説明

酸化セリウム及びチタン酸ストロンチウムに基づく電極

【課題】SOFCにおいて、Ni−YSZアノードの現状は、800℃を超える高い運転温度で妥当な電気化学的活性を与えるが、レドックス安定性はない。Niの還元及び酸化が原因のNi−YSZアノードの体積変化は、アノード材料中において、燃料電池の性能を劣化させる不利な機械的応力をまねく結果となる。本発明は、高い電気化学的活性が幅広い温度(650〜850℃)で得られるアノード構造体を提供する。
【解決手段】構成材料として、ニオブドープドチタン酸ストロンチウム、バナジウムドープドチタン酸ストロンチウム、タンタルドープドチタン酸ストロンチウム及びこれらの混合物からなる群から選択され、この粉末焼成体に、酸化セリウムの前駆体溶液を含浸し、得られた構造体をか焼に付し、含浸、か焼を少なくとも一回行、段階を含む方法によって得ることができるセラミックアノード構造体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドープされたチタン酸ストロンチウム複合アノードを含む固体酸化物燃料電池(SOFC)に関する。詳しくは、本発明は、ドープされたチタン酸ストロンチウムの導電相及びこの導電相内に微細に分散された酸化セリウムに基づく酸化物相を含む、セラミックアノード構造体に関する。より詳しくは、本発明は、ドープされたチタン酸ストロンチウム複合アノードに関し、これは、その中に分散されたナノサイズの酸化セリウム結晶子のガドリニウムドープド酸化セリウム相(CGO)を含み、この際、前記チタン酸ストロンチウムのドーパントは、ニオブ(Nb)、バナジウム(V)またはタンタル(Ta)である。
【背景技術】
【0002】
固体酸化物燃料電池(SOFC)などの燃料電池で有用であるためには、アノード(燃料極)は、高い電気化学的活性及び高いレドックス安定性の面で高い性能を持たなければならない。Ni−YSZアノードの種の現状は、800℃を超える高い運転温度で妥当な電気化学的活性を与えるが、通常はレドックス安定性ではない。Niの還元及び酸化が原因のNi−YSZアノードの体積変化は、アノード材料中において、燃料電池の性能を劣化させる不利な機械的応力をまねく結果となる。
【0003】
Blennowらによる文献“Synthesis of Nb-doped SrTiO3 by a modified glycine-nitrate process"(改良硝酸グリシン法によるNbドープドSrTiO3の合成”,Journal of the European Ceramic Society, 2007には、SOFCアノードに使用するためのNbドープドチタン酸ストロンチウムのサブミクロン大の粒子の製造方法が開示されている。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0250000A1号明細書(Marinaら)は、二つの別の相を有するアノードを開示している。一つは、ドープしたチタン酸ストロンチウムの相、もう一つはドープした酸化セリウムの相であり、前記酸化セリウムは、Nb、V、SbまたはTaを含む。前記チタン酸ストロンチウム相の方が、導電性が高いが、電気化学的活性に劣る。他方で、酸化セリウムは炭化水素の酸化に活性があるが、導電性が弱い。
【0005】
文献“Ni/YSZ and Ni-CeO2/YSZ anodes prepared by impregnation of a solid oxide fuel cell”(固体酸化物燃料の含浸によって製造されたNi/YSZ及びNi−CeO2/YSZアノード),Journal of Power Sourcesにおいて、Qianoらは、テープキャスト及び減圧含浸法によってNi−CeO2/YSZアノードを製造する方法を開示している。CeO2の添加は、電池の性能を増強すると記載されている。
【0006】
米国特許第5,350,641号明細書(Mogensenら)は、CeO2に基づくセラミックを燃料電池のアノードに使用することを開示している。
【0007】
米国特許第6,752,979号明細書(Talbotら)は、テンプレート界面活性剤を用いたナノサイズ酸化セリウム粒子の製法を開示している。界面活性剤の除去、及びそれに伴う2〜10nmの粒度を有するナノサイズ粒子の形成は、例えば300℃でか焼することによって行われる。
【0008】
文献“Mesoporous thin films of high-surface-area crystalline cerium dioxide”(高表面積結晶性二酸化セリウムのメソ孔性薄膜), Microporous and Mesoporous Materials 54 (2002), 97-103において、Lundergらは、約400℃でのか焼の間にテンプレート界面活性剤を除去することによってナノサイズ酸化セリウム粒子を形成することを開示している。
【0009】
国際公開第2006/116153号パンフレットは、金属塩、界面活性剤及び溶媒を含む溶液の溶剤を浸透の前に除去することによって、多孔性構造体の孔壁上に微粒子の連続網状体を単一の段階で形成する方法を開示している。前記溶媒の除去は加熱によって行われる。
【0010】
国際公開2005/122300号パンフレットは、FeCr合金を含む粉末懸濁物、ScYSZ及びFeCr合金を含むアノード含浸用の層、電解質層から製造された金属支持型アノード構造体を記載している。こうして得られた半電池は焼結され、そしてNi、Ce、Gdの各硝酸塩を含む溶液が減圧浸透法によりアノード層中に含浸されて、Niを40体積%の割合で含むアノードが得られる。次いで、前記電解質表面上にカソード層を堆積させる。しかし、この出願は、アノード支持体として機能するドープドチタン酸ストロンチウムの導電相内にナノサイズ酸化セリウム粒子を供することについては何ら記載していない。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0018409号明細書は、熱スプレー法によりアノード、カソード及び電解質を形成する固体酸化物燃料電池の製法に関する。このアノードは、イットリウムドープドチタン酸ストロンチウムを含んでいてもよい。しかし、この出願も、ドープドチタン酸ストロンチウムの導電相内にナノサイズの酸化セリウム粒子を含浸によって供することについては全く記載していない。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、ドープドチタン酸ストロンチウムの導電相(electronically conductive phase)の基礎構造体中にナノサイズの酸化セリウム粒子を供することを含む方法によって得ることができる新規のセラミック電極を用いることで、予期できない程に高い性能、すなわち高い電気化学的活性が幅広い温度(650〜850℃)で得られることをここに見出した。
【0013】
それゆえ、本発明に従い、本発明者らは、次の段階、すなわち
(a) 導電相の粉末を分散しそしてこの分散物にバインダーを加えることによってスラリーを用意し、この際、前記粉末は、ニオブドープドチタン酸ストロンチウム、バナジウムドープドチタン酸ストロンチウム、タンタルドープドチタン酸ストロンチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
(b) 段階(a)のスラリーを焼結し、
(c) 酸化セリウムの前駆体溶液を用意し、この溶液は溶媒及び界面活性剤を含み、
(d) 段階(b)で得られた焼結された構造体を、段階(c)の前駆体溶液で含浸し、
(e) 段階(d)で得られた構造体をか焼に付し、そして
(f) 段階(d)〜(e)を少なくとも一回行う、
段階を含む方法によって得ることができるセラミックアノード構造体を提供する。
【0014】
好ましい態様の一つでは、電解質、すなわち酸素イオン伝導相、例えばイットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)も、導電性成分とこの電解質を組み合わせることによって供される。それゆえ、本発明は、次の段階、すなわち
(a) 導電相の粉末を分散し、そしてこの分散物にバインダーを加えることによってスラリーを用意し、この際、前記粉末は、ニオブドープドチタン酸ストロンチウム、バナジウムドーブドチタン酸ストロンチウム、タンタルドープドチタン酸ストロンチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
(b) 前記導電相スラリーを電解質と組み合わせ、
(c) 得られた多層構造体を焼結し、
(d) 酸化セリウムの前駆体溶液を用意し、この溶液は溶媒及び界面活性剤を含み、
(e) 段階(c)で得られた焼結された多層構造体を、段階(d)の前駆体溶液で含浸し、
(f) 段階(e)で得られた構造体をか焼に付し、及び
(g) 段階(e)〜(f)を少なくとも一回行う、
段階を含む方法によって得ることができるセラミックアノード構造体も包含する。
【0015】
電解質を含む態様の一つの具体的な態様では、例えば前記のスラリーを前記電解質にスプレー塗布することによって、導電相のスラリーを電解質上に塗布する。前記電解質は、予め焼結されたYSZテープ、例えば適切な厚さ、例えば約100〜200μmの厚さを有するTZ8Y(Tosoh)の形であることができる。
【0016】
アノード支持型電池の提供を可能にするためには、他の具体的な態様の一つでは、電解質は、好ましくは、集電体として機能する導電相の上に形成される。こうして形成された多層構造は焼結してアノード支持型構造体を得る。この際、電解質、例えばTZ8Y(Tosoh)は、薄い層、例えば約10μmの薄い層の形であり、他方、アノード支持体の厚さ、すなわち導電性集電体の厚さは好ましくはこれよりかなり厚く、例えば100μmである。それゆえ、電解質を含む態様では、段階(b)は、上記の導電相のスラリーをテープキャストすることによって導電相の層を形成し、そして電解質をその上に形成することを含むことができる。こうして形成された多層構造体は次いで焼結に付すことができる。
【0017】
(電解質があるかまたは無い)上記のいずれの態様においても段階(a)の導電相は、最初に、追加の酸素イオン伝導相、例えばイットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、または混合酸素イオン−電子伝導相、例えばGdドープド酸化セリウム(CGO(Ce1-xGdx2-δ))も含むことができる。それゆえ、導電相は、約20〜50体積%のYSZ(20〜50体積%50/501μm/7μmYSZ)を持って供し、それによって複合体を形成することができる。
【0018】
本明細書で使用する“多層構造体”という用語は、含浸及びか焼の前に二つまたはそれ以上の相を含む構造体を包含する。この多層構造体は、電解質と組み合わせた導電相か、または電解質と組み合わせた導電相及び酸素イオン伝導相か、または電解質と組み合わせた導電相及び混合酸素イオン−電子伝導相を含むことができる。
【0019】
本明細書で使用する“基礎構造体”という用語は、場合により最初に酸素イオン伝導相、例えばYSZ、または混合イオン−電子伝導相、例えばCGOと混合した、ドープドチタン酸ストロンチウムの導電相を定義するものである。YSZは酸素イオンのみを伝導し、CGOは、還元性雰囲気中、例えばSOFCのアノード質に蔓延する還元性雰囲気中で混合伝導体であることが理解され得る。
【0020】
本明細書で使用する“粉末”という用語は、0.2〜100μm、好ましくは0.1〜10μmの範囲、例えば約0.2、0.5、1.0または5μmの平均粒径を有する粒子の集合体を定義する。
【0021】
本明細書において、“相”及び“成分”という用語は互換可能に使用される。それゆえ、導電相は、導電性成分と同じ意味を有する。
【0022】
本発明においては、酸化セリウム粒子は、上に定義した多層構造体と混合され、その際、多層構造体の表面、特に前記導電相を含む基礎構造体の表面を覆うナノサイズ酸化セリウム粒子/結晶子をその場で(in-situ)形成させるために、か焼段階を行う。それゆえ、ナノサイズ酸化セリウム粒子は、多層構造体中に微細に分散され、それによってその中の粒子の表面を完全に覆う。
【0023】
“その場で(in-situ)”という用語は、作業中、またはアノード構造体の製造プロセスが行われている最中のことを意味する。
【0024】
“ナノサイズ酸化セリウム粒子または結晶子”という用語は、1〜100nm、好ましくは1〜50nm、例えば5〜40nm(例えば5〜20nmなど)の粒度(平均粒子径)を有する粒子を意味する。
【0025】
界面活性剤を含む酸化セリウム前駆体溶液が多層構造体の多孔中に浸透することを確実にするために好ましくは減圧下に行われる含浸処理、及びそれに次ぐ酸化セリウム前駆体を含む焼結された構造体のか焼は、生ずるナノサイズ酸化セリウム粒子を多層構造体中に組み入れることを可能にする。
【0026】
本発明においては、ナノサイズ酸化セリウム粒子は、テンプレート界面活性剤の除去によって形成される。これらの粒子は、ナノサイズ表面構造を形成し、これは、ドープドSrTiO3(ドーパントはNb、TaまたはVである)の欠陥化学と組み合わさって、幅広い温度において驚くべき程に高い電気化学的活性度(低い分極抵抗)、並びに高いレドックス安定性をもたらす。
【0027】
本発明の態様の一つでは、前記界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤からなる群から選択される。好ましくは、前記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤、例えばPluronic P123の商号(BASF)で販売されている界面活性剤である。
【0028】
更に別の態様の一つでは、酸化セリウムの前駆体溶液は、ガドリニウム(Gd)を含む。このガドリニウムはドーパントとして働き、そして含浸及びか焼の後に、多層構造体中の粒子の表面を覆うナノサイズCGO(Ce0.8Gd0.21.9)の形成をもたらす。他の適当なドーパントにはSm、Y及びCa、並びにこれらの混合物などが挙げられる。それゆえ、酸化セリウムの前駆体溶液は、Gd、Sm、Y、Ca及びこれらの混合物からなる群から選択されるドーパントを含む。
【0029】
二価もしくは三価のカチオンをドープした酸化セリウムは、SOFCの用途に魅力的な十分に高いイオン伝導性を有することが文献に記載されている(例えば、Mogensen et. al. Solid State Ionics, 129 (2000) 63-94)。多くのドーパント、例えばアルカリ性希土類金属酸化物及びY23が、Ce副格子中に高い溶解性を有する。Ce4+を+3または+2のカチオンで置き換えると、格子中の電荷を埋め合わせるアニオン原子価サイトが生ずる。高い伝導性を可能にするためには、ドーパントの選択が重要である。最も高いイオン伝導性は、歪みの無い格子、すなわちドーパントのイオン半径が、“マッチング(matching)”半径にできる限り近い場合に得られる(例えば、Mogensen et. al. Solid State Ionics, 174 (2004) 279-286)。それゆえ、Gd、Sm、Y及びある程度はCaも、酸化セリウム(CeO2)のための好適なドーパントである。
【0030】
酸化セリウムの前駆体溶液中のドーパント(Gd、Sm、Y、Ca)の量は、溶解性及びドーパントに依存して5重量%〜50重量%の範囲、好ましくは10重量%〜40重量%の範囲である。
【0031】

前記含浸及びか焼段階を少なくとも一回、好ましくは最大五回まで行うことによって、より多くの量の酸化セリウムが多層構造体中の粒子に浸透しそしてこれを覆うことが保証される。
【0032】
酸化セリウム粒子(結晶子)を約20nm未満に維持するためには、か焼段階は好ましくは650℃またはそれ未満、より好ましくは350℃またはそれ未満の温度で行われる。か焼を確実にするためには、前記温度は、0.5時間またはそれ以上の保持時間、好ましくは1時間を超える保持時間、例えば3時間または5時間または10時間の保持時間、維持する。か焼は、酸素環境中、好ましくは空気(約20%v/v酸素)中で行うことができるが、他の雰囲気、例えばH2/N2雰囲気、例えば9%v/vH2と残部のN2を含むH2/N2雰囲気も適している。その場で形成される酸化セリウム粒子のより小さな粒度(結晶子サイズ)、それゆえより大きなBET表面積は、低めのか焼温度、比較的短い保持時間、及び酸素含有雰囲気で達成される。それ故、好ましい態様の一つでは、か焼段階は、空気中で350℃で4時間行われ、約5nmの酸化セリウム粒子が生ずる。酸化セリウム粒子が小さい程、それらの分散、特に(場合によっては最初に例えば酸素イオン伝導相と混合された)導電相を含むアノードの基礎構造体中でのそれらの分散がより微細になる。加えて、低めの温度、例えば約250℃は、か焼プロセスを加速し、それによってより速い含浸サイクルを容易にすることができる。これは、より短い時間規模内で複数回の含浸が可能であることを意味する。製造プロセス全体の必要な時間をかなり短縮することができる。
【0033】
本発明のアノード構造体は、慣用のNi−YSZアノード構造体よりも優れている。さらには、アノード中のNi金属触媒の存在を完全に避けることができるか、または少なくとも実質的に減らすことができる。それ故、本発明によって、完全なセラミック製燃料電極を、金属触媒、例えばNiまたは類似の活性金属を用いずに製造することができる。性能を更に向上させるためには、わずか数重量%、例えばアノード重量の約10重量%未満の範囲の少量の金属触媒だけを使用することができる。
【0034】
本発明の一つの態様では、該方法は、更に、酸化セリウムの前駆体溶液を、ニッケル前駆体溶液と組み合わせることを含む。この際、結果生ずるアノード中のニッケルの全量は10重量%未満である。ニッケル前駆体溶液は、好ましくはニッケルの水溶液、例えばNi(NO3)・6H2Oである。結果生ずるアノード構造体中のNiの量は、有利には、0.05〜10重量%、例えば1〜5重量%または5〜10重量%である。少量のニッケルの存在(結果生ずるアノード中でNi10重量%未満)は、より高い電気化学的活性、特に650〜850℃の温度での電気化学的活性の面で性能を向上する。これは、結果生ずるアノード中のNiの量がかなりより多くなり得る(例えば40重量%またはそれ以上)従来技術のアノードとは対照的である。多量のNiはニッケル粒子を生じさせ、これはか焼時に合体し、それによってニッケルの粗大化を招いて、経時的な電池の活性のより大きな劣化または損失の原因となる。ニッケルが少量であることによって、ニッケル粒子が互い隔離されて、むしろCGO相中で触媒酸センター(catalytic acid centers)の一種として働く。
【0035】
本明細書で使用する“結果生ずるアノード”という用語は、基礎構造体を表し、すなわちこれは、場合によっては最初に酸素イオン伝導相(例えばYSZ)、または混合酸素イオン−電子伝導相(例えばCGO)と混合された、ドープドチタン酸ストロンチウム導電相を含む。しかし、これは電解質は含まない。Niの前駆体溶液は、ドープされた酸化セリウム溶液と同じような方法で別に製造することもできる(ニッケル溶液は界面活性剤及び溶媒を含む)。次いで、ニッケルの前駆体溶液での含浸を、酸化セリウムの含浸の後に別の工程として行うことができる。
【0036】
溶媒及び界面活性剤を含む酸化セリウムの前駆体溶液の製造プロセスの間、酸化セリウム及びガドリニウムを含む溶液を、最初にエタノールなどの適当な溶媒と混合することができる。例えば、硝酸セリウム及び硝酸ガドリニウムの各エタノール溶液を別々に調製することができる。次いで、界面活性剤、好ましくはPluronic P123を、硝酸セリウム溶液中にまたは硝酸セリウム及び硝酸ガドリニウムの一緒にした溶液中に、例えば室温で溶解することができる。
【0037】
セリウム及びガドリニウムの各硝酸塩を含む溶液と、Pluronic 123界面活性剤を含む溶液の二つの溶液は別々に調製することができる。各化学種がそれぞれの溶媒中に完全に溶解したら上記の溶液を混合することができる。溶媒としてはエタノールばかりでなく、上記の硝酸塩及び界面活性剤を溶解することができる他の溶媒または複数種の溶媒の混合物、例えば水も使用することができる。
【0038】
焼結された構造体の含浸時に酸化セリウムの前駆体溶液の濡れを向上するために、一種またはそれ以上の追加の界面活性剤を、上記の界面活性剤−硝酸セリア溶液または界面活性剤−硝酸セリウム及びガドリニウム溶液に加えることができる。前記一種またはそれ以上の追加の界面活性剤は、好ましくは上記第一の界面活性剤(Pluronic P123)とは異なるノニオン界面活性剤、例えばTriton X−45またはTriton X−100である。
【0039】
本発明の更に別の態様の一つでは、NbをドープしたSrTiO3の量は、アノードの重量の50〜80%を占め、そして浸透された酸化セリウム相はアノードの重量の20〜50%を占める。好ましくは、NbドープドSrTiO3の量は、アノードの重量の約75%を占め、そして浸透された酸化セリウム相はアノード(上述の通り“結果生ずるアノード”)の重量の約25%を占める。
【0040】
か焼の後は、酸化セリウムに基づく酸化物層は、結晶性または半結晶性ナノサイズ結晶子、例えば空気中350℃で4時間のか焼の後には5nmの範囲のこのようなナノサイズ結晶子の網状体からなると理解し得る。これらの結晶子は、該多層構造体の粒子の表面を覆う。この特殊な表面構造は、ドープドSrTiO3、好ましくはNbドープドSrTiO3の調整された欠陥化学と組み合わさって、該アノードの高い電気化学的活性をもたらすものと信じられる。
【0041】
ワン・アトモスフィア・セットアップ(one-atmosphere set-up)中で開路電圧(OCV)で対称セルについて測定すると、固体酸化物燃料電池の用途において従来技術によるNi−YSZ燃料電極と比べて、電気化学的活性は維持されるかまたは向上される。該電極の見かけ上低い活性化エネルギー(約0.7eV)の故に、低めの運転温度においても性能が維持される。別の言い方をすれば、温度の変化に対する敏感さが低下し、幅広い温度(650〜850℃)において性能が維持される。
【0042】
本明細書で使用する“対称セル”という用語は、予備焼結された電解質材料の両側に電極材料を堆積させた電池のことを言う。測定は、ガス組成及び温度を応じて変化させることができるワン・アトモスフィア・セットアップ中で行われる。
【0043】
更に、該電極組成は、レドックス安定性であることが判明した。レドックス安定性は、現在使用されるNi−YSZ電極と比べて格別改善される。このより高いレドックス安定性の結果、該新規複合アノード構造体は、周囲の雰囲気の変化に対してより頑健であり、酸化/還元時にそれほど膨張または収縮しない。
【0044】
固体酸化物燃料電池用の電極の製造または類似の用途に現在使用されている様々な製造技術を使用することができる。該新規複合アノード構造体は、固体酸化物燃料電池(SOFC)に現在使用されている燃料電極(アノード)及び固体酸化物電解セル(SOEC)に現在使用されているカソードの補足となるかまたはこれに置き換わることができる。それ故、本発明は、請求項11に記載のように本発明のアノード構造体を含む固体酸化物燃料電池(SOFC)も包含する。それ故、SOFCに使用した場合、該アノード構造体自体は電解質を含まない。当然、SOFCとするためには、請求項1のアノード構造体自体の他に、電解質及びカソード層も必要である。次いで、このようなSOFCを複数含むSOFCスタックを組み立てることができる。
【0045】
ドープされたSrTiO3は集電層として使用することができるか及び/またはそれの高い導電性の故に電極支持層として使用することができる。高い導電性は、アノード支持体として前記ドープドSrTiO3を用いてアノード支持型SOFCを製造することを可能にする。
【0046】
本発明のアノード構造体は、アノード(及びカソード)が燃料電池の場合とは異なって働き得る燃料電池以外の用途でも電極として使用することができる。このような用途には、電解セル及び分離膜が挙げられる。それ故、本発明者らは、請求項12に記載のように、本発明に従い製造されるアノード構造体を、酸素分離膜、水素分離膜、電解セル及び電気化学的煙道ガス清浄用セルにおいて電極として使用することも提供する。
【発明の詳細な説明】
【0047】
対称電池の電気インピーダンス分光(EIS)測定は、電極として該新規全セラミックアノードを用いて行った。典型的なインピーダンススペクトルを図1に示す。このデータは、様々な温度で含湿H2(約3%H2O)中での測定を示す。
【0048】
図1と同じような測定を、600〜850℃の温度で行った。電極分極抵抗(Rp)を、従来技術のNi−YSZ燃料電極を用いた類似の測定と比較した。このNi−YSZ電極を、同じ製造バッチからの類似の予備焼結されたYSZ電解質テープに適用した。それゆえ、これらの結果は比較可能である。該新規セラミック電極の驚くべき程に高い電気化学的性能を理解し易いように、単成分NbドープドSrTiO3電極について及びNbドープドSrTiO3/YSZ複合構造体を有する電極についても測定を行った。様々な電極組成について様々な温度下での分極抵抗(Rp)を表1に示す。
表1: 同じ予備焼結した電解質(200μmYSZ)バッチを有する対称電池で測定した様々な電極組成についての分極抵抗RP(Ωcm2)。STN=Sr0.94Ti0.9Nb0.13、CGO=Ce0.8Gd0.21.9(含浸されたもの)。LT=温度を850℃に上げる前の650℃での初期測定。測定は、含湿H2(約3%H2O)中で行った。
【0049】
【表1】

【0050】
表1から、該新規セラミック電極は、850℃でNi−YSZと同様に機能したが、驚くべき程に低い活性化エネルギー(約0.7eV)の故に、より低い温度においてより高い性能を有する。これらの結果は、各電極が、同じ予備焼結されたYSZテープを電解質として有した時の開路電圧(すなわち分極なし)での対称電池測定に基づく。CGOを有する全てのサンプルは三回含浸し、この際、各々の含浸の後に空気中350℃で4時間か焼した。二つの異なるSTN/CGOサンプルシリーズ間の性能の違いは、第二シリーズにおけるより少量のCGOであると考えられる。
【0051】
STN/CGO−Niは、(上記の他の電池と類似して)CGOで三回含浸し、この際最後の回ではNi前駆体溶液で含浸したNbドープドSrTiO3基礎構造体を有する電極であった。電極(この場合は、電解質を持たないアノード構造体)中のNiの全量は、10重量%よりも少なく、約5〜10重量%であった。電極に少量のNiを加えると性能が向上した。以下の説明に拘束されるものではないが、酸化セリウム相が、なおも主たる電気触媒活性成分であると考えられる。Niは、触媒性能を或る程度向上させ得るが、これは主に、酸化セリウム粒子及び導電性NbドープドSrTiO3相への及びこれからの電子の除去及び/または分布を向上させる。
【0052】
他の非常に驚くべき結果は、本発明のセラミック電極のレドックス安定性であった。図2は、レドックスサイクルを行うことによって分極抵抗(RP)がどのように影響されるかを示す。矢印は、レドックスサイクルの前の初期RPを示す。残りのデータは、レドックスサイクルの後にどのようにRPが変化するかを示す。陰を付けた領域は、各レドックスサイクルの間に様々な測定が行われたことを示す。
【0053】
これに関連してレドックスサイクルとは、燃料ガス(含湿H2)が空気に急変したことを意味する。各サンプルは、これらが完全に酸化されることを確実にするために(P(O2)を同時にその場で測定した)、650℃で約1時間、空気に曝した。次いでガスを再び含湿H2に戻し、そしてP(O2)が安定したら、分極抵抗をしばらく測定した。
【0054】
図2は、このサンプルシリーズにおいてたとえRPが最初に比較的高い場合(>1Ωcm2)でも、650℃での最初のレドックスサイクルの後に分極抵抗は最初に10倍低下したことを示す(1.66から0.19Ωcm2)。レドックスサイクルに対するこの再活性化及び安定性は、非常に価値のある特徴である。この現象は、三つの異なるサンプルシリーズで同様の結果を持って繰り返された。これはこのプロセス及び驚くべき結果が再現可能であることを示す。
【0055】
図3のSEM写像は、CGO粒子がどのように良好に分散されたかを示す。上の段の写像の上部のベタ部はYSZ電解質である。ナノサイズCGO粒子は、電解質中に至る全ての所で多孔性微細構造中で全てのNbドープドSrTiO3粒子を完全に覆う。CGO粒子は薄い層(50〜100nm)として観察され、これは、より大きなNbドープドSrTiO3粒子の全てを覆っている。この写像は、各々の含浸の間に350℃下に空気中で4時間か焼して、三回の含浸後に、但し電気化学的試験の前に撮影したものである。
【0056】
電解質としてのYSZ、及び基礎構造体としてのNbドープドSrTiO3(各含浸の間に350℃下に空気中で4時間か焼して、CGO溶液で三回含浸したもの)からなる対称電池にXRDを行った。更に、これらの電池を、次いで、650〜850℃の様々な温度に及び異なる雰囲気中で(空気か、または9%H2/N2)48時間加熱した。回折図におけるCGOピークのピークの広がりの違いに基づいて、か焼されたCGO層の粒度に対して温度が影響を有することが判明した。CGO相の平均粒度davgは、次のシェレルの式(1)を用いてXRD回折図から計算した。
【0057】
【数1】

【0058】
式中、κ、λ、β、及びθは、それぞれ、形状因子(0.9とする)、CuKα放射線の波長(1.54056Å)、(約28.5°2θでの)(1 1 1)反射の半値全幅(FWHM)、及び(1 1 1)反射のブラッグ角である。平均粒度を表2に示す。
【0059】
比表面積(SSA)の測定と、異なる温度及び雰囲気がどのような影響があるかを求めるために、同じサンプルに対し窒素吸着/脱着実験(BET)も行った。表2には比表面積の結果も示す。比較として、単成分NbドープドSrTiO3は、約11m2/gのSSAを有する。
表2: 76重量%NbドープドSrTiO3及び24重量%CGOを有するサンプルの、XRDから計算CGO粒子の粒度及びBET比表面積(SSA)。全か焼時間は括弧内に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
空気中350℃でか焼(三回含浸した後)したサンプル及び650℃で9%H2/N2中でか焼したサンプルもTEMで検査した。これらのサンプルのTEM顕微鏡写真を図4に示す。図4中、A)及びB)は、三回の含浸及びトータルで12時間(各々の含浸後に4時間)350℃下に空気中でか焼した後のサンプルを表す。C)及びD)は、650℃下に9%H2/N2中で48時間更に熱処理した後のサンプルを表す。尺度は、A)50nm、B)5nm、C)50nm、D)20nmである。全ての顕微鏡写真において、NbドープドSrTiO3相は、かなりより大きな粒子で、そしてCGOは小さなナノ結晶で表示されている。これらのTEM写像は、XRDからの粒度の計算を裏付けている。350℃でか焼した後、平均CGO粒度は約5nmであり(図4A−B参照)、そして650℃下に9%H2/N2中で48時間か焼した後、平均粒度はおおよそ20nmあたりのようである(図4C−D参照)。
【0062】
驚くべき程に高い電気化学的活性は、界面エネルギーに関連しているようであり、それによって本発明者らは、形成された酸化セリウムナノ結晶の適切な種類の活性面を数多く得る。酸化セリウムナノ結晶が、異なる材料上ではそれぞれ異なる形態を有することの証拠が図5に見られる。ここでは、NbドープドSrTiO3及びYSZの両方を含む複合基礎構造体を酸化セリウム溶液で含浸し、そして850℃の最大温度で含湿H2中で試験した。A)は、CGOがYSZ粒子を覆っている領域に相当し、B)は、CGOがNbドープドSrTiO3粒子を覆う領域に相当する。異なる基礎構造粒子上においてCGO粒子の形態が顕著に異なる。電子顕微鏡写真の上部のベタ部は、YSZ電解質である。YSZ及び酸化セリウムは類似の結晶構造(フルオライト構造)を有するために、酸化セリウム相は、YSZ一面上に広がる(smear out)傾向がある。NbドープドSrTiO3はペロブスカイト構造を持ち、それゆえ、界面エネルギーは、YSZ/酸化セリウム界面と比べてチタン酸塩/酸化セリウム界面では異なってくる。酸化セリウムの形態は、NbドープドSrTiO3上では異なり、より電気化学的活性が高い面が裸出される。
【実施例】
【0063】
例1
全セラミックSOFCアノードの製造に使用した浸透溶液を調製するために以下の手順を使用した。
1. 0.8モル/リットルの硝酸セリウム及び0.2モル/リットルの硝酸ガドリニウムを含むエタノール溶液(約10gのエタノール)を調製した。
2. 1gのPluronic P123界面活性剤を前記硝酸塩溶液中に室温で溶解した。
3. (任意) 硝酸セリウム及び硝酸ガドリニウムを含む溶液と、Pluronic P123界面活性剤を含む溶液の二つの溶液を別々に調製することができる。上記の化学種がそれぞれの溶媒中に完全に溶解したらこれらの溶液を混合することができる。エタノールばかりではく、上記硝酸塩及び界面活性剤を溶解することができる他の溶媒(または複数種の溶媒の混合物)も使用することができる。例えば水などがある。
4. (任意)浸透溶液の濡れを向上するために追加の界面活性剤(例えばTriton X−45またはTriton X−100)を加えることができる。一つの実験では、硝酸塩及びPluronic P123を含む溶液に約0.3gのTriton X−100を加えた。
5. 多孔性導電性相の基礎構造体を作製する。この導電相は、ニオブ(Nb)ドープドSrTiO3(公称組成=Sr(1-x/2)0.99Ti1-xNbx3)からなる。前記チタン酸ストロンチウム材料において、Nbの代わりにバナジウム(V)またはタンタル(Ta)も使用することができる。
6. 前記基礎材料のためスラリーは、NbドープドSrTiO3の粉末を分散することによって調製した。分散後にバインダーを加え、そしてこのスラリーを、予備焼結したYSZテープ(TZ8Y(Tosoh)、200μm厚)上にスプレー塗布した。
7. 電解質層のスプレー塗布の後に、得られた半電池を空気中でまたはH2/N2の混合物中で1200〜1300℃で焼結した。
8. 前記アノード基礎構造体を作製した後、調製した前記浸透液を、このアノード基礎材料の開口した多孔系中に含浸する。浸透は減圧下に行う。
9. 浸透後、得られた電池を空気中で350℃でか焼する。この熱処理は界面活性剤を除去し、そして目的の酸化物(Ce0.8Gd0.21.9)を形成する。
10.(任意) 段階8〜9を複数回繰り返して、ドープド酸化セリウム相の量を増加させる。
【0064】
これらの段階は、新規の複合全セラミックアノード構造体を提供する。結果生ずるドープド酸化セリウム相は大きな表面積を有し(表2参照)、そして350℃でか焼した後、平均して直径が約5nmの粒を含む(表2参照)。最終のセラミック複合構造体は、二つの相、すなわち導電相、及び高い触媒活性を有する混合電子−イオン伝導相からなる。該新規複合構造体は、還元性雰囲気下に(ドープドチタン酸ストロンチウムに由来する)高い導電性を供し、そして固体酸化物燃料電池中で燃料電極として高い電気化学的活性を示す。
例2
例1と同じ方法であるが、但し、段階6を次のように若干変更する。すなわち、この場合、段階6のスラリーは、約1:1の体積比でNbドープドSrTiO3及び8モルイットリア安定化酸化ジルコニウムを含むものであった。
例3
例1と同じ方法であるが、但し段階6を次のように若干変更する。すなわち、この場合、段階6のスラリーは、約1:1の体積比でNbドープドSrTiO3及びGdドープドCeO2を含むものであった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明のアノードを電極として有する対称セル上での電気インピーダンス分光(EIS)スペクトルを示す。このスペクトルは、電極からの抵抗について補正している。
【図2】対称セルで測定した本発明のアノードのレドックスサイクルの間の分極抵抗(Rp)挙動を示す。
【図3】NbドープドSrTiO3(STN)のCGO含浸基本構造体の断面の走査電子顕微鏡(SEM)写像を示す。
【図4】NbドープドSrTiO3のCGO含浸基礎構造体のか焼したサンプルの透過型電子顕微鏡(TEM)写像を示す。
【図5】CGOで含浸したNbドープドSrTiO3及びYSZの複合基礎構造体の試験した対称電池の断面のSEM写像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の段階、すなわち
(a) 導電相の粉末を分散し、そしてこの分散物にバインダーを加えることによってスラリーを用意し、この際、前記粉末は、ニオブドープドチタン酸ストロンチウム、バナジウムドープドチタン酸ストロンチウム、タンタルドープドチタン酸ストロンチウム及びこれらの混合物からなる群から選択され、
(b) 段階(a)のスラリーを焼結し、
(c) 酸化セリウムの前駆体溶液を用意し、この溶液は溶媒及び界面活性剤を含み、
(d) 段階(b)で得られた焼結された構造体を段階(c)の前駆体溶液で含浸し、
(e) 段階(d)で生じた構造体をか焼に付し、及び
(f) 段階(d)〜(e)を少なくとも一回行う、
段階を含む方法によって得ることができるセラミックアノード構造体。
【請求項2】
次の段階、すなわち
(a) 導電性成分の粉末を分散し、そしてこの分散物にバインダーを加えることによってスラリーを用意し、この際、前記粉末は、ニオブドープドチタン酸ストロンチウム、バナジウムドープドチタン酸ストロンチウム、及びタンタルドープドチタン酸ストロンチウムからなる群から選択され、
(b) 上記導電相スラリーを電解質と組み合わせ、
(c) 得られた多層構造体を焼結し、
(d) 酸化セリウムの前駆体溶液を用意し、この溶液は溶媒及び界面活性剤を含み、
(e) 段階(c)で得られた焼結された多層構造体を段階(d)の前駆体溶液で含浸し、
(f) 段階(e)で得られた構造体をか焼に付し、及び
(g) 段階(e)〜(f)を少なくとも一回行う、
段階を含む方法によって得ることができるセラミックアノード構造体。
【請求項3】
段階(b)が、上記導電相スラリーをテープキャストすることによって導電相の層を形成し、そしてその上に電解質を載せることを含む、請求項2のアノード構造体。
【請求項4】
段階(a)の導電相が、最初に追加的な酸素イオン伝導相、または混合酸素イオン−電子伝導相も含む、請求項1または2のアノード構造体。
【請求項5】
界面活性剤が、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項1〜4のアノード構造体。
【請求項6】
界面活性剤がノニオン界面活性剤である、請求項5のアノード構造体。
【請求項7】
酸化セリウムの前駆体溶液が、Gd、Sm、Y、Ca及びこれらの混合物からなる群から選択されるドーパントを含む、請求項1〜6のいずれか一つのアノード構造体。
【請求項8】
焼結された構造体の含浸及びか焼段階が最大5回まで行われる、請求項1〜7のいずれか一つのアノード構造体。
【請求項9】
か焼段階が空気中で250℃またはそれ未満の温度で行われる、請求項1〜8のいずれか一つのアノード構造体。
【請求項10】
酸化セリウムの前駆体溶液とニッケル前駆体溶液とを一緒にすることを更に含み、この際、結果生ずるアノード中のニッケルの全量が10重量%未満である、請求項1〜9のいずれか一つのアノード構造体。
【請求項11】
請求項1及び3〜10のアノード構造体を含む固体酸化物燃料電池。
【請求項12】
酸素分離膜、水素分離膜、電解セル及び電気化学的煙道ガス清浄用セルにおける電極としての、請求項1〜10のいずれか一つのアノード構造体の使用。
【請求項13】
アノード支持型SOFC中のアノード支持体としての、請求項1〜10のいずれか一つのアノード構造体の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−110933(P2009−110933A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−219432(P2008−219432)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(507018838)テクニカル ユニヴァーシティー オブ デンマーク (11)
【Fターム(参考)】