説明

部品供給装置

【課題】搬送レールの製造コストが安価な部品供給装置を提供する。
【解決手段】供給手段3から落下する頭付きあるいは鍔付きの部品を搬送始端側に所定角
傾斜した姿勢で吊下して搬送し、搬送終端側では当該部品が直立した姿勢で到達するよう
構成された搬送レール6を備える部品供給装置1において、搬送レール6が、搬送始端側
に配置されて部品を傾斜した姿勢で吊下して搬送する傾斜溝7aを有する傾斜レール7と
、搬送終端側に配置されて部品を直立姿勢で吊下して搬送する垂直溝8aを有する垂直レ
ール8とを連結して構成されている。この構成により、搬送レールに曲げ加工が不要とな
り、コスト面に優れるばかりか、加工精度のばらつきもなくなり一定の品質を保つことが
できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下供給される部品を搬送始端側では所定角傾斜した姿勢で吊下して搬送し
、搬送終端側では当該部品を直立姿勢で吊下する搬送レールを備える部品供給装置に関す
る。
【背景技術】
【0002】
従来から、上記技術分野に属する部品供給装置としては、特許文献1に示すものがある
。この部品供給装置は、部品が貯留されたホッパ内を昇降するブレードと、一対の側壁を
所定の隙間を設けて配置することにより、ここに部品を吊下可能に構成された搬送レール
とを備えている。また、搬送レールには曲げ加工が施されており、搬送始端側は所定角傾
斜している。かつ搬送始端側の側壁には拾い板が取付けられており、これにより、ブレー
ドから落下供給される部品を多数拾うことができるようになっている。一方、搬送終端側
は傾斜しておらず、部品を直立姿勢で吊下する。これにより、搬送最終端では部品が取出
しやすい姿勢で到達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭60−102313
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、手作業による搬送レールの曲げ加工では、その加工精度のばらつきによ
り一定の品質を保つことができないばかりか、生産効率も悪く、コスト面において問題が
った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、供給手段から落下する頭付きある
いは鍔付きの部品を搬送始端側に所定角傾斜した姿勢で吊下して搬送し、搬送終端側では
当該部品が直立した姿勢で到達するよう構成された搬送レールを備える部品供給装置にお
いて、前記搬送レールが、搬送始端側に配置されて部品を傾斜した姿勢で吊下して搬送す
る傾斜溝を有する傾斜レールと、搬送終端側に配置されて部品を直立姿勢で吊下して搬送
する垂直溝を有する垂直レールとを連結して構成されている。
【発明の効果】
【0006】
従来の部品供給装置では、落下供給される部品を所定角傾斜した姿勢で受取り、これを
吊下して搬送し、搬送終端側では当該部品を直立姿勢で吊下するには、搬送レールに曲げ
加工が必要であった。ところが、本発明の部品供給装置では、搬送レールが、傾斜レール
と、垂直レールとを連結させるだけの簡単な構成であり、曲げ加工が不要となる。そのた
め、品質、製造コストに優れた部品供給装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の部品供給装置の正面図である
【図2】本発明の部品供給装置の平面図である。
【図3】本発明の部品供給装置の要部を示す正面視拡大図である。
【図4】本発明の部品供給装置の要部を示す平面視拡大図である。
【図5】図3のA−A線拡大断面図である。
【図6】図3のB−B線拡大断面図である。
【図7】図3のC−C線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を説明する。図1および図2に示すように、本発
明の部品供給装置1は、特開2008−94522号公報に開示されたドラム式の部品供
給装置と、搬送レールを除いて基本構造を同じくするものである。その概要は、図1およ
び図2に示すように、1は頭付き部品の一例であるねじを整列供給する部品供給装置であ
り、基台2に取り付けたモータ(図示せず)を有し、このモータには当該モータの回転駆
動に伴って回転するローラ機構(図示せず)が接続されている。また、ローラ機構上には
回転ドラム3が載置されており、当該ローラ機構の作動により回転するように構成されて
いる。
【0009】
前記回転ドラム3は、有底中空円筒状に形成されている。また、この回転ドラム3は透
明アクリル樹脂で形成されており、回転ドラム3内のねじの残量を確認することができる
。さらに、この回転ドラム3は、その内周面に複数個のすくい羽根(図示せず)を備えて
おり、回転に伴って掻き上げられたねじが後記受け部材12あるいは傾斜レール7へ落下
するように構成されている。
【0010】
また、前記基台2の中央付近にはバイブレータ(図示せず)を備える直進振動部4が取
り付けられている。さらに、この直進振動部4には固定台5を介して搬送レール6が載置
されている。この構成により、当該直進振動部4による振動が搬送レール6へ伝達され、
搬送レール6に吊下されたねじを搬送供給する。
【0011】
前記搬送レール6は、搬送始端側に配置されて前記回転ドラム3に内包される傾斜レー
ル7と、搬送終端側に配置されるとともに当該傾斜レール7と連結する垂直レール8とか
ら構成されている。
【0012】
前記傾斜レール7は、図3および図4に示すように、垂直方向に対して所定角度傾斜し
た傾斜溝7aを有し、この傾斜溝7aに回転ドラム3の回転に伴いすくい羽根により掻き
上げられて落下するねじを吊下して搬送するように構成されている。この傾斜溝7aは、
搬送方向に延びる支持側壁7bと、ガイド側壁7cとを、所定の隙間を設けて平行に配置
