説明

部分硫化ペロブスカイト型ABO3―xSx酸化物粉末

【課題】 可視光動作型光触媒として有用であるABOペロブスカイト型酸化物(A=Sr,Ba、B=Ti,Zr)の部分硫化物、及びその製造方法を提供する。【解決手段】 水熱合成法で作成したABOペロブスカイト型酸化物を、含イオウ硫化物との反応により、硫化物が生成し始める温度(例えば400℃)以下において得られる部分硫化ペロブスカイト型酸化物ABO3−xで、好ましくは水熱合成法で作成されたABOペロブスカイト型酸化物は、AサイトがBaまたはSrで、BサイトがTiまたはZrである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物光触媒に関し、特に可視光領域で応答する部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光触媒の可視光動作化の研究が盛んになされている。これまでに、種々の可視光動作型光触媒物質が提案されているが、ほとんどは酸化チタンに関するものである。本発明において対象とするペロブスカイト型チタン複合酸化物は酸化チタンと同様なバンドギャップを有しているが、それらの光触媒性能についてはよく知られていない。また、チタンと同族の、ジルコニウム複合酸化物については、チタンの場合よりバンドギャップが大きく、光触媒性については研究されていなかった。
【0003】
酸化チタンの場合、その結晶構造を保持したまま酸素サイトの一部をイオウと置換することにより、光触媒能が向上する(例えば、特許文献1参照)。その製造方法としては、たとえば、ターゲットとして、Ti(チタン)、TiO(酸化チタン)あるいはTiS(硫化チタン)を用い、SO(二酸化イオウガス)、CS(二硫化炭素ガス)あるいはHS(硫化水素ガス)とO(酸素ガス)と不活性ガス(例えばAr)との混合ガ中でスパッタリングして、部分硫化酸化チタン薄膜を形成する方法が知られているが、この方法では、部分硫化酸化チタンを安価に作製することが困難であり、また、粉末状の部分硫化酸化チタンを作製することも困難であった。
【0004】
その他にも、光触媒の可視光動作化を図るため、酸化チタンにイオウを残留させる方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。しかしながら、これらの方法で作製した酸化チタンに残留しているイオウは、いずれも硫酸イオン(SO2−)の形であり、得られるものは、部分硫化酸化チタンとは異質であり、そのため、これらの方法で作製した物質の光触媒性能は、不十分なものであった。
【0005】
また、本発明者等は、含イオウ化合物を用いた低温硫化反応により酸化チタンの酸素の一部をイオウと置換させて部分硫化酸化チタンを製造する新たな方法を見出し、良好な光触媒性能が得られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
従来、このような低温硫化反応では、硫化物やオキシ硫化物は生成せず、硫化が不十分な不純物とみなされる化合物が生成するのみであり、低温硫化により生成する化合物の構造や物性はこれまでほとんど研究されていなかった。
【0007】
一方、硫化物の製造方法としては、従来、以下の二つの方法が主に研究されてきた。一つは、金属をイオウそのものと高温で反応させる方法である。もう一つは、非金属元素を含む化合物(例えば酸化物)を、還元剤を含む硫化剤(例えば硫化水素や二硫化炭素といった含イオウ化合物)と高温で反応させて非金属元素(例えば酸素)を除き、非金属元素を完全にイオウと置換させる方法である。
【特許文献1】特開2001−205103号公報
【特許文献2】特開2000−210571号公報
【特許文献3】特開2002−193618号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来研究されていなかった、可視光動作型光触媒として有用であるABOペロブスカイト型酸化物を、含イオウ化合物による低温硫化反応を利用して部分硫化した粉末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、二硫化炭素等の含イオウ化合物を用いたABOペロブスカイト型酸化物の部分硫化反応を、反応温度を変化させて詳細に調べることにより、通常、硫化物が生成し始める温度(例えば500℃以上)より低い100℃から400℃の範囲でも、イオウがABOペロブスカイト型酸化物内に入り込み、母相のABOペロブスカイト型酸化物の構造を保ちながら、部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物を生成することを新たに見出した。
【0010】
また、本発明の場合、市販のABOペロブスカイト型酸化物を用いたときは、低温では硫化は進行せず、硫化物生成温度が600℃以上と高くなる。本発明には、出発原料として、水熱合成したペロブスカイト酸化物が好適で、出発物資に残留水酸化物が含まれることにより、100℃以上の反応時に残留水が乖離した欠陥部にイオウが置換する硫化反応が可能となり、部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物が得られる(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】国枝武久、守山史郎、「水熱合成チタン酸バリウムの粉体特性」、日本化学工業株式会社、CREATIVE−技術報告書:No.5(2004)、67−77。
【0011】
この場合、母相はABOペロブスカイト型酸化物であり、イオウは部分的に付着しているか、格子上の酸素と一部置換しているか、あるいは結晶構造の格子内に入り込んで遷移金属元素や酸素と結合している状態にある。この状態の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物は、特異な光学特性を示し、従来にない光機能を発現し、また、可視光動作型光触媒として有用である。
【0012】
