヘパリンを含んだ10mLバキュテイナー採血管に取り込んだ。血液サンプルを穏やかに反転管で4〜5分混合した。実験中、血液を2倍に希釈、すなわち、時間点につきサンプル毎に、0.6mLの全血と0.6mLの刺激物で希釈した。分析媒体を調製し、刺激物を必要に応じて加えた。
【0081】
0.6mL量の全血を各12×75mmポリプロピレン管に加えた。0.6mLの2X LPS(大腸菌血清型(serotye)0127:B8由来、シグマ#L3880または血清型055、シグマ“L4005、10μg/ml、ロット違いの変化に対する被験体)をLPS管に加えた。次に、0.6mL分析媒体を各状態につき二通りの管の“対照”管に加えた。蓋をきつく閉めた。サンプルを混合するために、管を2、3回ひっくり返した。蓋をゆるめて、まず停止させ、管を37℃、5%CO2、6時間で培養した。6時間たってから、サンプルを血液細胞を再けん濁させるために穏やかに混合し、1mLを各管から(バリアチップ付マイクロ・ピペッタを用いて)除去し、2mL“ドルフィン”小型微量遠心管(Costar#3213)に移動させた。
【0082】
サンプルをそれから5分間、500xg、周囲温度で遠心分離し(IEC遠心分離または同等物、回転槽中の小型微量遠心管アダプターにおいて)、各管から血清をできるだけ除去し、廃棄した。細胞沈殿物を氷上に置いた;及びRNAをAmbion RNAqueousキットを用いてできるだけ早く抽出した。
【0083】
(b)増幅方法
特異RNAをメッセージ特異プライマーまたはランダムプライマーを用いて増幅する。特異プライマーは公共のデータベースから得られるデータから合成され(例えば、Unigene、全米バイオテクノロジー情報センター、米国立医学図書館、Bethesda、MD)、ヒト及びその他の動物から得られるゲノム及びcDNAライブラリーからの情報を含む。プライマーは試験または指標サンプルから得られる特異RNAから選択的に増幅するために選択し、例えば、RNA Methodologies,A laboratory guide for isolation and characterization(RNA方法論、単離及び同定の研究所ガイド)、第2版、1998、Robert E.Farrell,Jr.,Ed.,Academic PressのRT PCR、第15章、またはRNA isolation and characterization protocols(RNA単離及び同定手順)、Methods in molecular biology、第86巻、1998、R.Rapley and D.L.Manning Eds.,Human Pressまたは14 in Statistical refinement of primer design parameters、第5章、pp.55−72、PCR増幅:protocols for functional genomics(機能ゲノム科学の手順)、M.A.Innis,D.H.Gelfand and J.J.Sninsky,編集、1999、Academic Pressを参照されたい。増幅は等温条件または熱サイクラーを用いて行う(例えば、Applied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)から得られる、ABI9600または9700または7700;Molecular method for virus detection(ウイルス検出のための分子法)、Nucleic acid detection methods(核酸検出方法)、D.L.Wiedbrauk及びD.H.,Farkas,編集、1995、Academic Pressのpp.1−24を参照)。増幅核酸を蛍光タグ検出プライマーを用いて検出し(例えば、Taqman(登録商標)PCR Reagentキット、プロトコル、部分番号402823バージョンA、1996、Applied Biosystems、Foster City、カリフォルニア州を参照)、増幅プライマーについて記載する公知のデータベースから同定及び合成する。この場合、増幅DNAはApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)から市販のABI Prism7700配列検出システムを用いて検出及び定量する。試験サンプル中に含まれる、または指標細胞株から得られる特異RNAの量は観測される蛍光の相対量に結び付けられる(例えば、Advances in quantitative PCR technology:5’nuclease assays(5’ヌクレアーゼ分析、Y.S.Lie and C.J.Petropolus、Current Opinion in Biotechnology(バイオテクノロジーの最近の見解)、1998、9:43−48またはRapid thermal cycling and PCR kinetics(高速熱サイクル及びPCR動力学)、pp.211−229、PCR applicationsの第14章;protocols for functional genomics(機能ゲノム科学の手順)、M.A.Innis、D.H.Gelfand and J.J.Sninsky,編集、1999、Academic Pressを参照)。
【0084】
ここに記載する方法の特定の実施として、PCR用の第一のストランドcDNAの詳細な合成手順を記載する。この手順は全血RNA及び培養細胞(すなわち、THP−1細胞)から抽出されたRNAの両方に使用できる。
【0085】
材料
1.Applied Biosystems TAQMAN逆転写試薬キット(P/N 808−0234)。キットの内容:10X TaqMan RT Buffer,25mM 塩化マグネシウム、デオキシNTP混合物、ランダム・ヘキサマー、RNAアーゼ阻害因子、MultiScribe逆転写酵素(50U/mL)(2)RNAアーゼ/DNAアーゼを含まない水(Ambion市販のDEPC処理水(P/N 9915G)または同等物)。
【0086】
方法
1.RNAアーゼ阻害因子とMultiScribe逆転写酵素を氷上に速やかに置く。その他の全ての試薬を室温で解凍し、それから氷上に置く。
2.RNAサンプルを−80℃冷凍庫から取り出し、室温で解凍し、それから速やかに氷上に置く。
3.逆転者酵素試薬の以下の混合物を各100mL RT反応について調製する(複数のサンプルについて、分注ミスを考慮に入れるため余分の混合物を調製する):
1反応(mL) 11X、例えば、10サンプル(mL)
10X RTバッファー 10.0 110.0
25mM MgCl2 22.0 242.0
dNTP 20.0 220.0
ランダム・ヘキサマー 5.0 55.0
RNAアーゼ阻害因子 2.0 22.0
逆転写酵素 2.5 27.5
水 18.5 203.5
計 80.0 880.0 (サンプル当たり80mL)
4.各RNAサンプルを1.5mLのマイクロ遠心分離管に全体積20mLを送り(例えば、THP−1 RNAの場合、10mLのRNAを除去し、RNAアーゼ・DNAアーゼを含まない水を用いて20mLに希釈し、全血RNA用の合計20mLのRNAとする)、工程5、2、3から80mLのRT反応混合物を加える。ピペットにより上下に取ることで混合する。
5.サンプルを室温で10分間培養する。
6.サンプルを37℃で1時間培養する。
7.サンプルを90℃で10分間培養する。
8.マイクロ遠心分離でサンプルを高速回転させる。
9.速やかにPCRを行う場合サンプルを氷上に置き、それ以外の場合はサンプルを後で使用するために−20℃で保管する。
10.PCR QCは18S及びb−アクチンを用いて全RTサンプル上で行うべきである(SOP200−020を参照)。
【0087】
遺伝子発現パネルの構成成分の測定を可能にするための上述の第1のストランドcDNAとプライマー・プローブの使用は以下の通りである:
炎症用の24遺伝子のヒト遺伝子発現パネルの設定。
【0088】
材料
1.各目的遺伝子についての20X プライマー/プローブ混合物。
2.18S内生対照のための20X プライマー/プローブ混合物。
3.2X TaqMan Universal PCR Master混合物。
4.細胞抽出RNAから転写したcDNA。
5.Applied Biosystems 96−ウェル 光学反応プレート。
6.Applied Biosystems 光学キャップ、または光学クリアフィルム。
7.Applied Biosystemsプリズム7700 配列検出器。
【0089】
方法
1.以下の通り、目的の遺伝子用のプライマー/プローブ、18S内生対照用のプライマー/プローブ及び2X PCR Master混合物を含む各プライマー/プローブ混合物の在庫を作る。分注ミスを考慮に入れるため十分な余剰分を作る。例えば、約10%の余分である。以下の実施例は、2つの条件(2プレート)を試験する4通りのサンプルを用いる1の遺伝子の一般的な設定を説明する。
1X(1ウェル) 9X(2プレート量)
2X Master Mix 12.50 112.50
20X 18S プライマー/プローブ混合物 1.25 11.25
20X 目的プライマー/プローブ混合物の遺伝子 1.25 11.25
合計 15.00 135.00
2.95μlのcDNAを2000μlの水に入れて希釈することによりcDNA標的の在庫を作る。cDNAの量を10〜18の間、一般的には12〜13の間のCt値を与えるために調節する。
3.15μlのプライマー/プローブ混合物をApplied Biosystems96−ウェル光学反応プレートの適当なウェルにピペットで取る。
4.10μlのcDNA在庫液をApplied Biosystems96−ウェル光学反応プレートの各ウェルにピペットで取る。
5.Applied Biosystems光学キャップまたは光学クリアフィルムでプレートの封をする。
6.プレートをABプリズム7700配列検出器について分析する。
【0090】
また、本方法はタンパク質を用いて適用してもよく、酵素免疫測定法(ELISA)または質量分析などの感度定量的技術が利用でき、タンパク質構成成分の量を測定するための当業界において公知である。(WO98/24935をここに引用する。)
【0091】
基準プロファイル・データセット
単一の個体から及び個体類の大きな群からの試料の分析は、特定のパネル又は一連のパネルに関するプロファイルデータセットのライブラリーを提供する。これらのプロファイルデータセットは、基準プロファイルデータセットとしての用途にライブラリー中に記録として蓄えられる。「基準(baseline)」の語が示唆しているように、蓄えられた基準プロファイルデータセットは、生物学的条件又は作用因子について有益である較正されたプロファイルデータセットを提供するコンパレーターとして働く。多くの基準プロファイルデータセットがライブラリーに蓄えられ、多くの相互参照の仕方で分類されるだろう。分類の1つの型は、データセットが得られるパネルの特性に依存し得る。分類のもう1つの型は特定の生物学的条件による。生物学的条件の概念は、細胞又は細胞集団が任意のある時間にある任意の状態を包含する。この状態は、試料の地理的位置、被験体の性別、又はその他任意の識別器を反映する。識別器のいくつかは重なり得る。ライブラリーは、1つの被験体又は特定の臨床試験に関する記録についてアクセスもされ得る。基準プロファイルデータセットの分類は、特定の被験体、医学的状態、特定の作用因子についての医学的情報で更に注釈づけられ得る。
【0092】
較正されたプロファイルデータセットを形成するための基準プロファイルデータセットの選択は、評価、モニター、又は予測される生物学的条件、並びに較正されたパネルの意図した用途(例えば、薬剤の開発、品質管理、又は他の用途をモニターする)に関連する。第1のプロファイルデータセットが得られる同じ被験体から、又は様々な回数での、刺激、薬剤又は複合化合物にさらされた異なる被験体から、又は同じか異なる集団から得られ得る基準プロファイルデータセットにアクセルすることが望ましいかもしれない。
【0093】
プロファイルデータセットは、第1のデータセットが得られる同じ被験体から生じ、試料は別の又は類似の時間、異なる又は類似の部位、又は異なるか類似の生理学的条件で採取される。図5は、試料が刺激の前又は刺激の後に採取される臨床試験計画書を提供する。刺激されていない試料から得られたプロファイルデータセットは、刺激後に採取された試料に対する基準プロファイルデータセットとして働き得る。基準データセットは、いくつかの明らかに特有な又は生物学的状態を有する被験体の集団のプロファイルデータを含むライブラリーからも得られ得る。そして、結果として得られる較正されたプロファイルデータセットは、基準プロファイルデータベース及び所望により第1のプロファイルデータセット(第1のプロファイルデータセットは、適当な分類基準の下では通常基準プロファイルデータセットに取り込まれるであろうが)に沿って又は基準プロファイルデータベースから離れて、データベース又はライブラリー(図6)中の記録として蓄えられ得る。所定の生物学的状態に関連する遺伝子発現プロファイルの顕著な整合性はプロファイルデータを保存するために有用である。また、とりわけ引用規格の目的に用いることができる。引用規格は被験体を所定の生物学的状態(健康または疾病)に適合させるための度合いを示す働きをし、及び/または臨床的診療の標的を提供する働きをする。
【0094】
選択された基準プロファイルデータセットは、効能、毒性等の点から製造ロットを判断する標準品としても用いられ得る。治療剤の効果が測定されると、基準データセットは、作用因子の投与前に採取された遺伝子発現プロファイルに対応し得る。新しく製造された製品の品質管理が決められると、基準データセットは、その製品の貴重な標準品に一致し得る。しかし、所望の適当な規格化技術が使用され得る。例えば、平均基準プロファイルデータセットは、自然で育ったハーブの栄養物からなる本物の材料から得られ、放出のために調製された多くの化合物中での精度又は精度の欠如を示すため、時間がたちそして異なるロットで比較される。
【0095】
較正データ
再生可能性を与えることで、遺伝子発現の測定を達成し、“遺伝子発現パネル”及び“遺伝子増幅”の関連を上に記載した。このような条件下において測定の違いが生じる場合、我々は当該違いは生物学的状態の違いに起因するものと結論付ける。従って、較正されたプロファイル・データセットは同じ条件下、同じ個体から取得したサンプルにおいて非常に再現性が高いことがわかった。本願発明者らは、同様に、繰り返し試験した試料において、較正されたプロファイルデータセットが再現されることを見出した。また、本願発明者らは、再現事例を見出し、生体外(ex vivo)において被験体からの試料が化合物にさらされたときに得られる較正されたプロファイルが、多くの場合において、生体内(in vivo)における試料にさらされた試料からの較正されたプロファイルに匹敵することも見出した。また、本願発明者らは、重要なことに、作用因子で処理された指標細胞ラインが、生体内又は生体外細胞の集団から得られる、較正されたプロファイルデータセットに匹敵する較正されたプロファイルデータセットを与えることを見出した。さらに、本願発明者らは、被験体からの試料を指標細胞に投与することにより、被験体の健康、疾病状態、治療処理、老化又は環境による刺激又は毒素を含む被験体の生物学的条件に関する有益な較正されたプロファイルデータが提供されることを見出した。
【0096】
較正されたプロファイルデータの計算結果及びコンプューター補助
そのプロファイルデータセットは、スプレッドシートにおいて表わされるか、又はグラフにより、例えば棒グラフもしくは表形式で表わされ得るが、又、三次元表示においても表わされ得る。基本的標準及びプロファイルデータに関する関数は対数として表わされる比である。構成要素をx軸において記し、対数目盛りをy軸に記す。較正されたデータセットの要素は、基本的標準に関して、遺伝子発現の相対的増大を表わす正の値として又は遺伝子発現の相対的低減を表わす負の値として表わされ得る。
【0097】
較正されたプロファイルデータセットの構成要素は、同様の条件下で被験体から採られた同様の試料に関してある範囲内で再現すべきである。例えば、較正されたプロファイルデータセットの構成要素は、同様の条件下で被験体から採取された同様の試料に関して、ある大きさの程度内で再生し得る。構成要素は、50%以内で再生でき、より具体的には、20%以内及び一般には10%内で再生できる。本発明の実施態様に従って、遺伝子発現パネルにおいて調べた複数の遺伝子座それぞれからの相対遺伝子発現における増加した、低減した及び変化がないパターンは較正されたプロファイルセットを調製するために用いられ、それは生物学的条件、作用因子の処理条件の生物学的効力に関して情報を与え、または集団との比較に関する情報を与える。この性質のパターンは医薬試験の有望な候補を特定するために用いられ、単独でまたは生物学的条件に関して診断またはは予知する他の臨床的指標と組み合わせて用いられ、または製造、試験及び市場での販売を通して医薬又は機能的食品の開発を導くために用いることができる。
【0098】
量的遺伝子発現から得られる数値データ及び基本的標準プロファイルデータセットに関して較正された遺伝子発現からの数値データは、データベースにおいて又はデジタル保管媒体において保管され得て、患者の健康管理をすることを含む目的で又は、臨床的試験を行うために又は薬剤を特徴付けるために引き出される。そのデータを、地理的遠隔地から集めて共同利用のために貯えるために、例えばWorld Wide Web、eメールもしくはインターネットアクセスサイトにより物理的または無線ネットワークにおいてまたはハードコピーにより伝達し得る(図8)。
【0099】
本発明の実施態様において、貯えられたデータには、基本的標準のプロファイルデータセットの使用による変換の前のなまの遺伝子発現プロファイルデータ(一次プロファイルデータセット)及び例えば、基本的標準のプロファイルデータセットが特定の徴候パネルから誘導されているか否かに関する注釈並びにそのデータの解釈及び使用を容易にする他の注釈を含む較正されたプロファイルデータをつくるために用いられる基本的標準プロファイルデータセットの記録が含まれる単一の又は複数のデータベースにおいて記述的記録が貯えられる。
【0100】
そのデータは、万国共通形式であるので、データの取り扱いがコンピューターを用いて容易に行われ得る。そのデータは、コンピューターで行われるアウトプットを提供するように組織化される。そのデータは、較正されたデータセットのグラフによる表示に任意に相当するアウトプットを提供するように組織化される。
【0101】
例えば、被験体から得た別個の試料を少なくとも1つのRNA又は蛋白質をP1と表わし得る。その一次プロファイルデータセットは、Mjを示すサンプルPIから得られ、Mjは個別のRNA又はPIのタンパク質構成要素の量的尺度である。記録Riは、MとPの比であり、例えば、年、食餌、人種、性別、地理的位置、医療的異常、精神的異常、薬物療法、身体活動、ボディーマス及び環境的暴露に関する被験体における付加的データで注釈が付けられ得る。さらに、データ取り扱いには、さらに、現在、較正されたプロファイルデータベースとともに保持されていない付加的医療データを含有し得る二次条件データベースからのデータへのアクセスが含まれ得る。このような状況において、データクセスはコンピューターネットワークによりなされ得る。
【0102】
コンピューターにおける先に記載したデータ貯蔵は、ユーザーによりアクセスされ得る形態において情報を提供する。従って、ユーザーは、情報をダウンロードすることを含む二次アクセスサイト情報をロードし得る。しかし、アクセスは、その中に含有される医療的記録を保護するために、パスワード又は他のセキュリティーディバイスを有するユーザーに限定され得る。本発明のこの態様の特徴は、新しい又は注釈を付けた記録をデータセットに付加するユーザーの能力であり、記録が生物学的情報になる。
【0103】
薬剤のような製品に関する較正されたデータセットのグラフによる表示は、較正されたプロファイル、より特定すると徴候プロファイルによる製品を標準化するための機械を提供する。そのプロファイルは、類似または異なる使用について承認されたその他の薬物と比較して比較効率、作用機序の違い等を示す特徴として用いられ得る。
【0104】
本発明の種々の態様は、コンピューター装置とともに使用されるためのコンピュータープログラム製品としても実施され得る。その製品は、一次プロファイルデータを得るために又、較正されたプロファイルを生成するためにプログラムコードを含み得る。そのような実施には、コンピューターで読み取り可能な媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM又は固定ディスク)のような実態的な媒体、またははネットワークに接続させるコミュニケーションアダプターのような変復調装置又は他の接続器によりコンピューター装置に伝達される一連のコンピューター使用説明書が含まれる。ネットワーク結合は例えば、光学または有線通信ライン上または無線技術(例えば、マイクロ波、赤外線もしくは他の伝達技術)またはこれらの組み合わせであり得る。一連のコンピューター使用説明書は、好ましくは、その装置に関して本明細書に先に記載された機能性のすべて又は一部を具体化する。当業者は、そのようなコンピューター使用説明書が、多くのコンピューターアーキテクチャー又はオペレーティングシステムでの使用のためにいくつかのプログラム言語で書かれることができることを認識しなくてはならない。さらに、そのような使用説明書は、半導体の、磁気の、光学的又は他の記憶装置のようないずれかの記憶装置に入れ得て、光学的、赤外線、マイクロ波又は他の伝達技術のようないずれかのコミュニュケーション技術を用いて伝達され得る。そのようなコンピュータープログラム製品は、コンピューター装置でプレインストールされている(例えば、オンシステムROM又は固定ディスク)か又はサーバーからもしくはネットワーク上の電子掲示板(例えば、Internet又はWorld Wide Web)から配布された印刷された又は電子的文書化物(例えば、収縮包装にされたソフトウエア)を添えた移動媒体として配布され得ることが期待される。又、コンピューター装置はさらに、一次データセット及び較正されたプロファイルデータセットを得るための引き出しモジュールを含んで供給される。
【0105】
図形または表形式の較正されたプロファイル・データセット、関連データベース及び計算指数または派生アルゴリズムはパネル、データベース、データセットまたは指数またはアルゴリズムから抽出される情報と一緒に用いて有用であり、WO01/25473に記載されるように種々の目的のために一緒にまたは別個に販売することができる。
【0106】
指数設定
(i)集団にわたる生物学的状態に関する遺伝子発現プロファイルの顕著な一貫性及び(ii)遺伝子発現プロファイルを生じる遺伝子発現パネル中の構成成分の実質的に再生可能な測定を提供する手順の使用の組み合わせは、パネルの全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似する測定条件下において、遺伝子発現プロファイルを特徴とする指数の使用を可能とし、従って生物学的状態の測定を提供する。
【0107】
指数は遺伝子発現プロファイル中の値を目前の生物学的状態に適切な単一の値に位置付ける指数関数を用いて設定できる。遺伝子発現プロファイル中の値は遺伝子発現プロファイルに対応する遺伝子発現パネルの各構成成分の量である。これらの構成成分の量はプロファイルデータセットを形成し、指数関数はプロファイルデータセットの構成要素から単一の値、指数を生じる。
【0108】
指数関数は期間の線形和として適宜設定でき、各期間はいわゆるプロファイルデータセットの構成要素の“寄与関数”である。例えば、寄与関数はプロファイルデータセットの構成要素の力あたりの一定時間である。従って、指数関数は、
I=ΣCiMiP(i)
であり、ここでIは指数、Miはプロファイルデータセットの構成要素iの値、Ciは定数、及びP(i)はMiがもたらす力であり、合計は全ての整数値のiからデータセット中の構成要素の数までを形成する。従って、線形多項式を得る。
【0109】
値Ci及びP(i)は多数の方法により決定でき、指数Iが適切な生物学的状態の情報となるようにする。1の方法は潜在クラスモデリングなど統計的技術を臨床データに相関するプロファイルデータセット、または実験的に得られたデータ、またはその他の生物学的状態に適切なデータに適用するものである。この関係で、例えば、Latent Gold(登録商標)の名称のStatisticalInnovations、Belmont、マサチューセッツから得られるソフトウェアが使用できる。ここに引用する、ウェブページ、www.statisticalinnovations.com/lg/、を参照されたい。
