説明

配線基板

【課題】本発明は、半導体基板内に形成される素子の特性の劣化を抑制することのできる配線基板を提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁膜18で覆われた貫通孔32、33を有する半導体基板17と、貫通孔32、33内に形成された貫通電極21、22と、貫通電極21、22の一方の端部と接続されると共に、電子部品11と電気的に接続される第1の配線26、27と、貫通電極21、22の他方の端部と接続されると共に、実装基板12と電気的に接続される第2の配線28、29と、を備えた配線基板10において、半導体基板17とは異なる導電型に形成された第1の導電型不純物拡散層35と、第1の導電型不純物拡散層35を構成要素として含み、第1及び第2の配線26〜29と電気的に接続される素子と、貫通孔32、33を囲む第1のガードリング24、25とを半導体基板17の内部に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板を貫通すると共に、半導体基板と絶縁された貫通電極と、貫通電極の一方の端部と接続されると共に、電子部品と電気的に接続される配線と、を備えた配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップとマザーボード等の実装基板とを電気的に接続する再配線基板(インターポーザ)として、図1に示すような配線基板200が用いられていた。
【0003】
図1は、従来の配線基板の断面図である。
【0004】
図1を参照するに、従来の配線基板200は、基材である半導体基板206と、絶縁膜207と、貫通電極208と、配線211、212とを有する。
【0005】
ここで、半導体基板206は、貫通孔215を有する板状のシリコン基板である。具体的に、半導体基板206としては、N型シリコン基板、或いはP型シリコン基板が用いられる。絶縁膜207は、半導体基板206の上面206A及び下面206Bと、貫通孔215に露出された部分の半導体基板206の面とを含む半導体基板206の略全面を覆うように設けられている。
【0006】
貫通電極208は、配線211と配線212とを電気的に接続するための電極であり、絶縁膜207が形成された貫通孔215を充填するように設けられている。この貫通電極208の材料としては、例えば、Cuが使用される。配線211は、貫通電極208の上端部から半導体基板206の上面206Aに形成された絶縁膜207上に亘って設けられている。配線211は、電子部品201(例えば、半導体チップ)と電気的に接続される配線である。
【0007】
配線212は、貫通電極208の下端部から半導体基板206の下面206Bに形成された絶縁膜207の下面に亘って設けられている。配線212は、実装基板202(例えば、マザーボード)のパッド203と電気的に接続される配線である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−42741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記構成とされた配線基板200では、半導体基板206がシリコン等の半導体材料からなる場合、半導体基板206内にP型やN型の不純物拡散層を形成することにより、半導体基板206内にダイオードやトランジスタなどの素子を容易に形成できる。また、半導体基板206内に形成した不純物拡散層と電子部品201との間を電気的に接続することにより、半導体基板206内に形成された素子によって、電子部品201を保護することや電子部品201の特性を調整することが可能になる。
【0009】
ここで、配線基板200は、半導体基板206に貫通孔215及び貫通電極208が形成されている点において、一般的な半導体デバイスとは異なる。このため、従来の配線基板200では、貫通孔215及び貫通電極208に起因して、半導体基板206内に形成された素子の特性が劣化する、具体的にはリーク電流が大きくなってしまうという問題があった。
【0010】
具体的には、例えば、半導体基板206の不純物濃度が低い場合(例えば、1.0E17ions/cm3未満の場合)、絶縁膜207が形成された貫通孔215の側面を構成する部分の半導体基板206(以下、「側壁」という)とその近傍に位置する部分の半導体基板206(以下、「側壁部分」という)に反転層が形成され易くなる。このため、半導体基板206と貫通電極208との間の電位差によって貫通電極208を囲む側壁部分に反転層が誘導形成された場合、この反転層が不純物拡散層と連結され、不純物拡散層と半導体基板206との間の等価的な接合面積を大きくするように作用し、素子のリーク電流を大きくしてしまうことがあった。
【0011】
また、貫通孔215は、一般にRIEなどのドライエッチング処理により形成される。ドライエッチングで貫通孔215を形成した場合、貫通孔215を囲む側壁部分に格子構造が破壊された層(プラズマダメージ層、或いはエッチングダメージ層等と呼ばれる層)が形成されることが知られている。また、ドライエッチング処理で貫通孔215を形成した場合、貫通孔215を囲む側壁にフロロカーボン等の副生成物が付着することも知られている。これらダメージ層及び副生成物は、ドライエッチング処理後に当然除去される。しかし、その除去が不十分な場合、その後形成される貫通孔215内の絶縁膜207の絶縁性が他の部分よりも低下してしまう。すると、貫通電極208からのCuの拡散侵入や外部からの汚染物質(例えば、Fe、Na、K等)の侵入等の要因が更に重なった場合、Cuの拡散及び外部からの汚染物質(例えば、Fe、Na、K等)が侵入した部分の絶縁膜207において電流の漏洩を生じ、素子のリーク電流を大きくしてしまうこともあった。
【0012】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、半導体基板内に形成される素子の特性の劣化を抑制することのできる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、絶縁膜で覆われた貫通孔を有する半導体基板と、前記貫通孔内に形成された貫通電極と、前記貫通電極の一方の端部と接続されると共に、電子部品と電気的に接続される第1の配線と、前記貫通電極の他方の端部と接続されると共に、実装基板と電気的に接続される第2の配線と、を備えた配線基板において、前記半導体基板とは異なる導電型に形成された第1の導電型不純物拡散層と、前記第1の導電型不純物拡散層を構成要素として含み、前記第1の配線および前記第2の配線と電気的に接続される素子と、前記貫通孔を囲む第1のガードリングとを前記半導体基板の内部に設けたことを特徴とする配線基板が提供される。
【0014】
本発明によれば、半導体基板17の不純物濃度が、通電した際に貫通電極と半導体基板17との間で生じる電位差によって半導体基板内に反転層が形成されてしまう程度に低い場合、第1のガードリングを半導体基板と同じ導電型で形成する。この場合、貫通電極の側面を囲むように設けられた第1のガードリングにより、反転層の形成が防止されると共に、貫通電極の周囲に形成された反転層と第1の導電型不純物拡散層との間が電気的に連結されることが防止される。これにより、リーク電流の増加が抑制されるため、半導体基板の内部に形成される素子の特性の劣化を抑制できる。
【0015】
一方、半導体基板17の不純物濃度が、通電した際に貫通電極と半導体基板17との間で生じる電位差によって半導体基板内に反転層が形成されない程度に高い場合、第1のガードリングは半導体基板と異なる導電型で形成する。この場合、貫通電極の側面を囲むように設けられた第1のガードリングが半導体基板との間にPN接合を形成すると共に、貫通電極を囲む部分の半導体基板に空乏層が形成され易くなる。これにより、リーク電流の増加が抑制されるため、半導体基板17の内部に形成される素子の特性の劣化を抑制することができる。
【0016】
また、前記配線が設けられた側の前記半導体基板に、前記素子、前記貫通電極、及び前記第1のガードリングを囲む第2のガードリングを設けてもよい。これにより、第2のガードリングが、配線基板の切断面から侵入してくる汚染物質をゲッタリングするように作用するため、リーク電流の増加が抑制されるので、半導体基板内に形成される素子の特性の劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、半導体基板の内部に形成される素子の特性の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【0020】
図2を参照するに、第1の実施の形態の配線基板10は、半導体基板17と、絶縁膜18と、素子であるツェナーダイオード19と、貫通電極21、22と、第1のガードリング24、25と、第1の配線である配線26、27と、第2の配線である28、29とを有する。
【0021】
半導体基板17は、シリコン等の半導体材料による略方形平板状の基板であり、所定位置に形成された貫通孔32、33を有する。半導体基板17、半導体基板17の内部に形成される不純物拡散層、及びガードリングの形成条件等については後述する。
【0022】
絶縁膜18は、後述する第1の導電型不純物拡散層35の上面を露出する開口部18Aと、第1の導電型不純物拡散層35の下方に配置された半導体基板17の下面17Bの一部を露出する開口部18Bとを有する。絶縁膜18は、半導体基板17の上面17A及び下面17B(但し、開口部18A、18Bの形成領域は除く)と、貫通孔32、33の側面を構成する部分の半導体基板17の面とを覆うように設けられている。絶縁膜18としては、例えば、膜厚2μm程度の酸化膜(具体的には、熱酸化膜)を用いることができる。
【0023】
ツェナーダイオード19は、第1の導電型不純物拡散層35と、第1の不純物拡散層である不純物拡散層36と、第1の導電型不純物拡散層35の下方に配置された半導体基板17の一部を構成要素として、半導体基板17内に形成されている。第1の導電型不純物拡散層35は、例えば、貫通孔32、33から離れた半導体基板17の所定位置に、半導体基板17の上面17Aから所定の深さまで半導体基板17と異なる導電型の不純物を拡散注入することで形成する。
【0024】
不純物拡散層36は、例えば、第1の導電型不純物拡散層35の外周に沿って第1の導電型不純物拡散層35を囲むように、半導体基板17の上面17Aから所定の深さまで不純物を拡散注入することで形成する。第1の導電型不純物拡散層35の上面は、開口部18Aにおいて配線27の一部と接合されている。また、第1の導電型不純物拡散層35の下方に配置された部分の半導体基板17の下面17Bは、開口部18Bにおいて配線28の一部と接合されている。
【0025】
上記構成とされたツェナーダイオード19は、電子部品11(例えば、半導体チップ)に対して並列接続されている。
【0026】
貫通電極21は、絶縁膜18で覆われた貫通孔32内を充填している。貫通電極21の上端部は、配線基板17の上面17A側で絶縁膜18と略面一となり、貫通電極21の下端部は、配線基板17の下面17B側で絶縁膜18と略面一となるように構成されている。貫通電極21は、その上端部が配線26の一部と接合され、下端部が配線28の一部と接合されている。これにより、貫通電極21は、配線26と配線28とを電気的に接続している。
【0027】
貫通電極22は、絶縁膜18で覆われた貫通孔33内を充填している。貫通電極22の上端部は、配線基板17の上面17A側で絶縁膜18と略面一となり、その下端部が下面17B側で絶縁膜18と略面一となるように構成されている。貫通電極22は、その上端部が配線27の一部と接合され、下端部が配線29の一部と接合されている。これにより、貫通電極22は、配線27と配線29とを電気的に接続している。貫通電極21、22は、例えば、貫通孔32と33内にめっき法により析出成長させたCuを充填することで形成する。
【0028】
第1のガードリング24は、絶縁膜18より内側の半導体基板17の内部において貫通孔32を囲むように、半導体基板17の上面17Aから所定の深さまで不純物を拡散注入することで形成されている。
【0029】
第1のガードリング25は、絶縁膜18より内側の半導体基板17の内部において貫通孔33を囲むように、半導体基板17の上面17Aから所定の深さまで不純物を拡散注入することで形成されている。
【0030】
配線26は、貫通電極21の上端から半導体基板17の上面17A側の絶縁膜18上に亘るように設けられている。絶縁膜18上に配置された部分の配線26は、少なくとも電子部品11の端子の一つと接合可能な位置と、その接合位置と貫通電極21の上端を結ぶ位置まで延在するように形成されている。これにより、配線26は、貫通電極21と電子部品11の端子の一つを電気的に接続するための導体として機能する。
【0031】
配線27は、貫通電極22の上端から開口部18Aの形成位置を含む半導体基板17の上面17A側の絶縁膜18上に亘るように設けられている。開口部18Aの形成位置に対応する部分の配線27は、開口部18A内を充填すると共に第1の導電型不純物拡散層35の上面と接合するように配置されている。絶縁膜18上に配置された部分の配線27は、少なくとも電子部品11の別の端子の一つと接合可能な位置と、その接合可能位置と貫通電極22の上端を結ぶ位置、およびその接合可能位置と開口部18Aとを結ぶ位置まで延在するように形成されている。これにより、配線27は、貫通電極22と第1の導電型不純物拡散層35と電子部品11の端子を電気的に接続するための導体として機能する。
【0032】
配線28は、貫通電極21の下端から開口部18Bの形成位置を含む下面17B側の絶縁膜18の下面に亘るように設けられている。開口部18Bの形成位置に対応する部分の配線28は、開口部18B内を充填すると共に、半導体基板17の下面17Bと接合するように配置されている。絶縁膜18の下面に配置された部分の配線28は、少なくとも実装基板12のパッド13と接合可能な位置と、その接合可能位置と貫通電極21の下端を結ぶ位置、およびその接合可能位置と開口部18Bを結ぶ位置まで延在するように形成されている。これにより、配線28は、貫通電極21と半導体基板17と実装基板12のパッド13を電気的に接続するための導体として機能する。
【0033】
配線29は、貫通電極22の下端から半導体基板17の下面17B側の絶縁膜18の下面に亘るように設けられている。絶縁膜18の下面に配置された部分の配線29は、少なくとも実装基板12のパッド14と接合可能な位置と、その接合位置と貫通電極22の下端を結ぶ位置まで延在するように形成されている。これにより、配線29は、貫通電極21と電子部品11の端子の一つを電気的に接続するための導体として機能する。
【0034】
上記説明した配線26〜29は、Cu等の複数の導電性金属を積層した複合導体膜によって形成される。具体的には、配線26〜29を構成する複合導体膜としては、例えば、絶縁膜18等の表面(絶縁膜18の表面、開口部18A内の第1の導電型不純物拡散層35の表面、および開口部18B内の半導体基板17の表面)に堆積されたTi膜と、そのTi膜の表面に堆積されたCu膜と、Cu膜の表面を覆うNi膜と、Ni膜の表面(Cu膜の表面)を覆う表面保護用のAu膜とが積層されたTi−Cu−Ni−Au積層膜を用いることができる。
【0035】
図3は、電子部品が接続される配線の構成を説明するための図である。
【0036】
図3を参照して、配線27を例に挙げてTi−Cu−Ni−Au積層膜の形成方法について説明する。
【0037】
図3に示すように、絶縁膜18の表面、貫通電極22の上端、および開口部18A内の第1の導電型不純物拡散層35の表面を含む配線27の形成位置に、先ず、下地としてのTi膜27a(例えば、0.1μm程度の厚さ)をスパッタ法により堆積させる。次いで、スパッタ法により、Ti膜27aの表面にCu膜27b(例えば、0.5μm程度の厚さ)を堆積させ、更にめっき法によりCu膜27b上にCu膜27c(例えば、5.0μm程度の厚さ)を厚く堆積させる。続いて、めっき法により、Cu膜27cの表面にNi膜27d(例えば、3.0μm程度の厚さ)を堆積させる。そして最後に、めっき法により、Ni膜27dの表面に表面保護用のAu膜27e(例えば、0.05μm程度の厚さ)を堆積させることで、配線27を形成する。配線26、28、29についても、上記方法と同様な手法により形成する。
【0038】
上記構成とされた配線基板10において、半導体基板17としてP型シリコン基板を用いた場合、第1の導電型不純物拡散層35及び不純物拡散層36は、半導体基板17にN型不純物をドーパントすることで形成する。逆に、半導体基板17としてN型シリコン基板を用いた場合、第1の導電型不純物拡散層35及び不純物拡散層36は、半導体基板17にP型不純物をドーパントすることで形成する。この際、不純物拡散層36は、第1の導電型不純物拡散層35よりも低い不純物濃度にて形成する。これにより、第1の導電型不純物拡散層35の角付近での局所的な降伏現象が発生することを防止できる。
【0039】
具体的には、半導体基板17がP型である場合、半導体基板17としては、例えば、P型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるようにB(ボロン)をドーパントしたシリコン基板を用いる。この場合、第1の導電型不純物拡散層35は、N型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるように、P(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)を半導体基板17の上面17Aから深さ約2μm程度までドーパントすることにより形成する。また、不純物拡散層36は、N型不純物濃度が1.0E17〜1.0E19ions/cm3となるように、P(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)を半導体基板17の上面17Aから深さ約2μm程度までドーパントすることにより形成する。
【0040】
逆に、半導体基板17がN型である場合、半導体基板17としては、例えば、N型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるようにP(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)がドーパントされたシリコン基板を用いる。この場合、第1の導電型不純物拡散層35は、P型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるように、B(ボロン)を半導体基板17の上面17Aから深さ約2μm程度までドーパントすることにより形成する。また、不純物拡散層36は、P型不純物濃度が1.0E17〜1.0E19ions/cm3となるように、B(ボロン)を半導体基板17の上面17Aから深さ約2μm程度までドーパントすることにより形成する。
【0041】
半導体基板17の不純物濃度と第1の導電型不純物拡散層35の不純物濃度の具体的な数値は、半導体基板17内に形成される素子がツェナーダイオードである場合、要求されるツェナー電圧Vz とその他の条件(例えば、製造装置の処理条件など)に応じて決定する。
【0042】
なお、半導体基板17は、どの領域においても不純物濃度が略一定とされたシリコン基板で無くてもよい。
【0043】
図4は、半導体基板の不純物濃度分布の一例を模式的に示す断面図である。
【0044】
例えば、図4に示すように、不純物濃度の高いベース層17Dの上方に不純物濃度の低いエピ層17Eが形成され、さらにエピ層17Eの所定位置に高濃度不純物拡散領域17Fが形成されたN型シリコン基板、或いはP型シリコン基板を半導体基板17として用いることも可能である。ここで、ベース層17Dとエピ層17Eと高濃度不純物拡散領域17Fとは同じ導電型であり、ベース層17D及び高濃度不純物拡散領域17Fの具体的な不純物濃度は1.0E18〜1.0E20ions/cm3、エピ層17Eの具体的な不純物濃度は1.0E17ions/cm3未満とすることができる。半導体基板17の導電型としてN型を用いた場合には、ベース層17D、エピ層17E、及び高濃度不純物拡散領域17Fの各部にBをドーパントする。また、半導体基板17の導電型としてP型を用いた場合には、ベース層17D、エピ層17E、及び高濃度不純物拡散領域17Fの各部にPまたはAs、或いはSbのいずれかをドーパントする。ベース層17Dの上にエピ層17Eを形成する際には、例えば、エピタキシャル成長法を用いる。また、エピ層17E中に高濃度不純物拡散領域17Fを形成する際には、例えば、イオン打ち込み法を用いる。
【0045】
図4に示すような構造を有する半導体基板17を使用する場合、第1の導電型不純物拡散層35は、高濃度不純物拡散領域17Fの略真上に形成する。高濃度不純物拡散領域17Fと第1の導電型不純物拡散層35との接合面において、高濃度不純物拡散領域17Fの面積が第1の導電型不純物拡散層35の面積と略等しいか、或いはそれよりも小さい場合、不純物拡散層36を形成しないこともある。
【0046】
ガードリング24、25は、半導体基板17の不純物濃度、具体的には、貫通電極22の周囲や配線27の真下の部分の不純物濃度によって形成条件が異なる。なお、不純物濃度が問題となる貫通電極22の周囲及び配線27の真下に対応する部分の半導体基板17とは、図2に示す不純物濃度が略均一な半導体基板17の場合は半導体基板17そのものであり、図4に示す不純物濃度が均一でない半導体基板17の場合はエピ層17Eのことである。
【0047】
貫通電極22の周囲及び配線27の真下に対応する部分の半導体基板17の不純物濃度が低く、通電した際に半導体基板17と貫通電極22との間に生じる電位差によって半導体基板17の貫通電極22の周囲や配線27の真下の部分に反転層が誘導形成され得るような場合(目安としては、不純物濃度が1.0E17ions/cm3よりも低い場合)、第1のガードリング24、25は、半導体基板17と同じ導電型で、半導体基板17よりも高い不純物濃度となるように形成する。
【0048】
このように形成された第1のガードリング24、25は、配線27と対向する半導体基板17の表層を介して、第1の導電型不純物拡散層35と貫通電極22の周囲の側壁部分に形成された反転層との間が連結されることを防止する。この第1のガードリング24、25の作用により、第1の導電型不純物拡散層35と半導体基板17との間の等価的な接合面積の増加が防止され、リーク電流の増加が防止される。なお、第1の導電型不純物拡散層35と半導体基板17との間の等価的な接合面積とは、より正確には、配線27と電気的に接続された状態となる第1の導電型不純物拡散層35及び反転層を含むN(P)型領域と、配線28と電気的な接続状態となる半導体基板17のP(N)型領域のPN接合面積のことである。
【0049】
具体的に、半導体基板17がB(ボロン)のドーパントによるP型で、そのP型不純物濃度が1.0E17ions/cm3以下である場合、第1のガードリング24、25は、同じB(ボロン)のドーパントによりP型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるように形成する。半導体基板17がP(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)のドーパントによるN型で、そのN型不純物濃度が1.0E17ions/cm3以下である場合、第1のガードリング24、25は、同じ不純物のドーパントによりN型不純物濃度が1.0E18〜1.0E20ions/cm3となるように形成する。第1のガードリング24、25の深さは、第1の導電型不純物拡散層35及び不純物拡散層36と略等しい。具体的には、第1のガードリング24、25の深さは、例えば、2μmとすることができる。
【0050】
一方、貫通電極22の周囲及び配線27の真下に対応する部分の半導体基板17の不純物濃度が高く、通電した際に半導体基板17と貫通電極22の間に生じる電位差程度では貫通電極22の周囲及び配線27の真下に対応する部分の半導体基板17に反転層が誘導形成されない場合(目安としては、不純物濃度が1.0E18ions/cm3よりも高い場合)、第1のガードリング24、25は、半導体基板17と異なる導電型で形成する。
【0051】
このように形成された第1のガードリング24、25は半導体基板17との間にPN接合を形成する。これに付随して第1のガードリング24、25は、その周囲の半導体基板17における空乏層の形成を容易化する。
【0052】
例えば、通電により貫通電極22と半導体基板17との間に電位差が生じると、空乏層の形成が容易化したガードリング25の周囲及び絶縁膜18を介して貫通電極22に対向する半導体基板17の面(側壁)周辺の半導体基板17に空乏層が形成される。その際、PN接合や空乏層が、部分的あるいは全体的に半導体基板17と絶縁膜18との間に介在する形となる。
【0053】
ここで、貫通孔33内の絶縁膜18において絶縁性が低下する可能性の最も高い箇所は、エッチング処理時に最も長くプラズマに曝される半導体基板17の上面17A付近である。一方、ガードリング24は、一般的な半導体装置の製造工程から、必然的に半導体基板17の上面17A側に形成される。このため、ガードリング24を設けると、それに起因するPN接合や空乏層によって絶縁膜18の絶縁性の低下した部分を介した貫通電極22から半導体基板17(あるいはその逆)への電流の漏洩が抑制され、素子19のリーク電流の増加を防止できる。
【0054】
具体的に、半導体基板17がB(ボロン)のドーパントによるP型で、そのP型不純物濃度が1.0E18ions/cm3以上である場合、第1のガードリング24、25は、P(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)のドーパントによりN型不純物濃度が1.0E17〜1.0E20ions/cm3となるように形成する。半導体基板17がP(リン)、またはAs(ヒ素)、或いはSb(アンチモン)のドーパントによるN型である場合、第1のガードリング24、25はB(ボロン)のドーパントによりP型不純物濃度が1.0E17〜1.0E20ions/cm3となるように形成する。第1のガードリング24、25の深さは、第1の導電型不純物拡散層35及び不純物拡散層36と略等しい。具体的には、第1のガードリング24、25の深さは、例えば、2μmとすることができる。
【0055】
本実施の形態の配線基板によれば、半導体基板17の不純物濃度が、通電した際に貫通電極21,22と半導体基板17との間で生じる電位差によって半導体基板17内に反転層が形成されてしまう程度に低い場合、第1のガードリング24,25を半導体基板17と同じ導電型で形成する。この場合、貫通電極21,22の側面を囲むように設けられた第1のガードリング24,25により、反転層の形成が防止されると共に、貫通電極21,22の周囲に形成された反転層と第1の導電型不純物拡散層35との間が電気的に連結されることが防止される。これにより、リーク電流の増加が抑制されるため、半導体基板17の内部に形成される素子の特性の劣化を抑制できる。
【0056】
一方、半導体基板17の不純物濃度が、通電した際に貫通電極21,22と半導体基板17との間で生じる電位差によって半導体基板17内に反転層が形成されない程度に高い場合、第1のガードリング24,25は半導体基板17と異なる導電型で形成する。この場合、貫通電極21,22の側面を囲むように設けられた第1のガードリング24,25が半導体基板17との間にPN接合を形成すると共に、貫通電極21,22を囲む部分の半導体基板17に空乏層が形成され易くなる。これにより、リーク電流の増加が抑制されるため、半導体基板17の内部に形成される素子の特性の劣化を抑制することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、半導体基板17に形成する素子として、電子部品11の保護を行う素子(具体的には、ツェナーダイオード19)を設けた場合を例に挙げて説明したが、電子部品の保護を行う素子の代わりに、電子部品11の特性を調整する素子を半導体基板17に設けてもよい。電子部品11の特性を調整する素子としては、例えば、電子部品11の電圧を調整するレギュレーターを用いることができる。
【0058】
図5〜図13は、本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図である。図5〜図13において、第1の実施の形態の配線基板10と同一構成部分には同一符号を付す。
【0059】
始めに、図5に示す工程では、配線基板10が形成される複数の配線基板形成領域Aと、配線基板形成領域Aを囲むように配置された切断領域Bとを有した半導体基板41を準備する。切断領域Bは、配線基板形成領域Aに配線基板10に相当する構造体を形成後に、ダイシングブレードにより切断される領域である。半導体基板41は、この後の工程で配線基板10に相当する構造体が形成された後、切断領域Bにおいて切断されることにより、複数の半導体基板17(図2参照)となる。半導体基板41としては、P型シリコン基板又はN型シリコン基板が用いられる。ここでは、半導体基板41として、単結晶シリコンにN型不純物濃度が1.0E18ions/cm3となるようにAsをドーパントしたN型シリコン基板(厚さ200μm)を使用する場合を例に挙げて以下の説明をする。
【0060】
次いで、図6に示す工程では、半導体基板41の上面41A側から半導体基板41とは異なった導電型の不純物を半導体基板41にドーパントすることで不純物拡散層36を形成する。具体的には、半導体基板41がN型シリコン基板である場合、半導体基板41の上面41A側からP型不純物濃度が1.0E17ions/cm3程度となるようにBをドーパントすることにより、半導体基板41に不純物拡散層36を形成する。この時、不純物拡散層36の深さは、例えば、2μmとすることができる。
【0061】
次いで、図7に示す工程では、半導体基板41の上面41A側から不純物拡散層36と同じ導電型の不純物をドーパントすることにより、不純物拡散層36よりも不純物濃度の高い第1の導電型不純物拡散層35と第1のガードリング24、25とを同時に形成する。これにより、第1の導電型不純物拡散層35と、不純物拡散層36と、第1の導電型不純物拡散層35及び不純物拡散層36の下方に配置された部分の半導体基板41とにより構成されたツェナーダイオード19が形成される。
【0062】
具体的には、不純物拡散層36がP型不純物濃度を1.0E17ions/cm3程度とするように形成されている場合、第1の導電型不純物拡散層35及び第1のガードリング24、25は、半導体基板41の上面41A側からP型不純物濃度が1.0E18ions/cm3程度となるようにBをドーパントすることにより同時に形成する。このとき、第1の導電型不純物拡散層35及び第1のガードリング24、25の具体的な深さは、例えば、2μmとすることができる。
【0063】
次いで、図8に示す工程では、第1のガードリング24、25に囲まれたそれぞれの部分に、半導体基板41を貫通するように貫通孔32、33を形成する。貫通孔32、33は、具体的には、RIEなどのドライエッチングにより形成される。
【0064】
次いで、図8に示す工程では、平面視リング状の第1のガードリング24に囲まれた部分の半導体基板41に、半導体基板41を貫通する貫通孔32を形成する。また、平面視リング状の第1のガードリング25に囲まれた部分の半導体基板41にも、半導体基板41を貫通する貫通孔33を形成する。貫通孔32、33は、具体的には、RIEなどのドライエッチングにより同時に形成される。
【0065】
次いで、図9に示す工程では、半導体基板41の両面41A,41B、及び貫通孔32,33に露出された部分の半導体基板41の面を含む半導体基板41の全面を覆うように絶縁膜18を形成する。絶縁膜18は、例えば、図8に示す半導体基板41に熱酸化の処理を施すことによって形成する。なお、絶縁膜18には、他の手段によって形成される酸化膜や窒化膜等を用いてもよい。
【0066】
次いで、図10に示す工程では、絶縁膜18で被覆された半導体基板41の貫通孔32、33内に貫通電極21、22を形成する。貫通電極21、22は、例えぱ、めっき法により形成する。めっき法を用いる場合、貫通電極21、22を構成する金属材料としては、例えば、Cuを用いる。
【0067】
次いで、図11に示す工程では、半導体基板41の上面41A側に形成された部分の絶縁膜18に、第1の導電型不純物拡散層35の一部を露出する開口部18Aを形成し、半導体基板41の下面41B側に形成された部分の絶縁膜18に、半導体基板41の下面41Bの一部を露出する開口部18Bを形成する。
【0068】
次いで、図12に示す工程では、半導体基板41の上面41A側に形成された部分の絶縁膜18上に配線26、27を形成し、半導体基板41の下面41B側に形成された絶縁膜18の下面に配線28、29を形成する。これにより、半導体基板41の配線基板形成領域Aに図2に示す配線基板10に相当する構造体が形成される。配線26〜29としては、例えば、具体的には、配線26〜29を構成する複合導体膜としては、例えば、絶縁膜18等の表面(絶縁膜18の表面、開口部18A内の第1の導電型不純物拡散層35の表面、および開口部18B内の半導体基板17の表面)に堆積されたTi膜と、そのTi膜の表面に堆積されたCu膜と、Cu膜の表面を覆うNi膜と、Ni膜の表面(Cu膜の表面)を覆う表面保護用のAu膜とが順次積層されたTi−Cu−Ni−Au積層膜を用いることができる。
【0069】
次いで、図13に示す工程では、切断領域Bにおいて絶縁膜18及び半導体基板41を切断する。これにより、一つの半導体基板41から複数の配線基板10が取得される。絶縁膜18及び半導体基板41の切断には、例えば、ダイシングブレードを用いる。
【0070】
本実施の形態の配線基板の製造方法によれば、第1の導電型不純物拡散層35と第1のガードリング24、25とを同時に形成することにより、配線基板10の製造工程を増加させることなく、第1のガードリング24、25を形成することができる。
【0071】
本実施の形態では、半導体基板41として、単結晶シリコンにN型不純物濃度が1.0E18ions/cm3となるようにAsをドーパントしたN型シリコン基板(例えば、厚さ200μm)を使用した場合を例に挙げて説明したが、半導体基板41としては、PやSbをドーパントしたN型シリコン基板も使用することができる。
【0072】
また、半導体基板41としては、単結晶シリコンにP型不純物濃度が1.0E18ions/cm3となるようにBをドーパントしたP型シリコン基板を使用することも可能である。ただし、半導体基板41がP型シリコン基板である場合、不純物拡散層36は、図6に示す工程において、半導体基板41の上面41A側からN型不純物濃度が1.0E17ions/cm3程度となるようにPまたはAs、或いはSbをドーパントすることにより形成する。
【0073】
第1の導電型不純物拡散層35及び第1のガードリング24、25は、先に説明した図7に示す工程において、半導体基板41の上面41A側から、不純物拡散層36と同じ導電型の不純物を不純物拡散層36よりも不純物濃度が高くなるようにドーパントすることで同時に形成する。具体的には、不純物拡散層36のN型不純物濃度が1.0E17ions/cm3程度の場合、第1の導電型不純物拡散層35及び第1のガードリング24、25は、N型不純物濃度が1.0E18ions/cm3程度となるようにPまたはAs、或いはSbをドーパントすることで同時に形成する。
【0074】
なお、半導体基板41としてN型シリコン基板を用いた場合、半導体基板41としてP型シリコン基板を用いた場合のどちらの場合でも半導体基板41の不純物濃度は1.0E18ions/cm3より高くてもよい。
【0075】
また、第1の導電型不純物拡散層35と第1のガードリング24、25の不純物濃度も1.0E18ions/cm3より高くてもよく、不純物拡散層36の不純物濃度は、第1の導電型不純物拡散層35よりも低ければ、1.0E17ions/cm3より高くても構わない。
【0076】
なお、半導体基板41としてN型シリコン基板を用いた場合、半導体基板41としてP型シリコン基板を用いた場合のどちらの場合でもドーパントする不純物が異なるだけで、先に説明した図5〜図13に示す工程と同様な手法により、配線基板10を製造することができる。
【0077】
(第2の実施の形態)
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の断面図である。図14において、図2に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0078】
図14を参照するに、第2の実施の形態の配線基板50は、第2のガードリング51を設けた点を除き、第1の実施の形態の配線基板10(図2参照)と略同様な構成とされている。
【0079】
第2のガードリング51は、半導体基板17の上面17A側に、第1の導電型不純物拡散層35、不純物拡散層36、貫通電極21、22、及び第1のガードリング24、25を囲むような平面視額縁状の形状に形成されている。具体的に、第2のガードリング51は、半導体基板17の側面17Cに沿って形成されることにより、第1の導電型不純物拡散層35、不純物拡散層36、貫通電極21、22、及び第1のガードリング24、25を囲むように配置されている。
【0080】
第2のガードリング51は、半導体基板17の上面17A側からP型不純物又はN型不純物をドーパントすることにより形成する。第2のガードリング51の導電型及び不純物濃度は、第1のガードリング25或いは第1の導電型不純物拡散層35と同時に形成可能なように、第1のガードリング25または第1の導電型不純物拡散層35と同じにすることが望ましい。第2のガードリング51を第1のガードリング25又は第1の導電型不純物拡散層35と同時に形成した場合、第2のガードリング51の深さは、第1のガードリング25又は第1の導電型不純物拡散層35の深さと略等しい。具体的には、第1のガードリング25又は第1の導電型不純物拡散層35の深さが2μmの場合、第2のガードリング51の深さは、2μmとすることができる。
【0081】
このような構成とされた第2のガードリング51を設けることにより、外部から半導体基板17の側面17Cを介して、半導体基板17内に浸入してくる汚染物質(例えば、Fe、Na、K、Cu等)の多くが第2のガードリング51においてゲッタリングされる。このため、ダイシングプレードで配線基板50を個片化したときに半導体基板17の側面17Cを介して半導体基板17内に汚染物質(例えば、Na、K、Cu等)が侵入したとしても、ツェナーダイオード19の形成領域への汚染物質の拡散は抑制され、ツェナーダイオード19の特性の劣化が抑制できる。
【0082】
本実施の形態の配線基板によれば、外部から半導体基板17に侵入した汚染物質(例えば、Fe、Na、K、Cu等)に起因するツェナーダイオード19の特性の劣化を抑制することができる。
【0083】
図15〜図17は、本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図である。図15〜図17において、本実施の形態の配線基板50と同一構成部分には同一符号を付す。
【0084】
始めに、図15に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図7に示す工程と同様な手法により、不純物拡散層36を備えた半導体基板41に不純物をドーパントして、第1のガードリング24、25と、第1の導電型不純物拡散層35と、第2のガードリング51とを同時に形成する。この際、第2のガードリング51は、半導体基板41上の配線基板形成領域Aの境界に沿って、平面視額縁状に形成する。
【0085】
このように、第1のガードリング24、25と、第1の導電型不純物拡散層35と、第2のガードリング51とを同時に形成することにより、配線基板50の製造工程を増加させることなく、第1及び第2のガードリング24、25、51を形成することが可能となるため、配線基板50の製造コストを低減することができる。
【0086】
次いで、図16に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図8〜図12に示す工程と同じ処理を行うことにより、複数の配線基板形成領域Aに配線基板50に相当する構造体を形成する。
【0087】
次いで、図17に示す工程では、図16に示す切断領域Bにおいて絶縁膜18及び半導体基板41を切断することにより、一つの半導体基板41を複数の配線基板50に個片化する。絶縁膜18及び半導体基板41の切断には、例えば、ダイシングブレードが用いる。
【0088】
本実施の形態の配線基板の製造方法によれば、半導体基板41の配線基板形成領域Aの境界付近に平面視額縁状とされた第2のガードリング51を形成することにより、半導体基板17の切断面(側面17C)から浸入する汚染物質(例えば、Fe、Na、K、Cu等)がツェナーダイオード19の形成領域に到達することを防ぐことが可能となるため、汚染物質に起因するツェナーダイオード19の特性の劣化を抑制できる。また、第1のガードリング24、25と、不純物拡散層36と、第2のガードリング51とを同時に形成することにより、配線基板50の製造工程を増加させることなく、第1及び第2のガードリング24、25、51を形成できる。
【0089】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、半導体基板内に電子部品と電気的に接続される素子を備えた、実装基板(マザーボード)と電子部品とを電気的に接続するための再配線基板に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】従来の配線基板の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【図3】電子部品が接続される配線の構成を説明するための図である。
【図4】半導体基板の不純物濃度分布の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その3)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その4)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その5)である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その6)である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その7)である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その8)である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その9)である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その1)である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その2)である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る配線基板の製造工程を示す図(その3)である。
【符号の説明】
【0092】
10、50 配線基板
11 電子部品
12 実装基板
13、14 パッド
15 外部接続端子
17、41 半導体基板
17A、41A 上面
17B、41B 下面
17C 側面
17D ベース層
17E エピ層
17F 高濃度不純物拡散領域
18 絶縁膜
18A、18B 開口部
19 ツェナーダイオード
21、22 貫通電極
24、25 第1のガードリング
26〜29 配線
27a Ti膜
27b,27c Cu膜
27d Ni膜
27e Au膜
32、33 貫通孔
35 第1の導電型不純物拡散層
36 不純物拡散層
51 第2のガードリング
A 配線基板形成領域
B 切断領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁膜で覆われた貫通孔を有する半導体基板と、前記貫通孔内に形成された貫通電極と、
前記貫通電極の一方の端部と接続されると共に、電子部品と電気的に接続される第1の配線と、
前記貫通電極の他方の端部と接続されると共に、実装基板と電気的に接続される第2の配線と、を備えた配線基板において、
前記半導体基板とは異なる導電型に形成された第1の導電型不純物拡散層と、前記第1の導電型不純物拡散層を構成要素として含み、前記第1の配線および前記第2の配線と電気的に接続される素子と、前記貫通孔を囲む第1のガードリングとを前記半導体基板の内部に設けたことを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記素子は、前記第1の導電型不純物拡散層と、前記第1の導電型不純物拡散層の外周に沿って前記第1の導電型不純物拡散層を囲むように形成されると共に、前記第1の導電型不純物拡散層と同じ導電型で、かつ前記第1の導電型不純物拡散層よりも不純物濃度の低い第1の不純物拡散層と、前記第1の導電型不純物拡散層の下方に位置する部分の前記半導体基板とを有するツェナーダイオードであることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記半導体基板は、通電した際に前記貫通電極と前記半導体基板との間で生じる電位差により、前記半導体基板の内部に反転層が形成される不純物濃度の低いシリコン基板であり、
前記第1のガードリングは、前記半導体基板と同じ導電型で、かつ前記半導体基板よりも不純物濃度の高い第2の不純物拡散層によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記半導体基板は、通電した際に前記貫通電極と前記半導体基板との間で生じる電位差により、前記半導体基板の内部に反転層が形成されることが困難な不純物濃度の高いシリコン基板であり、
前記第1のガードリングは、前記半導体基板と異なる導電型の第2の不純物拡散層によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2の不純物拡散層は、前記第1の導電型不純物拡散層と同じ導電型で、かつ前記第1の導電型不純物拡散層と略同じ不純物濃度であることを特徴とする請求項4に記載の配線基板。
【請求項6】
前記半導体基板内に、前記第1の導電型不純物拡散層、前記素子、前記貫通電極、及び前記第1のガードリングを囲む平面視額縁状の第2のガードリングを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか一項記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2のガードリングは、前記半導体基板の側面に沿うように配置されている特徴とする請求項6記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2のガードリングは、前記第2の不純物拡散層と同じ導電型で、かつ前記第2の不純物拡散層と略同じ不純物濃度である第3の不純物拡散層によって構成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の配線基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2009−88336(P2009−88336A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257504(P2007−257504)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)