説明

配管挿通部のシール構造

【課題】本発明は配管挿通孔と配管との間をシールするシール構造を容易に組み付けることを課題とする。
【解決手段】シール機構150は、側壁46の配管挿通孔48をシールする第1シール部材160と、横引き配管120の外周をシールする第2シール部材170と、第1シール部材160及び第2シール部材170を圧縮するボルト部材180と、ボルト部材180に螺合するナット部材190とを有する。第1シール部材160は、配管挿通孔48の両側周縁及び内周面が嵌合する環状溝162が全周に形成されている。第2シール部材170は、内周側に横引き配管120が挿通される挿通孔172が形成され、外周側に円弧状曲面による波形形状に形成されている。シール機構150では、ボルト部材180の雄ネジ部184をナット部材190の雌ネジ部192に螺入させて締め付けることにより、第1シール部材160及び第2シール部材170を同時に圧縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管挿通部のシール構造に係り、特に配管を支持体の配管挿通孔に挿通させる構造におけるシール部材の取付作業を効率良く行えるよう構成された配管挿通部のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地中に埋設された地下タンクの配管継手に配管を接続する構造においては、地下タンクの頂部に箱状の支持体が固定され、地中に埋設された配管の一端が支持体の壁面の配管挿通孔に挿通されて地下タンクの頂部に接続された配管継手に接続されるように構成されている。
【0003】
この種の取付構造では、地下水が支持体内に浸入しないようにシール機構が設けられている。従来の取付構造のシール機構としては、例えば、特許文献1、2にみられるようにシール機構の配管の外周を覆うブーツ部の一端と配管外周との間をシールする第1シール部材と、ブーツ部の他端と支持体の壁面との間をシールする第2シール部材とを個別に取り付ける構成のものがある。
【特許文献1】実用新案登録第3113448号
【特許文献2】特開2001−074165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の配管貫通部の取付構造では、比較的狭い支持体の内部に形成された空間に作業員が入り、配管の外周と当該配管が挿通された支持体の配管挿通孔との間を第1シール部材と取り付けた後、第2シール部材を取り付けることになるため、各シール部材の取付作業に時間がかかり、効率よく取り付けることが難しいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した配管挿通部のシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0007】
本発明は、配管を挿通するための配管挿通孔が形成された支持体と、外周に形成された環状溝を介して前記配管挿通孔の両側周縁に取り付けられる環状の第1シール部材と、外周側が軸方向に関して曲面形状に形成され、内周側が前記配管の外周に取付けられる環状の第2シール部材と、前記第1シール部材の内周と前記第2シール部材の外周との間に挿通される筒状部と前記第1シール部材の内周を貫通した前記筒状部の先端外周に形成された雄ネジ部と前記筒状部の他端と直交する半径方向に延在形成された鍔部とを有するボルト部材と、前記ボルト部材の雄ネジ部が螺入される雌ネジ部が内周側に形成された筒体と該筒体の一端より内側に形成され前記第2シール部材の側面に当接する内側当接部と前記筒体の他端より外側に形成され前記第1シール部材の端部に当接する外側当接部とを有するナット部材と、を備えることにより、上記課題を解決するものである。
【0008】
本発明は、配管を挿通するための配管挿通孔が形成された支持体と、前記配管挿通孔の周縁に設けられる環状の第1シール部材と、内周側が前記配管の外周に当接されるリップ状シールに形成され、外周側が前記リップ状シールの外側を囲む保持部が形成された第2シール部材と、前記第1シール部材の内周と前記第2シール部材の外周との間に挿通される筒状部と前記第1シール部材の内周を貫通した前記筒状部の先端外周に形成された雄ネジ部と前記筒状部の他端と直交する半径方向に延在形成された鍔部とを有するボルト部材と、前記ボルト部材の前記雄ネジ部が螺入される雌ネジ部が内周側に形成された筒体と該筒体の一端より内側に形成され前記第2シール部材の側面に当接する内側当接部と前記筒体の他端より外側に形成され前記第1シール