説明

部分伸縮変化ラッセルレース編地及びその製造方法

【課題】伸縮性のレース編地にさらに伸縮機能を付加する伸縮機能付加部を設けたものにおいて、伸縮機能や形状を適宜変化させることができ、体型補整機能を良好に発揮できるようにする。
【解決手段】ラッセル機により、地筬L1,L2により非弾性糸よりなる編目形成糸1と挿入糸2を導糸し、地筬L3により弾性糸3を導糸して、地編10の組織を編成し、柄筬により柄糸を導糸して任意の柄を構成し、地編の弾性糸とは別の弾性糸Y1,Y2,Y3を、複数枚の柄筬P1,P2,P3により導糸して挿入編成することにより、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部20を形成し、この弾性糸Y1,Y2,Y3を任意のコース位置で3ウエール以上に渡って横振り挿入し、経緯の少なくとも一方向において伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状を変化させるように編成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮性を有する経編地、特に女性用下着等の各種衣料に使用される部分伸縮変化ラッセルレース編地及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、ショーツ、ガードル、ブラジャー等のファンデーション、スリップ、キャミソール等のランジェリーその他の女性用下着、ボディスーツ、水着、レオタード等のスポーツウエアその他のアウター等の各種衣料においては、経編編成によるレース編地等の伸縮性を有する経編地の使用が多くなっている。
【0003】
かかる経編地において、その基本となる地編の組織を、鎖編糸と挿入糸によるサテン編、パワーネット編、デンビ編、チュール編あるいはメッシュ状の編組織にして、この編組織の編成に弾性糸を用いて編成することにより、編地全体に伸長性や伸縮性を付与し、これに柄筬による通常のレース柄やジャカード筬によるジャカードレース柄を付加して構成したものが一般的である。
【0004】
ところで、従来の前記伸縮性の経編地は、編地全体に弾性糸が挿入されて略一様な伸長性や伸縮力を有するものであり、この経編地を使用して作ったガードルやブラジャー等の衣類を着用した場合に、フィット性はある程度はよいものの、体型に応じて部分的に大きい伸長性を得ることができず、また伸縮力による体型補整機能にも乏しものであった。そのため、前記衣類の使用においては、部分的に大きい伸長性や伸縮力(パワー)を持たせて体型補整機能を発揮させるために、別の伸縮性生地を当て布等として縫製していた。
【0005】
しかしながら、別の伸縮性生地を当て布にして部分的に伸縮力を大きくした衣類は、当て布が存在する部分と存在しない部分との境界部に、厚みの違いによる段差があらわれ、それがアウターウエアの外側からも視覚でき、外観的体裁を著しく低下させるという問題があった。また縫合部が硬くなって肌触りが悪くなり、着用者に不快感を与えるという問題もあった。
【0006】
そのため、近年、レース編地等の伸縮性の経編地において、当て布を使用することなく、部分的に伸長性や伸縮力等の伸縮機能を高めることが提案されている。
【0007】
例えば 特許文献1には、非弾性糸と弾性糸とによりジャカード編される経編地からなる衣類において、伸縮力の強弱の要求に応じて、地編の表側に現れる編組織を切り替えによる組織変化により、さらには地編組織の変化とともに該地編の編成に使用する弾性糸として太い糸や2本揃えの糸を使用することにより、伸縮力の強い部分を形成し、この強い伸縮力の部分をカーブさせた帯状等のパターン形状とすることが提案されている。
【0008】
しかしながら、前記特許文献1の場合は、基本的に地編組織の変化により伸縮力に差をつけるものであるため、地編の編成に使用する弾性糸の糸使いを変えることにより伸縮力を強くすることはできても、伸長性の変化には限度があり、高伸縮性部分は低伸縮性部分に比してそれほど大きな伸長性、特にソフトで大きな伸長性を得ることができないものである。また、前記高伸縮性部分のパターンはカーブをするにしても一定幅での帯状をなすものでしかなく、部分的に締め付けが強くなり過ぎることもあり、体型補整機能上は充分に満足できるものとは言えない。
【0009】
さらに、本出願人においても、経編編成による伸縮性を有するレース編地として、所定幅の部分に伸縮性糸を追加的に挿入することにより、伸長性や伸縮力を強化した帯状の強化伸縮部を設けるとともに、この強化伸縮部を、編方向に対して衣類での使用態様に応じて所定のカーブや折れ曲がり等を少なくとも一部に有する形状にして、体型に応じた補整機能を持たせることを提案している(特許文献2)。
【0010】
しかし、この提案の編組織は、図16に例示するように、鎖編の非伸縮性糸101と該鎖編を結合する挿入糸102により基本組織を編成するとともに、編地全体に伸縮性を付与するための弾性糸103を各ウエールに沿って挿入した編地において、帯状の強化伸縮部120を形成するために、編地全体に挿入する地編110の弾性糸103とは別に追加の弾性糸Y’を地筬により導糸して所定部分に挿入するものである。すなわち、編方向の全長に渡って同幅で、かつ全長に渡って同じような伸長性や伸縮力を有するものであり、これらの伸縮機能の強弱あるいは形状を変化させるようにはなっていない。
