部材固定具及びそれを具備した電子機器
【課題】 フェライトコアを取付け対象の最適な位置に固定可能にする固定具を提供する。
【解決手段】 フェライトコア固定具1に撓み可能な腕部5、6を形成し、この両腕部5、6をフェライトコア10の中空部11に挿入する。これによりフェライトコア10が保持され、被固定部3に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具1を固定する。
【解決手段】 フェライトコア固定具1に撓み可能な腕部5、6を形成し、この両腕部5、6をフェライトコア10の中空部11に挿入する。これによりフェライトコア10が保持され、被固定部3に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具1を固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や電子写真プリンタ等の電子機器におけるフェライトコア等の部材を固定する固定具に関するとともに、該固定具を具備する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等において発生する電気的ノイズを軽減するために、フェライトコアをケーブルに装着することが一般に行われている。フェライトコアを固定する方法としては、例えば、特開2000−173827号公報に開示される方法がある。これは、フェライトコアの中空部にケーブルを貫通させた状態でフェライトコアを収納ケースに収納し、その収納ケースの下面に設けた係合部の爪部を電子機器筐体または基板に係合させることによりフェライトコアを固定するというものである。
【特許文献1】特開2000−173827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来のフェライトコア固定構造においては、フェライトコアを収納する収納ケースに固定用の係合部が設けられているので、フェライトコアを固定したい場所に収納ケースごと固定しなければならない。しかしながらフェライトコアを固定したい場所が非常に狭い場合には収納ケースを固定できない。このため収納ケースを固定できるだけのスペースのある場所を選んでフェライトコアを固定していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の部材固定具は、中空部を有し、該中空部にケーブルが貫通される部材を動きを規制して保持する保持部と、前記保持部と可撓部を介して接続し、取付け対象に固定される被固定部とから構成される。保持部は、部材の中空部に挿通されて該部材を保持するようにする。この場合、保持部は、伸縮する可撓性を有し、縮んだ状態で部材の中空部へ挿通され、挿通された状態で縮んだ状態から元の状態に復帰することにより部材を保持するようにするとよい。
【0005】
また保持部を、被固定部と同一平面上に形成された中央保持部と、この中央保持部の両側に折り曲げ可能に形成され、可撓性を有する一対の腕部とから構成し、この一対の腕部を部材を抱えた状態で互いに係止可能に構成する。
【発明の効果】
【0006】
上記構成の本発明によれば、保持部で部材を動きを規制しつつ保持し、保持部と同一平面上に形成された被固定部で取付け対象に固定されるので、部材を固定する場所として広いスペースがなくても固定可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態を図面に従って説明する。以下に説明する各実施の形態では、中空部を有する部材としてフェライトコアを例にとって説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図、図2はフェライトコアを示す正面図、図3は第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す正面図である。
【0008】
図1において、フェライトコア固定具1は、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から形成され、保持部2と被固定部3から構成される。保持部2は、溝部4を間にして形成された2つの腕部5、6を有し、腕部5、6の形状は互いに線対称に形成されている。腕部5、6の先端側(図における上側)にはそれぞれ面取り部5a、6aおよびカギ爪部5b、6bが形成され、腕部5、6の中央外側には溝部4と平行な嵌合部5c、6cが形成されている。嵌合部5c、6cの下側にはそれぞれ棚部5d、6dが形成されている。
【0009】
被固定部3には、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定するためのネジ孔7が形成されている。ネジ孔7は保持部2の溝部4の延長線上から片側へずれた位置に形成されている。
【0010】
本実施の形態のフェライトコア固定具1の材質はポリエチレンテレフタラート(PET)からなっている。しかしながら材質としては、ABS樹脂、エンジニアリングプラスチック等プラスチック材料であればよく、さらに同等の性質を有していれば金属製のフィルム等でも構わない。
【0011】
図3はフェライトコアの中空部にフェライトコア固定具1を挿通する様子を示す。図2、図3において、フェライトコア10は扁平の長円形の中空部11を有している。中空部11の幅(長径)L1は20mm、中空部11の厚さ(短径)tは1.0mmである。なおフェライトコア固定具1の厚さは0.5mmに形成され、後述するケーブルの厚さは0.3mmに設定されている。
【0012】
ここでフェライトコア固定具1とフェライトコア10の中空部11との寸法関係について説明する。フェライトコア固定具1の保持部2の最大幅、即ち、カギ爪部5bからカギ爪部6bまでの距離L2は、フェライトコア10の中空部11の幅L1よりも大きく設定されている。フェライトコア固定具1の腕部5、6は、間に溝部4が形成されているために、互いに接近する方向に接触するまで撓み可能となっている。腕部5、6が互いに接触したとき(二点鎖線で示す状態になったとき)のカギ爪部5bからカギ爪部6bまでの距離L3は、中空部11の幅L1よりも小さくなるように溝部4の幅L4が設定されている。
【0013】
即ち、L1<L2、L1>L3、L3=L2−L4が成り立つようにそれぞれの幅を設定している。
【0014】
また嵌合部5cから嵌合部6cまでの距離L5は、L2よりも短く、中空部11の幅L1とほぼ同じ寸法か若干大きく設定されている。このように寸法設定することにより、この嵌合部5c、6cがフェライトコア10の中空部11に挿通したときに、嵌合部5c、6cと中空部11の外周との間にガタツキがなくなる。また棚部5dから棚部6dまでの距離L6は、中空部11の幅L1よりも大きく設定されている。
【0015】
次に第1の実施の形態におけるフェライトコアを固定する動作を説明する。図4はフェライトコア固定具の保持部がフェライトコアの中空部に挿通された状態を示す。図3において、フラットケーブル(図示せず)をフェライトコア10の中空部11に貫通させた後、フェライトコア10の中空部11にフェライトコア固定具1の保持部2を挿通させる。
【0016】
まずフェライトコア固定具1の面取り部5a、6aをフェライトコア10の中空部11の両端部に当接させ、この状態から保持部2を中空部11に押し込む。この押し込み動作により腕部5、6は互いに接近する方向に撓み、図3に二点鎖線で示す互いに接触した状態になる。この状態で保持部11に挿通可能となり、両腕部5、6は中空部11内に入り込む。
【0017】
カギ爪部5b、6bが中空部11を通過すると、両腕部5、6の復元力により、図4に示すように、両腕部5、6は互いに離れて元の状態に復帰する。これによりカギ爪部5b、6b間の距離が広がり、保持部2が中空部11から抜けない状態になる。このとき、嵌合部5c、6c間の距離L5が中空部11の幅L1よりも若干大きく設定されている場合には嵌合部5c、6cが中空部11の外周に圧接し、ガタツキがなくなる。なお嵌合部5c、6cの長さ(カギ爪部5b、6bから棚部5d、6dまでの距離)はフェライトコア10の長さより若干長く設定してあり、フェライトコア10はカギ爪部5b、6bから棚部5d、6d間の嵌合部5c、6cで保持される。
【0018】
フラットケーブル12を貫通したフェライトコア10がフェライトコア固定具1により保持された状態を図5、図6に示す。両図において、フラットケーブル12およびフェライトコア10はフェライトコア固定具1により保持され、このとき被固定部3のネジ孔7はフラットケーブル12から外れた位置にあり、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定する際にフラットケーブル12が邪魔になることはない。なおフェライトコア10およびフェライトコア固定具1はフラットケーブル12に対して移動可能である。
【0019】
次にフェライトコア固定具1の被固定部3に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具1をネジ固定する。取付け対象として電子写真プリンタを例にした場合を図7に一部切り欠いた状態で示す。図7において、電子写真プリンタ20の操作部ケース21の内側に操作部基板22が配置されており、操作部基板22にはコネクタ23が具備されている。このコネクタ23にフラットケーブル12が接続されている。
【0020】
プリンタ20の底部にはコントロール基板24が配置され、このコントロール基板24にはコネクタ25が具備され、フラットケーブル12はこのコネクタ25と操作部基板22のコネクタ23とを接続する。フェライトコア10はこのフラットケーブル12が挿通され、このフェライトコア10をフェライトコア固定具1が保持している。フェライトコア固定具1は、プリンタ20の側部のフレーム26にネジ27により固定される。図7に示す例の場合、フレーム26の取付け面は水平で、フェライトコア固定具1はほぼ垂直に折り曲げられた状態でネジ27により固定されている。
【0021】
フェライトコア10およびフェライトコア固定具1をフラットケーブル12に対して移動することにより、最適な位置にフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア固定具1の被固定部3の長さ又は形状を任意に設定することによっても最適な位置に固定可能である。
【0022】
フェライトコア10を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具1の被固定部3におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具1を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具1の両腕部5、6を窄めてフェライトコア固定具1をフェライトコア10の中空部11から抜き取ることにより、取り外しを行う。
【0023】
またフェライトコア10を取り外す場合、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定した状態でフェライトコア10をフェライトコア固定具1から引き抜くようにようにしてもフェライトコア10およびフラットケーブル12の取り外しは可能である。特に取付け対象である装置にメインテナンスが必要な場合に、固定具1を装置に固定したままでフェライトコア10だけ取り外すことにより、メインテナンスを容易に行うことができる。
【0024】
以上のように第1の実施の形態によれば、フェライトコア10の中空部11にフェライトコア固定具1の保持部2を差し込むだけでフェライトコア10を保持でき、フェライトコア固定具1の被固定部3で取付け対象に固定するので、容易にフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア固定具1がフィルムシート状の平板形から構成されているので、製造上、専用の金型を必要とせず、安価な製造が可能であるとともに、フラットケーブル12が撓んでいる場合でもその撓みに合わせてフェライトコア固定具1がある程度変形することが可能であり、フラットケーブル12が撓む位置での固定が可能である。
【0025】
さらに、フェライトコア固定具1の被固定部3の長さ又は形状を任意に設定可能であり、またネジ孔7の位置も任意に設定可能であるので、取付け対象の最適な位置にフェライトコア10を固定することが可能になる。
【0026】
次に第2の実施の形態を説明する。図8は第2の実施の形態のフェライトコア固定部を示す斜視図である。図8において、第2の実施の形態のフェライトコア固定具31は、第1の実施の形態と同様に、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から構成され、保持部32と被固定部33とから構成される。保持部32は、中央保持部34とその両側に折り曲げ可能に形成された一対の腕部35、36とを有する。両腕部35、36の基部にはそれぞれ角孔35a、36aが形成されており、腕部35の先端部にはカギ爪部35bが形成され、他方の腕部36には切り込み部36cを有する角孔36bが形成されている。カギ爪部35bは、切り込み部36cに挿入可能であり、カギ爪部35bの基部35cが腕部36の角孔36bに入り込むことにより、腕部35と腕部36が互いに係止される。
【0027】
