説明

酸化防止剤製剤およびその製造法

【課題】本発明は、油脂類および油脂食品に簡便に用いることができる、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高濃度に含有する酸化防止剤製剤を提供する。さらに詳しくは、油脂を過度に加熱することなく均一に溶解することができ、添加する際の取り扱いが簡便で、添加した油脂あるいは油脂食品の風味も損なわない酸化防止剤製剤を提供する。
【解決手段】L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解させる基材としてエタノールとジアシルグリセロール含有液状油脂を併用することで、製剤の油脂への添加時にエタノールの揮発が起こってもL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶の析出が生じず、液状の油脂にすばやく分散し溶解できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高濃度に含有する酸化防止剤製剤、およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
油脂や油脂含有食品は熱、光、酸素等によって酸化し、変色したり戻り臭といわれる油脂特有の酸化臭が発生したりする。酸化した油脂や油脂含有食品は、色調・風味が悪化しているだけでなく、健康面にも悪影響を及ぼすとされている。さらに、油脂や油脂含有食品の酸化は、一度始まると連鎖的に進行し、これらの悪影響が増大していくこととなる。このことから油脂や油脂含有食品の品質を向上させるためには油脂の酸化をいかに防止するかが重要となる。
【0003】
現在、油脂の酸化防止剤として、油溶性及び天然物由来であるトコフェロール類が主流となっている。トコフェロール類は油溶性で油脂に容易に溶解するため、非常に使い勝手が良い。また、トコフェロール類の添加による酸化安定性の改善効果は高く、特に動物油脂ではその効果が高い。しかしながら、元来抗酸化物質を含んでいる植物油脂では動物油脂ほどの効果は得られない。よって、トコフェロール類以外で、油溶性で油脂に容易に溶解できる酸化防止剤が望まれている。しかも、このような酸化防止剤は、トコフェロール類と併用して用いることで相乗効果が期待できるものが望ましい。
【0004】
これまで数々の酸化防止剤が提案されているが、油脂に容易に溶解する油溶性の酸化防止剤は少ない。このため、元来水溶性である抗酸化物質を乳化剤等で油溶性基質に乳化または分散させた酸化防止剤製剤が提案されている。しかしながら、このような酸化防止剤製剤は油に添加した時に一時的には溶解したように見えるが、時間が経過するにつれて有効成分が沈降するなど油脂中に濃度勾配ができ、効果が十分に発揮できないという欠点がある。
【0005】
特にフライ油やショートニングなど水分の混入を極力避ける必要がある油脂食品については、油溶性で容易に混合、溶解ができる酸化防止剤が望ましく、トコフェロール類以外に実用的なものがないのが実情である。
【0006】
一方、トコフェロール類以外の油溶性の抗酸化剤として、L−アスコルビン酸に脂肪酸をエステル結合させたL−アスコルビン酸脂肪酸エステルが検討されている。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは油溶性で、ビタミンC作用、酸化防止作用を有しており、トコフェロール類との相乗効果もあるため酸化防止剤としての期待は大きい。現在、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルとして、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステルとL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが食品添加物として認可されている。特に、融点が比較的低いL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルがよく用いられている。L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは常温で白色の微粒粉末で、水には不溶で、油脂には500ppm程度溶けるとされている。しかしながら、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは油溶性ではあるが、油脂に極めて難溶であることが問題となる。
【0007】
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを油脂に直接添加し、溶解させるには油脂を100℃以上に加熱する必要がある。しかしながら、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの分解温度は113℃とされているので、温度を上げすぎないように温度管理に細心の注意を払わなければならない。このようにL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを単独で油脂に溶解させることは、非常に手間がかかるものである。
【0008】
L−アスコルビン酸脂肪酸エステルは油脂よりエタノールに溶けやすいことから、一旦、エタノールに溶解した後油脂に添加する方法が考えられる。しかし、エタノールは揮発するのが速いため、油脂の容器の壁面にL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶がすぐに析出してしまう。一旦析出した結晶は難溶であるため、前記と同様の問題が生じ、極めて作業性が悪いものである。
【0009】
このようなL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの油脂への溶解問題を解決する手段として、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを一旦レシチン、レシチンおよび中鎖脂肪酸トリグリセライドに溶解させた後、油脂に溶解させる方法(特許文献1、2)が提案されている。しかし、レシチンを含有する製剤または組成物を添加した揚げ油を高温に加熱すると褐変現象が生じる等の問題がある。
【0010】
また、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを含む製剤にグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤を含有させる方法および製剤(特許文献3、4、5)が提案されている。しかしながら、これらの方法および製剤では、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの溶解のために高温で加熱する必要があり、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの分解を避けるためには温度管理に細心の注意を払わなければならない。また、界面活性剤を含有する製剤を添加した油脂は、界面活性剤特有の風味が生じ好ましくない。さらに、界面活性剤の使用は、天然の油脂中に含まれない成分を残存させる場合があり、また、食品添加物を最小限の使用にとどめるという昨今の消費者の要望にも反するので望ましくない。
【0011】
また、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを油脂中に均一に分散させた製剤(特許文献6)が提案されている。この製剤は調製時の加温温度が低く、油脂への配合は容易である。しかし、この製剤はL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶が分散されているに過ぎず、配合後、油脂中で溶解させるためには高温での加温が必要であることに変わりはない。すなわち、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが溶解している油脂を得るための手間は軽減されていない。また、この製剤も界面活性剤を含むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭55−56193号公報
【特許文献2】特開平6−336443号公報
【特許文献3】特開平9−65864号公報
【特許文献4】特開2005−314519号公報
【特許文献5】特開2008−169254号公報
【特許文献6】特開平9−208986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、常温で透明な状態を維持し、液状の油脂と混合するだけでL−アスコルビン酸脂肪酸エステルが析出することなくすばやく均一に油脂に分散して透明に溶解する、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高濃度に含有した酸化防止剤製剤を提供することを目的とする。また、界面活性剤等の添加物を極力使用せず、製剤の添加後における油脂の風味が良好で、製剤を添加した油脂を高温にしても褐変をおこさないL−アスコルビン酸脂肪酸エステル含有製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを溶解させる基材としてエタノールとジアシルグリセロール含有液状油脂とを併用することで、製剤の油脂への添加時にエタノールの揮発が起こってもL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの結晶の析出が生じず、液状の油脂にすばやく分散し溶解できることを見出した。
【0015】
さらに、製剤の調製に際して、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、エタノール、ジアシルグリセロール含有液状油脂を特定の比率で混合し、一旦、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが完全に溶解して各成分を均一で透明な液状とした後、常温で清澄な液状となるものとして調製することで、製剤中にL−アスコルビン酸脂肪酸エステル分子が極めて微細で均一に存在し、油脂に添加した際には迅速な分散と溶解性を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明は、
(1)L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、エタノール、およびジアシルグリセロール含有液状油脂を含み、常温で透明な液状であることを特徴とする酸化防止剤製剤、
(2)製剤中のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが5〜20重量%である(1)の酸化防止剤製剤、
(3)製剤中のジアシルグリセロール含量が10〜60重量%である(1)または(2)の酸化防止剤製剤、
(4)製剤中のエタノールの重量%が20重量%以上かつL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの重量%の2.5倍以上であり、ジアシルグリセロールの重量%がエタノールの重量%の0.5倍以上である、(1)〜(3)いずれか1の酸化防止剤製剤。
(5)L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを5〜15重量%、エタノールを20〜45重量%、およびジアシルグリセロールを15重量%以上含有するジアシルグリセロール含有液状油脂を40〜75重量%からなる(1)の酸化防止剤製剤、
(6)(1)〜(5)いずれか1の酸化防止剤製剤100重量部に対して、さらにトコフェロール類を1〜100重量部混合させたものである酸化防止剤製剤、
(7)L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジアシルグリセロール含有液状油脂、およびエタノールを混合した混合物を、該混合物が透明な液体となるまで加温し、得られた液体を常温に冷却することを特徴とする酸化防止剤製剤の製造法、
(8)混合物中のエタノールの重量%が20重量%以上かつL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの重量%の2.5倍以上であり、ジアシルグリセロールの重量%がエタノールの重量%の0.5倍以上である、(7)の製造法、
(9)加温温度が50℃〜70℃である、(7)または(8)の製造法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の酸化防止剤製剤は、液状の油脂に混合するという簡便な方法により、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが析出することなく均一に溶解できるという利点を有する。また、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高濃度に含有させているため、添加量が少なくとも十分な酸化防止効果が得られるという利点も有する。さらに不要な添加物を極力使用せずとも期待される酸化防止効果が得られることから、対象となる油脂または油脂食品の風味を損なわない、高温で使用される用途の油脂に使用しても褐変を起こさないという利点も有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステル、エタノール、およびジアシルグリセロール含有液状油脂を含み、常温で清澄な液体である酸化防止剤製剤を提供する。また本発明は、これらの原料を混合した後、加温してL−アスコルビン酸脂肪酸エステルが完全に溶解し各成分が均一で透明な状態となるように調製し、冷却することを特徴とするL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高含有する酸化防止剤製剤の製造法を提供する。
【0019】
本発明でいう常温とは、10〜30℃のいずれかの温度を意味する。
【0020】
本発明でいう液状とは、流動性がある状態を意味する。
【0021】
本発明でいう清澄とは、透明で、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの析出が見られない状態を意味する。
【0022】
本発明で用いられるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルはL−アスコルビン酸に脂肪酸をエステル結合させたものであり脂肪酸の種類は特に限定されない。好ましくは、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル、またはこれらの混合物であり、最も好ましくはL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルである。L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは別名ビタミンCパルミテートとも呼ばれる。L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルおよびL−アスコルビン酸ステアリン酸エステルは食品添加物として市販されており、その性状は粉体である。
【0023】
本発明で用いられるエタノールは、純度95%以上、より好ましくは純度99%以上のエタノールが望ましい。また、食品規格のアルコールを使用することが好ましい。
【0024】
本発明でいうジアシルグリセロールとは、グリセリンの2個の水酸基が脂肪酸とエステル結合したものである。その構成脂肪酸は特に限定されないが、例としてパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。不飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするものが特に好ましい。天然油脂の主成分はトリアシルグリセロールであるが、ジアシルグリセロールも少量含まれていることがある。例えば、パーム油においては7重量%程度含まれていることもある。
【0025】
本発明のジアシルグリセロール含有液状油脂は、ジアシルグリセロールを好ましくは15重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは45重量%以上、最も好ましくは60重量%以上含有する油脂であり、ジアシルグリセロールそのものであってもよい。望ましいジアシルグリセロール含量の油脂を得るためには、通常の油脂に含有されているジアシルグリセロールより含量が高いジアシルグリセロール含有油脂であることが必要となる場合がある。この場合、公知の方法を用いて調製すればよく、例えば油脂を加水分解する方法、油脂に脂肪酸とグリセリンを加えエステル合成する方法、油脂とグリセリンでエステル交換する方法等が挙げられる。また、ジアシルグリセロールを高含有する油脂を他の油脂と混合することでジアシルグリセロールの含量を調整してもよい。
【0026】
本発明の酸化防止剤製剤は常温で清澄な液状であることから、本発明のジアシルグリセロール含有油脂は、常温で液状の油脂、またはオレイン酸もしくはリノール酸を主体とする不飽和脂肪酸を起源として調製することが好ましい。常温で液状の油脂の例として、大豆油、ナタネ油、米油、コーン油、綿実油、ひまわり油、サフラワー油、パーム分別油などが挙げられる。また、これらの油脂や脂肪酸を2種類以上混合してもよい。
【0027】
さらに、長期間清澄な製剤とするには曇点を低くすることが望ましく、好ましくは10℃以下、さらに好ましくは0℃以下である。場合によっては分別により曇点の低いジアシルグリセロール含有油脂を得ることが望ましい。
【0028】
本発明の酸化防止剤製剤は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを5重量%以上含むことが好ましい。本発明によれば、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが5重量%未満であっても製剤の調製は可能であるが、酸化防止効果を得るために製剤を多く使用する必要が生じ、実用的ではない。本発明の酸化防止剤製剤中のL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの好ましい含量の例は、5〜20、5〜17.5、5〜15、5〜12.5、5〜10、10〜20、10〜17.5、10〜15、10〜12.5重量%などである。
【0029】
本発明の酸化防止剤製剤100重量%中のエタノールの含有量(重量%)は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの2.5倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましい。L−アスコルビン酸脂肪酸エステルの析出は、エタノールとジアシルグリセロールの作用で防止できるので、エタノールを少なくする場合はジアシルグリセロールを多くするとよい。本発明の酸化防止剤製剤中のエタノールの好ましい含量の例は、15〜60、15〜45、15〜30、20〜55、20〜50、20〜45、20〜35、25〜50、25〜45、25〜40、30〜55、30〜45重量%などである。
【0030】
また、製剤を均一な液体とし、エタノールとジアシルグリセロール含有油脂の二相分離を防ぐためには、エタノールの0.5倍以上、好ましくは0.6倍以上に相当する量のジアシルグリセロールを製剤中に含有させることが望ましい。通常ならばエタノールと油脂のみの混合では容易に二相分離を起すのであるが、ジアシルグリセロールが存在することでその防止効果が生まれる。本発明の酸化防止剤製剤中のジアシルグリセロールの好ましい含量の例は、10〜75、10〜60、10〜50、10〜40、10〜30、15〜75、15〜50、15〜60、15〜40、15〜30、20〜75、20〜60、20〜50、20〜40、20〜30、30〜75、30〜60、30〜50、30〜40、35〜75、35〜60、35〜50、35〜40、40〜75、40〜60、40〜50重量%などである。
【0031】
好ましい態様において、本発明の酸化防止剤製剤はL−アスコルビン酸脂肪酸エステルを5〜15重量%、エタノールを20〜45重量%、およびジアシルグリセロールを15%以上含有する液状油脂を40〜75重量%含む。
【0032】
さらに、本発明の酸化防止剤製剤はトコフェロール類を併用することにより溶解性が向上するとともに、より優れた酸化防止効果が発揮される。本発明でいうトコフェロール類とは、トコフェロール、トコフェロール誘導体、これらの混合物を意味する。本発明に使用されるトコフェロール類に特に制限は無く、市販の製剤であるミックストコフェロール、α−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコトリエノール等を用いることができる。
【0033】
トコフェロール類の添加量は特に限定されず、例えばジアシルグリセロール含有液状油脂、エタノールおよびL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを含む製剤100重量部に対して、1〜100重量部のトコフェロール類を添加できる。トコフェロール類は、少量であってもL−アスコルビン酸脂肪酸エステルとの優れた相乗効果を示す。
【0034】
また、後述する本発明の酸化防止剤製剤の製造工程の途中でトコフェロール類を添加してもよい。この場合、トコフェロール類を添加する時期は特に限定されず、加温前でも後でもよい。溶解性の向上の点からは、加温時に添加することが好ましい。本発明の酸化防止剤製剤中のトコフェロール類の好ましい含量の例は、1〜50、1〜30、1〜15、1〜5、2〜45、2〜20、2〜10、5〜40、5〜25、5〜15、10〜50、10〜30、10〜20、15〜45、15〜30、20〜40重量%などである。
【0035】
次に本発明の酸化防止剤製剤の具体的な製造方法について述べる。本発明の酸化防止剤製剤は、ジアシルグリセロール含有液状油脂、エタノールおよびL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを含む混合物を加温により透明な液体とし、常温に冷却することにより製造される。製造した製剤は密閉容器等の適当な容器に入れ、常温で保存することができる。
【0036】
本発明の酸化防止剤製剤は、各成分が完全に溶解し均一で透明な液状とすべく加温工程を経ることが必要である。この工程を経ることで、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルが溶解して透明な液体となり、その後温度が常温まで下がっても、製剤中でL−アスコルビン脂肪酸エステルが極めて微細で均一に存在し、安定化され、清澄な液状となる。加温温度は50℃〜70℃が好ましい。低すぎるとL−アスコルビン脂肪酸エステルが溶解されず、高すぎるとエタノールの揮発が進み、またL−アスコルビン脂肪酸エステルが分解されるおそれがある。好ましい加温温度の例は、50〜70℃、50〜65℃、50〜60℃、55〜65℃などである。
【0037】
本発明の酸化防止剤製剤を製造するための装置としては、特に限定されないが、攪拌機と加熱・冷却設備を備えた混合槽を用いることができ、エタノールの揮散を防ぐためには密閉できることが好ましい。
【0038】
本発明の酸化防止剤製剤は常温で長期間、清澄な液状を維持することが出来る。保存の際には、密封容器で保存することが望ましい。保存温度は常温であればよく、好ましくは20℃〜30℃である。
【0039】
本発明の酸化防止剤製剤を食用油脂に添加する時は、食用油脂が液状または粘性が低い状態となる温度以上で攪拌、混合するとよい。例えば、なたね油や大豆油等の液状油脂であれば常温でよいが、パーム油のように融点が36〜38℃程度の油であれば混合時に低粘性となるように50℃以上で攪拌、混合するとよい。また、製剤に含有されているエタノールを揮散させる必要がある場合には、70℃を若干超える程度の温度に加温すればよい。
【0040】
本発明の酸化防止剤製剤は、液状の油脂にすばやく分散し溶解するため、添加しようとする油脂中におけるL−アスコルビン酸脂肪酸エステルの溶解許容量以内であればどのような比率でも添加することができる。本発明の酸化防止剤製剤は、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルとして、油脂中に500ppm以下、好ましくは25〜400ppm程度となるように添加することが好ましい。本発明の酸化防止剤製剤の好ましい添加量の例は、液状の油脂100重量部に対して、0.01〜0.25重量部、0.015〜0.35重量部、0.02〜0.5重量部、0.03〜0.75重量部、0.04〜1重量部などである。
【0041】
本発明の酸化防止剤製剤は、食品の他に、化粧品、医薬品、飼料等に用いることも可能である。
【実施例】
【0042】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、特に明記のない場合、部および%は重量基準を示す。
【0043】
<ジアシルグリセロール高含有油脂の作製>
なたね油600部に触媒としての苛性ソーダ水溶液(0.85重量%)5部、およびグリセリン27部を混合し、減圧下(3Torr)で攪拌しながら加熱し、180℃に到達後温度を180〜190℃で保持しながら30分間反応を行い、反応油脂を得た。この反応油脂のジアシルグリセロール含量は40重量%であった。この反応油脂を水洗して触媒を除去した後、シリカゲルカラムを用いたカラム分画処理(溶媒:ヘキサン、次いでヘキサン:酢酸エチル=99:1、97:3、95:5、90:10を順次)に供し、ジアシルグリセロールを高含有する画分のみを採取した。採取した画分を合わせ、溶媒を完全に留去して、ジアシルグリセロール高含有油脂RHDを得た。油脂RHDのジアシルグリセロール含量は97.9重量%、トリアシルグリセロール含量は1.4重量%で曇点は5℃であった。
【0044】
次にリノール酸を主体とする脂肪酸(リノール酸60%、オレイン酸30%、その他脂肪酸10%)100部、グリセリン10部、およびリパーゼ(ノボザイム435、ノボザイムズ社製)2部を混合し、減圧下(3Torr)、60℃で攪拌しながら6時間反応を行なった。リパーゼを除去した後、同様のカラム分画処理を行って脂肪酸を取り除き、ジアシルグリセロール含量が85.0重量%、曇点−6.5℃である油脂LHDを得た。
【0045】
<ジアシルグリセロール含有液状油脂の調製>
油脂RHD及びLHDにトリアシルグリセロールを主成分とする天然油脂であるなたね油を種々混合してジアシルグリセロール含有油脂R1〜5、L1〜2を調製した。これらの油脂はいずれも20℃で液状であった。なお、使用したなたね油はジアシルグリセロールを1.1%含有していた。これらの油脂のジアシルグリセロール含量を表1に示した。
【0046】
【表1】

DAG:ジアシルグリセロール
【0047】
実施例1
エタノール30部とジアシルグリセロール含有液状油脂R3、60部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を65℃にし、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを完全に溶解した。得られた混合物は透明な液状であった。その後、この液状物を20℃に冷却して酸化防止剤製剤を調製した。この酸化防止剤製剤を密閉容器に入れ、20℃で10日保存した。保存後の酸化防止剤製剤は20℃で清澄であった。次に、このようにして調製された酸化防止剤製剤を30℃のなたね油100部に対して0.3部加えて攪拌したところ、酸化防止剤製剤は素早く均一に分散溶解して清澄ななたね油が得られ、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。調製した酸化防止剤の詳細な組成と油脂への溶解性は表2に示した。
【0048】
実施例2
配合をエタノール20部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R1、75部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル5部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表2に示した。
【0049】
実施例3
配合をエタノール30部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R2、60部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表2に示した。
【0050】
実施例4
配合をエタノール35部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R4、53部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル12部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表2に示した。
【0051】
実施例5
配合をエタノール40部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R3、48部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル12部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表2に示した。
【0052】
実施例6
配合をエタノール45部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R5、40部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル15部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表2に示した。
【0053】
【表2】

VCP:L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル
DAG:ジアシルグリセロール
油脂への溶解性:○ 酸化防止剤製剤が瞬時に分散しVCPの析出がない
【0054】
実施例7
配合をエタノール30部、ジアシルグリセロール含有液状油脂L1、60部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表3に示した。
【0055】
実施例8
配合をエタノール40部、ジアシルグリセロール含有液状油脂L2、45部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル15部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。調製した酸化防止剤製剤の詳細と評価結果は表3に示した。
【0056】
【表3】

VCP:L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル
DAG:ジアシルグリセロール
油脂への溶解性:○ 酸化防止剤製剤が瞬時に分散しVCPの析出がない
【0057】
比較例1
なたね油90部にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を65℃にしたが、ほとんど溶解せず、白色結晶が沈降した。
【0058】
比較例2
エタノール90部にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を65℃にしL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを完全に溶解した。その後、この液状物を20℃に冷却して密閉容器に入れ、20℃で保存したところ、1日後に一部析出し沈降しているL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの白色結晶が観察された。
【0059】
比較例3
エタノール30部となたね油60部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を65℃にしたがほとんど溶解せず、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの白色結晶が沈降した。
【0060】
比較例4
エタノール30部とジアシルグリセロール含有液状油脂R3、60部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を加えながら20℃にて攪拌・混合し、加温はしなかったところL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは溶解しきらず、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの結晶が沈降した。次に実施例1と同様になたね油に対して、よく振り混ぜたこの酸化防止剤製剤を加えて攪拌したところ、やはりL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの結晶が沈降し、清澄ななたね油は得られなかった。製剤の配合と溶解性の結果は表4に示した。
【0061】
比較例5
実施例1においてエタノールを60部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R3、30部とした以外は同様に酸化防止剤製剤を調製したところ、調製直後に酸化防止剤製剤はエタノール相と油脂相に二相分離した。製剤の配合、状態を表4に示した。
【0062】
比較例6
配合をエタノール15部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R1、80部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル5部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製した。実施例1と同様、10日間保存後の製剤の外観を観察し、なたね油に添加した際の溶解性を評価した。20℃で10日間の保存中にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出が観察され、酸化防止剤製剤は濁っていた。その後、実施例1と同様になたね油にこの酸化防止剤製剤を添加すると、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルは溶解せず沈降した。製剤の配合と溶解性の結果は表4に示した。
【0063】
比較例7
配合をエタノール45部、ジアシルグリセロール含有液状油脂R5、30部、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル25部とした以外は実施例1と同様にして、酸化防止剤製剤を調製したところ、冷却して8時間後にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの結晶が沈降した。その後、実施例1と同様になたね油にこの酸化防止剤製剤を加えて攪拌したところ、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの結晶が沈降し、清澄ななたね油は得られなかった。製剤の配合と溶解性の結果は表4に示した。
【0064】
【表4】

VCP:L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル
DAG:ジアシルグリセロール
油脂への溶解性:× 酸化防止剤製剤分散後もVCPが析出したままで溶解しない
【0065】
実施例1〜8で得られた本発明の酸化防止剤製剤は油脂に迅速に溶解し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。また、20℃で10日間保存した際にも、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。これに対し、比較例1〜7ではL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが均一に溶解した清澄な酸化防止剤製剤が調整できなかった。また、その清澄でない製剤を油脂に添加しても溶解しなかった。
【0066】
実施例9
エタノール30部とジアシルグリセロール含有液状油脂R5、60部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を60℃にし、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを完全に溶解した。得られた混合物は透明な液状であった。この液状物を20℃に冷却して酸化防止剤製剤を調製した。この酸化防止剤製剤を密閉容器に入れ、20℃で100日間保存したところ、酸化防止剤製剤は20℃で清澄であった。次に、このようにして調製された酸化防止剤製剤を30℃のなたね油100部に対して0.3部加えて攪拌したところ、酸化防止剤製剤は素早く均一に分散溶解して清澄ななたね油が得られ、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。製剤の配合と溶解性の結果は表5に示した。
【0067】
【表5】

VCP:L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル
DAG:ジアシルグリセロール
油脂への溶解性:○ 酸化防止剤製剤が瞬時に分散しVCPの析出がない
【0068】
実施例10
エタノール50部とジアシルグリセロール含有液状油脂R5、30部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル20部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を65℃にし、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを完全に溶解した。得られた混合物は透明な液状であった。その後、この液状物を30℃に冷却して酸化防止剤製剤を調製した。この酸化防止剤製剤を密閉容器に入れて保存し、2日後にこのようにして調製された酸化防止剤製剤を50℃のパーム油100部に対して0.2部加えて攪拌したところ、酸化防止剤製剤は素早く均一に分散溶解して清澄なパーム油が得られ、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。なお、添加時の酸化防止剤製剤は清澄であった。
【0069】
<AOM試験による、本発明の酸化防止剤製剤を添加した油脂の安定性の評価>
実施例11
エタノール30部とジアシルグリセロール含有液状油脂R5、60部を混合し、次にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル10部を徐々に加え、攪拌・混合しながら加温して温度を50℃にし、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを完全に溶解した。この時のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル含有物は透明な液体であった。この液状物100部と市販のミックストコフェロール製剤(イーミックス−50L、総トコフェロール含量50重量%、エーザイフード・ケミカル株式会社製)10部を混合して酸化防止剤製剤を調製した。この酸化防止剤製剤を密閉容器に入れ、20℃で10日間保存した。保存後の酸化防止剤製剤は20℃で清澄であった。次に、このようにして調製された酸化防止剤製剤を50℃のパーム油100部に対して0.33部加えて攪拌したところ、酸化防止剤製剤は素早く均一に分散溶解し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの析出は観察されなかった。調製した酸化防止剤製剤を添加したパーム油についてAOM試験(日本油化学協会編基準油脂分析試験法2.5.1.1−1996)を行い、油脂の酸化安定性を評価した。結果を表6に示した。パーム油中のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの含量も表中に併記した。
【0070】
実施例12
実施例9で調製した酸化防止剤製剤を、50℃のパーム油100部に対して0.30部添加した以外は実施例11と同様にしてAOM試験を実施した。結果は表6に示した。
【0071】
比較例8〜10
パーム油そのもの(比較例8)、あらかじめエタノール95部にL−アスコルビン酸パルミチン酸エステル5部を溶解させた後、このエタノール溶液0.6部をパーム油100重量部に添加し、L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが析出しないように素早くかつ十分に攪拌しながら調製した油(比較例9)、比較例8のパーム油にさらに実施例11に使用したトコフェロール製剤0.06部を添加した油(比較例10)について、実施例11と同様にしてAOM試験を実施した。結果は表6に示した。
【0072】
【表6】

VCP:L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル
AOM:試験した試料の過酸化物価が100に達するまでの時間
【0073】
表6に示すとおり、本発明の酸化防止剤製剤を添加した油脂は、酸化防止剤を全く加えない比較例8に比べて酸化安定性が向上した。また、本発明の酸化防止剤製剤を添加した油脂は、等量のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルまたは等量のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルおよびトコフェロールと同等以上の酸化安定性を示した。
【0074】
実施例13
実施例12で得られた、酸化防止剤製剤を添加したパーム油で短冊状の冷凍ポテトを180℃で揚げたところ、加熱時の油の褐変はなく、パーム油独特の臭気が軽減されていた。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、常温で清澄な状態を維持し、液状の油脂と混合するだけでL−アスコルビン酸脂肪酸エステルが析出することなくすばやく均一に油脂に分散して溶解する、L−アスコルビン酸脂肪酸エステルを高濃度に含有した酸化防止剤製剤を提供する。このため、油脂を使用する食品等の広い分野において利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、エタノール、およびジアシルグリセロール含有液状油脂を含み、常温で透明な液状であることを特徴とする酸化防止剤製剤。
【請求項2】
製剤中のL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルが5〜20重量%である請求項1記載の酸化防止剤製剤。
【請求項3】
製剤中のジアシルグリセロール含量が10〜60重量%である請求項1または2記載の酸化防止剤製剤。
【請求項4】
製剤中のエタノールの重量%が20重量%以上かつL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの重量%の2.5倍以上であり、ジアシルグリセロールの重量%がエタノールの重量%の0.5倍以上である、請求項1〜3いずれか1項記載の酸化防止剤製剤。
【請求項5】
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステルを5〜15重量%、エタノールを20〜45重量%、およびジアシルグリセロールを15重量%以上含有するジアシルグリセロール含有液状油脂を40〜75重量%からなる請求項1記載の酸化防止剤製剤。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項記載の酸化防止剤製剤100重量部に対して、さらにトコフェロール類を1〜100重量部混合させたものである酸化防止剤製剤。
【請求項7】
L−アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジアシルグリセロール含有液状油脂、およびエタノールを混合した混合物を、該混合物が透明な液体となるまで加温し、得られた液体を常温に冷却することを特徴とする酸化防止剤製剤の製造法。
【請求項8】
混合物中のエタノールの重量%が20重量%以上かつL−アスコルビン酸パルミチン酸エステルの重量%の2.5倍以上であり、ジアシルグリセロールの重量%がエタノールの重量%の0.5倍以上である、請求項7記載の製造法。
【請求項9】
加温温度が50℃〜70℃である、請求項7または8記載の製造法。

【公開番号】特開2012−7125(P2012−7125A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146293(P2010−146293)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000189970)植田製油株式会社 (18)
【Fターム(参考)】