【0011】
そのため、女性用下着等の衣類での使用においては、前記強化伸縮部の伸長性や伸縮力等の伸縮機能が体型に対して部分的に強くなりすぎることがあり、また、前記強化伸縮部の形状も過不足が生じることがあって、体型に応じたソフトな感触の伸縮機能が要求される場合等、使用上は充分に満足できないものであった。
【特許文献1】特許第3023354号公報
【特許文献2】特開2001−303414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなしたものであり、編地全体として伸縮性を有しかつ柄が構成された経編地で、衣類等の使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力(パワー)等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部を設けたものにおいて、この伸縮機能付加部の伸長性や伸縮力等の伸縮機能や形状を適宜変化させたものとすることができ、伸縮機能をソフトに構成することも容易なラッセルレース編地、及び該レース編地を得るための製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地は、ラッセル機により編成され、1枚以上の地筬により導糸される非弾性糸と、他の1枚以上の地筬により導糸される弾性糸とにより地編が編成されるとともに、柄筬により導糸される柄糸により任意の柄が構成されてなる経編地において、前記地編の弾性糸とは別に追加の弾性糸が複数枚の柄筬により導糸されて挿入編成されることにより、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部が形成されており、該伸縮機能付加部の前記追加の弾性糸が3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含んでなることを特徴とする。特に、前記伸縮機能付加部は、使用上の要求に応じて、経緯の少なくとも一方向において伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状が変化せしめられてなるものである。
【0014】
このレース編地によれば、伸縮機能付加部を構成するために挿入される追加の弾性糸が、地編組織を編成する地筬とは別の柄筬により導糸されて挿入編成されるものであるため、この追加の弾性糸の横振り幅を地編組織とは関係なく任意に変化させるように編成でき、他の地編部分より伸縮機能を増大させるための該伸縮機能付加部の伸縮機能や形状を使用上の要求に応じて変化させることが問題なく可能になり、特に、段階的に変化させたり、部分的に例えば緯方向に大きな伸長性を得ることも可能になる。そのため、女性用下着あるいはアウター等の衣類での使用において、体型に対応した伸縮機能付加部を形成でき、良好な体型補整機能を発揮できるものとなる。さらに、前記伸縮機能付加部を構成する追加の弾性糸が3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含むように編成されることにより、部分的に例えば緯方向に大きな伸長性やソフトな伸縮性を保有させることができる。また、前記伸縮機能付加部の形状の変化を利用して、一種の柄効果を呈するものとすることができる。
【0015】
前記伸縮機能付加部においてソフトな伸縮性が求められる部分では、柄筬により導糸される前記追加の弾性糸が、該伸縮機能付加部の最大幅のウエール数より少ない本数よりなり、かつ少なくとも一部においてウエール間の横振り部分同士の重なりが生じないように挿入編成されてなるものとすることができる。これにより、伸縮機能付加部の中の必要な部分に例えば緯方向に大きな伸長性やソフトな伸縮性を付与することができる。
【0016】
前記のレース編地において、前記柄筬により導糸される前記追加の弾性糸が弾性カバーリング糸であるものが好ましい。これにより、前記追加の弾性糸が表面に現れることになっても、問題なく染色でき、風合いも良好で、女性用下着等の衣類での使用が問題なく可能になる。
【0017】
前記のレース編地において、ジャカード筬を備えるラッセル機により編成され、前記地編の弾性糸に加えて、さらに別の弾性カバーリング糸がジャカード筬により挿入されることにより、地編部分がネット状又は無地状に形成されて、経緯の伸縮性が付与されてなるものとすることができる。
【0018】
前記のレース編地において、前記伸縮機能付加部が、編方向に連続もしくは一部で断続して延びる帯状、小柄模様の集合の繰り返しもしくは連続状、又は幾何学柄の少なくとも一種をなすように形成されてなるものとすることができる。
【0019】
また、本発明は、前記の部分伸縮変化ラッセルレース編地の製造方法として、ラッセル機により、1枚以上の地筬により非弾性糸を導糸し、他の1枚以上の地筬により弾性糸を導糸して、地編の組織を編成するとともに、柄筬により柄糸を導糸して任意の柄を構成するように編成する経編地の製造方法において、前記地編の弾性糸とは別に追加の弾性糸を複数枚の柄筬により導糸して挿入編成することにより、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部を形成するとともに、該伸縮機能付加部の前記追加の弾性糸を任意のコース位置で3ウエール以上に渡って横振り挿入して編成することを特徴とする。
