説明

避難支援装置

【課題】 循環搬送路を備えた飲食店における緊急時の脱出を容易にする避難支援装置を提供する。
【解決手段】飲食物を搬送するコンベアを備えた飲食店に設置され、前記コンベアとの組み合わせにより飲食物の循環搬送路を形成することができる避難支援装置であって、飲食物の搬送面4a,4bを上面に有する装置本体2と、装置本体2を搬送面4a,4bの搬送方向に対して直交する方向に移動させるキャスター50と、搬送面4a,4bの搬送方向に沿って装置本体2の上面に設けられ、先端部が装置本体2の端面から搬送面4a,4bの搬送方向外方に突出する突出部材15,16,35,36を備える仕切手段11a,11b,31と、突出部材15,16,35,36を突出した状態で固定する固定手段60とを備え、仕切手段11a,11b,31は、固定手段60の固定解除操作により、突出部材15,16,35,36の先端部を装置本体2の端面2c,2dより内方に移動させる付勢手段13,14,33,34を備えていることを特徴とする避難支援装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば回転寿司店などのように飲食物を搬送するコンベアを備えた飲食店において、火災などの緊急時における避難を支援する避難支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転寿司店などの飲食店においては、飲食物の循環搬送路を設置して飲食物を提供することが従来から行われている。例えば、特許文献1には、図10に示すように、隔壁101により仕切られた厨房エリア102と飲食客エリア103に循環搬送路104を設置した構成が開示されている。この循環搬送路104は、厨房エリア102内を隔壁101に沿って循環する直線搬送路104aと、隔壁101より飲食客エリア103側に突出する3列の張出し搬送路104bとからなり、全体が平面視E字状の循環搬送路となっている。各張出し搬送路104bの両側には、飲食カウンタ105又は複数のテーブル106が設けられている。
【0003】
この循環搬送路104によれば、厨房エリア102にいる調理人が、寿司などの飲食物を載せた皿を直線搬送路104aに順次載置することにより飲食物が搬送され、飲食カウンタ105又はテーブル106の客が、好みの飲食物の皿を選んで張出し搬送路104bから取り出すことができる。
【特許文献1】特開2003−70613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記循環搬送路104は、席数をできるだけ多く取れるように、図10に示すように複数の張出し搬送路104bが櫛歯状に配置されるのが一般的である。このような構成においては、各テーブル106が配置される空間が、直線搬送路104aおよび対向する2列の張出し搬送路104bによって囲まれた閉鎖空間に近い状態になる。例えば、各張出し搬送路104bには片側に7台のテーブル106が配置されるのが一般的であるため、張出し搬送路104bもそれに応じた長さが必要であり、このようなレイアウト下で繁忙時には店内に300人程度の客が収容されるので、緊急の際に特に隔壁101側のテーブル106に着席している客が店外に脱出し難いという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決すべくなされたものであって、循環搬送路を備えた飲食店における緊急時の脱出を容易にする避難支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、飲食物を搬送するコンベアを備えた飲食店に設置され、前記コンベアとの組み合わせにより飲食物の循環搬送路を形成することができる避難支援装置であって、飲食物の搬送面を上面に有する装置本体と、前記装置本体を前記搬送面の搬送方向に対して直交する方向に移動させるキャスターと、前記搬送面の搬送方向に沿って前記装置本体の上面に設けられ、先端部が前記装置本体の端面から前記搬送面の搬送方向外方に突出する突出部材を備える仕切手段と、前記突出部材を突出した状態で固定する固定手段とを備え、前記仕切手段は、前記固定手段の固定解除操作により、前記突出部材の先端部を前記装置本体の端面より内方に移動させる付勢手段を備えている避難支援装置により達成される。
【0007】
この避難支援装置において、前記突出部材は、前記コンベアとの間で搬送される飲食物を案内するガイド部材を備えており、前記ガイド部材は、一端側が前記突出部材に回転可能に支持されていることが好ましい。
【0008】