角孔35a、36aの高さは、フェライトコア10の厚さより僅かに大きく設定され、角孔35a、36aの幅(図8における縦方向の長さ)は、フェライトコア10の長さよりも僅かの大きく設定されている。そのためフェライトコア10は角孔35a、36aの中に入り込むことができる。中央保持部34の幅(両腕部35、36間の距離)は、フラットケーブル12より僅かに大きい幅を有し、かつフェライトコア10の幅より若干短く設定されている。
【0028】
中央保持部34の両側にはまた曲げ起こし部37、38がそれぞれ角孔35a、36aに入り込むように形成されており、曲げ起こし部37、38の長さはフェライトコア10の長さとほぼ同じに設定されている。一方の曲げ起こし部37から他方の曲げ起こし部38までの長さは、フェライトコア10の幅とほぼ同じに設定されている。被固定部33には、第1の実施の形態と同様に、フラットケーブルが配置される位置から片側へずれた位置にネジ孔7が形成されている。
【0029】
次に第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を説明する。図9、図10は第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。両図において、中空部11にフラットケーブル12を貫通したフェライトコア10に対して、フェライトコア固定具31の中央保持部34を当て、図9に示すように、両方の腕部35、36を折り曲げる。このときフェライトコア10の両側部は角孔35a、36aに入り込むので、腕部35、36は容易に折り曲げられる。またこのときフェライトコア10は曲げ起こし部37、38の間に保持され、これによりフェライトコア10は左右方向への動きを規制される。両腕部35、36を折り曲げることにより、フェライトコア10は上下方向への動きを規制される。
【0030】
次に腕部35のカギ爪部35bを腕部36の切り込み部36cに挿入し、さらにカギ爪部35bの基部35cを角孔36bに入り込ませ、図10に示す状態にする。これによりフェライトコア10を保持した状態で、腕部35と腕部36が互いに係止される。
【0031】
次に第1の実施の形態の場合と同様に、フェライトコア固定具31の被固定部33に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具31をネジ固定する。
【0032】
フェライトコア10を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具31の被固定部33におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具31を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具31の腕部35のカギ爪部35bを腕部36の角孔36bから抜き出し、両腕部35、36を広げてフェライトコア10の保持状態を解除する。また、フェライトコア固定具31を取付け対象に固定したままで、フェライトコア10およびフラットケーブル12のみ取り外すようにしてもよい。
【0033】
以上のように第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の有する効果に加えて、フェライトコア10を外側から保持するようにしたので、フェライトコア10の中空部11の大きさに関係なくフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア10を上下方向へも左右方向へも移動しないように保持するので、取付け対象である装置の振動や衝撃等によりフェライトコア10が近隣の部品と直接接触することにより破損を防止することができる。さらに、両腕部35、36を係止するだけでフェライトコア10を保持できるので、保持動作が極めて容易である効果がある。
【0034】
次に第3の実施の形態を説明する。図11は第3の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。図11において、第3の実施の形態のフェライトコア固定具41は、第2の実施の係態と同様に、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から形成され、保持部42と被固定部43とから構成される。保持部42は、中央保持部44とその両側に折り曲げ可能に形成された一対の腕部45、46とを有する。両腕部45、46の基部にはそれぞれ角孔45a、46aが形成されており、腕部45の先端部にはカギ爪部45bが形成され、他方の腕部46には切り込み部46cを有する角孔46bが形成されている。カギ爪部45bは、切り込み部46cに挿入可能であり、カギ爪部45bの基部45cが腕部46の角孔46bに入り込むことにより、腕部45と腕部46が互いに係止される。
【0035】
第2の実施の形態と同様に、角孔45a、46aの高さは、フェライトコア10の厚さより僅かに大きく設定され、角孔45a、46aの幅(図11における縦方向の長さ)は、フェライトコア10の長さよりも僅かの大きく設定されている。そのためフェライトコア10は角孔45a、46aの中に入り込むことができる。中央保持部44の幅(両腕部45、46間の距離)は、フラットケーブル12より僅かに大きい幅を有し、かつフェライトコア10の幅より若干短く設定されている。
【0036】
中央保持部44の両側には2種類の曲げ起こし部45d、45e、46d、46eが段違いにそれぞれ角孔35a、36aに入り込むように形成されている。一方の曲げ起こし部45eから他方の曲げ起こし部46eまでの長さは、フェライトコア10の幅より僅かに大きく設定されており、フェライトコア10を外側から抱え込むことによりフェライトコア10が左右方向に抜き出ることを防止する。またもう一種類の曲げ起こし部45dと曲げ起こし部46dは、互いの間の距離は腕部45、46間の距離とほぼ同じで、高さは曲げ起こし部45e、46eより低く設定されている。そのため、フェライトコア10を保持部42で保持する際にフェライトコア10の側面部で押し潰される状態になる。曲げ起こし部45d、46dは、後述する小さい種類のフェライトコアを保持する際に該フェライトコアの移動を規制するために形成されたものである。
【0037】
被固定部43には、第1の実施の形態と同様に、フラットケーブルが配置される位置から片側へずれた位置にネジ孔7が形成されている。
【0038】
次に第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を説明する。図12乃至図14は第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。第3の実施の形態では、高さ方向の大きさの異なる2種類のフェライトコアを固定する動作を説明する。まず高さの高いフェライトコアを固定する場合を説明する。