【0110】
もしくは、その他のより簡単なモデリング技術が公知の方法で使用できる。炎症のための指数関数が設定でき、例えば、(炎症遺伝子発現プロファイルのプロファイルデータセットにより決定して)より大きな度合いの炎症が大きな値の指数関数に相関するような方法で設定できる。単純な実施態様において、従って、炎症の増加により構成成分が増加または減少するかによって、各P(i)は+1または−1である。さらに下記に詳細に記載するように、発現に比例する重要な炎症指数を構築した。
1/4{IL1A}+ 1/4{IL1B}+ 1/4{TNF}+ 1/4{INFG}−1/{IL10}
ここで、構成成分を囲む中括弧は当該構成成分の指標を指定し、構成成分は表1の炎症遺伝子発現パネルの小集団である。
【0111】
上述の基準プロファイルデータセットは同様に、適当な基準対照を提供するために使用でき、基準対照に基づき、上述のように、較正されたプロファイルデータセットを構築するためにも使用でき、遺伝子発現プロファイルを特徴とする指数は指数を構築するために使用する指数関数の基準値を提供する。この基準値は関連集団に関して決定でき、指数が基準値に関して解釈できるようにする。関連集団は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0112】
例として、指数は、約1の読み込みが健康被験体の基準遺伝子発現プロファイルを特徴とする方法で、健康被験体の集団に関する基準遺伝子発現プロファイルに関連して構築できる。さらに、指数の被験体である生物学的状態が炎症であると仮定する;この例の1の読み込みは従って、健康被験体の標準に適合する遺伝子発現プロファイルに相当する。実質的に高い読み込みはそれから炎症状態を経験している被験体を同定できる。基準値を同定する1の使用は、しかしながら、唯一1つの可能な選択である;基準値を同定する他の理論上の選択は0の使用である。この選択をすると、ゼロからの指数における偏差は標準偏差単位において示される(従って、−1〜+1の範囲の値が90%の対照集団の通常分布を包含する。遺伝子発現プロファイル値(及び従ってそれらに基づいて設定される指数)が正常に分布される傾向にあることを見出したので、この方法で設定されたゼロ中心指数は非常に有益である。従って、それは疾病の診断において指数の使用を円滑にし、治療のための方針設定を円滑にする。基準値に0の選択、及び標準偏差単位の使用は、例えば、以下に記載する図17Bで説明する。
【実施例】
【0113】
実施例
実施例1:多数の複合データセットの分析を援助するための急性炎症指数
本発明の1の実施態様において、指数値またはアルゴリズムは複数のデータセットを被験体の炎症状態に関して情報となる単一の指数値に減少させるために使用できる。これは図1A及び1Bに説明する。
【0114】
図1Aは、多数の複合データセットを生じる被験体のSource精密炎症プロファイル追跡である。図は、1の男性被験体の視神経炎の過程における8日間それぞれについての炎症遺伝子発現パネル(表1に示す)からの分析24遺伝子の結果を示す。
【0115】
図1Bは急性炎症指数の使用を示す。上述の図1Aに示すデータは以下の数式に比例する指数関数を用いた計算後のこの図に示される:(1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10})
実施例2:サンプルまたは被験体の生物学的状態を観測するための急性炎症指数またはアルゴリズムの使用
被験体の炎症状態は生物学的状態の過去の進展、未来の進展、治療に対する反応等についての情報を示す。急性炎症指数は被験体の生物学的状態についてのそのような情報を明らかにするために使用できる。これを図2に示す。
【0116】
各日にち毎の炎症遺伝子発現の分析結果(図1Aの各列における24遺伝子について示す)は計算後の個々の柱状グラフとして表す。該指数は治療的介入に相互に関連し得る炎症状況のはっきりとした傾向を示す(図2)。
【0117】
図2は、視神経炎に関して医学的に治療した1の患者から得た血液由来の9つの異なる、重要な臨床標石において計算した急性炎症指数の説明図である。急性炎症指数に関する指数値における変化は治療的介入の期待効果と強く相関する。4つの臨床標石はこの図の急性炎症指数の上部で同定し、(1)ステロイド治療前、(2)1日当たり1グラムでIVソルメドロールを用いた治療、(3)1日当たり60mgから1日当たり10mgに徐々に減らして経口プレドニゾン用いた治療後、及び(4)治療後を含む。データセットは図1と同じである。指数は1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例する。予想通り、急性炎症指数はIVステロイドを用いる治療では下がり、経口プロドニソンを用いるより有効性の低い治療時に上がり、ステロイドをやめ、完全に代謝された後に治療前レベルに戻る。
【0118】
実施例3:投薬量を設定するための急性炎症指数の使用
発達過程における化合物の、または図3で示すヒト及び非ヒト被験体において試験する化合物の濃度及びタイミングを含む。急性炎症指数は、共通の作用機序を有さない治療化合物または治療的介入の共通の対照値として使用できる。指数によって示される化合物に対する遺伝子反応を誘導するが、公知の生物学的状態を改善できない化合物は、生物学的状態の治療における種々の効果を有する種々の化合物と比較できる。
【0119】
図3は急性炎症指数に特徴付けられる1の提供者において、800mgのイブプロフェンを用いた1回の投薬治療の効果を示す。800mgの過剰な対抗イブプロフェンを1の被験体に時間=0及び時間=48時間に投与した。表示した5つの炎症関連遺伝子座の遺伝子発現値は、時間=2、4、6、48、50、56及び96時間に以下の通り測定した。予想通り、急性炎症指数は非ステロイド抗炎症イブプロフェンの摂取後即座に下がり、48時間後基準ラインに戻る。T=の2回目の投与は一回目の投与と同じ動態をし、実験の最後のT=96に基準ラインに戻る。
【0120】
実施例4:作用物質の生理作用の効果、安全性及び形態を同定するための急性炎症指数の使用
発達過程における使用及び/または天然で複合物である使用。これを図4に示す。
【0121】
図4は5つの異なる条件について図で表した計算した急性炎症指数を示し、(A)未治療全血;(B)DMSO、非活性キャリア化合物を用いてin vitroで治療した全血;(C)デキサメタゾン(0.08μg/ml)を用いてin vitroで治療した別の未刺激全血;(D)リポ多糖、公知のプロ炎症化合物、(LPS、1ng/ml)を用いてin vitroで刺激した全血及び(E)LPS(1ng/ml)及びデキサメタゾン(0.08μg/ml)を用いてin vitroで治療した全血を含む。デキサメタゾンは抗炎症ステロイド化合物として一般に使用する処方化合物として使用する。急性炎症指数は、1の患者から得たヒト全血において発現した炎症関連遺伝子の実験的に決定した遺伝子発現レベルから計算する。mRNA発現の結果はこの実施例においてCtとして表すが、例えば、遺伝子IL1A、IL1B,TNF、IFNG及びIL10について、相対蛍光単位、コピー数またはその他の定量化できる、正確で較正された形態として表すことができる。遺伝子発現値から、急性炎症値を式1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例して代数的に決定した。
【0122】
実施例5:遺伝子発現プロファイルの集団基準値の発展及び使用。
図6及び7は、2つの異なる患者集団の全血から得た遺伝子発現プロファイルの相加平均値を(表1の炎症遺伝子発現パネルの48遺伝子座を用いて)示す。これらの集団は通常または未診断である。第1の集団は、Bonfilsとして同定し(ダイアモンド型で表すプロット点)、コロラド州、デンバーのBonfils血液センターの血液提供者とした17の被験体からなる。第2の集団は9人の提供者であり、その提供者について遺伝子発現プロファイルを4週間の期間にわたって分析を4回行うことにより得る。この第2の集団の被験体(四角で表すプロット点)は本譲受人であるSource Precision Medicine,Inc.の従業員から募集した。各集団についての遺伝子発現平均は遺伝子発現炎症パネルの48の各遺伝子座について計算した。遺伝子座1−24(炎症48A遺伝子座として下記に言及することもある)を図6に示し、遺伝子座25−48(炎症48B遺伝子座として下記に言及することもある)について図7に示す。
【0123】
2つの異なる集団間の遺伝子発現レベルの一貫性は劇的である。両集団はお互いに大きく異ならない各48遺伝子座の遺伝子発現を示す。この観測はヒト炎症遺伝子に関して“正常”発現パターンがあることを示唆し、遺伝子発現プロファイルは、表1の炎症遺伝子発現パネル(またはそれらの小集団)を用いて、その発現パターンの特性を示し、集団−正常発現パターンが使用でき、例えば、正常発現パターンを変化させる任意の生物学的状態について医学的介入を導くために使用できることを示唆する。
【0124】
類似の血管において、図8は、やはり2つの異なる患者集団の全血から得た遺伝子発現プロファイル(この場合も、表1の炎症遺伝子発現パネルの48遺伝子座を用いる)の相加平均値を示す。三角のデータ点1で表す発現値の1の集団は24の正常、未診断(従って、公知の炎症疾患を有さない)被験体である。ダイアモンド型のデータ点で表す発現値のその他の集団は関節リウマチを患い、治療に失敗した(従って、不安定な関節リウマチを有する)4人の患者である。
【0125】
驚くべきことに、図6及び7に示す2つの異なる正常集団から得たデータの一貫性は図8に示す正常及び疾病集団から得たデータの系統的拡散である。48の炎症遺伝子座のうち45において、不安定な関節リウマチを有する被験体は平均して、疾病がない被験体よりも増加した(低周期閾値;Ct)炎症遺伝子発現を示した。当該データは従って、基本分析の精度及び較正を注意深く設計かつ本技術に従って制御する場合、さらに遺伝子発現を用いて特定の生物学的状態を有するグループを同定することが可能であることを示す。
【0126】
図8と類似している図9は、やはり2つの異なる患者集団の全血から得られる表1の炎症遺伝子発現パネルの24遺伝子座を用いた遺伝子発現プロファイルの相加平均値を示す。ダイアモンド型のデータ点で表す発現値の1の集団は、血液提供者である17の正常、未診断(従って、公知の炎症疾患を有さない)被験体である。四角のデータ点で表す発現値のその他の集団は16の被験体であり、6ヶ月間観測した正常、未診断の被験体であり、これらの発現値の平均を四角のデータ点で表す。従って、第1の健康集団の断面遺伝子発現値平均は第2の健康集団の縦の遺伝子発現値平均と非常に適合し、遺伝子間を基準にした測定発現値において約7%以下の変動である。
【0127】
図10は、44の正常未診断血液提供者(そのうち10の被験体のデータを示す)の全血から得た遺伝子発現値(表1の炎症遺伝子発現パネルの14遺伝子座を用いる)を示す。この場合も、当該集団の各構成要素の遺伝子発現値は、各遺伝子座の一致したピーク高さにより視覚的に表す集団のものと非常に適合する。当該集団のその他の被験体及びその他の遺伝子座はここに表すものに比べて、ここに示すものと一致する結果を示す。1の実施態様において、遺伝子発現プロファイルの基準値は、集団基準値からの被験体の当該遺伝子発現の偏りを明らかにする被験体のコンピューター“較正されたプロファイルデータセット”(この節の始めに定義)の基準ラインとして使用できる。遺伝子発現プロファイルの集団基準値は、本発明の実施態様に従う指数関数を設定する際に基準ラインとしても使用できる。結果として、例えば、指数関数は個々の炎症発現の範囲だけでなく、一般に基準値に関しても明らかにするために設定できる。
【0128】
実施例6:生物学的状態の信頼性のある指標の時間における、遺伝子発現パネル中の構成成分の発現値の一貫性
図11は、8ヶ月の期間にわたって月毎に分析した、1の被験体の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)4つの各遺伝子の発現レベルを示す。発現レベルが長期にわたって際立って一貫していることがわかる。
【0129】
図12及び13は同様に、4週間にわたって週毎に分析した図12、及び6ヶ月にわたって月毎に分析した図13の異なる1の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)48の各遺伝子の各ケースにおける発現レベルを示す。各ケースにおいて、やはり発現レベルは長期にわたって際立って一貫しており、個々にわたって類似している。
【0130】
図14も、抗炎症ステロイドを投与した、単一のヒト被験体の炎症遺伝子発現についての、長期にわたる効果を、表1の炎症遺伝子発現パネルを用いた分析として示す。この場合、48遺伝子座のうち24を示す。被験体は、PAX RNA単離チューブで取り出した基準ライン血液サンプルを有し、それから60mg投与量のプレドニゾン、抗炎症、処方ステロイドを1回摂取した。さらに血液サンプルを1回の経口投与後、2時間及び24時間で取り出した。遺伝子発現の結果を3つすべての時間点について表し、基準ラインサンプルの値はX軸上に単一で表す。予想通り、投与後2時間の棒グラフに示すように、プレドニゾンを用いる経口治療によりほとんどの炎症関連遺伝子座の発現が減少した。しかしながら、投与後2時間の棒グラフは、2時間での遺伝子発現が減少したほとんどの遺伝子座が、24時間では遺伝子発現レベルが上昇したことを示す。
【0131】
図14における基準ラインは1の試験個体に関する薬物介入の前の遺伝子発現値に基づくが、前の実施例から健康個体は表1の炎症遺伝子発現パネル(またはその小集団)を用いた遺伝子発現プロファイルにおける集団基準値に向かう傾向にあることがわかっている。我々は、図14から、炎症遺伝子発現レベルを図6及び7に示すレベル(正常または設定レベル)に戻そうとして、基準発現の干渉が、おそらくプレドニゾンが被験体からの不活性型または排除に著しく代謝されるので、薬物誘発反応の過剰補完である補完遺伝子発現反応を誘発すると推論する。
【0132】
図14と類似している図15は、プレドニゾンを1回投与した、ヒト被験体から得た全血サンプルによる長期にわたる、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)5つの遺伝子の発現についての効果を示す。サンプルはプレドニゾンの投与時間(t=0)に取り、それから当該投与後2時間及び24時間に取った。各全血サンプルは追加の0.1ng/mlのリポ多糖(グラム陰性エンドトクシン)により惹起し、サンプルの惹起後の遺伝子発現プロファイルを測定した。2時間のサンプルは、投与時間(t=0)の発現レベルと比較して、炎症遺伝子発現パネルのうち5遺伝子座の遺伝子発現が劇的に減少したことを示す。投与後24時間で、プレドニゾンの抑制効果はもはや明らかではなく、5遺伝子座のうち3の、遺伝子発現は実際にはt=0よりも高く、分子レベルで公知の反発効果を定量的に表す。
【0133】
図16も、関節リウマチを患う1のヒト被験体における炎症遺伝子発現についての、TNF阻害化合物の投与の長時間にわたる効果を示すが、(図6及び7との関連で)先に測定した正常(すなわち、未診断、健康)集団の同族遺伝子座平均と比較した発現をここに示す。関節リウマチの患者に関する大規模な国際調査の一部として、被験体を12週間の期間にわたって追跡した。当該被験体を関節リウマチの保存薬物治療に反応しなかったので、治療変更プランのため調査に登録し、TNF阻害化合物を用いる治療を速やかに始める。血液を新しい治療を始める前に被験体から取った(視察1)。新しい治療後、血液を新しい治療の開始に従って治療変更後4週(視察2)、8週(視察3)及び12週(視察4)で取った。血液をPAX RNA単離チューブに収集し、2時間、室温で保存し、それから−30℃で冷凍した。
【0134】
冷凍サンプルを、ボールダー、コロラド州の本譲受人であるSource Precision Medicineの中央研究所に表1の48遺伝子の炎症遺伝子発現パネルの遺伝子の発現レベルを測定するために発送した。血液サンプルを解凍し、製造者の推奨手順に従いRNA抽出した。RNAをcDNAに変換し、48炎症遺伝子の発現レベルを測定した。発現結果を図16に48遺伝子座のうち11について示す。11遺伝子座の発現結果を視察1から米国の正常血液提供者の集団平均までと比較する場合、被験体はかなりの違いを示す。同様に、各遺伝子座についてその後のそれぞれの医師の視察での遺伝子発現レベルを同じ正常平均値と比較する。視察2、3及び4からのデータは治療変更の効果を記録する。治療変更に従う各視察において、11遺伝子座のうち10についての炎症遺伝子発現のレベルは、正常(すなわち、未診断、健康)集団について先に測定した同族遺伝子座平均に近い。
【0135】
図17Aはさらに、44の正常、未診断血液提供者の集団のうちの(表1の炎症遺伝子発現パネルの)7遺伝子座に関してここに示す、炎症遺伝子発現の一貫性を説明する。個々について遺伝子座を平均発現値の±標準偏差内の範囲の値で示し、正常に分布する集団の95%に対応する。信頼区間(95%)の広い幅にも関わらず、測定遺伝子発現値(ΔCT)は、際立って、関連する発現レベルに関わらず、平均の10%内に以前としてある。下記にさらに詳細に記載するように、所定の生物学的状態に関して、当該状態の指標を与えるために指数を設定できる。これは、(i)集団にわたって生物学的状態に関する遺伝子発現プロファイルの顕著な一貫性があり、及び(ii)遺伝子発現プロファイルを生じる遺伝子発現パネルにおける構成成分の実質的に再生可能な測定を提供する手順が使用できるという、2つの環境の連結の結果として、パネルの全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び従って生物学的状態の指標を与える条件の下で可能である。従って、図17Aの代表的な構成成分の発現値の関数は炎症指数値を生じるために使用し、該指数値は1の読み込みが図17Aの右側部分に示すように、健康被験体の構成成分発現値に対応するように標準化する。
【0136】
図17Bにおいて、炎症指数値は42の正常未診断血液提供者の集団の各構成要素について測定し、図に示す指数値の得られた分布は、比較的小さい集団サイズにも関わらず、正常分布に非常に接近していることがわかる。指数の値は、標準偏差単位において較正した中央値から逸れた0ベース中央値に関連して見られる。従って、集団の90%は0値の+1から−1の範囲にある。我々は類似の挙動を示す種々の指数を設定した。
【0137】
図17Cは図17Bと同じ指数の使用を示し、正常集団の炎症中央値はゼロに設定し、正常及び疾病被験体の両方を中央値に関連して標準偏差単位においてプロットする。炎症指数値は70個体の正常、未診断集団(黒い棒グラフ)の各構成要素について測定した。図17Cに示す、指数値の得られた分布は正常分布と非常に接近して見られる。同様に、指数値は、(1)より有効な薬物(例えば、TNF阻害物質)(斜線棒グラフ)の治療に変更しようとしている、メトトレキサート(MTX)を用いて治療した関節リウマチ患者、及び(2)より有効な薬物(例えば、MTX)の治療に変更しようとしている、MTX以外の予防維持抗リウマチ薬(DMARDS)を用いて治療した関節リウマチ患者の2つの疾病集団グループから得た個体について計算した。両集団は、正常集団と比較して上方に歪んだ(炎症の増加を示す)指数値を提示する。この図は、従って、疾病状態を評価するため、及び目的となり、定量化できる治療目標を得るための遺伝子発現プロファイルデータから得られる指数の有用性を示す。これら2つの集団を適切に治療した場合、両集団から得た指数値はより正常な分布に戻る(データはここには示さず)。
【0138】
図18は、図17Aと類似の方法で、図17Aと同じ7の遺伝子座、関節リウマチ患者の2つの異なる6被験体集団について、遺伝子発現プロファイルをプロットする。1の集団(図中、“安定”と呼ぶ)は治療によく反応する患者集団であり、もう一方の集団(図中、“不安定”と呼ぶ)は治療にあまり反応せず、その治療スケジュールを変更した患者集団である。安定集団の発現値は95%信頼区間の範囲内にあり、一方、7遺伝子座のうち5つについての不安定集団の発現値はこの範囲外であり上回る。図の右側部分は正常未診断集団を1として比較して、不安定集団が9.3の平均炎症指数及び安定集団が1.8の平均炎症指数を示す。該指数は従って、基礎となる炎症状態の範囲の指標を提供し、この場合、関節リウマチである。ゆえに、提供する生物学的状態に加えて、指数は治療の有効性を測定するため、及び治療的介入の標的を提供するために使用できる。
【0139】
図19は従って、メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しなかった、関節リウマチを患う1の被験体を評価するための炎症指数の使用を示す。この被験体の炎症指数は新しい治療(TNF阻害物質)を開始した1番右に示し、左に移動して、順番に、2週、6週、及び12週後である。指数は正常に向かって動いているのがわかり、新しい治療に反応するにつれて医師の患者の観測に一致する。
【0140】
図20は同様に、メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しなかった、関節リウマチを患う3人の被験体の評価のための、新しい治療(TNF阻害物質を用いる)の開示時点、及び2週及び6週後の炎症指数の使用を示す。各ケースの指数はこの場合も一般に正常に向かって動いているのがわかり、新しい治療に反応するにつれて医師の患者の観測に一致する。
【0141】
図21−23の各図は、関節リウマチを患う、被験体の国際グループについての炎症指数を示し、被験体を治療する医師により各々は安定(すなわち、治療変更は受けないと予想される)であるとした。図21は、基準となる疾病に処置を施さずに症状を軽減することが公知のメトトレキサートを用いて治療したグループにおける10の患者それぞれについての指数を示す。図22はエンブレル(TNF阻害物質)を用いて治療したグループ中の10患者それぞれについての指数を示し、図23はレミケード(別のTNF阻害物質)を用いて治療した10患者それぞれについての指数を示す。図21の各患者の炎症指数は正常と比較して上昇しており、一方、図22では、分類としてエンブレルを用いて治療した患者はより正常に近い炎症指数を有する(正常範囲の80%)。図23において、レミケードを用いて治療した患者の一人だけ除いて全部は正常以下の炎症指数を有し、その患者のうち二人は異常に低い炎症指数を有し、この薬物に対する免疫抑制反応を示唆している。(実際に、研究により、レミケードが数人の被験体に重大な影響を伴い、ここで免疫抑制効果が定量化されることが分かった。)図23において、1の被験体は正常範囲を著しく上回る炎症指数を有する。この被験体は実際には徐々に減らしながら抗炎症ステロイド(プレドニゾン)療法もしており、炎症指数をサンプルに取った後約1週間内に、被験体は臨床症状の著しい発生を経験した。
【0142】
これらの実施例は関節炎を有する、被験体の血液の分析から得た指標を、際立って示す。炎症範囲に付随する指標を与えると、例えば、心疾患などのその他の炎症ベース状態が類似の方法で観測されることが予想できる。
【0143】
図24は、炎症性大腸炎を患う1の被験体を評価するための炎症指数の使用を示し、その治療はレミケードを用い、3回の投薬で示した。グラフは第1回の治療の直前、及び第1回の治療後24時間の炎症指数を示し、該指数は正常範囲に戻った。該指数は第2の投薬直前に上昇するが、第3の投薬前に正常範囲に戻った。さらに、生物学的状態の指標を提供することに加え、該指数は治療効果(レミケード)を測定するために使用し、及び投薬量及びスケジュールの両方に関する治療的介入のための標的を提供するために使用する。
【0144】
図25は、in vitroでイブプロフェンで治療した全血の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)24遺伝子座に関する遺伝子発現プロファイルを、その他の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と相対的に比較して示す。イブプロフェンのプロファイルは前面である。イブプロフェン含むNSAIDの全部は、遺伝子座が類似する全域の遺伝子発現のパターンにおいて、実質的に類似のプロファイルを共有することがわかる。これらの類似性に関わらず、各個々の薬物はそれぞれ独特の徴候を有する。
【0145】
図26は2つの競合抗炎症化合物の効果がどのように客観的、定量的、正確及び再生可能に比較できるかについて示している。この例において、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)2つの遺伝子の各パネルの発現は、全血のin vitroでの各薬物の種々の投薬量(0.08−250μg/ml)について測定される。業界大手の薬物は投薬量と炎症遺伝子反応の間の複雑な関係を示す。逆説的に言えば、投薬量が増加するにつれて、両遺伝子座の遺伝子発現は初期に降下し、それから業界大手の場合は増加する。他の化合物ついて、より反応結果が一致する場合、投薬量が増加するにつれて、両遺伝子座の遺伝子発現はより一致して減少する。
【0146】
図27から41は早期の同定及び感染病の観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。これらの図は、全血の、指定された遺伝子の発現生成物における反応を、種々の病原菌または病原菌の生成物の投与のためにプロットする。各図において、遺伝子発現レベルは関連病原菌の投与前に全血に関して決定された基準ライン発現レベルと比較して“較正”され、該語はここに定義する。この点において、当該図は以下に引用する特許出願WO01/25473の種々の図と事実上類似している(例えば、図15)。濃度変化はレシオメトリック(ratiometrically)で示し、特定遺伝子座の基準レベル1は同じ当該遺伝子座の発現レベルに対応し、刺激物を追加する前の発現レベルとともに、病原菌またはその他の刺激を添加した後の関連時間において観測する。濃度のレシオメトリック(ratiometric)変化は対数スケールでプロットする。一本線より下の棒グラフは濃度減少を示し、一本線より上の棒グラフは濃度増加を示し、各棒グラフの大きさは変化の比の大きさを示す。我々はWO01/25473及びその他の実施例において、適当な条件下、全血を刺激に曝すことによりin vitroで得られる遺伝子発現プロファイルが対応する刺激に曝されたin vivoから得られる遺伝子発現プロファイルを表しうることを示した。
【0147】
図27は、宿主生物系における種々の最近条件を区別するために発展させた、新規な最近遺伝子発現パネルを用いる。2つの異なる刺激、リポタイコ酸(LTA)、グラム陽性細胞壁構成成分、及びリポ多糖(LPS)、グラム陰性細胞壁構成成分を用いる。刺激投与直後の最終的な濃度は100ng/mLであり、発現のレシオメトリック変化を、投与前レベルと比較して、投与後2及び6時間に各刺激について観測した。異なる発現が投与後2時間ほどで観測でき、例えば、IFNA2遺伝子座及びその他において、グラム陽性及びグラム陰性細菌間で反応を区別できることがわかる。
【0148】
図28は、化膿連鎖球菌、バシルス・ズブチリス及び黄色ブドウ球菌の3つの異なる供給源から得られるIFNGからLTAの単一の遺伝子座に関する異なる発現を示す。各刺激を濃度100ng/mLにするために投与し、投与後1、2、4、6及び24時間の反応を観測した。結果は、遺伝子発現プロファイルは異なる病原菌間を区別するために用いることができ、ここではグラム陽性細菌の異なる種を区別するために用いることができるということを示唆する。
【0149】
図29及び30は、炎症48A及び48B遺伝子座それぞれ(ぞれぞれ図6及び7に関連して上述した)の全血における黄色ブドウ球菌刺激及び大腸菌刺激投与(指定の濃度、投与直後はそれぞれ107及び106CFU/mL)に対する反応を示し、投与前基準ラインと比較して投与2時間後に観測した。図は注入2時間後内の細菌感染の存在に反応した多くの遺伝子座を示す。
【0150】
図31及び32はそれぞれ図29及び30に対応し、投与6時間後に観測を行う以外はこれに類似する。より多くの遺伝子座が感染の存在に反応する。IL2などの種々の遺伝子座は2つの病原菌間を区別する発現レベルを示す。
【0151】
図33は大腸菌刺激の投与(投与直後の濃度は106CFU/mL)及び大腸菌細菌生成物を含むが大腸菌細菌を含まない大腸菌ろ過の刺激投与に対する炎症48A遺伝子座の反応を示す。反応を投与2、6及び24時間後に観測した。例えば、大腸菌及び大腸菌ろ過に対する遺伝子座IL1B、IL18及びCSF3の長期にわたる反応は異なる。
【0152】
図34は図33に類似するが、ここでの比較反応は大腸菌ろ過のみ及びリポポリ多糖(LPS)に結合することが知られる抗生物質である、ポリミキシンBを加えた大腸菌ろ過からの刺激である。IL1Bの反応の試験は、例えば、ポリミキシンBの存在が大腸菌ろ過に対する遺伝子座の反応に影響を与えなかったことを示し、その結果、LPSは大腸菌ろ過に対するIL1Bの反応の原因とはならないことを示す。
【0153】
図35は黄色ブドウ球菌の刺激(投与直後の濃度は107CFU/mL)に対する全血の長時間にわたる炎症48A遺伝子座の反応を示し、投与2、6及び24時間後に観測した。長期にわたる反応は発現変化の方向及び大きさの両方を伴うことができる。(例えば、IL5及びIL18を参照。)
図36及び37は、大腸菌からの刺激(投与直後の濃度は106及び102CFU/mL)及び黄色ブドウ球菌からの刺激(投与直後の濃度は107及び102CFU/mL)に対して6時間に観測した、それぞれ炎症48A及び48B遺伝子座の反応を示す。とりわけ、B7(図36)、TACI、PLA2G7及びC1QA(図37)などの種々の遺伝子座において、大腸菌は黄色ブドウ球菌よりもかなり目立った反応を生じる。該データは遺伝子発現プロファイルはグラム陰性細菌の存在を高感度で同定するために用いることができ、グラム陽性細菌に対して区別するために用いることができることを強く示唆している。
【0154】
図38及び39は、高濃度の黄色ブドウ球菌及び大腸菌(各々の濃度は投与直後107及び106CFU/mL)に対するそれぞれ炎症48B及び48A遺伝子座の反応を示し、投与2、6及び24時間後に観測した。多くの遺伝子座での長期にわたる反応は大きさ及び方向の変化を伴う。図40は図39に類似しているが、炎症48B遺伝子座の反応を示す。
【0155】
図41は同様に、投与24時間後に観測した炎症48A遺伝子座の高濃度の黄色ブドウ球菌及び大腸菌刺激(各々の濃度は投与直後107及び106CFU/mL)に対するそれぞれの反応を示す。図20及び21の場合、GRO1及びGRO2などのいくつかの遺伝子座での反応は感染のタイプ間を区別する。
【0156】
これらのデータは、ここに記載するように十分な精度及び較正を含む遺伝子発現プロファイルが(1)公知の生物学的状態を有する個体の小集団を決定でき;(2)治療に対する患者の反応を観測するために使用でき;(3)治療の効果及び安全性を評価するために使用でき;及び(4)治療を調節することにより患者の医療管理を導き、基準値またはその他の所望のまたは達成できる値の標的設定に近い1以上の関連遺伝子発現プロファイルを得るために使用できるという、我々の結論をサポートするものである。我々は遺伝子発現プロファイルは、たとえ血液またはその他の組織のex vivo治療から得られる場合であっても、重要な情報を提供できるということを示した。我々はまた、末梢全血から得た遺伝子発現プロファイルは、血液に直接または通常は関連しない広範囲の状態の情報となることも示した。
【0157】
さらに、本発明の実施態様において、遺伝子発現プロファイルは病原菌の同定及び早期の同定(症状が出現する前の状態を含む)にも使用でき、例えば敗血症などである。この同定は感染及び非感染個体、細菌及びウイルス感染、病原体の特殊型、感染の自然成長段階(例えば、早期または末期)及び予後を区別することを含む。このような同定を達成するため及びこのような方法における区別を達成するための上述のアルゴリズム及び統計的手段の使用はここに記載する種々の実施態様の範囲内である。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【技術分野】
【0001】
技術分野及び背景技術
本発明は遺伝子発現データの使用に関し、特に被験体の病気の同定、観測及び治療及び生物学的状態の同定に関する。
【0002】
従来は特定のマーカーの存在または不存在を測定するために遺伝子発現データを利用し、いくつかの状況において、診断の正確さまたは検出感度の向上を達成するために、特定の病気マーカーの過剰発現スコアの累積した追加について説明している。特定の患者及び治療または栄養剤の投与量タイプに対する患者の応答状態についての情報は、医療施設産業の医療行為の効果の側面からだけでなく、改善された業績及び患者の利益に関しても臨床医学において今日重要な問題である。
【発明の概要】
【0003】
発明の概要
第1の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価する方法を提供する。本方法は以下を含む:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットであって、各々の構成要素は、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程。
【0004】
関連実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、生物学的状態に関して、被験体の状態を表す指数を提供する。この実施態様は以下を含む:複数の構成要素を含むプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の評価を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びプロファイル・データセットを得る際に、実質的に再現可能な測定条件下で各構成成分の当該測定を達成する工程;及びプロファイル・データセットから得た値を、被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るため、生物学的状態の一価測定にプロファイル・データセット由来の遺伝地図を提供する指数関数に適用する工程。さらに前述の関連実施態様において、プロファイル・データセットを得る際に、測定条件下において各構成成分の測定を達成し、全構成成分についての増幅の特異性及び効率が実質的に類似している。同様に、さらに実施態様はプロファイル・データセットを得る際に、代わりに、または追加で、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実施的に類似している、測定条件下でそのような各構成成分の測定を含む。
【0005】
指数を得る工程に関する実施態様において、1の実施態様は該指数にさらに、関連集団について測定した指数関数の基準値を与え、従って該指数は基準値に比較して解釈できる。任意で基準値の提供は指数関数の構築を含み、従って基準値はおおよそ1である。また、任意で関連集団は、年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0006】
他の実施態様において、全構成成分についての増幅、発現の効率の割合は約2%の範囲内であり、任意で約1%の範囲内である。
【0007】
他の関連実施態様において、測定条件は再生可能であり、従って各構成成分についての該測定はサンプルからの該測定の繰り返しの導出について変動係数を有し、約3%以下である。
【0008】
さらに他の実施態様において、パネルは少なくとも3つの構成成分を含み、状況に応じて構成成分は約500より少ない。
【0009】
他の実施態様において、評価される生物学的状態は被験体の局所組織に関し、サンプルは該局所組織とは異なる種類の組織または体液から得る。
【0010】
関連実施態様において、生物学的状態はここで表1〜12に同定した状態のいずれかであり、かかるケースにおいて対応する遺伝子発現パネルの構成成分に対応して測定を行う。各ケースのパネルは少なくとも2、及び状況に応じて少なくとも3、4、5、6、7、8、9または10の対応する遺伝子発現パネルの構成成分を含む。
【0011】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて被験体の炎症状態を示す指数を与える方法を提供し、以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1のプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、該パネルが表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2つの構成成分を含み;(その他の実施態様においては、表1のパネルの少なくとも3、4、5、6または10の構成成分をパネル中で用いる)ここで、第1のプロファイル・データセットを得る際に、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件かつ実質的に再現可能な両方の条件下において、該測定を各構成成分について行い;サンプルまたは被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、第1のプロファイル・データセットから得た値を、プロファイル・データセットの事例由来の遺伝地図を生物学的状態(1の実施態様において、これは炎症状態である)の一価測定に提供する指数関数に適用する工程。生物学的状態は適当な遺伝子発現パネルを用いて評価できる任意の状態であり、炎症遺伝子発現パネルを用いる炎症範囲の測定は1つの例である。
【0012】
さらに別の実施態様において、指数関数によるマッピングはさらに関連基準プロファイル・データセットの事例に基づき、値は同じ被験体または類似または異なる生物学的状態を有する被験体またはサンプル集団から得た対応する基準プロファイル・データセットから適用できる。さらに、指数関数は、構築体の発現が増加する事例において、構築基準値から通常上に逸れるように構築し、該増加は炎症の増加に関連し、構築体の発現が減少する事例において、該減少は炎症の増加に関連する。指数関数はあるいは、発現レベルが炎症範囲を用いて修正される範囲に通常は従って、パネル中の構築体の発現値の重さを測るために構築される。指数関数はもしくは、炎症生物学の臨床的見識を考慮に入れて、または実験的に得られたデータを考慮に入れて、または臨床及び人口統計データを用いたプロファイル・データセットに関連するデータベース中のプロファイル・データセットのコンピューター分析から得られる関係を考慮に入れて構築する。これに関して、このようなデータを評価し、炎症範囲の最適化した予測判断材料である構成成分発現値のモデルを確立する指数関数の構築は統計的手法を用いて達成できる。
【0013】
他の実施態様において、パネルは特定の炎症性疾患に関連する少なくとも1の構成成分を含む。上述の方法は、(i)指数関数によるマッピングが人口統計データ及び臨床データのうち少なくとも1の事例にも基づき、(ii)値が人口統計データ及び臨床データのうち少なくとも1つに関連する値のセットを適用することを含む第1のプロファイル・データセットから適用される、工程をさらに用いる。
【0014】
上述の方法の他の実施態様において、第1のプロファイル・データセットを得る工程の一部は第1の位置で行い、第1のプロファイル・データセットから得た値を適用する工程は第2の位置で行い、第1のプロファイル・データセットを得る工程の一部の実施に関連するデータはネットワーク上で第2の位置に連絡し、第2の位置において第1のプロファイル・データセットから得た値を適用する工程を可能にする。
【0015】
本方法の実施態様において、指数関数は期間の線形和であり、各期間はプロファイル・データセットの構成要素の寄与関数である。さらに、寄与関数は該構成要素またはその逆数のうちの1つの力の加重和であり、力は積分であり、寄与関数が該構成要素またはその逆数のうち1つの多項式となるようにする。任意で、多項式は線形多項式である。プロファイル・データセットはIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも3、4または全ての構成要素を含む。指数関数は1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例し、括弧で囲まれた構成成分は当該構成成分の指標を表す。
【0016】
さらに他の実施態様において、炎症に関連する情報について、被験体から得たサンプルに関して複合データを分析する方法を提供し、該方法は以下を含む:サンプルのための遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルに関する遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0017】
他の実施態様において、被験体の生物学的状態を観測する方法提供し、被験体から経時的に各一連のサンプルについて遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づき;及び各一連のサンプルについて遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために対応する遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0018】
他の実施態様において、(i)被験体に投与するための作用物質の効果的投与量及び(ii)被験体に対する作用物質投与スケジュールのうちの少なくとも1つを決定する方法を提供し、該方法は以下を含む:被験体からサンプルの遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルの遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程;遺伝子発現プロファイル炎症指数を効果的投与量及びスケジュールのうち少なくとも1を構築する指標として用いる工程。
【0019】
他の実施態様において、被験体の生物学的状態に関して治療を継続または変更するかの決定を導く方法を提供し、以下を含む:被験体からサンプルの遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;サンプルの遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程。
【0020】
作用物質に暴露された結果の被験体の生物学的状態の変化を予測する方法を提供し、以下を含む:作用物質投与がない被験体から第1のサンプルの第1の遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、第1の該遺伝子発現プロファイルは炎症の徴候欄に基づく;作用物質投与の下、被験体から第2のサンプルの第2の遺伝子発現プロファイルを得る工程であって、第2の該遺伝子発現プロファイルは同じ徴候欄に基づく;及び対応する第1の遺伝子発現プロファイル炎症指数及び第2の遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために第1及び第2の該遺伝子発現プロファイルを用いる工程。従って、作用物質は化合物であり、該化合物は治療用のものである。
【0021】
他の実施態様において、作用物質の性質を評価する方法を提供し、該性質は純度、効能、品質、有効性、または安全性の少なくとも1つであり、該方法は以下を含む:(i)サンプルまたは(ii)サンプルが得られる細胞集団、または(iii)サンプルが得られる被験体の作用物質への暴露を反映している第1の遺伝子発現プロファイルをサンプルから得る工程;遺伝子発現プロファイル炎症指数を決定するために該遺伝子発現プロファイルを用いる工程;及び遺伝子発現プロファイル炎症指数を該性質の決定に用いる工程。
【0022】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて被験体の生物学的状態を示す指数を与える方法を提供する。該実施態様の方法は以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1のプロファイル・データセットをサンプルから得る工程であって、該パネルが表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2つの構成成分を含み;及びサンプルまたは被験体の生物学的状態に対する関連(pertinent)指数を得るために、第1のプロファイル・データセットから得た値を、プロファイル・データセットの事例から得た遺伝地図を生物学的状態の一価測定に提供する指数関数に適用する工程。
【0023】
この方法の実施において、指数関数はパネルの基準プロファイル・データセットから得たデータも用いる。基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標である。さらに、第1のプロファイル・データセット及び基準データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。
【0024】
他の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価するための方法を提供する。該実施態様において、該方法は以下を含む:複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数である。
【0025】
この実施態様において、基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、そして較正プロファイル・データセットは被験体の生物学的状態の指標を提供する。
【0026】
類似の実施態様において、被験体から得たサンプルに基づいて、被験体の生物学的状態を評価する方法を提供し、この実施態様の当該方法は以下を含む:第1のサンプルまたはその一部を指標細胞の明確な集団に適用する工程;指標細胞から少なくとも1のRNAまたはタンパク質を含む第2のサンプルを得る工程;複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットを第2のサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、ここで基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、較正プロファイル・データセットは被験体の生物学的状態の指標を提供する。
【0027】
さらに、他の類似の実施態様は、作用物質により影響を受けた生物学的状態を評価する方法を提供する。この実施態様の方法は以下を含む:作用物質を投与した細胞の標的集団から、少なくとも1のRNAまたはタンパク質を含むサンプルを得る工程;複数の構成要素を含む第1のプロファイル・データセットであって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である、第1の該プロファイル・データセットをサンプルから得る工程;及びパネルに対する較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、当該較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、ここで基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、較正プロファイル・データセットは作用物質により影響を受けた生物学的状態の指標を提供する。
【0028】
これら最後の実施態様に基づく他の実施態様において、関連集団は健康な被験体の集団である。もしくは、さらに、関連集団は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0029】
もしくは、さらに、パネルは表1の炎症遺伝子発現パネルの少なくとも2の構成成分を含む(他の実施態様は少なくとも3、4、5、6、または10のこのような構成成分を用いる)。もしくは、さらに、第1のプロファイル・データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。また、もしくは、このような測定が全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる場合、任意で、較正プロファイル・データセットを生成する必要はなく、第1のデータセットを代わりに直接用いて作業してもよい。
【0030】
他の実施態様において、第1の作用物質による生物学的状態の効果を第2の作用物質による効果と比較して評価する方法を提供する。当該実施態様の方法は以下を含む:第1及び第2の作用物質をそれぞれ投与した細胞の第1及び第2の標的集団から、第1及び第2のサンプルをそれぞれ得る工程であって、RNA及びタンパク質の少なくとも1を各サンプルが有し;第1のサンプルから第1のプロファイル・データセット、及び第2のサンプルから第2のプロファイル・データセットを得る工程であって、各々の構成要素が、構成成分の測定が生物学的状態の測定を可能にするように選択された構成成分のパネル中のはっきり識別できるRNAまたはタンパク質構成成分の量の定量的測定値である工程;及びパネルに対する第1の較正されたプロファイル・データセット及び第2の較正されたプロファイル・データセットを生成する工程であって、ここで(i)第1の較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第1のプロファイル・データセットの対応する構成要素及びパネルに対する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、基準データセットの各構成要素は基準となる指標であり、被験体の関連集団について決定し、パネル中の構成成分の1つの量の指標であり、及び(ii)第2の較正されたプロファイル・データセットの各々の構成要素が第2のプロファイル・データセットの対応する構成要素及び基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数であり、較正されたプロファイル・データセットが第1の生物学的状態の作用物質による効果の指標を第2の作用物質による効果に関して与える。
【0031】
当該実施態様において、第1及び第2のプロファイル・データセットを得る際に、このような測定は、全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び実質的に再現可能な条件の両方の下で各構成成分について行われる。さらに関連する実施態様において、第1の作用物質は第1の薬剤であり、第2の作用物質は第2の薬剤である。他の関連実施態様において、第1の作用物質は薬剤であり、第2の作用物質は複合混合物である。さらに他の関連実施態様において、第1の作用物質は薬剤であり、第2の作用物質は栄養補給剤である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本は発明の前述の特徴は、添付の図面に言及した以下の説明を参照して容易に理解されるだろう。
【図1A】単一の男性被験体の視神経炎の過程における8日間についての、Source炎症遺伝子パネルから得た24遺伝子(表1に示す)の分析結果を示す。
【図1B】本発明の実施態様に従った、図1Aのデータに関する炎症指数の使用を示す。
【図2】9つの異なる重要な臨床治療の標石において計算した同じ炎症指数のグラフ図である。
【図3】指数の特徴を有する1の提供者において800mgのイブプロフェンを1回投薬した治療の効果を示す。
【図4】5つの異なる条件に関してグラフで示した算出急性炎症指数を示す。
【図5】上気道感染(URI)の進行を観測したウイルス反応指数を示す。
【図6】遺伝子発現パネルを用いて2つの異なる集団を比較したものである(表1の遺伝子発現パネルの48遺伝子座に関する)。
【図7】遺伝子発現パネルを用いて2つの異なる集団を比較したものである(表1の遺伝子発現パネルの48遺伝子座に関する)。
【図8】長期にわたる研究から得た関節リウマチ集団と正常集団とを比較したものである。
【図9】2つの正常集団、1を縦断面、もう一方を横断面で比較したもの。
【図10】正常集団の様々な個体について遺伝子発現値について示す。
【図11】8ヶ月間にわたって毎月分析した、単一の被験体の4つの(表1の炎症遺伝子発現パネルの)遺伝子それぞれの発現レベルを示す。
【図12】4週間にわたって毎週分析した、明確に区別できる単一の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の各48遺伝子の発現レベルを示す。
【図13】6ヶ月にわたって毎月分析した、明確に区別できる単一の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の各48遺伝子の発現レベルを示す。
【図14】表1の炎症遺伝子発現パネルを用いて分析した、抗炎症ステロイドを投与した、単一のヒト被験体の炎症遺伝子発現についての、時間経過効果を示す。
【図15】図14と類似の方法において、プレドニゾンを1回投与したヒト被験体から得た全血サンプルによる、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)5つの遺伝子発現についての時間経過効果を示す。
【図16】TNF阻害化合物を投与した関節リウマチを患うヒト被験体の炎症遺伝子発現についての時間経過効果を示し、ここで該発現は正常(すなわち、未診断、健康)集団について(図6及び7との関連で)前もって決定した同起源遺伝子座平均との比較で示す。
【図17A】集団における炎症遺伝子発現の一貫性について示す。
【図17B】未診断集団から得た指数値の正常分布を示す。
【図17C】図17Bと同じ指数の使用し、正常集団の炎症中央値をゼロに設定し、正常及び疾病被験体の両方をその中央値と比較した標準偏差単位においてプロット。
【図18】図17Aと類似の方法でプロットした、図17Aと同じ7遺伝子座に関する遺伝子発現プロファイル、関節リウマチ患者の2つの異なる(応答物と非応答物)6つの被験体集団。
【図19】メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しない、関節リウマチを患う1の被験体の評価に関する炎症指数の使用を示す。
【図20】メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しない、関節リウマチを患う3の被験体の評価に関する炎症指数の使用を同様に示す。
【図21】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図22】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図23】関節リウマチを患う、3つの別個の治療計画を受けた被験体の国際グループに関する炎症指数を示す。
【図24】炎症性腸疾患を患う1の被験体の評価に関する炎症指数の使用を示す。
【図25】その他の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と比較した、in vitroでイブプロフェンの治療をした全血の24遺伝子(表1の炎症遺伝子発現パネル)に関する遺伝子発現プロファイルを示す。
【図26】2つの競合抗炎症化合物の効果の客観的、量的、精密度及び再生可能性の比較を示す。
【図27】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。宿主生物系における種々の生物学的状態の区別を発展させた、24の遺伝子の新規な細菌性遺伝子発現パネルを用いる。
【図28】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。3つの異なった供給源:化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、バシルス・ズブチリス(B.subtilis)及び黄色ブドウ球菌(S.aureus)から得た単一の遺伝子座、IFNGからLTAの異なる発現を示す。
【図29】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。グラム陽性及びグラム陰性微生物を投与した全血における、炎症48A遺伝子座(図6との関連で上述に記載)の2時間後の反応を示す。
【図30】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。グラム陽性及びグラム陰性微生物を投与した全血における、炎症48B遺伝子座(図7との関連で上述に記載)の2時間後の反応を示す。
【図31】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図29に対応し、投与後6時間に観測を行う以外は類似する。
【図32】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図30に対応し、投与後6時間に観測を行う以外は類似する。
【図33】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。大腸菌及び生物を含まない大腸菌ろ過により誘発された遺伝子発現反応を比較する。
【図34】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。図33に類似するが、比較反応は大腸菌ろ過のみから及びポリミキシンBを加えた大腸菌ろ過からの刺激に対するものである。
【図35】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。投与後2、6及び24時間の黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現反応を示す。
【図36】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図37】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図38】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図39】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図40】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【図41】感染病の早期の同定及び観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。種々の濃度及び時間下における大腸菌及び黄色ブドウ球菌により誘発された遺伝子発現の図36〜41との比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
具体的な態様の詳細な説明
定義
以下の用語は文脈において特に示さない限り、以下の意味を有するものとする。
【0034】
“アルゴリズム”とは生物学的状態を説明するための法則のセットをいう。法則のセットはもっぱら代数学的に定義されるが、問題領域の知識、専門家の解釈またはその他の重要な指標を必要とする別のまたは複数の解決点も含んでもよい。
【0035】
“作用物質”はここに定義される“組成物”または“刺激”であり、または組成物及び刺激の組み合わせである。
【0036】
定量RT−PCR分析に関連する“増幅”は、その濃度の定量測定を与えるために追跡記録されるDNA複製数の関数である。ここで“増幅”は定量分析技術の感度及び特異性の程度をいう。従って、増幅は、増幅効率及び従って感度の程度及び全構成成分測定の再現性の程度が実質的に類似している条件下で評価される構成成分濃度の指標を提供する。
【0037】
“基準プロファイル・データセット”とは、数学的基準目的のため用いる所望の生物学的状態下で生物学的サンプル(またはサンプル集団)の評価を生じる遺伝子発現パネルの構成成分に関する値のセットである。所望の生物学的状態は例えば、作用物質に曝される前または未治療の疾病の存在下または疾病がない被験体(または被験体の集団)の状態である。もしくは、さらに、所望の生物学的状態は被験体または被験体の集団の健康である。もしくは、さらに、所望の生物学的状態は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1に基づいて選択される被験体集団に関する状態である。
【0038】
被験体の“生物学的状態”は、観察下にある適切な範囲の被験体の状態であり、そのような範囲は、健康、癌、外傷、老化、感染、組織再生、発育段階、身体活動、肥満を含む疾病、または心的状態のような状態の変化の観測され得る被験体の任意の側面を含み得る。当然のことながら、これに関連する状態は慢性または急性または単に一時的であってもよい。さらに、標的となる生物学的状態は、細胞の生体または集団を通じてはっきり表れ得、または特定の器官(皮膚、心臓、目または血液など)に限定され得るが、いずれの場合においても、該状態は影響を受けた細胞集団のサンプルにより直接または被験体のほかの場所から得たサンプルにより間接的に観測できる。“生物学的状態”の語は、“心理学的状態”を含む。
【0039】
被験体の“体液”は、血液、尿、髄液、リンパ液、粘膜分泌物、前立腺液、精液、血リンパ液、または当業者に公知のその他の被験体の体液を含む。
【0040】
“較正プロファイル・データセット”は、第1のプロファイル・データセットの構成要素とパネル中の所定の構成成分に関する基準プロファイル・データセットの対応する構成要素の関数である。
【0041】
“臨床的指標”は、細胞の集団または生物の生理学的条件を評価する際に、単独または他のデータと結合して用いられる任意の生理学的データである。この用語はプレ臨床的指標を含む。
【0042】
“組成物”は任意の物理的状態または物理的状態の組み合わせにおける、化学的化合物、栄養補助食品、医薬品、ホメオパシー製剤、アロパシー製剤、自然療法製剤、化合物の組み合わせ、毒素、食物、食物補助食品、ミネラル及び物質の複合混合物を含む。
【0043】
サンプルからプロファイル・データセットを“得る(derive)”ことは、(i)生物学的サンプル中の構成成分の直接測定により、または(ii)最初のサンプルに暴露された、または最初のサンプルから得たものに暴露された第2の生物学的サンプル中の構成成分の測定により、遺伝子発現パネルの構成成分に関する一連の値を決定することを含む。
【0044】
構成成分のパネル中の“はっきり識別できる(distinct)RNAまたはタンパク質構成成分”は、RNAまたはタンパク質の遺伝子のはっきりと識別できる発現産物である。遺伝子の“発現”産物は、メッセンジャーRNAの翻訳から生じるRNAまたはタンパク質である遺伝子産物を含む。
【0045】
“遺伝子発現パネル”は実験的に実証された構成成分のセットであり、各構成成分は遺伝子のはっきり識別できる発現産物、RNAまたはタンパク質であり、当該セットの構成成分はそれらの指標が標的となる生物学的状態の指標を与えるように選択される。
【0046】
“遺伝子発現プロファイル”は、生物学的サンプル(またはサンプル集団)の評価から生じる遺伝子発現パネルの構成成分に関する一連の値である。
【0047】
“遺伝子発現プロファイル炎症指数”は遺伝子発現プロファイルの事例から炎症状態の一価測定にマッピングを提供する指数関数の値である。
【0048】
被験体の“健康”は被験体の知力、感情、身体、精神、アロパシー、自然(naturopathic)、及びホメオパシー状態を含む。
【0049】
“指数(index)”はより複雑な定量情報を単純化または開示または通知する際の補助のための算数または数学的に得た数値的発展である。疾病または集団指数は共通の生物学的状態を有する複数の被験体またはサンプルに対する明確なアルゴリズムの適用により決定できる。
【0050】
“炎症”は通常の医学用語の中でここで用い、急性または慢性;単純または化膿性;局所または散在性;細胞及び組織応答性、化学的、物理的または生物学的作用物質または作用物質の組み合わせのうちいくつかにより開始または維持されたのものである。
【0051】
“炎症状態”は炎症から生じる被験体の関連する生物学的状態を示すために用いられ、炎症度合いの特性を示す。
【0052】
遺伝子の共通のパネルに基づく“多数の”データセットは同じパネルに基づいた事例に関して描かれる統計的に重要な結論を可能にするために十分に大きい多数のデータセットである。
【0053】
組成物が投与される被験体の“基準”の状態は被験体がたまたま病気を患っている場合であっても、投与前の日の状態を意味する。
【0054】
遺伝子の“パネル”は少なくとも2つの構成成分を含む遺伝子のセットである。
【0055】
被験体から得た“サンプル”は、静脈穿刺、排出物、射精、マッサージ、生検、針、吸引、洗浄サンプル、剥離、外科的切開、または診療またはその他の当業者に公知の方法などの手段により、被験体から得た単一細胞または複数細胞または細胞断片または体液のアリコートを含む。
【0056】
“徴候(signature)プロファイル”は生物学的状態、作用物質または生理学的な作用機序を区別するために選択される遺伝子発現プロファイルの実験的に実証された小集団である。
【0057】
“徴候(signature)パネル”は遺伝子発現パネルの小集団であり、その構成成分は生物学的状態、作用物質または生理学的な作用機序を区別するために選択することを可能にするために選択される。
【0058】
“被験体”は、in vivo(生体内)、ex vivo(生体外)またはinvitroにおける観察下の細胞、組織または微生物、ヒトまたは非ヒトである。被験体から得たサンプルに基づいて被験体の生物学的状態を評価することに言及する場合、ヒトである被験体の状態を評価するためのヒト被験体から得た血液またはその他の組織サンプルを用いることを含み;しかし、例えば、治療効果またはサンプル上の作用物質の効果など評価するための被験体として血液サンプルそれ自身を用いることも含む。
【0059】
“刺激”とは以下を含む(i)被験体の観測される物理的相互作用、例えば、紫外線AまたはBまたは季節性情動障害のための光線治療、またはソラレンを用いる乾癬の治療または植え込み放射性種を用いるメラノーマ治療、その他の放射線曝露、及び(ii)被験体の任意の観測される身体、知的、感情、または精神活動または不活動。
【0060】
“治療”は、被験体の観測される生物学的状態を維持または変化させることを意図した生物学、化学、物理学、形而上学または前述の組み合わせの全ての診療行為を含む。
【0061】
本発明者により出願され、ここに引用するものとする2001年4月12日に公開されたPCT特許出願公開番号WO01/25473、タイトル“Systems and Methods for Characterizing a Biological Condition or Agent Using Calibrated Gene Expression Profiles(較正された遺伝子発現プロファイルを用いる生物学的状態または作用物質を特定するためのシステム及び方法)”は(i)生物学的状態(健康及び疾病に関するものを含む)及び(ii)生物学的状態への1以上の作用物質の影響(健康、毒性、治療処置及び薬物相互作用に関するものを含む)を評価するための遺伝子発現パネルの使用について開示する。
【0062】
特に、遺伝子発現パネルは以下に用いることができる:天然または合成組成物の治療効能の測定または個々にまたは組み合わせて、または標的とする生理学的状態の範囲の混合において策定される刺激の測定;毒性効果の予測及び個々のまたは集団における組成物または組成物の混合物の投薬効果の予測;相乗作用、追加的作用、マイナス作用、中性または毒性作用のいずれかを検出するための1回の治療において投与される2以上の異なる作用物質がどのように相互作用するかの決定;疾病状態を明らかにするために情報プロファイル・データセットに従い被験体を前もって選択するための新しい基準を提供することによるプレ臨床及び臨床試験の実施;及びフェーズ1または2試験を行う前のこれらの患者についての予備投薬試験の実施。これらの遺伝子発現パネルは生物学的状態を評価するために被験体から得たサンプルに関して用いることができる。
【0063】
遺伝子発現パネルはパネル中のRNAまたはタンパク質構成成分の定量測定が被験体の生物学的状態を指標を構成するように選択する。1の処理において、較正されたプロファイル・データセットを用いる。較正されたプロファイル・データセットの各構成要素は(i)遺伝子発現パネルのはっきり識別できる構成成分の指標及び(ii)基準量の関数である。
【0064】
再生可能な条件下(測定の再生可能性は20%以上、好ましくは5%以上、及びより好ましくは3%以上)で構成成分の定量測定を行った場合、有益で予測できない結果が達成されることがわかった。この記載及び請求項の目的において、測定の再生可能性は20%以上であり、かかる測定条件は“実質的に”再生可能である。特に、各時間毎の測定は特定のサンプルにおいて構成成分の発現レベルに対応して得られ、実質的に同じ測定は実質的に同じ発現レベルを生じるべきである。このように、遺伝子発現パネルにおける構成成分の発現レベルはサンプル毎に有意義に比較できる。たとえ特定の構成成分に関する発現レベル測定が不正確であっても(例えば、30%は低すぎる)、再生可能の基準は、この構成成分に関する全測定が、ゆがんでいる場合、それにも関わらず体系的にゆがめられ、従って構成成分の発現レベルの測定が大きな意味を持って比較できることを意味する。このような方法で、有用な情報が得られ、様々な環境下で構成成分の発現に関して比較できる。
【0065】
再生可能性の基準に加え、第2の基準も満たされることが望ましく、すなわち、構成成分の定量測定は、全構成成分の増幅効率が実質的に類似する(1〜2%内、通常1%以下)条件下で行われる。これらの基準両方が満たされた場合、1の構成成分の発現レベル測定が所定のサンプル中のその他の構成成分の発現レベルの測定とサンプル毎に有意義に比較できる。
【0066】
本実施態様は構成成分の定量測定から生じる指数またはアルゴリズムの使用に関し、及び任意でさらに、以下の専門分析またはコンピューター生命工学から得られるものに関する:(a)複合データセットの分析;(b)情報価値のない、またはサンプルまたは被験体間の遺伝子発現値における軽微な相違の影響を制御または標準化する;(c)複合データセットを複合データセットから得たその他の複合データセット、データベースまたは指数またはアルゴリズムと比較するためにその特徴を単純化する;(d)被験体の生物学的状態を観測する;(e)天然または合成組成物の治療効能の測定または個々にまたは組み合わせて、または標的とする生理学的状態の範囲の混合において策定される刺激の測定;(f)毒性効果の予測及び個々のまたは集団における組成物または組成物の混合物の投薬効果の予測;(g)相乗作用、追加的作用、マイナス作用、中性または毒性作用のいずれかを検出するための1回の治療において投与される2以上の異なる作用物質がどのように相互作用するかの決定;(h)疾病状態を明らかにするために情報プロファイル・データセットに従い被験体を前もって選択するための新しい基準を提供することによるプレ臨床及び臨床試験の実施;及びフェーズ1または2試験を行う前のこれらの患者についての予備投薬試験の実施。
【0067】
遺伝子発現プロファイル及び特定の状態または作用物質または両方を特定する指数の使用はフェーズ3臨床試験の費用を減少するために使用し、フェーズ3試験の領域を超えて使用することができる。承認薬の標識、固有の生理機能に関する特定患者のための薬物治療の分類における適当な薬物治療の選択;病状の予後または症状の開始に先行する感染の診断または決定、または治療薬の投与による副作用の診断;患者の健康管理;及び作用物質または作用物質の混合物の様々な分量の品質管理。
【0068】
被験体
ここに開示する方法は、当業者による過度な実験の必要なくヒト、哺乳類またはその他の生物の細胞に適用され得る。これは、全ての細胞がRNAを転写し、どのように全ての型の細胞からRNAを抽出するかは本技術分野では公知だからである。
【0069】
遺伝子発現パネルの構成成分の選択
遺伝子発現パネルの構成成分を選択するための一般的な方法はPCT出願公開番号WO01/25473に記載されている。広範囲の遺伝子発現パネルを設計及び実験的に実証し、各パネルは血液またはその他の組織のサンプルから得られる生物学的状態の定量測定を与える。各パネルに関し、実験によりパネルの構成成分を用いる遺伝子発現プロファイルが生物学的状態の情報となることを実証した。(生物学的状態の情報となる場所を示し、遺伝子発現プロファイルがとりわけ治療の効果を測定するため及び治療的介入のための標的を与えるために用いることができることを示した。)遺伝子発現パネルの例は各パネル構成成分の簡単な説明と共に、以下の通りここに付属の表中に与える:
表1.炎症遺伝子発現パネル
表2.糖尿病遺伝子発現パネル
表3.前立腺遺伝子発現パネル
表4.皮膚反応遺伝子発現パネル
表5.肝臓代謝及び疾病遺伝子発現パネル
表6.内皮遺伝子発現パネル
表7.細胞状態(Health)及びアポトーシス遺伝子発現パネル
表8.サイトカイン遺伝子発現パネル
表9.TNF/IL1阻害遺伝子発現パネル
表10.ケモカイン遺伝子発現パネル
表11.乳癌遺伝子発現パネル
表12.感染病遺伝子発現パネル
その他のパネルは、本発明で明確にされた原理に従い当業者であれば構築及び実験的に実証できる。
【0070】
分析設計
通常、サンプルはパネルを通して4通りにする。すなわち、サンプルをアリコート内に分割し、各アリコートについて遺伝子発現パネル中の各構成成分の濃度を測定する。900の構成成分分析の合計にわたり、各分析を4通りで行い、平均変動係数がわかった。各分析結果において、(標準偏差/平均)*100は2%より少なく、通常1%よりも少なかった。この数はいわゆる“併行変動性(intra−assay variability”の測定である。また、同じサンプル材料を用いて異なる時に分析を行った。72の分析により、24の構成要素からなるパネル中の構成成分の濃度測定を得て、該濃度測定は長期にわたって3つの異なる時に測定した。平均変動係数は5%より少なく、通常2%より少なかった。これをいわゆる“併行変動性(intra−assay variability”の測定とみなす。
【0071】
統計的に“外れ値”であるデータ点を同定及び消去するために4通りの試験結果を用いることは有用であった。このようなデータ点は例えば、全4つの値の平均より3%大きい割合で異なり、例えば、1%より大きい体系的ゆがみからは生じない。さらに、4つのセットの1以上のデータ点がこの手順により排除される場合、関連する構成成分の全てのデータを廃棄する。
【0072】
パネル中の構成成分の遺伝子発現の測定
サンプル中の特定RNAの量を測定するために、当業者に公知の方法を用い、遺伝子発現パネルの構成成分に関する転写RNAをサンプルから抽出し、量を測った。(詳細な手順は以下を参照。また、RNA分析手順に関してここに引用するPCT出願公開番号WO98/24935も参照。)簡単言えば、RNAは組織、体液または被験体の集団が成長できる培養基などのサンプルから抽出される。例えば、細胞を溶解し、RNAをDNAアーゼ反応を行う適当な溶液中に溶出させる。第1のストランド合成は逆転写酵素を用いて行うことができる。遺伝子増幅、より具体的に反応定量PCR分析はそれから行うことができ、目的のサイズの遺伝子を18S rRNAなどのマーカーに対して較正する(Hirayama et al.、Blood 92、1998:46−52)。サンプルは複数の複製物、例えば4つの複製として測定する。mRNAの関連計量は内部対照及び目的遺伝子間の閾値周期における違いにより測定する。本発明の実施態様において、定量PCRは増幅、伝達因子及びApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)に市販されているような機器を用いて行う。標的転写物の増幅の明確な効果を定めることにより、増幅した標的テンプレートからのシグナルが検出できる点(例えば、周期数)は測定サンプルにおける特定メッセージ転写物の量に直接関連する。同様に、蛍光、酵素活性、分毎の分解、吸収度等のその他の定量化できるシグナルは、標的テンプレートの公知の濃度と相関性がある場合(例えば、参照標準曲線)または制限された変動性を用いて標準化される場合、未知のサンプル中の標的テンプレートの数を測るために用いることができる。
【0073】
増幅方法に限定されないが、定量遺伝子発現技術は標的転写の増幅を利用できる。別のまたは標的転写の増幅との組み合わせにおいて、伝達シグナルの増幅も用いることができる。標的テンプレートの増幅は等温遺伝子増幅方法により達成でき、またはPCRなどの温度サイクリングによる遺伝子増幅により達成できる。
【0074】
増幅された標的または伝達因子と開始テンプレート濃度間で定義でき、かつ再生可能な相関関係を得ることは望ましい。かかる目的は、例えば一貫性のあるプライマー−テンプレート比及び実験的増幅効率の許容される狭いレベルに対する厳密な堅持(例えば、99.0〜100%の相対的効率、通常は99.8%〜100%の相対的効率)に注意を払うことで達成できることがわかった。例えば、単一の遺伝子発現プロファイルに関して遺伝子発現レベルを決定する際に、パネルの全構成成分を類似に保ち、プライマーテンプレート比(例えば、10倍の範囲内)及び増幅効率(例えば、1%以下)を限定された範囲に維持し、各構成成分についての正確及び精密な相対測定を可能にすることが必要である。本明細書の記載及び請求項の目的において、増幅効率を、約10%程度の違いである場合、“実質的に類似”とみなす。好ましくは、約2%以下、より好ましくは約1%以下の違いであるべきである。これらの制約は関連する生物学的状態に関して測定される濃度レベルの全体の範囲にわたって観測されるべきである。
【0075】
従って、実質的に再生可能で全構成成分の特異性及び増幅効率が実質的に類似する測定条件下で測定が達成される基準を満たすために種々の実施態様が必要であるが、それにもかかわらず、エラーを補うような方法で、これらの基準を直接満たさない分析結果を調整することにより、そのような測定条件を達成することは本発明の範囲内であり、従って、該基準は分析結果の適当な調整の後に満たされる。
【0076】
実際に、これらの条件が満たされることを確認するために試験を行う。例えば、多数のプライマー−プローブセットを一般に設計及び製造し、いずれのセットが最良の性能を有するかを実験的に測定する。プライマー−プローブ設計及び製造が公知のコンピューター技術を用いて向上できるとしても、及び一般的な方法であるにも関わらず、実験的検証が依然として有用である。さらに、実験的検証の間、選択したプライマー−プローブの組み合わせを以下の特徴の組と関連付ける:逆プライマーはコードDNAストランドに相補的であるべきである。1の実施態様において、プライマーはイントロン−エキソン結合に交わって位置すべきであり、近接エキソンに相補的な逆プライマーの3つの主要な末端の3塩基程度である。(3つ以上の塩基が相補的である場合、ゲノムDNAを競争的に増幅する傾向にある。)
本発明の実施態様において、プライマー・プローブは110塩基長より少ないcDNAを増幅すべきであり、関連するが生物学的に関連しない遺伝子座由来のゲノムDNAまたは転写因子またはcDNAを増幅すべきでない。
【0077】
選択したプライマー・プローブの適当な標的は第1のストランドcDNAであり、1の実施態様において以下のように調製される:
(a)作用物質により影響を受けた生物学的状態のex vivo評価のために全血の使用。
【0078】
ヒトの血液は静脈穿刺により得られ、基準用、未刺激及び刺激の少なくとも3つの時点に関する十分な量のサンプルに分離することにより分析用に調製する。一般的な刺激はリポ多糖(LPS)、フィトヘムアグルチニン(PHA)及び加熱処理ブドウ球菌(HKS)またはカラギーンを含み、個々に(一般的)または組み合わせて用いることができる。ヘパリン添加したアリコート、全血を未刺激で混合し、5% CO2の雰囲気下、30分間、37℃で放置する。様々な濃度で刺激を加え、混合し、37℃、30分間、軽く蓋をして放置する。追加の試験化合物をこの時点で加えてもよく、試験化合物の予想される薬物動態により種々の時間放置する。特定の時間において、細胞を遠心分離により回収し、種々の標準的な手段により血漿を除去し、RNAを抽出する。
【0079】
核酸、RNA及び/またはDNAは試験集団または指標となる細胞株の細胞、組織または体液から精製する。RNAは種々の標準的な手順(または、RNA Methodologies,A laboratory guide for isolation and characterization(RNA方法論、単離及び同定の研究所ガイド)、第2版、1998、Robert E.Farrell,Jr.,Ed.,Academic PressにおけるRNA Isolation Strategies(RNA単離方法)、pp.55−104)を用いて核酸混合物から選択的に得られ、この場合Ambion(RNAqueous(登録商標)、フェノール−フリーTotal RNA単離キット、カタログ#1912、バージョン9908;オースティン、テキサス州)のフィルターベースRNA単離システムを用いる。
【0080】
1の手順に従って、遺伝子発現プロファイル測定の全血分析は以下のように行った:ヒトの全血をナトリウムヘパリンを含んだ10mLバキュテイナー採血管に取り込んだ。血液サンプルを穏やかに反転管で4〜5分混合した。実験中、血液を2倍に希釈、すなわち、時間点につきサンプル毎に、0.6mLの全血と0.6mLの刺激物で希釈した。分析媒体を調製し、刺激物を必要に応じて加えた。
【0081】
0.6mL量の全血を各12×75mmポリプロピレン管に加えた。0.6mLの2X LPS(大腸菌血清型(serotye)0127:B8由来、シグマ#L3880または血清型055、シグマ“L4005、10μg/ml、ロット違いの変化に対する被験体)をLPS管に加えた。次に、0.6mL分析媒体を各状態につき二通りの管の“対照”管に加えた。蓋をきつく閉めた。サンプルを混合するために、管を2、3回ひっくり返した。蓋をゆるめて、まず停止させ、管を37℃、5%CO2、6時間で培養した。6時間たってから、サンプルを血液細胞を再けん濁させるために穏やかに混合し、1mLを各管から(バリアチップ付マイクロ・ピペッタを用いて)除去し、2mL“ドルフィン”小型微量遠心管(Costar#3213)に移動させた。
【0082】
サンプルをそれから5分間、500xg、周囲温度で遠心分離し(IEC遠心分離または同等物、回転槽中の小型微量遠心管アダプターにおいて)、各管から血清をできるだけ除去し、廃棄した。細胞沈殿物を氷上に置いた;及びRNAをAmbion RNAqueousキットを用いてできるだけ早く抽出した。
【0083】
(b)増幅方法
特異RNAをメッセージ特異プライマーまたはランダムプライマーを用いて増幅する。特異プライマーは公共のデータベースから得られるデータから合成され(例えば、Unigene、全米バイオテクノロジー情報センター、米国立医学図書館、Bethesda、MD)、ヒト及びその他の動物から得られるゲノム及びcDNAライブラリーからの情報を含む。プライマーは試験または指標サンプルから得られる特異RNAから選択的に増幅するために選択し、例えば、RNA Methodologies,A laboratory guide for isolation and characterization(RNA方法論、単離及び同定の研究所ガイド)、第2版、1998、Robert E.Farrell,Jr.,Ed.,Academic PressのRT PCR、第15章、またはRNA isolation and characterization protocols(RNA単離及び同定手順)、Methods in molecular biology、第86巻、1998、R.Rapley and D.L.Manning Eds.,Human Pressまたは14 in Statistical refinement of primer design parameters、第5章、pp.55−72、PCR増幅:protocols for functional genomics(機能ゲノム科学の手順)、M.A.Innis,D.H.Gelfand and J.J.Sninsky,編集、1999、Academic Pressを参照されたい。増幅は等温条件または熱サイクラーを用いて行う(例えば、Applied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)から得られる、ABI9600または9700または7700;Molecular method for virus detection(ウイルス検出のための分子法)、Nucleic acid detection methods(核酸検出方法)、D.L.Wiedbrauk及びD.H.,Farkas,編集、1995、Academic Pressのpp.1−24を参照)。増幅核酸を蛍光タグ検出プライマーを用いて検出し(例えば、Taqman(登録商標)PCR Reagentキット、プロトコル、部分番号402823バージョンA、1996、Applied Biosystems、Foster City、カリフォルニア州を参照)、増幅プライマーについて記載する公知のデータベースから同定及び合成する。この場合、増幅DNAはApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)から市販のABI Prism7700配列検出システムを用いて検出及び定量する。試験サンプル中に含まれる、または指標細胞株から得られる特異RNAの量は観測される蛍光の相対量に結び付けられる(例えば、Advances in quantitative PCR technology:5’nuclease assays(5’ヌクレアーゼ分析、Y.S.Lie and C.J.Petropolus、Current Opinion in Biotechnology(バイオテクノロジーの最近の見解)、1998、9:43−48またはRapid thermal cycling and PCR kinetics(高速熱サイクル及びPCR動力学)、pp.211−229、PCR applicationsの第14章;protocols for functional genomics(機能ゲノム科学の手順)、M.A.Innis、D.H.Gelfand and J.J.Sninsky,編集、1999、Academic Pressを参照)。
【0084】
ここに記載する方法の特定の実施として、PCR用の第一のストランドcDNAの詳細な合成手順を記載する。この手順は全血RNA及び培養細胞(すなわち、THP−1細胞)から抽出されたRNAの両方に使用できる。
【0085】
材料
1.Applied Biosystems TAQMAN逆転写試薬キット(P/N 808−0234)。キットの内容:10X TaqMan RT Buffer,25mM 塩化マグネシウム、デオキシNTP混合物、ランダム・ヘキサマー、RNAアーゼ阻害因子、MultiScribe逆転写酵素(50U/mL)(2)RNAアーゼ/DNAアーゼを含まない水(Ambion市販のDEPC処理水(P/N 9915G)または同等物)。
【0086】
方法
1.RNAアーゼ阻害因子とMultiScribe逆転写酵素を氷上に速やかに置く。その他の全ての試薬を室温で解凍し、それから氷上に置く。
2.RNAサンプルを−80℃冷凍庫から取り出し、室温で解凍し、それから速やかに氷上に置く。
3.逆転者酵素試薬の以下の混合物を各100mL RT反応について調製する(複数のサンプルについて、分注ミスを考慮に入れるため余分の混合物を調製する):
1反応(mL) 11X、例えば、10サンプル(mL)
10X RTバッファー 10.0 110.0
25mM MgCl2 22.0 242.0
dNTP 20.0 220.0
ランダム・ヘキサマー 5.0 55.0
RNAアーゼ阻害因子 2.0 22.0
逆転写酵素 2.5 27.5
水 18.5 203.5
計 80.0 880.0 (サンプル当たり80mL)
4.各RNAサンプルを1.5mLのマイクロ遠心分離管に全体積20mLを送り(例えば、THP−1 RNAの場合、10mLのRNAを除去し、RNAアーゼ・DNAアーゼを含まない水を用いて20mLに希釈し、全血RNA用の合計20mLのRNAとする)、工程5、2、3から80mLのRT反応混合物を加える。ピペットにより上下に取ることで混合する。
5.サンプルを室温で10分間培養する。
6.サンプルを37℃で1時間培養する。
7.サンプルを90℃で10分間培養する。
8.マイクロ遠心分離でサンプルを高速回転させる。
9.速やかにPCRを行う場合サンプルを氷上に置き、それ以外の場合はサンプルを後で使用するために−20℃で保管する。
10.PCR QCは18S及びb−アクチンを用いて全RTサンプル上で行うべきである(SOP200−020を参照)。
【0087】
遺伝子発現パネルの構成成分の測定を可能にするための上述の第1のストランドcDNAとプライマー・プローブの使用は以下の通りである:
炎症用の24遺伝子のヒト遺伝子発現パネルの設定。
【0088】
材料
1.各目的遺伝子についての20X プライマー/プローブ混合物。
2.18S内生対照のための20X プライマー/プローブ混合物。
3.2X TaqMan Universal PCR Master混合物。
4.細胞抽出RNAから転写したcDNA。
5.Applied Biosystems 96−ウェル 光学反応プレート。
6.Applied Biosystems 光学キャップ、または光学クリアフィルム。
7.Applied Biosystemsプリズム7700 配列検出器。
【0089】
方法
1.以下の通り、目的の遺伝子用のプライマー/プローブ、18S内生対照用のプライマー/プローブ及び2X PCR Master混合物を含む各プライマー/プローブ混合物の在庫を作る。分注ミスを考慮に入れるため十分な余剰分を作る。例えば、約10%の余分である。以下の実施例は、2つの条件(2プレート)を試験する4通りのサンプルを用いる1の遺伝子の一般的な設定を説明する。
1X(1ウェル) 9X(2プレート量)
2X Master Mix 12.50 112.50
20X 18S プライマー/プローブ混合物 1.25 11.25
20X 目的プライマー/プローブ混合物の遺伝子 1.25 11.25
合計 15.00 135.00
2.95μlのcDNAを2000μlの水に入れて希釈することによりcDNA標的の在庫を作る。cDNAの量を10〜18の間、一般的には12〜13の間のCt値を与えるために調節する。
3.15μlのプライマー/プローブ混合物をApplied Biosystems96−ウェル光学反応プレートの適当なウェルにピペットで取る。
4.10μlのcDNA在庫液をApplied Biosystems96−ウェル光学反応プレートの各ウェルにピペットで取る。
5.Applied Biosystems光学キャップまたは光学クリアフィルムでプレートの封をする。
6.プレートをABプリズム7700配列検出器について分析する。
【0090】
また、本方法はタンパク質を用いて適用してもよく、酵素免疫測定法(ELISA)または質量分析などの感度定量的技術が利用でき、タンパク質構成成分の量を測定するための当業界において公知である。(WO98/24935をここに引用する。)
【0091】
基準プロファイル・データセット
単一の個体から及び個体類の大きな群からの試料の分析は、特定のパネル又は一連のパネルに関するプロファイルデータセットのライブラリーを提供する。これらのプロファイルデータセットは、基準プロファイルデータセットとしての用途にライブラリー中に記録として蓄えられる。「基準(baseline)」の語が示唆しているように、蓄えられた基準プロファイルデータセットは、生物学的条件又は作用因子について有益である較正されたプロファイルデータセットを提供するコンパレーターとして働く。多くの基準プロファイルデータセットがライブラリーに蓄えられ、多くの相互参照の仕方で分類されるだろう。分類の1つの型は、データセットが得られるパネルの特性に依存し得る。分類のもう1つの型は特定の生物学的条件による。生物学的条件の概念は、細胞又は細胞集団が任意のある時間にある任意の状態を包含する。この状態は、試料の地理的位置、被験体の性別、又はその他任意の識別器を反映する。識別器のいくつかは重なり得る。ライブラリーは、1つの被験体又は特定の臨床試験に関する記録についてアクセスもされ得る。基準プロファイルデータセットの分類は、特定の被験体、医学的状態、特定の作用因子についての医学的情報で更に注釈づけられ得る。
【0092】
較正されたプロファイルデータセットを形成するための基準プロファイルデータセットの選択は、評価、モニター、又は予測される生物学的条件、並びに較正されたパネルの意図した用途(例えば、薬剤の開発、品質管理、又は他の用途をモニターする)に関連する。第1のプロファイルデータセットが得られる同じ被験体から、又は様々な回数での、刺激、薬剤又は複合化合物にさらされた異なる被験体から、又は同じか異なる集団から得られ得る基準プロファイルデータセットにアクセルすることが望ましいかもしれない。
【0093】
プロファイルデータセットは、第1のデータセットが得られる同じ被験体から生じ、試料は別の又は類似の時間、異なる又は類似の部位、又は異なるか類似の生理学的条件で採取される。図5は、試料が刺激の前又は刺激の後に採取される臨床試験計画書を提供する。刺激されていない試料から得られたプロファイルデータセットは、刺激後に採取された試料に対する基準プロファイルデータセットとして働き得る。基準データセットは、いくつかの明らかに特有な又は生物学的状態を有する被験体の集団のプロファイルデータを含むライブラリーからも得られ得る。そして、結果として得られる較正されたプロファイルデータセットは、基準プロファイルデータベース及び所望により第1のプロファイルデータセット(第1のプロファイルデータセットは、適当な分類基準の下では通常基準プロファイルデータセットに取り込まれるであろうが)に沿って又は基準プロファイルデータベースから離れて、データベース又はライブラリー(図6)中の記録として蓄えられ得る。所定の生物学的状態に関連する遺伝子発現プロファイルの顕著な整合性はプロファイルデータを保存するために有用である。また、とりわけ引用規格の目的に用いることができる。引用規格は被験体を所定の生物学的状態(健康または疾病)に適合させるための度合いを示す働きをし、及び/または臨床的診療の標的を提供する働きをする。
【0094】
選択された基準プロファイルデータセットは、効能、毒性等の点から製造ロットを判断する標準品としても用いられ得る。治療剤の効果が測定されると、基準データセットは、作用因子の投与前に採取された遺伝子発現プロファイルに対応し得る。新しく製造された製品の品質管理が決められると、基準データセットは、その製品の貴重な標準品に一致し得る。しかし、所望の適当な規格化技術が使用され得る。例えば、平均基準プロファイルデータセットは、自然で育ったハーブの栄養物からなる本物の材料から得られ、放出のために調製された多くの化合物中での精度又は精度の欠如を示すため、時間がたちそして異なるロットで比較される。
【0095】
較正データ
再生可能性を与えることで、遺伝子発現の測定を達成し、“遺伝子発現パネル”及び“遺伝子増幅”の関連を上に記載した。このような条件下において測定の違いが生じる場合、我々は当該違いは生物学的状態の違いに起因するものと結論付ける。従って、較正されたプロファイル・データセットは同じ条件下、同じ個体から取得したサンプルにおいて非常に再現性が高いことがわかった。本願発明者らは、同様に、繰り返し試験した試料において、較正されたプロファイルデータセットが再現されることを見出した。また、本願発明者らは、再現事例を見出し、生体外(ex vivo)において被験体からの試料が化合物にさらされたときに得られる較正されたプロファイルが、多くの場合において、生体内(in vivo)における試料にさらされた試料からの較正されたプロファイルに匹敵することも見出した。また、本願発明者らは、重要なことに、作用因子で処理された指標細胞ラインが、生体内又は生体外細胞の集団から得られる、較正されたプロファイルデータセットに匹敵する較正されたプロファイルデータセットを与えることを見出した。さらに、本願発明者らは、被験体からの試料を指標細胞に投与することにより、被験体の健康、疾病状態、治療処理、老化又は環境による刺激又は毒素を含む被験体の生物学的条件に関する有益な較正されたプロファイルデータが提供されることを見出した。
【0096】
較正されたプロファイルデータの計算結果及びコンプューター補助
そのプロファイルデータセットは、スプレッドシートにおいて表わされるか、又はグラフにより、例えば棒グラフもしくは表形式で表わされ得るが、又、三次元表示においても表わされ得る。基本的標準及びプロファイルデータに関する関数は対数として表わされる比である。構成要素をx軸において記し、対数目盛りをy軸に記す。較正されたデータセットの要素は、基本的標準に関して、遺伝子発現の相対的増大を表わす正の値として又は遺伝子発現の相対的低減を表わす負の値として表わされ得る。
【0097】
較正されたプロファイルデータセットの構成要素は、同様の条件下で被験体から採られた同様の試料に関してある範囲内で再現すべきである。例えば、較正されたプロファイルデータセットの構成要素は、同様の条件下で被験体から採取された同様の試料に関して、ある大きさの程度内で再生し得る。構成要素は、50%以内で再生でき、より具体的には、20%以内及び一般には10%内で再生できる。本発明の実施態様に従って、遺伝子発現パネルにおいて調べた複数の遺伝子座それぞれからの相対遺伝子発現における増加した、低減した及び変化がないパターンは較正されたプロファイルセットを調製するために用いられ、それは生物学的条件、作用因子の処理条件の生物学的効力に関して情報を与え、または集団との比較に関する情報を与える。この性質のパターンは医薬試験の有望な候補を特定するために用いられ、単独でまたは生物学的条件に関して診断またはは予知する他の臨床的指標と組み合わせて用いられ、または製造、試験及び市場での販売を通して医薬又は機能的食品の開発を導くために用いることができる。
【0098】
量的遺伝子発現から得られる数値データ及び基本的標準プロファイルデータセットに関して較正された遺伝子発現からの数値データは、データベースにおいて又はデジタル保管媒体において保管され得て、患者の健康管理をすることを含む目的で又は、臨床的試験を行うために又は薬剤を特徴付けるために引き出される。そのデータを、地理的遠隔地から集めて共同利用のために貯えるために、例えばWorld Wide Web、eメールもしくはインターネットアクセスサイトにより物理的または無線ネットワークにおいてまたはハードコピーにより伝達し得る(図8)。
【0099】
本発明の実施態様において、貯えられたデータには、基本的標準のプロファイルデータセットの使用による変換の前のなまの遺伝子発現プロファイルデータ(一次プロファイルデータセット)及び例えば、基本的標準のプロファイルデータセットが特定の徴候パネルから誘導されているか否かに関する注釈並びにそのデータの解釈及び使用を容易にする他の注釈を含む較正されたプロファイルデータをつくるために用いられる基本的標準プロファイルデータセットの記録が含まれる単一の又は複数のデータベースにおいて記述的記録が貯えられる。
【0100】
そのデータは、万国共通形式であるので、データの取り扱いがコンピューターを用いて容易に行われ得る。そのデータは、コンピューターで行われるアウトプットを提供するように組織化される。そのデータは、較正されたデータセットのグラフによる表示に任意に相当するアウトプットを提供するように組織化される。
【0101】
例えば、被験体から得た別個の試料を少なくとも1つのRNA又は蛋白質をP1と表わし得る。その一次プロファイルデータセットは、Mjを示すサンプルPIから得られ、Mjは個別のRNA又はPIのタンパク質構成要素の量的尺度である。記録Riは、MとPの比であり、例えば、年、食餌、人種、性別、地理的位置、医療的異常、精神的異常、薬物療法、身体活動、ボディーマス及び環境的暴露に関する被験体における付加的データで注釈が付けられ得る。さらに、データ取り扱いには、さらに、現在、較正されたプロファイルデータベースとともに保持されていない付加的医療データを含有し得る二次条件データベースからのデータへのアクセスが含まれ得る。このような状況において、データクセスはコンピューターネットワークによりなされ得る。
【0102】
コンピューターにおける先に記載したデータ貯蔵は、ユーザーによりアクセスされ得る形態において情報を提供する。従って、ユーザーは、情報をダウンロードすることを含む二次アクセスサイト情報をロードし得る。しかし、アクセスは、その中に含有される医療的記録を保護するために、パスワード又は他のセキュリティーディバイスを有するユーザーに限定され得る。本発明のこの態様の特徴は、新しい又は注釈を付けた記録をデータセットに付加するユーザーの能力であり、記録が生物学的情報になる。
【0103】
薬剤のような製品に関する較正されたデータセットのグラフによる表示は、較正されたプロファイル、より特定すると徴候プロファイルによる製品を標準化するための機械を提供する。そのプロファイルは、類似または異なる使用について承認されたその他の薬物と比較して比較効率、作用機序の違い等を示す特徴として用いられ得る。
【0104】
本発明の種々の態様は、コンピューター装置とともに使用されるためのコンピュータープログラム製品としても実施され得る。その製品は、一次プロファイルデータを得るために又、較正されたプロファイルを生成するためにプログラムコードを含み得る。そのような実施には、コンピューターで読み取り可能な媒体(例えば、ディスケット、CD−ROM、ROM又は固定ディスク)のような実態的な媒体、またははネットワークに接続させるコミュニケーションアダプターのような変復調装置又は他の接続器によりコンピューター装置に伝達される一連のコンピューター使用説明書が含まれる。ネットワーク結合は例えば、光学または有線通信ライン上または無線技術(例えば、マイクロ波、赤外線もしくは他の伝達技術)またはこれらの組み合わせであり得る。一連のコンピューター使用説明書は、好ましくは、その装置に関して本明細書に先に記載された機能性のすべて又は一部を具体化する。当業者は、そのようなコンピューター使用説明書が、多くのコンピューターアーキテクチャー又はオペレーティングシステムでの使用のためにいくつかのプログラム言語で書かれることができることを認識しなくてはならない。さらに、そのような使用説明書は、半導体の、磁気の、光学的又は他の記憶装置のようないずれかの記憶装置に入れ得て、光学的、赤外線、マイクロ波又は他の伝達技術のようないずれかのコミュニュケーション技術を用いて伝達され得る。そのようなコンピュータープログラム製品は、コンピューター装置でプレインストールされている(例えば、オンシステムROM又は固定ディスク)か又はサーバーからもしくはネットワーク上の電子掲示板(例えば、Internet又はWorld Wide Web)から配布された印刷された又は電子的文書化物(例えば、収縮包装にされたソフトウエア)を添えた移動媒体として配布され得ることが期待される。又、コンピューター装置はさらに、一次データセット及び較正されたプロファイルデータセットを得るための引き出しモジュールを含んで供給される。
【0105】
図形または表形式の較正されたプロファイル・データセット、関連データベース及び計算指数または派生アルゴリズムはパネル、データベース、データセットまたは指数またはアルゴリズムから抽出される情報と一緒に用いて有用であり、WO01/25473に記載されるように種々の目的のために一緒にまたは別個に販売することができる。
【0106】
指数設定
(i)集団にわたる生物学的状態に関する遺伝子発現プロファイルの顕著な一貫性及び(ii)遺伝子発現プロファイルを生じる遺伝子発現パネル中の構成成分の実質的に再生可能な測定を提供する手順の使用の組み合わせは、パネルの全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似する測定条件下において、遺伝子発現プロファイルを特徴とする指数の使用を可能とし、従って生物学的状態の測定を提供する。
【0107】
指数は遺伝子発現プロファイル中の値を目前の生物学的状態に適切な単一の値に位置付ける指数関数を用いて設定できる。遺伝子発現プロファイル中の値は遺伝子発現プロファイルに対応する遺伝子発現パネルの各構成成分の量である。これらの構成成分の量はプロファイルデータセットを形成し、指数関数はプロファイルデータセットの構成要素から単一の値、指数を生じる。
【0108】
指数関数は期間の線形和として適宜設定でき、各期間はいわゆるプロファイルデータセットの構成要素の“寄与関数”である。例えば、寄与関数はプロファイルデータセットの構成要素の力あたりの一定時間である。従って、指数関数は、
I=ΣCiMiP(i)
であり、ここでIは指数、Miはプロファイルデータセットの構成要素iの値、Ciは定数、及びP(i)はMiがもたらす力であり、合計は全ての整数値のiからデータセット中の構成要素の数までを形成する。従って、線形多項式を得る。
【0109】
値Ci及びP(i)は多数の方法により決定でき、指数Iが適切な生物学的状態の情報となるようにする。1の方法は潜在クラスモデリングなど統計的技術を臨床データに相関するプロファイルデータセット、または実験的に得られたデータ、またはその他の生物学的状態に適切なデータに適用するものである。この関係で、例えば、Latent Gold(登録商標)の名称のStatisticalInnovations、Belmont、マサチューセッツから得られるソフトウェアが使用できる。ここに引用する、ウェブページ、www.statisticalinnovations.com/lg/、を参照されたい。
【0110】
もしくは、その他のより簡単なモデリング技術が公知の方法で使用できる。炎症のための指数関数が設定でき、例えば、(炎症遺伝子発現プロファイルのプロファイルデータセットにより決定して)より大きな度合いの炎症が大きな値の指数関数に相関するような方法で設定できる。単純な実施態様において、従って、炎症の増加により構成成分が増加または減少するかによって、各P(i)は+1または−1である。さらに下記に詳細に記載するように、発現に比例する重要な炎症指数を構築した。
1/4{IL1A}+ 1/4{IL1B}+ 1/4{TNF}+ 1/4{INFG}−1/{IL10}
ここで、構成成分を囲む中括弧は当該構成成分の指標を指定し、構成成分は表1の炎症遺伝子発現パネルの小集団である。
【0111】
上述の基準プロファイルデータセットは同様に、適当な基準対照を提供するために使用でき、基準対照に基づき、上述のように、較正されたプロファイルデータセットを構築するためにも使用でき、遺伝子発現プロファイルを特徴とする指数は指数を構築するために使用する指数関数の基準値を提供する。この基準値は関連集団に関して決定でき、指数が基準値に関して解釈できるようにする。関連集団は年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する。
【0112】
例として、指数は、約1の読み込みが健康被験体の基準遺伝子発現プロファイルを特徴とする方法で、健康被験体の集団に関する基準遺伝子発現プロファイルに関連して構築できる。さらに、指数の被験体である生物学的状態が炎症であると仮定する;この例の1の読み込みは従って、健康被験体の標準に適合する遺伝子発現プロファイルに相当する。実質的に高い読み込みはそれから炎症状態を経験している被験体を同定できる。基準値を同定する1の使用は、しかしながら、唯一1つの可能な選択である;基準値を同定する他の理論上の選択は0の使用である。この選択をすると、ゼロからの指数における偏差は標準偏差単位において示される(従って、−1〜+1の範囲の値が90%の対照集団の通常分布を包含する。遺伝子発現プロファイル値(及び従ってそれらに基づいて設定される指数)が正常に分布される傾向にあることを見出したので、この方法で設定されたゼロ中心指数は非常に有益である。従って、それは疾病の診断において指数の使用を円滑にし、治療のための方針設定を円滑にする。基準値に0の選択、及び標準偏差単位の使用は、例えば、以下に記載する図17Bで説明する。
【実施例】
【0113】
実施例
実施例1:多数の複合データセットの分析を援助するための急性炎症指数
本発明の1の実施態様において、指数値またはアルゴリズムは複数のデータセットを被験体の炎症状態に関して情報となる単一の指数値に減少させるために使用できる。これは図1A及び1Bに説明する。
【0114】
図1Aは、多数の複合データセットを生じる被験体のSource精密炎症プロファイル追跡である。図は、1の男性被験体の視神経炎の過程における8日間それぞれについての炎症遺伝子発現パネル(表1に示す)からの分析24遺伝子の結果を示す。
【0115】
図1Bは急性炎症指数の使用を示す。上述の図1Aに示すデータは以下の数式に比例する指数関数を用いた計算後のこの図に示される:(1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10})
実施例2:サンプルまたは被験体の生物学的状態を観測するための急性炎症指数またはアルゴリズムの使用
被験体の炎症状態は生物学的状態の過去の進展、未来の進展、治療に対する反応等についての情報を示す。急性炎症指数は被験体の生物学的状態についてのそのような情報を明らかにするために使用できる。これを図2に示す。
【0116】
各日にち毎の炎症遺伝子発現の分析結果(図1Aの各列における24遺伝子について示す)は計算後の個々の柱状グラフとして表す。該指数は治療的介入に相互に関連し得る炎症状況のはっきりとした傾向を示す(図2)。
【0117】
図2は、視神経炎に関して医学的に治療した1の患者から得た血液由来の9つの異なる、重要な臨床標石において計算した急性炎症指数の説明図である。急性炎症指数に関する指数値における変化は治療的介入の期待効果と強く相関する。4つの臨床標石はこの図の急性炎症指数の上部で同定し、(1)ステロイド治療前、(2)1日当たり1グラムでIVソルメドロールを用いた治療、(3)1日当たり60mgから1日当たり10mgに徐々に減らして経口プレドニゾン用いた治療後、及び(4)治療後を含む。データセットは図1と同じである。指数は1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例する。予想通り、急性炎症指数はIVステロイドを用いる治療では下がり、経口プロドニソンを用いるより有効性の低い治療時に上がり、ステロイドをやめ、完全に代謝された後に治療前レベルに戻る。
【0118】
実施例3:投薬量を設定するための急性炎症指数の使用
発達過程における化合物の、または図3で示すヒト及び非ヒト被験体において試験する化合物の濃度及びタイミングを含む。急性炎症指数は、共通の作用機序を有さない治療化合物または治療的介入の共通の対照値として使用できる。指数によって示される化合物に対する遺伝子反応を誘導するが、公知の生物学的状態を改善できない化合物は、生物学的状態の治療における種々の効果を有する種々の化合物と比較できる。
【0119】
図3は急性炎症指数に特徴付けられる1の提供者において、800mgのイブプロフェンを用いた1回の投薬治療の効果を示す。800mgの過剰な対抗イブプロフェンを1の被験体に時間=0及び時間=48時間に投与した。表示した5つの炎症関連遺伝子座の遺伝子発現値は、時間=2、4、6、48、50、56及び96時間に以下の通り測定した。予想通り、急性炎症指数は非ステロイド抗炎症イブプロフェンの摂取後即座に下がり、48時間後基準ラインに戻る。T=の2回目の投与は一回目の投与と同じ動態をし、実験の最後のT=96に基準ラインに戻る。
【0120】
実施例4:作用物質の生理作用の効果、安全性及び形態を同定するための急性炎症指数の使用
発達過程における使用及び/または天然で複合物である使用。これを図4に示す。
【0121】
図4は5つの異なる条件について図で表した計算した急性炎症指数を示し、(A)未治療全血;(B)DMSO、非活性キャリア化合物を用いてin vitroで治療した全血;(C)デキサメタゾン(0.08μg/ml)を用いてin vitroで治療した別の未刺激全血;(D)リポ多糖、公知のプロ炎症化合物、(LPS、1ng/ml)を用いてin vitroで刺激した全血及び(E)LPS(1ng/ml)及びデキサメタゾン(0.08μg/ml)を用いてin vitroで治療した全血を含む。デキサメタゾンは抗炎症ステロイド化合物として一般に使用する処方化合物として使用する。急性炎症指数は、1の患者から得たヒト全血において発現した炎症関連遺伝子の実験的に決定した遺伝子発現レベルから計算する。mRNA発現の結果はこの実施例においてCtとして表すが、例えば、遺伝子IL1A、IL1B,TNF、IFNG及びIL10について、相対蛍光単位、コピー数またはその他の定量化できる、正確で較正された形態として表すことができる。遺伝子発現値から、急性炎症値を式1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}に比例して代数的に決定した。
【0122】
実施例5:遺伝子発現プロファイルの集団基準値の発展及び使用。
図6及び7は、2つの異なる患者集団の全血から得た遺伝子発現プロファイルの相加平均値を(表1の炎症遺伝子発現パネルの48遺伝子座を用いて)示す。これらの集団は通常または未診断である。第1の集団は、Bonfilsとして同定し(ダイアモンド型で表すプロット点)、コロラド州、デンバーのBonfils血液センターの血液提供者とした17の被験体からなる。第2の集団は9人の提供者であり、その提供者について遺伝子発現プロファイルを4週間の期間にわたって分析を4回行うことにより得る。この第2の集団の被験体(四角で表すプロット点)は本譲受人であるSource Precision Medicine,Inc.の従業員から募集した。各集団についての遺伝子発現平均は遺伝子発現炎症パネルの48の各遺伝子座について計算した。遺伝子座1−24(炎症48A遺伝子座として下記に言及することもある)を図6に示し、遺伝子座25−48(炎症48B遺伝子座として下記に言及することもある)について図7に示す。
【0123】
2つの異なる集団間の遺伝子発現レベルの一貫性は劇的である。両集団はお互いに大きく異ならない各48遺伝子座の遺伝子発現を示す。この観測はヒト炎症遺伝子に関して“正常”発現パターンがあることを示唆し、遺伝子発現プロファイルは、表1の炎症遺伝子発現パネル(またはそれらの小集団)を用いて、その発現パターンの特性を示し、集団−正常発現パターンが使用でき、例えば、正常発現パターンを変化させる任意の生物学的状態について医学的介入を導くために使用できることを示唆する。
【0124】
類似の血管において、図8は、やはり2つの異なる患者集団の全血から得た遺伝子発現プロファイル(この場合も、表1の炎症遺伝子発現パネルの48遺伝子座を用いる)の相加平均値を示す。三角のデータ点1で表す発現値の1の集団は24の正常、未診断(従って、公知の炎症疾患を有さない)被験体である。ダイアモンド型のデータ点で表す発現値のその他の集団は関節リウマチを患い、治療に失敗した(従って、不安定な関節リウマチを有する)4人の患者である。
【0125】
驚くべきことに、図6及び7に示す2つの異なる正常集団から得たデータの一貫性は図8に示す正常及び疾病集団から得たデータの系統的拡散である。48の炎症遺伝子座のうち45において、不安定な関節リウマチを有する被験体は平均して、疾病がない被験体よりも増加した(低周期閾値;Ct)炎症遺伝子発現を示した。当該データは従って、基本分析の精度及び較正を注意深く設計かつ本技術に従って制御する場合、さらに遺伝子発現を用いて特定の生物学的状態を有するグループを同定することが可能であることを示す。
【0126】
図8と類似している図9は、やはり2つの異なる患者集団の全血から得られる表1の炎症遺伝子発現パネルの24遺伝子座を用いた遺伝子発現プロファイルの相加平均値を示す。ダイアモンド型のデータ点で表す発現値の1の集団は、血液提供者である17の正常、未診断(従って、公知の炎症疾患を有さない)被験体である。四角のデータ点で表す発現値のその他の集団は16の被験体であり、6ヶ月間観測した正常、未診断の被験体であり、これらの発現値の平均を四角のデータ点で表す。従って、第1の健康集団の断面遺伝子発現値平均は第2の健康集団の縦の遺伝子発現値平均と非常に適合し、遺伝子間を基準にした測定発現値において約7%以下の変動である。
【0127】
図10は、44の正常未診断血液提供者(そのうち10の被験体のデータを示す)の全血から得た遺伝子発現値(表1の炎症遺伝子発現パネルの14遺伝子座を用いる)を示す。この場合も、当該集団の各構成要素の遺伝子発現値は、各遺伝子座の一致したピーク高さにより視覚的に表す集団のものと非常に適合する。当該集団のその他の被験体及びその他の遺伝子座はここに表すものに比べて、ここに示すものと一致する結果を示す。1の実施態様において、遺伝子発現プロファイルの基準値は、集団基準値からの被験体の当該遺伝子発現の偏りを明らかにする被験体のコンピューター“較正されたプロファイルデータセット”(この節の始めに定義)の基準ラインとして使用できる。遺伝子発現プロファイルの集団基準値は、本発明の実施態様に従う指数関数を設定する際に基準ラインとしても使用できる。結果として、例えば、指数関数は個々の炎症発現の範囲だけでなく、一般に基準値に関しても明らかにするために設定できる。
【0128】
実施例6:生物学的状態の信頼性のある指標の時間における、遺伝子発現パネル中の構成成分の発現値の一貫性
図11は、8ヶ月の期間にわたって月毎に分析した、1の被験体の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)4つの各遺伝子の発現レベルを示す。発現レベルが長期にわたって際立って一貫していることがわかる。
【0129】
図12及び13は同様に、4週間にわたって週毎に分析した図12、及び6ヶ月にわたって月毎に分析した図13の異なる1の被験体(健康状態が良く薬を服用していないことに基づき各ケースにおいて選択した)の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)48の各遺伝子の各ケースにおける発現レベルを示す。各ケースにおいて、やはり発現レベルは長期にわたって際立って一貫しており、個々にわたって類似している。
【0130】
図14も、抗炎症ステロイドを投与した、単一のヒト被験体の炎症遺伝子発現についての、長期にわたる効果を、表1の炎症遺伝子発現パネルを用いた分析として示す。この場合、48遺伝子座のうち24を示す。被験体は、PAX RNA単離チューブで取り出した基準ライン血液サンプルを有し、それから60mg投与量のプレドニゾン、抗炎症、処方ステロイドを1回摂取した。さらに血液サンプルを1回の経口投与後、2時間及び24時間で取り出した。遺伝子発現の結果を3つすべての時間点について表し、基準ラインサンプルの値はX軸上に単一で表す。予想通り、投与後2時間の棒グラフに示すように、プレドニゾンを用いる経口治療によりほとんどの炎症関連遺伝子座の発現が減少した。しかしながら、投与後2時間の棒グラフは、2時間での遺伝子発現が減少したほとんどの遺伝子座が、24時間では遺伝子発現レベルが上昇したことを示す。
【0131】
図14における基準ラインは1の試験個体に関する薬物介入の前の遺伝子発現値に基づくが、前の実施例から健康個体は表1の炎症遺伝子発現パネル(またはその小集団)を用いた遺伝子発現プロファイルにおける集団基準値に向かう傾向にあることがわかっている。我々は、図14から、炎症遺伝子発現レベルを図6及び7に示すレベル(正常または設定レベル)に戻そうとして、基準発現の干渉が、おそらくプレドニゾンが被験体からの不活性型または排除に著しく代謝されるので、薬物誘発反応の過剰補完である補完遺伝子発現反応を誘発すると推論する。
【0132】
図14と類似している図15は、プレドニゾンを1回投与した、ヒト被験体から得た全血サンプルによる長期にわたる、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)5つの遺伝子の発現についての効果を示す。サンプルはプレドニゾンの投与時間(t=0)に取り、それから当該投与後2時間及び24時間に取った。各全血サンプルは追加の0.1ng/mlのリポ多糖(グラム陰性エンドトクシン)により惹起し、サンプルの惹起後の遺伝子発現プロファイルを測定した。2時間のサンプルは、投与時間(t=0)の発現レベルと比較して、炎症遺伝子発現パネルのうち5遺伝子座の遺伝子発現が劇的に減少したことを示す。投与後24時間で、プレドニゾンの抑制効果はもはや明らかではなく、5遺伝子座のうち3の、遺伝子発現は実際にはt=0よりも高く、分子レベルで公知の反発効果を定量的に表す。
【0133】
図16も、関節リウマチを患う1のヒト被験体における炎症遺伝子発現についての、TNF阻害化合物の投与の長時間にわたる効果を示すが、(図6及び7との関連で)先に測定した正常(すなわち、未診断、健康)集団の同族遺伝子座平均と比較した発現をここに示す。関節リウマチの患者に関する大規模な国際調査の一部として、被験体を12週間の期間にわたって追跡した。当該被験体を関節リウマチの保存薬物治療に反応しなかったので、治療変更プランのため調査に登録し、TNF阻害化合物を用いる治療を速やかに始める。血液を新しい治療を始める前に被験体から取った(視察1)。新しい治療後、血液を新しい治療の開始に従って治療変更後4週(視察2)、8週(視察3)及び12週(視察4)で取った。血液をPAX RNA単離チューブに収集し、2時間、室温で保存し、それから−30℃で冷凍した。
【0134】
冷凍サンプルを、ボールダー、コロラド州の本譲受人であるSource Precision Medicineの中央研究所に表1の48遺伝子の炎症遺伝子発現パネルの遺伝子の発現レベルを測定するために発送した。血液サンプルを解凍し、製造者の推奨手順に従いRNA抽出した。RNAをcDNAに変換し、48炎症遺伝子の発現レベルを測定した。発現結果を図16に48遺伝子座のうち11について示す。11遺伝子座の発現結果を視察1から米国の正常血液提供者の集団平均までと比較する場合、被験体はかなりの違いを示す。同様に、各遺伝子座についてその後のそれぞれの医師の視察での遺伝子発現レベルを同じ正常平均値と比較する。視察2、3及び4からのデータは治療変更の効果を記録する。治療変更に従う各視察において、11遺伝子座のうち10についての炎症遺伝子発現のレベルは、正常(すなわち、未診断、健康)集団について先に測定した同族遺伝子座平均に近い。
【0135】
図17Aはさらに、44の正常、未診断血液提供者の集団のうちの(表1の炎症遺伝子発現パネルの)7遺伝子座に関してここに示す、炎症遺伝子発現の一貫性を説明する。個々について遺伝子座を平均発現値の±標準偏差内の範囲の値で示し、正常に分布する集団の95%に対応する。信頼区間(95%)の広い幅にも関わらず、測定遺伝子発現値(ΔCT)は、際立って、関連する発現レベルに関わらず、平均の10%内に以前としてある。下記にさらに詳細に記載するように、所定の生物学的状態に関して、当該状態の指標を与えるために指数を設定できる。これは、(i)集団にわたって生物学的状態に関する遺伝子発現プロファイルの顕著な一貫性があり、及び(ii)遺伝子発現プロファイルを生じる遺伝子発現パネルにおける構成成分の実質的に再生可能な測定を提供する手順が使用できるという、2つの環境の連結の結果として、パネルの全構成成分の増幅の特異性及び効率が実質的に類似している条件及び従って生物学的状態の指標を与える条件の下で可能である。従って、図17Aの代表的な構成成分の発現値の関数は炎症指数値を生じるために使用し、該指数値は1の読み込みが図17Aの右側部分に示すように、健康被験体の構成成分発現値に対応するように標準化する。
【0136】
図17Bにおいて、炎症指数値は42の正常未診断血液提供者の集団の各構成要素について測定し、図に示す指数値の得られた分布は、比較的小さい集団サイズにも関わらず、正常分布に非常に接近していることがわかる。指数の値は、標準偏差単位において較正した中央値から逸れた0ベース中央値に関連して見られる。従って、集団の90%は0値の+1から−1の範囲にある。我々は類似の挙動を示す種々の指数を設定した。
【0137】
図17Cは図17Bと同じ指数の使用を示し、正常集団の炎症中央値はゼロに設定し、正常及び疾病被験体の両方を中央値に関連して標準偏差単位においてプロットする。炎症指数値は70個体の正常、未診断集団(黒い棒グラフ)の各構成要素について測定した。図17Cに示す、指数値の得られた分布は正常分布と非常に接近して見られる。同様に、指数値は、(1)より有効な薬物(例えば、TNF阻害物質)(斜線棒グラフ)の治療に変更しようとしている、メトトレキサート(MTX)を用いて治療した関節リウマチ患者、及び(2)より有効な薬物(例えば、MTX)の治療に変更しようとしている、MTX以外の予防維持抗リウマチ薬(DMARDS)を用いて治療した関節リウマチ患者の2つの疾病集団グループから得た個体について計算した。両集団は、正常集団と比較して上方に歪んだ(炎症の増加を示す)指数値を提示する。この図は、従って、疾病状態を評価するため、及び目的となり、定量化できる治療目標を得るための遺伝子発現プロファイルデータから得られる指数の有用性を示す。これら2つの集団を適切に治療した場合、両集団から得た指数値はより正常な分布に戻る(データはここには示さず)。
【0138】
図18は、図17Aと類似の方法で、図17Aと同じ7の遺伝子座、関節リウマチ患者の2つの異なる6被験体集団について、遺伝子発現プロファイルをプロットする。1の集団(図中、“安定”と呼ぶ)は治療によく反応する患者集団であり、もう一方の集団(図中、“不安定”と呼ぶ)は治療にあまり反応せず、その治療スケジュールを変更した患者集団である。安定集団の発現値は95%信頼区間の範囲内にあり、一方、7遺伝子座のうち5つについての不安定集団の発現値はこの範囲外であり上回る。図の右側部分は正常未診断集団を1として比較して、不安定集団が9.3の平均炎症指数及び安定集団が1.8の平均炎症指数を示す。該指数は従って、基礎となる炎症状態の範囲の指標を提供し、この場合、関節リウマチである。ゆえに、提供する生物学的状態に加えて、指数は治療の有効性を測定するため、及び治療的介入の標的を提供するために使用できる。
【0139】
図19は従って、メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しなかった、関節リウマチを患う1の被験体を評価するための炎症指数の使用を示す。この被験体の炎症指数は新しい治療(TNF阻害物質)を開始した1番右に示し、左に移動して、順番に、2週、6週、及び12週後である。指数は正常に向かって動いているのがわかり、新しい治療に反応するにつれて医師の患者の観測に一致する。
【0140】
図20は同様に、メトトレキサートを用いる従来治療にあまり反応しなかった、関節リウマチを患う3人の被験体の評価のための、新しい治療(TNF阻害物質を用いる)の開示時点、及び2週及び6週後の炎症指数の使用を示す。各ケースの指数はこの場合も一般に正常に向かって動いているのがわかり、新しい治療に反応するにつれて医師の患者の観測に一致する。
【0141】
図21−23の各図は、関節リウマチを患う、被験体の国際グループについての炎症指数を示し、被験体を治療する医師により各々は安定(すなわち、治療変更は受けないと予想される)であるとした。図21は、基準となる疾病に処置を施さずに症状を軽減することが公知のメトトレキサートを用いて治療したグループにおける10の患者それぞれについての指数を示す。図22はエンブレル(TNF阻害物質)を用いて治療したグループ中の10患者それぞれについての指数を示し、図23はレミケード(別のTNF阻害物質)を用いて治療した10患者それぞれについての指数を示す。図21の各患者の炎症指数は正常と比較して上昇しており、一方、図22では、分類としてエンブレルを用いて治療した患者はより正常に近い炎症指数を有する(正常範囲の80%)。図23において、レミケードを用いて治療した患者の一人だけ除いて全部は正常以下の炎症指数を有し、その患者のうち二人は異常に低い炎症指数を有し、この薬物に対する免疫抑制反応を示唆している。(実際に、研究により、レミケードが数人の被験体に重大な影響を伴い、ここで免疫抑制効果が定量化されることが分かった。)図23において、1の被験体は正常範囲を著しく上回る炎症指数を有する。この被験体は実際には徐々に減らしながら抗炎症ステロイド(プレドニゾン)療法もしており、炎症指数をサンプルに取った後約1週間内に、被験体は臨床症状の著しい発生を経験した。
【0142】
これらの実施例は関節炎を有する、被験体の血液の分析から得た指標を、際立って示す。炎症範囲に付随する指標を与えると、例えば、心疾患などのその他の炎症ベース状態が類似の方法で観測されることが予想できる。
【0143】
図24は、炎症性大腸炎を患う1の被験体を評価するための炎症指数の使用を示し、その治療はレミケードを用い、3回の投薬で示した。グラフは第1回の治療の直前、及び第1回の治療後24時間の炎症指数を示し、該指数は正常範囲に戻った。該指数は第2の投薬直前に上昇するが、第3の投薬前に正常範囲に戻った。さらに、生物学的状態の指標を提供することに加え、該指数は治療効果(レミケード)を測定するために使用し、及び投薬量及びスケジュールの両方に関する治療的介入のための標的を提供するために使用する。
【0144】
図25は、in vitroでイブプロフェンで治療した全血の(表1の炎症遺伝子発現パネルの)24遺伝子座に関する遺伝子発現プロファイルを、その他の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と相対的に比較して示す。イブプロフェンのプロファイルは前面である。イブプロフェン含むNSAIDの全部は、遺伝子座が類似する全域の遺伝子発現のパターンにおいて、実質的に類似のプロファイルを共有することがわかる。これらの類似性に関わらず、各個々の薬物はそれぞれ独特の徴候を有する。
【0145】
図26は2つの競合抗炎症化合物の効果がどのように客観的、定量的、正確及び再生可能に比較できるかについて示している。この例において、(表1の炎症遺伝子発現パネルの)2つの遺伝子の各パネルの発現は、全血のin vitroでの各薬物の種々の投薬量(0.08−250μg/ml)について測定される。業界大手の薬物は投薬量と炎症遺伝子反応の間の複雑な関係を示す。逆説的に言えば、投薬量が増加するにつれて、両遺伝子座の遺伝子発現は初期に降下し、それから業界大手の場合は増加する。他の化合物ついて、より反応結果が一致する場合、投薬量が増加するにつれて、両遺伝子座の遺伝子発現はより一致して減少する。
【0146】
図27から41は早期の同定及び感染病の観測における遺伝子発現パネルの使用を示す。これらの図は、全血の、指定された遺伝子の発現生成物における反応を、種々の病原菌または病原菌の生成物の投与のためにプロットする。各図において、遺伝子発現レベルは関連病原菌の投与前に全血に関して決定された基準ライン発現レベルと比較して“較正”され、該語はここに定義する。この点において、当該図は以下に引用する特許出願WO01/25473の種々の図と事実上類似している(例えば、図15)。濃度変化はレシオメトリック(ratiometrically)で示し、特定遺伝子座の基準レベル1は同じ当該遺伝子座の発現レベルに対応し、刺激物を追加する前の発現レベルとともに、病原菌またはその他の刺激を添加した後の関連時間において観測する。濃度のレシオメトリック(ratiometric)変化は対数スケールでプロットする。一本線より下の棒グラフは濃度減少を示し、一本線より上の棒グラフは濃度増加を示し、各棒グラフの大きさは変化の比の大きさを示す。我々はWO01/25473及びその他の実施例において、適当な条件下、全血を刺激に曝すことによりin vitroで得られる遺伝子発現プロファイルが対応する刺激に曝されたin vivoから得られる遺伝子発現プロファイルを表しうることを示した。
【0147】
図27は、宿主生物系における種々の最近条件を区別するために発展させた、新規な最近遺伝子発現パネルを用いる。2つの異なる刺激、リポタイコ酸(LTA)、グラム陽性細胞壁構成成分、及びリポ多糖(LPS)、グラム陰性細胞壁構成成分を用いる。刺激投与直後の最終的な濃度は100ng/mLであり、発現のレシオメトリック変化を、投与前レベルと比較して、投与後2及び6時間に各刺激について観測した。異なる発現が投与後2時間ほどで観測でき、例えば、IFNA2遺伝子座及びその他において、グラム陽性及びグラム陰性細菌間で反応を区別できることがわかる。
【0148】
図28は、化膿連鎖球菌、バシルス・ズブチリス及び黄色ブドウ球菌の3つの異なる供給源から得られるIFNGからLTAの単一の遺伝子座に関する異なる発現を示す。各刺激を濃度100ng/mLにするために投与し、投与後1、2、4、6及び24時間の反応を観測した。結果は、遺伝子発現プロファイルは異なる病原菌間を区別するために用いることができ、ここではグラム陽性細菌の異なる種を区別するために用いることができるということを示唆する。
【0149】
図29及び30は、炎症48A及び48B遺伝子座それぞれ(ぞれぞれ図6及び7に関連して上述した)の全血における黄色ブドウ球菌刺激及び大腸菌刺激投与(指定の濃度、投与直後はそれぞれ107及び106CFU/mL)に対する反応を示し、投与前基準ラインと比較して投与2時間後に観測した。図は注入2時間後内の細菌感染の存在に反応した多くの遺伝子座を示す。
【0150】
図31及び32はそれぞれ図29及び30に対応し、投与6時間後に観測を行う以外はこれに類似する。より多くの遺伝子座が感染の存在に反応する。IL2などの種々の遺伝子座は2つの病原菌間を区別する発現レベルを示す。
【0151】
図33は大腸菌刺激の投与(投与直後の濃度は106CFU/mL)及び大腸菌細菌生成物を含むが大腸菌細菌を含まない大腸菌ろ過の刺激投与に対する炎症48A遺伝子座の反応を示す。反応を投与2、6及び24時間後に観測した。例えば、大腸菌及び大腸菌ろ過に対する遺伝子座IL1B、IL18及びCSF3の長期にわたる反応は異なる。
【0152】
図34は図33に類似するが、ここでの比較反応は大腸菌ろ過のみ及びリポポリ多糖(LPS)に結合することが知られる抗生物質である、ポリミキシンBを加えた大腸菌ろ過からの刺激である。IL1Bの反応の試験は、例えば、ポリミキシンBの存在が大腸菌ろ過に対する遺伝子座の反応に影響を与えなかったことを示し、その結果、LPSは大腸菌ろ過に対するIL1Bの反応の原因とはならないことを示す。
【0153】
図35は黄色ブドウ球菌の刺激(投与直後の濃度は107CFU/mL)に対する全血の長時間にわたる炎症48A遺伝子座の反応を示し、投与2、6及び24時間後に観測した。長期にわたる反応は発現変化の方向及び大きさの両方を伴うことができる。(例えば、IL5及びIL18を参照。)
図36及び37は、大腸菌からの刺激(投与直後の濃度は106及び102CFU/mL)及び黄色ブドウ球菌からの刺激(投与直後の濃度は107及び102CFU/mL)に対して6時間に観測した、それぞれ炎症48A及び48B遺伝子座の反応を示す。とりわけ、B7(図36)、TACI、PLA2G7及びC1QA(図37)などの種々の遺伝子座において、大腸菌は黄色ブドウ球菌よりもかなり目立った反応を生じる。該データは遺伝子発現プロファイルはグラム陰性細菌の存在を高感度で同定するために用いることができ、グラム陽性細菌に対して区別するために用いることができることを強く示唆している。
【0154】
図38及び39は、高濃度の黄色ブドウ球菌及び大腸菌(各々の濃度は投与直後107及び106CFU/mL)に対するそれぞれ炎症48B及び48A遺伝子座の反応を示し、投与2、6及び24時間後に観測した。多くの遺伝子座での長期にわたる反応は大きさ及び方向の変化を伴う。図40は図39に類似しているが、炎症48B遺伝子座の反応を示す。
【0155】
図41は同様に、投与24時間後に観測した炎症48A遺伝子座の高濃度の黄色ブドウ球菌及び大腸菌刺激(各々の濃度は投与直後107及び106CFU/mL)に対するそれぞれの反応を示す。図20及び21の場合、GRO1及びGRO2などのいくつかの遺伝子座での反応は感染のタイプ間を区別する。
【0156】
これらのデータは、ここに記載するように十分な精度及び較正を含む遺伝子発現プロファイルが(1)公知の生物学的状態を有する個体の小集団を決定でき;(2)治療に対する患者の反応を観測するために使用でき;(3)治療の効果及び安全性を評価するために使用でき;及び(4)治療を調節することにより患者の医療管理を導き、基準値またはその他の所望のまたは達成できる値の標的設定に近い1以上の関連遺伝子発現プロファイルを得るために使用できるという、我々の結論をサポートするものである。我々は遺伝子発現プロファイルは、たとえ血液またはその他の組織のex vivo治療から得られる場合であっても、重要な情報を提供できるということを示した。我々はまた、末梢全血から得た遺伝子発現プロファイルは、血液に直接または通常は関連しない広範囲の状態の情報となることも示した。
【0157】
さらに、本発明の実施態様において、遺伝子発現プロファイルは病原菌の同定及び早期の同定(症状が出現する前の状態を含む)にも使用でき、例えば敗血症などである。この同定は感染及び非感染個体、細菌及びウイルス感染、病原体の特殊型、感染の自然成長段階(例えば、早期または末期)及び予後を区別することを含む。このような同定を達成するため及びこのような方法における区別を達成するための上述のアルゴリズム及び統計的手段の使用はここに記載する種々の実施態様の範囲内である。
【0158】
【表1】
【0159】
【表2】
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体から得たサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項2】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルのIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、HLA−DRB1、G6PC、GCG、GCGR、GFPT1、GYS1、HK2、INS、IRS1、PCK1、PIK3R1、PPARG、PRKCB1、SLC2A2、SLC2A4、TNF、ABCC1、ACPP、BCL2、BIRC5、CDH1、CDH2、CDKN2A、CTNNA1、FOLH1、GSTT1、HMGIY、IGF1R、KAI1、KLK2、KLK3、KRT19、KRT5、KRT8、LGALS8、MYC、NRP1、PART1、PCA3、PCANAP7、PDEF、POV1、PSCA、SERPINB5、STAT3、TERT、TP53、BAX、BSG、COL7A1、CRABP2、CTGF、DUSP1、FGF7、FN1、FOS、GADD45A、IVL、JUN、KRT14、KRT16、MAPK8、MMP1、MMP2、NR1I2、PCNA、PI3、S100A7、AHR、ALB、COL1A1、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E、CYP3A4、EPHX1、FAP、GST、GSTA1、GSTA2、GSTM1、KITLG、LGALS3、NR1I2、NI1I3、ORM1、PPARA、SCYA2、UCP2、UGT、ADAMTS1、CLDN14、ECE1、EDN1、EGR1、FLT1、GJA1、GSR、H1F1A、IGFBP3、MAPK1、NFKB1、NOS3、PLAT、PTGIS、PTX3、SELE、SERPINE1、TEK、VCAM1、ABL1、APAF1、BAD、BAK1、BCL2L1、BID、BIK、BIRC2、BIRC3、CASP1、CASP3、CASP9、CCNA2、CCNB1、CCND1、CCND3、CCNE1、cdk2、cdk4、CDKN1A、CDKN2B、CHEK1、DAD1、DFFB、FADD、K−ALPHA−1、MADD、MAP3K14、MRE11A、PDCD8、PNKP、PTEN、RAD52、RB1、SMAC、TNFRSF11A、TNFRSF12、TOSO、TRADD、TRAF1、TRAF2、VDAC1、XRCC5、TGFA、CCR1、CCR3、CCR5、CX3CR1、CXCR4、GPR9、PF4、SCYA3、SCYA5、SCYB10、SDF1、ACTB、CD34、CD44、DC13、DSG1、EDR2、ERBB2、ERBB3、ESR1、FGF18、IRF5、MDM2、MP1、N33、OXCT、PCTK1、SRP19、STAT1、TGFB3、TLX3、VWF、IFI16、IL1R1、SOD2、TLR2、TLR4、TREM1、及びCCR4から成る群より選択される任意の構成成分のうち少なくとも2つの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値がプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項3】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記プロファイル・データセットからの値を、潜在クラスモデリングを用いて導かれる指数関数に適用する工程であって、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項4】
関連集団について測定した指数関数の基準値を指数に与え、該指数が基準値に関連して解釈できるようにすることをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
基準値の提供が指数関数の構築を含み、基準値が約1となるようにする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基準値の提供が指数関数の構築を含み、基準値が約0となるようにし、0からの指数関数の偏差は標準偏差単位で表される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
関連集団が、年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
測定値がサンプルから導かれる都度、各構成成分の測定値が約3%以下の変動係数を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
パーセントで表される、全構成成分についての増幅効率が約1%の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
測定値がサンプルから導かれる都度、各構成成分の測定値が約3%以下の変動係数を有する、請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
パネルが少なくとも3つの構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
生物学的状態が糖尿病であり、構成成分のパネルがG6PC、GCG、GCGR、GFPT1、GYS1、HK2、INS、IRS1、PCK1、PIK3R1、PPARG、PRKCB1、SLC2A2、SLC2A4、TGFB1、及びTNFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
生物学的状態が前立腺の健康状態または疾病であり、構成成分のパネルがABCC1、ACPP、BCL2、BIRC5、CDH1、CDH2、CDKN2A、CTNNA1、FOLH1、GSTT1、HMGIY、HSPA1A、IGF1R、IL6、IL8、KAI1、KLK2、KLK3、KRT19、KRT5、KRT8、LGALS8、MYC、NRP1、PART1、PCA3、PCANAP7、PDEF、PLAU、POV1、PSCA、PTGS2、SERPINB5、SERPINE1、STAT3、TERT、TGFB1、TNF、TP53、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
生物学的状態が皮膚の状態であり、構成成分のパネルがBAX、BCL2、BSG、COL7A1、CRABP2、CTGF、DUSP1、FGF7、FN1、FOS、GADD45A、GRO1、HMOX1、ICAM1、IL1A、IL1B、IL8、IVL、JUN、KRT14、KRT16、KRT5、MAPK8、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、NR1I2、PCNA、PI3、PLAU、PTGS2、S100A7、TGFB1、TIMP1、TNF、TNFSF6、TP53、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
生物学的状態が肝代謝状態及び肝疾患であり、構成成分のパネルがABCC1、AHR、ALB、COL1A1、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E、CYP3A4、EPHX1、FAP、GST、GSTA1、GSTA2、GSTM1、KITLG、LGALS3、NR1I2、NR1I3、ORM1、PPARA、SCYA2、UCP2、及びUGTから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
生物学的状態が血管の状態であり、構成成分のパネルがADAMTS1、CLDN14、ECE1、EDN1、EGR1、FLT1、GJA1、GSR、H1F1A、HMOX1、ICAM1、IGFBP3、IL15、IL1B、IL8、MAPK1、NFKB1、NOS2A、NOS3、PLAT、PTGIS、PTGS2、PTX3、SELE、SERPINE1、TEK、VCAM1、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
生物学的状態が異常細胞発達であり、構成成分のパネルがABL1、APAF1、BAD、BAK1、BAX、BCL2、BCL2L1、BID、BIK、BIRC2、BIRC3、BIRC5、CASP1、CASP3、CASP9、CCNA2、CCNB1、CCND1、CCND3、CCNE1、cdk2、cdk4、CDKN1A、CDKN2B、CHEK1、DAD1、DFFB、FADD、GADD45A、K−ALPHA−1、MADD、MAP3K14、MRE11A、NFKB1、PDCD8、PNKP、PTEN、RAD52、RB1、SMAC、TERT、TNF、TNFRSF11A、TNFRSF12、TOSO、TP53、TRADD、TRAF1、TRAF2、VDAC1、及びXRCC5から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCSF3、INFG、IL1A、IL1B、IL1RN、IL2、IL4、IL5、IL6、IL10、IL13、IL15、IL18、IL18BP、TGFA、TGFB1、TNFSF5、TNFSF6、及びTNFSF13Bから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCD14、GRO1、HMOX1、ICAM1、IL1B、IL1RN、IL10、MMP9、SERPINE1、TGFB1、TIMP1、及びTNFAから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCCR1、CCR3、CCR5、CX3CR1、CXCR4、GPR9、GRO1、GRO2、IL8、PF4、SCYA2、SCYA3、SCYA5、SCYB10、及びSDF1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
生物学的状態が癌であり、構成成分のパネルがACTB、BCL2、CD19、CD34、CD44、DC13、DSG1、EDR2、ERBB2、ERBB3、ESR1、FGF18、FLT1、FOS、GRO1、IFNG、IRF5、KRT14、KRT19、KRT5、MDM2、MMP9、MP1、N33、OXCT、PCTK1、SERPINB5、SRP19、STAT1、TGFB3、TLX3、及びVWFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
生物学的状態が感染症であり、構成成分のパネルがC1QA、CASP1、CD14、CSF2、EGR1、F3、GRO2、HMOX1、HSPA1A、ICAM1、IFI16、IFNG、IL10、IL12B、IL13、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1R1、IL1RN、IL2、IL4、IL6、IL8、MMP3、MMP9、PLA2G7、PLAU、SERPINE1、SOD2、TAC1、TIMP1、TLR2、TLR4、TNF、TNFSF13B、TNFSF5、TNFSF6、VEGF、IL5、IFNA2、TREM1、SCYB10、CCR1、CCR3、CCR4、SCYA3、及びCX3CR1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
IL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項25】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも3の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、HLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも4の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも5の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも6の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも10の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
指数関数が潜在クラスモデリングを用いて導かれ、炎症の増加に関連して構成成分の発現が増加する事例、及び炎症の増加に関連して構成成分の発現が減少する事例において、指数関数が構築基準値より高い値が得られる方法で構築される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
潜在クラスモデリングを用いて導かれた指数関数が、発現レベルが炎症範囲に相関して決定される範囲に従って、パネル中の構成成分の発現値を測るように構築される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のプロファイル・データセットに用いるRNA構成成分の一部の測定を第1の時点及び第1の測定箇所で行い、前記第1のプロファイル・データセットから得た値を第2の時点及び第2の測定箇所に適用し、前記第1のプロファイル・データセットに用いたRNA構成成分の一部の測定に関連するデータをネットワーク上で第2の時点及び第2の測定箇所に連絡し、第2の測定箇所において第1のプロファイル・データセットから得た値の適用を可能にする、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
指数関数中の各変数は、プロファイル・データセットの構成要素の関数である、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
関数が該構成要素の加重された乗数である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
乗数が整数であり、指数関数が線形多項式となるようにする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
プロファイル・データセットがIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも3の構成要素を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
プロファイル・データセットがIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも4の構成要素を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
指数関数が1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}におおよそ比例し、括弧で囲まれた構成成分は当該構成成分の測定値を表す、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
変数Ci及びP(i)が潜在クラスモデリングを用いて決定される、請求項1、2、24のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
被験体から得たサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項2】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルのIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、HLA−DRB1、G6PC、GCG、GCGR、GFPT1、GYS1、HK2、INS、IRS1、PCK1、PIK3R1、PPARG、PRKCB1、SLC2A2、SLC2A4、TNF、ABCC1、ACPP、BCL2、BIRC5、CDH1、CDH2、CDKN2A、CTNNA1、FOLH1、GSTT1、HMGIY、IGF1R、KAI1、KLK2、KLK3、KRT19、KRT5、KRT8、LGALS8、MYC、NRP1、PART1、PCA3、PCANAP7、PDEF、POV1、PSCA、SERPINB5、STAT3、TERT、TP53、BAX、BSG、COL7A1、CRABP2、CTGF、DUSP1、FGF7、FN1、FOS、GADD45A、IVL、JUN、KRT14、KRT16、MAPK8、MMP1、MMP2、NR1I2、PCNA、PI3、S100A7、AHR、ALB、COL1A1、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E、CYP3A4、EPHX1、FAP、GST、GSTA1、GSTA2、GSTM1、KITLG、LGALS3、NR1I2、NI1I3、ORM1、PPARA、SCYA2、UCP2、UGT、ADAMTS1、CLDN14、ECE1、EDN1、EGR1、FLT1、GJA1、GSR、H1F1A、IGFBP3、MAPK1、NFKB1、NOS3、PLAT、PTGIS、PTX3、SELE、SERPINE1、TEK、VCAM1、ABL1、APAF1、BAD、BAK1、BCL2L1、BID、BIK、BIRC2、BIRC3、CASP1、CASP3、CASP9、CCNA2、CCNB1、CCND1、CCND3、CCNE1、cdk2、cdk4、CDKN1A、CDKN2B、CHEK1、DAD1、DFFB、FADD、K−ALPHA−1、MADD、MAP3K14、MRE11A、PDCD8、PNKP、PTEN、RAD52、RB1、SMAC、TNFRSF11A、TNFRSF12、TOSO、TRADD、TRAF1、TRAF2、VDAC1、XRCC5、TGFA、CCR1、CCR3、CCR5、CX3CR1、CXCR4、GPR9、PF4、SCYA3、SCYA5、SCYB10、SDF1、ACTB、CD34、CD44、DC13、DSG1、EDR2、ERBB2、ERBB3、ESR1、FGF18、IRF5、MDM2、MP1、N33、OXCT、PCTK1、SRP19、STAT1、TGFB3、TLX3、VWF、IFI16、IL1R1、SOD2、TLR2、TLR4、TREM1、及びCCR4から成る群より選択される任意の構成成分のうち少なくとも2つの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値がプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項3】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態に応じた被験体の状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
前記被験体から得たサンプルの構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記プロファイル・データセットからの値を、潜在クラスモデリングを用いて導かれる指数関数に適用する工程であって、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項4】
関連集団について測定した指数関数の基準値を指数に与え、該指数が基準値に関連して解釈できるようにすることをさらに含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
基準値の提供が指数関数の構築を含み、基準値が約1となるようにする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基準値の提供が指数関数の構築を含み、基準値が約0となるようにし、0からの指数関数の偏差は標準偏差単位で表される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
関連集団が、年齢層、性別、民族性、地理的位置、食事、内科的疾患、臨床的指標、薬剤、身体的活動、体格、及び環境暴露のうち少なくとも1の共通の性質を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
測定値がサンプルから導かれる都度、各構成成分の測定値が約3%以下の変動係数を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
パーセントで表される、全構成成分についての増幅効率が約1%の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
測定値がサンプルから導かれる都度、各構成成分の測定値が約3%以下の変動係数を有する、請求項9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
パネルが少なくとも3つの構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
生物学的状態が糖尿病であり、構成成分のパネルがG6PC、GCG、GCGR、GFPT1、GYS1、HK2、INS、IRS1、PCK1、PIK3R1、PPARG、PRKCB1、SLC2A2、SLC2A4、TGFB1、及びTNFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
生物学的状態が前立腺の健康状態または疾病であり、構成成分のパネルがABCC1、ACPP、BCL2、BIRC5、CDH1、CDH2、CDKN2A、CTNNA1、FOLH1、GSTT1、HMGIY、HSPA1A、IGF1R、IL6、IL8、KAI1、KLK2、KLK3、KRT19、KRT5、KRT8、LGALS8、MYC、NRP1、PART1、PCA3、PCANAP7、PDEF、PLAU、POV1、PSCA、PTGS2、SERPINB5、SERPINE1、STAT3、TERT、TGFB1、TNF、TP53、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
生物学的状態が皮膚の状態であり、構成成分のパネルがBAX、BCL2、BSG、COL7A1、CRABP2、CTGF、DUSP1、FGF7、FN1、FOS、GADD45A、GRO1、HMOX1、ICAM1、IL1A、IL1B、IL8、IVL、JUN、KRT14、KRT16、KRT5、MAPK8、MMP1、MMP2、MMP3、MMP9、NR1I2、PCNA、PI3、PLAU、PTGS2、S100A7、TGFB1、TIMP1、TNF、TNFSF6、TP53、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
生物学的状態が肝代謝状態及び肝疾患であり、構成成分のパネルがABCC1、AHR、ALB、COL1A1、CYP1A1、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E、CYP3A4、EPHX1、FAP、GST、GSTA1、GSTA2、GSTM1、KITLG、LGALS3、NR1I2、NR1I3、ORM1、PPARA、SCYA2、UCP2、及びUGTから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
生物学的状態が血管の状態であり、構成成分のパネルがADAMTS1、CLDN14、ECE1、EDN1、EGR1、FLT1、GJA1、GSR、H1F1A、HMOX1、ICAM1、IGFBP3、IL15、IL1B、IL8、MAPK1、NFKB1、NOS2A、NOS3、PLAT、PTGIS、PTGS2、PTX3、SELE、SERPINE1、TEK、VCAM1、及びVEGFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
生物学的状態が異常細胞発達であり、構成成分のパネルがABL1、APAF1、BAD、BAK1、BAX、BCL2、BCL2L1、BID、BIK、BIRC2、BIRC3、BIRC5、CASP1、CASP3、CASP9、CCNA2、CCNB1、CCND1、CCND3、CCNE1、cdk2、cdk4、CDKN1A、CDKN2B、CHEK1、DAD1、DFFB、FADD、GADD45A、K−ALPHA−1、MADD、MAP3K14、MRE11A、NFKB1、PDCD8、PNKP、PTEN、RAD52、RB1、SMAC、TERT、TNF、TNFRSF11A、TNFRSF12、TOSO、TP53、TRADD、TRAF1、TRAF2、VDAC1、及びXRCC5から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCSF3、INFG、IL1A、IL1B、IL1RN、IL2、IL4、IL5、IL6、IL10、IL13、IL15、IL18、IL18BP、TGFA、TGFB1、TNFSF5、TNFSF6、及びTNFSF13Bから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCD14、GRO1、HMOX1、ICAM1、IL1B、IL1RN、IL10、MMP9、SERPINE1、TGFB1、TIMP1、及びTNFAから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
生物学的状態が炎症であり、構成成分のパネルがCCR1、CCR3、CCR5、CX3CR1、CXCR4、GPR9、GRO1、GRO2、IL8、PF4、SCYA2、SCYA3、SCYA5、SCYB10、及びSDF1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
生物学的状態が癌であり、構成成分のパネルがACTB、BCL2、CD19、CD34、CD44、DC13、DSG1、EDR2、ERBB2、ERBB3、ESR1、FGF18、FLT1、FOS、GRO1、IFNG、IRF5、KRT14、KRT19、KRT5、MDM2、MMP9、MP1、N33、OXCT、PCTK1、SERPINB5、SRP19、STAT1、TGFB3、TLX3、及びVWFから成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
生物学的状態が感染症であり、構成成分のパネルがC1QA、CASP1、CD14、CSF2、EGR1、F3、GRO2、HMOX1、HSPA1A、ICAM1、IFI16、IFNG、IL10、IL12B、IL13、IL18、IL18BP、IL1A、IL1B、IL1R1、IL1RN、IL2、IL4、IL6、IL8、MMP3、MMP9、PLA2G7、PLAU、SERPINE1、SOD2、TAC1、TIMP1、TLR2、TLR4、TNF、TNFSF13B、TNFSF5、TNFSF6、VEGF、IL5、IFNA2、TREM1、SCYB10、CCR1、CCR3、CCR4、SCYA3、及びCX3CR1から成る群より選ばれる少なくとも2の構成成分を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
被験体から得た、RNAの供給元であるサンプルに基づいて、炎症で特徴付けられる生物学的状態を示す指数を与える方法であって、以下を含む、
IL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる構成成分のRNA量を測定するために増幅し、
前記構成成分の測定により前記生物学的状態の評価が可能となるように構成成分のパネルが選択され、パネル中の全構成成分の測定値が第1のプロファイル・データセットを形成する工程であって、
測定の再現性の程度が20%以上の再現条件下かつ全構成成分の増幅効率が2%以内で類似する条件下で、各構成成分の前記測定が行われる工程、
及び、前記第1のプロファイル・データセットの値を指数関数I=ΣCiMiP(i)に適用する工程であって、
ここでIは指数、Miは前記プロファイル・データセットの構成要素iの値、Ciは定数、P(i)はMiを累乗する乗数であり、全ての整数値iの合計は前記プロファイル・データセット中の構成要素数に応じ、
それにより前記生物学的状態を単一測定値で提供し、被験体における前記生物学的状態の指数を与える工程。
【請求項25】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも3の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、HLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも4の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも5の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも6の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
パネルがIL1A、IL1B、TNFA、IL6、IL8、IFNG、IL2、IL12B、IL15、IL18、IL4、IL5、IL10、IL13、IL1RN、IL18BP、TGFB1、IFNA2、GRO1、GRO2、TNFSF5、TNFSF6、CSF3、B7、CSF2、TNFSF13B、TAC1、VEGF、ICAM1、PTGS2、NOS2A、PLA2G7、HMOX1、F3、CD3Z、PTPRC、CD14、CD4、CD8A、CD19、HSPA1A、MMP3、MMP9、PLAU、SERPINE1、TIMP1、C1QA、及びHLA−DRB1から成る群より選ばれる少なくとも10の構成成分を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
指数関数が潜在クラスモデリングを用いて導かれ、炎症の増加に関連して構成成分の発現が増加する事例、及び炎症の増加に関連して構成成分の発現が減少する事例において、指数関数が構築基準値より高い値が得られる方法で構築される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
潜在クラスモデリングを用いて導かれた指数関数が、発現レベルが炎症範囲に相関して決定される範囲に従って、パネル中の構成成分の発現値を測るように構築される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のプロファイル・データセットに用いるRNA構成成分の一部の測定を第1の時点及び第1の測定箇所で行い、前記第1のプロファイル・データセットから得た値を第2の時点及び第2の測定箇所に適用し、前記第1のプロファイル・データセットに用いたRNA構成成分の一部の測定に関連するデータをネットワーク上で第2の時点及び第2の測定箇所に連絡し、第2の測定箇所において第1のプロファイル・データセットから得た値の適用を可能にする、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
指数関数中の各変数は、プロファイル・データセットの構成要素の関数である、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
関数が該構成要素の加重された乗数である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
乗数が整数であり、指数関数が線形多項式となるようにする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
プロファイル・データセットがIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも3の構成要素を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
プロファイル・データセットがIL1A、IL1B、TNF、IFNG及びIL10からなる群より選択される構成要素に対応する少なくとも4の構成要素を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
指数関数が1/4{IL1A}+1/4{IL1B}+1/4{TNF}+1/4{INFG}−1/{IL10}におおよそ比例し、括弧で囲まれた構成成分は当該構成成分の測定値を表す、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
変数Ci及びP(i)が潜在クラスモデリングを用いて決定される、請求項1、2、24のいずれかに記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2011−67214(P2011−67214A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254661(P2010−254661)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2003−542649(P2003−542649)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(500158579)ソース・プリシジョン・メディシン・インク (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【分割の表示】特願2003−542649(P2003−542649)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(500158579)ソース・プリシジョン・メディシン・インク (1)
【Fターム(参考)】
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