説明

配線基板、及び半導体パッケージ

【課題】電源インピーダンスを低くすることや、インピーダンスマッチングをとることが容易な無機材料を用いた配線基板、及び前記配線基板上に半導体チップを搭載した半導体パッケージを提供すること。
【解決手段】本配線基板は、無機材料からなる基板本体と、前記基板本体を厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第1電極と、前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極とは所定の間隔を隔てて第1の方向及びそれと直交する第2の方向にそれぞれ交互に複数配置され、前記第1電極と前記第2電極との間には、前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する信号電極が設けられ、前記第1電極と前記第2電極の何れか一方はグランド電極であり、他方は電源電極である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機材料を用いた配線基板、及び前記配線基板上に半導体チップを搭載した半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁性樹脂等の有機材料を用いた配線基板や、シリコン等の無機材料を用いた配線基板が知られている。有機材料を用いた配線基板では、インピーダンスマッチングや電源インピーダンスの低減等を目的として、電源プレーンやGNDプレーンを平面的に形成していた。
【0003】
電源プレーンやGNDプレーンを可能な限り広い面積で形成することにより、電源やGNDの抵抗値を低くできる。又、電源プレーンやGNDプレーンを近接させて対向配置することにより、容量性を高く、誘導性を低くできる。又、電源プレーンやGNDプレーンにより信号電極を挟持することにより、インピーダンスマッチングをとることができる。
【0004】
一方、無機材料を用いた配線基板では、マイクロローディング効果等の影響により、電源プレーンやGNDプレーンを平面的に形成することが困難である。そのため、微細な配線パターンやビア配線のみで電源やGNDを形成していた。なお、マイクロローディング効果とは、パターンのアスペクト比(パターン幅と深さの比)によりエッチング速度が異なる現象である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−148448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、無機材料を用いた配線基板において、微細な配線パターンやビア配線のみで電源やGNDを形成すると、広い導体面積を持った層を確保することができないため、電源やGNDの抵抗値が高く、容量性が低く、誘導性が高くなるといった問題が生じる。その結果、電源インピーダンスが高くなる。又、高速な入出力信号用の配線にインピーダンスマッチングをとることが困難である。
【0007】
例えば、特許文献1に開示された構造を用いた場合も、電源インピーダンスを低くすることはできるが、インピーダンスマッチングをとることは容易ではない。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電源インピーダンスを低くすることや、インピーダンスマッチングをとることが容易な無機材料を用いた配線基板、及び前記配線基板上に半導体チップを搭載した半導体パッケージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本配線基板は、無機材料からなる基板本体と、前記基板本体を厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第1電極と、前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第2電極と、を有し、前記第1電極と前記第2電極とは所定の間隔を隔てて第1の方向及びそれと直交する第2の方向にそれぞれ交互に複数配置され、前記第1電極と前記第2電極との間には、前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する信号電極が設けられ、前記第1電極と前記第2電極の何れか一方はグランド電極であり、他方は電源電極であることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、電源インピーダンスを低くすることや、インピーダンスマッチングをとることが容易な無機材料を用いた配線基板、及び前記配線基板上に半導体チップを搭載した半導体パッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施の形態に係る配線基板を例示する平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【図4】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【図5】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【図6】第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【図7】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板に半導体チップを搭載した半導体パッケージを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
[第1の実施の形態に係る配線基板の構造]
まず、第1の実施の形態に係る配線基板の構造について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る配線基板を例示する平面図である。図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
【0014】
図1及び図2を参照するに、配線基板10は、基板本体11と、絶縁膜12と、GND電極13(第1電極)と、電源電極14(第2電極)と、信号電極15とを有する。配線基板10の形状は任意として構わないが、本実施の形態では平面形状が正方形の板状である場合を例に以下の説明を行う。又、正方形の上面の一辺の方向をX方向(第1の方向)、正方形の上面においてX方向に垂直な方向をY方向(第2の方向)、厚さ方向をZ方向とする。
【0015】
配線基板10において、基板本体11は、GND電極13等を形成する基体となる部分であり、貫通孔11x、11y、及び11zが形成されている。基板本体11の大きさは、例えば、縦2〜3cm(Y方向)、横2〜3cm(X方向)、厚さ(Z方向)200〜300μm程度とすることができる。基板本体11の材料としては、シリコン、ガラス、セラミック等の無機材料を用いることができる。
【0016】
配線基板10は、半導体チップを搭載することにより半導体パッケージとなり得る。その際、半導体チップはシリコン基板を有するものが多いため、熱膨張係数を整合させる観点からすると、基板本体11の材料としてシリコンやシリコンに熱膨張係数が近い硼珪酸ガラスを用いると好適である。硼珪酸ガラスは、硼酸(B)と珪酸(SiO)を主成分として含むガラスであり、熱膨張係数は3ppm/℃程度である。
【0017】
基板本体11の熱膨張係数を半導体チップの熱膨張係数と整合させる理由は、高温環境下や低温環境下で動作する場合も含め、配線基板10と半導体チップとの接合部に生じる熱応力を低減するためである。以下、基板本体11がシリコンである場合を例にして説明する。
【0018】
貫通孔11x、11y、及び11zは、それぞれ基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する孔である。貫通孔11xは、GND電極13を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。貫通孔11yは、電源電極14を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に形成されている。貫通孔11xと貫通孔11yは、所定の間隔を隔ててX方向及びY方向にそれぞれ交互に配置されている。なお、各貫通孔11xと各貫通孔11yとの間隔は、全て一定である必要はない。
【0019】
貫通孔11x及び11yの平面形状は、矩形(正方形又は長方形)とすることができる。貫通孔11x及び11yの幅(X方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。貫通孔11x及び11yの長さ(Y方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。X方向に隣接する貫通孔11xと貫通孔11yの間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。Y方向に隣接する貫通孔11xと貫通孔11yの間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0020】
なお、貫通孔11x及び11yの平面形状は、厳密に矩形でなくてもよく、本実施の形態の所定の効果を損なわない範囲内で実質的に矩形であればよい。例えば、頂点部分がR形状であってもよい。
【0021】
貫通孔11zは、信号電極15を形成するために設けられた孔であり、基板本体11の厚さ方向(Z方向)に設けられている。貫通孔11zの平面形状は、例えば、円形等とすることができる。貫通孔11zの平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。貫通孔11zは、貫通孔11xと貫通孔11yとに挟持される位置に配置されている。但し、貫通孔11zの平面形状は、例えば、矩形等としてもよい。
【0022】
絶縁膜12は、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、並びに貫通孔11x、11y、及び11zの内側面に形成されている。絶縁膜12は、基板本体11と、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15との間をそれぞれ絶縁するための膜である。絶縁膜12の材料としては、例えば、二酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、基板本体11がシリコン(半導体材料)であるから絶縁膜12を設けているが、基板本体11がガラスやセラミック等の絶縁性材料である場合には、絶縁膜12を設けなくても構わない。
【0024】
GND電極13は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11xを充填するように形成されている。GND電極13は、半導体チップ等のGND(グランド)と電気的に接続される。GND電極13の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極13の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。GND電極13の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。
【0025】
電源電極14は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11yを充填するように形成されている。電源電極14は、半導体チップ等の電源と電気的に接続される。電源電極14の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極14の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。電源電極14の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。
【0026】
GND電極13と電源電極14は、所定の間隔を隔ててX方向及びY方向にそれぞれ交互に配置されている。GND電極13及び電源電極14の平面形状は、貫通孔11x及び11yの平面形状に対応して、矩形とすることができる。GND電極13及び電源電極14の幅(X方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。GND電極13及び電源電極14の長さ(Y方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。X方向に隣接するGND電極13と電源電極14の間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。Y方向に隣接するGND電極13と電源電極14の間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0027】
信号電極15は、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを充填するように形成されている。信号電極15は、半導体チップ等の信号電極と電気的に接続される。信号電極15の基板本体11の一方の面11a側に露出している面は、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。信号電極15の基板本体11の他方の面11b側に露出している面は、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とされている。
【0028】
信号電極15の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。信号電極15の平面形状は、貫通孔11zの平面形状に対応して例えば円形とすることができる。信号電極15の平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0029】
信号電極15は、例えば、図1の領域Eに示すように、所定の間隔を隔てて対向配置されたGND電極13と電源電極14との間に配置されている。平面形状が矩形のGND電極13と平面形状が矩形の電源電極14とに信号電極15が挟持されるため、所謂コプレーナ構造の伝送線路を実現でき、インピーダンスマッチングをとることが可能となる(例えば、50Ωのインピーダンスを実現できる)。
【0030】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板10では、基板本体11の厚さ方向に形成されたGND電極13と、基板本体11の厚さ方向に形成された電源電極14とが、所定の間隔を隔ててX方向及びY方向にそれぞれ交互に配置されている。そして、GND電極13と電源電極14とに挟持される位置に、基板本体11の厚さ方向に形成された信号電極15が配置されている。なお、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの個数は適宜決定することができる。
【0031】
[第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図3〜図6は、第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。
【0032】
まず、図3に示す工程では、基板本体11を準備し、基板本体11の一方の面11aから他方の面11bに貫通する貫通孔11x、11y、及び11zを形成する。基板本体11は、例えば6インチ(約150mm)、8インチ(約200mm)、12インチ(約300mm)等のシリコンウェハ等である。シリコンウェハの厚さは、例えば0.625mm(6インチの場合)、0.725mm(8インチの場合)、0.775mm(12インチの場合)等であるが、バックサイドグラインダー等で適宜薄型化することができる(例えば、厚さが200〜300μm程度となるように薄型化することができる)。なお、Cは、最終的に基板本体11等を切断する位置(以降、切断位置Cとする)を示している。
【0033】
貫通孔11x及び11yは、図1に示したように、所定の間隔を隔ててX方向及びY方向にそれぞれ交互に配置する。又、貫通孔11zは、所定の間隔を隔てて対向配置されたGND電極13と電源電極14との間に配置する。
【0034】
貫通孔11x、11y、及び11zは、例えば、基板本体11の一方の面11aに貫通孔11x、11y、及び11zを形成する位置を開口するレジスト層を形成し、レジスト層をマスクとして基板本体11をエッチングすることにより形成できる。エッチングとしては、例えばSF(六フッ化硫黄)を用いた反応性イオンエッチング(DRIE:Deep Reactive Ion Etching)等の異方性エッチング法を用いると好適である。
【0035】
貫通孔11x及び11yの平面形状は、矩形とすることができる。貫通孔11x及び11yの幅(X方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。貫通孔11x及び11yの長さ(Y方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。X方向に隣接する貫通孔11xと貫通孔11yの間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。Y方向に隣接する貫通孔11xと貫通孔11yの間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0036】
貫通孔11zの平面形状は、例えば、円形等とすることができる。貫通孔11zの平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。貫通孔11zは、貫通孔11xと貫通孔11yとに挟持される位置に配置される。但し、貫通孔11zの平面形状は、例えば、矩形等としてもよい。
【0037】
次に、図4に示す工程では、基板本体11の一方の面11a及び他方の面11b、並びに貫通孔11x、11y、及び11zのそれぞれの内側面に絶縁膜12を形成する。絶縁膜12としては、例えば熱酸化膜(SiO)を用いることができる。絶縁膜12は、基板本体11の表面近傍の温度を例えば1000℃以上とするウェット熱酸化法により熱酸化することで形成できる。絶縁膜12の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。なお、絶縁膜12として、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により、例えば二酸化珪素(SiO)や窒化珪素(SiN)、ポリイミド(PI)等の膜を形成しても構わない。
【0038】
次に、図5に示す工程では、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面に、接着層91を介して金属層92を配設する。そして、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11x、11y、及び11z内に露出する接着層91をアッシング法等により除去し、開口部91xを形成する。
【0039】
これにより、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11x、11y、及び11z内に金属層92の表面が露出する。金属層92は、電解めっき法により、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15を形成する際の給電層となる部材である。金属層92としては、例えば銅(Cu)板や銅(Cu)箔等を用いることができる。以下、金属層92が銅(Cu)板である場合を例にして説明する。
【0040】
次に、図6に示す工程では、金属層92を給電層とする電解めっき法により、金属層92側から貫通孔11x、11y、及び11z内にめっき膜を析出成長させることで、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11xを充填するGND電極13、内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11yを充填する電源電極14、及び内側面が絶縁膜12に被覆された貫通孔11zを充填する信号電極15を形成する。GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。
【0041】
GND電極13及び電源電極14の平面形状は、貫通孔11x及び11yの平面形状に対応して、矩形とすることができる。GND電極13及び電源電極14の幅(X方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。GND電極13及び電源電極14の長さ(Y方向)は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。
【0042】
X方向に隣接するGND電極13と電源電極14の間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。Y方向に隣接するGND電極13と電源電極14の間隔は、例えば、数10〜数100μm程度とすることができる。信号電極15の平面形状は、貫通孔11zの平面形状に対応して例えば円形とすることができる。信号電極15の平面形状が円形である場合の径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。
【0043】
必要に応じ、基板本体11の一方の面11a側をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により研磨して平坦化してもよい。これにより、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの基板本体11の一方の面11a側に露出している面を、基板本体11の一方の面11aを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とすることができる。
【0044】
次に、図6に示す工程の後(図示せず)、接着層91及び金属層92を除去し、更に、基板本体11の他方の面11b側から突出するGND電極13、電源電極14、及び信号電極15をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等により研磨する。これにより、GND電極13、電源電極14、及び信号電極15のそれぞれの基板本体11の他方の面11b側に露出している面を、基板本体11の他方の面11bを被覆する絶縁膜12の表面と略面一とすることができる。その後、ダイシング等により、切断位置Cで切断し個片化することにより、図1及び図2に示す配線基板10が完成する。
【0045】
なお、銅(Cu)板である金属層92は、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。接着層91は、アッシング法等により除去できる。
【0046】
このように、第1の実施の形態に係る配線基板10では、基板本体11の厚さ方向に形成されたGND電極13と、基板本体11の厚さ方向に形成された電源電極14とが、所定の間隔を隔ててX方向及びY方向にそれぞれ交互に配置されている。そして、GND電極13と電源電極14とに挟持される位置に、基板本体11の厚さ方向に形成された信号電極15が配置されている。
【0047】
GND電極13及び電源電極14をそれぞれ基板本体11の厚さ方向に形成することにより、導体面積を確保するとともに、多数のGND電極13及び電源電極14が形成可能となり、GND電極13及び電源電極14のそれぞれの抵抗値を低くできる。又、GND電極13と電源電極14とを近接して対向配置することにより、容量性を高く、誘導性を低くできる。更に、これらにより、配線基板10内の電源インピーダンスを低減できる。特に、GND電極13及び電源電極14のそれぞれの平面形状が矩形であり、それらが対向配置されているため、容量性を高くすることが容易である。
【0048】
換言すれば、例えばGND電極13及び電源電極14のそれぞれの平面形状が仮に円形である場合、GND電極13と電源電極14との距離が場所により異なるため、容量性が低くなる。しかし、本実施の形態ではGND電極13及び電源電極14のそれぞれの平面形状を矩形としているため、GND電極13と電源電極14との距離が一定になり、容量性を高くすることができる。
【0049】
又、基板本体11の厚さ方向に形成されたGND電極13と基板本体11の厚さ方向に形成された電源電極14とに挟持される位置に基板本体11の厚さ方向に形成された信号電極15を配置できるため、配線基板10内の配線密度を低下させることなく、配線基板10内の電源インピーダンスの低減等を実現できる。
【0050】
又、信号電極15がGND電極13と電源電極14とに挟持されるため、信号電極15に対する外部からのノイズをシールド(遮蔽)できる。又、信号電極15自体がノイズ源となることを防止できる。
【0051】
又、所定の間隔を隔てて対向配置されたGND電極13と電源電極14との間に信号電極15を配置して所謂コプレーナ構造の伝送線路を実現できるため、インピーダンスマッチングをとることが可能となる(例えば、50Ωのインピーダンスを実現できる)。
【0052】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、基板本体の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層を積層形成する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0053】
図7は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板を例示する断面図である。図7を参照するに、配線基板20は、配線基板10の基板本体11の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層が積層形成された構造である。
【0054】
配線基板20において、絶縁層21は、絶縁膜12を介して、基板本体11の一方の面11aに形成されている。絶縁層21の材料としては、例えばエポキシ系やポリイミド系等の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層21の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0055】
配線層22(所謂再配線層)は、絶縁層21上に形成されている。配線層22は、絶縁層21を貫通し信号電極15の一方の端面を露出するビアホール21x内に充填されたビア配線、及び絶縁層21上に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線パターンは、所定の平面形状にパターニングされている。ビアホール21xは、絶縁層23側に開口されていると共に、信号電極15の一方の端面によって底面が形成された凹部を形成している。又、この凹部内にビア配線が形成されている。
【0056】
配線層22は、ビアホール21x内に露出した信号電極15と電気的に接続されている。配線層22の材料としては、例えば銅(Cu)を主成分として含む金属材料等を用いることができる。配線層22を構成する配線パターンの厚さは、例えば10〜20μm程度とすることができる。なお、配線層22は、GND電極13や電源電極14と電気的に接続されてもよい。
【0057】
絶縁層23は、絶縁層21上に、配線層22を覆うように形成されている。絶縁層23は、所謂ソルダーレジスト層である。絶縁層23は開口部23xを有し、開口部23x内には配線層22の一部が露出している。絶縁層23の材料としては、例えば、エポキシ系やアクリル系等の感光性樹脂組成物を用いることができる。絶縁層23の厚さは、例えば15〜25μm程度とすることができる。
【0058】
開口部23x内に露出する配線層22は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部23x内に露出する配線層22を電極パッド22と称する場合がある。
【0059】
必要に応じ、電極パッド22上に、例えば無電解めっき法等により金属層等を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0060】
更に、電極パッド22上に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、電極パッド22自体を、外部接続端子としてもよい。電極パッド22の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば40〜120μm程度とすることができる。電極パッド22のピッチは、例えば100〜200μm程度とすることができる。
【0061】
同様に、基板本体11の他方の面11bには、絶縁膜12を介して、絶縁層25、配線層26、及び絶縁層27が順次積層形成されている。配線層26は、ビアホール25xを介して信号電極15と電気的に接続されている。配線層26は、GND電極13や電源電極14と電気的に接続されてもよい。なお、絶縁層25、配線層26、及び絶縁層27については、それぞれ絶縁層21、配線層22、及び絶縁層23の構造と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0062】
開口部27x内に露出する配線層26は、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部27x内に露出する配線層26を電極パッド26と称する場合がある。
【0063】
必要に応じ、電極パッド26上に、金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0064】
更に、電極パッド26上に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。外部接続端子は、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続するための端子となる。但し、電極パッド26自体を、外部接続端子としてもよい。
【0065】
電極パッド26の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば200〜1000μm程度とすることができる。つまり、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッド26の径は、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッド22の径よりも大きい。電極パッド26のピッチは、例えば500〜1200μm程度とすることができる。つまり、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される電極パッド26のピッチは、半導体チップ(図示せず)と電気的に接続される電極パッド22のピッチよりも広い。
【0066】
このように、基板本体の両面に、それぞれ絶縁層及び配線層を積層形成してもよい。
【0067】
〈半導体チップ搭載例〉
次に、配線基板20に半導体チップを搭載した半導体パッケージの例を示す。図8は、第1の実施の形態の変形例1に係る配線基板に半導体チップを搭載した半導体パッケージを例示する断面図である。図8を参照するに、半導体パッケージ30は、配線基板20の基板本体11の一方の面11a側に、2つの半導体チップ31、32が搭載された構造である。
【0068】
配線基板20の電極パッド22は、接合部34を介して、半導体チップ31、32と電気的に接続されている。半導体チップ31、32と配線基板20との間に、アンダーフィル樹脂を充填してもよい。配線基板20の電極パッド26には、接合部35が形成されている。接合部35は、他の配線基板やマザーボード等の実装基板(図示せず)と電気的に接続される部分である。接合部34及び35としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0069】
このように、配線基板に半導体チップを搭載して半導体パッケージを実現できる。なお、配線基板に搭載する半導体チップは1つでもよいし、3つ以上でもよい。又、複数の半導体チップを搭載する場合は、同一機能の半導体チップのみを搭載してもよいし、異なる機能の半導体チップが混在してもよい。
【0070】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0071】
10、20 配線基板
11 基板本体
11a 基板本体の一方の面
11b 基板本体の他方の面
11x、11y、11z 貫通孔
12 絶縁膜
13 GND電極
14 電源電極
15 信号電極
21、23、25、27 絶縁層
21x、25x ビアホール
22、26 配線層
23x、27x、91x 開口部
30 半導体パッケージ
31、32 半導体チップ
34、35 接合部
91 接着層
92 金属層
C 切断位置
E 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機材料からなる基板本体と、
前記基板本体を厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第1電極と、
前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する平面形状が矩形の第2電極と、を有し、
前記第1電極と前記第2電極とは所定の間隔を隔てて第1の方向及びそれと直交する第2の方向にそれぞれ交互に複数配置され、
前記第1電極と前記第2電極との間には、前記基板本体を前記厚さ方向に貫通する信号電極が設けられ、
前記第1電極と前記第2電極の何れか一方はグランド電極であり、他方は電源電極である配線基板。
【請求項2】
前記基板本体の一方の面から露出している前記第1電極の一端面、前記第2電極の一端面、及び前記信号電極の一端面は、それぞれ前記一方の面と面一であり、
前記基板本体の他方の面から露出している前記第1電極の他端面、前記第2電極の他端面、及び前記信号電極の他端面は、それぞれ前記他方の面と面一である請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
請求項1又は2記載の配線基板上に半導体チップを搭載した半導体パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate