説明

酸安定大豆タンパク及び強化食品又は飲料

水溶性酸安定大豆タンパク、その製造方法及びそれで強化された酸性食品又は酸性飲料の製造方法。詳しくは、本発明は、他の大豆タンパク強化方法が機能しない3.5〜4.1の範囲のpHにおいて有用である。本発明は、大豆タンパク、少なくとも90%のタンパクが可溶化する熱処理方法、好ましくは等電値よりも顕著に低い点へのタンパクの酸性化、及び生産物をそれを用いる用途の目的とするpHに近接させるための部分的な中和、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は大豆タンパクに関し、そして、より詳しくは、水溶性酸安定大豆タンパク、水溶性酸安定大豆タンパクの作製方法、ならびに水溶性酸安定大豆タンパクにより強化された食品及び飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び飲料のタンパク強化は、多くの用途において製品の栄養的側面のバランスを保つのに望ましい。元来、飲料は、飲料食事代替法又はアトキンスのようないくつかの一般的なダイエットプランに必要とされる高タンパク含有量を充足するには、炭水化物が高すぎ、タンパクが低すぎる。栄養食品市場で販売される際のヨーグルトのようないくつかの食品もまた、所望のタンパク含有量を下回っている。大豆タンパクによるタンパク強化は、大豆タンパクのアミノ酸プロフィールのため、及びそれらが高溶解性であるpH中性用途において大豆タンパクが極めて良好に働くため、特に望ましい。酸性食品及び飲料(例えば、約pH4.5より低い)において、大豆タンパクは、極端に溶解性が低く、製品に「白変」又は口渇感を与える沈殿した微小凝集体を形成しうる。やがて、非溶解性タンパクは、低粘性食品及び飲料から沈殿して、分離した望ましくない層を形成する。従って、当技術分野においては依然として、水溶性で、酸性環境において安定であり、そしてタンパクによる食品及び/又は飲料の強化用に食品及び/飲料中に含有することのできる、大豆タンパクが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の要旨
本発明は、水溶性酸安定大豆タンパク、及び水溶性酸安定大豆タンパクを含有した食品及び/又は飲料を提供する。該大豆タンパクは、不安定な大豆タンパクが水中で可溶であるpHよりも低いpHの水中において可溶である。酸安定大豆タンパクは、食品又は飲料から別々に作られることができ、又は、望ましい場合、該酸安定大豆タンパクは、食品又は飲料が大豆タンパクを酸安定にする処理によって悪影響を受けない場合には、食品又は飲料中に、そのまま(in situ)作ることができる。
【0004】
酸安定大豆タンパクは、好ましくは、食品又は飲料のpHが不安定性な大豆タンパクが通常可溶であるpHよりも低いpHの食品及び飲料を目的として作られる。本発明の酸安定タンパクは、食品又は飲料のpHが約4.5以下の酸性食品及び飲料中において用いることができ、そしてそこでは、酸性環境のpHが大豆タンパクの等電点と近接しているため、つまり、タンパクの溶解性が最も低いpHであるため、酸安定でない大豆タンパクによる大豆タンパク強化が不十分となる。
【0005】
他の局面において、本発明は、酸安定大豆タンパクを含有した食品又は飲料を提供する。酸安定化大豆タンパクは、タンパク含有量を改善するために食品又は飲料に加えることができ、又は酸安定化タンパクは食品又は飲料中にそのまま(in situ)作ることができる。本発明は特に、大豆タンパクによって強化された酸性食品又は酸性飲料を提供するのに有用である。食品又は飲料を強化する方法もまた提供される。
【0006】
本発明はまた、水溶性酸安定大豆タンパクの製造方法を提供する。該方法は、液体中へ大豆タンパク懸濁液を作製すること、大豆タンパクが液体中に可溶化するのに十分な時間及び圧力下において大豆タンパク懸濁液へ熱処理を適用すること、懸濁液を冷却し周囲圧力まで減圧すること、溶液のpHがタンパクの等電点以下のpHになるような量の酸を大豆タンパク懸濁液へ添加し、酸性化大豆タンパク懸濁液を作製すること、酸性化大豆タンパク懸濁液を高剪断ミキサー内で混合すること、及び任意で、水溶性酸安定タンパクの目的とする用途のおよそのpHまで、酸性化溶液を塩基により中和すること、を含む。一旦作製されれば、水溶性酸安定大豆タンパクは、液体又は、例えば噴霧乾燥固体のような固体を含む、任意の多様な形態で保存ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、水溶性酸安定大豆タンパクを提供する。本発明による大豆タンパクは、この大豆タンパクが酸性環境において安定であり、そしてたとえあったとしても感知できる程度にまで分離又は凝集することはないため、特に酸性食品及び酸性飲料を強化するのに十分適している。本発明の酸安定大豆タンパクは、不安定なタンパクが可溶であるpHよりも低いpHの水中において可溶である。
【0008】
当技術分野において周知の酵素修飾大豆タンパク、例えばケリー社の1部門であるニュートリアントから入手することのできるイソ5酵素修飾大豆タンパク粉末もまた、本発明の他の局面に従って酸安定化されうる。この酸安定酵素修飾大豆タンパクもまた水中に可溶であり、同様にして酸性食品及び酸性飲料に使用できる。
【0009】
本発明の他の実施態様に従って、酸性食品及び酸性飲料は、本明細書で記載された水溶性酸安定大豆タンパク、酵素修飾大豆タンパク又はそれらの組み合わせを用いて、大豆タンパクによって強化することができる。そのような食品及び飲料を酸安定大豆タンパクで強化する方法は、選択された食品又は飲料と本明細書で記載された水溶性酸安定大豆タンパクとをブレンドすることを含む。ブレンドは、例えば、単純に食品又は飲料を酸安定大豆タンパクと混合することにより行うことができる。加えて、食品又は飲料が痛みも崩壊もしない場合には、酸安定大豆タンパクは、食品又は飲料中にそのまま(in situ)作ることができる。本発明はまた、水溶性酸安定大豆タンパクを含んだ酸性飲料を提供し、そして、水溶性酸安定大豆タンパクを含んだ酸性食品もまた提供する。上記の通り、酸安定大豆タンパクは、不安定なタンパクが可溶であるpHよりも低いpHの水中において可溶である。好ましくは、酸安定タンパクは、約4.5以下のpH、より好ましくは、約3〜約4.5のpH、さらにより好ましくは約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶である。典型的には、酸安定大豆タンパクの約90%が、約3.5〜約4.1の範囲のpHの水中において可溶である。
【0010】
水溶性酸安定大豆タンパクは、通常、懸濁液のpHが大豆タンパクの等電点以下になるように大豆タンパクの懸濁液を酸性化することにより製造される。好ましくは、懸濁液中に可溶な酸安定タンパクの量を増加させるために、等電点よりも顕著に低いpHまで大豆タンパクを酸性化する。また、酸性化中に達成されるpHと、酸安定な製品の目的とする用途のpHとのバランスを保ち、酸安定タンパクのpHを目的とする適用のpHに近づけるために必要とされ得る中和を減らすのが好ましい。
【0011】
水溶性酸安定大豆タンパクの好ましい製造方法は、液体中へ大豆タンパク懸濁液を作製すること、大豆タンパクが液体中に可溶化するのに十分な時間及び圧力下において大豆タンパク懸濁液へ熱処理を適用すること、懸濁液を冷却し周囲圧力まで減圧すること、溶液のpHがタンパクの等電点以下のpHになるような量の酸を大豆タンパク懸濁液へ添加し、酸性化大豆タンパク懸濁液を作製すること、酸性化大豆タンパク懸濁液を高剪断ミキサー内で混合すること、及び任意で、水溶性酸安定タンパクの目的とする用途のおよそのpHまで、酸性化溶液を塩基により中和すること、を含む。上記の工程は望ましいように変えられ得、依然として酸安定大豆タンパクを作るために用いられることも認識される。例えば、液体中への大豆タンパク懸濁液の作製に続いて大豆タンパク懸濁液を酸性化することができ、そして該酸性化大豆タンパク懸濁液を熱処理及び高剪断混合することができる。可溶化工程を用いた際に溶液がタンパクの等電点から離れるほどより良好な溶解性が通常得られるため、一般的には酸性化の前の熱処理が好ましい。
【0012】
大豆タンパクは、食品又は/及び飲料中でそのまま(in situ)酸安定にされうることもまた認識される。例えば、大豆タンパクは食品又は飲料に加えられ、そして好ましくは、食品又は飲料のpH又はその付近において、大豆タンパクが食品又は飲料中に可溶化するのに十分な時間及び圧力下で、熱処理を大豆タンパクで修飾された食品又は飲料に適用する。次いで、食品又は飲料のpHが大豆タンパクの等電点未満になるような量の酸を食品又は飲料に加える。次いでこの食品又は飲料を、高剪断ミキサー内で混合し、任意で、好ましくは食品又は飲料の自然のpHまで、塩基で中和する。
【0013】
大豆タンパク懸濁液を作製する方法は、本発明にとって重要ではない。例えば、懸濁液は大豆タンパク分離体から作製することができ、又は大豆懸濁液は、タンパク分離株を作るために用いられる工程中で作製することができる。典型的には、大豆タンパクの固形含有量は、熱処理中に大豆タンパクが凝集しないような十分に低いものである。例えば、大豆タンパクは、粉末形態の大豆タンパクを、約70°Fの温度、グローエンケトル(Groen Kettle)等のような掃引壁液体混合タンク内で、飲料水のような液体に加えることにより、液体、好ましくは水中で安定化されうる。天然タンパクを用いた場合、タンパクの水に対する割合を、15%以下、そして好ましくは約10%のタンパク重量固形割合になるように調整するのが好ましい。酵素修飾大豆タンパクを用いた場合、低粘性の飲料を製造するのに一般的であるが、タンパクの水に対する割合は、約20%以下、そして好ましくは約14%のタンパク重量固形割合になるように調整されるのが好ましい。
【0014】
好ましくは、大豆タンパク懸濁液のpHは、懸濁液の高剪断熱処理の前に調整される。pHは、大豆タンパクが液体中に可溶であるような、そして大豆タンパクが高剪断熱処理中にメイラード褐変反応を示さないような範囲のpHに調整される。pHが低すぎる場合、全ての大豆タンパクを溶解するのは困難となる。pHが高すぎる場合、生産物はその後の熱処理中にメイラード褐変反応を示す。典型的には、pHは約6.8〜約7.4、好ましくは7.2のpHに調整される。pHは、所望のpHを達成するために必要に応じて、水酸化カリウム等のような適切な塩基、又はリン酸等のような適切な酸によって調整することができる。
【0015】
大豆タンパク懸濁液の熱処理の温度及び圧力は、好ましくは、懸濁液中の大豆固形物が液体中で可溶化するように制御される。約150°F〜約300°Fの温度で行われる熱処理は、液体中に大豆タンパクを可溶化するのに適している。約270°Fの温度が好ましい。約260°Fの温度が特に好ましい。同様に、約5〜約70psiの範囲の圧力において行われる熱処理は大豆タンパクを可溶化するのに適している。保持時間、つまり、事前に選択された温度及び圧力での熱処理が維持される時間は、典型的には約5秒〜約3分間であり、そして典型的には処理温度と反比例する。約1分間の保持時間が好ましい。
【0016】
各種の市販のミキサー、低温殺菌装置等は、本発明の水溶性酸安定タンパクの製造方法の実施を補助するために利用することができる。以下に記載されたそのような装置の使用は、単に本発明の方法を説明することを目的としており、本発明の範囲のいかなる制限も意図しておらず、又本発明の実施における他の装置の使用を除外するものではない。
【0017】
本発明に従って、好ましくはpH7.2で、約15%以下の固形(酵素修飾タンパクの場合は約20%以下の固形)の大豆タンパク懸濁液を作製し、懸濁液に高剪断熱処理を適用することにより、少なくとも90%の大豆タンパクが可溶化する。高すぎる固形含有量(例えば、約20%より多い天然タンパク)は、熱処理中にタンパクの凝集を引き起こしうる。従って、固形含有量は、熱処理中のタンパクの凝集を避けるように選択される。次いで大豆タンパク懸濁液は、例えば懸濁液を、再循環懸濁液/溶液の温度が約200°Fに達するまで、シルバーソンポンプ(Silverson pump)のような高剪断混合装置を通じて再循環することにより、熱処理される。
【0018】
熱処理は、再循環懸濁液/溶液温度が約230°Fに達するまで、好ましくは乱流下、約20〜30psiの圧力で、ユニサーム(Unitherm)のようなUHT間接蒸気低温殺菌装置で行うこともでき、次いで装置から出す前に約50°Fまで冷却する。
【0019】
熱処理は、再循環懸濁液/溶液温度が約270°Fに達するまで、60psiの圧力で、UHT直接蒸気殺菌装置により行うこともでき、続いて大気条件に戻るように製品を放出する圧力除去が行われる。
【0020】
熱処理後、タンパク溶解性を評価する。好ましい方法論において、熱処理された大豆タンパク溶液は、5000倍の重力で2分間、遠心分離される。サンプル中に存在するタンパク総量に対する前者からデカンテーションされた液体中に存在する固形重量は、溶液中での割合を示している。例えば少なくとも約70%のオーダー、好ましくは少なくとも約80%のオーダー、そして最も好ましくは約90%のオーダー、等の所望の量のタンパク溶解度が達成できない場合には、タンパク固形物を水で希釈し続いて熱処理することにより、可溶化した大豆タンパクの割合を改善すべきである。
【0021】
可溶化工程の後、加熱した風味が発生するのを防ぐため、冷却ジャケットタンク又は例えば、サーミュテイター(Thermutator)等のようなインライン掃引壁持続冷却器により、温度を70°Fまで下げる。
【0022】
可溶化が達成された後、溶液を大豆タンパクの等電点より低いpHまで、好ましくはリン酸で、酸性化する。より等電点から低くなるように酸性化が行われるほど、水中での酸安定タンパクの溶解性は良好となる。しかしながら、酸性化は好ましくは、酸安定タンパクのpHを所望の適用のpHにするためにその後の過度の中和が必要とされるほど、大きなものではない。塩酸又はクエン酸などの他の酸も用いることができるが、おそらくリン酸アニオンからのタンパク内の水素結合の崩壊を通じて、タンパクの沈殿を防止する傾向があるため、リン酸が好ましい。好ましくは、溶液は、約3.3以下のpHにまで酸性化される。酸性化工程中、タンパクの等電点を通過する際の凝集を防ぐため、高剪断混合を適用するのが望ましい。
【0023】
大豆タンパク懸濁液の可溶化及び酸性化の後、上記の遠心分離分析によってタンパク溶解性を再評価するのが望ましい。90%より少ないタンパクが可溶である場合には、溶液をpH3.0まで等のように、更に酸性化し溶解性を再評価する必要がある。
【0024】
本発明の水溶性酸安定大豆タンパクの目的とする用途の食品又は飲料のpHを評価し、それに加える酸安定大豆タンパクのpHを、目的とする用途の食品又は飲料に適度に見合うように調整する。果実飲料用途は典型的には、約3.5〜約4.1の範囲のpHである。典型的には、そのような用途のため、酸安定大豆タンパクのpHを、水酸化カリウム(25%溶液)、リン酸三ナトリウムバッファー等、のような塩基又はバッファーを用いて上げる。酸安定大豆タンパクのpHは、酸安定大豆タンパク製品の長期の棚安定性を提供するためにタンパクの等電点よりも低く、すなわちpH約4.5に維持する必要がある。
【0025】
酸安定大豆タンパクは、後の時点又は場所で使用するために、液体として直接用いて適用し、蒸発器による処理を通じて濃縮され、又は乾燥され、好ましくは噴霧乾燥することができる。
【0026】
記載した熱可溶化工程を、より低いpHの酸性化大豆タンパク溶液に実施することも可能である。しかしながら、可溶化工程を用いた際に溶液がタンパクの等電点から離れるほど、より良好な溶解度が通常得られるため、低いpHにおける熱処理は特に好ましいものではない。
【0027】
以下の実施例は本発明を例証するものであり、制限するものではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
本実施例は、水溶性酸安定大豆タンパクの製造について説明している。本実施例において、大豆タンパクは、高剪断加熱法を用いて製造される。
【0029】
【表1】

【0030】
本実施例においては、イソ3大豆タンパク粉末をニュートリアント(ケリー社の1部門)から、リン酸及び水酸化カリウムをTABケミカルズから得た。
【0031】
イソ−3大豆タンパク粉末を、70°Fで表示された水と共にステファン(Stephan)型11ミキサー内で水にもどす。pHを記録し、必要ならば7.1に調整(上げるには希水酸化カリウム、下げるには希リン酸)する。溶液を130°Fまで加熱し、シルバーソン(Silverson)型425LSインライン高剪断ミキサーを通じて、トリクローバー(Triclover)型PR310M−U−UC6−S−Tポジティブ給水ポンプにより汲み上げる。混合ポンプに、生産物が工程を終える前に、複数回ポンプを通過するように再循環ループ及び背圧弁を取り付ける。ループ内の生産物滞留時間が、約200°Fまでの温度の上昇をもたらすように、トリクローバー(Triclover)給水ポンプ速度を調整する。
【0032】
次に上記の通りに生産物を可溶化タンパクについて調べ、次いでタンクの外部ジャケットを通じて循環される冷却水を用いて、ステファン(Stephan)型11内で約70°Fまで冷却する。
【0033】
生産物を、激しく攪拌しながら、25%リン酸を用いて、ステファン(Stephan)ミキサー内で約3.3のpHまで滴定し、次いで10%水酸化カリウムで約3.8のより高いpHまで滴定する。得られた溶液を約130°Fに調整し、2000psiの一次段階圧力及び500psiの二次段階圧力で、ガウリン(Gaulin)型M−3ホモジナイザーを通じて均質化し、次いで吸気口及び排気口の温度がそれぞれ約325°F及び175°Fの、APVアンヒドロ(Anhydro)22039遠心分離アトマイザー小型噴霧乾燥器で乾燥する。
【0034】
実施例2
本実施例は、水溶性酸安定大豆タンパクの製造について説明する。本実施例においては、大豆タンパクは、UHT直接蒸気工程を用いて製造される。
【0035】
【表2】

【0036】
本実施例においては、酸性大豆凝乳タンパクは、ニュートリアンの大豆タンパク製造工程から、リン酸及び水酸化カリウムは、TABケミカルズから得た。
【0037】
酸性大豆凝乳物を70°Fで表示された水と共にAPV型CLV−25マルチベーター内で水にもどす。該凝乳物を希水酸化カリウムでpH7.1に中和する。溶液を130°Fに調整し、チェリーバレル(Cherry Burell)型XLV UHT蒸気注入殺菌器を通じて汲み上げる。生産物の温度を、60psiの背圧、及びフラッシュ室に入る前に生産物が約30秒間の保持時間を有するような長さの保持チューブを用いて、285°Fに調整する。フラッシュ室内では、放出蒸気からのエンタルピーは、生産物の温度を約210°Fまで下げる。
【0038】
生産物の温度を、次いでグリコールジャケット冷却と共にチェリーバレル(Cherry Burrell)型6×36BWSボテーター(Votator)2で70°Fまで下げる。
【0039】
次に上記の通りに、生産物を可溶化タンパクについて調べる。
【0040】
激しく攪拌しながら、25%リン酸を用いて、生産物をマルチベーター(Multivertor)内で約3.3のpHまで滴定し、次いで10%水酸化カリウムで約3.8のより高いpHまで滴定する。得られた溶液を約130°Fに調整し、2000psiの一次段階圧力及び500psiの二次段階圧力でガウリン(Gaulin)型M−3ホモジナイザーを通じて均質化し、吸気口及び排気口の温度がそれぞれ約325°F及び175°Fの、APVアンヒドロ(Anhydro)22039遠心分離アトマイザー小型噴霧乾燥器で乾燥する。
【0041】
実施例3
本実施例は、水溶性酸安定大豆タンパクで強化された飲料について説明している。
【0042】
【表3】

【0043】
本実施例では、ジュース濃縮物はツリートップ社から、スクラロースはスプレンダ社から、ピーチフレーバーはサンピュア社から、バニラはバージニアデアから、リン酸一ナトリウムはFMCから、及び色素(ターメリック及びアンナット)はクリスハンセン社から得た。
【0044】
酸安定大豆タンパクを、5ガロン蒸気ジャケットタンク及び高剪断攪拌器を用いて水中に溶解する。次に他の成分を加え、5分間混合する。温度を1分間165°Fまで上げ、2000psiの一次段階圧力、500psiの二次段階圧力(全体で2500psi)で、生産物を(ガウリン(Gaulin)型M−3で)均質化する。生産物をジャケットタンクへ戻し、60°Fまで冷却し、冷凍状態で4週間まで保存する。
【0045】
実施例4
本実施例は、水溶性酸安定大豆タンパクで強化された飲料について説明する。
【0046】
【表4】

【0047】
本実施例では、ジュース濃縮物はツリートップ社から、イソ5酵素修飾大豆タンパクはニュートリアントから、スクラロースはスプレンダ社から、ピーチフレーバーはサンピュア社から、バニラはバージニアデアから、リン酸一ナトリウムはFMCから、及び色素(ターメリック及びアンナット)はクリスハンセン社から得た。
【0048】
大豆タンパクを、5ガロン蒸気ジャケットタンク及び高剪断攪拌器を用いて水中に溶解する。次に他の成分を加え、5分間混合する。pHを調べ、pHを下げるのにはリン酸を、上げるのには水酸化カリウムを用いて、約3.8に調整する。本実施例においては、強化飲料のリン酸塩濃度を増加させるため及びイソ5(非酸安定)大豆タンパク粉末の低いリン酸塩含有量を補完するものとして、より高いレベルのリン酸一ナトリウムを用いる。
【0049】
次いで生産物を、生産物がプレート熱交換器内で約80℃まで予熱され、その後さらに50psiの背圧下、蒸気注入により285°Fまで加熱される、テトラサームアセプティック(Tetra Therm Aseptic)VTIS直接蒸気UHT殺菌器で処理する。約5秒間の保持期間の後、それを、放出蒸気からのエンタルピーが約210°Fまで温度を下げる、フラッシュ室に入れる。次いで生産物を、テトラアレックス(Tetra Alex)ホモジナイザーで均質化し、プレート熱交換機で50°Fまで冷却し、いつでも無菌包装できる状態にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆タンパクが、不安定なタンパクが可溶なpHよりも低いpHの水中において可溶の、水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項2】
大豆タンパクが約4.5以下のpHの水中において可溶の、水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項3】
大豆タンパクが約3〜約4.5のpHの水中において可溶の、請求項2記載の水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項4】
大豆タンパクが約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項2記載の水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項5】
少なくとも90%の前記タンパクが、約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項1、2、3又は4に記載の水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項6】
前記大豆タンパクが約3.0〜約4.5のpHの水中において可溶の、水溶性酸安定大豆タンパクを含む、酸性飲料。
【請求項7】
前記飲料が4.5以下のpHを有する、請求項6記載の飲料。
【請求項8】
前記飲料が約3〜約4.5のpHを有する、請求項6記載の飲料。
【請求項9】
前記飲料が約3.5〜約4.1のpHを有する、請求項6記載の飲料。
【請求項10】
前記大豆タンパクが約3.0〜約4.5のpHの水中において可溶の、水溶性酸安定大豆タンパクを含む、酸性食品。
【請求項11】
前記食品が4.5以下のpHを有する、請求項10記載の食品。
【請求項12】
前記食品が約3〜約4.5のpHを有する、請求項10記載の食品。
【請求項13】
前記食品が約3.5〜約4.1のpHを有する、請求項10記載の食品。
【請求項14】
酸性飲料に水溶性酸安定大豆タンパクを加えることを含む、酸性飲料を大豆タンパクで強化する方法。
【請求項15】
前記大豆タンパクが約4.5以下のpHの水中において可溶の、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記大豆タンパクが約3〜約4.5のpHの水中において可溶の、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記大豆タンパクが約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項14記載の方法。
【請求項18】
少なくとも90%の前記大豆タンパクが約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項14、15、16又は17に記載の方法。
【請求項19】
食品に水溶性酸安定大豆タンパクを加えることを含む、酸性食品を大豆タンパクで強化する方法。
【請求項20】
前記大豆タンパクが約4.5以下のpHの水中において可溶の、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記大豆タンパクが約3〜約4.5のpHの水中において可溶の、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記大豆タンパクが約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項19記載の方法。
【請求項23】
少なくとも90%の前記大豆タンパクが約3.5〜約4.1のpHの水中において可溶の、請求項19、20、21又は22の記載の方法。
【請求項24】
液体中へ大豆タンパク懸濁液を作製すること;
大豆タンパクが液体中に可溶化するのに十分な時間及び圧力下において大豆タンパク懸濁液へ熱処理を適用すること;
懸濁液を冷却し周囲圧力まで減圧すること;
タンパクの等電点以下のpHになるような量の酸を大豆タンパク懸濁液へ添加し、酸性化大豆タンパク懸濁液を作製すること;
酸性化大豆タンパク懸濁液を高剪断ミキサー内で混合すること;及び任意で、
水溶性酸安定タンパクの目的とする用途のおよそのpHまで酸性化溶液を塩基により中和すること;
を含む、水溶性酸安定大豆タンパクの製造方法。
【請求項25】
液体中への大豆タンパク懸濁液の作製に続いて、大豆タンパク懸濁液を酸性化し、酸性化大豆タンパク懸濁液を熱処理し高剪断混合する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
大豆タンパク懸濁液の固形含有量が、大豆タンパクが熱処理中に凝集しないような十分に低いものである、請求項24記載の方法。
【請求項27】
pHを約3.3以下に下げるために酸を加える、請求項24記載の方法。
【請求項28】
大豆タンパク懸濁液の固形含有量が、固形重量で約20%未満である、請求項24記載の方法。
【請求項29】
大豆タンパク懸濁液の固形含有量が、固形重量で約15%未満である、請求項24記載の方法。
【請求項30】
大豆タンパク懸濁液の固形含有量が、固形重量で約10%未満である、請求項24記載に方法。
【請求項31】
大豆タンパク懸濁液のpHを、懸濁液の高剪断熱処理の前に、大豆タンパクが液体中に可溶であり、大豆タンパクが高剪断熱処理中においてメイラード褐変反応を示さないような範囲のpHに調整する、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項32】
大豆懸濁液のpHが約6.8〜約7.4のpHに調整された、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項33】
大豆懸濁液のpHが約7.2のpHに調整された、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項34】
前記大豆タンパク懸濁液が、タンパク分離体を作る工程中に作製される大豆タンパク懸濁液である、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項35】
前記大豆タンパク懸濁液が、乾燥タンパク分離体又は濃縮物を水と混合することにより作製される、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項36】
前記大豆タンパクの懸濁液を、約150°F〜約300°Fの温度及び懸濁液が液体状態を維持するのに十分な圧力下で加熱する、請求項24、25、26、27、28、29又は30に記載の方法。
【請求項37】
温度が約270°Fである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
温度が約260°Fである、請求項36記載の方法。
【請求項39】
圧力が約5〜70psiである、請求項36記載の方法。
【請求項40】
圧力が約50〜60psiである、請求項36記載の方法。
【請求項41】
加熱処理の温度及び圧力を、約5秒〜約3分間の保持時間にわたって保持する、請求項36記載の方法。
【請求項42】
保持時間が約1分間である、請求項36記載の方法。
【請求項43】
懸濁液の固形物が15重量%以下であるよう大豆タンパク懸濁液を液体中へ作製すること;
任意で、約6.8〜約7.4の範囲のpHまで懸濁液のpHを調整すること;
約150°F〜約300°Fの温度、約5秒〜約3分間の保持時間及び約5〜約70psiの圧力下において大豆タンパク懸濁液を加熱し、液体中へ大豆タンパクを可溶化すること;
懸濁液を冷却し周囲圧力まで減圧すること;
溶液のpHがタンパクの等電点以下のpHになるような量の酸を大豆タンパク懸濁液へ加え、酸性化大豆タンパク懸濁液を作製すること;
酸性化大豆タンパク懸濁液を高剪断ミキサー内で混合すること;及び任意で、
水溶性酸安定タンパクの目的とする用途のおよそのpHまで、酸性化溶液を塩基により中和すること、
を含む、水溶性酸安定大豆タンパクの製造方法。
【請求項44】
前記大豆タンパクが酵素修飾大豆タンパクである、請求項1、2、3又は4に記載の、水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項45】
水溶性酸安定大豆タンパクが酵素修飾大豆タンパクである、請求項6記載の酸性飲料。
【請求項46】
水溶性酸安定大豆タンパクが酵素修飾大豆タンパクである、請求項10記載の酸性食品。
【請求項47】
食品又は飲料へ大豆タンパク又は酵素修飾大豆タンパクを加え、タンパク修飾食品又は飲料を作製すること;
大豆タンパクが食品又は飲料中に可溶化するのに十分な時間及び圧力下でタンパク修飾食品又は飲料へ熱処理を適用すること;
熱処理した食品又は飲料を冷却し周囲圧力まで減圧すること;
食品又は飲料のpHがタンパクの等電点以下のpHになるように、酸を熱処理された食品又は飲料へ加え、酸性化大豆タンパク食品又は飲料を作製すること;
酸性化大豆タンパク食品又は飲料を高剪断ミキサー内で混合すること;及び任意で、
酸性化大豆タンパク食品又は飲料を塩基により中和すること;
を含む、酸安定化大豆タンパクを含む食品又は飲料の製造方法。
【請求項48】
食品又は飲料のpHがタンパクの等電点以下になるように第一の酸をタンパク修飾食品又は飲料に加えて酸性化大豆タンパク食品又は飲料を作製し、次いで大豆タンパクが食品又は飲料中で可溶化するのに十分な時間及び圧力下で酸性化大豆タンパク食品又は飲料を熱処理する、請求項47記載の方法。
【請求項49】
懸濁液のpHがタンパクの等電点以下になるような量の酸を液体中の大豆タンパクの懸濁液に最初に加えて酸性化大豆タンパク懸濁液を作製し、続いて大豆タンパクが可溶化するのに十分な時間及び圧力下で、酸性化大豆タンパク懸濁液に熱処理を適用する、請求項24記載の方法。
【請求項50】
前記大豆タンパクがpH3.5の水溶液中において少なくとも約90%が可溶の、水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項51】
前記大豆タンパクがpH3.0の水溶液中において少なくとも約90%が可溶の、水溶性酸安定大豆タンパク。
【請求項52】
前記大豆タンパクがpH3.8の水溶液中において少なくとも約90%が可溶の、水溶性酸安定大豆タンパク。

【公表番号】特表2007−510431(P2007−510431A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539693(P2006−539693)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037110
【国際公開番号】WO2005/044013
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506153859)ケリー グループ サーヴィシーズ インターナショナル、リミテッド (5)
【Fターム(参考)】