説明

部品搬送装置

【課題】回転駆動装置が発する熱を冷却して、極小の部品であっても良好に搬送可能な部品搬送装置を提供する。
【解決手段】回転するベース部材30と、ベース部材30を支持する板状のアーム20と、ベース部材30の周方向に沿って複数配設され、ベース部材30の回転軸方向に往復移動し、部品を保持する部品保持部材42と、アーム20に固定されてベース部材30を回転駆動する回転駆動装置60と、回転駆動装置60を冷却する冷却手段150とを備え、尚且つ、冷却手段150は冷却媒体が流通する冷却通路151を有し、冷却通路151内を冷却媒体が流通することで回転駆動装置60の発する熱を奪うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極小の部品を搬送するのに好適な回転式の部品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているような回転式の部品搬送装置が開発されている。この部品搬送装置は、基台と、基台に対して揺動自在に配設された板状のアームと、アームに回転自在に支持された略円盤状のベース部材と、ベース部材の外周面に周方向に沿って配設された部品保持モジュールと、アームの下面に固定されてベース部材を回転させるモータ(回転駆動装置)と、を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−196739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の部品搬送装置においては、部品搬送時はモータの駆動力によりベース部材と一体に部品保持モジュールが回転しているが、モータが熱を発し、この熱でアームがわずかながらに変形するおそれがある。この種の部品搬送装置は、極めて小さな部品を搬送対象とすることがあり、その場合にはわずかな変形でも部品保持モジュールに保持された部品の位置に影響することが懸念される。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、回転駆動装置が発する熱を冷却して部品を良好に搬送可能な部品搬送装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の部品搬送装置は、回転するベース部材と、前記ベース部材を支持する板状のアームと、前記ベース部材の周方向に沿って複数配設され、前記ベース部材の回転軸方向に往復移動し、部品を保持する部品保持部材と、前記アームに固定され、前記ベース部材を回転駆動する回転駆動装置と、前記アーム又は前記回転駆動装置を冷却する冷却手段と、を備え、前記冷却手段は、冷却媒体が流通する冷却通路を有し、前記冷却通路内を前記冷却媒体が流通することで前記回転駆動装置の発する熱を奪うことを特徴としている。
【0007】
なお、前記冷却媒体は液体であり、前記アームの内部に前記液体が通過する為の前記冷却通路が形成されていることが好ましい。この場合、前記冷却手段は、前記冷却媒体を貯留するタンクと、前記タンクと前記アームの内部に形成された前記冷却通路とを接続するチューブと、熱を放散するヒートシンクと、前記タンクと前記ヒートシンクとの間に配置され、前記タンク内の前記冷却媒体の熱を前記ヒートシンクに移動させるペルチェ素子と、を備えていることが好ましい。
【0008】
また、前記冷却媒体は気体であり、前記回転駆動装置の外周を覆うように配設された筒体をさらに備え、前記筒体と前記回転駆動装置との間の隙間を、前記気体が通過する前記冷却通路とすることが好ましい。この場合、前記冷却手段は、前記ベース部材の回転に伴い、前記冷却通路において周方向の気流が生じる構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の部品搬送装置によれば、冷却手段が回転駆動装置の発する熱を奪い、当該熱が部品保持部材に保持された部品の位置に影響を及ぼすことを排除し、極小の部品であっても良好に搬送することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の模式的な正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の本体部分の模式的な正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の本体部分の模式的な左側面図であって、ベース部材等が運転位置にある状態を示している。
【図4】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の本体部分の模式的な左側面図であって、ベース部材等が退避位置にある状態を示している。
【図5】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の本体部分の模式的な平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の模式的な図であって、(a)はベース部材及び部品保持モジュールの平面図、(b)はその断面図である。
【図7】(a)、(b)ともに、本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の部品保持モジュール及び案内機構の断面構造を示す模式的な図である。
【図8】(a)、(b)ともに、本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の部品保持モジュール及び案内機構の断面構造並びに外部付勢装置を示す模式的な図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置のベース部材及び冷却装置の一部の模式的な平面図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る部品搬送装置の動作を示す模式的な平面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る部品搬送装置の要部を示す模式的な断面図であって、(a)は冷却手段の構造を示す縦断面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図12】本発明の部品搬送装置のその他の変形例を示す模式的な断面図及び側面図である。
【図13】本発明の部品搬送装置のその他の変形例を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0012】
