避妊及びホルモン補充療法用の調合製剤
【課題】避妊又はホルモン補充療法において使用し得る遅延放出性エストラジオール-プロゲステロン製剤の提供。
【解決手段】いずれか又は双方が非晶質又は多形である、コレステロールと1:1モル比で配合したエストラジオールの成形粒子がプロゲステロンと35〜75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、低溶解速度を示す調合製剤。
【解決手段】いずれか又は双方が非晶質又は多形である、コレステロールと1:1モル比で配合したエストラジオールの成形粒子がプロゲステロンと35〜75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、低溶解速度を示す調合製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月13日に出願された仮出願第60/477,939号の優先権を主張する。
本発明は、同時の避妊及びホルモン補充効果を提供し得る調合製剤(pharmaceutical formulation)に関する。本発明の製剤は、避妊有効量及びホルモン補充有効量での2種以上の天然ホルモン類及びホルモン擬態物の組合せを含む。該製剤は、約4週間以上の間隔での投与を容易にする長期又は遅延放出用に配合される。
【背景技術】
【0002】
卵巣/月経周期は、エストロンリッチの卵胞期及び排卵後のプロゲステロンリッチの黄体期に特徴を有する複雑な事象である。各々の期は、約14日間持続して、約28日間の月経間間隔をもたらす。子宮内組織は、ホルモン値の変化に応答する。
月経の発生は、新たな月経周期の開始であり、日数周期として計算する。約5〜7日間の期間中に、前の卵巣/月経周期中に増殖し発達した子宮内膜の表面層は、不受精月経周期中の黄体の消滅がプロゲステロン分泌の喪失に関連するので、剥離する。卵胞成熟は進行的に生じてエストロゲンの循環値のリスク(risc)をもたらし、引続き、新たな子宮内膜増殖に至る。
【0003】
優性卵胞は、一般に月経周期の12〜16日目の周期中期に排卵を受け、エストロゲン源優勢からプロゲステロン源(黄体)優勢に転換する。血液中で上昇中のプロゲステロン値は、増殖性子宮内膜を分泌期に変え、この期において、組織増殖は早急に弱まり、子宮内膜腺又は器官の形成に至る。排卵卵母細胞が生存して受精し、その進行的胚卵割を続けるとき、分泌性子宮内膜と受胎産物は相互作用して、受精後約6〜8日で始まる着床をもたらし得る。
進行中の妊娠が着床によって確立される場合、胚は、分泌性子宮内膜に付着してその中に潜伏し、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を産生し始める。HCGは、引続き、拡張した黄体機能を刺激する、即ち、プロゲステロン機能は上昇したままであり、月経は受精月経周期中には起こらない。その後、妊娠は確立する。
不受精月経周期においては、血液中のプロゲステロンの漸減レベルは子宮内膜組織を剥離させる。これにより、その後の月経周期を開始させる。
【0004】
子宮内膜増殖は妊娠切迫のための子宮を準備するように作動するので、子宮環境におけるホルモン類の操作により、避妊をもたらし得る。例えば、エストロゲンは、卵胞刺激ホルモン分泌をフィードバック抑制により減じることが知られている。また、ある種の環境においては、エストロゲンは、負のフィードバックにより、上記と同様に、黄体形成ホルモン分泌も抑制する。正常環境下においては、排卵前に見出される循環性エストロゲンのスパイク現象は、排卵の直前に生じて排卵をもたらす性腺刺激ホルモンの急増を誘発させる。高投与量のエストロゲンは、恐らく着床を干渉することにより、妊娠を阻止し得る。
また、プロゲスチン類も避妊をもたらし得る。内生プロゲステロンは、子宮内膜内のプロゲステロン変化並びに頚部及び腟内の細胞及び組織の周期変化に関与する。プロゲスチンの投与は、頚管粘液を濃厚に、粘り強く且つ細胞状にし、精子輸送を妨げるものと信じられている。また、プロゲスチンの投与は、黄体形成ホルモン分泌を抑制し、ヒトにおける排卵を遮断する。
【0005】
現在、市場においては、数種の一般的タイプに容易に分類し得る多くの避妊製剤が存在する。これらの第1は、モノフェイジック(単相)製剤として知られている。モノフェイジック製剤は、一定量のエストロゲンとプロゲスチンを含有する。モノフェイジック製剤ピルによる不愉快な副作用は、ピルのエストロゲンとプロゲスチン成分間のバランスによる。例えば、比較的プロゲスチン優勢のピルにおいては、製剤は、時間経過により、エストロゲン及びプロゲスチンレセプターの欠乏を生じる。その結果は、予期し得るものであって、不十分に刺激された又は萎縮性の子宮内膜であり、最終的には、貧弱な上皮形成に基づくピル無服用時(un-pill)無月経又は破綻出血もしくは月経斑点のいずれかを生じ得る。一方、比較的エストロゲン優勢の製剤においては、長期の使用は、支持されていない脆弱なストロマの発現を伴う子宮内膜増殖及びその後の月経斑点又は破綻出血を生じ得る可能性がある。
【0006】
トリフェイジック(三相(triphasic))として知られる新たな製剤は、変動量のエストロゲンとプロゲスチンを有する;殆どの場合、サイクル全体に亘ってプロゲスチンの段階的増加を伴う比較的一定量のエストロゲンからなる。このパターンのエストロゲンとプロゲスチンの投与は、パッケージ開始時に比較的エストロゲン優勢の製剤を生じ、パッケージの終了に向かってプロゲスチン形成活性の増加を伴う。子宮内膜安定性は、パッケージ開始時のエストロゲン活性が子宮内膜をパッケージ終了に向かってのプロゲスチン増大量に対して感受性にするエストロゲンレセプター及びプロゲスチンレセプターの双方を誘発させるので、これらのピルにおいてはより良好である。プロゲスチン活性は、パッケージ終了に向かっての比較的長時間のプロゲスチン暴露はエストロゲンレセプターとプロゲスチンレセプター及び活性の減少を依然としてもたらし得るけれども、より濃密でより安定な子宮内膜ストロマを産生する。
【0007】
このタイプの製剤の有意の問題は、これらのピルを薬物相互作用に対して不安定にするパッケージ開始時のステロイド類の低投与量、或いは破綻排卵に至り得るピルののみ忘れである。パッケージの開始は、使用者が小胞発現が始まり得る7日間の無薬物期間を丁度終えるので、破綻排卵の点で臨界的な時間である。妊娠しなかった場合でさえも、破綻排卵は、貧弱なサイクル制御に至り得る。
【0008】
17-β-エストラジオール(E2)は、人類において見出される最も強力な天然エストロゲンであり、卵巣の主要な分泌産生物である。17-β-エストラジオールは体内でエストロンEに容易に酸化され、エストロンは引続きエストリオールに水和され得る。これらの形質転換は主として肝臓において生じ、そこでは、E1とエストラジオール間の自由相互交換が存在する。3種のこれら天然エストロゲンは、全て、水溶性複合体中の多数の関連微少産生物と一緒に、グルクロニド及びスルフェート類として尿中に排出される。微粉化E2の経口投与後、エストロゲンの増分的循環は主として低めの活性種E1であり、これは、E2のピーク濃度よりも何倍も高いピーク濃度に達する。E2のE1への転換及びその後の他の代謝物への転換は、腸及び肝臓への通過による吸収中に生じる。この広範囲の代謝は、天然エストロゲン類及びそのエステル類の経口有効性を著しく制限する。事実、その限られた経口有効性故に、E2及びそのエステル類は、一般に、筋肉内注射によって投与されている。
【0009】
プロゲステロン(P4)は、活性な天然プロゲスチンであり、黄体、胎盤及び副腎皮質中で生じる。E2同様に、P4も、その腸上皮内及び肝臓内での急速な代謝故に、経口投与によっては有効ではなく、従って、筋肉内投与されているのみである。
これらの限られた経口有効性のため、当該技術における研究者等は、これらの天然女性性ホルモンを経口避妊薬製剤中では望ましいものではないとみなしている。事実、研究者等は、避妊目的においては、合成エストロゲン及びプロゲスチン類の調製及び投与に絞っている。また、合成誘導体の使用は、更年期障害、切迫流産等の治療においても天然物質に置換わってきている。しかしながら、これらの合成誘導体は、比較的安全な内生ホルモン類よりも毒性副作用を生ずるであろう。
【0010】
天然ホルモン類の化学修飾は、増強された経口活性を示すものの、種々の望ましくない副作用も生じ得る。例えば、天然ホルモン類の合成誘導体は、天然性ホルモンとは対照的に、肝臓のタンパク質合成に対する有害刺激作用を有し(恐らくは、血栓を促進させて)、糖尿病誘発作用を示すことが知られている。
例えば、合成エストロゲンは、胃腸管において急速に再吸収される。合成エストロゲンは、容易に代謝されるために、小腸粘膜内に急速に吸収され、及び/又は急速な化学変化を受ける。従って、生体利用性に大きな個々人の差異が生じ得る。さらに、合成エストラジオールも、ある種の環境毒(zenobiotics)の望ましくない蓄積をもたらし得、発ガン特性を示すことが知られている。
【0011】
また、合成プロゲスチンも、例えば、男性化並びにコレステロール値、トリグリセリド値及び高密度リポタンパク質値に対する有害作用のような望ましくない副作用を示すことが知られている。合成プロゲスチン類も、体液うっ滞及びうつ病を生じ得る。
合成ホルモン避妊治療を受ける対象者に影響を与え得るさらなる望ましくない副作用は、天然ホルモン産生の低下/停止である。多くの対象者は、投与した合成ホルモン類の避妊効果による排卵の停止に由来する望ましくないホルモン不均衡も示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、避妊効果のみならずホルモン補充効果ももたらす有効量で投与し得る内生ホルモン類を含む調合製剤が速急に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、持続性薬剤系により、生物体内で長期の寿命を有する天然ホルモン類を投与する手段を提供する。天然ホルモン類の投与は負のフィードバック効果を促進させると同時に、抑制された内生ホルモン類の補充ももたらす。
【0014】
本発明は、避妊有効量及びホルモン補充有効量の天然ホルモン類又はホルモン擬態物の組合せを含む同時の避妊及びホルモン補充目的の調合製剤を提供する。好ましくは、上記製剤は、少なくとも1種のエストロゲンと少なくとも1種のプロゲスチンを含む。さらにより好ましくは、上記製剤は、天然産ホルモン類の17-β-エストラジオール(E2)とプロゲステロン(P4)を含む。
有効量のE2とP4を投与することにより、本発明の製剤は、経口活性合成ホルモン類を配合した避妊薬に一般的に関連する望ましくない副作用のない有効且つ信頼し得る避妊を提供する。さらに、上記調合製剤は長期の溶解プロフィールを形成するように配合するので、上記ホルモン類は、高平均滞留時間を有し、天然ホルモン類の伝統的な短い半減期の欠点を回避する。なかんずく、本発明の製剤は、米国特許第5360616号に開示された方法に従って調製し、米国特許第6528094 B1号に開示された方法に従って結晶化する;両米国特許は、参考として本明細書に合体させる。
【0015】
本発明の製剤は、有効なホルモン補充利益を提供する。上記製剤は天然産ホルモン類を配合するので、これらの製剤の投与は、他方で生殖年齢の雌性哺乳類において産生される天然産ホルモン類を再生又は補充するように作用する。経口活性の合成ホルモン類からなる通常の避妊薬は、そのようなホルモン補充利益をもたらさない。
【0016】
本発明の製剤のエストロゲン及びプロゲスチン剤は、製剤中に、避妊有効量及びホルモン補充有効量で存在する。単位投与量基準で、本発明の製剤は、約5〜約15mgの17-β-エストラジオール及び/又は約200〜約500 mgのプロゲステロンを含む。とりわけ好ましい実施態様は、単位投与量当り約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。即ち、17-β-エストラジオール及びプロゲステロンの“避妊有効量及びホルモン補充有効量”なる用語は、哺乳類、とりわけヒト女性に関する場合、17-β-エストラジオールとプロゲステロンを約1:40の質量比で含む製剤を意味する。好ましくは、該質量比は、約9:400である。用語“単位投与量”とは、少なくとも1回の完全月経周期に亘って1対象者において避妊とホルモン補充療法の双方を行うのに十分な量を称する。
【0017】
1つの実施態様においては、上記調合製剤は、17-β-エストラジオールとプロゲステロンの少なくとも1つを含む複数のミクロスフィアを含み、これらのミクロスフィアを投与用の水性ビヒクル中に懸濁させる。(本明細書において使用するとき、用語ミクロスフィアは、マイクロ粒子、マイクロカプセル、リポソーム類等を含む)。好ましくは、上記ミクロスフィア中のエストラジオール及びプロゲステロンは、結晶形である。
【0018】
本発明のさらなる局面によれば、上記調合製剤は、エストロゲン及び/又はプロゲスチンのミクロスフィアを含む水性調製物である。上記ミクロスフィアは、好ましくは直径で約25μm〜約105μm、より好ましくは約35Φm〜約75Φmである。上記ミクロスフィアは、好ましくは、他の薬剤、担体及び賦形剤と一緒に配合して、上記製剤が皮下注射器による非経口投与に適するようにする。
本発明のさらなる局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果を、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む調合製剤を対象者に投与することによって達成し得る。そのような投与の対象者は、好ましくは、本明細書においては“繁殖雌性”とも称する生殖年齢の雌性哺乳類である。
【0019】
本発明のもう1つの局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果のための方法は、対象者に、17-β-エストラジオール及びプロゲステロンの少なくとも1つのミクロスフィアを含む調合製剤を投与することを含む。好ましくは、上記製剤は、液体ビヒクル中の上記ミクロスフィアの分散液又は懸濁液である。17-β-エストラジオールとプロゲステロンは、上記製剤中に、避妊有効量及びホルモン補充有効量で存在する。ヒト女性の場合、17-β-エストラジオールの有効量は約9 mgであり、プロゲステロンの有効量は約400 mgである。
【0020】
本発明のさらなる局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果方法は、エストロゲン/プロゲスチン調合製剤を対象者に非経口投与することを含む。好ましくは、上記製剤は、筋肉内注射によって投与する。本発明の調合製剤は、その介入期間中に避妊又はホルモン補充効果の損失なしで、およそ4週間の間隔で有効に投与し得る遅延又は長時間放出製剤である。
本発明の製剤は、保存、輸送又は投与のために種々の剤形に配合し得る。上記製剤は、ミクロスフィア、粉末、混合物、懸濁液又はゲルとして配合し得る。本発明の製剤のエストロゲン/プロゲスチン剤を非経口投与用の水性ビヒクル中のミクロスフィアの分散液として配合する場合、その粒度は、好ましくは約25μm〜約105μm、より好ましくは約35μm〜約75μmである。
【0021】
本発明のさらなる局面は、避妊及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む調合製剤を含むキットを提供する。好ましくは、該キットは、ミクロスフィアを含む製剤を含み、該ミクロスフィアは17-β-エストラジオールとプロゲステロンの少なくとも1つを含み、上記製剤は約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンの使用により、その使用が通常の合成ホルモン含有避妊製剤に一般的に関連する望ましくない副作用を実質的に最小限に又は排除し得る点で、重要な利益を達成する。さらに、有効量のこれらの内生ホルモン類を使用することにより、本発明は、その使用が対象者に平均の自然月間産生量と等価の天然ホルモン類を提供し、それによって望ましくないホルモン不均衡を回避し得る点で、もう1つの重要な利益を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】算術尺度でのエストラジオール平均血漿プロフィールのプロットを示すグラフである。
【図2】算術尺度でのプロゲステロン血漿プロフィールのプロットを示すグラフである。
【図3A】結晶化前の(40:60)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのX線回折図である。
【図3B】結晶化後の(40:60)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのX線回折図である。
【図4】米国特許第6,528,094 B1号の方法に従う固体状結晶化後の(60:40)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの溶解プロフィールを示すグラフである。
【図5】結晶化方法A (実施例2)及び結晶化方法B (実施例3)によって製造した(1:1)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図6】方法Bに従って製造した(1:1)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのDSCを示す。
【図7】避妊臨床試験において使用し、結晶化方法Bに従って製造したときのエストラジオール(E);並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図8】結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図9】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図10】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図11】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生FSHの時間の関数としてのFSH血漿プロフィールを示すグラフである。
【図12】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生FSHの時間の関数としてのFSH血漿プロフィールを示すグラフである。
【図13】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生LHの時間の関数としての黄体形成ホルモン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図14】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生LHの時間の関数としての黄体形成ホルモン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図15】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(3:1)とプロゲステロン、及びエストラジオールとプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生エストラジオールの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図16】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生エストラジオールの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図17】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオールとプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(3:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生プロゲステロンの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図18】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生プロゲステロンの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図19】結晶化方法A、B及びCにより製造したときの(1:1)エストラジオール-コレステロールの各ミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図20】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフィアのDSCである。
【図21】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフィアのX線回折図である。
【図22】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフロール(1:1)のミクロスフィアのX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明においては、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを、対象者に、合成ホルモン避妊療法に一般的に関連する望ましくない副作用を実質的に最小限に及び/又は排除する制御された方法で投与する。さらに、本発明は、これらの天然ホルモン類をその平均自然月間産生量と等価のレベルで提供する。
本明細書において使用するときの用語“17-β-エストラジオール”は、下記の式を有する17-β-エストラジオール、即ち、エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17-β-ジオール自体の任意の製薬上許容し得るエストロゲン活性形又はそのエステルを包含する。
【化1】
【0025】
17-β-エストラジオールは、天然源から入手し得あるいは合成的に製造し得る。本発明の目的において、適切な17-β-エストラジオールのエステルとしては、例えば、エストラジオールベンゾエート及びエストラジオール3-アセテートのような3-モノエステル類;エストラジオールシポネート、エストラジオール17-プロピオネート、エストラジオール17-アセテート、エストラジオール17-ヘプタノエート(エナント酸エストラジオール)、エストラジオール17-ウンデカノエート(ウンデシレン酸エストラジオール)及びエストラジオール17-バル-エレートのような17-モノエステル類;エストラジオールジプロピオネート及びエストラジオールジアセテートのような3,17-ジエステル類等;並びにこれらの組合せがある。
【0026】
本明細書において使用するときの用語“プロゲステロン”は、プレグン-4-エン-3,20-ジオン、即ち、下記の式の化合物を称し、天然源由来のプロゲステロン並びに合成的に製造したプロゲステロンを包含するものとする。
【化2】
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、上記調合製剤は、エストロゲン(例えば、17-β-エストラジオール(E2))とプロゲスチン(例えば、プロゲステロン(P4))を避妊有効量及びホルモン補充有効量で含むミクロスフィアの水性懸濁液を含む。個々のミクロスフィアは、エストロゲン又はプロゲスチンの1つ又は双方を含有し得る。各ミクロスフィア中にE2及びP4の双方が存在する又は存在しないの如何にかかわらず、各々は、製剤中に、避妊及びホルモン補充効果を得る有効量で存在する。即ち、E2とP4が単一のミクロスフィア中に一緒に存在しない場合でさえも、E2とP4は、各々、製剤中に有効量で存在する。
さらに、そのような実施態様のミクロスフィアは、コレステロールのようなさらなる内生ステロイド類を含み得る。
【0028】
上記さらなる内生ステロイド類は、好ましくは、上記エストロゲン/プロゲスチン剤に対して不活性であり、血液のような生物学的流体中で実質的に低減された溶解性を有する。そのように調合する場合、コレステロール/エストロゲン/プロゲスチンミクロスフィアは、エストロゲン/プロゲスチン剤を上記比較的不活性なステロイド全体に亘って均一に分布するような方法で配合して、これらの薬剤の溶解が遅延されるにもかかわらず、連続し且つ実質的に定常であるようにする。好ましくは、上記不活性ステロイド並びにエストロゲンとプロゲスチンは、ミクロスフィア中で結晶形にある。以下でさらに十分に説明するように、上記各活性剤の実質的に定常な溶解速度は、そのようにして、延長期間に亘って上記各活性剤の制御放出を容易にする。好ましくは、上記延長期間は、少なくとも1回の完全月経周期であり、ヒト女性の場合は、少なくとも約4週間である。
【0029】
本発明の各実施態様においては、E2及びP4の避妊有効量及びホルモン補充有効量は、同時の避妊及びホルモン補充効果を与えるのに適する量である。とりわけ、避妊効果に関しては、E2とP4の有効量は、視床下部に対して作用するのに十分で且つ正常卵巣機能を維持するのに必要な性腺刺激ホルモンの遊離を抑制するように対象者の下垂体を処置する量である。
さらに、E2とP4のホルモン補充有効量は、内生産生が排卵の停止により低下し及び/又は排除されるこれらホルモン類の自然供給と実質的に置換わるに十分な量である。
本発明の好ましい実施態様においては、E2及びP4の避妊有効量及びホルモン補充有効量は、ヒト女性における所望効果を得るのに適する量であり、単位投与量基準で、約5 mg〜約15 mgのエストラジオール及び約300 mg〜約500 mgのプロゲステロンである。より好ましい実施態様は、約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。
【0030】
本発明の製剤は、制御され、予測し得且つ再現性ある製剤中に含有させたホルモン類の投与をもたらすホルモン含有ミクロスフィアを含む。該ミクロスフィアの各種物理化学特性は、ホルモン類の制御放出を達成するのに重要である。とりわけ、該ミクロスフィアの溶解性、粒度及び多形組成は、放出速度に対して実質的な効果を有する。例えば、ミクロスフィアの直径が大きいほど、ホルモン値が検出し得ない値に達するのに長時間を要する。本発明においては、上記ミクロスフィアの直径は、好ましくは約25μm〜約125μm、より好ましくは約35μm〜約105μm、最も好ましくは約35μm約75μmである。
【0031】
天然ホルモン類E2及びP4は経口投与したときに代謝的に分解することが知られているので、本発明の製剤は、好ましくは、非経口投与、とりわけ筋肉内注射によって対象者に投与する。本発明の方法においては、その目的は、自然レベルのE2とP4を供給することにより、避妊効果を得ると同時にホルモン補充効果も得ることである。さらに、本発明の調合製剤及び方法は、約28日∀3日の健常月間月経周期の確立を促進させる。好ましい実施態様においては、本発明の製剤は、例えば、18〜20ゲージ皮下注射針のような適切な注射手段を使用して月基準で注射することによって、対象者に投与する。
【0032】
本発明の好ましい調合製剤は、長時間又は遅延放出製剤中に配合した避妊有効量及びホルモン補充有効量のエストロゲン及びプロゲスチンを含む。そのような遅延放出製剤は、投与部位の生物学的液体中で低減された溶解性を有する担体、賦形剤又はバインダーと一緒に配合したエストロゲン及びプロゲスチンを含み得る。例えば、そのような遅延放出製剤は、上記エストロゲン及びプロゲスチンをコレステロールのような天然産ステロイドと一緒にミクロスフィア中に配合したミクロスフィアを含み得る。コレステロールは、エストロゲン類及びプロゲスチン類と比較したとき、血液のような生物学的流体中で実質的に低い溶解性を有し、それによって、それら活性剤の溶解性を低下させ、さらにそれによってそれら活性剤の血液流中への放出を遅延させる。そのような遅延放出ミクロスフィア製剤の製造において有益であり得るさらなる情報は、米国特許第5,360,616号、第5,512,303号、第5,633,014号、第5,643,604号及び第6,287,693号において見出され、これら米国特許の各々は、参考として本明細書に合体させる。
【0033】
少なくとも1つの好ましい実施態様においては、本発明の遅延放出製剤は、エストロゲン及びプロゲスチンを十分に且つコレステロール担体中に均一に混合することによって製造する。該エストロゲン/プロゲスチン/コレステロール混合物は、溶融凝結し及び/又は押出加工するか、或いは所望粒度及び形状の複数の粒子に加工して、米国特許第6,287,693号に開示されているような固体状結晶化に供し得る。該693号米国特許は、固体状結晶化方法を開示しており、混合多形物の組成物を所望の粒度と形状に成形し、その後、粒子を高雰囲気濃度の1種以上の溶媒を含む環境に暴露させることにより、粒子の粒度/形状特性を喪失させることなくそれぞれの構成成分の各々の最も安定な多形に結晶化させている。得られる成形結晶性粒子は、貯蔵安定性である、即ち、これらの粒子は、所望の粒度/形状特性を喪失させることなく、乾燥固形物又は粉末として或いは水性ビヒクル中の懸濁液として包装し、長期間(例えば、少なくとも約1ヶ月)保存し得る。上記固体状結晶化方法は高純度及び安定性を与えるので、本発明の粒子は、さらなる賦形剤、緩衝剤、安定剤、防腐剤及び殺生剤の有無にかかわらず製造し得る。
【0034】
所望の粒度と形状を製造する上記能力は、この能力により一貫した即ち一様に均一な粒度と形状が確保され、ひいては、投与の容易性(例えば、皮下用シリンジによる)並びに活性剤(1種以上)の制御された且つ予測可能な放出及び溶解を確保する手段を提供するので、とりわけ有利である。とりわけ好ましい実施態様においては、上記粒子は、ミクロスフィアである。
即ち、本発明のもう1つの好ましい実施態様は、水性ビヒクル中の懸濁液に複数のミクロスフィアを含む遅延放出製剤を含み、該ミクロスフィアは、17-β-エストラジオール、プロゲステロン及びコレステロールを含み、上記製剤は、約1:40の質量比の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む。
【0035】
本発明の製剤は、任意の通常の投与経路によって投与し得る。好ましい投与経路は非経口投与であり、より好ましい経路は筋肉内(IM)注射による。非経口投与によって投与する場合、好ましいのは、製剤を溶液中の又は懸濁液のような混合物としてのいずれかの流体として配合することである。好ましくは、上記製剤は、水性ビヒクル中の懸濁液として上述したミクロスフィアを含む。
必要に応じて、上記製剤は、後で担体と混合し投与するための粉末として配合し得る。そのような実施態様においては、調合製剤を包装し、キットの1部として商業化し得る。そのようなキットは、(1) 賦形剤、添加剤、緩衝剤、防腐剤等と組合せた活性剤を含む粉末;(2) 必要に応じて緩衝剤、防腐剤及び/又は殺生剤を含む単位又は複数回投与量の液体担体;及び(3) 皮下用シリンジ、好ましくは約18又は20ゲージシリンジのような注入装置の単位又は複数回投与量を含む。
【0036】
本発明の製剤の投与におけるさらにもう1つの選択枝は、経皮伝達である。薬物の経皮伝達は、粒子をガス又は他の手段によって加速させて皮膚に通すパーティクルガン(biolistic)法によるような粉末の注入のような種々の手段によって実施し得る。そのような方法の例は、“Needleless syringe using supersonic gas flow for particle delivery”と題する米国特許第6,168,587号及び“Drug Particle Delivery”と題する米国特許第6,475,181号に開示されており、これらの米国特許は、双方とも参考として本明細書に合体させる。
同様な経皮伝達は、皮膚に長期間適用する接着性パッチによるようにしてより受動的に達成し得る。そのようなパッチは、例えば、本明細書に参考として合体させる“Solid matrix system for transdermal drug delivery”と題する米国特許第6,149,935号に記載されている。
【0037】
本発明の調合製剤は、霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ又はネズミ生物体のような任意の哺乳動物生物体に有効に投与し得る。好ましくは、対象者は霊長類生物体であり、さらにより好ましくは、ヒト女性である。異なる哺乳類用の製剤において使用する特定のエストロゲン及びプロゲスチンは、その量と同様に、変り得ることを理解されたい。
本発明のミクロスフィア含有製剤は、任意の適切な方法を使用して製造し得る。1つの好ましい実施態様においては、ミクロスフィアは、E2及び/又はP4を加熱し、次いで、急冷してミクロスフィアが十分に結晶化するようにすることによって製造する。結晶化の後、カプセルを、濾過により、粒度基準で収集し得る。
【0038】
一般に、大きめの粒度のミクロスフィアは、ホルモン類の最高濃度を低下させ、その濃度に達するのに要する時間を短縮する。さらに、大きめの粒度のミクロスフィアは、ホルモン吸収半減期を延長する。
本発明のさらなる局面によれば、避妊/ホルモン補充療法において使用するキットが提供される。該キットは、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含む本発明に従う調合製剤を含み得る。該キットは、製剤が滅菌粉末形のミクロスフィアとして調製されている場合、製剤を均質懸濁液として再構成するための水性ビヒクルを含む滅菌アンプルのような1種以上のさらなる成分をさらに含み得る。さらに、該キットは、例えば、筋肉内注射用の18及び/又は20ゲージ針を有するシリンジのような、製剤を投与するための手段も含み得る。
【0039】
本発明の組成物は、以下のプロトコールに従って調製し投与し得るように意図する。9 mgのE2/400 mgのP4を含むミクロスフィア製剤は、ミクロスフィアが約35Φm〜約75Φm、好ましくは約39Φm〜約52Φmの粒度範囲である滅菌粉末として製造する。ある種の好ましい実施態様においては、該粉末は、単位投与量シリンジ内に乾式包装する。好ましいのは、筋肉内注射用の約18又は20ゲージ針のシリンジである。これらのシリンジは、好ましくは、気密滅菌包装において包装し、約15EC〜約30ECで周囲条件下に保存する。
包装前粉末製剤は、水性ビヒクル中に懸濁させ得る。好ましい実施態様においては、水性ビヒクルは、3.0 mlの水性ビヒクルを含有する滅菌アンプルから採取する。ミクロスフィアを懸濁させるのに使用する好ましい水性ビヒクルは、下記からなる。
【0040】
メチルパラベンNF 4.11 mg
プロピルパラベンNF 0.45 mg
マンニトールNF 144 mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、USP、低粘度 2.25 mg
ポリソルベート80 NF 0.60 mg
注射用水USP 3.00 mg
当業者であれば、そのような水性ビヒクルの組成及び相対濃度は本発明にとって臨界的ではなく、従って、その双方は本発明の利点又は有用性を実質的に変化又は低下させることなく変更し得ることを理解されたい。
【0041】
再構成は、均質な懸濁液が得られるまで激しく撹拌することによって実施し得る。得られた懸濁液は、好ましくは、深い筋肉内注射により、例えば、臀部領域内に投与する。1回目投与量は、最近の月経の開始から最初の5日内で投与すべきである。その後の投与量は、28∀3日間のスケジュールで投与すべきである。容易さ及び快適性のためには、後の投与量は、交互の臀部領域に投与し得る。
また、本発明のプロゲステロン/エストラジオール調合製剤は、遅延放出エストラジオール製剤を製造するように配合し得る。
【0042】
プロゲステロンのミクロスフィア及びエストラジオールとコレステロールとのミクロスフィアを含む調合製剤は、信頼し得る避妊効果を生じていた。下記の実施例1、試験品Bを参照されたい。エストラジオール含有非経口避妊製剤の認識されている欠点は、水溶液中でのその高溶解性である。エストラジオール含有ミクロスフィアは、製造後処理又はミクロスフィアの調質(tempering)により調製し得る。即ち、ミクロスフィアを先ず所望の粒度及び形状に成形し、制御された雰囲気内での処理又は調質工程に供し、次いで、乾燥及び/又は回収する。上記処理により、ECミクロスフィアは、約20%以下、好ましくは約15%以下の水溶液中での24時間に亘ってのエストラジオール溶解速度を有する。より好ましい実施態様は、約10%以下の溶解速度を与え;さらに好ましいのは、約6%以下のエストラジオール溶解速度を有するミクロスフィアである。
エストラジオール溶解速度(EDR)は、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度である。
【0043】
低EDRを有する粒子の調製は、極めて低濃度のエストラジオールを含有するホルモン補充療法(HRT)用の調合製剤の製造を容易にする。そのような低エストラジオール濃度組成物は、閉経期の最初の5年間においてHRTの必要な患者に良好に適する。さらに、低EDRを有する製剤は、少なめ又は頻度の低い投与クールを含む治療処方を容易にする。本発明の製剤は、低頻度で、月毎又は1月おきに投与し得ることを意図する。
そのような低エストラジオール溶解速度を示す粒子のX線回折試験は、該粒子が非晶質及び結晶質成分の双方を含む半結晶性組成を有する分子凝集体であることを示唆している。低EDR組成物は、エストラジオールが約45%〜約65%の非晶質成分と約35%〜約55%の結晶質成分とからなる組成物である。好ましくは、上記粒子は、約50〜60%の非晶質成分と約40〜50%の結晶質成分である。より好ましくは、上記粒子は、約55%の非晶質成分と約45%の結晶質成分である。これらの低EDR組成物は、好ましくは、1:1モル比のエストラジオール:コレステロールの混合物から調製する。
【0044】
何ら理論又は科学的原理によって拘束することは望まないが、出願人等は、溶解性の低下及び低めの溶解プロフィールは、分子凝集体又は分子複合体内の非晶質成分と結晶質成分の配向に起因していると信じている。即ち、粒子の外表面積が、エストラジオール分子が該分子の主として疎水性部分を溶媒に向かって配向しそれによって粒子を水中で実質的に不溶性にするような非晶質成分から主としてなることを意図する。
遅延放出性エストラジオール粒子は、エストラジオールとコレステロールを1:1モル比で配合し、該組成物を所望の粒度と形状を有する粒子として製造し、これらの粒子を溶媒飽和雰囲気に昇温下に長時間供し、その後、粒子を昇温下に乾燥させることによって調製し得る。1つの実施態様においては、製造した粒子を、上記溶媒飽和雰囲気に暴露させる前に、低相対湿度(RH)の雰囲気に約12時間以上暴露させる。好ましくは、粒子は、ミクロスフィアとして調製する。
【0045】
約15%以下のEDRを有するミクロスフィアは、1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ;該粒子を約25%相対湿度(RH)以下の雰囲気に少なくとも約12時間暴露し;該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約50℃〜約65℃で少なくとも約48時間暴露し;該粒子を約35℃〜約50℃で約24時間以上乾燥させ;そして、該粒子を回収することによって調製し得る;回収粒子からのEDRは、24時間で約15%(質量)未満である。
【0046】
さらに好ましくは、上記方法は、エストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ;該粒子を低RHの雰囲気に約24時間暴露し;該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約60℃で約72時間暴露し、該粒子を約45℃で約42時間乾燥させ、そして、該粒子を回収することを含み、水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約6%(質量)未満である。
上記雰囲気を飽和させるアセトンと水の相対濃度は、それぞれ、約65モル%〜約80モル%及び約20モル%〜約35モル%である。好ましくは、上記相対濃度は、約70モル%〜約75モル%のアセトン及び約25モル%〜約30モル%の水である。最も好ましくは、上記2つの成分の濃度は、約72モル%のアセトン及び約28モル%の水である。上記低相対湿度環境は、約25%RH以下、好ましくは約20%以下である。
【0047】
また、約20%以下のEDRを有する粒子は、アセトン/水含有雰囲気及びエタノール/水含有雰囲気への連続暴露によっても調製し得る。該方法は、(a) 約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ、(b) 該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露し、(c) 工程(b)を少なくとも1回、好ましくは2回繰返し、(d) 該粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露し;(e) 該粒子を乾燥させ、そして、(f) 該粒子を回収することを含み、水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約20%(質量)未満である。
好ましい実施態様においては、粒子を、アセトン/水混合物の蒸気に、約20℃〜40℃で少なくとも約12時間の約2回〜約5回の連続工程において暴露する。好ましくは、アセトン/水工程は、約30℃で約24時間に亘る3回連続工程において実施する。
【0048】
アセトン/水混合物の相対濃度は、上述したとおりであり;エタノール/水混合物は、約95モル%〜約99モル%のエタノール及び約5モル%〜約1モル%の水の相対濃度である。粒子は、約40℃〜約50℃、好ましくは約45℃で約24時間以上、好ましくは約36時間乾燥させ得る。この場合及び上述の乾燥工程は、真空下又は空気中で実施し得る。
さらに好ましくは、上記の別法は、約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ、該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約24時間の3回連続工程において約30℃で暴露し、該粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に約30℃で約2時間暴露し、該粒子を約45℃で約42時間乾燥させ、そして、該粒子を回収することを含み;水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約20%(質量)未満である。
【0049】
本発明の方法は、約20%(質量)未満のEDRを有するエストラジオールとコレステロールのミクロスフィアを製造する手段を提供する。好ましい実施態様は、約15%以下、より好ましくは約6%以下のEDRを有する。本発明のミクロスフィアのエストラジオールは、約50〜60%が非晶質であり約40〜50%が結晶性である半結晶又は複合形である。好ましい実施態様は、エストラジオールが約55%の非晶質及び約45%の結晶性である実施態様である。
【0050】
上述の方法の低EDRエストラジオール/コレステロール粒子は、プロゲステロンと組合せて、月毎又はそれより少ない頻度で投与し得る低投与量エストラジオール製剤とし得る。例えば、本発明は、約1:1モル比でコレステロールと混合した約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約400 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオールとプロゲステロンの質量比が約1:40であり;17-β-エストラジオールが、約50〜60%の非晶質及び約40〜40%の結晶質である半結晶形からなる調合製剤を提供し、該製剤のEDRは約20%以下である。該調合製剤は、プロゲスチン、好ましくはプロゲステロンの粒子と組合せたエストラジオール/コレステロールの粒子から調製し得る。粒子は、好ましくは、ミクロスフィアである。粒子は、潤滑剤、緩衝剤、安定剤等のような添加剤及び賦形剤もさらに含み得る。さらに、粒子は、非経口投与用の担体中に懸濁させ得る。これらの製剤は、避妊効果を有し、さらに、月1回又は1月おきでさえの非経口投与を含むホルモン補充療法において有効に使用し得る。好ましくは、上記製剤は、筋肉内注射によって投与する。
さらなる説明なしで、当業者であれば、上述の説明及び以下の例示としての実施例を使用して、本発明の製剤を製造し、使用して、特許請求する方法を実施し得るものと信じている。従って、以下の実施例は、本発明の製造及び使用のための好ましい実施態様及び方法を例示するものであり、如何なる形でも上記開示の残余を限定するものと解釈すべきでない。
【0051】
実施例1
プロゲステロンミクロスフィアとエストラジオールミクロスフィアの、さらに異なるエストラジオール対コレステロール比のミクロスフィアの種々の組合せの生体利用性を評価するウサギでの薬物動態試験
この試験は、プロゲステロン(P)及び17-β-エストラジオール(E)を含有する試験品の薬物動態プロフィールを評価することが目的である。前向き及び比較試験をニュージーランド雄ウサギにおいて行った。試験品は、米国特許第5,360,616号に記載された下記の方法により製造し米国特許第6,528,094 B1号に従って結晶化した、プロゲステロンのミクロスフィア+エストラジオール(E)又はエストラジオールコレステロール(EC)のミクロスフィアの上述の水性ビヒクルを使用した水性懸濁液からなっていた。評価した試験品は、下記のとおりである:
【0052】
【0053】
各水性懸濁液を筋肉内(IM)注射方式で投与した。各ウサギは、133 mgのプロゲステロンと3 mgのエストラジオールを受けた。血液サンプルを、時間0(投与前);1、2、4及び9時間;2〜14日目の毎日;並びに14〜28日目の隔日で採取した。得られたサンプルをプロゲステロン及びエストラジオールについてラジオイムノアッセイ(RIA)によりアッセイした。
【0054】
血漿プロフィールから、次の薬物動態パラメーターを算出した:無限大までの曲線の下領域(AUC INF)、最後のサンプリング時間までの曲線の下領域(ABC0 t)、最高血漿濃度(Cmax)、Cmaxに達する時間(Tmax)、半減期(t2)、排出定数(Ke)及び平均滞留時間(MRT)。これらの結果を、何らかの可能性ある群間の差異を評価する目的で、統計的に解析した。
エストラジオールについて算出した各パラメーターの比較に関しては、下記の表に示すように、解析は群間でこれらのパラメーターにおいて何ら可能性ある統計的有意差(p<0.05)の証拠を示さなかったものの、 (1:1) EC ME (試験品B)におけるMRTは、下記の表に見られるように、Eミクロスフィア(試験品A)におけるよりもほぼ2倍長かったので、群間のMRTの差異は存在している。
【0055】
【0056】
プロゲステロンについて算出した各パラメーターの比較に関しては、算出パラメーターにおいて変動は観察されたものの、統計的有意差(p<0.05)は、群間で見出せなかった。
図解分析
評価した4種の試験品におけるエストラジオール及びプロゲステロンの平均血漿プロフィールを図1及び図2に示している。エストラジオール及びプロゲステロンにおける結果によれば、統計解析は群間の差異の証拠を示さなかったものの、血漿プロフィールの図解分析(図1参照)は、異なる挙動を示していた。このことは、小さいサンプルサイズに起因し得る。
【0057】
実施例2(比較例)
49%の17-β-エストラジオールと51%のコレステロールの混合物のミクロスフィア
この比較例は、米国特許第6,528,094 B1号(参考として本明細書に合体させている)の実施例7に従う粒子の製造法(本明細書においては、“結晶化方法A”とも称する)と同類である。エストラジオール/コレステロールミクロスフィアをプロゲステロンミクロスフィアと混合して上記実施例1の試験品Bの調合製剤を製造した。
この混合物のミクロスフィアは、各成分を一緒に溶融することによって得られ、純粋物質に関しては、液滴としてスプレーし、ミクロスフィアに凝結させた。ミクロスフィアは、当初、高非晶質含有量を示した。
【0058】
ミクロスフィアを約7リットルの容器に入れ、多孔質セルロース材料中に保持させた8 mLのエタノールの蒸気に30℃で24時間暴露したとき、最初非晶質のミクロスフィアは、上記の蒸気の存在において完全に結晶化した。
ミクロスフィアを真空中で24時間60℃にて乾燥させたところ、ミクロスフィア中に存在する残留エタノールは、0.01%未満であった。
【0059】
上記ミクロスフィアの安定性を評価するため、非結晶化ミクロスフィア(溶融凝結のみ)と本発明に従うミクロスフィアを40℃の水溶液に別々に入れ、82日後に光学顕微鏡により観察した。光学顕微鏡により観察したとき、本発明に従って結晶化させたミクロスフィアは、水中に入れた時間に亘って安定なままであったが、これに対し、非結晶化ミクロスフィアは安定ではなかった。
得られた結晶化ミクロスフィアは、40℃のUSP精製水中の0.01%ポリソルベート80溶液中に入れたときは82日間、また、これらミクロスフィアをウサギに筋肉内注射したときは14日間形態学的に安定であった。
図3は、EC (40:60)ミクロスフィアの結晶化前及び後のX線回折図を示し;図4は、相応する溶解プロフィール示す(即ち、74%のエストラジオールが0.3% Tween 80R水溶液中にて24時間で溶解した)。
【0060】
実施例3
24時間で20%溶解を示すEC MEのための改変結晶化方法(“結晶化方法B”)
エストラジオール-コレステロール(1:1)ミクロスフィアを、上記の実施例2におけるようにして製造した。高非晶質含有量を有するミクロスフィアをアセトンと水の蒸気(95モル%アセトン、5モル%水)に、3回連続24時間工程において30℃で暴露した。各工程間で、密封容器を開放し、内容物を風乾させ、残留溶媒を除去し、その後、エストラジオールミクロスフィアを次の蒸気暴露工程に供した。
その後、粒子を、真空(約413Pa (約12.2 in. Hg))下に42時間45℃で加熱した(乾燥させた)。
得られた粒子は、約20%の平均EDRを生じていた。図5参照。
【0061】
実施例4
エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの超低溶解性のための結晶化方法(“結晶化方法C”)
エストラジオール-コレステロールミクロスフィアを実施例2の方法に従って製造した。粒子を低相対湿度下に24時間保存した。その後、粒子を、アセトンと水の蒸気(72モル%アセトン/28モル%水)に60℃で72時間暴露した。その後、粒子を45℃で42時間加熱した(乾燥のため)。
得られた粒子は、標準温度及び圧力において、0.3%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で、24時間で平均約5%のエストラジオール溶解性を有していた。
