説明

配線具

【課題】 複数の電線又はこれに連結される端子同士を容易に電気的に導通させることができる配線具を提供する。
【解決手段】 配線具(1a,1b,1c)は、少なくとも一部が金属で作られており、1つのブレーカ(2a)の充電部に接続される3本の電線(5)及び複数の電力量計(3a,3b,3c)に接続される電圧測定用コード(7)のそれぞれに連結したクリップを挟んでクリップ間を電気的に導通させる狭持部(21)と、狭持部(21)を覆うプラスチックで作られたカバー(8a,8b,8c)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電線又はこれに連結された端子同士を電気的に導通させる配線具に関する。更に詳細には、ブレーカ等の充電部に電力量計を安全に取り付けることができる配線具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅や工場等の電力需要施設では、使用した電力を計量する電力量計が設置されており、計量した電力量に応じた電力料金が毎月算出される。電力料金は、計量された電力量に比例して一律に決まるものではなく、各電力需要施設において所定時間内に計量された電力量の最大値に基づいて設定される基本料金と、基本料金毎に定められる課金率を電力量に乗じて得た従量料金との和からなる。基本料金の設定基準である所定時間内に計量された電力量は、デマンド値と呼ばれており、1年間(例えば、365日)を30分毎に17,520個の期間に分割し、各期間ごとに計量される電力量の平均値のうちの最大値のことである。
【0003】
従って、電力需要施設においては、デマンド値を下げることができれば、電力料金の算出基準である基本料金及び課金率を低減してコスト削減を図ることができる。また、電力事業者においては、デマンド値に基づいて、即ち発電量の最大値に合わせて発電設備を配備し、これを運転するため、デマンド値の低減は、発電設備に掛かるコストや発電に伴う二酸化炭素等の温暖化ガスの排出量を低減することができる。
【0004】
しかしながら、デマンド値に基づいて一旦基本料金が設定されると、その後一年間は基本料金を変更することができないため、電力料金の低減を希望する電力需要施設では、電力の使用量が多くなる時間帯に効率的に省電力化を図るため、電力使用量の推移を監視している。これは、電力会社等の電力事業者がサービスとして提供する場合もある。
【0005】
従来、電力使用量の推移を監視する場合には、例えば、図8のように、携帯型の電力量計3a,3b,3cを使用して、分電盤(図示省略)内に配置された複数のブレーカ2a,2b,2cを流れる電流、及び負荷側へ電力を供給する3本の電線10のうち2本の電線間で電位差を測定し、電力使用量の推移及び電力量を求めて記録する。
【0006】
具体的には、各電力量計3a,3b,3cには、3本の電圧測定用コード7及び2本の電流測定用コード17が接続される。各電圧測定用コード7の一端は、クリップ13に連結され、負荷側へ電力を供給する電線10をブレーカ2a,2b,2cに固定しているボルト11の頭部をクリップ13で挟むことにより、負荷側の電線10に接続される。電流測定用コード7の一端は、電線内を流れる電流を非接触で測定可能なクランプメータ18に連結されている。クランプメータ18は、負荷側の3本の電線10のうち2本の電線に流れる電流を測定するのに用いられる。そして、電力量計3a,3b,3cは、測定した電圧値及び電流値に基づいて電力使用量の推移を記録する。
【0007】
また、電力量計3a,3b,3cは、求めた電力量を画面上に表示することができるとともに、有線又は無線でコンピュータと通信可能な構成になっている。これにより、電力使用量の推移を所定期間(例えば、10日間)記録した後、そのデータをコンピュータに送信することにより、電力使用量の多い時間帯を確認できるグラフ等の資料を作成することができ、効率的な省電力化を図るために利用することができる。
【0008】
下記特許文献1には、ブレーカ等の端子台に電力量計等の測定器を取り付ける場合、端子台に電線を固定しているネジ又はボルトをクリップで掴むだけではクリップが外れ易いという課題を解決するため、電線を挟んで固定する電線挟み部材と、この電線挟み部材に端子台に向けて付勢した長尺の接続端子を設けた端子が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−31546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、一般に、ブレーカに接続される電線同士の間隔は非常に狭いため、前記特許文献に記載の端子を各電線に取り付けるのは困難であるとともに、ブレーカの充電部近くで配線が煩雑になり、短絡させてしまうおそれがある。
【0011】
また、図8に示した電力使用量の推移を監視する従来の方法においても、ブレーカに電線を固定しているボルト同士の間隔が非常に狭いうえに、全てのボルトをクリップでそれぞれ挟むことにより配線が煩雑になり、誤ってクリップ同士で短絡させてしまうおそれがある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、複数の電線又はこれに連結された端子同士を容易に電気的に導通させることができる配線具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の配線具は、少なくとも一部が導電性材料で作られており、複数の電線又は該電線に連結された端子を挟んで該電線又は端子間を電気的に導通させる狭持部と、前記狭持部を覆う絶縁材料で作られたカバーとを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明の実施形態では、前記カバーは、互いに対向する向きに回動可能に連結され、内側が中空になるように組み合う一対のカバー構成部材から成り、前記狭持部は、前記カバーの内側で、前記カバー構成部材の一方に取り付けらた導電性材料で作られた導電部と、前記カバー構成部材の他方に取り付けられ又は該他方のカバー構成部材の一部を成す狭持部材とから成る。この場合、一対のカバー構成部材は、互いに対向する向きに回動するように弾性部材によって付勢するのがよい。
【0015】
また、別の実施形態では、前記狭持部材も導電性材料で作られている。
【0016】
更に詳細には、前記電線は、ブレーカ等の充電部に接続される電線及び複数の電力量計に接続される電線である。
【0017】
また、上記導電部には、その表面に凹凸を設けるのがよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の配線具によれば、複数の電線又は該電線に連結された端子を狭持部で挟むだけで、電線又は端子間を簡単に電気的に導通させることができる。また、狭持部がカバーで覆われるため、感電等の危険を回避することができる。
【0019】
また、互いに対向する向きに回動可能に連結され、内側が中空になるように組み合う一対のカバー構成部材でカバーを構成することにより、狭持部は、カバー構成部材の一方に取り付けた導電部と、他方に取り付け又は他方のカバー構成部材の一部を成す狭持部材とによって構成することができる。この場合、一対のカバー構成部材を、互いに対向する向きに回動するように弾性部材によって付勢することにより、電線又はこれに連結された端子を挟んで容易に保持することができる。
【0020】
更に、狭持部材も導電性材料で作ることにより、狭持部で挟む電線又は端子を一層確実に電気的に導通させることができる。
【0021】
ブレーカ等の充電部に接続される電線及び複数の電力量計に接続される電線を電気的に導通させることができるため、ブレーカ等の充電部に電力量計を設置して電力使用量の推移や電力量を記録することができる。この場合においても、狭持部がカバーで覆われているため、感電や短絡事故等の危険性を回避することができ、電力量計の取り付け作業を安全に行うことができる。また、ブレーカが複数ある場合であっても、本発明の配線具を用いることにより、1つのブレーカの充電部にのみ電線を接続すればよいため、全てのブレーカの充電部に電線を接続していた従来の電力の計量方法よりも感電等の危険性が格段に小さくなる。
【0022】
導電部の表面に凹凸を設けることにより、狭持部に挟んで保持される電線又は端子が簡単に外れるのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、実施例の配線具1a,1b,1cを3つ使用し、分電盤(図示省略)内に配置された複数(例えば、3つ)のブレーカ2a,2b,2cにこれと同数の携帯型の電力量計3a,3b,3cを取り付けたときの状態を示す。
【0024】
配線具1a,1b,1cは、ブレーカ2a,2b,2cの充電部に接続された電圧測定用の電線5と、3つの電力量計3a,3b,3cにそれぞれ接続された電圧測定用コード7とを電気的に導通させる装置であり、電力量計3a,3b,3cの取り付け作業中に感電や短絡事故が発生するのを防ぐため、プラスチック等の絶縁材料で作られたカバー8a,8b,8cを備えている。カバー8a,8b,8cは、その一部を切り欠くことにより、導通対象である電線5及び電圧測定用コード7を配線具1a,1b,1c内へ通す電線挿通部9a,9b,9cが設けられている。充電部とは、電気が流れている部分のことであり、電力量計を取り付けること(具体的には、電圧測定)ができるように外部に露出した部分を有していることが望ましい。例えば、図のブレーカ2a,2b,2cの場合、負荷側へ給電する電線10を固定しているボルト(又はネジでもよい)11を、電力量計3a,3b,3cを取り付けるための充電部とすることができる。
【0025】
配線具1a,1b,1cとブレーカ2a,2b,2cとを接続する電線5は、ブレーカ2a,2b,2c側にクリップ13が取り付けられており、ブレーカ2a,2b,2cの充電部であるボルト11の頭部をクリップ13で挟むことにより、ブレーカ2a,2b,2c側に接続される。これにより、各電力量計3a,3b,3cでは、1つ(図では右端)のブレーカ2aの充電部、具体的にはブレーカ2aの負荷側に接続した3本の電線10のうち2本の電線10間の電位差を測定することができる。各ブレーカ2a,2b,2cの電源側に接続される電線15は、分電盤内で一系統に収束するため、上記のように一つのブレーカ2aの充電部で測定した電圧を、ほかのブレーカ2b,2cの充電部における電圧として電力及び電力量の算出に用いることができる。
【0026】
また、電力量計3a,3b,3cは、各ブレーカ2a,2b,2cの充電部における電力及び電力量を算出するため、上記電圧のほかに各ブレーカ2a,2b,2cを流れる電流の値を測定する。具体的には、各電力量計3a,3b,3cには、2本の電流測定用コード17が接続されており、各々の先端は、電線10内を流れる電流を非接触で測定可能なクランプメータ18に連結されている。クランプメータ18は、負荷側の電線10のうち2本の電線に流れる電流値を測定する。
【0027】
電力量計3a,3b,3cは、測定した電圧値及び電流値に基づいて使用された電力の推移及びその積算値である電力量を算出して記録する。また、電力量計3a,3b,3cは、求めた電力量を画面上に表示することができるとともに、有線又は無線でコンピュータと通信可能な構成になっている。これにより、電力使用量の推移を所定期間(例えば、10日間)記録した後、そのデータをコンピュータに送信することにより、電力使用量の多い時間帯を確認できるグラフ等の資料を作成することができ、効率的な省電力化を図るために利用することができる。
【0028】
図2は、配線具1a,1b,1cの構成及び組立方法を示す。尚、実施例の配線具1a,1b,1cは、いずれも同じ構成であるため、ここでは配線具1aについて説明する。
【0029】
配線具1aは、
少なくとも一部が導電性材料で作られており、複数の電線又は該電線に連結されたクリップ等の端子を挟んで電線又は端子間を電気的に導通させる狭持部21と、
狭持部21を覆うプラスチック等の絶縁材料で作られたカバー8aと
で構成されている。
【0030】
具体的には、カバー8aは、互いに対向する向きに回動可能に連結可能で、内側が中空になるように組み合う一対のカバー構成部材24a,24bから成る。一方のカバー構成部材24aは、他方のカバー構成部材24bより一回り大きく作られており、両側に突起25が一対に設けられている。この一対の突起25には、互いに連通するように孔26が設けられている。また、他方のカバー構成部材24bの両側にも突起27が一対に設けられており、上下のカバー構成部材24a,24b同士を組み合わせたとき、一方のカバー構成部材24aの突起25に設けた孔26と連通する孔28が設けられている。
【0031】
各カバー構成部材24a,24bを組み合わせた後、それぞれの突起25,27の孔26,28に金属等で作られたシャフト31を通すことにより、カバー構成部材24a,24bは、シャフト31を中心として回動することができる。シャフト31には、一方のカバー構成部材24aの幅より少し広い間隔で全周に亘って切り欠くことにより小径部分33が設けられており、先端同士が互いに対向するように内側に突出するコ字形部材32を嵌め込むことができるようになっている。コ字形部材32の先端同士の間隔は、シャフト31の両端部に設けた小径部分33の直径より少し小さくすることにより、コ字形部材32を小径部分33に嵌合させたときに容易に外れるのを防ぐことができる。
【0032】
狭持部21は、
カバー8aの内側で、下側のカバー構成部材24bに取り付けられた導電性材料で作られた導電部34と、
上側のカバー構成部材24aに取り付けられたゴムやスポンジ等の弾性材料で作られた狭持部材35と
で構成されている。
【0033】
導電部34は、導電性を有する金属棒の両端を同じ方向に垂直に折り曲げた形状を成しており、下側のカバー構成部材24bに設けた一対の孔36に両端部をそれぞれ嵌め込むことにより、カバー8aの内側で下側のカバー構成部材24bに固定される。孔36には、予め接着剤を塗布しておいてもよい。また、導電部34のうち、折り曲げ箇所よりも中央寄りの部分は、全周に亘ってその表面に凹凸38が設けられており、導通対象である電線や端子を狭持部材35との間で挟んだとき、電線や端子が容易に外れるのを防ぐことができるようになっている。
【0034】
狭持部材35は、例えば、ゴムやスポンジ等の弾性材料を、導電部34を成す金属棒の径より大きい幅の直方体に形成して成り、カバー8aの内側で上側のカバー構成部材24aに接着等の適宜の方法で取り付けられている。また、狭持部材35は、導電部34との間で導通対象である電線やこれに連結されたクリップ等の端子を挟んで保持できるように、カバー8aの内側で導電部34と対向する位置に取り付けるのがよい。
【0035】
配線具1aを組み立てるときは、まず、上側のカバー構成部材24aの内側の面(下側のカバー構成部材24bと対向する面)に狭持部材35を取り付け、下側のカバー構成部材24bに設けた孔36に導電部34の両端部を嵌め込んで固定する。
【0036】
次に、一対のカバー構成部材24a,24b同士を組み合わせ、上側のカバー構成部材24aの一方の突起25側からシャフト31を挿入し、下側のカバー構成部材24bの一方の突起27の孔28に通す。このとき、下側のカバー構成部材24bの両側に設けた突起27同士の間に一対のねじりバネ40を配置し、シャフト31を更に挿入して、各ねじりバネ40の中心に形成されている孔に通し、下側のカバー構成部材24bの他方の突起27に設けた孔28と、上側のカバー構成部材24aの他方の突起25に設けた孔26の順に貫通させる。そして、上側のカバー構成部材24aの突起25の両側にシャフト31の両端部を突出させた状態で、シャフト31の両端部に設けた小径部分33にコ字形部材32をそれぞれ嵌め込む。これにより、一対のカバー構成部材24a,24bは、一対のねじりバネ40の反発力によって付勢され、互いに対向する向きに回動し、導電部34と狭持部材35の間で電線又はこれに連結されたクリップ等の端子を挟むことにより、これらの電線又は端子間を電気的に導通させることができる。
【0037】
図3は、導電部34に設けた凹凸38を示す。この凹凸38は、導電部34の表面に、導電部34の軸と平行及び周方向に一定の間隔で溝42を設けることにより形成されている。
【0038】
図4は、配線具1aの内側の状態を示す断面図である。カバー8aを構成する一対のカバー構成部材24a,24bは、ねじりバネ40の反発力を受けて互いに対向する向きに付勢されるため、カバー8aの内側では、狭持部21は、図のように、導電部34と狭持部材35が互いに圧接した状態になる。また、前述のとおり、上側のカバー構成部材24aは、下側のカバー構成部材24bより大きく作られているため、一対のカバー構成部材24a,24b同士を組み合わせると、下側のカバー構成部材24bは、カバー構成部材24aの内側に入り込んだ状態になる。
【0039】
図5は、導通対象である電線に連結された端子の一例のクリップ44を、狭持部21で挟んで保持するときの状態を示す。導通対象である電線又はこれに連結されたクリップ44等の端子を狭持部21で挟むときは、配線具1aの後方部分(図5では右側部分)を握って、カバー構成部材24a,24bの前方部分の間隔を拡げる。これにより、配線具1aの内側が露出されるので、クリップ44で導電部34を容易に挟むことができる。
【0040】
そして、配線具1aの後方部分に掛けた圧力をゆっくりと緩めてカバー構成部材24a,24bを組み合わせると、クリップ44は、図6のように、導電部34と狭持部35の間に挟まれた状態で保持される。導通対象が電線の場合には、電線を導電部34に接触させたまま、一対のカバー構成部材24a,24b同士をゆっくりと組み合わせることにより、電線が導電部34と狭持部35の間に挟まれた状態で保持される。このとき、弾性材料で作られた狭持部35は、ねじりバネ40の反発力を受けて導電部34側へ付勢され、クリップ44に圧接して変形することにより、導電部34との間でクリップ44を一層確実に保持することができる。
【0041】
図7は、ブレーカ2a(図1)の充電部に接続される電圧測定用の電線5と、3つの電力量計3a,3b,3cにそれぞれ接続される3本の電圧測定用コード7を配線具1a内で電気的に導通させて分岐配線を構成した状態を示す。
【0042】
実施例では、ブレーカ2aの充電部に接続される電線5と、3本の電圧測定用コード7のそれぞれの端部にクリップ44を取り付けておき、配線具1a内で各クリップ44によって導電部34を挟むことができるようにした。また、カバー8aは、狭持部21を覆うだけでなく、これに保持される導通対象であるクリップ44等の端子も覆うことができるので、別系統のクリップや電線と接触するおそれがなく、電力量計3a,3b,3cの取り付け作業を安全に行うことができる。
【0043】
以上、実施例の配線具1a,1b,1cについて説明したが、ブレーカ2a,2b,2cの個数が3つの場合に限らず、例えば、2個でもよいし、4個以上でもよい。4個以上のブレーカにこれと同数の電力量計を取り付けるときは、1つのブレーカの充電部に接続する電線と、各電力量計に接続される電圧測定用コードを実施例の配線具1a,1b,1c内で保持して電気的に導通させればよい。
【0044】
また、実施例では、狭持部材35は、ゴムやスポンジ等の弾性材料で作られているが、導電性の有無、及び弾性と塑性の相違に拘わらず、導電部34との間で導通対象である電線5,7やクリップ44等の端子を挟んで保持可能な任意の材料で作ることができる。更に、導電性と弾性を備えた材料である導電性ゴムで狭持部材35を作ることもできる。
【0045】
実施例では、狭持部材35は、上側のカバー構成部材24aに固定したが、カバー構成部材24aの一部であってもよい。例えば、上側のカバー構成部材24aをカバー8a,8b,8cの内側に向って突出させ、その突出部分が狭持部材を成すことができる。
【0046】
更に、実施例では、一対のカバー構成部材24a,24bは、ねじりバネ40の反発力によって付勢され、シャフト31より前方(図2では左側)の部分が互いに対向する向きに回動するように構成したが、カバー8aの内側でシャフト31より後方(図2では右側)にコイルスプリングを設けて、このスプリングの反発力を利用することもできる。或いは、シャフト31より前方(図2では左側)にコイルスプリングを設けて、その収縮力を利用して、互いに対向する向きに回動させることもできる。
【0047】
実施例の導電部34に設けた凹凸38は、導電部34に溝を設けることにより形成されているが、導電部34の表面に突起を成す金属片を溶接等の適宜の手段で取り付けることにより形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施例の配線具を3つ使用し、3つのブレーカにこれと同数の携帯型の電力量計を取り付けたときの状態を示す図。
【図2】配線具の構成及び組立方法を示す図。
【図3】導電部に設けた凹凸を示す図。
【図4】配線具の内側の状態を示す断面図。
【図5】導通対象である電線に連結されたクリップを、導電部と狭持部の間で挟んで保持するときの状態を示す図。
【図6】導通対象である電線に連結されたクリップを、導電部と狭持部の間で挟んで保持した状態を示す図。
【図7】ブレーカの充電部に接続される電圧測定用の電線と、3つの電力量計にそれぞれ接続される3本の電圧測定用コードを配線具内で電気的に導通させて分岐配線を構成した状態を示す図。
【図8】3つのブレーカにこれと同数の携帯型の電力量計を従来の方法で取り付けたときの状態を示す図。
【符号の説明】
【0049】
1a,1b,1c…配線具、2a,2b,2c…ブレーカ、3a,3b,3c…電力量計、5…電線、7…電圧測定用コード、8a,8b,8c…カバー、9a,9b,9c…電線挿通部、10,15…電線、11…ボルト、13,44…クリップ、17…電流測定用コード、18…クランプメータ、21…狭持部、24a,24b…カバー構成部材、25,27…突起、26,28,36…孔、31…シャフト、32…コ字形部材、34…導電部、35…狭持部材、38…凹凸、40…バネ、42…溝。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が導電性材料で作られており、複数の電線又は該電線に連結された端子を挟んで該電線又は端子間を電気的に導通させる狭持部と、
前記狭持部を覆う絶縁材料で作られたカバーと
を具備することを特徴とする配線具。
【請求項2】
請求項1記載の配線具において、
前記カバーは、互いに対向する向きに回動可能に連結され、内側が中空になるように組み合う一対のカバー構成部材から成り、
前記狭持部は、前記カバーの内側で、前記カバー構成部材の一方に取り付けらた導電性材料で作られた導電部と、前記カバー構成部材の他方に取り付けられ又は該他方のカバー構成部材の一部を成す狭持部材とから成る
ことを特徴とする配線具。
【請求項3】
請求項2記載の配線具において、前記一対のカバー構成部材は、互いに対向する向きに回動するように弾性部材によって付勢されていることを特徴とする配線具。
【請求項4】
請求項2又は3記載の配線具において、前記狭持部材も導電性材料で作られていることを特徴とする配線具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか記載の配線具において、前記電線は、ブレーカ等の充電部に接続される電線及び複数の電力量計に接続される電線であることを特徴とする配線具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか記載の配線具において、前記導電部は、その表面に凹凸が設けられていることを特徴とする配線具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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