なお、本発明の方法では、ABOペロブスカイト型酸化物は、AサイトがBaまたはSrで、BサイトがTiまたはZrであることが好適であるが、基本的に遷移金属化合物一般の部分硫化に適用可能である。その際、反応温度ならびに反応種を適宜選択することにより、生成する部分硫化物の硫化度ならびに構造を制御することができる。また、目的とする化合物の種類と含イオウ化合物の種類ならびに温度等の反応条件を適宜選択することか可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、可視光動作型光触媒として有用である部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物を、安価に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ペロブスイト型複合酸化物の部分硫化法に関する基礎的な検討のため、水熱合成法により調製したABO(A=Ba,Sr、B=Ti,Zr)ナノ粒子を石英反応管内において、窒素およびCS混合雰囲気にて100℃から500℃までの温度で硫化処理を行った。混合ガスの窒素およびCS流量は、それぞれ窒素が50ml/minとCSが5ml/minである。
【0015】
表1には、各処理温度において得られた試料の色を示した。未処理の場合には白色であるが、低温硫化処理により、発色し、処理温度が高くなると、吸収が短波長から長波長側へ変化していく様子がわかる。また、実施の形態では、含イオウ化合物として、二硫化炭素のみを示したが、硫化水素をはじめとする他の含イオウ化合物の適用が可能である。
【0016】
【表1】

【0017】
図1に、各処理温度において得られたBaTiO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図を示す。何れの場合にもBaTiOに相当するピーク(2点鎖線)がみられ、立方晶のBaTiO構造をとっていることが分かる。処理温度の増加とともにこれらのピークはシャープになり、500℃ではピークが最もシャープになっている。また、500℃において処理した試料では、BaTiSに相当するピークが僅かに見られ、硫化物相が成長し始めているのがわかる。
【0018】
図2に、各処理温度において得られたSrTiO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図を示す。何れの場合にもSrTiOに相当するピーク(2点鎖線)がみられ、立方晶のSrTiO構造をとっていることが分かる。処理温度の増加とともにこれらのピークはシャープになり、500℃ではピークが最もシャープになっている。また、この場合、500℃において処理した試料については、SrTiSに相当するピークは見られず、硫化物相は同定されなかった。
【0019】
図3に、各処理温度において得られたBaZrO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図を示す。何れの場合にもBaZrOに相当するピークがみられ、立方晶のBaZrO構造をとっていることが分かる。処理温度の増加とともにこれらのピークはシャープになり、500℃ではピークが最もシャープになっている。また、この場合、500℃において処理した試料についても、BaZrSに相当するピークは見られず、硫化物相は同定されなかった。
【0020】
図4に、各処理温度において得られたSrZrO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図を示す。何れの場合にもSrZrOに相当するピークがみられ、立方晶のSrZrO構造をとっていることが分かる。処理温度の増加とともにこれらのピークはシャープになり、500℃ではピークが最もシャープになっている。また、この場合、500℃において処理した試料についても、BaZrSに相当するピークは見られず、硫化物相は同定されなかった。
【0021】
図5に、BaTiOについて、各処理温度において得られた試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図を示す。100℃において処理した試料では未処理のBaTiOと同様のバンドギャップと吸収特性が見られるが、処理温度が高くなるにつれて、可視光領域においても光吸収する度合が増加し、可視光応答特性が増すことが分かる。500℃において処理した試料ではバンドギャップが不明瞭となり、該当する範囲の波長の光をほぼ吸収している。
【0022】
図6に、SrTiOについて、各処理温度において得られた試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図を示す。BaTiOの場合と同様に 処理温度が高くなるにつれて、可視光領域においても光吸収する度合が増加し、可視光応答特性が増すことが分かる。500℃において処理した試料ではバンドギャップが不明瞭となり、該当する範囲の波長の光をほぼ吸収している。
【0023】
図7に、BaZrOについて、各処理温度において得られた試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図を示す。ATiO(A=Ba,Sr)の場合と異なり、100℃の処理において、未処理の場合より、バンドギャップが可視側へシフトし、その後処理温度が高くなるにつれて、より可視光領域における光吸収の度合が増加していることが分かる。500℃までの処理においてもバンドギャップが不明瞭とならず、良好な光特性が見られた。
【0024】
図8に、SrZrOについて、各処理温度において得られた試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図を示す。BaZrOの場合と同様の挙動を示すものの、バンドギャップはBaZrO側へは可視側へシフトし、その後処理温度が高くなるにつれて、より可視光領域における光吸収の度合が増加していることが分かる。500℃までの処理においてもバンドギャップが不明瞭とならず、良好な光特性が見られた。
【0025】
