説明

配管内壁ライニング装置および配管内壁ライニング方法

【課題】覆い膜筒体の膨圧により塗料層が均等に押圧されて調製されるため、塗料層の耐久性が向上する配管内壁ライニング装置および配管内壁ライニング方法を提供する。
【解決手段】覆い膜筒体22が塗料層17に沿って密着状態に反転しつつ進行する際、送風機19の駆動圧により覆い膜筒体22を膨出させて生じる膨圧を塗料層17に伝える。このため、塗料層17が膨出状態の覆い膜筒体22からの膨圧により均等に押圧されて調製され、塗料層17の厚みの均一化に併せて縦管8の内周面に対する塗料層17の付着性が強固になり、耐久性の向上により長寿命化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設管、排水管や給水管などの配管の外周部に塗装を施すようにした配管内壁ライニング装置および配管内壁ライニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内あるいは屋外に配置された埋設管や給排水管などの配管には、食物の残滓、油脂、使用済みの洗剤、毛髪、砂礫、土砂など多種類の異物が付着堆積し、錆瘤とともにスケール(水垢)を形成している。配管の機能や衛生を保つために、清掃装置を用いて定期的に配管の清掃を行って配管に付着堆積するスケールを完全に除去している。配管の清掃後には、耐久性などを確保する必要があるため、ライニング装置により配管内に所定の厚みの塗料を層状に形成している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−141843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、配管に供給された塗料に接触状態に配される膨縮自在の袋体を備えている。配管内に吸引圧を加えることにより、袋体が塗料を配管の内周部に押し広げながら順次移動して配管内壁部に塗装を施す。
袋体が塗料を配管内壁部に塗り上げるへらとして働いて塗料を万遍なく均等に塗布するので、作業性が高くコスト的に有利な配管ライニング装置を実現している。
【0004】
しかしながら、例えば図8に示すように、縦管Kの内周面に少し厚めに塗装したり、塗装したての塗料層Jでは、一般に自重で垂れ下がる傾向があるので、塗料層Jの内表面が塗料だれDpとして滴下する虞がある。このため、厚みの均等化が難しく、縦管Kに対する塗料層Jの付着性が低下して耐久性が低下する不具合がある。とりわけ、縦管Kが径大で塗料層Jの厚みが大きくなる場合は、塗料だれDpの発生が著しいと予想される。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は専用の均等化手段により、覆い膜筒体の膨圧により塗料層が均等に押圧されて調製されるため、塗料層の厚みの均一化に併せて配管に対する塗料層の付着性が強固になり、耐久性の向上による長寿命化が図られる配管内壁ライニング装置および配管内壁ライニング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1について)
配管の内周面に施した塗料層を押圧して均等化する均等化手段を有する配管内壁ライニング装置において、均等化手段は、覆い膜筒体と圧送手段とを有する。覆い膜筒体は、開口先端部の表裏を反転させて、塗料層が施された配管の内周面に取付セットされる。圧送手段は、配管内で開口先端部に駆動圧を供給することにより、覆い膜筒体が塗料層に沿って反転しつつ、覆い膜筒体の内周面を塗料層に密着状態に押圧させて進行する。
【0007】
覆い膜筒体が塗料層に沿って密着状態に反転しつつ進行する際、駆動圧により覆い膜筒体を膨出させて生じる膨圧を塗料層に伝える。このため、塗料層が膨出状態の覆い膜筒体からの膨圧により均等に押圧されて調製され、塗料層の厚みの均一化に併せて配管の内周面に対する塗料層の付着性が強固になり、耐久性の向上により長寿命化が図られる。
【0008】
(請求項2について)
配管内に圧送される覆い膜筒体の進行に伴って移動し、塗料層を照射して乾燥させるランプを覆い膜筒体に後続するように設けている。
この場合、塗装後の塗料層の乾燥により硬化処理が助長されるため、塗装作業後に短時間で再使用に供することができる。
【0009】
(請求項3について)