[第1実施形態]図1に示すように、第1実施形態の部品搬送装置1は、部品供給装置2の受入トレイ2aにバルク状態(ランダムにまとまった状態)で載置された部品を取り出して搬送し、途中で部品の高さを一旦下げてから、検査テーブル上で所定の検査を行い、その後、部品を上昇させて、部品搬出装置3の整列トレイ3aまで搬送し、部品を整列トレイ3a上に整列状態で載置するものである。
【0013】
図1〜図5に示すように、部品搬送装置1は、基台10と、基台10に対して揺動自在に配設されたアーム20と、アーム20に回転自在に配設されたベース部材30と、ベース部材30の外周面に周方向に沿って配設された複数(ここでは4つ)の部品保持モジュール40と、アーム20に配設された複数(ここでは2つ)の外部付勢装置50と、ベース部材30を回転させるベース部材回転駆動装置60と、基台10の上面の中央手前側に配設された部品検査手段70と、アーム20を揺動させる揺動手段80と、部品搬送装置1全体を制御する中央制御装置90と、ベース部材回転駆動装置60の外周を覆うようにしてアーム20側に固定配置される円筒状の固定部材(筒体)100と、固定部材100側に配置される案内機構120と、ベース部材回転駆動装置60を冷却する冷却装置(冷却手段)150と、を備えて構成されている。
【0014】
<基台>基台10は、略直方体状の部材である。基台10の内部には、中央制御装置90や特に図示しない電源装置等が配設されている。基台10上面の奥側端部には、図3及び図4に示すように柱部材11が配設されており、この柱部材11の上端にはアーム20を動作可能(揺動自在)に支持するアームブラケット11aが配設されている。
【0015】
本実施形態では、図2に示すように、基台10の上面の左側部分を搬送する部品を受け入れる受入領域12、基台10の上面の右側部分を部品の搬送先である搬出領域13と設定している。また、部品検査手段70が配設された基台10の上面の中央手前側部分を部品検査領域14としている。受入領域12には部品供給装置2の受入トレイ2aが配設されており、搬出領域13には部品搬出装置3の整列トレイ3aが配設されている。部品供給装置2及び部品搬出装置3の詳細については後述する。
【0016】
<アーム> アーム20は、板状の部材であり、上述のようにアームブラケット11aに揺動自在に支持されている。アーム20は、基台10の上面に対面する運転位置(図3参照)と、基台10の上面を開放する退避位置(図4参照)との間で揺動する。また、アーム20の下面にはベース部材30、ベース部材回転駆動装置60及び固定部材100が取り付けられていると共に、アーム20の上面には外部付勢装置50の後述するモータ53が取り付けられている、
【0017】
<ベース部材> ベース部材30は、略円筒状乃至は略円板状の回転可能な部材(ターレットテーブル)であり、部品を搬送可能な位置である運転位置において回転の中心軸が上下方向となるようにアーム20に支持されている。図1〜図3では、運転位置にベース部材30がある状態を示している。そして、ベース部材30は、運転位置において回転した場合に、全ての部品保持モジュール40が受入領域12、部品検査領域14、搬出領域13の上方を通過するように構成されている。また、運転位置において、いずれかの部品保持モジュール40が受入領域12に対向する位置にある場合に、他の部品保持モジュール40のいずれかが部品検査領域14に対向し、更に他の部品保持モジュール40のいずれかが搬出領域13に対向する位置にあるように構成されている。
【0018】
ベース部材30の外周面には、図6(a)に示すように、部品保持モジュール40が等間隔(ここでは90度間隔)で外側に向けて突設されている。本実施形態では、各部品保持モジュール40の間の部材を排除して(又は切り欠いて)干渉回避空間部31が形成されるようにしている。干渉回避空間部31の機能については後述する。
【0019】
ベース部材30の上面の中心には、図6(a)及び(b)に示すように、中空軸32が突設されている。この中空軸32はベース部材30の回転の中心になると共に、アーム20に回転自在に支持される部分となっている。また、中空軸32は、大径の外側パイプ32aと小径の内側パイプ32bが同軸的に配設された二重構造となっている。中空軸32の外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙は、低圧源となる真空ポンプ(図示省略)と部品保持モジュール40とを繋ぐ通路の一部となっている。中空軸32の上端部には、スイベルジョイント33を介して真空ポンプに繋がるエア配管34が接続されている。
【0020】
ベース部材30の内部の中心部には、外側パイプ32aと内側パイプ32bの間隙と同軸的に接続された中央気室35が形成されており、さらに、この中央気室35から各部品保持モジュール40に個別に接続された4つの吸引通路36が放射状に形成されている。各吸引通路36の途中には、部品保持モジュール40と真空ポンプの連通・遮断を切り替える切替バルブ37がそれぞれ配設されている。これにより、本実施形態では、各部品保持モジュール40と真空ポンプの連通・遮断を個別に切り替えることが可能となっている。本実施形態における切替バルブ37は、ソレノイドによって弁体を移動させる電磁弁から構成されているが、切替バルブ37は、電気的に駆動されるものであればその他の構成のものであってもよい。
【0021】
ベース部材30の内部にはさらに、切替バルブ37を制御して後述する吸着ノズル42aによる部品の吸着・解放を制御する吸着ノズル切替制御装置91、及び、後述する保持部自転駆動手段43を制御する保持部自転制御装置92が配設されている。吸着ノズル切替制御装置91及び保持部自転制御装置92は、CPU、ROM及びRAM等を備えた制御装置である。吸着ノズル切替制御装置91及び保持部自転制御装置92は、特に図示しない配線によって、切替バルブ37及び保持部自転駆動手段43とそれぞれ電気的に接続されると共に、中央制御装置90に電気的に接続されている。中央制御装置90と吸着ノズル切替制御装置91及び保持部自転制御装置92とを繋ぐ配線は、中空軸32の先端部に配設されたスリップリング38を介して接続されている。スリップリング38と吸着ノズル切替制御装置91及び保持部自転制御装置92の間の配線は、中空軸32の内側パイプ32bの内部を通されている。
【0022】
<部品保持モジュール> 部品保持モジュール40はそれぞれ、図7(a)及び(b)に示すように、筺体41と、筺体41に自転自在に配設された保持部(部品保持部材)42と、保持部42を自転駆動する保持部自転駆動手段43と、を有して構成されている。
