説明

酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置

【課題】低電流・高電圧型で加熱効率が高く、かつ、温度分布の小さい特性の優れたの酸素ポンプ素子を提供することを目的とする。
【解決手段】酸素イオン伝導性の固体電解質基板15上に複数のコンデンサを構成するような対の電極部16、17、20、21を設け、前記電極部は電気的に直列回路となるように構成され、前記固体電解質基板15の片面あるいは両面において電極部を設けていない領域に絶縁膜18を形成した後、前記絶縁膜18上にヒ−タ用抵抗体19を配設したものである。これによって、加熱効率の高いヒータを実現でき、また、固体電解質基板15の温度分布をも小さくすることができ、省電力に優れた酸素ポンプ素子を実現できる。また、複数の電極部は直列回路で構成されているため、低電流・高電圧型化が可能となり、駆動制御回路が安価に構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中含まれる酸素を、酸素イオン伝導性の固体電解質基板を利用して移動させる酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の酸素ポンプは、酸素イオン伝導性の固体電解質基板の両面に電極膜を設け、電源電圧を印加、酸素ポンプとして動作させていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは、図6に示すように、ジルコニアなどで構成された固体電解質基板2の上面および下面に電極膜3、4が形成され、電極膜3、4はリ−ド線を介して直流電源5に接続されている。このような構成において、外部ヒ−タ(図示せず)などにより、固体電解質基板2を加熱し、約500〜600℃の高温に保持し、酸素ポンプ1としていた。すなわち、酸素を含む空気などが下面の電極膜4に衝突すると、含まれる酸素分子がイオン化され固体電解質基板2内に酸素イオンとして注入される。この注入された酸素イオンは、直流電源5からの供給電圧により上面の電極膜3に向かって移動する。この酸素イオンが、電極膜3において酸素イオンから分子に変換されて空気中に放出される。このようにして、固体電解質基板2の下側の空気から酸素を上側に供給する酸素ポンプとして動作させていた。
【0004】
また、この種の酸素供給装置としては、図7に示すようなものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
これは、図7に示すように、酸素ポンプ素子6は、アルミナなどの多孔質基板7に形成された第1電極膜8と酸素イオン伝導体の薄膜9と第2電極膜10とから構成され、第1電極膜8は白金の微粒子を多孔質基板7に、第2電極膜10は白金の微粒子を酸素イオン伝導体の薄膜9に結合して得られる薄膜を形成した構成としている。加熱手段11は、アルミナ基板などの絶縁性基板12上に導電性ペーストをスクリーン印刷でパターン形成してなるヒータ印刷膜13から構成され、加熱手段11は筐体14に内包されておらず大気に解放された状態で配置されている。
【0006】
この構成において、加熱手段11によって酸素ポンプ素子6を酸素ポンプとして動作する温度に加熱し、第1電極膜8をカソード、第2電極膜10をアノードとして両電極間に直流電圧を印加すると、図中矢印で示すように第1電極膜8に解離吸着された空気中の酸素は酸素イオンとして酸素イオン伝導体の薄膜9中を移動し第2電極膜10に運ばれ、酸素分子となって大気中に放出される。これによって、筐体14に取り付けられた容器内の酸素濃度を減少させることができるというものである。
【特許文献1】特開平8−67997号公報
【特許文献2】特開2003−215094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、いずれも固体電解質基板2や多孔質基板7を大きくし、電極膜の面積が広くなると、駆動電圧が数ボルトに対して、駆動電流が数十アンペアとなる低電圧・高電流型となり、電源回路が非常に複雑で高コストになるとう課題があった。また、外部の加熱ヒ−タなどにより基板を加熱しているため効率が悪い、あるいは温度分布が大きくなるなどの課題を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、低電流・高電圧型の酸素ポンプ素子を提供するとともに、加熱効率が高く、かつ、温度分布の小さい特性の優れた酸素供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の酸素ポンプ素子は、酸素イオン伝導性の固体電解質基板上に複数のコンデンサを構成するような対の電極部を設け、前記電極部は電気的に直列回路となるように構成され、前記固体電解質基板の片面あるいは両面において電極部を設けていない領域に絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜上にヒ−タ用抵抗体を配設したものである。また、この酸素ポンプ素子を用いて酸素供給装置を構成したものである。
【0010】