また、この避難支援装置において、前記固定手段は、前記突出部材と係合する係止部材と、前記係止部材を前記装置本体の上方に突出させた状態で支持する支持手段とを備え、前記固定手段の固定解除操作により、前記係止部材が前記装置本体の上面から埋没するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、循環搬送路を備えた飲食店における緊急時の脱出を容易にする避難支援装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る避難支援装置が設置された飲食店の概略平面図である。図2は、避難支援装置の概略平面図であり、図3は、当該避難支援装置をメインコンベアと分岐コンベアとの間に配置し使用可能な状態にセッティングした状態を示す概略平面図である。図4(a)は、図3のA−A断面図であり、図4(b)は、図4(a)のB部拡大図である。
【0011】
図1に示すように、飲食店の内部には、メインコンベア90と、このメインコンベア90に対して一方側に垂直に延びる複数の分岐コンベア91とが設けられており、メインコンベア90と分岐コンベア91との間に避難支援装置1が設けられている。
【0012】
メインコンベア90および分岐コンベア91は、ベルトコンベア、ローラコンベア、チェーンコンベアなど種々のコンベアとすることが可能であり、それぞれ無端状に構成されている。各分岐コンベア91を挟んで両側には、複数のテーブル92が略等間隔に設置されている。尚、図1においては、設置された分岐コンベア91のうち、飲食店の略中央に設置された2列の分岐コンベア91のみを示している。
【0013】
避難支援装置1は、図2に示すように、装置本体2の上面に、搬送方向が互いに反対である2つの搬送面4a,4bと、仕切装置10とを備えている。本実施形態においてはベルトコンベアにより搬送面4a,4bを形成しているが、他のコンベアであってもよい。
【0014】
仕切装置10は、2つの側方仕切手段11a,11bと中央仕切手段31とを備えている。側方仕切手段11a,11bは、それぞれ装置本体2の上面側縁2a,2bと搬送面4a,4bとの間を仕切るように、搬送面4a,4bに沿って配置されている。側方仕切手段11a,11bは、互いに同一の構成であるため、同一の部材については同一の符号を付し、代表的に側方仕切手段11aの構成について以下に説明する。側方仕切手段11aは、断面コ字状のハウジング12、付勢手段13,14および側方突出部材15,16を備えている。ハウジング12は、両端が開口しており、内部に付勢手段13,14を固定する取付部材17,18を備えている。付勢手段13,14として、本実施形態においては、弾性部材であるつるまきばねを使用しているが、つるまきばねの他に、例えば、ゴム等の合成樹脂により形成した合成樹脂ばねを使用することもできる。側方突出部材15,16は、ハウジング12の内部空間に収納可能な大きさに形成されている断面矩形状の部材であり、付勢手段13,14を介して取付部材17,18と連結している。図2に示すように、側方突出部材15,16は、ハウジング12内に収納されている状態において、先端部15a,16aを僅かにハウジング12から突出させるように配置されている。また、先端部15a,16aが、装置本体2の端面2c,2dよりも内方に位置するように配置されている。
【0015】
中央仕切手段31は、搬送面4aと4bとの間を仕切るように搬送面4a,4bに沿って配置されている。中央仕切手段31は、断面コ字状のハウジング32、付勢手段33,34、中央突出部材35,36およびガイド部材37,38を備えている。中央仕切手段31は、側方仕切手段11a,11bよりも幅広に形成されているが、この基本構成は、ガイド部材37,38を更に備えている点以外は、側方仕切手段11a,11bの構成と略同一である。
【0016】
ガイド部材37,38は、メインコンベア90との間で搬送される飲食物などの被搬送物を案内するための棒状部材であり、一方の端部において、ヒンジ39,40を介して中央突出部材36の端部上面に回転自在に取り付けられている。また、ガイド部材37,38は、中央突出部材36に取り付けられた状態でハウジング32内に収納可能に構成されており、収納状態において、先端部41,42を僅かにハウジングから突出させるように配置されている。また、ガイド部材37,38は、先端部41,42が装置本体2の端面2cよりも内方に位置するように配置されている。なお、本実施形態において、ガイド部材37,38として直線状の棒状部材を採用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、弓状部材等を採用することもできる。
【0017】
このように構成された仕切装置10は、図3に示すように、メインコンベア90と分岐コンベア91との間に装置本体2を配置した後、付勢手段13,14,33,34であるつるまきばねを引張変形させながら、側方突出部材15,16および中央突出部材35,36をそれぞれハウジング12,32から抜き出して、後述する固定手段60によって固定する。側方突出部材15及び中央突出部材35の先端部15a,35aは、装置本体2の端面2dから搬送面4a,4bの搬送方向外方に突出した状態で固定されている。側方突出部材15,16または中央突出部材35,36は、それぞれハウジング12,32から抜き出されてメインコンベア90または分岐コンベア91の仕切壁93,94a,94bと近接して固定されているため、搬送面4a,4b上を搬送される被搬送物(例えば円形の皿に載せた飲食物)が、床面に落下することを防止することができる。
