説明

酸素検知体

【課題】食品等の保存において、特に二酸化炭素を含む雰囲気中の酸化還元性色素の変色反応を実用可能な程度に長時間制御できる酸素検知体を提供することを目的とする。
【解決手段】雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したことを特徴とする酸素検知体等を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
雰囲気中の酸素を検知する酸素検知体であって、特に二酸化炭素雰囲気中で利用できる酸素検知体に関する。
【背景技術】
【0002】
空気中の酸素は、食品の保存に際し、その食品に含まれる油脂、ビタミン、色素、香気成分等を酸化させ、味覚、栄養価、色調、香り等の食品の質を低下させる。このため、食品を入れた容器内の酸素を抜いて保存する脱酸素保存法や、食品を入れた容器内の空気を二酸化炭素等で置換して食品を不活性ガス中に保持し、酸素による食品の変化を阻止するガス充填包装保存法が利用されている。このような脱酸素保存法やガス充填包装保存法は、食品を保存する雰囲気から酸素を除くことで新鮮さを保持するとともに、カビや害虫に対する抑止効果を得ており、食品流通において、より鮮度が高く、味を低下させない保存方法として有効である。ここで、無酸素状態の雰囲気中に保存されている食品は、品質管理のために、保存されている雰囲気中の酸素の存在を検知するための酸素検知剤を包装内部に同封している場合がある。酸素検知剤は、酸化還元性色素が雰囲気中の酸素によって酸化されて色調が変化する仕組みを利用して酸素を検知するものである。
【0003】
例えば、特3392270号公報には、包装食品の包装等に同封する酸素検知剤に関し、特に、エタノール含有食品や、エタノール蒸気発生型脱酸素剤に対応した酸素検知剤に関する技術が開示されている。
【0004】
また、特開平5−312799号公報には、酸素検知下限濃度、耐水性、変色性、安全性等を改善した酸素検知剤組成物が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特3392270号公報
【特許文献2】特開平5−312799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品等の流通において、二酸化炭素を用いたガス充填包装法(以下、二酸化炭素充填包装法)や食品等の影響により容器内に二酸化炭素が発生する場合において、品質管理の為に、特許文献1等に開示されている従来の酸素検知剤を同封して使用すると、酸素検知剤が二酸化炭素の影響を受けて、無酸素状態あるいは食品保存に影響を与えず本来は酸素検知剤が反応しない程度に少ない酸素の雰囲気中でも、時間の経過に伴い変色してしまうので、実際の流通過程での長時間の使用に耐えられる酸素検知剤が望まれていた。そこで本件発明は、脱酸素状態下での食品保存において、酸化還元性色素の変色反応を実用可能な程度に長時間制御できる酸素検知体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本件発明者等は鋭意研究の結果、前記課題を解決するため、以下のような手段を採用した。
【0008】
本件発明に係る酸素検知体は、雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、
前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したことを特徴とする酸素検知体である。
【0009】
更に、本件発明に係る酸素検知体は、前記被包部材の少なくとも一部は、前記酸素検知材の変色を外部から視認可能な透明状態であることが好ましい。
【0010】
そして、本件発明に係る酸素検知体は、前記フィルムは厚さが8μm以上36μm以下の延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
【0011】
また、本件発明に係る酸素検知体では、前記酸素検知材は、液体を含浸可能な吸収体に、酸化還元性色素と還元性物質と塩基性物質とを含む液体状の酸素検知溶液を含浸させたものであり、前記酸化還元性色素が、メチレンブルーであることが好ましい。
【0012】
そして、本件発明に係る酸素検知体では、前記酸素検知材は、食紅、サフラニンT、フェノサフラニンのうちのいずれか1種または2種以上を含ませたものであることが好ましい。
【0013】
また、本件発明に係る酸素検知体は、前記酸素検知溶液に含まれる還元性物質は、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−エリスロール、D−アラビノースのうちのいずれか1種または2種以上であることが好ましい。
【0014】
そして、本件発明に係る酸素検知体では、前記酸素検知溶液に含まれる塩基性物質は、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物のいずれか1種または2種であることが好ましい。
【0015】
また、本件発明に係る酸素検知体では、前記吸収体は、有機高分子からなるものであることが好ましい。前記有機高分子は、より好ましくは、イオン交換樹脂又はセルロース材料から選択されるものであり、前記セルロース材料は、サラシクラフト紙であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本件発明に係る酸素検知体は、雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したので、当該フィルムによって、前記酸素検知材に触れる気体を選択的に透過させることができ、二酸化炭素の影響による酸素検知材の変色を抑制することができる。これにより、酸化還元性色素の変色反応を実用可能な程度に長時間制御できる酸素検知体が提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る酸素検知体の最良の実施の形態に関して説明する。
【0018】
本件発明に係る酸素検知体は、雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したものである。より好ましくは、前記フィルムは厚さが8μm以上36μm以下の延伸ポリエチレンテレフタレートを用いる。これにより被包部材に貫通する微孔を設ける事無く当該フィルムによってガス透過度を調整でき、検知対象である酸素の透過を許しながらも二酸化炭素の影響を最小限に抑えて酸素を検知することとなり、簡易な構成で二酸化炭素による酸素検知溶液(メチレンブルー)の変色を抑えることが出来る。更に、被包部材に貫通孔が無いので、酸素検知溶液の成分が漏洩することを防ぎ、安心して利用できる。ここで、前記フィルムの厚さを8μmより薄い透過性の高い酸素透過性シートにすると、二酸化炭素透過量が多くなるので、酸素検知溶液が二酸化炭素の影響を受けて変色しやすくなり、実質的に酸素ガス成分が無い状態でも、酸素検知時の様に色調の変化が起こってしまう。一方、36μmより厚いフィルムにすると、バリア性が高くなり酸素が透過し難くなるので酸素検知機能の妨げとなる。
【0019】
なお、被包部材の少なくとも一部を、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下の透過性を有するフィルムにする場合、当該フィルムの材料は、延伸ポリエチレンテレフタレートが好適に用いられる。また、延伸ポリエチレンテレフタレートの他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどを含む複数の材料を用いて、共押出し又はラミネートによって得られる多層フィルムでも良い。
【0020】
そして、酸素検知材は、液体を含浸可能な吸収体に、液体状の酸素検知溶液を含浸させたものである。酸素検知材の形態は特に限定されないが、体積に比して充分な表面積を持つ形態が好ましく、具体的には、シート、メッシュ、紙、フィルム、塗膜等の形態が考えられる。吸収体の材料は、酸素検知材としての吸収性、安定性等を考慮すると、有機高分子からなるものであることが好ましく、有機高分子の中では特にイオン交換樹脂又はセルロース材料が好ましく、更にセルロース材料の中ではサラシクラフト紙であることが好ましい。なお、イオン交換樹脂は、イオン交換できる酸性基または塩基性基をもつ不溶性で多孔質の合成樹脂である。そして、サラシクラフト紙からなる吸収体であれば、酸素検知溶液を好ましい状態で保持可能であるとともに、漂白してある紙なので、酸化還元性色素の着色が鮮明になる。
【0021】
更に、二酸化炭素雰囲気中で長時間使用するためには、吸収体の厚みは200μm以上が好ましく、より好ましくは200μm〜500μmである。吸収体の厚みを200μm以下にすると酸素検知溶液の含浸量が減り、効果的な酸素検知性能を発揮できない。一方、吸収体の厚みを500μmにすると、フィルム包装するときの包装の確実性を損なう場合がある。
【0022】
酸素検知溶液は、酸化還元性色素と還元性物質と塩基性物質とを含む液体であり、酸化還元性色素はメチレンブルーであり、還元性物質はD−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−エリスロール、D−アラビノースのうちのいずれか1種または2種以上であることが好ましく、塩基性物質はアルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物のいずれか1種または2種であることが好ましい。メチレンブルーは、水溶液中で還元剤を作用させると無色のロイコメチレンブルーとなるが、酸素などの酸化剤によって酸化され復色する。還元性物質は、色素を還元状態に保持するために用い、常温では色素の還元性が低く、かつ、空気内の酸素によって酸化されにくい弱還元剤が好ましく、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−エリスロール、D−アラビノースは、還元性糖類であり、食品と同封する酸素検知体の構成成分としても好適である。そして、塩基性物質は、酸素検知材を還元状態に保つために用いられ、メチレンブルーを還元状態、即ち、無色状態に維持するためのものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0023】
また、酸素検知材は食紅、サフラニンT、フェノサフラニンのうちのいずれか1種または2種以上を含むものである。当該食紅、サフラニンT、フェノサフラニンは赤色の色素であり、酸素の状態に拘わらず色が変わらない。これらの赤色色素とメチレンブルーとを含んでいる酸素検知材は、無酸素状態の場合はメチレンブルーが無色となって食紅の赤色が現れる一方、有酸素状態時はメチレンブルーが青く発色し、また、変色の過渡期についても、単に青色が薄くなっていく場合に比べて色調の変化が視認しやすい。
【0024】
以下、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【実施例1】
【0025】
図1は、実施例1における酸素検知体の構成を示す断面図である。図1に示すように、実施例1における酸素検知体1は、シート状の酸素検知材2と、該酸素検知材2の上下面を覆う外側フィルム材3及び内側フィルム材4により構成される被包部材とからなり、外側フィルム材3と内側フィルム材4とのそれぞれの縁端部分を接着させて、酸素検知材2が封入された状態に収められている。
【0026】
外側フィルム材3は75μmPET(延伸ポリエチレンテレフタレート)で形成されており、内側フィルム材4は、酸素透過率が150cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が900cc/(m・atm・24hr)、かつ水蒸気透過率が25g/(m・24hr)である12μmPETで形成されている。被包部材(外側フィルム材3、内側フィルム材4)は、外側フィルム材3には、接着機能を有するシール材6を取り付けており、包装容器7の内側に貼付可能となっている。図1では、包装容器7の内側に貼り付けた状態を図示している。更に、外側フィルム材3には、該酸素検知材2の変色が視認可能な視認部5が形成されている。
【0027】
なお、実施例1では、外側フィルム材3に視認部5を設けたが、外側フィルム材3もしくは被包部全体が透明状態であれば、視認部5を設ける必要はなく、要は、外部から酸素検知材2の変色が視認出来る構成であればよい。また、本実施例1では、被包部材(外側フィルム材3、内側フィルム材4)は内側フィルム材4が酸素透過率が150cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が900cc/(m・atm・24hr)、かつ水蒸気透過率が25g/(m・24hr)である12μmPETで形成されているフィルムである例を示したが、他の機能を付加した多層フィルムであってもよく、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下の機能を備えるフィルムで構成されるものであればよい。
【0028】
酸素検知材2は、サラシクラフト紙からなる吸収体に、還元性物質であるD−グルコースと、塩基性物質である水酸化ナトリウムと、酸化還元色素であるメチレンブルーと、食紅とを含む液体の酸素検知溶液を含浸させたものである。ここで、食紅は比較的安全性が高く、一般に食品の着色にも用いられるものなので、保存食品に用いる酸素検知材の色素としては好適である。また、サラシクラフト紙は、クラフトパルプを原料とした紙を漂白したものであり、厚みが270μmのシート状のもので、体積に比して充分な表面積を持つ形態である。
【0029】
本実施例1の酸素検知体を、所定雰囲気中(二酸化炭素70%+窒素30%+アルコール微量)に27時間置いたところ、酸素検知材の色は赤色に保持でき、その後、当該酸素検知体1を酸素雰囲気中に晒したところ、青色に変色した。即ち、二酸化炭素雰囲気中において、二酸化炭素と酸素検知溶液とが反応することなく27時間酸素検知材が赤色(メチレンブルーが透明状態)を保つことができ、かつ酸素検知機能も備えている酸素検知体であると言える。
【実施例2】
【0030】
図2は、実施例2における酸素検知体の構成及び使用形態を示す断面図である。図2に示すように、実施例2における酸素検知体1は、保存容器に設けられた開口部8(例えば、二酸化炭素充填包装法において、保存容器内の空気を二酸化炭素に置換する為に用いる通気口等)を塞ぐようにして酸素検知体1を配置している。即ち、本実施例2における酸素検知体1は、実施例1と同じ酸素検知溶液を含浸させたシート状の酸素検知材2と、該酸素検知材2の上下面を覆う外側フィルム材3及び内側フィルム材4により構成される被包部材とからなり、外側フィルム材3は酸素検知材2の色が視認可能な透明状態でありシール材6を備えたラベルとなっており、酸素透過率が150cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が900cc/(m・atm・24hr)、かつ水蒸気透過率が25g/(m・24hr)である12μmPETで形成された内側フィルム材4の縁端部分を該外側フィルム材3のシール材6で接着させて、酸素検知材2が封入された状態に収められている。更に、この外側フィルム材3のシール材6を保存容器の開口部8の周縁部分に接着させて開口部8を塞ぎ、保存容器外からの酸素の侵入を防いでいる。
【0031】
図2に示す実施例2の酸素検知体の様に容器の開口部に酸素検知体を配置する形態で、外層フィルム材の透過性能等を適宜選択するものであれば、例えば、保存容器内部から酸素を抜く為や、保存容器内の空気を二酸化炭素等に置換する為、電子レンジ使用時の脱気の為等に開口している保存容器を、外部から空気中の酸素が侵入することを防ぐ蓋としての機能を兼ね備えることができる。
【比較例】
【0032】
[比較例1]
実施例1の酸素検知体1と同様の形態であるが、被包部材(外側フィルム材3、内側フィルム材4)が酸素透過率が850cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が2000cc/(m・atm・24hr)、かつ水蒸気透過率が1g/(m・24hr)である60μmOPP(二軸延伸ポリプロピレン)で作られている酸素検知体を比較例として示す。この比較例1の酸素検知体を、実施例1と同じ所定雰囲気中(二酸化炭素70%+窒素30%+アルコール微量)に置いたところ、次第にメチレンブルーが変色し、酸素検知材の色は10時間で青色に変色した。即ち、無酸素状態下でも、メチレンブルーの変色が始まり、酸素検知体としての機能を長時間果たし得ないと言える。
【0033】
[比較例2]
実施例1の酸素検知体1と同様の形態であるが、被包部材(外側フィルム材3、内側フィルム材4)が酸素透過率が10000cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が20000cc/(m・atm・24hr)、かつ水蒸気透過率が44g/(m・24hr)である25μmOPS(二軸延伸ポリスチレン)で作られている酸素検知体を比較例として示す。この比較例2の酸素検知体を、実施例1と同じ所定雰囲気中(二酸化炭素70%+窒素30%+アルコール微量)に置いたところ、次第にメチレンブルーが変色し、酸素検知材の色は2時間で青色に変色した。即ち、無酸素状態下でも、メチレンブルーの変色が早期に始まり、酸素検知体としての機能を長時間果たし得ないと言える。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本件発明に係る酸素検知体は、雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したので、二酸化炭素透過率が低いフィルムを用いることにより、酸素検知材が二酸化炭素に触れにくくなり、二酸化炭素の影響により酸素検知材の変色を抑制することができる。これにより、二酸化炭素を含む雰囲気中であっても酸素検知機能を長時間保持できるので、脱酸素保存法や二酸化炭素充填包装法を用いた食品等保存に際し、実用に耐える酸素検知体を提供可能となる。従って、保存食品の酸素管理の精度を向上することができ、将来の食品等の流通における脱酸素保存や二酸化炭素充填包装法等の普及に有効であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例1の酸素検知体の構成を示す断面図である。
【図2】実施例2の酸素検知体の構成及び使用形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ・・・・酸素検知体
2 ・・・・酸素検知材(吸収体+酸素検知溶液)
3 ・・・・外側フィルム材(被包部材)
4 ・・・・内側フィルム材(被包部材)
5 ・・・・視認部
6 ・・・・シール材
7 ・・・・包装容器
8 ・・・・開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気中の酸素量に応じて変色する酸素検知材と、前記酸素検知材を覆う被包部材とからなる酸素検知体であって、
前記被包部材の少なくとも一部は、酸素透過率が50cc/(m・atm・24hr)〜300cc/(m・atm・24hr)、かつ二酸化炭素透過率が1400cc/(m・atm・24hr)以下、かつ水蒸気透過率が100g/(m・24hr)以下のフィルムで構成したことを特徴とする酸素検知体。
【請求項2】
前記被包部材の少なくとも一部は、前記酸素検知材の変色を外部から視認可能な透明状態であることを特徴とする請求項1に記載の酸素検知体。
【請求項3】
前記フィルムは厚さが8μm以上36μm以下の延伸ポリエチレンテレフタレートを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の酸素検知体。
【請求項4】
前記酸素検知材は、液体を含浸可能な吸収体に、酸化還元性色素と還元性物質と塩基性物質とを含む液体状の酸素検知溶液を含浸させたものであり、
前記酸化還元性色素が、メチレンブルーであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の酸素検知体。
【請求項5】
前記酸素検知材は、食紅、サフラニンT、フェノサフラニンのうちのいずれか1種または2種以上を含ませたことを特徴とする請求項4に記載の酸素検知体。
【請求項6】
前記酸素検知溶液に含まれる還元性物質は、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−エリスロール、D−アラビノースのうちのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の酸素検知体。
【請求項7】
前記酸素検知溶液に含まれる塩基性物質は、アルカリ金属塩、アルカリ金属水酸化物のいずれか1種または2種であることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の酸素検知体。
【請求項8】
前記吸収体は、有機高分子からなるものであることを特徴とする請求項4〜請求項7のいずれかに記載の酸素検知体。
【請求項9】
前記有機高分子は、イオン交換樹脂又はセルロース材料から選択されるものであることを特徴とする請求項8に記載の酸素検知体。
【請求項10】
前記セルロース材料は、サラシクラフト紙であることを特徴とする請求項9に記載の酸素検知体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−121007(P2007−121007A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310969(P2005−310969)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【出願人】(000231970)パウダーテック株式会社 (91)
【Fターム(参考)】