説明

酸洗処理方法及び酸洗処理装置

【課題】母材を腐食させずに、残存なく金属結合層を酸洗剥離する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】酸洗処理方法は、表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬して酸洗処理する酸洗処理工程と、母材が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定工程と、測定した電位の変化に基づき、測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定工程と、を備え、測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、酸洗処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸洗処理方法及び酸洗処理装置に関し、特に、ガスタービンの翼や燃焼器の酸洗処理方法及び酸洗処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの翼や燃焼器などは、使用中に高温環境に曝されるため、表面に遮熱を目的としたコーティングが施されている。コーティングは例えば、CoNiCrAlY合金(コニクラリー)からなる金属結合層を含み、更にその表面にセラミック系耐火物層を備えている。
【0003】
長時間使用したガスタービンの翼や燃焼器は、コーティングを再生・補修する。コーティングの再生・補修は、セラミック系耐火物層の除去工程を経て、金属結合層を酸洗浄により除去する。特許文献1に、金属コーティングを選択的に剥離するための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−182629号公報(段落[0009])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現状の酸洗浄方法では、酸洗浄時間を一律で管理している。金属結合層は、供試体毎に厚さが異なる(約50μm〜200μm)ため、母材上に部分的に金属結合層が残存する場合がある。酸洗剥離工程の後、金属結合層の残存確認を実施し、金属結合層が残存していた場合、ブラスト等による機械的除去あるいは酸洗剥離工程のやり直しなどの追加作業が必要となる。金属結合層を残存させないためには、酸洗浄時間を長くすると良いが、供試体によっては母材の腐食が生じるものがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、母材を腐食させずに、残存なく金属結合層を酸洗剥離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬して酸洗処理する酸洗処理工程と、前記母材が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定工程と、前記測定した電位の変化に基づき、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定工程と、を備え、前記測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、前記酸洗処理を終了する酸洗処理方法を提供する。
【0008】
表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬させると、強酸性水溶液中で溶射膜中の金属成分が酸化され、それに伴い水素が還元されて水素(H)ガスが発生する。これによって、強酸性水溶液の電位は低下する。ある程度の金属成分が酸化されると、強酸性水溶液の電位は、概ね水素の酸化/還元電位付近で推移するようになる。その後、未反応の金属成分が少なくなると、酸化反応速度が遅くなり、水素ガスの発生量も減少する。一方、強酸性水溶液中には大気中から酸素が混入するため、混入した酸素と水素とが反応し、強酸性水溶液の電位は上昇傾向を示すようになる。
上記発明によれば、強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示したことを目安として酸洗処理を終了することで、母材表面の腐食を抑制しつつ、溶射膜を略残存させずに除去することができる。強酸性とはpH3未満であることをいう。
【0009】
上記発明の一態様では、前記判定工程が、前記測定した電位が低下傾向を示したか否かを判定する第1ステップと、第1ステップの後、前記測定した電位が所定値まで低下したか否かを判定する第2ステップと、第2ステップの後、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する第3ステップと、を含み、前記第1ステップにおいて、前記測定した電位が第1所定時間内に低下傾向を示したと判定された場合、酸洗処理工程を介しして第2ステップへと進み、前記測定した電位が第1所定時間内に低下傾向を示さないと判定された場合、強酸性水溶液を交換し、その後、再度第1ステップを行うことが好ましい。
【0010】
第1ステップを備えることで、強酸性水溶液と溶射膜との反応性を確認することができる。測定した電位が第1所定時間内に低下傾向を示さないと判定された場合、酸洗処理の早い段階で除去したい溶射膜に適した強酸性水溶液に交換することができるため、効率的に、より短時間で溶射膜を除去することが可能となる。
【0011】
上記発明の一態様では、前記第2ステップにおいて、前記測定した電位が第2所定時間内に所定値まで低下したと判定された場合、第3ステップへと進み、前記測定した電位が第2所定時間内に所定値まで低下しなかったと判定された場合、強酸性水溶液を交換し、その後、再度第2ステップを行うことが好ましい。
