配管構造
【課題】配管類の露出を少なくすることにより意匠性及び耐久性を向上させるとともに、配管類の取り付け及びメンテナンスを容易にする配管構造を提供する。
【解決手段】 基礎2の貫通孔3を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類7を通すための配管構造であって、屋内側の土間コンクリート1を貫通し、地中に埋没する基礎2の貫通孔3を通って屋外側に設けられる機器4を据え付けるための機械基礎5を貫通して上方に立ち上がって設けられ、前記土間コンクリート1の上方及び前記機械基礎5の上方に夫々開口部61,62を有するさや管6に複数の配管類7が挿入されることを特徴とする配管構造。
【解決手段】 基礎2の貫通孔3を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類7を通すための配管構造であって、屋内側の土間コンクリート1を貫通し、地中に埋没する基礎2の貫通孔3を通って屋外側に設けられる機器4を据え付けるための機械基礎5を貫通して上方に立ち上がって設けられ、前記土間コンクリート1の上方及び前記機械基礎5の上方に夫々開口部61,62を有するさや管6に複数の配管類7が挿入されることを特徴とする配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内から建物の基礎の貫通孔を通って屋外へと設けられるさや管に複数の配管類を通すための配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に据え付けられる屋外据置式の給湯器や熱源器等の複数の配管類を屋内へと引き込む場合には、例えば、図15に示すように、屋外敷地面(GL)よりも上に屋内から屋外へと通じる基礎101の貫通孔102が形成され、この貫通孔102に複数の配管類103を通すように施工されるものがある。
【0003】
また、屋外敷地面(GL)下の地中に埋没する基礎の貫通孔にフレキシブル管をさや管として挿通して、そのフレキシブル管内に配管を通すことにより屋外に据え付けられている給湯器等に接続するように施工されるものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の配管構造では、屋内床下から土間コンクリートを貫通させて地中に埋没した基礎の貫通孔へと挿通させたさや管に配管が通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−159162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図15に示すような配管構造の場合、配管類が屋外に据え付けられている給湯器等の裏面に露出するため、見栄えが悪くなるとともに、紫外線や風雨を直接受けるため、劣化し易いという問題がある。また、配管類と貫通孔の周囲はモルタル等で固められるため、配管類を取り替えることが困難である。
【0006】
また、特許文献1のような配管構造の場合には、さや管としてフレキシブル管が用いられているので、立ち上げ位置の調整及び一定の状態を保持することが難しいため、配管類をさや管の内部を挿通させて給湯器や熱源器等に接続させる作業が困難になる。また、このさや管は屋内床下の土間コンクリートから地中に埋没した基礎の貫通孔までは設けられているが、基礎の貫通孔より屋外側の地中ではさや管に通された配管が地中に埋没した状態になっている。そのため、配管を取り替えることが困難である。
【0007】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みてなされたものであって、配管類の露出を少なくすることにより意匠性及び耐久性を向上させるとともに、配管類の取り付け及びメンテナンスを容易にする配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の配管構造は、基礎の貫通孔を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類を通すための配管構造であって、屋内側の土間コンクリートを貫通し、地中に埋没する基礎の貫通孔を通って屋外側に設けられる機器を据え付けるための機械基礎を貫通して上方へ立ち上がって設けられ、前記土間コンクリートの上方及び前記機械基礎の上方に夫々開口部を有するさや管に複数の配管類が挿入されることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の配管構造は、前記さや管が、硬質な材質からなるものであることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の配管構造は、前記さや管が、フレキシブル管であって、該フレキシブル管の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部と、該夫々の把持部を所定間隔あけた状態で連結する連結部とからなる支持部材を備え、該支持部材が屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管に対して夫々用いられることにより、屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管の位置及び形状を固定することを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の配管構造は、前記さや管と前記基礎の貫通孔の隙間には、前記さや管を前記貫通孔に固定するための固定部材が挿入されることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の配管構造は、前記さや管の屋外側の立ち上がり部分から開口部又は前記さや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されていることを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の配管構造は、前記さや管に挿入される複数の配管類を区分けするための複数の区画孔を形成する仕切りが設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の配管構造は、前記複数の区画孔を夫々塞ぐように形成された伸縮性を有するヒレ部材を備え、該ヒレ部材には前記配管類を挿通するための切れ目が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の配管構造は、前記さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着され、前記配管類の径に合わせて前記突起部を水平に切断した切り口に前記配管類が挿通されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の配管構造によれば、複数の配管類は屋内側の土間コンクリートから給湯器や熱源器が据え付けられる機械基礎の上面までさや管内を通っている。従って、配管類は機械基礎に据え付けられる給湯器等の直下に出てくることになり、給湯器等の下部に取り付けられるカバーにより隠れた状態になるので、外部に配管類が露出することがなく、見栄えを良くすることができる。また、配管類が紫外線や風雨等を受けることによる劣化を防止することができるので、配管類の耐久性を向上させることができる。また、配管類はさや管内を通すことにより、屋内から屋外又は屋外から屋内へと通すことができるので、配管類の施工及びメンテナンス等が容易になる。
【0017】
請求項2記載の配管構造によれば、さや管は、例えば、硬質塩化ビニル管等の硬質な材質からなるものであるため、形状が決まっており、フレキシブル管のように形状が崩れることはないので、立ち上げ位置の調整等の施工が容易になる。
【0018】
請求項3記載の配管構造によれば、フレキシブル管からなるさや管の屋内側及び屋外側を夫々支持部材を用いることにより、当該フレキシブル管の位置及び形状を固定しているので、実管を用いた場合と同じように立ち上げ位置の調整等の施工が容易になる。
【0019】
請求項4記載の配管構造によれば、基礎の貫通孔と該貫通孔に挿通されるさや管との隙間に固定部材が挿入されるので、さや管の固定を確実に行うことができる。
【0020】
請求項5記載の配管構造によれば、さや管の屋外側の立ち上がり部分から機械基礎の上面に位置する開口部又はさや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されているため、複数の配管をさや管に挿入する際に配管がさや管内の立ち上がり部分で詰まることを軽減することができるので、配管類をさや管へ挿入する作業の効率を向上させることができる。
【0021】
請求項6記載の配管構造によれば、複数の配管類を区分けするための区画孔を形成する仕切りが設けられているので、複数の配管類をさや管に挿入する際に工種ごとに配管類の経路を確保することができる。
【0022】
請求項7記載の配管構造によれば、工種ごとに配管類の経路を区分けするための複数の区画孔に夫々切れ目が形成された伸縮性を有するヒレ部材が設けられている。従って、配管類を伸縮性を有するヒレ部材の切れ目から挿通させることにより夫々の配管類の外周はヒレ部材に密着した状態になるので、屋外側のさや管の開口部から雨水や小動物等が侵入するのを防止するためのコーキングのバックアップ材の役割を果たすことができる。
【0023】
請求項8記載の配管構造によれば、さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着されているので、この円錐形状の突起部を挿通させる配管類の外径に合わせて突起部の所定位置を切断することにより形成された切り口に、配管類の外周を密着させた状態で挿通させることができる。これにより、屋外側のさや管の開口部から雨水や小動物等が侵入するのを防止することができるとともに、複数の配管類をさや管に挿入する際に工種ごとに配管類の経路を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る配管構造の一例を示す概略模式図である。
【図2】本発明に係る配管構造の一例を示す概略平面断面図である。
【図3】さや管の構造の一例を説明するための概略図であって、(a)はさや管の概略正面図であり、(b)はさや管の概略平面図である。
【図4】固定部材の一例を示す概略斜視図であって、(a)は幅狭のくさび型固定部材を示しており、(b)は幅広のくさび型固定部材を示している。
【図5】さや管を外周基礎に固定した状態を示す概略模式図であって、(a)は幅狭のくさび型固定部材を用いた場合を示しており、(b)は幅広のくさび型固定部材を用いた場合を示している。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】仕切り部材の構造の一例を示す概略斜視図である。
【図8】さや管の内部に仕切りを設けた場合の構造を示す概略正面図であって、(a)はさや管の内部の途中まで仕切りを設けた場合を示しており、(b)はさや管の内部全域に仕切りを設けた場合を示している。
【図9】さや管の構造の他の一例を示す概略図であって、(a)は断面楕円状のさや管を示す概略平面図であり、(b)は断面四角形状のさや管を示す概略平面図である。
【図10】さや管の開口部に装着するキャップ部材の構造の一例を説明するための概略平面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】さや管の構造の更に他の一例を示す概略正面図である。
【図13】本発明に係る配管構造の他の一例を示す概略平面断面図である。
【図14】フレキシブル管であるさや管の支持の仕方について説明するための概略模式図である。
【図15】従来の配管構造の一例を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る配管構造について、各図面を用いて説明する。本発明に係る配管構造は、図1,2に示すように、屋内側の土間コンクリート1を貫通し、屋外敷地面(GL)より下の地中に埋没する外周基礎2の貫通孔3を通って、屋外側に設けられる熱源器や給湯器4等の機器を据え付けるための機械基礎5を貫通して上方へと立ち上がって設けられるさや管6内に複数の配管類7を挿入させることにより、複数の配管類7が屋内から屋外又は屋外から屋内へと通されるものである。従って、
【0026】
このように外周基礎2の貫通孔3に挿通させられて設けられるさや管6は、例えば、硬質塩化ビニル管等の硬質な材質からなる実管である。さや管6は、図1,2に示すように、屋内側の土間コンクリート1の上方及び屋外側の機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように、屋内側及び屋外側の両側には、屈曲して上方へと立ち上がる屈曲部63,64が夫々形成されている。また、このさや管6は、外周基礎2の貫通孔3の屋内側及び屋外側の両側から夫々嵌め込んで設けられるように、2つの塩化ビニル管等が組み合わされて構成されているので、さや管6の屋内側及び屋外側に夫々屈曲部63,64が形成されていても外周基礎2の貫通孔3に挿通させることができる。尚、本実施形態では、屋内側の屈曲部63は、図1,3に示すように、さや管の曲げ角度が略45°になるように形成されており、屋外側の屈曲部64では、さや管6の曲げ角度が略直角になるように形成されているが、これらの曲げ角度は屋内側及び屋外側の状況に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではなく、夫々土間コンクリート1の上方及び機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように屈曲されていれば良い。また、このさや管6の内径は、屋外側に設けられる熱源器や給湯器4に接続される配管、及び電気配線や情報配線等も含めた複数の配管類7が挿入できるように形成されているので、これらの配管類7を建物内へと引き込む際に有効に利用することができる。また、図1に示すように、屋外側の開口部62は、機械基礎5に据え付けられる給湯器4等の直下に位置し、この給湯器4の下部の周囲にはカバー41が取り付けられるので、配管類7は外部から隠れた状態になる。そのため、配管類7が外部に露出することがないので、見栄えを良くすることができる。
【0027】
また、外周基礎2の貫通孔3に挿通されたさや管6の外周と貫通孔3との隙間には、屋外側から固定部材8が挿入されることにより、さや管6が固定される。この固定部材8としては、例えば、図4に示すようなくさび型の形状を有する幅狭のくさび型固定部材8aや幅広のくさび型固定部材8b等を用いることができる。このくさび型固定部材8a、8bには、夫々前方から後方へ向かうに従って上方へと傾斜する傾斜部81が形成されている。また、幅広のくさび型固定部材8bは、固定するさや管6の外周に沿うように断面略円弧状に形成されている。この固定部材8の材質としては、ゴム製の他、樹脂製の硬質なもの等を用いることができる。
【0028】
さや管6を貫通孔3に固定する際には、図5,6に示すように、このくさび型固定部材8a、8bを傾斜部81が形成されている前方側から貫通孔3とさや管6の隙間に打ち込むことにより、容易に固定することができる。図5に示すように、幅狭のくさび型固定部材8aを用いる場合には、さや管6を確実に固定するためにさや管6の外周に沿って複数のくさび型固定部材8aを打ち込むことが好ましいが、その打ち込まれるくさび型固定部材8aの個数や位置は特に限定されるものではない。また、本実施形態では、図4〜6に示すようなくさび型の固定部材8をさや管6の固定に用いる例を示しているが、さや管6の外周を覆うOリングを固定部材として用いて、さや管6と貫通孔3との隙間の全周に挿入するようにしても良い。この場合には、さや管6と貫通孔3の間に雨水等が浸入してくるのを防止することができる。
【0029】
さや管6の屋外側の開口部62には、図2,3に示すように、複数の配管類7を工種ごとに区分けするための仕切り部材9が嵌め込まれた状態で設けられている。この仕切り部材9は、開口部62の形状に合うように円筒状に形成されており、その内部は複数の配管類7を区分けするための板状の仕切り91により複数の区画孔92が形成されている。また、図3,7に示すように、この複数の区画孔92を塞ぐようにヒレ部材10が区画孔92に夫々設けられている。
【0030】
ヒレ部材10は、伸縮性を有するものであって、例えば、薄いゴム製の部材等が用いられる。また、このヒレ部材10には、配管類7を挿通し易くするために切れ目11が夫々形成されている。従って、さや管6に挿入される配管類7は、屋外側の開口部62に設けられる仕切り部材9によって工種ごとに区分けされるとともに、伸縮性を有するヒレ部材10に挿通されることにより、配管類7の外周はヒレ部材10に密着した状態になるので、屋外側の開口部62から雨水や小動物等が侵入するのを防止するために開口部62の周囲に設けられるコーキングのバックアップ材とすることができる。尚、図2,3では、4つの区画孔92を有する仕切り部材9を用いている場合を示しているが、さや管6に挿入される配管類7の総数以上の区画孔92が形成されている仕切り部材9であれば良く、この区画孔92の数は特に限定されるものではない。
【0031】
また、開口部62に仕切り部材9を設ける代わりに、図8に示すように、さや管6に挿入する複数の配管類7を区分けするための複数の区画孔92を形成する仕切り91をさや管6の内部に一体として設けておいても良い。この場合、仕切り91は、図8(a)に示すように、屋外側の開口部62からさや管6の内部の途中まで設けたものでも、図8(b)に示すようにさや管6の内部の全域、つまり屋外側の開口部62から屋内側の開口部61に渡って設けたものでも良い。また、仕切り91により形成される複数の区画孔92には、仕切り部材9と同様に切れ目11が形成されたヒレ部材10が夫々設けられる。
【0032】
また、本発明に係る配管構造に用いられるさや管6は、図1〜6に示すような断面が略円形状に形成されているものに限定されず、図9に示すように、断面が略楕円形状に形成されているさや管6aや断面が略四角形状に形成されているさや管6b等を用いても良い。図9の(b)に示すような断面が四角形状に形成されているさや管6bを用いる場合には、鉄筋のかぶり厚を確保しつつ、最大限大きな断面積を確保することができるので、配管類7が挿入される空間を断面略円形状のさや管6よりも大きくすることができる。
【0033】
また、図3に示すような屋外側のさや管6bの開口部62に区画孔92を塞ぐヒレ部材10が設けられた仕切り部材9を嵌め込む代わりに、図10及び図11に示すように、開口部62にキャップ部材12を装着しても良い。このキャップ部材12の上面には、内部が空洞の略円錐形状の突起部13が複数設けられている。この突起部13には、例えば、ゴムやウレタン等の伸縮性を有する材質のものが用いられる。また、この突起部13の側面には、この略円錐形状の突起部13を水平面で切った場合の切り口に現われる円の径の値を示す表示線13aが所定の高さごとに記されている。
【0034】
このような複数の突起部13を有するキャップ部材12は、図11に示すように、さや管6bの開口部62を覆うように、装着部14がさや管6bの端部に装着される。突起部13の側面に記される径の値を示す表示線13aは、例えば、10mmごと等に記されており、図10及び図11に示すように、径の大きな配管類7aの場合には、その径に合う表示線13aが記されている箇所を水平に切断することにより形成される切り口に配管類7aを挿通させることができる。径の小さな配管類7bを挿通させる場合も同様にその径に合う表示線13aが記されている箇所を水平に切断して配管類7bを挿通させる。また、突起部13は、伸縮性を有するものであるので、切り口の径が配管類7の径よりも若干小さな場合でも挿通することが可能であり、挿通された配管類7の外周は、突起部13の切り口に密着した状態になる。これにより、屋外側のさや管6bの開口部62から雨水や小動物等が侵入するのを防止することができる。また、突起部13には、1つの配管類7が挿通されるので、複数の配管類7をさや管6bに挿入する際に工種ごとに配管類7の経路を確保することができる。尚、ここでは、四角形状に形成されたキャップ部材12を用いた場合を例に説明しているが、断面が円形状のさや管6の場合にも当然その形状に合うキャップ部材12を装着することにより同様の構成を採ることができる。
【0035】
図12に示すさや管6cは、屋外側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部64から屋外側の開口部62までの内径Dが拡径されて形成されている。このように、屋外側の上方へと立ち上がる部分から内径Dが拡径されているので、複数の配管類7をさや管6の屋内側の開口部61から屋外側へと挿入する際に、屋外側の屈曲部64で配管類7が詰まることを軽減することができる。これにより、配管類7のさや管6へ挿入が容易になるので、作業効率を向上させることができる。また、配管類7の引掛かりやすい立ち上がり部分から開口部62までの内径のみを拡径しているので、外周基礎2の貫通孔3を最小限の大きさにでき、構造体への負担を減らすことができる。尚、本実施形態では、屋外側の上方へと立ち上がる部分から開口部62までの内径Dが拡径されている例を示しているが、屋外側から屋内側へと配線類7を通す作業が主な場合には、屋内側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部63から屋内側の開口部61までの内径を拡径するように形成しても良い。
【0036】
また、図13に示す配管構造では、さや管6cの屋外側の開口部62を一直線上に設けるのではなく、左右どちらかにずれた位置に設けるために、屋外側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部64が傾いて形成されている。このようにさや管6cを構成することにより、屋外側の給湯器4等の向き、設置位置、配管接続位置等の状況に応じて屋外側の開口部62が設けられる位置を調整することができる。また、屋内側の開口部61についても屋内側の上方へ立ち上がるように屈曲されている屈曲部63を傾くように形成することにより同様の構成を採ることができる。
【0037】
次に、図14に示すさや管15は、可撓性を有するフレキシブル管からなるものである。このフレキシブル管をさや管15として用いる場合、硬質な材質からなる実管のように形状が固定された状態ではないので、屋内側の土間コンクリート1の上方及び屋外側の機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように、屋内側及び屋外側の両側を屈曲させて上方へと立ち上がるように調整及び保持することが難しい。そこで、図14に示すようにフレキシブル管からなるさや管15を支持部材16を2つ用いることにより、屋内側及び屋外側の立ち上がり部分の位置及び形状を固定している。
【0038】
支持部材16は、図14に示すように、さや管15の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部17と、該夫々の把持部17を所定間隔あけた状態で連結する長尺な棒状の連結部18とを備えるものである。把持部17の両端部には、夫々ボルト19を挿通させることができるボルト孔20が形成されている取付部21が設けられている。また、連結部18の両端にもボルト19が挿通可能なボルト孔(不図示)が形成されており、このボルト孔と取付部21に形成されている夫々のボルト孔20とを重ね合わせた状態でボルト19を挿通させてナット(不図示)等の締付具で螺着することにより把持部17を閉じて、さや管15の周囲を把持するとともに連結部18を固定することができる。従って、フレキシブル管からなるさや管15を所望の位置で立ち上げた状態で、支持部材16を用いることにより、図14に示すように、さや管15の位置及び形状を固定することができるので、実管を用いた場合と同じように立ち上げ位置の調整等の施工を容易に行うことができる。また、さや管15としてフレキシブル管を用いる場合でも、このさや管15の有する径よりも大きな径を有する管(不図示)をさや管15の端部に取り付けることにより、図12に示すような立ち上がり部分から開口部までが拡径された構成を採ることも可能である。
【0039】
尚、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る配管構造は、屋外に据え付けられる熱源器や給湯器等の配管や電気配線、情報配線等も含めた複数の配管類7をさや管に挿入させて屋内から屋外又は屋外から屋内へと通す際に用いる配管構造として有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 土間コンクリート
2 外周基礎(基礎)
3 貫通孔
4 給湯器(機器)
5 機械基礎
6、6a〜6d さや管
61、62 開口部
7 配管類
8、8a、8b 固定部材(くさび型固定部材)
91 仕切り
92 区画孔
10 ヒレ部材
11 切れ目
12 キャップ部材
13 突起部
15 さや管(フレキシブル管)
16 支持部材
17 把持部
18 連結部
D 内径
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内から建物の基礎の貫通孔を通って屋外へと設けられるさや管に複数の配管類を通すための配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外に据え付けられる屋外据置式の給湯器や熱源器等の複数の配管類を屋内へと引き込む場合には、例えば、図15に示すように、屋外敷地面(GL)よりも上に屋内から屋外へと通じる基礎101の貫通孔102が形成され、この貫通孔102に複数の配管類103を通すように施工されるものがある。
【0003】
また、屋外敷地面(GL)下の地中に埋没する基礎の貫通孔にフレキシブル管をさや管として挿通して、そのフレキシブル管内に配管を通すことにより屋外に据え付けられている給湯器等に接続するように施工されるものがある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の配管構造では、屋内床下から土間コンクリートを貫通させて地中に埋没した基礎の貫通孔へと挿通させたさや管に配管が通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−159162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図15に示すような配管構造の場合、配管類が屋外に据え付けられている給湯器等の裏面に露出するため、見栄えが悪くなるとともに、紫外線や風雨を直接受けるため、劣化し易いという問題がある。また、配管類と貫通孔の周囲はモルタル等で固められるため、配管類を取り替えることが困難である。
【0006】
また、特許文献1のような配管構造の場合には、さや管としてフレキシブル管が用いられているので、立ち上げ位置の調整及び一定の状態を保持することが難しいため、配管類をさや管の内部を挿通させて給湯器や熱源器等に接続させる作業が困難になる。また、このさや管は屋内床下の土間コンクリートから地中に埋没した基礎の貫通孔までは設けられているが、基礎の貫通孔より屋外側の地中ではさや管に通された配管が地中に埋没した状態になっている。そのため、配管を取り替えることが困難である。
【0007】
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みてなされたものであって、配管類の露出を少なくすることにより意匠性及び耐久性を向上させるとともに、配管類の取り付け及びメンテナンスを容易にする配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の配管構造は、基礎の貫通孔を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類を通すための配管構造であって、屋内側の土間コンクリートを貫通し、地中に埋没する基礎の貫通孔を通って屋外側に設けられる機器を据え付けるための機械基礎を貫通して上方へ立ち上がって設けられ、前記土間コンクリートの上方及び前記機械基礎の上方に夫々開口部を有するさや管に複数の配管類が挿入されることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の配管構造は、前記さや管が、硬質な材質からなるものであることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の配管構造は、前記さや管が、フレキシブル管であって、該フレキシブル管の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部と、該夫々の把持部を所定間隔あけた状態で連結する連結部とからなる支持部材を備え、該支持部材が屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管に対して夫々用いられることにより、屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管の位置及び形状を固定することを特徴としている。
【0011】
請求項4記載の配管構造は、前記さや管と前記基礎の貫通孔の隙間には、前記さや管を前記貫通孔に固定するための固定部材が挿入されることを特徴としている。
【0012】
請求項5記載の配管構造は、前記さや管の屋外側の立ち上がり部分から開口部又は前記さや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されていることを特徴としている。
【0013】
請求項6記載の配管構造は、前記さや管に挿入される複数の配管類を区分けするための複数の区画孔を形成する仕切りが設けられていることを特徴としている。
【0014】
請求項7記載の配管構造は、前記複数の区画孔を夫々塞ぐように形成された伸縮性を有するヒレ部材を備え、該ヒレ部材には前記配管類を挿通するための切れ目が形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項8記載の配管構造は、前記さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着され、前記配管類の径に合わせて前記突起部を水平に切断した切り口に前記配管類が挿通されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の配管構造によれば、複数の配管類は屋内側の土間コンクリートから給湯器や熱源器が据え付けられる機械基礎の上面までさや管内を通っている。従って、配管類は機械基礎に据え付けられる給湯器等の直下に出てくることになり、給湯器等の下部に取り付けられるカバーにより隠れた状態になるので、外部に配管類が露出することがなく、見栄えを良くすることができる。また、配管類が紫外線や風雨等を受けることによる劣化を防止することができるので、配管類の耐久性を向上させることができる。また、配管類はさや管内を通すことにより、屋内から屋外又は屋外から屋内へと通すことができるので、配管類の施工及びメンテナンス等が容易になる。
【0017】
請求項2記載の配管構造によれば、さや管は、例えば、硬質塩化ビニル管等の硬質な材質からなるものであるため、形状が決まっており、フレキシブル管のように形状が崩れることはないので、立ち上げ位置の調整等の施工が容易になる。
【0018】
請求項3記載の配管構造によれば、フレキシブル管からなるさや管の屋内側及び屋外側を夫々支持部材を用いることにより、当該フレキシブル管の位置及び形状を固定しているので、実管を用いた場合と同じように立ち上げ位置の調整等の施工が容易になる。
【0019】
請求項4記載の配管構造によれば、基礎の貫通孔と該貫通孔に挿通されるさや管との隙間に固定部材が挿入されるので、さや管の固定を確実に行うことができる。
【0020】
請求項5記載の配管構造によれば、さや管の屋外側の立ち上がり部分から機械基礎の上面に位置する開口部又はさや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されているため、複数の配管をさや管に挿入する際に配管がさや管内の立ち上がり部分で詰まることを軽減することができるので、配管類をさや管へ挿入する作業の効率を向上させることができる。
【0021】
請求項6記載の配管構造によれば、複数の配管類を区分けするための区画孔を形成する仕切りが設けられているので、複数の配管類をさや管に挿入する際に工種ごとに配管類の経路を確保することができる。
【0022】
請求項7記載の配管構造によれば、工種ごとに配管類の経路を区分けするための複数の区画孔に夫々切れ目が形成された伸縮性を有するヒレ部材が設けられている。従って、配管類を伸縮性を有するヒレ部材の切れ目から挿通させることにより夫々の配管類の外周はヒレ部材に密着した状態になるので、屋外側のさや管の開口部から雨水や小動物等が侵入するのを防止するためのコーキングのバックアップ材の役割を果たすことができる。
【0023】
請求項8記載の配管構造によれば、さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着されているので、この円錐形状の突起部を挿通させる配管類の外径に合わせて突起部の所定位置を切断することにより形成された切り口に、配管類の外周を密着させた状態で挿通させることができる。これにより、屋外側のさや管の開口部から雨水や小動物等が侵入するのを防止することができるとともに、複数の配管類をさや管に挿入する際に工種ごとに配管類の経路を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る配管構造の一例を示す概略模式図である。
【図2】本発明に係る配管構造の一例を示す概略平面断面図である。
【図3】さや管の構造の一例を説明するための概略図であって、(a)はさや管の概略正面図であり、(b)はさや管の概略平面図である。
【図4】固定部材の一例を示す概略斜視図であって、(a)は幅狭のくさび型固定部材を示しており、(b)は幅広のくさび型固定部材を示している。
【図5】さや管を外周基礎に固定した状態を示す概略模式図であって、(a)は幅狭のくさび型固定部材を用いた場合を示しており、(b)は幅広のくさび型固定部材を用いた場合を示している。
【図6】図5のA−A線断面図である。
【図7】仕切り部材の構造の一例を示す概略斜視図である。
【図8】さや管の内部に仕切りを設けた場合の構造を示す概略正面図であって、(a)はさや管の内部の途中まで仕切りを設けた場合を示しており、(b)はさや管の内部全域に仕切りを設けた場合を示している。
【図9】さや管の構造の他の一例を示す概略図であって、(a)は断面楕円状のさや管を示す概略平面図であり、(b)は断面四角形状のさや管を示す概略平面図である。
【図10】さや管の開口部に装着するキャップ部材の構造の一例を説明するための概略平面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】さや管の構造の更に他の一例を示す概略正面図である。
【図13】本発明に係る配管構造の他の一例を示す概略平面断面図である。
【図14】フレキシブル管であるさや管の支持の仕方について説明するための概略模式図である。
【図15】従来の配管構造の一例を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る配管構造について、各図面を用いて説明する。本発明に係る配管構造は、図1,2に示すように、屋内側の土間コンクリート1を貫通し、屋外敷地面(GL)より下の地中に埋没する外周基礎2の貫通孔3を通って、屋外側に設けられる熱源器や給湯器4等の機器を据え付けるための機械基礎5を貫通して上方へと立ち上がって設けられるさや管6内に複数の配管類7を挿入させることにより、複数の配管類7が屋内から屋外又は屋外から屋内へと通されるものである。従って、
【0026】
このように外周基礎2の貫通孔3に挿通させられて設けられるさや管6は、例えば、硬質塩化ビニル管等の硬質な材質からなる実管である。さや管6は、図1,2に示すように、屋内側の土間コンクリート1の上方及び屋外側の機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように、屋内側及び屋外側の両側には、屈曲して上方へと立ち上がる屈曲部63,64が夫々形成されている。また、このさや管6は、外周基礎2の貫通孔3の屋内側及び屋外側の両側から夫々嵌め込んで設けられるように、2つの塩化ビニル管等が組み合わされて構成されているので、さや管6の屋内側及び屋外側に夫々屈曲部63,64が形成されていても外周基礎2の貫通孔3に挿通させることができる。尚、本実施形態では、屋内側の屈曲部63は、図1,3に示すように、さや管の曲げ角度が略45°になるように形成されており、屋外側の屈曲部64では、さや管6の曲げ角度が略直角になるように形成されているが、これらの曲げ角度は屋内側及び屋外側の状況に応じて適宜決定されるものであり、特に限定されるものではなく、夫々土間コンクリート1の上方及び機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように屈曲されていれば良い。また、このさや管6の内径は、屋外側に設けられる熱源器や給湯器4に接続される配管、及び電気配線や情報配線等も含めた複数の配管類7が挿入できるように形成されているので、これらの配管類7を建物内へと引き込む際に有効に利用することができる。また、図1に示すように、屋外側の開口部62は、機械基礎5に据え付けられる給湯器4等の直下に位置し、この給湯器4の下部の周囲にはカバー41が取り付けられるので、配管類7は外部から隠れた状態になる。そのため、配管類7が外部に露出することがないので、見栄えを良くすることができる。
【0027】
また、外周基礎2の貫通孔3に挿通されたさや管6の外周と貫通孔3との隙間には、屋外側から固定部材8が挿入されることにより、さや管6が固定される。この固定部材8としては、例えば、図4に示すようなくさび型の形状を有する幅狭のくさび型固定部材8aや幅広のくさび型固定部材8b等を用いることができる。このくさび型固定部材8a、8bには、夫々前方から後方へ向かうに従って上方へと傾斜する傾斜部81が形成されている。また、幅広のくさび型固定部材8bは、固定するさや管6の外周に沿うように断面略円弧状に形成されている。この固定部材8の材質としては、ゴム製の他、樹脂製の硬質なもの等を用いることができる。
【0028】
さや管6を貫通孔3に固定する際には、図5,6に示すように、このくさび型固定部材8a、8bを傾斜部81が形成されている前方側から貫通孔3とさや管6の隙間に打ち込むことにより、容易に固定することができる。図5に示すように、幅狭のくさび型固定部材8aを用いる場合には、さや管6を確実に固定するためにさや管6の外周に沿って複数のくさび型固定部材8aを打ち込むことが好ましいが、その打ち込まれるくさび型固定部材8aの個数や位置は特に限定されるものではない。また、本実施形態では、図4〜6に示すようなくさび型の固定部材8をさや管6の固定に用いる例を示しているが、さや管6の外周を覆うOリングを固定部材として用いて、さや管6と貫通孔3との隙間の全周に挿入するようにしても良い。この場合には、さや管6と貫通孔3の間に雨水等が浸入してくるのを防止することができる。
【0029】
さや管6の屋外側の開口部62には、図2,3に示すように、複数の配管類7を工種ごとに区分けするための仕切り部材9が嵌め込まれた状態で設けられている。この仕切り部材9は、開口部62の形状に合うように円筒状に形成されており、その内部は複数の配管類7を区分けするための板状の仕切り91により複数の区画孔92が形成されている。また、図3,7に示すように、この複数の区画孔92を塞ぐようにヒレ部材10が区画孔92に夫々設けられている。
【0030】
ヒレ部材10は、伸縮性を有するものであって、例えば、薄いゴム製の部材等が用いられる。また、このヒレ部材10には、配管類7を挿通し易くするために切れ目11が夫々形成されている。従って、さや管6に挿入される配管類7は、屋外側の開口部62に設けられる仕切り部材9によって工種ごとに区分けされるとともに、伸縮性を有するヒレ部材10に挿通されることにより、配管類7の外周はヒレ部材10に密着した状態になるので、屋外側の開口部62から雨水や小動物等が侵入するのを防止するために開口部62の周囲に設けられるコーキングのバックアップ材とすることができる。尚、図2,3では、4つの区画孔92を有する仕切り部材9を用いている場合を示しているが、さや管6に挿入される配管類7の総数以上の区画孔92が形成されている仕切り部材9であれば良く、この区画孔92の数は特に限定されるものではない。
【0031】
また、開口部62に仕切り部材9を設ける代わりに、図8に示すように、さや管6に挿入する複数の配管類7を区分けするための複数の区画孔92を形成する仕切り91をさや管6の内部に一体として設けておいても良い。この場合、仕切り91は、図8(a)に示すように、屋外側の開口部62からさや管6の内部の途中まで設けたものでも、図8(b)に示すようにさや管6の内部の全域、つまり屋外側の開口部62から屋内側の開口部61に渡って設けたものでも良い。また、仕切り91により形成される複数の区画孔92には、仕切り部材9と同様に切れ目11が形成されたヒレ部材10が夫々設けられる。
【0032】
また、本発明に係る配管構造に用いられるさや管6は、図1〜6に示すような断面が略円形状に形成されているものに限定されず、図9に示すように、断面が略楕円形状に形成されているさや管6aや断面が略四角形状に形成されているさや管6b等を用いても良い。図9の(b)に示すような断面が四角形状に形成されているさや管6bを用いる場合には、鉄筋のかぶり厚を確保しつつ、最大限大きな断面積を確保することができるので、配管類7が挿入される空間を断面略円形状のさや管6よりも大きくすることができる。
【0033】
また、図3に示すような屋外側のさや管6bの開口部62に区画孔92を塞ぐヒレ部材10が設けられた仕切り部材9を嵌め込む代わりに、図10及び図11に示すように、開口部62にキャップ部材12を装着しても良い。このキャップ部材12の上面には、内部が空洞の略円錐形状の突起部13が複数設けられている。この突起部13には、例えば、ゴムやウレタン等の伸縮性を有する材質のものが用いられる。また、この突起部13の側面には、この略円錐形状の突起部13を水平面で切った場合の切り口に現われる円の径の値を示す表示線13aが所定の高さごとに記されている。
【0034】
このような複数の突起部13を有するキャップ部材12は、図11に示すように、さや管6bの開口部62を覆うように、装着部14がさや管6bの端部に装着される。突起部13の側面に記される径の値を示す表示線13aは、例えば、10mmごと等に記されており、図10及び図11に示すように、径の大きな配管類7aの場合には、その径に合う表示線13aが記されている箇所を水平に切断することにより形成される切り口に配管類7aを挿通させることができる。径の小さな配管類7bを挿通させる場合も同様にその径に合う表示線13aが記されている箇所を水平に切断して配管類7bを挿通させる。また、突起部13は、伸縮性を有するものであるので、切り口の径が配管類7の径よりも若干小さな場合でも挿通することが可能であり、挿通された配管類7の外周は、突起部13の切り口に密着した状態になる。これにより、屋外側のさや管6bの開口部62から雨水や小動物等が侵入するのを防止することができる。また、突起部13には、1つの配管類7が挿通されるので、複数の配管類7をさや管6bに挿入する際に工種ごとに配管類7の経路を確保することができる。尚、ここでは、四角形状に形成されたキャップ部材12を用いた場合を例に説明しているが、断面が円形状のさや管6の場合にも当然その形状に合うキャップ部材12を装着することにより同様の構成を採ることができる。
【0035】
図12に示すさや管6cは、屋外側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部64から屋外側の開口部62までの内径Dが拡径されて形成されている。このように、屋外側の上方へと立ち上がる部分から内径Dが拡径されているので、複数の配管類7をさや管6の屋内側の開口部61から屋外側へと挿入する際に、屋外側の屈曲部64で配管類7が詰まることを軽減することができる。これにより、配管類7のさや管6へ挿入が容易になるので、作業効率を向上させることができる。また、配管類7の引掛かりやすい立ち上がり部分から開口部62までの内径のみを拡径しているので、外周基礎2の貫通孔3を最小限の大きさにでき、構造体への負担を減らすことができる。尚、本実施形態では、屋外側の上方へと立ち上がる部分から開口部62までの内径Dが拡径されている例を示しているが、屋外側から屋内側へと配線類7を通す作業が主な場合には、屋内側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部63から屋内側の開口部61までの内径を拡径するように形成しても良い。
【0036】
また、図13に示す配管構造では、さや管6cの屋外側の開口部62を一直線上に設けるのではなく、左右どちらかにずれた位置に設けるために、屋外側の上方へと立ち上がるように屈曲されている屈曲部64が傾いて形成されている。このようにさや管6cを構成することにより、屋外側の給湯器4等の向き、設置位置、配管接続位置等の状況に応じて屋外側の開口部62が設けられる位置を調整することができる。また、屋内側の開口部61についても屋内側の上方へ立ち上がるように屈曲されている屈曲部63を傾くように形成することにより同様の構成を採ることができる。
【0037】
次に、図14に示すさや管15は、可撓性を有するフレキシブル管からなるものである。このフレキシブル管をさや管15として用いる場合、硬質な材質からなる実管のように形状が固定された状態ではないので、屋内側の土間コンクリート1の上方及び屋外側の機械基礎5の上方に夫々開口部61,62が位置するように、屋内側及び屋外側の両側を屈曲させて上方へと立ち上がるように調整及び保持することが難しい。そこで、図14に示すようにフレキシブル管からなるさや管15を支持部材16を2つ用いることにより、屋内側及び屋外側の立ち上がり部分の位置及び形状を固定している。
【0038】
支持部材16は、図14に示すように、さや管15の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部17と、該夫々の把持部17を所定間隔あけた状態で連結する長尺な棒状の連結部18とを備えるものである。把持部17の両端部には、夫々ボルト19を挿通させることができるボルト孔20が形成されている取付部21が設けられている。また、連結部18の両端にもボルト19が挿通可能なボルト孔(不図示)が形成されており、このボルト孔と取付部21に形成されている夫々のボルト孔20とを重ね合わせた状態でボルト19を挿通させてナット(不図示)等の締付具で螺着することにより把持部17を閉じて、さや管15の周囲を把持するとともに連結部18を固定することができる。従って、フレキシブル管からなるさや管15を所望の位置で立ち上げた状態で、支持部材16を用いることにより、図14に示すように、さや管15の位置及び形状を固定することができるので、実管を用いた場合と同じように立ち上げ位置の調整等の施工を容易に行うことができる。また、さや管15としてフレキシブル管を用いる場合でも、このさや管15の有する径よりも大きな径を有する管(不図示)をさや管15の端部に取り付けることにより、図12に示すような立ち上がり部分から開口部までが拡径された構成を採ることも可能である。
【0039】
尚、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明に係る配管構造は、屋外に据え付けられる熱源器や給湯器等の配管や電気配線、情報配線等も含めた複数の配管類7をさや管に挿入させて屋内から屋外又は屋外から屋内へと通す際に用いる配管構造として有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 土間コンクリート
2 外周基礎(基礎)
3 貫通孔
4 給湯器(機器)
5 機械基礎
6、6a〜6d さや管
61、62 開口部
7 配管類
8、8a、8b 固定部材(くさび型固定部材)
91 仕切り
92 区画孔
10 ヒレ部材
11 切れ目
12 キャップ部材
13 突起部
15 さや管(フレキシブル管)
16 支持部材
17 把持部
18 連結部
D 内径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の貫通孔を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類を通すための配管構造であって、
屋内側の土間コンクリートを貫通し、地中に埋没する基礎の貫通孔を通って屋外側に設けられる機器を据え付けるための機械基礎を貫通して上方へ立ち上がって設けられ、前記土間コンクリートの上方及び前記機械基礎の上方に夫々開口部を有するさや管に複数の配管類が挿入されることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記さや管は、硬質な材質からなるものであることを特徴とする請求項1記載の配管構造。
【請求項3】
前記さや管は、フレキシブル管であって、該フレキシブル管の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部と、該夫々の把持部を所定間隔あけた状態で連結する連結部とからなる支持部材を備え、
該支持部材が屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管に対して夫々用いられることにより、屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管の位置及び形状を固定することを特徴とする請求項1記載の配管構造。
【請求項4】
前記さや管と前記基礎の貫通孔の隙間には、前記さや管を前記貫通孔に固定するための固定部材が挿入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の配管構造。
【請求項5】
前記さや管の屋外側の立ち上がり部分から開口部又は前記さや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配管構造。
【請求項6】
前記さや管に挿入される複数の配管類を区分けするための複数の区画孔を形成する仕切りが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の配管構造。
【請求項7】
前記複数の区画孔を夫々塞ぐように形成された伸縮性を有するヒレ部材を備え、該ヒレ部材には前記配管類を挿通するための切れ目が形成されていることを特徴とする請求項6記載の配管構造。
【請求項8】
前記さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着され、前記配管類の径に合わせて前記突起部を水平に切断した切り口に前記配管類が挿通されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の配管構造。
【請求項1】
基礎の貫通孔を通って屋内から屋外又は屋外から屋内へと複数の配管類を通すための配管構造であって、
屋内側の土間コンクリートを貫通し、地中に埋没する基礎の貫通孔を通って屋外側に設けられる機器を据え付けるための機械基礎を貫通して上方へ立ち上がって設けられ、前記土間コンクリートの上方及び前記機械基礎の上方に夫々開口部を有するさや管に複数の配管類が挿入されることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記さや管は、硬質な材質からなるものであることを特徴とする請求項1記載の配管構造。
【請求項3】
前記さや管は、フレキシブル管であって、該フレキシブル管の外周を夫々異なる位置でリング状に把持する2つの把持部と、該夫々の把持部を所定間隔あけた状態で連結する連結部とからなる支持部材を備え、
該支持部材が屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管に対して夫々用いられることにより、屋内側に位置する前記フレキシブル管及び屋外側に位置する前記フレキシブル管の位置及び形状を固定することを特徴とする請求項1記載の配管構造。
【請求項4】
前記さや管と前記基礎の貫通孔の隙間には、前記さや管を前記貫通孔に固定するための固定部材が挿入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の配管構造。
【請求項5】
前記さや管の屋外側の立ち上がり部分から開口部又は前記さや管の屋内側の立ち上がり部分から開口部までの径が拡径されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配管構造。
【請求項6】
前記さや管に挿入される複数の配管類を区分けするための複数の区画孔を形成する仕切りが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の配管構造。
【請求項7】
前記複数の区画孔を夫々塞ぐように形成された伸縮性を有するヒレ部材を備え、該ヒレ部材には前記配管類を挿通するための切れ目が形成されていることを特徴とする請求項6記載の配管構造。
【請求項8】
前記さや管の屋外側の開口部には、伸縮性を有する円錐形状の突起部を複数備えるキャップ部材が装着され、前記配管類の径に合わせて前記突起部を水平に切断した切り口に前記配管類が挿通されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の配管構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−247374(P2011−247374A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122775(P2010−122775)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】
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