部品キッティング指示装置
【課題】次工程での作業を考慮した部品キッティング指示を行う部品キッティング指示装置を得る。
【解決手段】部品別容器最大入り数算出手段11により、部品サイズデータ4と、容器サイズデータ5とを用いて、容器別に各部品の最大入り数を算出し、次いで、部品別必要容器・個数算出手段12により、容器別に各部品の最大入り数と、作業オーダ指示データ3とを用いて、部品ごとに収納する容器を選択し、その選択された容器の必要個数を算出し、さらに部品別容器セット位置決定手段13により、容器の必要個数算出結果と、作業オーダ指示データ3を用いて、キッティング作業の後工程での部品使用順序になるように、容器のトレー上へのセット位置を決定して、キッティング作業指示表示手段14により、表示装置2へ表示する。
【解決手段】部品別容器最大入り数算出手段11により、部品サイズデータ4と、容器サイズデータ5とを用いて、容器別に各部品の最大入り数を算出し、次いで、部品別必要容器・個数算出手段12により、容器別に各部品の最大入り数と、作業オーダ指示データ3とを用いて、部品ごとに収納する容器を選択し、その選択された容器の必要個数を算出し、さらに部品別容器セット位置決定手段13により、容器の必要個数算出結果と、作業オーダ指示データ3を用いて、キッティング作業の後工程での部品使用順序になるように、容器のトレー上へのセット位置を決定して、キッティング作業指示表示手段14により、表示装置2へ表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、倉庫などから生産に必要な部品を取り出すキッティング作業に対する指示を行う部品キッティング指示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多種多様な部品を保管する倉庫から、生産に必要な部品をキッティングする作業においては、必要部品を必要な時に必要数量だけを迅速かつ正確にキッティングするように、作業指示及び実作業が行われている。そのため、部品を効率良くキッティングするための指示装置は多数存在する。(例えば、特許文献1、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−177353号公報(第4〜6頁、図1)
【特許文献2】特開平06−345218号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、例えば電子・電気部品のような小物部品を対象とした場合、供給先を考慮したキッティング用の部品収納容器の種類、数量の指示や、さらに供給先での部品の使用順序、作業性を考慮した部品収納容器のセット位置までを指示するようにはなっていなかった。このため、キッティング作業者の経験、裁量に依存した対応が必要であったり、供給先にて別容器へ入れ替える作業が必要になったり、あるいは容器位置の並び替えなどが発生し、キッティングの作業性向上の阻害要因となっているという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、次工程での作業を考慮した部品キッティング指示を行う部品キッティング指示装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる部品キッティング指示装置においては、倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、各部品のサイズデータと、部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、この必要容器数算出手段による算出結果と、キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、各部品のサイズデータと、部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、この必要容器数算出手段による算出結果と、キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたので、次工程での作業を考慮した部品キッティング指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される部品サイズデータを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される容器サイズデータを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される作業オーダ指示データを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器サイズデータを示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3のトレーの分割例を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置を示す構成図である。
図1において、部品キッティング指示装置1は、計算機によって構成され、1つの作業オーダに対する各部品の使用数量データとキッティングの後工程における部品使用順序データを有する作業オーダ指示データ3と、部品ごとのサイズデータを有する部品サイズデータ4と、収納容器ごとのサイズデータを有する容器サイズデータ5とを入力とし、部品キッティング作業指示を作成して表示装置2に表示するようになっている。なお、作業オーダ指示データ3と部品サイズデータ4と容器サイズデータ5は、別途、すでに作成されたファイルとして記憶装置に格納されている。
【0010】
部品キッティング指示装置1は、次のように構成されている。
部品別容器最大入り数算出手段11(収納可能数算出手段)は、部品サイズデータ4と容器サイズデータ5とを用いて、部品を収納する容器への収納可能な最大入り数を部品別及び容器別に算出する。
部品別必要容器・個数算出手段12(必要容器数算出手段)は、部品別容器最大入り数算出手段11によって算出された部品別の収納容器への収納可能な最大入り数と、作業オーダ指示データ3を参照して、1つの作業オーダに対する各部品の使用数量であるキッティング数量とにより、部品ごとに必要となる収納容器及びその個数を算出する。
部品別容器セット位置決定手段13(セット位置決定手段)は、部品別必要容器・個数算出手段12によって算出された部品ごとに必要となる収納容器及びその個数と、作業オーダ指示データ3にある供給先での部品を使用する順序に従い、部品を収納した各容器をトレー上にセットする位置を決定する。
【0011】
キッティング作業指示表示手段14(出力手段)は、部品別容器セット位置決定手段13によって決定された、部品を収納した各容器をセットする位置を含むキッティング作業指示を表示装置2に表示する。この表示では、部品の保管場所、部品名(部品識別コード)、部品の必要数量、キッティング順序、部品ごとに適した収納容器の種類、収納容器の必要個数、収納容器のセット位置、等の一連のキッティング作業に必要な項目を表示する。