これによって、加熱効率の高いヒータを実現でき、また、固体電解質基板の温度分布をも小さくすることができ、省電力に優れた酸素ポンプ素子と酸素供給装置を実現できる。また、複数の電極部は直列回路で構成されているため、低電流・高電圧型化が可能となり、駆動制御回路が安価に構成できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置は、加熱効率の高いヒータを実現でき、また、省電力に優れたものとなる。さらに、低電流・高電圧型化が可能となり、駆動制御回路が安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、酸素イオン伝導性の固体電解質基板上に複数のコンデンサを構成するような対の電極部を設け、前記電極部は電気的に直列回路となるように構成され、前記固体電解質基板の片面あるいは両面において電極部を設けていない領域に絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜上にヒ−タ用抵抗体を配設した酸素ポンプ素子とすることにより、加熱効率の高いヒータを実現でき、また、固体電解質基板の温度分布をも小さくすることができ、省電力に優れた酸素ポンプ素子と酸素供給装置を実現できる。また、複数の電極部は直列回路で構成されているため、低電流・高電圧型化が可能となり、駆動制御回路が安価に構成できる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明において、電極部は固体電解質基板に直接接合する第一電極膜と、前記第一電極膜上に形成された第二電極膜とで構成され、第一電極膜は複合金属酸化物成分を主体とする膜とし、第二電極膜は貴金属成分を主体とする膜としたことにより、第二電極膜は導電性の高い材料で構成されるので、ある程度の面積を有する電極部に対して等しい電位を印加することができる。また、第一電極膜は固体電解質基板と第二電極膜の中間層として酸素を解離吸着する電極反応を高めることができるので、酸素分子から酸素イオンへと変化するための良好な触媒作用を得ることができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、固体電解質基板に複数の貫通孔を設け、隣り合う電極部は前記貫通孔を介して反対側に位置する電極部と結線することで直列回路となるように構成したことにより、複数の電極部をスクリーン印刷等の方法によって片面は一度に結線処理することができるので、量産化時の製造プロセスを簡素化することができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、絶縁膜がガラスセラミック膜であり、前記ガラスセラミック膜の主体がSiO2―ZnO―CaO−BaO系あるいはSiO−B−MgO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を2wt%以下含有する結晶化ガラスであることにより、900〜1000℃で焼成することで、ある程度結晶化したガラスセラミック膜状態となり、固体電解質基板との十分な密着性を保持させることができるとともに、抵抗体と固体電解質基板との絶縁性も十分に保つことができるので、ヒータ用抵抗体を繰り返し使用した場合にも十分な耐久性を得ることができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、絶縁膜が粘土膜であり、前記粘土膜は結晶が層状に配向した構造を有することにより、固体電解質基板との十分な密着性を保持させることができるとともに、ヒータ用抵抗体と固体電解質基板との絶縁性も十分に保つことができるので、ヒータ用抵抗体を繰り返し使用した場合にも十分な耐久性を得ることができる。
【0017】
第6の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、絶縁膜がガラスセラミック膜と粘土膜との複合膜であり、固体電解質基板上にガラスセラミック膜を配設し、前記ガラスセラミック膜上に前記粘土膜を配設した構造を有することにより、固体電解質基板との十分な密着性を保持させることができるとともに、ヒータ用抵抗体と固体電解質基板との絶縁性も十分に保つことができるので、ヒータ用抵抗体を繰り返し使用した場合にもさらに十分な耐久性を得ることができる。
【0018】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、絶縁膜上に配設されたヒータ抵抗体がガラスセラミック膜または粘土膜でオーバーコートされていることにより、ヒータ用抵抗体を繰り返し使用した場合にもさらに十分な耐久性を得ることができる。
【0019】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、固体電解質基板を挟んで絶縁膜と向かい合う側および位置に熱伝導膜を配設したことにより、ヒータ用抵抗体で発生した熱は固体電解質基板を介して反対側の熱伝導膜に伝熱され、熱伝導膜によって良好に固体電解質基板の面方向へと熱伝達できるため、固体電解質基板の急激な昇温も可能になるとともに、定常時の消費電力低減も可能となる。
