説明

部品組付け作業システム

【課題】部品・作業工具受け持ちキャリヤーをその部品の被組付け対象物と同期して前進させることにより、その部品の組付け作業性を向上する。
【解決手段】互いに係脱作用する昇降ロッド(37)と揺動アーム(44)との1組を、部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)に取り付ける一方、昇降ロッドを引き下げて揺動アームとの係止状態を保つロッド引き下げ用具(51)とその引き下げ後の昇降ロッドを押し進める駆動片(52)とを、被組付け対象物(M)に設置して、上記キャリヤーを被組付け対象物と同期して前進往動させると共に、そのキャリヤーの往動中にある揺動アームの前端部が固定物(58)側から突出する受け止めストッパー(57)と衝突するや、上記揺動アームとの係止状態を解かれた昇降ロッドが上昇復帰して、キャリヤーだけが自づと後退復帰するように定めた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は微速で搬送される自動車や電気機器、その他の被組付け対象物に対して、必要な諸部品を組付け作業するための部品組付け作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の生産工場で使う部品組付け作業システムとしては、下記特許文献1に開示の「コンベア同期無動力工具掛け装置の昇降機構」が提案されている。
【0003】
これは、締付工具(14)のホルダ(15)を備えた引掛装置(16)の引掛具(19)を、キャブ(2)のコンベア台車(3)と同期して移動(往動)させるに当り、特別の動力を必要とせず、そのコンベア台車(3)の搬送動力を兼用している点で、本発明に最も近似する公知技術であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平1−138684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に開示されている構成では、キャブ(2)(被組付け対象物)側のボンネット(23)と、引掛装置(16)(部品・作業工具受け持ちキャリヤー)側の被引掛具(19)との係脱作用が、一個所にある唯一ばね(20)の張力に依存している。
【0006】
つまり、ピン(18)を中心として回動する引掛具(19)は、反時計方向(後退方向/上流側)に働く引張ばね(20)の付勢力を受けて、ボンネット(23)と係止すると共に、そのボンネット(23)により引張ばね(20)の付勢力よりも強く時計方向(前進方向/下流側)へ押圧されて、ボンネット(23)を乗り越える如く、上記係止が解除されるようになっている。
【0007】
そのため、例えば引掛装置(16)に装備されている締付工具(14)を、作業者が強く反時計方向(後退方向/上流側)へ引っ張る如く、人為的な外力が加わった場合には、上記ボンネット(23)を乗り越えることと同じく、引掛具(19)の係止状態が作業中に解除されてしまうおそれがある。
【0008】
又、上記引張ばね(20)の付勢力を受けた唯一(一個所)の引掛具(19)によって、ボンネット(23)との係脱作用を行なっている構成のため、機種変更によって工程毎の部品組付け位置やその作業内容などが異なると、もはや対応することが不可能になる。
【0009】
更に、上記引掛装置(16)の戻し機構(11)が無動力になっているとしても、起立ガイドパイプ(6)の内部を昇降するウエイトブロック(9)と、これを吊持する一定長さのロープ(10)並びにシーブ(7)(8)とから成る倍力機構であるため、いたずらに大きな設置スペースを必要とするほか、ロープ(20)の基端部が起立ガイドパイプ(6)に取り付け固定されているため、機種変更によって異なる位置・内容の組付け作業などを行なうに当り、その引掛装置(16)の往復移動ストロークを容易に変更・調整することができず、その意味からも臨機応変性と利便性に劣る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では部品組付けラインに沿って搬送駆動される被組付け対象物と、その部品組付けラインと平行な別個の移動ガイドに沿って移動し得る部品・作業工具受け持ちキャリヤーとを備え、
【0011】
上記被組付け対象物又はこれが搭載した搬送体に、昇降ロッド引き下げ用具とこれにより引き下げられた昇降ロッドの下端部と係止し得る押圧駆動片との前後一対を設置する一方、
【0012】
上記キャリヤー移動ガイドの取付ベースとなる固定物又はこれと別個な固定物から、揺動アームの下部前端を受け止め得るストッパーを突設し、
【0013】
上記昇降ロッドをキャリヤー又はその付属固定フレームへ、その下端部が上記対象物側の押圧駆動片から離れる上昇復帰方向への弾圧付勢状態に吊持させ、
【0014】
上記揺動アームを同じくキャリヤー又はその付属固定フレームへ、その下部前端が上記固定物側の受け止めストッパーから離れる前上がり復帰方向への弾圧付勢状態に枢着して、
【0015】
上記昇降ロッドの中途高さ位置から突出する係止爪と、上記揺動アームにおける揺動支点軸と上部後端との相互間に対応形成した円錐カムとを、常時は係止しない解除状態に保ち、
【0016】
上記被組付け対象物が部品組付けラインの下流側へ前進往動中、その昇降ロッド引き下げ用具により先行して引き下げられた昇降ロッドの上記係止爪は、揺動アームの円錐カムへ乗り越え状態に係止すると共に、
【0017】
上記引き下げられた昇降ロッドの下端部が、その後被組付け対象物側の押圧駆動片と係止することにより、上記キャリヤーは被組付け対象物と同期して部品組付けラインの下流側へ前進往動し、
【0018】
やがて、上記揺動アームの下部前端が固定物側のストッパーに受け止められるや否や、その揺動アームは前下がり方向へ揺動して、その円錐カムと係止爪との係止状態を解除された昇降ロッドが上昇復帰し、上記キャリヤーだけが自づと部品組付けラインの上流側へ後退復帰するように設定したことを特徴とする。
【0019】
又、請求項2では部品・作業工具受け持ちキャリヤーだけを部品組付けラインの上流側へ後退復帰させる機構として、そのキャリヤーの前進往動中にワイヤーの巻き戻し付勢力が蓄積されるぜんまいユニット又は定荷重バネのバックテンションが蓄積されるぜんまい型のバネユニットを採用したことを特徴とする。
【0020】
請求項3では部品・作業工具受け持ちキャリヤー又はその付属固定フレームに、天井面とこれから垂下する壁面とを造形して、
【0021】
その天井面又は壁面からハンガーバネを介して吊り下げた昇降ロッドの中途高さ位置を、上記壁面へ遊転自在に軸架した前後一対づつの昇降ガイドプーリーによって、昇降自在に支持すると共に、
【0022】
上記昇降ロッドの下端部付近に軸架した遊転ローラーを、被組付け対象物側の昇降ロッド引き下げ用具に形成した後下がり傾斜天井板によって、徐々に引き下げるように関係設定したことを特徴とする。
【0023】
請求項4では部品・作業工具受け持ちキャリヤー又はその付属固定フレームに、天井面とこれから垂下する壁面とを造形し、
【0024】
揺動アームを側面視の全体的なほぼL字形として、その垂直な一辺である丸棒の下端部付近を上記壁面へ、水平な支点軸により前後方向への揺動自在に枢着し、
【0025】
その丸棒の上部後端と上記壁面との相互間に連繋張架したリターンバネにより、上記揺動アームをその水平な他辺の下部前端であるフックが常時前上がりとなる復帰方向へ弾圧付勢すると共に、
【0026】
その弾圧付勢された揺動アームのストッパーピンを、上記壁面から丸棒における円錐カムと揺動支点軸との上下相互間に向かって、その揺動支点軸と平行に突設したことを特徴とする。
【0027】
請求項5では被組付け対象物又はこれが搭載した搬送体に、部品・作業工具受け持ちキャリヤーの昇降ロッド引き下げ用具と押圧駆動片とを、その何れも取付位置の変更自在に又は着脱自在に取り付け一体化したことを特徴とする。
【0028】
更に、請求項6では部品・作業工具受け持ちキャリヤーにおける揺動アームの下部前端を受け止め得るストッパーを遊転ローラーとして、固定物である押出材の固定レールへ取付位置の変更自在に軸支したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の上記構成によれば、被組付け対象物を部品組付けラインに沿って搬送する搬送体の駆動源をそのまま利用して、その被組付け対象物に組付ける各種部品と必要な作業工具の受け持ちキャリヤーを、一緒に(同期して)前進往動させることができ、そのキャリヤーを前進往動させるための特別な空気圧力や電力、その他の動力を必要とせず、又その制御技術や配線・配管などの設備も不要であるため、量産効果とランニングコストを最大限に期待できる効果がある。
【0030】
しかも、上記部品・作業工具受け持ちキャリヤーは被組付け対象物と同一速度でゆっくり前進往動するほか、その被組付け対象物に対する部品組付け作業の一工程を終了する時点に到達するや、その部品・作業工具受け持ちキャリヤーだけが自づと当初の位置・状態まで後退復帰し、その後退復帰させるための人為的な操作も不要であるため、作業者は部品組付け作業だけに専念して、その一工程の作業を軽労力での能率良く行なえるのであり、信頼性と作業性にも優れる。
【0031】
又、上記キャリヤーの所有している昇降ロッドと揺動アームは、被組付け対象物側の押圧駆動片による前進往動中、その係止爪と円錐カムを介して係止された施錠状態にあり、その係止力は昇降ロッドと昇降ガイドローラーのモーメントに依存し、係止爪と円錐カムの大きさや強度、バネの張力などと無関係であるため、上記揺動アームの下部前端が固定物側の受け止めストッパーに衝突するまでの間に、その施錠状態が不慮に解除されてしまうおそれはなく、その意味からも作業者は安心・安全に部品組付け作業を遂行できるのである。
【0032】
その場合、特に請求項2の構成を採用するならば、部品・作業工具受け持ちキャリヤーを後退復帰させる機構として、ぜんまいユニット又はぜんまい型のバネユニットを採用しているため、冒頭の特許文献1(実開平1−138684号公報)に記載された公知技術と比べて、そのキャリヤーにおける初期の取付位置や移動ストロークの変更・調整を極めて容易に行え、延いては機種変更や段取り替えなどに対する臨機応変性と利便性を得られる効果がある。
【0033】
請求項3の構成を採用するならば、部品・作業工具受け持ちキャリヤーにおける昇降ロッドの昇降作用を、そのガイドプーリーによって正しく円滑に営なませることができるばかりでなく、その下端部付近の遊転ローラーを昇降ロッド引き下げ用具の後下がり傾斜天井板により、上方から徐々に無理なく引き下げることもでき、その被組付け対象物の搬送(前進)に大きな抵抗を与えるおそれがない。
【0034】
請求項4の構成を採用するならば、部品・作業工具受け持ちキャリヤーの揺動アームを上記昇降ロッドと係脱自在に係止する機構として、そのキャリヤー又はこれに付属する固定フレームの天井面と壁面へ、小型コンパクトに組付けユニット化することができ、合理的な設計であると言える。
【0035】
又、請求項5の構成を採用するならば、機種変更や段取り替えによって、部品組付け作業位置や作業エリヤの大きさ、作業内容などが変ったような場合に、これに応じて上記キャリヤーの昇降ロッド引き下げ用具と押圧駆動片を着脱操作したり、これらの取付位置を変更したりすることによって、容易に対応できる利便性がある。
【0036】
更に、請求項6の構成を採用するならば、固定物側の受け止めストッパーが遊転ローラーから成るため、部品・作業工具受け持ちキャリヤーにおける揺動アームの前上がり復帰状態にあるフックを、その遊転ローラーの遊転作用によって抵抗なく前下がり方向へ揺動させることができるほか、その遊転ローラーの枢支ボルトを押出材の固定レールから成る固定物に沿って、前後方向へ移動させることにより、その取付位置の変更も行なえるため、やはり機種変更や段取り替えなどの臨機応変性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体概略斜面図である。
【図2】図1の一部拡大側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2に対応する変形実施形態を示す一部拡大側面図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】そのぜんまい型バネユニットを示す斜面図である。
【図7】部品・作業工具受け持ちキャリヤーを抽出して示す側面図である。
【図8】図7の正面図である。
【図9】図7の平面図である。
【図10】共通の取付座板を有する昇降ロッド引き下げ用具と押圧駆動片の側面図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】大型の被組付け対象物(ワイヤーハーネスの布線板)を示す側面図である。
【図13】部品・作業工具受け持ちキャリヤーの受け止めストッパーを抽出して示す正面図である。
【図14】部品・作業工具受け持ちキャリヤーの初期状態を示す作用説明図である。
【図15】図14から被組付け対象物が前方へ搬送された状態を示す作用説明図である。
【図16】図15に引き続き上記キャリヤーの昇降ロッドが引き下げられた状態を示す作用説明図である。
【図17】図16から被組付け対象物が更に前方へ搬送された状態を示す作用説明図である。
【図18】図17に引き続き押圧駆動片が上記昇降ロッドの下端部に係止した状態を示す作用説明図である。
【図19】図18から上記押圧駆動片が上記キャリヤーの昇降ロッドを前方へ押し進める過程の作用説明図である。
【図20】図19に引き続き上記キャリヤーの揺動アームが固定物側の受け止めストッパーへ衝突した状態を示す作用説明図である。
【図21】図20に引き続き上記キャリヤーの昇降ロッドが上昇復帰した状態を示す作用説明図である。
【図22】図16の状態にあるキャリヤーを抽出して示す拡大側面図である。
【図23】図19の状態にあるキャリヤーを抽出して示す拡大側面図である。
【図24】図20の状態にあるキャリヤーを抽出して示す拡大側面図である。
【図25】図24の正面図である。
【図26】図24の平面図である。
【図27】本発明の第2実施形態を示す全体概略平面図である。
【図28】図27の一部拡大正面図である。
【図29】図28に対応する変形実施形態を示す正面図である。
【図30】図29の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜26はその本発明の第1実施形態として、自動車内の配線用や電気機器内の配線用となるワイヤーハーネスの組付け作業システムを示している。
【0039】
(M)はそのワイヤーハースネの被組付け対象物となる布線板(作業台)であって、これには図示省略してあるが、ワイヤーハーネスの布線位置表示やその組付け用治具の植付けなどが行なわれており、無端なチエンコンベアやベルトコンベア、ローラーコンベア、スラットコンベアなどの循環回走する搬送体(10)によって、部品組付けライン上を図1の矢印(F)方向へゆっくり搬送されるようになっている。(11)(12)はその搬送体(10)の駆動源であるギヤードモーターと駆動スプロケットを示唆している。
【0040】
(C)は上記ワイヤーハーネスを構成する電線やコネクター、ジャンクションボックス、プロテクター、グロメット、クランプなどの各種部品(図示省略)と、その組付けに必要な各種作業工具(図示省略)を受け持つキャリヤーであり、これが図示の第1実施形態では言わば吊り下げトレータイプとして、上記ワイヤーハーネスの被組付け対象物(布線板)(M)よりも高い位置にある移動ガイド(13)から、その被組付け対象物(M)の表面まで吊り下げられている。
【0041】
部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)の移動ガイド(13)は図1のようなレールとして、上記被組付け対象物(M)をその搬送体(10)により搬送する部品組付けラインと平行な延在状態に架設されている。(14)はそのキャリヤー移動ガイド(レール)(13)を挟む左右一対づつ(合計4個)の滑車、(15)はその滑車(14)の合成樹脂製軸受け枠であり、正面視のほぼU字形を呈している。(16)はその軸受け枠(15)に下方から挟み付け固定されたハンガーステーであって、これも正面視のほぼU字形をなし、その下端部に上記部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)の上端部が、複数のネジ締結具(17)などを介して取り付け固定されている。
【0042】
図示実施形態の場合、上記被組付け対象物(布線板)(M)がワイヤーハーネスの組付け作業しやすい傾斜設置状態にある関係上、その部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)もこれとのほぼ平行な傾斜状態に吊り下げられており、その下端部のトレー(18)内に各種部品と作業工具が収納された状態にある。尚、動力作業工具から派出する給電ケーブルやエヤーホースなどは、図示省略してある。
【0043】
そして、上記部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)は滑車(14)により、その移動ガイド(レール)(13)に沿って上記被組付け対象物(M)の搬送方向(F)と同じ方向(下流側)へ、一定の移動ストローク(S)だけ前進往動し得るが、後述する固定物側のストッパーに受け止められるや否や、自づと上流側へ後退復帰することもできるようになっている。
【0044】
但し、上記キャリヤー移動ガイド(13)としては図示のようなレールに代えて、ラックギヤやチェンなどを採用する一方、これにより移動案内される図示の滑車(14)に代えて、ゴム車輪やピニオンギヤ、スプロケットホイールなどを採用し、これから部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)を吊り下げることもあり得る。
【0045】
(19)はその部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)を上流側へ後退復帰させるための固定ぜんまいユニットであり、図2、3に示すような正面視の倒立U字形をなす取付カバー(20)と複数の押えボルト(21)によって、上記キャリヤー移動ガイド(13)に取り付け固定されている。
【0046】
又、(22)は上記キャリヤー(C)の移動ストローク(S)を例えば約3000mmとして長く確保するために、そのキャリヤー(C)と上記固定ぜんまいユニット(19)との前後相互間に介挿セットされた可動ぜんまいユニットであり、上記キャリヤー(C)と同じく左右一対づつ(合計4個)の滑車(23)によって、上記キャリヤー移動ガイド(13)を移動する。(24)はその滑車(23)の軸受け枠(25)と、可動ぜんまいユニット(22)の取付ブラケット(図示省略)との上下相互間を連結一体化したハンガーステーである。
【0047】
つまり、固定ぜんまいユニット(19)と可動ぜんまいユニット(22)とは、詳細を図示省略してあるが、何れもぜんまいケース内のワイヤーリールに巻回されたワイヤー(26)(27)を有しており、その固定ぜんまいユニット(19)側から1次的に引き出されるワイヤー(26)の先端部が、可動ぜんまいユニット(22)側の軸受け枠(25)に一旦連結されると共に、その可動ぜんまいユニット(22)側から2次的に引き出されるワイヤー(27)の先端部が、上記部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)側の軸受け枠(15)に連結されている。
【0048】
そのため、機種変更により被組付け対象物(布線板)(M)の大きさ(長さ)が異なったり、或いは段取り替えにより部品組付け作業エリヤ(A)が異なったりしても、これに応じて上記キャリヤー(C)の移動ストローク(S)を容易に調整できる利点がある。
【0049】
但し、上記キャリヤー(C)の移動ストローク(S)を長く確保する必要がなければ、その滑車(14)の軸受け枠(15)と固定ぜんまいユニット(19)側から引き出されるワイヤー(26)の先端部とを連結使用し、上記可動ぜんまいユニット(22)の介挿設置を省略してもさしつかえない。キャリヤー(C)の前進往動中に固定ぜんまいユニット(19)から引き出されるワイヤー(26)の巻き戻し付勢力(バックテンション)が、そのキャリヤー(C)を自づと上流側へ後退復帰させるための動力となり、その固定ぜんまいユニット(19)自身が上記キャリヤー(C)を初期の位置へ停止させるストッパーとして機能することに変りはないからである。
【0050】
更に言えば、上記機能を果す固定ぜんまいユニット(19)に代えて、図4〜6の変形実施形態に示すような巻取りドラム(28)と繰出しドラム(29)との相互間へ、定トルク/定荷重バネ(30)が巻き付けられたぜんまい型のバネユニット(U)(大阪熱処理株式会社の商品名「コプリング」やサンコースプリング株式会社の商品名「コンストン」など)を採用し、その繰出しドラム(29)の回転出力軸(31)上に上記滑車(14)を取り付け一体化して、上記キャリヤー(C)の前進往動中に巻取りドラム(28)へ巻き取られる定トルク/定荷重バネ(30)のバックテンション(巻き戻し付勢力)により、そのキャリヤー(C)を自づと上流側へ後退復帰させるように設定しても良い。(32)は上記バネユニット内蔵ケース、(33)は上記キャリヤー(C)を初期の位置へ停止させるストッパーであって、図1〜3の固定ぜんまいユニット(19)と同じくキャリヤー移動ガイド(13)へ押えボルト(34)を介して、位置調整自在に取り付け固定されており、直接には滑車(14)の軸受け枠(15)を緩衝的に受け止めるようになっているが、要するに上記キャリヤー(C)を停止させれば良いのである。
【0051】
上記部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)は図7〜9に抽出して示す如く、そのハンガーステー(16)の下端部へネジ締結具(17)などにより取り付け固定された天井面(35)と、その天井面(35)から連続一体に垂下する壁面(36)とを少なくとも有している。
【0052】
(37)はそのキャリヤー(C)の天井面(35)又は壁面(36)からハンガーバネ(38)を介して吊持された一定長さの昇降ロッドであり、その上端側へ偏倚した中途高さ位置からは係止爪(39)が裏向き一体的に突設されているほか、同じく昇降ロッド(37)の下端部付近から裏側へ張り出す水平な枢支ボルト(40)には、遊転ローラー(41)が取り付けられてもいる。
【0053】
更に、上記キャリヤー(C)の壁面(36)には各々水平の枢支ボルト(42)を介して、前後一対づつ(合計4個)の昇降ガイドプーリー(Vプーリー)(43)が軸架されており、これによって中途高さ位置を支持された昇降ロッド(37)が、前後方向へ振れ動くおそれなく、正確に安定良く昇降運動し得るようになっている。
【0054】
(44)は上記昇降ロッド(37)の裏側に存在する揺動アームであって、側面視の全体的なほぼL字形をなし、その水平な一辺のフック(45)が後述する固定物側のストッパーへ衝突し、これに一旦受け止められることとなる。
【0055】
そして、同じく揺動アーム(44)の垂直な他辺が丸棒(46)として、その下端部付近が上記キャリヤー(C)の壁面(36)へ水平の支点軸(47)により、前後方向への揺動自在に枢着されている。(48)はその丸棒(46)の上端部と、キャリヤー(C)の壁面(36)との相互間に連繋張架されたリターンバネであり、上記揺動アーム(44)をそのフック(45)が常時前上がりとなる復帰方向へ引張り付勢している。
【0056】
(49)はその前上がり復帰方向へ弾圧付勢された揺動アーム(44)のストッパーピンであって、キャリヤー(C)の壁面(36)から上記揺動支点軸(47)と平行に突設されており、その揺動アーム(44)における丸棒(46)の中途高さ位置を受け止めるようになっている。
【0057】
(50)は上記ハンガーバネ(38)により常時上昇復帰方向へ引張り付勢された昇降ロッド(37)の係止爪(39)と、揺動アーム(44)の揺動支点軸(47)との上下相互間に介在する高さ位置関係として、その揺動アーム(44)の丸棒(46)に張り出し形成された円錐カムであり、下太り傾斜カム面を有している。
【0058】
上記昇降ロッド(37)が被組付け対象物(布線板)(M)の後述する引き下げ用具によって、そのハンガーバネ(38)の弾圧付勢力に抗しつつ引き下げられると、その係止爪(39)が揺動アーム(44)における丸棒(46)の円錐カム(50)を乗り越えて、その円錐カム(50)との係止状態を保てるようになっているのである。
【0059】
他方、上記揺動アーム(44)のフック(45)が後述する固定物側のストッパーに受け止められることにより、そのリターンバネ(48)の弾圧付勢力に抗して前下がり方向へ揺動をすると、その揺動アーム(44)の丸棒(46)は前方へ傾き、その丸棒(46)上の円錐カム(50)が上記昇降ロッド(37)上の係止爪(39)から離れる如く、その円錐カム(50)と係止爪(39)との係止状態が解除されることになる結果、昇降ロッド(37)はそのハンガーバネ(38)の弾圧付勢力により、自づと瞬時に上昇復帰する。(H)はその昇降ロッド(37)の昇降ストロークを示している。
【0060】
上記ワイヤーハーネスの被組付け対象物(布線板)(M)が搬送体(10)によって、図1の矢印(F)方向(下流側)へゆっくり搬送駆動される一方、そのワイヤーハーネスの構成部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)が上記搬送体(10)により搬送される被組付け対象物(M)の部品組付けラインと平行なキャリヤー移動ガイド(レール)(13)に沿って、滑車(14)により同じ図示矢印(F)の方向へ移動し得る旨を説明したが、上記被組付け対象物(M)の周辺部(図例では上端部やその近辺)には昇降ロッド引き下げ用具(51)と、その引き下げ用具(51)により引き下げられた昇降ロッド(37)の下端部と係止して、これを後方から押圧する駆動片(52)との前後一対が設置されている。
【0061】
茲に、被組付け対象物(M)の押圧駆動片(52)が平面視のL字形板片から成るに比して、上記昇降ロッド引き下げ用具(51)は図7、8のように、その被組付け対象物(M)の上端部から起立する一定高さの支柱(53)と、その支柱(53)に固定支持された後下がり傾斜天井板(54)とから成り、その後下がり傾斜天井板(54)が昇降ロッド(37)の上記遊転ローラー(41)へ上方から係合して、これを一定の昇降ストローク(H)だけ円滑に引き下げるようになっている。
【0062】
その場合、図7、8では上記昇降ロッド引き下げ用具(51)と押圧駆動片(52)とを別個独立の部材として、被組付け対象物(M)へ各々取り付け固定しているが、その昇降ロッド引き下げ用具(51)と押圧駆動片(52)とが前後位置関係にある限り、これらを図10、11の好ましい変形実施形態のように、共通の取付座板(55)を使って、しかも複数の固定ボルト(56)などにより被組付け対象物(M)へ取り付け固定しても良い。その取付作業性の向上に役立つからである。
【0063】
又、部品組付け作業の段取り替えに対処するため、例えば上記被組付け対象物(M)に点在分布する複数のネジ孔(図示省略)を予じめ加工しておき、そのネジ孔へ固定ボルト(56)などを抜き差し自在に差し替えることにより、被組付け対象物(M)に対する昇降ロッド引き下げ用具(51)の取付位置や押圧駆動片(52)の取付位置を変更・調整できるように定めても良い。
【0064】
更に、被組付け対象物(M)が比較的長大であるような場合には、図12に例示する如く複数の部品組付け作業エリヤ(A)と対応位置する昇降ロッド引き下げ用具(51)並びに押圧駆動片(52)の複数づつを、その被組付け対象物(M)へ着脱自在に取り付け固定しておき、これらを機種変更に応じて着脱操作してもさしつかえない。
【0065】
先に一言した固定物側の受け止めストッパー(57)は図1や図13のように、部品組付けラインや部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)の移動ガイド(レール)(13)と平行に架設された別個な押出材の固定レールを固定物(58)として、その固定物(固定レール)(58)に軸支された遊転ローラーから具体化されており、上記キャリヤー(C)における揺動アーム(44)のフック(45)を受け止めることができる高さ位置関係にある。
【0066】
しかも、そのフック(45)の受け止めストッパー(57)となる遊転ローラーの水平な枢支ボルト(59)は、固定物(固定レール)(58)へ抜き差し自在に差し込まれた上、その固定物(58)内の廻り止め状態にある固定ナット(60)に締付け一体化されており、上記枢支ボルト(59)を緩めてレールに沿い移動させれば、そのストッパー(遊転ローラー)(57)の取付位置も上記被組付け対象物(M)側の昇降ロッド引き下げ用具(51)や押圧駆動片(52)と対応する関係として、やはり変更・調整することができる。
【0067】
そして、上記被組付け対象物(M)側の押圧駆動片(52)により後方から押圧され、上記キャリヤー移動ガイド(13)に沿って図示矢印(F)の方向へ前進往動する部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)における揺動アーム(44)のフック(45)が、やがて固定物(固定レール)(58)側の受け止めストッパー(遊転ローラー)(57)に衝突すると、そのストッパー(57)の遊転作用とも相俟って、上記揺動アーム(44)のフック(45)が自づと前下がり方向へ揺動すると同時に、その揺動アーム(44)の円錐カム(50)が上記昇降ロッド(37)の係止爪(39)から前方へ離れる如く、その円錐カム(50)と係止爪(39)との係止状態が解除されるため、昇降ロッド(37)は自づと上昇復帰し、その昇降ロッド(37)の下端部と上記被組付け対象物(M)側の押圧駆動片(52)との係止状態も解除されることになる。
【0068】
そのため、被組付け対象物(M)は搬送体(10)により、依然として図示矢印(F)の方向(下流側)へ搬送されてゆくに比し、部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)だけは上記ぜんまいユニット(19)(22)のワイヤー巻き戻し付勢力、又は上記バネユニット(U)における定トルク/定荷重バネ(30)のバックテンションによって、そのキャリヤー移動ガイド(13)に沿い図21の矢印(R)方向(上流側)へ自づと後退復帰されるのであり、このような前後方向への往復運動を繰り返す。
【0069】
上記のように構成された部品組付け作業システムの作用を説明すると、図14はその被組付け対象物(布線板)(M)と部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)の初期状態を示しており、この時点ではキャリヤー(C)における上昇復帰している昇降ロッド(37)の係止爪(39)と、前上がり方向へ揺動復帰している揺動アーム(44)の円錐カム(50)とは、互いに係止した施錠状態にある。
【0070】
そして、ここから被組付け対象物(M)が搬送体(10)により、矢印(F)の方向(下流側)へ搬送駆動され、その過程において被組付け対象物(M)から起立している昇降ロッド引き下げ用具(51)の後下がり傾斜天井板(54)が図15のように、上記キャリヤー(C)の所有している昇降ロッド(37)の遊転ローラー(41)へ上方から係合すると、その昇降ロッド(37)を図16、22のように一定の昇降ストローク(H)だけ、徐々に引き下げることとなる。
【0071】
上記被組付け対象物(M)が依然として矢印(F)の方向へ搬送されると、その被組付け対象物(M)側の押圧駆動片(52)が図18のように、上記キャリヤー(C)における昇降ロッド(37)の下端部へ係止して、その昇降ロッド(37)と延いてはキャリヤー(C)を図18から図19、23のように、後方から押圧することにより、そのキャリヤー(C)が被組付け対象物(M)と同期して、部品組付けラインと平行なキャリヤー移動ガイド(13)上を同じ方向(F)(下流側)へ前進往動することになる。
【0072】
上記キャリヤー(C)が被組付け対象物(M)と一緒にゆっくり前進往動中、そのキャリヤー(C)が受け持っている作業工具を使って、作業者が被組付け対象物(布線板)(M)に対するワイヤーハーネス構成部品の組付け作業を実行する。その間にキャリヤー(C)は移動ガイド(13)上の固定ぜんまいユニット(19)からや、更には可動ぜんまいユニット(22)からワイヤー(26)(27)を引っ張り出すこととなり、その巻き戻し付勢力が徐々に強く蓄積される。
【0073】
この点、図4〜6の変形実施形態に係るぜんまい型のバネユニット(U)では、その繰出しドラム(29)から巻取りドラム(28)に定トルク/定荷重バネ(30)が巻き取られ、そのバネ(30)のバックテンション(巻き戻し付勢力)が徐々に強く蓄積されることとなる。
【0074】
やがて、上記部品組付け作業が一工程の終了時点に達し、キャリヤー(C)における揺動アーム(44)のフック(45)が固定物(固定レール)(58)から突出している受け止めストッパー(遊転ローラー)(57)に衝当すると、上記揺動アーム(44)のフック(45)がそのストッパー(57)により、前下がり方向へ揺動して、その揺動アーム(44)の円錐カム(50)と上記昇降ロッド(37)の係止爪(39)との係止していた施錠状態が、図20や図24〜26のように解除されるのである。
【0075】
その結果、上記キャリヤー(C)の昇降ロッド(37)は当初の上昇状態に復帰し、その昇降ロッド(37)の下端部と被組付け対象物(M)側の押圧駆動片(52)との係止状態も解除されるため、被組付け対象物(M)はその搬送体(10)により、依然として図1の矢印(F)(下流側)へ搬送される一方、上記キャリヤー(C)だけがそのぜんまいユニット(19)(22)のワイヤー巻き戻し付勢力、又は上記バネユニット(U)における定トルク/定荷重バネ(30)のバックテンションを受けて、自づと図21の矢印(R)方向(上流側)へ後退復帰し、図14の初期状態に位置決め停止されることとなる。