【0023】
部品保持モジュール40は、特に図示しないボルト等によって容易に着脱可能にベース部材30に配設されている。本実施形態では、図6(a)に示すように部品保持モジュール40を外側に突出して配置することで、隣接する部品保持モジュール40間に前述の干渉回避空間部31が形成される。なお、例えば、ベース部材30の一部に開口を切り欠いて、その開口を干渉回避空間部31とすることも可能である。
【0024】
図7(a)及び(b)に戻って、筺体41は、保持部42及び保持部自転駆動手段43を内部に保持し、ベース部材30にボルト等によって着脱可能に固定されている。
【0025】
保持部42は、下方に向けられた先端に吸着ノズル42aが配設された細長い円筒状の部材である。保持部42は、ベース部材30の自転軸と並行となる中心軸周りに回転(自転)自在であると共に、中心軸(自転軸)方向に沿って往復移動自在に筺体41に保持されている。保持部42の内部には、吸着ノズル42aに繋がる吸引通路42bが形成されている。吸引通路42bは、軸端に接続されるチューブ状の配管42cによって、ベース部材30に配設された切替バルブ37に接続される。
【0026】
吸着ノズル42aは、運転位置においては基台10の上面に対向するように設けられている。真空ポンプと吸着ノズル42aの連通・遮断は切替バルブ37によって切り替えられると共に、遮断時には、吸着ノズル42aは大気開放状態となるように構成されている。すなわち、保持部42は、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが連通された場合に、吸着ノズル42aによって部品を吸引して吸着(保持)し、切替バルブ37によって真空ポンプと吸着ノズル42aが遮断された場合に、吸着ノズル42aに保持していた部品を解放するように構成されている。
【0027】
保持部42の基端部(上端部)には、ブラケット44が配設されている。ブラケット44は、ベース部材30の半径方向に沿って延在し、保持部42と中心軸方向(上下方向)に係合している。また、ブラケット44は保持部42の自転を許容するようになっている。すなわち、保持部42が自転してもブラケット44は回転しないが、ブラケット44が上下方向に往復移動した場合は、保持部42も中心軸方向に往復移動するようになっている。ブラケット44の上面には、外部付勢装置50からの圧力を受ける受圧部材44aが突設されている。また、ブラケット44の半径方向内側にはカムフォロア110が配置されている。カムフォロア110については後で詳述する。更に、ブラケット44は、引っ張りばねとなる内部付勢装置45によって、筺体41から常に下側に向けて付勢されている。
【0028】
保持部自転駆動手段43は、筺体41に固定されたモータ43aと、モータ43aの回転駆動力を保持部42に伝達する伝達機構43bとを備えて構成されている。
【0029】
本実施形態では、モータ43aはステッピングモータから構成され、特に図示しない配線及びコネクタを介して保持部自転制御装置92と電気的に接続される。
【0030】
伝達機構43bは、モータ43aの出力軸に固定された駆動歯車43b1、及び保持部42に同軸的に固定された従動歯車43b2からなり、モータ43aの回転数を所定の減速比で減速するように構成されている。なお、伝達機構43bを3つ以上の歯車列から構成するようにしてもよいし、ベルト伝達機構やチェーン伝達機構等により構成するようにしてもよい。
【0031】
保持部42は、保持部自転駆動手段43に駆動されて自転し、本実施形態では、このように保持部42を自転させることによって、吸着ノズル42aに吸着保持した部品の姿勢を整えるようになっている。
【0032】
<外部付勢装置> 外部付勢装置50は、図8(a)及び(b)に示すように、先端を受圧部材44aに向けてアーム20に配設された細長い円筒状のガイド部材51と、ガイド部材51の内部に挿通された細長い棒状の押圧部材52と、アーム20の上面に固定されたモータ53と、モータ53の出力軸に固定されたカム54と、を備えて構成され、受圧部材44aに外力を加えてブラケット44とともに保持部42を押し下げる。
【0033】
詳しくは、押圧部材52は、先端を受圧部材44aに向けると共に、基端をカム54に接続されている。そして、モータ53に駆動されたカム54の回転に伴って上下方向(受圧部材44aに対して近接離隔する方向)に往復移動するように構成されている。なお、カム54のカムプロファイルは、搬送装置1の搬送速度等に応じて適宜に設定すればよい。
【0034】
押圧部材52は、受圧部材44aに近接する方向への移動によって、自身の先端が受圧部材44aに当接すると共に、後述する案内機構120のガイド面122の可動領域122Aに配置される押圧ばね124の付勢力に勝る外力を受圧部材44aに加える。そして、図8(b)に示すように、ブラケット44と共に保持部42を保持部42の自転軸に沿って移動させる。更にカム54の回転に伴って押圧部材52が元の位置に戻ると、ブラケット44及び保持部42は、押圧ばね124の付勢力により図8(a)の状態に自動的に復帰するようになっている。
【0035】
本実施形態では、運転位置において受入領域12及び搬出領域13に対向する位置にある部品保持モジュール40の受圧部材44aを押圧可能な位置に、外部付勢装置50がそれぞれ配設されている。また、ガイド面122の可動領域122Aも受入領域12及び搬出領域13に対応する位置に形成されている。
【0036】
<ベース部材回転駆動装置> ベース部材回転駆動装置60は、アーム20の下面に取り付けられ、アーム20とベース部材30の間に位置している。本実施形態では、ベース部材回転駆動装置60は、アーム20に固定されるステータ、及びステータの外周を回転する筒状のロータから構成されるDDモータである。ステータの中心部には軸方向に貫通孔が形成されている(図6(b)参照)。ベース部材30は、この貫通孔内に中空軸32を挿通した状態でロータに固定されている。
【0037】
<部品検査手段> 部品検査手段70は、図5に示すように、第1及び第2X線検査装置70A、70Bから構成されている。この部品検査手段70は、部品検査領域14において側面からX線を照射して、部品の内部構造を非破壊で検査する。後で詳述するが、本実施形態では、案内機構120が、受入領域12と搬出領域13の途中において、一旦、部品の高さが低くなるような下降領域を形成している。従って、部品の側面に照射したX線が、他の保持部42に保持されている部品や、保持部42そのものと干渉しないようになっている。この結果、X線の第1及び第2受光部70C、70Dを、保持部42の移動軌跡よりも外側に配置することが可能となる。部品検査手段70は中央制御装置90と電気的に接続されており、中央制御装置90によって撮像タイミングが制御される。
【0038】
なお、本実施形態では、より安全性を増すために、保持部42が部品検査領域14に存在している状態において、この第1及び第2X線検査装置70A、70Bの撮像方向(矢印P、Qで示す方向)の延長線上に、他の保持部42が存在しないようにしている。つまり、第1及び第2X線検査装置70A、70Bの撮像方向を設定する際に、他の保持部42が干渉しない方向を選定している。
【0039】
<揺動手段> 揺動手段80は、図3〜図5に示すように、モータ82と、モータ82の出力軸に接続されるねじ軸84と、アーム20に配設されるナット86と、アーム20の後端上方に固定されるナットブラケット88と、を備えて構成され、アーム20を略90度回動させることで、アーム20と一体にベース部材30を運転位置から退避位置に移動させる。
【0040】
モータ82は、例えばステッピングモータであり、出力軸を上にして柱部材11の背面にモータブラケット82aを介して揺動可能に配設されている。
【0041】
ねじ軸84は、外周面におねじが形成された棒状の部材であり、モータ82の出力軸に同軸的に接続されている。
【0042】
ナット86は、ねじ軸84のおねじと螺合するめねじを備えているとともに、ナットブラケット88を介してアーム20の後端上方に回動可能に配設されている。ナット86はねじ軸84がモータ82に駆動されて回転することにより、ねじ軸84に沿って直線移動する。すなわち、モータ82を駆動し、ねじ軸84を一方向に回転させてナット86を下方に移動させることで、アーム20と一体にベース部材30を退避位置へ向かって上昇させ、反対に、ねじ軸84を逆方向に回転させてナット86を上方に移動させることで、アーム20と一体にベース部材30を運転位置へ向かって下降させることができるようになっている。
【0043】
このように、ねじ軸84の回動に伴ってアーム20が揺動するため、揺動手段80は、シンプルな構成でありながらも、アーム20と一体にベース部材30をスムーズに揺動させることができる。
【0044】
本実施形態では、退避位置に移動させることによって、ベース部材30を基台10から大きく引き離すと共に、ベース部材30の下面及び部品保持モジュール40の吸着ノズル42aの先端を側方に向けて開放するように構成されている。これにより、吸着ノズル42aのメンテナンスや、基台10に配設された部品供給装置2、部品搬出装置3及び部品検査手段70等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0045】
<中央制御装置> 中央制御装置90は、CPU、ROM及びRAM等を備えた制御装置であり、外部付勢装置50、ベース部材回転駆動装置60及び部品検査手段70等を直接制御すると共に、吸着ノズル切替制御装置91及び保持部自転制御装置92に制御情報を送信して、4つの切替バルブ37及び4つの保持部自転駆動手段43を個別に制御させるようになっている。
【0046】
<固定部材> 固定部材100は、アーム20に固定されて下側に延びる筒状の部材であって、内側のベース部材回転駆動装置60とは隙間を空けて配置されている。
【0047】
<案内機構> 案内機構120は、前述のカムフォロア110と当接するガイド面122を備えて構成される。ガイド面122は、固定部材100の外周面に周方向に形成される段差を利用してリング状に形成される。
【0048】
ガイド面122は、保持部42の移動軌跡に沿って周方向に延びると共に、保持部42の自転軸方向に向かって屈曲又は湾曲している。従って、カムフォロア110がこのガイド面122に対して従動すると、ガイド面122の屈曲又は湾曲によってカムフォロア110が軸方向に変位する。この結果、保持部42は、ガイド面122と係合して周方向に案内されながら、自転軸方向に変位する。
【0049】
つまり、カムフォロア110は、固定部材100の外周面に設けられる案内機構120と当接しており、案内機構120は、カムフォロア110及びブラケット44を介して、ベース部材30と共に回転する保持部42と係合することになる。この結果、案内機構120は、保持部42を自転軸方向に変位させることができる。
【0050】
また、図8(a)及び(b)に示すように、ガイド面122の一部には可動領域122Aが形成されている。この可動領域122Aは、ガイド面122の残りの領域に対して、自転軸方向に独立して変位することができる。ガイド面122における可動領域122Aの裏面側(下側)には、付勢部材の一種である押圧ばね124が配置されており、この押圧ばね124によって可動領域122Aを押し上げることで、可動領域122Aと残りの領域の高さを一致させる(図7(a)参照)。押圧ばね124の付勢力に抗して可動領域122Aを押し下げることで、可動領域122Aのみが自転軸方向に変位する(図7(b)参照)。可動領域122Aが形成される場所は、外部付勢装置50の設置位置に対応している。外部付勢装置50がブラケット44を下側に付勢すると、これに連動してカムフォロア110が可動領域122Aを下側に付勢する。この付勢力によって可動領域122Aは下側に変位すると、カムフォロア110と一緒にブラケット44も下側に変位する。外部付勢装置50による付勢が解放されると、押圧ばね124の付勢力によって、ブラケット44と可動領域122Aが元の位置に自動的に復帰する。
【0051】
前述のように、ブラケット44が内部付勢装置45によって筺体41から常に下側に向けて付勢されているので、カムフォロア110はガイド面122に常に押しつけられることとなり、ガイド面122とカムフォロア110が離反することを回避できる。この結果、保持部42の自転軸方向の位置(高さ)は、カムフォロア110とガイド面122の係合状態によって決定される。
【0052】
なお、内部付勢装置45の引っ張りばねの付勢力と比較して、ガイド面122の可動領域122Aに配置される押圧ばね124の付勢力の方が強い。従って、カムフォロア110が可動領域122Aに位置しても、外部付勢装置50によって付勢しなければ、可動領域122Aは変位しないようになっている。
【0053】
