配管用厚さ測定装置
【課題】1個の線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置を提供する。
【解決手段】被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部100と、ベース部100のブレード部の外周に沿って移動する側面移動部200と、側面移動部200に取り付けられる測定部300と、側面移動部200を移動させる移動用駆動部と、測定部300のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、を備え、所定角度毎の測定部300からの検出信号を蓄積し、120°毎に異なる3箇所の検出信号からスリービーム方式の原理により肉厚を測定する配管用厚さ測定装置1とした。
【解決手段】被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部100と、ベース部100のブレード部の外周に沿って移動する側面移動部200と、側面移動部200に取り付けられる測定部300と、側面移動部200を移動させる移動用駆動部と、測定部300のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、を備え、所定角度毎の測定部300からの検出信号を蓄積し、120°毎に異なる3箇所の検出信号からスリービーム方式の原理により肉厚を測定する配管用厚さ測定装置1とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減肉または付着により変化する配管の肉厚を測定する配管用厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配管用厚さ測定装置に係る従来技術として、例えば、特許文献1(特開2009−36708号公報,発明の名称:配管用厚さ測定装置)に記載された発明が知られている。特許文献1には、管径の異なる多数種類の配管に対して線源とセンサの検出部とを結ぶ線が配管のほぼ中心を通るような正確な装着を実現し、使い勝手の向上および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置が開示されている。
【0003】
また、配管用厚さ測定装置に係る他の従来技術として、例えば、特許文献2(特開昭58−158510号公報,発明の名称:管状材の肉厚測定装置)に記載された発明が知られている。特許文献2の第1図には、三箇所のγ線源から三角状に放射して三箇所のセンサで検出するスリービーム方式を測定原理とする肉厚測定装置が開示されている。スリービーム方式では演算により各箇所の肉厚が算出できるため高精度の検出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36708号公報(段落番号0010〜0024,図1)
【特許文献2】特開昭58−158510号公報(第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の配管用厚さ測定装置では、放射線を検知するセンサと放射線の線源を直線上に対向させた状態でその中間に配管を設置し、線源から放射されて直進して貫通する放射線の透過量をセンサで測定することにより配管の厚さを算定するものであり、特に放射線の透過量の増減によって、配管の減肉(付着)を検知する。
【0006】
しかし、円筒状の配管の測定では、外部からの放射線照射で一度外側から内側に透過した後、さらに内側から外側に透過して放出される放射線を測定するので放射線を透過する箇所が2箇所存在する。そのため放射線の透過量から導かれる厚さは、2箇所の厚さの合計値となる。
【0007】
この場合、透過量の増減による減肉(付着)は検知しても、入射側・出射側どちらかの減肉(付着)であるか特定できない。このように測定原理上では二箇所の肉厚を合算して検出するというものであり、検出精度の向上の余地があるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の測定装置では、高い検出精度にて肉厚が計測できるが、三個のγ線源を用いるためコスト低減が容易ではないという問題があった。
また、三箇所のγ線源から三角状に放射して三箇所のセンサで検出する機構であり、機械的に精度が要求され、この点でもコスト低減が容易ではないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1個の線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
配管に取り付けられ、円状のブレード部を有するベース部と、
複数の側面体を支軸部により折り曲げ自在に連結し、ベース部の円状のブレード部に巻回して回転移動するように取り付けられる側面移動部と、
側面移動部をベース部に沿って回転駆動させる移動用駆動部と、
側面移動部に取り付けられて側面移動部とともに回転し、配管へ照射した放射線の透過量を測定して検出信号として出力する測定部と、
移動用駆動部および測定部が接続され、側面移動部を所定角度毎に位置決めするように移動用駆動部を駆動制御するとともに所定角度毎の測定部の検出信号に基づいて所定角度毎の配管の肉厚を算出する演算・制御駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
配管に配置固定される配管固定部、および、外周が円状に設けられており配管固定部に複数段で固定される複数のブレード部を有し、被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部と、
ベース部のブレード部の外周に沿って移動するように支持する複数の支持部、複数の支持部が固定されてブレード部に沿って移動するようになされる複数の側面体、および、複数の側面体を軸支連結する支軸部を有し、複数の側面体による連結体が配管の側面を移動する側面移動部と、
側面移動部に取り付けられるセンサ固定部、センサ固定部に取り付けられる線源側アーム、線源側アームに対して摺動して位置決めされる線源、センサ固定部に取り付けられるセンサ側アーム、および、センサ側アームに対して摺動して位置決めされるセンサ、を有し、線源およびセンサは、線源からセンサまでの線と配管の円とで弓形をなすように配置される測定部と、
側面移動部を移動させる移動用駆動部と、
測定部のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、
を備え、
演算・制御駆動部は、
側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する駆動制御手段と、
線源が配管へ照射した放射線の透過量を測定するセンサからの検出信号に基づいて所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する合算値算出手段と、
所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
として機能することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
請求項2に記載の配管用厚さ測定装置において、
演算・制御駆動部に接続されており、配管の肉厚についてのプロフィールを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
請求項2または請求項3に記載の配管用厚さ測定装置において、
前記ブレード部は外周付近に断面三角形状のブレード先端部を備え、
前記支持部はブレード先端部の両面に沿って移動する上下二段のローラ部を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明によれば、1個の線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の使用状態の斜視外観図である。
【図2】ベース部の説明図であり、図2(a)は斜視外観図、図2(b)は側面図である。
【図3】側面移動部および測定部の説明図であり、図3(a)は斜視外観図、図3(b)は他方向からの斜視外観図である。
【図4】側面移動部の支持部の説明図である。
【図5】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の使用状態の外観図であり、図5(a)は平面図、図3(b)は正面図である。
