説明

配管吊バンド

【課題】 配管吊バンドにおける2分割一対のバンド片の連結を容易に視認することによって配管作業の確実性を確認し得るようにする。
【解決手段】 配管吊バンドAを構成する2分割一対のバンド片2a、2bの各先端に連結片3を配置するとともにこの連結片3を相互にX字状に噛合うように嵌め合って、その各係止孔 に対して係止突起 をそれぞれ係止してバンド片2a、2bの連結を行う。係止突起は、頂面を有する切り起し突起とし、その頂面に、赤色等の塗装着色を施してあり、これによって配管作業中乃至配管作業後に、係止孔 を介して塗装着色を視認して、バンド片2a、2bの連結と、これによる配管6の被嵌支持が確実になされたことを確認でき、配管作業の確実性を担保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井スラブに配管を吊支持するに用いる配管吊バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の配管吊バンドとして、本発明者の提案に係る下記特許文献1が知られており、これによれば、該配管吊バンドは、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に連結自由端をなすように形成した双方の連結片を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とし且つ上記連結片の連結を、連結時に外周方向外側に位置する一方又は双方の連結片の面内に透設した係止孔に対して、連結時に外周方向内側に位置する他方の連結片の一方又は双方の面内に突出した係止突起を相互に係止して行うようにした2分割バンド片を備えたものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−304052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、配管吊バンドを、上記連結片を連結し且つタンバックルとバンド片の吊片をボルトナットによって締着することによってこれらバンド片を一体化した出荷形態で現場に搬入使用するようにすることによって、現場での配管作業を、吊ボルトにタンバックルのナットを螺装し、該吊ボルトに配管吊バンドを設置して、連結片の連結を解除してバンド片を分離し、その配管仮置き用のバンド片に配管を仮置き載置した後に、配管押え用のバンド片を、ボルトを回動軸として回動して、双方の連結片を連結し、その後にボルトナットの締着を行うようにして、現場での配管作業を可及的に簡易化したものとすることができる。
【0005】
しかし乍ら、一般に配管吊バンドは、鋼板にプレス加工を施すことによって形成することにより、鋼板の金属色を呈するために、上記連結片の連結を、上記外周方向外側に位置する連結片の係止孔に対して、外周方向内側に位置する連結片の係止突起を係止して行う場合、係止孔と係止突起が比較的小さいものとされること、配管吊バンドによる配管の被嵌支持は天井スラブ近傍の上方高所で行われること、配管現場は必ずしも明るい場所とは限らないこと等の配管吊バンドの構造乃至現場環境と相俟って、配管作業中又は配管作業後に、係止孔に対して係止突起が確実に係止して、配管吊バンドの2分割バンド片が予定どおりに連結されて一体化した状態となっているか否かが必ずしも明瞭ではなく、従って、その確認は、上方高所において指で触れて感触によって確認するか、連結部の近傍で覗き込むように肉視して確認する如くに行う必要があって煩雑なものとなる傾向があり、また、煩雑を理由にこれを怠って後に判明すれば、配管の被嵌支持が不充分になり危険であるから、改めて配管作業をやり直す必要も生じる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、上記係止孔に対して係止突起を係止して2分割バンド片を連結するようにした場合に必要となる、該係止による連結の確認を可及的容易になし得るようにした配管吊バンドを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、連結時に係止孔を透設した連結片に重合することによって外周方向内側に位置する連結片に形成した係止突起に、塗料の塗装、着色素材の接着等の着色措置を施すことによって、2分割バンド片の連結時に、係止孔を介して係止突起が肉視し得るようにして、配管作業中にも、配管作業後にも可及的容易に該連結を確認し得るようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