部材の端部に当接する外側当接部とを有するナット部材と、を備えることにより、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1シール部材の内周と第2シール部材の外周との間に挿通される筒状部の先端外周に形成されたボルト部材の雄ネジ部をナット部材に螺入させることで第1、第2シール部材を同時に圧縮して配管挿通孔の両側周縁及び内周面と配管外周に対する2箇所のシールを確保することができ、例えば、比較的狭いスペースしかない支持体の内部で配管と配管挿通孔との間のシール作業を行なう場合でも短時間で効率よく作業を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明による配管挿通部のシール構造の実施例1を示す縦断面図である。図1に示されるように、配管挿通部のシール構造10は、地下に埋設された機器としての地下タンク20の頂部に搭載された箱状のボックス30に接続される挿通部分における配管のシールを行なうように構成されている。ボックス30は、地下タンク20の頂部に固定された下部支持体40と、下部支持体40の上部に連結された上部支持体50と、上部支持体50の上端開口52を覆う蓋部材60とからなる。ボックス30の内部には、下部支持体40、上部支持体50、蓋部材60により画成された空間70が形成されている。
【0012】
また、ボックス30の周囲には、土砂層、砂利層、鉄筋コンクリート層が積層されている。そして、蓋部材60の上面は、地面またはコンクリート層の表面Gと同じ高さ位置となるように埋設されている。
【0013】
下部支持体40の下端周縁部42は、地下タンク20に対して下部密封取付部80により液密に固定されている。また、下部支持体40の上端周縁部44は、上部支持体50の下端周縁部54と中間密封取付部90により液密に固定されている。
【0014】
地下タンク20の頂部に突出するフランジ22には、継手取付部材100を介して配管継手110が連結されている。この配管継手110は、空間70のほぼ中央に起立するように取り付けられており、地下タンク20に連通される下端フランジ112と、蓋部材60の下面に対向する上端フランジ114と、側方に突出する側方フランジ116とを有する。また、配管継手110の内部には、3方向の各フランジの開口部を連通する側方フランジ116には、地中に埋設された横引き配管120が継手130及びフランジ140を介して接続されている。
【0015】
横引き配管120は、樹脂配管または鉄製配管よりなり、地中の土砂層に埋設されている。また、横引き配管120の一端は、下部支持体40の側壁46に形成された配管挿通孔48に挿通されており、横引き配管120の他端は燃料供給装置の給液管または通気管などに接続されている。
【0016】
ボックス30は、周囲の土砂層などの地下水が内部の空間70に浸入しないよう液密に密封された構造であり、横引き配管120が挿通される配管挿通孔48と横引き配管120の外周との間は、シール機構150によって液密に密封されている。
【0017】
図2はシール機構150を拡大して示す縦断面図である。図2に示されるように、シール機構150は、側壁46の配管挿通孔48を液密にシールする第1シール部材160と、横引き配管120の外周を液密にシールする第2シール部材170と、第1シール部材160及び第2シール部材170を圧縮するボルト部材180と、ボルト部材180に螺合するナット部材190とから構成されている。
【0018】
第1シール部材160は、例えば、弾性を有するゴム材により形成されており、配管挿通孔48の内周に嵌合するように環状に形成されている。さらに、第1シール部材160は、外周面の幅方向の中央に配管挿通孔48の両側周縁及び内周面が嵌合する環状溝162が全周に形成されている。この環状溝162は、側壁46の厚さ寸法に対応する幅を有しており、第1シール部材160はこの環状溝162を介して側壁46の両側周縁部に取付けられる。また、第1シール部材160は、ナット部材190にボルト部材180が螺合すると共に、軸方向の圧縮力を受けて配管挿通孔48の両側周縁及び内周面に密着して液密シールする。
【0019】
第2シール部材170は、例えば、弾性を有するゴム材により形成されており、内周側に横引き配管120が挿通される挿通孔172が形成された筒状に形成されている。さらに、第2シール部材170は、外周側に軸方向の断面が円弧状曲面による凸部176と凹部174とが交互に形成された波形形状に形成されている。
【0020】