均等化手段には、覆い膜筒体に対して回転可能に設けられたボス部と、ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪部と、ボス部から放射方向に延出して外輪部に接続された羽根部とからなる押圧手段が設けられている。羽根部が駆動圧を受けて回転し、球体を覆い膜筒体に押し当てて塗料層を均等に押圧する。
この場合、塗料層には、覆い膜筒体の膨圧に加えて、球体からの押圧力が働くため、塗料層の厚みの均一化に併せて配管に対する塗料層の付着性を一層強固にすることができる。
【0010】
(請求項4について)
均等化手段には、前記覆い膜筒体に対して回転可能に設けられたボス部と、ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪コイルスプリングと、ボス部と外輪コイルスプリングとの間に連結されたコイルスプリング型スポークと、ボス部から放射方向に延出された羽根部とからなる押圧手段が設けられている。羽根部が駆動圧を受けて回転し、球体を外輪コイルスプリングおよびコイルスプリング型スポークの付勢力に抗して覆い膜筒体に押し当てて塗料層を均等に押圧する。
【0011】
塗料層には、請求項3と同様に、覆い膜筒体の膨圧に加えて、球体からの押圧力が働くため、塗料層の厚みの均一化に併せて配管に対する塗料層の付着性を一層強固にすることができる。
この場合、覆い膜筒体に対する球体の押圧力は、外輪コイルスプリングおよびコイルスプリング型スポークの両付勢力により制限されるので、球体が覆い膜筒体に対して過剰な押圧力を働かせてしまうことがない。
【0012】
(請求項5について)
配管の内周面に施した塗料層を押圧して均等化する均等化工程を有する配管内壁ライニング方法において、均等化工程は、セット工程と圧送工程とを有する。
セット工程では、覆い膜筒体の開口先端部の表裏を反転させて、塗料層が施された配管の内周面に覆い膜筒体を取付セットする。圧送工程では、配管内で開口先端部に駆動圧を供給することにより、覆い膜筒体が塗料層に沿って反転しつつ、覆い膜筒体の内周面を塗料層に密着状態に押圧させて進行する。
【0013】
配管への塗装時、塗料層が膨出状態の覆い膜筒体から略均一の膨圧を受けて、塗料層の厚みの均一化に併せて配管の内周面に対する塗料層の付着性が強固になって耐久性の向上により長寿命化が図られる。
【0014】
(請求項6について)
配管内に圧送される覆い膜筒体の進行に伴ってランプを移動させて、ランプにより塗料層を照射して乾燥させる硬化処理工程を有する。
この場合、請求項2と同様に、塗装後の塗料層の乾燥による硬化処理が助長されるため、塗装作業後に短時間で再使用に供することができる。
【0015】
(請求項7について)
均等化手段には、覆い膜筒体に対して回転可能に設けられたボス部と、ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪部と、ボス部から放射方向に延出して外輪部に接続された羽根部とからなる押圧手段が設けられている。羽根部が駆動圧を受けて回転し、球体を覆い膜筒体に押し当てて塗料層を均等に押圧する均圧調製工程を有する。
【0016】
塗料層には、覆い膜筒体の膨圧に加えて、球体からの押圧力が作用するため、請求項3と同様に、塗料層の厚みの均一化に併せて配管に対する塗料層の付着性を一層強固にすることができる。
【0017】
(請求項8について)
ポンプからの湯水を汲上げホースにより覆い膜筒体を介して塗料層に吹き当て、吹き当て後の湯水を帰還ホースによりポンプに戻して循環させる湯水循環工程を有する。このため、塗料層が湯水から熱を受けて塗料の化学変化を促進し、塗料層の硬化処理を行いながら、塗料層の厚みの均一化を図ることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、覆い膜筒体が駆動圧により膨張し、配管内の塗料層が覆い膜筒体の膨圧を受けるため、塗料層の厚みの均一化に併せて配管に対する塗料層の付着性が強固になって長寿命化を実現する。
【実施例1】
【0019】
図1ないし図4は本発明の実施例1を示す。
図1は建物Hの排水管におけるライニング施工例であり、配管として縦型の通気管1、汚水本管2および外部枡5に連通する雑排水本管3を有している。雑排水本管3からは、各階Fに連通する室内横引管4が設けられている。
【0020】