した双方の連結片を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とし且つ上記連結片の連結を、連結時に外周方向外側に位置する一方又は双方の連結片の面内に透設した係止孔に対して、連結時に外周方向内側に位置する他方の連結片の一方又は双方の面内に突出した係止突起を相互に係止して行うようにした2分割バンド片を備えた配管吊バンドであって、上記係止突起に着色措置を施すとともに該着色措置を上記係止孔を介して該周方向外側から視認自在としてなることを特徴とする配管吊バンドとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記係止突起を頂面を有する隆起又は切り起しの突起とするとともにその着色措置を塗料の塗装による塗装着色とすることによって、該着色措置を簡易になし得るとともに確実に肉視し得るものとするように、これを、上記係止突起を、プレス加工によって頂面を備えた隆起突起乃至切り起し突起とし、上記着色措置を、該隆起突起乃至切り起し突起の頂面に施した塗装着色によるものとしてなることを特徴とする請求項1に記載の配管吊バンドとしたものである。
【0009】
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、連結時に係止孔を透設した連結片に重合することによって外周方向内側に位置する連結片に形成した係止突起に、塗料の塗装、着色素材の接着等の着色措置を施すことによって、2分割バンド片の連結時に、係止孔を介して係止突起が肉視し得るようにして、配管作業中にも、配管作業後にも可及的容易に該連結を確認し得るようにし、これによって、上記係止孔に対して係止突起を係止して2分割バンド片を連結するようにした場合に必要となる、該係止による連結の確認を可及的容易になし得るようにした配管吊バンドを提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記係止突起を頂面を有する隆起又は切り起しの突起とするとともにその着色措置を塗料の塗装による塗装着色とすることによって、該着色措置を簡易になし得るとともに確実に肉視し得るものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】配管吊バンドの正面図である。
【図2】配管仮置き用のバンド片の正面図である。
【図3】配管仮置き用のバンド片の側面図である。
【図4】配管押え用のバンド片の正面図である。
【図5】配管押え用のバンド片の側面図である。
【図6】バンド片の連結状態を示す部分拡大図である。
【図7】配管吊バンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、図1乃至図7においてAは、鋼板にプレス加工を施すことによって形成した配管吊バンドであり、該配管吊バンドAは、一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片2a、2bを、その各上端に起立した吊片22に挿通したボルトナット4a、4bによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片2a、2bの吊片22に一体のタンバックル1に吊支持し、配管仮置き用のバンド片2aによって配管6を仮置き支持して配管押え用のバンド片2bを配管6外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片2a、2bに形成した双方の連結片3を相互に連結して該2分割一対のバンド片2a、2bによる配管6の被嵌支持を自在とし且つ上記連結片3の連結を、連結時に外周方向外側に位置する一方又は双方の連結片3の面内に透設した係止孔32に対して、連結時に外周方向内側に位置する他方の連結片3の一方又は双方の面内に突出した係止突起35を相互に係止して行うようにした2分割バンド片2a、2bを備えたものとしてある。
【0014】
配管吊バンドAのバンド片2a、2bは、湾曲片21と、該湾曲片21上端の吊片22と、該湾曲片21先端の連結片3を備えて、例えば、1.5mm程度の肉厚の鋼板にそれぞれプレス加工を施して形成して、例えば、内径を、半径3cm程度にして6cm程度としてある。
【0015】
