説明

部品供給装置

【課題】従来よりも装置構成を簡易化できると共に装置製造コストを低減することができ、さらには装置調整の手間を軽減することが可能になる、部品供給装置を提供すること。
【解決手段】
複数の部品を貯留する機構であって、当該貯留した複数の部品の中から当該部品を一個ずつ取り出し、当該取り出した部品を当該機構の外部に排出する貯留取り出し機構20と、この貯留取り出し機構20にて外部に排出された部品を、所定方向に整列する整列機構60とを備える。整列機構60は、貯留取り出し機構20にて排出された部品を滑降させる滑降部61と、この滑降部61を滑降した部品を所定方向に整列する整列部62とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種部品を供給するための部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数種類の物質を含有する試料(サンプル)の中から、測定対象となる所定物質(以下、標的物質)を分離・同定して分析を行うための部品供給装置や測定方法が種々開発されている。例えば、標的物質にのみ選択的に結合する抗体を含んだ試薬を試料に分注し、当該試料中に含まれている標的物質を試薬中の抗体に結合させ、結合によって生成された複合物質を、化学発光、蛍光、発色、あるいは散乱等の現象を利用して定量的に検出することにより、標的物質を測定する免疫測定方法が用いられている。このような免疫測定方法として、具体的にはEIA(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)、FIA(Fluorescence Immunoassay:蛍光免疫測定法)等が挙げられる。
【0003】
このような測定を行うための装置として、分析対象となる試料や試薬をキュベット(反応容器)に分注し、このキュベットの内部で試料と試薬とを反応させて測定を行う測定装置が提案されている。この測定装置には、キュベットを1個毎に供給する部品供給装置が接続されており、この部品供給装置から供給されたキュベットを用いて、測定装置における測定が行われる。
【0004】
このような従来の部品供給装置は、振動又は揺動によりキュベットを搬送するいわゆるパーツフィーダーとして構成されていた。具体的には、例えば、従来の部品供給装置は、複数のキュベットを収容するホッパーと、このホッパーを揺動させる駆動機構と、このホッパーの開口部をキュベットが漏れないように閉塞する底蓋と、キュベットを搬送する搬送機構とを備えて構成されていた。この底蓋には、ホッパーの揺動方向に直交する方向に延長するスリットが設けられており、このスリットは、キュベットの最大外形部より若干狭い幅で形成されている。そして、ホッパーの開口部が底蓋の上面に沿って移動するように、駆動機構によってホッパーを揺動し、ホッパーに収納しているキュベットを1個毎に底蓋のスリットに案内し、このキュベットを搬送機構でスリットに沿って排出して後段側に供給する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO2004/060780号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の如き従来の部品供給装置は、ホッパーを底蓋の上面に沿って揺動させるために、クランク機構等を含む複雑な駆動機構を備えており、装置構成が複雑化したり、装置製造コストが増加したりするという問題があった。また、従来の部品供給装置は、キュベットを揺動や振動によって移動させるものであるため、キュベットの移動を適切に行うためには揺動等のゆれ幅や周波数を適切に調整することが必要であり、装置調整に手間を要していた。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来よりも装置構成を簡易化できると共に装置製造コストを低減することができ、さらには装置調整の手間を軽減することが可能になる、部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る部品供給装置は、複数の部品を貯留する手段であって、当該貯留した前記複数の部品の中から当該部品を一個ずつ取り出し、当該取り出した部品を当該手段の外部に排出する貯留取り出し手段と、前記貯留取り出し手段にて外部に排出された前記部品を、所定方向に整列する整列手段とを備え、前記整列手段は、前記貯留取り出し手段にて排出された前記部品を滑降させる滑降部と、前記滑降部を滑降した前記部品を前記所定方向に整列する整列部とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る部品供給装置は、請求項1に係る部品供給装置において、前記部品は、長筒状の筒状部と、前記筒状部の長手方向の一端に設けられたものであって、前記筒状部より太幅の鍔部とを有し、前記所定方向は、前記鍔部の下方に前記筒状部が位置する方向であり、前記滑降部は、前記部品を、前記筒状部又は前記鍔部のいずれか一方を先頭として、前記筒状部の長手方向に沿った方向で滑降させ、前記整列部は、前記筒状部より太幅であって前記鍔部より細幅の切り欠き部を有し、前記部品が前記切り欠き部を通過した際に当該切り欠き部に前記筒状部のみを落下させることにより、前記部品を前記所定方向に整列させることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る部品供給装置は、請求項1又は2に係る部品供給装置において、前記整列手段は、前記整列部にて整列された前記部品を前記所定方向に維持した状態で保持する保持部を有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