説明

部材合せ面の防水構造

【課題】安定した高い防水機能が得られる部材合せ面の防水構造を提供する。
【解決手段】防水パッキング3を2つの部材1、2の合せ面で挟む防水構造において、前記防水パッキング3を先端に向けて幅が狭くなる凸条3bの両側に先端に前記合せ面と平行な面を有する凸条3a、3aを設けた形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は部材合せ面の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部材合せ面の防水構造の例を図4および図5により説明する。この例では図4に示すように、上部材1と下部材2との対向する両平面の間に防水パッキング6を配置した後、図5に示すように、上部材1と下部材2を接近させて防水パッキング6を圧縮し、防水パッキング6の楔形状の凸条6aを弾性変形させて上部材1に密接させて防水機能を得る。
【0003】
この従来の部材合せ面の防水構造では防水パッキング6の楔形状の凸条6aを圧縮変形させるため、この変形に伴って防水パッキング6全体が変形し、図5の矢印Aで示すように防水パッキング6の下面の縁が上がり凸条6aを支えにくくなり、安定した防水機能が得られない場合があった。
【0004】
特開2000−59873号に示された防水構造では防水パッキングの鰭状部が変形することにより鰭状部の弾力により鰭状部がリアケースと密接して防水機能を得ている。この防水構造では、防水パッキングの弾力による十分な圧接力が得にくく、高い防水機能が得られないという問題があった。
【特許文献1】特開2000−59873号公報、段落0009、図2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、安定した高い防水機能が得られる部材合せ面の防水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の部材合せ面の防水構造は、防水パッキングを2つの部材の合せ面で挟む防水構造において、前記防水パッキングを先端に向けて幅が狭くなる凸条の両側に先端に前記合せ面と平行な面を有する凸条を設けた形状としたものである。
【0007】
また、前記部材合せ面の防水構造において、前記先端に向けて幅が狭くなる凸条の断面を楔形状としたものである。
【0008】
また、同部材合せ面の防水構造において、前記先端に向けて幅が狭くなる凸条の断面を略半円形状としたものである。
【0009】
また、前記各部材合せ面の防水構造において、前記2つの部材の夫々の合せ面に夫々当接する凸条を防水パッキングの上下に設けたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の部材合せ面の防水構造によれば、安定した高い防水機能が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1はこの発明の実施例1である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。図1に示すように上部材1とした下部材2との対向する両平面の間に防水パッキング3を配置した後、上部材1とした下部材2を接近させて防水パッキング3を圧縮し、防水パッキング3の楔形状の凸条3bを弾性変形させて上部材1に密接させて防水機能を得る。
【0013】
楔形状の凸条3bの先端は幅が狭くなっているので上部材1に極めて蜜に密接して高い防水機能が得られる。そして、楔形状の凸条3bの両側に上部材1の合せ面と平行な面を有する凸条3a、3aが設けられているので防水パッキング3の圧縮が偏らず防水パッキング3の形状が安定し、安定した防水機能が得られる。凸条3b、3bは防水パッキング3の不安定な変形を防止する上に、凸条3b、3bの間に侵入してくる水の勢いを和らげる機能も有する。
【実施例2】
【0014】
図2はこの発明の実施例2である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。図2に示すように上部材1とした下部材2との対向する両平面の間に防水パッキング4を配置した後、上部材1とした下部材2を接近させて防水パッキング4を圧縮し、防水パッキング4の上下に設けられた楔形状の凸条4b、4bを弾性変形させて上部材1および下部材2に密接させて防水機能を得る。
【0015】
楔形状の凸条4bの先端は幅が狭くなっているので上部材1および下部材2に極めて蜜に密接して高い防水機能が得られる。そして、防水パッキング4の上下の楔形状の凸条4bの両側に上部材1および下部材2の合せ面と平行な面を有する凸条4a、4a…が設けられているので防水パッキング4の圧縮が偏らず防水パッキング4の形状が安定し、防水パッキング4の上下の側で安定した高い防水機能が得られる。凸条4b、4bは防水パッキング4の不安定な変形を防止する上に、凸条3b、3bの間に侵入してくる水の勢いを和らげる機能も有する。
【実施例3】
【0016】
図3はこの発明の実施例3である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。図3に示すように上部材1とした下部材2との対向する両平面の間に防水パッキング5を配置した後、上部材1とした下部材2を接近させて防水パッキング5を圧縮し、防水パッキング5の上下に設けられた断面半円形状の凸条5b、5bを弾性変形させて上部材1および下部材2に密接させて防水機能を得る。
【0017】
断面半円形状の凸条5bの先端は幅が狭くなっているので上部材1および下部材2に極めて蜜に密接して高い防水機能が得られる。そして、防水パッキング5の上下の断面半円形状の凸条5bの両側に上部材1および下部材2の合せ面と平行な面を有する凸条5a、5a…が設けられているので防水パッキング5の圧縮が偏らず防水パッキング5の形状が安定し、防水パッキング5の上下の側で安定した高い防水機能が得られる。凸条5b、5b…は防水パッキング4の不安定な変形を防止する上に、凸条3b、3bの間に侵入してくる水の勢いを和らげる機能も有する。
【0018】
この例では、凸条5bの先端が尖っていないので、変形や削れが生じにくく、防水パッキング5を繰り返し使用しても防水機能が劣化しない。
【0019】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、防水パッキングの一方の面のみに断面半円形状の凸条を設けてもこの発明の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施例1である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。
【図2】この発明の実施例2である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。
【図3】この発明の実施例3である部材合せ面の防水構造を切断した状態を示す斜視図である。
【図4】従来の部材合せ面の防水構造の例を切断した状態を示す斜視図である。
【図5】同防水構造の例を切断した他の状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 上部材
2 下部材
3 防水パッキング、3a 凸条、3b 凸条
4 防水パッキング、4a 凸条、4b 凸条
5 防水パッキング、5a 凸条、5b 凸条
6 防水パッキング、6a 凸条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水パッキングを2つの部材の合せ面で挟む防水構造において、前記防水パッキングを先端に向けて幅が狭くなる凸条の両側に先端に前記合せ面と平行な面を有する凸条を設けた形状としたことを特徴とする部材合せ面の防水構造。
【請求項2】
前記先端に向けて幅が狭くなる凸条の断面を楔形状とした請求項1の部材合せ面の防水構造。
【請求項3】
前記先端に向けて幅が狭くなる凸条の断面を略半円形状とした請求項1の部材合せ面の防水構造。
【請求項4】
2つの部材の夫々の合せ面に夫々当接する凸条を防水パッキングの上下に設けた請求項1から3のいずれかに記載した部材合せ面の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−329355(P2006−329355A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155231(P2005−155231)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】