本例にあって該配管吊バンドAは、上記配管仮置き用のバンド片2a及び配管押え用のバンド片2bにおける湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片2a、2bの内径より径大にして該吊片22上端の起立位置に至る同心円の径大部位24をそれぞれ配置するとともに該径大部位24を配置したときに生じることある配管6に対して配管バンドAが回動するように幾分滑動する現象を解消し配管6の被嵌支持の強度を確保する被嵌強度確保措置として、下記3つの措置、即ち、配管仮置き用のバンド片2aにおける吊片22にボルト4aのボルト頭を固定又は固定的に保持してナット4b回転によるボルト4aの連れ回りを防止すること、配管押え用のバンド片2bにおける吊片22に該吊片22の面内に補強面26を配置しナット4b回転による該吊片22の変形を防止すること、配管仮置き用及び/又は配管押え用のバンド片、本例にあっては配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bの上記径大部位24近傍に、内側に突出した配管の滑動防止突起27を配置することによる措置を施してある。
【0016】
該径大部位24は、配管仮置き用のバンド片2a及び配管押え用のバンド片2bの上記各湾曲片21の上方部分、即ち連結片3と逆側の端部側に該湾曲片21の内径を部分的に径大化するようにしてその配置を行い、その上端に吊片22を起立してある。本例の径大部位24は、配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bに、その位置及び長さ(湾曲角度)を共通に配置してあり、本例にあって該径大部位24は、湾曲片21の先端から、例えば20°程度の湾曲角度にして、これらバンド片2a、2bの上記半径3cmに対して、その半径を3.2cm程度とすることによって、該径大部位24において2mm程度の幅分を径外方向に径大化してある。
【0017】
該径大部位24を配置することによって、上記配管仮置き用のバンド片2aにあっては、その湾曲角度を例えば、吊片22下端から上記連結片3の先端まで220°、上記吊片22間の空隙及び連結片を除く190°程度として、配管6中心の外径180°を超えるものとしてあり、これによって、配管6の仮置き載置に際して開口を押し広げるように弾発的に行うことなく、該配管6の有する自重を利用して配管仮置き用のバンド片2aに乗せるか、その後にやや上から押圧することによって、可及的簡易にしてスムーズになし得るようにしてある。
【0018】
また、配管押え用のバンド片2bにあっては、その吊片22の下端位置が2mm程度タンバックル1側の上方に移動するから、吊片22近傍における回動の軌跡を外側に離隔して、上記配管仮置き用のバンド片2aに仮置き載置した配管6との間に衝接回避用のスペースを配置することができ、このため配管押え用のバンド片2bの回動による配管6の被嵌支持に際して、該配管押え用のバンド片2bのボルト4aからの外側に向けた立ち上げの起立幅を縮小しても、該バンド片2bが配管6の上部に衝接するのを防止し、上記配管仮置き用のバンド片2aによって配管6を仮置き支持した状態で、該配管押え用のバンド片2bを配管6外周方向に向けてスムーズに回動することが可能となり、このため、該配管押え用のバンド片2bの外側への回動に必要となるボルトナット4a、4bにおけるナット4bの緩め幅と回動後の締め戻し幅を極小的に短くすることができる。このとき、本例にあっては、該バンド片2bの吊片22に配置したボルト挿通孔23を上下の長孔としたことによって、該長孔がバンド片2bの外側に向けた立ち上げに更に寄与するために、上記配管作業における上記ナット4bの緩め幅と締着時の締め戻しの締着幅を更に縮小することができる。
【0019】
従って、配管仮置き用のバンド片2a、配管押え用のバンド片2bにそれぞれ径大部位24を配置したことによって、配管仮置き用のバンド片2aに対する配管6の仮置き載置とその後の配管押え用のバンド片2a、2bの回動及びこれに伴うボルトナット4a、4b締着の配管作業を容易化して、その作業性を向上することができるようにしてある。
【0020】
しかし乍ら、配管吊バンドAの配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bに径大部位24を配置すると、該径大部位24に応じた角度、例えば双方でその間隔を含めて60度と連結片3の連結に要する角度、例えば50度の合計110度分、配管6との接触角度、即ち被嵌支持の角度が減少することに起因すると見られる締着不良乃至これによる配管吊バンドAによる配管6被嵌支持の強度不足を招くことがあり、その結果、配管6の外周方向に対して該配管吊バンドAが滑動する如くに被嵌支持が不安定になる可能性が残るところ、上記3つの被嵌強度確保措置によって、滑動の可能性を解消し、配管吊バンドAによる配管6の被嵌支持を確実に行ってその被嵌強度を確保して、配管6の被嵌支持を、安定して確実に行うようにしてある。