る部品供給装置は、請求項2及び3に係る部品供給装置において、前記保持部は、前記筒状部より太幅であって前記鍔部より細幅の鍔受部を有し、前記整列部にて整列された前記部品の前記鍔部を前記鍔受部にて下方から支持することにより、前記部品を前記所定方向に維持した状態で保持することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る部品供給装置は、請求項1から4のいずれか一項に係る部品供給装置において、前記貯留取り出し手段は、前記複数の部品を収容可能な筒体を有し、前記筒体は、当該筒体の軸心が鉛直方向以外の方向に沿った傾斜状に配置され、前記筒体の傾斜下方側の端面は、前記部品が当該筐体から落下しない閉鎖面とされ、前記閉鎖面には、当該閉鎖面の最下端以外の位置に、前記部品を前記筒体の外部に排出するための排出口が形成され、前記筒体の内部には、当該筒体の内周面に沿って回転するものであって、前記筒体にて貯留された前記複数の部品の中から当該部品を一個のみ受容し、当該受容した部品を前記排出口に移動させて当該排出口から前記筒体の外部に排出する受容トレーを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る部品供給装置は、請求項5に係る部品供給装置において、前記受容トレーは、前記筒体の内周面の傾斜最下方位置を通過するように、前記筒体の内周面に沿って回転することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る部品供給装置は、請求項1から6のいずれか一項に係る部品供給装置において、前記部品は、分析対象となる試料を受容するためのキュベットである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る部品供給装置によれば、滑降部を滑降した部品を所定方向に整列することができるので、従来のように振動や揺動によって整列を行う場合に比べて、振動機構や揺動機構が不要になる分ので、装置構成を簡易化できると共に、装置製造コストを低減することができる。また、振動機構や揺動機構の調整が不要になるので、装置調整の手間を軽減することが可能になる。
【0016】
請求項2に係る部品供給装置によれば、部品が切り欠き部を通過した際に当該切り欠き部に筒状部のみを落下させることにより、部品を所定方向に整列させるので、落下という簡易な原理により部品を整列することができ、従来の振動機構や揺動機構を省略することができる。
【0017】
請求項3に係る部品供給装置によれば、整列した部品を所定方向に維持した状態で保持できるので、部品供給装置の後段側の装置等に対して部品を所定方向で供給することが容易となり、また、部品を供給するタイミングを調整することが容易となる。
【0018】
請求項4に係る部品供給装置によれば、鍔部を鍔受部にて下方から支持することにより部品を保持するので、整列部で部品を落下させて整列した後、その状態を維持したまま鍔受部にて部品を保持することができ、簡易な機構で部品を保持することができる。
【0019】
請求項5に係る部品供給装置によれば、受容トレーを回転させることで部品を1個毎に筒体の外部に排出することができ、回転という簡易な機構により部品を整列することができ、従来の振動機構や揺動機構を省略することができる。
【0020】
請求項6に係る部品供給装置によれば、受容トレーは、筒体の内周面の傾斜最下方位置を通過するように、筒体の内周面に沿って回転するので、筒体に貯留した部品を最後の1個まで漏れなく掬い上げることができる。
【0021】
請求項7に係る部品供給装置によれば、分析対象となる試料を受容するためのキュベットを供給することができ、部品供給装置を備えた分析システム全体の構成簡易化や製造コスト低減に貢献することができるので、分析の手間やコストを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】キュベットの図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る部品供給装置の正面側からの全体斜視図である。
【図3】部品供給装置の背面側からの全体斜視図である。
【図4】図2のA−A矢視断面図である。
【図5】部品供給装置の要部背面図である。
【図6】回転カゴの背面側からの要部斜視図である。
【図7】筒体の正面側からの要部拡大斜視図である。
【図8】整列機構の前方側からの斜視図である。
【図9】図8のB−B矢視断面図である。
【図10】整列機構の前方側からの斜視図である。
【図11】変形例に係る筒体の正面側からの要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。まず、本実施の形態の基本的概念を説明した後、本実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、これら本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
〔I〕本実施の形態の基本的概念
まず、本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る部品供給装置は、部品を供給するための装置である。ここで、「部品」とは、分析対象となる試料を受容するためのキュベットの他、試料分注用のピペットチップ、試験管、薬品容器、あるいは、ネジや釘等の工業用部品を含む。また、「部品」とは、一般的には完成品に対して取り付けられる物を意味するが、これに限られず、当該部品単体で完結した特定機能を奏するものであって、当該部品単体で中間ユーザや最終ユーザに販売等されるものを含む。以下では、部品として、上述したキュベットを供給する場合について説明する。「供給」とは、部品を外部に受け渡し可能な状態にすることを意味しており、部品供給装置の後段側の装置に対してコンベアやロボットアーム等を介して自動的に受け渡す場合や、部品供給装置で受け渡し可能な状態にされた部品を作業者が手動で受け取る場合を含む。
【0025】
本実施の形態に係る部品供給装置の特徴の一つは、概略的に、部品を滑降させる滑降部と、この滑降部を滑降した部品を所定方向に整列する整列部とを有する点にある。このように、部品を滑降させて整列することで、従来のように部品を振動や揺動を用いて整列する場合に比べて、装置構成を簡易化できると共に、装置製造コストを低減することができ、さらには装置調整の手間を軽減することが可能になる。
【0026】
〔II〕本実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
(キュベット)
最初に、部品供給装置による供給対象となるキュベットの構造について説明する。図1はキュベットの図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。これら各図に示すように、キュベット1は、長筒状の筒状部2と、筒状部2の長手方向の一端に設けられたものであって、筒状部2より太幅の鍔部3とを有する。筒状部2は、キュベット1の本体部分であって、上面の全面は、開放状の投入口とされており、この投入口を介して試料や試薬等を筒状部2に分注等することができる。また、筒状部2の下端部は、閉鎖状とされている。鍔部3は、キュベット1の上端に対して一体化されたフランジ形状、着脱可能なキャップ等である。以下、図1(b)に示すように、キュベット1の全長をCL、筒状部2の長さをCL1(<CL)、筒状部2の幅をCW1、鍔部3の幅をCW2(>CW1)とする。
【0028】
(構成−全体)
次に、部品供給装置10の全体構成について説明する。図2は実施の形態1に係る部品供給装置の正面側からの全体斜視図、図3は部品供給装置の背面側からの全体斜視図、図4は図2のA−A矢視断面図、図5は部品供給装置の要部背面図(後述するホッパー21を省略して示す)、図6は後述する回転カゴの背面側からの要部斜視図である。これら各図に示すように、部品供給装置10は、概略的に、貯留取り出し機構20と整列機構60を備えて構成されている。なお、以下の説明では、図2に示すX−Y−Z方向を基準として、±X方向を前後方向、+X方向を前方、−X方向を後方、±Y方向を幅方向、±Z方向を高さ方向、+Z方向を上方、−Z方向を下方、として説明する。また、後述する筒体22の軸芯に直交する断面(以下、単に「軸芯直交断面」)内において、軸芯を通る直線方向を径方向、軸芯に近づく方向を回転内側方向、軸芯から遠ざかる方向を回転外側方向、として説明する。
【0029】
(構成−貯留取り出し機構)
図2、3に示す貯留取り出し機構20は、複数のキュベット1を貯留する手段であって、当該貯留した複数のキュベット1の中から当該キュベット1を一個ずつ取り出し、当該取り出したキュベット1を当該貯留取り出し機構20の外部に排出する貯留取り出し手段である。この貯留取り出し機構20は、ホッパー21及び筒体22を備えて構成されている。
【0030】
(構成−貯留取り出し機構−ホッパー)
ホッパー21は、キュベット1を複数個貯留するための貯留手段である。具体的には、ホッパー21は、中空角柱状に形成されており、その内部空間には、複数個(例えば、500個程度)のキュベット1を貯留することができる。このホッパー21は、後述する固定カゴ25の上方において鉛直方向に沿って配置されており、その下部は固定カゴ25の上部に接続されている。このホッパー21の上方側の端面は、開放状の投入口23とされており、この投入口23から複数のキュベット1をホッパー21の内部に投入することができる。このホッパー21の下方側の端面は、開放状の排出口24とされており、ホッパー21の内部に投入された複数のキュベット1が排出口24を介して固定カゴ25の内部に投入される。
【0031】
(構成−貯留取り出し機構−筒体)
筒体22は、複数のキュベット1を収容可能なものであり、キュベット1を1個毎に取り出して排出する貯留取り出し手段である。この筒体22は、固定カゴ25、回転カゴ26、及び固定閉鎖板27を備えて構成されている。
【0032】
(構成−貯留取り出し機構−筒体−固定カゴ)
図4、5に示すように、固定カゴ25は、中空円筒状に形成されており、その内部空間には、任意の複数個のキュベット1を貯留することができる。この固定カゴ25は、図4に示すように、前部よりも後部が高い位置に位置するように、軸心が鉛直方向以外の方向(水平方向に対して所定角度α1(例えば約10〜20度)だけ傾く方向)で傾斜状に設置されている。このように傾斜状に設置された固定カゴ25の後部にホッパー21が接続されているため、ホッパー21の排出口24を介して固定カゴ25の内部に投入されたキュベット1は、自重によって自動的に固定カゴ25の前部に移動する。また、固定カゴ25の後方側の端面は、開放状の投入口28とされており、この投入口28を介してキュベット1を固定カゴ25の内部に投入することもできる。また、固定カゴ25の前方側の端面は、開放状の排出口29とされており、自重によって固定カゴ25の前方側に移動したキュベット1は、この排出口29を介して回転カゴ26の内部に自動的に投入される。
【0033】
(構成−貯留取り出し機構−筒体−回転カゴ)
次に、回転カゴ26について説明する。図4から6に示すように、回転カゴ26は、回転筒体30、回転閉鎖板31、受容トレー32、及び回転機構33を備えて構成されている。回転筒体30は、中空円筒状に形成されている。この回転筒体30は、内径が固定カゴ25の内径とほぼ等しく段差ないように形成されており、固定カゴ25の前方側に隣接配置されている。これら固定カゴ25と回転筒体30の相互間には、回転筒体30が固定カゴ25に干渉することなく回転可能な程度の隙間であって、かつ、固定カゴ25から回転筒体30へのキュベット1の移動がスムーズに行われ得る程度の微小な隙間が設けられている。また、回転筒体30は、当該回転筒体30の軸心が固定カゴ25の軸心と同軸となるように、当該回転筒体30と同様に鉛直方向以外の方向(水平方向に対して所定角度α1だけ傾く方向)で傾斜状に設置されている。また、回転筒体30の後面の全面は、開放状の投入口34とされており、固定カゴ25の前方側に移動したキュベット1が、この投入口34を介して回転筒体30の内部に自動的に投入される。
【0034】
また、回転筒体30の傾斜下方側の端面(すなわち、前方側の端面)は、キュベット1が回転筒体30から落下しないように、回転閉鎖板31にて閉鎖された閉鎖面となっている。この回転閉鎖板31は、回転筒体30の前面とほぼ同様の径で形成された円板であり、回転筒体30に固定され、回転筒体30と共に回転する。ただし、この閉鎖面を形成する回転閉鎖板31には、受容トレー32に対応する位置に排出孔35が形成されており、受容トレー32にて移動されたキュベット1がこの排出孔35を介して1個のみ通過可能となっている。本実施の形態には、受容トレー32が4つ配置されているため、排出孔35も4つ形成されている。
【0035】
受容トレー32は、キュベット1を1個毎に受容する受容手段であり、回転筒体30と共に筒体22の内周面に沿って回転する。本実施の形態においては、上述したように、受容トレー32が4つ配置されている。これら4つの受容トレー32は、軸芯直交断面において、相互に均等間隔で(回転カゴ26の軸芯から各受容トレー32に至る角度が、相互に約90度となる間隔で)配置されている。各受容トレー32は、その長手方向の外側端部が回転カゴ26の内周に接するように配置され、かつ、回転カゴ26と共に回転して、後述する固定閉鎖板27の排出口45に対応する位置に移動した状態において、長手方向が鉛直方向(部品形状によっては鉛直方向より角度を若干プラスにまたはマイナスにした方向)に沿うように配置されている。
【0036】
具体的には、受容トレー32は、図6に示すように、主板36、側板37、内端板38、及び外端板39を組み合わせて形成されている。主板36は、回転閉鎖板31に対して直交する方向に配置されており、側板37は、主板36の後方側の端部に、回転閉鎖板31に対して平行な方向で固定されており、内端板38は、主板36の回転内側方向の端部に、回転閉鎖板31に対して平行な方向で固定されており、外端板39は、主板36の回転外側方向の端部近傍位置に、回転閉鎖板31に対して平行な方向で固定されている。各受容トレー32は、キュベット1を1個のみ受容可能な形状で形成されている。具体的には、固定閉鎖板27、主板36、側板37、及び内端板38にて区画される空間内が、キュベット1の1個分より大きく、かつ、キュベット1の2個分より小さい空間部として構成されている。さらに、厳密には、各受容トレー32は、キュベット1を固定閉鎖板27の後述する排出口45に対応した位置に位置決めして排出するため、キュベット1の1個分とほぼ同じかやや大きい程度の空間部として構成されている。なお、キュベット1の長手方向の一端部は、固定閉鎖板27と外端板39の相互間を通り、回転閉鎖板31の排出口35に至る空間に、突出した状態で受容される。
【0037】
各受容トレー32は、筒体22の内周面の傾斜最下方位置を通過するように、筒体22の内周面に沿って回転するため、筒体22の傾斜最下方位置(具体的には、回転カゴ26の傾斜最下方位置)にキュベット1が存在している場合において、当該キュベット1が自重により受容トレー32の内部の空間部に落下するので、キュベット1が受容トレー32によって受容される。ただし、回転カゴ26の内部に多数のキュベット1が投入されており、一部のキュベット1が傾斜最下方位置よりも上方に滞留している場合には、当該上方位置においてもキュベット1が自重によって受容トレー32の内部の空間部に落下して受容トレー32によって受容される。または受容トレー32により掬うことで受容される。
【0038】
回転機構33は、回転カゴ26を回転させるための駆動機構であり、図2、3に示すように、回転カゴ26の下方に配置されたモータ40と、このモータ40の回転軸に連結された第1プーリ41と、回転カゴ26の回転軸42と、この回転軸42に連結された第2プーリ43と、第1プーリ41と第2プーリ43に架け渡された回転ベルト44とを備えて構成されている。そして、モータ40を図示しないスイッチ等の操作手段を介して起動させることで、第1プーリ41、回転ベルト44、及び第2プーリ43を順次介して、回転カゴ26を回転軸42を中心に回転させることができる。回転カゴ26の回転数は、モータ40の回転数を図示しないインバータ等にて調整することにより、あるいは、第1プーリ41と第2プーリ43の直径比を調整することにより、適宜調整することができる。また、回転カゴ26は、一定速度で連続的に回転させることもでき、あるいは、一定速度で所定回転量だけ回転させる毎に一定時間だけ回転を停止させるようにステップ回転させることもできる。ステップ回転を行うためには、例えば、モータ40としてステッピングモータやサーボモータを使用する。また、回転カゴ26の回転は一方向のみの回転に限定されず、反転を組合せることもできる。反転を組合せる場合には、例えば所定の方向へ91°回転して停止し、1°反転、その後前記と同じ91°の回転を繰り返し続けることもできる。
【0039】
(構成−貯留取り出し機構−筒体−固定閉鎖板)
図4〜6に示すように、回転閉鎖板31の前方側には、固定閉鎖板27が隣接配置されている。この固定閉鎖板27は、回転閉鎖板31と共に、筒体22の閉鎖面を構成するものである。具体的には、固定閉鎖板27は、回転閉鎖板31に対して同一又は若干大きな径で形成された円板であり、回転閉鎖板31の前方側に隣接する位置において回転閉鎖板31に対して平行に配置された状態で、回転筒体30とは独立して固定的に支持されている。これら回転閉鎖板31と固定閉鎖板27の相互間には、回転閉鎖板31が固定閉鎖板27に干渉することなく回転可能な程度の隙間であって、かつ、回転閉鎖板31の排出口35から固定閉鎖板27の後述する排出口45へのキュベット1の排出を阻害しない程度の微小な隙間が設けられている。
【0040】
この固定閉鎖板27には、筒体22の最下端以外の位置(本実施の形態では、図5に示すように、回転筒体30の閉鎖面の最上端近傍位置であって、受容トレー32によってキュベット1が鉛直方向に沿った方向に移動される位置であって、図5の位置P1)に、キュベット1を外部に排出するための排出口45が形成されている。この排出口45は、受容トレー32にて当該排出口45に移動されたキュベット1が1個のみ通過できるような形状で1つのみ形成されている。当該排出口45は、回転閉鎖板31の排出口35よりも若干大きく形成されることが好ましい。
【0041】
従って、回転閉鎖板31の排出口35のうち、固定閉鎖板27の排出口45に対応する位置に移動されていない排出口35は、固定閉鎖板27によって閉鎖され、当該閉鎖された排出口35を介してキュベット1が筒体22から外部に排出されることが防止される。一方、回転閉鎖板31の排出口35のうち、固定閉鎖板27の排出口45に対応する位置(図5の位置P1)に移動されている排出口35は、固定閉鎖板27の排出口45と連通し、これら連通した排出口35、45を介して、キュベット1が筒体22から外部に排出することが可能になる。
【0042】
図7は筒体22の正面側からの要部拡大斜視図である。この図7に示すように、固定閉鎖板27の排出口45の前方側には受け渡しトレー46が設けられている。この受け渡しトレー46は、固定閉鎖板27の排出口45から排出されたキュベット1を整列機構60に受け渡すための受け渡し手段である。具体的には、受け渡しトレー46は、固定閉鎖板27に直交するものであって、水平方向に対して所定角度α2(例えば、約45度)だけ傾いた角度で設置される主板47、この主板47の上端に固定された上端板48、この主板47の前端に固定された前端板49、及びこの主板47の下端に固定された下端板50を備えて構成されている。主板47は、前後方向の幅がキュベット1の1個の長さより若干長くなるように形成され、固定閉鎖板27の排出口45から排出されたキュベット1が、主板47の上面に落下し、この主板47の上面を、その長手方向が主板47の傾斜方向と直交するような角度で転がり落ちる。上端板48及び前端板49は、主板47からキュベット1が脱落することを防止する。下端板50は、主板47を転がり落ちるキュベット1を、整列機構60の後述する滑降部61の溝状空間部64に案内するように、主板47から溝状空間部64の内側近傍に至るように設けられている。
【0043】
(構成−貯留取り出し機構−架台)
図2に示す架台51は、貯留取り出し機構20を支持する支持手段である。この架台51は、所定の設置面上に載置される複数の支持脚52と、支持脚52及び固定閉鎖板27に接続された支持板53と、この支持板53を固定カゴ25に接続する支持柱54を備えて構成されている。この架台51によれば、これら支持板53及び支持柱54を介して固定カゴ25、固定閉鎖板27、及び受け渡しトレー46を支持することができる。また、回転カゴ26の回転機構33に設けたモータ40の回転軸は、図示しないベアリングを介して支持板53により支持される。
【0044】
(構成−整列機構)
次に、整列機構60について説明する。図8は、整列機構60の前方側からの斜視図である。この整列機構60は、貯留取り出し機構20にて排出されたキュベット1を、所定方向に整列する整列手段であり、滑降部61、整列部62、及び保持部63を備える。
【0045】
(構成−整列機構−滑降部)
滑降部61は、貯留取り出し機構20にて排出されたキュベット1を滑降させるものであり、キュベット1が1個のみ滑降可能な幅の溝状空間部64として構成されている。具体的には、相互に間隔を隔てて配置された左右一対の側板65と、これら一対の側板65の相互間に配置された底板66とを備えて構成されている。これら一対の側板65と底板66により区画された空間部として、上述の溝状空間部64が形成されている。この溝状空間部64は、1個のキュベット1のみが側板65に沿った方向で滑降できるような形状で形成されている。側板65の高さは、少なくともキュベット1が溝状空間部64から脱落することを防止可能な高さとなっており、例えば、キュベット1の鍔部3の幅CW2の半分以上の高さとなるように決定されている。
【0046】
この滑降部61は、キュベット1が自重によって底板66の上面を滑降可能な程度の角度で形成されており、具体的には、底板66が水平方向に対して所定角度α3(例えば約45度)だけ傾くような傾斜状に設置されている。従って、回転カゴ26から排出され滑降部61に到達したキュベット1は、自重により底面の上面を滑降する。
【0047】
(構成−整列機構−整列部)
整列部62は、滑降部61を滑降したキュベット1を所定方向に整列するものである。ここで、所定方向とは、キュベット1の鍔部3の下方に筒状部2が位置する方向である。具体的には、整列部62は、一対の側板67及び傾斜配置された底板68によって形成された溝状空間部69を有している。この溝状空間部69は、滑降部61の溝状空間部64と連通しており、滑降部61の溝状空間部64を滑降したキュベット1が溝状空間部69に移行する。
【0048】
図9は、図8のB−B矢視断面図である。この図9に示すように、底板68には、筒状部2のみが通過できる幅であって、鍔部3は通過できない幅で、切り欠き部70が形成されている。すなわち、切り欠き部70は、筒状部2より太幅であって、かつ、鍔部3より細幅であり、換言すれば、キュベット1の筒状部2の幅CW1≦切り欠き部70の幅W<キュベット1の鍔部3の幅CW2となるように形成されている。また、この切り欠き部70は、1個のキュベット1の筒状部2の長さ以上の長さで形成されている。すなわち、キュベット1の筒状部2の長さCL≦切り欠き部の長さとなっている。
【0049】
従って、図8に示すように、キュベット1が、筒状部2が下側となる向き(筒状部2を先頭とする向き)で回転カゴ26から排出され滑降部61を滑降してきた場合、筒状部2の全体が切り欠き部70に達した時点で、筒状部2が切り欠き部70から落下するが、さらに鍔部3が切り欠き部70に達した時点では、鍔部3は切り欠き部70から落下することなく当該切り欠き部70を通過する。このため、キュベット1を所定方向に整列することができる。
【0050】
一方、図10の斜視図に示すように、キュベット1が、鍔部3が下側となる向き(鍔部3を先頭とする向き)で回転カゴ26から排出され滑降部61を滑降してきた場合、鍔部3が切り欠き部70に達した時点では、鍔部3は切り欠き部70から落下することなく当該切り欠き部70を通過し、さらに筒状部2の全体が切り欠き部70に達した時点で、筒状部2が切り欠き部70から落下する。従って、鍔部3を切り欠き部70から底板68の上方に残すと共に、筒状部2を切り欠き部70を介して底板68の下方に突出させた状態(図9に想像線で示す状態)に、キュベット1の方向を変えることができる。このため、キュベット1を所定方向に整列することができる。
【0051】
(構成−整列機構−保持部)
保持部63は、整列部62にて整列された部品を所定方向に維持した状態で保持するものである。具体的には、保持部63は、図8に示すように、一対の側板71及び傾斜配置された底板72によって形成された溝状空間部73を有している。この底板72には、整列部62の切り欠き部70と同様に、筒状部2のみが通過できる幅であって、鍔部3は通過できない幅で、スリット形状の鍔受部74が形成されている。すなわち、鍔受部74は、キュベット1の筒状部2の幅CW1≦鍔受部74の幅W<キュベット1の鍔部3の幅CW2となるように形成されている。この溝状空間部73は、整列部62の溝状空間部69と連通しており、鍔受部74は、整列部62の切り欠き部70と連通している。従って、整列部62で整列されたキュベット1が、所定方向に方向を維持されたまま、鍔部3が底板68の上面から底板72の上面にスライドし、筒状部2が切り欠き部70から鍔受部74にスライドして、鍔部3が鍔受部74にて下方から支持された状態で、保持部63により保持される。
【0052】
ここで、保持部63の溝状空間部73は、整列部62に近い側においては当該整列部62と同様に、水平方向に対して所定角度α3だけ傾くような傾斜状に設置されているが、整列部62から遠ざかるに伴って徐々に水平方向に近い角度となり、整列部62と反対側の端部においてはほぼ水平方向に沿った角度となる。従って、キュベット1は、所定方向に維持されたまま整列部62から保持部63にスライドした後、滑降速度を徐々に低下させ、整列部62と反対側の端部の近傍において滑降を停止させた状態で保持される。このように保持されたキュベット1は、保持部63の後段側の図示しない測定装置等に対してコンベアやロボットアーム等を介して自動的に受け渡たされ、あるいは、作業者が手動的に受け取る。この受け渡しや受け取りは、キュベット1の鍔部3を掴んで鉛直上方に引き上げることによって行うことができ、あるいは、鍔受部74が前方側に開放状とされていることから、キュベット1の鍔部3や筒状部2を掴んで保持部63の前方側にスライドさせることによって行うこともできる。また、鍔受部74が前方側に閉鎖状とされる場合には、閉鎖部でキュベット1の位置決めを行うことができる。
【0053】
(動作)
次に、このように構成された部品供給装置10におけるキュベット1の供給動作について説明する。まず、ホッパー21の投入口23を介してホッパー21に複数のキュベット1を投入すると、このキュベット1は自重により固定カゴ25を介して回転カゴ26の内部に移動する。このようなキュベット1の投入の前後のいずれかにおいて、回転機構33のモータ40の電源を公知の方法により投入すると、回転筒体30が受容トレー32と共に回転する。すると、回転カゴ26の内部のキュベット1が、回転カゴ26の最下方位置又はその近傍において、自重により受容トレー32の内部空間に落下し、受容トレー32によって受容される。そして、このキュベット1は、受容トレー32によって筒体22の内周面に沿って移動され、当該受容トレー32に対応する回転閉鎖板31の排出口35が固定閉鎖板27の排出口45に対応する位置に移動した時点で、これら排出口35、45を介して筒体22の外部に排出される。排出口45を介して筒体22の外部に排出されたキュベット1は、その長手方向が鉛直方向に沿った状態で排出され、その直後に、受け渡しトレー46の主板47に落下し、その長手方向が主板47の傾斜方向と直交するような角度で転がり落ち、整列機構60の滑降部61の溝状空間部64に受け渡される。
【0054】
なお、筒体22の内部において、受容トレー32に受容されなかったキュベット1も、受容トレー32の側面等によって押し上げられて筒体22の上方に移動することが予想されるが、このようなキュベット1は、固定閉鎖板27の排出口45を通過することができないため、自重によって筒体22の下方に落下する。また、受容トレー32は、筒体22の内周面の傾斜最下方位置を通過するように、筒体22の内周面に沿って回転するので、筒体22に貯留した部品を最後の1個まで漏れなく掬い上げることができる。
【0055】
整列機構60の滑降部61の溝状空間部64に受け渡されたキュベット1は、筒状部2又は鍔部3のいずれか一方を先頭とした方向で、自重により滑降部61を滑降して整列部62に至る。この整列部62において、キュベット1は、筒状部2を先頭とする向きで滑降してきた場合、筒状部2の全体が切り欠き部70に達した時点で、筒状部2が切り欠き部70から落下し、所定方向に整列される。また、鍔部3を先頭とする向きで滑降してきた場合、筒状部2の全体が切り欠き部70に達した時点で、筒状部2が切り欠き部70から落下し、所定方向に整列される。そのキュベット1は、さらに自重によって保持部63の鍔受部74に受け渡され、その水平部分で停止した状態で保持される。これにてキュベット1の一連の供給動作が終了する。
【0056】
なお、このような動作以外にも、さらなる動作を加えることができる。例えば、保持部63で保持されているキュベット1の有無や数量を公知のセンサで検知し、この検知結果に応じて、回転機構33のモータ40の回転数や回転量を制御することで、保持部63に一定数のキュベット1が常時保持されるように制御してもよい。
【0057】
〔III〕本実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0058】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、従来より、装置調整の手間が軽減できていない場合であっても、従来より装置製造コストが低減できている限りにおいて、本発明の課題は解決されている。
【0059】
(寸法や形状について)
実施の形態で示した各部の寸法や形状は、特記する場合を除いてあくまで例示であり、各部の機能を奏する限りにおいて、他の寸法や形状を採用することができる。例えば、上記所定角度α1〜α3は、キュベット1の形状や各部との摩擦力等により変えてもよく、このような角度の最適値は、適宜実験等を経て決定することができる。
【0060】
(材料について)
貯留取り出し機構20や整列機構60の各部を構成する材料については、金属や樹脂を含む任意の材料を使用することができ、必要に応じて、防菌加工等を施すことができる。
【0061】
(貯留取り出し機構について)
ホッパー21の形状は任意であり、中空角柱状の他、中空円筒状に形成してもよい。また、固定カゴ25にキュベット1を直接投入する場合には、ホッパー21を省略してもよい。また、上記実施の形態では、ホッパー21と固定カゴ25とを別々のものとして説明しているが、両者を一体に形成してもよい。また、上記実施の形態では、固定カゴ25と回転カゴ26を別々のものとして説明しているが、両者を一体に形成してもよい。すなわち、ホッパー21を省略した上で、一体とした固定カゴ25と回転カゴ26を全体的に回転させてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、回転閉鎖板31に受容トレー32を一体に形成して回転させているが、回転閉鎖板31を省略してもよい。例えば、モータ40の回転軸から直線方向に延びる複数のスポークを設け、このスポークに受容トレー32を固定してもよい。この場合には、スポーク及び受容トレー32を、固定閉鎖板27の後方側で回転させることで、受容トレー32で受容したキュベット1を固定閉鎖板27の排出口45まで移動させて排出するようにしてもよい。
【0063】
受容トレー32の数や回転閉鎖板31に設ける排出口35の数は、変更してもよい。例えば、実施の形態においては、これらの数を4つとしているが、少なくとも1つ以上であればよく、2つ、3つ、5つ等としてもよい。また、受容トレー32の角度や、回転閉鎖板31や固定閉鎖板27に設ける排出口35、45の角度は、変更してもよい。例えば、上記の実施の形態においては、キュベット1の長手方向が鉛直方向に沿う方向となる位置で、受容トレー32の角度及び位置、回転閉鎖板31の排出口35の角度及び位置、かつ、固定閉鎖板27の排出口45の角度及び位置が、相互に一致するものとして筒体22からキュベット1を排出しているが、キュベット1の長手方向が水平方向に沿う方向となる位置で、これらを相互に一致するものとして筒体22からキュベット1を排出するようにしてもよい(例えば、図5のP2の位置)。また、このような変更に伴い、受け渡しトレー46の位置や角度も適宜変更することができる。
【0064】
受け渡しトレー46を用いたキュベット1の受け渡し構造も変更することができる。図11は変形例に係る筒体22の正面側からの要部拡大斜視図である。この図11に示すように、固定閉鎖板27の排出口45の前方側には受け渡しトレー75が設けられており、この受け渡しトレー75の下方には受け渡しホッパー76が設けられている。受け渡しトレー75は、固定閉鎖板27の排出口45から排出されたキュベット1を整列機構60に受け渡すための受け渡し手段であり、水平方向に対して所定角度α2(例えば、約45度)だけ傾いた角度で設置される主板77を備えている。また、受け渡しホッパー76は、上部を下部よりも幅広にしたすり鉢状に形成されており、受け渡しトレー75から落下したキュベット1を、上部の広幅の開口部で確実に受け取り、下部の狭幅の開口部を介して整列機構60に確実に受け渡す。また、この例では、整列機構60が全体として幅方向に沿って配置されており、このことによって、部品供給装置10の前後方向の全体の長さが、上記実施の形態の構造に比べて短くなっている。
【0065】
(整列機構について)
また、上記実施の形態においては、滑降部61、整列部62、及び保持部63を、相互に異なる側板65、67、71や底板66、68、72により形成されているものとして説明したが、これら各部の機能を備えている限りにおいてその具体的な構造は変更可能であり、例えば、物理的にはこれら各部を同一部材によって一体に構成してもよい。これら各部の形状も、これら各部の機能を備えている限りにおいて変更可能である。例えば、保持部63は、必ずしも水平状部分を有している必要はなく、傾斜状として形成した上で、その終端部にストッパを設けて鍔受部74からキュベット1が脱落することを防止して、キュベット1を保持可能としてもよい。また、整列部62で整列したキュベット1を直ちに後段側に受け渡す場合には、保持部63を省略してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 キュベット
2 筒状部
3 鍔部
10 部品供給装置
20 貯留取り出し機構
21 ホッパー
22 筒体
23、28、34 投入口
24、29、35、45 排出口
25 固定カゴ
26 回転カゴ
27 固定閉鎖板
30 回転筒体
31 回転閉鎖板
32 受容トレー
33 回転機構
36、47、77 主板
37 側板
38 内端板
39 外端板
40 モータ
41 第1プーリ
42 回転軸
43 第2プーリ
44 回転ベルト
46、75 受け渡しトレー
48 上端板
49 前端板
50 下端板
51 架台
52 支持脚
53 支持板
54 支持柱
60 整列機構
61 滑降部
62 整列部
63 保持部
64、69、73 溝状空間部
65、67、71 側板
66、68、72 底板
70 切り欠き部
74 鍔受部
76 受け渡しホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を貯留する手段であって、当該貯留した前記複数の部品の中から当該部品を一個ずつ取り出し、当該取り出した部品を当該手段の外部に排出する貯留取り出し手段と、
前記貯留取り出し手段にて外部に排出された前記部品を、所定方向に整列する整列手段とを備え、
前記整列手段は、
前記貯留取り出し手段にて排出された前記部品を滑降させる滑降部と、
前記滑降部を滑降した前記部品を前記所定方向に整列する整列部とを有する、
ことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記部品は、長筒状の筒状部と、前記筒状部の長手方向の一端に設けられたものであって、前記筒状部より太幅の鍔部とを有し、
前記所定方向は、前記鍔部の下方に前記筒状部が位置する方向であり、
前記滑降部は、前記部品を、前記筒状部又は前記鍔部のいずれか一方を先頭として、前記筒状部の長手方向に沿った方向で滑降させ、
前記整列部は、前記筒状部より太幅であって前記鍔部より細幅の切り欠き部を有し、前記部品が前記切り欠き部を通過した際に当該切り欠き部に前記筒状部のみを落下させることにより、前記部品を前記所定方向に整列させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記整列手段は、
前記整列部にて整列された前記部品を前記所定方向に維持した状態で保持する保持部を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記保持部は、前記筒状部より太幅であって前記鍔部より細幅の鍔受部を有し、前記整列部にて整列された前記部品の前記鍔部を前記鍔受部にて下方から支持することにより、前記部品を前記所定方向に維持した状態で保持する、
ことを特徴とする請求項2及び3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記貯留取り出し手段は、前記複数の部品を収容可能な筒体を有し、
前記筒体は、当該筒体の軸心が鉛直方向以外の方向に沿った傾斜状に配置され、
前記筒体の傾斜下方側の端面は、前記部品が当該筐体から落下しない閉鎖面とされ、
前記閉鎖面には、当該閉鎖面の最下端以外の位置に、前記部品を前記筒体の外部に排出するための排出口が形成され、
前記筒体の内部には、当該筒体の内周面に沿って回転するものであって、前記筒体にて貯留された前記複数の部品の中から当該部品を一個のみ受容し、当該受容した部品を前記排出口に移動させて当該排出口から前記筒体の外部に排出する受容トレーを有する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記受容トレーは、前記筒体の内周面の傾斜最下方位置を通過するように、前記筒体の内周面に沿って回転する、
ことを特徴とする請求項5に記載の部品供給装置。
【請求項7】
前記部品は、分析対象となる試料を受容するためのキュベットである、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−60290(P2013−60290A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201036(P2011−201036)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(306008724)富士レビオ株式会社 (55)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】