【0020】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、固体電解質基板の外周部は絶縁膜を介して金属箔部材と結合された構成であることにより、固体電解質基板は金属箔部材を介して支持枠に支持される構造となるため、固体電解質基板の外周部が支持枠で急激に冷却されることもなく、固体電解質基板と金属箔部材とで空間部をガスシールして区画することができる。また、固体電解質基板で発生する熱応力に対しても金属箔部材で緩衝することができる。すなわち、固体電解質基板が金属箔部材を介して支持枠に支持されることで、固体電解質基板のクラックに対するリスクを大幅に低減させることができる。
【0021】
第10の発明は、特に、第9の発明において、絶縁膜は金属箔部材の表面に液相析出法で形成されたTiO膜またはZrO膜であることにより、高温時に導電性を有する固体電解質基板に対して、金属箔部材表面に液相析出法で形成されたTiO膜またはZrO膜は非常に薄いので、金属箔部材の柔軟性を損なうことなく、必要な絶縁性を保持させることができる。
【0022】
第11の発明は、特に、第9の発明において、絶縁膜は固体電解質基板の表面の外周部に配設されたガラスセラミック膜であり、前記ガラスセラミック膜の主体がSiO―ZnO―CaO−BaO系またはSiO―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を2wt%以下含有する結晶化ガラスであることにより、固体電解質基板側に絶縁膜を設けることで金属箔部材の柔軟性を損なうことなく、固体電解質基板と金属箔部材との間に必要な絶縁性を保持させることができる。
【0023】
第12の発明は、特に、第9〜第11のいずれか1つの発明において、金属箔部材には導電膜が所定幅配設されていることにより、長時間に亘って高温下に曝された場合にも酸化腐食を防御することができ、固体電解質基板を安定に支持することができた。
【0024】
第13の発明は、特に、第1〜第12のいずれか1つの発明において、固体電解質基板がランタンガレートであることにより、ランタンガレートはランタンとガリウムを主成分としたペロブスカイト型複合金属酸化物であり、400℃以上で酸素イオン伝導性を有する。したがって、酸素ポンプ素子の動作温度を600℃程度の比較的低温に保持することで十分な能力を得ることができるため、長期間、酸素ポンプ素子の劣化が抑制できる。
【0025】
第14の発明は、特に、第2〜第13のいずれか1つの発明において、第一電極膜の複合金属酸化物がペロブスカイト型構造であることにより、固体電解質基板と第二電極膜の中間層として酸素を解離吸着する電極反応を高めることができるので、酸素ポンプ素子としての酸素イオン伝導性を向上させることができる。
【0026】
第15の発明は、特に、第9〜第14のいずれか1つの発明において、金属箔部材がアルミニウムを含有したフェライト系ステンレスであることにより、高温酸化に対して優れた特性を有するようになり、800℃付近で長期使用に対して安定した特性が維持できる。
【0027】
第16の発明は、特に、第1〜第15のいずれか1つの発明における酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段と、前記酸素ポンプ素子のヒータ用抵抗体に電圧を印加して加熱する加熱手段と、前記酸素ポンプ素子の固体電解質基板温度を検知して前記加熱手段を制御する温度制御手段と、前記酸素ポンプ素子の熱拡散を防止する通気性の断熱手段と、前記酸素ポンプ素子を介して発生した酸素を空気と混合して所定酸素濃度の混合ガスにする混合手段とを備えた酸素供給装置とすることにより、固体電解質基板は表面上直接設けられたヒータ用抵抗体によって伝熱加熱されるようになり、酸素ポンプ素子への熱効率が向上し、酸素ポンプ素子の加熱に必要な電力エネルギーを小さく抑えることができ、省エネルギー化を図ることができる。また、酸素ポンプ素子全体を均一に加熱することができるので、酸素ポンプ素子の破損防止効果を向上させることができる。また、酸素ポンプ素子、区画手段、加熱手段が通気機能を有する断熱材に覆われた簡素な構造とすることができるので、酸素ポンプの小型化が可能となり、機器への実装を容易にすることができる。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
図1〜図4は、本発明の実施の形態1における酸素ポンプ素子とそれを用いた酸素供給装置を示すものである。
【0030】
本実施の形態における酸素ポンプ素子は、図1、図2に示すように、酸素イオン伝導性の固体電解質基板15上に複数のコンデンサを構成するような対の電極部を設け、前記電極部は電気的に直列回路となるように構成され、前記固体電解質基板15の片面あるいは両面において電極部を設けていない領域に絶縁膜18を形成した後、前記絶縁膜18上にヒ−タ用抵抗体19を配設したものである。そして、前記電極部は、固体電解質基板15に直接接合する第一電極膜16、17と、第一電極膜16、17上に形成された第二電極膜20、21とで構成され、第一電極膜16、17は複合金属酸化物成分を主体とする膜とし、第二電極膜20、21は貴金属成分を主体とする膜としたものである。
【0031】