【0021】
該被嵌強度確保措置における、上記ボルト頭の固定又は固定的な保持は、これを、上記吊片22に対向一対の固定用のリブ25を突出し該リブ25間にボルト頭の対向する側面を圧着挟持することによって行ったものとし、上記吊片の面内の補強面26は、これを、該吊片22の面内に吊片22外方に向けて部分的に配置した隆起面によるものとしてある。
【0022】
即ち、本例にあって配管仮置き用のバンド片2aにおける吊片22には、外側に向けて突出するように、垂直、水平乃至傾斜配置、本例にあっては水平配置し、更に上位を小、下位を大とした対向一対の固定用のリブ25を配置するとともに該対向一対の固定用のリブ25によってボルト4a、本例にあっては六角ボルトのボルト頭の対向する側面を圧着挟持してあり、該圧着挟持は、本例にあって、上記対向一対の固定用のリブ25を形成後に該リブ25にカシメ加工を施し又は対向一対の固定用のリブ25を、ボルト頭の対向する側面の間隔より僅かに小さい間隔に形成し、ボルト頭を該リブ25間に圧入することによって、該吊片22にボルト頭を一体化するように、該ボルト頭の対向する側面を強固且つ一体的に挟持し、該ボルト4aを固定したもの乃至は固定的に保持したものとしてある。
【0023】
これによって、ボルトナット4a、4bの締着に際してナット4bを回転しても、該吊片22に一体化したボルト4aは、これが前後乃至上下左右に揺動することなく、ボルト頭が吊片22に密着して固定することによって定位置で、ナット4bの回転によってボルトナット4a、4bの確実な締着を行うことによって、配管吊バンドAによる配管6挟持状の被嵌支持を行ってその被嵌強度を確保することができる。
【0024】
吊片22の面内の補強面26は、例えば配管押え用のバンド片2bにおける吊片22を、プレス加工によって外側、即ちナット4b側に1mm以下、例えば0.数mm程度突出するように平坦に隆起して、ナット4bの径より幾分広い面積をなすように矩形乃至方形のものとしてある。補強面26を配置することによって、ナット4bの回転による締め付けに際して、該吊片22に撓みや捩れ等の変形を招くことなく、締め付け力を常に均一に受けることによって、ボルトナット4a、4bの容易にして確実な締着を行うことができる。
【0025】
また、被嵌強度確保措置における上記配管6の滑動防止突起27は、各バンド片2a、2bの上記径大部位24近傍の奥行方向前後にそれぞれ一対配置してあり、該滑動防止突起27は、微小にして先端を可及的に鋭角とするようにバンド片2a、2bにそれぞれプレス加工を施して内側に低突出して形成したものとしてある。該滑動防止突起27は、ボルトナット4a、4bの締着によって、先端を配管6の外周面に強圧着して、配管吊バンドAと配管6の間に僅かながらも生じることあるクリアランスを吸収するドット状のスペーサーをなす如くにして、配管吊バンドAの滑動を直接に阻害するように作用するものとしてある。本例にあって該滑動防止突起27は、径大部位24から1〜2cm程度の位置に、それぞれ1mm程度の径、0.5mm程度の高さで、例えば外周にエッジを残してその滑動防止性を向上するように、各一対を突出してある。
【0026】
上記径大部位24を配置し且つ上記3つの被嵌強度確保措置を施した本例の配管吊バンドAは、配管仮置き用のバンド片2aにおけるボルト4aの揺動を防止し、配管押え用のバンド片2bの吊片22の変形を防止することによって、ボルトナット4a、4bの締着を有効且つ確実に行ってそれぞれ配管6の被嵌支持の強度を確保するとともに滑動防止突起27が、配管6に対する配管吊バンドAの滑動を直接防止するように作用する結果、上記合計110度程度の配管6の支持角度が減少するも、極めて強固に配管6を被嵌支持することができ、配管吊バンドAの配管6に対する滑動を防止することができる。
【0027】
配管吊バンドAの連結は、本例にあって配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bの双方に配置した上記連結片3の係止孔32に対して、同じく配管押え用及び配管仮置き用のバンド片2a、2bの双方に配置した他方の連結片3の係止突起35を相互に係止することによって行うようにしてあり、本例にあって各バンド片2a、2bの連結片3は、各バンド片2a、2bの自由端側に、段差受部31と、該段差受部31に載置重合する先端重合片33を配置するとともにこれらの間にそれぞれ相互に噛合うようにX字状に交差係合する各1/2幅の切欠溝を配置し、該切欠溝を相互に嵌め合うことによって、上記係止孔32に係止突起35を係止するようにして、その連結を行うようにしてある。
