配管固定具、配管固定方法、配管固定具の製造方法
【課題】 簡易な構造であり、孔を有する支持材であればいずれの支持材にも取り受けが可能であり、取り付け作業性にも優れる配管固定具およびこれを用いた配管固定方法を提供する。
【解決手段】 配管固定部材7a、7bは、破断誘起部19によって互いに対向するように連結される。配管固定部材7aは、配管保持部3aと、配管保持部3aの下部に形成される係止部5aとから構成される。配管保持部3aは、配管を保持する部位である。配管保持部3aの上部には係合部9aが形成される。係合部9aには、複数の歯が形成される。一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの係合部9a、9bを対向させて互いの歯同士を噛み合わせることで、配管保持部3a、3bを互いに係合させることができる。係止部5aは、係止爪11a、押さえ部13aを有する。係止部5aの内面側(対向する配管固定部材7bの係止部5bとの対向面)の一部には、テーパ部15aが形成される。
【解決手段】 配管固定部材7a、7bは、破断誘起部19によって互いに対向するように連結される。配管固定部材7aは、配管保持部3aと、配管保持部3aの下部に形成される係止部5aとから構成される。配管保持部3aは、配管を保持する部位である。配管保持部3aの上部には係合部9aが形成される。係合部9aには、複数の歯が形成される。一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの係合部9a、9bを対向させて互いの歯同士を噛み合わせることで、配管保持部3a、3bを互いに係合させることができる。係止部5aは、係止爪11a、押さえ部13aを有する。係止部5aの内面側(対向する配管固定部材7bの係止部5bとの対向面)の一部には、テーパ部15aが形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル等の配管を保持して固定するための配管固定具、配管固定方法および配管固定具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁面等に配管を敷設する際には、所定間隔で配管が固定される。配管の固定には、配管固定具が用いられる。配管固定具は、配管を保持する配管保持部を具備し、配管固定部が壁面に設けられたハンガーレール等に固定される。
【0003】
このような、配管を固定する配管固定具としては、例えば、ハンガーレールに固定される配管材固定具であって、回動中心を有する基部と、ハンガーレールの開口側端部に当接する当接部と、基部の一方側に設けられ、ハンガーレールの一対の折曲片に係合する係合部と、他方側に延設され、配管材を両側から把持する把持部とを備え、係合部は、ハンガーレールの幅方向に弾性変形可能な弾性片と、当接部でハンガーレールの折曲片を挟持する係合爪とを備え、係合爪は、ハンガーレールの開口から挿入されてその折曲片に係合した状態で、基部の一方側が回動中心を軸に拡開することにより、ハンガーレールの長手方向に回動して折曲片に圧接するよう形成された配管材固定具がある(特許文献1)。
【0004】
また、配管材を固定するための配管材固定具であって、互いに係合する一対の把持片を有し、該一対の把持片で配管材を把持する把持部を備え、把持部は、一対の把持片の相対向する表面に、それぞれ互いに係止する係止歯列が設けられ、また、係合した一対の把持片の間に、工具の先端部が把持片の係合方向と直交する方向から挿入される挿入溝が設けられ、工具の先端部を挿入溝に挿入し回動しつつ該挿入溝の両側面を押圧することにより、一対の把持片は、互いに離間して前記一対の係止歯列の係止が解除されつつ拡開するよう形成された配管材固定具がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298153号公報
【特許文献2】特開2008−298154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2は、いずれもハンガーレールに固定するものであり、固定する方向に制限がある。また、弾性片の変形によって、固定具をハンガーレールに押し込む必要があるため、必ずしも取り付け性が良いとは言えない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造であり、孔を有する支持材であればいずれの支持材にも取り付けが可能であり、取り付け作業性にも優れる配管固定具およびこれを用いた配管固定方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するために第1の発明は、支持材に配管を固定する配管固定具であって、配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材が互いに対向して設けられ、前記配管保持部の上部には、対向する前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、一方の前記配管固定部材と、他方の前記配管固定部材との対向面が破断誘起部で連結されており、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士が分離し、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具である。
【0009】
前記破断誘起部は、一方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部と、他方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とを連結し、一対の前記配管固定部材同士が上下方向にずれた位置で連結されてもよい。この場合、前記テーパ部の下縁部が連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さよりも、前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置で連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さが長いことが望ましい。
【0010】
前記係止爪の上部には押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記係止爪とで前記支持材を挟み込むことが可能であってもよい。前記破断誘起部は、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記テーパ部近傍または前記押さえ部近傍に設けられてもよい。一対の前記配管固定部材を前記支持材に係止した状態において、それぞれの前記押さえ部の断面を合わせると略円形状となってもよい。
【0011】
前記破断誘起部は、前記配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されてもよい。前記係止部の下部が略錘状(先端に行くほど断面積が徐々に小さくなる先細り形状)に形成されてもよい。
【0012】
第1の発明によれば、一対の配管固定部材が対向した状態で、破断誘起部で連結しており、配管を保持して互いの係合部を係合する方向に移動させることで、破断誘起部を破断することができる。このため、それぞれの配管固定部材の係止爪が広がる方向に、接触部を起点に回動させることができる。したがって、配管固定具の取り付け作業性に優れる。
【0013】
特に、破断誘起部による連結部が、一方の配管固定部材のテーパ部の下縁部と、他方の配管固定部材のテーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とすることで、連結状態における係止爪間の距離を近くすることができ、支持材の孔に係止爪を挿入することが容易となる。
【0014】
特に、テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪の突出長さよりも、テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪の突出長さを長くすることで、係止後の係止爪の係止長さを長くとることができる。このため、確実に配管固定具を支持材に固定することができる。また、係止爪を支持材に挿入する際には、長い方の係止爪は斜めに孔に挿入される。このため、係止爪の挿入性には影響が小さい。
【0015】
また、押さえ部と係止爪とで支持材を挟み込むことが可能であり、一対の配管固定部材を支持材に係止した状態において、それぞれの押さえ部の断面を合わせた際に、その断面を略円形状とすれば、例えば縁部に障害物を有する支持材に対しても、容易に取り付け方向を回転させることが可能である。
【0016】
また、破断誘起部が配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されれば、破断に必要な力が小さくてすみ、また、破断後のバリ等も小さくすることができる。
【0017】