【0020】
これにより、前記伸縮機能付加部を形成する前記追加の弾性糸の振り幅を、地編組織とは関係なく3ウエール以上に渡る横振り部分を含めて任意に変化させるように編成でき、他の地編部分より伸縮機能を強化するための該伸縮機能付加部の伸縮機能や形状を、使用上の要求に応じて変化させながら編成することが問題なく可能になる。すなわち、柄筬により導糸して挿入する前記追加の弾性糸の横振り幅や横振り位置の変化により、伸縮性を段階的に変化させたり、部分的に大きな伸長性を持たせることもできる。
【0021】
前記レース編地の製造方法において、前記伸縮機能付加部に柄筬により挿入する複数本の追加の弾性糸を、使用上の求めに応じて、任意のコース位置でそれぞれの横振り挿入の振り幅や振り位置を適宜変化させることにより、前記伸縮機能付加部の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は幅等の形状を変化させるように編成することができ、上記した効果を呈する経編地を問題なく得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地及びその製造方法によれば、基本的に伸縮性を有する経編地で、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を増大させるための伸縮機能付加部を、地編の弾性糸とは別に追加の弾性糸の挿入編成により形成したものにおいて、地編の組織を変更することなく、該伸縮機能付加部の伸縮機能の強弱や形状を、使用上の要求に応じて適宜変化させることができ、任意の伸縮機能を有しかつ任意の形状をなす伸縮機能付加部を形成できる。そのため、衣類等での使用においては、体型に適合した過不足のない伸縮機能を持たせることができる。また、部分的に大きな伸長性やソフトな伸縮性を付与することもでき、該伸縮機能付加部を体型にフィットさせ易く、かつ体型補整の効果をさらに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の1実施例の部分伸縮変化ラッセルレース編地を示す一部の略示平面図である。図2は同上のレース編地の一部の編組織図である。図3は同上の編組織の一部の柄糸導糸用の柄筬を除く各筬の分解したラッピング状態の組織図である。
【0025】
本発明にかかるレース編地Aは、地編を編成する地筬とは別に柄編成のための複数枚の柄筬を備えるラッセル機、特には数十枚の柄筬、多い場合は90枚を越える多数枚の柄筬を備える所謂マルチバーラッセル機により編成される。あるいは、前記の他にジャカード装置により運動が制御される少なくとも1枚のジャカード筬を備えるマルチバーラッセル機により編成される。
【0026】
すなわち、本発明のレース編地Aは、前記のラッセル機により、基本的に1枚以上の地筬により非弾性糸が導糸され、他の1枚以上の地筬により弾性糸が導糸され、さらに複数枚の柄筬により所要数の柄糸が導糸されて、図1のように編地全体として伸縮性を有する地編10が編成されるとともに、任意の柄12を構成するように編成される。そして、前記レース編地Aの使用上において求められる所定の部分に、前記地編10の弾性糸とは別に追加の弾性糸が、前記柄糸を導糸する柄筬を除く他の複数枚の柄筬により導糸されて横振り挿入されることにより、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする(他部分に対し緯方向の伸縮機能を増大させる)伸縮機能付加部20が形成されている。
【0027】
図2は前記レース編地Aの編組織の1例を示している。この図2の例では、1枚の地筬L1によりで導糸される非弾性糸よりなる鎖編等をする編目形成糸1と、他の1枚の地筬L2により導糸される非弾性糸よりなる挿入糸2とにより、無地状の地編10の基本の組織が編成されるとともに、この地編10の基本組織に対して、他の1枚の地筬L3により導糸されるポリウレタン繊維等の弾性糸3が、編地全体の各ウエールWに対し該ウエールに沿って挿入編成されることにより、編地全体として少なくとも経方向に伸縮性を有する地編10が編成されている。さらに、この図2では図示を省略しているが、従来の柄編成と同様に、前記のように2枚以上の柄筬、好ましくは数十枚あるいはそれ以上にもなる多数枚の柄筬により、柄に応じた所定部分に導糸される複数本(通常、数十本)の柄糸により、任意の柄(図1参照)を形成するように編成される。
【0028】
そして、前記のレース編地Aにおいて、衣類等の使用上において求められる所定の部分に、編地全体に配される地編10の弾性糸3とは別に、これに追加して、弾性カバーリング糸等の弾性糸Y、例えば図2のように3本の弾性糸Y1,Y2,Y3が、それぞれ多数枚の柄筬のうちの柄糸を導糸するものを除く他の複数枚の柄筬P1,P2,P3により1本ずつ個別に導糸されて、3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含むように横振り挿入されて編成されることにより、伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部20が形成されている。この伸縮機能付加部20は、前記追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3)の横振り挿入により、他の地編の生地部分に対して主として緯方向の伸長性や伸縮力等の伸縮機能を増大させることになる。