【0039】
図12において、中空部11にフラットケーブル12を貫通したフェライトコア10に対して、フェライトコア固定具41の中央保持部44を当て、両方の腕部45、46を折り曲げる。このときフェライトコア10の両側部は角孔45a、46aに入り込むので、腕部45、46は容易に折り曲げられる。またこのときフェライトコア10は曲げ起こし部45e、46eの間に保持され、これによりフェライトコア10は左右方向への動きを規制される。このときフェライトコア10は、曲げ起こし部45d、46dの上に乗った状態になる。両腕部45、46を折り曲げることにより、フェライトコア10は上下方向への動きを規制される。このとき曲げ起こし部45d、46dの弾性力によりフェライトコア10は圧接状態に保持される。
【0040】
次に腕部45のカギ爪部45bを腕部46の切り込み部46cに挿入し、さらにカギ爪部45bの基部45cを角孔46bに入り込ませ、図13に示す状態にする。これによりフェライトコア10を保持した状態で、腕部45と腕部46が互いに係止される。
【0041】
次に第1の実施の形態の場合と同様に、フェライトコア固定具41の被固定部43に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具41をネジ固定する。
【0042】
次に高さの低いフェライトコアを固定する場合について説明する。図14において、高さの低いフェライトコア14は曲げ起こし部45eと曲げ起こし部46eとの間に保持される。すなわち、曲げ起こし部45e、46eの長さは、高さに低いフェライトコア14の高さに合わせた寸法に設定されている。このとき曲げ起こし部45d、46dは、曲げ起こし部45e、46eよりも互いの間隔が狭く設定されているので、保持した状態においてフェライトコア14の上方向への移動を規制する。すなわち、高さの低いフェライトコア14を保持する場合でも、フェライトコア14を上下方向および左右方向に動きを規制することができるようになっている。
【0043】
フェライトコア10または14を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具41の被固定部43におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具41を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具41の腕部45のカギ爪部45bを腕部46の角孔46bから抜き出し、両腕部45、46を広げてフェライトコア10または14の保持状態を解除する。また、フェライトコア固定具41を取付け対象に固定したままで、フェライトコア10または14およびフラットケーブル12のみ取り外すようにしてもよい。
【0044】
以上のように第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態の有する効果に加えて、フェライトコアを保持するための曲げ起こし部を2種類段違いに設けたことにより、高さの異なる2種類のフェライトコアを固定することが可能となる。その結果、フェライトコアの大きさに合わせたフェライトコア固定具を個別に用意する必要がなく、部品の管理や物流の管理が煩雑にならないで済むという効果がある。さらに、2種類のフェライトコアに対して共通的に使用することができることから、フェライトコア固定具の単価を低減することが可能となる。
【0045】
上記各実施の形態では、コア部材固定具としてフェライトコアを固定する固定具で説明したが、本発明はこれに限らず、ケーブルを貫通してケーブル上に設置する部材であれば他の部材に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。
【図2】フェライトコアを示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す正面図である。
【図4】フェライトコア固定具の保持部がフェライトコアの中空部に挿通された状態を示す正面図である。
【図5】フェライトコアを保持した状態を示す斜視図である。
【図6】フェライトコアを保持した状態を示す斜視図である。
【図7】フェライトコア固定具を固定した状態を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態のフェライトコア固定部を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図10】第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図11】第3の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。
【図12】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図13】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図14】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1、31、41 フェライトコア固定具
2、32、42 保持部
3、33、43 被固定部
5、6、35、36、45、46 腕部
10 フェライトコア
11 中空部
12 フラットケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機や電子写真プリンタ等の電子機器におけるフェライトコア等の部材を固定する固定具に関するとともに、該固定具を具備する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等において発生する電気的ノイズを軽減するために、フェライトコアをケーブルに装着することが一般に行われている。フェライトコアを固定する方法としては、例えば、特開2000−173827号公報に開示される方法がある。これは、フェライトコアの中空部にケーブルを貫通させた状態でフェライトコアを収納ケースに収納し、その収納ケースの下面に設けた係合部の爪部を電子機器筐体または基板に係合させることによりフェライトコアを固定するというものである。
