説明

配管表示体

【課題】断熱発泡体からなる外管に配管表示体を簡単かつ強固に取付けるとともに、取付け後に配管表示体が外管からずれたり外れたりするのを確実に防止する。
【解決手段】断熱発泡体からなる外管31の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管の該外管31の外面33に取付ける配管表示体であって、諸事項が表示される表示部2と、外管31の外面33に外側から強制的に差し込まれる突刺部3とを備えた。この突刺部3は、一対のピン体4,4で形成した。これにより、突刺部3が継手11に接続されている外管31の周壁32に突き刺さり、配管表示体1Aが外管31からずれたり外れたりするのが確実に防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管のうち断熱発泡体からなる外管の外面に取付けられて配管先等の諸事項を表示する配管表示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、通水管等の内管の配管先などを表示するため、諸事項が表示された配管表示体や表示シールが、内管を覆って保護する断熱管や鞘管等の保護管からなる外管に取付けられることがある。配管表示体は、例えば、外管が鞘管である場合に、図16に示すように、断面略C字状の配管表示体71が図示しない鞘管の外面に弾性的に嵌着されることにより鞘管に直接取付けられている。この配管表示体71の場合、内面の高さ方向中央部に内部側に突出する所定長さの係止突条72が周方向に設けられており、鞘管に取付けられた後、この係止突条72が鞘管の外面の凹部に嵌入し係止することによって、配管表示体71が鞘管に対して長手方向にずれるのが防止されるようになっている。
【0003】
また、別の配管表示体として、これに設けられた挿通孔に紐、結束バンド等の結束具を挿通し、この結束具を保護管の外面に巻回し結束することによって保護管に取付けられるものもある。
更に、外管が外面の平坦な直状管である場合には、諸事項が印刷された表示シールが直接直状管の外面に貼着されることもある。
この種の配管表示体に関する技術は、例えば、特許文献1に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−33718公報(図10、図12、図14等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、外管が断熱発泡体からなる保護管である場合は、従来の配管表示体や表示シールでは以下のような不具合があった。
即ち、まず、配管表示体が、図16に示した、断面略C字状に形成されて鞘管の外面に弾性的に嵌着し係止突条72が鞘管の外面の凹部に嵌入して取着されるものである場合は、断熱発泡体からなる保護管の外面上をずれ易く、場合によっては保護管から外れることがある。これは、断熱発泡体からなる保護管の外面には係止突条が嵌入したり係止する部分が形成されていないことや、配管表示体の開口が弾性的に左右に拡開した後弾性復帰により嵌着されるだけで取着されているとともに、保護管自体も断熱発泡体で形成されているために伸縮性があり、両側方から押圧されたりすると偏平に変形し易いなど、配管表示体の保持状態が不安定で抜止力が小さいことなどに起因する。
【0006】
また、配管表示体が、紐、結束バンド等の結束具を使用してこれを断熱発泡体からなる保護管の外面に巻回し結束して取付けられるものである場合は、その結束作業が大変面倒である。
そして、表示シールの場合は、断熱発泡体からなる保護管の外面は、表面の汚れを防止したり皺を目立たなくするためにシボ加工が施されて細かい凹凸面となっていることが多く、密着性、接着性の点で不十分であるため、保護管の外面には貼着できなかったり、貼着できても剥がれ易いという不具合がある。
【0007】
そこで、本発明は、断熱発泡体からなる外管に簡単かつ強固に取付けることができるとともに、取付け後に外管からずれたり外れたりするのを確実に防止できる配管表示体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の配管表示体は、断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管の該外管の外面に取付けられるものであって、諸事項が表示される表示部と、前記外管の外面に外側から強制的に差し込まれる突刺部とを備えたものである。
【0009】
この配管表示体は、一般には、二重管が配管の継手に接続される先端部周辺に取付けられて、内管の接続先等を表示するものである。ここで、配管表示体の表示部は、通常、円弧板状或いは平板状などに形成され、表面に印刷やシールの貼着等により諸事項が表示されている。なお、表示部は平面的なものに限らず、立体的なものとすることもできる。また、配管表示体の突刺部は、外管の外周から強制的に周壁に突き刺された後、その先端部は周壁内に止まるものであってもよいし、周壁を貫通するものであってもよい。周壁を貫通するものは、更に継手等に形成されている被係止部に直接係止するようにしてもよい。
【0010】
請求項2の配管表示体は、特に、突刺部に、外管の外面に差し込まれた後、外管の周壁に掛止し抜け止めされて表示部を外管の外面に取付け可能とする抜止部が設けられている。
【0011】
請求項3の配管表示体は、特に、突刺部が、一対のピン体で形成されている。
【0012】
請求項4の配管表示体は、特に、表示部が、外径の異なる複数の外管に対応する曲率の円弧面に形成されたものである。これにより、表示部を外径の異なる複数の外管に対応させて外面に沿った状態に取付けることができる。
【0013】
請求項5の配管表示体は、特に、表示部が、外管の外面に沿う円弧形状に自在に変形可能に形成されている。
【0014】
請求項6の配管表示体は、特に、表示部を外管の外面に配置すべく、外管の外面を保持する保持部を更に備えている。
【0015】
請求項7の配管表示体は、特に、保持部が、別の外管である、外面に凸部と凹部とが交互に形成された鞘管の外面をも保持可能であるとともに、突刺部が、前記保持状態において鞘管の凹部に嵌入するものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明は、配管表示体の突刺部を外側から断熱発泡体からなる外管の外面に突き刺すだけで、簡単かつ強固に外管に取着することが可能である。
そして、特に、取付け後は、突刺部が外管の周壁に突き刺されるので、配管表示体が外管の外面上を長手方向等にずれたり、更には外管から外れたりするのを確実に防止することができる。
【0017】
請求項2の発明は、突刺部を差し込むと、抜止部が外管の周壁に掛止し抜け止めされるので、突刺部を差し込むだけで表示部を外管の外面に簡単かつ確実に取付けることができる。
【0018】
請求項3の発明は、突刺部が、一対のピン体で形成されているので、その突刺部は、外管の両側において周壁に差し込むことができる。その結果、配管表示体を外管に安定した状態に保持、取着することができる。
【0019】
請求項4の発明は、表示部が外径の異なる複数の外管に対応する曲率の円弧面に形成されているから、表示部を外管の外面に沿った状態に取付けることができる。その結果、配管表示体の取付箇所の見栄えが向上するとともに、表示部の両端部が外管の外面から浮き上がることがないため、他の物体が表示部の端部に引掛かったりするのを防止することができる。これにより、外径の異なる複数の外管に対して1種類の配管表示体を用いて上記引掛かり等の不具合を生じない状態で取着し、表示することができる。
【0020】
請求項5の発明は、表示部が、外管の外面に沿う円弧形状に自在に変形可能に形成されているから、外径の異なる複数の外管に対応して表示部を自在に変形させて外管の外面に沿うものとすることができる。したがって、請求項4と同様の効果が得られる。
【0021】
請求項6の発明は、配管表示体が保持部によって保持されるので、突刺部は、配管表示体が外管の外面上を長手方向等にずれたり、外管から外れたりするのを防止する機能を有するもので足りる。
【0022】
請求項7の発明は、保持部が別の外管である鞘管の外面をも保持可能であるとともに、突刺部が鞘管の凹部に嵌入するから、突刺部が鞘管の外面と干渉するのが回避される。このため、突刺部を備えた配管表示体を鞘管にも取付けることができる。したがって、配管表示体を断熱発泡体からなる外管と鞘管からなる外管とに兼用して取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態の配管表示体を外管に取着した状態を示す斜視図であり、(a)は外管を仮想線で示した斜視図、(b)は外管を実線で示した斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1の配管表示体を示し、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は正面図、(d)は右側面図である。
【図4】図1の継手を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は(a)のA−A切断線による断面図である。
【図5】図1の継手に内管を接続し外管を外挿した状態を示す一部破断右側面図である。
【図6】外管に図3の配管表示体の突刺部を突き刺す直前の状態を示す斜視図である。
【図7】外径の異なる複数の外管の外面に配管表示体の表示部が当接した状態を示す模式図である。
【図8】本発明の第二実施形態の配管表示体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は(b)のB−B切断線による断面図、(e)は斜視図である。
【図9】外管において図8の配管表示体の突刺部を突き刺す位置を特定するための位置合わせ方法を示し、(a)は正面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は左側面図である。
【図10】外管の凹部に図8の配管表示体の突刺部を係止させた状態を示し、(a)は外管を仮想線で示した斜視図、(b)は外管を実線で示した斜視図である。
【図11】図9の継手の確認窓の凹部に配管表示部の突刺部を係止させた状態を示す一部破断右側面図である。
【図12】本発明の第三実施形態の配管表示体を示し、(a)は斜視図、(b)は配管表示体を断熱発泡体からなる外管に取着した状態を示す断面図である。
【図13】図12の配管表示体を鞘管に取着した状態を示す断面図である。
【図14】本発明の第四実施形態の配管表示体を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(a)のC−C切断線による断面図である。
【図15】図1の配管表示体の表示部の変形例を示す平面図である。
【図16】従来の配管表示体を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は(a)のD−D切断線による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈第一実施形態〉
まず、本発明の第一実施形態の配管表示体を図1乃至図7に基づいて説明する。ここで、図1は配管表示体が外管に取着された状態を示す斜視図であり、図2はその分解斜視図である。
【0025】
図1乃至図3において、配管表示体1Aは、断熱発泡体からなる保護管などの外管31の内部に可撓性を有する通水管等の内管21が挿通された二重管が台所流しや給湯器の継手或いは複数の通水管等が分岐するヘッダー等に接続される箇所などにおいて、外管31の外面33に取付けられ、配管先等の諸事項を表示するものである。この配管表示体は、合成樹脂材、金属材等により略コ字状に形成されており、表示部2と突刺部3とで構成されている。
【0026】
前記表示部2は、図3に示すように、略コ字状の配管表示体1Aの中間部にあって、正面視矩形で所定曲率の円弧板状に形成され、表面側に「台所流し」、「洗面」、「トイレ」等の文字などが表示されている。円弧板状の表示部2の曲率は、一般的に用いられている外管31の外面33の曲率に近似した普遍的な大きさに設定されており、外径の異なる複数の外管31に対応してその外面33に沿った状態で取付けられるものとなっている。表示部2の表面の文字等の表示は、印刷或いは筆、ペン等による書き込みにより行なうことができる。また、彫り込みや浮き出しによって文字等を表出させてもよい。或いは、シール材を貼着して行なうこともでき、各種周知の手段により表示することができる。表示部2への表示は、配管表示体1Aの取着前に予め行なっておいてもよく、取着後に書き込んだり、シール材を貼着して行なってもよい。
【0027】
前記突刺部3は、外管31の外面33に突刺される部分であり、その突刺によって外管31の外面33に取着される部分でもある。突刺部3は、図3に示すように、表示部2の短辺側の両端部に直角方向に立設され、一対のピン体4,4により形成されている。各ピン体4は、細長板状或いは棒状に形成され、先端に向かうに従って鋭く尖った形状に形成されているとともに、側面における長手方向の中間部には、外方に鈎状に突出する掛止爪5が設けられている。この掛止爪5は、外管31の周壁32に掛止して抜け止めされ、配管表示体1Aを外管31の外面33に取付け可能とする抜止部となる。ここで、掛止して抜け止めとは、より詳細には、一対のピン体4,4が外管31の周壁32内に止まった状態、或いは、第二実施形態のように周壁32を貫通した状態において、抜止部である掛止爪5が周壁32の肉厚部分にあってこれに食い込むようにして抜け止めされることを意味する。一対のピン体4,4は、少なくとも外管31の周壁32に強制的に突き刺すことができる強度及び剛性を備えている。一対のピン体4,4の間隔は外管31の周壁32の壁厚部分の略中央部における直径とほぼ同一の寸法に形成され、一対のピン体4,4を外管31に突き刺したとき、周壁32内において円の接線に近い位置における弦の部分に突き刺されるようになっている。なお、一対のピン体4,4の長さは同一であってもよいし、互いに相違していてもよい。
【0028】
次に、前記二重管の内管21は、可撓性を有し、熱伝導率の小さいポリエチレン管、ポリブテン管等の合成樹脂管で形成されており、有色材または半透明色材が使用されていて、後述する継手11の外側筒部16の確認窓17から外挿された内管21の先端位置を視覚により確認できるものとなっている。この内管21は継手11の受口14側から内側筒部15と外側筒部16との間の隙間に挿入されて内側筒部15に外挿され接続される。
【0029】
一方、二重管のうち配管表示体1Aが取付けられる外管31は、発泡ポリエチレンフォーム、発泡ポリプロピレンフォームなどの断熱発泡体で形成されている。外管31の内径は後述する継手11の外側筒部16の外径と略同一寸法に形成されて外側筒部16に外挿され接続される。外管31の外径については特に問わない。即ち、本発明は、一般地域での通常の壁厚の外管の他、寒冷地等での壁厚の大きい外管にも適用されるものであり、外管31は、任意の外径、壁厚に形成することができる。
【0030】
次に、二重管が接続され、この接続部周辺において外管31に配管表示体1Aが取着される継手を図4示す。
継手11は、水栓、給湯器等の各種設備、機器や複数の通水管等が分岐するヘッダーなどの配管接続部に螺着される、雄ねじで形成された螺着部12と、中間部に形成された六角ナット状の鍔部13と、前記螺着部12とは反対側にあって二重管が接続される受口14側に形成された内側筒部15及び外側筒部16とで構成されている。内側筒部15及び外側筒部16はそれぞれ円筒状に形成され、間隔をおいて同心状に配設されており、内側筒部15と外側筒部16との間に形成された隙間に内管21が挿入できるようになっている。継手11は金属材からなり、切削加工等によって形成することができる。
【0031】
螺着部12の内部は開口側から鍔部13側に向かうに従って連続的に縮径するテーパ孔12aが形成されている。鍔部13は内部中央に螺着部12のテーパ孔12aと連通する貫通孔13aが形成され、その内壁には内側筒部15の鍔部13側の端部の外面に設けられた螺着部15aと螺合する被螺着部13bが形成されている。また、鍔部13の受口14側の下面13cには該受口14側に垂直に突出する所定長さの円環状の接合部13dが一体に設けられており、更に、前記接合部13dの外面には後述する外側筒部16の上端部に形成された環状の係合凸部16cと係合する環状の係合凹部13eが形成されている。
【0032】
前記継手11の内側筒部15は、上端部即ち鍔部13側の端部の外面に設けられた螺着部15aが鍔部13の被螺着部13bに螺着されることによって受口14側に突設されている。内側筒部15内の貫通孔15bは螺着部12のテーパ孔12aと連通し、貫通孔15bの内径はテーパ孔12aの最小径である鍔部13側の内径と同一に形成されており、これら両孔間において流体が円滑に通流するようになっている。更に、内側筒部15の外面の長さ方向の2箇所には環状溝15cが設けられ、この環状溝15cには環状のパッキング15dが嵌入されており、内側筒部15と内管21との隙間から流体が洩出するのを防いでいる。また、内側筒部15の外面における環状溝15cから離間した長さ方向の2箇所にはロックリング15eが嵌着されており、内管21の内面に掛止して内側筒部15から内管21が抜脱するのを防いでいる。更に、内側筒部15の上部には鍔部13との間にOリング19が外挿されている。
【0033】
一方、前記継手11の外側筒部16は、上側円筒部16aと下側円筒部16bとの2部材で構成されている。上側円筒部16aと下側円筒部16bとは隣接箇所が互いに鈎状に形成され、軸方向の圧入によってかしめられて一体に接続されている。そして、上側円筒部16aの上端部には鍔部13の接合部13dの係合凹部13eと係合する環状の係合凸部16cが形成されており、軸方向の圧入により係合凸部16cが鍔部13の接合部13dの係合凹部13e内に係合し、これにより、外側筒部16は鍔部13に対して旋回自在に接合されている。したがって、外側筒部16に外挿された外管31も、浴室、給湯器などの水栓設備、機器やヘッダー等に接続されている継手11に対して周方向に所定角度回動させることができる。外側筒部16の外面16dは鍔部13側に向かうに従って段階的に拡径している。
【0034】
更に、外側筒部16の上側円筒部16aの周壁には、相反対側位置即ち180度離間する位置に対向して二対の確認窓が設けられている。この確認窓は、継手11の内側筒部15に外挿し接続された内管21の先端部が所定位置まで挿入されているかを確認するために設けられたものである。このうち一方の一対の確認窓17,17は、上側円筒部16aの周壁に、僅かに陥没した周方向に細長の凹部17aが形成され、その中央部に貫通孔17bが設けられている。
【0035】
他方の一対の確認窓18,18は前記一対の確認窓17,17から90度周方向に離間した位置に設けられており、前記一対の確認窓17,17より小さい円形状の貫通孔や楕円形状の貫通孔で形成されている。このように、確認窓は計4個設けられているため、四方から内管21の先端部を確認できる。なお、確認窓は、いずれか一対の確認窓のみを設けてもよい。
【0036】
(配管表示体の取付け)
次に、上記のように構成された配管表示体1Aの外管31への取付けについて説明する。
まず、配管表示体1Aの取付けに先立ち、継手11に二重管を接続する。その際、内管21は継手11の受口14側から内側筒部15と外側筒部16との隙間に挿入することにより内側筒部15に接続することができる。その後、外管31を外側筒部16に外挿し接続する。なお、内管21の接続後は、その内面に内側筒部15のパッキング15dが密接して内部の流体が洩出するのが防がれるとともに、内側筒部15のロックリング15eの爪が内面に掛止して内管21が継手11から抜け外れるのが防止される。図5は継手11に二重管を接続した状態を示す。
【0037】
次に、このようにして継手11に二重管を接続した後、配管表示体1Aを取付ける。それには、突刺部3の一対のピン体4,4を外管31の外側から円の弦の方向に向けて周壁32に突き刺せばよい。図6は一対のピン体4,4を突き刺す直前の状態を示す。なお、配管表示体1Aの突刺部3は外管31の周壁32を貫通するものでないから、外管31の外面33において配管表示体1Aの突刺部3を突き刺す箇所は、外管31の外面33の周方向及び長手方向において任意の位置に設定し得る。ここで、一対のピン体4,4の間隔は外管31の周壁32の壁厚の略中央部における直径とほぼ同一の寸法に形成されているので、一対のピン体4,4を外管31に突き刺したとき、各ピン体4は周壁32の円の接線に近い位置における弦の部分に突き刺される。これにより、ピン体4は比較的長い距離に至って周壁32内に埋設され、周壁32との接触面積が増して保持力が増大する。また、ピン体4は、鈎状の掛止爪5が設けられているので、この掛止爪5が抜止部として掛止し、外管31に対して抜け止めされる。ここで、取着後、ピン体4は全体が周壁32内に完全に埋設されていてもよく、一部は外管31の内部空間にはみ出していてもよい。
【0038】
なお、上記では、外管31を継手11の外側筒部16に外挿し接続してから配管表示体1Aを外管31の外面33に取着しているが、先に外管31の外面33に配管表示体1Aを取着した後、その外管31を継手11の外側筒部16に外挿し接続してもよい。
【0039】
(作用)
次に、第一実施形態の配管表示体1Aの作用を説明する。
配管表示体1Aは、突刺部3を外管31の外周33から断熱発泡材からなる周壁32に突き刺すだけでピン体4が周壁32内に埋設され周壁32に掛止するので、ワンタッチ操作で簡単かつ楽にそして強固に外管31に抜止め状態に取着することができる。
【0040】
そして、特に、取付け後は、従来のような、断面略C字状をなし外管31の外面33に弾性的に嵌着される配管表示体とは異なり、突刺部3が外管31の周壁32に突き刺されるので、配管表示体1Aが外管31の外面33上を長手方向等にずれたり、更には外管31から外れたりするのを確実に防止することができる。
【0041】
加えて、表示部2が外径の異なる複数の外管31に対応する曲率の円弧面に形成されているから、表示部2を外径の異なる各外管31に対応してその外面33に沿った状態に取付けることができる。これを図7において説明すれば、表示部2の円弧面は、図7(a)に示すように、実線で示した外管31の外面33の曲率と同一であってその外管31に対しては、外面33全体に至って当接する状態となっている他、一点鎖線及び二点鎖線で示した外管31に対しても、表示部2と外管31の外面33との曲率は僅かに相違するものの、これらの外管31の外面33全体にほぼ沿う状態となっている。また、図7(b)に示すように、表示部2の曲率が、逆に、外管31の外面33の曲率に比して僅かに大きくても、表示部2の円弧面は外管31の外面33にほぼ沿う状態となっている。
【0042】
これにより、表示部2の円弧面は、図7(a)及び(b)に示したいずれの外径の外管31についても、外管31の外面33に完全にまたはほぼ沿っているから、配管表示体1Aの取付箇所の見栄えが向上する。そして、図7(a)においても、表示部2の両端部が外管31の外面33から全くまたはほとんど浮き上がらないため、表示部2の端部に他の物体が干渉して引掛かったり、場合によっては端部が強く引張られて配管表示体1A自体が外管31から抜脱してしまうのを防止することができる。その結果、壁厚が異なるなどして外径の異なる複数の外管31に対して、1種類の配管表示体1Aを用いて上記他の物体の引掛かり等の不具合を生じない状態で取着し、表示することができる。
【0043】
そして、外管31に対して一方向から突き刺すだけの操作で配管表示体1Aを取着できて外管31の後方に手を伸ばす必要がないから、小さいスペースで作業できる。
加えて、配管表示体1Aの突刺部3は、一対のピン体4,4からなり、両側において周壁32に突刺されるから、配管表示体1Aは外管31に安定した状態で取着される。
【0044】
〈第二実施形態〉
次に、本発明の第二実施形態の配管表示体を図8乃至図11に基づいて説明する。
第二実施形態の配管表示体は、表示部が平板状に形成されており、また、突刺部が外管の周壁を貫通して内部の継手の被係止部に直接係止することにより外管が継手から抜け外れるのを防止する機能も有する。
【0045】
配管表示体1Bは、図8に示すように、表示部2が、矩形平板状に形成され、表面側に「台所流し」、「洗面」、「トイレ」等の文字が表示されている。
【0046】
また、突刺部3を構成している一対のピン体4,4は、細長板状に形成され、第一実施形態の配管表示体1Aの一対のピン体4,4よりも長く形成されている。そして、各ピン体4は、長さ方向の中間部から先端に向かうに従って楔状に鋭く尖った形状に形成されているとともに、側面における長手方向の中間部には、外方に鈎状に突出し、先端に向けて緩やかに傾斜する掛止爪5が設けられている。一対のピン体4,4からなる突刺部3は、少なくとも外管31の周壁32に突き刺してこれを突き破るに足る強度及び剛性を有している。一対のピン体4,4間の内側寸法は継手11の外側筒部16に周方向に180度離間して設けられた一対の確認窓17,17間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されていて、突刺部3を外管31の周壁32に突き刺せば、一対のピン体4,4は継手11の被係止部である一対の確認窓17,17の凹部17a,17a内に嵌入し、これらに直接係止するようになっており、また、ピン体4はそのような長さに形成されている。
【0047】
そして、各ピン体4の先端から所定長さ表示部2側に後退した位置には、外管31にピン体4を突き刺す際の位置合わせ手段となる位置合わせ突条6がピン体4の側面に沿って略C字状に形成されている。ピン体4の先端から位置合わせ突条6までの長さは、継手11の鍔部13の下面13cから外側筒部16の確認窓17の凹部17aの中央高さまでの長さと同一に設定されている。一方、表示部2の長辺側の両端部の中間位置には、ピン体4を外管31の外側から周壁32に突き刺す際の位置合わせの目印となる半円突状或いは三角突状の小突起7が設けられている。
【0048】
一方、継手11について、配管表示体1Bの突刺部3が直接係止する確認窓17の凹部17aの部分を図4に基づいてより詳細に説明すれば、確認窓17の凹部17aは外側筒部16の上側円筒部16aの周壁の弦に沿って凹設されている。この凹部17aにおいて貫通孔17bを囲う受口側の部分17cは管軸に直交する平面に形成されている、即ち外側筒部16の外面16dに対して直角に凹設されたものとなっている。一方、この受口側の部分17cと対向する反対側の部分、即ち凹部17aにおいて貫通孔17bを囲う鍔部側の部分17dは外側筒部16の内部側から外部側にかけて傾斜するテーパ面に形成されている。これにより、確認窓17の貫通孔17b周辺の視野が拡大し、確認窓17の正面側からだけでなく継手11の斜め上方からも確認窓17を通して内管21の先端部の位置を確認することができる。
【0049】
前記配管表示体1Bは、以下のようにして継手11の外側筒部16に外挿された外管31に取着される。
配管表示体1Bは、突刺部3を外管31の外面33から継手11の外側筒部16の凹部17aに向けて突き刺し、一対のピン体4,4を外管31の周壁32の内部空間まで貫通させるが、このとき、継手11の外側筒部16には外管31が継手11の鍔部13の下面13cに先端面が当接する位置まで外挿されていて、突刺部3の係止箇所である外側筒部16の凹部17aの位置を外管31の外側から目視で確認できないから、突刺部3の突き刺しの前に、外管31の外面33に配管表示体1Bのピン体4の突き刺す位置を設定する位置合わせを行なう必要がある。
【0050】
配管表示体1Bのピン体4を突き刺す位置を設定するための位置合わせは、位置合わせ手段として設けられた位置合わせ突条6及び小突起7を用いて行なう。位置合わせにおいては、まず、図9(a)及び(b)に示すように、配管表示体1Bを螺着部12側に倒して一対のピン体4,4を外管31の外面33に沿わせるとともに、表示部2の小突起7を鍔部13の辺部13fの中間位置に一致させる。そして、この小突起7の位置合わせと同時に、位置合わせ突条6を鍔部13の下面13cつまりは外管31の先端に位置合わせする。すると、この状態において、ピン体4の先端が外管31の外面33と当接し得る位置即ち図9(a)及び(b)の×印で示す位置は、継手11の確認窓17の凹部17aと対応することになるため、突刺部3を突き刺す位置として特定され、これにより、位置合わせが完了する。
【0051】
次に、位置合わせが完了し、配管表示体1Bの突刺部3を突き刺す位置を特定できたら、一対のピン体4,4の各先端と外管31の外面33との当接位置である×印部分を軸として、配管表示体1Bをそのまま上方に起立させる。そして、図9(c)及び(d)に示すように、特定された左右2箇所に配管表示体1Bの一対のピン体4,4の先端を当接させた状態で、そのまま外管31の外側から突刺部3を外面33に直交して真直ぐに突き刺し、一対のピン体4,4を外管31の周壁32に貫通させる。
【0052】
この貫通により、一対のピン体4,4の先端は外管31の内部に達し、ピン体4が相当長い場合には、外管31の内部空間を通過した後、更に対向側の周壁32内にまで到達する。そして、一対のピン体4,4は、これらの間の内側寸法が外側筒部16の一対の確認窓17,17間の外側寸法と同一または僅かに大きく設定されているので、一対の確認窓17,17の凹部17a,17a内を横切るようにしてこれに嵌入し、一対の凹部17a,17aと直接係止する。これにより、外管31への配管表示体1Bの取着が完了する。図10及び図11は、配管表示体1Bの取着完了後の状態を示す。なお、図10(a)では、係止状態を分かり易くするため、外管31は二点鎖線で示してある。
【0053】
このようにして外管31の接続が完了し、一対のピン体4,4が継手11の凹部17aに直接係止した状態においては、配管表示体1Bは、一対のピン体4,4の下面が継手11の内部に僅かに陥没した確認窓17の受口側の部分17cと当接するため、図10の下方への移動が阻止される。その結果、外管31が下方に移動し、更には継手11から抜け外れるのが確実に防止される。
【0054】
この第二実施形態の配管表示体1Bは、第一実施形態の配管表示体1Aと同様に、断熱発泡体からなる外管31に簡単かつ強固に取付けることができるとともに、取付け後に外管31からずれたり外れたりするのが確実に防止される。
そして、同時に、突刺部3が外管31の周壁32を貫通して内部の継手11の凹部17aに直接係止するので、外管31が継手11から抜け外れるのも確実に防止される。
【0055】
なお、配管表示体1Bの突刺部3である一対のピン体4,4を突き刺す位置合わせ手段は、上述した手段に限られるものではない。
また、一対のピン体4,4を突き刺す前に、別の穿設部材或いは穿設工具を使用して予め外管31の周壁32に小孔を形成してから、一対のピン体4,4を突き刺してもよい。
【0056】
〈第三実施形態〉
次に、本発明の第三実施形態の配管表示体を図12及び図13に基づいて説明する。
第三実施形態の配管表示体は、断熱発泡体からなる外管、及び別の外管である、外面に凹部と凸部とが交互に形成された鞘管に保持される保持部を更に備え、突刺部が、この鞘管の凹部に嵌入するものである。
【0057】
図12において、配管表示体1Cは、左右一対の半円弧板状の半割体41,41を組付けて全体が略円筒状に形成されてなり、諸事項が表示される表示部42及び外管31の外面33に突刺される突刺部43を備え、更に、鞘管51に保持される保持部44を備えている。また、各半割体41の上端部にはその全体に至って内部側に屈曲するフランジ45が一体に設けられている。配管表示体1Cは、左右一対の半割体41,41の中間部に薄肉形成されてなるヒンジ46を軸に左右一対の半割体41,41を回動して閉じることにより略円筒状に形成される。
【0058】
表示部42は左右一対の半割体41,41のいずれか一方または双方の外面に設けられている。突刺部43は、各半割体41の内壁に、所定間隔をおいて内壁面に直交する方向に突設された多数のピン体47で形成されている。ピン体47は先端が鋭く尖った円錐形状に形成され、その突出長さは鞘管51の凹部54の深さよりは小さく形成されている。鞘管に保持される保持部44は、一方の半割体41の側端部に一体に設けられた楔状の掛止爪48と、他方の半割体41の側端部において前記掛止爪48と対応する位置に一体に設けられたピン体49とで構成されており、ピン体49には掛止爪48が挿入されて着脱自在に係止される係止孔49aが設けられている。なお、ピン体47は先端付近に環状に小さい鈎状突起を形成しておけば、取着後の外管31からの抜止め効果をより高めることができる。
【0059】
継手11は第一及び第二実施形態の継手11と同様の構成となっている。但し、螺着部12と鍔部13との間の外面には、配管表示体1Cのフランジ45が係合する係合凹部13gが環状に設けられている。
【0060】
(断熱発泡体からなる外管への取着)
このように形成された配管表示体1Cは、フランジ45を継手11の外面に設けられた係合凹部13gに係合させつつヒンジ46を軸に一対の半割体41,41を回動して閉じ、一方の半割体41の掛止爪48を他方の半割体41の係止孔49aに挿通して係止させることにより、継手11に保持される。そして、これに伴い、配管表示体1Cは、自ずと多数のピン体47が外管31の周壁32に突き刺さって外管31の外面33に取着される。このとき、ピン体47は突き刺す際の押付け圧が外管31の周壁32を介して継手11の外側筒部16の外面16dによって受け止められるので、周壁32の奥部まで確実に突き刺すことができる。ピン体47の突き刺しにより、配管表示体1Cが外管31の外面33に取着されるとともに、外管31の外面33上を長手方向等にずれたり更には外管31から外れるのが確実に防止される。
【0061】
なお、一対の半割体41,41を閉じることにより、配管表示体1Cは、フランジ45が継手11の係合凹部13gに係合し継手11に保持されて管軸方向に移動するのが防止されるので、これに伴って、外管31が継手11から抜け外れるのも確実に防止される。
【0062】
(鞘管からなる外管への取着)
この第三実施形態の配管表示体1Cは、特に、断熱発泡体からなる外管31の他に、図13に示す、保護管であって外面52に凸部53と凹部54とが交互に形成された鞘管51からなる外管にも取着することが可能であり、取着後には、鞘管51に対して位置ずれしたり鞘管51から外れたりするのを防止することができる。
【0063】
但し、第三実施形態の配管表示体1Cは、突刺部43である多数のピン体47が鞘管51の外面52の凸部53と干渉するのを回避する措置が必要がある。このため、ピン体47は、左右一対の半割体41,41を閉じたときに、鞘管51の外面52の凹部54に嵌入させてこの凹部54内に逃がすべく、ピン体47相互の管軸方向の間隔が鞘管51の凹部54間の間隔に合致する配置に設けてある。
【0064】
これにより、配管表示体1Cを鞘管51に取付けたときには、図13に示すように、ピン体47は鞘管51の凹部54内に嵌入し凸部53とは干渉しない。したがって、ピン体47が配管表示体1Cの内部側に突設されているにも拘わらず、左右一対の半割体41,41を閉じることができ、閉じた後は、一方の半割体41の側端部に設けられた楔状の掛止爪48が、他方の半割体41の側端部に設けられたピン体49の係止孔49a内に挿入され係止して、鞘管51に配管表示体1Cが取着される。これにより、配管表示体1Cが鞘管51から外れるのが防止される。これら掛止爪48及びピン体49の係止孔49aは請求項の外管の外面を保持する保持部に相当する。
【0065】
また、ピン体47が鞘管51の凹部54内に嵌入することにより、ピン体47が鞘管51の凸部53の側壁と当接して、配管表示体1Cが鞘管51に対して長手方向に移動するのが阻止される。
【0066】
なお、配管表示体1Cに、別途に、鞘管51に対して長手方向への移動、ずれを防止する部材を設けてもよい。その場合、ピン体47は、突刺部43として断熱発泡体からなる外管31に対しては、その周壁32に突き刺されてこの外管31に取着され、外管31からの配管表示体1Cのずれを防止するものとなるものの、鞘管51に対しては、単に凹部54内に嵌入して凸部53との干渉が回避されるものとなる。
【0067】
このように、配管表示体1Cは、左右一対の半割体41,41を閉じて、一方の半割体41の掛止爪48と他方の半割体41のピン体49の係止孔49aとを係止させるだけの操作で簡単かつ強固に外管に取付けることができる。また、取付け後に配管表示体1Cが外管からずれたり外れたりするのを確実に防止できる。そして、特に、配管表示体1Cを断熱発泡体からなる外管31と鞘管51からなる外管とに兼用して取付けることができる。
【0068】
〈第四実施形態〉
次に、本発明の第四実施形態の配管表示体を図14に基づいて説明する。
第四実施形態の配管表示体は、第三実施形態の配管表示体1Cと同様に、突刺部が鞘管51の凹部54に嵌入するが、断熱発泡体からなる外管31及び鞘管51に保持される部分の形態等が第三実施形態の配管表示体1Cと異なる。
【0069】
図14において、配管表示体1Dは、断面C字状の円筒状体61で形成されており、円筒状体61の外面64に諸事項が表示される表示部62が形成され、内面65に外管31の外面33に突刺される突刺部63を備えている。円筒状体61は円周の一部に一定幅の挿入開口66が形成されているとともに、弾性的に拡開させて挿入開口66に側方から断熱発泡体からなる外管31及び鞘管51を挿入できるようになっている。突刺部63は円筒状体61の内面65の円弧の中間位置を上下方向に通る垂直線67上に所定間隔で内部側に向けて突設された複数、図14においては4個のピン体68で形成されている。ピン体68は先端が鋭く尖った円錐形状に形成され、その突出長さは鞘管51の凹部54の深さよりは小さく形成されている。
【0070】
このように形成された配管表示体1Dは、断熱発泡体からなる外管31の任意の箇所において、円筒状体61の挿入開口66を弾性的に両側方に拡開させて、挿入開口66から外管31を強制的に押し込むようにして外管31に外嵌することができる。外管31に外嵌すると、それに伴って、配管表示体1Dは、弾性的に縮径して周壁全体で強く外管31に保持されるとともに、垂直線67上に並ぶ複数のピン体47は外管31の周壁32に突き刺さり、これにより、外管31に取着される。その後は、ピン体68の突き刺しにより、配管表示体1Dが外管31の外面33上を長手方向等にずれたり更には外管31から外れるのが確実に防止される。
【0071】
一方、この配管表示体1Dは、鞘管51にも取着することが可能であり、その取着は、断熱発泡体からなる外管31と同様に、鞘管51の長手方向等の任意の箇所において、円筒状体61の挿入開口66を弾性的に両側方に拡開させて鞘管51に外嵌し保持させて行なうことができる。但し、第三実施形態の配管表示体1Cと同様、突刺部63である複数のピン体68は、鞘管51の外面52の凸部53と干渉するのを回避するため、鞘管51の外面52の凹部54に嵌入させてこの凹部54内に逃がすべく、ピン体68相互の管軸方向の間隔が鞘管51の凹部54の間隔に合致する配置に設けてある。
【0072】
これにより、配管表示体1Dはピン体68が突設されているにも拘わらず、鞘管51に取着することができ、取着後は、鞘管51の凹部54内に嵌入したピン体68が鞘管51の凸部53の側壁と当接して、配管表示体1Dが鞘管51の外面52上を長手方向にずれるのが防止される。
【0073】
このように、配管表示体1Dは、弾性的に拡開し外管に外嵌された後縮閉する円筒状体61自体が断熱発泡体からなる外管31及び鞘管51の双方に保持される保持部ともなるものであり、円筒状体61の挿入開口66を弾性的に拡開して外嵌するだけの非常に簡単な操作でかつ強固に外管に保持させて取付けることができる。また、取付け後に配管表示体1Dが外管からずれたり外れたりするのを確実に防止できる。そして、特に、配管表示体を断熱発泡体からなる外管31と鞘管51からなる外管とに兼用して取付けることができる。また、円筒状体61にピン体68を突設させただけの極めて簡易な構成で配管表示体1Dを形成することができる。
【0074】
〈その他〉
ところで、上記第一実施形態では、配管表示体1Aの表示部2は、所定曲率の円弧板状に形成され、第二実施形態では、配管表示体1Bの表示部2は、矩形平板状に形成されているが、互いにその逆に、配管表示体1Aの表示部2は矩形平板状に、配管表示体1Bの表示部2は所定曲率の円弧板状に形成してもよい。
【0075】
また、上記第一実施形態の表示部2は、一定曲率の円弧板状に形成されているが、第一及び第二実施形態において、表示部2は、外管31の外面33に沿う円弧形状に自在に変形できるものとしてもよい。例えば、表示部2の両端部を指で把持して所定の曲率に弾性的に湾曲するものとすれば、そのようにして表示部2を撓ませつつ突刺部3を外管31の周壁32に突き刺した後、指による把持を解放することにより、突刺部3の一対のピン体4,4は両側方に弾性復帰して外管31の周壁32内で側方に拡開しようとして周壁32を押圧するので、周壁32への保持力が増すとともに、表示部2は所定の曲率で湾曲した状態に維持される。したがって、これにより、表示部2を外管31の外面33に沿う円弧形状に形成することもできる。
【0076】
或いは、表示部2に硬質樹脂材を用いて、図15(a)に示すように、横方向に所定間隔で小さい縦方向のスリット8を複数形成し、各スリット8の部分をヒンジとして僅かずつ円弧状に折り曲げて塑性変形させることにより、図15(b)に示すように、外管31の外面33に沿った所定の曲率の湾曲面に形成することもできる。
【0077】
また、上記第一及び第二実施形態の突刺部3のピン体4は、表示部2の両端部に計一対設けているが、これに限られるものではなく、1本のみを設けてもよく、或いは、表示部2の四隅それぞれに計4本設けてもよく、その設置数は問わない。
そして、上記第一及び第二実施形態のピン体4は、外管31からの抜け止めのため、それぞれの側面に、外方に鈎状に突出する1個の掛止爪5が設けられているが、側面を、多数の鈎状歯を備えた鋸歯の形状などに形成することもできる。
加えて、上記第三実施形態の突刺部43たるピン体47は、各半割体41に所定の配置で多数突設されているが、例えば、各半割体41に1個ずつ設けてもよく、その数は特に問わない。
【0078】
更には、上記各実施形態の突刺部は、断熱発泡体からなる外管31の周壁32に差し込み可能な強度及び剛性を備えるだけでなく、外管31の外面33に貼着されたビニルテープ等の樹脂テープをも突破し得る強度及び剛性を備えたものとしてもよい。継手等の種類によっては、二重管を接続する際に、外管31の端部の外面33に外側から工具等を差し込むための長手方向のスリットを設けて、継手等に外管31を接続した後、スリットの部分に外側から樹脂テープを貼着して補修することがあり、そのような場合にも突刺部を差し込んで対処可能とするためである。
【0079】
そして、上記各実施形態の表示部2は、板状に形成されているが、このような平面的なものに限られるものではなく、立体的な形状に形成してもよい。
更に、上記第一及び第二実施形態の表示部2は、正面視矩形状に形成されているが、他の六角形状、楕円形状等任意の形状とすることができる。
【0080】
加えて、上記各実施形態の配管表示体は、上下方向、左右方向に対称形をなすものであってもよく、非対称形のものであってもよいが、対称形をなすものとすれば、外管31の外面33に取付ける際、上下、左右の取付方向性を問わないから、作業性が向上する。
【0081】
なお、二重管が接続される継手11は、上記各実施形態に示した形態のものに限られるものではない。
また、本発明は、配管表示体が継手11に接続される外管31の端部に取着されるものを示しているが、他の接続具に接続される外管31の任意の箇所に取着する場合にも同様に適用し得る。
【符号の説明】
【0082】
1A,1B,1C,1D 配管表示体
2,42,62 表示部
3,43,63 突刺部
4,47,68 ピン体(突刺部)
5 掛止爪(抜止部)
21 内管
31 外管
32 周壁
33 外面
44 保持部
51 鞘管
53 凸部
54 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱発泡体からなる外管の内部に可撓性を有する内管が挿通された二重管の該外管の外面に取付けられる配管表示体であって、
諸事項が表示される表示部と、
前記外管の外面に外側から強制的に差し込まれる突刺部と
を備えたことを特徴とする配管表示体。
【請求項2】
前記突刺部は、前記外管の外面に差し込まれた後、該外管の周壁に掛止し抜け止めされて前記表示部を該外管の外面に取付け可能とする抜止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の配管表示体。
【請求項3】
前記突刺部は、一対のピン体で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管表示体。
【請求項4】
前記表示部は、外径の異なる複数の前記外管に対応する曲率の円弧面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配管表示体。
【請求項5】
前記表示部は、前記外管の外面に沿う円弧形状に自在に変形可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配管表示体。
【請求項6】
前記表示部を外管の外面に配置すべく、該外管の外面を保持する保持部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の配管表示体。
【請求項7】
前記保持部は、別の外管である、外面に凸部と凹部とが交互に形成された鞘管の該外面をも保持可能であるとともに、前記突刺部は、前記保持状態において前記鞘管の凹部に嵌入することを特徴とする請求項6に記載の配管表示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−127751(P2011−127751A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289895(P2009−289895)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】