説明

酸素含有型還元性生理食塩水又は酸素含有型還元性輸液及びその製造方法

【課題】 酸素を多く含みながら、水素を多く含有し酸化還元電位が低く、還元性が非常に強い生理食塩水及び輸液を得る。
【解決手段】 周知の気液接触装置を用い生理食塩水及び輸液に1気圧〜1000気圧の加圧下において酸素を溶解させ、その後その酸素含有生理食塩水を1気圧〜1000気圧の加圧下において水素を溶解させることにより酸素を多く含有しながら、水素を多く含有し非常に低い酸化還元電位を有する生理食塩水及び輸液が得られた。この生理食塩水及び輸液は何らの健康問題を引き起こすことなく、還元性の生理食塩水及び輸液として通常的に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元性を持った生理食塩水及び輸液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からの還元性の生理食塩水及び輸液は水素を加圧して溶解せしめるという一方向からのみの考え方であった。そのため従来からの還元性の生理食塩水及び輸液には身体が必要とする酸素がほとんど含まれていない。ちなみに従来からの水素を加圧下において溶解させた還元性生理食塩水の酸素含有量は0.00mg/リットル(東亜DKK製含有酸素濃度計で計測)であった。つまり酸素が含まれていないということであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願の発明者は、身体が必要としている酸素を多く含有しながら、かつ多くの水素を含有し酸化還元性の非常に低い生理食塩水及び輸液を作り出す事を目的とし、種々の検討を重ねこれに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、酸素を0.1mg/リットル以上含有し、かつ水素濃度が0.1ppm以上の生理食塩水又は輸液であることを特徴とする。
【0005】
また、本願の請求項2に係る発明は、pHが3〜11であり、酸素を0.1mg/リットル以上含有し、かつ水素濃度が0.1ppm以上の生理食塩水又は輸液であることを特徴とする。
【0006】
本願の請求項3に係る発明は、生理食塩水又は輸液に酸素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、加圧下において、または常圧に戻して得られた生理食塩水又は輸液に水素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法であることを特徴とする。
【0007】
また、本願の請求項4に係る発明は、生理食塩水又は輸液に水素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、加圧下において、または常圧に戻して得られた生理食塩水及び輸液に酸素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法であることを特徴とする。
【0008】
また、本願の請求項5に係る発明は、生理食塩水及び輸液に酸素と水素を同時に1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
従来の還元性生理食塩水は酸素の含有量が非常に希薄であり、身体が必要とする酸素量を提供することが不可能であったが、本発明による酸素含有型還元性生理食塩水は身体に必要なる酸素を持ちながら、細胞膜を透過することが可能な水素を多く含有し非常に低い酸化還元力を持つという一見相反する性質を持った生理食塩水又は輸液が提供できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の具体例を実施例を用いて詳細に説明する。
【実施例】
【0011】
本発明は単純に水素を加圧して溶解せしめ、生理食塩水や輸液の酸化還元性を低めるという手法を採用していない。もちろん水素ガスを単純に生理食塩水や輸液の中にバブルしたとき、酸素ガスはほとんど溶存できない。つまり人間に必要な酸素が失われるので、酸素を多く含有しながら水素を多く含有し酸化還元性の低い生理食塩水及び輸液が必要となる。
酸素と水素は常温下では反応しないため、身体の中においては当然反応しない、このことを考慮すると酸素と水素を共に多く含んだ生理食塩水及び輸液を作り出すことが可能となる。
【0012】
本発明の実施例においては、周知の気液接触装置を用い、市販の大塚製薬製造の生理食塩水1リットルに200mリットル/分の割合で8気圧の加圧下で酸素を溶解させ、その後、その酸素含有生理食塩水1リットルに200mリットル/分の割合で8気圧の加圧下で水素を溶解させた。
【0013】
実施例として、3.56mg/リットルの酸素含有量を持ちながら、水素濃度が1.35ppmであり−662mvの酸化還元電位を持つ理想的な還元性生理食塩水ができた。これを表1に示す。なお、酸化還元電位及び酸素量及び水素濃度の測定に関しては、共に東亜DKK製ORP計測器及び酸素量計測器及び水素濃度測定器を用いた。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素を0.1mg/リットル以上含有し、かつ水素濃度が0.1ppm以上の生理食塩水又は輸液。
【請求項2】
pHが3〜11であり、酸素を0.1mg/リットル以上含有し、かつ水素濃度が0.1ppm以上の生理食塩水又は輸液。
【請求項3】
生理食塩水又は輸液に酸素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、加圧下において、または常圧に戻して得られた生理食塩水又は輸液に水素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法。
【請求項4】
生理食塩水又は輸液に水素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、加圧下において、または常圧に戻して得られた生理食塩水及び輸液に酸素を1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法。
【請求項5】
生理食塩水及び輸液に酸素と水素を同時に1気圧〜1000気圧で加圧して溶解せしめ、常圧に戻して生理食塩水又は輸液を得る工程を含む生理食塩水又は輸液の製造方法。

【公開番号】特開2006−273730(P2006−273730A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92553(P2005−92553)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(599107935)
【Fターム(参考)】