また、第2シール部材170は、内周側の挿通孔172が横引き配管120の外周に密着され、外周側の凸部176がボルト部材180の筒状部182の内周面に密着するように取り付けられる。
【0021】
ボルト部材180は、第1シール部材160の内周と第2シール部材170の外周との間に挿通される筒状部182と、第1シール部材160の内周を貫通した筒状部182の先端外周に形成された雄ネジ部184と、筒状部182の他端と直交する半径方向に延在形成された内周側鍔部186、外周側鍔部188とを有する。
【0022】
ナット部材190は、雄ネジ部184が螺入される雌ネジ部192と、内周側に雌ネジ部192が形成された筒体194と、筒体194の一端より内側に形成され第2シール部材170の端部に当接する内周側当接部196と、筒体194の他端より外側に形成され第1シール部材160の側面に当接する外周側当接部198とを有する。
【0023】
第1シール部材160は、一側側面がナット部材190の外周側当接部198に当接し、他側側面がボルト部材180の外周側鍔部188に当接している。そのため、ボルト部材180の雄ネジ部184がナット部材190の雌ネジ部192に螺入されて締め付けられると、第1シール部材160は、両側から軸方向の圧縮力を受けて環状溝162が配管挿通孔48の両側周縁及び内周面が圧着される。
【0024】
また、第2シール部材170は、一端の凸部176がボルト部材180の内周側鍔部186に当接し、他端の凸部176がナット部材190の内周側当接部196に当接している。そのため、ボルト部材180の雄ネジ部184がナット部材190の雌ネジ部192に螺入されて締め付けられると、第2シール部材170は、両側から軸方向の圧縮力を受けて挿通孔172が横引き配管120の外周面に密着されるとともに、凸部176の先端部分がボルト部材180の筒状部182の内周面が圧着される。
【0025】
このように、シール機構150では、ボルト部材180の雄ネジ部184をナット部材190の雌ネジ部192に螺入させて締め付けることにより、第1シール部材160及び第2シール部材170を同時に圧縮することができる。これにより、ボックス30の空間70で接続作業を行なう作業員は、側壁46の配管挿通孔48に横引き配管120を挿通した後、シール機構150を短時間で取り付けることができ、配管挿通孔48と横引き配管120との間のシール性を効率良く確保することができる。
【0026】
また、内側鍔部186の挿通孔189及び内側当接部196の挿通孔199は、横引き配管120の外径よりも大径であるので、挿通孔189及び199と横引き配管120の外周との間には、環状の隙間が存在する。第2シール部材170は、軸方向に圧縮されると、両端部の一部(はみ出し部S)が環状の隙間から外側にはみ出すように弾性変形する。そのため、作業員は、環状の隙間から見える第2シール部材170の両端はみ出し部Sの突出量によって第1シール部材160及び第2シール部材170の圧縮量を推測することが可能になる。例えば、上記環状の隙間から第2シール部材170の端部がはみ出す位置までボルト部材180とナット部材190とを互いに締付け方向に回動操作することで、第1シール部材160及び第2シール部材170によるシール効果を十分に得ることができる。
【0027】
これにより、ボルト部材180の雄ネジ部184とナット部材190の雌ネジ部192との締付け具合を視覚的に確認することが可能になり、締付け過ぎや締付け不足を防止することができる。
【0028】
図3は下部密封取付部80を拡大して示す縦断面図である。図3に示されるように、地下タンク20は、鋼鈑製の内殻の外側を繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)からなる外殻で覆う二重殻タンクからなり、その外周面には、下部密封取付部80を介してボックス30の下部支持体40の下端周縁部42の全周が固定されている。
【0029】
下部密封取付部80は、地下タンク20の外周面に当接し下端周縁部42の全周に対応する輪郭形状のアルミニウム合金製の台座200と、台座200の周囲を全周に亘り覆うことで地下タンク20の外周面に接着するFRP層210と、FRP層210に積層され下端周縁部42の全周に対応する輪郭形状に形成されたパッキン220と、パッキン220の上面に重なる下部支持体40の下端周縁部42と、下端周縁部42の上面に当接するアルミニウム合金製の押さえ部材230と、押さえ部材230を所定間隔毎に貫通して台座200まで螺入されるタッピンビス240とからなる。タッピンビス240が台座200に螺入されることで、パッキン220が圧縮されるため、下部支持体40の下端周縁部42と地下タンク20の外周面との間が液密にシールされる。タッピンビス240は、複数本が所定間隔毎に螺入されて下部支持体40の下端周縁部42の周縁全体を地下タンク20の外周面に固定する。
【0030】
図4は下部支持体40の上端周縁部44と上部支持体50の下端周縁部54とを連結する中間密封取付部90を拡大して示す縦断面図である。図4に示されるように、中間密封取付部90は、下部支持体40の上端周縁部44と上部支持体50の下端周縁部54との間の全周に亘り介在するパッキン250と、下部支持体40の上端周縁部44の下面側全周に当接するアルミニウム合金製の下面側押さえ部材260と、上部支持体50の下端周縁部54の上面側全周に当接するアルミニウム合金製の上面側押さえ部材270と、上面側押さえ部材270を所定間隔毎に貫通して下面側押さえ部材260まで螺入されるタッピンビス280とからなる。タッピンビス280は、上方から上面側押さえ部材270、下端周縁部54、パッキン250、上端周縁部44、下面側押さえ部材260に螺入されてこれらを締結する。さらに、タッピンビス280の複数本が所定間隔毎に螺入されることで、下部支持体40の上端周縁部44と上部支持体50の下端周縁部54との全周が締結される。
【実施例2】
【0031】
図5は実施例2のシール機構300を拡大して示す縦断面図である。図5に示されるように、シール機構300は、側壁46の配管挿通孔48の周縁部を液密にシールする第1シール部材310と、大径な横引き配管120Aの外周を液密にシールするリップシール構造の第2シール部材320と、第1シール部材310及び第2シール部材320を圧縮するボルト部材330と、ボルト部材330に螺合するナット部材340とから構成されている。
【0032】
第1シール部材310は、配管挿通孔48の内壁側周縁部に当接するように設けられ、半径方向に断面が円弧状の凹部と凸部とが交互に形成された波形形状に形成されている。また、第1シール部材310は、樹脂材により形成されており、軸方向の圧縮荷重を受けると凹部及び凸部が押圧されて弾性変形することにより配管挿通孔48の一側(図5中、左側)の内壁側周縁部を液密にシールする。
【0033】
第2シール部材320は、大径な横引き配管120Aの外周に当接する一対のリップ状シール322が内周側に形成され、外周側に一対のリップ状シール322の外側を囲むようにC字状に形成された保持部324を有する。
【0034】
ボルト部材330は、前述したボルト部材180と同様、第1シール部材310の内周と第2シール部材320の外周との間に挿通される筒状部332と、第1シール部材310の内周を貫通した筒状部332の先端外周に形成された雄ネジ部334と、筒状部332の他端と直交する半径方向に延在形成された内周側鍔部336と、外周側鍔部338とを有する。
【0035】
ナット部材340は、前述したナット部材190と同様、雄ネジ部334が螺入される雌ネジ部342と、雌ネジ部342が内周に形成された筒体344と、筒体344の一端より内側に形成され第2シール部材320の一側の側面に当接する内周側当接部346と、筒体344の他端より外周側に形成されワッシャ350を配管挿通孔48の他側(図5中、右側)の外壁側周縁部に押圧する外周側当接部348とを有する。
【0036】
シール機構300では、ボルト部材330の雄ネジ部334をナット部材340の雌ネジ部342に螺入させて締め付けることにより、第1シール部材310が側壁46の内壁側周縁部に圧着されると共に、第2シール部材320のリップ状シール322を横引き配管120Aの外周に密着させることができる。これにより、ボックス30の空間70で接続作業を行なう作業員は、側壁46の配管挿通孔48に横引き配管120Aを挿通した後、シール機構300を短時間で取り付けることができ、配管挿通孔48と横引き配管120との間のシール性を効率良く確保することができる。
【0037】
図6はシール機構300の変形例を示す縦断面図である。図6に示されるように、ナット部材340の横引き配管120Aが挿通される挿通孔400の内周が横引き配管120Aの外径よりも大きく形成され、横引き配管120Aの外周との間に環状の隙間が形成されている。この環状の隙間は、ボルト部材330の雄ネジ部334をナット部材340の雌ネジ部342に螺入させて締め付けることにより、リップ状シール322が軸方向に圧縮されるとともに、内周側当接部346に押圧された側面の一部(はみ出し部S)が上記環状の隙間より軸方向に押し出されるように変形する。
