説明

配線基板の製造方法

【課題】新たな器具の用意や、特別な工程の実行を抑えて、配線基板に識別マークを設ける。
【解決手段】(a)複数の絶縁層と複数の配線層とを備えた積層体を用意する工程と、(b)積層体の表面に設けられた第1の絶縁層に対してレーザ加工を施して、ビアホールと共に識別マーク部を形成する工程と、(c)ビアホール内のビア導体と、ビア導体と接続する端子パッドを形成する工程と、(d)端子パッドを形成した第1の絶縁層上にソルダーレジスト層を形成する工程と、(e)ソルダーレジスト層に、端子パッド上で開口する第1の開口部と共に、識別マーク部上で開口する第2の開口部を形成する工程と、を備える配線基板の製造方法において、識別マーク部は、全体として配線基板の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にする複数の識別マークを備え、第2の開口部は、識別マーク部全体を露出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体チップなどの電子部品を搭載するための配線基板が知られている。このような配線基板には、個々の配線基板ごとに、識別マーク、例えば、その配線基板の種類、特性、用途等を識別可能にするための識別マークが付される場合がある。このような識別マークは、一般に、配線基板の外部から認識可能に設けられる。
【0003】
外部から認識可能なマークを配線基板に付する方法の一つとして、従来、配線基板の表面に配置されたソルダーレジスト層に開口を設け、設けた開口内に金属層を形成して識別マークと成す構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、識別マークを配線基板に付する他の方法として、配線基板の表面に配置されたソルダーレジスト層上に、識別マークを印刷する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−051650号公報
【特許文献2】特開2002−118363号公報
【特許文献3】特開2009−194321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来知られる識別マークの形成方法では、識別マークを設けるために、新たな器具等を要したり、特別な工程を要するという問題があった。例えば、ソルダーレジスト層に開口を設けて開口内に金属層を形成する場合には、識別マークを構成する開口を形成するために、識別マークの形状に対応したパターニングを施されたマスクを新たに用意する必要が生じる。また、ソルダーレジスト層上に識別マークを印刷する場合には、ソルダーレジスト層上に識別マークを印刷する工程を別途実行する必要が生じる。
【0006】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、新たな器具を用意したり、特別な工程を実行することなく、配線基板に識別マークを設けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
【0008】
[適用例1]
(a)積層された複数の絶縁層と、前記複数の絶縁層間に形成された複数の配線層とを備えた、製造途中の配線基板である積層体を用意する工程と、
(b)前記積層体の表面に設けられた第1の絶縁層に対してレーザ加工を施して、前記第1の絶縁層を貫通するビアホールを形成すると共に、前記第1の絶縁層の一部を前記第1の絶縁層の表面から削ることによって、前記配線基板の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にするための識別マーク部を形成する工程と、
(c)前記ビアホール内にビア導体を形成すると共に、前記第1の絶縁層上に、所定のパターンで前記ビア導体と接続する端子パッドを形成する工程と、
(d)前記端子パッドを形成した前記第1の絶縁層上に、ソルダーレジスト層を形成する工程と、
(e)前記ソルダーレジスト層をパターニングして、前記ソルダーレジスト層を貫通する開口部として、前記端子パッド上で開口する第1の開口部と共に、前記識別マーク部が露出するように前記識別マーク部上で開口する第2の開口部を形成する工程と
を備える配線基板の製造方法において、
前記識別マーク部は、互いに離間して形成された複数の識別マークであって、該複数の識別マークの形状、数、配置の順序および形成される位置から選択される要素の組み合わせによって、全体として、前記配線基板の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にする複数の識別マークを備え、
前記第2の開口部は、前記複数の識別マークを備える前記識別マーク部全体を露出することを特徴とする
配線基板の製造方法。
【0009】
適用例1に記載の配線基板の製造方法によれば、特別な器具や装置を別途用意する必要を抑え、製造工程の複雑化を抑制して、識別マーク部を設けることができる。特に、識別マーク部のパターンは異なるが、第1の開口部のパターンは同じであるような複数種類の配線基板を製造する場合に、ソルダーレジスト層のパターニングのために使用する露光マスクを、種類が異なる配線基板同士で共通して用いることが可能になる。このように、新たに器具や装置を別途用意する必要を抑え、製造工程の複雑化を抑制できることにより、コストの増大を抑制することができる。
【0010】
[適用例2]
適用例1記載の配線基板の製造方法であって、前記(a)工程は、前記第1の絶縁層と、該第1の絶縁層の積層方向下側に設けられる第2の絶縁層との間に、前記配線層の少なくとも一部として、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークの少なくとも一部と厚み方向に重なる領域を占める金属層を形成する工程を備える配線基板の形成方法。適用例2に記載の配線基板の製造方法によれば、金属層と厚み方向に重なって設けられた識別マークの識別性を高めることができる。
【0011】
[適用例3]
適用例1または2記載の配線基板の製造方法であって、前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられる配線基板の製造方法。適用例3に記載の配線基板の製造方法によれば、第2の開口部を介して露出する第1の絶縁層の表面における凹凸によって、各々の識別マークを識別することが可能になる。
【0012】
[適用例4]
適用例1または2記載の配線基板の製造方法であって、前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を、前記積層体の表面側から厚さ方向の途中まで削ることにより形成した凹部として形成される配線基板の製造方法。適用例4に記載の配線基板の製造方法によれば、第2の開口部を介して露出する第1の絶縁層の表面における凹凸によって、各々の識別マークを識別することが可能になる。
【0013】
[適用例5]
適用例1記載の配線基板の製造方法であって、前記(a)工程は、前記第1の絶縁層と、該第1の絶縁層の積層方向下側に設けられる第2の絶縁層との間に、前記配線層の少なくとも一部として、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークの少なくとも一部と厚み方向に重なる領域を占める金属層を形成する工程を備え、前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられ、前記配線基板の製造方法は、さらに、(f)前記端子パッド上、および、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられた前記識別マーク内で露出する前記金属層上に、貴金属を含有する貴金属層を形成する工程を備える配線基板の製造方法。適用例5に記載の配線基板の製造方法によれば、ソルダーレジスト層表面、あるいは、第2の開口部を介して露出する第1の絶縁層表面と、識別マークとの間で色調のコントラストを大きくして、識別マークの視認性をさらに高めることができる。
【0014】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、識別マーク部の形成方法や、識別マーク部を有する配線基板などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】配線基板10の概略構成を表わす断面図である。
【図2】配線基板10の外観を模式的に表わす平面図である。
【図3】配線基板10の製造工程を示す説明図である。
【図4】配線基板110の概略構成を表わす断面図である。
【図5】配線基板210の概略構成を表わす断面図である。
【図6】変形例としての配線基板310の構成を表わす平面図である。
【図7】変形例としての配線基板410の構成を表わす平面図である。
【図8】変形例としての配線基板510の構成を表わす平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
A.第1の実施形態の配線基板10の構成:
図1は、本発明に係る第1の実施形態としての配線基板10の概略構成を表わす断面図である。また、図2は、配線基板10の外観を模式的に表わす平面図である。図1は、配線基板10における図2に示すA−A断面であって、後述する識別マーク50を含む一部の領域の様子を表わしている。
【0017】
図1に示すように、配線基板10は、板状コア20の両面の各々の上に、所定のパターンを有する複数の配線層(導体層)および絶縁層(誘電体層)を交互に積層して成るビルドアップ基板である。板状コア20の第1の面S1上には、第3配線層(導体層)CL3、第2の絶縁層(誘電体層)IL2、第2配線層(導体層)CL2、第1の絶縁層(誘電体層)IL1、第1配線層(導体層)CL1が、順次形成されている。ここで、第3配線層CL3と第2配線層CL2とは、ビアホール30h内に形成されたビア導体30を介して電気的に接続されており、第2配線層CL2と第1配線層CL1とは、ビアホール32h内に形成されたビア導体32を介して電気的に接続されている。第1配線層CL1は、その一部が金属端子パッド34を構成している。また、第1の絶縁層IL1には、識別マーク部55が形成されている。識別マーク部55は、複数の識別マーク50を備え、各々の識別マーク50は、第1の絶縁層IL1を厚さ方向に貫通して設けられている。本実施形態では、第2配線層CL2の一部である金属層52が、各々の識別マーク50内において露出している。このような識別マーク部55は、配線基板10の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にするために設けられている。識別マーク部55については、後に詳しく説明する。これらの第1配線層CL1、第1の絶縁層IL1、第2配線層CL2、第2の絶縁層IL2、第3配線層CL3は、第1の配線積層部WL1を形成している。
【0018】
同様に、板状コア20の第2の面S2上には、第4配線層(導体層)CL4、第3の絶縁層(誘電体層)IL3、第5配線層(導体層)CL5、第4の絶縁層(誘電体層)IL4、第6配線層(導体層)CL6が、順次形成されている。ここで、第4配線層CL4と第5配線層CL5とは、ビアホール40h内に形成されたビア導体40を介して電気的に接続されており、第5配線層CL5と第6配線層CL6とは、ビアホール42h内に形成されたビア導体42を介して電気的にされている。なお、第6配線層CL6は、その一部が金属端子パッド44を構成している。これらの第4配線層CL4、第3の絶縁層IL3、第5配線層CL5、第4の絶縁層IL4、第6配線層CL6は、第2の配線積層部WL2を形成している。
【0019】
配線基板10の第1の面S1側における第1配線層CL1上、および、第2の面S2側における第6配線層CL6上には、それぞれ、ソルダーレジスト層36、46が設けられている。ソルダーレジスト層36,46は、それぞれ、金属端子パッド34、44を露出するように、各々の金属端子パッドに対応する位置に第1の開口部36a、46aを有している。さらに、ソルダーレジスト層36は、第1の絶縁層IL1に設けた複数の識別マーク50を備える識別マーク部55全体を露出するように形成された、第2の開口部36bを有している。
【0020】
本実施形態では、図1に示すように、第1の開口部36a,46aにおける金属端子パッド34,44の露出面上に、貴金属を含有する層である貴金属層54が設けられている。また、第2の開口部36bを介して露出する識別マーク50における金属層52の露出面上に、同様の貴金属層54が設けられている。本実施形態では、金属端子パッド34は、はんだバンプがさらに形成されて、ICチップ等の電子部品をフリップチップ接続するために用いられる。あるいは、金属端子パッド34の少なくとも一部は、例えば、チップキャパシタを実装するためのチップキャパシタパッドであっても良い。また、金属端子パッド44は、例えば、配線基板10をマザーボードと接続するために用いられる。
【0021】
板状コア20には、スルーホール22が形成され、その内壁面には、配線層CL1とCL4とを導通させるスルーホール導体24が形成されている。スルーホール22には、エポキシ樹脂等の樹脂によって構成される穴埋め材26が充填されている。
【0022】
上記板状コア20は、耐熱性樹脂板(例えば、ビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(例えば、ガラス繊維強化エポキシ樹脂)によって構成することができる。第1〜第6配線層は、金属等の導電性材料、例えば銅(Cu)によって形成することができる。第1〜第4の絶縁層は、絶縁性材料、例えば熱硬化性樹脂によって形成することができる。また、ソルダーレジスト層36、46は、絶縁性材料、例えば光硬化性樹脂によって形成することができる。なお、各配線層のパターン(平面形状)および積層する配線層および絶縁層の数は、任意に設定することができる。
【0023】
図2は、配線基板10を、ソルダーレジスト層36側から見た様子を表わす平面図である。図2に示すように、配線基板10は、その中央部分に、半導体チップを実装するためのチップ搭載領域70を備えている。図2の配線基板10では、すべての金属端子パッド34は、所定の間隔で格子状に配列して設けられ、チップ搭載領域70を形成している。
【0024】
また、配線基板10は、チップ搭載領域70の近傍に、複数の識別マーク50を備える識別マーク部55が形成された領域である識別領域75を備えている。既述したように、識別マーク部55は、配線基板10の種類、特性、用途を識別可能にするための構造である。本実施形態では、各識別マーク50は、横断面が円形であるドット形状に形成されている。識別領域75に設ける識別マーク部55のパターンは、例えば、複数のドット状の識別マーク50の個数や形成される位置、あるいは識別マーク50間の間隔等によって変更することができる。そのため、本実施形態では、識別マーク部55のパターンとそれらのパターンが表わす意味との間に予めルールを定めることにより、識別マーク55のパターンによって、配線基板10の種類、特性、用途の少なくともいずれかを識別可能としている。
【0025】
なお、上記識別領域75は、ソルダーレジスト層36において、既述した第2の開口部36bが形成された領域である。すなわち、配線基板10では、複数の識別マーク50を備える識別マーク部55全体が含まれるように、単一の第2の開口部36bが設けられている。
【0026】
図3は、配線基板10の製造工程を示す説明図である。なお、本実施形態では、配線基板10は、複数の配線基板10が連結された連結配線基板を作製し、連結配線基板を分割することによって製造しており、製造効率の向上が図られている。そのため、以下に説明する配線基板10を製造するための各工程、すなわち、板状コア20上に各層を形成する工程は、連結配線基板を作製するための板状部材全体に対して一括して行なわれる。
【0027】
配線基板10を製造する際には、まず、板状コア20となる耐熱性樹脂板等の板状部材を用意し、この板状部材を穿孔して、スルーホール22を形成する(ステップS100)。穿孔は、ドリル加工やレーザ加工、あるいはパンチングにより行なうことができる。その後、パターンめっきにより第3配線層CL3、第4配線層CL4、およびスルーホール導体24を形成し、スルーホール22に穴埋め材26を充填する(ステップS110)。
【0028】
次に、第3配線層CL3を被覆するように樹脂フィルムを貼り合わせ(ラミネートし)、貼り合わせた樹脂フィルムを硬化させて、第2の絶縁層IL2を形成する(ステップS120)。樹脂フィルムは、シリカフィラー等を混入した熱硬化製樹脂によって形成することができる。なお、本実施形態では、樹脂フィルムの貼り合わせに先立って、第3配線層CL3の表面に、樹脂フィルムとの接着性を向上させるための粗面化処理を施している。
【0029】
その後、第2の絶縁層IL2を掘削・切削加工して、第2の絶縁層IL2において所定のパターンにてビアホール30hを形成する(ステップS130)。第2の絶縁層IL2の掘削・切削加工は、例えば、レーザの照射により行なうことができる。レーザ照射の際には、エキシマレーザ、炭酸ガスレーザ、Nd−YAGレーザなど、種々のレーザ加工機を使用することができる。第2の絶縁層IL2を厚み方向に貫通するビアホール30hを形成することにより、各々のビアホール30hでは、第3配線層CL3の一部が露出される。
【0030】
次に、ビアホール30h内にビア導体30を形成すると共に、第2の絶縁層IL2上に第2配線層CL2を形成する(ステップS140)。具体的には、まず、掘削・切削加工後の第2の絶縁層IL2上に、例えばドライフィルムレジストを貼り合わせる(ラミネートする)ことにより、レジスト層を形成する。なお、レジスト層の形成に先立って、クロム酸溶液やアルカリ性過マンガン酸カリウム溶液などを用いて、ビアホール30h内を洗浄するデスミア工程を行なっても良い。さらに、デスミア工程の後に、ビアホール30h内に露出する第3配線層CL3の表層部をソフトエッチングにより除去し、その後、第2の絶縁層IL2上に無電解Cuめっき層を形成し、この無電解Cuめっき層上に、レジスト層を形成しても良い。ソフトエッチングは、第3配線層CL3の表層部における粗面化した部分を除去して、無電解Cuめっき工程でのめっき析出性を向上させる処理であり、例えば硫酸や塩酸を用いることができる。第2の絶縁層IL2上にレジスト層を形成した後は、露光・現像を行なってレジスト層をパターニングする。
【0031】
本実施形態では、形成すべき第2配線層CL2の形状に応じたパターニングが予め施された露光用マスクを用意して、製造途中の配線基板上の所定の位置に露光用マスクを配置した後に、ドライフィルムレジストの露光および現像を行なっている。これにより、ドライフィルムレジストを、第2配線層CL2を形成すべき領域以外の領域を覆うようにパターニングすることができる。その後、パターニングしたレジスト層をめっきレジストとして用いて電解Cuめっきを行ない、ビアホール30h内にビア導体30を形成すると共に、第1の絶縁層IL1上に第2配線層CL2を形成している。第2配線層CL2およびビア導体30を形成した後は、薬液を用いてドライフィルムレジストを除去する。本実施形態では、ドライフィルムレジストの除去の後には、電解Cuめっき層を形成するための下地めっき層として形成した無電解Cuめっき層を、クイックエッチングにより除去している。
【0032】
ステップS140でビア導体30および第2配線層CL2を形成した後は、ステップS120と同様の工程を行なうことにより、第2配線層CL2を形成した第2の絶縁層IL2上に、第1の絶縁層IL1を形成する(ステップS150)。その後、ステップS130と同様の工程を行なうことにより、第1の絶縁層IL1に、ビアホール32hと共に識別マーク部55を形成する(ステップS160)。すなわち、第1の絶縁層IL1に対してレーザ加工を施すことによって、第1の絶縁層IL1を厚み方向に貫通するビアホール32hと、第1の絶縁層IL1を厚み方向に貫通する複数の識別マーク50を形成する。これにより、各々のビアホール32hでは第2配線層CL2の一部が露出され、各々の識別マーク50内では、第2配線層CL2の一部である金属層52が露出される。なお、本実施形態では、ステップS100からステップS150の工程により第1の絶縁層IL1まで形成された製造途中の配線基板が、請求項1に記載した「積層体」に相当する。
【0033】
その後、ステップS140と同様の工程を行なうことにより、ビアホール32h内にビア導体32を形成すると共に、第1の絶縁層IL1上に第1配線層CL1を形成する(ステップS170)。このとき、第1の絶縁層IL1上に設けるレジスト層は、識別領域75全体を覆うように、露光用マスクによってパターニングされる。そのため、各々の識別マーク50内にはビア導体は形成されず、第1の絶縁層IL1上における識別領域75全体を含む所定の領域内には、第1配線層CL1は形成されない。
【0034】
さらに、板状コア20の第2の面S2に対してステップS120からS170までの工程と同様の工程を行なうことによって、第3の絶縁層IL3、第5配線層CL5、第4の絶縁層IL4、第6配線層CL6を形成する(ステップS180)。ただし、ステップ160と同様の工程を行なう際には、第4の絶縁層IL4において、ビアホール42hのみを形成して、識別マーク50は形成しない。
【0035】
その後、第1配線層CL1上に、第1の開口部36aと第2の開口部36bとが設けられたソルダーレジスト層36を形成し、第6配線層CL6上に、第1の開口部46aが設けられたソルダーレジスト層46を形成する(ステップS190)。既述したように、第1の開口部36a,46aでは、金属端子パッド34,44が露出する。また、第2の開口部36bでは、識別マーク部55が備える複数の識別マーク50全体が露出する。本実施形態では、ソルダーレジスト層を形成する際には、まず、第1配線層CL1上および第6配線層CL6上に、ソルダーレジスト層を形成するための光硬化性樹脂を塗布する。そして、設けるべき開口部の形状に応じたパターニングが予め施された露光用マスクを用意して、第1配線層CL1および第6配線層CL6上の所定の位置に露光用マスクを配置した後に、露光および現像を行なう。これにより、樹脂層における開口部に対応する部分が除去されて、所望のパターニングが施されたソルダーレジスト層36,46が得られる。
【0036】
ソルダーレジスト層36,46を設けた後には、ソルダーレジスト層における各開口部で露出する配線層上に、貴金属層54を設ける(ステップS200)。すなわち、第1の開口部36aを介して露出する金属端子パッド34、第2の開口部36b内の識別マーク50を介して露出する金属層52、および、第1の開口部46aを介して露出する金属端子パッド44の上に、貴金属層54を設ける。貴金属層54は、例えば、金、銀、白金、パラジウム、あるいは貴金属合金によって形成することができる。本実施形態では、貴金属層54は、ニッケル−金(Ni−Au)めっきにより形成している。
【0037】
既述したように、本実施形態では、配線基板10は、複数の配線基板10が連結された連結配線基板として製造している。そのため、上記ステップS200の後に、得られた連結配線基板を所定の位置で分割することで、配線基板10を得ることができる。
【0038】
以上のように構成された本実施形態の配線基板10の製造方法によれば、第1の絶縁層IL1に対してレーザ加工を施すことにより各々の識別マーク50を設けている。そのため、識別マーク50を設けるために、新たな露光用マスク等、特別な器具や装置を別途用意する必要がなく、レーザ照射の制御プログラムを変更するだけでよい。そのため、新たに器具や装置を用意することに起因するコストの増大を抑制することができる。また、第1の絶縁層IL1において、識別マーク部55を含むパターニングを行なうためにレーザ加工を用いるため、第1の絶縁層IL1を構成する材料の選択の自由度を高めることができる。例えば、第1の絶縁層IL1のパターニングを、露光用マスクを用いて露光・現像の工程によって行なう場合には、第1の絶縁層IL1を光硬化性樹脂により構成する必要が生じ得るが、レーザ加工を採用することにより、このような制限を抑えることができる。
【0039】
また、本実施形態では、識別マーク部55を形成するためのレーザ加工は、第1の絶縁層IL1にビアホール32hを設ける工程と同時に行なうことができるため、識別マーク部55の形成に起因する製造工程の複雑化を抑制することができる。さらに、各々の識別マーク50内で露出する金属層52上に貴金属層54を設ける工程も、金属端子パッド34上に貴金属層54を設ける工程と同時に行なうことができるため、金属層52上に貴金属層54を設けることに起因する製造工程の複雑化を抑制できる。さらに、識別マーク部55全体を露出させる第2の開口部36bを設ける工程も、第1の開口部36aを設ける工程と同時に行なうことができるため、第2の開口部36bを設けることに起因する製造工程の複雑化を抑制できる。上記のように、識別マーク部55を設けることに起因する製造工程の複雑化を抑制できるため、製造工程の複雑化に起因するコストの増大を抑えることができる。
【0040】
マスク等の特別な器具を別途用意しなくて良いという上記の効果は、ソルダーレジスト層36のパターニングに露光用マスクを用いる場合であって、識別マーク部55のパターンは異なるが、第1の開口部36aの配置パターンは同じであるような、複数種類の配線基板を製造する場合に特に顕著に得られる。例えば、異なる種類の配線基板を製造する場合として、ソルダーレジスト層36に設ける第1の開口部36aのパターン(金属端子パッド34の配置)は共通であるが、配線基板内部の配線パターンを変更(改良)する場合があり得る。また、異なる種類の配線基板を製造する場合として、ソルダーレジスト層36に設ける第1の開口部36aのパターンは共通であるが、金属端子パッド34,44の表面処理を変更(例えば、金属端子パッド上に設ける層を構成する金属の種類を変更)する場合があり得る。このような場合に、本実施形態と同様にして識別マーク部55を設け、種類の異なる配線基板同士であっても、識別領域75(第2の開口部36b)の形状および配線基板における相対的な位置を共通とすればよい。
【0041】
上記のように、配線基板の種類が異なっていても、第2の開口部36bの形状および位置を共通とするならば、ソルダーレジスト層36のパターニングに用いる露光用マスクとしては、上記した第2の開口部36bを形成可能となる露光用マスクを用意すればよい。そして、このような露光用マスクを、種類が異なる配線基板の各々において共通して用いればよい。このような構成とすれば、異なる種類の配線基板を製造し、種類ごとに異なる識別マーク50を付する場合であっても、ソルダーレジスト層のパターニングのために、配線基板の種類ごとに異なる露光用マスクを用意する必要がない。
【0042】
なお、異なる種類の配線基板を製造する際に、識別領域75の形状および位置に加えて、第1配線層CL1のパターンが、異なる種類の配線基板同士で共通する場合には、第1配線層CL1をパターニングする工程においても同様の効果が得られる。第1配線層CL1を形成する際には、既述したように、第1の絶縁層IL1に設けたレジスト層を、形成すべき第1配線層CL1の形状に応じてパターニングする。このようなパターニングの工程では、露光用マスクとして、識別マーク部55全体が覆われる形状のマスクを、異なる種類の配線基板を製造する際に共通して用いればよい。すなわち、異なる種類の配線基板を製造し、種類ごとに異なる識別マーク50を付する場合であっても、第1配線層CL1のパターニングのために、配線基板の種類ごとに異なる露光用マスクの用意が不要となる。
【0043】
また、本実施形態では、各々の識別マーク部50を、第1の絶縁層IL1を貫通して設け、識別マーク部50内で金属層52を露出させているため、識別マーク50の識別性(視認性)を高めることができる。特に、本実施形態では、金属層52上にさらに貴金属層54を設けているため、ソルダーレジスト層36表面、あるいは、第2の開口部36bを介して露出する第1の絶縁層IL1表面と、識別マーク50内で露出する貴金属層54との間で色調のコントラストを大きくして、識別マーク50の視認性をさらに高めることができる。
【0044】
B.第1の実施形態の変形例:
(B−1)第1の実施形態の変形例1:
第1の実施形態では、各々の識別マーク50および金属端子パッド34,44上に貴金属層54を形成したが、異なる構成としても良い。例えば、貴金属層54に代えて、貴金属を含有しない金属層を設けることとしても良い。貴金属は特に光沢が失われ難いため、ソルダーレジスト層36の表面との間で色調のコントラストが大きくなり、識別マーク50を認識し易くなって望ましい。しかしながら、貴金属以外の金属からなる金属層を設ける場合であっても、識別マークを認識し易くする効果を得ることができる。
【0045】
あるいは、各々の識別マーク50および金属端子パッド34,44上に、金属層を設ける代わりに、OSP(有機保護膜、耐熱性プリフラックス)の層を設けても良い。また、各々の識別マーク50および金属端子パッド34,44を、他の層で覆うことなくそのまま露出することとしても良い。いずれの場合であっても、各々の識別マーク50および金属端子パッド34,44について、同様の表面処理を施す、あるいは、いずれも処理しないことによって、製造工程の複雑化を抑制することができる。ただし、各々の識別マーク50および金属端子パッド34,44について、表面処理の態様を異ならせることによる製造工程の増加が許容できるなら、表面処理の態様を異ならせても良い。
【0046】
(B−2)第1の実施形態の変形例2:
各々の識別マーク50内において露出する金属層52は、本来配線基板10内に組み込まれている回路の一部であっても良く、あるいは、識別マーク50を認識し易くするために特別に設けたものであっても良い。また、識別マーク50を認識し易くするために特別に金属層52を設ける場合には、識別マーク50のデザインや配置場所が配線基板10が本来備える回路に制限されることがなく、識別マーク50を設ける際の自由度を高めることができる。
【0047】
これに対して、金属層52を、配線基板10内に本来組み込まれている回路の一部によって構成する場合には、識別マーク50を設けるために、新たに余分な回路パターンを形成する必要がないという効果を奏する。なお、配線基板10内に本来組み込まれている回路の他に、余分な回路パターンを設ける場合には、余分な回路パターンがノイズを拾い、配線基板全体の機能に影響する可能性が考えられる。上記のように配線基板10内に本来組み込まれている回路の一部を利用することで、余分な回路パターンに起因する問題の発生を抑えることができる。
【0048】
(B−3)第1の実施形態の変形例3:
図4は、第1の実施形態の他の変形例としての配線基板110の概略構成を表わす断面図である。図4に示す変形例では、第1の実施形態の配線基板10と共通する部分には同じ参照番号を付しており、詳しい説明を省略する。第1の実施形態の配線基板10では、識別マーク50内において金属層52を露出させているが、図4に示す配線基板110では、識別マーク50の下層に金属層52を設けていない。すなわち、配線基板110は、配線基板10に比べて、金属層52および金属層52上の貴金属層54が設けられていない点、金属層52に電気的に接続するビア導体30および第3配線層CL3が設けられていない点が異なっている。このような配線基板110を製造するには、図3に示した配線基板10の製造工程と同様の製造工程において、金属層52および金属層52に接続するビア導体30および第3配線層CL3の一部に対応する導体層を設けないこととすれば良い。
【0049】
本変形例では、ソルダーレジスト層36に第2の開口部36bを設けることにより、第2の開口部36bにおいて、複数の識別マーク50を備える識別マーク部55全体を含む範囲で、第1の絶縁層IL1の表面が露出する。そのため、識別マーク50の下層に金属層52が設けられていなくても、第2の開口部36bを介して露出する第1の絶縁層IL1の表面における凹凸によって、各々の識別マーク50を視認等により認識することが可能になる。上記のように識別マーク50の下層に金属層52を設けない場合には、識別マーク部55を設けるために、配線基板内に新たに余分な回路パターンを形成する必要がないという効果を奏する。
【0050】
C.第2の実施形態:
図5は、第2の実施形態の配線基板210の概略構成を表わす断面図である。図5に示す第2の実施形態では、第1の実施形態の配線基板10と共通する部分には、同じ参照番号を付して詳しい説明を省略する。第2の実施形態の配線基板210では、第1の実施形態の配線基板10とは異なり、各々の識別マーク50は、第1の絶縁層IL1を厚さ方向の途中まで削った凹部として形成している。
【0051】
なお、図5に示す配線基板210は、各々の識別マーク50が、第1の絶縁層IL1に形成された凹部であり、第1の絶縁層IL1を貫通していないこと、その結果として、識別マーク50内に貴金属層54が形成されないこと以外は、配線基板10と同様の構成を備えている。すなわち、識別マーク50の下層には、第2の絶縁層IL2上に金属層52が設けられており、ソルダーレジスト層36には、識別マーク部55全体を露出させる第2の開口部36bが設けられている。このような配線基板210を製造するには、図3に示した配線基板10の製造工程と同様の製造工程において、ステップS170で、レーザ加工時のエネルギ量を調節して、第1の絶縁層IL1の厚さ方向の途中まで削られた識別マーク50を形成すればよい。
【0052】
上記した第2の実施形態では、第2の開口部36bを介して露出する第1の絶縁層IL1の表面において、識別マーク50を設けたことによる凹凸が形成されるため、各々の識別マーク50を視認等により認識することが可能になる。特に、第1の絶縁層IL1では、識別マーク50を設けた部分の厚みが薄いことにより、識別マーク50の下層側に設けた金属層52のうち識別マーク50を設けた部分における色が、他の部分よりも透過し易くなっている。そのため、金属層52を設けることにより、識別マーク50の識別性を、さらに高めることができる。
【0053】
本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、特別な器具や装置を別途用意する必要を抑え、製造工程の複雑化を抑制して、識別マーク部55を設けることができる。また、第2の実施形態によれば、設けるべき識別マーク部55のパターンは異なるが、設けるべき第1の開口部36aのパターンは同じであるような複数種類の配線基板を製造する場合に、ソルダーレジスト層36のパターニングのための露光マスクを共通して用いることができる。
【0054】
このように第1の絶縁層IL1の厚み方向の途中まで形成された凹部によって識別マーク50を構成する場合には、識別マーク50の下層側に設ける金属層52を、配線基板210が本来備える回路パターンを構成する配線層の一部とする場合に、特に有利となる。回路パターンを構成する配線層を第1の絶縁層IL1の表面から露出させると、配線層における露出された部分が損傷する可能性がある。第2の実施形態のように、配線層が露出しないように識別マーク50となる凹部を形成すると、回路パターンを構成する配線層の損傷を抑えることができる。このように、本実施形態では、配線基板が本来備える回路パターン上に支障なく識別マーク50を設けることができるため、配線基板において、識別マーク部55を設けるために特別にスペースを確保する必要がない。そのため、配線基板表面に金属端子パッド等の他の構造を設けない領域であれば、既存の回路パターン上において、適宜、高い自由度で識別マーク部55を設けることができる。
【0055】
また、第2の実施形態のように第1の絶縁層IL1を厚さ方向の途中まで削った凹部によって識別マーク50を構成する場合には、識別マーク50の下には金属層52を設けないこととしても良い。金属層52を設けなくても、ソルダーレジスト層36に第2の開口部36bを設けるならば、第1の絶縁層IL1の表面の凹凸のみによって、充分に識別マーク50を視認等により識別可能になる。
【0056】
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0057】
D1.変形例1(識別マークの形状・配置に係る変形):
第1および第2の実施形態では、識別マーク50を、上面視略円形のドット状に形成し、配線基板の種類等の違いを、識別マーク50の個数や形成される位置、あるいは識別マーク50間の間隔等によって表わしたが、異なる構成としても良い。図6〜図8は、変形例としての配線基板の構成を表わす平面図である。図6〜図8に示す各変形例では、識別マーク以外の構成は、第1の実施形態の配線基板10と同じであり、配線基板10と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。
【0058】
図6に示す配線基板310では、識別マーク部55は、複数の識別マーク50を備えているが、これら複数の識別マーク50は、すべてが同じ形状に形成されているわけではなく、複数種類の図形によって構成されている。配線基板310では、このような複数種類の図形の種類や配置の順序や個数、あるいは形成される位置によって、配線基板の種類、特性、用途の少なくともいずれかを識別可能としている。
【0059】
図7に示す配線基板410では、識別マーク部55は、複数の識別マーク50を備えているが、これら複数の識別マーク50の各々は、上面視が数字を表わす形状に形成されている。そして、配線基板410では、このような数字の種類や配置の順序や個数、あるいは形成される位置によって、配線基板の種類、特性、用途の少なくともいずれかを識別可能としている。
【0060】
図8に示す配線基板510では、識別マーク部55は、複数の識別マーク50を備えているが、これら複数の識別マーク50は、断面構成の異なる複数種類の識別マーク、すなわち、第1識別マーク50aと第2識別マーク50bとに分類される。具体的には、本変形例では、第1識別マーク50aは、数字を表わす形状に形成されると共に、図5に示す識別マーク50と同様の断面の構成を有している。すなわち、第1識別マーク50aは、第1の絶縁層IL1を貫通することのない凹部として形成されている。また、第2識別マーク50bは、上面視円形のドット状に形成されると共に、図1に示す識別マーク50と同様の断面の構成を有している。すなわち、第2識別マーク50bは、第1の絶縁層IL1を貫通して設けられ、識別マーク50b内には貴金属層54が形成された金属層52が露出している。このように、第1識別マーク50aと第2識別マーク50bとでは、金属層52が、露出した状態で識別されるか、第1の絶縁層IL1を透過して識別されるか、の違いがあり、視認性が異なる。そのため、例えば、第1識別マーク50aのパターンによって配線基板内部の配線パターンの違いを表わし、第2識別マーク50bのパターンによって金属端子パッド34,44の表面処理の違いを表わすことができる。
【0061】
あるいは、上記した図5および図1に示す識別マーク50と同様の断面構成の識別マークを用いる構成に加えて、あるいは、さらに上記したいずれかの識別マークに代えて、図4に示す識別マーク50と同様の断面構成(識別マーク50の下層側に金属層52を設けない構成)の識別マークを用いても良い。また、図5に示す識別マーク50と同様の断面構成から金属層52を除いた構成(第1の絶縁層IL1を貫通しない凹部によって識別マークが形成されて金属層52を設けない構成)を有する識別マークを用いても良い。このように、複数種類の配線基板について、基板の種類に係る変更点ごとに、断面の構成が異なる複数種類の識別マーク50を用いて識別マーク部55の表示を行なう場合には、各配線基板の種類の区別をさらに容易化することができる。いずれの場合であっても、複数の識別マーク部50を備える識別マーク部55全体を露出させる第2の開口部36bを設けることで、既述した第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
上記のように、識別マーク部55を構成する複数の識別マーク50のパターンは、配線基板の種類、特性、用途の少なくともいずれかを識別可能であれば、種々の変形が可能である。用いる識別マーク50の上面視形状は、例えば、文字、数字、記号、図形など、個別に識別可能なマークであればよい。
【0063】
既述した第1および第2の実施形態では、識別マーク50の認識を視認により行なっているが、異なる構成としても良い。例えば、撮像装置により識別マーク部55を撮像して機械で読み取ることにより、識別の動作を行なっても良い。この場合には、識別マーク部55が備える各々の識別マーク50の形状は、上記した文字等以外に、バーコードなどの1次元コードや、2次元コードとすることができる。
【0064】
また、配線基板上に識別マーク部55を形成する識別領域75は、図2のようにチップ搭載領域70の近傍以外の領域に設けても良い。視認や機械的な読み取りなどの、識別マークを認識する動作に支障が無く、金属端子パッド34等の表面構造との干渉が抑えられた位置であればよい。また、識別マーク部55は、ソルダーレジスト層36側の面のみに設けるのではなく、ソルダーレジスト層36側の面に代えて、あるいはソルダーレジスト層36側の面に加えて、ソルダーレジスト層46側の面に形成しても良い。
【0065】
D2.変形例2(配線基板に係る変形):
識別マークを設ける配線基板においても種々の変形が可能である。例えば、第1および第2の実施形態では、配線層のパターニングを行なう際に、セミアディティブ法を用いたが、フルアディティブ法やサブトラクティブ法を用いても良い。また、配線基板内に設けるビア導体は、フィルドビアに代えて、コンフォーマルビアとしても良い。また、配線基板は、コア層(板状コア)を有しない、いわゆるコアレス多層基板であっても良い。
【0066】
あるいは、金属端子パッドとして、ソルダーレジスト層の第1の開口部内で露出してソルダーレジスト層表面よりも低い位置に形成される金属端子パッドに加えて、あるいはこのような金属端子パッドに代えて、ソルダーレジスト層表面から突出する金属端子パッドを設けても良い。ソルダーレジスト層表面から突出する金属端子パッドを設けるには、例えば、ソルダーレジスト層36上にめっきレジスト層を形成し、めっきレジスト層上に露光用マスクを配置して上記金属端子パッドの形状に応じたパターニングを行ない、その後めっき処理を行なえばよい。そのため、ソルダーレジスト層36に設ける金属端子パッドの配置パターンは共通するが種類は異なる(設けるべき識別マーク部55が異なる)複数種類の配線基板を製造する場合には、識別領域75の形状および相対的な位置を共通とすればよい。これにより、複数種類の配線基板を製造する際に、上記金属端子パッドを設けるために、識別領域75全体を覆う露光用マスクを、共通して用いることが可能になる。
【符号の説明】
【0067】
10,110,210,310,410,510…配線基板
20…板状コア
22…スルーホール
24…スルーホール導体
26…穴埋め材
30,32,40,42…ビア導体
30h,32h,40h,42h…ビアホール
34,44…金属端子パッド
36,46…ソルダーレジスト層
36a,46a…第1の開口部
36b…第2の開口部
50…識別マーク
50a…第1識別マーク
50b…第2識別マーク
52…金属層
54…貴金属層
55…識別マーク部
70…チップ搭載領域
75…識別領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)積層された複数の絶縁層と、前記複数の絶縁層間に形成された複数の配線層とを備えた、製造途中の配線基板である積層体を用意する工程と、
(b)前記積層体の表面に設けられた第1の絶縁層に対してレーザ加工を施して、前記第1の絶縁層を貫通するビアホールを形成すると共に、前記第1の絶縁層の一部を前記第1の絶縁層の表面から削ることによって、前記配線基板の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にするための識別マーク部を形成する工程と、
(c)前記ビアホール内にビア導体を形成すると共に、前記第1の絶縁層上に、所定のパターンで前記ビア導体と接続する端子パッドを形成する工程と、
(d)前記端子パッドを形成した前記第1の絶縁層上に、ソルダーレジスト層を形成する工程と、
(e)前記ソルダーレジスト層をパターニングして、前記ソルダーレジスト層を貫通する開口部として、前記端子パッド上で開口する第1の開口部と共に、前記識別マーク部が露出するように前記識別マーク部上で開口する第2の開口部を形成する工程と
を備える配線基板の製造方法において、
前記識別マーク部は、互いに離間して形成された複数の識別マークであって、該複数の識別マークの形状、数、配置の順序および形成される位置から選択される要素の組み合わせによって、全体として、前記配線基板の種類と特性と用途の少なくともいずれかを識別可能にする複数の識別マークを備え、
前記第2の開口部は、前記複数の識別マークを備える前記識別マーク部全体を露出することを特徴とする
配線基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、
前記(a)工程は、前記第1の絶縁層と、該第1の絶縁層の積層方向下側に設けられる第2の絶縁層との間に、前記配線層の少なくとも一部として、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークの少なくとも一部と厚み方向に重なる領域を占める金属層を形成する工程を備える
配線基板の形成方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の配線基板の製造方法であって、
前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられる
配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2記載の配線基板の製造方法であって、
前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を、前記積層体の表面側から厚さ方向の途中まで削ることにより形成した凹部として形成される
配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、
前記(a)工程は、前記第1の絶縁層と、該第1の絶縁層の積層方向下側に設けられる第2の絶縁層との間に、前記配線層の少なくとも一部として、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークの少なくとも一部と厚み方向に重なる領域を占める金属層を形成する工程を備え、
前記(b)工程において、前記識別マーク部が備える前記複数の識別マークのうちの少なくとも一部の識別マークは、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられ、
前記配線基板の製造方法は、さらに、
(f)前記端子パッド上、および、前記第1の絶縁層を厚み方向に貫通して設けられた前記識別マーク内で露出する前記金属層上に、貴金属を含有する貴金属層を形成する工程を備える
配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−93393(P2013−93393A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233542(P2011−233542)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】