【特許文献1】特開2000−173827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来のフェライトコア固定構造においては、フェライトコアを収納する収納ケースに固定用の係合部が設けられているので、フェライトコアを固定したい場所に収納ケースごと固定しなければならない。しかしながらフェライトコアを固定したい場所が非常に狭い場合には収納ケースを固定できない。このため収納ケースを固定できるだけのスペースのある場所を選んでフェライトコアを固定していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の部材固定具は、中空部を有し、該中空部にケーブルが貫通される部材を動きを規制して保持する保持部と、前記保持部と可撓部を介して接続し、取付け対象に固定される被固定部とから構成される。保持部は、部材の中空部に挿通されて該部材を保持するようにする。この場合、保持部は、伸縮する可撓性を有し、縮んだ状態で部材の中空部へ挿通され、挿通された状態で縮んだ状態から元の状態に復帰することにより部材を保持するようにするとよい。
【0005】
また保持部を、被固定部と同一平面上に形成された中央保持部と、この中央保持部の両側に折り曲げ可能に形成され、可撓性を有する一対の腕部とから構成し、この一対の腕部を部材を抱えた状態で互いに係止可能に構成する。
【発明の効果】
【0006】
上記構成の本発明によれば、保持部で部材を動きを規制しつつ保持し、保持部と同一平面上に形成された被固定部で取付け対象に固定されるので、部材を固定する場所として広いスペースがなくても固定可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態を図面に従って説明する。以下に説明する各実施の形態では、中空部を有する部材としてフェライトコアを例にとって説明する。図1は本発明の第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図、図2はフェライトコアを示す正面図、図3は第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す正面図である。
【0008】
図1において、フェライトコア固定具1は、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から形成され、保持部2と被固定部3から構成される。保持部2は、溝部4を間にして形成された2つの腕部5、6を有し、腕部5、6の形状は互いに線対称に形成されている。腕部5、6の先端側(図における上側)にはそれぞれ面取り部5a、6aおよびカギ爪部5b、6bが形成され、腕部5、6の中央外側には溝部4と平行な嵌合部5c、6cが形成されている。嵌合部5c、6cの下側にはそれぞれ棚部5d、6dが形成されている。
【0009】
被固定部3には、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定するためのネジ孔7が形成されている。ネジ孔7は保持部2の溝部4の延長線上から片側へずれた位置に形成されている。
【0010】
本実施の形態のフェライトコア固定具1の材質はポリエチレンテレフタラート(PET)からなっている。しかしながら材質としては、ABS樹脂、エンジニアリングプラスチック等プラスチック材料であればよく、さらに同等の性質を有していれば金属製のフィルム等でも構わない。
【0011】
図3はフェライトコアの中空部にフェライトコア固定具1を挿通する様子を示す。図2、図3において、フェライトコア10は扁平の長円形の中空部11を有している。中空部11の幅(長径)L1は20mm、中空部11の厚さ(短径)tは1.0mmである。なおフェライトコア固定具1の厚さは0.5mmに形成され、後述するケーブルの厚さは0.3mmに設定されている。
【0012】
ここでフェライトコア固定具1とフェライトコア10の中空部11との寸法関係について説明する。フェライトコア固定具1の保持部2の最大幅、即ち、カギ爪部5bからカギ爪部6bまでの距離L2は、フェライトコア10の中空部11の幅L1よりも大きく設定されている。フェライトコア固定具1の腕部5、6は、間に溝部4が形成されているために、互いに接近する方向に接触するまで撓み可能となっている。腕部5、6が互いに接触したとき(二点鎖線で示す状態になったとき)のカギ爪部5bからカギ爪部6bまでの距離L3は、中空部11の幅L1よりも小さくなるように溝部4の幅L4が設定されている。
【0013】
即ち、L1<L2、L1>L3、L3=L2−L4が成り立つようにそれぞれの幅を設定している。
【0014】
また嵌合部5cから嵌合部6cまでの距離L5は、L2よりも短く、中空部11の幅L1とほぼ同じ寸法か若干大きく設定されている。このように寸法設定することにより、この嵌合部5c、6cがフェライトコア10の中空部11に挿通したときに、嵌合部5c、6cと中空部11の外周との間にガタツキがなくなる。また棚部5dから棚部6dまでの距離L6は、中空部11の幅L1よりも大きく設定されている。
【0015】
次に第1の実施の形態におけるフェライトコアを固定する動作を説明する。図4はフェライトコア固定具の保持部がフェライトコアの中空部に挿通された状態を示す。図3において、フラットケーブル(図示せず)をフェライトコア10の中空部11に貫通させた後、フェライトコア10の中空部11にフェライトコア固定具1の保持部2を挿通させる。
【0016】
まずフェライトコア固定具1の面取り部5a、6aをフェライトコア10の中空部11の両端部に当接させ、この状態から保持部2を中空部11に押し込む。この押し込み動作により腕部5、6は互いに接近する方向に撓み、図3に二点鎖線で示す互いに接触した状態になる。この状態で保持部11に挿通可能となり、両腕部5、6は中空部11内に入り込む。
【0017】
カギ爪部5b、6bが中空部11を通過すると、両腕部5、6の復元力により、図4に示すように、両腕部5、6は互いに離れて元の状態に復帰する。これによりカギ爪部5b、6b間の距離が広がり、保持部2が中空部11から抜けない状態になる。このとき、嵌合部5c、6c間の距離L5が中空部11の幅L1よりも若干大きく設定されている場合には嵌合部5c、6cが中空部11の外周に圧接し、ガタツキがなくなる。なお嵌合部5c、6cの長さ(カギ爪部5b、6bから棚部5d、6dまでの距離)はフェライトコア10の長さより若干長く設定してあり、フェライトコア10はカギ爪部5b、6bから棚部5d、6d間の嵌合部5c、6cで保持される。
【0018】
フラットケーブル12を貫通したフェライトコア10がフェライトコア固定具1により保持された状態を図5、図6に示す。両図において、フラットケーブル12およびフェライトコア10はフェライトコア固定具1により保持され、このとき被固定部3のネジ孔7はフラットケーブル12から外れた位置にあり、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定する際にフラットケーブル12が邪魔になることはない。なおフェライトコア10およびフェライトコア固定具1はフラットケーブル12に対して移動可能である。
【0019】
次にフェライトコア固定具1の被固定部3に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具1をネジ固定する。取付け対象として電子写真プリンタを例にした場合を図7に一部切り欠いた状態で示す。図7において、電子写真プリンタ20の操作部ケース21の内側に操作部基板22が配置されており、操作部基板22にはコネクタ23が具備されている。このコネクタ23にフラットケーブル12が接続されている。
【0020】
プリンタ20の底部にはコントロール基板24が配置され、このコントロール基板24にはコネクタ25が具備され、フラットケーブル12はこのコネクタ25と操作部基板22のコネクタ23とを接続する。フェライトコア10はこのフラットケーブル12が挿通され、このフェライトコア10をフェライトコア固定具1が保持している。フェライトコア固定具1は、プリンタ20の側部のフレーム26にネジ27により固定される。図7に示す例の場合、フレーム26の取付け面は水平で、フェライトコア固定具1はほぼ垂直に折り曲げられた状態でネジ27により固定されている。
【0021】
フェライトコア10およびフェライトコア固定具1をフラットケーブル12に対して移動することにより、最適な位置にフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア固定具1の被固定部3の長さ又は形状を任意に設定することによっても最適な位置に固定可能である。
【0022】
フェライトコア10を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具1の被固定部3におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具1を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具1の両腕部5、6を窄めてフェライトコア固定具1をフェライトコア10の中空部11から抜き取ることにより、取り外しを行う。
【0023】
またフェライトコア10を取り外す場合、フェライトコア固定具1を取付け対象に固定した状態でフェライトコア10をフェライトコア固定具1から引き抜くようにようにしてもフェライトコア10およびフラットケーブル12の取り外しは可能である。特に取付け対象である装置にメインテナンスが必要な場合に、固定具1を装置に固定したままでフェライトコア10だけ取り外すことにより、メインテナンスを容易に行うことができる。
【0024】
以上のように第1の実施の形態によれば、フェライトコア10の中空部11にフェライトコア固定具1の保持部2を差し込むだけでフェライトコア10を保持でき、フェライトコア固定具1の被固定部3で取付け対象に固定するので、容易にフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア固定具1がフィルムシート状の平板形から構成されているので、製造上、専用の金型を必要とせず、安価な製造が可能であるとともに、フラットケーブル12が撓んでいる場合でもその撓みに合わせてフェライトコア固定具1がある程度変形することが可能であり、フラットケーブル12が撓む位置での固定が可能である。
【0025】
さらに、フェライトコア固定具1の被固定部3の長さ又は形状を任意に設定可能であり、またネジ孔7の位置も任意に設定可能であるので、取付け対象の最適な位置にフェライトコア10を固定することが可能になる。
【0026】
次に第2の実施の形態を説明する。図8は第2の実施の形態のフェライトコア固定部を示す斜視図である。図8において、第2の実施の形態のフェライトコア固定具31は、第1の実施の形態と同様に、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から構成され、保持部32と被固定部33とから構成される。保持部32は、中央保持部34とその両側に折り曲げ可能に形成された一対の腕部35、36とを有する。両腕部35、36の基部にはそれぞれ角孔35a、36aが形成されており、腕部35の先端部にはカギ爪部35bが形成され、他方の腕部36には切り込み部36cを有する角孔36bが形成されている。カギ爪部35bは、切り込み部36cに挿入可能であり、カギ爪部35bの基部35cが腕部36の角孔36bに入り込むことにより、腕部35と腕部36が互いに係止される。
【0027】
角孔35a、36aの高さは、フェライトコア10の厚さより僅かに大きく設定され、角孔35a、36aの幅(図8における縦方向の長さ)は、フェライトコア10の長さよりも僅かの大きく設定されている。そのためフェライトコア10は角孔35a、36aの中に入り込むことができる。中央保持部34の幅(両腕部35、36間の距離)は、フラットケーブル12より僅かに大きい幅を有し、かつフェライトコア10の幅より若干短く設定されている。
【0028】
中央保持部34の両側にはまた曲げ起こし部37、38がそれぞれ角孔35a、36aに入り込むように形成されており、曲げ起こし部37、38の長さはフェライトコア10の長さとほぼ同じに設定されている。一方の曲げ起こし部37から他方の曲げ起こし部38までの長さは、フェライトコア10の幅とほぼ同じに設定されている。被固定部33には、第1の実施の形態と同様に、フラットケーブルが配置される位置から片側へずれた位置にネジ孔7が形成されている。
【0029】
次に第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を説明する。図9、図10は第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。両図において、中空部11にフラットケーブル12を貫通したフェライトコア10に対して、フェライトコア固定具31の中央保持部34を当て、図9に示すように、両方の腕部35、36を折り曲げる。このときフェライトコア10の両側部は角孔35a、36aに入り込むので、腕部35、36は容易に折り曲げられる。またこのときフェライトコア10は曲げ起こし部37、38の間に保持され、これによりフェライトコア10は左右方向への動きを規制される。両腕部35、36を折り曲げることにより、フェライトコア10は上下方向への動きを規制される。
【0030】
次に腕部35のカギ爪部35bを腕部36の切り込み部36cに挿入し、さらにカギ爪部35bの基部35cを角孔36bに入り込ませ、図10に示す状態にする。これによりフェライトコア10を保持した状態で、腕部35と腕部36が互いに係止される。