なお、キッティング作業指示表示手段14は、部品ごとに適した収納容器の種類や収納容器のセット位置を、図、写真等の画像により、視覚的に表現することも可能とする。
また、キッティング作業指示表示手段14は、表示装置に表示するものとして説明したが、印刷装置を用いて紙に印刷するようにしてもよい。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される部品サイズデータを示す図である。
図2において、部品サイズデータ4は、部品名と部品サイズが対になったデータである。ここでは、説明を簡単にするため、部品を立方体と仮定し、1辺の長さをデータとして持っているものとしている。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される容器サイズデータを示す図である。
図3において、容器サイズデータ5は、部品を収納する容器の容器名とその容器の容積とを対にして格納している。
【0014】
図4は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される作業オーダ指示データを示す図である。
図4において、作業オーダごとに、使用される部品名と、その部品の必要数量と、次工程で使用される順序を示す使用順番の各情報をもっている。
【0015】
図5は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
図5において、部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果を示し、容器ごとに、各部品の収納可能な最大数を示している。
【0016】
図6は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別必
要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図6において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、その部品の収納に適した容器と、その容器の個数が示されている。この図6では、同じ部品は同じ容器に収納されるように、かつ、なるべく容器数が少なくなるように容器を選択し、その選択した容器の必要個数が算出されている。
【0017】
図7は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図7(a)は、作業オーダ1001の部品収納容器のトレー上でのセット位置を示す図、図7(b)は作業オーダ2001の部品収納容器のトレー上でのセット位置を示す図である。
図7において、左側から順次、次工程で作業に使用されるように容器が配置されている。すなわち、部品Bを収納した容器アが最初に使用される部品である。これらは、表示装置2に表示される表示イメージである。
【0018】
図8は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器サイズデータを示す図である。
図8において、容器サイズデータ5は、部品を収納する容器の容器名とその容器の容積とを対にして格納している。この場合は、容器イのみが示されている。
【0019】
図9は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
図9において、部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果を示し、容器イについて、各部品の収納できる最大数を示している。
【0020】
図10は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図10において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、これを収納する容器イの個数が示されている。
【0021】
図11は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
図11において、作業オーダごと、かつ部品ごとに、部品が収納された容器のトレーへのセット位置が示されている。セット位置はトレーに設けられた番地を示す番号で示している。セット位置1の部品が次工程で最初に使用される部品である。
【0022】
図12は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図12において、キッティング作業指示表示手段14による表示イメージを示す図であり、容器がセットされるトレーには左側から順次、番地を示す番号が付与されており、その番地ごとに、次工程で使用される順序に、部品を収納した容器イが配置される。すなわち、容器イに収納された部品Dが、最初に使用される部品である。
【0023】
図13は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3のトレーの分割例を示す図である。
図13において、トレーは、次工程で部品が使用される順序に配置されるように、左上から右方向に、順次、2次元的に番地を示す番号が付けられている。
【0024】
図14は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図14において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、その部品の収納に適した容器と、必要となる容器の個数が示されている。
【0025】
図15は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
図15において、作業オーダごと、かつ部品ごとに、部品の収容に適した容器と、必要となる容器の個数と、容器のトレーへのセット位置が示されている。セット位置はトレーに設けられた番地を示す番号で示している。セット位置1の部品が、次工程で最初に使用される部品である。
【0026】
図16は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図16において、図13に示されるトレーの番地上に、部品を収納した容器が配置されている。部品Dが最初に使用される部品である。
【0027】
次に、動作について説明する。
部品を倉庫から集めるキッティング作業は、概ね次のような作業手順を有している。
(1)作業オーダごとに、部品を収納する容器を必要個数準備する。
(2)倉庫から部品を取り出し、容器に収納する。このために、倉庫内の最短距離の移動で集められるように指示する必要がある。
(3)部品を収納した容器を、次工程に移動させるためのトレー上に配置する。
このそれぞれの作業に対して、作業指示が必要になる。
この指示を部品キッティング指示装置1により作成する。
【0028】
事例1.
まず、複数のサイズの異なる容器を使用してキッティング作業を行う場合について説明する。
図1に示す部品別容器最大入り数算出手段11により、部品ごと、収納容器ごとのサイズから、容器へ収納可能な部品の最大入り数を部品別容器別に算出する。ここでは、図2の部品サイズデータ4と図3の容器サイズデータ5を参照して、算出する。
算出方法は、最大数量=[収納容器容積/部品体積]とし、図2〜図4に示すサンプルデータを用いて計算した場合、各容器に各部品が収納できる最大数量は、図5に示すようになる。
図5では、部品ごとに、全ての容器について、最大入り数を算出している。例えば、部品Aは、容器アには最大11個、容器イには最大25個、容器ウには最大55個収納できる。そして、この算出結果は記憶装置に記憶される。
【0029】
次に、図1の部品別必要容器・個数算出手段12により、上述で算出した図5に示す部品別容器別最大入り数と、図4に示す作業オーダ指示データ3に示される1つの作業オーダに対する部品ごとのキッティング数量(部品の必要数量)より、部品ごとに必要となる収納容器及びその個数を算出し、記憶装置に記憶する。
図5及び図4のサンプルデータを用いた場合、必要な収納容器及びその個数は、図6のようになる。
図6では、作業オーダごと及び部品ごとに、必要とする容器とその数を算出している。
この算出に当たっては、同じ部品は同じ容器に収納されるように、かつ、なるべく容器数が少なくなるように容器を選択し、その容器の個数が算出されている。これには、必要とする数量の部品が1つで収納できる容器があれば、その内の最も容積の小さい容器を選
択し、1つで収納できる容器がなければ、その内の最も容積の大きい容器を選択し、余りを切り上げて個数を決める。例えば、作業オーダ1001は部品Aを60個、部品Bを20個、部品Dを10個必要とし、部品Aは容器ウ、2個を必要とし、部品Bは容器アを1個必要とし、部品Dは容器Aを1個必要とする。
この図6の部品の掲載順序は、最短距離の移動で倉庫内から部品を取り出す順序に一致させているため、キッティング作業者は、この図6を見て、作業オーダごとに、部品を収納する容器を準備し、倉庫から、図6の掲載順に部品を取り出し、容器に収納する作業を実施することができる。
【0030】
次いで、図1の部品別容器セット位置決定手段13は、部品別必要容器・個数算出手段12により算出した部品ごとに必要となる収納容器個数と、図4に示す作業オーダ指示データ3の中の供給先での部品を使用する順序に従い、部品を収納した容器をトレー上にセットする位置を決定する。
このとき、次工程にてトレーの左から順番に使用するものとして、部品セット位置を決定する。このルールに従い、図6のサンプルデータを用いた場合は、図7(a)(b)のようになる。図7は、表示装置2に表示するか、または印刷装置により紙に印刷して作業者に渡す。作業オーダ1001では、部品Bを収納した容器アをもっとも左に、次に部品Dを収納した容器アを、次に部品Aを収納した容器ウを2個順に配置する。
キッティング作業者は、図7にしたがって、倉庫から取り出された部品の容器をトレー上に配置する。
【0031】
以上は、各部品の必要数量に応じて、サイズの異なる複数の容器から適切なサイズを選択し使用する場合であるが、同じサイズの容器(同じ種類の容器)のみを用いて、キッティング作業を行う場合も考えられる。
【0032】
事例2.
次に、同一サイズの容器のみを用いてキッティング作業を行う場合について説明する。
すなわち、容器サイズデータ5で、容器イしか存在しない場合について、上述の例と異なる部分を説明する。
この場合、容器サイズデータ5は、図8に示すように、容器容積700の容器イを有しているのみである。
【0033】
次に、図8の容器サイズデータ5を用いた場合の部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果は、図9のとおりである。容器イに収納できる部品ごとの個数である容器最大入り数が部品ごとに異なっている。
【0034】
次に、部品別容器最大入り数算出手段11により求めた容器最大入り数(図9のもの)と、1つの作業オーダに対する部品ごとのキッティング数量より、部品ごとに必要となる容器数を、部品別必要容器・個数算出手段12により、算出する。
図2、図4、図8で示すサンプルデータを用いた場合、必要な容器イの数は、図10のように、作業オーダごと及び部品ごとに決定される。例えば、作業オーダ1001の部品Aは、数量60個を必要とし、3個の容器イに収納される。
【0035】
次に、部品別必要容器・個数算出手段12により算出した部品ごとに必要となる収納容器個数と、作業オーダ指示データ3に格納されている次工程での部品を使用する順序に従い、部品別容器セット位置決定手段13により、部品ごとに収納容器をトレー上にセットする位置を決定する。
この決定内容は、図11に示すとおりであり、作業オーダごと及び部品ごとにトレー上でのセット位置を決めている。次工程にて左から順番に使用するとして部品セット位置を決定する。因みに、作業オーダ1001では、部品Bのセット位置が1、部品Dのセット
位置が2、部品Aのセット位置は3・4・5である。
ここで、例えば、トレーを6分割し、左から順番に1〜6番地とし、この番地情報をセット位置として使用する。図2、図4、図8で示すサンプルデータを用いて、このルールに従って決定したものは、図11のようにセット位置が示される。
図12は、図11の部品セット位置情報を、キッティング作業指示表示手段14により表示装置2に表示したものである。例として、作業オーダ2001の場合のセット位置イメージを示している。
【0036】
事例3.
以上の2事例では、容器セット位置がトレー上で1列だけの場合であるが、複数列の事例について次に説明する。
この場合、容器をセットするトレーを図13のように12分割するとして、左上から順に1〜12までの番号により、セット位置の番地を示している。
容器は、図13でのマス目の2つ分、3つ分などマス目単位でサイズが違う物を使うのか、全てマス目1つサイズの容器を複数個使うのかの選択肢があるが、ここでは、複数サイズの容器から選択するという事例によって説明する。
図2〜図4のサンプルデータを使用して、作業オーダ2001のキッティング作業をする場合、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果として、各部品の収納に適した容器とその個数は、図14のようになる。例えば、作業オーダ2001の部品Bは100個を必要とし、これを収納する容器は、1個の容器ウである。
【0037】
部品別容器セット位置決定手段13は、この図14に示す容器とその個数に対し、容器のセット位置をそれぞれの容器サイズを考慮して、トレーに収まるように決定する。ここでは、図15のように決定されたものとする。作業オーダ2001では、部品Dを収納した容器アのセット位置が1、部品Bを収納した容器ウのセット位置が、2・3・4、部品Cを収納した容器ウのセット位置が5・6・7である。
図16は、図15の指示をキッティング作業指示表示手段14により表示装置2に表示した表示イメージである。
この図15、図16のように、キッティング作業者に指示して、キッティング作業が実行される。
また、図15、図16のキッティング作業指示では、容器サイズを1マス分で統一した場合でも、指示方法を変更することなく、セット位置を示すことが可能である。
【0038】
なお、図16の事例は、トレーに対して横向きに容器をセットした場合のものであるが、縦向きに使用する場合でも左上から下方向へ容器をセットしていくことにより、横向きに容器をセットする場合と同様に行うことができる。
【0039】
また、上述のキッティング作業(1)(2)(3)のための作業指示は、図15だけの表示または印刷によっても、倉庫からの部品の取り出し作業及びトレー上への容器の配置作業を行うことができる。
【0040】
実施の形態1によれば、キッティング時に使用する収納容器の種類、個数、供給先のためのセット位置を作業者が独自で考える必要がないため、作業者の経験、能力に依存することなく、また、供給先において作業性向上のための別容器への入れ替え、容器位置の並び替えを必要としないようにすることができ、キッティング作業者及び供給先の作業者の負荷軽減、作業性向上が達成できる。
また、キッティング時に使用する収納容器の種類、セット位置を作業者が視覚的に捉えることができるため、キッティング作業者の指示読み取り負荷の軽減が達成できる。
【符号の説明】
【0041】
1 部品キッティング指示装置
2 表示装置
3 作業オーダ指示データ
4 部品サイズデータ
5 容器サイズデータ
11 部品別容器最大入り数算出手段
12 部品別必要容器・個数算出手段
13 部品別容器セット位置決定手段
14 キッティング作業指示表示手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、倉庫などから生産に必要な部品を取り出すキッティング作業に対する指示を行う部品キッティング指示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多種多様な部品を保管する倉庫から、生産に必要な部品をキッティングする作業においては、必要部品を必要な時に必要数量だけを迅速かつ正確にキッティングするように、作業指示及び実作業が行われている。そのため、部品を効率良くキッティングするための指示装置は多数存在する。(例えば、特許文献1、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−177353号公報(第4〜6頁、図1)
