説明

部品供給装置

【課題】コンパクトな装置で部品を詰まることなくかつ短時間に供給する。
【解決手段】パーツフィーダ13から一直線状に延びる1本の送給管21を経て送給された複数個のブッシュBを受ける中継台19を設ける。中継台19上に複数個のブッシュBを横1列に整列させるブッシュ整列シリンダ23を設ける。中継台19上の複数個のブッシュBから適数個だけ同時にブッシュ位置決め装置側に送出するブッシュ送出装置27を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品供給装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、工場等でワークに部品を組み付ける場合、1個のパーツフィーダから複数本の送給管を経てその下流側の部品位置決め装置に複数個の部品を一旦供給して位置決めした後、これら位置決めされた部品をワークに組み付けるようにしている。この際、例えば、特許文献1に開示されているように、送給管を長くして曲がり度合をできるだけ少なくすることで上記送給管内で部品が詰まらないようにすることが行われる。
【特許文献1】特許第3622359号公報(第4頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、長い送給管を例えば上下方向に配置すると、パーツフィーダの設置箇所が高所になってパーツフィーダへの部品搬入作業が困難になる。また、送給管が長いと部品供給に時間が掛かり非効率的であるとともに装置が大型化する。
【0004】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトな装置で部品を詰まることなくかつ短時間に供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、この発明は、パーツフィーダ等の部品送給装置とその下流側の部品位置決め装置との間で複数個の部品を適正に並べた後、部品位置決め装置に送出するようにしたことを特徴とする。
【0006】
具体的には、この発明は、ワークに組み付けられる部品を送給する1個の部品送給手段と、その下流側の部品位置決め手段との間に設けられ、上記部品送給手段から送給された部品を上記部品位置決め手段に供給する部品供給装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、上記部品送給手段から一直線状に延びる1本の送給管を経て送給された複数個の部品を受ける中継台と、該中継台上に複数個の部品を横1列に整列させる部品整列手段と、上記中継台上の複数個の部品から適数個だけ同時に上記部品位置決め手段側に送出する部品送出手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、部品は貫通孔を有するブッシュであり、部品送出手段は、中継台上方に位置し複数本の送出ピンがベースプレートに横1列に間隔をあけて設けられた送出治具と、該送出治具に連結され上記複数本の送出ピンを同時に進出させて上記中継台上の適数個のブッシュの貫通孔に遊嵌させる進出手段と、上記進出手段に連結され該進出手段を持ち上げて上記適数個の部品を部品位置決め手段に接続された複数本の送出管の入口に同時に落下させる持上げ手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、部品送給手段と部品位置決め手段との間の中継台上に一旦部品を送給するので、部品送給手段から部品位置決め手段に直接に部品を送給する場合に比べて送給管が短くて済み、送給管を上下方向に配置しても、上記部品送給手段はそれほど高所に設置されず、部品送給手段への部品搬入作業を容易に行うことができるとともに、一度に複数個の部品を供給することもあって短時間に効率良く部品を供給することができ、さらには装置全体がコンパクトになる。また、1本の送給管を中継台に向けて曲がることなく一直線状に延ばしているので、部品を詰まることなく中継台上に送給することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、送出治具の送出ピンでブッシュを掬い上げて自重で部品位置決め手段側の送出管に自然落下させるので、別途に強制落下手段がいらず、装置の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜3はブッシュ圧入機全体の構成を示す。このブッシュ圧入機Aは、4隅に車輪1を有する台車3を備え、該台車3上には上テーブル5及び下テーブル7が複数本の支柱9により平行に支持されて配置されている。
【0013】
上記上テーブル5上には据付テーブル11が複数本の支柱9により支持されて配置され、該据付テーブル11上には、1個の部品送給手段としてのパーツフィーダ13が台座14に支持されて据え付けられている。このパーツフィーダ13は、部品としての貫通孔b1を有するブッシュB(図4及び図5参照)を多数個収容していて、ブッシュBを振動により中央から外側に移動させながら1個ずつ順に送給するようになっている。また、上記据付テーブル11上には、この発明の実施の形態に係る部品供給装置としてのブッシュ供給装置15が上記パーツフィーダ13に並設され、上記下テーブル7上には、部品位置決め手段としてのブッシュ位置決め装置17が上記ブッシュ供給装置15の下流側(下方)に対応して設置されている。このブッシュ位置決め装置17は、下端が上テーブル5中程のプレート20に固定された5本の送出管18で上記ブッシュ供給装置15に接続され(図4参照)、5個のブッシュBをブッシュ供給装置15から各送出管18を経てブッシュ位置決め装置17に供給するようになっている。