配管のなかには、各階Fにおけるコンクリート製のスラブ(図示せず)を貫いて雑排水を流す縦管8が図2に示すように設けられている。長期使用に伴って縦管8の内壁部に腐食などが生じて補修が必要となる場合、予め縦管8のクリーニングが行われ、縦管8の内壁から流れ落ちた塵埃やスケールなどの付着堆積物は外部枡5から万能配管更生車6(VacLマシン)により回収される(図1参照)。このクリーニングの終了後、配管内壁ライニング装置9が用いられる。
【0021】
配管内壁ライニング装置9は、送風機10に連結されたハウジング11内に巻取車12を回転可能に設けた反転機13を備えている。ハウジング11の開口部11aは、連結胴体Sを介して縦管8の下端開口部8aに連結されている。長尺のライニングクロス管14は、後述のように巻取車12に繰出し可能に巻回されており、液状エポキシ樹脂などの塗料を布に含浸させている。ライニングクロス管14の外周面部には、その外周面部を覆うように挿入された樹脂製チューブ15が設けられている。
【0022】
ライニングクロス管14の厚みは、例えば3〜4mmであり、外径はライニング施工の対象となる縦管8の内径に応じた大きさに形成されている。
ライニングクロス管14の後端部および樹脂製チューブ15の後端部は、反転機13の巻取車12から繰り出される案内管部16に切離可能に連結されている。これらライニングクロス管14、樹脂製チューブ15および案内管部16は、反転機13の巻取車12に巻き取られている。作業の開始時、ライニングクロス管14の開口先端部14aおよび樹脂製チューブ15の開口先端部15aの表裏を反転させて縦管8の下端開口部8aに固定する。
【0023】
送風機10に通電すると、駆動圧が発生してライニングクロス管14および樹脂製チューブ15の開口先端部14a、15aに働いてライニングクロス管14と一緒に樹脂製チューブ15を縦管8の内周面に沿って反転状態に進行させ、ライニングクロス管14の内周面が縦管8の内壁に略均一な厚みで万遍なく均等に密着して塗料層17を形成する。
【0024】
ライニングクロス管14による塗料層17の形成に伴い、縦管8の内壁に生じたクラック、継目、ピンホールおよび腐食穴などを補修して完全に塞ぐことができる。ライニングクロス管14と一緒に反転した樹脂製チューブ15を、駆動圧により塗料層17に押し付けることで、塗料層17の塗り具合を調製する。塗料層17の施工後は、反転機13の巻取車12で案内管部16を巻き取り、樹脂製チューブ15を塗料層17から剥離させて反転機13のハウジング11内に収納する。
【0025】
図3は、塗料層17の施工後に用いる均等化手段18を示し、縦管8の内周面に施した塗料層17を押圧して厚みを均等化するものである。
均等化手段18は、圧送手段としての送風機19と、送風機19に連結されたハウジング20と、ハウジング20内に設けられた巻取リール21と、巻取リール21に巻き取られた長尺な覆い膜筒体22とを備える。ハウジング20の吹出口20aと縦管8の下端開口部8aとは、連結胴部23により気密に連結されるようになっている。
【0026】
なお、覆い膜筒体22の原材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エチルビニール、酢酸エステルあるいはポリ塩化ビニールなどのプラスチック材である。
【0027】
連結胴部23に対しては、貯湯槽27Aからの湯水Wsを循環させる循環用のポンプ24が設けられている。帰還ホース25は、一端部を連結胴部23に連結し、他端部を循環用のポンプ24の吸入口24aに連結している。可撓性の汲上げホース25aは、一端部25cを巻取リール21から案内管部16の基端部16aに連結し、他端部をポンプ24の吐出口24bに連結している。
【0028】
汲上げホース25aの一端部25cと案内管部16の基端部16aとの連結は、周知のスイブル継手(図示せず)により行い、案内管部16の引き出しに伴って巻取リール21が回転しても、汲上げホース25aと案内管部16の基端部16aとの連結状態が維持されるようになっている。
案内管部16の先端部には、湯水Wsを覆い膜筒体22に吹き当てる複数の噴出孔pが形成されている。貯湯槽27A内の湯水Wsの温度は、通常では40〜60℃といった温度範囲に設定されているが、この設定温度は70〜80℃でもよく、使用状況に応じて所望に設定することができる。
【0029】
配管内壁ライニング方法の均等化工程において、覆い膜筒体22を巻取リール21から繰り出して、覆い膜筒体22の開口先端部22aを裏返した後、その開口先端部22aを連結胴部23の開口部23aと一緒に縦管8の下端開口部8aの内周面に気密状態に取付セットする(セット工程)。