【0028】
本例にあって先端重合片33は、上記段差受部31に切欠溝32を配置した傾斜連結片を介してバンド片2a、2bに段差受部31とともに一体にプレス成形して形成したものとしてあり、これによって各段差受部31が配管吊バンドAの外周側に、先端重合片33が内周側に位置してバンド片2a、2bの連結と配管6の確実な被嵌支持を行うようにしてあり、このとき本例の先端重合片33は、これを、バンド片2a、2bの径より1〜2度程度のやや径大の角度に配置し且つその上記切欠溝側に位置する先端に上記1〜2度程度のバンド片との径差を吸収する先端屈曲部34を配置して、連結片3の連結状態で、該先端屈曲部34が、例えば、2mm程度となる径差による空隙を埋めて、配管6にその幅方向両端部位で接触して、これを支持することによって、配管6の連結部位に空隙を生じることなく、該配管6の被嵌支持を安定して行うようにしてある。
【0029】
係止孔32及び係止突起35は、配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bの連結時に相互に係止するように、段差受部31に係止孔32を、先端重合部33に係止突起35をそれぞれ配置してあり、係止孔32は、3乃至4mm程度の矩形乃至方形にして微小の透孔によるものとし、係止突起35は、該係止孔32より幾分小さくこれに係止自在の2乃至3mm程度の矩形乃至方形にして同じく微小の突起によるものとしてある。
【0030】
このとき該係止突起35は、これに着色措置を施すとともに該着色措置を上記係止孔を介して該周方向外側から視認自在としたものとしてあり、本例にあって、該係止突起35は、これを、プレス加工によって頂面を備えた隆起突起乃至切り起し突起、本例にあっては、先端を各バンド片2a、2bの肉厚分、即ち1.5mm程度立ち上げるように傾斜した頂面をなすように切り起し加工した切り起し突起によるものとしてあり、このとき上記着色措置は、これを、該隆起突起乃至切り起し突起の頂面に施した塗装着色によるものとしてある。
【0031】
即ち、本例にあって塗装着色による着色措置は、例えば、赤色、黄色、赤色と黄色のストライプ等、目立つ色彩を用いることによって、比較的暗いことの多い配管現場で容易に視認し得るようにして、係止孔32を介して係止突起35頂面の該塗装着色によって、その相互の係止とこれによる配管仮置き用及び配管押え用のバンド片2a、2bの連結を確認し得るようにしてある。従って、配管作業中或いは配管作業後に係止孔32を介して、例えば係止孔32にその全面に塗装着色の存在を視認して、配管吊バンドAによる配管6の被嵌支持によって配管作業の終了を認知する一方、係止孔32に塗装着色を視認し得ないときや塗装着色が係止孔32の一部のみしか視認し得ないときは、再度、配管吊バンドAにおける配管6の被嵌支持状態をチェックして、必要に応じて配管作業をやり直す等、その対処を行うようにすればよい。
【0032】
本例にあって着色措置は、これを、上記塗装着色、即ち、塗料の塗布によるものとしてあるところ、各バンド片2a、2bは鋼板であるためその連結を繰り返した場合には係止孔32のエッジで塗料が剥離することも想定されるが、配管作業において該バンド片2a、2bの連結作業を繰り返し行うことは一般にないから、該剥離可能性のある塗装着色によって着色措置とすることも、現実には特段の問題を生じるものではない。
【0033】
以上のように形成した配管吊バンドAを用いた配管作業は、タンバックル1の回転ナット11を天井スラブに設置した吊ボルト5に螺装し、ナット4bを、例えば2〜3回程度回転するように僅かに緩めて、配管押え用のバンド片2bの連結片3を配管仮置き用のバンド片2aから回動して跳ね上げ状に外して、配管仮置き用のバンド片2bの開放部位から配管6を該バンド片2aに仮置き載置し、その後、上記跳ね上げ状に外した配管押え用のバンド片2bを、ボルト4aの軸を回動中心として、配管6の外周方向に起した状態で回動、即ち、拡開回動して、該配管押え用のバンド片2bで配管6を被うようにして、その連結片3を、配管仮置き用のバンド片2aの連結片3に連結して、その後にナット4bを締着するようにすればよい。
【0034】