ガイド面122は、受入領域12及び搬出領域13の上方において、保持部42が保持する電子部品の移動軌跡上から半径方向内側にオフセットした状態で配置されている。勿論、半径方向外側にオフセットさせることもできる。
【0054】
<冷却装置>冷却装置150は、図1に示すように、アーム20の内部に形成された冷却通路151と、冷却通路151内を流通する液状の冷却媒体を貯留するタンク152と、冷却通路151とタンク152とを接続するチューブ153と、熱を放散するヒートシンク154と、タンク152とヒートシンク154との間に配置され、タンク152内の冷却媒体の熱をヒートシンク154に移動させるペルチェ素子155と、ヒートシンク154に設置され、ヒートシンク154に冷却風を導入する冷却ファン156と、冷却通路151内で冷却媒体を循環させるポンプ(図示省略)と、を備えて構成されている。本実施形態では、冷却媒体として冷却水を利用する。ただし、液状の冷却媒体であれば水に限定されない。
【0055】
冷却通路151は、図9に示すように、アーム20の内部において、例えば上面視で略コ字状となるように、入口ポート151aと出口ポート151bとを連通して形成されている。本実施形態では、アーム20の内部を後から穿つことで冷却通路151を形成している。例えば、アーム20の奥行方向に2本の直線通路を貫通させるとともに、当該通路に連通するようにアーム20の幅方向に1本の直線通路を貫通させ、更に、各通路の端部にシール材157を封入することで、屈曲した1本道の冷却通路151を形成すると好ましい。ただし、冷却通路151の形状や形成方法はこれに限定されるものではなく、適宜に設計可能である。ヒートシンク154には、性能を上げるためにフィンが設けられている。
【0056】
本実施形態では、冷却装置150は特に図示しない制御装置によって制御され、部品搬送装置1の運転時に稼働するようにする。ただし、冷却装置150は、中央制御装置90によって制御されても良い。勿論、単純にスイッチのみを設けて、手動で冷却装置150のオンオフを制御してもよい。
【0057】
また、冷却装置150は、例えば冷却ファン156を備えない構成としてもよく、少なくとも液状の冷却媒体をアーム20の内部に流通させて、部品搬送装置1本体から離れた位置でその熱を放散できるものであれば、適宜に他の構造へ設計変更可能なものである。
【0058】
<部品供給装置> 部品供給装置2は、図2及び図5に示すように、略四角形状の受入トレイ2aと、例えばX−Yテーブルから構成され、受入トレイ2aを移動させるトレイ移動手段2bと、アーム20に配設された待機部品撮像手段2cと、を備えて構成されている。
【0059】
受入トレイ2aは、トレイ移動手段2b上に配設されている。トレイ移動手段2bは、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態におけるトレイ移動手段2bは、図3における上下方向及び左右方向に受入トレイ2aを移動可能となっている。待機部品撮像手段2cは、運転位置において、受入トレイ2a上に載置された状態で受入領域12にある部品を上方から撮像する位置に配設されている。トレイ移動手段2b及び待機部品撮像手段2cは中央制御装置90と電気的に接続されている。
【0060】
部品供給装置2は、図5の左側に示す供給領域15において外部からバルク状態で受入トレイ2a上に載置された複数の部品を、トレイ移動手段2bによって受入トレイ2aを移動させることにより、受入領域12まで搬送する。すなわち、部品供給装置2は、部品を搬送する搬送装置としても機能する。部品供給装置2は、複数の部品を受入領域12まで搬送した後、待機部品撮像手段2cによって受入領域12にある複数の部品を撮像し、その画像情報を中央制御装置90に送信する。中央制御装置90は、受信した画像情報を解析し、画像情報に含まれる複数の部品のうちの1つを適宜に選択する。そして、吸着ノズル42aが吸着可能な位置に選択した1つの部品を配置するようにトレイ移動手段2bを制御する。トレイ移動手段2bは、中央制御装置90の制御に基づいて、受入トレイ2aを移動させ、選択された部品が吸着ノズル42aによって適切に吸着可能となるように、その位置を調整する。すなわち、部品供給装置2は、吸着ノズル42aに対する部品の位置を整える整列装置としても機能する。
【0061】
待機部品撮像手段2cは、受入領域12の真上に配設されているため、受入領域12に対抗する位置に部品保持モジュール40がある場合には、部品保持モジュール40に邪魔されて受入トレイ2a上の部品を撮像することができない。従って、待機部品撮像手段2cは、ベース部材30の回転中、すなわち、受入領域12から部品を保持した部品保持モジュール40が部品検査領域14まで移動し、次の部品保持モジュール40が受入領域12まで到着する間に撮像を行う。つまり、待機部品撮像手段2cは、部品保持モジュール40が受入領域12及び搬出領域13の上方に存在しないタイミングを利用して、上方側から受入トレイ2a上の部品を撮像することができる。
【0062】
2つの部品保持モジュール40の間は、上述したように、大きく切り欠かれて部材が排除された干渉回避空間部31となっており、更に、案内機構120のガイド面122も半径方向内側にオフセットしているので、ガイド面122と待機部品撮像手段2cの撮像領域との干渉を回避し、待機部品撮像手段2cは、干渉回避空間部31を通して上方から受入トレイ2a上の部品を撮像することができる。また、これにより、吸着ノズル42aに対する部品の位置を微調整することができるため、バルク状態で載置された部品であっても、適切に吸着ノズル42aに吸着させて、搬送することが可能となる。なお、干渉回避空間部31は、部材を全く排除した切り欠きに限定されるものではなく、例えばガラス等の光を透過することができる部材から構成されるものであってもよい。
【0063】
<部品搬出装置> 部品搬出装置3は、略四角形状の整列トレイ3aと、例えばX−Yテーブルから構成され、整列トレイ3aを移動させるトレイ移動手段3bとを備えて構成されている。
【0064】
整列トレイ3aは、マトリクス状に配置された複数の凹部3hが上面に形成されたトレイであり、トレイ移動手段3b上に配設されている。
【0065】
トレイ移動手段3bは、図示は省略するが、モータによって駆動される直動装置を互いに直角に組み合わせて構成されている。本実施形態におけるトレイ移動手段3bは、図3における上下方向及び左右方向に整列トレイ3aを移動可能となっている。
【0066】