図19は、実施例2及び3の方法により得られた粒子と比較した本実施例の粒子の溶解プロフィールを示している。
図20は、本実施例から得られた粒子のDSCプロフィールを示している。
図21及び22は、実施例4から得られた粒子のX線回折図である。
【0062】
本発明を特定の実施態様に関連して説明してきたが、本出願は、特許請求の精神及び範囲を逸脱することなく当業者によってなし得る種々の変更及び置換にも及ぶものとする。
【0063】
本発明の態様として、以下のものがある。
1.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子を約25%RH以下の雰囲気に少なくとも約12時間暴露させる工程、
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に少なくとも約48時間約50℃〜約65℃で暴露させる工程、
(d) 前記粒子を約35℃〜約50℃で約24時間以上乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約15%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
2.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項1記載の方法。
3.前記EDRが、約10%未満である、請求項1記載の方法。
4.前記EDRが、約6%未満である、請求項1記載の方法。
5.前記アセトン/水雰囲気が、約72モル%のアセトン及び約20モル%の水である、請求項1記載の方法。
6.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子を約25%RH以下の雰囲気に少なくとも約24時間暴露させる工程、
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約72時間約60℃で暴露させる工程、
(d) 前記粒子を約45℃で約42時間乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約6%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0064】
7.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
8.回収粒子中のエストラジオールが、約55%非晶質と約45%結晶質である半結晶性17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
9.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程、
(c) 工程(b)を繰返す工程、
(d) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程、
(e) 前記粒子を乾燥させる工程、及び、
(f) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約20%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0065】
10.前記アセトンと水の混合物が、約95モル%のアセトン及び約10モル%の水である、上記9記載の方法。
11.前記エタノールと水の混合物が、約95モル%のエタノール及び約5モル%の水である、上記9記載の方法。
12.工程(b)を約24時間に亘って実施し、工程(c)を2回実施する、上記9記載の方法。
13.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約24時間の3回連続工程において約30℃で暴露させる工程、
(c) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に約2時間約30℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を約45℃で約42時間乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが、約18%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0066】
14.前記アセトンと水の混合物が、約95モル%のアセトン及び約5モル%の水である、上記13記載の方法。
15.前記エタノールと水の混合物が、約95モル%のエタノール及び約5モル%の水である、上記13記載の方法。
16.約1:1のモル比でコレステロールと混合した約5〜約15 mgの17-β-エストラジオール及び約200〜約500 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約1:40であり;17-β-エストラジオールが約50〜60%の非晶質及び約40〜50%の結晶性である半結晶形からなり;製剤のEDRが約20%以下であることを特徴とする調合製剤。
【0067】
17.前記17-β-エストラジオールが、約55%の非晶質及び約45%の結晶質である半結晶形からなる、上記16記載の調合製剤。
18.前記EDRが、約6%以下である、上記16記載の調合製剤。
19.前記エストラジオール/コレステロール混合物及びプロゲステロンが、約35〜約75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、上記16記載の調合製剤。
20.約6%以下のEDRを有する約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールのミクロスフィア。
【0068】
21.図22と実質的に同じX線結晶解析スペクトルを有する、上記20記載のミクロスフィア。
22.前記エストラジオールが、約50〜60%が非晶質であり、約40〜50%が結晶質である半結晶形からなる、上記20記載のミクロスフィア。
23.前記エストラジオールが、約55%の非晶質及び約45%の結晶質である半結晶形である、上記20記載のミクロスフィア。
24.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、上記20記載のミクロスフィア。
25.雌性哺乳類に、約1:1モル比の17-β-エストラジオールとコレステロールの粒子及びプロゲステロンの粒子を含み、17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約1:40であり、17-β-エストラジオールが約50〜60%非晶質で約40〜50%結晶性である調合製剤を投与することを特徴とする、雌性哺乳類における同時の避妊及びホルモン補充療法の実施方法。
【0069】
26.前記調合製剤が、約10%以下のEDRを有する、上記25記載の方法。
27.前記調合製剤が、約6%以下のEDRを有する、上記25記載の方法。
28.前記調合製剤が、約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約500 mgのプロゲステロンを含む、上記25記載の方法。
29.前記調合製剤の17-β-エストラジオールが、約55%非晶質で約45%結晶質である、上記25記載の方法。
30.投与が筋肉内注射による、上記25記載の方法。
31.前記製剤を、月に約1回又はそれより少ない頻度で投与する、上記25記載の方法。
32.前記製剤を、1月おきに約1回投与する、上記25記載の方法。
33.前記哺乳類がヒトである、上記25記載の方法。
【0070】
34.避妊有効量及びホルモン補充有効量の約1:40質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されていることを特徴とする調合製剤。
35.17-β-エストラジオール:プロゲステロンの質量比が、9:400である、上記34記載の製剤。
36.17-β-エストラジオールとコレステロールが1:1のモル比でミクロスフィア中に配合され、プロゲステロンが独立ミクロスフィア中に別個に配合されている、上記34記載の製剤。
【0071】
37.記各ミクロスフィアが、約25μm〜約105μmの直径を有する、上記36記載の製剤。
38.同時の避妊及びホルモン補充治療を必要とする哺乳類に、約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約500 mgのプロゲステロンを含む調合製剤を投与することを特徴とする、同時の避妊及びホルモン補充方法。
39.前記調合製剤の投与を、約1ヶ月で繰返す、上記38記載の方法。
40.前記調合製剤を筋肉内注射によって投与する、上記38記載の方法。
41.前記哺乳類がヒトである、上記38記載の方法。
【0072】
42.前記製剤が、17-β-エストラジオールとコレステロールから本質的になるミクロスフィアと、プロゲステロンから本質的になるミクロスフィアとの水性懸濁液を含む、上記38記載の方法。
43.前記17-β-エストラジオールとコレステロールが約1:1のモル比にあり、17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約9:400である、上記42記載の方法。
44.哺乳類に、17-β-エストラジオールとコレステロールから本質的になる粒子と、プロゲステロンから本質的になる粒子とを含み、17-β-エストラジオールとプロゲステロンが約1:40の質量比にある調合製剤を投与することを特徴とする、同時の避妊及びホルモン補充方法。
45.前記調合製剤の投与を、対象者の約1回の完全月経周期後に繰返す、上記44記載の方法。
【0073】
46.前記調合製剤を筋肉内注射によって投与する、上記44記載の方法。
47.前記哺乳類がヒトであり、前記製剤の投与を約1ヶ月で繰返す、上記44記載の方法。
48.前記粒子が、約35μm〜約75μmの直径を有するミクロスフィアである、上記44記載の方法。
49.調合製剤を含み、該製剤が、(1) コレステロールと一緒に複数のミクロスフィアとして配合した避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンの単位投与量を含む滅菌パッケージ;及び(2) 非経口投与用の前記ミクロスフィアを懸濁させるための水性ビヒクルを含む滅菌パッケージを含むことを特徴とするキット。
50.前記17-β-エストラジオールの有効量が、約9 mgである、上記49記載のキット。
51.前記プロゲステロンの有効量が、約400 mgである、上記49記載のキット。
52.前記製剤を非経口投与するための手段をさらに含む、上記49記載のキット。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月13日に出願された仮出願第60/477,939号の優先権を主張する。
本発明は、同時の避妊及びホルモン補充効果を提供し得る調合製剤(pharmaceutical formulation)に関する。本発明の製剤は、避妊有効量及びホルモン補充有効量での2種以上の天然ホルモン類及びホルモン擬態物の組合せを含む。該製剤は、約4週間以上の間隔での投与を容易にする長期又は遅延放出用に配合される。
【背景技術】
【0002】
卵巣/月経周期は、エストロンリッチの卵胞期及び排卵後のプロゲステロンリッチの黄体期に特徴を有する複雑な事象である。各々の期は、約14日間持続して、約28日間の月経間間隔をもたらす。子宮内組織は、ホルモン値の変化に応答する。
月経の発生は、新たな月経周期の開始であり、日数周期として計算する。約5〜7日間の期間中に、前の卵巣/月経周期中に増殖し発達した子宮内膜の表面層は、不受精月経周期中の黄体の消滅がプロゲステロン分泌の喪失に関連するので、剥離する。卵胞成熟は進行的に生じてエストロゲンの循環値のリスク(risc)をもたらし、引続き、新たな子宮内膜増殖に至る。
【0003】
優性卵胞は、一般に月経周期の12〜16日目の周期中期に排卵を受け、エストロゲン源優勢からプロゲステロン源(黄体)優勢に転換する。血液中で上昇中のプロゲステロン値は、増殖性子宮内膜を分泌期に変え、この期において、組織増殖は早急に弱まり、子宮内膜腺又は器官の形成に至る。排卵卵母細胞が生存して受精し、その進行的胚卵割を続けるとき、分泌性子宮内膜と受胎産物は相互作用して、受精後約6〜8日で始まる着床をもたらし得る。
進行中の妊娠が着床によって確立される場合、胚は、分泌性子宮内膜に付着してその中に潜伏し、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)を産生し始める。HCGは、引続き、拡張した黄体機能を刺激する、即ち、プロゲステロン機能は上昇したままであり、月経は受精月経周期中には起こらない。その後、妊娠は確立する。
不受精月経周期においては、血液中のプロゲステロンの漸減レベルは子宮内膜組織を剥離させる。これにより、その後の月経周期を開始させる。
【0004】
子宮内膜増殖は妊娠切迫のための子宮を準備するように作動するので、子宮環境におけるホルモン類の操作により、避妊をもたらし得る。例えば、エストロゲンは、卵胞刺激ホルモン分泌をフィードバック抑制により減じることが知られている。また、ある種の環境においては、エストロゲンは、負のフィードバックにより、上記と同様に、黄体形成ホルモン分泌も抑制する。正常環境下においては、排卵前に見出される循環性エストロゲンのスパイク現象は、排卵の直前に生じて排卵をもたらす性腺刺激ホルモンの急増を誘発させる。高投与量のエストロゲンは、恐らく着床を干渉することにより、妊娠を阻止し得る。
また、プロゲスチン類も避妊をもたらし得る。内生プロゲステロンは、子宮内膜内のプロゲステロン変化並びに頚部及び腟内の細胞及び組織の周期変化に関与する。プロゲスチンの投与は、頚管粘液を濃厚に、粘り強く且つ細胞状にし、精子輸送を妨げるものと信じられている。また、プロゲスチンの投与は、黄体形成ホルモン分泌を抑制し、ヒトにおける排卵を遮断する。
【0005】
現在、市場においては、数種の一般的タイプに容易に分類し得る多くの避妊製剤が存在する。これらの第1は、モノフェイジック(単相)製剤として知られている。モノフェイジック製剤は、一定量のエストロゲンとプロゲスチンを含有する。モノフェイジック製剤ピルによる不愉快な副作用は、ピルのエストロゲンとプロゲスチン成分間のバランスによる。例えば、比較的プロゲスチン優勢のピルにおいては、製剤は、時間経過により、エストロゲン及びプロゲスチンレセプターの欠乏を生じる。その結果は、予期し得るものであって、不十分に刺激された又は萎縮性の子宮内膜であり、最終的には、貧弱な上皮形成に基づくピル無服用時(un-pill)無月経又は破綻出血もしくは月経斑点のいずれかを生じ得る。一方、比較的エストロゲン優勢の製剤においては、長期の使用は、支持されていない脆弱なストロマの発現を伴う子宮内膜増殖及びその後の月経斑点又は破綻出血を生じ得る可能性がある。
【0006】
トリフェイジック(三相(triphasic))として知られる新たな製剤は、変動量のエストロゲンとプロゲスチンを有する;殆どの場合、サイクル全体に亘ってプロゲスチンの段階的増加を伴う比較的一定量のエストロゲンからなる。このパターンのエストロゲンとプロゲスチンの投与は、パッケージ開始時に比較的エストロゲン優勢の製剤を生じ、パッケージの終了に向かってプロゲスチン形成活性の増加を伴う。子宮内膜安定性は、パッケージ開始時のエストロゲン活性が子宮内膜をパッケージ終了に向かってのプロゲスチン増大量に対して感受性にするエストロゲンレセプター及びプロゲスチンレセプターの双方を誘発させるので、これらのピルにおいてはより良好である。プロゲスチン活性は、パッケージ終了に向かっての比較的長時間のプロゲスチン暴露はエストロゲンレセプターとプロゲスチンレセプター及び活性の減少を依然としてもたらし得るけれども、より濃密でより安定な子宮内膜ストロマを産生する。
【0007】
このタイプの製剤の有意の問題は、これらのピルを薬物相互作用に対して不安定にするパッケージ開始時のステロイド類の低投与量、或いは破綻排卵に至り得るピルののみ忘れである。パッケージの開始は、使用者が小胞発現が始まり得る7日間の無薬物期間を丁度終えるので、破綻排卵の点で臨界的な時間である。妊娠しなかった場合でさえも、破綻排卵は、貧弱なサイクル制御に至り得る。
【0008】
17-β-エストラジオール(E2)は、人類において見出される最も強力な天然エストロゲンであり、卵巣の主要な分泌産生物である。17-β-エストラジオールは体内でエストロンEに容易に酸化され、エストロンは引続きエストリオールに水和され得る。これらの形質転換は主として肝臓において生じ、そこでは、E1とエストラジオール間の自由相互交換が存在する。3種のこれら天然エストロゲンは、全て、水溶性複合体中の多数の関連微少産生物と一緒に、グルクロニド及びスルフェート類として尿中に排出される。微粉化E2の経口投与後、エストロゲンの増分的循環は主として低めの活性種E1であり、これは、E2のピーク濃度よりも何倍も高いピーク濃度に達する。E2のE1への転換及びその後の他の代謝物への転換は、腸及び肝臓への通過による吸収中に生じる。この広範囲の代謝は、天然エストロゲン類及びそのエステル類の経口有効性を著しく制限する。事実、その限られた経口有効性故に、E2及びそのエステル類は、一般に、筋肉内注射によって投与されている。
【0009】
プロゲステロン(P4)は、活性な天然プロゲスチンであり、黄体、胎盤及び副腎皮質中で生じる。E2同様に、P4も、その腸上皮内及び肝臓内での急速な代謝故に、経口投与によっては有効ではなく、従って、筋肉内投与されているのみである。
これらの限られた経口有効性のため、当該技術における研究者等は、これらの天然女性性ホルモンを経口避妊薬製剤中では望ましいものではないとみなしている。事実、研究者等は、避妊目的においては、合成エストロゲン及びプロゲスチン類の調製及び投与に絞っている。また、合成誘導体の使用は、更年期障害、切迫流産等の治療においても天然物質に置換わってきている。しかしながら、これらの合成誘導体は、比較的安全な内生ホルモン類よりも毒性副作用を生ずるであろう。
【0010】
天然ホルモン類の化学修飾は、増強された経口活性を示すものの、種々の望ましくない副作用も生じ得る。例えば、天然ホルモン類の合成誘導体は、天然性ホルモンとは対照的に、肝臓のタンパク質合成に対する有害刺激作用を有し(恐らくは、血栓を促進させて)、糖尿病誘発作用を示すことが知られている。
例えば、合成エストロゲンは、胃腸管において急速に再吸収される。合成エストロゲンは、容易に代謝されるために、小腸粘膜内に急速に吸収され、及び/又は急速な化学変化を受ける。従って、生体利用性に大きな個々人の差異が生じ得る。さらに、合成エストラジオールも、ある種の環境毒(zenobiotics)の望ましくない蓄積をもたらし得、発ガン特性を示すことが知られている。
【0011】
また、合成プロゲスチンも、例えば、男性化並びにコレステロール値、トリグリセリド値及び高密度リポタンパク質値に対する有害作用のような望ましくない副作用を示すことが知られている。合成プロゲスチン類も、体液うっ滞及びうつ病を生じ得る。
合成ホルモン避妊治療を受ける対象者に影響を与え得るさらなる望ましくない副作用は、天然ホルモン産生の低下/停止である。多くの対象者は、投与した合成ホルモン類の避妊効果による排卵の停止に由来する望ましくないホルモン不均衡も示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、避妊効果のみならずホルモン補充効果ももたらす有効量で投与し得る内生ホルモン類を含む調合製剤が速急に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、持続性薬剤系により、生物体内で長期の寿命を有する天然ホルモン類を投与する手段を提供する。天然ホルモン類の投与は負のフィードバック効果を促進させると同時に、抑制された内生ホルモン類の補充ももたらす。
【0014】
本発明は、避妊有効量及びホルモン補充有効量の天然ホルモン類又はホルモン擬態物の組合せを含む同時の避妊及びホルモン補充目的の調合製剤を提供する。好ましくは、上記製剤は、少なくとも1種のエストロゲンと少なくとも1種のプロゲスチンを含む。さらにより好ましくは、上記製剤は、天然産ホルモン類の17-β-エストラジオール(E2)とプロゲステロン(P4)を含む。
有効量のE2とP4を投与することにより、本発明の製剤は、経口活性合成ホルモン類を配合した避妊薬に一般的に関連する望ましくない副作用のない有効且つ信頼し得る避妊を提供する。さらに、上記調合製剤は長期の溶解プロフィールを形成するように配合するので、上記ホルモン類は、高平均滞留時間を有し、天然ホルモン類の伝統的な短い半減期の欠点を回避する。なかんずく、本発明の製剤は、米国特許第5360616号に開示された方法に従って調製し、米国特許第6528094 B1号に開示された方法に従って結晶化する;両米国特許は、参考として本明細書に合体させる。
【0015】
本発明の製剤は、有効なホルモン補充利益を提供する。上記製剤は天然産ホルモン類を配合するので、これらの製剤の投与は、他方で生殖年齢の雌性哺乳類において産生される天然産ホルモン類を再生又は補充するように作用する。経口活性の合成ホルモン類からなる通常の避妊薬は、そのようなホルモン補充利益をもたらさない。
【0016】
本発明の製剤のエストロゲン及びプロゲスチン剤は、製剤中に、避妊有効量及びホルモン補充有効量で存在する。単位投与量基準で、本発明の製剤は、約5〜約15mgの17-β-エストラジオール及び/又は約200〜約500 mgのプロゲステロンを含む。とりわけ好ましい実施態様は、単位投与量当り約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。即ち、17-β-エストラジオール及びプロゲステロンの“避妊有効量及びホルモン補充有効量”なる用語は、哺乳類、とりわけヒト女性に関する場合、17-β-エストラジオールとプロゲステロンを約1:40の質量比で含む製剤を意味する。好ましくは、該質量比は、約9:400である。用語“単位投与量”とは、少なくとも1回の完全月経周期に亘って1対象者において避妊とホルモン補充療法の双方を行うのに十分な量を称する。
【0017】
1つの実施態様においては、上記調合製剤は、17-β-エストラジオールとプロゲステロンの少なくとも1つを含む複数のミクロスフィアを含み、これらのミクロスフィアを投与用の水性ビヒクル中に懸濁させる。(本明細書において使用するとき、用語ミクロスフィアは、マイクロ粒子、マイクロカプセル、リポソーム類等を含む)。好ましくは、上記ミクロスフィア中のエストラジオール及びプロゲステロンは、結晶形である。
【0018】
本発明のさらなる局面によれば、上記調合製剤は、エストロゲン及び/又はプロゲスチンのミクロスフィアを含む水性調製物である。上記ミクロスフィアは、好ましくは直径で約25μm〜約105μm、より好ましくは約35Φm〜約75Φmである。上記ミクロスフィアは、好ましくは、他の薬剤、担体及び賦形剤と一緒に配合して、上記製剤が皮下注射器による非経口投与に適するようにする。
本発明のさらなる局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果を、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む調合製剤を対象者に投与することによって達成し得る。そのような投与の対象者は、好ましくは、本明細書においては“繁殖雌性”とも称する生殖年齢の雌性哺乳類である。
【0019】
本発明のもう1つの局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果のための方法は、対象者に、17-β-エストラジオール及びプロゲステロンの少なくとも1つのミクロスフィアを含む調合製剤を投与することを含む。好ましくは、上記製剤は、液体ビヒクル中の上記ミクロスフィアの分散液又は懸濁液である。17-β-エストラジオールとプロゲステロンは、上記製剤中に、避妊有効量及びホルモン補充有効量で存在する。ヒト女性の場合、17-β-エストラジオールの有効量は約9 mgであり、プロゲステロンの有効量は約400 mgである。
【0020】
本発明のさらなる局面によれば、同時の避妊及びホルモン補充効果方法は、エストロゲン/プロゲスチン調合製剤を対象者に非経口投与することを含む。好ましくは、上記製剤は、筋肉内注射によって投与する。本発明の調合製剤は、その介入期間中に避妊又はホルモン補充効果の損失なしで、およそ4週間の間隔で有効に投与し得る遅延又は長時間放出製剤である。
本発明の製剤は、保存、輸送又は投与のために種々の剤形に配合し得る。上記製剤は、ミクロスフィア、粉末、混合物、懸濁液又はゲルとして配合し得る。本発明の製剤のエストロゲン/プロゲスチン剤を非経口投与用の水性ビヒクル中のミクロスフィアの分散液として配合する場合、その粒度は、好ましくは約25μm〜約105μm、より好ましくは約35μm〜約75μmである。
【0021】
本発明のさらなる局面は、避妊及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む調合製剤を含むキットを提供する。好ましくは、該キットは、ミクロスフィアを含む製剤を含み、該ミクロスフィアは17-β-エストラジオールとプロゲステロンの少なくとも1つを含み、上記製剤は約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンの使用により、その使用が通常の合成ホルモン含有避妊製剤に一般的に関連する望ましくない副作用を実質的に最小限に又は排除し得る点で、重要な利益を達成する。さらに、有効量のこれらの内生ホルモン類を使用することにより、本発明は、その使用が対象者に平均の自然月間産生量と等価の天然ホルモン類を提供し、それによって望ましくないホルモン不均衡を回避し得る点で、もう1つの重要な利益を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】算術尺度でのエストラジオール平均血漿プロフィールのプロットを示すグラフである。
【図2】算術尺度でのプロゲステロン血漿プロフィールのプロットを示すグラフである。
【図3A】結晶化前の(40:60)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのX線回折図である。
【図3B】結晶化後の(40:60)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのX線回折図である。
【図4】米国特許第6,528,094 B1号の方法に従う固体状結晶化後の(60:40)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの溶解プロフィールを示すグラフである。
【図5】結晶化方法A (実施例2)及び結晶化方法B (実施例3)によって製造した(1:1)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図6】方法Bに従って製造した(1:1)エストラジオール-コレステロールミクロスフィアのDSCを示す。
【図7】避妊臨床試験において使用し、結晶化方法Bに従って製造したときのエストラジオール(E);並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図8】結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図9】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図10】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール(E)並びにエストラジオール-コレステロール(1:1)、(1:2)及び(1:3)の各ミクロスフィアの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図11】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生FSHの時間の関数としてのFSH血漿プロフィールを示すグラフである。
【図12】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生FSHの時間の関数としてのFSH血漿プロフィールを示すグラフである。
【図13】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生LHの時間の関数としての黄体形成ホルモン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図14】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンのミクロスフィア対内生LHの時間の関数としての黄体形成ホルモン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図15】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(3:1)とプロゲステロン、及びエストラジオールとプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生エストラジオールの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図16】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生エストラジオールの時間の関数としてのエストラジオール血漿プロフィールを示すグラフである。
【図17】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオールとプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(3:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生プロゲステロンの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図18】投与量エストラジオール9 mg及びプロゲステロン400 mg、及び結晶化方法Bに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)とプロゲステロン、及びエストラジオール-コレステロール(2:1)とプロゲステロンの各ミクロスフィア対内生プロゲステロンの時間の関数としてのプロゲステロン血漿プロフィールを示すグラフである。
【図19】結晶化方法A、B及びCにより製造したときの(1:1)エストラジオール-コレステロールの各ミクロスフィアの比較溶解プロフィールを示すグラフである。
【図20】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフィアのDSCである。
【図21】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフィアのX線回折図である。
【図22】方法Cに従って製造したエストラジオール-コレステロール(1:1)のミクロスフロール(1:1)のミクロスフィアのX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明においては、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを、対象者に、合成ホルモン避妊療法に一般的に関連する望ましくない副作用を実質的に最小限に及び/又は排除する制御された方法で投与する。さらに、本発明は、これらの天然ホルモン類をその平均自然月間産生量と等価のレベルで提供する。
本明細書において使用するときの用語“17-β-エストラジオール”は、下記の式を有する17-β-エストラジオール、即ち、エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17-β-ジオール自体の任意の製薬上許容し得るエストロゲン活性形又はそのエステルを包含する。
【化1】
【0025】
17-β-エストラジオールは、天然源から入手し得あるいは合成的に製造し得る。本発明の目的において、適切な17-β-エストラジオールのエステルとしては、例えば、エストラジオールベンゾエート及びエストラジオール3-アセテートのような3-モノエステル類;エストラジオールシポネート、エストラジオール17-プロピオネート、エストラジオール17-アセテート、エストラジオール17-ヘプタノエート(エナント酸エストラジオール)、エストラジオール17-ウンデカノエート(ウンデシレン酸エストラジオール)及びエストラジオール17-バル-エレートのような17-モノエステル類;エストラジオールジプロピオネート及びエストラジオールジアセテートのような3,17-ジエステル類等;並びにこれらの組合せがある。
【0026】
本明細書において使用するときの用語“プロゲステロン”は、プレグン-4-エン-3,20-ジオン、即ち、下記の式の化合物を称し、天然源由来のプロゲステロン並びに合成的に製造したプロゲステロンを包含するものとする。
【化2】
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、上記調合製剤は、エストロゲン(例えば、17-β-エストラジオール(E2))とプロゲスチン(例えば、プロゲステロン(P4))を避妊有効量及びホルモン補充有効量で含むミクロスフィアの水性懸濁液を含む。個々のミクロスフィアは、エストロゲン又はプロゲスチンの1つ又は双方を含有し得る。各ミクロスフィア中にE2及びP4の双方が存在する又は存在しないの如何にかかわらず、各々は、製剤中に、避妊及びホルモン補充効果を得る有効量で存在する。即ち、E2とP4が単一のミクロスフィア中に一緒に存在しない場合でさえも、E2とP4は、各々、製剤中に有効量で存在する。
さらに、そのような実施態様のミクロスフィアは、コレステロールのようなさらなる内生ステロイド類を含み得る。
【0028】