【0038】
このはみ出し部Sの突出量により、ボルト部材330の雄ネジ部334とナット部材340の雌ネジ部342との締付け具合を視覚的に確認することが可能になり、締付け過ぎや締付け不足を防止することができる。
【0039】
図7は配管挿通孔48を加工する際の位置決め作業を示す縦断面図である。図7に示されるように、配管継手110の取付位置と下部支持体40の側壁46との位置関係は、実際の現場の組み付け具合によって変動することが多く、組み付け前に配管挿通孔48を図面上に記載された寸法位置に加工してしまうと、組み付け後に配管挿通孔48と配管継手110の側方フランジ116との相対位置が一致せず、配管挿通孔48に挿通された横引き配管120の挿通高さ位置が側方フランジ116よりも高すぎたり、あるいは低すぎたりすることがある。
【0040】
そこで、本実施例では、側方フランジ116にレーザ光による位置合わせ機構500を装着して配管挿通孔48の加工位置を位置決めする。位置合わせ機構500は、ペンシル型のレーザポインタ510をクランプする円筒形状のクランプ部520と、クランプ部520を回転中心に保持する回転盤530と、回転盤530の一面に螺着された小径ガイド部材540と、回転盤530の他面に螺着された大径ガイド部材550とを有する。回転盤530は、一面側に小径ガイド部材540が螺入される第1の雌ネジ532を有する小径溝533が設けられ、他面側に大径ガイド部材550が螺入される第2の雌ネジ534を有する大径溝535が設けられている。
【0041】
そして、位置合わせ機構500を装着する際は、側方フランジ116の直径に応じて小径ガイド部材540または大径ガイド部材550の何れか一方を側方フランジ116の開口部117に挿入することで回転盤530が側方フランジ116に取り付けられる。
【0042】
小径ガイド部材540及び大径ガイド部材550の外周溝542,552には、Oリング544,554が装着されている。そのため、側方フランジ116の開口部に挿入された小径ガイド部材540または大径ガイド部材550は、Oリング544,554が側方フランジ116の開口部内壁に密着してガタツキのない装着状態に保持される。
【0043】
ここで、レーザポインタ510のスイッチをオンにすると、レーザポインタ510の発光部512から出射されたレーザ光Lが側壁46の内壁に照射される。このレーザポインタ510は、レーザ光Lを側方に向けて出射するが、配管継手110の取付角度のずれ(鉛直方向に対する傾き)によって水平方向に出射するとは限らない。
【0044】
そこで、作業員は、回転盤530の外周に設けられた取っ手560を周方向に回転させる。これにより、回転盤530が側方フランジ116の開口部に挿入された小径ガイド部材540または大径ガイド部材550を軸として回転した場合、回転盤530の中心に保持されたレーザポインタ510が側方フランジ116の軸線からずれていると、水平方向に対して偏心回転を行なう。
【0045】
この場合、側壁46の内壁に照射されたレーザ光Lは、水平方向の軸線に対して偏心回転することになり、側壁46の内壁にレーザ光Lの照射軌跡が円形に表示される。そして、作業員は、側壁46の内壁にレーザ光の照射軌跡の回転中心にマークを付ける。このマークは、配管挿通孔48の中心となり、このマークから配管直径に相当する半径の円を描き、この円形に沿う孔を加工する。
【0046】
これにより、側壁46の側方フランジ116の水平方向に対向する位置に正確に配管挿通孔48を加工することが可能になる。そして、配管挿通孔48に挿通された横引き配管120の端部を側方フランジ116に連結する際は、横引き配管120の軸線と側方フランジ116の軸線とが互いに水平方向で一致するため、側方フランジ116及び横引き配管120に位置ずれによる無理な応力が作用せず、連結作業をスムーズに行なうことができる。
【0047】
尚、上記小径ガイド部材540、大径ガイド部材550と異なる直径のガイド部材を他にも用意することで、大きさの異なる配管継手110のものでもレーザ光Lによる配管挿通孔48の位置合わせを行なうことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
