配送経路作成装置
【課題】全ての管轄配送先へ所要の物品をその配送許容時間内に配送できるようにする。
【解決手段】配送拠点及び複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している手段、配送対象物品の配送許容時間を保持している手段、仮想の方位基準線に対して配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先について保持する手段、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する手段、前記配送拠点を出発して抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の一巡経路所要時間を求める手段、前記求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間との比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る手段、前記区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする手段、を有する配送経路作成装置。
【解決手段】配送拠点及び複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している手段、配送対象物品の配送許容時間を保持している手段、仮想の方位基準線に対して配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先について保持する手段、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する手段、前記配送拠点を出発して抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の一巡経路所要時間を求める手段、前記求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間との比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る手段、前記区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする手段、を有する配送経路作成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る配送許容時間を持つ物品を、或る特定の配送拠点から当該或る配送拠点が管轄する各届先へ配送するための配送経路を作成する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−188984号公報には、配送先の位置情報等の配送計画立案に関わる入力情報を入力する入力装置と、入力された情報によって複数の配送車両が物流拠点を出発し、複数の配送先に積み荷を配送した後、元の物流拠点に戻る経路で総走行距離が最短になるようにする配送計画を作成する処理装置と、作成された配送計画を出力する出力装置とを備えた配送計画立案システムにおいて、立案戦略が異なるアルゴリズムの複数の配送計画立案処理を単一の処理装置内で時分割または複数の処理装置で並行に実行させ、その実行結果のうち総走行距離が最短になる処理結果を選択し、前記出力装置から出力することが記載されている(特許文献1,参照)。
特開2003−109170号公報には、配送先などの拠点位置、配送先へ輸送する荷物に関する荷物情報、輸送に利用するトラックなどの情報からなる輸送便情報、輸送計画の評価に関する余剰時間や走行距離などの優先順位からなる目的情報を入力し、これらの情報に基づいて輸送ルートを生成することが記載されている(特許文献2,参照)。輸送ルートの生成では、目的情報に従って計画の評価を行って最適な計画を探索しつつ、その他の入力情報を元に複数の輸送便に対する走行計画を一度に作成する。特に、複数の初期解からなる初期解集団を作成し、作成した初期解集団を遺伝的処理により改良する、いわゆる遺伝的アルゴリズムを用いて輸送計画を作成する、とされている。
特開2003−137437号公報には、各種情報を入力する入力手段、物流センターや配送先などの拠点位置、物流センターから配送先へ輸送する荷物に関する荷物情報、輸送に利用するトラックなどの情報からなる輸送便情報、拠点間の距離を格納する距離情報と道路地図情報、輸送ルート情報を格納する記憶手段、上記情報に基づいて輸送ルートを生成するルート生成手段、ルート生成手段で作成されたルート情報を主表示、出力する結果出力手段、から構成されるシステムが記載されている(特許文献3,参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−188984号公報。
【特許文献2】特開2003−109170号公報。
【特許文献3】特開2003−137437号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に関して、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品をその配送許容時間内に配送でき、さらに、配送回数を最小にできる配送経路を求めたいという要請がある。
本発明は、上記の要請に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記[1]〜[10]のように構成される。
[1]構成1:
配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、
配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、
前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、
前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【0006】
[2]構成2:
構成1に於いて、
前記経路時間演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で移動所要時間の総和が最小である一巡経路上での移動所要時間の総和を前記一巡経路所要時間とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[3]構成3:
構成1又は2に於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間が前記配送許容時間を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【0007】
[4]構成4:
配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、
配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、
前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【0008】
[5]構成5:
構成4に於いて、
物品配送時の単位数量当たりの容積である単位容積を各配送対象物品についてそれぞれ保持している単位容積記憶手段を更に有し、
前記経路荷量演算手段は、管轄配送先宛ての物品の数量と当該物品の単位容積に基づいて当該管轄配送先宛ての物品容積を得る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[6]構成6:
構成4又は5に於いて、
前記経路荷量演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で物品容積の総和が最小である一巡経路上での物品容積の総和を前記一巡経路総荷量とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[7]構成7:
構成4〜6の何れかに於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量が前記可載容量を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【0009】
[8]構成8:
構成1と構成4の各手段を重複無く具備し、構成1の抽出制御手段と構成4の抽出制御手段が協働し、構成1の一巡経路決定手段と構成4の一巡経路決定手段が協働する配送経路作成装置。
[9]構成9:
コンピュータを、構成1〜8の何れかの配送経路作成装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
[10]構成10:
構成1〜8の何れかの配送経路作成装置で実施される配送経路作成方法。
【発明の効果】
【0010】
構成1は、配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、を有する配送経路作成装置であるため、配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に於いて、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品をその配送許容時間内に配送できる。また、配送回数を最小にできる。
構成4は、配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、を有する配送経路作成装置であるため、配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に於いて、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品を配送できる。また、配送回数を最小にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を、
[A]システム構成と機能の概要:
[B]移動所要時間演算機能:
[C]配送拠点立地決定機能:
[D]配送所属決定・配送経路決定機能:
の順に説明する。
【0012】
[A]システム構成と機能の概要:
図1は本発明の実施の形態のコンピュータシステム、即ち、配送所属決定装置及び配送経路決定装置として機能するコンピュータシステムを示す。図示のシステムは、制御装置10、補助記憶装置(ハードディスク等)20、作業用等に用いられる主記憶装置(RAM)30、表示装置(CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等)51、印刷装置53、入力装置(キーボード,マウス等)55、通信装置(NCU等)57を有する。なお、図3にはスタンドアローンの構成を示すが、本発明はLAN等で接続された複数のコンピュータで構成されてもよい。例えば、各種のテーブル等をサーバに持つ構成であってもよい。要は、本発明の機能をコンピュータによって実現できるシステム構成であればよい。
【0013】
制御装置10:
制御装置10は、CPUやインターフェース等の公知のデバイスで構成される。制御装置10は、後述する処理手順を実行することにより、前記各装置と協動して、配送拠点立地決定機能11、配送所属決定機能12、配送経路決定機能13、移動所要時間演算機能14を実現する。また、処理手順の詳細は省略するが、搭載している所定のプログラムを実行することにより、前記周辺装置と協動して、物流コスト算出機能18、物流コスト対照機能19を奏することもできる。
また、制御装置10は、制御装置10に接続されている前述の各装置(補助記憶装置20、主記憶装置30、表示装置51、印刷装置53、入力装置55、通信装置57)を制御する機能も奏する。この機能は公知であるため、説明は省略する。
【0014】
配送拠点立地決定機能11は、或る所定の地域内に分布する各届先へ、或る所定の配送許容時間を持つ物品を配送するための配送拠点(物流施設)の配置を、最適に決定する機能である。即ち、上記の各届先へ上記の物品を配送許容時間内に配送でき、且つ、配送拠点の総数がより少なくなるように、各配送拠点の立地を決定する機能である。この時、各配送拠点が管轄する届先の候補である配送先候補も、各配送拠点に関してそれぞれ決定される。或る配送先候補が2以上の配送拠点に重複して所属している場合、即ち、或る配送先候補が2以上の配送拠点の配送先候補である場合には、例えば、より近い(時間的に近い/距離的に近い)立地の配送拠点を、当該配送先候補が所属するべき配送拠点として決定するようにしてもよい。或いはまた、物流コスト算出機能18により算出される総コストが、より低コストとなるように、所属先の配送拠点を決定するようにしてもよい。
なお、配送拠点立地決定機能では、後述のように、2地点(或る配送拠点の候補−当該或る配送拠点の候補が管轄する届先の候補である配送先候補)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
【0015】
配送所属決定機能12は、或る配送拠点が管轄する配送先(=当該或る配送拠点に所属している配送先;以下「管轄配送先」という)の各々を、当該或る配送拠点を起点として行われる配送の中の何番目の配送(第1番目の配送経路の配送,第2番目の配送経路の配送,,,,等)に所属させるかを決定する機能である。言い換えれば、何番目の配送経路で配送すべきかを管轄配送先毎にそれぞれ決定する機能である。何番目の配送に所属させるかを決定した管轄配送先を、以下、「配送宛先」という。配送所属決定機能12による決定は、各配送経路の配送でそれぞれ最大荷量の配送が行われ、且つ、各配送経路での配送がそれぞれ配送許容時間内に完了するように行われる。また、配送総回数がより少なくて足りるように行われる。
なお、配送所属機能では、後述のように、2地点間(或る配送拠点−当該或る配送拠点が管轄する届先である管轄配送先間,各管轄配送先−各管轄配送先間)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点間の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
また、演算対象の或る配送拠点としては、例えば、前記配送拠点立地決定機能11により最適に決定された配送拠点の中の任意の配送拠点を採用することができる。
【0016】
配送経路決定機能13は、或る配送拠点を起点として行われる或る番目の配送(或る配送経路の配送)に於いて、当該配送に所属させた各配送宛先を、どのような順番で辿るかを決定する機能である。つまり、或る番目の配送に所属させた各配送宛先へ物品を配送するときに辿り得る一巡経路(配送拠点を出発し、当該番目の配送に所属させた配送宛先を順に辿り、配送拠点へ戻る経路)としては種々の経路が想定されるのであるが、その中から何れの一巡経路を選択するかを決定する機能である。配送経路決定機能13により行われる一巡経路の選択は、当該一巡経路の配送で最大荷量の配送が行われ、且つ、当該一巡経路の配送が配送許容時間内に完了するように行われる。
配送所属決定機能12と配送経路決定機能13とは、概念的には分離可能であるが、実際には、後述するように、或る番目の配送の一巡経路を決定する処理に於いて、当該番目に所属させるべき管轄配送先と当該番目に所属させない管轄配送先を決定する。また、必要に応じて、当該番目の次の番目に所属させるべき一部の管轄配送先を決定する。
なお、配送経路機能では、後述のように、2地点間(或る配送拠点−当該或る配送拠点が管轄する届先である管轄配送先間,各管轄配送先−各管轄配送先間)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
また、演算対象の或る配送拠点としては、例えば、前記配送拠点立地決定機能11により最適に決定された配送拠点の中の任意の配送拠点を採用することができる。
【0017】
移動所要時間演算機能14は、2地点間を所定の移動手段(例:トラック等)で移動する場合の移動所要時間を、所定の距離時間テーブル等を参照して算出する機能である。距離時間テーブルには、当該移動手段により単位領域内の単位距離を移動する場合の移動所要時間である単位所要時間が、単位領域毎に保持されている。演算対象の2地点間を結ぶ経路が複数個存在する場合、その中の何れの経路の移動所要時間を求めるかは、操作者の入力に従って特定するようにしてもよく、また、所定の規則に従って特定するようにしてもよい。所定の規則とは、例えば、道のりが最短の経路を選択する規則である。また、有料道路を避ける規則や、有料道路を利用する規則等であってもよい。
また、演算対象の2地点間を結ぶ経路が複数個存在する場合に於いて、各経路についての移動所要時間をそれぞれ求め、その中から、移動所要時間が最小となる経路の移動所要時間を、当該2地点の移動所要時間とするように構成してもよい。
【0018】
物流コスト算出機能18は、物流業務を持つ企業に関して、企業全体の物流コスト、物流施設別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物流対象の物品分類別(例:物品サイズ分類別)の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物品分類別(例:物品サイズ分類別)の単位量(単位個数;作業工程の作業で取り扱う最小単位)当たりの物流コストを、当該企業の損益計算書が持つ費用及び貸借対照表が持つ金利費用を利用して算出する機能である。
物流施設別且つ作業工程別且つ物品分類別(例:物品サイズ分類別)の単位量当たりの物流コストを、当該物流施設且つ作業工程且つ物品分類(例:物品サイズ分類)のミクロコストという。
物流施設は、配送拠点立地決定機能11で言うところの配送拠点に該当する。
【0019】
物流コスト対照機能19は、現状の物流ネットワーク(現ネットワーク)から求めた企業全体の物流コストと、現状の物流ネットワークを改変した後のネットワーク(新ネットワーク)から求めた企業全体の物流コストを、比較対照する機能である。例えば、配送拠点の立地,各配送拠点の管轄配送先,各配送拠点が持つ移動手段(後述の例では「トラック」)の車格や台数,各配送拠点の管轄配送先それぞれが所属する配送経路や各配送経路での配送順等を、第1の状態(現ネットワーク)に設定した場合と、第1の状態と異なる第2の状態(新ネットワーク)に設定した場合とで、企業全体の物流コストを比較対照する機能である。
企業全体の物流コストをマクロコストという。
【0020】
補助記憶装置20:
ハードディスク等で構成される補助記憶装置20には、制御装置10が前記周辺装置と協動して前記各機能を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されている。また、前記各機能に於いて使用される各種のテーブルを持つデータベースが格納されているとともに、前記各機能によって作成された各種のデータが新たにデータベース内の所定のテーブルに記録される。
補助記憶装置20に格納されているテーブルとしては、例えば、下記(a)〜(h)を挙げることができる。
(a)距離時間テーブル(図5(a)):
対象地域を区分して成る小領域である単位領域(メッシュ)内の単位距離を所定の移動手段により移動する場合の所要時間である単位所要時間を、一意のメッシュIDに対応付けて、単位領域毎に保持する。
(b)道路テーブル(図3(a)):
枝道の無い1本の線で表し得る最小区間である道路の道路名と、当該道路の一方の端部であるA端を一意に特定するA端部IDと、当該道路の他方の端部であるB端を一意に特定するB端部IDを、一意の道路IDに対応付けて、道路毎に保持する。
(c)単位道路テーブル(図3(b)):
上記定義の道路を所属先の単位領域で分割して成る単位道路に関して、当該単位道路が属する道路の道路IDと、当該単位道路が属する単位領域のメッシュIDと、当該単位道路の長さ(道のり)を、一意の単位道路IDに対応付けて、単位道路毎に保持する。
(d)届先テーブル(図4):
移動所要時間を求める地点の一例である商品の届先(顧客)の名称(届先名)と、届先が面している単位道路の単位道路IDと、当該単位道路の特定の一端部からの長さ(単位道路内位置)と、当該届先へ配送すべき荷量と、当該届先の書誌事項(届先名,住所,電話番号,位置,名称,管轄配送拠点等)を、一意の届先IDに対応付けて、届先毎に保持する。
(e)地点間所要時間テーブル等(図6,図23):
移動所要時間演算機能14により移動所要時間を求めた地点(例:届先,配送拠点(配送拠点候補を含む)等)間の移動所要時間を保持する。
配送拠点立地決定機能11により立地を決定された各配送拠点G−a,G−b,,,に関し、各配送拠点G−a,G−b,,,と各配送拠点G−a,G−b,,,の管轄配送先間の移動所要時間、及び、各配送拠点G−a,G−b,,,の管轄配送先相互間の移動所要時間を保持する管轄配送先間所要時間テーブルも同様である。管轄配送先間所要時間テーブルは、配送所属決定・配送経路決定に用いるために、地点間所要時間テーブルの特定部分で構成されたものである。なお、この管轄配送先間所要時間テーブルは、後述の例では、地点間所要時間テーブルに基づいてメモリ上に構成される(図17・S85)が、予め、ハードディスク20に保持するように構成してもよい。
(f)拠点−届先/所要時間&角度テーブル(図24(a)):
配送拠点立地決定機能11により立地を決定された各配送拠点G−a,G−b,,,に関し、各配送拠点G−a,G−b,,,と各届先との間の移動所要時間を対応つけて保持するとともに、各配送拠点G−a,G−b,,,から見た各届先の方位を当該配送拠点の基準方位(例:真北)からの角度として対応付けて保持するテーブル。
各配送拠点G−a,G−b,,,にそれぞれ全ての届先を対応付けてもよいが、当該の配送拠点の管轄配送先に設定される可能性が有る届先(当該の配送拠点から比較的近い届先)を、当該の配送拠点に対応つけて保持するようにしてもよい。移動所要時間は、移動所要時間演算機能14により求めた値を保持する。
(g)サイズ分類テーブル等(図25,図26):
物品(商品)をサイズで分類するサイズ分類テーブル(図25(a))、物品(商品)を配送許容時間で分類する配送時間分類テーブル(図25(b))、各物品(商品)とサイズ分類及び配送時間分類を対応付ける物品テーブル(図26(a))、トラックの所属先配送拠点と可載容量を持つトラックテーブル等である。
(h)上記以外のテーブル等:
各配送拠点を持ち配送業務を行っている企業の損益計算書(P/L)のデータ、当該企業の物流施設別の貸借対照表(B/S)のデータ、等。
【0021】
RAM30:
RAM30は、上記の各機能を実現する際の作業用等に用いられる。例えば、配送所属決定機能12や配送経路決定機能13では、RAM30上に管轄配送先管理テーブル(図24(b))や、管轄配送先間所要時間テーブル(図23)が構成される。
【0022】
周辺装置:
入力装置55は、前記各機能を実現するため等に必要なデータや指示をユーザが操作入力するための装置である。
表示装置51は、前記各機能の実現等に必要な画面等を表示する装置である。
印刷装置53は、前述の各機能により作成される各種のデータや、前述の各機能の実現に必要な各種のデータを、必要に応じてプリントアウトするために用いられる。
通信装置57は、LANに接続された他のコンピュータシステム(不図示)等や、インターネット等の外部のネットワーク(不図示)に接続された他のコンピュータシステム等との通信のために用いられる。例えば、単位領域(メッシュ)内の移動所要時間の経験値を当該単位領域を含む地域の宅配の担当ドライバーが携帯電話やPDS等の携帯情報端末で送信して単位所要時間を適宜に微修正する構成であれば、その送信データは、通信装置57を介して取り込まれる。また、サーバ(不図示)に前述のデータベースを置く構成であれば、データベースからのデータの読み出しや書き込みは、通信装置57を介して行われる。
【0023】
[B]移動所要時間演算機能:
図2は、任意の2地点間を所定の移動手段で移動する場合の移動所要時間を算出する手順を示すフローチャートである。所定の移動手段とは、例えば、オートバイ/乗用車/トラック/列車/飛行機/船舶等である。
【0024】
まず、移動所要時間を計算で求める対象である2地点を取得する(S01)。
この2地点は、例えば、入力装置55からユーザの操作入力により指定された2地点とすることができる。
例えば、ディスプレイ51にリスト表示された候補地の中から操作者が任意に選択した2地点とすることができる。また、操作者が住所/電話番号/緯度・経度等を任意に入力した2地点や、ディスプレイ51に表示された地図上にて操作者がマウス等によるポインタ操作で任意に指定した2地点等であってもよい。
例えば、カーナビゲーション装置では、入力機器を用いて上記のように操作者が任意に指定した2地点間の移動所要時間を求めることが多い。なお、2地点の中の一つは、公知のGPS機能(3〜4個のGPS衛星からの電波を受信して現在位置を算出する機能;GPS=Global Positioning System )やPHS(Persona Handy-Phone System)の位置特定機能等を用いて得る現在位置であってもよい。その場合は、当然ながら、GPS機能やPHS機能等のための装置が別途必要となる。
このようにユーザの操作入力により指定された2地点をステップS01で取得する場合には、当該各2地点を、所属先の単位道路と、当該所属先の単位道路の何れかの端部からの道のりと、当該何れかの端部と、を特定するデータに変換する処理が必要となる。
【0025】
上記ステップS01で取得する2地点は、多数の地点のデータを持つテーブルから所定の規則に従って順に抽出する2地点でもよい。
多数の地点のデータを持つテーブルとしては、例えば、届先テーブル(図4)を挙げることができる。届先テーブルとは、前述のように、商品の届先(顧客)の名称(届先名)と、当該届先が面している単位道路の単位道路IDと、当該単位道路の特定の一端部からの長さ(単位道路内位置)と、当該届先へ配送すべき荷量と、当該届先の書誌事項(届先名,住所,電話番号,位置,名称,管轄配送拠点等)を、一意の届先IDに対応付けて、届先毎に保持するテーブルである。
なお、多数の地点のデータを持つテーブルから所定の規則に従って順に2地点を抽出する場合には、下記ステップS03〜S17の処理は、当該順に抽出した各2地点についてそれぞれ実行することとなる。
また、2地点を順に抽出する所定の規則としては、例えば、下記(a)(b)を挙げることができる。
(a)配送拠点立地決定機能11の場合:
地点の一方として配送拠点候補を抽出し、他方として当該配送拠点候補からの商品等の届先として想定され得る届先を順に抽出し、想定され得る届先が全て抽出されると、次に配送拠点候補を変えて当該変えた配送拠点候補からの商品等の届先として想定され得る届先を順に抽出し、以下、同様に繰り返すような規則である。
(b)配送所属決定機能12・配送経路決定機能13の場合:
注目している配送拠点の位置と当該配送拠点が管轄する多数の届先の各位置とを地点の候補とし、その中から、比較的近隣に位置する2地点(例:相互間の距離が所定距離以内である2地点)を選ぶ規則。又は、漏れなく2地点を選ぶ規則。
上記の規則により選んだ各2地点間の距離を保持するテーブルが、管轄配送先間所要時間テーブル(図23)である。
このように多数の地点のデータを持つテーブル(例:届先テーブル/図4)から所定の規則に従って2地点を順に取得して移動所要時間を求めることにより、多数の地点間の移動所要時間テーブル(図6;別名「時間地図」)を作成することができる。
2地点間の移動所要時間を、以下、2地点間の時間距離とも呼ぶ。
【0026】
次に、上記ステップS01で取得した2地点を結ぶ連結経路の構成要素である1又は2以上の各道路の道路IDを、それぞれ、道路テーブル(図3(a))から取得する(S03)。
ここでいう道路とは、一意の道路IDで特定される区間であり、例えば、交差点〜交差点間や、交差点〜行き止まり間のように、交差点や行き止まり等の道路の端部で区切られており、且つ、区切られることにより分岐の無い一本の線(直線/曲線)として表現される道路内の区間である。
また、連結経路とは、上記2地点を結ぶ1又は2以上の経路の中から移動所要時間の演算対象として特定された1又は2以上の経路である。この連結経路としては、例えば、入力装置55から操作者が任意に指定した1の経路又は2以上の比較的少数の各経路を採用してもよく、上記2地点を結ぶ多数の経路の中から公知の手法で絞り込まれた1の経路又は2以上の比較的少数の各経路を採用してもよい。連結経路として複数の経路を採用した場合には、それぞれについて移動所要時間を求めることとする。
また、連結経路としては、公知の手法により比較的少数に絞り込まれた2以上の経路の中から所定の規則に従って本装置が選択した特定の一つの経路を採用してもよい。この所定の規則としては、例えば、2地点を結ぶ経路の中から道のりが最短となる経路を選択する規則、有料道路を除く規則、有料道路を含める規則、等を挙げることができる。何れの規則を採用するかを、操作者が入力装置55から指定できる構成としてもよい。
なお、任意に指定された2地点を結ぶ多数の経路の中から1の経路又は2以上の比較的少数の経路を抽出する上述の公知の手法とは、例えば従来よりカーナビゲーションシステムで採用されている手法である。
2地点を結ぶ経路を抽出する際には、或る道路(端部〜端部間の道路区間)と別の或る道路(端部〜端部間の道路区間)とが連結可能か否かをチェックする必要があるが、これは、当該或る道路が持つA端部IDとB端部ID(図3(a)参照)の何れかが、当該別の或る道路が持つA端部IDとB端部IDの何れか一方と合致するか否かにより判定できる。なお、A端部とは一方の端部であり、B端部とは他方の端部である。
【0027】
入力装置55から操作者が任意に連結経路を指定する構成を採用すると、操作者が対話方式で複数の連結経路を指定して、それぞれ移動所要時間を求めることができる。したがって、操作者は、その中から所望の経路を選定することができる。また、2地点を結ぶ多数の経路の中から公知の手法で絞り込まれた比較的少数の各経路それぞれの移動所要時間を求める構成を採用した場合も、同様に、操作者は、その中から所望の経路を選定することができる。これらの構成は、例えば、ドライブ計画の立案に有用である。また、連結経路内に有料道路を含む場合には、当該有料道路の料金を所定のテーブル(不図示)から併せて取得して、算出した料金を移動所要時間とともに表示するように構成してもよい。
【0028】
次に、上記ステップS03で道路IDを取得した1又は2以上の道路(2地点を結ぶ連結経路の構成要素である1又は2以上の道路)の中の何れかの道路の道路IDを持つ単位道路の全てを単位道路テーブル(図3(b))から抽出し、該抽出した各単位道路の長さとメッシュIDを単位道路テーブル(図3(b))からそれぞれ取得する(S05)。言い換えれば、上記ステップS03で道路IDを取得した1又は2以上の道路の構成要素である各単位道路の長さ及びメッシュIDを、単位道路テーブル(図3(b))からそれぞれ取得する(S05)。
単位道路とは、前述のように、前記定義の道路をメッシュ(単位領域)の境界で区分した各道路部分であり、この単位道路が、請求項に記載の単位経路に該当する。なお、上記の如く取得したメッシュIDをキーとして当該メッシュの単位所要時間を距離時間テーブル(図5(a))から取得できるため、抽出した各単位道路の各々について移動所要時間を求めることが可能となる。
【0029】
上述した単位領域、単位道路、道路等の関係を、図8を参照して説明する。
図8に於いて、ad11,ad12,ec11等は道路名である。なお、図3(a)の道路テーブルでは、道路名は、瑞穂ad11,瑞穂ad12,瑞穂ec11等として表記されている。図3(a)に記載したA端部IDやB端部IDを、図8中に併せて示す。
また、図8に於いて、0150121、0150122、0150123等は単位道路IDであり、各斜線領域や白領域は単位領域(メッシュ)である。単位領域には、当該単位領域のメッシュIDを図3(b)と対応付けて示すとともに、図8内に示したa,b等の単位領域名を、図8の広域を示す図7内に(a)(b)等として対応付けて示す。
【0030】
前述のステップS01〜S05の処理は、図8内の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
まず、地点AとBを取得する(S01)。次に、A−B間で指定された連結経路の構成要素として、例えば、瑞穂ad14、瑞穂ec12、瑞穂ec11、という道路の道路ID(1104、1012、1011)を、それぞれ取得する(S03)。単位道路テーブル(図3(b))に示すように、瑞穂ad14(ID:1104)は、単位道路ID「0150218」と「0150219」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路は「750m」と「400m」という長さと「001023」と「001024」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec12(ID:1012)は、単位道路ID「0150124」と「0150125」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路はそれぞれ「400m」と「200m」という長さと「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec11(ID:1011)は、単位道路ID「0150121」と「0150122」と「0150123」という3区間(単位道路)から成り、各単位道路は、それぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。ステップS05では、これらの単位道路IDと、各単位道路IDに対応付けられている長さ及びメッシュIDを、それぞれ取得する。
【0031】
ステップS07〜S15は、ステップS05でIDを取得した各単位道路の移動所要時間を、単位道路毎に順に求める処理である。
即ち、単位道路IDに対応付けられているメッシュIDをキーとして、当該単位道路が所属しているメッシュ(単位領域)の単位所要時間を距離時間テーブル(図5(a))から取得し(S09)、該取得した単位所要時間を、ステップS05で取得した当該単位道路の長さに乗算して正規化(単位距離で除算)する(S11)ことで、当該単位道路の移動所要時間を求める。
【0032】
かかる処理を、ステップS05でIDを取得した単位道路について順番に実行する(S07,S13,S15)ことで、各単位道路の移動所要時間を得る。
また、ステップS05でIDを取得した全ての単位道路の移動所要時間が求まると(S15でYES)、その総和を求める(S17)。こうして、ステップS01で地点データを取得した2地点の間の移動所要時間を得る。
こうして、多数の各2地点間の移動所要時間を求めることにより、地点間所要時間テーブル(図6)を構成することができる。
【0033】
上述の距離時間テーブルでは、図5(a)に示すように、一意のメッシュIDにメッシュ名と単位所要時間が対応付けられているとともに、更に適用種別IDが対応付けられている。この適用種別IDは、適用される時間帯及び/又は曜日等を表すものであり、例えば、適用種別ID=2は、図5(b)の適用種別テーブルに示すように、「平日昼」を表す。したがって、距離時間テーブル(図5(a))に於いて適用種別ID=2を持つレコードは、当該レコードのメッシュIDが持つ単位所要時間が、平日昼の単位所要時間であることを表す。
【0034】
したがって、図2の移動所要時間の演算に先立って時間帯及び又は曜日等が指定されている場合、ステップS09では、ステップS05で取得した単位道路IDに対応付けられているメッシュIDを持ち且つ当該指定された適用種別IDを持つレコードの単位所要時間が取得される。なお、時間帯や曜日等の指定が無い場合は、現在時刻に該当する時間帯及び曜日等の適用種別IDを持つレコードの単位所要時間が取得される。
【0035】
上記ステップS07〜S09の処理は、前述の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
瑞穂ad14(道路ID:1104)は、単位道路テーブル(図3(b))に示すように、単位道路IDが「0150218」と「0150219」という二つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「750m」と「400m」という長さと、「001023」と「001024」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001023」と「001024」は、距離時間テーブル(図5(a))に示すように、それぞれ「120sec」と「110sec」という単位所要時間(「平日昼」での単位所要時間)を持つ。単位距離は、本例では、システム設定で500mとされている。したがって、単位道路ID「0150218」と「0150219」という各単位道路の移動所要時間は、それぞれ「750m×120sec/500m=180sec」と「400m×110sec/500m=88sec」となる。
【0036】
同様に、瑞穂ec12(道路ID:1012)は、単位道路IDが「0150124」と「0150125」という二つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「400m」と「200m」という長さと、「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001022」と「001023」は、それぞれ「90sec」と「120sec」という単位所要時間を持つ。したがって、単位道路IDが「0150124」と「0150125」という二つの単位道路各々の移動使用時間は、それぞれ「400m×90sec/500m=72sec」と「200m×120sec/500m=48sec」となる。
【0037】
同様に、瑞穂ec11(道路ID:1011)は、単位道路IDが「0150121」と「0150122」と「0150123」という三つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと、「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001025」と「001026」と「001022」は、それぞれ「90sec」と「90sec」と「90sec」という単位所要時間を持つ。したがって、単位道路IDが「0150121」と「0150122」と「0150123」という三つの単位道路各々の移動使用時間は、それぞれ「350m×90sec/500m=63sec」と「200m×90sec/500m=36sec」と「300m×90sec/500m=54sec」となる。
【0038】
地点A−B間の移動所要時間は、ステップS17(図2)に示すように、上記演算結果の総和であるから、「180+88+72+48+63+36+54=541sec」として求まる。
以上のようにして、2地点A−B間の移動所要時間を得る。
なお、上記で言及した道路テーブルや単位道路テーブル等の各テーブルは、一例を示すものであり、本発明の機能を実現し得るものであれば、図示のテーブル構成以外のテーブル構成を採用してよいことは勿論である。
【0039】
時間地図:
ここで、時間地図の概念を説明する。
時間地図とは、時間地図上の任意の2地点間の距離が、該任意の2地点間を移動する手段(オートバイ/乗用車/配送対象物品を輸送するトラックや貨車/飛行機/船舶等)で移動した場合の移動所要時間に比例するように、各2地点を配した地図である。したがって、時間帯、曜日、選択する経路、移動手段等に応じて2地点間の移動所要時間が変わる場合は、時間地図としてもそれぞれ異なったものとなる。
但し、画像表示に際しては、或る地点(例:地点a)を特定し、該特定した地点aからの移動所要時間に比例するように、且つ、地点aから見た通常の地図上の方位に合致するように、各地点を配し、これを、地点aから見た時間地図と称する。このように、画像表示に際して地点aを特定して示す理由は、3地点以上の間では、各地点間の距離が移動所要時間に比例するように、且つ、各地点間の方位が通常の地図の方位となるように、各地点を配置することが不可能なためである。
【0040】
時間地図の実体は、本装置では、図6に例示する地点間所要時間テーブルである。この地点間所要時間テーブルは、多数の地点(届先,配送拠点候補)から抽出した多数の2地点間に関して、それぞれ移動所要時間を求めて作成したテーブルである。移動所要時間の算出には、前述の移動所要時間演算機能14を用いている。多数の地点から抽出する2地点間としては、本装置では、後述の配送拠点の決定処理に於いて必要な2地点間や、後述の配送所属・配送経路の決定処理に於いて必要な2地点間を、少なくとも含む。
【0041】
本装置では、時間地図によってカバーされる領域は、配送対象の物品の届先が分布する地域に応じて決まる。例えば、名古屋市内全域を配送対象とする配送会社であれば、名古屋市内全域が時間地図のカバー領域となる。同様に、愛知県全域,東海地方全域,中部地方全域,本州全域,日本全域,東アジア全域,アジア全域,全世界等であってもよい。
【0042】
[C]配送拠点立地決定機能:
図11と図12は配送拠点立地決定手順を示すフローチャートである。
まず、隣接する配送拠点候補間の最短距離を与える立地間隔距離と、配送拠点候補から配送を行うべき範囲を定める配送範囲規定時間と、多数の届先各々の位置と、を取得する(S21)。本装置では、複数の配送拠点を立地する立地対象地域に配送拠点候補を均等に配置する(格子点として配置する)ため、立地間隔距離は、各格子点間の最短距離を与える。この立地間隔距離を、本例では、立地対象地域の面積及び人口を考慮して総数を決めた配送拠点候補が立地対象地域内に均等に配置されるように、決めている。また、本例では、配送対象物品の配送許容時間Tpに基づいて決めた配送範囲規定時間内の時間で移動できると推定される距離を立地間隔上限距離として決め、この立地間隔上限距離を越えないように、立地間隔距離を決めている。
【0043】
立地間隔距離や配送範囲規定時間は、例えば、入力装置55から操作者が入力した値を取得するようにステップS21を構成してもよい。また、所定のデータベースに保持している値を取得する構成でもよい。また、配送許容時間Tpを操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。或いはまた、配送対象物品を操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送対象物品に対応する配送許容時間Tpを所定のデータベースから取得し、この取得した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。
【0044】
多数の届先各々の位置は、例えば、各届先の書誌情報(住所,電話番号,届先名,届先が位置する単位道路の単位道路ID,当該単位道路での届先の位置を単位道路の所定端からの長さで示す単位道路内位置,届けるべき荷量[m3],届けるべき荷量(個数),地点名,等)を届先(顧客)毎に保持している届先テーブル(図4;但し、図4では、「住所」「電話番号」等は不図示)から取得することができる。この届先テーブルのレコードは、適宜に追加/削除可能である。また、この届先テーブルの各レコードの各項目の記録事項は、適宜に修正可能である。例えば、荷量等は注文に応じて適宜に記録される。
【0045】
届先の位置データは、当該届先が位置する単位道路を特定するデータと、当該単位道路上での当該届先の位置(当該単位道路の所定の端部からの道のり)を示すデータから構成される。なお、単位道路とは、前述のように、道路を交差点で区分して交差点間部分毎に道路名を付し、道路名を付した道路部分(交差点間部分)を所属単位領域(メッシュ)で区分してメッシュ部分毎に単位道路IDを付した場合に於ける、各メッシュ部分(単位道路IDに対応付けられる部分)をいう。
【0046】
立地間隔距離と配送範囲規定時間と各届先の位置を取得した(S21)後、第1の配送拠点候補の位置を取得する(S23)。例えば、入力装置55から操作者が第1の配送拠点候補として入力した配送拠点候補の位置を、取得する。この第1の配送拠点候補の位置入力は、例えば、画面上に当該立地対象地域の地図を表示して、該地図上で所望の位置をポイントすることで行うように構成してもよい。本例では、図9内左上隅の配送拠点候補G11の位置を、第1の配送拠点候補の位置として取得したものとする。
【0047】
次に、各配送拠点候補の位置を演算で求める(S25)。この演算は、ステップS23で取得した第1の配送拠点候補の位置と、ステップS21で取得した立地間隔距離とを用い、且つ、演算の方向と範囲を定めた所定の規則に従って行うことができる。例えば、まず、第1の配送拠点候補の位置(配送拠点候補G11の位置)を起点位置に設定し、該起点位置から所定方向(例:図9内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を、配送拠点候補G12(又はG21)の位置として決める。次に、該配送拠点候補G12(又はG21)の位置を起点位置に設定し、該起点位置から同様に所定方向(例:図9内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を配送拠点候補G13(又はG31)の位置として決める。以下同様に繰り返し、立地対象地域の端部に達すると、向きを換えて同様に繰り返す。このような処理を繰り返すことにより、各配送拠点候補の位置を決めることができる。
【0048】
なお、ステップS21〜S25の処理に代えて、例えば、全ての配送拠点候補の位置を操作者が入力装置55から入力するように構成してもよい。その場合には、配送拠点候補の配置を必ずしも均等に(格子状に)設定する必要が無く、任意のパターンでの配置が可能となる。
【0049】
或いはまた、立地対象地域の面積と該立地対象地域内の四隅の配送拠点候補の位置とを操作者が入力装置55から入力し、これに基づいて配送拠点候補の総数や更には立地間隔距離を求め、これらから残りの配送拠点候補の位置を決めるように構成することも可能である。
【0050】
各配送拠点候補の位置が決まる(S25)と、次に、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点候補毎にそれぞれ取得する(S27)。望ましくは、配送拠点候補と当該配送拠点候補の近隣の各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点毎にそれぞれ取得する(S27)。ここで、近隣の届先とは、注目している配送拠点候補からの移動所要時間が配送範囲規定時間を著しく越えない範囲に位置する届先であり、例えば、注目している配送拠点候補の周囲の4つの格子内領域に位置する届先である。例えば、図1内の配送拠点候補G22であれば、G11・G13・G33・G31で囲まれる方形領域内に位置する届先である。このように移動所要時間を求める範囲を近隣の届先に制限すると、処理の負荷を軽減することができる。なお、全ての届先との間の移動所要時間を取得するようにしてもよいことは勿論である。
【0051】
配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間は、例えば、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14により求めて、これを取得するように構成することができる。また、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を保持している所定のテーブルから取得するように構成することもできる。後者の場合、当該所定のテーブルとしては、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14を用いて作成したテーブルでもよく、他の公知の手法によって作成したテーブルでもよい。
【0052】
次に、上記ステップS27で取得した移動所要時間(配送拠点候補の各々と届先(望ましくは当該配送拠点候補の近隣の届先)との間の移動所要時間)を、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間と比較し(S29)、上記ステップS27で取得した移動所要時間が、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間より小さい場合は(S31でYES)、当該移動所要時間に係る届先を当該移動所要時間に係る配送拠点候補の配送先候補として設定する(S33)。
かかる比較・設定/非設定処理(S29〜S33)を、ステップS27で取得した全ての移動所要時間について実行し、全てについての処理が終了すると(S35でYES)、ステップS37〜S43の処理に進む。
【0053】
ステップS37〜S43の処理は、現在の処理時点で注目している(以下「現在注目している」という)配送先候補が、一つの配送拠点候補のみに所属している配送先候補であるか、又は、2以上の配送拠点候補に重複して所属している配送先候補(重複候補)であるか、を調べるステップである。ここで、「所属している」とは、前記ステップS33の処理により配送拠点候補の配送先候補として設定されていることをいう。
【0054】
まず、現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補を、別の配送拠点候補に所属する配送先候補と順番に比較して(S37)、合致が検出された場合は(S39でYES)、当該現在注目している配送先候補を、当該現在注目している配送拠点と当該別の配送拠点とに重複して所属する配送先候補(重複候補)に設定して、重複先との対応関係を保持する(S41)。
【0055】
かかる比較・重複設定/重複非設定処理(S37〜S41)を、「現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補」を順に代えて、さらに「現在注目している配送拠点候補」を順に代えて、順に実行する。全ての「現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補」と、全ての「現在注目している配送拠点候補」に付いて比較・重複設定/非設定処理(S37〜S41)が終了すると(S43でYES)、ステップS45に進む。
【0056】
ステップS45は、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている配送拠点候補を抽出して、配送拠点抹消候補に設定する処理である。
例えば、図9に於いて、配送拠点候補G21では、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている。
即ち、配送拠点候補G21には、図示のように3個の配送先候補a,b,cが所属している。この中で、配送先候補aは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G11の配送先候補でもある。同様に、配送先候補bは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補G31の配送先候補でもある。同様に、配送先候補cは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内右下方に位置する配送拠点候補G32の配送先候補でもある。したがって、配送拠点候補G21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
同様に、配送拠点候補G32,G43でも、所属する配送先候補の全てが、重複候補に設定されている。
このため、これらの配送拠点候補G21,G32,G43は、それぞれ配送拠点抹消候補に設定される。配送拠点抹消候補の設定が終了する(S45)と、ステップS47〜S51の処理に進む。
【0057】
ステップS47〜S51は、上記ステップS45で設定した配送拠点抹消候補から選択した何れか1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せが、全ての届先を網羅するか否かをチェックし(S47)、その結果、網羅する場合には(S49でYES)、当該1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せを配送拠点組合せ候補に設定する(S51)処理である。なお、各配送拠点組合せ候補内には、上記で除くように選択した配送拠点抹消候補以外の配送拠点抹消候補は、当然ながら含まれている。
【0058】
例えば、図9に於いて、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0059】
また、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0060】
また、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0061】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21及びG32のみに重複して所属している届先cが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0062】
その一方で、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0063】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G32及びG43のみに重複して所属している届先iが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0064】
また、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21とG32とG43の何れかのみに重複して所属している届先cと届先iが網羅されない。したがって、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0065】
配送拠点候補から1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた全ての場合について上述の網羅チェック・配送拠点組合せ候補設定/非設定処理(S47〜S51)が終了すると(S53でYES)、配送拠点組合せ候補として設定された中から、当該組合せ候補を構成する配送拠点候補の数が最小である組合せが選択されて、配送拠点組合せに設定される(S55)。上述の例でいえば、2個の配送拠点抹消候補G21とG43のみを除いた10個の配送拠点候補の組合せが、配送拠点候補の数が最小であるため、配送拠点組合せに設定される(S55)。
以上のようにして、配送拠点が決定される。
【0066】
[D]配送所属決定・配送経路決定機能:
時間円:
時間円とは前述の時間地図上に描いた円である。即ち、或る地点(例:配送経路の起点となる配送拠点の地点a)を特定し、該特定した地点aからの移動所要時間に比例するように、且つ、地点aから見た通常の地図上の方位に合致するように、各地点を配し、地点aを中心として描いた円である。
本例では、図13に示すように、配送許容時間Tpをπで除算した値であるTp/πを半径rgとする時間円を、配送範囲規定時間円Tgとして設定する。その中心Gには配送拠点を置く。また、配送範囲規定時間円Tgの領域内に分布する各届先を、当該配送拠点Gの管轄配送先とする。
【0067】
配送範囲規定時間円Tgを上記の如く決める理由を以下に述べる。
物品をトラックに積載して配送拠点を出発し、複数の管轄配送先へ順に配送して配送拠点Gへ戻る配送業務では、出発時に物品を満載し、往路で順に配送を行うとともに、復路も空荷で走行しないで引き続いて積荷の配送を行い、配送拠点Gへ戻り着く直前にトラックが空荷になり、且つ、トラックが空荷になった時点が配送許容時間Tp以下で且つ配送許容時間に近いことが、トラック利用効率の観点から望まれる。
この望ましい配送では、
(イ)1回の配送に於いて、トラックが空荷となる時点である配送拠点Gに戻り着く直前の時点が、当該物品の配送許容時間内Tpに収まることが要求され、且つ、該配送許容時間Tpと略同じであることが望ましい。
また、
(ロ)1回の配送で配送すべき物品の量、換言すれば、1回の配送経路上に在する管轄配送先へ届けるべき物品の量が、トラックの可載容量Q以下であることが要求され、且つ、該可載容量Qと略同じであることが望ましい。
また、前記望ましい配送のための1又は2以上の各々1回分の配送経路は、
(ハ)各々が1回分の配送である上記1又は2以上の配送経路の総和によって当該配送拠点Gの管轄配送先の全てを漏れ無く辿り得ることが必須とされる。
さらに、
(ニ)効率良く配送を行うためには、上記1又は2以上の配送経路によって配送拠点Gの管轄配送先を重複無く辿ること、換言すれば、1の管轄配送先に対しては1回の配送で物品を届けることも要求される。
【0068】
上記(イ)〜(ニ)の要請は、それぞれ下記の手法に言い換え可能である。
(イ)1回の配送経路上に存する管轄配送先を辿る時間距離(移動所要時間=走行所要時間)の総和が配送許容時間Tp以下であることが必須であり、且つ、配送許容時間Tpと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路と当該1回の配送経路上に含める管轄配送先とを決定する。
(ロ)1回の配送経路上に存する管轄配送先へ届けるべき物品の総量が、トラックの可載容量Q以下であることが必須であり、且つ、可載容量Qと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路上に含める管轄配送先を決定する。
(ハ)配送拠点Gの管轄配送先の分布領域を、一方の端部から他方の端部へ向けて仮想線で走査し、該仮想線に接触する配送先を順に抽出する。この走査に対して上記(イ)と(ロ)の制約を課すことで、1回分の配送経路用の管轄配送先抽出の区切りを得る。仮想線の走査は、配送拠点Gを起点(中心)とする半径線を一方向へ回転させる走査であることが望ましい。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0069】
このため、本例の装置では、上記(イ)〜(ロ)の手法を、それぞれ下記のように具体化する。
(イ)配送拠点Gを出発し、管轄配送先を辿り、配送許容時間Tp以内に当該配送拠点Gへ戻り得る種々の経路を包含する代表軌跡として、円周の長さを配送許容時間Tpに合致させた時間円を採用する。この時間円を、以下、配送経路円という。図13内の時間円Pc,Pc1が、配送経路円に該当する。配送経路円Pc,Pc1の直径は、前記配送範囲規定時間円Tgの半径rgに等しい。
管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的狭い角度範囲内に分布している地域では、一順経路は半径方向に延びた後に配送拠点Gへ戻る長細い形状を成し、管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的広い角度範囲内に分布している地域では、一順経路は円に近い形状を成す。このため、前者を基準とした場合は配送範囲規定時間Tgは比較的長時間となり、後者を基準とした場合は配送範囲規定時間Tgは比較的短時間となる。本装置では、管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的広い角度範囲内に分布している場合でも配送許容時間内に出発点へ帰り着き得るように、一順経路の代表形状として円を採用する。つまり、前述の配送範囲規定時間Tgとして、当該物品(商品)の配送許容時間を円周とする円の直径に相当する時間を採用する。
(ロ)管轄配送先へ届けるべき種々の形状の物品から成る荷物の総荷量を、トラックに積載した時の容積に換算する手法として、サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率の概念を導入する。これにより、配送先へ届けるべき種々の形状の物品の総荷量と、トラックの可載容量Qとの、精度の高い大小比較が可能となる。サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率については後述する。
(ハ)上記(イ)の配送経路円Pcの直径rgの一端を配送拠点Gに置き、これを前述の管轄配送先抽出走査用の仮想線として採用する。換言すれば、配送経路円Pcの円周上の1点を配送拠点Gに合致させて固定し、該配送拠点Gを中心として配送経路円Pcの直径線(配送範囲規定時間円Tgの半径線)rgを一定方向(例:時計回り)へ回転させて、前述の管轄配送先抽出走査を行う。
上記よりわかるように、配送範囲規定時間円Tg内の領域は、配送経路円Pcを上記の如く回転させた場合に、該配送経路円Pcによって塗りつぶされる領域となる。したがって、配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先は、その全てを、重複無く、配送経路上に含め得ることとなる。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0070】
配送所属決定・配送経路決定の概要:
図14と図15は、配送所属&経路の決定手法を示す。
本例の装置では、配送範囲規定時間円Tgの中心G(配送拠点)から半径方向に引いた仮想線rgを、中心Gを回転中心として、図14のように一定方向(図示の例では時計回り)に回転させて配送範囲規定時間円Tg内の管轄配送先を走査し、この走査により抽出される管轄配送先を順に配送経路に組み入れる。
【0071】
管轄配送先の抽出走査に於いて、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約と、前記(ロ)のトラック可載容量Qの制約の、何れか一方が満たされると、その時点で、管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。即ち、管轄配送先の抽出走査の途中に於いて、(イ)配送拠点Gから抽出した管轄配送先を辿って当該配送拠点Gへ戻る配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が配送許容時間Tpに達すると、又は、(ロ)抽出した管轄配送先へ届けるべき物品の総荷量qがトラックの可載容量Qに達すると、その時点で管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。
【0072】
上記の走査により抽出した管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路としては種々の一巡経路が可能である。また、事情によっては、抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えた一巡経路を採用する方が良い結果を得る場合もある。本例では、これらの事情を考慮して、採用するべき一巡経路を、下記の手法で決めている。
【0073】
(a)抽出順の配送経路:
まず、走査により抽出した順に管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第1の候補とする。即ち、抽出走査を開始する基準位置(図15の仮想線rgの位置=仮想線rgが上方を向く位置)からの開き角度θの昇順に管轄配送先を辿る一巡経路を、第1の候補とする。図15の例であれば、管轄配送先を、D1,D2,D3,D4,D5,D6の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路(破線矢印で示す経路)である。なお、管轄配送先D7は、該管轄配送先D7を今回の配送経路に組み入れると、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約、又は、前記(ロ)のトラック可載容積Qの制約が満たされてしまうため、今回の配送経路から除外した管轄配送先である。この管轄配送先D7は、次回の配送経路に組み入れられることになる。
【0074】
(b)半径方向移動の修正:
走査の抽出順(θの昇順)に設定した配送経路が不適当な場合、例えば、半径方向の比較的長い移動回数が多く、そのため、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が早期に配送許容時間Tpに達してしまうような場合には、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の管轄配送先から、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿り、さらに、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿った後、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の配送先を経て配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第2の候補とする。図15内右上に示す実線矢印の経路、即ち、管轄配送先を、D3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路が、これに該当する。この第2の候補を前記第1の候補と比較し、良い結果を得る方を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。良い結果とは、例えば、移動所要時間の総和を短縮できること、望ましくは移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分(一巡経路を定めているところの1回分)の管轄配送先数を増加させ得ることをいう。
【0075】
(c)半径方向移動の再修正:
上記(b)の修正によると、複数の一巡経路が候補としてピックアップされる場合があり得る。例えば、図15内の右下に示すD3,D1,D2,D4,D6,D5の順に配送先を辿って配送拠点Gへ戻る実線矢印の経路は、上記(b)の修正によるD3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路とともに、第2の候補としてピックアップされ得ると考えられる。そのような場合には、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が短い方の一巡経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
【0076】
(d)停止した抽出走査線を挟む入換修正:
抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えてみて、入換後の方が良い結果を得る場合(例:移動所要時間の総和を短縮できる場合/移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合/総荷量を減量できる場合/総荷量を減量できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合)には、当該入換後の配送経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
なお、良い結果を得るか否かの評価方式としては、上記以外に、例えば、配送効率を評価する所定の評価式による評価を挙げることができる。
【0077】
(e)非修正/修正/再修正後の微修正:
配送経路の候補を決めた後、さらに、該候補を微修正した配送経路を作成して配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を比較して、短い方を採用するように構成してもよい。この微修正の手法としては、例えば、(e1)配送経路上で隣接する2つの管轄配送先の一方を、その近くの管轄配送先と仮に入れ換えてみて、入換前後の移動所要時間を比較する手法;(e2)微修正により配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を十分に短縮できた場合に、当初に除外した管轄配送先(図15の例では管轄配送先D7)を今回の配送経路に仮に組み入れてみて、組み入れた後の移動所要時間の総和が配送許容時間Tp以下になり、且つ、組み入れた後の荷量の総和がトラックの可載容量Q以下になる場合に、当該当初に除外した管轄配送先を今回の配送(一巡経路を定めているところの配送)に組み入れる手法;等を挙げることができる。
【0078】
(f)抽出走査の再開:
以上のようにして1回分の配送経路が決まると、次に、一旦停止していた抽出走査を再開して、上記と同様にして、次の1回分の配送経路を決める。図15の例であれば、管轄配送先D7の位置から走査を再開する。但し、前記(d)の入換修正や、上記(e2)の微修正を行った場合は、その事情を考慮して再開する。
また、仮想線rgによる抽出走査が1回転(360°)すると、配送範囲規定時間円Tg内の全ての管轄配送先の所属先の配送経路が決まる。これにより、配送所属決定・配送経路決定処理は終了する。
【0079】
配送所属・配送経路の決定手順:
配送拠点立地決定機能11により立地を最適に決定された配送拠点群の中の或る特定の配送拠点(図示の例では、配送拠点G−a)に関して、配送所属・配送経路を決定する手順を、図17〜図22のフローチャートに即して説明する。配送所属決定では、配送拠点G−aの各管轄配送先を、配送拠点G−aを起点とする配送経路の中の何番目の配送経路に所属させるかを決定する。また、配送経路決定では、或る番目の配送経路に所属させた各管轄配送先を辿る順、即ち、当該配送経路の順路を決定する。
【0080】
ステップS71〜S77では、配送拠点G−aからの移動所要時間が、配送範囲規定時間円の半径rg(=配送範囲規定時間)以下である各届先を、配送拠点G−aの管轄配送先としてそれぞれ抽出する。
即ち、拠点−届先/所要時間&角度テーブル(図24(a))から、配送拠点G−aと各届先との間の移動所要時間を抽出して(S71)、当該抽出した移動所要時間が配送範囲規定時間rg以下であれば(S73でYES)、当該届先を配送拠点G−aの管轄配送先として設定する(S75)。例えば、図24(a)では、届先IDが1,2,4〜7,9,10,の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間rg=1.273[hour]以下であるため管轄配送先として抽出されるが、届先IDが3,8の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間rg=1.273[hour]を越えているため抽出されない。かかる処理を配送拠点G−aに対応付けられている全届先について順に実行し、全届先について処理が終了すると(S77でYES)、ステップS79へ進む。
【0081】
ステップS79では、ステップS71〜S75で抽出した各管轄配送先が持つ角度θと荷量を、拠点−届先/所要時間&角度テーブルからそれぞれ取得する。
ここで、管轄配送先が持つ角度θとは、管轄配送先と配送拠点G−aとを結ぶ線が、配送拠点G−aを通る所定方向の基準線(例:南北方向に延びる線)と成す角度をいう(図16(a)(b)参照;一般の距離地図と同様に、図16(a)(b)では北が上方を向いている)。なお、拠点−届先/所要時間&角度テーブルは、本装置がハードディスク20に予め持っていてもよく、届先テーブル(図4)が持つ各届先及び各配送拠点の所在地を示すデータ(当該項目は図4では不図示)や移動所要時間演算機能14等を用いて所要のデータを求め、メモリ30上に構成するようにしてもよい。
また、管轄配送先が持つ荷量とは、配送拠点G−aから当該管轄配送先へ配送すべき荷物の量[m3]である。この荷量[m3]として、本装置では、配送対象の物品が属しているサイズ分類(物品テーブル;図26(a)参照)に対応付けられているモデル容積及び容積膨張率(サイズ分類テーブル;図25(a),参照)と、当該配送対象の物品の個数と、に基づいて求めた値を用いている。即ち、配送すべき物品のモデル容積に、配送すべき個数(配送単位数)を乗算し、さらに容積膨張率を乗算した値を用いている。
ここで、或るサイズ分類のモデル容積とは、当該或るサイズ分類に属する各種の物品についてそれぞれ実測した物品1個当たり(物品の配送単位当たり)の容積の平均値をいうものとする。実際には、過去の配送実績が上位10位までの各物品について実測した配送単位当たりの容積の平均値をモデル容積としている。また、容積膨張率とは、種々のサイズ分類の物品を所定の比率(例:過去の混載実績に基づく比率)で混載した場合に於ける嵩の増加量(配送単位当たりの増加量=増加率)を、各サイズ分類についてそれぞれ実測して得たサイズ分類別の補正係数をいうものとする。なと、上記「配送単位」とは配送作業に於ける当該物品の取り扱いの最小単位をいう。また、請求項では、或る物品のモデル容積に当該物品の容積膨張率を乗算した値を、当該物品の「単位容積」という。
なお、管轄配送先へ配送すべき荷量は、届先テーブル(図4)から取得する。
【0082】
次に、ステップS81に進む。
ステップS81では、まず、ステップS79で取得した管轄配送先をθの昇順に配列する(再配列処理)。なお、図24(a)の拠点−届先/所要時間&角度テーブルでは、届先がθの昇順に配列されているため、ステップS81での再配列処理は一見不要に思われるが、この再配列処理(S81)は、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルに、届先のレコードが後に於いて新たに追加され、その結果、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルでの届先の配列がθの昇順で無くなってしまう場合にも対応できるようにしたものである。
再配列処理に基づいて、項目として管轄配送先ID・届先ID・角度θ・荷量・経路を持ち、再配列した管轄配送先毎にレコードが構成される管轄配送先管理テーブル(配送拠点G−aの管轄配送先管理テーブル;図24(b))を、メモリ上に構成する。管轄配送先IDは、再配列処理後の管轄配送先に順に割り当てられる。この管轄配送先IDは、後述のように、同一配送経路内での配送順を管理するデータとして用いられる。経路の項目には、当該配送拠点G−aについて作成される1又は2以上の配送経路、即ち、配送拠点G−aを起点として幾つかの管轄配送先を経て配送拠点G−aに戻る1又は2以上の配送経路の中の何れの配送経路に属するかを示すデータが記録される。
【0083】
次に、ステップS83にて、配送拠点G−aに所属する各トラックのトラック可載容量を、トラックテーブル(図26(b))から取得する。さらに、ステップS85にて、配送拠点G−aの各管轄配送先相互間の移動所要時間を地点間所要時間テーブル(図6)から取得して、メモリ上に、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブル(図23)を構成する。なお、この管轄配送先間所要時間テーブル(図23)を、、ハードディスク20に予め構成しておき、それを利用する構成でもよい。この管轄配送先間所要時間テーブルでは、配送拠点G−aも一つの地点(管轄配送先)として扱われ、配送拠点G−aと管轄配送先との間の移動所要時間に関するデータも、管轄配送先間の移動所要時間と同様に保持される。
【0084】
配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルと、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルとが、上記のようにして作成されると、ステップS87以降の処理を実行する。
【0085】
まず、ステップS87にて、現在時点での処理対象の経路(当該経路に所属させるべき管轄配送先と、それらを辿る順を決める対象=作成中の配送経路)を表す変数jに、初期値「1」をセットする。また、配送宛先(所属先の配送経路が確定された管轄配送先)数の累計値を表す変数kに、初期値「0」をセットする。
【0086】
次に、ステップS89にて、現在時点での処理対象の経路jに於いて現在注目している管轄配送先(現在作成中の配送経路jに所属させるか否かの判断対象の管轄配送先)を表す変数iに、初期値「1」をセットする。また、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計を表す変数qに初期値「0」をセットする。また、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計を表す変数tに初期値「0」をセットする。
【0087】
各初期値のセット後、ステップS91、S93、S99の処理を、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qが、当該経路で使用するトラックの可載容量Qを越えるまで(S95でNO)、又は、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tが、配送許容時間Tpを越えるまで(S97でNO)、繰り返して実行する。
ステップS91は、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計に、現在注目している管轄配送先の荷量を加えた値を、現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qとする処理である。即ち、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計を、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計に現在注目している管轄配送先の荷量を加えた値で更新する処理である。
ステップS93は、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計に、該直前の管轄配送先と現在注目している管轄配送先の間の移動所要時間を加えた値を、配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tとする処理である。即ち、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計を、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計に該直前の管轄配送先と現在注目している管轄配送先の間の移動所要時間を加えた値で更新する処理である。
ステップS99は、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先を、現在注目している管轄配送先とする処理である。即ち、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先へ、注目を進ませる処理である。
【0088】
上記の繰り返し処理中にステップS95での判定がNOとなった場合、換言すれば、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先iまでの荷量の累計qが、当該経路jで使用するトラックの可載容量を越えた場合には(S95でNO)、ステップS101以降へ進む。
【0089】
一方、上記の繰り返し処理中にステップS97の判定がNOとなった場合、言い換えれば、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先iに至るまでの移動所要時間の累計tが、配送物品の配送許容時間Tpを越えた場合は(S97でNO)、ステップS141以降へ進む。
【0090】
ステップS101以降の処理(累計荷量オーバーの場合):
現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目〜第i番目の荷量の累計qが、トラックの可載容量Qを越えた場合は(S95でNO)、ステップS101以降の処理が実行される。
ステップS101は、例えば、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+1とを仮に入れ換えてみて、入換後の荷量の累計qが、現在時点での処理対象の経路jで使用するトラックの可載容量Q以下になるか否かをチェックする処理である。
その結果、入換後の荷量の累計qが、トラックの可載容量Q以下になった場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
一方、入換後の荷量の累計qが、依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合には(S103でNO)、現在注目している管轄配送先の前の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i−1と、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先i+1とを仮に入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
又は、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+2とを仮に入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
上記チェックの結果、入換後の荷量の累計qが依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合は(S103でNO)、管轄配送先i−2以前や、管轄配送先i+3以降について、同様にチェックを行う。なお、どの範囲まで遡ってチェックするか、及び、どの範囲まで飛び越えてチェックするかの基準、即ち、ステップS109で所定の入換チェック終了か否かを判定する基準は、システムに予め設定されているものとする。
【0091】
ステップS103で、入換後の荷量の累計qがトラックの可載容量Q以下になったと判定された場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
ステップS105では、配送拠点G−aを出発し、ステップS101での入換処理によって特定されるi個の管轄配送先(所属させるべき経路が確定された管轄配送先=配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻るという一巡経路の中で、移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる一巡経路(最小時間一巡経路)を求める。この処理の詳細は、後述する。
上記に於いて、i個の管轄配送先(配送宛先)とは、例えば、管轄配送先iとi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+1」の管轄配送先である。また、管轄配送先iとi+2とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+2」の管轄配送先である。また、管轄配送先i−1とi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−2,k+i,k+i+1」の管轄配送先である。他の管轄配送先に関する入換を行った場合も同様である。なお、第1の一巡経路を決める処理時点では「k=0」である(ステップS87参照)。
【0092】
ステップS105で求めた移動所要時間の累計値tの最小値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合(S107でYES)、換言すれば、配送拠点G−aを出発し、ステップS101で特定されたi個の管轄配送先(配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻る一巡経路であって、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路の移動所要時間の累計値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合は、ステップS101で行った管轄配送先(配送宛先)の入換を採用する。具体的には、ステップS101で仮に入れ換えてみた2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換える(S111)。これにより、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,,k+i」であるi個の管轄配送先が、現在の処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)として確定される。
【0093】
こうして現在時点での処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)が確定すると、次に、それらi個の管轄配送先の管轄配送先IDを、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換える(S113)。即ち、当該最小時間一巡経路でトラックがそれらi個の管轄配送先(配送宛先)を辿る順番で昇順となるように入れ換える。これにより、現在時点での処理対象の経路jでの辿り順を管轄配送先IDの昇順で管理することが可能となる。
【0094】
また、現在時点での処理対象の経路jへの所属が決まった上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S115)。
【0095】
次に、ステップS117へ進み、管轄配送先IDがk+i+1以上である各管轄配送先に関して、換言すれば、所属させるべき経路が未確定の各管轄配送先に関して、k+i+1を先頭値として順に1づつ増加する管轄配送先IDを、θの昇順に再設定する。この処理は、その時点での処理対象の経路jから見て次に確定すべき経路に関して、上記と同様にして所属させるべき管轄配送先を決め得るようにするためである。
【0096】
次に、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在時点での処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントして(=現在の処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0097】
一方、前記ステップS109で所定の入換処理が終了したと判定された場合、換言すれば、システムに予め設定されている範囲での入換チェックを全て行ったにもかかわらずi個の管轄配送先の荷量の累計qがトラックの可載容量Qを越えてしまう場合は、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させるべき管轄配送先(配送宛先)として、前記i個の場合と略同様に処理する。即ち、前記i個の場合のステップS105と同様にして移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる最小時間一巡経路を求め(S121)、前記i個の場合のステップS113と同様にしてi−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換え(S123)、前記i個の場合のステップS115と同様にして現在時点での処理対象の経路jへの所属が決まったi−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目に各々jを設定し(S125)、さらに、前記i個の場合のステップS119と略同様にkにk+i−1を代入する(S127)。その後、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。
【0098】
現在時点での処理対象の経路jで抽出したi個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させる場合(S111〜S117の場合)に於ける、前記ステップS111(入換の確定)やステップS117(未確定の管轄配送先のθの昇順の再設定)に対応する処理が、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させる場合(S121〜S125の場合)に無い理由は、後者では管轄配送先の入換を行っていないため、必要が無いからである。
また、前記ステップS101では1個と1個を入れ換えているが、これに代えて、1個と複数個を入れ換えたり、複数個と1個を入れ換えたり、複数個と複数個を入れ換えたりするようにして、略同様に処理してもよい。
【0099】
ステップS141以降の処理(累計時間オーバーの場合):
現在時点での処理対象の経路jに於ける第i番目までの移動所要時間の累計tが、配送許容時間Tpを越えた場合には(S97でNO)、ステップS141以降の処理が実行される。
ステップS141は、入換前の一巡経路の移動所要時間の累計値Ta0として、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i」であるi個の管轄配送先を角度θの昇順に辿る一巡経路での移動所要時間の累計値を初期セットする処理である。なお、入換前の一巡経路とは、配送拠点G−aから管轄配送先を辿って配送拠点G−aに戻る一巡経路に於いて2個の管轄配送先の順番を入れ換える前の一巡経路をいう。
ステップS143は、入換後の一巡経路の移動所要時間の累計値を求めて、変数Tb0にセットする処理である。なお、入換後の一巡経路とは、所定の規則で決められる2個の管轄配送先を辿る順番のみを前回の順番と入れ換えた一巡経路をいう。また、所定の規則としては、例えば、角度θの差が所定値以下である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、配送拠点G−aとの間の移動所要時間の差が所定値以上である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、これら2つの規則の論理積として定義される規則、これら2つの規則の論理和として定義される規則、等の規則を例示することができる。この所定の規則は予めシステムにセットされているものとする。また、前回の順番とは、初回に実行されるステップS143ではi個の管轄配送先をθの昇順に辿る順番であるが、2回目以降に実行されるステップS143では必ずしもθの昇順に辿る順番というわけではない。
【0100】
ステップS145では、上記2つの変数Ta0,Tb0にセットされている値を大小比較する。その結果、「Tb0<Ta0」の場合、即ち、2つの管轄配送先の順番を入れ換えた方が移動所要時間の累計値が小さくなる場合には(S145でYES)、当該2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換えるとともに(S147)、変数Ta0の値を変数Tb0の値で更新する(S149)。
【0101】
上記ステップS143〜S149の処理を繰り返すことにより、変数Ta0には、現在時点での処理対象の経路jに関して、移動所要時間の累計値がより小さい一巡経路の移動所要時間がセットされることになる。なお、前述のステップS105やステップS121の処理は、上記ステップS143〜S149の繰り返し処理と略同様にして実行することができる。
【0102】
所定の入換チェックが終了すると(S151でYES),変数Ta0の値を配送許容時間Tpと比較し、その結果、「Ta0≦Tp」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、配送許容時間Tp以下になる場合には(S153でYES)、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S155)、上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S157)。ステップS155の処理は前述のステップS113やステップS123の処理と同趣旨であり、ステップS157の処理は前述のステップS115やステップS125の処理と同趣旨である。
なお、上記ステップS153でYESの場合、直ちにステップS155へは進まず、まず、届先(「i+1」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS155の前に置くようにしてもよい。
【0103】
その後、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在時点での処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントし(=現在時点での処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。
なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0104】
一方、前記ステップS153で、「Ta0>Tb0」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、依然として配送許容時pより大きい場合は(S153でNO)、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先について、前記i個の場合と略同様の処理を行う。
【0105】
即ち、前記ステップS141〜S151と略同様にステップS161〜S171の処理を実行することで、変数Ta1に、現在時点での処理対象の経路jに於いて移動所要時間の累計値が最小となる一巡経路の移動所要時間をセットする。この移動所要時間は、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iが除かれているため、当然ながら、配送許容時間Tp以下である。
【0106】
次に、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S173)、上記i−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S175)。ステップS173の処理は前述のステップS113やステップS123の処理と同趣旨であり、ステップS175の処理は前述のステップS115やステップS125の処理と同趣旨である。
なお、上記ステップS171でYESの場合は、直ちにステップS173へ進まず、まず、届先(「i」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS173の前に置くようにしてもよい。
【0107】
その後、前記i個の場合のステップS119での処理と略同様にkにk+i−1を代入し(S127)。さらに、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S111でYES)、前記ステップS89へ戻る。
以上のようにして、多数の届先の中から配送拠点G−aが管轄する配送先を決定し、該決定した管轄配送先へ配送拠点G−aから所定の荷物を配送する経路を決定する処理が実現される。
【0108】
上記では、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送を行い、配送拠点G−aに戻ることについて説明したが、これに、実情に応じて、ユーザの操作入力により適宜の修正を加えて配送経路を作成し得るようにしてもよいことは勿論である。
例えば、出発時間等から見て勤務時間内に配送拠点G−aに戻り得ない場合は、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送許容時間内に配送を行って、運転者の自宅に辿り着く経路を加えてもよい。その場合、配送範囲規定時間は、前述の時間よりも長くなる。また、管轄配送先を順に抽出する走査では、配送拠点G−aから見て或る角度範囲内の管轄配送先を抽出することとなる。
また、少数の管轄配送先が他の大多数の管轄配送先から孤立した立地にあるため、当該少数の管轄配送先を上記の方法で決定する配送経路に含めることはコスト的に不利な場合等には、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送許容時間内に配送を行って別の配送拠点G−xに辿り着き、該別の配送拠点G−xで荷物を積載して、帰路、同様に配送許容時間内の配送を行ないつつ配送拠点G−aに帰り着く経路を加えてもよい。この場合も、配送範囲規定時間は、前述の時間よりも長くなる。また、管轄配送先を順に抽出する走査では、配送拠点G−aから見て或る角度範囲内の管轄配送先を抽出することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施の形態の装置の構成と制御装置の機能を示すブロック図。
【図2】移動所要時間演算手順を示すフローチャート。
【図3】道路テーブル(a)と、単位道路テーブル(b)を例示する説明図。
【図4】届先テーブルを例示する説明図。
【図5】距離時間テーブル(a)と、その適用種別テーブル(b)を例示する説明図。
【図6】地点間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図7】距離地図をメッシュ(単位距離走行に必要な単位所要時間が各々設定されている単位領域;図内の破線で囲まれた各小領域)に区分する様子を示す説明図。
【図8】図7内A地点〜B地点間の時間距離(=移動所要時間)を算出する手法の説明図。
【図9】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値として立地間隔上限距離を採用した場合を示す。
【図10】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値として立地間隔上限時間を採用した場合を示し、(a)は時間地図表現、(b)は(a)から変換した距離地図表現を示す。
【図11】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの一部。
【図12】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの残部。
【図13】周長を配送許容時間Tpに合致させて成る配送経路円Pcに基づいて決める場合の配送範囲規定時間円Tgの説明図。
【図14】配送拠点Gの配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先を仮想線rgの所定方向への回転走査により順に漏れなく抽出する様子を示す説明図。
【図15】図14で抽出した各管轄配送先D1,D2,D3,,,へ配送拠点Gから物品を届けるための配送経路を決める様子を示す説明図。
【図16】配送拠点G−aの管轄配送先と配送経路を決める様子を、距離地図(a)と時間地図(b)を対照して示す説明図。
【図17】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図18】配送所属9配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図19】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図20】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図21】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図22】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの残部。
【図23】配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図24】配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブル(a)と、配送拠点G−aの管轄配送先管理テーブル(b)を例示する説明図。
【図25】物品をサイズに基づいて分類してモデル容積と容積膨張率を対応付けるサイズ分類テーブル(a)と、物品を配送許容時間に基づいて分類して配送許容時間を対応付ける配送時間分類テーブル(b)と、を例示する説明図。
【図26】物品毎にサイズ分類IDと配送時間分類IDを持つ物品テーブル(a)と、トラック毎に所属先の配送拠点を示す配送拠点IDと可載容量を持つトラックテーブル(b)と、を例示する説明図。
【符号の説明】
【0110】
10 制御装置
11 配送拠点立地決定機能
12 配送所属決定機能
13 配送経路決定機能
14 移動所要時間演算機能
18 物流コスト演算機能
19 物流コスト対照機能
20 補助記憶装置(ハードディスク等)
30 RAM
【技術分野】
【0001】
本発明は、或る配送許容時間を持つ物品を、或る特定の配送拠点から当該或る配送拠点が管轄する各届先へ配送するための配送経路を作成する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−188984号公報には、配送先の位置情報等の配送計画立案に関わる入力情報を入力する入力装置と、入力された情報によって複数の配送車両が物流拠点を出発し、複数の配送先に積み荷を配送した後、元の物流拠点に戻る経路で総走行距離が最短になるようにする配送計画を作成する処理装置と、作成された配送計画を出力する出力装置とを備えた配送計画立案システムにおいて、立案戦略が異なるアルゴリズムの複数の配送計画立案処理を単一の処理装置内で時分割または複数の処理装置で並行に実行させ、その実行結果のうち総走行距離が最短になる処理結果を選択し、前記出力装置から出力することが記載されている(特許文献1,参照)。
特開2003−109170号公報には、配送先などの拠点位置、配送先へ輸送する荷物に関する荷物情報、輸送に利用するトラックなどの情報からなる輸送便情報、輸送計画の評価に関する余剰時間や走行距離などの優先順位からなる目的情報を入力し、これらの情報に基づいて輸送ルートを生成することが記載されている(特許文献2,参照)。輸送ルートの生成では、目的情報に従って計画の評価を行って最適な計画を探索しつつ、その他の入力情報を元に複数の輸送便に対する走行計画を一度に作成する。特に、複数の初期解からなる初期解集団を作成し、作成した初期解集団を遺伝的処理により改良する、いわゆる遺伝的アルゴリズムを用いて輸送計画を作成する、とされている。
特開2003−137437号公報には、各種情報を入力する入力手段、物流センターや配送先などの拠点位置、物流センターから配送先へ輸送する荷物に関する荷物情報、輸送に利用するトラックなどの情報からなる輸送便情報、拠点間の距離を格納する距離情報と道路地図情報、輸送ルート情報を格納する記憶手段、上記情報に基づいて輸送ルートを生成するルート生成手段、ルート生成手段で作成されたルート情報を主表示、出力する結果出力手段、から構成されるシステムが記載されている(特許文献3,参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−188984号公報。
【特許文献2】特開2003−109170号公報。
【特許文献3】特開2003−137437号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に関して、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品をその配送許容時間内に配送でき、さらに、配送回数を最小にできる配送経路を求めたいという要請がある。
本発明は、上記の要請に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記[1]〜[10]のように構成される。
[1]構成1:
配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、
配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、
前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、
前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【0006】
[2]構成2:
構成1に於いて、
前記経路時間演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で移動所要時間の総和が最小である一巡経路上での移動所要時間の総和を前記一巡経路所要時間とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[3]構成3:
構成1又は2に於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間が前記配送許容時間を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【0007】
[4]構成4:
配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、
配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、
前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【0008】
[5]構成5:
構成4に於いて、
物品配送時の単位数量当たりの容積である単位容積を各配送対象物品についてそれぞれ保持している単位容積記憶手段を更に有し、
前記経路荷量演算手段は、管轄配送先宛ての物品の数量と当該物品の単位容積に基づいて当該管轄配送先宛ての物品容積を得る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[6]構成6:
構成4又は5に於いて、
前記経路荷量演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で物品容積の総和が最小である一巡経路上での物品容積の総和を前記一巡経路総荷量とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
[7]構成7:
構成4〜6の何れかに於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量が前記可載容量を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【0009】
[8]構成8:
構成1と構成4の各手段を重複無く具備し、構成1の抽出制御手段と構成4の抽出制御手段が協働し、構成1の一巡経路決定手段と構成4の一巡経路決定手段が協働する配送経路作成装置。
[9]構成9:
コンピュータを、構成1〜8の何れかの配送経路作成装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
[10]構成10:
構成1〜8の何れかの配送経路作成装置で実施される配送経路作成方法。
【発明の効果】
【0010】
構成1は、配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、を有する配送経路作成装置であるため、配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に於いて、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品をその配送許容時間内に配送できる。また、配送回数を最小にできる。
構成4は、配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、を有する配送経路作成装置であるため、配送拠点を出発し、該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先を辿り、前記配送拠点に戻り突く配送に於いて、管轄配送先を漏れ無く且つ重複無く辿ることができ、全ての管轄配送先へ所要の物品を配送できる。また、配送回数を最小にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を、
[A]システム構成と機能の概要:
[B]移動所要時間演算機能:
[C]配送拠点立地決定機能:
[D]配送所属決定・配送経路決定機能:
の順に説明する。
【0012】
[A]システム構成と機能の概要:
図1は本発明の実施の形態のコンピュータシステム、即ち、配送所属決定装置及び配送経路決定装置として機能するコンピュータシステムを示す。図示のシステムは、制御装置10、補助記憶装置(ハードディスク等)20、作業用等に用いられる主記憶装置(RAM)30、表示装置(CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等)51、印刷装置53、入力装置(キーボード,マウス等)55、通信装置(NCU等)57を有する。なお、図3にはスタンドアローンの構成を示すが、本発明はLAN等で接続された複数のコンピュータで構成されてもよい。例えば、各種のテーブル等をサーバに持つ構成であってもよい。要は、本発明の機能をコンピュータによって実現できるシステム構成であればよい。
【0013】
制御装置10:
制御装置10は、CPUやインターフェース等の公知のデバイスで構成される。制御装置10は、後述する処理手順を実行することにより、前記各装置と協動して、配送拠点立地決定機能11、配送所属決定機能12、配送経路決定機能13、移動所要時間演算機能14を実現する。また、処理手順の詳細は省略するが、搭載している所定のプログラムを実行することにより、前記周辺装置と協動して、物流コスト算出機能18、物流コスト対照機能19を奏することもできる。
また、制御装置10は、制御装置10に接続されている前述の各装置(補助記憶装置20、主記憶装置30、表示装置51、印刷装置53、入力装置55、通信装置57)を制御する機能も奏する。この機能は公知であるため、説明は省略する。
【0014】
配送拠点立地決定機能11は、或る所定の地域内に分布する各届先へ、或る所定の配送許容時間を持つ物品を配送するための配送拠点(物流施設)の配置を、最適に決定する機能である。即ち、上記の各届先へ上記の物品を配送許容時間内に配送でき、且つ、配送拠点の総数がより少なくなるように、各配送拠点の立地を決定する機能である。この時、各配送拠点が管轄する届先の候補である配送先候補も、各配送拠点に関してそれぞれ決定される。或る配送先候補が2以上の配送拠点に重複して所属している場合、即ち、或る配送先候補が2以上の配送拠点の配送先候補である場合には、例えば、より近い(時間的に近い/距離的に近い)立地の配送拠点を、当該配送先候補が所属するべき配送拠点として決定するようにしてもよい。或いはまた、物流コスト算出機能18により算出される総コストが、より低コストとなるように、所属先の配送拠点を決定するようにしてもよい。
なお、配送拠点立地決定機能では、後述のように、2地点(或る配送拠点の候補−当該或る配送拠点の候補が管轄する届先の候補である配送先候補)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
【0015】
配送所属決定機能12は、或る配送拠点が管轄する配送先(=当該或る配送拠点に所属している配送先;以下「管轄配送先」という)の各々を、当該或る配送拠点を起点として行われる配送の中の何番目の配送(第1番目の配送経路の配送,第2番目の配送経路の配送,,,,等)に所属させるかを決定する機能である。言い換えれば、何番目の配送経路で配送すべきかを管轄配送先毎にそれぞれ決定する機能である。何番目の配送に所属させるかを決定した管轄配送先を、以下、「配送宛先」という。配送所属決定機能12による決定は、各配送経路の配送でそれぞれ最大荷量の配送が行われ、且つ、各配送経路での配送がそれぞれ配送許容時間内に完了するように行われる。また、配送総回数がより少なくて足りるように行われる。
なお、配送所属機能では、後述のように、2地点間(或る配送拠点−当該或る配送拠点が管轄する届先である管轄配送先間,各管轄配送先−各管轄配送先間)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点間の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
また、演算対象の或る配送拠点としては、例えば、前記配送拠点立地決定機能11により最適に決定された配送拠点の中の任意の配送拠点を採用することができる。
【0016】
配送経路決定機能13は、或る配送拠点を起点として行われる或る番目の配送(或る配送経路の配送)に於いて、当該配送に所属させた各配送宛先を、どのような順番で辿るかを決定する機能である。つまり、或る番目の配送に所属させた各配送宛先へ物品を配送するときに辿り得る一巡経路(配送拠点を出発し、当該番目の配送に所属させた配送宛先を順に辿り、配送拠点へ戻る経路)としては種々の経路が想定されるのであるが、その中から何れの一巡経路を選択するかを決定する機能である。配送経路決定機能13により行われる一巡経路の選択は、当該一巡経路の配送で最大荷量の配送が行われ、且つ、当該一巡経路の配送が配送許容時間内に完了するように行われる。
配送所属決定機能12と配送経路決定機能13とは、概念的には分離可能であるが、実際には、後述するように、或る番目の配送の一巡経路を決定する処理に於いて、当該番目に所属させるべき管轄配送先と当該番目に所属させない管轄配送先を決定する。また、必要に応じて、当該番目の次の番目に所属させるべき一部の管轄配送先を決定する。
なお、配送経路機能では、後述のように、2地点間(或る配送拠点−当該或る配送拠点が管轄する届先である管轄配送先間,各管轄配送先−各管轄配送先間)の移動所要時間を用いて演算を行うが、この2地点の移動所要時間としては、当該2地点を結ぶ連結経路の中で、移動所要時間が最小の経路が選択されているものとする。
また、演算対象の或る配送拠点としては、例えば、前記配送拠点立地決定機能11により最適に決定された配送拠点の中の任意の配送拠点を採用することができる。
【0017】
移動所要時間演算機能14は、2地点間を所定の移動手段(例:トラック等)で移動する場合の移動所要時間を、所定の距離時間テーブル等を参照して算出する機能である。距離時間テーブルには、当該移動手段により単位領域内の単位距離を移動する場合の移動所要時間である単位所要時間が、単位領域毎に保持されている。演算対象の2地点間を結ぶ経路が複数個存在する場合、その中の何れの経路の移動所要時間を求めるかは、操作者の入力に従って特定するようにしてもよく、また、所定の規則に従って特定するようにしてもよい。所定の規則とは、例えば、道のりが最短の経路を選択する規則である。また、有料道路を避ける規則や、有料道路を利用する規則等であってもよい。
また、演算対象の2地点間を結ぶ経路が複数個存在する場合に於いて、各経路についての移動所要時間をそれぞれ求め、その中から、移動所要時間が最小となる経路の移動所要時間を、当該2地点の移動所要時間とするように構成してもよい。
【0018】
物流コスト算出機能18は、物流業務を持つ企業に関して、企業全体の物流コスト、物流施設別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物流対象の物品分類別(例:物品サイズ分類別)の物流コスト、物流施設別且つ作業工程別且つ物品分類別(例:物品サイズ分類別)の単位量(単位個数;作業工程の作業で取り扱う最小単位)当たりの物流コストを、当該企業の損益計算書が持つ費用及び貸借対照表が持つ金利費用を利用して算出する機能である。
物流施設別且つ作業工程別且つ物品分類別(例:物品サイズ分類別)の単位量当たりの物流コストを、当該物流施設且つ作業工程且つ物品分類(例:物品サイズ分類)のミクロコストという。
物流施設は、配送拠点立地決定機能11で言うところの配送拠点に該当する。
【0019】
物流コスト対照機能19は、現状の物流ネットワーク(現ネットワーク)から求めた企業全体の物流コストと、現状の物流ネットワークを改変した後のネットワーク(新ネットワーク)から求めた企業全体の物流コストを、比較対照する機能である。例えば、配送拠点の立地,各配送拠点の管轄配送先,各配送拠点が持つ移動手段(後述の例では「トラック」)の車格や台数,各配送拠点の管轄配送先それぞれが所属する配送経路や各配送経路での配送順等を、第1の状態(現ネットワーク)に設定した場合と、第1の状態と異なる第2の状態(新ネットワーク)に設定した場合とで、企業全体の物流コストを比較対照する機能である。
企業全体の物流コストをマクロコストという。
【0020】
補助記憶装置20:
ハードディスク等で構成される補助記憶装置20には、制御装置10が前記周辺装置と協動して前記各機能を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されている。また、前記各機能に於いて使用される各種のテーブルを持つデータベースが格納されているとともに、前記各機能によって作成された各種のデータが新たにデータベース内の所定のテーブルに記録される。
補助記憶装置20に格納されているテーブルとしては、例えば、下記(a)〜(h)を挙げることができる。
(a)距離時間テーブル(図5(a)):
対象地域を区分して成る小領域である単位領域(メッシュ)内の単位距離を所定の移動手段により移動する場合の所要時間である単位所要時間を、一意のメッシュIDに対応付けて、単位領域毎に保持する。
(b)道路テーブル(図3(a)):
枝道の無い1本の線で表し得る最小区間である道路の道路名と、当該道路の一方の端部であるA端を一意に特定するA端部IDと、当該道路の他方の端部であるB端を一意に特定するB端部IDを、一意の道路IDに対応付けて、道路毎に保持する。
(c)単位道路テーブル(図3(b)):
上記定義の道路を所属先の単位領域で分割して成る単位道路に関して、当該単位道路が属する道路の道路IDと、当該単位道路が属する単位領域のメッシュIDと、当該単位道路の長さ(道のり)を、一意の単位道路IDに対応付けて、単位道路毎に保持する。
(d)届先テーブル(図4):
移動所要時間を求める地点の一例である商品の届先(顧客)の名称(届先名)と、届先が面している単位道路の単位道路IDと、当該単位道路の特定の一端部からの長さ(単位道路内位置)と、当該届先へ配送すべき荷量と、当該届先の書誌事項(届先名,住所,電話番号,位置,名称,管轄配送拠点等)を、一意の届先IDに対応付けて、届先毎に保持する。
(e)地点間所要時間テーブル等(図6,図23):
移動所要時間演算機能14により移動所要時間を求めた地点(例:届先,配送拠点(配送拠点候補を含む)等)間の移動所要時間を保持する。
配送拠点立地決定機能11により立地を決定された各配送拠点G−a,G−b,,,に関し、各配送拠点G−a,G−b,,,と各配送拠点G−a,G−b,,,の管轄配送先間の移動所要時間、及び、各配送拠点G−a,G−b,,,の管轄配送先相互間の移動所要時間を保持する管轄配送先間所要時間テーブルも同様である。管轄配送先間所要時間テーブルは、配送所属決定・配送経路決定に用いるために、地点間所要時間テーブルの特定部分で構成されたものである。なお、この管轄配送先間所要時間テーブルは、後述の例では、地点間所要時間テーブルに基づいてメモリ上に構成される(図17・S85)が、予め、ハードディスク20に保持するように構成してもよい。
(f)拠点−届先/所要時間&角度テーブル(図24(a)):
配送拠点立地決定機能11により立地を決定された各配送拠点G−a,G−b,,,に関し、各配送拠点G−a,G−b,,,と各届先との間の移動所要時間を対応つけて保持するとともに、各配送拠点G−a,G−b,,,から見た各届先の方位を当該配送拠点の基準方位(例:真北)からの角度として対応付けて保持するテーブル。
各配送拠点G−a,G−b,,,にそれぞれ全ての届先を対応付けてもよいが、当該の配送拠点の管轄配送先に設定される可能性が有る届先(当該の配送拠点から比較的近い届先)を、当該の配送拠点に対応つけて保持するようにしてもよい。移動所要時間は、移動所要時間演算機能14により求めた値を保持する。
(g)サイズ分類テーブル等(図25,図26):
物品(商品)をサイズで分類するサイズ分類テーブル(図25(a))、物品(商品)を配送許容時間で分類する配送時間分類テーブル(図25(b))、各物品(商品)とサイズ分類及び配送時間分類を対応付ける物品テーブル(図26(a))、トラックの所属先配送拠点と可載容量を持つトラックテーブル等である。
(h)上記以外のテーブル等:
各配送拠点を持ち配送業務を行っている企業の損益計算書(P/L)のデータ、当該企業の物流施設別の貸借対照表(B/S)のデータ、等。
【0021】
RAM30:
RAM30は、上記の各機能を実現する際の作業用等に用いられる。例えば、配送所属決定機能12や配送経路決定機能13では、RAM30上に管轄配送先管理テーブル(図24(b))や、管轄配送先間所要時間テーブル(図23)が構成される。
【0022】
周辺装置:
入力装置55は、前記各機能を実現するため等に必要なデータや指示をユーザが操作入力するための装置である。
表示装置51は、前記各機能の実現等に必要な画面等を表示する装置である。
印刷装置53は、前述の各機能により作成される各種のデータや、前述の各機能の実現に必要な各種のデータを、必要に応じてプリントアウトするために用いられる。
通信装置57は、LANに接続された他のコンピュータシステム(不図示)等や、インターネット等の外部のネットワーク(不図示)に接続された他のコンピュータシステム等との通信のために用いられる。例えば、単位領域(メッシュ)内の移動所要時間の経験値を当該単位領域を含む地域の宅配の担当ドライバーが携帯電話やPDS等の携帯情報端末で送信して単位所要時間を適宜に微修正する構成であれば、その送信データは、通信装置57を介して取り込まれる。また、サーバ(不図示)に前述のデータベースを置く構成であれば、データベースからのデータの読み出しや書き込みは、通信装置57を介して行われる。
【0023】
[B]移動所要時間演算機能:
図2は、任意の2地点間を所定の移動手段で移動する場合の移動所要時間を算出する手順を示すフローチャートである。所定の移動手段とは、例えば、オートバイ/乗用車/トラック/列車/飛行機/船舶等である。
【0024】
まず、移動所要時間を計算で求める対象である2地点を取得する(S01)。
この2地点は、例えば、入力装置55からユーザの操作入力により指定された2地点とすることができる。
例えば、ディスプレイ51にリスト表示された候補地の中から操作者が任意に選択した2地点とすることができる。また、操作者が住所/電話番号/緯度・経度等を任意に入力した2地点や、ディスプレイ51に表示された地図上にて操作者がマウス等によるポインタ操作で任意に指定した2地点等であってもよい。
例えば、カーナビゲーション装置では、入力機器を用いて上記のように操作者が任意に指定した2地点間の移動所要時間を求めることが多い。なお、2地点の中の一つは、公知のGPS機能(3〜4個のGPS衛星からの電波を受信して現在位置を算出する機能;GPS=Global Positioning System )やPHS(Persona Handy-Phone System)の位置特定機能等を用いて得る現在位置であってもよい。その場合は、当然ながら、GPS機能やPHS機能等のための装置が別途必要となる。
このようにユーザの操作入力により指定された2地点をステップS01で取得する場合には、当該各2地点を、所属先の単位道路と、当該所属先の単位道路の何れかの端部からの道のりと、当該何れかの端部と、を特定するデータに変換する処理が必要となる。
【0025】
上記ステップS01で取得する2地点は、多数の地点のデータを持つテーブルから所定の規則に従って順に抽出する2地点でもよい。
多数の地点のデータを持つテーブルとしては、例えば、届先テーブル(図4)を挙げることができる。届先テーブルとは、前述のように、商品の届先(顧客)の名称(届先名)と、当該届先が面している単位道路の単位道路IDと、当該単位道路の特定の一端部からの長さ(単位道路内位置)と、当該届先へ配送すべき荷量と、当該届先の書誌事項(届先名,住所,電話番号,位置,名称,管轄配送拠点等)を、一意の届先IDに対応付けて、届先毎に保持するテーブルである。
なお、多数の地点のデータを持つテーブルから所定の規則に従って順に2地点を抽出する場合には、下記ステップS03〜S17の処理は、当該順に抽出した各2地点についてそれぞれ実行することとなる。
また、2地点を順に抽出する所定の規則としては、例えば、下記(a)(b)を挙げることができる。
(a)配送拠点立地決定機能11の場合:
地点の一方として配送拠点候補を抽出し、他方として当該配送拠点候補からの商品等の届先として想定され得る届先を順に抽出し、想定され得る届先が全て抽出されると、次に配送拠点候補を変えて当該変えた配送拠点候補からの商品等の届先として想定され得る届先を順に抽出し、以下、同様に繰り返すような規則である。
(b)配送所属決定機能12・配送経路決定機能13の場合:
注目している配送拠点の位置と当該配送拠点が管轄する多数の届先の各位置とを地点の候補とし、その中から、比較的近隣に位置する2地点(例:相互間の距離が所定距離以内である2地点)を選ぶ規則。又は、漏れなく2地点を選ぶ規則。
上記の規則により選んだ各2地点間の距離を保持するテーブルが、管轄配送先間所要時間テーブル(図23)である。
このように多数の地点のデータを持つテーブル(例:届先テーブル/図4)から所定の規則に従って2地点を順に取得して移動所要時間を求めることにより、多数の地点間の移動所要時間テーブル(図6;別名「時間地図」)を作成することができる。
2地点間の移動所要時間を、以下、2地点間の時間距離とも呼ぶ。
【0026】
次に、上記ステップS01で取得した2地点を結ぶ連結経路の構成要素である1又は2以上の各道路の道路IDを、それぞれ、道路テーブル(図3(a))から取得する(S03)。
ここでいう道路とは、一意の道路IDで特定される区間であり、例えば、交差点〜交差点間や、交差点〜行き止まり間のように、交差点や行き止まり等の道路の端部で区切られており、且つ、区切られることにより分岐の無い一本の線(直線/曲線)として表現される道路内の区間である。
また、連結経路とは、上記2地点を結ぶ1又は2以上の経路の中から移動所要時間の演算対象として特定された1又は2以上の経路である。この連結経路としては、例えば、入力装置55から操作者が任意に指定した1の経路又は2以上の比較的少数の各経路を採用してもよく、上記2地点を結ぶ多数の経路の中から公知の手法で絞り込まれた1の経路又は2以上の比較的少数の各経路を採用してもよい。連結経路として複数の経路を採用した場合には、それぞれについて移動所要時間を求めることとする。
また、連結経路としては、公知の手法により比較的少数に絞り込まれた2以上の経路の中から所定の規則に従って本装置が選択した特定の一つの経路を採用してもよい。この所定の規則としては、例えば、2地点を結ぶ経路の中から道のりが最短となる経路を選択する規則、有料道路を除く規則、有料道路を含める規則、等を挙げることができる。何れの規則を採用するかを、操作者が入力装置55から指定できる構成としてもよい。
なお、任意に指定された2地点を結ぶ多数の経路の中から1の経路又は2以上の比較的少数の経路を抽出する上述の公知の手法とは、例えば従来よりカーナビゲーションシステムで採用されている手法である。
2地点を結ぶ経路を抽出する際には、或る道路(端部〜端部間の道路区間)と別の或る道路(端部〜端部間の道路区間)とが連結可能か否かをチェックする必要があるが、これは、当該或る道路が持つA端部IDとB端部ID(図3(a)参照)の何れかが、当該別の或る道路が持つA端部IDとB端部IDの何れか一方と合致するか否かにより判定できる。なお、A端部とは一方の端部であり、B端部とは他方の端部である。
【0027】
入力装置55から操作者が任意に連結経路を指定する構成を採用すると、操作者が対話方式で複数の連結経路を指定して、それぞれ移動所要時間を求めることができる。したがって、操作者は、その中から所望の経路を選定することができる。また、2地点を結ぶ多数の経路の中から公知の手法で絞り込まれた比較的少数の各経路それぞれの移動所要時間を求める構成を採用した場合も、同様に、操作者は、その中から所望の経路を選定することができる。これらの構成は、例えば、ドライブ計画の立案に有用である。また、連結経路内に有料道路を含む場合には、当該有料道路の料金を所定のテーブル(不図示)から併せて取得して、算出した料金を移動所要時間とともに表示するように構成してもよい。
【0028】
次に、上記ステップS03で道路IDを取得した1又は2以上の道路(2地点を結ぶ連結経路の構成要素である1又は2以上の道路)の中の何れかの道路の道路IDを持つ単位道路の全てを単位道路テーブル(図3(b))から抽出し、該抽出した各単位道路の長さとメッシュIDを単位道路テーブル(図3(b))からそれぞれ取得する(S05)。言い換えれば、上記ステップS03で道路IDを取得した1又は2以上の道路の構成要素である各単位道路の長さ及びメッシュIDを、単位道路テーブル(図3(b))からそれぞれ取得する(S05)。
単位道路とは、前述のように、前記定義の道路をメッシュ(単位領域)の境界で区分した各道路部分であり、この単位道路が、請求項に記載の単位経路に該当する。なお、上記の如く取得したメッシュIDをキーとして当該メッシュの単位所要時間を距離時間テーブル(図5(a))から取得できるため、抽出した各単位道路の各々について移動所要時間を求めることが可能となる。
【0029】
上述した単位領域、単位道路、道路等の関係を、図8を参照して説明する。
図8に於いて、ad11,ad12,ec11等は道路名である。なお、図3(a)の道路テーブルでは、道路名は、瑞穂ad11,瑞穂ad12,瑞穂ec11等として表記されている。図3(a)に記載したA端部IDやB端部IDを、図8中に併せて示す。
また、図8に於いて、0150121、0150122、0150123等は単位道路IDであり、各斜線領域や白領域は単位領域(メッシュ)である。単位領域には、当該単位領域のメッシュIDを図3(b)と対応付けて示すとともに、図8内に示したa,b等の単位領域名を、図8の広域を示す図7内に(a)(b)等として対応付けて示す。
【0030】
前述のステップS01〜S05の処理は、図8内の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
まず、地点AとBを取得する(S01)。次に、A−B間で指定された連結経路の構成要素として、例えば、瑞穂ad14、瑞穂ec12、瑞穂ec11、という道路の道路ID(1104、1012、1011)を、それぞれ取得する(S03)。単位道路テーブル(図3(b))に示すように、瑞穂ad14(ID:1104)は、単位道路ID「0150218」と「0150219」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路は「750m」と「400m」という長さと「001023」と「001024」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec12(ID:1012)は、単位道路ID「0150124」と「0150125」という2区間(単位道路)から成り、各単位道路はそれぞれ「400m」と「200m」という長さと「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、瑞穂ec11(ID:1011)は、単位道路ID「0150121」と「0150122」と「0150123」という3区間(単位道路)から成り、各単位道路は、それぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。ステップS05では、これらの単位道路IDと、各単位道路IDに対応付けられている長さ及びメッシュIDを、それぞれ取得する。
【0031】
ステップS07〜S15は、ステップS05でIDを取得した各単位道路の移動所要時間を、単位道路毎に順に求める処理である。
即ち、単位道路IDに対応付けられているメッシュIDをキーとして、当該単位道路が所属しているメッシュ(単位領域)の単位所要時間を距離時間テーブル(図5(a))から取得し(S09)、該取得した単位所要時間を、ステップS05で取得した当該単位道路の長さに乗算して正規化(単位距離で除算)する(S11)ことで、当該単位道路の移動所要時間を求める。
【0032】
かかる処理を、ステップS05でIDを取得した単位道路について順番に実行する(S07,S13,S15)ことで、各単位道路の移動所要時間を得る。
また、ステップS05でIDを取得した全ての単位道路の移動所要時間が求まると(S15でYES)、その総和を求める(S17)。こうして、ステップS01で地点データを取得した2地点の間の移動所要時間を得る。
こうして、多数の各2地点間の移動所要時間を求めることにより、地点間所要時間テーブル(図6)を構成することができる。
【0033】
上述の距離時間テーブルでは、図5(a)に示すように、一意のメッシュIDにメッシュ名と単位所要時間が対応付けられているとともに、更に適用種別IDが対応付けられている。この適用種別IDは、適用される時間帯及び/又は曜日等を表すものであり、例えば、適用種別ID=2は、図5(b)の適用種別テーブルに示すように、「平日昼」を表す。したがって、距離時間テーブル(図5(a))に於いて適用種別ID=2を持つレコードは、当該レコードのメッシュIDが持つ単位所要時間が、平日昼の単位所要時間であることを表す。
【0034】
したがって、図2の移動所要時間の演算に先立って時間帯及び又は曜日等が指定されている場合、ステップS09では、ステップS05で取得した単位道路IDに対応付けられているメッシュIDを持ち且つ当該指定された適用種別IDを持つレコードの単位所要時間が取得される。なお、時間帯や曜日等の指定が無い場合は、現在時刻に該当する時間帯及び曜日等の適用種別IDを持つレコードの単位所要時間が取得される。
【0035】
上記ステップS07〜S09の処理は、前述の2地点A−B間の移動所要時間を求める具体例では、以下のように説明される。
瑞穂ad14(道路ID:1104)は、単位道路テーブル(図3(b))に示すように、単位道路IDが「0150218」と「0150219」という二つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「750m」と「400m」という長さと、「001023」と「001024」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001023」と「001024」は、距離時間テーブル(図5(a))に示すように、それぞれ「120sec」と「110sec」という単位所要時間(「平日昼」での単位所要時間)を持つ。単位距離は、本例では、システム設定で500mとされている。したがって、単位道路ID「0150218」と「0150219」という各単位道路の移動所要時間は、それぞれ「750m×120sec/500m=180sec」と「400m×110sec/500m=88sec」となる。
【0036】
同様に、瑞穂ec12(道路ID:1012)は、単位道路IDが「0150124」と「0150125」という二つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「400m」と「200m」という長さと、「001022」と「001023」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001022」と「001023」は、それぞれ「90sec」と「120sec」という単位所要時間を持つ。したがって、単位道路IDが「0150124」と「0150125」という二つの単位道路各々の移動使用時間は、それぞれ「400m×90sec/500m=72sec」と「200m×120sec/500m=48sec」となる。
【0037】
同様に、瑞穂ec11(道路ID:1011)は、単位道路IDが「0150121」と「0150122」と「0150123」という三つの単位道路から成り、各単位道路は、それぞれ「350m」と「200m」と「300m」という長さと、「001025」と「001026」と「001022」というメッシュIDを持つ。また、これらのメッシュID「001025」と「001026」と「001022」は、それぞれ「90sec」と「90sec」と「90sec」という単位所要時間を持つ。したがって、単位道路IDが「0150121」と「0150122」と「0150123」という三つの単位道路各々の移動使用時間は、それぞれ「350m×90sec/500m=63sec」と「200m×90sec/500m=36sec」と「300m×90sec/500m=54sec」となる。
【0038】
地点A−B間の移動所要時間は、ステップS17(図2)に示すように、上記演算結果の総和であるから、「180+88+72+48+63+36+54=541sec」として求まる。
以上のようにして、2地点A−B間の移動所要時間を得る。
なお、上記で言及した道路テーブルや単位道路テーブル等の各テーブルは、一例を示すものであり、本発明の機能を実現し得るものであれば、図示のテーブル構成以外のテーブル構成を採用してよいことは勿論である。
【0039】
時間地図:
ここで、時間地図の概念を説明する。
時間地図とは、時間地図上の任意の2地点間の距離が、該任意の2地点間を移動する手段(オートバイ/乗用車/配送対象物品を輸送するトラックや貨車/飛行機/船舶等)で移動した場合の移動所要時間に比例するように、各2地点を配した地図である。したがって、時間帯、曜日、選択する経路、移動手段等に応じて2地点間の移動所要時間が変わる場合は、時間地図としてもそれぞれ異なったものとなる。
但し、画像表示に際しては、或る地点(例:地点a)を特定し、該特定した地点aからの移動所要時間に比例するように、且つ、地点aから見た通常の地図上の方位に合致するように、各地点を配し、これを、地点aから見た時間地図と称する。このように、画像表示に際して地点aを特定して示す理由は、3地点以上の間では、各地点間の距離が移動所要時間に比例するように、且つ、各地点間の方位が通常の地図の方位となるように、各地点を配置することが不可能なためである。
【0040】
時間地図の実体は、本装置では、図6に例示する地点間所要時間テーブルである。この地点間所要時間テーブルは、多数の地点(届先,配送拠点候補)から抽出した多数の2地点間に関して、それぞれ移動所要時間を求めて作成したテーブルである。移動所要時間の算出には、前述の移動所要時間演算機能14を用いている。多数の地点から抽出する2地点間としては、本装置では、後述の配送拠点の決定処理に於いて必要な2地点間や、後述の配送所属・配送経路の決定処理に於いて必要な2地点間を、少なくとも含む。
【0041】
本装置では、時間地図によってカバーされる領域は、配送対象の物品の届先が分布する地域に応じて決まる。例えば、名古屋市内全域を配送対象とする配送会社であれば、名古屋市内全域が時間地図のカバー領域となる。同様に、愛知県全域,東海地方全域,中部地方全域,本州全域,日本全域,東アジア全域,アジア全域,全世界等であってもよい。
【0042】
[C]配送拠点立地決定機能:
図11と図12は配送拠点立地決定手順を示すフローチャートである。
まず、隣接する配送拠点候補間の最短距離を与える立地間隔距離と、配送拠点候補から配送を行うべき範囲を定める配送範囲規定時間と、多数の届先各々の位置と、を取得する(S21)。本装置では、複数の配送拠点を立地する立地対象地域に配送拠点候補を均等に配置する(格子点として配置する)ため、立地間隔距離は、各格子点間の最短距離を与える。この立地間隔距離を、本例では、立地対象地域の面積及び人口を考慮して総数を決めた配送拠点候補が立地対象地域内に均等に配置されるように、決めている。また、本例では、配送対象物品の配送許容時間Tpに基づいて決めた配送範囲規定時間内の時間で移動できると推定される距離を立地間隔上限距離として決め、この立地間隔上限距離を越えないように、立地間隔距離を決めている。
【0043】
立地間隔距離や配送範囲規定時間は、例えば、入力装置55から操作者が入力した値を取得するようにステップS21を構成してもよい。また、所定のデータベースに保持している値を取得する構成でもよい。また、配送許容時間Tpを操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。或いはまた、配送対象物品を操作者が入力装置55から入力するように構成するとともに、該入力した配送対象物品に対応する配送許容時間Tpを所定のデータベースから取得し、この取得した配送許容時間Tpに基づいて立地間隔距離や配送範囲規定時間を決め、これらを取得するようにステップS21を構成してもよい。
【0044】
多数の届先各々の位置は、例えば、各届先の書誌情報(住所,電話番号,届先名,届先が位置する単位道路の単位道路ID,当該単位道路での届先の位置を単位道路の所定端からの長さで示す単位道路内位置,届けるべき荷量[m3],届けるべき荷量(個数),地点名,等)を届先(顧客)毎に保持している届先テーブル(図4;但し、図4では、「住所」「電話番号」等は不図示)から取得することができる。この届先テーブルのレコードは、適宜に追加/削除可能である。また、この届先テーブルの各レコードの各項目の記録事項は、適宜に修正可能である。例えば、荷量等は注文に応じて適宜に記録される。
【0045】
届先の位置データは、当該届先が位置する単位道路を特定するデータと、当該単位道路上での当該届先の位置(当該単位道路の所定の端部からの道のり)を示すデータから構成される。なお、単位道路とは、前述のように、道路を交差点で区分して交差点間部分毎に道路名を付し、道路名を付した道路部分(交差点間部分)を所属単位領域(メッシュ)で区分してメッシュ部分毎に単位道路IDを付した場合に於ける、各メッシュ部分(単位道路IDに対応付けられる部分)をいう。
【0046】
立地間隔距離と配送範囲規定時間と各届先の位置を取得した(S21)後、第1の配送拠点候補の位置を取得する(S23)。例えば、入力装置55から操作者が第1の配送拠点候補として入力した配送拠点候補の位置を、取得する。この第1の配送拠点候補の位置入力は、例えば、画面上に当該立地対象地域の地図を表示して、該地図上で所望の位置をポイントすることで行うように構成してもよい。本例では、図9内左上隅の配送拠点候補G11の位置を、第1の配送拠点候補の位置として取得したものとする。
【0047】
次に、各配送拠点候補の位置を演算で求める(S25)。この演算は、ステップS23で取得した第1の配送拠点候補の位置と、ステップS21で取得した立地間隔距離とを用い、且つ、演算の方向と範囲を定めた所定の規則に従って行うことができる。例えば、まず、第1の配送拠点候補の位置(配送拠点候補G11の位置)を起点位置に設定し、該起点位置から所定方向(例:図9内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を、配送拠点候補G12(又はG21)の位置として決める。次に、該配送拠点候補G12(又はG21)の位置を起点位置に設定し、該起点位置から同様に所定方向(例:図9内右方向(又は下方向))へ立地間隔距離だけ離れた位置を配送拠点候補G13(又はG31)の位置として決める。以下同様に繰り返し、立地対象地域の端部に達すると、向きを換えて同様に繰り返す。このような処理を繰り返すことにより、各配送拠点候補の位置を決めることができる。
【0048】
なお、ステップS21〜S25の処理に代えて、例えば、全ての配送拠点候補の位置を操作者が入力装置55から入力するように構成してもよい。その場合には、配送拠点候補の配置を必ずしも均等に(格子状に)設定する必要が無く、任意のパターンでの配置が可能となる。
【0049】
或いはまた、立地対象地域の面積と該立地対象地域内の四隅の配送拠点候補の位置とを操作者が入力装置55から入力し、これに基づいて配送拠点候補の総数や更には立地間隔距離を求め、これらから残りの配送拠点候補の位置を決めるように構成することも可能である。
【0050】
各配送拠点候補の位置が決まる(S25)と、次に、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点候補毎にそれぞれ取得する(S27)。望ましくは、配送拠点候補と当該配送拠点候補の近隣の各届先との間の移動所要時間を、各配送拠点毎にそれぞれ取得する(S27)。ここで、近隣の届先とは、注目している配送拠点候補からの移動所要時間が配送範囲規定時間を著しく越えない範囲に位置する届先であり、例えば、注目している配送拠点候補の周囲の4つの格子内領域に位置する届先である。例えば、図1内の配送拠点候補G22であれば、G11・G13・G33・G31で囲まれる方形領域内に位置する届先である。このように移動所要時間を求める範囲を近隣の届先に制限すると、処理の負荷を軽減することができる。なお、全ての届先との間の移動所要時間を取得するようにしてもよいことは勿論である。
【0051】
配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間は、例えば、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14により求めて、これを取得するように構成することができる。また、配送拠点候補と各届先との間の移動所要時間を保持している所定のテーブルから取得するように構成することもできる。後者の場合、当該所定のテーブルとしては、前記「[B]移動所要時間演算機能」の項で述べた移動所要時間演算機能14を用いて作成したテーブルでもよく、他の公知の手法によって作成したテーブルでもよい。
【0052】
次に、上記ステップS27で取得した移動所要時間(配送拠点候補の各々と届先(望ましくは当該配送拠点候補の近隣の届先)との間の移動所要時間)を、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間と比較し(S29)、上記ステップS27で取得した移動所要時間が、前記ステップS21で取得した配送範囲規定時間より小さい場合は(S31でYES)、当該移動所要時間に係る届先を当該移動所要時間に係る配送拠点候補の配送先候補として設定する(S33)。
かかる比較・設定/非設定処理(S29〜S33)を、ステップS27で取得した全ての移動所要時間について実行し、全てについての処理が終了すると(S35でYES)、ステップS37〜S43の処理に進む。
【0053】
ステップS37〜S43の処理は、現在の処理時点で注目している(以下「現在注目している」という)配送先候補が、一つの配送拠点候補のみに所属している配送先候補であるか、又は、2以上の配送拠点候補に重複して所属している配送先候補(重複候補)であるか、を調べるステップである。ここで、「所属している」とは、前記ステップS33の処理により配送拠点候補の配送先候補として設定されていることをいう。
【0054】
まず、現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補を、別の配送拠点候補に所属する配送先候補と順番に比較して(S37)、合致が検出された場合は(S39でYES)、当該現在注目している配送先候補を、当該現在注目している配送拠点と当該別の配送拠点とに重複して所属する配送先候補(重複候補)に設定して、重複先との対応関係を保持する(S41)。
【0055】
かかる比較・重複設定/重複非設定処理(S37〜S41)を、「現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補」を順に代えて、さらに「現在注目している配送拠点候補」を順に代えて、順に実行する。全ての「現在注目している配送拠点候補に所属する現在注目している配送先候補」と、全ての「現在注目している配送拠点候補」に付いて比較・重複設定/非設定処理(S37〜S41)が終了すると(S43でYES)、ステップS45に進む。
【0056】
ステップS45は、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている配送拠点候補を抽出して、配送拠点抹消候補に設定する処理である。
例えば、図9に於いて、配送拠点候補G21では、所属する配送先候補の全てが重複候補に設定されている。
即ち、配送拠点候補G21には、図示のように3個の配送先候補a,b,cが所属している。この中で、配送先候補aは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内上方位置にて隣接する配送拠点候補G11の配送先候補でもある。同様に、配送先候補bは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内下方位置にて隣接する配送拠点候補G31の配送先候補でもある。同様に、配送先候補cは、配送拠点候補G21の配送先候補であると同時に、図内右下方に位置する配送拠点候補G32の配送先候補でもある。したがって、配送拠点候補G21では、全ての配送先候補が、近隣の何れかの配送拠点候補の配送範囲に重複して含まれている。
同様に、配送拠点候補G32,G43でも、所属する配送先候補の全てが、重複候補に設定されている。
このため、これらの配送拠点候補G21,G32,G43は、それぞれ配送拠点抹消候補に設定される。配送拠点抹消候補の設定が終了する(S45)と、ステップS47〜S51の処理に進む。
【0057】
ステップS47〜S51は、上記ステップS45で設定した配送拠点抹消候補から選択した何れか1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せが、全ての届先を網羅するか否かをチェックし(S47)、その結果、網羅する場合には(S49でYES)、当該1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた配送拠点候補の組合せを配送拠点組合せ候補に設定する(S51)処理である。なお、各配送拠点組合せ候補内には、上記で除くように選択した配送拠点抹消候補以外の配送拠点抹消候補は、当然ながら含まれている。
【0058】
例えば、図9に於いて、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G21のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0059】
また、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G32のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0060】
また、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、配送拠点抹消候補G43のみを除いた11個の配送拠点候補の組み合わせは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0061】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21及びG32のみに重複して所属している届先cが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG32とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0062】
その一方で、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、全ての届先が何れか1又は2以上の配送拠点候補の配送先候補として網羅される。したがって、2個の配送拠点抹消候補G21とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定される。
【0063】
しかし、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G32及びG43のみに重複して所属している届先iが網羅されない。したがって、2個の配送拠点抹消候補G32とG43とのみを除いた10個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0064】
また、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せでは、配送先拠点抹消候補G21とG32とG43の何れかのみに重複して所属している届先cと届先iが網羅されない。したがって、3個の配送拠点抹消候補G21とG32とG43とのみを除いた9個の配送拠点候補の組合せは、配送拠点組合せ候補に設定されない。
【0065】
配送拠点候補から1又は2以上の配送拠点抹消候補のみを除いた全ての場合について上述の網羅チェック・配送拠点組合せ候補設定/非設定処理(S47〜S51)が終了すると(S53でYES)、配送拠点組合せ候補として設定された中から、当該組合せ候補を構成する配送拠点候補の数が最小である組合せが選択されて、配送拠点組合せに設定される(S55)。上述の例でいえば、2個の配送拠点抹消候補G21とG43のみを除いた10個の配送拠点候補の組合せが、配送拠点候補の数が最小であるため、配送拠点組合せに設定される(S55)。
以上のようにして、配送拠点が決定される。
【0066】
[D]配送所属決定・配送経路決定機能:
時間円:
時間円とは前述の時間地図上に描いた円である。即ち、或る地点(例:配送経路の起点となる配送拠点の地点a)を特定し、該特定した地点aからの移動所要時間に比例するように、且つ、地点aから見た通常の地図上の方位に合致するように、各地点を配し、地点aを中心として描いた円である。
本例では、図13に示すように、配送許容時間Tpをπで除算した値であるTp/πを半径rgとする時間円を、配送範囲規定時間円Tgとして設定する。その中心Gには配送拠点を置く。また、配送範囲規定時間円Tgの領域内に分布する各届先を、当該配送拠点Gの管轄配送先とする。
【0067】
配送範囲規定時間円Tgを上記の如く決める理由を以下に述べる。
物品をトラックに積載して配送拠点を出発し、複数の管轄配送先へ順に配送して配送拠点Gへ戻る配送業務では、出発時に物品を満載し、往路で順に配送を行うとともに、復路も空荷で走行しないで引き続いて積荷の配送を行い、配送拠点Gへ戻り着く直前にトラックが空荷になり、且つ、トラックが空荷になった時点が配送許容時間Tp以下で且つ配送許容時間に近いことが、トラック利用効率の観点から望まれる。
この望ましい配送では、
(イ)1回の配送に於いて、トラックが空荷となる時点である配送拠点Gに戻り着く直前の時点が、当該物品の配送許容時間内Tpに収まることが要求され、且つ、該配送許容時間Tpと略同じであることが望ましい。
また、
(ロ)1回の配送で配送すべき物品の量、換言すれば、1回の配送経路上に在する管轄配送先へ届けるべき物品の量が、トラックの可載容量Q以下であることが要求され、且つ、該可載容量Qと略同じであることが望ましい。
また、前記望ましい配送のための1又は2以上の各々1回分の配送経路は、
(ハ)各々が1回分の配送である上記1又は2以上の配送経路の総和によって当該配送拠点Gの管轄配送先の全てを漏れ無く辿り得ることが必須とされる。
さらに、
(ニ)効率良く配送を行うためには、上記1又は2以上の配送経路によって配送拠点Gの管轄配送先を重複無く辿ること、換言すれば、1の管轄配送先に対しては1回の配送で物品を届けることも要求される。
【0068】
上記(イ)〜(ニ)の要請は、それぞれ下記の手法に言い換え可能である。
(イ)1回の配送経路上に存する管轄配送先を辿る時間距離(移動所要時間=走行所要時間)の総和が配送許容時間Tp以下であることが必須であり、且つ、配送許容時間Tpと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路と当該1回の配送経路上に含める管轄配送先とを決定する。
(ロ)1回の配送経路上に存する管轄配送先へ届けるべき物品の総量が、トラックの可載容量Q以下であることが必須であり、且つ、可載容量Qと略同じになることが望ましい。これを満たすように、当該1回の配送経路上に含める管轄配送先を決定する。
(ハ)配送拠点Gの管轄配送先の分布領域を、一方の端部から他方の端部へ向けて仮想線で走査し、該仮想線に接触する配送先を順に抽出する。この走査に対して上記(イ)と(ロ)の制約を課すことで、1回分の配送経路用の管轄配送先抽出の区切りを得る。仮想線の走査は、配送拠点Gを起点(中心)とする半径線を一方向へ回転させる走査であることが望ましい。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0069】
このため、本例の装置では、上記(イ)〜(ロ)の手法を、それぞれ下記のように具体化する。
(イ)配送拠点Gを出発し、管轄配送先を辿り、配送許容時間Tp以内に当該配送拠点Gへ戻り得る種々の経路を包含する代表軌跡として、円周の長さを配送許容時間Tpに合致させた時間円を採用する。この時間円を、以下、配送経路円という。図13内の時間円Pc,Pc1が、配送経路円に該当する。配送経路円Pc,Pc1の直径は、前記配送範囲規定時間円Tgの半径rgに等しい。
管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的狭い角度範囲内に分布している地域では、一順経路は半径方向に延びた後に配送拠点Gへ戻る長細い形状を成し、管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的広い角度範囲内に分布している地域では、一順経路は円に近い形状を成す。このため、前者を基準とした場合は配送範囲規定時間Tgは比較的長時間となり、後者を基準とした場合は配送範囲規定時間Tgは比較的短時間となる。本装置では、管轄配送先が配送拠点Gから見て比較的広い角度範囲内に分布している場合でも配送許容時間内に出発点へ帰り着き得るように、一順経路の代表形状として円を採用する。つまり、前述の配送範囲規定時間Tgとして、当該物品(商品)の配送許容時間を円周とする円の直径に相当する時間を採用する。
(ロ)管轄配送先へ届けるべき種々の形状の物品から成る荷物の総荷量を、トラックに積載した時の容積に換算する手法として、サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率の概念を導入する。これにより、配送先へ届けるべき種々の形状の物品の総荷量と、トラックの可載容量Qとの、精度の高い大小比較が可能となる。サイズ分類別のモデル容積と容積膨張率については後述する。
(ハ)上記(イ)の配送経路円Pcの直径rgの一端を配送拠点Gに置き、これを前述の管轄配送先抽出走査用の仮想線として採用する。換言すれば、配送経路円Pcの円周上の1点を配送拠点Gに合致させて固定し、該配送拠点Gを中心として配送経路円Pcの直径線(配送範囲規定時間円Tgの半径線)rgを一定方向(例:時計回り)へ回転させて、前述の管轄配送先抽出走査を行う。
上記よりわかるように、配送範囲規定時間円Tg内の領域は、配送経路円Pcを上記の如く回転させた場合に、該配送経路円Pcによって塗りつぶされる領域となる。したがって、配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先は、その全てを、重複無く、配送経路上に含め得ることとなる。
(ニ)上記の(ハ)と同じである。
【0070】
配送所属決定・配送経路決定の概要:
図14と図15は、配送所属&経路の決定手法を示す。
本例の装置では、配送範囲規定時間円Tgの中心G(配送拠点)から半径方向に引いた仮想線rgを、中心Gを回転中心として、図14のように一定方向(図示の例では時計回り)に回転させて配送範囲規定時間円Tg内の管轄配送先を走査し、この走査により抽出される管轄配送先を順に配送経路に組み入れる。
【0071】
管轄配送先の抽出走査に於いて、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約と、前記(ロ)のトラック可載容量Qの制約の、何れか一方が満たされると、その時点で、管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。即ち、管轄配送先の抽出走査の途中に於いて、(イ)配送拠点Gから抽出した管轄配送先を辿って当該配送拠点Gへ戻る配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が配送許容時間Tpに達すると、又は、(ロ)抽出した管轄配送先へ届けるべき物品の総荷量qがトラックの可載容量Qに達すると、その時点で管轄配送先の抽出走査を一旦停止する。
【0072】
上記の走査により抽出した管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路としては種々の一巡経路が可能である。また、事情によっては、抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えた一巡経路を採用する方が良い結果を得る場合もある。本例では、これらの事情を考慮して、採用するべき一巡経路を、下記の手法で決めている。
【0073】
(a)抽出順の配送経路:
まず、走査により抽出した順に管轄配送先を辿って配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第1の候補とする。即ち、抽出走査を開始する基準位置(図15の仮想線rgの位置=仮想線rgが上方を向く位置)からの開き角度θの昇順に管轄配送先を辿る一巡経路を、第1の候補とする。図15の例であれば、管轄配送先を、D1,D2,D3,D4,D5,D6の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路(破線矢印で示す経路)である。なお、管轄配送先D7は、該管轄配送先D7を今回の配送経路に組み入れると、前記(イ)の配送許容時間Tpの制約、又は、前記(ロ)のトラック可載容積Qの制約が満たされてしまうため、今回の配送経路から除外した管轄配送先である。この管轄配送先D7は、次回の配送経路に組み入れられることになる。
【0074】
(b)半径方向移動の修正:
走査の抽出順(θの昇順)に設定した配送経路が不適当な場合、例えば、半径方向の比較的長い移動回数が多く、そのため、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が早期に配送許容時間Tpに達してしまうような場合には、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の管轄配送先から、走査の抽出順が比較的早く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿り、さらに、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの円周寄り位置の管轄配送先を辿った後、走査の抽出順が比較的遅く且つ配送範囲規定時間円Tgの中心寄り位置の配送先を経て配送拠点Gへ戻る一巡経路を、第2の候補とする。図15内右上に示す実線矢印の経路、即ち、管轄配送先を、D3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路が、これに該当する。この第2の候補を前記第1の候補と比較し、良い結果を得る方を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。良い結果とは、例えば、移動所要時間の総和を短縮できること、望ましくは移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分(一巡経路を定めているところの1回分)の管轄配送先数を増加させ得ることをいう。
【0075】
(c)半径方向移動の再修正:
上記(b)の修正によると、複数の一巡経路が候補としてピックアップされる場合があり得る。例えば、図15内の右下に示すD3,D1,D2,D4,D6,D5の順に配送先を辿って配送拠点Gへ戻る実線矢印の経路は、上記(b)の修正によるD3,D2,D1,D4,D6,D5の順に辿って配送拠点Gへ戻る経路とともに、第2の候補としてピックアップされ得ると考えられる。そのような場合には、配送経路の長さ(移動所要時間の総和)が短い方の一巡経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
【0076】
(d)停止した抽出走査線を挟む入換修正:
抽出走査を一旦停止させている仮想線rgを挟む1又は少数の管轄配送先を入れ換えてみて、入換後の方が良い結果を得る場合(例:移動所要時間の総和を短縮できる場合/移動所要時間の総和を短縮できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合/総荷量を減量できる場合/総荷量を減量できるため当該1回分に組み入れる管轄配送先を増加させ得る場合)には、当該入換後の配送経路を採用する。或いは、他の候補との比較のために残す。
なお、良い結果を得るか否かの評価方式としては、上記以外に、例えば、配送効率を評価する所定の評価式による評価を挙げることができる。
【0077】
(e)非修正/修正/再修正後の微修正:
配送経路の候補を決めた後、さらに、該候補を微修正した配送経路を作成して配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を比較して、短い方を採用するように構成してもよい。この微修正の手法としては、例えば、(e1)配送経路上で隣接する2つの管轄配送先の一方を、その近くの管轄配送先と仮に入れ換えてみて、入換前後の移動所要時間を比較する手法;(e2)微修正により配送経路の長さ(移動所要時間の総和)を十分に短縮できた場合に、当初に除外した管轄配送先(図15の例では管轄配送先D7)を今回の配送経路に仮に組み入れてみて、組み入れた後の移動所要時間の総和が配送許容時間Tp以下になり、且つ、組み入れた後の荷量の総和がトラックの可載容量Q以下になる場合に、当該当初に除外した管轄配送先を今回の配送(一巡経路を定めているところの配送)に組み入れる手法;等を挙げることができる。
【0078】
(f)抽出走査の再開:
以上のようにして1回分の配送経路が決まると、次に、一旦停止していた抽出走査を再開して、上記と同様にして、次の1回分の配送経路を決める。図15の例であれば、管轄配送先D7の位置から走査を再開する。但し、前記(d)の入換修正や、上記(e2)の微修正を行った場合は、その事情を考慮して再開する。
また、仮想線rgによる抽出走査が1回転(360°)すると、配送範囲規定時間円Tg内の全ての管轄配送先の所属先の配送経路が決まる。これにより、配送所属決定・配送経路決定処理は終了する。
【0079】
配送所属・配送経路の決定手順:
配送拠点立地決定機能11により立地を最適に決定された配送拠点群の中の或る特定の配送拠点(図示の例では、配送拠点G−a)に関して、配送所属・配送経路を決定する手順を、図17〜図22のフローチャートに即して説明する。配送所属決定では、配送拠点G−aの各管轄配送先を、配送拠点G−aを起点とする配送経路の中の何番目の配送経路に所属させるかを決定する。また、配送経路決定では、或る番目の配送経路に所属させた各管轄配送先を辿る順、即ち、当該配送経路の順路を決定する。
【0080】
ステップS71〜S77では、配送拠点G−aからの移動所要時間が、配送範囲規定時間円の半径rg(=配送範囲規定時間)以下である各届先を、配送拠点G−aの管轄配送先としてそれぞれ抽出する。
即ち、拠点−届先/所要時間&角度テーブル(図24(a))から、配送拠点G−aと各届先との間の移動所要時間を抽出して(S71)、当該抽出した移動所要時間が配送範囲規定時間rg以下であれば(S73でYES)、当該届先を配送拠点G−aの管轄配送先として設定する(S75)。例えば、図24(a)では、届先IDが1,2,4〜7,9,10,の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間rg=1.273[hour]以下であるため管轄配送先として抽出されるが、届先IDが3,8の各届先は移動所要時間が配送範囲規定時間rg=1.273[hour]を越えているため抽出されない。かかる処理を配送拠点G−aに対応付けられている全届先について順に実行し、全届先について処理が終了すると(S77でYES)、ステップS79へ進む。
【0081】
ステップS79では、ステップS71〜S75で抽出した各管轄配送先が持つ角度θと荷量を、拠点−届先/所要時間&角度テーブルからそれぞれ取得する。
ここで、管轄配送先が持つ角度θとは、管轄配送先と配送拠点G−aとを結ぶ線が、配送拠点G−aを通る所定方向の基準線(例:南北方向に延びる線)と成す角度をいう(図16(a)(b)参照;一般の距離地図と同様に、図16(a)(b)では北が上方を向いている)。なお、拠点−届先/所要時間&角度テーブルは、本装置がハードディスク20に予め持っていてもよく、届先テーブル(図4)が持つ各届先及び各配送拠点の所在地を示すデータ(当該項目は図4では不図示)や移動所要時間演算機能14等を用いて所要のデータを求め、メモリ30上に構成するようにしてもよい。
また、管轄配送先が持つ荷量とは、配送拠点G−aから当該管轄配送先へ配送すべき荷物の量[m3]である。この荷量[m3]として、本装置では、配送対象の物品が属しているサイズ分類(物品テーブル;図26(a)参照)に対応付けられているモデル容積及び容積膨張率(サイズ分類テーブル;図25(a),参照)と、当該配送対象の物品の個数と、に基づいて求めた値を用いている。即ち、配送すべき物品のモデル容積に、配送すべき個数(配送単位数)を乗算し、さらに容積膨張率を乗算した値を用いている。
ここで、或るサイズ分類のモデル容積とは、当該或るサイズ分類に属する各種の物品についてそれぞれ実測した物品1個当たり(物品の配送単位当たり)の容積の平均値をいうものとする。実際には、過去の配送実績が上位10位までの各物品について実測した配送単位当たりの容積の平均値をモデル容積としている。また、容積膨張率とは、種々のサイズ分類の物品を所定の比率(例:過去の混載実績に基づく比率)で混載した場合に於ける嵩の増加量(配送単位当たりの増加量=増加率)を、各サイズ分類についてそれぞれ実測して得たサイズ分類別の補正係数をいうものとする。なと、上記「配送単位」とは配送作業に於ける当該物品の取り扱いの最小単位をいう。また、請求項では、或る物品のモデル容積に当該物品の容積膨張率を乗算した値を、当該物品の「単位容積」という。
なお、管轄配送先へ配送すべき荷量は、届先テーブル(図4)から取得する。
【0082】
次に、ステップS81に進む。
ステップS81では、まず、ステップS79で取得した管轄配送先をθの昇順に配列する(再配列処理)。なお、図24(a)の拠点−届先/所要時間&角度テーブルでは、届先がθの昇順に配列されているため、ステップS81での再配列処理は一見不要に思われるが、この再配列処理(S81)は、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルに、届先のレコードが後に於いて新たに追加され、その結果、配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブルでの届先の配列がθの昇順で無くなってしまう場合にも対応できるようにしたものである。
再配列処理に基づいて、項目として管轄配送先ID・届先ID・角度θ・荷量・経路を持ち、再配列した管轄配送先毎にレコードが構成される管轄配送先管理テーブル(配送拠点G−aの管轄配送先管理テーブル;図24(b))を、メモリ上に構成する。管轄配送先IDは、再配列処理後の管轄配送先に順に割り当てられる。この管轄配送先IDは、後述のように、同一配送経路内での配送順を管理するデータとして用いられる。経路の項目には、当該配送拠点G−aについて作成される1又は2以上の配送経路、即ち、配送拠点G−aを起点として幾つかの管轄配送先を経て配送拠点G−aに戻る1又は2以上の配送経路の中の何れの配送経路に属するかを示すデータが記録される。
【0083】
次に、ステップS83にて、配送拠点G−aに所属する各トラックのトラック可載容量を、トラックテーブル(図26(b))から取得する。さらに、ステップS85にて、配送拠点G−aの各管轄配送先相互間の移動所要時間を地点間所要時間テーブル(図6)から取得して、メモリ上に、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブル(図23)を構成する。なお、この管轄配送先間所要時間テーブル(図23)を、、ハードディスク20に予め構成しておき、それを利用する構成でもよい。この管轄配送先間所要時間テーブルでは、配送拠点G−aも一つの地点(管轄配送先)として扱われ、配送拠点G−aと管轄配送先との間の移動所要時間に関するデータも、管轄配送先間の移動所要時間と同様に保持される。
【0084】
配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルと、配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルとが、上記のようにして作成されると、ステップS87以降の処理を実行する。
【0085】
まず、ステップS87にて、現在時点での処理対象の経路(当該経路に所属させるべき管轄配送先と、それらを辿る順を決める対象=作成中の配送経路)を表す変数jに、初期値「1」をセットする。また、配送宛先(所属先の配送経路が確定された管轄配送先)数の累計値を表す変数kに、初期値「0」をセットする。
【0086】
次に、ステップS89にて、現在時点での処理対象の経路jに於いて現在注目している管轄配送先(現在作成中の配送経路jに所属させるか否かの判断対象の管轄配送先)を表す変数iに、初期値「1」をセットする。また、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計を表す変数qに初期値「0」をセットする。また、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計を表す変数tに初期値「0」をセットする。
【0087】
各初期値のセット後、ステップS91、S93、S99の処理を、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qが、当該経路で使用するトラックの可載容量Qを越えるまで(S95でNO)、又は、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tが、配送許容時間Tpを越えるまで(S97でNO)、繰り返して実行する。
ステップS91は、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計に、現在注目している管轄配送先の荷量を加えた値を、現在注目している管轄配送先までの荷量の累計qとする処理である。即ち、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計を、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの荷量の累計に現在注目している管轄配送先の荷量を加えた値で更新する処理である。
ステップS93は、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計に、該直前の管轄配送先と現在注目している管轄配送先の間の移動所要時間を加えた値を、配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先に至るまでの移動所要時間の累計tとする処理である。即ち、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計を、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先の直前の管轄配送先までの移動所要時間の累計に該直前の管轄配送先と現在注目している管轄配送先の間の移動所要時間を加えた値で更新する処理である。
ステップS99は、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先を、現在注目している管轄配送先とする処理である。即ち、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先へ、注目を進ませる処理である。
【0088】
上記の繰り返し処理中にステップS95での判定がNOとなった場合、換言すれば、現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目の管轄配送先から現在注目している管轄配送先iまでの荷量の累計qが、当該経路jで使用するトラックの可載容量を越えた場合には(S95でNO)、ステップS101以降へ進む。
【0089】
一方、上記の繰り返し処理中にステップS97の判定がNOとなった場合、言い換えれば、現在時点での処理対象の経路jに於ける配送拠点G−aから現在注目している管轄配送先iに至るまでの移動所要時間の累計tが、配送物品の配送許容時間Tpを越えた場合は(S97でNO)、ステップS141以降へ進む。
【0090】
ステップS101以降の処理(累計荷量オーバーの場合):
現在時点での処理対象の経路jに於ける第1番目〜第i番目の荷量の累計qが、トラックの可載容量Qを越えた場合は(S95でNO)、ステップS101以降の処理が実行される。
ステップS101は、例えば、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+1とを仮に入れ換えてみて、入換後の荷量の累計qが、現在時点での処理対象の経路jで使用するトラックの可載容量Q以下になるか否かをチェックする処理である。
その結果、入換後の荷量の累計qが、トラックの可載容量Q以下になった場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
一方、入換後の荷量の累計qが、依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合には(S103でNO)、現在注目している管轄配送先の前の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i−1と、現在注目している管轄配送先の次の管轄配送先i+1とを仮に入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
又は、現在注目している管轄配送先iと、現在注目している管轄配送先の次の次の管轄配送先IDを持つ管轄配送先i+2とを仮に入れ換えてみて、同様にチェックする(S101)。
上記チェックの結果、入換後の荷量の累計qが依然としてトラックの可載容量Qを越えている場合は(S103でNO)、管轄配送先i−2以前や、管轄配送先i+3以降について、同様にチェックを行う。なお、どの範囲まで遡ってチェックするか、及び、どの範囲まで飛び越えてチェックするかの基準、即ち、ステップS109で所定の入換チェック終了か否かを判定する基準は、システムに予め設定されているものとする。
【0091】
ステップS103で、入換後の荷量の累計qがトラックの可載容量Q以下になったと判定された場合は(S103でYES)、ステップS105に進む。