【0029】
また、図3は、前記レース編地Aをジャカード筬L2を備えるマルチバーラッセル機により編成する場合を分解して示している。この図3においても、多数枚の柄筬のうちの柄糸を導糸する柄筬を省略して図示している。
【0030】
図3の場合、1枚の地筬L1により導糸される非弾性糸よりなる編目形成糸1の組織に対し、ジャカード筬L2により導糸される非弾性糸よりなる挿入糸2が、ジャカード制御されながら横振り挿入されることにより、無地状あるいはネット状やメッシュ調等の地編10の基本となる組織が編成されるとともに、さらに、他の地筬L3により導糸されるポリウレタン糸等の弾性糸3が、前記基本組織の各ウエールに沿って挿入されることにより、編地全体として経方向に伸縮性を有する地編10が編成される。また、図示していないが、従来同様に多数枚の柄筬により柄糸が導糸されて所望の柄が形成される。
【0031】
なお、前記の基本組織の編成において、前記ジャカード筬L2による挿入糸2の挿入形態を、ジャカード制御により変化させることにより、大小のネット状、あるいは穴孔、薄地、厚地等の組合せによるジャカードレース柄を形成することができる。前記地筬L3の弾性糸3についても、図3の組織には限らず、図4(a)又は(b)に例示するように、所要のコースで横振りする組織での編成も可能である。図4の組織の場合、編成される編地は緯方向の伸縮性をも有するものになる。前記地筬L3の弾性糸3は、基本的には前記柄筬より後側に配される地筬により導糸されて編成される。
【0032】
そして、前記のように編成されるレース編地Aにおいて、衣類等の使用上において求められる所定の部分に、編地全体に配される地編10の弾性糸3とは別に、これに追加して、弾性カバーリング糸等よりなる複数本の弾性糸Y1,Y2,Y3が、多数枚の柄筬のうちの柄糸を導糸する柄筬を除く複数枚、例えば図のように3枚の柄筬P1,P2,P3により導糸されて、前記地編10の組織に対し3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含むように横振り挿入されて編成されることにより、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を地編10のみの他部分とは異にする伸縮機能付加部20が形成されることになる。この場合も、前記伸縮機能付加部20は、前記追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3)の横振り挿入により、主として他部分に対して緯方向の伸長性や伸縮力等の伸縮機能を増大させるとともに、その振り幅や振り位置を適宜変化させることにより、該伸縮機能付加部20の伸縮機能や形状を部分的に異ならせることができる。
【0033】
本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地Aにおいては、前記伸縮機能付加部20を形成する前記追加の弾性糸Y、すなわち複数枚の柄筬P1,P2,P3により導糸される複数本の追加の弾性糸Y1,Y2,Y3について、それぞれ編方向の所要のコースにおいて3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含むように、さらに好ましくは、ソフトな伸縮性が求められる部分では、柄筬により導糸される前記追加の弾性糸Y1,Y2,Y3が、該伸縮機能付加部20の最大幅のウエール数より少ない本数よりなり、かつ少なくとも一部において同一コース及び隣接コースとの間でウエール間の横振り部分同士の重なりが生じないように挿入編成されている。これにより、部分的に、例えば緯方向の伸長性を大きく且つ緊迫力を小さくされ、ソフトな伸縮機能を呈するものとなる。
【0034】
例えば、前記追加の各弾性糸Y1,Y2,Y3について、ウエール方向において毎コース横振りさせるのではなく、後述する図9や図12の編組織の例に示すように、ウエール方向に横振り部分同士の間に1コース以上、好ましくは1〜5コース程度の間隔を空けて横振りさせるようにして、該横振り部分の密度を小さくすることにより、前記のようにソフトな伸縮機能を有するものとすることができる。
【0035】
したがって、前記複数の追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3)それぞれの横振り幅、横振り位置、ウエール間の横振り部分の間隔や重なり等の変化や組み合わにより、前記伸縮機能付加部20の伸縮機能及び/又は形状を経緯の少なくとも一方向において変化させることができ、そのため、使用上の要求に対応したものとなるように構成できることになる。特には、前記伸縮機能付加部20の伸縮機能や形状を段階的に変化せしめることもできる。
【0036】
すなわち、前記追加の弾性糸Y1,Y2,Y3については、それぞれ別の柄筬P1,P2,P3により導糸して編成することにより、各柄筬P1,P2,P3の運動、つまり編針列に沿う方向のショグ運動を適宜制御することにより、その横振り挿入の振り幅および振り位置をコース毎に任意に設定できる。例えば、振り幅については、1ウエールに沿って横振りせずに挿入する場合、隣接する2ウエールに渡って横振り挿入する場合、3ウエールあるいはそれ以上に渡って横振り挿入する場合等をコース毎に適宜選択でき、またその振り位置についてもコース毎に設定し変化させることができる。
【0037】
そのため、前記追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3)のそれぞれの挿入状態の変化、つまり振り幅や振り位置等の変化を適宜組み合わせることにより、前記伸縮機能付加部20の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は幅等の形状を、使用態様に適応するよう任意に、かつ必要に応じて段階的に変化させることができる。形状については実質的に無段階に変化させることもできる。
【0038】
例えば、伸長性や伸縮力等の伸縮機能については、前記追加の弾性糸Yの横振り幅が大きくなるほど編幅方向の伸長性が増し、また隣接するウエール間でのウエール間の横振り部分の重なりが少ない(間隔が大きい)ほどソフトな伸縮性が得られる。また、横振り挿入の密度が低い場合ほどソフトな伸縮性が得られる。従って、図2や図3にも示すように、特にソフトな伸縮性が求められる部分では、前記追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3)を、前記伸縮機能付加部20の最大幅のウエール数よりも少ない本数にして、ウエール間の横振り部分の重なりが生じないようにウエール方向の1コース以上の間隔を空けて挿入編成し、横振りの挿入の密度を低くすればよい。また、強い伸縮力が求められる部分では、前記ウエール間の横振り部分の重なりを多くするか、あるいは横振り挿入の密度を高くすればよい。
【0039】
前記追加の弾性糸Yの本数は、得ようとする伸縮機能等に応じて適宜設定できるが、特にソフトな伸縮性が求められる部分では、前記伸縮機能付加部20の最大幅のウエール数よりも少ない本数がよく、好ましくは前記最大幅のウエール数の2/3より少ない本数、さらに好ましくは1/2よりも少ない複数本とするのがよい。
【0040】
また、前記伸縮機能付加部20の形状については、略一定幅で編方向に連続もしくは一部で断続して延びる帯状のほか、大きくカーブした帯状、波形状やジグザグ状に屈曲した帯状、さらにこれらの帯状で幅を変化させたもの、小柄模様の集合の繰り返しもしくは連続状をなすもの、又は幾何学柄をなすもの等、種々の形状に形成できる。なお、前記の伸縮機能をこの形状の変化に対応して種々変化させることができる。
【0041】
図5、図6、図7、図9、図11は、それぞれ伸縮機能及び/又は形状を変化させた伸縮機能付加部20の例を略示的に示している。これらいずれも伸縮力の違いを濃淡であらわし、濃い部分のほうが伸縮力の強い部分を示している。
【0042】
例えば、図5においては、地編10の部分より伸縮機能を増大させた前記伸縮機能付加部20の形状を変化させた場合を示している。図6は、前記伸縮機能付加部20を、略同じ伸縮機能を有する3条の帯状部分20a,20b,20cに分離して並列させ、かつ各帯状部分20a,20b,20cを編方向に断続させるように編成して、全体として帯状に構成した場合を示している。図7は、図6中の破線で囲んだ部分の追加の弾性糸Y(Y1,Y2;Y3,Y4;Y5,Y6)の柄筬P1,P2,P3,P4,P5,P6によるラッピング組織組織を示し、前記各帯状部分20a,20b,20cを、それぞれ2本の追加の弾性糸Y(Y1,Y2;Y3,Y4;Y5,Y6)により構成するとともに、該弾性糸Yを横振りせずに同一ウエールに沿って挿入することにより編方向に断続させている。
【0043】
図8は、前記伸縮機能付加部20を編方向に連続する帯状にして、その中で部分的に伸長性や伸縮力等の伸縮機能を段階的に変化させた場合を示している。すなわち、最も伸縮力の強い部分21a、次に伸縮力の強い部分21b、伸縮力の弱い部分(ソフトな部分)21cの3段階に変化させるともとに、その形状を変化させた場合を示している。図9は図8中の破線で囲んだ部分の追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3,Y4)の柄筬P1,P2,P3,P4によるラッピング組織を示し、最も伸縮力の強い部分21aでは弾性糸Y3を毎コース横振りすることにより横振り挿入の密度を高くし、次に伸縮力の強い部分21bでは前記弾性糸Y2,Y3を2コース毎に横振りし、さらに伸縮力の弱い部分21cでは前記弾性糸Y1,Y3,Y4等を3コース毎に横振りするようにして、横振り挿入の密度を変化させ、さらに各弾性糸Y(Y1,Y2,Y3,Y4)の横振り幅や振り位置を変化させている。
【0044】
図10は、星形の小柄模様22a,22bを2列の連続状に形成することにより、実質的に帯状をなす伸縮機能付加部20を構成した場合を示している。
【0045】
図11は前記伸縮機能付加部20を幾何学柄をなすように構成した場合を示している。また、図12は図11中の破線で囲んだ部分の追加の弾性糸Y(Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6)の柄筬P1,P2,P3,P4,P5,P6によるラッピング組織を示し、該弾性糸を毎コース横振りする部分と、2コース毎に横振りする部分とにより伸縮力に強弱をつけている。
【0046】
このようにして前記伸縮機能付加部20の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/形状を、ブラジャー及びショーツやガードル等の女性用下着その他の各種の衣類での使用態様において、体型に応じた形状をなしてかつ伸長性や伸縮力等の伸縮機能を有するものとすることができる。
【0047】
例えば、前記レース編地Aにより図13に示すブラジャーを作成する場合において、前記伸縮機能付加部20を、カップ部15の下縁に沿ったカーブ形状に形成するとともに、該伸縮機能付加部20の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状をバストの形態に応じて変化させることができる。これにより、良好なバストアップ機能を発揮することができる。また、この伸縮機能付加部20の伸縮力を利用することにより、別生地を縫着する場合の段差をなくすことができる。また、ブラジャーの締め付け布の部分16にも前記の伸縮機能付加部20を設定することができる。
【0048】
また、図14の(a)や(b)のように、前記レース編地Aによりショーツやガードルを作成する場合において、そのヒップ部17の下部に相当するラインに沿って所定のカーブをなし、さらに腰脇部18に向かって延びる形状の伸縮機能付加部20を形成するとともに、該伸縮機能付加部20の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状をヒップの形態に応じて変化させることができる。これにより、ヒップの体型に適応した良好なヒップアップ機能を持たせることができる。
【0049】
前記のレース編地Aにおいて、前記伸縮機能付加部20の構成のために柄筬により導糸される追加の弾性糸Yとしては、種々の弾性糸を用いることができるが、実施上は、該弾性糸が柄糸と同様に編地の表側に現れることから、各種の弾性カバーリング糸、例えばポリウレタン糸を芯糸にしてナイロン加工糸を2重にカバーリングした弾性カバーリング糸ヶ好適に用いられる。
【0050】
また、地編10の組織を編成する非弾性糸としては、ナイロン糸その他の各種の合成繊維糸あるいはウール、絹、綿等の天然繊維糸を使用できる。地編の弾性糸3としては、ポリウレタン糸等の各種の弾性糸を使用できる。糸の繊度については、編地の用途に応じて適宜設定できる。
【0051】
上記したレース編地Aは、多数枚の柄筬を備えるマルチバーラッセル機、あるいはジャカード筬を備えるマルチバーラッセル機により、上述したように図3に例示する組織のように編成する。
【0052】
すなわち、少なくとも1枚の地筬L1により非弾性糸よりなる編目形成糸1を主としてオールインで導糸して所要コース毎に左右交互に隣接ウエールに移行させて編目形成する編成を繰り返して各ウエールの編目列を編成し、他の1枚の地筬、例えばジャカード筬L2により非弾性糸よりなる挿入糸2を主としてオールインで導糸して、前記編目列に対して所要コース毎に横振り挿入して編成することにより、無地あるいはメッシュ調等の地編10の基本の組織を編成する。さらに、他の地筬L3によりポリウレタン糸等の弾性糸3を主としてオールインで導糸して、前記基本組織の各ウエールWに沿って挿入することにより、編地全体として経方向に伸縮性を有する地編10を編成する。同時に、従来同様に多数枚の柄筬(図示省略)により必要な本数の柄糸を所要数本(例えば1本)ずつ導糸して所望の柄を形成する。
【0053】
さらに、前記地編10の編成と同時に、衣類等の使用上において求められる所定の部分において、弾性カバーリング糸よりなる複数本、例えば3本の追加の弾性糸Y1,Y2,Y3を、前記柄糸を導糸する柄筬を除く3枚の柄筬P1,P2,P3により各々導糸して、地編の組織に対して横振り挿入することにより、主として縦方向の伸縮性を有する他部分に対し緯方向の伸長性や伸縮力等の伸縮機能を異にする伸縮機能付加部20を形成する。特に、この追加の弾性糸Y1,Y2,Y3の編成において、それぞれ編方向の任意のコースで3ウエール以上に渡って横振り挿入させるとともに、少なくとも一部の部分でウエール間の横振り部分の重なりが生じないように挿入編成し、さらにこの複数の追加の弾性糸Y1,Y2,Y3それぞれの横振り挿入の振り幅、振り位置等を組み合わせて変化させることにより、該伸縮機能付加部20の伸縮機能及び/又は形状を、経緯の少なくとも一方向において変化させる。これにより図5〜図12に示す種々の形態の伸縮機能付加部20を形成できる。
【0054】
こうして得られたレース編地Aは、前記伸縮機能付加部20の伸縮機能や形状を使用上の要求に応じたものとすることができ、特に、段階的に変化させたり、部分的に大きな伸長性を得ることもできるため、図13のようなブラジャー、図14のようなショーツやガードル等の女性用下着等の使用において、体型に対応した伸縮機能付加部20を形成でき、良好な体型補整機能を発揮できるものとなる。