トレイ移動手段3bは、中央制御装置90に制御されて、搬出領域13にある部品保持モジュール40の吸着ノズル42aの真下に、複数の凹部3hのうちの1つが順番に位置するように整列トレイ3aを移動させる。すなわち、搬出領域13において吸着ノズル42aから開放された部品が凹部3hに収容された後に、次に搬送される部品が収容される凹部3hを、次に搬出領域13に到着する吸着ノズル42aの真下となる位置に配置するという動作を繰り返し、全ての凹部3h内に部品を収容させる。全ての凹部3h内に部品が収容された整列トレイ3aは、例えば次の検査工程等に運ばれる。
【0067】
<部品搬送装置の作動> 次に、部品搬送装置1の作動について説明する。図10(a)〜(f)は、部品搬送装置1の作動を示した平面図である。
【0068】
まず、図10(a)に示すように、トレイ移動手段2bが、供給領域15において複数の部品を載置された受入トレイ2aを受入領域12まで移動させる。そして、図10(b)に示すように、中央制御装置90がベース部材回転駆動装置60を制御して、ベース部材30を反時計回りに略45度回転させる。このベース部材30の回転中に待機部品撮像手段2cが受入トレイ2a上の部品を撮像し、この画像情報を基に中央制御装置90がトレイ移動手段2bを駆動し受入トレイ2aを移動させる。中央制御装置90はベース部材30を更に略45度回転させ、図10(c)に示すように、受入領域12にある選択された1つの部品の上に部品保持手段40の吸着ノズル42aを位置させる。
【0069】
次に、中央制御装置90は、ベース部材回転駆動装置60を制御して図10(c)の位置でベース部材30を一時停止させるとともに、外部付勢装置50を制御して受入領域12にある部品保持手段40の保持部42を下降させ、吸着ノズル42aによって部品を吸着して保持する。その後、外部付勢装置50による押圧を解除して保持部42を元の位置へ復帰させる。
【0070】
次に、ベース部材30を略90度回転させ、図10(d)の位置で一時停止させる。これにより、先ほど受入トレイ2a上から取り出された部品は、部品検査領域14に搬送される。この際、案内機構120のガイド面122に沿って保持部42が下降し、部品検査領域14で最も低い位置となる。ベース部材30が静止している間に、部品検査手段70は、吸着ノズル42aに保持されている部品をX線撮像する。
【0071】
撮像完了後、ベース部材30を更に略90度回転させて、途中、図10(e)に示すように保持部42を自転させて保持した部品の姿勢を制御をしながら、図10(f)の位置で再び一時停止させる。先ほどX線撮像された部品は、ガイド面122に沿って上昇しながら、搬出領域13の上に到着している。ベース部材30が静止している間に、外部付勢装置50が、搬出領域13にある部品保持手段40の保持部42を下降させ、吸着ノズル42aが保持している部品を開放して凹部3hに収容させる。その後、外部付勢装置50による押圧を解除して保持部42を元の位置へ復帰させる。
【0072】
部品搬送装置1の運転時には、中央制御装置90によって冷却装置150のポンプを駆動し、冷却通路151内に冷却水を循環させる。アーム20はベース部材回転駆動装置60に接しているので、アーム20の内部に形成された冷却通路151内の冷却水がベース部材回転駆動装置60の熱を効率良く奪う。熱を奪って昇温した冷却水は、チューブ153を通ってタンク152に貯留される。タンク152の底面にはペルチェ素子155が配設されているので、ペルチェ素子155は、タンク152の底面に接する面から吸収した熱を反対側の面に移動させ、ヒートシンク154がこの熱を放散する。このとき、冷却ファン156でヒートシンク154に導入される冷却風を増量し、冷却効果を増大させると同時に、ヒートシンク154に設けられたフィンで表面積を増大し、この点でも冷却効果を増大させる。
【0073】
<効果> 以上説明したように、本実施形態に係る部品搬送装置1は、上記の図10(a)〜(f)に示す動作を繰り返すことによって、受入トレイ2a上にバルク状態で載置された部品を1つずつ取り出して搬送し、X線撮像による非破壊検査を行ってから、整列トレイ3a上に整列状態で載置する。部品搬送装置1では、案内機構120のガイド面122を利用して回転中に保持部42を自転軸方向に変位させることで、受入領域12、部品検査領域14、搬出領域13において、目的とする高さまで予め近づけることが出来るので、外部付勢装置50による移動ストロークを極めて小さくすることができる。この結果、部品の検査速度や搬送速度を高めることができる。
【0074】
更に、部品搬送装置1は、部品の搬送軌跡に対してガイド面122が半径方向にオフセットしているので、待機部品撮像手段2cを利用した部品の撮像時に、ガイド面122との干渉を回避している。特に、保持部42の間にも待機部品撮像手段2cにより受入領域12にある部品を撮像するための干渉回避空間部31が形成されている。このため、ベース部材30の回転中に、ベース部材30、部品保持モジュール40及びガイド面122等に邪魔されることなく、受入領域12にある部品を撮像することができる。これにより、待機部品撮像手段2cが撮像した画像情報に基づいて、吸着ノズル42aが適切に吸着することが可能な位置に、受入領域12にある部品の位置を修正することが可能となるため、受入トレイ2a上にバルク状態で載置された部品を確実に吸着、保持することができる。
【0075】
更に、ガイド面122は可動領域122Aを備えており自転軸方向に独立して変位するようになっている。この結果、カムフォロア110と一緒に保持部42を更に自転軸方向に変位させることで、部品の吸着や開放を素早く実現できる。
【0076】
また、ガイド面122は、受入領域12と搬出領域13の間において、保持部42が最も低い位置となるように形成されているので、例えば本実施形態のような部品のX線検査において、他の部品や吸着ノズル42aとの干渉を回避することが可能となる。
【0077】
また更に、保持部42には、カムフォロア110と案内機構120の当接状態を維持するための付勢装置(内部付勢装置45)が設けられているので、カムフォロア110と案内機構120の離反が回避され、保持部42の位置決め精度を高めることが可能になる。
【0078】
また、必要な場所に限定して、ベース部材30の外部から保持部42の一部に外力を加える外部付勢装置50を備えているため、保持部42を移動させるためのアクチュエータ等をベース部材30又は部品保持モジュール40に配設する必要がない。また、外部付勢装置50を利用した構造を採用する際、移動ストロークを大きくしようとするとベース部材30の一時停止時間が増大する。しかし、案内機構120によって予め必要な移動ストロークを確保することで、外部付勢装置50の移動ストロークを小さくすることができるので、ベース部材30の一時停止時間を短縮できる。この結果、簡潔な構造と、大きな移動ストロークと、搬送速度の増大の3つの利点を極めて合理的に両立することができる。