上記さらなる内生ステロイド類は、好ましくは、上記エストロゲン/プロゲスチン剤に対して不活性であり、血液のような生物学的流体中で実質的に低減された溶解性を有する。そのように調合する場合、コレステロール/エストロゲン/プロゲスチンミクロスフィアは、エストロゲン/プロゲスチン剤を上記比較的不活性なステロイド全体に亘って均一に分布するような方法で配合して、これらの薬剤の溶解が遅延されるにもかかわらず、連続し且つ実質的に定常であるようにする。好ましくは、上記不活性ステロイド並びにエストロゲンとプロゲスチンは、ミクロスフィア中で結晶形にある。以下でさらに十分に説明するように、上記各活性剤の実質的に定常な溶解速度は、そのようにして、延長期間に亘って上記各活性剤の制御放出を容易にする。好ましくは、上記延長期間は、少なくとも1回の完全月経周期であり、ヒト女性の場合は、少なくとも約4週間である。
【0029】
本発明の各実施態様においては、E2及びP4の避妊有効量及びホルモン補充有効量は、同時の避妊及びホルモン補充効果を与えるのに適する量である。とりわけ、避妊効果に関しては、E2とP4の有効量は、視床下部に対して作用するのに十分で且つ正常卵巣機能を維持するのに必要な性腺刺激ホルモンの遊離を抑制するように対象者の下垂体を処置する量である。
さらに、E2とP4のホルモン補充有効量は、内生産生が排卵の停止により低下し及び/又は排除されるこれらホルモン類の自然供給と実質的に置換わるに十分な量である。
本発明の好ましい実施態様においては、E2及びP4の避妊有効量及びホルモン補充有効量は、ヒト女性における所望効果を得るのに適する量であり、単位投与量基準で、約5 mg〜約15 mgのエストラジオール及び約300 mg〜約500 mgのプロゲステロンである。より好ましい実施態様は、約9 mgの17-β-エストラジオールと約400 mgのプロゲステロンを含む。
【0030】
本発明の製剤は、制御され、予測し得且つ再現性ある製剤中に含有させたホルモン類の投与をもたらすホルモン含有ミクロスフィアを含む。該ミクロスフィアの各種物理化学特性は、ホルモン類の制御放出を達成するのに重要である。とりわけ、該ミクロスフィアの溶解性、粒度及び多形組成は、放出速度に対して実質的な効果を有する。例えば、ミクロスフィアの直径が大きいほど、ホルモン値が検出し得ない値に達するのに長時間を要する。本発明においては、上記ミクロスフィアの直径は、好ましくは約25μm〜約125μm、より好ましくは約35μm〜約105μm、最も好ましくは約35μm約75μmである。
【0031】
天然ホルモン類E2及びP4は経口投与したときに代謝的に分解することが知られているので、本発明の製剤は、好ましくは、非経口投与、とりわけ筋肉内注射によって対象者に投与する。本発明の方法においては、その目的は、自然レベルのE2とP4を供給することにより、避妊効果を得ると同時にホルモン補充効果も得ることである。さらに、本発明の調合製剤及び方法は、約28日∀3日の健常月間月経周期の確立を促進させる。好ましい実施態様においては、本発明の製剤は、例えば、18〜20ゲージ皮下注射針のような適切な注射手段を使用して月基準で注射することによって、対象者に投与する。
【0032】
本発明の好ましい調合製剤は、長時間又は遅延放出製剤中に配合した避妊有効量及びホルモン補充有効量のエストロゲン及びプロゲスチンを含む。そのような遅延放出製剤は、投与部位の生物学的液体中で低減された溶解性を有する担体、賦形剤又はバインダーと一緒に配合したエストロゲン及びプロゲスチンを含み得る。例えば、そのような遅延放出製剤は、上記エストロゲン及びプロゲスチンをコレステロールのような天然産ステロイドと一緒にミクロスフィア中に配合したミクロスフィアを含み得る。コレステロールは、エストロゲン類及びプロゲスチン類と比較したとき、血液のような生物学的流体中で実質的に低い溶解性を有し、それによって、それら活性剤の溶解性を低下させ、さらにそれによってそれら活性剤の血液流中への放出を遅延させる。そのような遅延放出ミクロスフィア製剤の製造において有益であり得るさらなる情報は、米国特許第5,360,616号、第5,512,303号、第5,633,014号、第5,643,604号及び第6,287,693号において見出され、これら米国特許の各々は、参考として本明細書に合体させる。
【0033】
少なくとも1つの好ましい実施態様においては、本発明の遅延放出製剤は、エストロゲン及びプロゲスチンを十分に且つコレステロール担体中に均一に混合することによって製造する。該エストロゲン/プロゲスチン/コレステロール混合物は、溶融凝結し及び/又は押出加工するか、或いは所望粒度及び形状の複数の粒子に加工して、米国特許第6,287,693号に開示されているような固体状結晶化に供し得る。該693号米国特許は、固体状結晶化方法を開示しており、混合多形物の組成物を所望の粒度と形状に成形し、その後、粒子を高雰囲気濃度の1種以上の溶媒を含む環境に暴露させることにより、粒子の粒度/形状特性を喪失させることなくそれぞれの構成成分の各々の最も安定な多形に結晶化させている。得られる成形結晶性粒子は、貯蔵安定性である、即ち、これらの粒子は、所望の粒度/形状特性を喪失させることなく、乾燥固形物又は粉末として或いは水性ビヒクル中の懸濁液として包装し、長期間(例えば、少なくとも約1ヶ月)保存し得る。上記固体状結晶化方法は高純度及び安定性を与えるので、本発明の粒子は、さらなる賦形剤、緩衝剤、安定剤、防腐剤及び殺生剤の有無にかかわらず製造し得る。
【0034】
所望の粒度と形状を製造する上記能力は、この能力により一貫した即ち一様に均一な粒度と形状が確保され、ひいては、投与の容易性(例えば、皮下用シリンジによる)並びに活性剤(1種以上)の制御された且つ予測可能な放出及び溶解を確保する手段を提供するので、とりわけ有利である。とりわけ好ましい実施態様においては、上記粒子は、ミクロスフィアである。
即ち、本発明のもう1つの好ましい実施態様は、水性ビヒクル中の懸濁液に複数のミクロスフィアを含む遅延放出製剤を含み、該ミクロスフィアは、17-β-エストラジオール、プロゲステロン及びコレステロールを含み、上記製剤は、約1:40の質量比の17-β-エストラジオールとプロゲステロンを含む。
【0035】
本発明の製剤は、任意の通常の投与経路によって投与し得る。好ましい投与経路は非経口投与であり、より好ましい経路は筋肉内(IM)注射による。非経口投与によって投与する場合、好ましいのは、製剤を溶液中の又は懸濁液のような混合物としてのいずれかの流体として配合することである。好ましくは、上記製剤は、水性ビヒクル中の懸濁液として上述したミクロスフィアを含む。
必要に応じて、上記製剤は、後で担体と混合し投与するための粉末として配合し得る。そのような実施態様においては、調合製剤を包装し、キットの1部として商業化し得る。そのようなキットは、(1) 賦形剤、添加剤、緩衝剤、防腐剤等と組合せた活性剤を含む粉末;(2) 必要に応じて緩衝剤、防腐剤及び/又は殺生剤を含む単位又は複数回投与量の液体担体;及び(3) 皮下用シリンジ、好ましくは約18又は20ゲージシリンジのような注入装置の単位又は複数回投与量を含む。
【0036】
本発明の製剤の投与におけるさらにもう1つの選択枝は、経皮伝達である。薬物の経皮伝達は、粒子をガス又は他の手段によって加速させて皮膚に通すパーティクルガン(biolistic)法によるような粉末の注入のような種々の手段によって実施し得る。そのような方法の例は、“Needleless syringe using supersonic gas flow for particle delivery”と題する米国特許第6,168,587号及び“Drug Particle Delivery”と題する米国特許第6,475,181号に開示されており、これらの米国特許は、双方とも参考として本明細書に合体させる。
同様な経皮伝達は、皮膚に長期間適用する接着性パッチによるようにしてより受動的に達成し得る。そのようなパッチは、例えば、本明細書に参考として合体させる“Solid matrix system for transdermal drug delivery”と題する米国特許第6,149,935号に記載されている。
【0037】
本発明の調合製剤は、霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ又はネズミ生物体のような任意の哺乳動物生物体に有効に投与し得る。好ましくは、対象者は霊長類生物体であり、さらにより好ましくは、ヒト女性である。異なる哺乳類用の製剤において使用する特定のエストロゲン及びプロゲスチンは、その量と同様に、変り得ることを理解されたい。
本発明のミクロスフィア含有製剤は、任意の適切な方法を使用して製造し得る。1つの好ましい実施態様においては、ミクロスフィアは、E2及び/又はP4を加熱し、次いで、急冷してミクロスフィアが十分に結晶化するようにすることによって製造する。結晶化の後、カプセルを、濾過により、粒度基準で収集し得る。
【0038】
一般に、大きめの粒度のミクロスフィアは、ホルモン類の最高濃度を低下させ、その濃度に達するのに要する時間を短縮する。さらに、大きめの粒度のミクロスフィアは、ホルモン吸収半減期を延長する。
本発明のさらなる局面によれば、避妊/ホルモン補充療法において使用するキットが提供される。該キットは、避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含む本発明に従う調合製剤を含み得る。該キットは、製剤が滅菌粉末形のミクロスフィアとして調製されている場合、製剤を均質懸濁液として再構成するための水性ビヒクルを含む滅菌アンプルのような1種以上のさらなる成分をさらに含み得る。さらに、該キットは、例えば、筋肉内注射用の18及び/又は20ゲージ針を有するシリンジのような、製剤を投与するための手段も含み得る。
【0039】
本発明の組成物は、以下のプロトコールに従って調製し投与し得るように意図する。9 mgのE2/400 mgのP4を含むミクロスフィア製剤は、ミクロスフィアが約35Φm〜約75Φm、好ましくは約39Φm〜約52Φmの粒度範囲である滅菌粉末として製造する。ある種の好ましい実施態様においては、該粉末は、単位投与量シリンジ内に乾式包装する。好ましいのは、筋肉内注射用の約18又は20ゲージ針のシリンジである。これらのシリンジは、好ましくは、気密滅菌包装において包装し、約15EC〜約30ECで周囲条件下に保存する。
包装前粉末製剤は、水性ビヒクル中に懸濁させ得る。好ましい実施態様においては、水性ビヒクルは、3.0 mlの水性ビヒクルを含有する滅菌アンプルから採取する。ミクロスフィアを懸濁させるのに使用する好ましい水性ビヒクルは、下記からなる。
【0040】
メチルパラベンNF 4.11 mg
プロピルパラベンNF 0.45 mg
マンニトールNF 144 mg
ナトリウムカルボキシメチルセルロース、USP、低粘度 2.25 mg
ポリソルベート80 NF 0.60 mg
注射用水USP 3.00 mg
当業者であれば、そのような水性ビヒクルの組成及び相対濃度は本発明にとって臨界的ではなく、従って、その双方は本発明の利点又は有用性を実質的に変化又は低下させることなく変更し得ることを理解されたい。
【0041】
再構成は、均質な懸濁液が得られるまで激しく撹拌することによって実施し得る。得られた懸濁液は、好ましくは、深い筋肉内注射により、例えば、臀部領域内に投与する。1回目投与量は、最近の月経の開始から最初の5日内で投与すべきである。その後の投与量は、28∀3日間のスケジュールで投与すべきである。容易さ及び快適性のためには、後の投与量は、交互の臀部領域に投与し得る。
また、本発明のプロゲステロン/エストラジオール調合製剤は、遅延放出エストラジオール製剤を製造するように配合し得る。
【0042】
プロゲステロンのミクロスフィア及びエストラジオールとコレステロールとのミクロスフィアを含む調合製剤は、信頼し得る避妊効果を生じていた。下記の実施例1、試験品Bを参照されたい。エストラジオール含有非経口避妊製剤の認識されている欠点は、水溶液中でのその高溶解性である。エストラジオール含有ミクロスフィアは、製造後処理又はミクロスフィアの調質(tempering)により調製し得る。即ち、ミクロスフィアを先ず所望の粒度及び形状に成形し、制御された雰囲気内での処理又は調質工程に供し、次いで、乾燥及び/又は回収する。上記処理により、ECミクロスフィアは、約20%以下、好ましくは約15%以下の水溶液中での24時間に亘ってのエストラジオール溶解速度を有する。より好ましい実施態様は、約10%以下の溶解速度を与え;さらに好ましいのは、約6%以下のエストラジオール溶解速度を有するミクロスフィアである。
エストラジオール溶解速度(EDR)は、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度である。
【0043】
低EDRを有する粒子の調製は、極めて低濃度のエストラジオールを含有するホルモン補充療法(HRT)用の調合製剤の製造を容易にする。そのような低エストラジオール濃度組成物は、閉経期の最初の5年間においてHRTの必要な患者に良好に適する。さらに、低EDRを有する製剤は、少なめ又は頻度の低い投与クールを含む治療処方を容易にする。本発明の製剤は、低頻度で、月毎又は1月おきに投与し得ることを意図する。
そのような低エストラジオール溶解速度を示す粒子のX線回折試験は、該粒子が非晶質及び結晶質成分の双方を含む半結晶性組成を有する分子凝集体であることを示唆している。低EDR組成物は、エストラジオールが約45%〜約65%の非晶質成分と約35%〜約55%の結晶質成分とからなる組成物である。好ましくは、上記粒子は、約50〜60%の非晶質成分と約40〜50%の結晶質成分である。より好ましくは、上記粒子は、約55%の非晶質成分と約45%の結晶質成分である。これらの低EDR組成物は、好ましくは、1:1モル比のエストラジオール:コレステロールの混合物から調製する。
【0044】
何ら理論又は科学的原理によって拘束することは望まないが、出願人等は、溶解性の低下及び低めの溶解プロフィールは、分子凝集体又は分子複合体内の非晶質成分と結晶質成分の配向に起因していると信じている。即ち、粒子の外表面積が、エストラジオール分子が該分子の主として疎水性部分を溶媒に向かって配向しそれによって粒子を水中で実質的に不溶性にするような非晶質成分から主としてなることを意図する。
遅延放出性エストラジオール粒子は、エストラジオールとコレステロールを1:1モル比で配合し、該組成物を所望の粒度と形状を有する粒子として製造し、これらの粒子を溶媒飽和雰囲気に昇温下に長時間供し、その後、粒子を昇温下に乾燥させることによって調製し得る。1つの実施態様においては、製造した粒子を、上記溶媒飽和雰囲気に暴露させる前に、低相対湿度(RH)の雰囲気に約12時間以上暴露させる。好ましくは、粒子は、ミクロスフィアとして調製する。
【0045】
約15%以下のEDRを有するミクロスフィアは、1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ;該粒子を約25%相対湿度(RH)以下の雰囲気に少なくとも約12時間暴露し;該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約50℃〜約65℃で少なくとも約48時間暴露し;該粒子を約35℃〜約50℃で約24時間以上乾燥させ;そして、該粒子を回収することによって調製し得る;回収粒子からのEDRは、24時間で約15%(質量)未満である。
【0046】
さらに好ましくは、上記方法は、エストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ;該粒子を低RHの雰囲気に約24時間暴露し;該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約60℃で約72時間暴露し、該粒子を約45℃で約42時間乾燥させ、そして、該粒子を回収することを含み、水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約6%(質量)未満である。
上記雰囲気を飽和させるアセトンと水の相対濃度は、それぞれ、約65モル%〜約80モル%及び約20モル%〜約35モル%である。好ましくは、上記相対濃度は、約70モル%〜約75モル%のアセトン及び約25モル%〜約30モル%の水である。最も好ましくは、上記2つの成分の濃度は、約72モル%のアセトン及び約28モル%の水である。上記低相対湿度環境は、約25%RH以下、好ましくは約20%以下である。
【0047】
また、約20%以下のEDRを有する粒子は、アセトン/水含有雰囲気及びエタノール/水含有雰囲気への連続暴露によっても調製し得る。該方法は、(a) 約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ、(b) 該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露し、(c) 工程(b)を少なくとも1回、好ましくは2回繰返し、(d) 該粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露し;(e) 該粒子を乾燥させ、そして、(f) 該粒子を回収することを含み、水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約20%(質量)未満である。
好ましい実施態様においては、粒子を、アセトン/水混合物の蒸気に、約20℃〜40℃で少なくとも約12時間の約2回〜約5回の連続工程において暴露する。好ましくは、アセトン/水工程は、約30℃で約24時間に亘る3回連続工程において実施する。
【0048】
アセトン/水混合物の相対濃度は、上述したとおりであり;エタノール/水混合物は、約95モル%〜約99モル%のエタノール及び約5モル%〜約1モル%の水の相対濃度である。粒子は、約40℃〜約50℃、好ましくは約45℃で約24時間以上、好ましくは約36時間乾燥させ得る。この場合及び上述の乾燥工程は、真空下又は空気中で実施し得る。
さらに好ましくは、上記の別法は、約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールから本質的になり、いずれか又は双方が非晶質又は多形である粒子を生成させ、該粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約24時間の3回連続工程において約30℃で暴露し、該粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に約30℃で約2時間暴露し、該粒子を約45℃で約42時間乾燥させ、そして、該粒子を回収することを含み;水溶液中の回収粒子からのエストラジオール溶解速度は、24時間で約20%(質量)未満である。
【0049】
本発明の方法は、約20%(質量)未満のEDRを有するエストラジオールとコレステロールのミクロスフィアを製造する手段を提供する。好ましい実施態様は、約15%以下、より好ましくは約6%以下のEDRを有する。本発明のミクロスフィアのエストラジオールは、約50〜60%が非晶質であり約40〜50%が結晶性である半結晶又は複合形である。好ましい実施態様は、エストラジオールが約55%の非晶質及び約45%の結晶性である実施態様である。
【0050】
上述の方法の低EDRエストラジオール/コレステロール粒子は、プロゲステロンと組合せて、月毎又はそれより少ない頻度で投与し得る低投与量エストラジオール製剤とし得る。例えば、本発明は、約1:1モル比でコレステロールと混合した約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約400 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオールとプロゲステロンの質量比が約1:40であり;17-β-エストラジオールが、約50〜60%の非晶質及び約40〜40%の結晶質である半結晶形からなる調合製剤を提供し、該製剤のEDRは約20%以下である。該調合製剤は、プロゲスチン、好ましくはプロゲステロンの粒子と組合せたエストラジオール/コレステロールの粒子から調製し得る。粒子は、好ましくは、ミクロスフィアである。粒子は、潤滑剤、緩衝剤、安定剤等のような添加剤及び賦形剤もさらに含み得る。さらに、粒子は、非経口投与用の担体中に懸濁させ得る。これらの製剤は、避妊効果を有し、さらに、月1回又は1月おきでさえの非経口投与を含むホルモン補充療法において有効に使用し得る。好ましくは、上記製剤は、筋肉内注射によって投与する。
さらなる説明なしで、当業者であれば、上述の説明及び以下の例示としての実施例を使用して、本発明の製剤を製造し、使用して、特許請求する方法を実施し得るものと信じている。従って、以下の実施例は、本発明の製造及び使用のための好ましい実施態様及び方法を例示するものであり、如何なる形でも上記開示の残余を限定するものと解釈すべきでない。
【0051】
実施例1
プロゲステロンミクロスフィアとエストラジオールミクロスフィアの、さらに異なるエストラジオール対コレステロール比のミクロスフィアの種々の組合せの生体利用性を評価するウサギでの薬物動態試験
この試験は、プロゲステロン(P)及び17-β-エストラジオール(E)を含有する試験品の薬物動態プロフィールを評価することが目的である。前向き及び比較試験をニュージーランド雄ウサギにおいて行った。試験品は、米国特許第5,360,616号に記載された下記の方法により製造し米国特許第6,528,094 B1号に従って結晶化した、プロゲステロンのミクロスフィア+エストラジオール(E)又はエストラジオールコレステロール(EC)のミクロスフィアの上述の水性ビヒクルを使用した水性懸濁液からなっていた。評価した試験品は、下記のとおりである:
【0052】
【0053】
各水性懸濁液を筋肉内(IM)注射方式で投与した。各ウサギは、133 mgのプロゲステロンと3 mgのエストラジオールを受けた。血液サンプルを、時間0(投与前);1、2、4及び9時間;2〜14日目の毎日;並びに14〜28日目の隔日で採取した。得られたサンプルをプロゲステロン及びエストラジオールについてラジオイムノアッセイ(RIA)によりアッセイした。
【0054】
血漿プロフィールから、次の薬物動態パラメーターを算出した:無限大までの曲線の下領域(AUC INF)、最後のサンプリング時間までの曲線の下領域(ABC0 t)、最高血漿濃度(Cmax)、Cmaxに達する時間(Tmax)、半減期(t2)、排出定数(Ke)及び平均滞留時間(MRT)。これらの結果を、何らかの可能性ある群間の差異を評価する目的で、統計的に解析した。
エストラジオールについて算出した各パラメーターの比較に関しては、下記の表に示すように、解析は群間でこれらのパラメーターにおいて何ら可能性ある統計的有意差(p<0.05)の証拠を示さなかったものの、 (1:1) EC ME (試験品B)におけるMRTは、下記の表に見られるように、Eミクロスフィア(試験品A)におけるよりもほぼ2倍長かったので、群間のMRTの差異は存在している。
【0055】
【0056】
プロゲステロンについて算出した各パラメーターの比較に関しては、算出パラメーターにおいて変動は観察されたものの、統計的有意差(p<0.05)は、群間で見出せなかった。
図解分析
評価した4種の試験品におけるエストラジオール及びプロゲステロンの平均血漿プロフィールを図1及び図2に示している。エストラジオール及びプロゲステロンにおける結果によれば、統計解析は群間の差異の証拠を示さなかったものの、血漿プロフィールの図解分析(図1参照)は、異なる挙動を示していた。このことは、小さいサンプルサイズに起因し得る。
【0057】
実施例2(比較例)
49%の17-β-エストラジオールと51%のコレステロールの混合物のミクロスフィア
この比較例は、米国特許第6,528,094 B1号(参考として本明細書に合体させている)の実施例7に従う粒子の製造法(本明細書においては、“結晶化方法A”とも称する)と同類である。エストラジオール/コレステロールミクロスフィアをプロゲステロンミクロスフィアと混合して上記実施例1の試験品Bの調合製剤を製造した。
この混合物のミクロスフィアは、各成分を一緒に溶融することによって得られ、純粋物質に関しては、液滴としてスプレーし、ミクロスフィアに凝結させた。ミクロスフィアは、当初、高非晶質含有量を示した。
【0058】
ミクロスフィアを約7リットルの容器に入れ、多孔質セルロース材料中に保持させた8 mLのエタノールの蒸気に30℃で24時間暴露したとき、最初非晶質のミクロスフィアは、上記の蒸気の存在において完全に結晶化した。
ミクロスフィアを真空中で24時間60℃にて乾燥させたところ、ミクロスフィア中に存在する残留エタノールは、0.01%未満であった。
【0059】
上記ミクロスフィアの安定性を評価するため、非結晶化ミクロスフィア(溶融凝結のみ)と本発明に従うミクロスフィアを40℃の水溶液に別々に入れ、82日後に光学顕微鏡により観察した。光学顕微鏡により観察したとき、本発明に従って結晶化させたミクロスフィアは、水中に入れた時間に亘って安定なままであったが、これに対し、非結晶化ミクロスフィアは安定ではなかった。
得られた結晶化ミクロスフィアは、40℃のUSP精製水中の0.01%ポリソルベート80溶液中に入れたときは82日間、また、これらミクロスフィアをウサギに筋肉内注射したときは14日間形態学的に安定であった。
図3は、EC (40:60)ミクロスフィアの結晶化前及び後のX線回折図を示し;図4は、相応する溶解プロフィール示す(即ち、74%のエストラジオールが0.3% Tween 80R水溶液中にて24時間で溶解した)。
【0060】
実施例3
24時間で20%溶解を示すEC MEのための改変結晶化方法(“結晶化方法B”)
エストラジオール-コレステロール(1:1)ミクロスフィアを、上記の実施例2におけるようにして製造した。高非晶質含有量を有するミクロスフィアをアセトンと水の蒸気(95モル%アセトン、5モル%水)に、3回連続24時間工程において30℃で暴露した。各工程間で、密封容器を開放し、内容物を風乾させ、残留溶媒を除去し、その後、エストラジオールミクロスフィアを次の蒸気暴露工程に供した。
その後、粒子を、真空(約413Pa (約12.2 in. Hg))下に42時間45℃で加熱した(乾燥させた)。
得られた粒子は、約20%の平均EDRを生じていた。図5参照。
【0061】
実施例4
エストラジオール-コレステロールミクロスフィアの超低溶解性のための結晶化方法(“結晶化方法C”)
エストラジオール-コレステロールミクロスフィアを実施例2の方法に従って製造した。粒子を低相対湿度下に24時間保存した。その後、粒子を、アセトンと水の蒸気(72モル%アセトン/28モル%水)に60℃で72時間暴露した。その後、粒子を45℃で42時間加熱した(乾燥のため)。
得られた粒子は、標準温度及び圧力において、0.3%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で、24時間で平均約5%のエストラジオール溶解性を有していた。
図19は、実施例2及び3の方法により得られた粒子と比較した本実施例の粒子の溶解プロフィールを示している。
図20は、本実施例から得られた粒子のDSCプロフィールを示している。
図21及び22は、実施例4から得られた粒子のX線回折図である。
【0062】
本発明を特定の実施態様に関連して説明してきたが、本出願は、特許請求の精神及び範囲を逸脱することなく当業者によってなし得る種々の変更及び置換にも及ぶものとする。
【0063】
本発明の態様として、以下のものがある。
1.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子を約25%RH以下の雰囲気に少なくとも約12時間暴露させる工程、
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に少なくとも約48時間約50℃〜約65℃で暴露させる工程、
(d) 前記粒子を約35℃〜約50℃で約24時間以上乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約15%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
2.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項1記載の方法。
3.前記EDRが、約10%未満である、請求項1記載の方法。
4.前記EDRが、約6%未満である、請求項1記載の方法。
5.前記アセトン/水雰囲気が、約72モル%のアセトン及び約20モル%の水である、請求項1記載の方法。
6.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子を約25%RH以下の雰囲気に少なくとも約24時間暴露させる工程、
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約72時間約60℃で暴露させる工程、
(d) 前記粒子を約45℃で約42時間乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約6%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0064】
7.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
8.回収粒子中のエストラジオールが、約55%非晶質と約45%結晶質である半結晶性17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
9.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程、
(c) 工程(b)を繰返す工程、
(d) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程、
(e) 前記粒子を乾燥させる工程、及び、
(f) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが約20%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0065】
10.前記アセトンと水の混合物が、約95モル%のアセトン及び約10モル%の水である、上記9記載の方法。
11.前記エタノールと水の混合物が、約95モル%のエタノール及び約5モル%の水である、上記9記載の方法。
12.工程(b)を約24時間に亘って実施し、工程(c)を2回実施する、上記9記載の方法。
13.(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールから本質的になる粒子を調製する工程、
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に約24時間の3回連続工程において約30℃で暴露させる工程、
(c) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に約2時間約30℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を約45℃で約42時間乾燥させる工程、及び、
(e) 前記粒子を回収する工程、
を含み、回収粒子のEDRが、約18%未満であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【0066】
14.前記アセトンと水の混合物が、約95モル%のアセトン及び約5モル%の水である、上記13記載の方法。
15.前記エタノールと水の混合物が、約95モル%のエタノール及び約5モル%の水である、上記13記載の方法。
16.約1:1のモル比でコレステロールと混合した約5〜約15 mgの17-β-エストラジオール及び約200〜約500 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約1:40であり;17-β-エストラジオールが約50〜60%の非晶質及び約40〜50%の結晶性である半結晶形からなり;製剤のEDRが約20%以下であることを特徴とする調合製剤。
【0067】
17.前記17-β-エストラジオールが、約55%の非晶質及び約45%の結晶質である半結晶形からなる、上記16記載の調合製剤。
18.前記EDRが、約6%以下である、上記16記載の調合製剤。
19.前記エストラジオール/コレステロール混合物及びプロゲステロンが、約35〜約75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、上記16記載の調合製剤。
20.約6%以下のEDRを有する約1:1モル比のエストラジオールとコレステロールのミクロスフィア。
【0068】
21.図22と実質的に同じX線結晶解析スペクトルを有する、上記20記載のミクロスフィア。
22.前記エストラジオールが、約50〜60%が非晶質であり、約40〜50%が結晶質である半結晶形からなる、上記20記載のミクロスフィア。
23.前記エストラジオールが、約55%の非晶質及び約45%の結晶質である半結晶形である、上記20記載のミクロスフィア。
24.前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、上記20記載のミクロスフィア。
25.雌性哺乳類に、約1:1モル比の17-β-エストラジオールとコレステロールの粒子及びプロゲステロンの粒子を含み、17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約1:40であり、17-β-エストラジオールが約50〜60%非晶質で約40〜50%結晶性である調合製剤を投与することを特徴とする、雌性哺乳類における同時の避妊及びホルモン補充療法の実施方法。
【0069】
26.前記調合製剤が、約10%以下のEDRを有する、上記25記載の方法。
27.前記調合製剤が、約6%以下のEDRを有する、上記25記載の方法。
28.前記調合製剤が、約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約500 mgのプロゲステロンを含む、上記25記載の方法。
29.前記調合製剤の17-β-エストラジオールが、約55%非晶質で約45%結晶質である、上記25記載の方法。