【特許文献2】特開平06−345218号公報(第3〜4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のものでは、例えば電子・電気部品のような小物部品を対象とした場合、供給先を考慮したキッティング用の部品収納容器の種類、数量の指示や、さらに供給先での部品の使用順序、作業性を考慮した部品収納容器のセット位置までを指示するようにはなっていなかった。このため、キッティング作業者の経験、裁量に依存した対応が必要であったり、供給先にて別容器へ入れ替える作業が必要になったり、あるいは容器位置の並び替えなどが発生し、キッティングの作業性向上の阻害要因となっているという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、次工程での作業を考慮した部品キッティング指示を行う部品キッティング指示装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる部品キッティング指示装置においては、倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、各部品のサイズデータと、部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、この必要容器数算出手段による算出結果と、キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、各部品のサイズデータと、部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、この必要容器数算出手段による算出結果と、キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたので、次工程での作業を考慮した部品キッティング指示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される部品サイズデータを示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される容器サイズデータを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される作業オーダ指示データを示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【図8】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器サイズデータを示す図である。
【図9】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図11】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3のトレーの分割例を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
【図15】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の容器セット位置表示イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置を示す構成図である。
図1において、部品キッティング指示装置1は、計算機によって構成され、1つの作業オーダに対する各部品の使用数量データとキッティングの後工程における部品使用順序データを有する作業オーダ指示データ3と、部品ごとのサイズデータを有する部品サイズデータ4と、収納容器ごとのサイズデータを有する容器サイズデータ5とを入力とし、部品キッティング作業指示を作成して表示装置2に表示するようになっている。なお、作業オーダ指示データ3と部品サイズデータ4と容器サイズデータ5は、別途、すでに作成されたファイルとして記憶装置に格納されている。
【0010】
部品キッティング指示装置1は、次のように構成されている。
部品別容器最大入り数算出手段11(収納可能数算出手段)は、部品サイズデータ4と容器サイズデータ5とを用いて、部品を収納する容器への収納可能な最大入り数を部品別及び容器別に算出する。
部品別必要容器・個数算出手段12(必要容器数算出手段)は、部品別容器最大入り数算出手段11によって算出された部品別の収納容器への収納可能な最大入り数と、作業オーダ指示データ3を参照して、1つの作業オーダに対する各部品の使用数量であるキッティング数量とにより、部品ごとに必要となる収納容器及びその個数を算出する。
部品別容器セット位置決定手段13(セット位置決定手段)は、部品別必要容器・個数算出手段12によって算出された部品ごとに必要となる収納容器及びその個数と、作業オーダ指示データ3にある供給先での部品を使用する順序に従い、部品を収納した各容器をトレー上にセットする位置を決定する。
【0011】
キッティング作業指示表示手段14(出力手段)は、部品別容器セット位置決定手段13によって決定された、部品を収納した各容器をセットする位置を含むキッティング作業指示を表示装置2に表示する。この表示では、部品の保管場所、部品名(部品識別コード)、部品の必要数量、キッティング順序、部品ごとに適した収納容器の種類、収納容器の必要個数、収納容器のセット位置、等の一連のキッティング作業に必要な項目を表示する。
なお、キッティング作業指示表示手段14は、部品ごとに適した収納容器の種類や収納容器のセット位置を、図、写真等の画像により、視覚的に表現することも可能とする。
また、キッティング作業指示表示手段14は、表示装置に表示するものとして説明したが、印刷装置を用いて紙に印刷するようにしてもよい。
【0012】
図2は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される部品サイズデータを示す図である。
図2において、部品サイズデータ4は、部品名と部品サイズが対になったデータである。ここでは、説明を簡単にするため、部品を立方体と仮定し、1辺の長さをデータとして持っているものとしている。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される容器サイズデータを示す図である。
図3において、容器サイズデータ5は、部品を収納する容器の容器名とその容器の容積とを対にして格納している。
【0014】
