説明

酸素センサの活性判定システム

【課題】本発明の課題は、酸素センサの不活性状態を的確に判定することができると共に、排気の悪化を抑えることができる酸素センサの活性判定システムを提供することにある。
【解決手段】酸素センサの活性判定システムでは、酸素センサが不活性状態に維持された場合には、信号処理回路は所定の収束値VPに収束する信号を出力する。不活性判定部は、信号処理回路からの出力値Vd(n)が、収束値VPを含む所定の不活性範囲Rna内であるときに、酸素センサが不活性状態であると判定する。不活性判定部は、信号処理回路からの出力値Vd(n)が、不活性範囲Rnaと異なる所定の第1活性範囲Ra1であるときに、酸素センサが活性状態であると判定する。不活性判定部は、燃料カットの実行中に、信号処理回路からの出力値Vd(n)が、収束値VPに向かって第1活性範囲Ra1に含まれる所定の閾値Vthを越えたときに、酸素センサが不活性状態であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素センサの活性判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関に供給される混合気の空燃比を適切に制御するために、酸素センサが用いられている。酸素センサの出力値は、排気中の酸素濃度に応じて変化する。従って、酸素センサの出力値を検出することにより、排気中の酸素濃度を知ることができる。そして、酸素センサの出力値によって、内燃機関に供給される混合気がリッチ状態とリーン状態とのいずれであるのかが推定される。酸素センサとしては、例えば、特許文献1に開示されているように、安定化ジルコニアを使用したセンサが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−170938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した酸素センサは、低温状態では内部抵抗が非常に大きくなる。このため、同じ空燃比であっても、低温状態での酸素センサの出力は、高温状態と異なる場合がある。すなわち、酸素センサが低温であるときには、実際の酸素濃度と異なる酸素濃度に対応した値が出力される場合がある。従って、この場合、酸素センサの出力値を用いて空燃比のフィードバック制御が行われると、空燃比を適切に制御することは困難である。ここで、酸素センサの出力値は、不活性状態では所定の収束値に向かって収束する。このため、従来の判定装置では、酸素センサの出力値が、この収束値を含む所定の不活性範囲内であるか否かを判定することによって、酸素センサが不活性状態であるか否かを判定する。そして、酸素センサが不活性状態であると判定されたときには、酸素センサの出力値を用いたフィードバック制御が停止される。これにより、内燃機関の実際の状況に適さない制御が行われることを回避することができる。
【0005】
内燃機関の制御において燃料カットが実行されると、酸素センサは、リーン状態を示す値を出力する。その後、内燃機関の温度の低下と共に、酸素センサの温度が低下すると、酸素センサの出力は、上述した収束値に向かって収束する。この場合、不活性範囲の設定によっては、酸素センサの出力が上述した不活性範囲に到達する前に、酸素センサが不活性状態となっていることがある。しかし、従来のように酸素センサの出力値が不活性範囲内であるか否かという判定方法では、このような酸素センサの不活性状態を適確に判定することはできない。従って、燃料カットが実行されると、直ちに酸素センサが不活性状態であると判定して、フィードバック制御を停止することも考えられる。しかし、この場合、実際には酸素センサが活性状態であるときに、フィードバック制御が停止される。このため、排気の悪化を不必要に招く可能性がある。
【0006】
本発明の課題は、酸素センサの不活性状態を的確に判定することができると共に、排気の悪化を抑えることができる酸素センサの活性判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る酸素センサの活性判定システムは、酸素センサと、信号処理回路と、不活性判定部と、燃料カット判定部とを備える。酸素センサは、活性状態において内燃機関からの排気中の酸素濃度に応じた信号を出力する。信号処理回路には、酸素センサからの信号が入力される。信号処理回路は、酸素センサが活性状態であるときには、酸素センサから入力された信号に応じた信号を出力する。信号処理回路は、酸素センサが活性状態であり且つ酸素センサ雰囲気が大気と同じ状態に維持された場合には、所定のリーン出力値に収束する信号を出力する。信号処理回路は、酸素センサが不活性状態に維持された場合には、リーン出力値と異なる所定の収束値に収束する信号を出力する。不活性判定部は、信号処理回路からの出力値が、収束値を含む所定の不活性範囲内であるときに、酸素センサが不活性状態であると判定する。不活性判定部は、信号処理回路からの出力値が、不活性範囲と異なる所定の第1活性範囲であるときに、酸素センサが活性状態であると判定する。燃料カット判定部は、内燃機関の燃料カットが実行中であるか否かを判定する。不活性判定部は、燃料カットの実行中に、信号処理回路からの出力値が、収束値に向かって第1活性範囲に含まれる所定の閾値を越えたときに、酸素センサが不活性状態であると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る酸素センサの活性判定システムでは、不活性判定部は、信号処理回路からの出力値が第1活性範囲に含まれる所定の閾値を越えたか否かに基づいて、酸素センサの不活性状態を判定する。燃料カットの実行中には、酸素センサ雰囲気は、例えば、大気のように酸素分圧が大きい状態になる。このため、燃料カットの実行中に酸素センサが活性状態であれば、信号処理回路からの出力値は、リーン状態を示す一定範囲の値から変化しない。従って、信号処理回路からの出力値が収束値へ向かって変化していることを検出することにより、酸素センサが不活性状態であることを適確に判定することができる。また、燃料カットが実行されると直ちに酸素センサが不活性状態であると判定される場合と比べて、酸素センサが実際には活性状態であるのに不活性状態であると判定される時間を短くすることができる。このため、酸素センサによる出力結果を用いた制御をできるだけ長く実行することができる。これにより、排気の悪化を抑えることができる。さらに、所定の閾値は、第1活性範囲に含まれる。このため、酸素センサからの出力値が第1活性範囲内の値であっても、酸素センサが不活性状態であることが疑われる状態で、酸素センサの不活性状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態に係るパワーユニットと後輪との側面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る車体フレームとパワーユニットと後輪とをシリンダ軸線の前方から視た図。
【図4】エンジンおよび制御装置の構成図。
【図5】ECUの構成を示すブロック図。
【図6】信号処理回路と酸素センサとの構成を示す概略図。
【図7】信号処理回路の出力特性を示す図。
【図8】不活性判定処理を示すフローチャート。
【図9】不活性判定処理での信号処理回路の出力値を示すタイムチャート。
【図10】他の実施形態に係る不活性判定処理での信号処理回路の出力値を示すタイムチャート。
【図11】他の実施形態に係る信号処理回路と酸素センサとの構成を示す概略図。
【図12】他の実施形態に係る不活性判定処理での信号処理回路の出力値を示すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の鞍乗型車両の一実施形態としての自動二輪車1を示す側面図である。なお、図面における十字状の矢印は方向を示すものであり、その矢印に添えた符号中「F」は前方、「Rr」は後方、「U」は上方、「Lo」は下方、「R」は右方、「L」は左方をそれぞれ表わしている。なお、本実施形態において前後、左右、上下の方向は、シート5に着座したライダーから見た前後、左右、上下の方向を意味するものとする。
【0011】
自動二輪車1は、スクータ型の自動二輪車である。自動二輪車1は、車体フレーム2と、パワーユニット3とを備えている。パワーユニット3は、車体フレーム2に取り付けられている。パワーユニット3は、車体フレーム2に上下揺動自在に取り付けられている。パワーユニット3の上方には、ライダーが着座するシート5が配置されている。シート5の前方にはハンドル6と前輪7が配置されている。シート5とハンドル6の間には、ライダーが足を置くための足載せ部8が配置されている。シート5の下方には、後輪9が配置されている。パワーユニット3と車体フレーム2との間には、リアクッションユニット10が配置されている。
【0012】
パワーユニット3は、エンジン11と動力伝達装置12とを有している。エンジン11は、本発明の内燃機関に相当する。動力伝達装置12の後部には、後輪9が回転可能に取り付けられている。エンジン11で発生した駆動力は、動力伝達装置12を介して後輪9に伝達される。
【0013】
図2は、パワーユニット3と後輪9との側面図である。後輪9は、エンジン11の後方に配置されている。後輪9は、動力伝達装置12と左右方向に並ぶように配置されている。エンジン11は、クランクケース13と、シリンダボディ14と、シリンダヘッド15と、シリンダヘッドカバー16とを有する。シリンダボディ14は、クランクケース13に取り付けられている。シリンダボディ14は、クランクケース13の前方に配置されている。シリンダヘッド15は、シリンダボディ14に取り付けられている。シリンダヘッド15は、シリンダボディ14の前方に配置されている。シリンダヘッドカバー16は、シリンダヘッド15に取り付けられている。シリンダヘッドカバー16は、シリンダヘッド15の前方に配置されている。シリンダヘッド15の上面には、吸気管21が接続されている。吸気管21にはエアクリーナ22が接続されている。吸気管21は、後述する吸気通路31(図4参照)を構成する。吸気管21は、エンジン11の燃焼室に空気を供給する。また、シリンダヘッド15の下面には、排気口23が形成されている。排気口23は、シリンダヘッド15の下面から下方へ突出している。排気口23には、排気管24が接続されている。排気管24には、マフラー25が接続されている。排気口23および排気管24は、後述する排気通路36(図4参照)を構成する。排気管24は、エンジン11の燃焼室から排気を排出する。
【0014】
図1及び図2において一点鎖線で示したAは、エンジン11のシリンダ軸線である。シリンダ軸線Aは、自動二輪車1の前後方向に対して、前方且つ上方に向けて傾斜している。なお、シリンダ軸線Aと自動二輪車1の前後方向とがなす角の角度の値は特に限定されない。傾斜角度は零であってもよい。即ち、シリンダ軸線Aと自動二輪車1の前後方向が一致していてもよい。
【0015】
図3は、車体フレーム2とパワーユニット3と後輪9とをシリンダ軸線Aの前方から視た図面である。車体フレーム2は、左右一対のフレーム2a,2bを有している。左右のフレーム2a,2bは、左右方向に間隔を隔てて配置されている。図1及び図2に示すように、側面視において、フレーム2a,2bは、後方且つ上方に向かって延びている。また、側面視において、フレーム2a,2bは、エンジン11と交差している。図3に示すように、動力伝達装置12は、エンジン11の左方に設けられている。また、動力伝達装置12は、フレーム2a,2bの後方に設けられている。クランクケース13は、フレーム2a,2bの後方に配置されている。後輪9は、エンジン11の後方に設けられている。なお、パワーユニット3がフレーム2a,2bと干渉することなく上下方向に揺動するように、シリンダボディ14、シリンダヘッド15およびシリンダヘッドカバー16は、シリンダ軸線Aの前方から視て、左右のフレーム2a,2bの間に設けられている。また、後述する酸素センサ40が、シリンダヘッド15に取り付けられている。酸素センサ40は、エンジン11の燃焼室から排出される排気中の酸素濃度を検出する。具体的には、酸素センサ40は、シリンダヘッド15の排気口23に取り付けられている。
【0016】
図4は、エンジン11およびエンジン11の制御システムの構成図である。図4に示すように、エンジン11は、ピストン26と、クランク軸27と、コンロッド28とを有する。ピストン26は、シリンダボディ14内において移動可能に配置されている。クランク軸27は、上述したクランクケース13内において回転可能に配置されている。コンロッド28は、ピストン26とクランク軸27とを連結する。
【0017】
また、エンジン11は、燃料噴射弁32と点火装置33と吸気バルブ34と排気バルブ35とを有する。燃料噴射弁32は、シリンダヘッド15内の燃焼室29に燃料を供給する。本実施形態では、燃料噴射弁32は、吸気通路31内に燃料を噴射するように配置されている。ただし、燃料噴射弁32は、燃焼室29内に燃料を噴射するように配置されてもよい。燃料噴射弁32は、燃料配管37を介して燃料タンク38に接続されている。燃料タンク38の内部には、燃料ポンプ39と、燃料センサ46とが配置されている。燃料ポンプ39は、燃料配管37に燃料を供給する。燃料センサ46は燃料タンク38内の燃料量を検出する。点火装置33は、燃焼室29内の燃料に点火を行う。エンジン11には、回転速度センサ41と、エンジン温度センサ42とが設けられている。回転速度センサ41は、クランク軸27の回転速度を検出することにより、エンジン回転速度を検出する。エンジン温度センサ42は、エンジン11の温度を検出する。なお、エンジン温度センサ42は、エンジン11の一部(例えば、シリンダ)の温度を検出するものであってもよい。或いは、エンジン11が水冷式の場合には、エンジン温度センサ42は、冷却液の温度を検出するものであってもよい。すなわち、エンジン温度センサ42は、エンジン11の温度を直接的に検出するものであってもよく、或いは、冷却液等を介して間接的に検出するものであってもよい。吸気バルブ34は、吸気通路31と燃焼室29との間を開閉する。排気バルブ35は、燃焼室29と排気通路36との間を開閉する。
【0018】
吸気通路31には、吸気温度センサ43と、吸気圧力センサ44とが設けられている。吸気温度センサ43は、吸気通路31を通って燃焼室29に吸入される空気の温度を検出する。吸気圧力センサ44は、吸気通路31の内部圧力である吸気圧を検出する。また、吸気通路31には、スロットルバルブ51が設けられている。スロットルバルブ51は、開度が調整されることにより、吸気通路31を介して供給される空気の量を調整する。スロットルバルブ51には、スロットル位置センサ45(図5参照)が設けられている。スロットル位置センサ45は、スロットルバルブ51の開度(以下、「スロットル開度」と呼ぶ)を検出する。
【0019】
排気通路36には、触媒52が設けられている。また、上述したように、排気通路36には、空燃比センサとして、酸素センサ40が設けられている。酸素センサ40は、混合気がリッチ状態またはリーン状態のいずれであるかを検出することができる。リッチ状態とは、混合気の空燃比が理論空燃比よりも小さい状態を意味する。リーン状態とは、混合気の空燃比が理論空燃比よりも大きい状態を意味する。酸素センサ40については後に詳細に説明する。
【0020】
自動二輪車1は、エンジン11の制御を行うECU(Electric Control Unit)60を備えている。図5はECU60の構成を示すブロック図である。ECU60は、演算部61と、記憶部62と、入力部63と、出力部64とを有している。演算部61は、例えばCPUを有し、後述する制御のための各種演算を実行する。記憶部62は、例えばROMやRAMなどのメモリを有し、後述する制御を行うための制御プログラムや各種情報を記憶する。入力部63及び出力部64は、それぞれインターフェース回路を有する。入力部63には、上述した各種のセンサ40−46が接続されている。各センサ40−46からの検出信号が入力部63に入力される。具体的には、回転速度センサ41、エンジン温度センサ42、吸気温度センサ43、吸気圧力センサ44、スロットル位置センサ45、酸素センサ40、および燃料センサ46が、入力部63に接続されている。出力部64には、上述した燃料噴射弁32と点火装置33とが接続される。演算部61での演算結果に基づき、燃料噴射弁32と点火装置33への指令信号が出力部64から出力される。
【0021】
ECU60は、各種センサ40−46からの信号に基づいて、燃料噴射弁32からの燃料噴射量の制御、点火装置33による点火時期の制御等を実行する。具体的には、ECU60は、酸素センサ40からの信号に基づいて、燃料噴射弁32の開弁時間を補正することにより、混合気の空燃比を所望の空燃比にフィードバック制御する。ただし、酸素センサ40の固体電解質からなる素子の温度が低いときには、酸素センサ40による検出の精度が低下する。すなわち酸素センサ40の温度が低いときには、酸素センサ40の検出の信頼性が低い不活性状態となる。逆に、酸素センサ40の温度が十分に高いときには、酸素センサ40の検出の信頼性が高い活性状態となる。酸素センサ40が不活性状態であるときに、酸素センサ40からの信号に基づいて混合気の空燃比がフィードバック制御されると、空燃比を精度よく制御することは困難である。そこで、ECU60は、まず酸素センサ40が活性状態と不活性状態とのいずれであるかを判定する。そして、ECU60は、酸素センサ40が活性状態であると判定したときに、上述したフィードバック制御を実行する。また、ECU60は、酸素センサ40が不活性状態であると判定したときには、上述したフィードバック制御ではなく、予め記憶部62に格納されている燃料噴射制御量に基づき、燃料噴射弁32のフィードフォワード制御を実行する。以下、酸素センサ40が不活性状態と活性状態との何れであるのかを判定するための酸素センサ40の活性判定システムについて説明する。酸素センサ40の活性判定システムは、酸素センサ40と、燃料カット判定部65と、不活性判定部66と、リーンリッチ判定部67とを有する。
【0022】
酸素センサ40は、安定化ジルコニアなどからなる固体電解質を使用したセンサである。酸素センサ40は、活性状態において排気中の酸素濃度に応じた電圧値の信号を出力する。図6は、酸素センサ40と入力部63との構成を示す概略図である。図6に示すように、入力部63は、酸素センサ40に接続される信号処理回路68を有する。信号処理回路68には、酸素センサ40からの信号が入力される。信号処理回路68は、プルアップ回路であり、入力ライン69とプルアップ抵抗R1とを有している。入力ライン69は、酸素センサ40と演算部61とを接続している。入力ライン69は、電源Vccに接続されており、プルアップ抵抗R1は、電源Vccと入力ライン69との間に配置されている。
【0023】
図7に信号処理回路68から演算部61へ出力される信号の出力特性を示す。図7のグラフにおいて、縦軸は信号処理回路68の出力値(電圧)を示している。横軸は時間を示している。実線L1は、酸素センサ40が活性状態であるときに信号処理回路68から出力される信号を示している。信号処理回路68は、酸素センサ40が活性状態であるときには酸素センサ40から入力された信号に応じた信号を演算部61に出力する。酸素センサ40は、二値型のセンサである。二値型の酸素センサとは、リッチ状態とリーン状態とで出力が急変するタイプのセンサである。すなわち、図7において実線L1で示すように、混合気がリッチ状態であるときには、信号処理回路68は、所定のリッチ出力値VRに向かって収束する出力値の信号を出力する。また、混合気がリーン状態であるときには、信号処理回路68は、所定のリーン出力値VLに向かって収束する出力値の信号を出力する。従って、信号処理回路68は、酸素センサ40が活性状態であり且つ酸素センサ40雰囲気が大気と同じ状態に維持された場合には、所定のリーン出力値VLに収束する信号を出力する。本実施形態の酸素センサ40では、リッチ出力値VRはリーン出力値VLよりも大きい。例えば、リーン出力値VLは0ボルトである。
【0024】
図7において破線L2は、酸素センサ40が不活性状態であるときに信号処理回路68から出力される信号を示している。破線L2で示すように、酸素センサ40が不活性状態であるときには、信号処理回路68は、所定の収束値VPに収束する信号を出力する。上述したように、信号処理回路68は、プルアップ回路である。すなわち、酸素センサ40が不活性状態であるときには、酸素センサ40の内部抵抗R0が極大となる。このとき、信号処理回路68のプルアップ抵抗R1と電源Vccとによって生成される所定のプルアップ電圧を有する信号が信号処理回路68から出力される。従って、酸素センサ40が不活性状態であるときには、信号処理回路68からの出力値は、0ボルトより大きい所定のプルアップ電圧に収束する。従って、上述した収束値VPは、プルアップ電圧に相当する。プルアップ電圧は、リーン出力値VLとリッチ出力値VRとの間の値である。本実施形態では、プルアップ電圧は、リーン出力値VLより大きく、リッチ出力値VRよりも小さい。従って、収束値VPは、リーン出力値VLと異なる値である。酸素センサ40は、上述した素子を加熱するためのヒータを装備していない、いわゆるヒータレス型のセンサである。このため、酸素センサ40の素子を加熱するための熱源は、エンジン11からの排気である。従って、エンジン11の排気温度が低下しているときには、酸素センサ40が不活性状態となる。酸素センサ40が不活性状態となると、信号処理回路68からの出力値は収束値VPに向かって収束する。
【0025】
図5に示すように、リーンリッチ判定部67と、燃料カット判定部65と、不活性判定部66とは、上述した演算部61に含まれる。すなわち、演算部61は、リーンリッチ判定部67としての機能と、燃料カット判定部65としての機能と、不活性判定部66としての機能を実行する。
【0026】
燃料カット判定部65は、エンジン11の燃料カットが実行中であるか否かを判定する。燃料カット判定部65は、例えば燃料噴射弁32への指令信号に基づいて、エンジン11の燃料カットが実行中であるか否かを判定する。或いは、燃料カット判定部65は、エンジン回転速度とスロットル開度とに基づいてエンジン11の燃料カットが実行中であるか否かを判定してもよい。なお、燃料カットは、自動二輪車1の走行中に、所定の燃料カット実行条件が満たされたときに、実行される。燃料カット実行条件は、例えば、エンジン回転速度が所定の回転速度以上となり、且つ、スロットル開度が所定の開度以下となったことである。また、燃料カットの実行中に所定の燃料カット解除条件が満たされたときには、燃料カットが停止され、通常運転に戻る。燃料カット解除条件は、例えば、エンジン回転速度が所定の回転速度以下になったことである。これにより、エンストが防止される。また、燃料カット解除条件は、スロットル開度が所定の開度以上となったことであってもよい。これにより、ライダーの加速への要求に答えて、燃料カットを解除させることができる。
【0027】
不活性判定部66は、通常運転中、すなわち燃料カットの実行中ではない場合には、信号処理回路68からの出力値が、所定の不活性範囲内であるときに、酸素センサ40が不活性状態であると判定する。図7に示すように、所定の不活性範囲Rnaは、上述した収束値VPを含む。不活性判定部66は、燃料カットの実行中ではない場合に、信号処理回路68の出力値が、所定時間以上、不活性範囲Rna内であるときに、酸素センサ40が不活性状態であると判定する。所定時間としては、酸素センサ40が不活性状態であると判定できる適切な値が予め実験あるいはシミュレーションなどにより求められて設定されている。所定の不活性範囲Rnaは、第1活性判定値V1と第2活性判定値V2との間の範囲である。第1活性判定値V1は、リーン出力値VLと収束値VPとの間の値である。本実施形態では、第1活性判定値V1は、リーン出力値VLより大きく、収束値VPより小さい。第2活性判定値V2は、リッチ出力値VRと収束値VPとの間の値である。本実施形態では、第2活性判定値V2は、リッチ出力値VRより小さく、収束値VPより大きい。また、第2活性判定値V2は、第1活性判定値V1より大きい。第1活性判定値V1及び第2活性判定値V2としては、酸素センサ40が不活性状態であるのか否かを精度よく判定するために適切な値が予め実験あるいはシミュレーションなどにより求められて設定されている。不活性判定部66は、信号処理回路68からの出力値が、第1活性判定値V1以上であり、且つ、第2活性判定値V2以下であるときに、酸素センサ40が不活性状態であると判定する。例えば、低温環境、或いは、雨によりエンジン温度が低下している状態でエンジン11がアイドル運転されているときには、排気温度が低下する。このような状態では、燃料カットが実行されていなくても、酸素センサ40の温度が低下して酸素センサ40が不活性状態となる。なお、以下の説明において、リーン出力値VLと第1活性判定値V1との間の範囲を第1活性範囲Ra1と呼ぶ。上述したリッチ出力値VRと第2活性判定値V2との間の範囲を第2活性範囲Ra2と呼ぶ。不活性範囲Rnaは、第1活性範囲Ra1と第2活性範囲Ra2との間に位置する。不活性判定部66は、通常運転中には、信号処理回路68からの出力値が、所定時間以上、第1活性範囲Ra1内であるときに、酸素センサ40が活性状態であると判定する。また、不活性判定部66は、通常運転中には、信号処理回路68からの出力値が、所定時間以上、第2活性範囲Ra2内であるときに、酸素センサ40が活性状態であると判定する。所定時間としては、酸素センサ40が活性状態であると判定できる適切な値が予め実験あるいはシミュレーションなどにより求められて設定されている。
【0028】
リーンリッチ判定部67は、酸素センサ40が活性状態であると判定されている状態において、信号処理回路68からの出力値を所定の判定閾値VAと比較することにより、混合気がリーン状態とリッチ状態とのいずれであるのかを判定する。具体的には、リーンリッチ判定部67は、酸素センサ40が活性状態であると判定されている状態において、信号処理回路68からの出力値が所定の判定閾値VA以下であるときに、混合気がリーン状態であると判定する。また、リーンリッチ判定部67は、酸素センサ40が活性状態であると判定されている状態において、酸素センサ40の出力値が、所定の判定閾値VAより大きいときに、エンジン11の混合気がリッチ状態であると判定する。判定閾値VAは、第1活性範囲Ra1と第2活性範囲Ra2との間の値である。従って、判定閾値VAは、不活性範囲Rnaに含まれる。
【0029】
燃料カット判定部65によってエンジン11の燃料カットが実行中であると判定されたときには、不活性判定部66は、図8に示す不活性判定処理を実行する。
【0030】
まず、ステップS1において、信号処理回路68からの出力値Vd(n) (以下、単に「出力値Vd(n)」と呼ぶ)が読み込まれる。後述するように、出力値Vd(n)の読み込みは、所定の周期で繰り返される。例えば、出力値Vd(n)に基づくフィードバック制御の演算周期ごとに、出力値Vd(n)が読み込まれる。なお、nはフィードバック制御の演算回数を示している。すなわち、第1回目の演算時にはn=1である。また、第2回目の演算時にはn=2である。図9は、燃料カットが実行されたときの出力値Vd(n)の変化を示すタイムチャートの一例である。ここで、時点t0から時点t1までは、酸素センサ40は活性状態であり、混合気はリッチ状態である。このため、出力値Vd(n)は、第2活性範囲Ra2内の値である。時点t1で、燃料カットが実行されると、酸素センサ40雰囲気は大気に近い酸素分圧が大きい状態になる。すなわち、燃料カットが実行されると、酸素センサ40雰囲気はリーン状態となる。このため、時点t1以降、出力値Vd(n)が低下して、第1活性範囲Ra1内の値に変化する。
【0031】
次に、ステップS2において、出力値Vd(n)が出力ボトム値Vbottomよりも小さいか否かが判定される。出力値Vd(n)が出力ボトム値Vbottomよりも小さいときには、ステップS3に進む。ステップS3では、出力値Vd(n)が出力ボトム値として設定される。そして、ステップS1へ戻る。なお、第1回目の演算時には、ステップS2及びステップS3は実行されずに、出力値Vd(n)が出力ボトム値Vbottomとして設定される。ステップS1−S3の処理により、図9に示すように、燃料カットの開始後に、出力値Vd(n)が低下し続けているとき(時点t1から時点t2まで)には、出力ボトム値Vbottomが、新たに読み込まれた出力値Vd(n)に更新される。
【0032】
ステップS2において、出力値Vd(n)が出力ボトム値Vbottom以上であると判定されたときには、ステップS4に進む。このとき、図9に示すように、燃料カットの開始後に、出力値Vd(n)が低下して最小値となっている(時点t2)。すなわち、出力値Vd(n)がリーン出力値VLに到達している。そして、出力値Vd(n)の最小値が出力ボトム値Vbottomとして設定される。なお、図9では、出力値Vd(n)の最小値がリーン出力値VLに一致しているが、出力値Vd(n)の最小値がリーン出力値VLより大きくてもよい。
【0033】
ステップS4では、出力値Vd(n)が、所定の閾値Vthより大きいか否かが判定される。すなわち、図9に示すように、出力値Vd(n)が、所定の閾値Vthを越えたか否かが判定される。出力値Vd(n)が、所定の閾値Vthより大きくないときには、ステップS1に戻る。出力値Vd(n)が、所定の閾値Vthより大きいときには、ステップS5に進む。ステップS5では、酸素センサ40が不活性状態であると判定される。すなわち、図9に示すように、出力値Vd(n)が最小値に達した後に、出力値Vd(n)が、所定の閾値Vthより大きくなったとき(時点t3)に、酸素センサ40が不活性状態であると判定される。なお、所定の閾値Vthは、燃料カットの実行時に酸素センサ40が不活性状態になったと見なすことができる程度に適切な値が、予め実験あるいはシミュレーションなどによって求められて設定される。所定の閾値Vthは、第1活性判定値V1よりも小さい。すなわち、所定の閾値Vthは、リーン出力値VLと第1活性判定値V1との間の値である。従って、第1活性範囲Ra1と不活性範囲Rnaとの間の境界値すなわち第1活性判定値V1は、所定の閾値Vthと収束値VPとの間の値である。なお、出力値Vd(n)と、出力ボトム値Vbottomとは、燃料カットの終了時にリセットされる。
【0034】
本実施形態に係る酸素センサ40の活性判定システムは以下の特徴を有する。
【0035】
不活性判定部66は、燃料カットの開始中に出力値Vd(n)が最小値に到達した後に、出力値Vd(n)が、第1活性範囲Ra1に含まれる所定の閾値Vthを越えたか否かに基づいて、酸素センサ40の不活性状態を判定する。燃料カットの実行中に、酸素センサ40が活性状態であれば、出力値Vd(n)は最小値から上昇することはない。すなわち、このように上昇する出力値Vd(n)は、酸素センサ40が活性状態であれば、燃料カットの実行中には継続して取りえない信号である。従って、出力値Vd(n)が収束値VPへ向かって上昇していることを検出することにより、酸素センサ40が不活性状態であることを適確に判定することができる。また、燃料カットが実行されると、直ちに酸素センサ40が不活性状態であると判定して、フィードバック制御を停止する場合と比べて、フィードバック制御をできるだけ長く実行することができる。これにより、排気の悪化を抑えることができる。また、ECU60の入力部63にオペアンプ等の装置を追加することによって酸素センサ40の活性判定の精度を向上させる場合と比べて、コストの増大を抑えることができる。
【0036】
出力値Vd(n)が第1活性範囲Ra1内であっても、燃料カットの実行中には、酸素センサ40が実際には不活性状態となっている可能性がある。本実施形態に係る酸素センサ40の活性判定システムでは、所定の閾値Vthは、第1活性範囲Ra1に含まれる。このため、酸素センサからの出力値Vd(n)が第1活性範囲Ra1内の値であっても、燃料カットの実施中に酸素センサ40が不活性状態であることが疑われる状態で、早期に酸素センサ40の不活性状態を判定することができる。特に、燃料カットは、自動二輪車1の走行中に実行されることがある。このため、上記のように、燃料カットの実行時には、酸素センサ40が不活性状態であることが早期に判定されることにより、走行中に酸素センサ40の不活性判定を余裕を持って行うことができる。一方、通常運転中にセンサ40が不活性状態であると判定されるのは、エンジン11のアイドル運転中であることが多い。それに対して、燃料カットは、走行中に実施されることがある。このため、走行中に、燃料カットの実行によってセンサ40が不活性状態であると判定されることがある。
【0037】
信号処理回路68は、プルアップ回路であるので、酸素センサ40が不活性状態であるときには、出力値Vd(n)が収束値VPに向かって収束する。このような出力値Vd(n)の変化を検出することにより、酸素センサ40が不活性状態であることを適確に判定することができる。
【0038】
酸素センサ40は、二値型のセンサであるため、燃料カットの実行中に酸素センサ40が活性状態であれば、出力値Vd(n)は、燃料カットの開始後の最小値から上昇することはない。従って、上記のような出力値Vd(n)の変化を検出することにより、酸素センサ40が不活性状態であることを適確に判定することができる。
【0039】
ヒータレス型の酸素センサ40では、燃料カットの実行時には、素子の温度が低下しやすい。このため、本発明は特にヒータレス型の酸素センサ40に有効である。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、鞍乗型車両は、上述した自動二輪車に限らず、不整地走行用車両(ALL−TERRAIN VEHICLE)或いは、スノーモービルなどの他の車両であってもよい。また、自動二輪車は、上述したスクータに限らず、モペット或いはスポーツ型などの他の自動二輪車であってもよい。
【0042】
上記の実施形態では、リーン出力値VLがリッチ出力値VRよりも小さい。しかし、図10に示すように、リーン出力値VLがリッチ出力値VRよりも大きくてもよい。すなわち、出力値Vd(n)の高低が、上記の実施形態の出力値Vd(n)に対して、反転されたものであってもよい。この場合、出力値Vd(n)が最大値に達した後に、出力値Vd(n)が所定の閾値Vthよりも小さくなったときに、酸素センサ40が不活性状態であると判定される。
【0043】
信号処理回路68は、プルアップ回路に限らず、図11に示すようなプルダウン回路であってもよい。具体的には、図11に示す信号処理回路68は、入力ライン69とプルダウン抵抗R2とを有する。入力ライン69は、酸素センサ40と演算部61と接続している。入力ライン69はグランドGに接続されており、プルダウン抵抗R2は、グランドGと入力ライン69との間に配置されている。酸素センサ40が不活性状態であるときには、信号処理回路68からの出力値Vd(n)は、0Vに向かって収束する。すなわち、この場合、本発明の所定の収束値は、0Vである。この場合、リーン出力値VLは0Vと異なる値であることが必要である。リーン出力値VLから収束値VPへ向かう変化によって、酸素センサ40の不活性状態が判定されるからである。
【0044】
酸素センサ40は、二値型に限らず、リニア型のセンサであってもよい。すなわち、酸素センサ40は、活性状態において、酸素濃度に応じた値をリニアに出力するセンサであってもよい。信号処理回路68は、ECU60の入力部63に含まれるのではなく、酸素センサ40と一体に設けられてもよい。
【0045】
上述した図8に示す活性判定において、読み込まれた出力値Vd(n)のなまし処理が行われてもよい。なまし処理は、出力値Vd(n)を平均化する処理である。
【0046】
上記の実施形態では、燃料カットの開始時から、出力値Vd(n)の上昇の監視が開始されているが、燃料カットの実行開始時から所定時間経過後に、酸素センサの不活性状態の判定が開始されてもよい。例えば、図12に示すように、燃料カットの実行開始時t1から所定時間dt経過後に、上述した酸素センサの不活性状態の判定が開始されてもよい。これにより、燃料カット開始直後に、燃料が噴射されていなくてもリッチ状態を示す信号が出力されたとしても、この信号によって酸素センサ40が不活性状態であると誤って判定されることを防止することができる。燃料カット開始直後に、燃料が噴射されていなくてもリッチ状態を示す信号が出力される理由としては、次のような理由がある。エンジンの排気口から酸素センサまで排気が移動する時間がかかる。従って、燃料カットの開始直前の燃焼がリッチ状態であれば、ECUが認識している燃料カット開始のタイミングから酸素センサに排気が到達するまでの間はリッチ状態を示す信号が出力されることになる。このため、燃料カット開始直後に、燃料が噴射されていなくてもリッチ状態を示す信号が出力されるのである。また、酸素センサ自体の反応遅れがあることも理由の1つである。さらに、吸気口に付着していた燃料が、燃料カット中に燃焼室内に入り込み、燃焼が行われる場合がある。この場合も、燃料カット開始直後に、燃料が噴射されていなくてもリッチ状態を示す信号が出力される。燃料カットの実行開始時から所定時間経過後に、上述した酸素センサの不活性状態の判定が開始されることにより、これらのような現象が発生しても、誤判定を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、本発明の課題は、酸素センサの不活性状態を的確に判定することができると共に、排気の悪化を抑えることができる酸素センサの活性判定システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
40 酸素センサ
66 不活性判定部
65 燃料カット判定部
68 信号処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性状態において内燃機関からの排気中の酸素濃度に応じた信号を出力する酸素センサと、
前記酸素センサからの信号が入力され、前記酸素センサが活性状態であるときには前記酸素センサから入力された信号に応じた信号を出力し、前記酸素センサが活性状態であり且つ酸素センサ雰囲気が大気と同じ状態に維持された場合には所定のリーン出力値に収束する信号を出力し、前記酸素センサが不活性状態に維持された場合には前記リーン出力値と異なる所定の収束値に収束する信号を出力する信号処理回路と、
前記信号処理回路からの出力値が、前記収束値を含む所定の不活性範囲内であるときに前記酸素センサが不活性状態であると判定し、前記信号処理回路からの出力値が、前記不活性範囲と異なる所定の第1活性範囲であるときに、前記酸素センサが活性状態であると判定する不活性判定部と、
前記内燃機関の燃料カットの実行中であるか否かを判定する燃料カット判定部と、
を備え、
前記不活性判定部は、前記燃料カットの実行中に、前記信号処理回路からの出力値が、前記収束値に向かって前記第1活性範囲に含まれる所定の閾値を越えたときに、前記酸素センサが不活性状態であると判定する、
酸素センサの活性判定システム。
【請求項2】
前記第1活性範囲と前記不活性範囲との間の境界値は、前記所定の閾値と前記収束値との間の値である、
請求項1に記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項3】
前記信号処理回路は、プルアップ回路を有し、
前記収束値は、前記プルアップ回路のプルアップ電圧の値である、
請求項1又は2に記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項4】
前記酸素センサは、二値型のセンサである、
請求項1から3のいずれかに記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項5】
前記不活性判定部は、前記燃料カットの実行中ではない場合には、前記信号処理回路の出力値が所定時間以上、前記不活性範囲内であるときに、前記酸素センサが不活性状態であると判定する、
請求項1から4のいずれかに記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項6】
前記酸素センサは、ヒータレス型のセンサである、
請求項1から5のいずれかに記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項7】
前記不活性判定部は、前記燃料カットの実行中における前記酸素センサの不活性状態の判定を前記燃料カットの実行開始時から所定時間経過後に開始する、
請求項1から6のいずれかに記載の酸素センサの活性判定システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の酸素センサの活性判定システムを備える鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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