【0055】
なお、前記の地編10の基本組織としては、図示する実施例のものに限らず、サテン編、デンビ編、プレーンコード編等の種々の編組織による実施が可能である。また組織を変化させることも可能である。
【0056】
また、前記の編成において、前記地編10のウエールに沿って挿入される弾性糸3に加えて、さらに別の筬、例えばジャカード筬L2により弾性カバーリング糸を横振り挿入することにより、地編10の部分がネット状又は無地状に形成できて、かつ編地全体に縦横の伸縮性を付与できることになる。
【0057】
さらに、一つのレース編地Aの中に、幅方向に間隔をおいて複数個所の同形の伸縮機能付加部20を形成することもでき、この場合、前記追加の弾性糸をその形成位置に合わせて柄筬により導糸して上記同様に編成すればよい。
【0058】
(実施例)
ジャカード筬を備えるラッセル機を用い、地筬L1に44dtex/51fのナイロン糸を使用して、0,2/2,0/・・・の鎖編組織で編成し、またジャカード筬L2に44dtexのポリウレタン糸を芯糸にして、17dtex/6fのナイロン加工糸を2重巻きした弾性カバーリング糸を使用して、4,4/0,0/・・・のように、隣接ウエールに移行して次のコースで元に戻るジャカードの薄地組織で挿入編成し、バック筬L3に130dtexのポリウレタン糸を使用して、2,2/0,0/・・・の経挿入の組織で地編を編成した。そして、前記の地編の生地部とは別に、伸縮機能付加部として、78dtexのポリウレタン糸を芯糸にして、22dtex/6fのナイロン加工糸を2重巻きした弾性カバーリング糸を柄筬に使用し、第1部分では、図15の(a)の組織、すなわち20,20/0,0/・・・のように10ウエール横移動を繰り返す組織にし、第2部分では、図15の(b)の組織、すなわち20,20/0,0/0,0/20,20/・・・のように、10ウエール横移動し、同一ウエールを1コース上がった後、元のウエール位置に10ウール横移動する組織にし、さらに第3部分では、図15の(c)の組織、すなわち20,20/18,18/20,20/20,20/0,0/0,0/2,2/0,0/・・・のように、10ウエール横移動し、経方向に3コース上がった後、元のウエール位置に10ウエール横移動する組織にして、複数の柄筬で8ウエールずつ間隔を空けて挿入して編成した。こうして得られた編地の前記生地部と、伸縮機能付加部の第1部分、第2部分及び第3部分のそれぞれについて、経緯の伸長性試験を行い、伸長率及び緊迫力を測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0059】
(比較例)
比較のために、地編を前記実施例と同じ糸使い同じ組織で編成するとともに、伸縮機能付加部として、前記実施例と同様の弾性カバーリング糸を1枚の地筬にオールインで使用し、2,2/0,0/・・・の経挿入の組織で編成した。こうして得られたレース編地の伸縮機能付加部についても、経緯の伸長性試験を行い、伸長率及び緊迫力を測定した。その結果を下記の表1に併せて示す。
【0060】
伸縮性試験方法
上記実施例のレース編地の生地部と伸縮機能付加部、及び比較例のレース編地について、それぞれ幅2.5cm、長さ16cmに裁断し、得られた試料を、テンシロン型引張試験機に引張間隔10cmで取り付け、引張、弛緩速度を10cm±1cm/minに設定して引張試験を行った。伸長率は、試料の伸長量÷10(元の引張間隔)×100で算出した。また、緊迫力は、80%伸長を3回繰り返した後の弛緩30%の値とした。
【表1】

【0061】
上記から明らかなように、本発明による伸縮機能付加部は、伸縮機能を段階的に変化させることができ、特に緯方向の伸長性が大きく、且つ緊迫力も大きくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地は、ショーツ、ガードル、ブラジャー等のファンデーション、スリップ、キャミソール等のランジェリーその他の女性用下着、スポーツウエアやアウター等の各種衣料に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の1実施例の部分伸縮変化ラッセルレース編地を示す一部の略示平面図である。
【図2】同上のレース編地の一部の編組織図である。
【図3】同上の編組織の一部の柄糸導糸用の柄筬を除く各筬の分解した組織図(ラッピング図)である。
【図4】(a)(b)のそれぞれ地筬L3により導糸する弾性糸の挿入形態の他の例を示す組織図である。
【図5】本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地の伸縮機能付加部を1例を示す略示平面図である。
【図6】本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地の伸縮機能付加部の他の例を示す略示平面図である。
【図7】同上の伸縮機能付加部を形成する第2の弾性糸の組織図である。
【図8】本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地の伸縮機能付加部のさらに他の例を示す略示平面図である。
【図9】同上の伸縮機能付加部を形成する第2の弾性糸の組織図である。
【図10】本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地の伸縮機能付加部のさらに他の例を示す略示平面図である。
【図11】本発明の部分伸縮変化ラッセルレース編地の伸縮機能付加部のさらに他の例を示す略示平面図である。
【図12】同上の伸縮機能付加部を形成する第2の弾性糸の組織図である。
【図13】同上の部分伸縮変化ラッセルレース編地のブラジャーでの使用例を示す略示斜視図である。
【図14】(a)(b)のそれぞれ同上の部分伸縮変化ラッセルレース編地のショーツでの使用例(a)とガードルでの使用例(b)を示す略示斜視図である。
【図15】(a)(b)(c)のそれぞれ実施例中の追加の弾性糸の第1部分(a)、第2部分(b)及び第3部分(c)の組織を示す図である。
【図16】従来の伸縮機能付加部を設けたラッセルレース編地の一部の編組織図である。
【符号の説明】
【0064】
A…レース編地、1…編目形成糸、2…挿入糸、3…地編の弾性糸、Y(Y1,Y2,Y3,Y4,Y5,Y6)…追加の弾性糸、L1…編目形成糸を導糸する地筬、L2…挿入糸を導糸する地筬(ジャカード筬)、L3…弾性糸を導糸する地筬、P1,P2,P3,P4,P5,P6…伸縮機能付加部を形成する追加の弾性糸を導糸する柄筬。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッセル機により編成され、1枚以上の地筬により導糸される非弾性糸と、他の1枚以上の地筬により導糸される弾性糸とにより地編が編成されるとともに、柄筬により導糸される柄糸により任意の柄が構成されてなる経編地において、
前記地編の弾性糸とは別に追加の弾性糸が複数枚の柄筬により導糸されて挿入編成されることにより、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部が形成されており、該伸縮機能付加部の前記追加の弾性糸が3ウエール以上に渡る横振り挿入部分を含んでなることを特徴とする部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項2】
前記伸縮機能付加部は、使用上の要求に応じて、経緯の少なくとも一方向において伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状が変化せしめられてなる請求項1に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項3】
前記伸縮機能付加部においてソフトな伸縮性が求められる部分では、柄筬により導糸される前記追加の弾性糸が、該伸縮機能付加部の最大幅のウエール数より少ない本数よりなり、かつ少なくとも一部においてウエール間の横振り部分同士の重なりが生じないように挿入編成されてなる請求項1又は2に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項4】
柄筬により導糸される前記追加の弾性糸が弾性カバーリング糸である請求項1〜3のいずれか1項に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項5】
ジャカード筬を備えるラッセル機により編成され、前記地編の弾性糸に加えて、さらに別の弾性カバーリング糸がジャカード筬により挿入されることにより、地編部分がネット状又は無地状に形成され、経緯の伸縮性が付与されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項6】
前記伸縮機能付加部が、編方向に連続もしくは一部で断続して延びる帯状、又は小柄模様の集合の繰り返しもしくは連続状、又は幾何学柄の少なくとも一種をなすように形成されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地。
【請求項7】
ラッセル機により、1枚以上の地筬により非弾性糸を導糸し、他の1枚以上の地筬により弾性糸を導糸して、地編の組織を編成するとともに、柄筬により柄糸を導糸して任意の柄を構成するように編成する経編地の製造方法において、
前記地編の弾性糸とは別に追加の弾性糸を、複数枚の柄筬により導糸して挿入編成することにより、使用上において求められる部分に、伸長性や伸縮力等の伸縮機能を他部分とは異にする伸縮機能付加部を形成するとともに、該伸縮機能付加部の前記追加の弾性糸を任意のコース位置で3ウエール以上に渡って横振り挿入して編成することを特徴とする部分伸縮変化ラッセルレース編地の製造方法。
【請求項8】
前記伸縮機能付加部に柄筬により挿入する複数本の追加の弾性糸を、求められる伸縮機能に応じて、任意のコース位置でそれぞれの横振り挿入の振り幅や振り位置を適宜変化させることにより、前記伸縮機能付加部の伸長性や伸縮力等の伸縮機能及び/又は形状を変化させるように編成する請求項7に記載の部分伸縮変化ラッセルレース編地の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate