説明

酸化ジルコニウム微粉末とその製造方法とそれを含む樹脂組成物

【課題】微細な平均粒子径と高い比表面積を有し、しかも、比表面積との間に比例関係が成り立つ吸油量を有し、かくして、高い実効表面積を有して、樹脂への分散性にすぐれる酸化ジルコニウム微粉末とその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、30nm以下の平均粒子径と35m2/gよりも大きい比表面積と40mL/100gよりも大きい吸油量を有する酸化ジルコニウム微粉末が提供される。
このような酸化ジルコニウム微粉末は、例えば、クエン酸のような処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、次いで、これを再度、水性スラリーとし、これに、例えば、ホウ酸ナトリウムのような処理剤を加え、得られた水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高比表面積を有しながら、吸油量との間に比例関係を保持しており、従って、高い実効表面積を有して、樹脂への分散性にすぐれる酸化ジルコニウム微粉末とその製造方法に関する。本発明は、更に、そのような酸化ジルコニウム微粉末を樹脂に配合してなるすぐれた透明性を有する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高い屈折率を有する酸化ジルコニウム粉末を樹脂やフィルムに分散させてなるすぐれた透明性と高い屈折率を有する樹脂組成物やその利用が種々、提案されている。例えば、LEDの封止材用樹脂に酸化ジルコニウム粉末を配合することによって、封止材樹脂の屈折率を高めて、LEDからの発光をより効率的に取り出すことができ、LEDの輝度を向上させることができることが知られている(特許文献1参照)。しかし、この場合において、上記酸化ジルコニウムの一次粒子径と樹脂中のその凝集状態を示す二次粒子径が可視光線の波長(380〜800nm)より大きいときは、粒子による散乱の影響によって、LEDの封止材が白濁するので、輝度を向上させることはできない。かくして、例えば、このような、LEDの封止材の分野においては、酸化ジルコニウム粉末の樹脂への高分散性が強く求められている。
【0003】
そこで、従来、酸化ジルコニウム粉末の製造について、種々の改良が提案されている。例えば、フタル酸、酒石酸、アジピン酸等のポリカルボン酸を溶解又は分散させた水中にて金属塩とアルカリとを反応させて、表面が上記ポリカルボン酸で被覆された水酸化物又は水和物の微粒子を生成させるとき、この水酸化物又は水和物の微粒子が濾過性のみならず、乾燥後の再分散性にもすぐれており、従って、上記水酸化物又は水和物の微粒子を乾燥して、微粒子状含水金属酸化物を得、更に、これを焼成して、微粒子状金属酸化物を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
また、ジルコニウム塩水溶液から得られた水和ジルコニウムを焼成して得られた焼成粉に溶媒及び分散剤を加えて分散させた後、乾燥及び粉砕して、平均粒子径0.2μm以下の酸化ジルコニウム微粉末を製造する方法において、上記分散工程で溶媒として分岐鎖状のアルコールを用い、分散剤としてシュウ酸やマレイン酸等のようなポリカルボン酸を用いる方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
しかし、従来、酸化ジルコニウム粉末において、比表面積が150m2/g以下の場合には、吸油量との間に比例関係(即ち、直線関係)が成り立っているが、比表面積が150m2/gよりも大きいときは、比表面積の増加に比例して、吸油量が増加せず、いわば頭打ちとなる。即ち、比表面積が150m2/gを越える高比表面積領域においては、酸化ジルコニウム粒子の凝集が強くなるためであるとみられるが、比表面積と吸油量との間には、最早、比例関係が成り立たない。ここに、吸油量は、一般に、アマニ油が微粉末の表面を濡らすために必要な量を表しており、従って、酸化ジルコニウム粉末についていえば、その混練時、粘弾性流体である樹脂に対する実効表面積を表わす指標であるといえる。このように、酸化ジルコニウム粉末は、その高比表面積領域においては、吸油量との間に比例関係が維持されず、樹脂に対する実効表面積が増加しないので、高比表面積から期待される程には分散性が向上しない。更には、樹脂に配合したとき、得られる樹脂組成物が白濁する問題がある。そこで、従来、酸化ジルコニウム粉末は、樹脂への分散性を確保するために、比表面積が150m2/g以下のものを用いざるを得なかったので、このような酸化ジルコニウム粉末を樹脂に配合した樹脂組成物も、透明性が十分なものではなく、求められる光学的特性が得られなかった。
【特許文献1】特開2007−103708号公報
【特許文献2】特開平05−139703号公報
【特許文献3】特開2005−053713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、従来の酸化ジルコニウム粉末における上述した問題を解決するために鋭意、研究した結果、第1の方法として、例えば、市販品を含め、予め、製造した酸化ジルコニウム微粉末をある種の処理剤の存在下で水熱処理することによって、上述したように、微細な平均粒子径と高い比表面積を有し、しかも、比表面積との間に比例関係が成り立つ吸油量を有し、かくして、高い実効表面積を有して、樹脂への分散性にすぐれる酸化ジルコニウム微粉末を得ることができることを見出した。
【0007】
更に、本発明者らは、第2の方法として、ある種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理することによって、又は第3の方法として、水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに更にある種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって、又は第4の方法として、ある種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに更にある種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって、同様に、それぞれ上述したように、微細な平均粒子径と高い比表面積を有し、しかも、比表面積との間に比例関係が成り立つ吸油量を有し、かくして、高い実効表面積を有して、樹脂への分散性にすぐれる酸化ジルコニウム微粉末を得ることができることを見出して、本発明を完成したものである。
【0008】
従って、本発明は、微細な平均粒子径と高い比表面積を有し、しかも、比表面積との間に比例関係が成り立つ吸油量を有し、かくして、高い実効表面積を有して、樹脂への分散性にすぐれる酸化ジルコニウム微粉末とその製造方法を提供することを目的とし、更に、本発明は、そのような酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、30nm以下の平均粒子径と35m2/gよりも大きい比表面積と40mL/100gよりも大きい吸油量を有する酸化ジルコニウム微粉末が提供される。以下、本発明において、酸化ジルコニウム微粉末を構成する粒子に着目するときは、酸化ジルコニウム微粉末粒子という。
【0010】
このような本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第1の方法として、(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0011】
ここに、本発明において、上記酸化ジルコニウム微粉末は、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を固溶している固溶体、即ち、安定化酸化ジルコニウムの微粉末であってもよい。
【0012】
また、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第2の方法として、(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0013】
本発明によれば、上記第2の方法において、上記処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩とカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0014】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第3の方法として、水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0015】
本発明によれば、上記第3の方法において、水中にて水溶性ジルコニウム塩と前記安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに前記処理剤を加えて、得られた水性スラリー水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0016】
更に、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第4の方法として、(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0017】
本発明によれば、上記第4の方法において、処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩と前記安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに前記処理剤を加えて、得られた水性スラリー水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0018】
更に、本発明によれば、上述したような酸化ジルコニウム微粉末又は安定化酸化ジルコニウム微粉末を含み、すぐれた透明性を有する樹脂組成物も提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、微細な平均粒子径と大きい比表面積と共に、この比表面積との間に比例関係の成り立つ高い吸油量を有する。即ち、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、樹脂に対する高い実効表面積を有し、従って、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、樹脂への分散性が格段に改善されており、かくして、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品の反射防止膜の用途、LED封止材、LEDバッファー材料、各種光学部品の接着材料、光導波路材料等における高屈折率透明材として有利に用いられる。従来、上述したような高屈折率透明材として酸化チタンが用いられることもあったが、酸化チタンは、光触媒活性を有するので、樹脂に配合して、樹脂組成物としたときに、変色する問題がある。
【0020】
しかし、本発明による酸化ジルコニウム微粉末においては、そのような変色は起こらず、高屈折率透明材としてすぐれた性能が得られる。また、高比表面積で耐熱性にすぐれるので、自動車の触媒担体用途においても有利に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、30nm以下の平均粒子径と35m2/gよりも大きい比表面積と40mL/100gよりも大きい吸油量を有する。
【0022】
このような本発明による酸化ジルコニウム微粉末において、酸化ジルコニウムは、熱に対する結晶安定性を有するように、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を固溶してなる安定化ジルコニアであってもよい。上記希土類元素の具体例として、例えば、イットリウムを挙げることができる。従って、本発明において、酸化ジルコニウムというとき、安定化元素を固溶している酸化ジルコニウム、即ち、安定化ジルコニアをも含むものとする。
【0023】
先ず、本発明による酸化ジルコニウム微粉末の製造方法について説明する。本発明による方法において用いる処理剤は、(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種である。
【0024】
上記リン酸塩としては、リン酸の1価又は2価の金属塩、特に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩や亜鉛塩が好ましい。上記ケイ酸塩としても、ケイ酸の1価又は2価の金属塩、特に、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又は亜鉛塩が好ましい。従って、リン酸塩の具体例としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛等を挙げることができる。また、ケイ酸塩の具体例としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸亜鉛等を挙げることができる。
【0025】
上記ホウ酸塩としては、1価又は2価の金属塩、特に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩や亜鉛塩が好ましく、従って、具体例としては、例えば、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸亜鉛等を挙げることができる。
【0026】
本発明において、上記ポリカルボン酸は、塩基度が2以上のカルボン酸をいい、好ましくは、塩基度が2〜4の範囲の脂肪族のポリカルボン酸であり、従って、そのようなポリカルボン酸として、例えば、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等を挙げることができる。本発明において、ポリカルボン酸は、好ましくは、ジカルボン酸である。また、ポリカルボン酸塩としては、上記ポリカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。ポリカルボン酸塩は、その一部のカルボキシル基のみが塩を形成しているものであってもよい、
【0027】
上記ヒドロキシカルボン酸は、脂肪族のものが好ましく、従って、具体例としては、例えば、乳酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等を挙げることができる。上記ヒドロキシカルボン酸塩としては、上記ヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。ヒドロキシカルボン酸塩も、分子中に2つ以上のカルボキシル基を有するとき、その一部のカルボキシル基のみが塩を形成しているものであってもよい、
【0028】
上記多価アルコールも、脂肪族が好ましく、従って、具体例としては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、マンニトール、ソルビトール等を挙げることができる。
【0029】
本発明においては、上述した処理剤は、単独で用いてもよく、また、任意の2種以上を適宜に併用してもよいが、特に、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤で酸化ジルコニウム微粉末を処理することによって、酸化ジルコニウム粒子の水中での凝集が抑制され、更に、水熱処理されることによって、酸化ジルコニウム粒子と処理剤との相互作用が強化され、かくして、分散性に一層、すぐれた酸化ジルコニウム微粉末を得ることができ、他方、リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種で酸化ジルコニウム粒子を処理し、更に、水熱処理することによって、粒子の表面が効果的に粗化され、粒子の樹脂へのアンカー効果が増すので、樹脂への分散性が一層すぐれた酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0030】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第1の方法として、前記少なくとも1種の処理剤を含む酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを水熱処理することによって、即ち、前記少なくとも1種の処理剤の存在下に酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを水熱処理することによって、得ることができる。水熱処理は、水熱合成と呼ばれることもある。ここに、上記酸化ジルコニウム微粉末は、前述したように、安定化ジルコニア微粉末であってもよい。
【0031】
更に、本発明において、上記酸化ジルコニウム微粉末は、例えば、市販品を含め、予め、製造されたものであれば、何ら限定されることなく、任意のものを用いることができる。また、上記酸化ジルコニウム微粉末は、その製造方法も特に限定されるものではない。
【0032】
この第1の方法においては、上記処理剤のうち、無機系のもの、即ち、リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸は酸化ジルコニウムに対して、それぞれ酸化物、即ち、それぞれ五酸化リン(P25)、二酸化ケイ素(SiO2)及び酸化ホウ素(B23)換算にて、通常、1〜25モル%、好ましくは、5〜15モル%の範囲で用いられる。上記処理剤のうち、有機系のもの、即ち、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールはそれぞれ、それ自体として、酸化ジルコニウムに対して、通常、1〜30モル%、好ましくは、5〜25モル%の範囲で用いられる。
【0033】
第1の方法において、水熱処理は、上記処理剤を含む酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを加圧下、100℃を越えて、250℃以下の温度、好ましくは、105〜200℃の範囲の温度で処理することをいう。水熱処理の時間は、特に、限定されるものではないが、通常、30分から数時間(例えば、6時間)程度である。必要に応じて、水熱処理に際して、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のようなアルカリを共存させてもよい。
【0034】
用いる処理剤が、例えば、ホウ酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムのように、水溶性塩であるときは、例えば、酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーにその水溶性塩又はその水溶液を加え、得られたスラリーを水熱処理すればよく、他方、用いる処理剤が、例えば、ホウ酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、リン酸カルシウムのように水不溶性塩又は水難溶性塩であるときは、例えば、その水不溶性塩又は水難溶性塩を酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーに分散させて、水熱処理すればよい。
【0035】
このようにして、前記処理剤を含む酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを水熱処理した後、得られたスラリーを濾過、水洗、乾燥した後、粉砕すれば、本発明による酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0036】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第2の方法として、前記少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて非晶質沈殿物の水性スラリーを得、このスラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、この非晶質沈殿物を水に分散させて、再度、水性スラリーとし、この水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0037】
このような第2の方法において、上記非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0038】
上記水溶性ジルコニウム塩としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムや硝酸ジルコニウムが好ましく用いられ、また、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等が好ましく用いられるが、しかし、水溶性ジルコニウム塩やアルカリは、上記例示に限定されるものではない。
【0039】
本発明によれば、この第2の方法において、上記処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩とカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、この水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0040】
上記の場合において、非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって、上記安定化元素を含む安定化酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、上記安定化元素の水酸化物を含む水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0041】
上記安定化元素の水溶性塩としては、特に限定されるものではないが、通常、塩化物や硝酸塩当が好ましく用いられる。例えば、安定化元素がアルミニウムであるときは、塩化アルミニウムが好ましく用いられ、また、安定化元素がイットリウムであるときは、塩化イットリウムが好ましく用いられる。また、上記安定化元素は、通常、ジルコニウム元素に対して、1〜40モル%の範囲で用いられ、好ましくは、1〜25モル%の範囲で用いられる。
【0042】
この第2の方法においても、用いる処理剤の量と水熱処理の条件は、前述した第1の方法におけると同じである。
【0043】
また、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第3の方法として、前述した処理剤の不存在下に水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、これを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを水に分散させ、再度、水性スラリーとし、次いで、このような非晶質沈殿物の水性スラリーに前記少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって得ることができる。
【0044】
このような第3の方法において、上記非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0045】
上記第3の方法においても、前記処理剤の不存在下に水中にて水溶性ジルコニウム塩と前記安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、これを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを水に分散させ、再度、水性スラリーとし、次いで、これに前記処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0046】
この第3の方法においても、水溶性ジルコニウム塩、アルカリ及び安定化元素については、前述したと同じである。また、用いる処理剤の量は前述したと同じである。
【0047】
第3の方法においても、非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって、上記安定化元素を含む安定化酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、上記安定化元素の水酸化物を含む水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0048】
更に、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、第4の方法として、前記少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得(以下、この処理を「前段の処理」ということがある。)、これを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを水に分散させ、再度、水性スラリーとし、次いで、このような非晶質沈殿物の水性スラリーに再度、前記少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理する(以下、この処理を「後段の処理」ということがある。)ことによって得ることができる。
【0049】
このような第4の方法において、上記非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0050】
上記第4の方法においても、前記処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩と前記安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、これを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを水に分散させ、再度、水性スラリーとし、次いで、これに前記処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理することによって、本発明による安定化酸化ジルコニウム微粉末を得ることができる。
【0051】
この第4の方法においても、水溶性ジルコニウム塩、アルカリ及び安定化元素については、前述したと同じである。更に、この第3の方法においては、前段の処理において用いる処理剤と後段の処理において用いる処理剤とは同じでもよく、異なっていてもよい。また、前段の処理において用いる処理剤と後段の処理において用いる処理剤の量はそれぞれ前述したと同じである。
【0052】
第4の方法においても、非晶質沈殿物は、これを水熱処理することによって、上記安定化元素を含む安定化酸化ジルコニウムを与える前駆体であって、通常、上記安定化元素の水酸化物を含む水酸化ジルコニウムからなるが、ジルコニル水和物を含んでいてもよい。
【0053】
上述した第2から第4の方法において、水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて非晶質沈殿物を生成させ、その水性スラリーを得、これを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを水に分散させて、再度、水性スラリーとするとき、この水性スラリーに500μS/cm以下の電気伝導度を有せしめることが好ましい。一般に、水溶性ジルコニウム塩、例えば、オキシ塩化ジルコニウムを、例えば、水酸化ナトリウムで中和するとき、非晶質沈殿物と共に、塩化ナトリウムが副生する。そこで、得られた非晶質沈殿物がこの塩化ナトリウムを含有しておれば、その焼成時にフラックス効果によって粒子が成長し、また、非晶質沈殿物の水性スラリーに多量の塩化ナトリウムが含まれておれば、その水熱処理時にオストワルド熟成が起こって、粒子が溶解、再析出して、成長するおそれがある。ここに、オキシ塩化ジルコニウムの中和によって生成した非晶質沈殿物の水性スラリーが上記電気伝導度を有する程度にまで、水洗、脱塩すれば、上述したような望ましくない粒子の成長を防ぐことができる。
【0054】
本発明に従って、上述したようにして、第1から第4の方法のいずれかによって得られた酸化ジルコニウム微粉末粒子は、更に、これを表面処理して、含水シリカ及び含水アルミナから選ばれる少なくとも1種からなる表面被覆層を有せしめてもよい。このように、本発明による酸化ジルコニウム微粉末の表面に含水シリカ及び含水アルミナから選ばれる少なくとも1種からなる表面被覆層を有せしめることによって、樹脂への分散性を一層、高めることができる。
【0055】
酸化ジルコニウム微粒子の表面に含水シリカからなる表面被覆層を形成するには、例えば、酸化ジルコニウム微粉末粒子の水性スラリーに水溶性ケイ酸塩を添加した後、酸を加えて、上記ケイ酸塩を中和し、又は上記水性スラリーに水溶性ケイ酸塩と酸(例えば、硫酸や塩酸)とを同時に加えて、上記ケイ酸塩を中和して、酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水シリカを析出させ、pHを一定に保ちながら熟成すればよい。
【0056】
同様に、酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水アルミナからなる表面被覆層を形成するには、酸化ジルコニウム微粉末粒子の水性スラリーに硫酸アルミニウムとアルカリ(例えば、水酸化ナトリウムやアンモニア)とを同時に加えて、酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水アルミナを析出させ、pHを一定に保ちながら熟成すればよい。
【0057】
勿論、酸化ジルコニウム微粒子の表面に含水シリカと含水アルミナからなる表面被覆層を形成することもできる。この場合には、例えば、酸化ジルコニウム微粉末粒子の水性スラリーに水溶性ケイ酸塩と硫酸アルミニウムを同時に添加した後、酸又はアルカリを加えて、酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水シリカと含水アルミナを析出させ、pHを一定に保ちながら熟成すればよい。
【0058】
また、本発明による酸化ジルコニウム微粉末粒子は、前記処理剤とは別の表面処理剤(以下、第2の表面処理剤ということがある。)にて更に表面処理されていてもよい。このように、本発明による酸化ジルコニウム微粉末粒子を第2の表面処理剤にて表面処理することによっても、得られる酸化ジルコニウム微粉末の樹脂への分散性を一層、高めることができる。
【0059】
このような表面処理剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤等のカップリング剤、高級脂肪酸又はそのアルカリ金属塩、多価アルコール脂肪酸エステル、リン酸エステル、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、オルガノシロキサン、オルガノシラン又はオルガノシラザン等を挙げることができる。
【0060】
上記シランカップリング剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0061】
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを例示することができ、また、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等を例示することができる。
【0062】
上記高級脂肪酸としては、炭素数14〜24の飽和又は不飽和の高級脂肪酸が好ましく、そのような具体例として、例えば、オレイン酸やステアリン酸を挙げることができる。また、このような高級脂肪酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等を挙げることができる。
【0063】
リン酸エステルとしては、リン酸トリエステル、ジエステル、モノエステル又はこれらの混合物が用いられる。リン酸トリエステルの具体例として、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシルフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート等を挙げることができる。
【0064】
また、ジエステル又はモノエステル(即ち、酸性リン酸エステル)の具体例としては、例えば、メチルアシッドホスフェート(モノメチルエステルとジメチルエステルとの混合物)、エチルアシッドホスフェート(モノエチルエステルとジエチルエステルとの混合物)、イソプロピルアシッドホスフェート(モノイソプロピルエステルとジイソプロピルエステルとの混合物)、ブチルアシッドホスフェート(モノブチルエステルとジブチルエステルとの混合物)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ−2−エチルヘキシルエステルとジ−2−エチルヘキシルエステルとの混合物)、イソデシルアシッドホスフェート(モノイソデシルエステルとジイソデシルエステルとの混合物)、ジラウリルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート(モノラウリルエステルとジラウリルエステルとの混合物)、トリデシルアシッドホスフェート(モノトリデシルエステルとジトリデシルエステルとの混合物)、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート(モノステアリルエステルとジステアリルエステルとの混合物)、イソステアリルアシッドホスフェート(モノイソステアリルエステルとジイソステアリルエステルとの混合物)、オレイルアシッドホスフェート(モノオレイルエステルとジオレイルエステルとの混合物)、ベヘニルアシッドホスフェート(モノベヘニルエステルとジベヘニルエステルとの混合物)等を挙げることができる。
【0065】
これらの酸性リン酸エステルは金属塩、即ち、周期律表第Ia、IIa、IIb及び IIIaから選ばれる少なくとも1種の金属の塩であってもよい。従って、好ましい具体例として、例えば、リチウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。
【0066】
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等を挙げることができる。
【0067】
上記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0068】
上記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエテレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルグリセリルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルアルカノールアミド、アルキルポリグリコシド等を挙げることができる。
【0069】
オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ナトリウムメチルシリコネート、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等を挙げることができる。
【0070】
オルガノシランとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0071】
また、オルガノシラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサエチルシクロトリシラザン、メチルポリシラザン、フェニルポリシラザン等を挙げることができる。
【0072】
このような第2の表面処理剤は、特に、限定されるものではないが、通常、酸化ジルコニウム微粉末に対して、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0073】
本発明による酸化ジルコニウム微粉末粒子をこのような第2の表面処理剤で表面処理するには、例えば、上述したようにして、酸化ジルコニウム微粉末粒子を得た後、その水性スラリーに直接、上記第2の表面処理剤を加え、必要に応じて加熱下に、攪拌、混合して、表面処理し、この後、濾過、水洗、乾燥すればよい。
【0074】
更に、本発明によれば、酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水アルミナ及び/又は含水シリカからなる表面被覆層を有せしめた後、上記第2の表面処理剤で処理してもよい。
【0075】
このようにして得られる本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、平均粒子径が30nm以下、好ましくは、1〜10nmの範囲にあり、比表面積が35m2/gよりも大きく、好ましくは、100〜350m2/gの範囲にあり、最も好ましくは、120〜300m2/gの範囲にあり、吸油量が40mL/100gよりも大きく、好ましくは、40〜100mL/100gの範囲にあるものである。
【0076】
このような本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、高比表面積領域においても、吸油量との間に比例関係を有し、即ち、高比表面積に対応して、高い実効表面積を有し、従って、樹脂中への分散性が格段に改善されている。更に、本発明による酸化ジルコニウム微粉末は、従来、用いられていた比表面積が150m2/gよりも小さい比表面積の酸化ジルコニウム以上に高い分散性を有するものであって、従来から知られているものよりも高い吸油量とより高い透明性を示す。
【0077】
本発明による樹脂組成物は、上述した本発明による酸化ジルコニウム微粉末を樹脂に均一に分散させることによって得ることができる。酸化ジルコニウム微粉末の樹脂に対する割合は、得られる樹脂組成物の用途や要求特性にもよるが、通常、樹脂100重量部に対して、酸化ジルコニウム微粉末5〜350重量部の範囲である。
【0078】
本発明において、上記樹脂は、得られる樹脂組成物の用途や要求特性に応じて適宜に選べばよく、具体例として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のオレフィンの単独又は共重合体であるポリオレフィン樹脂、スチレンのような芳香族ビニルモノマーの単独重合体やABS樹脂等のような共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、芳香族ポリアミド等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリカーボネート、スチレン−共役ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等のエラストマー、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。また、必要に応じて、樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も用いられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
【0079】
本発明に従って、酸化ジルコニウム微粉末を含有する樹脂組成物は、上述した酸化ジルコニウム微粉末に加えて、必要に応じて、それぞれの樹脂に応じて、他の添加剤を適宜に配合することができる。そのような添加剤として、例えば、可塑剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定化剤、核剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、相溶化剤、耐光剤、顔料、発泡剤、防カビ剤等を挙げることができる。
【0080】
このような樹脂組成物は、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ニーダ混練機、バンバリーミキサー、ボールミル、ビーズミル等の適宜手段にて上述した酸化ジルコニウム微粉末を樹脂に混合し、混練することによって得ることができる。また、このようにして得られる本発明による樹脂組成物は、用途や目的に応じて、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、トランスファー成形、積層成形、金型を用いた成形、溶液製膜法等、適宜の手段によって種々の成形品の製造に好適に用いることができる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、得られた酸化ジルコニウム微粉末の平均粒子径は電子顕微鏡観察によって求め、比表面積はBET法によって求め、吸油量はJIS K 5101に記載の方法によって測定した。
【0082】
得られた酸化ジルコニウム微粉末におけるホウ素、リン及びケイ素の残存量は、SII(エスアイアイ・ナノテクノロジー)製ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装置SPS−17HVRを用いて求めた。また、得られた酸化ジルコニウム微粉末における有機系の処理剤の残存量は、先ず、酸化ジルコニウム微粉末における残存炭素量を燃焼−赤外線吸収法にて求め、この炭素量に基づいて有機系の処理剤の残存量を計算にて求めた。上記酸化ジルコニウム微粉末における残存炭素量は、LECO製炭素・硫黄分析装置CS−444を用いて測定した。
【0083】
実施例1
(酸化ジルコニウム微粉末Aの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0084】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物(Na247・10H2O)8.4g(B23 換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%、但し、ここに上記酸化ジルコニウムの量は上記原料から得られる酸化ジルコニウムの理論量を意味する。以下、同じ。)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、200℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られたスラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Aを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.26%であった。
【0085】
(酸化ジルコニウム微粉末Bの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Aの製造において、水熱処理を180℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Bを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.27%であった。
【0086】
(酸化ジルコニウム微粉末Cの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Aの製造において、水熱処理を160℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Cを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.28%であった。
【0087】
(酸化ジルコニウム微粉末Dの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Aの製造において、水熱処理を140℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Dを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.30%であった。
【0088】
(酸化ジルコニウム微粉末Eの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Aの製造において、水熱処理を120℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Eを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.28%であった。
【0089】
(酸化ジルコニウム微粉末Fの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0090】
次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを200℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Fを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のクエン酸残存量は9.1%であった。
【0091】
(酸化ジルコニウム微粉末Gの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Fの製造において、水熱処理を180℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Gを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のクエン酸残存量は9.3%であった。
【0092】
(酸化ジルコニウム微粉末Hの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Fの製造において、水熱処理を160℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Hを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のクエン酸残存量は9.6%であった。
【0093】
(酸化ジルコニウム微粉末Iの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Fの製造において、水熱処理を140℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Iを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のクエン酸残存量は9.8%であった。
【0094】
(酸化ジルコニウム微粉末Jの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Fの製造において、水熱処理を120℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Jを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のクエン酸残存量は9.9%であった。
【0095】
(酸化ジルコニウム微粉末Kの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0096】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物 8.4g(B23 換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、200℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Kを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.57%であり、クエン酸残存量は7.9%であった。
【0097】
(酸化ジルコニウム微粉末Lの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーの電気伝導度は56.4mS/cmであった。
【0098】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物 8.4g(B23 換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、180℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られたスラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Lを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.55%であり、クエン酸残存量は8.0%であった。
【0099】
(酸化ジルコニウム微粉末Mの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のアジピン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は413μS/cmであった。
【0100】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物 8.4g(B23 換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Mを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.59%であり、アジピン酸残存量は8.2%であった。
【0101】
(酸化ジルコニウム微粉末Nの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Kの製造において、水熱処理を140℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Nを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.47%であり、クエン酸残存量は8.9%であった。
【0102】
(酸化ジルコニウム微粉末Oの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Kの製造において、水熱処理を120℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末Oを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.39%であり、クエン酸残存量は8.8%であった。
【0103】
(酸化ジルコニウム微粉末Pの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0104】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物8.4g(B23 換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、120℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は204μS/cmであった。
【0105】
次いで、0.4モル/L濃度の硫酸アルミニウム水溶液1.2Lと0.13モル/L濃度のケイ酸ナトリウムと1.2モル/Lの水酸化ナトリウムの混合水溶液1.2Lを上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに攪拌下に同時滴下し、含水アルミナと含水シリカを上記酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に析出させた後、30分間、攪拌した。この後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による含水アルミナ及び含水シリカからなる表面被覆層を有する酸化ジルコニウム微粉末Pを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.36%であり、クエン酸残存量は6.8%であった。
【0106】
(酸化ジルコニウム微粉末Qの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0107】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物 8.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、120℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られたスラリーを濾過し、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lのスラリーとした。このスラリーの電気伝導度は204μS/cmであった。
【0108】
0.4モル/L濃度の硫酸アルミニウム水溶液1.2Lと0.13モル/L濃度のケイ酸ナトリウムと1.2モル/L濃度の水酸化ナトリウムの混合水溶液1.2Lを上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに攪拌下に同時滴下し、上記酸化ジルコニウム微粉末粒子の表面に含水アルミナと含水シリカを析出させた後、30分間、攪拌した。この後、得られた水性スラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は117μS/cmであった。
【0109】
このようにして得られた水性スラリーに酸化ジルコニウム微粉末に対してγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.6重量%を70℃にて加え、1時間、攪拌した。このようにシランカップリング剤処理した酸化ジルコニウム微粉末を濾過、水洗し、乾燥した後、粉砕して、本発明による含水シリカ及び含水アルミナからなる表面被覆層を有すると共に、シランカップリング剤にて表面処理した酸化ジルコニウム微粉末Qを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.35%であり、クエン酸残存量は6.3%であった。
【0110】
(酸化ジルコニウム微粉末Rの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.03モル/L濃度の塩化イットリウム混合水溶液0.76Lと2.4モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は357μS/cmであった。
【0111】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物7.3g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Rを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.57%であり、クエン酸残存量は8.5%であった。
【0112】
(酸化ジルコニウム微粉末Sの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0113】
別に、ホウ酸(H3BO3) 5.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られたスラリーを濾過、水洗、乾燥、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Sを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.62%であり、クエン酸残存量は8.1%であった。
【0114】
(酸化ジルコニウム微粉末Tの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0115】
別に、リン酸ナトリウム10水和物(Na427)19.5g(P25換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Tを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のリン残存量は0.6%であり、クエン酸残存量は8.2%であった。
【0116】
(酸化ジルコニウム微粉末Uの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は389μS/cmであった。
【0117】
別に、ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)10.7g(SiO2換算で酸化ジルコニウムに対して16モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Uを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のケイ素残存量は1.0%であり、クエン酸残存量は8.7%であった。
【0118】
(酸化ジルコニウム微粉末Vの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、ホウ酸ナトリウム10水和物(Na247)8.4g(B23換算で酸化ジルコニウム微粉末に対して8モル%)を溶解したホウ酸ナトリウム水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は463μS/cmであった。
【0119】
次に、クエン酸1水和物21.8g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間攪拌した後、160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Vを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.17%であり、クエン酸残存量は9.7%であった。
【0120】
(酸化ジルコニウム微粉末Wの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、ホウ酸ナトリウム10水和物(Na247)8.4g(B23換算で酸化ジルコニウム微粉末に対して8モル%)を溶解した0.14モル/L濃度のクエン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物の沈殿を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は517μS/cmであった。
【0121】
次に、この水性スラリーを140℃で3時間、水熱処理し、その後、得られたスラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Wを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.29%であり、クエン酸残存量は8.4%であった。
【0122】
(酸化ジルコニウム微粉末Xの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0123】
別に、クエン酸1水和物21.8g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)とホウ酸ナトリウム10水和物(Na47)8.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、140℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られたスラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Xを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.76%であり、クエン酸残存量は9.3%であった。
【0124】
(酸化ジルコニウム微粉末Yの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のソルビトール水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は357μS/cmであった。
【0125】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物(Na47)8.4g(B23換算で酸化ジルコニウ子に対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、120℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Yを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.42%であり、ソルビトール残存量は8.3%であった。
【0126】
(酸化ジルコニウム微粉末Zの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、0.14モル/L濃度のグルコン酸水溶液0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は482μS/cmであった。
【0127】
別に、ホウ酸ナトリウム10水和物(Na247) 8.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記非晶質沈殿物を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、120℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末Zを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.35%であり、グルコン酸残存量は8.5%であった。
【0128】
(酸化ジルコニウム微粉末AAの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物の沈殿を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0129】
次いで、この水性スラリーを200℃で3時間、前段の水熱処理を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は109μS/cmであった。
【0130】
別に、クエン酸1水和物21.8g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)とホウ酸ナトリウム10水和物(Na247) 8.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、200℃で3時間、後段の水熱処を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末AAを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.49%であり、クエン酸残存量は7.7%であった。
【0131】
(酸化ジルコニウム微粉末ABの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0132】
次いで、この水性スラリーを200℃で3時間、前段の水熱処理を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は109μS/cmであった。
【0133】
別に、アジピン酸15.1g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)を上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、200℃で3時間、後段の水熱処理を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、本発明による酸化ジルコニウム微粉末ABを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のアジピン酸残存量は7.2%であった。
【0134】
比較例1
(酸化ジルコニウム微粉末Iの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0135】
次いで、この水性スラリーを200℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、比較例としての酸化ジルコニウム微粉末Iを得た。
【0136】
(酸化ジルコニウム微粉末IIの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Iの製造において、水熱処理を180℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末IIを得た。
【0137】
(酸化ジルコニウム微粉末IIIの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Iの製造において、水熱処理を160℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末IIIを得た。
【0138】
(酸化ジルコニウム微粉末IVの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Iの製造において、水熱処理を140℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末IVを得た。
【0139】
(酸化ジルコニウム微粉末Vの製造)
上記酸化ジルコニウム微粉末Iの製造において、水熱処理を120℃で3時間行なった以外は、同様にして、酸化ジルコニウム微粉末IVを得た。
【0140】
(酸化ジルコニウム微粉末VIの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウム水溶液0.76Lと2.3モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は108μS/cmであった。
【0141】
次いで、この水性スラリーを160℃で3時間、水熱処理した。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、比較例としての酸化ジルコニウム微粉末VIを得た。
【0142】
(酸化ジルコニウム微粉末VIIの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0143】
次いで、この水性スラリーを200℃で3時間、前段の水熱処理を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は109μS/cmであった。
【0144】
別に、クエン酸1水和物21.8g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)とホウ酸ナトリウム10水和物(Na247)8.4g(B23換算で酸化ジルコニウムに対して8モル%)を上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、この水性スラリーを濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、比較例としての酸化ジルコニウム微粉末VIIを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のホウ素残存量は0.21%であり、クエン酸残存量は3.4%であった。
【0145】
(酸化ジルコニウム微粉末VIIIの製造)
0.6モル/L濃度のオキシ塩化ジルコニウムと0.12モル/L濃度の塩化アルミニウム混合水溶液0.76Lと2.7モル/L濃度の水酸化ナトリウム水溶液0.53Lを調製した。予め、純水0.74Lを張った沈殿反応器に上記オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムの混合水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを同時に注ぎ、オキシ塩化ジルコニウムと塩化アルミニウムを同時に水酸化ナトリウムと反応させ、非晶質沈殿物を含む水性スラリーを得た。得られた水性スラリーを濾過、水洗して、非晶質沈殿物を得、これを純水にリパルプして、2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は133μS/cmであった。
【0146】
次いで、この水性スラリーを200℃で3時間、前段の水熱処理を行なった。この水熱処理の終了後、得られた水性スラリーを濾過、水洗し、純水にリパルプして、酸化ジルコニウム微粉末の2Lの水性スラリーとした。この水性スラリーの電気伝導度は109μS/cmであった。
【0147】
別に、アジピン酸15.1g(酸化ジルコニウムに対して19モル%)を上記酸化ジルコニウム微粉末を含む水性スラリーに加え、30分間、攪拌した後、濾過し、水洗、乾燥した後、粉砕して、比較例としての酸化ジルコニウム微粉末VIIIを得た。この酸化ジルコニウム微粉末のアジピン酸残存量は2.8%であった。
【0148】
上記実施例1による酸化ジルコニウム微粉末A〜Z及び比較例1による酸化ジルコニウム微粉末I〜VIの製造の過程において、用いた安定化元素、前段及び後段で用いた処理剤、水性スラリーの水熱処理の温度、酸化ジルコニウム粒子上の含水シリカ−アルミナ表面被覆層の有無及び用いた第2の表面処理剤と共に、得られた酸化ジルコニウム微粉末の平均粒子径と比表面積と吸油量を表1から表4に示す。また、上記実施例1による酸化ジルコニウム微粉末AA及びAB並びに比較例1による酸化ジルコニウム微粉末VII及びVIIIの製造の過程において、用いた安定化元素、前段及び後段の水熱処理の温度(但し、比較例1による酸化ジルコニウム微粉末VII及びVIIIについては、前段の水熱処理の温度のみを示す。)及び前段の水熱処理の後に用いた処理剤と共に、得られた酸化ジルコニウム微粉末の平均粒子径と比表面積と吸油量を表5に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
【表2】

【0151】
【表3】

【0152】
【表4】

【0153】
【表5】

【0154】
実施例1による酸化ジルコニウム微粉末A〜Eの比表面積と吸油量との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係と共に図1に示し、実施例1による酸化ジルコニウム微粉末F〜Jの比表面積と吸油量との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係と共に図2に示し、実施例1による酸化ジルコニウム微粉末K〜ABの比表面積と吸油量との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係と共に図3に示す。
【0155】
実施例1による酸化ジルコニウム微粉末は、150m2/gよりも大きい高比表面積領域において、吸油量と比例関係にあるが、しかし、比較例1による酸化ジルコニウム微粉末は、150m2/gよりも大きい高比表面積領域において、吸油量と間に比例関係のないことが示される。
【0156】
実施例2
(酸化ジルコニウム微粉末含有樹脂組成物の調製とその透明性の評価)
酸化ジルコニウム微粉末2.4g、アルキド樹脂(大日本インキ化学工業(株)製J−5234−60)1.5g、メラミン樹脂(大日本インキ化学工業(株)製JB−820−60)0.9g、キシレン3.8g、n−ブタノール2g及び直径0.5mmのジルコニアビーズ55gを蓋付きの100mL容量ガラス容器に投入し、ペイントシェーカーにて2時間処理して、コーティング液を作製した。
【0157】
このコーティング液をガラス基板上にアプリケーターにて塗布し、130℃にて20分間焼付け処理を行って、基板上の乾燥塗膜の厚みを23μmに調整した。この塗膜のヘイズ値をヘイズメーター(日本電色(株)製NDH2000)にて測定した。本発明による酸化ジルコニウム微粉末A〜ABと比較例による酸化ジルコニウム微粉末I〜VIIIの比表面積と塗膜のへイズ値を表1から表5に示す。表1から表5において、処理剤の略号SBはホウ酸ナトリウム、CAはクエン酸、Sはソルビトール、GAはグルコン酸、AAはアジピン酸、SPはリン酸ナトリウム、SSはケイ酸ナトリウムを示す。
【0158】
実施例1による酸化ジルコニウム微粉末A〜Eを含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値と比較例1による酸化ジルコニウム微粉末I〜VIIIを含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値を表1から表5に示す。また、実施例1による酸化ジルコニウム微粉末A〜Eの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係と共に図4に示し、実施例1による酸化ジルコニウム微粉末F〜Jの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係と共に図5に示し、実施例1による酸化ジルコニウム微粉末K〜ABの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例1による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係と共に図6に示す。
【0159】
実施例1による酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜は、比較例1による酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜に比べて、ヘイズ値が著しく小さい。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明による酸化ジルコニウム微粉末A〜Eの比表面積と吸油量との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明による酸化ジルコニウム微粉末F〜Jの比表面積と吸油量との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係と共に示すグラフである。
【図3】本発明による酸化ジルコニウム微粉末K〜ABの比表面積と吸油量との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積と吸油量との関係を示すグラフである。
【図4】本発明による酸化ジルコニウム微粉末A〜Eの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を示すグラフである。
【図5】本発明による酸化ジルコニウム微粉末F〜Jの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を示すグラフである。
【図6】本発明による酸化ジルコニウム微粉末K〜ABの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を比較例による酸化ジルコニウム微粉末IからVIIIの比表面積とこれら酸化ジルコニウム微粉末を含む樹脂組成物の塗膜のヘイズ値との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
30nm以下の平均粒子径と35m2/gよりも大きい比表面積と40mL/100gよりも大きい吸油量を有する酸化ジルコニウム微粉末。
【請求項2】
カルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を有する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末。
【請求項3】
(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む酸化ジルコニウム微粉末の水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項4】
酸化ジルコニウム微粉末がカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を有する微粉末である請求項3に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項5】
(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項6】
(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩とカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項7】
水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項8】
水中にて水溶性ジルコニウム塩とカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項9】
(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩をアルカリと反応させて、非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項10】
(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を含む水中にて水溶性ジルコニウム塩とカルシウム、アルミニウム、マグネシウム及び希土類元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の安定化元素の水溶性塩をアルカリと反応させて、上記安定化元素を有する非晶質沈殿物の水性スラリーを得、次いで、この非晶質沈殿物の水性スラリーに(a)リン酸塩、リン酸、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びホウ酸から選ばれる少なくとも1種の処理剤及び/又は(b)ポリカルボン酸、ポリカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸塩及び多価アルコールから選ばれる少なくとも1種の処理剤を加えて、得られた水性スラリーを水熱処理する請求項1に記載の酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項11】
請求項3から10のいずれかに記載の方法にて得られた酸化ジルコニウム微粉末の粒子の表面に更に含水シリカ及び含水アルミナから選ばれる少なくとも1種からなる表面被覆層を有せしめる酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項12】
請求項3から11のいずれかに記載の方法にて得られた酸化ジルコニウム微粉末を高級脂肪酸、そのアルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理する酸化ジルコニウム微粉末の製造方法。
【請求項13】
樹脂100重量部に対して請求項1又は2に記載の酸化ジルコニウム微粉末5〜350重量部を配合してなる樹脂組成物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−114008(P2009−114008A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286804(P2007−286804)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】