図9に、各処理温度において得られたBaTiO試料についてS2p電子の結合エネルギーのESCAを用いたSの状態分析の結果を示す。100〜300℃で処理した場合には、硫化物おび固体硫黄に相当する161eV付近および164eV付近には顕著なピークはみられない。200℃処理の場合には168eV付近に硫酸塩に相当するピークがあれわれ、これより
高温にて処理した場合、その強度が増加し、表面が部分的に酸化されていることを示している。400℃および500℃において処理した試料については、161eV付近および164eV付近にそれぞれ硫化物、固体硫黄に相当するピークがわずかにみられる。500℃以上の処理温度では、明らかに硫化物を生成しているものと考えられる。
【0026】
図10に、各処理温度において得られたSrTiO試料についてS2p電子の結合エネルギーのESCAを用いたSの状態分析の結果を示す。BaTiOの場合と同様に、処理温度の上昇とともに、161eV付近の硫化物のイオウのピークが高まり、硫化物相が成長していることがわかる。また、164eV付近の固体イオウのピークは400℃以上で顕著になる。168eV付近の硫酸塩に相当するピークは、いずれの試料においても、見られなかった。
【0027】
図11に、各処理温度において得られたBaZrO試料についてS2p電子の結合エネルギーのESCAを用いたSの状態分析の結果を示す。チタン酸塩の場合と異なり、低い処理温度においても、161eV付近の硫化物のイオウのピークが明瞭にみられ、処理温度の上昇ともに大きく成長し、硫化物相が低温から成長していることがわかる。また、164eV付近の固体イオウのピークは硫化物のピークに隠れ、明確ではない。168eV付近の硫酸塩に相当するピークは、いずれの試料においても、わずかに見られる程度であった。
【0028】
図12には各処理温度において得られたABO試料について含有するイオウ量を重量%で表した。比較のために、ST01およびZrOを用いた場合の、イオウ量の変化も示した。BaZrOを除いた試料では、処理温度が300℃まではイオウの含有量は数%からほとんど増加せず、400℃以降において増加する。これに対し、BaZrOの場合には低温からほぼ直線的にイオウ量が増加している。イオウ量の増加と、可視光吸収の増加は対応しており、含有イオウ量と光触媒特性が相関関係をもつことから、いかに、母相の結晶構造を保ちつつ、より多くのイオウを結晶格子内に置換させるかが、高特性をもつ光触媒を作製しうる方法である。
【0029】
以上の実験および解析から、硫化物が生成し始める500℃以下においても、イオウが遷移金属複合酸化物内に入り込み、母相である遷移金属複合酸化物の構造を保ちながら、部分硫化された酸化物を生成して入ることが見出される。そのイオウ量は硫化温度ともに増加する傾向にある。この場合にはあくまでも母相は遷移金属複合酸化物であり、イオウは、部分的に付着しているか、格子上の酸素と一部置換しているかあるいは結晶構造の格子内に入り込んでチタンや酸素と結合している状態にある。この状態の部分硫化物は、可視光動作型光触媒として有用である。
【実施例】
【0030】
以下、実施例と比較例により本発明を詳細に説明する。(実施例1) 水熱合成法により調製したBaTiOナノ粒子を石英反応管内において、窒素およびCS混合雰囲気にて100℃から500℃までの温度で硫化処理を行った。混合ガスの窒素およびCS流量はそれぞれ窒素が50ml/min、CSが5ml/minである。反応炉を室温から所定温度まで、1℃/minの昇温速度で加熱し、所定温度に到達後、窒素雰囲気で室温まで徐冷した。その後、付着している硫黄分を除去するためにトルエンによる洗浄処理を行った。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ黄白色、黄土色、薄茶色、赤褐色および赤黒色の粉末を得た。(実施例2) 水熱合成法により調製したSrTiOナノ粒子を試料として実施例1と同様の処理をした。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ黄白色、薄黄色、黄色、焦茶色および黒色の粉末を得た。(実施例3) 水熱合成法により調製したBaZrOナノ粒子を試料として実施例1と同様の処理をした。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ薄黄色、赤黄色、薄黄色、薄緑色および黄緑色の粉末を得た。(実施例4) 水熱合成法により調製したSrZrOナノ粒子を試料として実施例1と同様の処理をした。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ薄クリーム色、クリーム色、クリーム色、濃クリーム色および薄茶色の粉末を得た。(比較例1) 石原産業製二酸化チタンナノ粒子(品番ST01)を試料として実施例1と同様の処理をした。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ黄白色、薄黄色、橙色、黒色および緑黒色の粉末を得た。(比較例2) 水熱合成法により調製したZrOナノ粒子を試料として実施例1と同様の処理をした。処理温度100℃、200℃、300℃、400℃および500℃において、それぞれ黄白色、薄黄色、茶色、薄緑色および緑白色の粉末を得た。
【0031】
実施例1〜4および比較例1〜2の粉末の光触媒性能を次の方法により調べた。試料粉末0.01gを、9mLのエタノールに入れ、超音波を30分間照射して分散させた。その後、水銀ランプを4時間照射する。光照射後、気相および液相のエタノールおよびアルデヒド濃度をガスクロマトグラフで測定する。そのアルデヒド生成速度(mol/h/Watts/g)を、光触媒性能とした。
【0032】
表2に、実施例および比較例(ST01とZrO)の粉末の紫外光照射時の光触媒性能を示した。
【0033】
【表2】

【0034】
表2から明らかに、いずれの場合も処理温度の上昇とともに光触媒性能が向上し、処理温度が100℃以上500℃以下の範囲で、原料粉末よりも高くなっている。特に、400℃付近の処理温度が好ましい。処理温度が500℃以上では、硫化物が生成しているおそれがあるため、光触媒性能は、原料粉末より高いものの、400℃の場合よりも低くなっている。なお、比較例には、市販されている最も光触媒性能が高い、石原産業製の二酸化チタン(ST01)および試薬の二酸化ジルコニウム(ZrO)を用いて同様な部分処理を行った。室温では遷移金属複合酸化物とCSとは反応しないので、処理温度が室温の場合は、光触媒性能は、原料粉末と同等である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】各処理温度において得られたBaTiO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図で、500℃におけるBaTiSの発生を示した図である。
【図2】各処理温度において得られたSrTiO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図である。
【図3】各処理温度において得られたBaZrO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図である。
【図4】各処理温度において得られたSrZrO試料について粉末X線回折法により測定した回折パターンの図である。
【図5】各処理温度において得られたBaTiO試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図で、試料の紫外―可視光領域における光吸収特性を示した図である。
【図6】各処理温度において得られたSrTiO試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図で、試料の紫外―可視光領域における光吸収特性を示した図である。
【図7】各処理温度において得られたBaZrO試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図で、試料の紫外―可視光領域における光吸収特性を示した図である。
【図8】各処理温度において得られたSrZrO試料について紫外―可視光分光計を用いて測定したスペクトル図で、試料の紫外―可視光領域における光吸収特性を示した図である。
【図9】各処理温度において得られたBaTiO試料についてESCAを用いてSの状態分析した結果の図で、試料におけるS2p電子の結合エネルギーを示した図である。
【図10】各処理温度において得られたSrTiO試料についてESCAを用いてSの状態分析した結果の図で、試料におけるS2p電子の結合エネルギーを示した図である。
【図11】各処理温度において得られたBaZrO試料についてESCAを用いてSの状態分析した結果の図で、試料におけるS2p電子の結合エネルギーを示した図である。
【図12】各処理温度において得られたABO試料が含有するS量を重量%で表した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ABOペロブスカイト型酸化物の酸素の一部をイオウに置換した構造を特徴とする部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末。
【請求項2】
前記ABOペロブスカイト型酸化物は、残留水酸化物を含む粉末であることを特徴とする、請求項1記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末。
【請求項3】
前記ABOペロブスカイト型酸化物は、AサイトがBaまたはSrで、BサイトがTiまたはZrであることを特徴とする、請求項1または2記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末。
【請求項4】
前記部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末は、イオウ量が50wt%以下であることを特徴とする、請求項1、2または3記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物粉末。
【請求項5】
含イオウ化合物を用いた低温硫化反応により、ABOペロブスカイト型酸化物の酸素の一部をイオウと置換させる部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。
【請求項6】
前記含イオウ化合物が、二硫化炭素または硫化水素であることを特徴とする、請求項5記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。
【請求項7】
前記低温硫化反応は、その反応温度が、100℃以上400℃以下であることを特徴とする、請求項5乃至6記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。
【請求項8】
原料粉末として用いる前記ABOペロブスカイト型酸化物は、水熱合成法で作成することを特徴とする、請求項5乃至7記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。
【請求項9】
前記水熱合成法で作成されたABOペロブスカイト型酸化物は、AサイトがBaまたはSrで、BサイトがTiまたはZrであることを特徴とする、請求項8記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。
【請求項10】
前記部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物が、可視光領域で光触媒応答することを特徴とする、請求項5乃至9記載の部分硫化ペロブスカイト型ABO3―x酸化物の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−143485(P2006−143485A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331628(P2004−331628)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】