30.投与が筋肉内注射による、上記25記載の方法。
31.前記製剤を、月に約1回又はそれより少ない頻度で投与する、上記25記載の方法。
32.前記製剤を、1月おきに約1回投与する、上記25記載の方法。
33.前記哺乳類がヒトである、上記25記載の方法。
【0070】
34.避妊有効量及びホルモン補充有効量の約1:40質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されていることを特徴とする調合製剤。
35.17-β-エストラジオール:プロゲステロンの質量比が、9:400である、上記34記載の製剤。
36.17-β-エストラジオールとコレステロールが1:1のモル比でミクロスフィア中に配合され、プロゲステロンが独立ミクロスフィア中に別個に配合されている、上記34記載の製剤。
【0071】
37.記各ミクロスフィアが、約25μm〜約105μmの直径を有する、上記36記載の製剤。
38.同時の避妊及びホルモン補充治療を必要とする哺乳類に、約5〜約15 mgの17-β-エストラジオールと約300〜約500 mgのプロゲステロンを含む調合製剤を投与することを特徴とする、同時の避妊及びホルモン補充方法。
39.前記調合製剤の投与を、約1ヶ月で繰返す、上記38記載の方法。
40.前記調合製剤を筋肉内注射によって投与する、上記38記載の方法。
41.前記哺乳類がヒトである、上記38記載の方法。
【0072】
42.前記製剤が、17-β-エストラジオールとコレステロールから本質的になるミクロスフィアと、プロゲステロンから本質的になるミクロスフィアとの水性懸濁液を含む、上記38記載の方法。
43.前記17-β-エストラジオールとコレステロールが約1:1のモル比にあり、17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が約9:400である、上記42記載の方法。
44.哺乳類に、17-β-エストラジオールとコレステロールから本質的になる粒子と、プロゲステロンから本質的になる粒子とを含み、17-β-エストラジオールとプロゲステロンが約1:40の質量比にある調合製剤を投与することを特徴とする、同時の避妊及びホルモン補充方法。
45.前記調合製剤の投与を、対象者の約1回の完全月経周期後に繰返す、上記44記載の方法。
【0073】
46.前記調合製剤を筋肉内注射によって投与する、上記44記載の方法。
47.前記哺乳類がヒトであり、前記製剤の投与を約1ヶ月で繰返す、上記44記載の方法。
48.前記粒子が、約35μm〜約75μmの直径を有するミクロスフィアである、上記44記載の方法。
49.調合製剤を含み、該製剤が、(1) コレステロールと一緒に複数のミクロスフィアとして配合した避妊有効量及びホルモン補充有効量の17-β-エストラジオールとプロゲステロンの単位投与量を含む滅菌パッケージ;及び(2) 非経口投与用の前記ミクロスフィアを懸濁させるための水性ビヒクルを含む滅菌パッケージを含むことを特徴とするキット。
50.前記17-β-エストラジオールの有効量が、約9 mgである、上記49記載のキット。
51.前記プロゲステロンの有効量が、約400 mgである、上記49記載のキット。
52.前記製剤を非経口投与するための手段をさらに含む、上記49記載のキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子を25%RH以下の雰囲気に少なくとも12時間暴露させる工程;
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に少なくとも48時間50℃〜65℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を35℃〜50℃で24時間以上乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが15%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項2】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記EDRが、10%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記EDRが、6%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アセトン/水雰囲気が、72モル%のアセトン及び20モル%の水である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子を25%RH以下の雰囲気に24時間暴露させる工程;
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に72時間60℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を45℃で42時間乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが6%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項7】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
回収粒子中のエストラジオールが、55%非晶質と45%結晶質である半結晶性17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程;
(c) 工程(b)を繰返す工程;
(d) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程;
(e) 前記粒子を乾燥させる工程;及び、
(f) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが20%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項10】
前記アセトンと水の混合物が、95モル%のアセトン及び10モル%の水である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
工程(b)を24時間に亘って実施し、工程(c)を2回実施する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に24時間の3回連続工程において30℃で暴露させる工程;
(c) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に2時間30℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を45℃で42時間乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが、18%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項13】
前記アセトンと水の混合物が、95モル%のアセトン及び5モル%の水である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記エタノールと水の混合物が、95モル%のエタノール及び5モル%の水である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
1:1のモル比でコレステロールと混合した5〜15 mgの17-β-エストラジオール及び200〜500 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が1:40であり;17-β-エストラジオールが50〜60%の非晶質及び40〜50%の結晶性である半結晶形からなり;製剤のEDRが20%以下であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする調合製剤。
【請求項16】
前記EDRが、6%以下である、請求項16記載の調合製剤。
【請求項17】
前記エストラジオール/コレステロール混合物及びプロゲステロンが、35〜75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、請求項15記載の調合製剤。
【請求項18】
6%以下のEDRを有し、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であり、かつ1:1モル比のエストラジオールとコレステロールのミクロスフィア。
【請求項19】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項18記載のミクロスフィア。
【請求項20】
避妊有効量及びホルモン補充有効量の1:40質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されており、かつ17-β-エストラジオール及びコレステロールのいずれか又は双方が非晶質又は多形であることを特徴とする調合製剤。
【請求項21】
避妊有効量及びホルモン補充有効量の9:400質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されており、かつ17-β-エストラジオール及びコレステロールのいずれか又は双方が非晶質又は多形であることを特徴とする調合製剤。
【請求項1】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子を25%RH以下の雰囲気に少なくとも12時間暴露させる工程;
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に少なくとも48時間50℃〜65℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を35℃〜50℃で24時間以上乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが15%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項2】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記EDRが、10%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記EDRが、6%未満である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記アセトン/水雰囲気が、72モル%のアセトン及び20モル%の水である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子を25%RH以下の雰囲気に24時間暴露させる工程;
(c) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に72時間60℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を45℃で42時間乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが6%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項7】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
回収粒子中のエストラジオールが、55%非晶質と45%結晶質である半結晶性17-β-エストラジオールである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程;
(c) 工程(b)を繰返す工程;
(d) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に暴露させる工程;
(e) 前記粒子を乾燥させる工程;及び、
(f) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが20%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項10】
前記アセトンと水の混合物が、95モル%のアセトン及び10モル%の水である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
工程(b)を24時間に亘って実施し、工程(c)を2回実施する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
(a) いずれか又は双方が非晶質又は多形であるエストラジオール及びコレステロールを含む粒子を調製する工程;
(b) 前記粒子をアセトンと水で飽和させた雰囲気に24時間の3回連続工程において30℃で暴露させる工程;
(c) 前記粒子をエタノールと水で飽和させた雰囲気に2時間30℃で暴露させる工程;
(d) 前記粒子を45℃で42時間乾燥させる工程;及び、
(e) 前記粒子を回収する工程;
を含み、回収粒子のEDRが、18%未満であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする、遅延放出エストラジオール製剤の製造方法。
【請求項13】
前記アセトンと水の混合物が、95モル%のアセトン及び5モル%の水である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記エタノールと水の混合物が、95モル%のエタノール及び5モル%の水である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
1:1のモル比でコレステロールと混合した5〜15 mgの17-β-エストラジオール及び200〜500 mgのプロゲステロンを含み;17-β-エストラジオール対プロゲステロンの質量比が1:40であり;17-β-エストラジオールが50〜60%の非晶質及び40〜50%の結晶性である半結晶形からなり;製剤のEDRが20%以下であり、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であることを特徴とする調合製剤。
【請求項16】
前記EDRが、6%以下である、請求項16記載の調合製剤。
【請求項17】
前記エストラジオール/コレステロール混合物及びプロゲステロンが、35〜75μm直径のミクロスフィアとして配合されている、請求項15記載の調合製剤。
【請求項18】
6%以下のEDRを有し、前記EDRが、USP精製水中の0.3%(質量/容量)ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(Tween 80R)水溶液中で37℃及び標準圧にて24時間で溶解したエストラジオール量の尺度であり、かつ1:1モル比のエストラジオールとコレステロールのミクロスフィア。
【請求項19】
前記エストラジオールが、17-β-エストラジオールである、請求項18記載のミクロスフィア。
【請求項20】
避妊有効量及びホルモン補充有効量の1:40質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されており、かつ17-β-エストラジオール及びコレステロールのいずれか又は双方が非晶質又は多形であることを特徴とする調合製剤。
【請求項21】
避妊有効量及びホルモン補充有効量の9:400質量比の17-β-エストラジオール及びプロゲステロンを含み、17-β-エストラジオールがコレステロールとの混合物での独立粒子中に配合されており、かつ17-β-エストラジオール及びコレステロールのいずれか又は双方が非晶質又は多形であることを特徴とする調合製剤。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−157386(P2011−157386A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84716(P2011−84716)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【分割の表示】特願2006−516535(P2006−516535)の分割
【原出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(508207789)スケンディ ファイナンス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【分割の表示】特願2006−516535(P2006−516535)の分割
【原出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(508207789)スケンディ ファイナンス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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