【0076】
例えば、機種変更や段取り替えによって、上記被組付け対象物(布線板)(M)の大きさやこれに占める部品組付け作業エリヤ(A)の大きさが変ったり、その作業エリヤ(A)に対する上記キャリヤー(C)の関係位置を作業者の得手や希望に応じて、作業しやすく変更・調整したりする場合には、上記キャリヤー(C)における昇降ロッド(37)の引き下げ用具(51)や押圧駆動片(52)の取付位置を、その被組付け対象物(M)に対する着脱操作や差し替えなどによって変更・調整すると共に、同じくキャリヤー(C)における揺動アーム(44)のフック(45)を受け止めるストッパー(遊転ローラー)(57)の取付位置も、その固定物(固定レール)(58)に沿って移動調整すれば良く、その臨機応変性と作業性に優れる。
【0077】
次に、図27、28は本発明の第2実施形態として、被組付け対象物(M)となる自動車の車体へ、エクステリアやインテリヤ、エレクトロニクスなどの各種部品を組付ける作業システムを示しており、これではその部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)が言わば台車(ワゴン)タイプとして、上記被組付け対象物(M)の搬送体(10)とほぼ同じ高さ位置の作業床に敷設された左右一対のキャリヤー移動ガイド(レール)(13a)上を、前後方向へ往復運動するようになっている。(61)はそのキャリヤー(C)の車輪である。
【0078】
又、上記キャリヤー(C)の中央部から一体的に垂下する軸受け枠(15)に、左右一対づつ(合計4個)の滑車(14)が軸支されていると共に、その滑車(14)と係合する特別なセンター移動ガイド(レール)(13b)が、上記作業床の地下に敷設されている。
【0079】
つまり、第2実施形態の場合被組付け対象物(M)の搬送体(10)による部品組付けラインと平行なキャリヤー移動ガイド(レール)(13a)(13b)が、上記第1実施形態のような滑車(14)と係合する1条のみならず、左右一対の車輪(61)と係合する2条も増設されているのである。
【0080】
そして、その滑車(14)と係合する1条のセンター移動ガイド(レール)(13b)に、固定ぜんまいユニット(19)と可動ぜんまいユニット(22)とが設置されている。もっとも、その可動ぜんまいユニット(22)の介挿設置を省略しても良いことは、上記第1実施形態と同様であり、又図4〜6に示したぜんまい型のバネユニット(U)を採用してもさしつかえない。
【0081】
図28の符号(62)は上記キャリヤー(C)に付属一体化された固定フレームであって、そのキャリヤー(C)の下面にネジ締結具(図示省略)などにより取り付けられた天井面(35)と、これから連続的に垂下する壁面(36)とを少なくとも具備しており、その天井面(35)又は壁面(36)から吊持された昇降ロッド(37)の係止爪(39)と、同じく壁面(36)へ水平な揺動支点軸(47)を介して枢着された揺動アーム(44)の円錐カム(50)とが、係脱自在に係止するようになっていることは、上記第1実施形態と実質的に同じである。
【0082】
但し、上記キャリヤー(C)の昇降ロッド(37)を引き下げる用具(51)と、その引き下げ用具(51)により引き下げられた昇降ロッド(37)の下端部を後方から押し進める押圧駆動片(52)は、第2実施形態の場合被組付け対象物(自動車の車体)(M)のそれ自身でなく、これを搭載しているスラットコンベヤやチエンコンベヤなどの搬送体(10)に取り付け固定されている。
【0083】
又、上記キャリヤー(C)における揺動アーム(44)のフック(45)と衝突する受け止めストッパー(遊転ローラー)(57)は、そのキャリヤー(台車)(C)が移動する作業床を固定物(58)として、その固定物(作業床)(58)から上記揺動アーム(44)のフック(45)を受け止めることができる位置関係に立設されている。
【0084】
そのため、第2実施形態の部品組付け作業システムでも、上記第1実施形態と同じ作用を達成することができる。上記被組付け対象物(自動車の車体)(M)の搬送体(10)に対する昇降ロッド引き下げ用具(51)並びに押圧駆動片(52)の取付位置や、固定物(作業床)(58)に対する受け止めストッパー(遊転ローラー)(57)の取付位置は、その何れも着脱操作や差し替えなどの手段によって、変更・調整することもできるようになっている。
【0085】
更に、図29、30は上記第2実施形態の変形実施形態を示しており、この部品組付け作業システムでは台車(ワゴン)タイプの部品・作業工具受け持ちキャリヤー(C)の固定フレーム(62)や、これに支持されたロッド(37)とバネ(38)などを横向きとして、そのロッド(37)の先端部(横端部)を、搬送体(10)に取り付け固定された押圧駆動片(52)により、後方から押し進めるようになっている。このような横向きの水平設置状態としても使用することができる。
【0086】
尚、第2実施形態とその変形実施形態におけるその他の構成と作用は上記第1実施形態と実質的に同一であるため、その図27〜30に図1〜26との対応符号を記入するにとどめて、その詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0087】
(10)・搬送体
(11)・ギヤードモーター
(12)・駆動スプロケット
(13)(13a)(13b)・移動ガイド
(14)(23)・滑車
(15)(25)・軸受け枠
(16)(24)・ハンガーステー
(17)・ネジ締結具
(18)・トレー
(19)・固定ぜんまいユニット
(20)・取付カバー
(21)(34)・押えボルト
(22)・可動ぜんまいユニット
(26)(27)・ワイヤー
(28)・巻取りドラム
(29)・繰出しドラム
(30)・定トルク/定荷重バネ
(31)・回転出力軸
(32)・バネユニット内蔵ケース
(33)・ストッパー
(35)・天井面
(26)・壁面
(37)・昇降ロッド
(38)・ハンガーバネ
(39)・係止爪
(40)(42)・枢支ボルト
(41)・遊転ローラー
(43)・昇降ガイドプーリー
(44)・揺動アーム
(45)・フック
(46)・丸棒
(47)・揺動支点軸
(48)・リターンバネ
(49)・ストッパーピン
(50)・円錐カム
(51)・昇降ロッド引き下げ用具
(52)・押圧駆動片
(53)・支柱
(54)・後下がり傾斜天井板
(55)・取付座板
(56)・固定ボルト
(57)・ストッパー
(58)・固定物
(59)・枢支ボルト
(60)・固定ナット
(61)・車輪
(62)・固定フレーム
(A)・作業エリヤ
(C)・部品・作業工具受け持ちキャリヤー
(F)・搬送方向(前進往動方向)
(H)・昇降ストローク
(M)・被組付け対象物
(R)・後退復帰方向
(S)・移動ストローク
(U)・バネユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品組付けラインに沿って搬送駆動される被組付け対象物と、その部品組付けラインと平行な別個の移動ガイドに沿って移動し得る部品・作業工具受け持ちキャリヤーとを備え、
上記被組付け対象物又はこれが搭載した搬送体に、昇降ロッド引き下げ用具とこれにより引き下げられた昇降ロッドの下端部と係止し得る押圧駆動片との前後一対を設置する一方、
上記キャリヤー移動ガイドの取付ベースとなる固定物又はこれと別個な固定物から、揺動アームの下部前端を受け止め得るストッパーを突設し、
上記昇降ロッドをキャリヤー又はその付属固定フレームへ、その下端部が上記対象物側の押圧駆動片から離れる上昇復帰方向への弾圧付勢状態に吊持させ、
上記揺動アームを同じくキャリヤー又はその付属固定フレームへ、その下部前端が上記固定物側の受け止めストッパーから離れる前上がり復帰方向への弾圧付勢状態に枢着して、
上記昇降ロッドの中途高さ位置から突出する係止爪と、上記揺動アームにおける揺動支点軸と上部後端との相互間に対応形成した円錐カムとを、常時は係止しない解除状態に保ち、
上記被組付け対象物が部品組付けラインの下流側へ前進往動中、その昇降ロッド引き下げ用具により先行して引き下げられた昇降ロッドの上記係止爪は、揺動アームの円錐カムへ乗り越え状態に係止すると共に、
上記引き下げられた昇降ロッドの下端部が、その後被組付け対象物側の押圧駆動片と係止することにより、上記キャリヤーは被組付け対象物と同期して部品組付けラインの下流側へ前進往動し、
やがて、上記揺動アームの下部前端が固定物側のストッパーに受け止められるや否や、その揺動アームは前下がり方向へ揺動して、その円錐カムと係止爪との係止状態を解除された昇降ロッドが上昇復帰し、上記キャリヤーだけが自づと部品組付けラインの上流側へ後退復帰するように設定したことを特徴とする部品組付け作業システム。
【請求項2】
部品・作業工具受け持ちキャリヤーだけを部品組付けラインの上流側へ後退復帰させる機構として、そのキャリヤーの前進往動中にワイヤーの巻き戻し付勢力が蓄積されるぜんまいユニット又は定荷重バネのバックテンションが蓄積されるぜんまい型のバネユニットを採用したことを特徴とする請求項1記載の部品組付け作業システム。
【請求項3】
部品・作業工具受け持ちキャリヤー又はその付属固定フレームに、天井面とこれから垂下する壁面とを造形して、
その天井面又は壁面からハンガーバネを介して吊り下げた昇降ロッドの中途高さ位置を、上記壁面へ遊転自在に軸架した前後一対づつの昇降ガイドプーリーによって、昇降自在に支持すると共に、
上記昇降ロッドの下端部付近に軸架した遊転ローラーを、被組付け対象物側の昇降ロッド引き下げ用具に形成した後下がり傾斜天井板によって、徐々に引き下げるように関係設定したことを特徴とする請求項1記載の部品組付け作業システム。
【請求項4】
部品・作業工具受け持ちキャリヤー又はその付属固定フレームに、天井面とこれから垂下する壁面とを造形し、
揺動アームを側面視の全体的なほぼL字形として、その垂直な一辺である丸棒の下端部付近を上記壁面へ、水平な支点軸により前後方向への揺動自在に枢着し、
その丸棒の上部後端と上記壁面との相互間に連繋張架したリターンバネにより、上記揺動アームをその水平な他辺の下部前端であるフックが常時前上がりとなる復帰方向へ弾圧付勢すると共に、
その弾圧付勢された揺動アームのストッパーピンを、上記壁面から丸棒における円錐カムと揺動支点軸との上下相互間に向かって、その揺動支点軸と平行に突設したことを特徴とする請求項1記載の部品組付け作業システム。
【請求項5】
被組付け対象物又はこれが搭載した搬送体に、部品・作業工具受け持ちキャリヤーの昇降ロッド引き下げ用具と押圧駆動片とを、その何れも取付位置の変更自在に又は着脱自在に取り付け一体化したことを特徴とする請求項1記載の部品組付け作業システム。
【請求項6】
部品・作業工具受け持ちキャリヤーにおける揺動アームの下部前端を受け止め得るストッパーを遊転ローラーとして、固定物である押出材の固定レールへ取付位置の変更自在に軸支したことを特徴とする請求項1記載の部品組付け作業システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2012−196752(P2012−196752A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185425(P2011−185425)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(511058040)株式会社坂井電機 (1)
【Fターム(参考)】