【0030】
送風機19に通電すると、送風機19からの風圧を駆動圧としてハウジング20および連結胴部23を介して縦管8内に供給する。このため、覆い膜筒体22は、裏返した開口先端部22aから塗料層17に沿って反転しつつ、覆い膜筒体22の内周面を塗料層17に密着状態に押圧させて進行する。
この時、循環用のポンプ24を必要に応じて稼働させて貯湯槽27Aからの湯水Wsを覆い膜筒体22を介して塗料層17に吹き当てて循環させる(湯水循環工程)。
【0031】
上記構成では、覆い膜筒体22が塗料層17に沿って密着状態に反転しつつ進行する際、駆動圧により覆い膜筒体22を膨出させて生じる膨圧を塗料層17に伝える。この際、塗料層17が膨出状態の覆い膜筒体22からの膨圧により均等に押圧されて調製されるようになる。この結果、塗料層17の厚みの均一化に併せて縦管8の内周面に対する塗料層17の付着性が強固になり、耐久性の向上により長寿命化が図られる。
【0032】
覆い膜筒体22を介して湯水Wsを塗料層17に吹き当てて循環させる湯水循環工程を設けているので、塗料層17が湯水Wsから熱を受けて塗料の化学変化を促進し、塗料層17の硬化処理を行いながら厚みの均一化を図ることができる。とりわけ、外気温が低い冬季などでは、湯水Wsの循環により塗料層17に熱を加えながら硬化を助長することができるので、塗料層17を均等に調製する上で好都合となる。
【0033】
枝管などの分岐官(図示せず)がある場合、塗料層17の施工時に分岐管の塗料層17を開口状態に穿孔するようにしている。塗料層17の施工後に、専用の均等化手段18を用いているので、均等化手段18の使用時に塗料層17の穿孔作業をしなくても済むことは勿論、覆い膜筒体22により分岐管の開口部における塗料層17の仕上げ状態を良好にさせることができる。
【0034】
一般の高層ビルでは、図4に示す単管式排水方式のソベントやセクチャーなどの集合継手26が用いられる。集合継手26は、横引き管27および縦本管28、29を連結し、内部の径寸法が急変する断面形状急変部26a、26b、26cを有する。
この場合、覆い膜筒体22は、薄手のため相手の形状に沿って忠実に変形して、断面形状急変部26a、26b、26cの各内周面にぴったりと密着し、塗料層17の厚みの均一化および塗料層17の強固な付着性を実現させることができる。
【実施例2】
【0035】
図5は本発明の実施例2を示す。実施例2が実施例1と異なるところは、ソケット30付きのハロゲンランプ31を紐32で後続の案内管部16に連結したことである。
このため、縦管8内に圧送される覆い膜筒体22の進行に伴ってハロゲンランプ31が移動し、ハロゲンランプ31への通電により塗料層17を照射して乾燥硬化させる(硬化処理工程)。
【0036】
これにより、塗装後の塗料層17の乾燥による硬化処理が助長されるため、塗装作業後に短時間で再使用に供することができる。なお、ハロゲンランプ31は、作業時に覆い膜筒体22を巻取リール21から繰り出すに伴って出現した案内管部16に連結するものである。なお、ハロゲンランプ31は一例であり、塗料層17への乾燥硬化を発揮する熱源となるランプであればよい。
【実施例3】
【0037】
図6は本発明の実施例3を示す。実施例3が実施例1と異なるところは、球体33を覆い膜筒体22に押し当てる押圧手段34を後続の案内管部16に連結したことである。
押圧手段34は、案内管部16に軸受35を介して回転可能に設けられたボス部36と、ボス部36と同心的に配置されて複数の球体33を数珠状に等間隔に貫通させた外輪部37と、ボス部36から放射方向に延出して外輪部37に接続された複数枚の羽根部38とからなる。
【0038】
送風機19が通電されると、羽根部38が外輪部37と共に駆動圧を受けて回転し、球体33を覆い膜筒体22に押し当てて塗料層17を均等に押圧する(均圧調製工程)。
実施例3における塗料層17には、覆い膜筒体22の膨圧に加えて、球体33からの押圧力が働くため、塗料層17の厚みの均一化に併せて縦管8に対する塗料層17の付着性を一層強固にすることができる。なお、押圧手段34は、作業時に覆い膜筒体22を巻取リール21から繰り出すに伴って出現した案内管部16に軸受35を挿入することにより連結するものである。
【実施例4】
【0039】
図7は本発明の実施例4を示す。実施例4が実施例3と異なるところは、外輪部37を外輪コイルスプリング39にし、外輪コイルスプリング39とボス部36との間をコイルスプリング型スポーク40で連結したことである。ボス部36から延びる羽根部38は、外輪コイルスプリング39の径寸法よりも短く設定している。
【0040】
この場合、羽根部38の回転に伴う遠心力により、球体33は外輪コイルスプリング39およびコイルスプリング型スポーク40の両付勢力に抗して覆い膜筒体22を押圧することになる。
すなわち、覆い膜筒体22に対する球体33の押圧力は、外輪コイルスプリング39およびコイルスプリング型スポーク40の両付勢力により制限されるので、球体33が覆い膜筒体22に対して過剰な押圧力を働かせてしまうことがない。
【0041】
(変形例)
(a)上記実施例1〜3における塗料には、エポキシ樹脂に限らず、補強材となるFRPを組み込むことにより強度的に優れたライニングクロス管14を塗料層17として機能させることができる。
(b)ライニングクロス管14を縦管8内に沿って進行させる際、送風機10による駆動圧を用いたが、負圧を用いてライニングクロス管14を吸引により奥行方向に進行させてもよい。
【0042】
(c)ライニングクロス管14の断面形状は、縦管8の断面形状に応じて円形としたが、これに限らず三角形、方形、矩形、楕円形あるいは多角形などに形成してもよい。
(d)覆い膜筒体22は、プラスチック製に限らず、布や網であってもよく、あるいは断熱性の保温材を兼ねたものでもよく、要はライニングクロス管14を縦管8に密着状態に押圧できればよい。
【0043】
(e)ライニングクロス管14は、雑排水管ばかりでなく、水道管(給水管、冷却水管)、空調ダクトや排気ダクト(工業ダクト、厨房ダクト)などに適用してもよい。
(f)縦管8の内壁に対する塗装は、ライニングクロス管14に限らず、落下傘状の塗り袋を用いるなどの既存の塗装手段により行われてもよく、要はライニングとして縦管8の内壁に塗装層を施こすことができるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
配管内壁ライニング装置では、覆い膜筒体が塗料層に沿って密着状態に反転しつつ進行する際、駆動圧が覆い膜筒体を膨出させて生じる膨圧を塗料層に伝える。このため、塗料層が均等に押圧され調製され、塗料層の厚みの均一化に併せて配管の内周面に対する塗料層の付着性が強固になって長寿命化が図られる。簡単な操作で長寿命化が図られる便宜性により、需要を喚起して関連部品の流通を介して化学機械産業に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】補修塗装の対象となる排水管のライニング施工例を示す概略図である(実施例1)。
【図2】反転機によりライニングクロス管を縦管に取り付けて塗装作業を行う状態を示す縦断面図である(実施例1)。
【図3】覆い膜筒体を均等化手段により縦管の塗料層に押圧する状態を示す縦断面図である(実施例1)。
【図4】単管式排水方式における集合継手の斜視図である(実施例1における使用例)。
【図5】ハロゲンランプを用いて覆い膜筒体を縦管の塗料層に押圧する状態を示す縦断面図である(実施例2)。
【図6】(a)は、均圧調製工程で押圧手段を用いて覆い膜筒体を縦管の塗料層に押圧する状態を示す縦断面図、(b)は(a)のA−A線に沿う縦断面図である(実施例3)。
【図7】均圧調製工程で押圧手段を用いて覆い膜筒体を縦管の塗料層に押圧する状態を示す縦断面図である(実施例4)。
【図8】従来の配管ライニング装置により塗装した縦管の内周面を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 通気管(配管)
2 汚水本管(配管)
3 雑排水本管(配管)
4 室内横引管(配管)
8 縦管(配管)
8a 縦管の下端開口部
9 配管内壁ライニング装置
14 ライニングクロス管
14a ライニングクロス管の開口先端部
17 塗料層
18 均等化手段
19 送風機(圧送手段)
22 覆い膜筒体
22a 覆い膜筒体の開口先端部
24 ポンプ
24a 吸入口
25 帰還ホース
25a 汲上げホース
31 ハロゲンランプ(ランプ)
33 球体
34 押圧手段
36 ボス部
37 外輪部
38 羽根部
39 外輪コイルスプリング
40 コイルスプリング型スポーク
Ws 湯水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の内周面に施した塗料層を押圧して均等化する均等化手段を有する配管内壁ライニング装置において、
前記均等化手段は、
開口先端部の表裏を反転させて、前記塗料層が施された配管の内周面に取付セットされる覆い膜筒体と、
前記配管内で前記開口先端部に駆動圧を供給することにより、前記覆い膜筒体が前記塗料層に沿って反転しつつ、前記覆い膜筒体の内周面を前記塗料層に密着状態に押圧させて進行する圧送手段とを有することを特徴とする配管内壁ライニング装置。
【請求項2】
前記配管内に圧送される前記覆い膜筒体の進行に伴って移動し、前記塗料層を照射して乾燥させるランプを前記覆い膜筒体に後続するように設けたことを特徴とする請求項1に記載の配管内壁ライニング装置。
【請求項3】
前記均等化手段には、前記覆い膜筒体に対して回転可能に設けられたボス部と、前記ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪部と、前記ボス部から放射方向に延出して前記外輪部に接続された羽根部とからなる押圧手段が設けられ、前記羽根部が前記駆動圧を受けて回転し、前記球体を前記覆い膜筒体に押し当てて前記塗料層を均等に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の配管内壁ライニング装置。
【請求項4】
前記均等化手段には、前記覆い膜筒体に対して回転可能に設けられたボス部と、前記ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪コイルスプリングと、前記ボス部と前記外輪コイルスプリングとの間に連結されたコイルスプリング型スポークと、前記ボス部から放射方向に延出された羽根部とからなる押圧手段が設けられ、前記羽根部が前記駆動圧を受けて回転し、前記球体を前記外輪コイルスプリングおよび前記コイルスプリング型スポークの付勢力に抗して前記覆い膜筒体に押し当てて前記塗料層を均等に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の配管内壁ライニング装置。
【請求項5】
配管の内周面に施した塗料層を押圧して均等化する均等化工程を有する配管内壁ライニング方法において、
前記均等化工程は、
覆い膜筒体の開口先端部の表裏を反転させて、前記塗料層が施された配管の内周面に前記覆い膜筒体を取付セットするセット工程と、
前記配管内で前記開口先端部に駆動圧を供給することにより、前記覆い膜筒体が前記塗料層に沿って反転しつつ、前記覆い膜筒体の内周面を前記塗料層に密着状態に押圧させて進行する圧送工程とを有することを特徴とする配管内壁ライニング方法。
【請求項6】
前記配管内に圧送される前記覆い膜筒体の進行に伴ってランプを移動させて、前記ランプにより前記塗料層を照射して乾燥させる硬化処理工程を有することを特徴とする請求項5に記載の配管内壁ライニング方法。
【請求項7】
前記均等化手段には、前記覆い膜筒体に対し回転可能に設けられたボス部と、前記ボス部と同心的に配置されて複数の球体を等間隔に貫通させた外輪部と、前記ボス部から放射方向に延出して前記外輪部に接続された羽根部とからなる押圧手段が設けられ、前記羽根部が前記駆動圧を受けて回転し、前記球体を前記覆い膜筒体に押し当てて前記塗料層を均等に押圧する均圧調製工程を有することを特徴とする請求項5に記載の配管内壁ライニング方法。
【請求項8】
ポンプからの湯水を汲上げホースにより前記覆い膜筒体を介して前記塗料層に吹き当て、吹き当て後の湯水を帰還ホースにより前記ポンプに戻して循環させる湯水循環工程を有することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の配管内壁ライニング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−6224(P2009−6224A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168539(P2007−168539)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(592036519)株式会社P・C・Gテクニカ (11)
【出願人】(501219002)TEXAS株式会社 (13)
【Fターム(参考)】