上記実施例では、地下タンクの頂部に取り付けられたボックスの下部支持体40の配管挿通孔48に横引き配管120を挿通する構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、給油装置本体の下方(地下に埋設して)に設けられるマンホールボックスの底面を貫通して延びる、立ち上がり配管の貫通部分や、地下タンク以外の他の機器(例えば、地上に設置されるタンクや流体を扱う流体機器等)で配管接続を行なう構成のものにも本発明を適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による配管挿通部のシール構造の実施例1を示す縦断面図である。
【図2】シール機構150を拡大して示す縦断面図である。
【図3】下部密封取付部80を拡大して示す縦断面図である。
【図4】下部支持体40の上端周縁部44と上部支持体50の下端周縁部54とを連結する中間密封取付部90を拡大して示す縦断面図である。
【図5】実施例2のシール機構300を拡大して示す縦断面図である。
【図6】シール機構300の変形例を示す縦断面図である。
【図7】配管挿通孔48を加工する際の位置決め作業を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 シール構造
20 地下タンク
30 ボックス
40 下部支持体
46 側壁
48 配管挿通孔
50 上部支持体
60 蓋部材
70 空間
80 下部密封取付部
90 中間密封取付部
110 配管継手
112 下端フランジ
114 上端フランジ
116 側方フランジ
120,120A 横引き配管
150,300 シール機構
160,310 第1シール部材
162 環状溝
170,320 第2シール部材
172 挿通孔
174 凹部
176 凸部
180,330 ボルト部材
182,332 筒状部
184,334 雄ネジ部
186,336 内周側鍔部
188,338 外周側鍔部
190,340 ナット部材
192,342 雌ネジ部
194,344 筒体
196,346 内周側当接部
198,348 外周側当接部
322 リップ状シール
350 ワッシャ
400 挿通孔
500 位置合わせ機構
510 レーザポインタ
520 クランプ部
530 回転盤
540 小径ガイド部材
550 大径ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を挿通するための配管挿通孔が形成された支持体と、
外周に形成された環状溝を介して前記配管挿通孔の両側周縁に取り付けられる環状の第1シール部材と、
外周側が軸方向に関して曲面形状に形成され、内周側が前記配管の外周に取付けられる環状の第2シール部材と、
前記第1シール部材の内周と前記第2シール部材の外周との間に挿通される筒状部と前記第1シール部材の内周を貫通した前記筒状部の先端外周に形成された雄ネジ部と前記筒状部の他端と直交する半径方向に延在形成された鍔部とを有するボルト部材と、
前記ボルト部材の雄ネジ部が螺入される雌ネジ部が内周側に形成された筒体と該筒体の一端より内側に形成され前記第2シール部材の側面に当接する内側当接部と前記筒体の他端より外側に形成され前記第1シール部材の端部に当接する外側当接部とを有するナット部材と、
を備えたことを特徴とする配管挿通部のシール構造。
【請求項2】
配管を挿通するための配管挿通孔が形成された支持体と、
前記配管挿通孔の周縁に設けられる環状の第1シール部材と、
内周側が前記配管の外周に当接されるリップ状シールに形成され、外周側が前記リップ状シールの外側を囲む保持部が形成された第2シール部材と、
前記第1シール部材の内周と前記第2シール部材の外周との間に挿通される筒状部と前記第1シール部材の内周を貫通した前記筒状部の先端外周に形成された雄ネジ部と前記筒状部の他端と直交する半径方向に延在形成された鍔部とを有するボルト部材と、
前記ボルト部材の前記雄ネジ部が螺入される雌ネジ部が内周側に形成された筒体と該筒体の一端より内側に形成され前記第2シール部材の側面に当接する内側当接部と前記筒体の他端より外側に形成され前記第1シール部材の端部に当接する外側当接部とを有するナット部材と、
を備えたことを特徴とする配管挿通部のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−14262(P2010−14262A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−177381(P2008−177381)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000110099)トキコテクノ株式会社 (264)
【Fターム(参考)】