【0014】
上記ブッシュ供給装置15は、図4に拡大詳示するように、上記パーツフィーダ13の斜め下方に配置された断面L字状の中継台19を備え、該中継台19は複数個のブッシュBを斜め姿勢でその下端面を支持する第1受け板19aと、外周部を支持する第2受け板19bとで構成され、上記5本の送出管18上端の入口18aが上記第1受け板19aに臨んでいる。上記第1受け板19aの一端側上方には、上記パーツフィーダ13から一直線状に延びる1本の送給管21が接近配置され、パーツフィーダ13から上記送給管21を経て送給された複数個のブッシュBを上記中継台19で受けるようになっている。
【0015】
上記中継台19の一端には、ピストンロッド23a先端にパッド25を有する部品整列手段としてのブッシュ整列シリンダ23が設置され、上記送給管21から送給されたブッシュBをブッシュ整列シリンダ23の伸長作動により上記パッド25で1個ずつ横送りして中継台19上に横1列に整列させるようになっている。
【0016】
上記中継台19の上方には、図5〜7にも示すように、部品送出手段としてのブッシュ送出装置27が配置されている。該ブッシュ送出装置27は、中継台19上方に位置し複数本(5本)の送出ピン29がベースプレート31に横1列に間隔をあけて設けられた送出治具33を備え、上記各送出ピン29は上記複数本(5本)の送出管18の入口18aに対応している。上記送出治具33には、進出手段としての進出シリンダ35のピストンロッド35a先端が連結され、該進出シリンダ35の伸長作動により上記複数本(5本)の送出ピン29を同時に斜め下方に進出させて上記中継台19上の適数個(5個)のブッシュBの貫通孔b1に遊嵌させるようになっている(図6参照)。上記進出シリンダ35には、支持フレーム37を介して据付テーブル11上に支持された持上げ手段としての持上げシリンダ39のピストンロッド39a先端が連結され、該持上げシリンダ39の伸長作動により上記進出シリンダ35を持ち上げて上記適数個(5個)のブッシュBを掬い上げ、上記5本の送出管18の入口18aに同時に落下させて上記ブッシュ位置決め装置17側に送出するようになっている(図7参照)。なお、上記中継台19は、上端が上記持上げシリンダ39及び支持フレーム37を介して据付テーブル11に支持され、下端が別の支持フレーム38を介して据付テーブル11に支持されている。
【0017】
上記下テーブル7上には据付テーブル41が複数本の支柱9により支持されて配置され、該据付テーブル41上に上記ブッシュ位置決め装置17が設置されている。このブッシュ位置決め装置17は、図1〜3及び図8に示すように、上記据付テーブル41上に設置された位置決めシリンダ43を備え、該位置決めシリンダ43のピストンロッド43a先端には、移動テーブル45が連結部材47で連結されている。該移動テーブル45には5個の受け部45aが上記各送出管18に対応して形成され、該各送出管18から送出されたブッシュBをストッパ(図示せず)を備えた受け部45aで支持するようになっている(図1参照)。また、上記移動テーブル45下面には2個のスライド部材49が固定され、該スライド部材49は上記据付テーブル41上に固定された2本のガイドレール51に移動可能に係合されている。
【0018】
一方、上記下テーブル7の据付テーブル41側方には、ブッシュ圧入装置53が設置されている。該ブッシュ圧入装置53は、上方に延びるピストンロッド55aを有するブッシュ圧入シリンダ55を備え、該ブッシュ圧入シリンダ55のピストンロッド55a先端には、5本の圧入ピン57が立設されたプレート59が接続されている。そして、上記位置決めシリンダ43を伸長作動させて移動テーブル45をブッシュ圧入装置53上方に進出させ、この状態でストッパを解除して5個のブッシュBを各圧入ピン57に同時にセットするようになっている(図2参照)。
【0019】
上記ブッシュ圧入装置53上方の上テーブル5上には、ワークとしてのエンジンのインテークマニホールCを載置する載置部61が設けられている。また、該載置部61上方には据付テーブル63が複数本の支柱9により支持されて配置され、該据付テーブル63には、ワーク押さえ装置65が設置されている。該ワーク押さえ装置65は、下方に延びるピストンロッド67aを有するワーク押さえシリンダ67を備え、該ワーク押さえシリンダ67のピストンロッド67a先端には、5本の押さえピン69が立設されたプレート71が接続されている。そして、上記ワーク押さえシリンダ67を伸長作動させて押さえピン69を下降させ、インテークマニホールCを上方から動かないように押さえる。これと併行して上記ブッシュ圧入シリンダ55を伸長作動させて圧入ピン57を上昇させ、5個のブッシュBをインテークマニホールCの5個の圧入孔c1に同時に圧入するようになっている。
【0020】
このように構成されたブッシュ圧入機Aを用いてインテークマニホールCの5個の圧入孔c1にブッシュBを圧入するには、まず、パーツフィーダ13からブッシュBをブッシュ供給装置15の中継台19に1個ずつ送出し、ブッシュ整列シリンダ23を伸長作動させて中継台19上に複数個のブッシュBを横1列に整列させる(図4参照)。
【0021】
次いで、ブッシュ送出装置27の進出シリンダ35を伸長作動させて送出ピン29を中継台19上の複数個のブッシュBから3個置き毎に選んだ5個のブッシュBの貫通孔b1に遊嵌させた後(図6参照)、持上げシリンダ39を伸長作動させて上記5個のブッシュBを掬い上げ、自重により送出管18に送出する(図7参照)。送出された5個のブッシュBはブッシュ位置決め装置17の移動テーブル45の受け部45aにセットされる(図1参照)。
【0022】
その後、位置決めシリンダ43を伸長作動させて移動テーブル45をブッシュ圧入装置53上方に移動させ、5個のブッシュBをブッシュ圧入装置53の圧入ピン57で支持する(図2参照)。
【0023】
しかる後、ワーク押さえ装置65のワーク押さえシリンダ67を伸長作動させてインテークマニホールCを動かないように上方から押さえるとともに、ブッシュ圧入シリンダ55を伸長作動させて5個のブッシュBをインテークマニホールCの圧入孔c1に圧入し、一連の圧入作業を終える。
【0024】
このように、この実施の形態では、パーツフィーダ13とブッシュ位置決め装置17との間に中継台19を設けて該中継台19に一旦ブッシュBを送給するようにしたので、パーツフィーダ13からブッシュ位置決め装置17に直接にブッシュBを送給する場合に比べてパーツフィーダ13からの送給距離が短くなって送給管21も短くて済み、送給管21を上下方向に配置しても、上記パーツフィーダ13はそれほど高所に設置されず、ブッシュ供給装置15へのブッシュ搬入作業を容易に行うことができる。また、一度に5個のブッシュBを供給することもあって短時間に効率良くブッシュBを供給することができる、さらには装置全体がコンパクトになる。また、1本の送給管21を中継台19に向けて曲がることなく一直線状に延びているので、ブッシュBを詰まることなく中継台19上に送給することができる。
【0025】
また、この実施の形態では、送出治具33の送出ピン29でブッシュBを掬い上げて自重でブッシュ位置決め装置17側の送出管18に自然落下させるので、別途に強制落下手段がいらず、装置の簡素化を図ることができる。
【0026】
なお、この実施の形態では、部品がブッシュBであり、組み付けられるワークがエンジンのインテークマニホールCである場合を例示したが、これに限らないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、部品送給手段からその下流側の部品位置決め手段に複数個の部品を供給する部品供給装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】ブッシュ圧入機全体の構成図である。
【図2】ブッシュをブッシュ圧入装置に移送した状態を示すブッシュ圧入機全体の構成図である。
【図3】インテークマニホールドにブッシュを圧入した状態を示すブッシュ圧入機全体の構成図である。
【図4】ブッシュ供給装置の斜視図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】ブッシュ送出装置の送出ピンをブッシュの貫通孔に挿入した状態の図4のV−V線に相当する断面図である。
【図7】ブッシュをブッシュ位置決め装置側の送出管の入口に落下させる状態の図4のV−V線に相当する断面図である。
【図8】図1のVIII−VIII線における断面図である。
【符号の説明】
【0029】
13 パーツフィーダ(部品送給手段)
15 ブッシュ供給装置(部品供給装置)
18 送出管
18a 入口
17 ブッシュ位置決め装置(部品位置決め手段)
19 中継台
21 送給管
23 ブッシュ整列シリンダ(部品整列手段)
27 ブッシュ送出装置(部品送出手段)
29 送出ピン
31 ベースプレート
33 送出治具
35 進出シリンダ(進出手段)
39 持上げシリンダ(持上げ手段)
B ブッシュ(部品)
b1 貫通孔
C インテークマニホールド(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに組み付けられる部品を送給する1個の部品送給手段と、その下流側の部品位置決め手段との間に設けられ、上記部品送給手段から送給された部品を上記部品位置決め手段に供給する部品供給装置であって、
上記部品送給手段から一直線状に延びる1本の送給管を経て送給された複数個の部品を受ける中継台と、
該中継台上に複数個の部品を横1列に整列させる部品整列手段と、
上記中継台上の複数個の部品から適数個だけ同時に上記部品位置決め手段側に送出する部品送出手段とを備えたことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品供給装置において、
部品は貫通孔を有するブッシュであり、
部品送出手段は、中継台上方に位置し複数本の送出ピンがベースプレートに横1列に間隔をあけて設けられた送出治具と、
該送出治具に連結され上記複数本の送出ピンを同時に進出させて上記中継台上の適数個のブッシュの貫通孔に遊嵌させる進出手段と、
上記進出手段に連結され該進出手段を持ち上げて上記適数個の部品を部品位置決め手段に接続された複数本の送出管の入口に同時に落下させる持上げ手段とを備えたことを特徴とする部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−145488(P2007−145488A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−341507(P2005−341507)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(505142872)ダイキョーニシカワ株式会社 (79)
【Fターム(参考)】