【0018】
また、ガイド部材37,38は、中央突出部材36をハウジング32から抜き出して固定した後、図3に示すように、メインコンベア90側に突出させて配置する。また、メインコンベア90上または搬送面4a上を搬送される被搬送物による押圧によってガイド部材37,38が回転移動しないように、メインコンベア90に設けられている係止片95,96と当接するように配置する。ガイド部材37,38は、メインコンベア90上を搬送される被搬送物を、一方のガイド部材38に沿って避難支援装置1に案内すると共に、避難支援装置1から搬送された被搬送物を、他方のガイド部材37に沿って再びメインコンベア90上に案内する。また。分岐コンベア91は、避難支援装置1から搬送された被搬送物を、各テーブル92の近傍を通過するように循環させた後、中央突出部材35及びローラ97によって再び避難支援装置1に案内する。
【0019】
避難支援装置1は、図4の断面図に示すように、装置本体2の底部に設けられたキャスター50と、装置本体2の内部に設けられた固定手段60とを備えている。
【0020】
キャスター50は、装置本体2が搬送面4a,4bの搬送方向に対して直交する方向(図4(a)の左右方向)に移動可能となるように、装置本体2の底部に回転自在に取り付けられている。
【0021】
固定手段60は、支持手段61、ストッパ部材63および牽引部64を備えている。
支持手段61は、後述するストッパ部材63に設けられている係止部材66を装置本体2の上方に突出させた状態でストッパ部材63を支持するものであり、支持台61aと弾性部材61bとを備えている。支持台61aは、装置本体2の内部に固定されており、後述する牽引部材を挿通する挿通孔65を所定位置に備えている。弾性部材61bは、支持台61aの上面の所定位置に配置されている。弾性部材61bとして、本実施形態においてはコイルばねを採用しているが、コイルばねの他、例えば、板ばね、竹の子ばね等を使用することもできる。また、ゴムなどの合成樹脂により形成したブロック状の弾性体も使用することができる。
【0022】
ストッパ部材63は,平板状の部材であり、装置本体2の天板3と支持台61aとの間に配置されており、弾性部材61bを介して支持台61aと連結している。装置本体2の天板3には、図4(b)の拡大図に示すように、ハウジング12,32の両端部内側に相当する箇所に、当該天板3の上面と内面とを貫通する係止部材用孔6が形成されている。ストッパ部材63の上面には、この係止部材用孔6に挿通可能な係止部材66が設けられている。係止部材66は、上述した側方突出部材15,16及び中央突出部材35,36と係合する突起状の部材である。
【0023】
牽引部64は、牽引部材である水平牽引部材67および2本の垂直牽引部材68,68、並びに、2組のプーリ69a,69b、70a,70bを備えている。水平牽引部材67は、装置本体2の側面に設けられた側面孔71a,71bを介して、装置本体2内部を横断するように略水平に取り付けられており、その両端部には、把手72a,72bが取り付けられている。
【0024】
垂直牽引部材68は、支持台61aに設けられている挿通孔65を介して、ストッパ部材63の下面と水平牽引部材67とを連結するように取り付けられている。垂直牽引部材68の一方の端部は、支持台61aに設けられている挿通孔65の直上におけるストッパ部材63の下面に取り付けられており、他方の端部は、僅かな隙間を空けて配置されている一対のプーリ69a,69bまたはプーリ70a,70bの間を通すようにして、水平方向に張られた水平牽引部材67と接続している。本実施形態においては、水平牽引部材67および垂直牽引部材68としてワイヤロープを用いているが、ワイヤロープの他に、例えば、繊維製ロープやチェーン等を用いてもよい。
【0025】
このように構成された固定手段60は、図5に示すように、例えば、水平牽引部材67に設けられた把手72aを矢示C方向に牽引することにより、水平牽引部材67および垂直牽引部材68を介して弾性部材61bを圧縮変形させながらストッパ部材63を矢示D方向に移動することができる。これに伴い、係止部材66は、装置本体2の天板3に設けられた係止部材用孔6に沿って埋没する。一方、把手72aの牽引を解除することにより、図4に示すように、弾性部材61bの圧縮変形は解放され、当該弾性部材61bの弾性復元力によりストッパ部材63はE方向に自動的に移動する。これに伴い、各係止部材66は、係止部材用孔6に沿って、装置本体2の上面に配置されたハウジング12,32内の両端部に突出する。すなわち、固定手段60は、牽引部64の操作によりストッパ部材63を上下動させることによって、係止部材66が係止部材用孔6を介してハウジング12,32内に出没可能となるように構成されている。
【0026】
次に、このような構成を有する避難支援装置の作動を説明する。通常時においては、図3に示すように、メインコンベア90と分岐コンベア91との間に避難支援装置1を配置し、側方突出部材15,16、中央突出部材35,36およびガイド部材37,38をハウジング12,32から抜き出して固定する。これらの固定方法について以下に説明する。
【0027】
まず、図5に示すように、例えば、把手72aを矢示C方向に牽引して、弾性部材61bを圧縮変形させながらストッパ部材を矢示D方向に移動させることにより、係止部材66を係止部材用孔6に埋没させる。次に、図3に示すように側方突出部材15,16の端部15b,16bおよび中央突出部材35,36の端部35b,36bが、係止部材用孔6を通過するまで、付勢手段13,14,33,34であるつるまきばねを引張変形させながら側方突出部材15,16および中央突出部材35,36をそれぞれハウジング12,32から抜き出した後、把手72aの牽引を解除する。把手72aの牽引解除により、図4に示すように弾性部材61bの圧縮変形が解除されて、当該弾性部材61bの弾性復元力によって、ストッパ部材63は矢示E方向に自動的に移動し、係止部材66と側方突出部材15,16または中央突出部材35,36とが係合状態となる。その結果、側方突出部材15,16および中央突出部材35,36は、それぞれハウジング12,32から張り出した状態で固定される。なお、側方突出部材15及び中央突出部材35の先端部15a,35aは、装置本体2の端面2dから搬送面4a,4bの搬送方向外方に突出した状態で固定されている。ガイド部材37,38は、それぞれヒンジ39,40を支点として回転させて係止片95,96と当接するように配置する。これにより、皿に載置された飲食物などの被搬送物は、避難支援装置1を経て分岐コンベア91を順次循環しながら、メインコンベア90を循環する。すなわち、避難支援装置1、メインコンベア90および分岐コンベア91により循環搬送路が形成され、各テーブル92の客に飲食物などを提供することができる。
【0028】
緊急時においては、例えば、図5に示すように、把手72aを矢示C方向に引いてストッパ部材63を矢示D方向に移動させることにより、固定手段60の固定解除操作を行う。この操作により、ストッパ部材63の上面に設けられた係止部材66は、装置本体2の上面から埋没するため、係止部材66と側方突出部材15,16との係合状態、および、係止部材66と中央突出部材35,36との係合状態が解除される。係止部材66との係合状態が解除された側方突出部材15,16および中央突出部材35,36は、付勢手段13,14,33,34であるつるまきばねの弾性復元力により引っ張られて、それぞれハウジング12,32内にスムーズに収納される。ガイド部材37,38は、ヒンジ39,40を介して中央突出部材36上面に回転自在に取り付けられているため、中央突出部材36がハウジング32内に収納されるに伴い、ハウジング32の端部に当接して、互いに略平行となるようにヒンジ39,40を支点として回転しながらハウジング32内にスムーズに収納される。
【0029】
このように、各突出部材15,16,35,36およびガイド部材37,38がハウジング12,32内に収納され、これらの先端部15a,16a,35a,36a,41,42が、装置本体2の端面2c,2dより内方に移動することにより、各突出部材15,16,35,36またはガイド部材37,38が、メインコンベア90または分岐コンベア91と干渉することを防止することができ、避難支援装置1を搬送面4a,4bの搬送方向と直交する方向(図4(a)の左右方向)にスムーズに移動させることができる。この結果、メインコンベア90と分岐コンベア91との間に脱出用スペースを形成することができ、客がメインコンベア90近傍のテーブル92にいる場合であっても、上記脱出用スペースを経て迅速に店外へ脱出することが可能になる。
【0030】
また、各突出部材15,16,35,36およびガイド部材37,38がハウジングに収納された状態において、これらの先端部15a,16a,35a,36a,41,42は、装置本体2の端面2c,2dより内方に位置しているため、搬送面4a,4bとメインコンベア90または分岐コンベア91との接合部近傍に被搬送物が存在する場合であっても、避難支援装置1を移動させる際に、仕切壁93,94a,94bと各突出部材15,16,35,36またはガイド部材37,38との間に当該被搬送物を挟み込むという事態が発生することを確実に防止することができ、避難支援装置1をスムーズに移動させることができる。
【0031】
尚、避難支援装置1とメインコンベア90又は分岐コンベア91との間にリミットスイッチなどを設けて避難支援装置1の移動を検出することにより、避難支援装置1の搬送面4a,4bや、メインコンベア90および分岐コンベア91の作動を停止するように構成することが好ましい。
【0032】
また、上記においては、把手72aを牽引する場合について避難支援装置1の作動の説明を行ったが、把手72bを牽引する場合についても同様である。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様が上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、水平牽引部材67を装置本体2の両方の側面から出すように構成しているが、いずれか一方の側面から出すように構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態においては、人が把手72a又は72bを牽引することにより、係止部材66と側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36との係合状態を解除するように構成しているが、図6に示すように、巻回手段80の駆動により牽引部材を牽引することにより、係合状態を解除するように構成してもよい。巻回手段80は、水平牽引部材67の端部が接続されている回転ドラム81、当該回転ドラム81に連動連結した図示しない駆動手段、および駆動手段に導線83を介して接続されているスイッチ部82を備えている。回転ドラム81は、正回転および逆回転が可能となるように構成されている。駆動手段としては、例えば、モータを例示することができる。スイッチ部82,82は、図示しない巻き取りスイッチと巻き戻しスイッチとを備えており、装置本体2の両方の側面に取り付けられている。
【0035】
このような構成によれば、巻き取りスイッチを押圧することにより、回転ドラム81は水平牽引部材67を巻き取り、弾性部材61bを圧縮変形させながらストッパ部材63を矢示D方向に移動させることができる。これにより、係止部材66を装置本体2の上面から容易に埋没させることができ、係止部材66と側方突出部材15,16または中央突出部材35,36との係合状態を容易に解除することができる。なお、巻き戻しスイッチを押圧することにより、回転ドラム81は逆回転し、当該回転ドラム81に巻回されている水平牽引部材67が送り出されると共に、弾性部材61bの弾性復元力によりストッパ部材63は上方に移動することとなる。
【0036】
また、本実施形態においては、メインコンベア90と分岐コンベア91との接続部に避難支援装置1を配置しているが、避難支援装置1の配置や構成は、コンベアとの組み合わせにより循環搬送路を形成することができる限り特に限定されるものではない。例えば、平面視略C字状に形成され被搬送物を一方向に搬送するコンベアに、一方向のみの搬送面を有する避難支援装置を組み合わせて循環搬送路を形成してもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、付勢手段13,14,33,34として弾性部材であるつるまきばねを用いているが、例えば、以下に示すような構成としてもよい。すなわち、側方突出部材15,16の端部15b、16b又は中央突出部材35,36の端部35b,36bにワイヤロープの一端を接続すると共に、ワイヤロープの他端を装置本体2の天板3に設けた付勢手段用孔5に通して装置本体2の内部に垂下させ、当該他端に側方突出部材15,16又は中央突出部材35.36よりも重いウエイト部材を接続するように構成してもよい。このような構成であっても、係止部材66と側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36との係合状態を解除することにより、ウエイト部材が下方に自由落下し、これに伴い、側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36は、それぞれハウジング12,32内にスムーズに収納される。
【0038】
また、本実施形態においては、係止部材66を突起状に形成しているが、例えば、図7に示すようにプレート状に形成してもよい。このような構成により、側方突出部材15,16の端部15b,16b又は中央突出部材35,36の端部35b,36bにおいて広い範囲で係合することが可能となり、確実に側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36との係合状態を維持することができる。
【0039】
また、本実施形態においては、係止部材66は、側方突出部材15,16の端部15b,16b又は中央突出部材35,36の端部35b,36bと係合するように構成されているが、係合する位置は特に限定されず、例えば、側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36の下面の所定位置に係止孔を設け、当該係止孔に係止部材66を挿入することにより、係止部材66と側方突出部材15,16又は中央突出部材35,36とを係合してもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、支持手段61は、図4(a)に示すように、支持台61aと弾性部材61bとを備えており、弾性部材61bを介してストッパ部材63を支持台61aと連結して支持しているが、以下に示すような構成により、ストッパ部材63を支持してもよい。すなわち、図8に示すように、支持手段61を弾性部材85により構成し、ストッパ部材63を弾性部材85を介して装置本体2の天板の内面と連結するように支持してもよい。このような構成によれば、把手72aまたは72bを牽引することにより、弾性部材85を引張変形させながら、ストッパ部材63を矢示D方向に移動させることができる。これにより、係止部材66を装置本体2の上面から容易に埋没させることができ、係止部材66と側方突出部材15,16または中央突出部材35,36との係合状態を容易に解除することができる。
【0041】
また。図9に示すように、ストッパ部材63を棒状部材86を介して支持台61aに連結してもよい。この棒状部材86には、垂直牽引部材68が接合しており、垂直牽引部材68の牽引により棒状部材86が矢示F方向に支持台61a上に倒れるように構成されている。このような構成によれば、把手72aまたは72bを牽引することにより、水平牽引部材67及び垂直牽引部材68を介して棒状部材86を支持台61a上に倒すことができ、ストッパ部材63は、自由落下して矢示D方向に移動する。これにより、係止部材66を装置本体2の上面から容易に埋没させることができ、係止部材66と側方突出部材15,16または中央突出部材35,36との係合状態を容易に解除することができる。

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る避難支援装置が設置された飲食店の概略平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る避難支援装置の概略平面図である。
【図3】図2に示す避難支援装置をメインコンベアと分岐コンベアとの間に配置し使用可能な状態にセッティングした状態を示す概略平面図である。
【図4】(a)は、図3のA−A断面図であり、(b)は、図4(a)のB部拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る避難支援装置の作動を説明するための断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る避難支援装置の断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る避難支援装置の断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る避難支援装置の断面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る避難支援装置の断面図である。
【図10】飲食物を搬送するコンベアを備えた従来の飲食店の概略平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 避難支援装置
2 装置本体
2c,2d 端面
4a,4b 搬送面
11a,11b,31 仕切手段
15,16,35,36 突出部材
13,14,33,34 付勢手段
50 キャスター
60 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を搬送するコンベアを備えた飲食店に設置され、前記コンベアとの組み合わせにより飲食物の循環搬送路を形成することができる避難支援装置であって、
飲食物の搬送面を上面に有する装置本体と、
前記装置本体を前記搬送面の搬送方向に対して直交する方向に移動させるキャスターと、
前記搬送面の搬送方向に沿って前記装置本体の上面に設けられ、先端部が前記装置本体の端面から前記搬送面の搬送方向外方に突出する突出部材を備える仕切手段と、
前記突出部材を突出した状態で固定する固定手段とを備え、
前記仕切手段は、前記固定手段の固定解除操作により、前記突出部材の先端部を前記装置本体の端面より内方に移動させる付勢手段を備えていることを特徴とする避難支援装置。
【請求項2】
前記突出部材は、前記コンベアとの間で搬送される飲食物を案内するガイド部材を備えており、
前記ガイド部材は、一端側が前記突出部材に回転可能に支持されている請求項1に記載の避難支援装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記突出部材と係合する係止部材と、
前記係止部材を前記装置本体の上方に突出させた状態で支持する支持手段とを備え、
前記固定手段の固定解除操作により、前記係止部材が前記装置本体の上面から埋没するように構成されている請求項1又は2に記載の避難支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−143367(P2006−143367A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333591(P2004−333591)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(592058359)
【Fターム(参考)】