また、係止部の下部を略錘状に形成すれば、係止爪の挿入時にガイドとして機能させることもできる。
【0018】
第2の発明は、支持材に配管を固定する配管固定具であって、配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材からなり、一対の配管固定部材を対向させた状態で、前記配管保持部の上部には、前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、一対の前記配管固定部材の前記係止部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具である。
【0019】
一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部の大きさが略同一であり、前記係止部の下部が略錘状に形成されてもよい。
【0020】
第2の発明によれば、取り付け作業性に優れる配管固定具を得ることができる。
【0021】
第3の発明は、第1の発明にかかる配管固定具を用い、前記支持材に形成された孔に、前記破断誘起部で連結されたそれぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、前記配管保持部に配管を配置した状態で、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士を分離するとともに、前記配管固定部材同士を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法である。
【0022】
また、第4の発明は、第2の発明にかかる配管固定具を用い、一対の前記配管固定部材を対向させて、前記支持材に形成された孔に、それぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、前記配管保持部に配管を配置した状態で、互いの前記係合部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記配管固定部材を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法である。
【0023】
第3、第4の発明によれば、取り付け作業が容易な配管の固定方法を得ることができる。
【0024】
また、第5の発明は、第1の発明にかかる配管固定具の製造方法であって、前記配管固定具は、射出成型により形成され、前記射出成型におけるゲートが、少なくとも、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部に形成され、それぞれの前記係止部から樹脂が射出されることを特徴とする配管固定具の製造方法である。
【0025】
第5の発明によれば、樹脂の合流部で分割しやすく、取り付け作業が容易な配管固定具を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構造であり、孔を有する支持材であればいずれの支持材にも取り受けが可能であり、取り付け作業性にも優れる配管固定具およびこれを用いた配管固定方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】配管固定具1を示す斜視図。
【図2】配管固定具1を示す正面図。
【図3】係止部5a、5bの拡大図であり、(a)図2のA部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図4】支持材23を示す斜視図。
【図5】支持材23に配管固定具1を取り付ける工程を示す図。
【図6】配管固定具1に配管31を取り付ける工程を示す図。
【図7】係合部9a、9b同士を係合した状態を示す図。
【図8】支持材23に対する配管固定具の向きを変更する状態を示す図で、図7のG−G線断面図。
【図9】配管固定具1の製造方法を示す図。
【図10】支持材23に配管固定具1aを取り付ける工程を示す図。
【図11】配管固定具40を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、配管固定具1を示す斜視図であり、図2は、配管固定具1を示す正面図である。配管固定具1は、例えば樹脂製の部材である。配管固定具1は、一対の配管固定部材7a、7bが連結されて構成される。配管固定部材7a、7bは、破断誘起部19によって互いに対向するように連結される。なお、配管固定部材7a、7bは大部分において対称に形成されるため、以下、主に、配管固定部材7aの構成について説明し、重複する説明は省略する。
【0029】
配管固定部材7aは、配管保持部3aと、配管保持部3aの下部に形成される係止部5aとから構成される。配管保持部3aは、配管を保持する部位である。配管保持部3aは、保持対象となる配管形状に応じた形状の半割形状に形成される。すなわち、一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの配管保持部3a、3bを対向させることで、配管を外周から保持可能な形状が構成される。
【0030】
配管保持部3aの内面の少なくとも一部には、必要に応じて、周方向に沿って突起17が形成される。突起17は、保持する配管が波付管である場合に、突起17が波付管の外面の凹部に嵌り込むことで、配管が軸方向にずれることを防止するものである。なお、突起17の形状等は、保持対象となる配管の形状に応じて、適宜設計される。
【0031】
配管保持部3aの上部には係合部9aが形成される。係合部9aには、複数の歯列が形成される。一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの係合部9a、9bを対向させて互いの歯列同士を噛み合わせることで、配管保持部3a、3bを互いに係合させることができる。
【0032】
係止部5aは、係止爪11a、押さえ部13aを有する。係止爪11aは、一対の配管固定部材7a、7bの対向面とは反対方向(外方)に向けて突出する突起である。係止爪11aは、後述する支持材へ配管固定具1を係止するための部位となる。
【0033】
係止爪11aの上部(配管保持部3a側)には、溝形状を挟んで拡径する押さえ部13aが形成される。押さえ部13aは、後述する支持材の設置面に接触する部位となる。すなわち、後述する支持材は、係止爪11aと押さえ部13aとの間に挟まれるようにして係止される。
【0034】
係止部5aの内面側(対向する配管固定部材7bの係止部5bとの対向面)の一部には、テーパ部15aが形成される。係止部5a、5bそれぞれのテーパ部15a、15bは、配管固定部材7a、7bを対向させた状態で、係止部5a、5bの一部を接触させると、テーパ部15a、15bによって、係止部5a、5b同士の距離が広がるように形成される。すなわち、係止部5a、5bは、全体が完全に面接触することがなく、上方向または下方向(配管保持部3a、3b方向またはこれと逆側)に行くにつれて、係止部5a、5bが離れる方向に形成される。
【0035】
なお、本実施例では、係止部5a、5bの下方に、正面視直線状のテーパ部15a、15bを形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、テーパ部15a、15bを正面視曲線状に形成してもよい。また、テーパ部15a、15bを曲線状に形成する場合には、係止部5a、5bの内面全面に形成してもよい。また、複数のテーパ形状を組み合わせてもよい。
【0036】
図3(a)は、図2のA部拡大図である。前述の通り、配管固定部材7a、7bは破断誘起部19で連結される。破断誘起部19は、それぞれの係止部5a、5bのそれぞれのテーパ部15a、15b近傍に形成される。
【0037】
なお、破断誘起部19は、一方の係止部5bの内面側であって、下縁部から所定の距離上方にずれた位置と、他方の係止部5aの下縁部近傍との間に形成されることが望ましい。すなわち、係止部5bの高さ方向の略中央と、係止部5aの下端近傍が連結されることが望ましい。
【0038】
このようにすることで、係止爪11aの先端の向き(図では略左側)に対して、係止爪11bの先端の向きができるだけ垂直(図中下側)に向くように形成することができる。すなわち、係止爪11a、11bが互いに180°反対方向(例えば図の左右方向)に向くことは望ましくなく、少なくとも一方の係止爪の向きが他方の係止爪の向きに対して、直線上ではなく角度をもって形成されることが望ましい。なお、連結状態でより下部側に位置する係止爪11b(テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪)の外方への突出長さは、係止爪11a(テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪)の突出長さよりも長く形成される。
【0039】
図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。破断誘起部19は、係止部5a、5bの間であって、幅方向(図中上下方向)の一部にのみ形成される。なお、破断誘起部19は、できるだけ小さいことが望ましい。すなわち、後述するように、破断誘起部19を破断させた際、係止部5a、5b間に残る凸部ができるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
【0040】
次に、配管固定具1の使用方法について説明する。図4は、配管固定具1が設置される支持材23を示す斜視図である。支持材23は、例えば略コの字状の金具であり、アングルやH鋼梁等の固定部の一部に開口部側が挿入されて、一方の面から図示を省略したボルト等で固定される。支持材23の他の面には孔25が形成される。
【0041】
なお、支持材23の幅方向(図中J方向)の両端縁部には、補強等の目的で外方に突出する突縁部29が形成される。突縁部29で囲まれる範囲は平坦部27となり、配管固定具が係止される部位となる。すなわち、平坦部27の両側には、外方に盛り上がるように突縁部29が形成され、両端の突縁部29の略中間に孔25が形成される。
【0042】
なお、本発明の配管固定具1は、図示したような支持材23以外にも当然取り付けることが可能である。後述するように、配管固定具1の係止部が挿入可能な孔を有すれば、他の形状であってもよい。また、アングルやH鋼梁等の構造材の一部を支持材として流用してもよい。また、孔25は必ずしも円形である必要はない。なお、以下の説明では、支持材23に配管固定具1を取り付ける方法について説明する。
【0043】
図5は、配管固定具1を支持材23に取り付ける工程を示す図である。まず、図5(a)に示すように、配管固定部材7a、7bが連結された状態で、一方の係止爪11bを孔25に挿入する(図中矢印C方向)。すなわち、係止爪11bの先端が支持材23の内部に位置し、押さえ部13bが支持材23の外面側に位置するように係止爪11bが孔25に挿入される。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、他方の係止爪11aを孔25内に挿入する(図中矢印D方向)。この際、前述の通り、係止爪11aの先端方向は、係止爪11bの先端方向に対して、やや下方に向くように連結される。したがって、係止爪11bの先端が孔25の縁部(内面)にひっかけるように、配管固定具全体を回転させれば(図中時計回り)、係止爪11bが平坦部27の面と略平行になる向きに回動するとともに、係止爪11aの先端が孔25の方向に向いた状態で、孔25に挿入される。
【0045】
すなわち、係止爪11aが斜めに向いた状態で孔25に挿入されるため、係止爪11aの先端が支持材23の上面に引っかかることがない。すなわち、係止部5a、5bが連結された状態において、孔25に挿入される係止部全体の係止爪間の全幅を狭くすることができる。このため、係止爪の挿入性に優れる。
【0046】
次に、図6(a)に示すように、配管固定部材7a、7bのそれぞれの配管保持部3a、3bの間に固定対象となる配管31を設置する。この状態で、それぞれの配管固定部材7a、7bの係合部9a、9bを互いに近づける方向に移動させる(図中矢印E方向)。係合部9a、9bを近づけると、配管保持部3a、3bは、連結部(破断誘起部19)の位置を起点として互いに回動する。これに伴い、係止爪11a、11bが互いに離れる方向(外方に開く方向)に、連結部(破断誘起部19)の位置を起点として回動する(図中矢印F方向)。
【0047】
さらに、図6(b)に示すように、配管保持部3a、3bを回動させて係合部9a、9b同士を近づけると、破断誘起部19の上方で係止部の内面同士が接触する。このため、当該接触部が回動起点部となり、破断誘起部19には両側方に引張力が付与される。このため、所定以上係合部9a、9bを近づけると、破断誘起部19が破断し、配管固定部材7a、7bが分離する。なお、配管固定部材7a、7bが分離した後も、係止部の内面同士の一部が接触することで、当該接触部が回動起点部となり、係合部9a、9bが閉じる方向に回動させると、係止爪11a、11bが開く方向に回動する。すなわち、配管固定部材7a、7bの接触する部位(回転起点部となる部位)は、一定ではなく、互いの係合部9a、9bの距離に応じて移動する。
【0048】
図7は、係合部9a、9bが係合した状態を示す図である。係合部9a、9bを係合させると、配管31は配管固定部材7a、7bの配管保持部同士で挟まれて固定される。この際、係止爪11a、11bは外方に向かって回動して、係止爪11a、11bが支持材23の孔25縁部に係止される。すなわち、係止爪11a、11bの上面と、押さえ部13a、13bの下面とで支持材23の平坦部27を挟み込み、配管固定具1が支持材23に係止される。
【0049】
図8(a)は、図7のG−G線断面図である。押さえ部13a、13bは、互いに対向した状態で平坦部27上に配置される。この際、押さえ部13a、13bの断面形状を合わせると、略円形となる。すなわち、押さえ部13a、13bを互いに合わせた状態の断面形状が矩形状ではなく、矩形による角部が形成されない。
【0050】
図8(b)は、図8(a)の状態から、支持材23に対して配管固定具の固定方向を90°回転させた状態(図8(a)のH方向)を示す図である。本発明では、配管固定具の係止爪11a、11bを孔25に挿入した状態でも、支持材23に対して配管固定具を回転させることができる。すなわち、支持材23の上面側に接触する押さえ部13a、13bには、断面において矩形状による角部が形成されないため、配管固定具を回転させても、押さえ部13a、13bの外縁部が支持材23の突縁部29と干渉することがない。
【0051】
なお、押さえ部13a、13bの断面形状を合わせた略円形とは、完全な円形である必要はなく、前述したように、矩形断面における角部を面取りしたように角部が切除された形状であればよい。すなわち、配管固定具1を支持材23に対して回転させた際に、断面において回転中心から押さえ部13a、13bの外縁部までの距離が全周にわたって略なだらかに形成されればよい。
【0052】
以上、本発明によれば、配管固定部材7a、7bが連結されており、配管を保持するために係合部9a、9b同士を近づけることで、破断誘起部19を破断し、配管固定部材7a、7bを分離させることができる。また、分離した配管固定部材7a、7bは、係合部9a、9bの係合に伴って、係止部11a、11bを外方に開き、配管の保持と同時に配管固定具1の支持材23への係止を行うことができる。
【0053】
また、破断誘起部19は、配管固定部材7a、7bの同一の位置に形成されるのではなく、互いにずれた位置に形成される。このため、連結された状態において、係止爪11a、11bそれぞれの向きが直線上に並ばずに、所定の角度を形成する。したがって、係止爪11a、11bを孔25に挿入する際に、片方ずつ順に挿入することで、容易に係止爪11a、11bを孔25に挿入することができる。
【0054】
また、破断誘起部19は、係止部5a、5b間の幅方向の一部にのみ形成される。このため、破断誘起部19の連結断面積が小さく、容易に破断誘起部19を破断することができる。また、破断後に係止部の内面に残る小突起を、小さくすることができる。
【0055】
また、押さえ部13a、13bによって、配管保持部3a、3bが支持材23の上面と接触することがない。また、押さえ部13a、13bが合わさった状態の断面が略円形状なることで、配管固定具1を支持材23上で回転させることもできる。このため、配管固定具1を任意の角度で支持材23に取り付けることもできる。したがって、配管の設置自由度が高い。
【0056】
また、連結状態でより下部側に位置する係止爪11b(テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪)の外方への突出長さは、係止爪11a(テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪)の突出長さよりも長く形成されることで、係止後の係止爪11bの係止長さを長くとることができる。このため、確実に配管固定具1を支持材23に固定することができる。また、係止爪11bを孔25に挿入する際には、長い方の係止爪11bは斜めに孔25に挿入される。このため、係止爪11bの挿入性には影響が小さい。
【0057】
次に、配管固定具1の製造方法について説明する。図9は、配管固定具1を射出成型により形成する状態を示す概略図である。なお、金型等は図示を省略する。配管固定具1は、例えば射出成型で形成される。この際、樹脂を充填するゲート12a、12bは、それぞれの係止部5a、5bの両方に形成される。特に望ましくは、図示したように係止部(係止爪)の下部である。
【0058】
係止部5a(係止爪11a)にゲート12aから射出された樹脂は、端部から配管固定部の方向に流れる(図中矢印J方向)。同様に、係止部5b(係止爪11b)にゲート12bから射出された樹脂は、端部から配管固定部の方向に流れる(図中矢印K方向)。
【0059】
以上のようにすることで、破断誘起部19は、それぞれのゲート12a、12bから射出される樹脂の境界となる。このような樹脂の合流部では、他の部位と比較して、成形品の強度が低く割れが生じやすくなる。このため、前述したように、配管固定具1を固定する際、破断誘起部19をより容易に破断させることができる。したがって、作業性に優れる配管固定具1を得ることができる。
【0060】
次に、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態にかかる配管固定具1aを示す図である。なお、以下の実施の形態において、配管固定具1と同様の機能を奏する構成については、図1、図2等と同様の符号を付し、重複した説明を省略する。配管固定具1aは、配管固定具1と略同様の構成であるが、破断誘起部1を有さない点で異なる。すなわち、配管固定具1a、1bは、あらかじめ配管固定部材7a、7bに分離されている。なお、配管固定具1を使用後(配管固定部材7a、7bを分離後)、再利用する場合にも同様の構成となる。
【0061】
配管固定具1aは、以下のように使用される。まず、図10(a)に示すように、一方の配管固定部材7bの係止爪11bを支持材23の孔25に挿入する。さらに、配管固定部材7aの係止爪11aを孔25に挿入して(図中矢印I方向)、配管固定部材7bに対向するように配置する。この際、配管31を配管固定部材7a、7bの間に配置する。
【0062】
次いで、図10(b)に示すように、配管固定部材7a、7bそれぞれの係止爪11a、11bが孔25に挿入された状態で、図6(b)に示したのと同様にそれぞれの係合部9a、9bを係合する。以上により、配管31が保持されるとともに、配管固定具1aが支持材23に固定される。
【0063】
配管固定具1aによれば、配管固定具1と略同様の効果を得ることができる。また、配管固定部材7a、7bが分離しているため、別々に孔25に挿入することができる。このため、作業の自由度が高い。
【0064】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、図11に示す配管固定具40を用いてもよい。配管固定具40は、配管固定具1a(1)と略同様の構成であるが、係止爪の構成が異なる。すなわち、配管固定具40の係止爪41a、41bの下部が略錘状に形成される。
【0066】
係止爪41a、41bは、略同一の大きさで形成される。配管固定具40では、係止爪41a、41bの下面が略錘状であるため、係止爪を孔に挿入する際に、ガイドとして機能する。このため、係止爪41a、41bの孔25への挿入性に優れる。
【0067】
また、前述の例では、押さえ部13a、13bを合わせた際の断面形状を略円形状としたが、本発明はこれに限られない。例えば、配管固定具を支持材に取り付けた際に、突縁部と接触するように直線部を有する略矩形状としてもよい。この場合には、配管固定具を支持材に取り付けた状態で、回転させることはできないが、配管固定具が使用中に回転することを制限することもできる。また、この場合でも、90°方向に異なる向きに配管固定具を取り付けることは可能である。
【0068】
なお、上述したそれぞれの実施形態は、互いに組み合わせることが可能であることが言うまでもない。例えば、破断誘起部を有する配管固定具の係止部の下部を錘状に形成してもよく、この場合には、一方の係止爪の長さを長くしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、1a、40………配管固定具
3a、3b………配管保持部
5a、5b………係止部
7a、7a………配管固定部材
9a、9b………係合部
11a、11b、41a、41b………係止爪
12a、12b………ゲート
13a、13b………押さえ部
15a、15b………テーパ部
17………突起
19………破断誘起部
23………支持材
25………孔
27………平坦部
29………突縁部
31………配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル等の配管を保持して固定するための配管固定具、配管固定方法および配管固定具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の壁面等に配管を敷設する際には、所定間隔で配管が固定される。配管の固定には、配管固定具が用いられる。配管固定具は、配管を保持する配管保持部を具備し、配管固定部が壁面に設けられたハンガーレール等に固定される。
【0003】
このような、配管を固定する配管固定具としては、例えば、ハンガーレールに固定される配管材固定具であって、回動中心を有する基部と、ハンガーレールの開口側端部に当接する当接部と、基部の一方側に設けられ、ハンガーレールの一対の折曲片に係合する係合部と、他方側に延設され、配管材を両側から把持する把持部とを備え、係合部は、ハンガーレールの幅方向に弾性変形可能な弾性片と、当接部でハンガーレールの折曲片を挟持する係合爪とを備え、係合爪は、ハンガーレールの開口から挿入されてその折曲片に係合した状態で、基部の一方側が回動中心を軸に拡開することにより、ハンガーレールの長手方向に回動して折曲片に圧接するよう形成された配管材固定具がある(特許文献1)。
【0004】
また、配管材を固定するための配管材固定具であって、互いに係合する一対の把持片を有し、該一対の把持片で配管材を把持する把持部を備え、把持部は、一対の把持片の相対向する表面に、それぞれ互いに係止する係止歯列が設けられ、また、係合した一対の把持片の間に、工具の先端部が把持片の係合方向と直交する方向から挿入される挿入溝が設けられ、工具の先端部を挿入溝に挿入し回動しつつ該挿入溝の両側面を押圧することにより、一対の把持片は、互いに離間して前記一対の係止歯列の係止が解除されつつ拡開するよう形成された配管材固定具がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298153号公報
【特許文献2】特開2008−298154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2は、いずれもハンガーレールに固定するものであり、固定する方向に制限がある。また、弾性片の変形によって、固定具をハンガーレールに押し込む必要があるため、必ずしも取り付け性が良いとは言えない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、簡易な構造であり、孔を有する支持材であればいずれの支持材にも取り付けが可能であり、取り付け作業性にも優れる配管固定具およびこれを用いた配管固定方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達するために第1の発明は、支持材に配管を固定する配管固定具であって、配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材が互いに対向して設けられ、前記配管保持部の上部には、対向する前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、一方の前記配管固定部材と、他方の前記配管固定部材との対向面が破断誘起部で連結されており、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士が分離し、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具である。
【0009】
前記破断誘起部は、一方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部と、他方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とを連結し、一対の前記配管固定部材同士が上下方向にずれた位置で連結されてもよい。この場合、前記テーパ部の下縁部が連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さよりも、前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置で連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さが長いことが望ましい。
【0010】
前記係止爪の上部には押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記係止爪とで前記支持材を挟み込むことが可能であってもよい。前記破断誘起部は、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記テーパ部近傍または前記押さえ部近傍に設けられてもよい。一対の前記配管固定部材を前記支持材に係止した状態において、それぞれの前記押さえ部の断面を合わせると略円形状となってもよい。
【0011】
前記破断誘起部は、前記配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されてもよい。前記係止部の下部が略錘状(先端に行くほど断面積が徐々に小さくなる先細り形状)に形成されてもよい。
【0012】
第1の発明によれば、一対の配管固定部材が対向した状態で、破断誘起部で連結しており、配管を保持して互いの係合部を係合する方向に移動させることで、破断誘起部を破断することができる。このため、それぞれの配管固定部材の係止爪が広がる方向に、接触部を起点に回動させることができる。したがって、配管固定具の取り付け作業性に優れる。
【0013】
特に、破断誘起部による連結部が、一方の配管固定部材のテーパ部の下縁部と、他方の配管固定部材のテーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とすることで、連結状態における係止爪間の距離を近くすることができ、支持材の孔に係止爪を挿入することが容易となる。
【0014】
特に、テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪の突出長さよりも、テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪の突出長さを長くすることで、係止後の係止爪の係止長さを長くとることができる。このため、確実に配管固定具を支持材に固定することができる。また、係止爪を支持材に挿入する際には、長い方の係止爪は斜めに孔に挿入される。このため、係止爪の挿入性には影響が小さい。
【0015】
また、押さえ部と係止爪とで支持材を挟み込むことが可能であり、一対の配管固定部材を支持材に係止した状態において、それぞれの押さえ部の断面を合わせた際に、その断面を略円形状とすれば、例えば縁部に障害物を有する支持材に対しても、容易に取り付け方向を回転させることが可能である。
【0016】
また、破断誘起部が配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されれば、破断に必要な力が小さくてすみ、また、破断後のバリ等も小さくすることができる。
【0017】
また、係止部の下部を略錘状に形成すれば、係止爪の挿入時にガイドとして機能させることもできる。
【0018】
第2の発明は、支持材に配管を固定する配管固定具であって、配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材からなり、一対の配管固定部材を対向させた状態で、前記配管保持部の上部には、前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、一対の前記配管固定部材の前記係止部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具である。
【0019】
一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部の大きさが略同一であり、前記係止部の下部が略錘状に形成されてもよい。
【0020】
第2の発明によれば、取り付け作業性に優れる配管固定具を得ることができる。
【0021】
第3の発明は、第1の発明にかかる配管固定具を用い、前記支持材に形成された孔に、前記破断誘起部で連結されたそれぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、前記配管保持部に配管を配置した状態で、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士を分離するとともに、前記配管固定部材同士を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法である。
【0022】
また、第4の発明は、第2の発明にかかる配管固定具を用い、一対の前記配管固定部材を対向させて、前記支持材に形成された孔に、それぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、前記配管保持部に配管を配置した状態で、互いの前記係合部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記配管固定部材を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法である。
【0023】
第3、第4の発明によれば、取り付け作業が容易な配管の固定方法を得ることができる。
【0024】
また、第5の発明は、第1の発明にかかる配管固定具の製造方法であって、前記配管固定具は、射出成型により形成され、前記射出成型におけるゲートが、少なくとも、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部に形成され、それぞれの前記係止部から樹脂が射出されることを特徴とする配管固定具の製造方法である。
【0025】
第5の発明によれば、樹脂の合流部で分割しやすく、取り付け作業が容易な配管固定具を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、簡易な構造であり、孔を有する支持材であればいずれの支持材にも取り受けが可能であり、取り付け作業性にも優れる配管固定具およびこれを用いた配管固定方法等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】配管固定具1を示す斜視図。
【図2】配管固定具1を示す正面図。
【図3】係止部5a、5bの拡大図であり、(a)図2のA部拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図4】支持材23を示す斜視図。
【図5】支持材23に配管固定具1を取り付ける工程を示す図。
【図6】配管固定具1に配管31を取り付ける工程を示す図。
【図7】係合部9a、9b同士を係合した状態を示す図。
【図8】支持材23に対する配管固定具の向きを変更する状態を示す図で、図7のG−G線断面図。
【図9】配管固定具1の製造方法を示す図。
【図10】支持材23に配管固定具1aを取り付ける工程を示す図。
【図11】配管固定具40を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、配管固定具1を示す斜視図であり、図2は、配管固定具1を示す正面図である。配管固定具1は、例えば樹脂製の部材である。配管固定具1は、一対の配管固定部材7a、7bが連結されて構成される。配管固定部材7a、7bは、破断誘起部19によって互いに対向するように連結される。なお、配管固定部材7a、7bは大部分において対称に形成されるため、以下、主に、配管固定部材7aの構成について説明し、重複する説明は省略する。
【0029】
配管固定部材7aは、配管保持部3aと、配管保持部3aの下部に形成される係止部5aとから構成される。配管保持部3aは、配管を保持する部位である。配管保持部3aは、保持対象となる配管形状に応じた形状の半割形状に形成される。すなわち、一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの配管保持部3a、3bを対向させることで、配管を外周から保持可能な形状が構成される。
【0030】
配管保持部3aの内面の少なくとも一部には、必要に応じて、周方向に沿って突起17が形成される。突起17は、保持する配管が波付管である場合に、突起17が波付管の外面の凹部に嵌り込むことで、配管が軸方向にずれることを防止するものである。なお、突起17の形状等は、保持対象となる配管の形状に応じて、適宜設計される。
【0031】
配管保持部3aの上部には係合部9aが形成される。係合部9aには、複数の歯列が形成される。一対の配管固定部材7a、7bのそれぞれの係合部9a、9bを対向させて互いの歯列同士を噛み合わせることで、配管保持部3a、3bを互いに係合させることができる。
【0032】
係止部5aは、係止爪11a、押さえ部13aを有する。係止爪11aは、一対の配管固定部材7a、7bの対向面とは反対方向(外方)に向けて突出する突起である。係止爪11aは、後述する支持材へ配管固定具1を係止するための部位となる。
【0033】
係止爪11aの上部(配管保持部3a側)には、溝形状を挟んで拡径する押さえ部13aが形成される。押さえ部13aは、後述する支持材の設置面に接触する部位となる。すなわち、後述する支持材は、係止爪11aと押さえ部13aとの間に挟まれるようにして係止される。
【0034】
係止部5aの内面側(対向する配管固定部材7bの係止部5bとの対向面)の一部には、テーパ部15aが形成される。係止部5a、5bそれぞれのテーパ部15a、15bは、配管固定部材7a、7bを対向させた状態で、係止部5a、5bの一部を接触させると、テーパ部15a、15bによって、係止部5a、5b同士の距離が広がるように形成される。すなわち、係止部5a、5bは、全体が完全に面接触することがなく、上方向または下方向(配管保持部3a、3b方向またはこれと逆側)に行くにつれて、係止部5a、5bが離れる方向に形成される。
【0035】
なお、本実施例では、係止部5a、5bの下方に、正面視直線状のテーパ部15a、15bを形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。例えば、テーパ部15a、15bを正面視曲線状に形成してもよい。また、テーパ部15a、15bを曲線状に形成する場合には、係止部5a、5bの内面全面に形成してもよい。また、複数のテーパ形状を組み合わせてもよい。
【0036】
図3(a)は、図2のA部拡大図である。前述の通り、配管固定部材7a、7bは破断誘起部19で連結される。破断誘起部19は、それぞれの係止部5a、5bのそれぞれのテーパ部15a、15b近傍に形成される。
【0037】
なお、破断誘起部19は、一方の係止部5bの内面側であって、下縁部から所定の距離上方にずれた位置と、他方の係止部5aの下縁部近傍との間に形成されることが望ましい。すなわち、係止部5bの高さ方向の略中央と、係止部5aの下端近傍が連結されることが望ましい。
【0038】
このようにすることで、係止爪11aの先端の向き(図では略左側)に対して、係止爪11bの先端の向きができるだけ垂直(図中下側)に向くように形成することができる。すなわち、係止爪11a、11bが互いに180°反対方向(例えば図の左右方向)に向くことは望ましくなく、少なくとも一方の係止爪の向きが他方の係止爪の向きに対して、直線上ではなく角度をもって形成されることが望ましい。なお、連結状態でより下部側に位置する係止爪11b(テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪)の外方への突出長さは、係止爪11a(テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪)の突出長さよりも長く形成される。
【0039】
図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。破断誘起部19は、係止部5a、5bの間であって、幅方向(図中上下方向)の一部にのみ形成される。なお、破断誘起部19は、できるだけ小さいことが望ましい。すなわち、後述するように、破断誘起部19を破断させた際、係止部5a、5b間に残る凸部ができるだけ小さくなるようにすることが望ましい。
【0040】
次に、配管固定具1の使用方法について説明する。図4は、配管固定具1が設置される支持材23を示す斜視図である。支持材23は、例えば略コの字状の金具であり、アングルやH鋼梁等の固定部の一部に開口部側が挿入されて、一方の面から図示を省略したボルト等で固定される。支持材23の他の面には孔25が形成される。
【0041】
なお、支持材23の幅方向(図中J方向)の両端縁部には、補強等の目的で外方に突出する突縁部29が形成される。突縁部29で囲まれる範囲は平坦部27となり、配管固定具が係止される部位となる。すなわち、平坦部27の両側には、外方に盛り上がるように突縁部29が形成され、両端の突縁部29の略中間に孔25が形成される。
【0042】
なお、本発明の配管固定具1は、図示したような支持材23以外にも当然取り付けることが可能である。後述するように、配管固定具1の係止部が挿入可能な孔を有すれば、他の形状であってもよい。また、アングルやH鋼梁等の構造材の一部を支持材として流用してもよい。また、孔25は必ずしも円形である必要はない。なお、以下の説明では、支持材23に配管固定具1を取り付ける方法について説明する。
【0043】
図5は、配管固定具1を支持材23に取り付ける工程を示す図である。まず、図5(a)に示すように、配管固定部材7a、7bが連結された状態で、一方の係止爪11bを孔25に挿入する(図中矢印C方向)。すなわち、係止爪11bの先端が支持材23の内部に位置し、押さえ部13bが支持材23の外面側に位置するように係止爪11bが孔25に挿入される。
【0044】
次に、図5(b)に示すように、他方の係止爪11aを孔25内に挿入する(図中矢印D方向)。この際、前述の通り、係止爪11aの先端方向は、係止爪11bの先端方向に対して、やや下方に向くように連結される。したがって、係止爪11bの先端が孔25の縁部(内面)にひっかけるように、配管固定具全体を回転させれば(図中時計回り)、係止爪11bが平坦部27の面と略平行になる向きに回動するとともに、係止爪11aの先端が孔25の方向に向いた状態で、孔25に挿入される。
【0045】
すなわち、係止爪11aが斜めに向いた状態で孔25に挿入されるため、係止爪11aの先端が支持材23の上面に引っかかることがない。すなわち、係止部5a、5bが連結された状態において、孔25に挿入される係止部全体の係止爪間の全幅を狭くすることができる。このため、係止爪の挿入性に優れる。
【0046】
次に、図6(a)に示すように、配管固定部材7a、7bのそれぞれの配管保持部3a、3bの間に固定対象となる配管31を設置する。この状態で、それぞれの配管固定部材7a、7bの係合部9a、9bを互いに近づける方向に移動させる(図中矢印E方向)。係合部9a、9bを近づけると、配管保持部3a、3bは、連結部(破断誘起部19)の位置を起点として互いに回動する。これに伴い、係止爪11a、11bが互いに離れる方向(外方に開く方向)に、連結部(破断誘起部19)の位置を起点として回動する(図中矢印F方向)。
【0047】
さらに、図6(b)に示すように、配管保持部3a、3bを回動させて係合部9a、9b同士を近づけると、破断誘起部19の上方で係止部の内面同士が接触する。このため、当該接触部が回動起点部となり、破断誘起部19には両側方に引張力が付与される。このため、所定以上係合部9a、9bを近づけると、破断誘起部19が破断し、配管固定部材7a、7bが分離する。なお、配管固定部材7a、7bが分離した後も、係止部の内面同士の一部が接触することで、当該接触部が回動起点部となり、係合部9a、9bが閉じる方向に回動させると、係止爪11a、11bが開く方向に回動する。すなわち、配管固定部材7a、7bの接触する部位(回転起点部となる部位)は、一定ではなく、互いの係合部9a、9bの距離に応じて移動する。
【0048】
図7は、係合部9a、9bが係合した状態を示す図である。係合部9a、9bを係合させると、配管31は配管固定部材7a、7bの配管保持部同士で挟まれて固定される。この際、係止爪11a、11bは外方に向かって回動して、係止爪11a、11bが支持材23の孔25縁部に係止される。すなわち、係止爪11a、11bの上面と、押さえ部13a、13bの下面とで支持材23の平坦部27を挟み込み、配管固定具1が支持材23に係止される。
【0049】
図8(a)は、図7のG−G線断面図である。押さえ部13a、13bは、互いに対向した状態で平坦部27上に配置される。この際、押さえ部13a、13bの断面形状を合わせると、略円形となる。すなわち、押さえ部13a、13bを互いに合わせた状態の断面形状が矩形状ではなく、矩形による角部が形成されない。
【0050】
図8(b)は、図8(a)の状態から、支持材23に対して配管固定具の固定方向を90°回転させた状態(図8(a)のH方向)を示す図である。本発明では、配管固定具の係止爪11a、11bを孔25に挿入した状態でも、支持材23に対して配管固定具を回転させることができる。すなわち、支持材23の上面側に接触する押さえ部13a、13bには、断面において矩形状による角部が形成されないため、配管固定具を回転させても、押さえ部13a、13bの外縁部が支持材23の突縁部29と干渉することがない。
【0051】
なお、押さえ部13a、13bの断面形状を合わせた略円形とは、完全な円形である必要はなく、前述したように、矩形断面における角部を面取りしたように角部が切除された形状であればよい。すなわち、配管固定具1を支持材23に対して回転させた際に、断面において回転中心から押さえ部13a、13bの外縁部までの距離が全周にわたって略なだらかに形成されればよい。
【0052】
以上、本発明によれば、配管固定部材7a、7bが連結されており、配管を保持するために係合部9a、9b同士を近づけることで、破断誘起部19を破断し、配管固定部材7a、7bを分離させることができる。また、分離した配管固定部材7a、7bは、係合部9a、9bの係合に伴って、係止部11a、11bを外方に開き、配管の保持と同時に配管固定具1の支持材23への係止を行うことができる。
【0053】
また、破断誘起部19は、配管固定部材7a、7bの同一の位置に形成されるのではなく、互いにずれた位置に形成される。このため、連結された状態において、係止爪11a、11bそれぞれの向きが直線上に並ばずに、所定の角度を形成する。したがって、係止爪11a、11bを孔25に挿入する際に、片方ずつ順に挿入することで、容易に係止爪11a、11bを孔25に挿入することができる。
【0054】
また、破断誘起部19は、係止部5a、5b間の幅方向の一部にのみ形成される。このため、破断誘起部19の連結断面積が小さく、容易に破断誘起部19を破断することができる。また、破断後に係止部の内面に残る小突起を、小さくすることができる。
【0055】
また、押さえ部13a、13bによって、配管保持部3a、3bが支持材23の上面と接触することがない。また、押さえ部13a、13bが合わさった状態の断面が略円形状なることで、配管固定具1を支持材23上で回転させることもできる。このため、配管固定具1を任意の角度で支持材23に取り付けることもできる。したがって、配管の設置自由度が高い。
【0056】
また、連結状態でより下部側に位置する係止爪11b(テーパ部の下縁部から上方にずれた位置で連結された側の配管固定部材の係止爪)の外方への突出長さは、係止爪11a(テーパ部の下縁部が連結された側の配管固定部材の係止爪)の突出長さよりも長く形成されることで、係止後の係止爪11bの係止長さを長くとることができる。このため、確実に配管固定具1を支持材23に固定することができる。また、係止爪11bを孔25に挿入する際には、長い方の係止爪11bは斜めに孔25に挿入される。このため、係止爪11bの挿入性には影響が小さい。
【0057】
次に、配管固定具1の製造方法について説明する。図9は、配管固定具1を射出成型により形成する状態を示す概略図である。なお、金型等は図示を省略する。配管固定具1は、例えば射出成型で形成される。この際、樹脂を充填するゲート12a、12bは、それぞれの係止部5a、5bの両方に形成される。特に望ましくは、図示したように係止部(係止爪)の下部である。
【0058】
係止部5a(係止爪11a)にゲート12aから射出された樹脂は、端部から配管固定部の方向に流れる(図中矢印J方向)。同様に、係止部5b(係止爪11b)にゲート12bから射出された樹脂は、端部から配管固定部の方向に流れる(図中矢印K方向)。
【0059】
以上のようにすることで、破断誘起部19は、それぞれのゲート12a、12bから射出される樹脂の境界となる。このような樹脂の合流部では、他の部位と比較して、成形品の強度が低く割れが生じやすくなる。このため、前述したように、配管固定具1を固定する際、破断誘起部19をより容易に破断させることができる。したがって、作業性に優れる配管固定具1を得ることができる。
【0060】
次に、第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態にかかる配管固定具1aを示す図である。なお、以下の実施の形態において、配管固定具1と同様の機能を奏する構成については、図1、図2等と同様の符号を付し、重複した説明を省略する。配管固定具1aは、配管固定具1と略同様の構成であるが、破断誘起部1を有さない点で異なる。すなわち、配管固定具1a、1bは、あらかじめ配管固定部材7a、7bに分離されている。なお、配管固定具1を使用後(配管固定部材7a、7bを分離後)、再利用する場合にも同様の構成となる。
【0061】
配管固定具1aは、以下のように使用される。まず、図10(a)に示すように、一方の配管固定部材7bの係止爪11bを支持材23の孔25に挿入する。さらに、配管固定部材7aの係止爪11aを孔25に挿入して(図中矢印I方向)、配管固定部材7bに対向するように配置する。この際、配管31を配管固定部材7a、7bの間に配置する。
【0062】
次いで、図10(b)に示すように、配管固定部材7a、7bそれぞれの係止爪11a、11bが孔25に挿入された状態で、図6(b)に示したのと同様にそれぞれの係合部9a、9bを係合する。以上により、配管31が保持されるとともに、配管固定具1aが支持材23に固定される。
【0063】
配管固定具1aによれば、配管固定具1と略同様の効果を得ることができる。また、配管固定部材7a、7bが分離しているため、別々に孔25に挿入することができる。このため、作業の自由度が高い。
【0064】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、図11に示す配管固定具40を用いてもよい。配管固定具40は、配管固定具1a(1)と略同様の構成であるが、係止爪の構成が異なる。すなわち、配管固定具40の係止爪41a、41bの下部が略錘状に形成される。
【0066】
係止爪41a、41bは、略同一の大きさで形成される。配管固定具40では、係止爪41a、41bの下面が略錘状であるため、係止爪を孔に挿入する際に、ガイドとして機能する。このため、係止爪41a、41bの孔25への挿入性に優れる。
【0067】
また、前述の例では、押さえ部13a、13bを合わせた際の断面形状を略円形状としたが、本発明はこれに限られない。例えば、配管固定具を支持材に取り付けた際に、突縁部と接触するように直線部を有する略矩形状としてもよい。この場合には、配管固定具を支持材に取り付けた状態で、回転させることはできないが、配管固定具が使用中に回転することを制限することもできる。また、この場合でも、90°方向に異なる向きに配管固定具を取り付けることは可能である。
【0068】
なお、上述したそれぞれの実施形態は、互いに組み合わせることが可能であることが言うまでもない。例えば、破断誘起部を有する配管固定具の係止部の下部を錘状に形成してもよく、この場合には、一方の係止爪の長さを長くしてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1、1a、40………配管固定具
3a、3b………配管保持部
5a、5b………係止部
7a、7a………配管固定部材
9a、9b………係合部
11a、11b、41a、41b………係止爪
12a、12b………ゲート
13a、13b………押さえ部
15a、15b………テーパ部
17………突起
19………破断誘起部
23………支持材
25………孔
27………平坦部
29………突縁部
31………配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持材に配管を固定する配管固定具であって、
配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材が互いに対向して設けられ、
前記配管保持部の上部には、対向する前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、
前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、
一方の前記配管固定部材と、他方の前記配管固定部材との対向面が破断誘起部で連結されており、
前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士が分離し、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具。
【請求項2】
前記破断誘起部は、一方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部と、他方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とを連結し、一対の前記配管固定部材同士が上下方向にずれた位置で連結されることを特徴とする請求項1記載の配管固定具。
【請求項3】
前記テーパ部の下縁部が連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さよりも、前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置で連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さが長いことを特徴とする請求項2記載の配管固定具。
【請求項4】
前記係止爪の上部には押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記係止爪とで前記支持材を挟み込むことが可能であることを特徴とする請求項1から請求項3いずれかに記載の配管固定具。
【請求項5】
前記破断誘起部は、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記テーパ部近傍または前記押さえ部近傍に設けられることを特徴とする請求項4記載の配管固定具。
【請求項6】
一対の前記配管固定部材を前記支持材に係止した状態において、それぞれの前記押さえ部の断面を合わせると略円形状となることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の配管固定具。
【請求項7】
前記破断誘起部は、前記配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の配管固定具。
【請求項8】
前記係止部の下部が略錘状に形成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の配管固定具。
【請求項9】
支持材に配管を固定する配管固定具であって、
配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材からなり、
一対の配管固定部材を対向させた状態で、
前記配管保持部の上部には、前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、
前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、
一対の前記配管固定部材の前記係止部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具。
【請求項10】
一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部の大きさが略同一であり、前記係止部の下部が略錘状に形成されることを特徴とする請求項9記載の配管固定具。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の配管固定具を用い、
前記支持材に形成された孔に、前記破断誘起部で連結されたそれぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、
前記配管保持部に配管を配置した状態で、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士を分離するとともに、前記配管固定部材同士を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、
前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の配管固定具を用い、
一対の前記配管固定部材を対向させて、前記支持材に形成された孔に、それぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、
前記配管保持部に配管を配置した状態で、互いの前記係合部同士を係合し、
前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記配管固定部材を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、
前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法。
【請求項13】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の配管固定具の製造方法であって、
前記配管固定具は、射出成型により形成され、
射出成型におけるゲートが、少なくとも、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部に形成され、それぞれの前記係止部から樹脂が射出されることを特徴とする配管固定具の製造方法。
【請求項1】
支持材に配管を固定する配管固定具であって、
配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材が互いに対向して設けられ、
前記配管保持部の上部には、対向する前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、
前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、
一方の前記配管固定部材と、他方の前記配管固定部材との対向面が破断誘起部で連結されており、
前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士が分離し、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具。
【請求項2】
前記破断誘起部は、一方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部と、他方の前記配管固定部材の前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置とを連結し、一対の前記配管固定部材同士が上下方向にずれた位置で連結されることを特徴とする請求項1記載の配管固定具。
【請求項3】
前記テーパ部の下縁部が連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さよりも、前記テーパ部の下縁部から所定の距離上方にずれた位置で連結された側の前記配管固定部材の前記係止爪の突出長さが長いことを特徴とする請求項2記載の配管固定具。
【請求項4】
前記係止爪の上部には押さえ部が設けられ、前記押さえ部と前記係止爪とで前記支持材を挟み込むことが可能であることを特徴とする請求項1から請求項3いずれかに記載の配管固定具。
【請求項5】
前記破断誘起部は、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記テーパ部近傍または前記押さえ部近傍に設けられることを特徴とする請求項4記載の配管固定具。
【請求項6】
一対の前記配管固定部材を前記支持材に係止した状態において、それぞれの前記押さえ部の断面を合わせると略円形状となることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の配管固定具。
【請求項7】
前記破断誘起部は、前記配管固定部材の厚み方向の一部にのみ形成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の配管固定具。
【請求項8】
前記係止部の下部が略錘状に形成されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の配管固定具。
【請求項9】
支持材に配管を固定する配管固定具であって、
配管を保持する配管保持部と、支持材に係止される係止部とを具備する一対の配管固定部材からなり、
一対の配管固定部材を対向させた状態で、
前記配管保持部の上部には、前記配管保持部同士を係合する係合部が形成され、
前記係止部には、互いの対向方向とは逆方向に突出する係止爪が設けられるとともに、前記係止部の対向面側には、互いの対向面間の距離が変化するようにテーパ部が設けられ、
一対の前記配管固定部材の前記係止部同士を係合し、前記係合部同士を閉じる方向に移動させると、前記配管固定部材同士が前記テーパ部近傍で接触した状態で、前記係止爪同士が広がる方向に前記係止部を回動させることが可能であることを特徴とする配管固定具。
【請求項10】
一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部の大きさが略同一であり、前記係止部の下部が略錘状に形成されることを特徴とする請求項9記載の配管固定具。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の配管固定具を用い、
前記支持材に形成された孔に、前記破断誘起部で連結されたそれぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、
前記配管保持部に配管を配置した状態で、前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記破断誘起部で前記配管固定部材同士を分離するとともに、前記配管固定部材同士を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、
前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の配管固定具を用い、
一対の前記配管固定部材を対向させて、前記支持材に形成された孔に、それぞれの前記配管固定部材の前記係止部を挿入し、
前記配管保持部に配管を配置した状態で、互いの前記係合部同士を係合し、
前記係合部同士を閉じる方向に移動させることで、前記配管固定部材を前記テーパ部近傍で接触させた状態で前記係止部を回動させて、前記係止爪同士を広げ、
前記係止部で前記支持材に係止することを特徴とする配管固定方法。
【請求項13】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の配管固定具の製造方法であって、
前記配管固定具は、射出成型により形成され、
射出成型におけるゲートが、少なくとも、一対の前記配管固定部材のそれぞれの前記係止部に形成され、それぞれの前記係止部から樹脂が射出されることを特徴とする配管固定具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−225424(P2012−225424A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93617(P2011−93617)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【特許番号】特許第4885321号(P4885321)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(501314396)古河樹脂加工株式会社 (26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【特許番号】特許第4885321号(P4885321)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(501314396)古河樹脂加工株式会社 (26)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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