説明

配線端末設定システム

【課題】分岐ブレーカ毎に設置された電力メータと、コンセントとの対応付けを、電力計測システムのシステムコントローラに対して容易に設定することのできる配線端末設定システムを提供する。
【解決手段】配線端末設定装置40は、コンセントに接続されると、そのコンセントの配線に高周波電流を発生させる。また、ユーザが入力したコンセント番号をシステムコントローラ30に送信する。電力メータ20は、高周波電流を検出すると、自己のIDを格納した高周波電流検出データをシステムコントローラ30に送信する。システムコントローラ30は、受信した高周波電流検出データから送信元の電力メータ20のIDを抽出し、受信したコンセントデータからコンセント番号を抽出する。そして、システムコントローラ30は、抽出した電力メータ20のIDと、抽出したコンセント番号を対応付けたデータを記憶装置に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐ブレーカ毎に設置された電気計器とコンセント等の配線端末とを対応付けるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力の消費状況を緻密に監視する目的から、電力計測システムをオフィスビル等に導入する企業等も多い。かかる電力計測システムは、分岐ブレーカ(例えば、数十〜数百個)毎に設置した電力メータについての情報と、各電力メータに対応するコンセント等の配線端末についての情報と、各電力メータに対応する(即ち、計測対象となる)部署等についての情報とを関連付けて記憶し、各部署等における電力の消費状況等を監視する。
【0003】
例えば、配線工事の後など、電力メータとコンセント等との対応付けの再設定が電力計測システムに対して必要となるが、従来では、作業員等が、図面等の情報を基にして、電力計測システムのコントローラ(システムコントローラ)に、電力メータ毎に対応する全てのコンセント等の情報を入力して、再設定する作業を要していた。かかる作業は、煩雑で手間がかかる上、誤りも発生し易いという問題があった。
【0004】
例えば、特許文献1、2には、分岐ブレーカ毎の配線とコンセント等との対応付けに関する技術が提案されている。
【0005】
特許文献1で提案される技術では、各分岐ブレーカ毎に設置した変流器が分岐配線毎の通電電流を検出し、その検出結果を親機に通知する。親機は、各分岐ブレーカの通電電流の値を個別にデータとして子機に送信する。ユーザは、調査対象のコンセントに負荷装置を接続し、子機で表示される各分岐ブレーカの通電電流の変化を目視することで、当該コンセントがどの分岐ブレーカに接続されているのかを確認する。
【0006】
また、特許文献2で提案される技術では、断続負荷電流を発生する断続負荷装置を調査対象のコンセントに接続し、対応する分岐配線に断続負荷電流を流す。この断続負荷電流は、各分岐ブレーカそれぞれの分岐配線に対する負荷電流を検出する検流計により検出される。ユーザは、検流計により断続負荷電流が検出された分岐配線に対応する分岐ブレーカを、当該コンセントに対応する分岐ブレーカであると特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−107121号公報
【特許文献2】特開平5−199624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように、負荷装置の接続に対する分岐配線の通電電流の変化に基づいて、対応する分岐ブレーカを特定する方法では、調査時において、対象となる全てのコンセントから負荷機器を外す等して、無負荷状態にする必要がある。一方、特許文献2では、断続負荷電流を分岐配線に流すことで、対応する分岐ブレーカを特定するため、OA機器等の負荷機器を他のコンセントに接続した活線状態でも作業を行うことができる。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び2の何れにおいても、コンセントと分岐ブレーカとの対応付けが、ユーザの目視、即ち、人的な判断に依拠するものであるため、看過や見誤り等によって、誤った対応付けをしてしまう可能性もある。また、そもそも特許文献1及び2で提案される技術は、分岐ブレーカ毎の配線とコンセントとの対応をコンセント毎に確認する技術に関するものであり、システムコントローラに対する電力メータとコンセント等との対応付けの設定が煩雑であるという上記従来の問題を解決するものではない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、分岐ブレーカ毎に設置された電力メータ等の電気計器と、コンセント等の配線端末との対応付けを、電力計測システムのシステムコントローラに対して容易に設定することのできる配線端末設定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る配線端末設定システムは、
複数の分岐ブレーカの各々に対応するように設置された複数の電気計器と、該複数の電気計器とデータ通信可能に接続するシステムコントーラと、該システムコントローラとデータ通信可能に接続する配線端末設定装置と、から構成される配線端末設定システムであって、
前記配線端末設定装置は、
配線端末と接続するための端子と、
接続した前記配線端末の配線に高周波電流を発生させる高周波電流発生手段と、
当該配線端末の識別番号を取得する配線番号取得手段と、
該配線番号取得手段が取得した当該配線端末の識別番号を格納したコンセントデータを前記システムコントーラに送信する通信手段と、を備え、
前記各電気計器は、
対応する分岐ブレーカの配線の電気特性を計測する計測手段と、
対応する分岐ブレーカの配線に高周波電流が発生しているか否かを検出する高周波電流検出手段と、
計測した電気特性と、自己の識別子とを格納した計測データを所定のタイミングで前記システムコントローラに送信すると共に、前記高周波電流検出手段が高周波電流を検出した場合には、その旨の情報と、自己の識別子とを格納した高周波電流検出データを前記システムコントローラに送信する通信手段と、を備え、
前記システムコントローラは、
前記各電気計器からの計測データ及び高周波電流検出データを受信すると共に、前記配線端末設定装置からのコンセントデータを受信する通信手段と、
受信した前記計測データを記憶する記憶手段と、
受信した前記高周波電流検出データから抽出した送信元の電気計器の識別子と、受信したコンセントデータから抽出した配線端末の識別番号とを対応付けたデータを前記記憶手段に格納する設定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分岐ブレーカ毎に設置された電力メータ等の電気計器と、コンセント等の配線端末との対応付けを、電力計測システムのシステムコントローラに対して容易に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る配線端末設定システムの全体構成を示す図である。
【図2】電力メータの構成を示すブロック図である。
【図3】システムコントローラの構成を示すブロック図である。
【図4】配線端末設定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】配線端末設定装置、電力メータ、システムコントローラにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係る配線端末設定システムの全体構成を示す図である。
【図7】親機の構成を示すブロック図である。
【図8】子機の構成を示すブロック図である。
【図9】他の実施形態に係る配線端末設定装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る配線端末設定システムの全体構成を示す図である。この配線端末設定システムは、複数の電力メータ20と、システムコントローラ30と、配線端末設定装置40と、から構成される。各電力メータ20と、システムコントローラ30は、有線又は無線にて通信可能に接続されている。なお、電力メータ20と、システムコントローラ30は、電力の消費状況等を監視する電力計測システムを構成する。
【0016】
各電力メータ20は、図示しない分電盤に設けられた複数のブレーカ10の各々に対応して設置される。ブレーカ10は、分電盤に設けられた図示しない分岐回路毎に設けられ、所定値以上の電流が流れると自動的に「切」状態になることで、当該分岐回路に対応するコンセント等の配線端末に接続した電気機器への電力供給を遮断する分岐ブレーカである。
【0017】
図2に示すように、電力メータ20は、電力計測部201と、高周波電流検出部202と、ID記憶部203と、通信部204と、を備える。電力計測部201は、対応するブレーカ10の配線(配線系統)の電力値の計測を行う。高周波電流検出部202は、対応するブレーカ10の配線に高周波電流が発生しているか否かの検出を行う。ID記憶部203は、不揮発性の半導体メモリ等から構成され、各々の電力メータ20を一意に識別するために予め割り振られた識別子(ID)を記憶する。
【0018】
通信部204は、所定の時間間隔で、電力計測部201が計測した電力値と、ID記憶部203に記憶されているIDとを格納した計測データを作成し、システムコントローラ30に送信する。
【0019】
また、通信部204は、高周波電流検出部202により高周波電流が検出されると、その旨の情報と、ID記憶部203に記憶されているIDとを格納した高周波電流検出データを作成し、システムコントローラ30に送信する。
【0020】
システムコントローラ30は、図3に示すように、通信部31と、入力部32と、表示部33と、記憶装置34と、制御部35と、を備える。
【0021】
通信部31は、各電力メータ20と無線又は有線によるデータ通信を行う。通信部31は、各電力メータ20から送信された計測データ又は高周波電流検出データを受信し、受信したこれらのデータを制御部35に供給する。また、通信部31は、配線端末設定装置40と所定の無線方式によるデータ通信を行う。
【0022】
入力部32は、キーボード、キーパッド、タッチパッドやマウス等の入力デバイスから構成され、ユーザ(例えば、システム管理者)からの操作入力を受け付け、受け付けた信号(操作信号)を制御部35に送出する。表示部33は、CRTや液晶モニタ等の表示デバイスにより構成され、制御部35から供給される文字や画像等のデータを表示する。なお、入力部32及び表示部33をタッチパネルで具現化してもよい。
【0023】
記憶装置34は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリやハードディスク等から構成され、各部署の電力の消費状況等を監視するための各種のプログラムや様々なデータを記憶する。
【0024】
制御部35は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等(何れも図示せず)から構成され、通信部31、入力部32、表示部33、記憶装置34を制御し、それに付随して、これらとの間でデータの授受を行う。
【0025】
制御部35は、通信部31から供給された各電力メータ20からの計測データを記憶装置34に蓄積して保存し、保存した計測データに基づいて、各部署の電力の消費状況を分析し、その結果を表示部33に表示する。かかる処理は、オフィスビル等に導入されるこの種の電力計測システムのシステムコントローラが実行する処理と同様である。
【0026】
また、制御部35は、通信部31が何れかの電力メータ20からの高周波電流検出データを受信すると、その高周波電流検出データから送信元の電力メータ20のIDを抽出する。そして、制御部35は、配線端末設定装置40から送られてきたコンセントデータ(詳細は後述する)からコンセント番号を抽出し、このコンセント番号と、先に抽出した電力メータ20のIDとを対応付けて記憶装置34に格納する。そして、制御部35は、当該コンセントの対応付けが完了した旨を通知するためのデータ(設定完了データ)を通信部31を介して、配線端末設定装置40に送信する。この設定完了データには、当該電力メータ20のIDを格納することもできる。
【0027】
図4は、配線端末設定装置40の構成を示すブロック図である。図4に示すように、配線端末設定装置40は、通信部41と、アンテナ42と、入力部43と、表示部44と、電源部45と、プラグ46と、負荷部47と、負荷駆動部48と、制御部49と、を備える。
【0028】
通信部41は、システムコントローラ30と所定の無線方式によるデータ通信を行う。通信部41は、アンテナ42を介して受信したシステムコントローラ30からの設定完了データを制御部49に供給すると共に、制御部49から供給されたコンセントデータをアンテナ42を介してシステムコントローラ30に送信する。
【0029】
入力部43は、キーパッドやタッチパッド等の入力デバイスから構成され、ユーザ(例えば、作業員等)からの操作入力を受け付け、受け付けた信号(操作信号)を制御部49に送出する。表示部44は、液晶モニタ、ドットマトリクスLEDや7セグメントLED等で構成され、制御部49から供給される文字等のデータを表示する。なお、入力部43及び表示部44をタッチパネルで具現化してもよい。
【0030】
電源部45は、コンセントに差し込んだプラグ46を介して供給される、対応するブレーカ10の配線からの電力に基づいて、システムコントローラ30の各構成部に駆動用の直流電圧を供給する。負荷部47は、商用電源周波数(〜60Hz)よりも高い周波数(高周波)で負荷変動することで、コンセントに差し込んだプラグ46を介して接続するブレーカ10の配線上に高周波電流を発生させる。ここでいう高周波とは、例えば、商用電源周波数の整数倍(商用電源高調波)等を含む数百Hz以上の周波数を想定する。負荷駆動部48は、制御部49の制御に従って、駆動用のパルスを負荷部47に供給する。
【0031】
制御部49は、CPU、ROM、RAM等(何れも図示せず)から構成され、各構成部の制御を行う。制御部49は、プラグ46がコンセントに差し込まれることで、配線端末設定装置40の電源がONされると、負荷駆動部48に駆動用のパルスを発振させて、負荷部47に高周波で負荷変動を起こさせる。これにより、プラグ46を介して接続するブレーカ10の配線に高周波電流が発生する。また、制御部49は、作業員等により入力部43を介して、当該コンセントの識別番号(コンセント番号)が入力されると、そのコンセント番号が格納されたコンセントデータを作成し、通信部41を介して、システムコントローラ30に送信する。
【0032】
また、制御部49は、通信部41がシステムコントローラ30からの設定完了データを受信すると、所定のメッセージ(例えば、“このコンセントの設定が完了しました”)を表示部44に表示する。なお、設定完了データに電力メータ20のIDが含まれている場合には、メッセージの替わりに、当該IDを表示してもよい。
【0033】
これにより、作業員等は、当該コンセントに対応する電力メータ20が特定され、システムコントローラ30で対応付けの設定が完了したことが直ちに判り、配線端末設定装置40のプラグ46を当該コンセントから抜いて、次の設定対象のコンセントに移ることができる。したがって、効率的に作業を進めることができる。
【0034】
図5は、配線端末設定装置40のプラグ46をコンセントに差し込んでから、表示部44に設定完了した旨のメッセージが表示されるまでの各装置(配線端末設定装置40、電力メータ20、システムコントローラ30)における処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
作業員等によって、設定対象のコンセントに配線端末設定装置40のプラグ46が差し込まれると、配線端末設定装置40は、当該コンセントに対応する配線に高周波電流を発生させる(ステップS101)。当該配線に対応する電力メータ20は、高周波電流を検出すると(ステップS301でYES)、その旨の情報と、ID記憶部203に記憶されているIDとを格納した高周波電流検出データを作成し、システムコントローラ30に送信する(ステップS302)。
【0036】
システムコントローラ30は、電力メータ20からの高周波電流検出データを受信すると(ステップS201でYES)、当該高周波電流検出データから送信元の電力メータ20のIDを抽出する(ステップS202)。
【0037】
一方、配線端末設定装置40では、作業員等によりコンセント番号が入力されると(ステップS102でYES)、制御部49は、そのコンセント番号を格納したコンセントデータを作成し、通信部41を介して、システムコントローラ30に送信する(ステップS103)。例えば、コンセント番号は、各コンセントに表記されているものとする。
【0038】
システムコントローラ30の制御部35は、かかるコンセントデータを受信すると(ステップS203でYES)、受信したコンセントデータからコンセント番号を抽出し(ステップS204)、抽出したコンセント番号と、先に抽出した電力メータ20のIDとを対応付けて記憶装置34に格納する(ステップS205)。そして、制御部35は、設定が完了した旨を通知するための設定完了データを配線端末設定装置40に通信部41を介して送信する(ステップS206)。
【0039】
配線端末設定装置40の制御部49は、システムコントローラ30からの設定完了データを受信すると(ステップS104でYES)、設定が完了した旨を作業員等に報知するためのメッセージ(例えば、“このコンセントの設定が完了しました”)を表示部44に表示する(ステップS105)。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の配線端末設定システムによれば、人的な判断に依拠することなく、電力計測システムのシステムコントローラ30に対して、コンセントと電力メータ20の対応付けに関する設定が容易にできるため、人的ミスに起因した誤設定を防止できると共に、作業効率の大幅な向上が図れる。
【0041】
また、配線端末設定装置40が分岐配線に供給する電流の周波数は、商用電源周波数より高い周波数であるため、OA機器等の負荷機器を他のコンセントに接続した活線状態でも設定作業を行うことができ、実用性に優れる。
【0042】
(実施形態2)
実施形態2の配線端末設定システムでは、図6に示すように、配線端末装置は、1つの親機50と、複数の子機60とから構成されている。親機50は、図7に示すように、通信部51と、アンテナ52と、入力部53と、表示部54と、制御部55と、を備える。また、子機60は、図8に示すように、通信部61と、アンテナ62と、ID記憶部63と、電源部64と、プラグ65と、負荷部66と、負荷駆動部67と、を備える。
【0043】
子機60は、実施形態1の配線端末設定装置40と異なり、コンセントにプラグ65を差し込んでも、対応する配線に高周波電流を発生させることはない。子機60の制御部68は、親機50から送信された起動要求コマンドが自己宛か否かを判定し、自己宛である場合には、負荷駆動部67を制御して、駆動用のパルスを負荷部66に供給させる。これにより、負荷部66は、高周波で負荷変動を起こし、プラグ65を介して接続するブレーカ10の配線に高周波電流を発生させる。制御部68は、起動要求コマンドに含まれるIDと、ID記憶部63に予め記憶されている自己のIDとを比較し、両者が一致する場合に、当該起動要求コマンドが自己宛のものであると判定する。
【0044】
また、子機60の制御部68は、親機50から送信された起動終了コマンドが自己宛か否かを判定し、自己宛である場合には、負荷駆動部67を制御することで、負荷部66による負荷変動を停止させる。これにより、配線の高周波電流が消滅する。起動終了コマンドが自己宛か否かの判定は、起動要求コマンドの場合と同様にして行う。
【0045】
親機50において、通信部51は、アンテナ52を介して受信したシステムコントローラ30からの設定完了データを制御部55に供給すると共に、制御部55から供給されたコンセントデータをアンテナ52を介してシステムコントローラ30に送信する。また、通信部51は、制御部55から供給される起動要求データ及び起動終了データを制御対象の子機60に送信する。
【0046】
入力部53は、キーボード、キーパッド、タッチパッドやマウス等の入力デバイスから構成され、作業員等からの操作入力を受け付け、受け付けた信号(操作信号)を制御部55に送出する。表示部54は、CRTや液晶モニタ等の表示デバイスにより構成され、制御部55から供給される文字や画像等のデータを表示する。なお、入力部53及び表示部54をタッチパネルで具現化してもよい。
【0047】
制御部55は、CPU、ROM、RAM等(何れも図示せず)から構成され、各構成部の制御を行う。制御部55は、作業員等により、入力部53を介して子機60のIDと、設定開始指令が入力されると、入力されたIDを格納した起動要求コマンドを通信部51を介して対応する子機60に送信する。
【0048】
また、制御部55は、作業員等により入力部53を介してコンセント番号が入力されると、そのコンセント番号を格納したコンセントデータを作成し、通信部51を介して、システムコントローラ30に送信する。この場合、作業員等は、起動中、即ち、高周波で負荷変動することで、高周波電流を配線に発生させている子機60が接続しているコンセントのコンセント番号を入力する。
【0049】
また、制御部55は、通信部51がシステムコントローラ30からの設定完了データを受信すると、所定のメッセージ(例えば、“このコンセントの設定が完了しました”)を表示部54に出力する。このメッセージを確認すると、作業員等は、入力部53を介して、起動中の子機60のIDと、設定終了指令を入力する。すると、制御部55は、入力されたIDを格納した起動終了コマンドを通信部51を介して当該子機60に送信する。
【0050】
作業員等は、予め各子機60をコンセントに接続させた状態で、各子機60に対して、親機50を操作して上述した制御を順次行う。これにより、各子機60が接続するコンセントと、電力メータ20との対応付けに関する情報が、システムコントローラ30の記憶装置34に順次格納される。
【0051】
以上のように、本実施形態の配線端末設定システムにおいても、実施形態1の配線端末設定システムと同様、人的な判断に依拠することなく、電力計測システムのシステムコントローラ30に対して、コンセントと電力メータ20の対応付けに関する設定が容易にできるため、人的ミスに起因した誤設定を防止できると共に、作業効率の大幅な向上が図れる。
【0052】
また、各子機60が分岐配線に供給する電流の周波数は、商用電源周波数より高い周波数であるため、OA機器等の負荷機器を他のコンセントに接続した活線状態でも設定作業を行うことができ、実用性に優れる。
【0053】
また、配線端末設定装置を親機50と、子機60とから構成されるようにし、子機60が配線に高周波電流を発生させているため、親機60は、特殊な機能を備える必要がなく、例えば、既存のパーソナルコンピュータ等で実現することが可能であり、操作性が向上する。
【0054】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、電気計器として、電力メータを例示したが、電流計や電圧計等であっても構わない。
【0056】
また、配線端末設定装置40及び親機50において、システムコントローラ30からの設定完了データを受信した際、所定のメッセージを表示部44及び表示部54に表示していたが、作業員等への報知の態様に限定はない。例えば、LEDの点灯(点滅も含む)による報知でもよいし、スピーカやバイブレータを備える構成にすることで、ブザー音、メロディーその他の音声による報知やバイブレーションによる報知を行ってもよい。
【0057】
また、配線端末設定装置40のプラグ46、子機60のプラグ65を、天井面に設置される引掛ローゼットに対応可能な端子形状にしてもよい。このようにすると、配線端末設定装置40、子機60を照明器用の配線端末に接続させ、対応する配線に高周波電流を発生させることができるので、照明器用の配線端末についても、電力メータ20と対応付けることが可能となる。
【0058】
また、上記実施形態では、配線端末設定装置40及び親機50は、コンセント番号が格納されたコンセントデータをシステムコントローラ30に送信していたが、コンセント番号に加えて、作業員等によって入力された他の情報(例えば、部署名や部署コード等)もコンセントデータに格納してもよい。
【0059】
また、各コンセントの表面に、予め、そのコンセントのコンセント番号を記憶するICタグを取り付けておき、配線端末設定装置40、親機50は、かかるICタグからコンセント番号を自動的に読み取って、システムコントローラ30に送信する仕様にしてもよい。
【0060】
また、各電力メータ20の通信上のアドレスを当該電力メータのIDとして使用してもよい。この場合、電力メータ20は、計測データや高周波電流検出データ等の通信データのデータ領域にIDを格納する必要がない。一方、システムコントローラ30は、受信した通信データのヘッダ部を参照して、送信元のアドレスを当該電力メータ20のIDとして抽出すればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、システムコントローラ30は、高周波電流検出データ及びコンセントデータを受信すると、それぞれ抽出した電力メータ20のID及びコンセント番号を対応付けて、直ちに記憶装置34に格納しているが、配線端末設定装置40又は親機50から電力メータ20のIDとコンセント番号を対応付けたデータ(設定データ)を受信し、この設定データを記憶装置34に格納する仕様にしてもよい。
【0062】
この場合、システムコントローラ30は、受信した高周波電流検出データから当該電力メータ20のIDを抽出すると、このIDを配線端末設定装置40又は親機50に送信する。配線端末設定装置40又は親機50は、かかるIDをコンセント番号と共に表示する。この際、親機50では、電力メータ20のIDとそれに対応するコンセント番号からなる組が複数表示される。作業員等は、その対応付けが正しいことを確認すると、入力部43又は入力部53を介して、設定許可の指令を入力する。かかる指令が入力されると、配線端末設定装置40又は親機50は、システムコントローラ30に電力メータ20のIDとコンセント番号を対応付けた設定データを送信する。システムコントローラ30は、受信した設定データを記憶装置34に格納する。なお、親機50から送信される設定データには、電力メータ20のIDとそれに対応するコンセント番号からなる組が複数格納されている。
【0063】
また、実施形態1の配線端末設定装置40に相当する機能を有する配線端末設定装置と、コンセントとを一体化させてもよい。この場合、例えば、図9に示すように、配線端末設定装置70を壁内に埋設し、コンセント80の表面に設定ボタン81と、LED82を設ける。作業員等により設定ボタン81が押下されると、配線端末設定装置70は、高周波で負荷変動を起こし、接続する配線に高周波電流を発生させる。そして、作業員等により、再度、設定ボタン81が押下されると、配線端末設定装置70は、負荷変動を停止し、これにより、接続する配線の高周波電流は消滅する。配線端末設定装置70は、システムコントローラ30からの設定完了データを受信すると、LED82を点灯させる。LED82の点灯により、作業員等は、当該コンセントに対応する電力メータ20が特定され、システムコントローラ30で対応付けの設定が完了したことを直ちに認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、オフィスビル等における消費電力の監視を目的とした様々なシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0065】
10 ブレーカ
20 電力メータ
30 システムコントローラ
31、41、51、61、204 通信部
32、43、53 入力部
33、44、54 表示部
34 記憶装置
35、49、55、68 制御部
40、70 配線端末設定装置
42、52、62 アンテナ
45、64 電源部
46、65 プラグ
47、66 負荷部
48、67 負荷駆動部
50 親機
60 子機
63、203 ID記憶部
80 コンセント
81 設定ボタン
82 LED
201 電力計測部
202 高周波電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分岐ブレーカの各々に対応するように設置された複数の電気計器と、該複数の電気計器とデータ通信可能に接続するシステムコントーラと、該システムコントローラとデータ通信可能に接続する配線端末設定装置と、から構成される配線端末設定システムであって、
前記配線端末設定装置は、
配線端末と接続するための端子と、
接続した前記配線端末の配線に高周波電流を発生させる高周波電流発生手段と、
当該配線端末の識別番号を取得する配線番号取得手段と、
該配線番号取得手段が取得した当該配線端末の識別番号を格納したコンセントデータを前記システムコントーラに送信する通信手段と、を備え、
前記各電気計器は、
対応する分岐ブレーカの配線の電気特性を計測する計測手段と、
対応する分岐ブレーカの配線に高周波電流が発生しているか否かを検出する高周波電流検出手段と、
計測した電気特性と、自己の識別子とを格納した計測データを所定のタイミングで前記システムコントローラに送信すると共に、前記高周波電流検出手段が高周波電流を検出した場合には、その旨の情報と、自己の識別子とを格納した高周波電流検出データを前記システムコントローラに送信する通信手段と、を備え、
前記システムコントローラは、
前記各電気計器からの計測データ及び高周波電流検出データを受信すると共に、前記配線端末設定装置からのコンセントデータを受信する通信手段と、
受信した前記計測データを記憶する記憶手段と、
受信した前記高周波電流検出データから抽出した送信元の電気計器の識別子と、受信したコンセントデータから抽出した配線端末の識別番号とを対応付けたデータを前記記憶手段に格納する設定手段と、を備える、
ことを特徴とする配線端末設定システム。
【請求項2】
前記配線端末設定装置は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記配線番号取得手段は、ユーザにより入力されたデータから当該配線端末の識別番号を取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線端末設定システム。
【請求項3】
前記システムコントローラの通信手段は、前記設定手段による前記データの格納が完了すると、当該配線端末についての設定が完了した旨を示す設定完了データを前記配線端末設定装置に送信し、
前記配線端末設定装置は、前記設定完了データを受信した際に、所定の態様でユーザに報知する報知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の配線端末設定システム。
【請求項4】
複数の分岐ブレーカの各々に対応するように設置された複数の電気計器と、該複数の電気計器とデータ通信可能に接続するシステムコントーラと、該システムコントローラとデータ通信可能に接続する配線端末設定装置と、から構成される配線端末設定システムであって、
前記配線端末設定装置は、親機と、該親機とデータ通信可能に接続する1又は複数の子機を備え、
該各子機は、
配線端末と接続するための端子と、
前記親機からの起動要求データを受信する通信手段と、
前記起動要求データを受信した場合に、接続した前記配線端末の配線に高周波電流を発生させる高周波電流発生手段と、を備え、
前記親機は、
制御対象の子機が接続する配線端末の識別番号を取得する配線番号取得手段と、
起動要求データを制御対象の子機に送信すると共に、前記配線番号取得手段が取得した当該配線端末の識別番号を格納したコンセントデータを前記システムコントーラに送信する通信手段と、を備え
前記各電気計器は、
対応する分岐ブレーカの配線の電気特性を計測する計測手段と、
対応する分岐ブレーカの配線に高周波電流が発生しているか否かを検出する高周波電流検出手段と、
計測した電気特性と、自己の識別子とを格納した計測データを所定のタイミングで前記システムコントローラに送信すると共に、前記高周波電流検出手段が高周波電流を検出した場合には、その旨の情報と、自己の識別子とを格納した高周波電流検出データを前記システムコントローラに送信する通信手段と、を備え、
前記システムコントローラは、
前記各電気計器からの計測データ及び高周波電流検出データを受信すると共に、前記親機からのコンセントデータを受信する通信手段と、
受信した前記計測データを記憶する記憶手段と、
受信した前記高周波電流検出データから抽出した送信元の電気計器の識別子と、受信したコンセントデータから抽出した配線端末の識別番号とを対応付けたデータを前記記憶手段に格納する設定手段と、を備える、
ことを特徴とする配線端末設定システム。
【請求項5】
前記親機は、ユーザからの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記配線番号取得手段は、ユーザにより入力されたデータから当該配線端末の識別番号を取得する、
ことを特徴とする請求項4に記載の配線端末設定システム。
【請求項6】
前記システムコントローラの通信手段は、前記設定手段による前記データの格納が完了すると、当該配線端末についての設定が完了した旨を示す設定完了データを前記親機に送信し、
前記親機は、前記設定完了データを受信した際に、所定の態様でユーザに報知する報知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の配線端末設定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−38978(P2011−38978A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188777(P2009−188777)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】