説明

酸素吸入装置及び方法

【課題】酸素を吸入して陶酔感の向上をもたらす装置と方法を提供する。
【解決手段】酸素濃縮器(2)等からの酸素濃縮エヤーを容器(6)内のアルコール飲料を通して供給し、アルコール蒸気と香りが酸素濃縮エヤーに入るようにする。この酸素とアルコール蒸気を含むエヤーを導管(7)で送って利用者が吸入できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素を吸入する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、純粋酸素ないし酸素濃縮エヤーを吸入すると、数々の利点があることが分かっており、酸素濃縮エヤーは記憶や反応時間、行動や疲労回復を向上できることが知られている。一般にも、例えば病院での治療や運動用に酸素濃縮エヤーを利用できる装置が入手可能になっている。
【0003】
酸素濃縮エヤー源としては、圧縮酸素ガスを充填したボンベや、大気を取り込んで例えば気体を分子ふるいで分別吸着することで酸素と窒素に分離するエヤ発生器又は酸素濃縮器がある。その結果、酸素が95体積%の酸素濃縮エヤーを供給できる。
【0004】
酸素濃縮エヤーは香りやアロマと混合してアロマセラピィなどの治癒にも使われてきた。例えば下記特許文献1はペパーミントの香りを投与することで運動能力を強化する方法を開示している。下記特許文献2は、酸素とハーブエキスを含有できる噴霧式服用装置を開示している。
【0005】
【特許文献1】US2002/0189608号
【特許文献2】DE20114663
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者は、酸素濃縮エヤーとアルコール飲料のアルコール蒸気の混合物を吸入すると、幸福な陶酔感やリラックス感がもたらされることを見出した。
【0007】
特許文献2の開示では、植物性エキスを可溶性にするため、少量のアルコールを使用する場合があるが、必要量は非常に小さい。本発明の発明者は、アルコール飲料、特に蒸留酒をアルコール源として使用すると、利用者には馴染みの適当な香りを伴って特に強力な効果が得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、酸素濃縮エヤー源と、アルコール飲料を含む容器と、酸素濃縮エヤーとアルコール飲料を接触させてアルコール蒸気が酸素濃縮エヤーに混入するようにする手段と、酸素濃縮エヤーとアルコール蒸気を吸入可能にする手段、とからなる酸素吸入装置を提供する。
【0009】
本発明は更に、酸素濃縮エヤー源を設け、アルコール飲料源を設け、酸素濃縮エヤーとアルコール飲料を接触させてアルコール蒸気が酸素濃縮エヤーに混入するようにし、酸素濃縮エヤーとアルコール蒸気を吸入可能するため送ることからなる酸素吸入方法を提供する。
【0010】
酸素濃縮エヤー源は、適切なものであればどのようなものも使用できる。酸素源を単独で使用したり、供給されたエヤーに酸素濃縮ガスを供給することで、供給エヤーの酸素含有量を上げることもできる。例えば、ガスボンベに含まれる圧縮酸素を使用できる。エヤー生成器や酸素生成器も使用できる。しかしながら大気から酸素を分離して酸素濃縮エヤーを供給する周知のタイプの酸素濃縮器を使用することが好ましい。それらの源を組み合わせて使用することもできる。それらの源をエヤー供給と組み合わせてエヤー供給の酸素含有量を上げることもできる。
【0011】
酸素濃縮エヤーは21体積%以上の酸素を含む。酸素レベルが高ければより大きな効果が得られることが分かった。好ましくは、酸素濃縮エヤーは40体積%の酸素を含み、より好適には60体積%以上の酸素、最も好適には90体積%以上の酸素を含有する。酸素濃縮エヤーは、毎分3リットルの速度で適切に供給され、より好ましくは毎分5リットル以上、最も好適には毎分6リットルの速度で供給される。
【0012】
酸素濃縮エヤーには、窒素や二酸化炭素、水蒸気やアルコール飲料からの香り要素など、他の気体を含めることができる。
【0013】
アルコール飲料を含む容器と、酸素濃縮エヤーをアルコール飲料と接触させる手段は、同一装置部分とすることができる。例えば、酸素濃縮エヤーをアルコール飲料と接触させる手段には、医療用に用いるタイプの従来の噴霧器、あるいはエヤーを液状のアルコール飲料に通して泡にするバブルジャーがある。スプレーや表面をアルコール飲料で湿した容器など、その他のいずれの酸素濃縮エヤーをアルコールと接触させるシステムをも使用できる。
【0014】
アルコール蒸気の酸素濃縮エヤーへの移行を強化するためヒーターを使用することもできる。
【0015】
酸素濃縮エヤーを吸入可能にする手段は、例えばマウスピースなど、適切な手段で構成できる。
【0016】
プラスチックあるいは板紙製の管の代替可能なマウスピースを使用すれば、異なる利用者がひとつの酸素濃縮エヤー源を使用できる。あるいは顔面マスクを備えれば、アルコール蒸気を含む酸素濃縮エヤーを利用者の口と鼻に供給することもできる。また鼻用ホースを備えれば、アルコール濃縮エヤーと酸素を利用者の鼻孔に供給できる。
【0017】
本発明の装置の方法により送る酸素濃縮エヤーは、更に、水ないしアルコールの液滴を含むことがある。これは噴霧器を使用したときに特に生じやすい。
【0018】
それらの装置は全て医療用でよく知られている。
【0019】
装置を制御するため、酸素濃縮エヤーの供給速度を制御する手段を設けることができる。例えば標準バルブを設けることができる。
【0020】
また、ロータメータや浮動玉流速計などの、流れを測定する手段を設けることもできる。
【発明の効果】
【0021】
アルコール蒸気を供給するのにアルコール飲料を使用することには、多くの利点がある。
【0022】
まず最初に、全ての市販されているアルコール飲料は、本来的に人間の消費に適している。それらは容認性の試験が済むまでは市販されない。
【0023】
アルコール飲料には、利用者が楽しみ知覚するなじみの香りがある。
【0024】
アルコール飲料は幅広く入手できるので、本装置を非常に簡単に使用できる。
【0025】
適切なアルコール飲料はどのようなものでも使用できる。しかし、アルコール含有度が比較的高いアルコール飲料、例えば20体積%以上のアルコール飲料を使用することが好ましく、より好適には25体積%、あるいは最も好適には30体積%のアルコール飲料を使用する。
【0026】
例えば、蒸留酒、カクテル、酒精強化ワインその他を使用できる。
【0027】
特に、例えばフルーツの香りその他の、追加の香り成分を持つアルコール飲料を使用することが好ましい。香りは、酸素濃縮エヤーに効果的に移行することが分かっている。
【0028】
また驚くべきことに、酸素とアルコール蒸気を共に吸入する相乗効果により、アルコール飲料を飲むことと比べて、比較的少ない分量でアルコールの効果があることが分かった。
【0029】
例えば、蒸留酒の通常の1回の分量は25ミリリットルの単位であるが、本発明の装置及び方法では容器にわずか5−10ミリリットルのアルコール飲料が含まれているだけでも、より大きな効果が得られることが分かった。
【0030】
酸素濃縮エヤーのアルコール含有量は、0.01グラム/リットルから0.1グラム/リットルの範囲とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明を更に、添付の図面を参照して例示により以下に説明する。
【0032】
図1に示す酸素吸入装置1は、酸素濃縮器2を備える。これは市販されている装置部品である。このような装置は、一般に小さな旅行用カバンほどの大きさであり、図では車輪がついている。
【0033】
大気はダクト3を通して取り入れる。適切な図示しないリード線により電力が供給される酸素濃縮器2の内部では、酸素と窒素を分離するのに使用する分子ふるいにより酸素と窒素の分別吸着が行われる。窒素は、よろい窓4から排出する。約95体積%の酸素からなる酸素濃縮エヤーは、ホース5を通して送る。ホース5は、アルコール飲料6用の容器に接続し、そこで酸素濃縮エヤーをアルコール飲料と接触させ、アルコール蒸気(及びアルコール飲料の香り)が酸素濃縮エヤーに混入するようにする。そして、管7を介してマウスピース、酸素マスクあるいは吸引器により利用者に送られる。
【0034】
図2は噴霧器の拡大概略図である。そのような噴霧器は、現在、医療技術で入手可能で、ここでは単に例示的なものとして示す。
【0035】
酸素濃縮エヤーは、ホース5からチューブ9に送られ、そこから環状ディスク10下を通りアルコール飲料11を通過する。このようにして、酸素濃縮エヤーは、アルコール蒸気と、更に加えて噴霧器の上部12で集められチューブ13を通してもたらされるアルコール飲料の一部の滴を取り込む。衛生上の理由から代替可能なマウスピース(図示せず)を設けることもできる。
【0036】
噴霧器8は、一般にネジ止め又は押嵌めにより固定できる2つの部分からなる。上部を取り除くと、所定分量のアルコール飲料を噴霧器8の下部に入れることができる。
【0037】
酸素が少なくとも50体積%、好適には90体積%の酸素濃縮エヤーを毎分3リットル、好適には毎分5リットル以上の流速で使用した場合、アルコール飲料の上記所定分量は5−10ミリリットルしか必要でないことが実際に分かった。
【0038】
図3は、アルコール飲料を酸素濃縮エヤーに接触させるバブルジャーを示す。酸素濃縮エヤーは、チューブ16を通して送られてアルコール飲料17を通過する中で泡となり、次のホースへの接続部18で集められる。バブルジャーは上半部と下半部とからなり、接続部19でネジ止めないし押嵌めにより固定する。バブルジャーにはアルコール飲料を入れることができる。
【0039】
ロータメータなどの流速計や浮動玉流速計をホース5や導管7、あるいは噴霧器8やバブルジャー15に挿入して、送られている酸素濃縮エヤーの量を測ることができる。
【0040】
以上、本発明を純粋に例示により説明したが、それに対し変更を行うことができよう。しかし、それらも説明した特徴の同等物を含む本発明の趣旨に含まれるものとする。本発明は更に、ここに説明したあるいは含まれる個々の特徴、あるいは図面に示したあるいは含まれる特徴、あるいはそのような特徴の組み合わせ、そのような特徴あるいは組み合わせの一般化からなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の酸素吸入装置の模式図である。
【図2】本発明で使用する噴霧器の拡大模式図である。
【図3】本発明で使用するバブルジャーの異なる寸法の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮エヤー源と、
アルコール飲料を含む容器と、
酸素濃縮エヤーとアルコール飲料を接触させてアルコール蒸気が酸素濃縮エヤーに入るようにする手段と、
酸素濃縮エヤーとアルコール蒸気を吸入可能にする手段、とからなる酸素吸入装置。
【請求項2】
酸素濃縮エヤーの流速は、毎分3リットル以上で、好適には毎分5リットル以上、最も好適には毎分少なくとも6リットルである、請求項1記載の酸素吸入装置。
【請求項3】
酸素濃縮エヤー源は少なくとも50体積%の酸素、好適には少なくとも90体積%の酸素を含むエヤーを提供する、請求項1又は2記載の酸素吸入装置。
【請求項4】
アルコール飲料は、少なくとも20体積%のアルコールを含み、好適には少なくとも30体積%のアルコールを含む、請求項1ないし3のいずれか記載の酸素吸入装置。
【請求項5】
アルコール飲料に香りをつけた、請求項1ないし4のいずれか記載の酸素吸入装置。
【請求項6】
酸素濃縮エヤー源を設け、
アルコール蒸気が酸素濃縮エヤーに入るように酸素濃縮エヤーとアルコール飲料を接触させ、
前記酸素濃縮エヤーを吸入可能にするように前記酸素濃縮エヤーとアルコール蒸気を送ってなる、酸素を吸入する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−521856(P2006−521856A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506080(P2006−506080)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001440
【国際公開番号】WO2004/087245
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(505371151)
【Fターム(参考)】