【図6】移動用駆動部の説明図であり、図6(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
【図7】回路系の説明図であり、図7(a)は回路ブロック図、図7(b)はセンサの詳細ブロック図である。
【図8】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の配管への取り付けの説明図であり、図8(a)は配管を示す図、図8(b)は配管へのベース部の取り付け状態を示す図である。
【図9】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の配管への取り付けの説明図であり、図9(a)は側面移動部の取り付けを示す図、図9(b)は他方向からの側面移動部の取り付けを示す図である。
【図10】肉厚の検出原理の説明図であり、図10(a)は0°の検出の説明図、図10(b)は120°の検出の説明図である。
【図11】肉厚の検出原理の説明図であり、図11(a)は240°の検出の説明図、図11(b)はスリービーム方式の検出の説明図である。
【図12】A点での肉厚の説明である。
【図13】プロフィールの説明である。
【図14】他の形態のエンコーダの説明である。
【図15】他の形態のブロック回路図である。
【図16】他の形態のエンコーダの説明である。
【図17】他の形態のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、配管用厚さ測定装置1について図1を参照しつつ説明する。図1では配管用厚さ測定装置1の全体構造および使用状態について示している。配管用厚さ測定装置1は、図1で示すようにベース部100、側面移動部200、測定部300を備える。この配管用厚さ測定装置1は配管2に取り付けられて使用される。この配管2は、保温材や外装板で覆われている。
【0017】
続いて配管用厚さ測定装置1の各部について説明する。
ベース部100は、図2(a)で示すように取り付けられるものであり、詳しくは図2(b)で示すように配管固定部110、ブレード部120を備える。なお、図2(a),(b)ではこのベース部100のみが配管2に取り付けられた態様で図示されている。
配管固定部110は、図2(b)で示すように、配管2に配置固定される固定具である。配管固定部110は、各種形態が可能であるが、固定部本体111,112をバンド締結体113,114により締結して配管2から落ちないように強固に固定する構成を採用することができる。バンド締結体113,114は歯付ベルトなど各種のスリップレスベルトを用いることができる。
【0018】
ブレード部120は、図2(a),(b)で示すように、上側ブレード部121、下側ブレード部122を備える。上側ブレード部121は、二枚の半環状円板121a,121bを組み合わせて環状円板として形成するものである。また、下側ブレード部122は、二枚の半環状円板122a,122bを組み合わせて環状円板として形成するものである。上側ブレード部121は固定部本体111,112の上側で固定される。下側ブレード部122は固定部本体111,112の下側で固定される。上側ブレード部121および下側ブレード部122の外周は円状に形成される。また、後述するが上側ブレード部121および下側ブレード部122の外周側先端の円状のブレード先端部121c,122cは断面が三角形状に形成される。
ベース部100はこのようなものである。
【0019】
側面移動部200は、図3(a),(b)で示すように、複数の支持部210、複数の支持部付き側面体220、複数の連結用側面体230、支軸部240を備える。なお、図3(a),(b)では側面移動部200および測定部300が併せて図示されている。なお、図面の明瞭化のため後述する移動用駆動部については図示を省略している。
支持部210は、図4で示すように、支持本体211、ローラ部212を備える。この支持部210はブレード先端部121cを支持する態様を示しているが、ブレード先端部122cでも同様に支持される。以下、ブレード先端部121cでの支持について説明し、ブレード先端部122cの支持については同様であるとして重複する説明を省略する。
【0020】
支持本体211は断面C字状体211aを含むように形成され、その断面C字状体の内側に上下二個のローラ部212が配置される。これら上下二個のローラ部212の両側面は略90°で交差する。そして上下二個のローラ部212の両側面がブレード先端部121cと当接する。上下二個のローラ部212の回転により、支持部210はブレード先端部121cに沿って円滑に移動する。このような複数の支持部210が複数箇所でブレード先端部121cに沿って円滑に移動することで、複数の支持部付き側面体220と複数の連結用側面体230とからなる側面移動部200は、配管2の管軸を中心に回転移動が可能となる。
【0021】
複数の支持部付き側面体220は、板体221および上下の対向辺から突出する突設部222により断面コ字状に形成された構造体である。この支持部付き側面体220は板体221の一方の面の四隅にそれぞれ支持部210が四個取り付けられている。また上下2箇所の突設部222の端側であって対向する位置に孔部が形成されている。
【0022】
連結用側面体230は板体231および上下の対向辺から突出する突設部232により断面コ字状に形成された構造体である。連結用側面体230には支持部210は取り付けられていないが、端側に孔部が形成された突設部232が支持部付き側面体220の突設部222内に入り込むように設けられている。
【0023】
支軸部240は支持部付き側面体220の突設部222の孔部と、連結用側面体230の突設部232の孔部と、に挿通される。そして、支持部付き側面体220と連結用側面体230とが、支軸部240により折り曲げ可能な状態で、交互に連結される。側面移動部200全体としては、略円状に折り曲げ可能な連結体として構成される。
【0024】
連結固定部250は、図5の使用状態図で示すように側面移動部200をベース部100に移動可能に支持した状態のときに、側面移動部200の両端を連結して円状に形成する。連結固定部250は各種構成が可能であるが、側面移動部200の両端で回動可能に軸支連結される2個のL字状体251、252を複数本のボルト253により位置決めしつつ固定する。このような側面移動部200は、ブレード先端部121c,122cにそれぞれ当接する支持部210の上下二段のローラ部212が円滑に回転するため、ベース部100に沿って滑らかに回転する。
【0025】
測定部300は、図3(a),(b),図5で示すように、ベース部310、線源側アーム320、線源330、センサ側アーム340、センサ350を備える。
ベース部310は、側面移動部200に取り付けられて固定される。ベース部310はT字状に形成されている
【0026】
線源側アーム320は、図3(b)で示すように、ベース部310の一方の先端に固定されている。線源側アーム320は、ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、配管2の接線方向の垂直方向と略平行方向に伸びるように設けられる。線源側アーム320の側面にはあり溝を含む摺動面が形成されており、線源330を接線方向の垂直方向と略平行方向に摺動可能に支持するように構成されている。
【0027】
線源330は例えばγ線源であり、図3(b)で示すように、線源側アーム320に固定されており、放射線を放射する。この放射線は指向性を有する。ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、放射線の放射方向は、配管2の接線方向と一致する。
【0028】
センサ側アーム340は、図3(b)で示すように、ベース部310の他方の先端に固定されている。センサ側アーム340は、ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、配管2の接線方向の垂直方向と略平行方向に伸びるように設けられる。センサ側アーム340の側面にはあり溝を含む摺動面が形成されており、センサ350を接線方向の垂直方向と略平行方向に摺動可能に支持するように構成されている。
【0029】
センサ350は、図3(b)で示すように、センサ側アーム340に固定されており、配管2を通過した放射線量を表す信号を出力する。この放射線量を表す信号は演算・制御駆動部500へ入力されて放射線の透過量が算出され、さらに後述するスリービーム方式の原理により配管2の肉厚が算出される。
【0030】
線源330およびセンサ350は、図5で示すように、線源330からセンサ350までの線と配管2の管壁に沿った円とで弓形をなすように配置される。線源330およびセンサ350の位置決めは、5°,10°,15°という所定角度毎になされる。この角度は、後述するが線源330からセンサ350までによる線が正三角形の一辺を形成する角度が含まれるように決定される。
【0031】
移動用駆動部400は、図6(a),(b)で示すように、ステッピングモータ410、伝導ローラ420を備える。ステッピングモータ410は後述する演算・制御駆動部500に接続される。演算・制御駆動部500が所定励磁石シーケンスによる駆動信号をステッピングモータ410へ出力すると、ステッピングモータ410は所定角度毎に高トルクにて回転していく。そして伝導ローラ420が回転して側面移動部200を移動させる。このような移動用駆動部400を複数箇所に配置することで、側面移動部200を所望の回転角度分だけ確実に移動させることが可能となる。
【0032】
演算・制御駆動部500は、不図示のCPUと測定演算プログラムを格納した記憶部からなり、図7(a)で示すようにセンサ350、ステッピングモータ410および表示部600に接続される。ステッピングモータ410では内蔵エンコーダ410aからパルス信号を受信して側面移動部200の位置検出に用いられる。またセンサ350は、詳しくは図7(b)で示すように、シンチレータ351、光電子変換器352、増幅回路353、充電池354、通信部355を備えている。
【0033】
シンチレータ351が放射線を検出して出力する光電子が光電子変換器352へ入力される。放射線の透過量の増減に応じて光電子量は増減する。光電子変換器352は入力された光電子の量に応じて検出信号を出力する。検出信号は、充電池354により高電圧が印加された増幅回路353へ入力されると、増幅回路353によって十分な信号レベルとなるように増幅された上で通信部355へ出力される。通信部355は、有線又は無線により演算・制御駆動部500へ検出信号を送信する。演算・制御駆動部500は後述する検出原理により検出信号から配管2の厚さを測定する。
【0034】
続いて、実際の測定処理について説明する。まず、配管用厚さ測定装置1が配管2に取り付けられる。最初に測定位置マーキングを行い、正確な計測位置を明示する。続いて図8(a)で示すような被測定対象となる配管2に対し、図8(b)で示すようにベース部100を取り付ける。続いて、図9(a),(b)で示すように全ての支持部210がブレード先端部121c,122cに嵌め込まれた状態とし、図5(a),(b)で示すように連結固定部250により固定して側面移動部200を形成する。この祭、連結固定部250を緩く締結すると側面移動部200が落下するおそれがあり、また、連結固定部250をきつく締結すると側面移動部200が移動しないおそれがあるため、最適な力で締結する。続いて、配管2の直径に応じて線源330、センサ350の位置を調整する。先に説明したように線源330からセンサ350による線が弓形を形成し、図11(b)のように線源330からセンサ350による線が120°毎では正三角形の一辺をなすように決定される。このような位置とするには、配管2の半径(詳しくは[外径+内径]/4)がaであるならば中心からa/2ずらした位置である。このようにして配管用厚さ測定装置1の取り付けが完了する。
【0035】
続いて実際の測定を行うが、まず測定原理について説明する。例えば、図10(a)のように線源330から放射線が照射されてセンサ350が放射線の透過量を検出して検出信号を出力したものとする。ここに演算・制御駆動部500が検出信号を得たとき、まず次式に基づいて処理を行う。
【0036】
【数1】
【0037】
検出信号はNに該当し、他のN0、μ、Kは予め算出されている。したがって検出信号Nから配管2の肉厚tが算出される。なお、放射線は配管2で二箇所を通過しているため、tは二箇所の肉厚を表しており、このままでは使用できない。そこで、後述するスリービーム方式による変換処理により配管2の各箇所の肉厚を算出する。
【0038】
続いてスリービーム方式による変換原理について説明する。
側面移動部200がまず、図10(a)のような位置まで移動したときに測定部が検出信号を得たとする。続いて、図10(b)のように120°移動したときに測定部が検出信号を得たとする。続いて、図11(a)のようにさらに120°(合計240°)移動したときに測定部が検出信号を得たとする。この場合、全て合成すると、図11(b)のように配管2の中心点と同じ中心点を有する正三角形が形成されるというものであり、スリービーム方式の原理により配管2の肉厚を算出することができる。本発明は一個の線源330によりスリービーム方式を実現する点で優れている。
【0039】
この正三角形の角は、図12に示すように、被測定対象である配管2の規格である外径と内径のちょうど中間径上にあるものとする。
対角線を結んで成立する正三角形の角をそれぞれ角N(A)、角N(B)、角N(C)とし、これら角N(A)、角N(B)、角N(C)の各交差線を各々延伸した方向、A→B、B→C、C→Aを−で表記し、A←B、B←C、C←Aを+で表記したとき、内径〜外径間の長さであるD+(A),D−(A),D+(B),D−(B),D+(C),D−(C)は、幾何学的にD+(A)=D−(A),D+(B)=D−(B),D+(C)=D−(C)である。
【0040】
そこで、被測定対象の、角N(A)、角N(B)、角N(C)における円筒の厚さD(A)、D(B)、D(C)での放射線減衰が内径での放射線減衰よりも十分大きければD(A)=D+(A)=D−(A)、D(B)=D+(B)=D−(B)、D(C)=D+(C)=D−(C)とみなしても良い。
上記の角N(A)、角N(B)、角N(C)で形成される正三角形の対角線上に線源330とセンサ350を相対させ、各々の対角線における放射線透過量を測定する。
なお、D+(A),D+(B),D+(C)上を透過する放射線透過量をそれぞれR(A),R(B),R(C)と表記する。
【0041】
3つの放射線透過量R(A),R(B),R(C)と、D(A),D(B),D(C)は以下の関係がある
R(A)は、D+(A)+D−(C)=D(A)+D(C)の厚さ分減少した値
R(B)は、D+(B)+D−(A)=D(B)+D(A)の厚さ分減少した値
R(C)は、D+(C)+D−(B)=D(C)+D(B)の厚さ分減少した値
【0042】
3元連立方程式により、D(A),D(B),D(C)をR(A),R(B),R(C)で表すと、以下の関係式が成立する
D(A)=( R(A)+R(B)―R(C))/2
D(B)=( R(B)+R(C)―R(A))/2
D(C)=( R(C)+R(A)―R(B))/2
【0043】
なお、被測定対象となる円筒状の配管2について、基準となる肉厚D(0)に対して校正された放射線透過量をR(0)とするとD(A),D(B),D(C)の値が1/2( R(0))より+側のときは減肉、−側のときは異物付着の疑いありと判定する。
このように0°、120°、240°の検出信号から0°、120°、240°の肉厚を算出することができる。そして、このような検出を例えば5°毎に行えば、各位置での肉厚を算出することが可能となる。
【0044】
続いて、演算・制御駆動部500による制御について説明する。まず0°の対角線上にて上記の検出を行う。0°は最初の取り付け位置をそのまま0°と設定すれば良い。続いて演算・制御駆動部500は側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する(駆動制御手段)。詳しくは演算・制御駆動部500は、ステッピングモータ410を駆動する。側面移動部200が移動し、測定部300の線源330やセンサ350を一緒に移動させる。そして、演算・制御駆動部500は、内蔵エンコーダ410aからのパルスをカウントしながら角度を算出し、5°進んだときに停止する。続いて演算・制御駆動部500は、線源330が配管2へ照射した放射線透過量R(N)を測定するセンサ350からの検出信号に基づいて二箇所の配管2の肉厚の合算値を算出する(合算値算出手段)。以下、5°毎に測定して放射線透過量R(N)を取得し、5°毎の二箇所の配管2の肉厚の合算値を算出する。最終的に一周して0°から360°までの5°毎の放射線透過量R(N)を取得し、5°毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する。
【0045】
続いて演算・制御駆動部500は、所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する(肉厚算出手段)。詳しくは演算・制御駆動部500は、上記スリービーム方式の原理により配管の5°毎の肉厚を生成する。そして、図13で示すような円周方向の肉厚のプロフィールを作成し、液晶ディスプレイなどの表示部600(図7参照)に表示させる。そして配管用厚さ測定装置1を取り外して測定は終了する。配管用厚さ測定装置1はこのようなものである。
【0046】
なお、本形態を改良する形態を採用しても良い。例えば、先に説明した形態では移動用駆動部400のステッピングモータ410の内蔵エンコーダ410aを用いて角度の算出を行っていたが、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部120(上側ブレード部121及び下側ブレード部122)に対して滑りなどを生じた場合に角度位置がずれるおそれもあった。そこで、側面移動部200の移動量に応じた信号を出力するエンコーダを採用するものである。図14で示すように支持部210のローラ部212の回転軸と連結され、ローラ部212の回転をパルス信号に変換して出力するエンコーダ700を設け、図15で示すように演算・制御駆動部500はパルス信号を入力して回転制御を行うようにしても良い。この場合、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部121で滑ったとしてもエンコーダ700からはパルス信号が出力されないため、滑り等に影響されることなく正確な角度により位置制御を行うことができる。
【0047】
また、図16で示すように支持部付き側面体220にエンコーダ800を取り付け、側面移動部200の移動に応じて伝導ローラ810が回転してパルス信号を出力するエンコーダを採用しても良い。エンコーダ800の伝導ローラ810自体は少ないトルクで動くため滑りを生じにくくしている。そして、図17で示すように演算・制御駆動部500はエンコーダ800からのパルス信号を入力して回転制御を行うようにしても良い。この場合も、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部121で滑ったとしてもエンコーダ800からはパルス信号が出力されないため、滑り等に影響されることなく正確な角度により位置制御を行うことができる。
【0048】
以上説明したような本発明による配管用厚さ測定装置1によれば、測定位置マーキング、装置取り付け、減肉検出、装置取り外しという工程で測定できるため、作業工数の大幅削減が可能である。
また、放射線透過方式であるため、保温材や外装板の上からでも減肉検出を可能とし、保護材等を剥がす必要を無くしている。
【0049】
また、保温材や外装板をつけて校正を行った時の放射線透過量との比較により、減肉(付着)を判断するため、プラント運用中でも使用可能である。
また、納入に時間を要する配管に対しては予め減肉傾向を調査して、配管を事前に手配することも可能である。
【0050】
また、配管用厚さ測定装置1は表示付認証機器とする。表示付認証機器とは、製造者等が、その機器の放射線障害防止に関する設計・使用条件・品質管理に関し、国または登録認証機関による認証を受けたことを表示した機器である。このような表示付認証機器では、放射線取扱主任者の選任、管理区域設定および放射線同位元祖の使用許可を不要とし、表示付認証機器使用届の提出のみで使用可能であり、利便性が高い。
【0051】
また、小型軽量のため、高所・狭隘部にも取り付け容易である。
また、円周方向に肉厚のプロフィールを作成することも可能で、配管の内径の円周上における 減肉(付着)の傾向を捉えることができる。
このような本発明の配管用厚さ測定装置は、1個のγ線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置とすることができた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の配管用厚さ測定装置は、原子力プラント等の配管の減肉・付着の検出などに適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:配管用厚さ測定装置
100:ベース部
110:配管固定部
111:固定部本体
112:固定部本体
113:バンド締結体
114:バンド締結体
120:ブレード部
121:上側ブレード部
121a:半環状円板
121b:半環状円板
121c:ブレード先端部
122:下側ブレード部
122a:半環状円板
122b:半環状円板
122c:ブレード先端部
200:側面移動部
210:支持部
211:支持本体
211a:C字状体
212:ローラ部
220:支持部付き側面体
221:板体
222:突設部
230:連結用側面体
231:板体
232:突設部
240:支軸部
250:連結固定部
251:L字状体
252:L字状体
253:ボルト
300:測定部
310:ベース部
320:線源側アーム
330:線源
340:センサ側アーム
350:センサ
351:シンチレータ
352:光電子変換器
353:増幅回路
354:充電池
355:通信部
400:移動用駆動部
410:ステッピングモータ
410a:内蔵エンコーダ
420:伝導ローラ
500:演算・制御駆動部
600:表示部
700:エンコーダ
710:伝導ローラ
800:エンコーダ
810:伝導ローラ
2:配管
【技術分野】
【0001】
本発明は、減肉または付着により変化する配管の肉厚を測定する配管用厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配管用厚さ測定装置に係る従来技術として、例えば、特許文献1(特開2009−36708号公報,発明の名称:配管用厚さ測定装置)に記載された発明が知られている。特許文献1には、管径の異なる多数種類の配管に対して線源とセンサの検出部とを結ぶ線が配管のほぼ中心を通るような正確な装着を実現し、使い勝手の向上および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置が開示されている。
【0003】
また、配管用厚さ測定装置に係る他の従来技術として、例えば、特許文献2(特開昭58−158510号公報,発明の名称:管状材の肉厚測定装置)に記載された発明が知られている。特許文献2の第1図には、三箇所のγ線源から三角状に放射して三箇所のセンサで検出するスリービーム方式を測定原理とする肉厚測定装置が開示されている。スリービーム方式では演算により各箇所の肉厚が算出できるため高精度の検出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−36708号公報(段落番号0010〜0024,図1)
【特許文献2】特開昭58−158510号公報(第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の配管用厚さ測定装置では、放射線を検知するセンサと放射線の線源を直線上に対向させた状態でその中間に配管を設置し、線源から放射されて直進して貫通する放射線の透過量をセンサで測定することにより配管の厚さを算定するものであり、特に放射線の透過量の増減によって、配管の減肉(付着)を検知する。
【0006】
しかし、円筒状の配管の測定では、外部からの放射線照射で一度外側から内側に透過した後、さらに内側から外側に透過して放出される放射線を測定するので放射線を透過する箇所が2箇所存在する。そのため放射線の透過量から導かれる厚さは、2箇所の厚さの合計値となる。
【0007】
この場合、透過量の増減による減肉(付着)は検知しても、入射側・出射側どちらかの減肉(付着)であるか特定できない。このように測定原理上では二箇所の肉厚を合算して検出するというものであり、検出精度の向上の余地があるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の測定装置では、高い検出精度にて肉厚が計測できるが、三個のγ線源を用いるためコスト低減が容易ではないという問題があった。
また、三箇所のγ線源から三角状に放射して三箇所のセンサで検出する機構であり、機械的に精度が要求され、この点でもコスト低減が容易ではないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1個の線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
配管に取り付けられ、円状のブレード部を有するベース部と、
複数の側面体を支軸部により折り曲げ自在に連結し、ベース部の円状のブレード部に巻回して回転移動するように取り付けられる側面移動部と、
側面移動部をベース部に沿って回転駆動させる移動用駆動部と、
側面移動部に取り付けられて側面移動部とともに回転し、配管へ照射した放射線の透過量を測定して検出信号として出力する測定部と、
移動用駆動部および測定部が接続され、側面移動部を所定角度毎に位置決めするように移動用駆動部を駆動制御するとともに所定角度毎の測定部の検出信号に基づいて所定角度毎の配管の肉厚を算出する演算・制御駆動部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
配管に配置固定される配管固定部、および、外周が円状に設けられており配管固定部に複数段で固定される複数のブレード部を有し、被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部と、
ベース部のブレード部の外周に沿って移動するように支持する複数の支持部、複数の支持部が固定されてブレード部に沿って移動するようになされる複数の側面体、および、複数の側面体を軸支連結する支軸部を有し、複数の側面体による連結体が配管の側面を移動する側面移動部と、
側面移動部に取り付けられるセンサ固定部、センサ固定部に取り付けられる線源側アーム、線源側アームに対して摺動して位置決めされる線源、センサ固定部に取り付けられるセンサ側アーム、および、センサ側アームに対して摺動して位置決めされるセンサ、を有し、線源およびセンサは、線源からセンサまでの線と配管の円とで弓形をなすように配置される測定部と、
側面移動部を移動させる移動用駆動部と、
測定部のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、
を備え、
演算・制御駆動部は、
側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する駆動制御手段と、
線源が配管へ照射した放射線の透過量を測定するセンサからの検出信号に基づいて所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する合算値算出手段と、
所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
として機能することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
請求項2に記載の配管用厚さ測定装置において、
演算・制御駆動部に接続されており、配管の肉厚についてのプロフィールを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る発明の配管用厚さ測定装置は、
請求項2または請求項3に記載の配管用厚さ測定装置において、
前記ブレード部は外周付近に断面三角形状のブレード先端部を備え、
前記支持部はブレード先端部の両面に沿って移動する上下二段のローラ部を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明によれば、1個の線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の使用状態の斜視外観図である。
【図2】ベース部の説明図であり、図2(a)は斜視外観図、図2(b)は側面図である。
【図3】側面移動部および測定部の説明図であり、図3(a)は斜視外観図、図3(b)は他方向からの斜視外観図である。
【図4】側面移動部の支持部の説明図である。
【図5】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の使用状態の外観図であり、図5(a)は平面図、図3(b)は正面図である。
【図6】移動用駆動部の説明図であり、図6(a)は平面図、図3(b)は側面図である。
【図7】回路系の説明図であり、図7(a)は回路ブロック図、図7(b)はセンサの詳細ブロック図である。
【図8】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の配管への取り付けの説明図であり、図8(a)は配管を示す図、図8(b)は配管へのベース部の取り付け状態を示す図である。
【図9】本発明を実施するための形態の配管用厚さ測定装置の配管への取り付けの説明図であり、図9(a)は側面移動部の取り付けを示す図、図9(b)は他方向からの側面移動部の取り付けを示す図である。
【図10】肉厚の検出原理の説明図であり、図10(a)は0°の検出の説明図、図10(b)は120°の検出の説明図である。
【図11】肉厚の検出原理の説明図であり、図11(a)は240°の検出の説明図、図11(b)はスリービーム方式の検出の説明図である。
【図12】A点での肉厚の説明である。
【図13】プロフィールの説明である。
【図14】他の形態のエンコーダの説明である。
【図15】他の形態のブロック回路図である。
【図16】他の形態のエンコーダの説明である。
【図17】他の形態のブロック回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、配管用厚さ測定装置1について図1を参照しつつ説明する。図1では配管用厚さ測定装置1の全体構造および使用状態について示している。配管用厚さ測定装置1は、図1で示すようにベース部100、側面移動部200、測定部300を備える。この配管用厚さ測定装置1は配管2に取り付けられて使用される。この配管2は、保温材や外装板で覆われている。
【0017】
続いて配管用厚さ測定装置1の各部について説明する。
ベース部100は、図2(a)で示すように取り付けられるものであり、詳しくは図2(b)で示すように配管固定部110、ブレード部120を備える。なお、図2(a),(b)ではこのベース部100のみが配管2に取り付けられた態様で図示されている。
配管固定部110は、図2(b)で示すように、配管2に配置固定される固定具である。配管固定部110は、各種形態が可能であるが、固定部本体111,112をバンド締結体113,114により締結して配管2から落ちないように強固に固定する構成を採用することができる。バンド締結体113,114は歯付ベルトなど各種のスリップレスベルトを用いることができる。
【0018】
ブレード部120は、図2(a),(b)で示すように、上側ブレード部121、下側ブレード部122を備える。上側ブレード部121は、二枚の半環状円板121a,121bを組み合わせて環状円板として形成するものである。また、下側ブレード部122は、二枚の半環状円板122a,122bを組み合わせて環状円板として形成するものである。上側ブレード部121は固定部本体111,112の上側で固定される。下側ブレード部122は固定部本体111,112の下側で固定される。上側ブレード部121および下側ブレード部122の外周は円状に形成される。また、後述するが上側ブレード部121および下側ブレード部122の外周側先端の円状のブレード先端部121c,122cは断面が三角形状に形成される。
ベース部100はこのようなものである。
【0019】
側面移動部200は、図3(a),(b)で示すように、複数の支持部210、複数の支持部付き側面体220、複数の連結用側面体230、支軸部240を備える。なお、図3(a),(b)では側面移動部200および測定部300が併せて図示されている。なお、図面の明瞭化のため後述する移動用駆動部については図示を省略している。
支持部210は、図4で示すように、支持本体211、ローラ部212を備える。この支持部210はブレード先端部121cを支持する態様を示しているが、ブレード先端部122cでも同様に支持される。以下、ブレード先端部121cでの支持について説明し、ブレード先端部122cの支持については同様であるとして重複する説明を省略する。
【0020】
支持本体211は断面C字状体211aを含むように形成され、その断面C字状体の内側に上下二個のローラ部212が配置される。これら上下二個のローラ部212の両側面は略90°で交差する。そして上下二個のローラ部212の両側面がブレード先端部121cと当接する。上下二個のローラ部212の回転により、支持部210はブレード先端部121cに沿って円滑に移動する。このような複数の支持部210が複数箇所でブレード先端部121cに沿って円滑に移動することで、複数の支持部付き側面体220と複数の連結用側面体230とからなる側面移動部200は、配管2の管軸を中心に回転移動が可能となる。
【0021】
複数の支持部付き側面体220は、板体221および上下の対向辺から突出する突設部222により断面コ字状に形成された構造体である。この支持部付き側面体220は板体221の一方の面の四隅にそれぞれ支持部210が四個取り付けられている。また上下2箇所の突設部222の端側であって対向する位置に孔部が形成されている。
【0022】
連結用側面体230は板体231および上下の対向辺から突出する突設部232により断面コ字状に形成された構造体である。連結用側面体230には支持部210は取り付けられていないが、端側に孔部が形成された突設部232が支持部付き側面体220の突設部222内に入り込むように設けられている。
【0023】
支軸部240は支持部付き側面体220の突設部222の孔部と、連結用側面体230の突設部232の孔部と、に挿通される。そして、支持部付き側面体220と連結用側面体230とが、支軸部240により折り曲げ可能な状態で、交互に連結される。側面移動部200全体としては、略円状に折り曲げ可能な連結体として構成される。
【0024】
連結固定部250は、図5の使用状態図で示すように側面移動部200をベース部100に移動可能に支持した状態のときに、側面移動部200の両端を連結して円状に形成する。連結固定部250は各種構成が可能であるが、側面移動部200の両端で回動可能に軸支連結される2個のL字状体251、252を複数本のボルト253により位置決めしつつ固定する。このような側面移動部200は、ブレード先端部121c,122cにそれぞれ当接する支持部210の上下二段のローラ部212が円滑に回転するため、ベース部100に沿って滑らかに回転する。
【0025】
測定部300は、図3(a),(b),図5で示すように、ベース部310、線源側アーム320、線源330、センサ側アーム340、センサ350を備える。
ベース部310は、側面移動部200に取り付けられて固定される。ベース部310はT字状に形成されている
【0026】
線源側アーム320は、図3(b)で示すように、ベース部310の一方の先端に固定されている。線源側アーム320は、ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、配管2の接線方向の垂直方向と略平行方向に伸びるように設けられる。線源側アーム320の側面にはあり溝を含む摺動面が形成されており、線源330を接線方向の垂直方向と略平行方向に摺動可能に支持するように構成されている。
【0027】
線源330は例えばγ線源であり、図3(b)で示すように、線源側アーム320に固定されており、放射線を放射する。この放射線は指向性を有する。ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、放射線の放射方向は、配管2の接線方向と一致する。
【0028】
センサ側アーム340は、図3(b)で示すように、ベース部310の他方の先端に固定されている。センサ側アーム340は、ここで図5に示した配管2の接線方向、および、接線方向の垂直方向による基準系で表すと、配管2の接線方向の垂直方向と略平行方向に伸びるように設けられる。センサ側アーム340の側面にはあり溝を含む摺動面が形成されており、センサ350を接線方向の垂直方向と略平行方向に摺動可能に支持するように構成されている。
【0029】
センサ350は、図3(b)で示すように、センサ側アーム340に固定されており、配管2を通過した放射線量を表す信号を出力する。この放射線量を表す信号は演算・制御駆動部500へ入力されて放射線の透過量が算出され、さらに後述するスリービーム方式の原理により配管2の肉厚が算出される。
【0030】
線源330およびセンサ350は、図5で示すように、線源330からセンサ350までの線と配管2の管壁に沿った円とで弓形をなすように配置される。線源330およびセンサ350の位置決めは、5°,10°,15°という所定角度毎になされる。この角度は、後述するが線源330からセンサ350までによる線が正三角形の一辺を形成する角度が含まれるように決定される。
【0031】
移動用駆動部400は、図6(a),(b)で示すように、ステッピングモータ410、伝導ローラ420を備える。ステッピングモータ410は後述する演算・制御駆動部500に接続される。演算・制御駆動部500が所定励磁石シーケンスによる駆動信号をステッピングモータ410へ出力すると、ステッピングモータ410は所定角度毎に高トルクにて回転していく。そして伝導ローラ420が回転して側面移動部200を移動させる。このような移動用駆動部400を複数箇所に配置することで、側面移動部200を所望の回転角度分だけ確実に移動させることが可能となる。
【0032】
演算・制御駆動部500は、不図示のCPUと測定演算プログラムを格納した記憶部からなり、図7(a)で示すようにセンサ350、ステッピングモータ410および表示部600に接続される。ステッピングモータ410では内蔵エンコーダ410aからパルス信号を受信して側面移動部200の位置検出に用いられる。またセンサ350は、詳しくは図7(b)で示すように、シンチレータ351、光電子変換器352、増幅回路353、充電池354、通信部355を備えている。
【0033】
シンチレータ351が放射線を検出して出力する光電子が光電子変換器352へ入力される。放射線の透過量の増減に応じて光電子量は増減する。光電子変換器352は入力された光電子の量に応じて検出信号を出力する。検出信号は、充電池354により高電圧が印加された増幅回路353へ入力されると、増幅回路353によって十分な信号レベルとなるように増幅された上で通信部355へ出力される。通信部355は、有線又は無線により演算・制御駆動部500へ検出信号を送信する。演算・制御駆動部500は後述する検出原理により検出信号から配管2の厚さを測定する。
【0034】
続いて、実際の測定処理について説明する。まず、配管用厚さ測定装置1が配管2に取り付けられる。最初に測定位置マーキングを行い、正確な計測位置を明示する。続いて図8(a)で示すような被測定対象となる配管2に対し、図8(b)で示すようにベース部100を取り付ける。続いて、図9(a),(b)で示すように全ての支持部210がブレード先端部121c,122cに嵌め込まれた状態とし、図5(a),(b)で示すように連結固定部250により固定して側面移動部200を形成する。この祭、連結固定部250を緩く締結すると側面移動部200が落下するおそれがあり、また、連結固定部250をきつく締結すると側面移動部200が移動しないおそれがあるため、最適な力で締結する。続いて、配管2の直径に応じて線源330、センサ350の位置を調整する。先に説明したように線源330からセンサ350による線が弓形を形成し、図11(b)のように線源330からセンサ350による線が120°毎では正三角形の一辺をなすように決定される。このような位置とするには、配管2の半径(詳しくは[外径+内径]/4)がaであるならば中心からa/2ずらした位置である。このようにして配管用厚さ測定装置1の取り付けが完了する。
【0035】
続いて実際の測定を行うが、まず測定原理について説明する。例えば、図10(a)のように線源330から放射線が照射されてセンサ350が放射線の透過量を検出して検出信号を出力したものとする。ここに演算・制御駆動部500が検出信号を得たとき、まず次式に基づいて処理を行う。
【0036】
【数1】
【0037】
検出信号はNに該当し、他のN0、μ、Kは予め算出されている。したがって検出信号Nから配管2の肉厚tが算出される。なお、放射線は配管2で二箇所を通過しているため、tは二箇所の肉厚を表しており、このままでは使用できない。そこで、後述するスリービーム方式による変換処理により配管2の各箇所の肉厚を算出する。
【0038】
続いてスリービーム方式による変換原理について説明する。
側面移動部200がまず、図10(a)のような位置まで移動したときに測定部が検出信号を得たとする。続いて、図10(b)のように120°移動したときに測定部が検出信号を得たとする。続いて、図11(a)のようにさらに120°(合計240°)移動したときに測定部が検出信号を得たとする。この場合、全て合成すると、図11(b)のように配管2の中心点と同じ中心点を有する正三角形が形成されるというものであり、スリービーム方式の原理により配管2の肉厚を算出することができる。本発明は一個の線源330によりスリービーム方式を実現する点で優れている。
【0039】
この正三角形の角は、図12に示すように、被測定対象である配管2の規格である外径と内径のちょうど中間径上にあるものとする。
対角線を結んで成立する正三角形の角をそれぞれ角N(A)、角N(B)、角N(C)とし、これら角N(A)、角N(B)、角N(C)の各交差線を各々延伸した方向、A→B、B→C、C→Aを−で表記し、A←B、B←C、C←Aを+で表記したとき、内径〜外径間の長さであるD+(A),D−(A),D+(B),D−(B),D+(C),D−(C)は、幾何学的にD+(A)=D−(A),D+(B)=D−(B),D+(C)=D−(C)である。
【0040】
そこで、被測定対象の、角N(A)、角N(B)、角N(C)における円筒の厚さD(A)、D(B)、D(C)での放射線減衰が内径での放射線減衰よりも十分大きければD(A)=D+(A)=D−(A)、D(B)=D+(B)=D−(B)、D(C)=D+(C)=D−(C)とみなしても良い。
上記の角N(A)、角N(B)、角N(C)で形成される正三角形の対角線上に線源330とセンサ350を相対させ、各々の対角線における放射線透過量を測定する。
なお、D+(A),D+(B),D+(C)上を透過する放射線透過量をそれぞれR(A),R(B),R(C)と表記する。
【0041】
3つの放射線透過量R(A),R(B),R(C)と、D(A),D(B),D(C)は以下の関係がある
R(A)は、D+(A)+D−(C)=D(A)+D(C)の厚さ分減少した値
R(B)は、D+(B)+D−(A)=D(B)+D(A)の厚さ分減少した値
R(C)は、D+(C)+D−(B)=D(C)+D(B)の厚さ分減少した値
【0042】
3元連立方程式により、D(A),D(B),D(C)をR(A),R(B),R(C)で表すと、以下の関係式が成立する
D(A)=( R(A)+R(B)―R(C))/2
D(B)=( R(B)+R(C)―R(A))/2
D(C)=( R(C)+R(A)―R(B))/2
【0043】
なお、被測定対象となる円筒状の配管2について、基準となる肉厚D(0)に対して校正された放射線透過量をR(0)とするとD(A),D(B),D(C)の値が1/2( R(0))より+側のときは減肉、−側のときは異物付着の疑いありと判定する。
このように0°、120°、240°の検出信号から0°、120°、240°の肉厚を算出することができる。そして、このような検出を例えば5°毎に行えば、各位置での肉厚を算出することが可能となる。
【0044】
続いて、演算・制御駆動部500による制御について説明する。まず0°の対角線上にて上記の検出を行う。0°は最初の取り付け位置をそのまま0°と設定すれば良い。続いて演算・制御駆動部500は側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する(駆動制御手段)。詳しくは演算・制御駆動部500は、ステッピングモータ410を駆動する。側面移動部200が移動し、測定部300の線源330やセンサ350を一緒に移動させる。そして、演算・制御駆動部500は、内蔵エンコーダ410aからのパルスをカウントしながら角度を算出し、5°進んだときに停止する。続いて演算・制御駆動部500は、線源330が配管2へ照射した放射線透過量R(N)を測定するセンサ350からの検出信号に基づいて二箇所の配管2の肉厚の合算値を算出する(合算値算出手段)。以下、5°毎に測定して放射線透過量R(N)を取得し、5°毎の二箇所の配管2の肉厚の合算値を算出する。最終的に一周して0°から360°までの5°毎の放射線透過量R(N)を取得し、5°毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する。
【0045】
続いて演算・制御駆動部500は、所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する(肉厚算出手段)。詳しくは演算・制御駆動部500は、上記スリービーム方式の原理により配管の5°毎の肉厚を生成する。そして、図13で示すような円周方向の肉厚のプロフィールを作成し、液晶ディスプレイなどの表示部600(図7参照)に表示させる。そして配管用厚さ測定装置1を取り外して測定は終了する。配管用厚さ測定装置1はこのようなものである。
【0046】
なお、本形態を改良する形態を採用しても良い。例えば、先に説明した形態では移動用駆動部400のステッピングモータ410の内蔵エンコーダ410aを用いて角度の算出を行っていたが、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部120(上側ブレード部121及び下側ブレード部122)に対して滑りなどを生じた場合に角度位置がずれるおそれもあった。そこで、側面移動部200の移動量に応じた信号を出力するエンコーダを採用するものである。図14で示すように支持部210のローラ部212の回転軸と連結され、ローラ部212の回転をパルス信号に変換して出力するエンコーダ700を設け、図15で示すように演算・制御駆動部500はパルス信号を入力して回転制御を行うようにしても良い。この場合、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部121で滑ったとしてもエンコーダ700からはパルス信号が出力されないため、滑り等に影響されることなく正確な角度により位置制御を行うことができる。
【0047】
また、図16で示すように支持部付き側面体220にエンコーダ800を取り付け、側面移動部200の移動に応じて伝導ローラ810が回転してパルス信号を出力するエンコーダを採用しても良い。エンコーダ800の伝導ローラ810自体は少ないトルクで動くため滑りを生じにくくしている。そして、図17で示すように演算・制御駆動部500はエンコーダ800からのパルス信号を入力して回転制御を行うようにしても良い。この場合も、移動用駆動部400の伝導ローラ420がブレード部121で滑ったとしてもエンコーダ800からはパルス信号が出力されないため、滑り等に影響されることなく正確な角度により位置制御を行うことができる。
【0048】
以上説明したような本発明による配管用厚さ測定装置1によれば、測定位置マーキング、装置取り付け、減肉検出、装置取り外しという工程で測定できるため、作業工数の大幅削減が可能である。
また、放射線透過方式であるため、保温材や外装板の上からでも減肉検出を可能とし、保護材等を剥がす必要を無くしている。
【0049】
また、保温材や外装板をつけて校正を行った時の放射線透過量との比較により、減肉(付着)を判断するため、プラント運用中でも使用可能である。
また、納入に時間を要する配管に対しては予め減肉傾向を調査して、配管を事前に手配することも可能である。
【0050】
また、配管用厚さ測定装置1は表示付認証機器とする。表示付認証機器とは、製造者等が、その機器の放射線障害防止に関する設計・使用条件・品質管理に関し、国または登録認証機関による認証を受けたことを表示した機器である。このような表示付認証機器では、放射線取扱主任者の選任、管理区域設定および放射線同位元祖の使用許可を不要とし、表示付認証機器使用届の提出のみで使用可能であり、利便性が高い。
【0051】
また、小型軽量のため、高所・狭隘部にも取り付け容易である。
また、円周方向に肉厚のプロフィールを作成することも可能で、配管の内径の円周上における 減肉(付着)の傾向を捉えることができる。
このような本発明の配管用厚さ測定装置は、1個のγ線源を用いてスリービーム方式による測定を所定角度毎に実現し、コスト低減および計測精度の向上を共に図るような配管用厚さ測定装置とすることができた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の配管用厚さ測定装置は、原子力プラント等の配管の減肉・付着の検出などに適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1:配管用厚さ測定装置
100:ベース部
110:配管固定部
111:固定部本体
112:固定部本体
113:バンド締結体
114:バンド締結体
120:ブレード部
121:上側ブレード部
121a:半環状円板
121b:半環状円板
121c:ブレード先端部
122:下側ブレード部
122a:半環状円板
122b:半環状円板
122c:ブレード先端部
200:側面移動部
210:支持部
211:支持本体
211a:C字状体
212:ローラ部
220:支持部付き側面体
221:板体
222:突設部
230:連結用側面体
231:板体
232:突設部
240:支軸部
250:連結固定部
251:L字状体
252:L字状体
253:ボルト
300:測定部
310:ベース部
320:線源側アーム
330:線源
340:センサ側アーム
350:センサ
351:シンチレータ
352:光電子変換器
353:増幅回路
354:充電池
355:通信部
400:移動用駆動部
410:ステッピングモータ
410a:内蔵エンコーダ
420:伝導ローラ
500:演算・制御駆動部
600:表示部
700:エンコーダ
710:伝導ローラ
800:エンコーダ
810:伝導ローラ
2:配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に取り付けられ、円状のブレード部を有するベース部と、
複数の側面体を支軸部により折り曲げ自在に連結し、ベース部の円状のブレード部に巻回して回転移動するように取り付けられる側面移動部と、
側面移動部をベース部に沿って回転駆動させる移動用駆動部と、
側面移動部に取り付けられて側面移動部とともに回転し、配管へ照射した放射線の透過量を測定して検出信号として出力する測定部と、
移動用駆動部および測定部が接続され、側面移動部を所定角度毎に位置決めするように移動用駆動部を駆動制御するとともに所定角度毎の測定部の検出信号に基づいて所定角度毎の配管の肉厚を算出する演算・制御駆動部と、
を備えることを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項2】
配管に配置固定される配管固定部、および、外周が円状に設けられており配管固定部に複数段で固定される複数のブレード部を有し、被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部と、
ベース部のブレード部の外周に沿って移動するように支持する複数の支持部、複数の支持部が固定されてブレード部に沿って移動するようになされる複数の側面体、および、複数の側面体を軸支連結する支軸部を有し、複数の側面体による連結体が配管の側面を移動する側面移動部と、
側面移動部に取り付けられるセンサ固定部、センサ固定部に取り付けられる線源側アーム、線源側アームに対して摺動して位置決めされる線源、センサ固定部に取り付けられるセンサ側アーム、および、センサ側アームに対して摺動して位置決めされるセンサ、を有し、線源およびセンサは、線源からセンサまでの線と配管の円とで弓形をなすように配置される測定部と、
側面移動部を移動させる移動用駆動部と、
測定部のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、
を備え、
演算・制御駆動部は、
側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する駆動制御手段と、
線源が配管へ照射した放射線の透過量を測定するセンサからの検出信号に基づいて所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する合算値算出手段と、
所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
として機能することを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配管用厚さ測定装置において、
演算・制御駆動部に接続されており、配管の肉厚についてのプロフィールを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の配管用厚さ測定装置において、
前記ブレード部は外周付近に断面三角形状のブレード先端部を備え、
前記支持部はブレード先端部の両面に沿って移動する上下二段のローラ部を備える、
ことを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項1】
配管に取り付けられ、円状のブレード部を有するベース部と、
複数の側面体を支軸部により折り曲げ自在に連結し、ベース部の円状のブレード部に巻回して回転移動するように取り付けられる側面移動部と、
側面移動部をベース部に沿って回転駆動させる移動用駆動部と、
側面移動部に取り付けられて側面移動部とともに回転し、配管へ照射した放射線の透過量を測定して検出信号として出力する測定部と、
移動用駆動部および測定部が接続され、側面移動部を所定角度毎に位置決めするように移動用駆動部を駆動制御するとともに所定角度毎の測定部の検出信号に基づいて所定角度毎の配管の肉厚を算出する演算・制御駆動部と、
を備えることを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項2】
配管に配置固定される配管固定部、および、外周が円状に設けられており配管固定部に複数段で固定される複数のブレード部を有し、被測定対象である配管に対してブレード部を円状に配置するベース部と、
ベース部のブレード部の外周に沿って移動するように支持する複数の支持部、複数の支持部が固定されてブレード部に沿って移動するようになされる複数の側面体、および、複数の側面体を軸支連結する支軸部を有し、複数の側面体による連結体が配管の側面を移動する側面移動部と、
側面移動部に取り付けられるセンサ固定部、センサ固定部に取り付けられる線源側アーム、線源側アームに対して摺動して位置決めされる線源、センサ固定部に取り付けられるセンサ側アーム、および、センサ側アームに対して摺動して位置決めされるセンサ、を有し、線源およびセンサは、線源からセンサまでの線と配管の円とで弓形をなすように配置される測定部と、
側面移動部を移動させる移動用駆動部と、
測定部のセンサおよび移動用駆動部が接続される演算・制御駆動部と、
を備え、
演算・制御駆動部は、
側面移動部が移動して所定角度毎に位置決めされるように移動用駆動部を制御する駆動制御手段と、
線源が配管へ照射した放射線の透過量を測定するセンサからの検出信号に基づいて所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値を算出する合算値算出手段と、
所定角度毎の二箇所の配管の肉厚の合算値から配管の各箇所の肉厚を算出する肉厚算出手段と、
として機能することを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の配管用厚さ測定装置において、
演算・制御駆動部に接続されており、配管の肉厚についてのプロフィールを表示する表示部と、
を備えることを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の配管用厚さ測定装置において、
前記ブレード部は外周付近に断面三角形状のブレード先端部を備え、
前記支持部はブレード先端部の両面に沿って移動する上下二段のローラ部を備える、
ことを特徴とする配管用厚さ測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−106939(P2011−106939A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261684(P2009−261684)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】
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