説明

酵素処理ローヤルゼリーの安定化

【課題】褐色変化を伴う変質が有意に抑制された酵素処理ローヤルゼリーを提供する。
【解決手段】 ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後にガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加し、必要であればさらに凍結乾燥することで、着色が抑制された安定化酵素処理ローヤルゼリー組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色が抑制されてなる酵素処理ローヤルゼリー組成物及びその製造方法に関する。また、本発明は酵素処理ローヤルゼリーについて経時的に生じる着色を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ローヤルゼリーは、有用な天然素材であるが、一方でアレルギー反応を引き起こす場合があることが知られている。
【0003】
低アレルゲン化ローヤルゼリーとしては、ローヤルゼリーに、糖分解酵素処理及び蛋白質分解酵素処理を施すことにより、実質的に発現されない程度にアレルギー性を低減させた、いわゆる低アレルゲン化ローヤルゼリー(酵素処理ローヤルゼリー)が知られている(特許文献1参照)。また特許文献2には、エンド型中性ペプチダーゼを用いてローヤルゼリーを処理することで、ローヤルゼリーのアレルギー性を低減させることが開示されている。
【0004】
しかし、ペプチダーゼ処理により低アレルゲン化された酵素処理ローヤルゼリーは、酵素処理していないローヤルゼリーと比べて温度や湿度の影響を受けやすく、加温や加湿条件などの過酷条件下で着色して褐色化が進行する。かかる着色は、酵素分解によって断片化されたペプチドやアミノ酸のアミド基と還元糖のアノメリック炭素との間に起こるメイラード反応によるものと考えられる。
【特許文献1】特開2002−112715号公報
【特許文献2】特開2005−287411号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーを含みながらも着色が抑制されてなる酵素処理ローヤルゼリー組成物、特に凍結乾燥された酵素処理ローヤルゼリー組成物を提供することを目的とする。また本発明は、かかる着色が抑制されてなる酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
さらに本発明は、酵素処理ローヤルゼリーについて着色を抑制する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
酵素処理されていないローヤルゼリーは、保存時や凍結乾燥時の着色があまり問題にならないが、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーは、温度や湿度の影響を受けやすく、特に保存時または凍結乾燥により着色するという問題がある。
【0008】
理論により拘束されることはないが、本発明者らは酵素処理ローヤルゼリーの着色化、すなわち安定性の低下について以下のように考える。
【0009】
ローヤルゼリーをペプチダーゼ処理するとそれに含まれるタンパク質が加水分解されて、アミノ酸やペプチドが生成する。アミノ酸やペプチドのアミノ基は還元糖のアノメリック炭素と非酵素的な反応、いわゆるメイラード反応を起こし、褐色物質を生み出す。メイラード反応は食品工業において、食品の加工や貯蔵の際に生じる、製品の着色、香気成分の生成、抗酸化性成分の生成等に関わる反応であり、よい意味でも悪い意味でも重要視される。かかるメイラード反応は、常温でも進行するが、加熱によって短時間で進行することが知られている。また、メイラード反応には、熱とともにpHや水分(湿度)も関与因子となることが知られている。
【0010】
本発明者らは、上記問題の解決を目指して、すなわちペプチダーゼ処理した酵素処理ローヤルゼリーの着色を防止するために研究を重ねた結果、酵素処理ローヤルゼリーをガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、またはキサンタンガムとの共存下におくことで、その経時的着色または凍結乾燥による着色が有意に防止できること、特に、酵素処理ローヤルゼリーをガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、またはキサンタンガムの存在下で凍結乾燥することで、当該凍結乾燥物の経時的な着色が有意に防止できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
本発明には、以下の実施態様が含まれる。
(I)酵素処理ローヤルゼリー組成物
(I-1).ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種と、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーを含む、酵素処理ローヤルゼリー組成物。
(I-2).酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(I-1)に記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物。
(I-3).酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(I-1)に記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物。
(I-4).前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(I-1)〜(I-3)のいずれかに記載の酵素処理ローヤルゼリー組成物。
(I-5).前記酵素処理ローヤルゼリー組成物が凍結乾燥物である、(I-1)〜(I-4)のいずれかに記載の酵素処理ローヤルゼリー組成物。
【0012】
(II)酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法
(II-1).ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後に、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加することを特徴とする、(I-1)〜(I-5)のいずれかに記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法。
(II-2).ペプチダーゼ処理が、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用によりローヤルゼリーを加水分解する処理である、(II-1)に記載する製造方法。
(II-3).ペプチダーゼ処理が、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用によりローヤルゼリーを加水分解する処理である、(II-1)に記載する製造方法。
(II-4).前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(II-1)〜(II-3)のいずれかに記載する製造方法。
(II-5).ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーにガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加して、凍結乾燥処理することを特徴とする、(I-5)に記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法。
(II-6).酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(II-5)に記載する製造方法。
(II-7).酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(II-5)に記載する製造方法。
(II-8).前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(II-6)または(II-7)に記載する製造方法。
【0013】
(III)酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法
(III-1).ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後にガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加し、酵素処理ローヤルゼリーを上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下におくことを特徴とする、酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法。
(III-2).上記ペプチダーゼ処理が、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用によりローヤルゼリーを加水分解する処理である、(III-1)に記載する着色抑制方法。
(III-3).上記ペプチダーゼ処理が、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用によりローヤルゼリーを加水分解する処理である、(III-1)に記載する着色抑制方法。
(III-4).前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(III-1)〜(III-3)のいずれかに記載する着色抑制方法。
(III-5).ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーに、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加して、酵素処理ローヤルゼリーと上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下で凍結乾燥処理することを特徴とする、酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法。
(III-6).上記酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(III-5)に記載する着色抑制方法。
(III-7).上記酵素処理ローヤルゼリーが、ペプチダーゼのエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用により加水分解されたローヤルゼリーである、(III-5)に記載する着色抑制方法。