このとき上記径大部位25を配置したことによる配管作業の容易性を確保し得るとともに被嵌強度確保措置を施したことによる配管吊バンドAの滑動防止をなし得る一方、配管作業における配管仮置き用のバンド片2aと配管押え用のバンド片2bの連結を視認による容易な確認をなし得るために、配管作業の作業効率を格段に向上したものとし得るとともに配管作業の確実性を担保し得るものとすることができる。
【0035】
図中12は該回転ナット11の落下防止用のナット抜止め、24は吊片22のボルト4aの回転止め、26はバンド片2a、2bの補強リブをそれぞれ示す。
【0036】
図示した例は以上のとおりとしたが、係止突起を、頂面を備えた隆起突起によって形成すること、着色措置を、係止突起に接着した、例えば着色テープの小片によるものとすること、同じく着色措置を、例えば係止突起に被嵌するように配置した着色袋状のものとすること、タンバックルを、配管仮置き用のバンド片の吊片に一体に形成したもの、即ち、タンバックルの支持片と該吊片を一体化して双方を一体に形成したものとすること、上記配管吊バンドの配管仮置き用のバンド片又は配管押え用のバンド片の一方に、その湾曲方向吊片近傍位置に該バンド片の内径より径大にして該吊片上端の起立位置に至る同心円の径大部位を配置するようにして、配管の仮置き載置を容易化し又はナットの緩め幅と締め戻しの締着幅を小さくすること、ボルトナット締着による被嵌強度確保措置について、配管仮置き用のバンド片における吊片にボルトのボルト頭を固定又は固定的に保持したものとするとき、ボルト頭を該吊片に溶着し、接着し又は金具固定して、同様にナット回転によるボルトの連れ回りを防止すること、配管押え用のバンド片における吊片に該吊片の面内に配置する補強面を、該吊片の裏面、即ち、タンバックル側に形成すること、同じく該補強面を多数微小の横リブ又は縦リブによって形成すること、径大部位を配管仮置き用又は配管押え用のバンド片の一方に配置したとき、上記滑動防止突起を該一方のバンド片に配置すること、ナットを図示した六角ナットに代えて、蝶ナットとすること等を含めて、本発明の実施に当って、配管吊バンド、配管仮置き用のバンド片、配管押え用のバンド片、径大部位、タンバックル、吊片、ボルトナット、被嵌強度確保措置、着色措置等の各具体的形状、構造、材質、形成手段、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0037】
A 配管吊バンド
1 タンバックル
11 回転ナット
12 ナット抜止め
2a 配管仮置き用のバンド片
2b 配管押え用のバンド片
21 湾曲片
22 吊片
23 ボルト孔
24 径大部位
25 リブ
26 補強面
27 滑動防止突起
28 補強リブ
3 連結片
31 段差重合片
32 係止孔
33 先端重合片
34 先端突起
35 係止突起
4a ボルト
4b ナット
5 吊ボルト
6 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方を1/2円以上の湾曲角度の配管仮置き用とし、他方を残余の湾曲角度の配管仮置き用とした2分割一対のバンド片を、その各上端に起立した吊片に挿通したボルトナットによって締着して別体又は配管仮置き用のバンド片の吊片に一体のタンバックルに吊支持し、配管仮置き用のバンド片によって配管を仮置き支持して配管押え用のバンド片を配管外周方向に回動することにより、その円周方向中間位置でこれらバンド片に形成した双方の連結片を相互に連結して該2分割一対のバンド片による配管の被嵌支持を自在とし且つ上記連結片の連結を、連結時に外周方向外側に位置する一方又は双方の連結片の面内に透設した係止孔に対して、連結時に外周方向内側に位置する他方の連結片の一方又は双方の面内に突出した係止突起を相互に係止して行うようにした2分割バンド片を備えた配管吊バンドであって、上記係止突起に着色措置を施すとともに該着色措置を上記係止孔を介して該周方向外側から視認自在としてなることを特徴とする配管吊バンド。
【請求項2】
上記係止突起を、プレス加工によって頂面を備えた隆起突起乃至切り起し突起とし、上記着色措置を、該隆起突起乃至切り起し突起の頂面に施した塗装着色によるものとしてなることを特徴とする請求項1に記載の配管吊バンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−214649(P2011−214649A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82661(P2010−82661)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(392018078)日栄インテック株式会社 (28)
【Fターム(参考)】