前記固体電解質基板15は、置換型のランタンガレート(La0.8Sr0.2Ga0.8Mg0.2)の焼結体を任意の厚さの平板状に成型したものであり、具体的には寸法φ120mm、厚み200μmである。固体電解質基板15の表面には、28個の正電極膜(1)〜(28)として第一電極膜16が同心円状でほぼ対称な位置となるように配設されている。同心円の位置に配置された電極膜はほぼ等間隔に位置し、電極膜に印加された時の電位を考慮しながらそれぞれの電極膜間の距離をレイアウトしている。固体電解質基板15の裏面にも、同様に、28個の負電極膜として第一電極膜17が設けてあり、その位置は固体電解質基板15上に複数のコンデンサを構成するような対となる位置である。個々の第一電極膜16、17は約2cm2を目安に設計されており、固体電解質基板15に対して電極部面積は合計約56cm2となっている。
【0032】
第一電極膜16、17は複合金属酸化物成分を主体とする膜であるが、導電性を有するペロブスカイト型複合酸化物を用いた。具体的には、Sm0.5Sr0.5CoO3を有機溶剤であるセルロース系ビヒクルと混合したペーストを、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、1100℃にて焼成することにより膜厚約10μmの多孔性を有した正負電極膜を形成した。
【0033】
次に、固体電解質基板15上に第一電極膜16、17を配さなかった箇所を利用して絶縁膜18を形成した。絶縁膜18としてはガラスセラミック膜を用いた。ガラスセラミック膜にはSiO―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を20wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を約1.0wt%含有する結晶化ガラスを使用した。ガラスセラミック材料は先ず1300℃にて溶解後、ロール冷却機にてカレット状態に加工され、その後さらにボールミル等にて所定の粒度に粉砕される。粉砕されたガラス粒子を印刷ペーストに加工して供した。結晶化ガラスの結晶化開始温度は約850℃であるため、スクリーン印刷を2回行った後、1000℃で焼成するとある程度結晶化が進み、耐熱衝撃性に強いガラスセラミック膜が膜厚約30μmで形成された。
【0034】
さらに、ガラスセラミック膜上にはヒータ用抵抗体19が形成されているが、これは、AgPd(Ag:Pd=80:20)ペーストにガラスセラミック膜を構成する結晶化ガラス粒子を5wt%添加したものを使用した。スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、900℃にて焼成することにより形成した。
【0035】
次に、28個の第一電極膜16、17の表面上には、第二電極膜20、21としてそれぞれAuの多孔性導電膜を積層した。この場合、Auペーストを使い、スクリーン印刷により印刷膜を形成し、乾燥後、800℃にて焼成することにより膜厚約3μmの導電膜を形成した。この時、複数の第二電極膜20が固体電解質基板15を介して反対側の第二電極膜21と直列回路構造となるためのリード部印刷も同時に行った。リード部印刷は固体電解質基板15に対して膜厚が、第一電極膜+第二電極膜とほぼ同等となるように多数回印刷した。その後、固体電解質基板15に設けた複数の貫通孔22にもAuペーストを充填して回路構成を行った。
【0036】
図2に示すように、貫通孔22は、隣り合う電極部が貫通孔22を介して反対側に位置する電極部と結線することができるようにするもので、これにより電極部が直列回路となるように構成した。すなわち、隣り合う第二電極膜間の固体電解質基板15に貫通孔22が設けられ、正極側導電膜からの取り出されたリード部が隣り合う正極側、負極側導電膜の中間位置まで配設され、Auで被覆された貫通孔22を介して負極側導電膜からのリード部と連結される構成となっている。その結果、28個の電極部が直列回路に構成されている。具体的な電極部の序列を図1の電極部上に(1)〜(28)として記した。したがって、本実施の形態では、固体電解質基板15の外周部から中心部に対して電位勾配が生じることとなる。
【0037】
第二電極膜20、21は、個々の一対をなす正負電極膜間に1〜1.5V程度の電圧を印加した時の電位に対して電極部の面分布ムラを改善できる。電極面積2cm2に対して最大電位ムラを約7%以内とすることができた。さらにヒータ用抵抗体19で発生した熱を良好に固体電解質基板15の面全体へと熱伝導することができる。
【0038】
また、図3に示すように、体電解質基板15の外周部は絶縁膜24を介して環状の金属箔部材23と結合されている。金属箔部材23としては、Fe−20Cr−5Al、10μmを使用した。固体電解質基板15の金属箔部材23と接する部分にはガラスセラミック膜よりなる絶縁膜24が形成されている。絶縁膜24は絶縁膜18と同じ組成のものを使用したが、スクリーン印刷は1回で膜厚は約15μmで形成した。また、金属箔部材23と固体電解質基板15との接合部には、所定幅の導電膜が配設され、金属箔部材23の内周部両面に3mm幅でAuペーストをスクリーン印刷し、固体電解質基板15の接合部分にもAuペーストをスクリーン印刷して、乾燥後に所定の荷重を加えながら800℃焼成することで行った。その結果、金属箔部材23にも導電膜25、26が配設される。
【0039】
第二電極膜20(正極側導電膜)の序列(1)よりリード部材(図示せず)が結線され、第二電極膜21(負極側導電膜)の序列(1)よりリード部材(図示せず)が結線されている。
【0040】
図4は、図1〜図3に示した酸素ポンプ素子を使用した酸素供給装置を示すものである。
【0041】
金属箔部材23の周囲は、電気絶縁性のガス封止剤27で支持体28に固定されている。固体電解質基板15は金属箔部材23を介して支持体28に固定されている。空間区画手段は、固体電解質基板15と金属箔部材23とで構成されている。
【0042】
また、第二電極膜20の正極側導電膜側および第二電極膜21の負極側導電膜側には、リード部材29を介して電圧印加手段30が接続されており、電圧印加手段30には、電圧制御手段31が接続されている。
【0043】
加熱手段32は酸素ポンプ素子のヒータ用抵抗体19に電圧を印加するためリード部材33が結線され、固体電解質基板15の温度を検知する手段34aを有する温度制御手段34が、加熱手段32に信号を送っている。
【0044】
固体電解質基板15の温度を検知する手段34aは、温度センサーあるいは他の方法であってもよい。温度センサーの場合、固体電解質基板15の近傍に配置されるかあるいは、任意の個所に配置してよい。温度制御手段34が検知する固体電解質基板15の温度によって、温度制御手段34が、ヒータ用抵抗体19への入力を、加熱手段32を介して制御する。
【0045】
ヒータ用抵抗体19で発生する熱の損失を抑制するための通気性の断熱部材が断熱手段35および36である。ここでは、シリカとアルミナを主成分とする平板状に成型された断熱材を用いた。酸素供給装置を構成する各要素と全体の形状保持のための容器37は、第二電極膜21側に、通気用の開口部38を設けている。また、容器37の第二電極膜20側には、通気口39を介して、ガスの混合手段40が連結されている。混合手段40は、ガス誘導管41と、被混合ガス導入管42と、ガス混合器43と、ガスポンプ44によって構成されている。
【0046】
以上のように構成された酸素供給装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0047】
まず、酸素供給装置は、室内空気等の大気中に置かれる。この時、窒素や酸素などの大気成分(以下、単に窒素、酸素とする)は、酸素供給装置を構成する通気性の断熱材である断熱手段35および36の内部を通過して第二電極膜20、21側の表面まで拡散した状態で安定している。
【0048】
この状態において温度制御手段34によってヒータ用抵抗体19に通電すると、断熱手段35および36内の固体電解質基板15の温度が上昇する。温度制御手段34は、固体電解質基板15が動作するに必要な温度、約600℃となるよう、ヒータ用抵抗体19を制御しながら通電していく。但し、この温度が限定を受けるものではなく、固体電解質基板15の特性に合わせて、任意の温度の動作も可能である。この場合にはヒータ用抵抗体19に70Wの電力を使用することで、固体電解質基板15を約60秒で600℃にすることができた。また、定常状態では600℃を維持するために必要な電力は43Wであった。
【0049】
固体電解質基板15の酸素イオン伝導可能な温度に達した時点で、第二電極膜20、21を介して固体電解質基板15に28〜30V程度の電圧を印加すると、第二電極膜21側の表面近傍の酸素が、電気化学反応によって負極側導電膜、負極側導電膜から固体電解質基板15の内部を酸素イオンとして、第二電極膜20である正極側導電膜へと移動し、正極側導電膜側の表面から再結合された酸素分子として放出される。
【0050】
この時、固体電解質基板15の各電極部間で約4Aの電流が流れ、固体電解質基板15は自己発熱する。したがって、使用される金属箔部材23も600℃の雰囲気温度に曝されることになる。金属箔部材23は固体電解質基板15と絶縁膜24および導電膜25、26を介して接合されているので、電流が金属箔部材23側へ漏電することはない。固体電解質基板15側に絶縁膜24を設けることで金属箔部材23の柔軟性を損なうことなく、固体電解質基板15と金属箔部材23との間に必要な絶縁性を保持させることができた。
【0051】
また、導電膜25、26を形成することで金属箔部材23の表面酸化に対しても効果的に防御させることができた。このように、金属箔部材23の表面上に導電膜25、26を形成して高温酸化を防止するためには、少なくとも第二電極膜20、21との接合部から外周方向に3mm幅以上が必要であった。また、あまり幅が広すぎても高価な材料の無駄を生じさせることになるので、実用的には金属箔部材23の表面上に形成させる導電膜25、26の幅は3〜5mmが好ましいと考えられる。
【0052】
ここで、第二電極膜20の正極側導電膜の表面近傍は、純酸素に近い状態となるが、ガスリークの完全な防止ができない限り、正極側導電膜の表面から離れるとともに、排出された酸素はリークしたガスと自然に混合される。したがって、空間を区画する手段となる金属箔部材23とガス封止剤27が、第二電極膜21の負極側電極膜側からのガスリークを防ぐ手段として有効に作用する。
【0053】
一方、窒素は第二電極膜21側に残される。残された窒素は、断熱手段35の通気性により、大気中に拡散していくと共に、第二電極膜21側には新たな酸素が外部より供給される。
【0054】
第二電極膜20から放出される酸素ガスは、通気口39を通り、ガスの混合手段40を構成することによってガス誘導管41と、被混合ガス導入管42と、ガス混合器43とによって被混合ガスと混合される。本実施の形態では、被混合ガスは大気である。生成される混合ガスは酸素富化ガスであり、その流量は、ガスポンプ44の吸引と排出速度によって決められる。
【0055】
また、混合ガス中の酸素濃度は、混合ガス流量と、固体電解質基板15を流れる酸素イオン量、すなわちイオン電流の大きさによって決められる。イオン電流は、固体電解質基板15に印加される電圧の大きさによって制御できる。
【0056】
最終的に、本酸素供給装置によって得られる混合ガス中の酸素濃度は、電圧制御手段31による電圧制御とガスポンプ44による混合ガス流量の制御によって実行されることになる。
【0057】
以上のように、本実施の形態では、固体電解質基板15と第二電極膜20、21とを酸素イオン伝導性を発現するように結合させ、固体電解質基板15を介して空間部を区画手段によってガスリークを抑制し、加熱昇温と電圧印加を行うことにより、酸素分子を第二電極膜20から放出させ、酸素富化された混合ガスを生成することとなり、電圧制御手段31による電圧制御とガスポンプ44による混合ガス流量の制御によって、任意の酸素濃度ガスを安定的に得ることができる。具体的には、本実施の形態により、酸素濃度30%、流量3L/minをベースとして酸素濃度90%まで可変可能であった。この時、酸素ポンプ素子の電気回路は28V、4A仕様でよく、並列回路に比べると制御的にも安価とすることができた。
【0058】
本実施の形態との比較例として、同様な大きさの固体電解質基板15に対してリボンヒータによって間接加熱した場合には、立ち上げ時リボンヒータに150Wの電力を使用しても固体電解質基板15を600℃にするために約90秒を要し、それ以上で昇温させると固体電解質基板15にクラックを生じてしまった。また、定常状態で600℃に維持するために必要な電力も95Wであった。
【0059】
なお、固体電解質基板15の片面に絶縁膜18とヒータ用抵抗体19を配設した場合について説明したが、両面であっても構わない。
【0060】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における酸素ポンプ素子を示すものである。基本構成は実施の形態1と重複しているので異なる部分について説明を加える。
【0061】
本実施の形態では、固体電解質基板45に対して第一電極膜46、47となる正電極膜および負電極膜が固体電解質基板45を挟んでコンデンサを構成するような対構造となるように配設されている。第一電極膜46、47の材料組成は実施の形態1と同様である。
【0062】
そして、第一電極膜46側の電極を設けない部分に絶縁膜48として粘土膜を配設した。粘土膜は粘土粒子、2μm以下と有機バインダーでグリーンシート状にした後、プレス法によって強制的に粘土粒子を高配向させたものを使用した。すなわち、粘土膜は結晶が層状に配向した構造を有する。また、所定の形状にプレスしたグリーンシートを切断した後、固体電解質基板45上で熱処理することによって粘土膜と固体電解質基板45とを接合させた。さらに、固体電解質基板45を挟んで粘土膜を配設しない側に導電膜49を負電極膜と接しないようにスクリーン印刷して熱処理を行い配設した。導電膜49の材料としては、Auペーストを使用した。次に、ヒータ用抵抗体50を粘土膜48上に配設した。ヒータ用抵抗体50の組成も実施の形態1と同様である。ヒータ用抵抗体50の上にはヒータ用抵抗体50をオーバーコートするガラスセラミック膜51を配設した。ガラスセラミック膜51は実施の形態1で使用したものと同様なものを使用した。その後、第二電極膜52、53となる正極側導電膜および負極側導電膜を配設した。組成は実施の形態1と同様である。
【0063】
固体電解質基板45と連結する金属箔部材54として両側表面上にZrO膜が処理されているものを使用した。固体電解質基板45と金属箔部材54の接合は、接合部分となる固体電解質基板45と金属箔部材54の両側にAuペーストをスクリーン印刷して乾燥後に所定の荷重を加えながら熱処理することで行った。固体電解質基板45と金属箔部材54との絶縁性は金属箔部材表面上に形成されたZrO膜によって維持されている。ZrO膜は金属箔部材54を処理水溶液中に浸漬することによって酸化被膜を形成させる液相析出法を使用した。得られたZrO膜は厚み0.3〜0.7μmによって十分な絶縁性を維持できるとともに本来の金属箔としての柔軟性も維持していた。
【0064】
本実施の形態の酸素ポンプ素子は、ヒータ用抵抗体50に電圧が印加されて温度上昇した場合、固体電解質基板45は200μmと薄いのでヒータ用抵抗体50で発生した熱は裏側の導電膜49へとすぐに熱伝達され、その後、導電膜49によって素早く固体電解質基板45面方向へと熱伝達させることができた。その結果、立ち上がり特性においてヒータ用抵抗体50に70Wの電力を使用することで、固体電解質基板45を約50秒で600℃にすることができた。また、定常状態で600℃に維持するために必要な電力も85Wであった。
【0065】
さらに、ヒータ用抵抗体50をガラスセラミック膜51でオーバーコートすることによって、ヒータ用抵抗体50の放熱を抑えるとともに、ヒータ用抵抗体50に対する繰り返し耐久性を向上させることができた。
【0066】
本実施の形態では、絶縁膜48がガラスセラミック膜の場合、ガラスセラミック膜としてSiO―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を2wt%以下含有するもの使用したがこれに限定されるものではない。金属箔部材54との充分な絶縁性が維持でき、導電膜55やヒータ用抵抗体50となる材料と製造工程での処理温度に不具合を生じないものであればよい。その他SiO−B−MgO−BaO系も適用可能であった。アルカリ金属の酸化物含有率を抑えることでガラスの特性は高温化し、アルカリ土類金属酸化物の含有率を15〜25wt%とすることで結晶化開始温度は750〜800℃とすることができた。
【0067】
本実施の形態で使用した粘土膜とガラスセラミック膜を複合化することも可能である。その場合には固体電解質基板45上にガラスセラミック膜を印刷し、その上に所定の形状にした粘土膜を載置して同時に熱処理すればよい。
【0068】
また、本実施の形態では、固体電解質基板45としてランタンガレートを使用したがこれに限定させるものではなく、イットリウムドープ型のジルコニア(YSZ)、サマリウムト゛ープ型のセリア(SDC)などであっても良い。但し、現状ではランタンガレート系の材料が酸素イオン伝導体として動作温度が低いので材料の耐久性を鑑みた場合、もっとも好ましい材料といえる。
【0069】
また、本実施の形態では、第一電極膜46、47の複合金属酸化物としてSm0.5Sr0.5CoO3を使用したがこれに限定されるものではない。しかし、ペロブスカイト型構造を有する複合金属酸化物は酸素分子との電極反応性が高く、かつそれ自体が導電性を有するので優れた酸素イオン伝導性を実現することができる。特に、ペロブスカイト型複合酸化物の中でもAサイトにランタン、サマリウムの少なくとも1種と、Bサイトにコバルト、鉄、マンガンの少なくとも1種で構成されるもの、また、Aサイトの一部をストロンチウムで置換したものが優れた導電性と高い酸素分子の電極反応性を有していた。
【0070】
また、本実施の形態では、第二電極膜52、53の貴金属成分としてAuを使用したがこれに限定されるものではない。他にもAg単独あるいはAg−Pd系合金が使用可能である。
【0071】
また、本実施の形態では、金属箔部材54としてFe−20Cr−5Alの材料を使用したがこれに限定させるものではなく、高温酸化に対して耐久性を有する材料であれば他の金属箔材料を使用することができる。しかし、現状ではアルミニウムを含有したフェライト系ステンレスが高温酸化に対して優れた特性を有していた。さらに、耐高温酸化性を向上させる目的で希土類金属を添加することも可能である。また、厚み10μmを使用したが金属箔部材54としては5〜15μmが好ましいと考えられる。すなわち、固体電解質基板45で発生した熱を外周部方向へと伝熱拡散させないためには厚みが薄いほど好ましい。しかし、5μm以下になると製造時でのハンドリングが悪くなるためである。
【0072】
また、本実施の形態では、金属箔部材54にZrO膜を液相析出法で形成したものを使用したがこれに限定されるものではない。その他にTiO膜、Al膜が使用できる。これらは処理水溶液中に浸漬することによって薄い酸化被膜を形成させることができ、酸素ポンプを動作させる高温雰囲気下でも十分な絶縁性を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる酸素ポンプ素子およびそれを用いた酸素供給装置は、長期間に渡って安定した良好な電気電流特性が得られるため、酸素を利用する空気清浄機や空調機器あるいは健康促進機器、健康増進機器など広範な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態1における酸素ポンプ素子の平面図
【図2】図1のA−A’線に沿った断面図
【図3】同B−B’線に沿った断面図
【図4】同酸素ポンプ素子を用いた酸素供給装置の断面図
【図5】本発明の実施の形態2における酸素ポンプ素子の断面図
【図6】従来の酸素ポンプ素子を示す構成図
【図7】従来の酸素供給装置の断面図
【符号の説明】
【0075】
15、45 固体電解質基板
16、46 第一電極膜(正電極膜)
17、47 第一電極膜(負電極膜)
18、24、48 絶縁膜
19、50 ヒータ用抵抗体
20、52 第二電極膜(正極側導電膜)
21、53 第二電極膜(負極側導電膜)
22 貫通孔
23、54 金属箔部材
25、26、55 導電膜
30 電圧印加手段
31 電圧制御手段
32 加熱手段
34 温度制御手段
35、36 断熱手段
40 混合手段
48 粘土膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素イオン伝導性の固体電解質基板上に複数のコンデンサを構成するような対の電極部を設け、前記電極部は電気的に直列回路となるように構成され、前記固体電解質基板の片面あるいは両面において電極部を設けていない領域に絶縁膜を形成した後、前記絶縁膜上にヒ−タ用抵抗体を配設した酸素ポンプ素子。
【請求項2】
電極部は固体電解質基板に直接接合する第一電極膜と、前記第一電極膜上に形成された第二電極膜とで構成され、第一電極膜は複合金属酸化物成分を主体とする膜とし、第二電極膜は貴金属成分を主体とする膜とした請求項1に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項3】
固体電解質基板に複数の貫通孔を設け、隣り合う電極部は前記貫通孔を介して反対側に位置する電極部と結線することで直列回路となるように構成した請求項1または2に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項4】
絶縁膜がガラスセラミック膜であり、前記ガラスセラミック膜の主体がSiO2―ZnO―CaO−BaO系あるいはSiO−B−MgO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を2wt%以下含有する結晶化ガラスである請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項5】
絶縁膜が粘土膜であり、前記粘土膜は結晶が層状に配向した構造を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項6】
絶縁膜がガラスセラミック膜と粘土膜との複合膜であり、固体電解質基板上にガラスセラミック膜を配設し、前記ガラスセラミック膜上に前記粘土膜を配設した構造を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項7】
絶縁膜上に配設されたヒータ抵抗体がガラスセラミック膜または粘土膜でオーバーコートされている請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項8】
固体電解質基板を挟んで絶縁膜と向かい合う側および位置に熱伝導膜を配設した請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項9】
固体電解質基板の外周部は絶縁膜を介して金属箔部材と結合された構成である請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項10】
絶縁膜は金属箔部材の表面に液相析出法で形成されたTiO膜またはZrO膜である請求項9に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項11】
絶縁膜は固体電解質基板の表面の外周部に配設されたガラスセラミック膜であり、前記ガラスセラミック膜の主体がSiO―ZnO―CaO−BaO系またはSiO―ZnO―CaO−BaO系でアルカリ土類金属の酸化物を15〜25wt%含有し、アルカリ金属の酸化物を2wt%以下含有する結晶化ガラスである請求項9に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項12】
金属箔部材には導電膜が所定幅配設されている請求項9〜11のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項13】
固体電解質基板がランタンガレートである請求項1〜12のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項14】
第一電極膜の複合金属酸化物がペロブスカイト型構造である請求項2〜13のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項15】
金属箔部材がアルミニウムを含有したフェライト系ステンレスである請求項9〜14のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の酸素ポンプ素子と、前記酸素ポンプ素子に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段と、前記酸素ポンプ素子のヒータ用抵抗体に電圧を印加して加熱する加熱手段と、前記酸素ポンプ素子の固体電解質温度を検知して前記加熱手段を制御する温度制御手段と、前記酸素ポンプ素子の熱拡散を防止する通気性の断熱手段と、前記酸素ポンプ素子を介して発生した酸素を空気と混合して所定酸素濃度の混合ガスにする混合手段とを備えた酸素供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−255158(P2006−255158A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76782(P2005−76782)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】