【0031】
次に第1の実施の形態の場合と同様に、フェライトコア固定具31の被固定部33に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具31をネジ固定する。
【0032】
フェライトコア10を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具31の被固定部33におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具31を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具31の腕部35のカギ爪部35bを腕部36の角孔36bから抜き出し、両腕部35、36を広げてフェライトコア10の保持状態を解除する。また、フェライトコア固定具31を取付け対象に固定したままで、フェライトコア10およびフラットケーブル12のみ取り外すようにしてもよい。
【0033】
以上のように第2の実施の形態によれば、上記第1の実施の形態の有する効果に加えて、フェライトコア10を外側から保持するようにしたので、フェライトコア10の中空部11の大きさに関係なくフェライトコア10を固定することができる。またフェライトコア10を上下方向へも左右方向へも移動しないように保持するので、取付け対象である装置の振動や衝撃等によりフェライトコア10が近隣の部品と直接接触することにより破損を防止することができる。さらに、両腕部35、36を係止するだけでフェライトコア10を保持できるので、保持動作が極めて容易である効果がある。
【0034】
次に第3の実施の形態を説明する。図11は第3の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。図11において、第3の実施の形態のフェライトコア固定具41は、第2の実施の係態と同様に、フィルムシート状の平板形をした弾性部材から形成され、保持部42と被固定部43とから構成される。保持部42は、中央保持部44とその両側に折り曲げ可能に形成された一対の腕部45、46とを有する。両腕部45、46の基部にはそれぞれ角孔45a、46aが形成されており、腕部45の先端部にはカギ爪部45bが形成され、他方の腕部46には切り込み部46cを有する角孔46bが形成されている。カギ爪部45bは、切り込み部46cに挿入可能であり、カギ爪部45bの基部45cが腕部46の角孔46bに入り込むことにより、腕部45と腕部46が互いに係止される。
【0035】
第2の実施の形態と同様に、角孔45a、46aの高さは、フェライトコア10の厚さより僅かに大きく設定され、角孔45a、46aの幅(図11における縦方向の長さ)は、フェライトコア10の長さよりも僅かの大きく設定されている。そのためフェライトコア10は角孔45a、46aの中に入り込むことができる。中央保持部44の幅(両腕部45、46間の距離)は、フラットケーブル12より僅かに大きい幅を有し、かつフェライトコア10の幅より若干短く設定されている。
【0036】
中央保持部44の両側には2種類の曲げ起こし部45d、45e、46d、46eが段違いにそれぞれ角孔35a、36aに入り込むように形成されている。一方の曲げ起こし部45eから他方の曲げ起こし部46eまでの長さは、フェライトコア10の幅より僅かに大きく設定されており、フェライトコア10を外側から抱え込むことによりフェライトコア10が左右方向に抜き出ることを防止する。またもう一種類の曲げ起こし部45dと曲げ起こし部46dは、互いの間の距離は腕部45、46間の距離とほぼ同じで、高さは曲げ起こし部45e、46eより低く設定されている。そのため、フェライトコア10を保持部42で保持する際にフェライトコア10の側面部で押し潰される状態になる。曲げ起こし部45d、46dは、後述する小さい種類のフェライトコアを保持する際に該フェライトコアの移動を規制するために形成されたものである。
【0037】
被固定部43には、第1の実施の形態と同様に、フラットケーブルが配置される位置から片側へずれた位置にネジ孔7が形成されている。
【0038】
次に第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を説明する。図12乃至図14は第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。第3の実施の形態では、高さ方向の大きさの異なる2種類のフェライトコアを固定する動作を説明する。まず高さの高いフェライトコアを固定する場合を説明する。
【0039】
図12において、中空部11にフラットケーブル12を貫通したフェライトコア10に対して、フェライトコア固定具41の中央保持部44を当て、両方の腕部45、46を折り曲げる。このときフェライトコア10の両側部は角孔45a、46aに入り込むので、腕部45、46は容易に折り曲げられる。またこのときフェライトコア10は曲げ起こし部45e、46eの間に保持され、これによりフェライトコア10は左右方向への動きを規制される。このときフェライトコア10は、曲げ起こし部45d、46dの上に乗った状態になる。両腕部45、46を折り曲げることにより、フェライトコア10は上下方向への動きを規制される。このとき曲げ起こし部45d、46dの弾性力によりフェライトコア10は圧接状態に保持される。
【0040】
次に腕部45のカギ爪部45bを腕部46の切り込み部46cに挿入し、さらにカギ爪部45bの基部45cを角孔46bに入り込ませ、図13に示す状態にする。これによりフェライトコア10を保持した状態で、腕部45と腕部46が互いに係止される。
【0041】
次に第1の実施の形態の場合と同様に、フェライトコア固定具41の被固定部43に形成されたネジ孔7を使用して取付け対象にフェライトコア固定具41をネジ固定する。
【0042】
次に高さの低いフェライトコアを固定する場合について説明する。図14において、高さの低いフェライトコア14は曲げ起こし部45eと曲げ起こし部46eとの間に保持される。すなわち、曲げ起こし部45e、46eの長さは、高さに低いフェライトコア14の高さに合わせた寸法に設定されている。このとき曲げ起こし部45d、46dは、曲げ起こし部45e、46eよりも互いの間隔が狭く設定されているので、保持した状態においてフェライトコア14の上方向への移動を規制する。すなわち、高さの低いフェライトコア14を保持する場合でも、フェライトコア14を上下方向および左右方向に動きを規制することができるようになっている。
【0043】
フェライトコア10または14を取り外す場合は上記の動作を逆に行えばよい。すなわち、フェライトコア固定具41の被固定部43におけるネジを取り外し、フェライトコア固定具41を取付け対象から取り外す。そしてフェライトコア固定具41の腕部45のカギ爪部45bを腕部46の角孔46bから抜き出し、両腕部45、46を広げてフェライトコア10または14の保持状態を解除する。また、フェライトコア固定具41を取付け対象に固定したままで、フェライトコア10または14およびフラットケーブル12のみ取り外すようにしてもよい。
【0044】
以上のように第3の実施の形態によれば、第2の実施の形態の有する効果に加えて、フェライトコアを保持するための曲げ起こし部を2種類段違いに設けたことにより、高さの異なる2種類のフェライトコアを固定することが可能となる。その結果、フェライトコアの大きさに合わせたフェライトコア固定具を個別に用意する必要がなく、部品の管理や物流の管理が煩雑にならないで済むという効果がある。さらに、2種類のフェライトコアに対して共通的に使用することができることから、フェライトコア固定具の単価を低減することが可能となる。
【0045】
上記各実施の形態では、コア部材固定具としてフェライトコアを固定する固定具で説明したが、本発明はこれに限らず、ケーブルを貫通してケーブル上に設置する部材であれば他の部材に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。
【図2】フェライトコアを示す正面図である。
【図3】第1の実施の形態のフェライトコア固定具を示す正面図である。
【図4】フェライトコア固定具の保持部がフェライトコアの中空部に挿通された状態を示す正面図である。
【図5】フェライトコアを保持した状態を示す斜視図である。
【図6】フェライトコアを保持した状態を示す斜視図である。
【図7】フェライトコア固定具を固定した状態を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態のフェライトコア固定部を示す斜視図である。
【図9】第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図10】第2の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図11】第3の実施の形態のフェライトコア固定具を示す斜視図である。
【図12】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図13】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【図14】第3の実施の形態におけるフェライトコア固定動作を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1、31、41 フェライトコア固定具
2、32、42 保持部
3、33、43 被固定部
5、6、35、36、45、46 腕部
10 フェライトコア
11 中空部
12 フラットケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有し、該中空部にケーブルが貫通される部材を動きを規制して保持する保持部と、
前記保持部と可撓部を介して接続し、取付け対象に固定される被固定部とから構成される部材固定具。
【請求項2】
前記保持部は前記中空部に挿通されて前記部材を保持する請求項1記載の部材固定具。
【請求項3】
前記保持部は、伸縮する可撓性を有し、縮んだ状態で前記中空部へ挿通され、挿通された状態で縮んだ状態から元の状態に復帰することにより前記部材を規制した状態で保持する請求項2記載の部材固定具。
【請求項4】
前記保持部は、
前記被固定部と同一平面上に形成された中央保持部と、
前記中央保持部の両側に折り曲げ可能に形成され、可撓性を有する一対の腕部とから成り、
前記一対の腕部は前記部材を抱えた状態で互いに係止可能である請求項1記載の部材固定具。
【請求項5】
前記中央保持部の両側に、前記ケーブルの長手方向に直交する方向への前記部材の移動を規制する第1の規制部を設けた請求項4記載の部材固定具。
【請求項6】
前記保持部に、前記ケーブルの長手方向への前記部材の移動を規制する第2の規制部を設けた請求項4記載の部材固定具。
【請求項7】
前記第2の規制部は2段階に設けられた請求項6記載の部材固定具。
【請求項8】
前記部材はフェライトコアであり、前記ケーブルはフラットケーブルである請求項1乃至7のいずれかに記載の部材固定具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の部材固定具を搭載した電子機器。
【請求項1】
中空部を有し、該中空部にケーブルが貫通される部材を動きを規制して保持する保持部と、
前記保持部と可撓部を介して接続し、取付け対象に固定される被固定部とから構成される部材固定具。
【請求項2】
前記保持部は前記中空部に挿通されて前記部材を保持する請求項1記載の部材固定具。
【請求項3】
前記保持部は、伸縮する可撓性を有し、縮んだ状態で前記中空部へ挿通され、挿通された状態で縮んだ状態から元の状態に復帰することにより前記部材を規制した状態で保持する請求項2記載の部材固定具。
【請求項4】
前記保持部は、
前記被固定部と同一平面上に形成された中央保持部と、
前記中央保持部の両側に折り曲げ可能に形成され、可撓性を有する一対の腕部とから成り、
前記一対の腕部は前記部材を抱えた状態で互いに係止可能である請求項1記載の部材固定具。
【請求項5】
前記中央保持部の両側に、前記ケーブルの長手方向に直交する方向への前記部材の移動を規制する第1の規制部を設けた請求項4記載の部材固定具。
【請求項6】
前記保持部に、前記ケーブルの長手方向への前記部材の移動を規制する第2の規制部を設けた請求項4記載の部材固定具。
【請求項7】
前記第2の規制部は2段階に設けられた請求項6記載の部材固定具。
【請求項8】
前記部材はフェライトコアであり、前記ケーブルはフラットケーブルである請求項1乃至7のいずれかに記載の部材固定具。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の部材固定具を搭載した電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−86224(P2006−86224A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267362(P2004−267362)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】
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