図4は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置に入力される作業オーダ指示データを示す図である。
図4において、作業オーダごとに、使用される部品名と、その部品の必要数量と、次工程で使用される順序を示す使用順番の各情報をもっている。
【0015】
図5は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
図5において、部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果を示し、容器ごとに、各部品の収納可能な最大数を示している。
【0016】
図6は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の部品別必
要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図6において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、その部品の収納に適した容器と、その容器の個数が示されている。この図6では、同じ部品は同じ容器に収納されるように、かつ、なるべく容器数が少なくなるように容器を選択し、その選択した容器の必要個数が算出されている。
【0017】
図7は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例1の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図7(a)は、作業オーダ1001の部品収納容器のトレー上でのセット位置を示す図、図7(b)は作業オーダ2001の部品収納容器のトレー上でのセット位置を示す図である。
図7において、左側から順次、次工程で作業に使用されるように容器が配置されている。すなわち、部品Bを収納した容器アが最初に使用される部品である。これらは、表示装置2に表示される表示イメージである。
【0018】
図8は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器サイズデータを示す図である。
図8において、容器サイズデータ5は、部品を収納する容器の容器名とその容器の容積とを対にして格納している。この場合は、容器イのみが示されている。
【0019】
図9は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器最大入り数算出手段の算出結果を示す図である。
図9において、部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果を示し、容器イについて、各部品の収納できる最大数を示している。
【0020】
図10は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図10において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、これを収納する容器イの個数が示されている。
【0021】
図11は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
図11において、作業オーダごと、かつ部品ごとに、部品が収納された容器のトレーへのセット位置が示されている。セット位置はトレーに設けられた番地を示す番号で示している。セット位置1の部品が次工程で最初に使用される部品である。
【0022】
図12は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例2の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図12において、キッティング作業指示表示手段14による表示イメージを示す図であり、容器がセットされるトレーには左側から順次、番地を示す番号が付与されており、その番地ごとに、次工程で使用される順序に、部品を収納した容器イが配置される。すなわち、容器イに収納された部品Dが、最初に使用される部品である。
【0023】
図13は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3のトレーの分割例を示す図である。
図13において、トレーは、次工程で部品が使用される順序に配置されるように、左上から右方向に、順次、2次元的に番地を示す番号が付けられている。
【0024】
図14は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別必要容器・個数算出手段の算出結果を示す図である。
図14において、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果を示し、作業オーダで必要となる部品ごとに、その部品の数量と、その部品の収納に適した容器と、必要となる容器の個数が示されている。
【0025】
図15は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の部品別容器セット位置決定手段の決定結果を示す図である。
図15において、作業オーダごと、かつ部品ごとに、部品の収容に適した容器と、必要となる容器の個数と、容器のトレーへのセット位置が示されている。セット位置はトレーに設けられた番地を示す番号で示している。セット位置1の部品が、次工程で最初に使用される部品である。
【0026】
図16は、この発明の実施の形態1による部品キッティング指示装置の事例3の容器セット位置表示イメージを示す図である。
図16において、図13に示されるトレーの番地上に、部品を収納した容器が配置されている。部品Dが最初に使用される部品である。
【0027】
次に、動作について説明する。
部品を倉庫から集めるキッティング作業は、概ね次のような作業手順を有している。
(1)作業オーダごとに、部品を収納する容器を必要個数準備する。
(2)倉庫から部品を取り出し、容器に収納する。このために、倉庫内の最短距離の移動で集められるように指示する必要がある。
(3)部品を収納した容器を、次工程に移動させるためのトレー上に配置する。
このそれぞれの作業に対して、作業指示が必要になる。
この指示を部品キッティング指示装置1により作成する。
【0028】
事例1.
