説明

酸化鉄顔料

本発明は平均固体直径0.1〜500μmを有する酸化鉄顔料、およびその製法および使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平均固体直径0.1〜500μmを有する赤色酸化鉄顔料並びにその製法および使用に関する。
【0002】
酸化鉄顔料を製造するためには、種々の方法が存在する:
a)ロー(Laux)法
ロー法はニトロベンゼン及びFe−金属から、最初に黒色酸化鉄または黄色酸化鉄およびアニリンに変換する。この方法により赤色酸化鉄を製造するためには、得られた黒色酸化鉄をか焼する。この方法は、所望の粒度を調節するために種々の量の制御試薬を使用しなければならないので、非常に複雑であり、容易に習熟することができない。更に、必要な装置は技術的に多くを要求し、それによって高価である。更に、反応の際に第二の生成物としてアニリンが生じ、これはその特性により特別な労働衛生上の措置を必要とする。
【0003】
このロー法により製造した赤色酸化鉄は、塗料においてフロキュレーションする傾向およびアグロメレーションする傾向にあるという欠点を有する。更にロー法により製造した赤色酸化鉄はダストを形成し、高いDIN−pH値(6)を有する。
【0004】
b)沈降法
直接的な沈降法による赤色酸化鉄の製造は、US−5421878中に記載されている。直接的な沈降法は、α−Feが非常に狭い範囲でのみ獲得可能であり、反応を容易に制御することが困難であるので、プロセス工学的に困難である。沈降法により製造された赤色酸化鉄は、廃水に負担をかけ、このことにより経済的に問題のある高い塩含量という欠点を有する。
【0005】
沈降法により製造された赤色酸化鉄は、高い製造費の他にもダスト形成および高いDIN−pH値(4.5〜6)を有するという欠点を有する。
【0006】
c)水熱法
水熱法はDE−A−19917786中に記載されている。水熱法によれば、高品質の適用のために、特に塗料および仕上げ塗料のために非常に良好な赤色酸化鉄顔料を製造することができる。しかしながら、ここでは圧力技術による高いプロセス費用が欠点である。従って、安価な製品を必要とする、簡単な適用のためには、この方法は適当ではない。
【0007】
水熱法により製造された赤色酸化鉄顔料は高い製造費用と、更にダスト形成という欠点を有する。
【0008】
d)ペンニマン−ゾフ(Penniman−Zoph)法
ペンニマン−ゾフ法はDE−A−1995816に記載されている。ペンニマン−ゾフ法によれば、赤色酸化鉄顔料は金属鉄を赤色酸化鉄の芽晶の添加下に溶かし、酸化することにより製造される。この際芽晶を製造するために、一般に硝酸を使用し、こうして廃水中に硝酸塩またはアンモニアが存在し、これを高いプロセス費用をかけて除去しなければならない。このことは熱水法および沈降法におけると同様に高い製造費用に導き、この結果この種の顔料の適用を狭い分野に制限する。
【0009】
熱水法により製造された赤色酸化鉄は費用が高く、環境に負担をかける製法であるだけでなく、ダストを形成し、かつ高いDIN−pH値(4.5〜6)を有するという欠点を有する。
【0010】
e)鉄含有材料のか焼
鉄含有材料のか焼はEP−A−0911369中に記載されている。黄色酸化鉄、黒色酸化鉄またはその他の鉄含有酸化物または金属固体物質をか焼することにより赤色酸化鉄を製造することができる。高い温度を必要とするために、これから製造された赤色酸化鉄顔料の品質は損なわれる。高品質の赤色酸化鉄顔料を製造するためには、この方法の費用を高める、高品質の前駆化合物が必要である。
【0011】
鉄含有材料のか焼により製造される赤色酸化鉄顔料は、比較的硬度が高く、粉砕に費用がかかるという欠点を有する。更に鉄含有材料をか焼することにより製造した赤色酸化鉄はダストを形成する。
【0012】
f)FeSOの分解
硫酸鉄(II)の高温での分解は、赤色酸化鉄およびSOに導き、これは硫酸に変換することがある。この方法は必要な高い温度と、生じたガスの腐食性により装置工学的に著しく費用がかかる。
【0013】
FeSOの分解により製造される赤色酸化鉄は、前記の製法による欠点の他に、ダストを形成するという欠点を有する。
【0014】
顆粒はダストが少なく、良好な流動性および良好に分散性であるので、コンクリート部材、分散塗料および紙着色における着色の分野での多くの適用のために、最近使用される。通常の造粒法は、粉末から出発し、これを結合剤と混合し、引き続き造粒する。通常の造粒法はスプレー造粒、圧縮造粒およびパン(Teller)造粒がある。
【0015】
g)FeClまたはFe(NOの熱加水分解
熱加水分解は1960年頃以来、工業的に確立され、最初に主に酸洗い液(FeCl)からHClを回収するために使用された。この間に、酸化物原料、特に酸化鉄の獲得のための重要な方法になった。この方法の利点は連続的に作業することができることであり、液体の原料を使用し、経済的であり、かつ副生成物およびプロセス試薬を使用しないので、特に環境に優しい。
【0016】
この方法は、すでに冶金産業に使用されている。この際、主生成物は回収された塩酸であり(いくつかの場合には、フッ化水素酸または硝酸でもある)、これを再びスチールの酸洗いのために使用する。副生成物として酸化鉄が生じ、これを先ず再び高炉に供給した。酸洗い液(FeCl溶液)の特別な精製工程により、フェライト産業のための純粋な酸化鉄を製造することが達せられた。この適用のためには、正確に定義され、かつできるだけ一定な化学的組成および僅かな不純物の量が必要である。できるだけ少ない塩素含量を有する、比較的硬度の高いか焼酸化物が必要である。(BET−法により測定された)比表面積は分解の反応温度に依存して通常3〜5m/gである。個別のケースでは、10m/gのBET−表面積も達成することができる。この方法に関しては、文献および特許に十分に記載されている(Kladnig,W.& Karner,W.;cfi/Ber DKG67(1990)、80:EP−A−0850881)。
【0017】
低い比表面積のために、不所望な青みを帯びるので、この種の生成物は高品質の顔料適用のためには適していない。通常の、熱加水分解法により製造された市販の酸化鉄赤色顔料は2〜5.5m/gのBET−表面積を有する(Firmenschrift Bailey−PVS Oxides L.L.C.;Firmenschrift Thyssen Krupp Stahl 05/2000)。この生成物はその僅かな比表面積のために、青みを帯び、かつこうして高品質な顔料適用には好適ではない。
【0018】
従って、本発明の課題は、結合剤なしに良好な色特性、すなわち青みを示さない、ダスト形成が低く、流動性の良好な赤色酸化鉄顔料の製法に関する。
【0019】
本発明はCIELAB−単位による明度(Aufhellung)において測定するL*、a*およびb*値:
L*=58〜62、特に59〜61、
a*=20〜27、特に24〜27
b*=10〜24、特に10〜17
を有し、かつ
顔料に対して99質量%より多量の酸化鉄含量および平均固体直径0.1〜500μmを有する酸化鉄顔料に関する。
【0020】
用語“固体”とは、本発明の範囲においては球体であると理解される。本発明による固体の写真を図1に示す。
【0021】
酸化鉄顔料の固体は、有利にBET−表面積6.0〜12.0m/gを有する。
【0022】
酸化鉄顔料の固体は、有利に平均粒度0.05〜0.5μm、特に0.1〜0.3μmを有する一次粒子からなる。一次粒子は同様に本発明の構成部分である。
【0023】
酸化鉄顔料はDIN−pH値2.5〜4.5、特に3.1〜3.8を有するのが有利である。
【0024】
塩素含量が、この顔料に対して0.1質量%またはこれより少ないのが、同様に有利である。
【0025】
本発明は、CIELAB−単位による明度において測定したL*、a*およびb*値:
L*=58〜62、特に59〜61、
a*=20〜27、特に24〜27
b*=10〜24、特に10〜17
を有し、かつ
顔料に対して99質量%より多量の酸化鉄含量を有し、この際、酸化鉄顔料が平均粒度0.05〜0.5、特に0.1〜0.3μmを有する一次粒子からなる酸化鉄顔料に関する。
【0026】
この酸化鉄顔料は有利にDIN−pH値2.5〜4.5、特に3.1〜3.8を有する。
【0027】
前記酸化鉄顔料が、この顔料に対して0.1質量%またはそれより少ない塩素含量を有するのが有利である。
【0028】
更に、本発明は、塩化鉄水溶液の液滴を完全に脱水して固体を形成し、引き続きか焼することを特徴とする、本発明による酸化鉄顔料の製法にも関する。
【0029】
用語“か焼”とは、本発明の範囲においては次の反応式:
2FeCl+2HO+1/2O→Fe+4HCl
2FeCl+3HO→Fe+6HCl
による塩化鉄溶液の熱分解であると理解される。
【0030】
本発明による方法は、塩化鉄がFeClおよび/またはFeClとして存在する、塩化鉄溶液を反応容器中で、一成分ノズルまたは二成分ノズルを用いて噴射し、こうして平均直径1〜1000μm、特に1〜150μmを有する液滴が生じるように、実施するのが有利である。
【0031】
脱水は、有利に温度80〜300℃、特に100〜160℃で行われる。脱水は、例えば反応器中で燃焼ガス、電気加熱、マイクロ波加熱または電磁波により実施することができる。その際、燃焼ガスを並流でまたは向流で導入することができる。このガスを有利に反応器の中側でまたは外側で酸化鉄顔料から分離し、処理して塩酸溶液にする。
【0032】
か焼は温度200〜900℃で、特に650〜750℃で実施する。
【0033】
か焼の後に、付加的な脱塩素工程として、固体を温度200〜900℃で、10分間〜6時間の滞留時間で熱処理することができる。付加的に、熱処理の際に、蒸気を固体と接触させることもできる。
【0034】
脱水およびか焼の際の、300℃より高い温度での液滴/固体の全滞留時間は、有利に1秒〜90分間、特に1分間〜70分間である。
【0035】
か焼の後に、付加的に固体を冷却し、引き続き水で洗浄することができる。
【0036】
全ての製造工程を同じ反応器中でまたは異なる反応器中で実施することができる。
【0037】
以下の反応パラメーターに調節するのが有利である:FeCl100〜300g/lの含量を有する塩化鉄溶液を反応器中に、ノズルを介して、有利には二成分ノズルを介して、並流または向流で、有利には向流で噴射し、こうして平均直径1〜1000μm、有利に5〜150μmを有する液滴が生じる。反応温度を脱水反応器中で80〜300℃に調節する。反応温度を脱水反応器中で100℃〜200℃で、特に有利には120〜160℃に調節し、液滴を緩和に乾燥し、狭い粒度分布を有する塩化鉄結晶からなる非常に小さな固体が得られる。加熱のためには、高温の燃焼ガスを使用するのが有利である。
【0038】
固体を、引き続き温度200℃〜900℃、有利に500℃〜850℃、特に有利に650〜750℃で、酸化鉄およびガス状塩酸の形成下にか焼する。加熱のためには高温の燃焼ガスを使用するのが有利である。
【0039】
脱水およびか焼を2つの分離した反応器中で実施することも、または1つの反応器に統合することもできる。固体の分離は、微細であるので、サイクロンおよび/または好適な濾過装置を用いて反応器の中側または外側で温度範囲150℃〜900℃、有利に500℃〜850℃、特に有利に650℃〜750℃で行われる。塩素含量を最少にするために、一次粒子分布および色特性を調節するために、か焼の後に別のまたは同じ反応器中で、温度200℃〜900℃で、滞留時間10分間〜6時間の間、熱的に後処理することができる。このプロセス工程で水蒸気を供給することもできる。
【0040】
この製法により、黄赤色の酸化鉄顔料が得られ、これは広く多彩な使用に好適である。更に、この酸化鉄顔料は本発明の意味において結合剤不含で製造することができる。本発明の方法により、固体が得られる。この固体は大多数球体として得られる。
【0041】
いくつかの使用のためには、特に塗料および仕上げ塗料においては、微細に粉砕された粉末が必要である。従って、この固体をか焼の後に、平均粒度0.05〜0.5、特に0.1〜0.3μmが達成されるまで粉砕することができる。粉砕装置としては、有利に、ジェットミル、振り子ミル(Pendelmuehle)または機械的分級ミルを利用する。
【0042】
更に、本発明は本発明による酸化鉄顔料を、建築分野において、塗料および仕上げ塗料のために、硬質フェライトおよび軟質フェライトの製造のための原料として、触媒の製造のために、紙の着色のために、および食品および/または化粧品分野における着色物質の適用のために使用することに関する。
【0043】
本発明の範囲においては、建築分野における適用とは、下塗り、舗装用敷石、モルタル混合物等への適用であると理解する。反応器中で生じる酸化鉄顔料は更に冷却直後に、充填することも、使用することもできる。
【0044】
本発明による酸化鉄顔料は固体として直接建築分野におよび/または触媒の製造のために使用することができる。
【0045】
いくつかの使用においては、微粉砕した粉末が必要とされる。従って、本発明による酸化鉄顔料は一次粒子として、建築分野において、塗料および仕上げ塗料のために、硬質フェライトおよび軟質フェライトの製造のための原料として、触媒の製造のために、紙の着色のために、および食品および/または化粧品分野における着色物質における適用のために使用されることができる。
【0046】
実施例
次に実施例につき本発明を詳細に説明する:

実験の方法
得られた粒子の明度(色の濃さ)の測定をEP−A−911369、第6頁第9行〜第7頁第26行に記載されているように実施。
【0047】
粒度を透過型電子顕微鏡写真(一次粒子)または走査型顕微鏡写真(固体)から測定。
【0048】
金属副成分の測定をICP−OESにより実施する。ICP−OESは水性試料中に低い濃度で存在する元素の測定法である。ここでは測定すべき元素を励起し、それぞれの元素に特徴的である、基底状態への移行で放射される光を測定する(OES=optical emission;光学的放射)。励起はプラズマバーナー(ICP=inductive cuppled plasma:誘導カップルプラズマ)を用いて実施される。この測定法の検出限界は5μg/kgである。
【0049】
塩素含量の測定は電位差終点測定法で銀滴定により測定。この測定法の検出限界は、50mg/kgである。
【0050】
粉末のpH−値の測定は完全脱塩水中に懸濁させて、DIN−EN−ISO787−9により実施する。
【0051】
比較物質としてはBayer社の高品質の赤色酸化鉄顔料Bayferrox(R)130を使用した。
【0052】
例1
二段式、電気的に加熱したDN100−スプレーロースチング反応器中で、FeCl200g/lの濃度を有する塩化鉄(II)水溶液を室温で反応器中に噴射した。流量は時間当たり溶液0.24lであり、二成分ノズルでの噴射圧は2バールであった。脱水部分中の温度および滞留時間は、110℃および12秒間であった。か焼部分では温度および滞留時間を500℃および7秒間に調節した。生じた固体を温度150〜200℃に対流冷却した後、PTFE−ニードルフェルトからなる繊維フィルター中でガスから分離した。
【0053】
分離した材料を温度750℃で60分間マッフル炉中で熱的に後処理した。300℃を越える温度での全滞留時間は60分7秒であった。平均固体直径4.5μmを有する固体が生じた。一次粒子の平均直径は0.1μmであった。
【0054】
最終生成物は次の特性を有する:
− L*:60.0(明度)
− a*:26.7(明度)
− b*:16.4(明度)
− Cl−含量:0.03質量%
− BET−表面積:8.9m/g
− DIN−pH:3.3
− 色の濃さ:Bayferrox(R)130に対して105%。
【0055】
例2
二段式の、電気的に加熱したDN100−スプレーロースチング反応器中で、FeCl200g/lの濃度を有する塩化鉄(II)水溶液を室温で反応器中に噴射した。流量は時間当たり溶液0.24lであり、二成分ノズルでの噴射圧は2バールであった。脱水部分中の温度および滞留時間は、150℃および37秒間であった。か焼部分では温度および滞留時間を700℃および16秒間に調節した。生じた固体を温度150〜200℃に対流冷却した後、PTFE−ニードルフェルトからなる繊維フィルター中でガスから分離した。
【0056】
分離した材料を温度750℃で60分間マッフル炉中で熱的に後処理した。300℃を越える温度での全滞留時間は60分16秒であった。平均固体直径11.6μmを有する固体が生じた。一次粒子の平均直径は0.1μmであった。
【0057】
最終生成物は次の特性を有する:
− L*:60.6(明度)
− a*:26.3(明度)
− b*:15.3(明度)
− Cl−含量:0.02質量%
− BET−表面積:8.7m/g
− DIN−pH:4.3
− 色の濃さ:Bayferrox(R)130に対して99%。
【0058】
例3
二段式の、電気的に加熱したDN100−スプレーロースチング反応器中で、FeCl300g/lの濃度を有する塩化鉄(II)水溶液を室温で反応器中に噴射した。流量は時間当たり溶液0.24lであり、二成分ノズルでの噴射圧は2バールであった。脱水部分中の温度および滞留時間は、125℃および15秒間であった。か焼部分では温度および滞留時間を700℃および6秒間に調節した。生じた固体を温度150〜200℃に対流冷却した後、PTFE−ニードルフェルトからなる繊維フィルター中でガスから分離した。
【0059】
分離した材料を温度750℃で60分間マッフル炉中で熱的に後処理した。300℃を越える温度での全滞留時間は60分6秒であった。平均固体直径7.6μmを有する固体が生じた。一次粒子の平均直径は0.1μmであった。
【0060】
最終生成物は次の特性を有する:
− L*:60.8(明度)
− a*:26.4(明度)
− b*:15.7(明度)
− Cl−含量:0.01質量%
− BET−表面積:9.2m/g
− DIN−pH:3.7
− 色の濃さ:Bayferrox(R)130に対して97%。
【0061】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による固体の写真を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CIELAB−単位による明度において測定したL*、a*およびb*値:
L*=58〜62、特に59〜61、
a*=20〜27、特に24〜27、
b*=10〜24、特に10〜17
を有し、かつ
顔料に対して99質量%より多量の酸化鉄含量および平均固体直径0.1〜500μmを有する酸化鉄顔料。
【請求項2】
固体はBET−表面積6.0〜12.0m/gを有する、請求項1記載の酸化鉄顔料。
【請求項3】
固体の一次粒子は平均粒度0.05〜0.5μm、特に0.1〜0.3μmを有する、請求項1記載の酸化鉄顔料。
【請求項4】
酸化鉄顔料がDIN−pH値2.5〜4.5、特に3.1〜3.8を有する、請求項1記載の酸化鉄顔料。
【請求項5】
酸化鉄顔料がこの顔料に対して0.1質量%より少ない塩素含量を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料。
【請求項6】
CIELAB−単位による明度において測定したL*、a*およびb*値:
L*=58〜62、特に59〜61、
a*=20〜27、特に24〜27、
b*=10〜24、特に10〜17
を有し、かつ
顔料に対して99質量%より多量の酸化鉄含量を有し、この際、酸化鉄顔料が平均粒度0.05〜0.5、特に0.1〜0.3μmを有する一次粒子からなる酸化鉄顔料。
【請求項7】
酸化鉄顔料がDIN−pH値2.5〜4.5、特に3.1〜3.8を有する、請求項6記載の酸化鉄顔料。
【請求項8】
この顔料に対して0.1質量%より少ない塩素含量を有する、請求項6項記載の酸化鉄顔料。
【請求項9】
塩化鉄溶液の液滴を完全に脱水して固体を形成し、引き続きその塩素含量を減少させるためにか焼する、請求項1から8までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項10】
塩化鉄溶液の塩化鉄がFeClまたはFeClである、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項11】
液滴が平均直径1〜1000μm、特に5〜150μmを有する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項12】
温度80〜300℃、特に100〜160℃で脱水を実施する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項13】
か焼を温度200〜900℃で、特に650〜750℃で実施する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項14】
脱塩素の後、熱処理を温度200〜900℃で、場合によりその際、蒸気を固体と接触させて、滞留時間10分間〜6時間の間、実施する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項15】
脱水およびか焼の際の、300℃より高い温度での固体の全滞留時間を、1秒〜90分間、特に1分間〜70分間とする、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項16】
か焼の後に、付加的に固体を冷却し、引き続き水で洗浄する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項17】
全ての製造工程を同じ反応器中でまたは異なる反応器中で実施する、請求項9記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項18】
固体をか焼の後に、引き続き、特に、ジェットミル、振り子ミルでまたは機械的分級ミルを用いて平均粒度0.05〜0.5、特に0.1〜0.3μmが達成されるまで粉砕する、請求項9から17までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料または請求項9から18までのいずれか1項記載の製法により製造された酸化鉄顔料の、建築分野においての、塗料および仕上げ塗料のための、硬質フェライトおよび軟質フェライトの製造のための原料としての、触媒の製造のための、紙の着色のための、および食品および/または化粧品分野での着色物質における適用のための使用。
【請求項20】
請求項1から5までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料または請求項9から17までのいずれか1項記載の製法により製造された酸化鉄顔料の、建築分野においてのおよび/または触媒の製造のための使用。
【請求項21】
請求項6から8までのいずれか1項記載の酸化鉄顔料または請求項18記載の製法により製造された酸化鉄顔料の、建築分野においての、塗料および仕上げ塗料のための、硬質フェライトおよび軟質フェライトの製造のための原料としての、触媒の製造のための、紙の着色のための、および食品および/または化粧品分野での着色物質における適用のための使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CIELAB−単位による明度において測定したL*、a*およびb*値:
L*=58〜62、特に59〜61、
a*=20〜27、特に24〜27、
b*=10〜24、特に10〜17
を有し、かつ
顔料に対して99質量%より多量の酸化鉄含量および平均固体直径0.1〜500μmを有する酸化鉄顔料。
【請求項2】
塩化鉄溶液の液滴を完全に脱水して固体を形成し、引き続きその塩素含量を減少させるためにか焼することを特徴とする、請求項1記載の酸化鉄顔料の製法。
【請求項3】
請求項1項記載の酸化鉄顔料または請求項2記載の製法により製造された酸化鉄顔料の、建築分野においての、塗料および仕上げ塗料のための、硬質フェライトおよび軟質フェライトの製造のための原料としての、触媒の製造のための、紙の着色のための、および食品および/または化粧品分野での着色物質における適用のための使用。

【図1】
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【公表番号】特表2006−525934(P2006−525934A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504531(P2006−504531)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002177
【国際公開番号】WO2004/083317
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(504419760)ランクセス ドイチュラント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (58)
【氏名又は名称原語表記】Lanxess Deutschland GmbH
【住所又は居所原語表記】D−51369 Leverkusen、 Germany
【Fターム(参考)】