【0012】
第2ステップを備えることで、強酸性水溶液と溶射膜との反応性を確認することができる。測定した電位が第2所定時間内に所定値まで低下しなかったと判定された場合、強酸性水溶液を適切な濃度のものなどに交換することができるため、効率的に、より短時間で溶射膜を除去することが可能となる。
【0013】
また、本発明は、表面に溶射膜を備えた母材を浸漬するための強酸性水溶液を収容する容器と、前記母材が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定手段と、前記測定した電位の変化に基づき、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部によって前記測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、前記酸洗処理を終了する酸洗処理装置を提供する。
【0014】
上記発明によれば、強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示したことを目安として酸洗処理を終了することで、母材表面の腐食を抑制しつつ、溶射膜を略残存させずに除去することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸洗処理中に強酸性水溶液の電位を測定し、その測定した電位の変化に基づいて酸洗処理を終了させることで、母材を腐食させずに、残存なく金属結合層を酸洗剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る酸洗処理方法を実施するための酸洗処理装置の概略図である。
【図2】本実施形態に係る酸洗処理方法の手順の一例を示したフローチャートである。
【図3】ガスタービン動翼を浸漬させた強酸性水溶液の電位変化の一例を示すグラフである。
【図4】酸洗処理工程前後のガスタービン動翼の部分断面写真である。
【図5】酸洗処理工程前後のガスタービン動翼の部分断面写真である。
【図6】酸洗処理工程前後のガスタービン動翼の部分断面写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
なお、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)により、本発明が限定されるものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものも含まれる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る酸洗処理方法は、表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬した後、該強酸性水溶液の電位を測定し、測定した電位の変化に基づき電位が上昇傾向を示したか否かを判定し、測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、酸洗処理を終了する点に特徴がある。
【0019】
図1は、本実施形態において酸洗処理方法を実施するための酸洗処理装置の概略図である。酸洗処理装置は、強酸性水溶液によって、表面に溶射膜が形成された母材から該溶射膜を除去するための装置である。酸洗処理装置1は、酸洗処理対象物を支持する支持手段(不図示)と、酸洗処理対象物を移動させる移動手段(不図示)と、強酸性水溶液2を収容する容器3と、強酸性水溶液2の電位を測定する電位測定手段4と、該電位測定手段4によって得られた強酸性水溶液2の電位の変化に基づき、測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定部と、を備えている。
【0020】
支持手段はバスケットなどとされ、酸洗処理対象物を洗浄するために支持する。支持手段は、強アルカリ性水溶液及び強酸性水溶液で腐食しにくい材料で構成される。支持手段は、例えば、フッ素樹脂のコーティングが施された金属によって構成されている。
移動手段は、例えば、クレーンやジャッキ等が用いられる。移動手段は、支持手段を強酸性水溶液への浸漬、強酸性水溶液からの引き揚げに使用することができる。
【0021】
電位測定手段4は、銀−塩化銀電極を参照電極として使用した電位計などとされる。銀−塩化銀電極と対になる電極は白金電極などとされる。銀−塩化銀電極及び白金電極は、強酸性水溶液2中に挿入して使用される。
【0022】
電位測定手段4には、判定部が含まれている。判定部は、測定された電位を連続的に表示可能なモニターなどを含む。判定部は、電位測定手段によって得られた強酸性水溶液2の電位の変化に基づき、測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定することができる。
【0023】
酸洗処理装置1は、強酸性水溶液2を撹拌する撹拌手段を備えていることが好ましい。それによって、強酸性水溶液が撹拌されて濃度が均一となり、溶射膜の除去ムラを抑制できる。
【0024】
酸洗処理装置1は、気泡導入管5と、送気装置6と、強酸性水溶液加温手段7と、強酸性水溶液温検出手段8と、強酸性水溶液温制御手段9と、蓋部材10とを備えていることが好ましい。蓋部材10は、容器3内を密閉する程のものでなくて良い。蓋部材10を備えることで、強酸性水溶液2の蒸散をなるべく少なくできるという効果が得られる。
【0025】
洗浄中は、送気装置6より、気体、例えば、空気が、容器3の底面の直上に配置された気泡導入管5へ送られる。気泡導入管5に設けられた開口部から導入された気泡は、表面に溶射膜が形成された母材に衝突しながら上昇する。酸洗処理装置1が、送気装置6と、気泡導入管5とを備えていることによって、容器3内の強酸性水溶液2を撹拌できる。また、気泡によって、強酸性水溶液2による溶射膜の除去を補助して、溶射膜の除去に要する時間を短縮できるという効果も得られる。さらに、使用する強酸性水溶液2を減量して水溶液廃液を低減できるという効果が得られる。強酸性水溶液2の液温は、強酸性水溶液加温手段7、強酸性水溶液温検出手段8、強酸性水溶液温制御手段9により制御される。これによって、強酸性水溶液2による洗浄条件を一定に保ち、確実に溶射膜を除去できる。
【0026】
以下に、本実施形態に係る酸洗処理方法について説明する。
酸洗処理される対象は、表面に溶射膜が形成された母材とされる。詳細には、酸洗処理される対象は、再生を要する運転済み(実運転時間が5000時間から40000時間経過した後)のガスタービンの翼や燃焼器などを、強アルカリ性洗浄液、水、弱酸性洗浄液で洗浄した後に熱処理を施した部材などとされる。ガスタービンの翼や燃焼器は高温環境下で使用されるため、耐熱性合金の表面上に金属結合層とセラミックス層とで順にコーティングされている。ガスタービンや燃焼器を上記工程で熱処理まで施すと、耐熱性合金(母材)上に、金属結合層のみが残存した状態の部材となる。
金属結合層は、CoNiCrAlY合金(コニクラリー)などとされ、溶射によって耐熱性合金上に成膜されたものである。金属結合層の厚さは約50μm〜200μmとされる。
【0027】
本実施形態において、表面に溶射膜が形成された母材は、表面に金属結合層を備えたガスタービン動翼(以下、ガスタービン動翼と称す)として説明する。
【0028】
図2は、本実施形態に係る酸洗処理方法の手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る酸洗処理方法は、ガスタービン動翼を強酸性水溶液に浸漬して酸洗処理する酸洗処理工程と、ガスタービン動翼が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定工程と、測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定工程とを備えている。
【0029】
酸洗処理工程を開始する前に、支持手段によって支持したガスタービン動翼を移動手段によって強酸性水溶液に浸漬し、強酸精水溶液の電位測定を開始する(ステップS1)。次にステップS2として、強酸性水溶液の電位が低下傾向を示したか否かを判定する。例えば、数十分間連続で電位が下降し続け、且つ、下降前の電位に対して下降後の電位が洗浄液組成に応じて定められた管理値以下となった場合に、判定部が強酸性水溶液は下降傾向を示したと判定する。
【0030】
強酸性水溶液としては、ガスタービン動翼の表面に形成された金属結合層(溶射膜)の種類に応じた強酸性水溶液を用いることができる。強酸性とはpH3未満であることをいう。強酸性水溶液には、適当な添加剤を加えても良い。本実施形態では、強酸性水溶液として10容量%以上40容量%以下の濃塩酸を用いる。強酸性水溶液温度は、50℃以上80℃以下、好ましくは、65℃以上70℃以下に保持されることが好ましい。
【0031】
ステップS2において、強酸性水溶液の電位が下降傾向を示さなかったと判定された場合、ステップS3に進み、容器内の強酸性水溶液を交換する。例えば、酸性度の異なる強酸性水溶液、あるいは、別の組成の強酸性水溶液などに交換すると良い。そうすることで、酸洗処理工程開始前に、除去したい溶射膜に適した強酸性水溶液に交換することができるため、効率的に、より短時間で溶射膜を除去することが可能となる。
ステップS2において、強酸性水溶液の電位が下降傾向を示したと判定された場合、強酸性水溶液をそのまま使用して翼洗浄(酸洗処理工程)を開始する(ステップS4)。強酸精水溶液の電位測定も継続する。
【0032】
酸洗処理工程では、気泡、プロペラ等の撹拌手段によって、強酸性洗浄液を撹拌しながら行うことが好ましい。撹拌しながら金属結合層(溶射膜)を除去することにより、ガスタービン動翼の金属結合層(溶射膜)除去ムラを抑制できる。
【0033】
ステップS4の後、強酸性水溶液の電位が所定時間内に所定値まで低下したか否かを判定するステップを備える(ステップS5)。
所定時間は、ガスタービン動翼の表面に形成された金属結合層の種類や、使用した強酸性水溶液の種類及びpHなどによって適宜される。例えば、20〜30質量%の濃塩酸を強酸性水溶液とし、Co、Ni、Cr、Al、Yからなる金属結合層を剥離する場合、所定時間は、ガスタービン動翼を強酸性水溶液に浸漬してから約100分後とすると良い。
所定値は、概ね水素の酸化/還元電位付近とする。例えば、所定値Ec2はEc1−0.2Vとされる。
【0034】
ステップS5において、所定時間内に強酸性水溶液の電位が所定値まで低下しなかったと判定された場合、ステップS6に進み、容器内の強酸性水溶液を交換する。例えば、酸性度の異なる強酸性水溶液、あるいは、別の組成の強酸性水溶液などに交換すると良い。これによって、除去したい溶射膜に適した強酸性水溶液に交換することができるため、効率的に、より短時間で溶射膜を除去することが可能となる。
ステップS5において、所定時間内に強酸性水溶液の電位が所定値まで低下したと判定された場合、強酸性水溶液をそのまま使用して酸洗処理工程を継続する(ステップS7)。
【0035】
強酸性水溶液の電位が水素の酸化/還元電位付近に達した後、強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示したか否かを判定する(ステップS8)。上昇傾向を示すか否かの基準は、適宜設定すると良い。例えば、10分間連続で電位が上昇し続け、且つ、上昇前の電位に対して上昇後の電位が+0.05V以上となる場合に判定部が強酸性水溶液は上昇傾向を示したと判定する。
【0036】
ステップS8において、強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示さなかったと判定された場合、ステップS7に戻り、酸洗処理工程を継続する。
ステップS8において、強酸性水溶液における電位が上昇傾向を示したと判定された場合、移動手段によって強酸性水溶液から支持手段を引き上げることにより、酸洗処理工程を終了する。
【0037】
酸洗処理工程後は、適宜中和処理を行う。
【0038】
図3に、ガスタービン動翼を浸漬させた強酸性水溶液の電位変化の一例を示す。同図において、縦軸が銀−塩化銀電極に対する溶液電位、横軸が時間推移である。図3によれば、表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬させると、強酸性水溶液中で溶射膜中の金属成分が酸化され、それに伴い水素が還元されて水素(H)ガスが発生する。これによって、強酸性水溶液の電位は低下する。ある程度の金属成分が酸化されると、強酸性水溶液の電位は、概ね水素の酸化/還元電位付近で推移するようになる。その後、未反応の金属成分が少なくなると、酸化反応速度が遅くなり、水素ガスの発生量も減少する。一方、強酸性水溶液中には大気中から酸素が混入するため、混入した酸素と水素とが反応し、強酸性水溶液の電位は上昇傾向を示すようになる。
【0039】
図4乃至図6に、酸洗処理工程前後のガスタービン動翼の部分断面写真を示す。図4は酸洗処理工程前の断面写真、図5は図3のA時点における断面写真、図6は図3のB時点における断面写真である。
図4によれば、ガスタービン動翼は、母材の表面に金属結合層を備え、母材と金属結合層との間には、金属結合層の成分が母材に拡散して拡散層が形成されている。図5によれば、図3のA時点(水素の酸化/還元電位付近)では、母材上に拡散層が残存し、拡散層の上に金属結合層の溶け残りが認められた。一方、図6によれば、図3のB時点(強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示した後)では、金属結合層は完全に溶解し、拡散層にも一部溶解が認められた。
以上より、強酸性水溶液の電位が上昇傾向を示したことを目安として酸洗処理を終了することで、母材表面の腐食を抑制しつつ、溶射膜を略残存させずに除去することができることが確認された。
【符号の説明】
【0040】
1 酸洗処理装置
2 強酸性水溶液
3 容器
4 電位測定手段
5 気泡導入管
6 送気装置
7 強酸性水溶液加温手段
8 強酸性水溶液温検出手段
9 強酸性水溶液温制御手段
10 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に溶射膜を備えた母材を強酸性水溶液に浸漬して酸洗処理する酸洗処理工程と、
前記母材が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定工程と、
前記測定した電位の変化に基づき、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定工程と、
を備え、前記測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、前記酸洗処理を終了する酸洗処理方法。
【請求項2】
前記判定工程が、
前記測定した電位が低下傾向を示したか否かを判定する第1ステップと、
第1ステップの後、前記測定した電位が所定値まで低下したか否かを判定する第2ステップと、
第2ステップの後、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する第3ステップと、
を含み、
前記第1ステップにおいて、
前記測定した電位が第1所定時間内に低下傾向を示したと判定された場合、酸洗処理工程を介しして第2ステップへと進み、
前記測定した電位が第1所定時間内に低下傾向を示さないと判定された場合、強酸性水溶液を交換し、その後、再度第1ステップを行う請求項1に記載の酸洗処理方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、
前記測定した電位が第2所定時間内に所定値まで低下したと判定された場合、第3ステップへと進み、
前記測定した電位が第2所定時間内に所定値まで低下しなかったと判定された場合、強酸性水溶液を交換し、その後、再度第2ステップを行う請求項2に記載の酸洗処理方法。
【請求項4】
表面に溶射膜を備えた母材を浸漬するための強酸性水溶液を収容する容器と、
前記母材が浸漬された強酸性水溶液の電位を測定する電位測定手段と、
前記測定した電位の変化に基づき、前記測定した電位が上昇傾向を示したか否かを判定する判定部と、
を備え、前記判定部によって前記測定した電位が上昇傾向を示したと判定された場合に、前記酸洗処理を終了する酸洗処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−180548(P2012−180548A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43261(P2011−43261)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】