まず、複数のサイズの異なる容器を使用してキッティング作業を行う場合について説明する。
図1に示す部品別容器最大入り数算出手段11により、部品ごと、収納容器ごとのサイズから、容器へ収納可能な部品の最大入り数を部品別容器別に算出する。ここでは、図2の部品サイズデータ4と図3の容器サイズデータ5を参照して、算出する。
算出方法は、最大数量=[収納容器容積/部品体積]とし、図2〜図4に示すサンプルデータを用いて計算した場合、各容器に各部品が収納できる最大数量は、図5に示すようになる。
図5では、部品ごとに、全ての容器について、最大入り数を算出している。例えば、部品Aは、容器アには最大11個、容器イには最大25個、容器ウには最大55個収納できる。そして、この算出結果は記憶装置に記憶される。
【0029】
次に、図1の部品別必要容器・個数算出手段12により、上述で算出した図5に示す部品別容器別最大入り数と、図4に示す作業オーダ指示データ3に示される1つの作業オーダに対する部品ごとのキッティング数量(部品の必要数量)より、部品ごとに必要となる収納容器及びその個数を算出し、記憶装置に記憶する。
図5及び図4のサンプルデータを用いた場合、必要な収納容器及びその個数は、図6のようになる。
図6では、作業オーダごと及び部品ごとに、必要とする容器とその数を算出している。
この算出に当たっては、同じ部品は同じ容器に収納されるように、かつ、なるべく容器数が少なくなるように容器を選択し、その容器の個数が算出されている。これには、必要とする数量の部品が1つで収納できる容器があれば、その内の最も容積の小さい容器を選
択し、1つで収納できる容器がなければ、その内の最も容積の大きい容器を選択し、余りを切り上げて個数を決める。例えば、作業オーダ1001は部品Aを60個、部品Bを20個、部品Dを10個必要とし、部品Aは容器ウ、2個を必要とし、部品Bは容器アを1個必要とし、部品Dは容器Aを1個必要とする。
この図6の部品の掲載順序は、最短距離の移動で倉庫内から部品を取り出す順序に一致させているため、キッティング作業者は、この図6を見て、作業オーダごとに、部品を収納する容器を準備し、倉庫から、図6の掲載順に部品を取り出し、容器に収納する作業を実施することができる。
【0030】
次いで、図1の部品別容器セット位置決定手段13は、部品別必要容器・個数算出手段12により算出した部品ごとに必要となる収納容器個数と、図4に示す作業オーダ指示データ3の中の供給先での部品を使用する順序に従い、部品を収納した容器をトレー上にセットする位置を決定する。
このとき、次工程にてトレーの左から順番に使用するものとして、部品セット位置を決定する。このルールに従い、図6のサンプルデータを用いた場合は、図7(a)(b)のようになる。図7は、表示装置2に表示するか、または印刷装置により紙に印刷して作業者に渡す。作業オーダ1001では、部品Bを収納した容器アをもっとも左に、次に部品Dを収納した容器アを、次に部品Aを収納した容器ウを2個順に配置する。
キッティング作業者は、図7にしたがって、倉庫から取り出された部品の容器をトレー上に配置する。
【0031】
以上は、各部品の必要数量に応じて、サイズの異なる複数の容器から適切なサイズを選択し使用する場合であるが、同じサイズの容器(同じ種類の容器)のみを用いて、キッティング作業を行う場合も考えられる。
【0032】
事例2.
次に、同一サイズの容器のみを用いてキッティング作業を行う場合について説明する。
すなわち、容器サイズデータ5で、容器イしか存在しない場合について、上述の例と異なる部分を説明する。
この場合、容器サイズデータ5は、図8に示すように、容器容積700の容器イを有しているのみである。
【0033】
次に、図8の容器サイズデータ5を用いた場合の部品別容器最大入り数算出手段11の算出結果は、図9のとおりである。容器イに収納できる部品ごとの個数である容器最大入り数が部品ごとに異なっている。
【0034】
次に、部品別容器最大入り数算出手段11により求めた容器最大入り数(図9のもの)と、1つの作業オーダに対する部品ごとのキッティング数量より、部品ごとに必要となる容器数を、部品別必要容器・個数算出手段12により、算出する。
図2、図4、図8で示すサンプルデータを用いた場合、必要な容器イの数は、図10のように、作業オーダごと及び部品ごとに決定される。例えば、作業オーダ1001の部品Aは、数量60個を必要とし、3個の容器イに収納される。
【0035】
次に、部品別必要容器・個数算出手段12により算出した部品ごとに必要となる収納容器個数と、作業オーダ指示データ3に格納されている次工程での部品を使用する順序に従い、部品別容器セット位置決定手段13により、部品ごとに収納容器をトレー上にセットする位置を決定する。
この決定内容は、図11に示すとおりであり、作業オーダごと及び部品ごとにトレー上でのセット位置を決めている。次工程にて左から順番に使用するとして部品セット位置を決定する。因みに、作業オーダ1001では、部品Bのセット位置が1、部品Dのセット
位置が2、部品Aのセット位置は3・4・5である。
ここで、例えば、トレーを6分割し、左から順番に1〜6番地とし、この番地情報をセット位置として使用する。図2、図4、図8で示すサンプルデータを用いて、このルールに従って決定したものは、図11のようにセット位置が示される。
図12は、図11の部品セット位置情報を、キッティング作業指示表示手段14により表示装置2に表示したものである。例として、作業オーダ2001の場合のセット位置イメージを示している。
【0036】
事例3.
