説明

配線用電気機器

【課題】分電盤の面積の増大を招かずに複雑な配線工事を施すことなく、配線遮断器と電磁開閉器等の電気機器とを分電盤内にコンパクトに収納ができ、配線ミスや配線組み立て工数をも削減すること。
【解決手段】電源側の配線と電気的に接続する配線用遮断器10と、配線用遮断器と電気的に接続するための電磁開閉器20とを具備する配線用電気機器において、配線用遮断器の電気的1次側に配線を接続するためのプラグイン端子金具30Aを備えると共に、配線用遮断器の接合面部13に電気的2次側の第1のプラグイン端子金具30を備える。電気機器は、電気的1次側の前方接合面部21に第1のプラグイン端子金具と接続するための第1のプラグ端子22を備え、第1のプラグ端子が設けられる前方接合面部の位置と対向する後方接合面部21Aの同一位置に第2のプラグイン端子金具30Bを備える。電気機器の前方に配線用遮断器を接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤等に設置される例えば配線用遮断器と電磁開閉器等の電気機器とを電気的に配線接続する配線用電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、分電盤内の例えば三相200Vの主配線用遮断器の配下に接続される電気的負荷側の電気ラインに設けられる配線用遮断器(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)の2次側とその配下に接続される電磁開閉器(Electromagnetic Contact)の1次側とを直線的に並べて分電盤内に配置しておいて電線を使って両者を端子接続して接続し、負荷側の電気機器に電気を供給することが知られている。
【0003】
また、主配線用遮断器において、複数の負荷側の電気ラインに分電するための給電分岐配線には母線バーを備えて、この母線バーは導体金属を板棒状に加工して例えば三相分を所定の間隔空けた状態で前述の負荷側の配線用遮断器の1次側に端子接続されたりするように、機器間を導体金属で加工した導体バーで接続する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
またその他に、分電盤内の複数の分岐用の配線用遮断器と母線バーとをI字型の連結銅バーで三相分を一本ずつ独立して接続するための電力導線である導体バーも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−298426号公報(図2、図3、図4)
【特許文献2】特開2009−11047号公報(図1、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2のように主配線用遮断器とその配下の分岐用に配線用遮断器までの接続に母線バーを用いるが、分岐用の配線用遮断器と電機機器との間は分電盤内で設置される配置に関係するために多くは電線を用いて接続される。そのために、電気的な負荷側が複数ある場合や分電盤の大きさに制限がある場合などに配線接続の手間が掛かり、配線するために多くの労力を費やすことになる。また、それと共に配線が複雑になり配線ミスを招く懸念がある。
【0007】
また、分電盤の大きさも電気的な負荷側が多い場合には、必要な電気機器も必然的に増えることになり、電機機器の取付け面積もそれに応じて増加することになるため、設置面積の増大と費用の増加に繋がることになる。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、分電盤の面積の増大を招かずに複雑な配線工事を施すことなく、分岐用の配線遮断器と電磁開閉器等の電気機器とを分電盤内にコンパクトに収納ができるようになり、また、配線ミスや配線組み立て工数をも削減する電力用接続導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の配線用電気機器は、電源側の配線と電気的に接続する配線用遮断器と、この配線用遮断器と電気的に接続するための電気機器とを具備する配線用電気機器であって、前記配線用遮断器は、電気的1次側に前記配線を接続するための接続端子部を備えると共に、前記電気機器と接合させて接続するための接合面部に、電気的2次側の第1のプラグイン端子部を備え、前記電気機器は、前記配線用遮断器と接合させて接続するための前方接合面に、前記第1のプラグイン端子部と接続するための第1のプラグ端子部を備え、前記前方接合面部に配置される前記第1のプラグ端子の位置と対向する後方接合面部の同一位置に第2のプラグイン端子部を備え、前記電気機器の前方に前記配線用遮断器が接合されることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成することにより、配線用遮断器の接合面部と電気機器の前方接合面部を当接して、配線用遮断器のプラグイン端子部に電気機器のプラグ端子を電気的に接続することができると共に、電気機器の構造をシンプル化することができ、電気機器の大きさを小さくすることができる。
【0011】
本発明において、前記電気機器の2次側に電気的に接続するための第2の電気機器を更に具備し、前記第2の電気機器は、前記電気機器と接合させて接続するための前方接合面部に、前記第2のプラグイン端子部と接続するための第2のプラグ端子部を備え、前記前方接合面部に配置される前記第2のプラグ端子の位置と対向する後方接合面部の同一位置に第3のプラグイン端子部を備え、前記第2の電気機器の前方に前記電気機器が接合されるようにしてもよい(請求項2)。
【0012】
このように構成することにより、例えば電気機器を直列にもう一つ追加するような安全仕様の要求の場合であっても、前記電気機器を組み合わせて使うことで全体を接合することができると共に、複数の電気機器の構造を同一形状にすることができる。
【0013】
また、本発明において、前記電気機器及び前記第2の電気機器を、同一形状の電磁開閉器とする方がよい(請求項3)。
【0014】
このように構成することにより、配線用電気機器の形状の種類を増やさずに済み、共通の電気機器を使用することができ、接合(接続)するミスも防げることになる。
【0015】
また、本発明において、前記電磁開閉器の内部に、上下方向に可動し、第1のプラグ端子と第2のプラグイン端子部の間に配置される固定接点と可動接点とを設けると共に、前記可動接点を、前記固定接点に対して上下方向に動作されて開閉する構造としてもよい(請求項4)。この場合、前記電磁開閉器の内部には、前記可動接点を上下方向に可動させるための電磁コイルを前記固定接点の上方に配置し、前記電磁コイルに接続され、垂直方向に移動する鉄芯を含む構造とする方がよい(請求項5)。
【0016】
このように構成することにより、分電盤内に電気的な問題が発生した場合でも、固定接点と可動接点の接続を解除することが容易になり、安全性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記配線用遮断器及び電気機器の互いに接合される前記接合面部の一方と他方にそれぞれ装着され、互いに係脱可能に係合する係止部と係止受け部とからなる係止部材を設け、前記係止部材によって前記配線用遮断器と電気機器とを着脱可能に接合する構造としてもよい(請求項6)。
【0018】
このように構成することにより、係止部材によって配線用遮断器と電気機器とを着脱可能に接合することができる。
【0019】
また、本発明において、前記配線用遮断器及び電気機器の互いに接合される前記接合面部の一端側における一方と他方にそれぞれ装着され、互いに係脱可能に係合する係止部と係止受け部とからなる係止部材を設け、前記接合面部の他端側に、前記プラグイン端子及びプラグ端子を設ける構造とする方がよい(請求項7)。この場合、前記係止部材は、前記ブレーカ及び電気機器の接合面部のいずれか一方に設けられる弾性変形可能な係止部と、接合面部の他方に設けられ前記係止部に係脱可能に係合する係止受け部とで構成する方がよい(請求項8)。
【0020】
このように構成することにより、配線用遮断器と電気機器の接合面部、又は電気機器同士の接合面部を接合した状態で、接合面部の一端側においてプラグイン端子部とプラグ端子が接続し、他端側において係止部材によって配線用遮断器と電気機器の接合面部、又は電気機器同士が固定される。この場合、係止部材を、配線用遮断器及び電気機器の接合面部のいずれか一方に設けられる弾性変形可能な係止部と、接合面部の他方に設けられ係止部に係脱可能に係合する係止受け部とからなる構造とすることにより、いわゆるスナップ係合によって配線用遮断器と電気機器、又は電気機器同士とをワンタッチで固定することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上に説明したように、本発明の配線用電気機器は、前記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0022】
配線用遮断器の接合面と電気機器の接合面部を当接して、配線用遮断器のプラグイン端子部に電気機器のプラグ端子部を電気的に接続することができるので、配線用遮断器と電気機器との配線を無くして、部品点数及び配線工数を削減することができると共に、配線ミスの削減による品質の向上を図ることができる。また、同一形状の電気機器を使用することにより、配線用電気機器の形状の種類を増やさずに済み、共通の電気機器を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る配線用電気機器の電気回路を示す配線図である。
【図2】従来の電気回路の実体配線を示す概略斜視図である。
【図3】第1実施形態における配線用遮断器と電気機器との接合状態を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態における配線用遮断器と電気機器との接合状態の断面図である。
【図5】第1実施形態における配線用遮断器と電気機器の分解斜視図(a)、本発明における係止部材の係止部を示す斜視図(b)及び係止受け部を示す斜視図(c)である。
【図6】第1実施形態における配線用遮断器と電気機器の分解背面図である。
【図7】本発明における配線用遮断器に用いられるプラグイン端子部の構造を示す斜視図(a)及び本発明における電気機器に用いられるプラグイン端子部の構造を示す斜視図(b)である。
【図8】第2実施形態の配線用遮断器と電気機器を示す分解斜視図である。
【図9】第2実施形態の配線用遮断器と二つの電気機器との接合状態を示す概略断面図である。
【図10】第3実施形態の配線用遮断器と二つの電気機器との接合状態を示す概略断面図である。
【図11】第4実施形態の配線用遮断器と二つの電気機器との接合状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。図1、図2は、図示しない分電盤内に配線され固定されて設けられる三相負荷側に分岐される分岐用の配線用遮断器1と電磁開閉器2aの一部を示す配線図であり、配線用遮断器1(MCCB)の1次側端子部4に給電される三相R,S、Tと、2次側端子部5から電磁開閉器2a(MC1)の1次側端子部6まで接続された視覚的にも色分けされたR(赤)、S(白)、T(黒)の三相の電線と、この電磁開閉器2aの2次側接続端子部7に接続されて電気的負荷側に給電されるように形成されている。
【0025】
図3に示すように、分電盤内に固定配置させる位置関係として、電気機器20(以下に電磁開閉器20という)の前方に配線用遮断器10(MCCB)を接合させて接続するように配置する。この配置での配線用遮断器10の電気的2次側と電磁開閉器20の1次側とを接続させる。配線用遮断器10の背面側には接合面部13を形成し、後述する電磁開閉器20の前面に形成された前方接合面部21と当接するように構成される。この場合、配線用遮断器10の接合面部13の下端部に設けられた2次側端子部であるプラグイン端子部30(以下にプラグイン端子金具30という)と、電磁開閉器20の前方接合面部21の下端部に設けられたプラグ端子部22と電気的に接続できるように構成されている。なお、配線用遮断器10の接合面部13及び電磁開閉器20の前方接合面部21の面積は、配線用遮断器10及び電磁開閉器20に応じて変わるが、例えば、縦150mm、横75mmで構成される。
【0026】
まず、本発明に係る電磁開閉器20に接続される配線用遮断器10について説明する。図3に示すように、配線用遮断器10の上面80に複数(図面では3個の場合を示す)の母線バー用の接続端子部であるプラグイン端子金具30を同一線上に配設し、各プラグイン端子金具30Aに、母線バー8から突設されたプラグ端子8aを接続可能に形成している。
【0027】
この場合、配線用遮断器10を構成する筐体10Aの上面80は段状に形成されており、 開口81を臨むようにプラグイン端子金具30Aが筐体10A内に配設されている。プラグイン端子金具30Aは、ばね力の付勢によって圧接される一対の挟持部材31,32を具備している。
【0028】
また、図4及び図5に示すように、配線用遮断器10の接合面部13の下端部側の複数箇所例えば3箇所に互いに水平方向に平行な矩形状の凹部16が設けられており、各凹部16内に前記プラグイン端子金具30が収容されている。このプラグイン端子金具30は、ばね力の付勢によって圧接される一対の挟持部材31,32を具備している。この場合、下部側に位置する下部挟持部材31は、外方先端部に下方に屈曲する傾斜面部31aと、この傾斜面部31aの基端側に屈曲して連なる波形部31bが設けられている。一方、上部側に位置する上部挟持部材32は、外方先端部に下部挟持部材31の波形部31bの基端側に連なる平坦部31cに圧接される略半円筒状の押え部32aと、この押え部32aの基端側に略クランク状に屈曲される屈曲部32bと、屈曲部32bの基端側から先端側に屈曲されて下部挟持部材31の平坦部31cの下面側に当接する保持部32cが設けられている。なお、上部挟持部材32の屈曲部32bの垂直部32dに下部挟持部材31を貫挿する貫通窓32eが設けられている(図7(a)参照)。
【0029】
また、配線用遮断器10の接合面部13と対向する前面すなわち上面80の前面側垂直面80bに、プラグイン端子金具30のばね力を解除する解除部材(ドライバやピン等)の挿入孔部82が設けられている。この挿入孔部82にドライバやピン等の解除部材を挿入してプラグイン端子金具の屈曲部32bを押すことによって母線バー8のプラグ端子8aの接続が解除されるようになっている。
【0030】
なお、配線用遮断器10の上面80に配設されたプラグイン端子金具30Aに接続される複数(例えば3枚)の母線バー8は、それぞれ下端部にクランク状に垂下する板状のプラグ端子8aを具備している。なお、プラグ端子8aは必ずしもクランク状に垂下する板状である必要なく、例えばケーブル,棒状端子であってもよい。また、複数の母線バー8は、図3に示すように、合成樹脂製の板状絶縁体8bを介在させて水平方向に重ね合わされており、全ての母線バー8は断面略コ字状の合成樹脂製の絶縁カバー8cによって上面及び左右両側面が被覆されている。このように、複数の母線バー8間に絶縁体8bを介在させて重ね合わせると共に、全ての母線バー8を絶縁カバー8cによって上面及び左右両側面を被覆することにより、母線バー8の空間絶縁距離の確保が不要となり、感電に対する保護構造が不要となる。
【0031】
このように配線用遮断器10の上面80に母線バー用のプラグイン端子金具30Aを配設することにより、配線用遮断器10の接合面部13の構造をシンプル化することができ、また、配線用遮断器10と電磁開閉器20とを接合した後に、配線用遮断器10に母線バー8を接続することができる。
【0032】
次に、上述した配線用遮断器に接続される電磁開閉器20について説明する。図4に示すように電磁開閉器20の前方接合面部21における下端部側には、配線用遮断器10に設けられた第1のプラグイン端子金具30の狭持部材31,32間に挿入係合する第1のプラグ端子部であるプラグ端子部22が設けられている。このプラグ端子部22は、板状の棒端子片22aを有しており、配線用遮断器10と電磁開閉器20とを接合する際に、棒端子片22aが弾性力に抗してプラグイン端子金具30の挟持部材31,32間に挿入係合されるようになっている。
【0033】
また、電磁開閉器20の前方接合面部21には、プラグ端子部22を包囲して保護する矩形状の筒体22bが突設されている。この筒体22bは配線用遮断器10に設けられたプラグイン端子金具30を収容凹部16内に着脱可能に嵌挿されるように形成されており、配線用遮断器10と電磁開閉器20が接合された状態で、収容凹部16内に筒体22bが嵌挿されて、配線用遮断器10と電磁開閉器20の接合を強固にしている。
【0034】
この場合、プラグ端子部22は、電磁開閉器20内に配設される電磁コイル23の通電による励磁によって作動する可動接点24aと電気的に接続する固定接点24b,24cの内の一方の固定接点24bに設けられている。他方の固定接点24cは、電磁開閉器20の背面部すなわち後方接合面部21Aに設けられた第2のプラグイン端子部であるプラグイン端子金具30Bに接続されている。第2のプラグイン端子金具30Bは、上述した配線用遮断器10に設けられたプラグイン端子金具30と同様に構成されているので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。また、プラグイン端子金具30Bは、第1のプラグ端子22が配置される前方接合面部21の位置と対向する後方接合面部21Aの同一位置に設けられている。なお、プラグイン端子金具30Bのばね力を解除する解除部材(図示せず)の挿入孔部82が設けられている。このプラグイン端子金具30Bに他の電気機器(図示せず)の端子又は電線60Aが電気的に接続される(図7(b)参照)。なお、電磁開閉器20の上面部には電磁コイル23の端子25が設けられている。
【0035】
このようにプラグイン端子金具30Bをプラグイン端子金具30と対向する同一位置に配置することにより、電磁開閉器20内部の構造をシンプル化することができ、電磁開閉器20の大きさを小さくすることができる。
【0036】
また、図4に示すように、電磁開閉器20の内部には、電磁開閉器20が通電された際に電磁コイル23の励磁によって作動する可動接点24aが設けられている。可動接点24aは、縦向きに配設された電磁コイル23の鉄芯23aの端部に配置され、電磁開閉器20に対して垂直方向に移動して固定接点24b,24cと接続されることで、電磁開閉器20が通電されるように構成されている。
【0037】
このように可動接点24aが電磁開閉器20に対して鉛直方向に移動するので、分電盤内に電気的な問題が生じた場合に、固定接点24b,24cと可動接点24aとの接続を容易に解除することができ、安全性を向上させることができる。
【0038】
また、図5に示すように、配線用遮断器10の接合面部13と電磁開閉器20の前方接合面部21部における上端部側には、配線用遮断器10と電磁開閉器20とを係脱可能に係合(連結)する係止部41と係止受け部42とからなる係止部材40が設けられている。この場合、係止部41は、例えばばね性を有する鋼板にて形成されており、電磁開閉器20の前方接合面部21の上端部に電磁開閉器20の筐体と同様の材質で一体化、又は溶着される矩形状の固定片43と、この固定片43の前辺の両端から前方側に向かって水平に突出する一対の係止片44と、両係止片44の先端部に穿設される横長のスリット状係止孔45とで構成されている。また、係止受け部42はスリット状係止孔45より若干小さく形成されると共に、係止部41と対向する面に傾斜面46を有する断面略三角形状に形成されており、配線用遮断器10の上面の接合面部13部側の左右2箇所に止着されている。
【0039】
このように構成される係止部材40は、配線用遮断器10と電磁開閉器20とを接合する際に、係止部41の係止片44が弾性変形して係止受け部42の傾斜面46を乗り越えて、スリット状係止孔45が係止受け部42に係合することで、いわゆるスナップ係合によって係止部41のスリット状係止孔45と係止受け部42とが係合して配線用遮断器10と電磁開閉器20とを接合(連結)する。また、配線用遮断器10と電磁開閉器20との接合(連結)を解除する場合は、係止部41の係止片44を上方に移動させてスリット状係止孔45と係止受け部42との係合を解除することができる。
【0040】
なお、前記説明では、電磁開閉器20に係止部41を設け、配線用遮断器10に係止受け部42を設けたが、逆にしてもよい。すなわち、配線用遮断器10の接合面部13部の上端部に係止部41を設け、電磁開閉器20の前方接合面部21の上端部に係止受け部42を設けてもよい。また、係止部材40を配線用遮断器10と電磁開閉器20の接合面部13,21部の上下端部の両方に設けてもよい。これにより、配線用遮断器10と電磁開閉器20の接合(連結)を更に強固にすることができる。
【0041】
前記実施形態では、配線用遮断器10に一つの電磁開閉器20を接合(連結)する場合について説明したが、図8及び図9に示すように、複数の電磁開閉器20,20Aを同様に接合(連結)することも可能である。すなわち、電磁開閉器20の前方接合面部21と対向する後方接合面部21A部に配設される第2のプラグイン端子部30B(以下にプラグイン端子金具30Bという)と、電磁開閉器20と同様の機能を有する第2の電気機器である第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bに設けられる第2のプラグ端子部であるプラグ端子部22Aとを電気的に接続すると共に、電磁開閉器20の前方接合面部21Aと第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bに設けられる第2の係止部材40Aによって電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aとを着脱可能に接合(連結)してもよい。
【0042】
この場合、電磁開閉器20の後方接合面部21Aの下端部側の3箇所には、互いに水平方向に平行な矩形状の凹部16が設けられ、各凹部16内に第2のプラグイン端子金具30Bが配設(収容)されている。また、第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bの下端部側の3箇所には、それぞれプラグイン端子金具30Bに接続可能な3個のプラグ端子部22Aが設けられている。
【0043】
また、第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bには、プラグ端子部22Aを包囲して保護する矩形状の筒体22bが突設されている。この筒体22bは電磁開閉器20に設けられたプラグイン端子金具30Bを収容する凹部16内に着脱可能に嵌挿されるように形成されており、電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aが接合された状態で、凹部16内に筒体22bが嵌挿されて、電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aの接合を強固にしている。
【0044】
また、電磁開閉器20の後方接合面部21A及び第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bの下端部側には、前記係止部材40と同様に、互いに係脱可能に係合する係止部41と係止受け部42とからなる第2の係止部材40Aが設けられている。なお、第2の係止部材40Aを電磁開閉器20の後方接合面部21A及び第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bの上下端部の両方に設けるようにしてもよい。これにより、電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aの接合(連結)を強固にすることができる。
【0045】
このように構成することにより、電磁開閉器20の後方接合面部21Aに第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bを当接して、電磁開閉器20のプラグイン端子金具30Bと第2の電磁開閉器20Aのプラグ端子部22Aとを電気的に接続すると同時に、電磁開閉器20の後方接合面部21Aと第2の電磁開閉器20Aの前方接合面部21Bに設けられた第2の係止部材40Aの係止部41と係止受け部42とを係合して、電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aとを接合(連結)することができる。この場合、プラグ端子部22Aは、第2の電磁開閉器20A内に配設される電磁コイル23Aの通電による励磁によって作動する可動接点24aと電気的に接続する固定接点24b,24cの内の一方の固定接点24bに設けられている。
【0046】
また、プラグ端子部22Aが配置される前方接合面部21Bの位置と対向する後方接合面部21Cの同一位置に、プラグイン端子金具30Bと同様に形成されるプラグイン端子金具30Cが配設されている。このプラグイン端子金具30Cに他の電気機器(図示せず)のプラグ端子又は電線が電気的に接続可能になっている。なお、プラグイン端子金具30,30B,30Cは、各々が設けられる接合面部13,21A,21Cの同一位置に配置されている。また、第2の電磁開閉器20Aの後方接合面部21Cの下面部には、プラグイン端子金具30Cのばね力を解除する解除部材(図示せず)の挿入孔部82が設けられている。
【0047】
このようにプラグイン端子金具30Cを配置することにより、第2の電磁開閉器20Aの構造をシンプル化することができ、第2の電磁開閉器20Aの大きさを小さくすることができる。また、連結する複数の電磁開閉器20,20Aを同一形状とすることができ、共通の電磁開閉器を使用することができる。
【0048】
このように電磁開閉器20と第2の電磁開閉器20Aとを接合することによって、一方の電磁開閉器20又は20Aが不具合を生じたときでも、他方の電磁開閉器が作動して電気系統の保全を図ることができる。
【0049】
なお、図10に示す第3実施形態において、電磁開閉器20B,20Cは、それぞれ前記電磁開閉器20,20Aに対して電磁コイル23Bが下方に配設され、電磁コイル23Bの上方に可動接点24aと固定接点24b,24cが配設されている。この場合、前方に位置する電磁開閉器20Bの前方接合面部21Dに配置されるプラグ端子22Bは、一方の固定接点24bに一端が接続する逆L字状の導体部材50の下端に水平に突設されて、配線用遮断器10のプラグイン端子金具30に接続される。また、電磁開閉器20Bの後方接合面部21Eの上部側には他方の固定接点24cに接続するプラグイン端子金具30Dが設けられている。一方、後方に位置する電磁開閉器20Cの前方接合面部21Fの上部側に一方の固定接点24bに接続し、プラグイン端子金具30Dに接続可能なプラグ端子22Cが設けられ、このプラグ端子22Cが配置される前方接合面部21Fの位置と対向する後方接合面部21Gの同一位置にプラグイン端子金具30Eが設けられている。
【0050】
また、図11に示す第4実施形態において、電磁開閉器20D,20Eは、上下に重ね合わされるようになっており、それぞれ前記電磁開閉器20,20Aに対して電磁コイル23Cが横設され、電磁コイル23Cの一側例えば左側に可動接点24aと固定接点24b、24cが配設されている。この場合、下方に位置する電磁開閉器20Dは、一方の固定接点24bに接続されるプラグ端子22Dは、配線用遮断器10のプラグイン端子金具30に接続される。また、電磁開閉器20Dの上方接合面部21Hには、他方の固定接点24cに接続するプラグイン端子金具30Fが設けられている。一方、上方に位置する電磁開閉器20Eの下方接合面部21Jには一方の固定接点24bに接続し、プラグイン端子金具30Fに接続可能なプラグ端子22Eが設けられ、このプラグ端子22Eが配置される下方接合面部21Jの位置と対向する上方接合面部21Kの同一位置にプラグイン端子金具30Gが設けられている。
【0051】
なお、第3実施形態及び4実施形態において、その他の部分は、第1実施形態及び第2実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
【符号の説明】
【0052】
10 配線用遮断器
13 接合面部
20 電磁開閉器(電気機器)
20A 第2の電磁開閉器(第2の電気機器)
21,21B 前方接合面部
21A,21C 後方接合面部
22,22A プラグ端子
23 電磁コイル
24a 可動接点
24b,24c 固定接点
30 プラグイン端子金具(第1のプラグイン端子部)
30A プラグイン端子金具(接続端子部)
30B プラグイン端子金具(第2のプラグイン端子部)
30C プラグイン端子金具(第3のプラグイン端子部)
40,40A 係止部材
41 係止部
42 係止受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源側の配線と電気的に接続する配線用遮断器と、この配線用遮断器と電気的に接続するための電気機器とを具備する配線用電気機器であって、
前記配線用遮断器は、電気的1次側に前記配線を接続するための接続端子部を備えると共に、前記電気機器と接合させて接続するための接合面部に、電気的2次側の第1のプラグイン端子部を備え、
前記電気機器は、前記配線用遮断器と接合させて接続するための前方接合面に、前記第1のプラグイン端子部と接続するための第1のプラグ端子部を備え、前記前方接合面部に配置される前記第1のプラグ端子の位置と対向する後方接合面部の同一位置に第2のプラグイン端子部を備え、
前記電気機器の前方に前記配線用遮断器が接合されることを特徴とする配線用電気機器。
【請求項2】
前記電気機器の2次側に電気的に接続するための第2の電気機器を更に具備し、前記第2の電気機器は、前記電気機器と接合させて接続するための前方接合面部に、前記第2のプラグイン端子部と接続するための第2のプラグ端子部を備え、前記前方接合面部に配置される前記第2のプラグ端子の位置と対向する後方接合面部の同一位置に第3のプラグイン端子部を備え、
前記第2の電気機器の前方に前記電気機器が接合されることを特徴とする請求項1に記載の配線用電気機器。
【請求項3】
前記電気機器及び前記第2の電気機器は、同一形状の電磁開閉器であることを特徴とする請求項2に記載の配線用電気機器。
【請求項4】
前記電磁開閉器の内部には、上下方向に可動し、第1のプラグ端子と第2のプラグイン端子部の間に配置される固定接点と可動接点とを有し、前記可動接点は、前記固定接点に対して上下方向に動作されて開閉されることを特徴とする請求項3に記載の配線用電気機器。
【請求項5】
前記電磁開閉器の内部には、前記可動接点を上下方向に可動させるための電磁コイルを前記固定接点の上方に配置し、前記電磁コイルに接続され、垂直方向に移動する鉄芯を含むことを特徴とする請求項3に記載の配線用電気機器。
【請求項6】
前記配線用遮断器及び電気機器の互いに接合される前記接合面部の一方と他方にそれぞれ装着され、互いに係脱可能に係合する係止部と係止受け部とからなる係止部材を設け、前記係止部材によって前記配線用遮断器と電気機器とを着脱可能に接合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の配線用電気機器。
【請求項7】
前記配線用遮断器及び電気機器の互いに接合される前記接合面部の一端側における一方と他方にそれぞれ装着され、互いに係脱可能に係合する係止部と係止受け部とからなる係止部材を設け、前記接合面部の他端側に、前記プラグイン端子及びプラグ端子を設けることを特徴とする請求項1又は2記載の配線用電気機器。
【請求項8】
前記係止部材は、前記ブレーカ及び電気機器の接合面部のいずれか一方に設けられる弾性変形可能な係止部と、接合面部の他方に設けられ前記係止部に係脱可能に係合する係止受け部とからなる、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の配線用電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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