説明

配線ダクト

【課題】小型の配線ダクトにおいて、プラグなどの接続部材を配線ダクトに挿し込むだけで接続部材を配線ダクトに固定できると共に、プラグに接続される電気機器への電力供給や通信信号の伝送を可能とする。
【解決手段】配線ダクト1は、一対の電力線16を設けた外郭を有し、この外郭に保持され、接続部材の1つであるプラグに電力線16を介して電力を供給する。この配線ダクト1の外郭は、その長手方向Lに延びるスリット状の開口空間5を有し、開口空間5を形成する1つの面に電力線16が設けられ、この1つの面に対向するもう1つの面に、プラグを保持するための突起部17が設けられる。この構成により、プラグを配線ダクトに挿し込むだけで配線ダクト1にプラグを固定できると共に、配線ダクト1に接続される電気機器への電力供給や通信信号の伝送が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器に電力及び信号を供給する配線ダクトに関し、特に、弱電仕様の電気機器に電力及び信号を供給する小型の配線ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場や店舗や事務所の屋内において、天井に配線ダクトを敷設した配線ダクトシステムを設けることが知られている。この配線ダクトシステムでは、様々な照明器具や他の電気器具の電源を任意の位置から取り出すことができ、また照明器具や電気機器のプラグの取り付けや取り外しも容易となる。
【0003】
上記配線ダクトシステムに用いる配線ダクトに接続される照明器具などの電気機器は一般的に強電仕様であり、従って、配線ダクトの大きさや構造はJIS規格などの安全規格に準拠する必要がある。例えば、配線ダクトの開口部には構造制約が設けられ、ノイズや火災の発生を防止するため、配線ダクト内に設けられる電力線や通信線間の離隔距離が規格、標準化されている。また、配線ダクトの一側面に設けられた開口部から取り付けられる挿入型のジョイナや回転式のプラグなどの接続部材も構造制約がなされている。
【0004】
そして、接続部材を回転させるためのスペースをプラグから削減してプラグの小型化、及び配線ダクトの小型化を図った配線ダクト用プラグが知られている(例えば、特許文献1参照)。この配線ダクト用プラグは、図10に示すように、配線ダクト30の開口部にプラグ31を挿し込み、配線ダクト用プラグ31に設けられた操作レバー32を使用者が所定方向に回転させる。この操作により、配線ダクト30内に設けられた電力線と配線ダクト用プラグ31に設けられた栓刃とが接触し電気的に接続される構造を有している。
【0005】
そして、近年、強電仕様の電気機器のみでなく、各種センサなど、弱電仕様の電気機器が接続可能な配線ダクトがある。この配線ダクトでは、接続される電気機器が弱電対象となるため、配線ダクト内に設けられる電力線や通信線といった導体間の距離的な制約は抑制され、配線ダクト自体の小型薄型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2010−143821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような小型薄型の配線ダクトにおいては、配線ダクトに挿し込まれるプラグやジョイナ等の接続部材との接続固定構造が多様であり定まっていないという問題がある。例えば、上記特許文献1に示す配線ダクト用プラグ31は、配線ダクト用プラグ31を配線ダクト30に固定するには操作レバー32を使用者が回転させる必要があり手間を要する。また、小型薄型の配線ダクトに多くの電気機器や通信機器が接続される場合には、複数の電力線や通信線を配線ダクトに収容できるよう配線ダクトの拡張性を高める必要もあるが、それへの対応が容易ではない。
【0008】
本発明は、上記問題を解消するものであり、小型の配線ダクトにおいて、プラグなどの接続部材を挿し込むだけで該接続部材を配線ダクトに固定できると共に、電気機器への電力供給や通信信号の伝送をも可能とした配線ダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、一対以上の導体を設けた外郭を有し、この外郭に保持される接続部材に前記導体を介して電力及び信号の少なくとも一方を供給する配線ダクトにおいて、前記外郭は、その長手方向に延びるスリット状の開口空間を有し、前記開口空間を形成する1つの面に前記導体が設けられ、前記1つの面に対向するもう1つの面に、前記接続部材を保持するための保持部が設けられる、ことを特徴とする。
【0010】
この配線ダクトにおいて、前記保持部は、前記長手方向に沿って延びる突起部であることが好ましい。
【0011】
この配線ダクトにおいて、前記保持部は、前記長手方向に沿って延びる半円柱形状、又は所定形状が複数連続配置されて前記長手方向に延びる形状であることが好ましい。
【0012】
この配線ダクトにおいて、前記導体は、前記接続部材に電力を供給する一対以上の電力線、及び前記接続部材に通信信号を出力する一対以上の通信線を含んだ複数対で構成されることが好ましい。
【0013】
この配線ダクトにおいて、前記保持部の前記長手方向に直交する垂直断面は、凸形状、半円形状、三角形状、又は多角形状のいずれかであることが好ましい。
【0014】
この配線ダクトにおいて、前記導体及び前記保持部は、前記開口空間を形成する面の短手方向中心を通る基準線を中心として、対象となるように配置されることが好ましい。
【0015】
この配線ダクトにおいて、前記導体及び前記保持部は、前記開口空間を形成する面の短手方向中心を通る基準線を中心として、対象とならないように配置されることが好ましい。
【0016】
この配線ダクトにおいて、前記保持部は、前記導体と対向する位置に配置されることが好ましい。
【0017】
この配線ダクトにおいて、前記保持部は、前記導体と対向しない位置に配置されることが好ましい。
【0018】
この配線ダクトにおいて、前記長手方向に直交し、前記開口空間の開口に平行となる方向を上下方向とし、前記配線ダクトには、前記上下方向の所定位置から前記配線ダクトの短手方向に向かって延び、前記接続部材に嵌合する少なくとも1つ以上の凸部が形成され、前記凸部の上側面及び下側面には、前記導体又は前記保持部が設けられることが好ましい。
【0019】
この配線ダクトにおいて、前記凸部の上側面に対となり設けられる前記導体又は前記保持部の短手方向中心と、前記凸部の下側面に対となり設けられる前記導体又は前記保持部の短手方向中心とがずれた位置に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配線ダクトのスリット状の開口空間にプラグなどの接続部材を挿し込むだけで該接続部材を配線ダクトに固定でき、また、配線ダクトに接続される電気機器への電力供給や通信信号の伝送をも可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る配線ダクトシステムの斜視図である。
【図2】同上実施の形態1における配線ダクトの斜視図、(b)同上配線ダクトの断面図、(c)同上配線ダクトの平面図、(d)同上配線ダクトの正面図である。
【図3】(a)同上配線ダクトの断面図、(b)同上配線ダクト内に設けられる突起部の説明図、(c)同上突起部の説明図、(d)配線ダクトの他の断面図である。
【図4】(a)プラグを同上配線ダクトに挿し込むときの断面図、(b)プラグを同上配線ダクトに挿し込んだ後の断面図である。
【図5】プラグの同上配線ダクトへ挿し込むときの断面図である。
【図6】(a)同上実施の形態1の第1の変形例に係る配線ダクトの断面図、(b)同上配線ダクト内に設けられる突起部の説明図、(c)同上突起部の説明図、(d)配線ダクトの他の断面図である。
【図7】(a)乃至(c)それぞれ異なる形状をした突起部を有する配線ダクトの断面図である。
【図8】(a)本発明の実施の形態2に係る配線ダクトの断面図、(b)配線ダクトの他の断面図、(c)配線ダクトのさらに他の断面図、(d)配線ダクトのさらに他の断面図である。
【図9】(a)及び(b)配線ダクトのさらに他の断面図である。
【図10】従来の配線ダクトに対するプラグの取り付け法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態に係る配線ダクトについて図面を参照して説明する。
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る配線ダクトシステムについて図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施の形態1に係る配線ダクトシステムSは、配線ダクト1、接続部材の1つであるプラグ2、及び電気機器3を備えている。配線ダクト1は、例えば、パイプ4の前面を被設置面として取り付けられ、この配線ダクト1の前面に、プラグ2を介して表示器や光センサなどの電気機器3が取り付けられる。
【0024】
プラグ2は、配線ダクト1に着脱可能に保持されると共に、電気機器3に接続され電気機器3に電力及び信号を供給する。なお、配線ダクト1に接続される接続部材はプラグ2に限られるものではなく、複数の配線ダクト1を互いに接続するジョイナ(連結部材)など他の部材も含まれる。図1において、プラグ2には、電気機器3として、配線ダクト1の長手方向の両端に光センサ、配線ダクト1の長手方向の中央部に表示器が取り外し可能に取り付けられる。なお、プラグ2に取り付けられる電気機器3の構成は表示器や光センサに限定されるものではない。
【0025】
電気機器3は、AC24V等で駆動が可能な弱電仕様の機器であり、比較的軽量な構成となっている。例えば、表示器は、情報を表示するLED表示部や液晶表示部を備え、制御コンピュータからの通信信号を受けて、数値表示、ランプ表示や作業者の部品取り出しの可否、取り出し部品数などの作業履歴の表示を行う。光センサは、工場のピッキングシステムなどに用いられる赤外線センサであり、作業者の手による光の遮断を検知し、この検知結果を配線ダクト1を介して通信接続される制御コンピュータに送信する。
【0026】
次に、配線ダクト1の構造に関して図2及び図3を参照しながら説明する。配線ダクト1は、図2(a)に示すように、所定の直線方向(以下、長手方向L)に延びた成形体である。
【0027】
配線ダクト1の外郭であるハウジングは、その長手方向Lに延びるスリット状の開口空間5を有し、開口空間5を形成する1つの面に導体である電力線16が設けられ、この面に対向する面に、プラグなどの接続部材を保持する突起部17(保持部)が設けられる。具体的には、図2(b)に示すように、配線ダクト1は、長手方向Lに直交する断面がU字形状であり、金属材料からなる金属部10と、金属部10の周囲に設けられた絶縁樹脂からなる絶縁体11とを備えている。金属部10及び絶縁体11は、長手方向Lに沿って延びている。
【0028】
配線ダクト1の芯材である金属部10は、配線ダクト1が設置される設置面に向かい合わせて設けられる基部13を有している。長手方向Lに垂直な断面において上下方向に延びる平板状の基部13は、長手方向Lに沿って延びる。また、長手方向Lの垂直断面においてU字形状の外形を有する金属部10は、上側に設けられる上側壁部14と、下側に設けられる下側壁部15とを備えている。なお、配線ダクト1のハウジングを樹脂材のみで一体成型することも考え得る。
【0029】
配線ダクト1は、一対の電力線16及び一対の突起部(保持部)17を収納する開口空間5を有すると共に、この開口空間5に連続する開口部12を有し、この開口部12は、長手方向Lにおいて延びて設けられている。配線ダクト1は、開口部12側からプラグ2が挿し込まれる。
【0030】
配線ダクト1の開口空間5を形成する内側上面には、図3(a)に示すように、対となる電力線16a,16bが設けられ、これら2つの電力線16a,16bは、内側上面及び内側底面の短手方向中心を通る中心線Aを中心として、対象となる位置に配置される。なお、配線ダクト1の内部に収容される導体は、電力線に限定されるものではなく、後述する通信線18a,18bを配置することもできる。
【0031】
配線ダクト1の内側面は比較的フラットな構造であり、この構造により、配線ダクト1の内部に侵入した塵埃を容易に掃除できる。また、塵埃を容易に掃除できるため、塵埃が配線ダクト1の開口空間5に侵入することを防ぐダクトカバーを開口部12に取り付ける必要がない。さらには、配線ダクト1に取り付けられる電気機器3は、弱電力用で駆動可能な機器であるため、特にダクトカバーを設けなくても火災などの安全上の規定に抵触することがなくなる。
【0032】
金属部10は、非磁性体の金属材料であるアルミニウムで構成すると、低い周波数領域において、鉄より電磁波遮蔽の特性が得られることがあるため、アルミニウムで構成される。しかしながら、金属部10の材料はこれに限定されるものではなく、例えば押し出し成型などで用いられる鉄材を用いてもよい。
【0033】
絶縁体11は、絶縁樹脂で形成され、電力線16及び突起部17と金属部10とが接続されないように金属部10の外周表面を覆うように設けられている。絶縁体11は、電力線16及び突起部17を支持している。従って、金属部10は、絶縁体11により電力線16及び突起部17と絶縁され、電磁シールドとして機能する。また、絶縁体11を絶縁樹脂で形成することにより、配線ダクト1を任意の箇所で容易に切断することができフレキシブルで自由度の高い部材とできる。
【0034】
次に、配線ダクト1の内側底面に形成された突起部17に関して説明する。突起部17a,17bは、図3(a)に示すように、配線ダクト1内に設けられる電力線16a,16bの取付け面である内側上面に対向する内側底面に、電力線16a,16bに対向した位置に設けられる。この突起部17は、接続部材であるプラグ2を配線ダクト1に固定すると共に、電力線16とプラグ2との電気的な接続位置を切り替える役目を有する。
【0035】
突起部17a,17bは、配線ダクト1の内側上面及び内側底面の短手方向中心を通る中心線Aを中心として、対象となる位置に配置される。また、突起部17a,17bは、図3(b)に示すように、配線ダクト1の長手方向Lに沿って均一に延びる形状、又は図3(c)に示すように平面視で楕円形状のものが複数連続配置されて構成される。なお、突起部17a,17b及び電力線16a,16bは、図3(d)に示すように、中心線Aを中心として対象とならない位置に配置することも考え得る。
【0036】
次に、図4を参照して配線ダクト1とプラグ2との接続構造に関して説明する。プラグ2の寸法は、配線ダクト1の寸法に合わせて形成され、プラグ2には上下方向の中央から短手方向に水平に延び、配線ダクト1の開口空間5に嵌合する凸部2aが形成される。この凸部2aには、プラグ2の挿入動作に伴い配線ダクト1の内側底面に形成された突起部17により所定方向(本図では矢印Y1方向)に上昇され、その先端部が配線ダクト1の電力線16と電気的に接触される栓刃2b(端子)が内蔵される。すなわち、プラグ2の挿し込み操作に伴い、プラグ2の栓刃2bと配線ダクト1の電力線16とが非接続位置から接続位置に切り替わる。
【0037】
ユーザは、プラグ2を矢印Y2方向に配線ダクト1の開口部12に挿し込んで、栓刃2bを有するプラグ2と配線ダクト1の電力線16とを接続できる。なお、プラグ2の外側には、プラグ2に取り付けられる電気機器3のコネクタを差し込むためのコネクタ挿入部2cが形成されている。
【0038】
図5は、回転式のプラグ2を示し、プラグ2に形成された凸部2aが操作部2dを用いて回転可能であり、凸部2aを90度回転させる動作で栓刃2bと電力線16とを接触させて、配線ダクト1及びプラグ2を非接続位置から接続位置に切り替える。
【0039】
以上の説明のように、小型薄型化が図られた本実施の形態1に係る配線ダクト1は、その内側底面にプラグ2との接続固定構造となる突起部17を備える。これにより、ユーザはプラグ2などの接続部材を配線ダクト1に挿し込むだけで配線ダクト1にプラグ2を固定できると共に、配線ダクト1の電力線16とプラグ2の栓刃2bとを電気的に接続できる。
【0040】
(第1の変形例)
本実施の形態1の第1の変形例について、図6及び図7を参照して説明する。本変形例では、図6(a)に示すように、電力線16a,16b(総称して16)は、金属部10の上側壁部14に設けられた絶縁体11によって固定されている2つの電力線により構成され、その並び方向が短手方向に平行な方向に、間隔を空けて設けられている。通信線18a,18b(総称して18)も、金属部10の上側壁部14に設けられた絶縁体11によって固定されている2つの通信線により構成され、その並び方向は電力線16と短手方向において連続し、短手方向に平行な方向に、間隔を空けて設けられている。
【0041】
突起部17は、電力線16及び通信線18に対向した内側底面に設けられる。また、突起部17は、図6(b)に示すように、配線ダクト1の長手方向に沿って均一に延びる形状や、図6(c)に示すように平面視で楕円形状のものが複数連続配置されて構成される。なお、電力線16及び通信線18の配置は図6(a)に示す以外に、図6(d)に示すように、中心線Aと対象とならないオフセット位置に配置することも考え得る。要は、配線ダクト1の内側底面に設けられた突起部17を用いて、プラグ2側の栓刃2bが電力線16及び通信線との電気的な接続位置に切り替わればよい。
【0042】
このように、本変形例では、配線ダクト1に電力線16及び通信線18を収容することにより、電力供給と通信信号の多伝送が可能となり、電力供給と通信信号を必要とする電気機器3を配線ダクト1に接続する場合でも、必要なケーブル数を少なくできる。
【0043】
なお、配線ダクト1に形成される突起部17の垂直形状は、半円形上に限定されるものではない。図7(a)及び図7(b)に示すように、その垂直断面を、三角形状又は多角形状とすることも考え得る。これにより、接続部材の構成が任意で決定できる。また、図7(c)に示すように、電力線16と突起部17との短手方向中心の位置をずらすことによりプラグ2の栓刃2bの構造を大きくできる。
【0044】
(実施の形態2)
以下、本発明に係る配線ダクトシステムの実施の形態2に関して図8を参照して説明する。なお、上記実施の形態1に係る配線ダクト1と同様の構成には同符号を付し、その詳細な説明は省略する。図8に示す配線ダクト1は、配線ダクト1の上下方向の中央から短手方向に向かって延設され、プラグ2に嵌合する凸部19が形成される。
【0045】
図8(a)においては、配線ダクト1は2つの開口空間5a,5bを有する。開口空間5aの内側上面に一対の電力線16が設けられ、開口空間5bの内側底面には一対の通信線18が配設されている。凸部19の上側面及び下側面には電力線16及び通信線18に対向する位置に突起部17が設けられている。すなわち、配線ダクト1は、対となる電力線16及びついとなる突起部17を備えるユニットU1、及び対となる通信線18及び対となる突起部17を備えるユニットU2を有する。この構成により、導体である電力線16及び通信線18間の離間距離が大きくでき、短絡の抑制及びノイズの影響などを抑制することができ、導体間の伝送特性を向上させることができる。また、複数のユニットを備えることで、配線ダクト1内に設けられる電力線16や通信線18の拡張性を有して種々の電気機器3を配線ダクト1に接続可能となる。
【0046】
図8(b)においては、開口空間5aの内側上面に一対の電力線16が設けられ、開口空間5bの内側底面には一対の突起部17が配設されている。凸部19の上側面には電力線16に対向する位置に突起部17が設けられ、下側面には突起部17に対向する位置に通信線18が設けられている。この構成により、導体である電力線16及び通信線18の離隔距離は図8(a)の場合より近接することになるが、電力線16及び通信線18が共に内側上面に設けられるので、防水及び防塵の特性を向上させることができる。また、配線ダクト1の構成を簡単にすることができる。
【0047】
図8(c)では、配線ダクト1内に設けられる電力線16、通信線18及び突起部17の配置は図8(a)の場合と同様である。しかしながら、上側の開口空間5aに収容される電力線16及び突起部17の短手方向中心線Bと、下側の開口空間5bに収容される通信線18及び突起部17の短手方向中心線Cとがずれたオフセット位置に配置される。この構成により、導体である電力線16及び通信線18間の離間距離が大きくして導体間の伝送特性(ストローク性能)を向上させることができると共に、配線ダクト1に対するプラグ2の上下方向の誤挿入を防止できる。
【0048】
図8(d)では、配線ダクト1内に設けられる電力線16、通信線18及び突起部17の配置は図8(b)の場合と同様である。しかしながら、配線ダクト1の上側の開口空間5aに収容される電力線16及び突起部17の短手方向中心線Bと、下側の開口空間5bに収容される通信線18及び突起部17の短手方向中心線Cとがずれた(オフセット)位置に配置される。この構成により、導体である電力線16及び通信線18が共に内側上面に設けられるので、防水及び防塵の特性が向上する。また、配線ダクト1に対するプラグ2の上下方向の誤挿入を防止できる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、図9に示すように、配線ダクト1に複数のユニットを増設することができる。図9(a)では、配線ダクト1にユニットU1からU3を設けて、各ユニットU1からU3に電力線16や通信線18を収容する。この構成により、配線ダクト1内に設ける電力線16や通信線18の拡張性を高めて、複数の電気機器3を配線ダクト1に同時に接続することが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 配線ダクト
2 プラグ(接続部材)
2a 凸部
2b 栓刃
3 電気機器
4 パイプ
5,5a,5b,5c 開口空間
10 金属部
11 絶縁部
12 開口部
16,16a,16b 電力線
17,17a,17b 突起部(保持部)
18,18a,18b 通信線
19 凸部
A,B,C 中心線(基準線)
S 配線ダクトシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対以上の導体を設けた外郭を有し、この外郭に保持される接続部材に前記導体を介して電力及び信号の少なくとも一方を供給する配線ダクトにおいて、
前記外郭は、その長手方向に延びるスリット状の開口空間を有し、
前記開口空間を形成する1つの面に前記導体が設けられ、前記1つの面に対向するもう1つの面に、前記接続部材を保持するための保持部が設けられる、ことを特徴とする配線ダクト。
【請求項2】
前記保持部は、前記長手方向に沿って延びる突起部であることを特徴とする請求項1記載の配線ダクト。
【請求項3】
前記保持部は、前記長手方向に沿って延びる半円柱形状、又は所定形状が複数連続配置されて前記長手方向に延びる形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配線ダクト。
【請求項4】
前記導体は、前記接続部材に電力を供給する一対以上の電力線、及び前記接続部材に通信信号を出力する一対以上の通信線を含んだ複数対で構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項5】
前記保持部の前記長手方向に直交する垂直断面は、凸形状、半円形状、三角形状、又は多角形状のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項6】
前記導体及び前記保持部は、前記開口空間を形成する面の短手方向中心を通る基準線を中心として、対象となるように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項7】
前記導体及び前記保持部は、前記開口空間を形成する面の短手方向中心を通る基準線を中心として、対象とならないように配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項8】
前記保持部は、前記導体と対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項9】
前記保持部は、前記導体と対向しない位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項10】
前記長手方向に直交し、前記開口空間の開口に平行となる方向を上下方向とし、
前記配線ダクトには、前記上下方向の所定位置から前記配線ダクトの短手方向に向かって延び、前記接続部材に嵌合する少なくとも1つ以上の凸部が形成され、
前記凸部の上側面及び下側面には、前記導体又は前記保持部が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の配線ダクト。
【請求項11】
前記凸部の上側面に対となり設けられる前記導体又は前記保持部の短手方向中心と、前記凸部の下側面に対となり設けられる前記導体又は前記保持部の短手方向中心とがずれた位置に配置されることを特徴とする請求項10記載の配線ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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