以上の2事例では、容器セット位置がトレー上で1列だけの場合であるが、複数列の事例について次に説明する。
この場合、容器をセットするトレーを図13のように12分割するとして、左上から順に1〜12までの番号により、セット位置の番地を示している。
容器は、図13でのマス目の2つ分、3つ分などマス目単位でサイズが違う物を使うのか、全てマス目1つサイズの容器を複数個使うのかの選択肢があるが、ここでは、複数サイズの容器から選択するという事例によって説明する。
図2〜図4のサンプルデータを使用して、作業オーダ2001のキッティング作業をする場合、部品別必要容器・個数算出手段12の算出結果として、各部品の収納に適した容器とその個数は、図14のようになる。例えば、作業オーダ2001の部品Bは100個を必要とし、これを収納する容器は、1個の容器ウである。
【0037】
部品別容器セット位置決定手段13は、この図14に示す容器とその個数に対し、容器のセット位置をそれぞれの容器サイズを考慮して、トレーに収まるように決定する。ここでは、図15のように決定されたものとする。作業オーダ2001では、部品Dを収納した容器アのセット位置が1、部品Bを収納した容器ウのセット位置が、2・3・4、部品Cを収納した容器ウのセット位置が5・6・7である。
図16は、図15の指示をキッティング作業指示表示手段14により表示装置2に表示した表示イメージである。
この図15、図16のように、キッティング作業者に指示して、キッティング作業が実行される。
また、図15、図16のキッティング作業指示では、容器サイズを1マス分で統一した場合でも、指示方法を変更することなく、セット位置を示すことが可能である。
【0038】
なお、図16の事例は、トレーに対して横向きに容器をセットした場合のものであるが、縦向きに使用する場合でも左上から下方向へ容器をセットしていくことにより、横向きに容器をセットする場合と同様に行うことができる。
【0039】
また、上述のキッティング作業(1)(2)(3)のための作業指示は、図15だけの表示または印刷によっても、倉庫からの部品の取り出し作業及びトレー上への容器の配置作業を行うことができる。
【0040】
実施の形態1によれば、キッティング時に使用する収納容器の種類、個数、供給先のためのセット位置を作業者が独自で考える必要がないため、作業者の経験、能力に依存することなく、また、供給先において作業性向上のための別容器への入れ替え、容器位置の並び替えを必要としないようにすることができ、キッティング作業者及び供給先の作業者の負荷軽減、作業性向上が達成できる。
また、キッティング時に使用する収納容器の種類、セット位置を作業者が視覚的に捉えることができるため、キッティング作業者の指示読み取り負荷の軽減が達成できる。
【符号の説明】
【0041】
1 部品キッティング指示装置
2 表示装置
3 作業オーダ指示データ
4 部品サイズデータ
5 容器サイズデータ
11 部品別容器最大入り数算出手段
12 部品別必要容器・個数算出手段
13 部品別容器セット位置決定手段
14 キッティング作業指示表示手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、上記容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、
各部品のサイズデータと、上記部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、
この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、上記部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、
この必要容器数算出手段による算出結果と、上記キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、上記キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、上記部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、
及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたことを特徴とする部品キッティング指示装置。
【請求項2】
上記出力手段は、上記選択された容器の画像を出力することを特徴とする請求項1記載の部品キッティング指示装置。
【請求項1】
倉庫から部品を取り出して容器に収納するとともに、上記容器をトレー上に配置するキッティング作業を指示する部品キッティング指示装置であって、
各部品のサイズデータと、上記部品を収納する容器のサイズデータとが入力され、容器別に各部品の収納可能数を算出する収納可能数算出手段、
この収納可能数算出手段による算出結果と、作業オーダに対する各部品の使用数量データとが入力され、上記部品ごとに収納する容器を選択し、この選択された容器の必要個数を算出する必要容器数算出手段、
この必要容器数算出手段による算出結果と、上記キッティング作業の後工程における部品使用順序データとが入力され、上記キッティング作業の後工程における部品使用順序になるように、上記部品を収納した容器のトレー上へのセット位置を決定するセット位置決定手段、
及びこのセット位置決定手段による決定結果を外部へ出力する出力手段を備えたことを特徴とする部品キッティング指示装置。
【請求項2】
上記出力手段は、上記選択された容器の画像を出力することを特徴とする請求項1記載の部品キッティング指示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−12209(P2012−12209A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152935(P2010−152935)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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