【0079】
また、受入領域12には、複数の部品がバルク状態で載置される受入トレイ2aが配設され、搬出領域13には、複数の部品が整列状態で載置される整列トレイ3aが配設され、受入トレイ2aから取り出した部品を、姿勢を整えた上で整列トレイ3aまで搬送し、整列トレイ3a上に整列状態で載置する。このため、バルク状態の部品を高速で整列トレイ3a上で整列させることができ、部品の生産効率や検査効率を向上させることができる。
【0080】
また、部品搬送装置1は冷却装置150を備えているので、冷却装置150がベース部材回転駆動装置60の発する熱を奪い、当該熱の影響を受けてアーム20が変形することを防止することができる。したがって、アーム20の変形によって保持部42に保持された部品の位置がずれることがなく、位置の精度を向上させ、極小の部品であっても良好に搬送することができる。
【0081】
また、冷却装置150の冷却通路151以外の構成要素は部品搬送装置1の本体部分に対して外付けした状態となっており、且つ、冷却通路151はアーム20を後から穿って形成することができるので、既存の部品搬送装置に冷却装置150を追加装備することが可能である。
【0082】
[第2実施形態] 次に、図11(a)及び(b)を用いて第2実施形態の部品搬送装置200について説明する。第2実施形態の部品搬送装置200は、第1実施形態の部品搬送装置1とはベース部材回転駆動装置60を冷却する冷却手段の構成が異なっている。したがって、以下ではこの冷却手段の構成を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付すとともに適宜に説明を省略する。
【0083】
本実施形態の部品搬送装置200は、第1実施形態の部品搬送装置1のように外付けで冷却装置150を設けず、ベース部材回転駆動装置60と固定部材100′との間の空間(隙間)を冷却通路201とし、この冷却通路211に冷却媒体としての冷却空気を流通させることによって冷却手段210を構成している。
【0084】
アーム20の内部には、装置外部と冷却通路211とを接続する案内通路213が形成されている。案内通路213の装置外部側の端部には吸気ポート215が設けられ、この吸気ポート215にはチューブ217の一端が接続されている。チューブ217の他端には例えばエアコンプレッサ(図示省略)が接続されている。また、固定部材100′の外周壁には、排気口として機能する開口部219が少なくとも1つ形成されている。
【0085】
このような構成により、エアコンプレッサを駆動させて吸気ポート215及び案内通路213を介して冷却通路211内に冷却空気を導入し、この冷却空気でベース部材回転駆動装置60の発する熱を奪った後、開口部219から排気することで、簡素な構成でベース部材回転駆動装置60を冷却することができる。このとき、ベース部材30が回転することに伴い、冷却通路211において周方向の気流が生じることを利用して、冷却空気をベース部材回転駆動装置60の周囲で効率良く循環させることができる。
【0086】
なお、冷却媒体は、低温の空気であれば冷却効果が増大する点で好ましい。また、冷却媒体は空気に限らず、その他の気体(例えば、窒素ガスや酸素ガス)であっても良い。
【0087】
[その他] 以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の部品搬送装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0088】
例えば、上記第1実施形態の部品搬送装置1は、固定部材100とカムフォロア110と案内機構120とを備えて、部品の保持/開放の為に必要な上下動のストロークを最小化する構成としたが、これらの構成要素を排除した構成としてもよい。
【0089】
また、上記第1及び第2実施形態に係る部品搬送装置1,200は、4つの部品保持モジュール40を備えたものであるが、部品保持モジュール40の個数はこれに限定されるものではなく、その他の個数の部品保持モジュール40を備えるようにしてもよい。
【0090】
また、保持部42は、吸着ノズル42aを下方に向けているが、これに限定されるものではなく、吸着ノズル42aを側方や上方に向けるものであってもよい。さらに、保持部42は、吸着ノズル42aを備えるものに限定されるものではなく、例えばエア駆動により部品を把持する構造のものであってもよい。
【0091】
また、ベース部材30は、運転位置において回転の中心軸が上下方向となるように配設されているが、これに限定されるものではなく、運転位置における回転の中心軸が水平方向や斜め方向となるように配設されるものであってもよい。また、ベース部材30は、本実施形態に示す形状以外の形状であってもよい。
【0092】
また、アーム20は、基台10に配設されるものに限定されるものではなく、他の部材に配設されるものや、独立して設置されるものであってもよい。さらに、アーム20は、揺動以外の動作を可能に構成されるものであってもよい。例えば、上方に向けて直線移動した後に揺動するように、又は複数の異なる回転軸を中心に揺動もしくは回動するようにアーム20を構成してもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、案内機構120における可動領域122Aにカムフォロア110が存在する際、ブラケット44を外部付勢装置50で押圧する構造を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図12に示すように、可動領域122Aは、カムフォロア110を上下から挟み込むような溝構造となっており、外部付勢装置50がこの可動領域122Aを付勢して、ブラケット44を上下動させるようにしても良い。この際、押圧ばね124を外部付勢装置50側に配置しても良い。即ち、外部付勢装置50が押圧する部位や構造については特に限定されない。
【0094】