ステップS105では、配送拠点G−aを出発し、ステップS101での入換処理によって特定されるi個の管轄配送先(所属させるべき経路が確定された管轄配送先=配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻るという一巡経路の中で、移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる一巡経路(最小時間一巡経路)を求める。この処理の詳細は、後述する。
上記に於いて、i個の管轄配送先(配送宛先)とは、例えば、管轄配送先iとi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+1」の管轄配送先である。また、管轄配送先iとi+2とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−1,k+i+2」の管轄配送先である。また、管轄配送先i−1とi+1とを入れ換えた場合であれば、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i−2,k+i,k+i+1」の管轄配送先である。他の管轄配送先に関する入換を行った場合も同様である。なお、第1の一巡経路を決める処理時点では「k=0」である(ステップS87参照)。
【0092】
ステップS105で求めた移動所要時間の累計値tの最小値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合(S107でYES)、換言すれば、配送拠点G−aを出発し、ステップS101で特定されたi個の管轄配送先(配送宛先)を辿り、配送拠点G−aへ戻る一巡経路であって、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路の移動所要時間の累計値Tminiが、配送許容時間Tp以下の場合は、ステップS101で行った管轄配送先(配送宛先)の入換を採用する。具体的には、ステップS101で仮に入れ換えてみた2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換える(S111)。これにより、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,,k+i」であるi個の管轄配送先が、現在の処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)として確定される。
【0093】
こうして現在時点での処理対象の経路jに所属する管轄配送先(配送宛先)が確定すると、次に、それらi個の管轄配送先の管轄配送先IDを、移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換える(S113)。即ち、当該最小時間一巡経路でトラックがそれらi個の管轄配送先(配送宛先)を辿る順番で昇順となるように入れ換える。これにより、現在時点での処理対象の経路jでの辿り順を管轄配送先IDの昇順で管理することが可能となる。
【0094】
また、現在時点での処理対象の経路jへの所属が決まった上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S115)。
【0095】
次に、ステップS117へ進み、管轄配送先IDがk+i+1以上である各管轄配送先に関して、換言すれば、所属させるべき経路が未確定の各管轄配送先に関して、k+i+1を先頭値として順に1づつ増加する管轄配送先IDを、θの昇順に再設定する。この処理は、その時点での処理対象の経路jから見て次に確定すべき経路に関して、上記と同様にして所属させるべき管轄配送先を決め得るようにするためである。
【0096】
次に、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在時点での処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントして(=現在の処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0097】
一方、前記ステップS109で所定の入換処理が終了したと判定された場合、換言すれば、システムに予め設定されている範囲での入換チェックを全て行ったにもかかわらずi個の管轄配送先の荷量の累計qがトラックの可載容量Qを越えてしまう場合は、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させるべき管轄配送先(配送宛先)として、前記i個の場合と略同様に処理する。即ち、前記i個の場合のステップS105と同様にして移動所要時間の累計値tが最小値Tminiとなる最小時間一巡経路を求め(S121)、前記i個の場合のステップS113と同様にしてi−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを移動所要時間の累計値tが最小となる最小時間一巡経路での順番に昇順となるように入れ換え(S123)、前記i個の場合のステップS115と同様にして現在時点での処理対象の経路jへの所属が決まったi−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目に各々jを設定し(S125)、さらに、前記i個の場合のステップS119と略同様にkにk+i−1を代入する(S127)。その後、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。
【0098】
現在時点での処理対象の経路jで抽出したi個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させる場合(S111〜S117の場合)に於ける、前記ステップS111(入換の確定)やステップS117(未確定の管轄配送先のθの昇順の再設定)に対応する処理が、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先を、現在時点での処理対象の経路jに所属させる場合(S121〜S125の場合)に無い理由は、後者では管轄配送先の入換を行っていないため、必要が無いからである。
また、前記ステップS101では1個と1個を入れ換えているが、これに代えて、1個と複数個を入れ換えたり、複数個と1個を入れ換えたり、複数個と複数個を入れ換えたりするようにして、略同様に処理してもよい。
【0099】
ステップS141以降の処理(累計時間オーバーの場合):
現在時点での処理対象の経路jに於ける第i番目までの移動所要時間の累計tが、配送許容時間Tpを越えた場合には(S97でNO)、ステップS141以降の処理が実行される。
ステップS141は、入換前の一巡経路の移動所要時間の累計値Ta0として、管轄配送先IDが「k+1,k+2,k+3,,,,k+i」であるi個の管轄配送先を角度θの昇順に辿る一巡経路での移動所要時間の累計値を初期セットする処理である。なお、入換前の一巡経路とは、配送拠点G−aから管轄配送先を辿って配送拠点G−aに戻る一巡経路に於いて2個の管轄配送先の順番を入れ換える前の一巡経路をいう。
ステップS143は、入換後の一巡経路の移動所要時間の累計値を求めて、変数Tb0にセットする処理である。なお、入換後の一巡経路とは、所定の規則で決められる2個の管轄配送先を辿る順番のみを前回の順番と入れ換えた一巡経路をいう。また、所定の規則としては、例えば、角度θの差が所定値以下である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、配送拠点G−aとの間の移動所要時間の差が所定値以上である2個の管轄配送先を順番入換対象として抽出する規則、これら2つの規則の論理積として定義される規則、これら2つの規則の論理和として定義される規則、等の規則を例示することができる。この所定の規則は予めシステムにセットされているものとする。また、前回の順番とは、初回に実行されるステップS143ではi個の管轄配送先をθの昇順に辿る順番であるが、2回目以降に実行されるステップS143では必ずしもθの昇順に辿る順番というわけではない。
【0100】
ステップS145では、上記2つの変数Ta0,Tb0にセットされている値を大小比較する。その結果、「Tb0<Ta0」の場合、即ち、2つの管轄配送先の順番を入れ換えた方が移動所要時間の累計値が小さくなる場合には(S145でYES)、当該2つの管轄配送先の管轄配送先IDを入れ換えるとともに(S147)、変数Ta0の値を変数Tb0の値で更新する(S149)。
【0101】
上記ステップS143〜S149の処理を繰り返すことにより、変数Ta0には、現在時点での処理対象の経路jに関して、移動所要時間の累計値がより小さい一巡経路の移動所要時間がセットされることになる。なお、前述のステップS105やステップS121の処理は、上記ステップS143〜S149の繰り返し処理と略同様にして実行することができる。
【0102】
所定の入換チェックが終了すると(S151でYES),変数Ta0の値を配送許容時間Tpと比較し、その結果、「Ta0≦Tp」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、配送許容時間Tp以下になる場合には(S153でYES)、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S155)、上記i個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S157)。ステップS155の処理は前述のステップS113やステップS123の処理と同趣旨であり、ステップS157の処理は前述のステップS115やステップS125の処理と同趣旨である。
なお、上記ステップS153でYESの場合、直ちにステップS155へは進まず、まず、届先(「i+1」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS155の前に置くようにしてもよい。
【0103】
その後、kにk+iを代入し(=所属させるべき経路が確定した管轄配送先である配送宛先の従前の累計数kに、現在時点での処理対象の経路jに所属させることが確定した管轄配送先の個数iを加えた値で、kを更新し;S119)、さらに、jを1インクリメントし(=現在時点での処理対象の経路を次に移し;S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S131でYES)、前記ステップS89へ戻る。即ち、次の経路に関して、上記と同様に処理を実行する。
なお、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに等しくなった場合は(S131でNO)、処理を終了する。
【0104】
一方、前記ステップS153で、「Ta0>Tb0」の場合、即ち、移動所要時間の累計値が最小となるように管轄配送先を辿る一巡経路の移動所要時間の累計値が、依然として配送許容時pより大きい場合は(S153でNO)、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iを除くi−1個の管轄配送先について、前記i個の場合と略同様の処理を行う。
【0105】
即ち、前記ステップS141〜S151と略同様にステップS161〜S171の処理を実行することで、変数Ta1に、現在時点での処理対象の経路jに於いて移動所要時間の累計値が最小となる一巡経路の移動所要時間をセットする。この移動所要時間は、現在時点での処理対象の経路jで最後に抽出した管轄配送先iが除かれているため、当然ながら、配送許容時間Tp以下である。
【0106】
次に、当該一巡経路で管轄配送先を辿る順と同じ順に当該i−1個の管轄配送先の管轄配送先IDを再設定するとともに(S173)、上記i−1個の管轄配送先(配送宛先)の経路の項目(配送拠点G−aの管轄配送先別角度&荷量テーブルの経路の項目)に、各々jを設定する(S175)。ステップS173の処理は前述のステップS113やステップS123の処理と同趣旨であり、ステップS175の処理は前述のステップS115やステップS125の処理と同趣旨である。
なお、上記ステップS171でYESの場合は、直ちにステップS173へ進まず、まず、届先(「i」番目の届先等)を更に追加できるか否かをチェックして、追加できる場合(=追加しても配送許容時間とトラック可載容量の制限を満たす場合)に当該追加可能な届先を追加する処理を、上記ステップS173の前に置くようにしてもよい。
【0107】
その後、前記i個の場合のステップS119での処理と略同様にkにk+i−1を代入し(S127)。さらに、jを1インクリメントし(S129)、kが配送拠点G−aの管轄配送先の総数mに満たないことを条件として(S111でYES)、前記ステップS89へ戻る。
以上のようにして、多数の届先の中から配送拠点G−aが管轄する配送先を決定し、該決定した管轄配送先へ配送拠点G−aから所定の荷物を配送する経路を決定する処理が実現される。
【0108】
上記では、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送を行い、配送拠点G−aに戻ることについて説明したが、これに、実情に応じて、ユーザの操作入力により適宜の修正を加えて配送経路を作成し得るようにしてもよいことは勿論である。
例えば、出発時間等から見て勤務時間内に配送拠点G−aに戻り得ない場合は、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送許容時間内に配送を行って、運転者の自宅に辿り着く経路を加えてもよい。その場合、配送範囲規定時間は、前述の時間よりも長くなる。また、管轄配送先を順に抽出する走査では、配送拠点G−aから見て或る角度範囲内の管轄配送先を抽出することとなる。
また、少数の管轄配送先が他の大多数の管轄配送先から孤立した立地にあるため、当該少数の管轄配送先を上記の方法で決定する配送経路に含めることはコスト的に不利な場合等には、配送拠点G−aを出発し、1又は2以上の配送宛先(配送拠点G−aの管轄配送先の中で当該配送経路に所属が確定した管轄配送先)を順に辿りつつ配送許容時間内に配送を行って別の配送拠点G−xに辿り着き、該別の配送拠点G−xで荷物を積載して、帰路、同様に配送許容時間内の配送を行ないつつ配送拠点G−aに帰り着く経路を加えてもよい。この場合も、配送範囲規定時間は、前述の時間よりも長くなる。また、管轄配送先を順に抽出する走査では、配送拠点G−aから見て或る角度範囲内の管轄配送先を抽出することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施の形態の装置の構成と制御装置の機能を示すブロック図。
【図2】移動所要時間演算手順を示すフローチャート。
【図3】道路テーブル(a)と、単位道路テーブル(b)を例示する説明図。
【図4】届先テーブルを例示する説明図。
【図5】距離時間テーブル(a)と、その適用種別テーブル(b)を例示する説明図。
【図6】地点間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図7】距離地図をメッシュ(単位距離走行に必要な単位所要時間が各々設定されている単位領域;図内の破線で囲まれた各小領域)に区分する様子を示す説明図。
【図8】図7内A地点〜B地点間の時間距離(=移動所要時間)を算出する手法の説明図。
【図9】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値として立地間隔上限距離を採用した場合を示す。
【図10】配送拠点候補の組み合わせの中から配送拠点候補数が最小となる組み合わせを求める手法を示す説明図。配送拠点候補の立地間隔上限値として立地間隔上限時間を採用した場合を示し、(a)は時間地図表現、(b)は(a)から変換した距離地図表現を示す。
【図11】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの一部。
【図12】配送拠点立地決定手順を示すフローチャートの残部。
【図13】周長を配送許容時間Tpに合致させて成る配送経路円Pcに基づいて決める場合の配送範囲規定時間円Tgの説明図。
【図14】配送拠点Gの配送範囲規定時間円Tg内に分布する管轄配送先を仮想線rgの所定方向への回転走査により順に漏れなく抽出する様子を示す説明図。
【図15】図14で抽出した各管轄配送先D1,D2,D3,,,へ配送拠点Gから物品を届けるための配送経路を決める様子を示す説明図。
【図16】配送拠点G−aの管轄配送先と配送経路を決める様子を、距離地図(a)と時間地図(b)を対照して示す説明図。
【図17】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図18】配送所属9配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図19】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図20】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図21】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの一部。
【図22】配送所属・配送経路決定手順を示すフローチャートの残部。
【図23】配送拠点G−aの管轄配送先間所要時間テーブルを例示する説明図。
【図24】配送拠点−届先間の所要時間&角度テーブル(a)と、配送拠点G−aの管轄配送先管理テーブル(b)を例示する説明図。
【図25】物品をサイズに基づいて分類してモデル容積と容積膨張率を対応付けるサイズ分類テーブル(a)と、物品を配送許容時間に基づいて分類して配送許容時間を対応付ける配送時間分類テーブル(b)と、を例示する説明図。
【図26】物品毎にサイズ分類IDと配送時間分類IDを持つ物品テーブル(a)と、トラック毎に所属先の配送拠点を示す配送拠点IDと可載容量を持つトラックテーブル(b)と、を例示する説明図。
【符号の説明】
【0110】
10 制御装置
11 配送拠点立地決定機能
12 配送所属決定機能
13 配送経路決定機能
14 移動所要時間演算機能
18 物流コスト演算機能
19 物流コスト対照機能
20 補助記憶装置(ハードディスク等)
30 RAM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、
配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、
前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、
前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記経路時間演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で移動所要時間の総和が最小である一巡経路上での移動所要時間の総和を前記一巡経路所要時間とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間が前記配送許容時間を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項4】
配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、
配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、
前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、
物品配送時の単位数量当たりの容積である単位容積を各配送対象物品についてそれぞれ保持している単位容積記憶手段を更に有し、
前記経路荷量演算手段は、管轄配送先宛ての物品の数量と当該物品の単位容積に基づいて当該管轄配送先宛ての物品容積を得る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に於いて、
前記経路荷量演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で物品容積の総和が最小である一巡経路上での物品容積の総和を前記一巡経路総荷量とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6の何れかに於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量が前記可載容量を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項1】
配送拠点及び該配送拠点が管轄する届先である複数の管轄配送先を含む地点群について各2地点間の移動所要時間を保持している所要時間記憶手段と、
配送対象物品の配送許容時間を保持している許容時間記憶手段と、
前記配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と管轄配送先を結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上にて隣接する各2地点間の移動所要時間の総和に基づいて一巡経路の巡回に要する一巡経路所要時間を求める経路時間演算手段と、
前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間を前記配送許容時間と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路時間演算手段により一巡経路所要時間を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記経路時間演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で移動所要時間の総和が最小である一巡経路上での移動所要時間の総和を前記一巡経路所要時間とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路時間演算手段により求めた一巡経路所要時間が前記配送許容時間を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項4】
配送に用いる輸送手段の可載容量を保持している可載容量記憶手段と、
配送拠点を通る仮想の方位基準線に対して該配送拠点と該配送拠点が管轄する届先である管轄配送先とを結ぶ方位線が成す方位角を各管轄配送先についてそれぞれ保持している方位角記憶手段と、
前記方位角の昇順に管轄配送先を抽出する配送先抽出手段と、
前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を漏れ無く重複無く辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路上に存在する各管轄配送先宛ての物品容積の総和に基づいて一巡経路総荷量を求める経路荷量演算手段と、
前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量を前記輸送手段の可載容量と比較して該比較結果に基づいて前記配送先抽出手段の抽出操作を区切る抽出制御手段と、
前記抽出制御手段により区切られた各区間について前記経路荷量演算手段により一巡経路総荷量を求めた一巡経路を当該区間の一巡経路とする一巡経路決定手段と、
を有することを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、
物品配送時の単位数量当たりの容積である単位容積を各配送対象物品についてそれぞれ保持している単位容積記憶手段を更に有し、
前記経路荷量演算手段は、管轄配送先宛ての物品の数量と当該物品の単位容積に基づいて当該管轄配送先宛ての物品容積を得る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に於いて、
前記経路荷量演算手段は、前記配送拠点を出発して前記配送先抽出手段により抽出した管轄配送先を前記方位角の昇順に辿り前記配送拠点へ戻る一巡経路を一巡経路の第1候補とし、該第1候補について一巡経路上の2地点の辿り順を入れ換えることで一巡経路の複数の候補を作成し、それらの中で物品容積の総和が最小である一巡経路上での物品容積の総和を前記一巡経路総荷量とする、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【請求項7】
請求項4〜請求項6の何れかに於いて、
前記抽出制御手段は、前記経路荷量演算手段により求めた一巡経路総荷量が前記可載容量を越えた場合に、越える直前に抽出した管轄配送先までを直前の区間に含めるように抽出操作を区切る、
ことを特徴とする配送経路作成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−79478(P2006−79478A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−264752(P2004−264752)
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503092021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503092021)
【Fターム(参考)】
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