説明

配線作業支援システム

【課題】作業者が電気器具に電線を配線する際、その配線作業を効果的に支援することができる配線作業支援システムを提供する。
【解決手段】演算処理部1は、指定された電線について電気器具間の配線経路を電気器具の画像と共に表示器15に表示し、電線を接続する電気器具のターミナル配線画像をターミナルのピン番号と共に表示器15に表示する。また、演算処理部1は、電線の画像と共に電線の端部に接続された圧着端子22の画像を表示器15に表示し、電線に挿通させるマークチューブ21の向きを表示器15に表示する。キーボード16の操作により電線番号を入力して、当該電線についての配線支援画面を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御盤などにおける電気器具間の配線を行なう際、配線作業に必要な情報を画面表示してその作業を支援し、効率の良い配線作業を行なうことができる配線作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、制御盤などの配線作業を支援する配線支援装置として、下記特許文献1に記載される配線支援装置が知られている。この配線支援装置は、配線しようとする配線の回路情報、器具の配置情報などを、3次元CADデータとしてコンピュータに入力し、それらの情報から器具のターミナル間に接続される配線の経路を決定すると共に、配線に使用する電線の長さを決定する。そして、決定された電線長のデータは、電線の切断機に対し出力され、電線が決定された電線長に必要な本数だけ切断され、配線に使用される電線が製造される。
【0003】
その後、それらの電線は実際の配線作業に使用され、配線作業を完了して配線の導通確認を行なったとき、器具間の配線経路のデータに基づき、配線を完了した配線経路の電線画像にマークを入力し、配線済みの確認の支援を行なうものである。
【特許文献1】特開平10−97549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の従来の配線支援装置は、配線しようとする電気器具のターミナル間の配線経路の決定と、その配線の長さをコンピュータで決定するのみであるため、配線に使用される電線の切断については自動化が可能であるものの、通常、切断された電線の端部には、配線を識別するマークを付したマークチューブを挿通させると共に、その器具のターミナルや電線に応じた圧着端子を圧着する必要があり、その圧着端子の決定とその圧着作業は作業者の判断により行われていた。このため、圧着端子の決定には熟練した技術が必要とされ、経験の浅い作業者には負担の多い作業となっていた。
【0005】
また、制御盤などに対し作業者が実際に電線を配線作業する際には、従来のように、回路図と仕様書を見ながら配線作業を行なうことになるため、実際の配線作業に対する支援には、上記配線支援装置はあまり役に立たず、配線作業には依然として熟練技術を必要とするため、経験の浅い作業者には負担の大きい作業となる課題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、作業者が電気器具に電線を配線する際、その配線作業を効果的に支援することができる配線作業支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の配線作業支援システムは、電気器具の配線を行なう配線作業者に対し配線に関する情報を表示器に表示して支援を行なう配線作業支援システムであって、指定された電線について電気器具間の配線経路を該電気器具の画像と共に該表示器に表示する配線画像表示手段と、該電線を接続する電気器具のターミナル配線画像を該ターミナルのピン番号と共に該表示器に表示する器具ターミナル配置画像表示手段と、該電線の画像と共に該電線の端部に圧着された圧着端子の画像を該表示器に表示する圧着端子画像表示手段と、該電線に挿通させるマークチューブの向きを該表示器に表示するマークチューブ情報表示手段と、配線しようとする電線の配線に関する配線支援画面を表示器に表示するために電線番号を入力するキースイッチ入力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、上記電気器具のターミナルの該接続ピンに複数本の電線が接続される場合、複数本挿入の情報を表示器に表示する複数本挿入情報表示手段を設けることができる。
【0009】
また、電線について配線の未完了と配線の完了の別を示す配線完了欄を該表示器の画面上に表示する配線完了画像表示手段と、配線を完了したとき、該表示器の画面上の配線未完了の表示を配線完了に変えるための信号を入力するキースイッチ入力手段とを設けることができる。
【0010】
さらに、配線未完了の電線の配線支援画面を又は配線完了の電線の配線支援画面を各々検索する検索手段を設け、特定のキースイッチ操作により、配線未完了の電線又は配線完了の電線の配線支援画面を、電線の番号順にインクリメントまたはディクリメントして表示することができる。
【0011】
さらに、上記配線画像表示手段が表示器に表示する電気器具の3次元画像を含む電気器具間の配線経路の画像を、キースイッチの操作に応じて拡大表示する画像拡大表示手段を設けることができる。
【0012】
さらに、キースイッチの操作に応じて、上記配線画像表示手段が表示器に表示する電気器具の画像を含む電気器具間の配線経路の画像に代えて、実際に配線を行なった際の配線写真画像を表示器に表示する写真画像表示手段を設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成の配線作業支援システムを使用して制御盤などの電気器具の配線作業を行なう場合、作業者は、表示器に配線支援画面を表示させ、電気器具間に配線しようとする配線の番号をキーボードなどから入力する。これにより、表示器には該当する配線支援画面、つまり配線しようとする電線の配線経路及びターミナル配置画像などが表示器に表示される。
【0014】
表示器の配線支援画面上には、上記の配線画像のほか、電線を接続する電気器具のターミナルの画像が、ターミナルのピン番号と共に表示され、さらに、電線の画像と共に電線の端部に接続された圧着端子の画像が表示され、加えて、電線に挿通させるマークチューブの向きが、例えば実際の配線と同じ位置関係をもって表示器に表示される。
【0015】
配線しようとする電線は、予め必要とする長さに切断されると共に、必要な圧着端子が電線の端部に接続され、線番や電線番号を付したマークチューブが所定の向きで挿通される。作業者は、配線作業を行なう際に、マークチューブに当該電線番号を付した電線と、表示器の画面上で電線番号を指定して表示した配線支援画面中の電線、圧着端子及びマークチューブの画像を視認し、その一致を確認する。そして、表示器の配線支援画面に表示された配線経路を含む電気器具の配線画像とその電気器具のターミナルの接続ピンの画像を見ながら、実際に配線する電気器具間の配線経路に電線を配置し、電線の両側の圧着端子を電気器具のターミナルに接続する。
【0016】
このように、配線作業者は、表示器に表示された配線経路を含む電気器具の3次元配線画像を視認しながら配線作業を行なうことができるため、熟練した技術を有しない作業者でも、適正な位置に配線を通し、ターミナルの接続ピンに圧着端子を正確に接続し、効率よく配線作業を行うことができる。また、配線しようとする電線を手に取ったとき、表示器に表示された電線、圧着端子及び電線に挿通されたマークチューブの画像とそれを見比べることができ、これにより、作業者は電線や圧着端子、マークチューブの向きの誤りなどを事前にチェックすることができる。
【0017】
また、電気器具のターミナルの1本の接続ピンに複数本の電線が接続される場合、複数本挿入の情報を表示器に表示すれば、その表示を視認した作業者は、その接続ピンに電線の端子(圧着端子)を接続する際、1本目の端子の表裏を逆にして、複数の端子の接続を適正に行なうことができる。
【0018】
また、電線について未配線と配線完了の別を示す配線完了欄を表示器の画面上に設け、配線を完了したとき、画面上の未配線の表示を配線完了に変え、それを記憶するように構成すれば、配線完了を画面上で簡単にマーキングすることが可能となり、未配線の電線と配線完了の電線とを容易に識別することができる。
【0019】
さらに、配線未完了の電線の配線支援画面を又は配線完了の電線の配線支援画面を各々検索する検索手段を設け、特定のキースイッチ操作により、配線未完了の電線又は配線完了の電線の配線支援画面を、電線の番号順にインクリメントまたはディクリメントして順に表示することにより、配線作業を終了した時点或は中間時に、未配線の電線の配線支援画面をチェックして、配線忘れをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は配線作業支援システムの構成図を示している。このシステムは、ハードウエアとして例えばパーソナルコンピュータを用いて構成され、配線支援画面などを表示する表示器15、各種のコマンド入力、文字入力などを行うキーボード16を備えている。
【0021】
この配線作業支援システムは、機能から見た場合、電気器具に配線作業を行う際、配線に関する画像を表示してその配線作業を支援する配線支援情報表示機能2を有しており、そこには、主要機能として、指定された電線について電気器具間の配線経路を電気器具の画像と共に表示する配線画像表示機能3、各電線について未配線(配線未完了)と配線完了の別を入力し表示する未配線/配線完了入力表示機能4、未配線の電線又は配線完了の電線を検索するための検索機能5が含まれる。
【0022】
さらに、重要な機能として、本配線作業支援システムは、接続する電気器具のターミナル配線画像をターミナルのピン番号と共に表示器15の配線支援画面に表示する器具ターミナル配置画像表示機能、電線の画像と共に電線の端部に圧着された圧着端子の画像を表示器の配線支援画面に表示する電線圧着端子画像表示機能、電線に挿通させるマークチューブの向きを配線支援画面に表示するマークチューブ情報表示機能、電気器具のターミナルの接続ピンに複数本の電線が接続される場合、複数本挿入の情報を配線支援画面に表示する複数本挿入情報表示機能、電線について配線の未完了と配線の完了の別を示す配線完了欄を配線支援画面上に表示する配線完了画像表示機能、配線を完了したとき、画面上の未配線の表示を配線完了に変えるための信号を入力する機能、を備えている。
【0023】
上記機能を動作させるために、本配線作業支援システムは、ソフトウエアとして例えばデータベースソフトを使用して構築され、必要な情報をテーブル形式で格納し、配線支援画面上に読み出して表示するように構成される。データベースとしては、図1のように、配線経路画像テーブル10、器具ターミナル情報テーブル11、チューブ情報テーブル12、圧着端子情報テーブル13、及び電線情報テーブル14が設けられている。
【0024】
配線経路画像テーブル10には、各電線について、電気器具と電気器具間の配線経路を電気器具の3次元画像と共に3次元画像として格納される。電気器具及び配線経路の3次元画像は3次元CADシステムを使用して作成し、例えばBMPのレコードとして配線経路画像テーブル10に各電線について格納することができる。
【0025】
器具ターミナル情報テーブル11には、図2のように、電線番号が付された各電線について、FROM器具(配線される一方の器具)名、そのターミナルの接続ピン名、そのターミナルの模式図画像、及びTO器具(配線される他方の器具)名、そのターミナルの接続ピン名、そのターミナルの模式図画像が格納される。ターミナルの模式図画像は、グラフィックソフトを用いてわかり易い2次元の線画を作成し、例えばBMP,GIF,或いはJPEGのレコードとして器具ターミナル情報テーブル11に格納することができる。
【0026】
チューブ情報テーブル12には、電線に挿通されるマークチューブの向きのデータが格納される。配線に使用する電線には、それを識別するために線番として「B10」などのマークを付したマークチューブが挿通されるが、図4のように、電線20に挿通されるマークチューブ21には、電線20の圧着端子22が電気器具の接続ピンに接続される形態により読む方向が決められており、電線20の端部に圧着端子22が右向きに圧着されその圧着端子22の元部にマークチューブ21が挿通される場合、例えば「正」と称し(表示し)ている。
【0027】
一方、電線20の端部に圧着端子22が左向きに圧着されその圧着端子22の元部にマークチューブ21が挿通される場合、「逆」と称し(表示し)ている。また、電線20が接続される接続ピンの状態によっては、マークチューブ21の上下が逆転し、倒立状態で現れるようにマークチューブ21が配置される場合もある。そのようなマークチューブ21の向きが、各電線について、チューブ情報テーブル12に格納されている。
【0028】
なお、マークチューブ21は、電線を配線に必要な長さに切断したとき、図5のように、捨てチューブ23を末端に付けた状態で挿通され、捨てチューブ23には配線する電線番号が付されている。そして、配線作業をする際、作業者はこの捨てチューブ23に付された電線番号に基づき、所定の電線20を取り出し、配線して圧着端子22を接続する。
【0029】
圧着端子情報テーブル13には、電線の端部に圧着する圧着端子の情報が格納され、図3に示すように、例えば、電線の端部(電線を水平に置いた場合に左端と右端)に圧着される端子名が格納され、さらに、その端子の写真画像データが、例えばBMP,GIF,或はJPEGのレコードとして格納されている。電線によっては端子を圧着せずに芯線をそのまま使用する場合があり、その場合は端子のレコードは「なし」とする。また、電線情報テーブル14には、各電線番号について、電線の名称、電線の長さ、及び電線の外観イメージ(着色した帯状体の画像)が格納される。
【0030】
表示器15に表示する配線支援画面は、例えば図6、図7に示すように、左側上部に、配線が行なわれる制御盤などの機器を示す配線号機入力欄30が設けられ、その下に電線番号入力欄31が形成される。電線番号は、配線を行なう全ての電線について順に付された番号であり、上述のように、所定の長さに切断された電線に挿通されたマークチューブ21の捨てチューブ23に印刷されている。
【0031】
配線支援画面の右側上部には、電気器具間に配線される配線経路を含む配線経路画像40が表示される。この配線経路画像40は配線経路画像テーブル10に格納されている画像データが読み出され、表示される。
【0032】
なお、配線経路画像40の右側には、「配線画像拡大」の文字がクリック可能に表示され、この「配線画像拡大」の文字をクリックすることにより又はキーボード16の所定キーのオン操作により、3次元配線画像の拡大画像にジャンプし、それを表示することができる。
【0033】
また、「配線画像拡大」の下には、「実装配線写真参照」の文字がクリック可能に表示され、この「実装配線写真参照」の文字をクリックすることにより又はキーボード16の所定キーのオン操作により、実際に配線した状態の写真画像を表示できるようにしている。実際に配線作業を実施した際の写真画像は予め写真画像テーブルにレコードとして格納される。
【0034】
さらに、図6、図7の配線支援画面の中間部には、配線しようとする電気器具のターミナルの接続ピンの配置を示す器具ターミナル画像41が、FROM情報及びTO情報として左右に分かれて表示される。この器具ターミナル画像41には、器具ターミナル情報テーブル11に格納されている情報、つまりFROM情報として、FROM器具名、そのターミナルの接続ピン名、そのターミナルの模式図画像42、及びTO情報として、TO器具名、そのターミナルの接続ピン名、そのターミナルの模式図画像43が表示される。
【0035】
また、接続ピン名の下には、器具ターミナル情報テーブル11から読み出した線番と挿入数が表示される。線番は、回路図面において各配線に付された符号であり、例えば図6では「B10」、図7では「B12」の符号が表示され、この符号「B10」、「B12」は電線のマークチューブ21にも印刷されている。挿入数は、ターミナルの接続ピンに接続される電線の圧着端子の数を示すもので、1本の場合、図7のように「1本挿入」が表示され、2本以上の場合は、図6のように「複数本挿入」が表示される。圧着端子には表と裏があり、1本挿入の場合には、表面が上になるように接続し、複数本挿入の場合には、1本目の端子は、その裏面を下にして接続する必要がある。
【0036】
左側上部の電線番号入力欄31の下側には、未配線(配線未完了)であるか、配線完了であるかの別を示す配線表示欄32が設けられ、使用者は例えばキーボード16のスペースキーをオン操作することにより、配線完了または未配線の信号を入力してそこに「配線完了」または「未配線」を表示させることができる。
【0037】
さらに、配線表示欄32の下には、検索のための検索表示欄33が設けられる。この検索表示欄33には、検索の範囲を示す全件検索、未配線検索、配線完了検索の文字が選択可能に表示される。その選択はキーボード16の例えば上下方向の矢印キーにより行うことができ、また、複数の検索結果がある場合、左右方向の矢印キーにより、配線支援画面をインクリメントまたはディクリメントして、全件、未配線または配線完了の電線を順に表示することができる。
【0038】
さらに、配線支援画面の下部には、電線情報、圧着端子情報、及びチューブ情報を表示する表示欄が設けられている。電線情報は下部中央に表示され、そこには、電線名(例えば具体的な電線の規格名MTW1.0)、電線の長さ(例えば配線経路に応じて切断された電線長90mmまたは430mm)、及び電線イメージ画像44が、電線情報テーブル14から読み出され表示される。電線イメージ画像44としては、電線の線種を示すように、外観イメージを着色した帯状体の画像として表示している。
【0039】
さらに、圧着端子情報を表示する端子表示欄には、圧着端子情報テーブル13から読み出された圧着端子の規格名と圧着端子画像45が表示される。例えば圧着端子の場合、図6のように、両端部に「1.25Y−3L」の名称とその写真画像が表示される。端子を圧着せずに芯線をそのまま使用する場合、被覆を除去した芯線の写真画像が表示され、図7のように、右端部の端子がない場合、圧着端子画像45には芯線の画像が表示される。なお、圧着端子名の上には、端子を接続する際の配線順位(接続順位)が「1」「2」のように表示され、この配線順位は複数の電気器具におけるターミナルへの接続順位を意味する。
【0040】
さらに、圧着端子画像45の隣には、チューブの向きを示すチューブ方向表示画像46が表示される。このチューブ方向表示画像46は、電線の端部に挿入されたマークチューブ21の向きを示す画像で、図4に示すように、電線の右端に端子つまりチューブが付く場合、その向きを「正」と称し、電線の左端にチューブが付く場合、その向きを「逆」と称し、チューブの箇所に「正」又は「逆」と表示している。また、配線支援画面上において、電線はその左端部がFROM器具の接続ピンに接続され、その右端部がTO器具の接続ピンに接続されるように、配置されるため、図7の配線支援画面のように、マークチューブ21の向きは、その左側に圧着端子(チューブ)が位置する場合、「正」の表示が上下逆向きになる場合があり、その右側に端子(チューブ)が位置する場合、「逆」の表示が上下逆向きになる。
【0041】
次に、上記配線作業支援システムの動作を、図8,9のフローチャートに基づいて説明する。この配線作業支援システムを用いて配線作業を行なう場合、配線に使用する電線は、線材を所定の長さに切断し、その両端にマークチューブが挿通され、圧着端子を圧着して、予め製造される。マークチューブ21には、図5のように、配線の線番が例えば「B10」の如く印刷され、そこに続く捨てチューブ23には、電線番号が印刷されている。
【0042】
なお、電線の切断、マークチューブの挿入、及び圧着端子の圧着という各電線の製造作業は、図6、図7の配線支援画面に示すように、その下部に表示された電線情報、圧着端子情報、及びチューブ情報を参照することにより、容易に効率よく行うことができる。配線に使用する電線は電線束として束ねておく。
【0043】
配線を行なう制御盤などには、既にリレー、ブレーカーなどの電気器具が取り付けられている。配線作業者は、本配線作業支援システムをパソコン上で起動し、図6、図7に示すように、配線しようとする配線号機欄30に配線号機(例えばA1)を選択して入力し(図8のステップ100)、配線支援画面を表示器15に表示する。
【0044】
次に、作業者は、電線束の中から1本の電線を取り出し、その電線の捨てチューブ23に印刷されている電線番号を読み取り、その電線番号を画面の左上部の電線番号入力欄31に、キーボード16を使用して入力する(ステップ110)。取り出した電線の番号が例えば1番であった場合、電線番号入力欄31に「1」を入力すると、1番の電線番号の配線支援画面が、図6のように表示器15に表示される(ステップ120)。
【0045】
配線作業者は、ここで先ず手に取った電線を、配線支援画面の下部に表示された電線情報、圧着端子情報、及びチューブ情報の画像と比較し、両者が一致しているか否かをチェックする。図6の配線支援画面の下部に示す、圧着端子画像45の隣には、チューブの向きを示すチューブ方向表示画像46が表示され、中央に電線のイメージ画像44が表示されるため、作業者は、実際の電線と画面の電線表示を容易に比較してチェックすることができる。また、マークチューブ21に付された線番(例えばB10)は、配線支援画面上では接続ピン番の下に表示されるため、その一致を確認することになる。
【0046】
そして、作業者は、画面上部の配線経路画像40を見ながら、電線を制御盤の配線位置に置き、FROM情報の電気器具におけるターミナル模式図画像42の接続ピンの位置と、TO情報の電気器具におけるターミナル模式図画像43の接続ピンの位置を確認しながら、電線の左側の端部の圧着端子をFROM器具の接続ピンに接続し、電線の右側の端部の圧着端子をTO器具の接続ピンに接続する。
【0047】
図7の配線支援画面の器具ターミナル画像41に示すように、接続ピンの下側の線番の表示部分に、「1本挿入」が記載されている場合、その接続ピンに対し1本のみの電線が接続されることを意味しており、作業者は、通常通り、圧着端子の表面を取付面に向けて接続する。これに対し、図6の配線支援画面に示すように、接続ピンの下側の線番の表示部分に、「複数本挿入」が記載されている場合、その接続ピンに対し複数本の電線が接続されることを意味するものであり、作業者は、1本目の圧着端子をその接続ピンに接続する際には、圧着端子の裏面を取付面に向けて接続する。従って、このような「複数本挿入」の明記により、2本以上の圧着端子が同じ接続ピンに接続される場合、圧着端子の表裏の向きを適正な状態として接続することができる。
【0048】
このように、配線支援画面には、配線経路画像40により配線経路が示され、FROM器具のターミナルの接続ピンの位置は、ターミナル模式図画像42により明確に表示され、TO器具のターミナルの接続ピンの位置は、ターミナル模式図画像43により明確に表示されるため、作業者はその表示を見ながら、容易に且つ正確に電線の圧着端子を所定の接続ピンに接続することができる。
【0049】
なお、配線経路画像40が小さくて見づらい場合、「配線画像拡大」の文字をクリックすれば、その拡大画像が表示され、作業者は見やすく作業を能率よく行なうことができる。また、「実装配線写真参照」の文字をクリックすれば、その配線写真を表示させることもできる。この「配線画像拡大」の文字と「実装配線写真参照」の文字のクリック操作は、キーボード16のキー操作に変更して設定することができ、マウスやカーソルを使用せずに、現場においてもキーボード16のみで簡単に操作することができる。
【0050】
そして、当該電線について配線が完了したとき、作業者はキーボード16の所定キー(例えばスペースキー)をオン操作して、配線済みの情報を入力する。このとき、パソコン側では、ステップ130からステップ140に進み、当該電線番号について、配線済みフラグをセットし、画面上の配線表示欄32に「配線済み」または「配線完了」の文字を表示する。
【0051】
なお、作業者が誤ってスペースキーを操作して「配線済み」が誤入力された場合を想定して、再度スペースキーを操作すると、ステップ150からステップ160に進み、当該電線番号について、配線済みフラグをリセットし、画面上の配線表示欄32に「未配線」または「配線未完了」の文字を再表示することができる。また、「配線済み」と「未配線」の表示は、色を変えて表示し、その区別が容易に視認できるようにしている。
【0052】
このように、作業者は、電線束から取り出した電線の電線番号を入力し、その入力によって当該電線の配線支援画面を表示器15に表示させ、その画面に従って配線を行ない、配線の完了と共に、スペースキーを操作して、配線済みの情報を入力し、このような動作を各電線の配線作業毎に繰り返していく。
【0053】
そして、当該配線号機について、電線束の電線がなくなった時点、或は全ての電線の配線作業が終了した時点などに、検索機能を動作させて、未配線の電線と配線完了の電線を別個に表示させれば、未配線の電線と配線完了の電線の数を容易に把握することができる。
【0054】
検索を行なう場合、図6、図7の配線支援画面上における検索表示欄33において、先ず、例えば上下方向の矢印キーを操作して、全件検索、未完検索、完了検索の何れかに検索対象をセットする。次に、例えば左右方向の矢印キーを操作して、セットした検索対象について、検索を行なう。
【0055】
このとき、図9のフローチャートにおいて、ステップ200からステップ210に進み、全件検索か否かを判定する。このとき、全件検索にセットされている場合、次に、ステップ220に進み、単純に次に電線番号の配線支援画面を表示する。例えば、進むに対応する右向きの矢印キーが操作された場合、その時点で表示される電線番号の次の電線番号の画面が表示され、戻るに対応する左向きの矢印キーが操作された場合、その時点で表示される電線番号の前の電線番号の配線支援画面が表示される。
【0056】
一方、未完検索にセットされている場合、ステップ210からステップ230,240に進み、進むに対応する右向きの矢印キーが操作された場合、ステップ280に進み、その時点で表示される電線番号より後の電線番号における未配線の配線支援画面が表示される。一方、戻るに対応する左向きの矢印キーが操作された場合、ステップ240からステップ290に進み、その時点で表示される電線番号より前の電線番号における未配線の配線支援画面が表示される。
【0057】
さらに、完了検索にセットされている場合、ステップ230からステップ250に進み、進むに対応する右向きの矢印キーが操作された場合、ステップ260に進み、その時点で表示される電線番号より後の電線番号における配線完了の配線支援画面が表示される。一方、戻るに対応する左向きの矢印キーが操作された場合、ステップ250からステップ270に進み、その時点で表示される電線番号より前の電線番号における配線完了の配線支援画面が表示される。
【0058】
このように、未配線の電線についての検索と配線完了の電線についての検索が可能となるため、ある程度の電線数の配線作業が終了した時点などに、検索機能を動作させて、未配線の電線と配線完了の電線を別個に表示させることにより、未配線の電線と配線完了の電線の数を容易に把握することができ、また、配線完了の時点で検索を行なえば、配線作業の進み具合を把握できると共に、確実に配線完了をチェックすることができ、配線忘れを防止することができる。また、本配線作業支援システムは、パソコンなどを使用して、配線支援画面を表示するが、マウスやカーソル、ポインタなどを使用せずに、キー操作のみで操作することができるから、作業現場においても、難なく使用することができる。
【0059】
なお、上記実施形態の配線支援画面では、その左側上部に配線号機入力欄30、電線番号入力欄31、配線完了表示欄32を表示し、その右側上部に配線経路画像40を表示し、中間部に器具ターミナル画像41を配置してFROM器具とTO器具の情報を表示し、その下部に電線情報、圧着端子情報、チューブ情報を表示したが、それらの配置は、上記実施形態に限定されるものではなく、任意に変更して使用することができる。
【0060】
また、この配線作業支援システムを起動して配線作業を開始した時点からシステムが時間のカウントを開始し、配線の完了を示すキースイッチ信号が入力されるまでの時間を計測して、その配線作業に要した作業時間を計測し、それを記憶集計するように構成すれば、配線作業の管理に役立てることができる。
【0061】
以上のように、この配線作業支援システムによれば、配線作業者は、表示器15に表示された配線経路を含む電気器具の配線経路画像40を視認しながら配線作業を行なうことができるため、熟練した技術を有しない作業者でも、適正な位置に配線を通し、ターミナルの接続ピンに正確に接続し、効率よく配線作業を行うことができる。また、配線しようとする電線を手に取ったとき、表示器15に表示された電線、圧着端子及び電線に挿通されたマークチューブの画像とそれを見比べることができ、それにより、作業者は電線や圧着端子、マークチューブの向きの誤りなどを事前にチェックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態を示す配線作業支援システムの構成図である。
【図2】器具ターミナル情報テーブルの説明図である。
【図3】圧着端子情報テーブルの説明図である。
【図4】マークチューブの向き(正逆)を示す説明図である。
【図5】マークチューブと捨てチューブを示す説明図である。
【図6】配線支援画面の一例を示す画面説明図である。
【図7】配線支援画面の他の一例を示す画面説明図である。
【図8】配線作業支援システムの動作を示すフローチャートである。
【図9】検索処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1−演算処理部
2−配線支援情報表示機能
3−配線経路画像表示機能
4−配線未配線入力表示機能
5−配線未配線検索機能
10−配線経路画像テーブル
11−器具ターミナル情報テーブル
12−チューブ情報テーブル
13−圧着端子情報テーブル
14−電線情報テーブル
15−表示器
16−キーボード



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気器具の配線を行なう配線作業者に対し配線に関する情報を表示器に表示して支援を行なう配線作業支援システムであって、
指定された電線について電気器具間の配線経路を該電気器具の画像と共に該表示器に表示する配線画像表示手段と、
該電線を接続する電気器具の接続ピン番号の位置関係を表したターミナル配置画像を、該ターミナルのピン番号と共に該表示器に表示する器具ターミナル配置画像表示手段と、
該電線の画像と共に該電線の端部に圧着された圧着端子の画像を該表示器に表示する圧着端子画像表示手段と、
該電線に挿通させるマークチューブの向きを該表示器に表示するマークチューブ情報表示手段と、
配線しようとする該電線の配線に関する配線支援画面を該表示器に表示するために電線番号を入力するキースイッチ入力手段と、
を備えたことを特徴とする配線作業支援システム。
【請求項2】
前記電気器具のターミナルの接続ピンに複数本の電線が接続される場合、複数本挿入の情報を表示器に表示する複数本挿入情報表示手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の配線作業支援システム。
【請求項3】
前記電線について配線の未完了と配線の完了の別を示す配線完了欄を前記表示器の画面上に表示する配線完了画像表示手段と、配線を完了したとき、該表示器の画面上の配線未完了の表示を配線完了に変えるための信号を入力するキースイッチ入力手段と、が設けられたことを特徴とする請求項1記載の配線作業支援システム。
【請求項4】
配線未完了の電線の配線支援画面を又は配線完了の電線の配線支援画面を各々検索する検索手段を設け、特定のキースイッチ操作により、配線未完了の電線又は配線完了の電線の配線支援画面を、電線の番号順にインクリメントまたはディクリメントして表示することを特徴とする請求項3記載の配線作業支援システム。
【請求項5】
前記配線画像表示手段が前記表示器に表示する電気器具の画像を含む電気器具間の配線経路の画像を、キースイッチの操作に応じて拡大表示する画像拡大表示手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の配線作業支援システム。
【請求項6】
キースイッチの操作に応じて、前記配線画像表示手段が前記表示器に表示する電気器具の画像を含む電気器具間の配線経路の画像に代えて、実際に配線を行なった際の配線写真画像を該表示器に表示する写真画像表示手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の配線作業支援システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−72791(P2007−72791A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259547(P2005−259547)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】