また、受入領域12、搬出領域13及び部品検査領域14の位置(高さ位置を含む)は、上記実施形態において示した位置に限定されるものではなく、受入領域12、搬出領域13及び部品検査領域14をその他の位置に配置するようにしてもよい。さらに、部品の加工組立や検査等を行う領域を搬送途中に設けるようにしてもよい。例えば図13に示すように、案内機構120によって、受入領域12と搬出領域13において保持部42の高さが異なるようにすることも好ましい。このようにすると、受入トレイ2aと整列トレイ3aを大型化した際に、トレイ同士の干渉を高さ方向で回避することができる。また、このように受入領域12と搬出領域13の高さ位置が大きく異なる場合においても、案内機構120を利用して搬送工程中にそれぞれの高さまで保持部42の先端を近づけることができるので、部品の保持/開放の為に必要な上下動のストロークを最小化できる。即ち、外部付勢装置50の動作時間を短くすることができ、これによっても搬送効率が高められる。
【0095】
また、ベース部材30の回転は、90度回転するごとに静止する間欠回転に限定されるものではなく、部品保持モジュール40が受入領域12、搬出領域13及び部品検査領域14に対抗する位置にある場合にも、ベース部材30を低速で回転させ続けるようにしてもよい。
【0096】
更に、上記実施形態では、部品供給装置2において、部品がバルク状態で載置される場合を示したが、本発明はそれに限定されず、他の供給方法でもよい。例えば、部品供給装置がいわゆる振込装置であって、一時的に部品を整列させる整列凹部を列状に備える仮整列トレイを備えるようにしてもよい。この仮整列トレイを、上下左右に振動させたり傾斜させたりすることで、バルク状態の部品を整列凹部に整列させてから、搬送装置に部品を供給することも好ましい。
【0097】
また、本発明において搬送される部品は、様々なものが考えられるが、特に、水晶片に適用することが好ましい。水晶片の搬送は、外力によって損傷を受けやすいにも拘らず、製造工程の高度化によって高速搬送が求められている。従って、本実施形態のターレット搬送装置によれば、各水晶片の保持姿勢の制御を回転中に自動的に行うことが可能であるので、水晶片の損傷を低減しながらも、高速搬送を実現できる。また、各吸着ノズルが個別(独立)に回転できることから、一つの部品の姿勢制御が、他の部品の搬送に影響を与えないで済むので、確実な搬送を実現できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の部品搬送装置は、電子機器や電子部品もしくはその他の各種物品の製造、又は物流の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1、200 部品搬送装置
2 部品供給装置
2a 受入トレイ
2b トレイ移動手段
2c 待機部品撮像手段
3 部品搬出装置
3a 整列トレイ
3b トレイ移動手段
3h 凹部
10 基台
11 柱部材
12 受入領域
13 搬出領域
14 部品検査領域
15 供給領域
20 アーム
30 ベース部材
31 干渉回避空間部
32 中空軸
33 スイベルジョイント
34 エア配管
35 中央気室
36 吸引通路
37 切替バルブ
38 スリップリング
40 部品保持モジュール
41 筺体
42 保持部(部品保持部材)
42a 吸着ノズル
42b 吸引通路
42c 配管
43 保持部自転駆動手段
43a モータ
43b 伝達機構
44 ブラケット
44a 受圧部材
45 内部付勢装置(引っ張りばね)
50 外部付勢装置(軸方向駆動手段)
51 ガイド部材
52 押圧部材
53 モータ
54 カム
60 ベース部材回転駆動装置(回転駆動装置)
70 部品検査手段
70A 第1X線検査装置
70B 第2X線検査装置
70C 第1受光部
70D 第2受光部
80 揺動手段
82 モータ
82a モータブラケット
84 ねじ軸
86 ナット
88 ナットブラケット
90 中央制御装置
91 吸着ノズル切替制御装置
92 保持部自転制御装置
100 固定部材(筒体)
110 カムフォロア
120 案内機構
122 ガイド面
122A 可動領域
124 押圧ばね
150 冷却装置(冷却手段)
151 冷却通路
152 タンク
153 チューブ
154 ヒートシンク
155 ペルチェ素子
156 ファン
210 冷却手段
211 冷却通路
213 案内通路
215 吸気ポート
217 チューブ
219 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するベース部材と、
前記ベース部材を支持する板状のアームと、
前記ベース部材の周方向に沿って複数配設され、前記ベース部材の回転軸方向に往復移動し、部品を保持する部品保持部材と、
前記アームに固定され、前記ベース部材を回転駆動する回転駆動装置と、
前記アーム又は前記回転駆動装置を冷却する冷却手段と、を備え、
前記冷却手段は、
冷却媒体が流通する冷却通路を有し、前記冷却通路内を前記冷却媒体が流通することで前記回転駆動装置の発する熱を奪う
ことを特徴とする、部品搬送装置。
【請求項2】
前記冷却媒体は液体であり、
前記アームの内部に前記液体が通過する為の前記冷却通路が形成されている
ことを特徴とする、請求項1記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記冷却手段は、
前記冷却媒体を貯留するタンクと、
前記タンクと前記アームの内部に形成された前記冷却通路とを接続するチューブと、
熱を放散するヒートシンクと、
前記タンクと前記ヒートシンクとの間に配置され、前記タンク内の前記冷却媒体の熱を前記ヒートシンクに移動させるペルチェ素子と、を備えた
ことを特徴とする、請求項2記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記回転駆動装置の外周を覆うように配設された筒体をさらに備え、
前記冷却媒体は気体であり、
前記筒体と前記回転駆動装置との間の隙間を、前記気体が通過する前記冷却通路とする
ことを特徴とする、請求項1記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、
前記ベース部材の回転に伴い、前記冷却通路において周方向の気流が生じる構成である
ことを特徴とする、請求項4記載の部品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−176843(P2012−176843A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41595(P2011−41595)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】