することにより形成されている。すなわち、支持側壁7bは、ねじの周面と接触してこれ
を支持する傾斜面7dを有する一方、前記ガイド側壁7cが当該傾斜面7dと所定の隙間
を設けて平行に配置される。
【0013】
前記支持側壁7bの側面には受け部材12が取付けられており、回転ドラム3から落下
するねじをより多く傾斜レール7上に供給することができるように構成されている。
【0014】
また、傾斜レール7のガイド側壁7cは、その一部を切り欠いて形成される切り欠き部
7eを有しており、傾斜レール上の不整列ねじを除去することができるように構成されて
いる。
【0015】
前記垂直レール8は、ねじを直立姿勢で吊下して搬送する垂直溝8aを有する。この垂
直溝8aは、搬送方向に延びるととともに垂直方向に立設した一対の側壁8b,8cを所
定の隙間を設けて配置することにより形成されている。そして、垂直レール8の垂直溝8
aと、前記傾斜レール7の傾斜溝7aとが連通するようにして、当該垂直レール8は傾斜
レール7の搬送最終端に連結している。この構成により、搬送始端側では傾斜姿勢のねじ
を搬送終端側では直立姿勢にすることができる。
【0016】
ここで、前記傾斜レール7と、垂直レール8との接合箇所における具体的な構成を、図
3乃至図7に基づいて説明する。図3、図4および図5に示すように、前記傾斜レール7
のガイド側壁7cの搬送最終端には、搬送方向に突出する第1の連結部9が形成されてお
り、傾斜レール7と同様の傾斜角度を成している。
【0017】
また、図3、図4、図6および図7に示すように、垂直レール8の側壁8bの搬送最先
端には第1の連結部9と連設する第2の連結部10が形成されており、この第2の連結部
10も傾斜レール7と同様の傾斜角度を成している。
【0018】
さらに、図3、図4、図6および図7に示すように、垂直レール8のもう一方の側壁8
cの搬送最先端であって、第2の連結部10に対向する位置には、傾斜面11が切り欠い
て形成されている。この傾斜面11も傾斜レール7と同様の傾斜角度を成し、傾斜レール
7の支持側壁7bの上面と連なるように構成されている。
【0019】
その上、図3に示すように、前記第1の連結部9の上面は搬送方向に向かって下る斜面
に形成されている。
【0020】
以上の構成により、傾斜レール7から垂直レール8へねじが移載される際、第1の連結
部9および第2の連結部10と、傾斜面11とにねじの頭部が吊下されて、ねじが傾斜姿
勢から直立姿勢へ案内される。このとき、図6および図7に示すように、傾斜面11に沿
ってねじの頭部座面が案内されるとともに、第2の連結部10の傾斜側面10aに沿って
ねじの脚部が案内されるため、ねじが噛み込むことなく、円滑に傾斜レール7から垂直レ
ール8へ移載される。このように、搬送レール6においては、傾斜レール7と、搬送レー
ル8とを連結するだけの簡単な構成で、ねじを傾斜姿勢で受取り、これを吊下して搬送し
、最終的には直立姿勢で供給することが可能であり、複雑な曲げ加工が不要となる。
【0021】
前記垂直レール8にはその上方に位置して当該ねじの浮き上がりを防止するための押さ
え部材13が配置されている。また、垂直レール8には吊下されたねじを検出するセンサ
14,15が取付けられている。このセンサ14,15は、垂直レール8上のねじの満杯
検出を行うものであり、満杯になるとモータ駆動停止信号を発することにより、回転ドラ
ム3の回転を停止させ、ねじを傾斜レール7へ供給しないようにしている。
【0022】
本発明の部品供給装置1の搬送レール6においては、ねじの種類に応じて最適な傾斜角
度の傾斜面11を備える傾斜レール17に取り替えることができるように構成されている
。例えば、脚部の短いねじにおいては、傾斜角度が小さい(垂直に近い)と、図3に示す
ねじS1のように、正しく脚部が傾斜溝7aに遊嵌されない問題が発生する。このように
、ねじS1の頭部が片持ちで吊下されて搬送されると、搬送終端側で噛み込みが発生し、
装置が停止してしまうトラブルの危険がある。そこで、脚部の短いねじを供給する場合に
は、傾斜角度(垂直方向と成す角度)が大きな傾斜レール7に取り替える。これにより、
ねじS1が片持ちで吊下されそうになっても、頭部座面が滑り落ち、回転ドラム3内へ落
下する。そのため、不整列姿勢で搬送される事態がなくなり、部品の安定供給を実現する
ことができる。
【符号の説明】
【0023】
1 部品供給装置
2 基台
3 回転ドラム
4 直進振動部
5 固定台
6 搬送レール
7 傾斜レール
7a 傾斜溝
7b 支持側壁
7c ガイド側壁
7d 傾斜面
7e 切り欠き部
8 垂直レール
8a 垂直溝
8b,8c 側壁
9 第1の連結部
10 第2の連結部
10a 傾斜側面
11 傾斜面
12 受け部材
13 押さえ部材
14,15 センサ
S1 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給手段から落下する頭付きあるいは鍔付きの部品を搬送始端側に所定角傾斜した姿勢
で吊下して搬送し、搬送終端側では当該部品が直立した姿勢で到達するよう構成された搬
送レールを備える部品供給装置において、
前記搬送レールが、搬送始端側に配置されて部品を傾斜した姿勢で吊下して搬送する傾
斜溝を有する傾斜レールと、搬送終端側に配置されて部品を直立姿勢で吊下して搬送する
垂直溝を有する垂直レールとを連結して構成されていることを特徴とする部品供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−246264(P2011−246264A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123306(P2010−123306)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】