(III-8).前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種、好ましくはローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(III-6)または(III-7)に記載する着色抑制方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アレルギー性の低減による安全性の向上を実現しつつ、ペプチダーゼ分解によって生じるアミノ基とカルボキシル基に起因する安定性の低下、特にアミノ基に起因するメイラード反応による着色化が抑制された、酵素処理ローヤルゼリー組成物、およびその製造方法を提供することができる。
【0015】
また本発明によれば、ペプチダーゼ処理によって低アレルゲン化された酵素処理ローヤルゼリーについて、凍結乾燥などの処理による着色または保存による経時的な着色を有意に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(1)酵素処理ローヤルゼリー組成物及びその製造方法
本発明の酵素処理ローヤルゼリー組成物は、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種と、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーを含むことを特徴とする。当該酵素処理ローヤルゼリー組成物は、酵素処理ローヤルゼリー中での褐色物質の生成が抑制されて、褐色化の進行が抑えられており、その意味で経時的に安定化している。
【0017】
ローヤルゼリーは、蜜蜂のうち日齢3〜12日の働き蜂が下咽頭腺及び大腮腺から分泌する分泌物を混合して作る乳白色のゼリー状物質である。ローヤルゼリー中の主な生理活性成分としては、例えば、ローヤルゼリーに特有な10−ハイドロキシデセン酸(以下、「デセン酸」と記載する)等の有機酸類をはじめ、蛋白質、脂質、糖類、ビタミンB類や葉酸、ニコチン酸、パントテン酸等のビタミン類、各種ミネラル類等が挙げられる。このローヤルゼリーの生理活性や薬理作用としては、抗菌作用、免疫増強作用、抗うつ作用、抗腫瘍作用、抗炎症作用、血流量増加作用等が知られている。また、制癌剤の副作用低減や放射線傷害時の延命効果も報告されている。
【0018】
酵素処理ローヤルゼリーの製造に用いられるローヤルゼリーとしては、制限されないが、生ローヤルゼリー又は生ローヤルゼリーを乾燥させて粉末化したローヤルゼリー粉末を使用することができる。ローヤルゼリーの産地は、制限されず、日本、中国、ブラジル、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国、アメリカ等のいずれであってもよい。
【0019】
本発明が対象とする酵素処理ローヤルゼリーは、ローヤルゼリーをタンパク質分解酵素(ペプチダーゼ)で処理したものである。好ましくは、ペプチダーゼ処理によってローヤルゼリーに含まれるタンパク質に起因するアレルギー反応が抑制されてなる、低アレルゲン化酵素処理ローヤルゼリーである。したがって、本発明の酵素処理ローヤルゼリーには、ローヤルゼリー中に含まれるタンパク質のペプチダーゼ分解物の他に、前述するデセン酸等の有機酸類、脂質、糖類、ビタミン類、および各種ミネラル類が含まれ得る。
【0020】
ローヤルゼリーを酵素処理するのに使用される酵素としては、ペプチダーゼを好適に挙げることができる。使用されるペプチダーゼは、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の少なくとも一方を有していればよいが、好ましくは少なくともエンドペプチダーゼ作用を有するもの、より好ましくはこれら両方の作用を有するものである。
【0021】
本発明の酵素処理ローヤルゼリーは、好ましくはローヤルゼリーに含まれるタンパク質を加水分解して低アレルゲン化されたものである。このためには、ローヤルゼリーを、少なくともエンドペプチダーゼ作用を有するペプチダーゼ(エンドペプチダーゼ)を用いて、好ましくはエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有するペプチダーゼを用いて、加水分解することが好ましい。ここで、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方を有するペプチダーゼとして、これら両方の作用を同時に有するペプチダーゼを単独で使用してもよいし、またエンドペプチダーゼ作用を有するペプチダーゼ(エンドペプチダーゼ)とエキソペプチダーゼ作用を有するペプチダーゼ(エキソペプチダーゼ)とを組み合わせて使用してもよい。
【0022】
本発明で使用することができるエンドペプチダーゼとしては、少なくともエンドペプチダーゼ活性を有する蛋白質分解酵素であれば如何なるものであってもよい。例えば、動物由来(例えば、トリプシン、キモトリプシン等)、植物由来(例えば、パパイン等)、又は微生物由来(例えば、乳酸菌、酵母、カビ、枯草菌、放線菌等)のエンドペプチダーゼを広く例示することができる。
【0023】
エキソペプチダーゼとしては、少なくともエキソペプチダーゼ活性を有する蛋白質分解酵素であれば如何なるものであってもよい。例えば、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ、若しくは微生物由来(例えば、乳酸菌、アスペルギルス属菌、リゾープス属菌等)のエキソペプチダーゼ、又はエンドペプチダーゼ活性も併せて有するパンクレアチン、ペプシン等を例示することができる。
【0024】
ところでペプチダーゼには、実質的にエキソペプチダーゼ作用のみを有するエキソペプチダーゼ、実質的にエンドペプチダーゼ作用のみを有するエンドペプチダーゼ、並びにエキソペプチダーゼ作用とエンドペプチダーゼ作用の両方を有するペプチダーゼが存在する。これらのうち、エキソペプチダーゼ作用とエンドペプチダーゼ作用の両方を有する酵素は、エンドペプチダーゼ作用が強力な場合には「エンドペプチダーゼ」として使用可能であり、エキソペプチダーゼ作用が強力な場合には「エキソペプチダーゼ」として使用可能であり、エキソペプチダーゼ作用とエンドペプチダーゼ作用が同等またはほぼ同等の場合には、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用を同時に有するペプチダーゼとして使用可能である。
【0025】
このようなペプチダーゼのうち、エキソペプチダーゼ作用とエンドペプチダーゼ作用の両方を有するペプチダーゼの好ましい例としては、例えばストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)産生ペプチダーゼ(商品名:アクチナーゼAS)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus orizae)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼA、フレーバーザイム)、アスペルギルス・メレウス(Aspergillus melleus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼP)が、またエキソペプチダーゼ作用を有する酵素の好ましい例としては、例えばアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus orizae)産生ペプチダーゼ(商品名:ウマミザイムG、Promod 192P、Promod 194P、スミチームFLAP)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)産生ペプチダーゼ(商品名:Sternzyme B15024)、アスペルギルス属産生ペプチダーゼ(商品名:コクラーゼP)、リゾプス・オリゼー(Rhizopus oryzae)産生ペプチダーゼ(商品名:ペプチダーゼR)を挙げることができる。
【0026】
さらにエンドペプチダーゼ作用を有するペプチダーゼの好ましい例としては、例えばバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)産生ペプチダーゼ(商品名:オリエンターゼ22BF、ヌクレイシン)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)産生ペプチダーゼ(商品名:アルカラーゼ)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)産生ペプチダーゼ(商品名:プロテアーゼS)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)産生ペプチダーゼ(商品名:ニュートラーゼ)、バチルス属産生ペプチダーゼ(商品名:プロタメックス)を挙げることができる。
【0027】
ローヤルゼリーに対するペプチダーゼの使用量は、使用するローヤルゼリー濃度、酵素力価、反応温度及び反応時間により異なるが、一般的には、ローヤルゼリーに含まれる蛋白質1g当り50〜10000作用単位の割合でペプチダーゼを用いることが好ましい。尚、このとき、ペプチダーゼのローヤルゼリーへの添加は、一度に添加してもよく、少量ずつ分割して添加してもよい。
【0028】
ペプチダーゼ処理に際してローヤルゼリーのpHは、使用酵素の至適pHに対応して、pH2〜12、好ましくはpH7.5〜10、より好ましくはpH7.8〜9の範囲から選択される。具体的には、前記ローヤルゼリーにペプチダーゼを添加する前に、使用酵素の種類によりpH2〜12、好ましくはpH7.5〜10、より好ましくはpH7.8〜9の範囲内になるように、酸、アルカリ剤、あるいは緩衝剤の添加により所望のpHに調整される。この場合、酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸などを;アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等を;また、緩衝剤としては、リン酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤などをそれぞれ例示することができる。
【0029】
ペプチダーゼ処理の温度は、特に制限はなく、ペプチダーゼ作用、好ましくはエンドペプチダーゼ作用、より好ましくはエンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両作用が発現する最適温度範囲を含む、実用に供せられ得る範囲、即ち、通常30〜70℃の範囲から選択される。温度をペプチダーゼの至適温度(好ましくは約40〜50℃)より低温又は高温、例えば50〜60℃の範囲に維持することによりペプチダーゼ処理工程での腐敗を防止することもできる。ペプチダーゼ処理の時間は、使用酵素の種類、反応温度、pH等の反応条件に依存し、特に限定されない。
【0030】
ペプチダーゼ処理の停止は、ペプチダーゼを失活又は除去することにより行う。失活操作は加熱処理(例えば、85℃で15分間等)により行うことができる。
【0031】
本発明における酵素処理ローヤルゼリーは、少なくとも前述するようにペプチダーゼで処理したローヤルゼリーであればよく、ペプチダーゼ処理だけでなく、その他の酵素との組み合わせ処理、例えばペプチダーゼ処理とあわせて糖分解酵素処理したローヤルゼリーも含まれる。
【0032】
本発明において使用されるガラクトマンナンとは、D-ガラクトースとD-マンノースから構成される多糖を広く意味する。具体的には、ガラクトマンナンは、β−1,4結合したマンノース残基の主鎖(マンナン)にガラクトース残基が側鎖としてα−1,6結合した構造を有する。なお、マンノース残基とガラクトース残基の割合は特に制限されない。
【0033】
また本発明ではガラクトマンナンに代えて、またはこれと組み合わせて、ガラクトマンナンを含む多糖類を使用することもできる。当該多糖類としては、好適にはガラクトマンナンを主成分とする多糖類、具体的には、ローカストビーンガム、グアガム、タラガム、およびフェヌグリークガムなどが例示される。好ましくはローカストビーンガム、タラガム、およびフェヌグリークガムであり、より好ましくはローカストビーンガムである。なお、これらの多糖類は単独で、または2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
【0034】
本発明が対象とするガラクトマンナンを含む多糖類には、ガラクトマンナンおよびその構成糖であるD-ガラクトースとD-マンノース以外に、例えばD-グルコース等の、他の糖を含む多糖類が含まれる。この場合、50%程度以上の割合で上記ガラクトマンナンを含み、残りの成分としてD-ガラクトースと、D-マンノースとそれ以外の糖を包含する多糖類であっても良い。
【0035】
また本発明においては、上記ガラクトマンナンやガラクトマンナンを含む多糖類に代えて、またはガラクトマンナンやガラクトマンナンを含む多糖類の少なくとも1種と組み合わせて、キサンタンガムを用いることもできる。
【0036】
本発明の酵素処理ローヤルゼリー組成物に含まれる上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類およびキサンタンガムの割合は、酵素処理ローヤルゼリー組成物中に含まれる酵素処理ローヤルゼリー100重量部あたり、これらの総量として、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜10重量部程度、より好ましくは2〜5重量部程度である。かかる成分の配合量が少なすぎると酵素処理ローヤルゼリーの安定性、特に着色抑制性が低下する。
【0037】
本発明の酵素処理ローヤルゼリー組成物は、上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を、ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前後、または同時に添加することによって製造することができる。好ましくは、ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理後、すなわち酵素処理ローヤルゼリーに添加混合することによって製造される。
【0038】
本発明の酵素処理ローヤルゼリー組成物は、その形態を特に制限せず、液状でも固体状でもよいが、凍結乾燥形態を有することが好ましい。当該凍結乾燥物は、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を、ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前後、または同時に、好ましくはペプチダーゼ処理後の酵素処理ローヤルゼリーに添加混合し、次いでこれを凍結乾燥処理に供することによって調製することができる。なお、凍結乾燥処理は定法に従って行うことができる。
【0039】
斯くして調製される本発明の酵素処理ローヤルゼリー組成物は、ドリンク剤、シロップ剤などの液剤の形態であってもよく、凍結乾燥物(例えば凍結乾燥粉末)、あるいはこれに適当な添加剤を加えてタブレット、チュアブル錠、カプセル、顆粒などの形態としてもよい。
【0040】
(2)酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法
本発明の酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法は、ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後にガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加し、酵素処理ローヤルゼリーを上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下におくことによって実施することができる。
【0041】
ここで対象とするローヤルゼリー、使用するペプチダーゼの種類やペプチダーゼ処理、ならび使用するガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムについては、(1)に前述の通りである。
【0042】
また、酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法は、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーに、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加して、酵素処理ローヤルゼリーと上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下で凍結乾燥処理することによっても実施することができる。当該方法によって得られる凍結乾燥物は、酵素処理ローヤルゼリーを着色抑制した状態で含む本発明において好適な酵素処理ローヤルゼリー組成物である。凍結乾燥処理も(1)に記載する方法で実施することができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例および実験例により詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
【0044】
実施例1
中国産生ローヤルゼリー200gを500mLビーカーに量りとり、イオン交換水100 mLを加えて均一になるまで攪拌してローヤルゼリー希釈液を調製した。これに2N NaOH水溶液を加えてローヤルゼリー希釈液のpHを8.7〜8.9に調整した。次に、アクチナーゼAS(科研製薬)2gをイオン交換水20mLに溶かした溶液を上記のローヤルゼリー希釈液に加え、さらにイオン交換水を、イオン交換水の全量が200mLになるように加えた。反応混合物をプロペラで撹拌しながら50℃(恒温水槽)で4時間反応させて、加水分解を行った。次いで恒温水槽の温度を80℃に上げて酵素を失活させた後、水冷し、酵素処理ローヤルゼリー(溶液)を得た。この酵素処理ローヤルゼリー50g(固形換算)に下記に示す処方に従って、ローカストビーンガムを2gおよび結晶セルロースを4g加えて均一になるまで攪拌した。これを凍結乾燥し、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を得た。
【0045】
(処方)
酵素処理ローヤルゼリー 50g
ローカストビーンガム 2g
結晶セルロース 4g。
【0046】
実施例2
中国産生ローヤルゼリー500gを2000mLビーカーに量りとり、イオン交換水250 mLを加えて均一になるまで攪拌してローヤルゼリー希釈液を調製した。これに2N NaOH水溶液を加えてローヤルゼリー希釈液のpHを8.6〜8.9に調整した。次に、アクチナーゼAS(科研製薬)5gをイオン交換水50mLに溶かした溶液を上記のローヤルゼリー希釈液に加え、さらにイオン交換水を、イオン交換水の全量が500mLになるように加えた。反応混合物をプロペラで撹拌しながら50℃(恒温水槽)で4時間反応させて、加水分解を行った。次いで、恒温水槽の温度を80℃に上げて酵素を失活させた後、水冷し、酵素処理ローヤルゼリー(溶液)を得た。この酵素処理ローヤルゼリー100mLを300mLビーカーに量りとり、これに、下記に示す処方に従って、ローカストビーンガムを0.64gおよび結晶セルロースを1.27g加えて均一になるまで攪拌した。これを凍結乾燥し、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を得た。
【0047】
(処方)
酵素処理ローヤルゼリー溶液 100mL
ローカストビーンガム 0.64g
結晶セルロース 1.27g。
【0048】
実施例3
生ローヤルゼリーを実施例1と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー50g(固形換算)に、ローカストビーンガムに代えてキサンタンガム2gを用いて、実施例1と同様にして酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0049】
実施例4
生ローヤルゼリーを実施例2と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー(溶液)100mLに、ローカストビーンガムに代えてキサンタンガム0.64gを用いて、実施例2と同様にして、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0050】
実施例5
生ローヤルゼリーを実施例1と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー50g(固形換算)に、ローカストビーンガムに代えてタラガム2gを用いて、実施例1と同様にして酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0051】
実施例6
生ローヤルゼリーを実施例2と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー(溶液)100mLに、ローカストビーンガムに代えてタラガム0.64gを用いて、実施例2と同様にして、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0052】
実施例7
生ローヤルゼリーを実施例1と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー50g(固形換算)に、ローカストビーンガムに代えてフェヌグリークガム2gを用いて、を実施例1と同様にして、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0053】
実施例8
生ローヤルゼリーを実施例2と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー(溶液)100mLに、ローカストビーンガムに代えてフェヌグリークガム0.64gを用いて、実施例2と同様にして、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)を調製する。
【0054】
比較例1
生ローヤルゼリーを実施例1と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー50g(固形換算)を、ローカストビーンガムと結晶セルロースを加えることなく、実施例1と同様に凍結乾燥処理して、酵素処理ローヤルゼリー(凍結乾燥物)(以下、これを「無添加群1」と指称する)を調製した。
【0055】
比較例2
生ローヤルゼリーを実施例2と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー(溶液)100mLを、ローカストビーンガムと結晶セルロースを加えることなく、実施例2と同様に凍結乾燥処理して、酵素処理ローヤルゼリー(凍結乾燥物)(以下、これを「無添加群2」と指称する)を調製した。
【0056】
比較例3
生ローヤルゼリーを実施例2と同様に処理して、得られた酵素処理ローヤルゼリー(溶液)100mLに、ローカストビーンガムは加えず結晶セルロースだけを1.27g加えて、実施例2と同様に凍結乾燥処理して、酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥物)(以下、これを「セルロース群」と指称する)を調製した。
【0057】
実験例1
実施例1で調製したローカストビーンガム入り酵素処理ローヤルゼリー組成物(凍結乾燥品)と、比較例1で調製した酵素処理ローヤルゼリー(凍結乾燥物)(無添加群1)を、それぞれ「37℃、気密条件」および「37℃、湿度75%RH条件」の両条件下に28日間放置し、着色の程度を目視で経時的に観察することにより、安定性(着色抑制性)を評価した。なお、「37℃、気密条件」には、ネジ蓋付サンプル瓶の蓋を閉めて気密状態にし、温度を37℃に調整することで、また「37℃、湿度75%RH条件」には、恒温恒湿器を利用して調整した。
【0058】
結果を表1に示す。その結果、表1に示すように、酵素処理ローヤルゼリーにローカストビーンガムを配合して、ローカストビーンガム入りの酵素処理ローヤルゼリー組成物とすることで、酵素処理ローヤルゼリーの着色化が抑えられることが判明した。
【0059】
【表1】

【0060】
上記の着色度を示す色を印刷業界で汎用使用されている、印刷用カラーチャート(CMYKチャート)に基づいた色彩スケールで評価すると、以下のようになる。
【0061】
色彩表記は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BL)の4種類で行い、それぞれのアミ点濃度割合(%)を示した。
−(乳白色):C0+M0+Y20+BL0 〜C0+M5+Y20+BL0
±(乳黄色):C0+M20+Y50+BL20
+(橙褐色):C0+M30+Y50+BL10〜C0+M40+Y70+BL10
++(褐色):C0+M60+Y50+BL20〜C0+M60+Y70+BL20
+++(黒褐色):C70+M70+Y50+BL30
++++(黒色):C100+M100+Y50+BL30。
【0062】
実験例2
実施例2,4,6,および8で調製した酵素処理ローヤルゼリー組成物、ならびに比較例2で調製した酵素処理ローヤルゼリー(無添加群2)および比較例3で調製した酵素処理ローヤルゼリー組成物(セルロース群)(以上いずれも凍結乾燥物)を、下記の方法に従って設定した「40℃、湿度54%RH」の条件下に放置し、24時間後に上記各凍結乾燥物の色調を測定し、色調の変化を判定することで、安定性(着色抑制性)を評価した。
【0063】
<40℃、湿度54%RH条件>
臭化ナトリウム(150g)に精製水100mlを加えて飽和溶液としたものをデシケーター内に入れ、デシケーターを40℃の恒温器に入れて48時間加温した。湿度は簡易温湿度計を用いて54%RHになるように調整した。
【0064】
なお、各凍結乾燥物の色調測定および判定は、以下の装置、測定条件および方法にて行った。
(1)測定装置
紫外可視吸光度計: 日本分光 V−660
積分球ユニット : 日本分光 PSC-718
使用ソフト : 日本分光 色彩計算プログラム
(2)測定条件
光源 : 重水素ランプ、ハロゲンランプ
測定波長 : 800-200 nm
データ間隔 : 1 nm
(3)色調変化の判定方法
粉末の状態で紫外可視吸光光度計(日本分光V-660+積分球ユニットPSC-718)にて紫外・可視スペクトル(180〜800nm)測定し、付属のソフトウェア(色彩計算プログラム)にてL*a*b*表色系に変換する(計算式の出典JIS Z8729−2004参照)。斯くして得られる、明度の減少量(−△L*)、赤色の増加量(△a*)、および黄色の増加量(△b*)の3要素について、色調変化を判定した。色調変化の判定は、下式に従って、着色抑制率(%)を算出することで行った。
【0065】
【数1】

【0066】
実施例2の酵素処理ローヤルゼリー組成物および比較例2の酵素処理ローヤルゼリー(無添加群2)に関する結果を表2に、比較例1の酵素処理ローヤルゼリー組成物(セルロース群)および比較例2の酵素処理ローヤルゼリー(無添加群2)に関する結果を表3に示す。また表2に関して、明度の減少量(−△L*)、赤色の増加量(△a*)、および黄色の増加量(△b*)の3要素毎にグラフ化したものを、それぞれ図1、図2および図3に示す。なお、明度の減少量(−△L*)、赤色の増加量(△a*)、および黄色の増加量(△b*)はいずれも小さい方が、着色が抑制されていることを意味する。
【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
これらの結果からわかるように、酵素処理ローヤルゼリーにローカストビーンガムを配合して、ローカストビーンガム入りの酵素処理ローヤルゼリー組成物とすることで、酵素処理ローヤルゼリーの着色化が抑えられることが判明した。
【0070】
また、実施例2,4,6,および8で調製した酵素処理ローヤルゼリー組成物、ならびに比較例2で調製した酵素処理ローヤルゼリー(無添加群2)および比較例3で調製した酵素処理ローヤルゼリー組成物(セルロース群)(以上いずれも凍結乾燥品)について、明度の減少量(−△L*)、赤色の増加量(△a*)、および黄色の増加量(△b*)の3要素から、下式に従って色差(△E*ab)を算出し、当該色差から着色抑制率(%)を求めて、色調変化(着色抑制性)を評価した。
【0071】
【数2】

【0072】
結果を表4、図4〜6に示す。
【0073】
【表4】

【0074】
これらの結果からわかるように、酵素処理ローヤルゼリーにローカストビーンガム、タラガムおよびフェヌグリークガムといったガラクトマンナンを含む多糖類、またはキサンタンガムを配合して、多糖類入りの酵素処理ローヤルゼリー組成物とすることで、酵素処理ローヤルゼリーの着色化が抑えられることが判明した。またこの結果から、酵素処理ローヤルゼリーの着色化の抑制に、ローカストビーンガム、タラガムおよびフェヌグリークガムといったガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムが共通して有効であること、すなわち酵素処理ローヤルゼリーの着色化の抑制にガラクトマンナン、およびキサンタンガムが有効であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施例2の酵素処理ローヤルゼリー組成物(実施例2組成物)および比較例2の酵素処理ローヤルゼリー(無添加群2)について、保存(40℃、54%RH、24時間)後の「明度の減少量(−△L*)」を示す図である(実験例2)。
【図2】実施例2組成物と無添加群2について、保存(40℃、54%RH、24時間)後の「赤色の増加量(△a*)」を示す図である(実験例2)。
【図3】実施例2組成物と無添加群2について、保存(40℃、54%RH、24時間)後の「黄色の増加量(△b*)」を示す図である(実験例2)。
【図4】保存(40℃、54%RH、24時間)後の「明度の減少量(−△L*)」を、実施例2,4,6,8および比較例2および3の組成物について対比した図である(実験例2)。
【図5】保存(40℃、54%RH、24時間)後の「赤色の増加量(△a*)」を、実施例2,4,6,8および比較例2および3の組成物について対比した図である(実験例2)。
【図6】保存(40℃、54%RH、24時間)後の「黄色の増加量(△b*)」を、実施例2,4,6,8および比較例2および3の組成物について対比した図である(実験例2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種と、ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーを含む、酵素処理ローヤルゼリー組成物。
【請求項2】
酵素処理ローヤルゼリーが、エンドペプチダーゼ作用とエキソペプチダーゼ作用の両方の作用により加水分解されたローヤルゼリーである、請求項1に記載の酵素処理ローヤルゼリー組成物。
【請求項3】
前記ガラクトマンナンを含む多糖類が、ローカストビーンガム、タラガム及びフェヌグリークガムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の酵素処理ローヤルゼリー組成物。
【請求項4】
前記組成物が凍結乾燥物である、請求項1〜3のいずれかに記載の酵素処理ローヤルゼリー組成物。
【請求項5】
ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後にガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法。
【請求項6】
ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーにガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加して、凍結乾燥処理することを特徴とする、請求項4に記載する酵素処理ローヤルゼリー組成物の製造方法。
【請求項7】
ローヤルゼリーのペプチダーゼ処理の前、同時または後にガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加し、酵素処理ローヤルゼリーを上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下におくことを特徴とする、酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法。
【請求項8】
ペプチダーゼで処理された酵素処理ローヤルゼリーに、ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種を添加して、酵素処理ローヤルゼリーと上記ガラクトマンナン、ガラクトマンナンを含む多糖類、およびキサンタンガムからなる群から選択される少なくとも1種との共存下で凍結乾燥処理することを特徴とする、酵素処理ローヤルゼリーの着色抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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